説明

画像サイズ調整システム、画像サイズ調整装置、画像サイズ調整方法、コンテンツ文書

【課題】サーバの提供画像が大きいと、携帯情報端末に一度に表示できない。
【解決手段】HTML受信・解析部10はサーバ4から受信したHTML文書の解析を行い、それに基づいて、画像取得部12が画像情報を取得する。画像サイズ調整部20は、HTML文書と画像情報に基づいてトリミングを行うか否か及びトリミング量を決定する。この決定は、例えば原画像と携帯情報端末6のブラウザとのサイズの比較に基づく。また、トリミング画像のサイズが携帯情報端末6のブラウザに表示可能に定められる。画像解析部22は、HTML文書に指定されるパラメータや、原画像を解析することによってトリミングレイアウトを決定し、画像加工部24が原画像をトリミングし、画像送信部14が、その画像情報を元のファイルフォーマットに形式を整え、携帯情報端末6へ送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像情報を含むコンテンツ文書を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットではWWW(World Wide Web)を中心に各種形態のサービスの提供が行われている。WWWを利用する場合、サーバからはHTML(Hyper Text Markup Language)によって記述されたテキスト(以下、HTML文書という)などの文書の形態で情報やサービスが提供される。クライアント上で動作するビュアまたはブラウザと呼ばれるソフトウェアは、サーバから送られるHTML文書等のテキストを解釈してクライアントである計算機や情報端末の画面上への表示を行う。ブラウザを用いてWWWにアクセスすることによって、サービスごとに専用アプリケーションを用意する必要がなく、利用者側の負担が大幅に軽減される。そのため、PDA(Personal Digital Assistance)など、ネットワークに対応した携帯型の情報端末が急速に普及している。
【0003】
この携帯型情報端末は、携帯に便利なように小型化が要求されるため、画面サイズが、一般の小型汎用コンピュータに比べて制限される。そのため、小型汎用コンピュータのディスプレイを想定して作成されサーバから提供される画像情報には、携帯情報端末の画面内に一度に表示できないものもある。
【0004】
このような画像情報に対しては、携帯情報端末のユーザは、従来は単純には画面を縦方向または横方向にスクロールすることによってその画像全体を把握することを行っていた。
【0005】
また、携帯情報端末の中には、受信した画像情報を自画面内に表示できるサイズに縮小する機能を備えているものもあった。例えば、携帯情報端末において、Webページ等のコンテンツに含まれる画像部分を面積比で1/4にして表示することは行われていた。
【0006】
しかし、画面をスクロールするという方法は、ユーザに余計な操作を要求することになるという問題があった。また、多くの画像情報は、その全体を一見されることによってユーザに伝達されうるものであり、これをスクロールという方法で部分的に画面表示することは画像情報本来の情報伝達力を損ない、ユーザの情報理解を阻害するおそれがあるという問題もあった。
【0007】
一方、画像情報を縮小して表示するという方法は、画像の解像度を低下させるものであり、画像がつぶれてユーザにその画像情報を認識しづらくする、または全く認識できなくするという問題を有していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、サーバから提供される画像情報を画面サイズが制限されたクライアントにおいて良好なユーザインターフェースを確保しつつ表示する画像サイズ調整システム、画像サイズ調整装置、画像サイズ調整方法、およびコンテンツ文書を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像サイズ調整システムは、送信側と受信側とからなる画像サイズ調整システムであって、前記送信側は、画像を含んだ画面表示コンテンツとともにトリミング指示を記述するコンテンツ文書を送信する送信手段を有し、前記受信側は、前記コンテンツ文書を受信する受信手段と、前記コンテンツ文書中に指定された原画像情報群を取得する取得手段と、前記コンテンツ文書中に指定されるトリミング指示を検知するトリミング指示検知手段と、前記トリミング指示にトリミング対象として示された原画像情報により表される原画像をトリミングし、当該原画像の一部領域の情報のみを含んだトリミング画像情報を生成する画像トリミング手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、受信側が前記コンテンツ文書中に指定されるトリミング指示を検知するトリミング指示検知手段を有し、前記画像トリミング手段が前記トリミング指示に応じて、前記原画像情報についてのトリミング処理を行う。ここでトリミングとは、原画像の一部領域の情報のみを取り出すことであり、取り出された一部の画像情報をトリミング画像情報と称する。トリミング画像情報に対応する画像サイズは、基本的には原画像のサイズまたはそれより小さくされるであろう。クライアントへはこのトリミング画像情報が提供される。
【0011】
トリミング指示は、コンテンツ文書全体に有効であってもよいし、コンテンツ文書に含まれる原画像ごとに有効であってもよい。画像トリミング手段は、トリミング指示が有効な原画像に対してトリミングを行う。
【0012】
本発明に係る画像サイズ調整システムの1つの態様では、前記画像トリミング手段は、前記コンテンツ文書中に前記トリミング対象の原画像に対するトリミングサイズが示されている場合、そのトリミングサイズとなるように、前記トリミング対象の原画像をトリミングすることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る画像サイズ調整システムの1つの態様では、受信側は、前記コンテンツ文書中に指定されるトリミングの基準点を示すトリミングタイプに応じて、前記原画像から取り出される前記一部領域を決定するトリミングレイアウト決定手段を備えたものである。
【0014】
この構成によれば、コンテンツ文書中に指定されるトリミングタイプに応じて、原画像のうちどの部分が取り出されるかが決定される。例えば、トリミングタイプには、原画像の中央、上下、左右等といった位置が指定されており、トリミングレイアウト決定手段は、指定されたトリミングタイプに応じて例えばトリミング画像の中心等の基準点を定めトリミング画像構図を決定する。トリミング画像のサイズは、所定値にすることもできるし、別途与えられる値によって定めることもできる。
【0015】
本発明に係る画像サイズ調整システムの1つの態様では、前記トリミングレイアウト決定手段は、前記コンテンツ文書中にトリミングタイプが示されていない場合、前記原画像の所定の画素属性の画像内分布に基づいて、前記原画像から取り出される前記一部領域の配置を定めることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、例えば、原画像の各点での色と所定の背景色との相違の度合いや、輝度値といった画素属性が用いられる。例えば、画素属性には背景と抽出対象画像部分とを区別できるものが用いられる。例えば、画素属性を数値で評価可能な場合は、背景で小さな値をとり抽出対象画像情報において大きな値をとる属性が選択される。画素属性の分布は、単に当該属性を有する画素と有さない画素の多寡に基づいて定めることもできるし、値で評価可能な属性を用いる場合には、その値により重み付けを行った上で定めることもできる。
【0017】
本発明の好適な態様は、前記トリミングレイアウト決定手段が、前記原画像を複数の部分領域に分割する手段と、前記各部分領域内における前記画素属性の密度を求める手段と、前記密度に基づいて前記複数の部分領域から、前記原画像から取り出される前記一部領域を選択する手段とを有するものである。
【0018】
この態様では、原画像が例えばその配置がそれぞれ上中下である3つの部分領域に分割され、中段の部分領域において背景を示す画素属性の密度が高ければ、中段をトリミングして、上段と下段の部分領域が前記一部領域として選択される。
【0019】
また本発明の他の好適な態様は、前記トリミングレイアウト決定手段が、前記画素属性の重心位置を求め、前記原画像から取り出される前記一部領域の配置を前記重心位置に基づいて定めるものである。
【0020】
この態様では、重心位置が原画像内での抽出対象画像情報のおおまかな分布を示す。つまり、例えば重心位置が左側に寄っていれば、抽出対象画像情報は原画像の左側に存在する確率が高いので、トリミングレイアウト決定手段は、この場合には原画像から取り出される領域、すなわちトリミングレイアウトを左寄りに設定する。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る画像サイズ調整システムは、当該画像情報をトリミングするための情報とともに送受信することができる。よって、クライアントが画面サイズの制約等により、大きなサイズの画像を一度に表示できない場合であっても、トリミング画像ならばブラウザ内に一度に表示を行うことができ、サーバからの画像サービスを良好な解像度で利用できるという効果が得られる。つまり、ユーザは画面をスクロールするといった操作から開放され、ユーザインターフェースが向上するという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態であるサービス中継装置の概略のブロック構成及びそれを用いたサーバ・クライアントシステムの概略構成を示す説明図である。サービス中継装置2は、例えばWebサービスを提供するサーバ4とそのサービスを受けるクライアントである携帯情報端末6とを通信回線(図示せず)を介して中継する。なお、図にはサーバ4、携帯情報端末6はそれぞれ一つしか示されていないが、サービス中継装置2は複数のサーバ4と複数の携帯情報端末6とを中継・接続することができる。またクライアントとして、他の端末、例えば通常の小型汎用コンピュータを接続することも可能である。
【0024】
さて、携帯情報端末6は、サービスを直接、サーバ4に要求するのではなく、サービス中継装置2に対して要求する。具体的には、携帯情報端末6においてはサーバ4のURL(Uniform Resource Locator)ではなく、サービス中継装置2のURLが指定される。したがって、ユーザからはサービス中継装置2がひとつのサーバに見える。
【0025】
サービス中継装置2は、大きくは、クライアントとの間で必要な情報の授受を行うクライアント連絡機能を有する部分と、サーバとの間で必要な情報の授受を行うサーバ連絡機能を有する部分と、サービス中継装置2における付加処理等を行う部分とに分かれる。
【0026】
図においてHTML受信・解析部10及び画像取得部12は、サーバアクセス手段であり、サーバ連絡機能を有する部分の一部を構成する。一方、クライアント連絡機能を有する部分は画像送信部14を含んで構成される。また、本発明に係る付加処理等を行う部分は画像サイズ調整部20、画像解析部22及び画像加工部24を含んで構成される。
【0027】
次に各部の機能を説明する。HTML受信・解析部10は、携帯情報端末6から要求があったWebページのHTMLテキスト(コンテンツ文書)をサーバ4から受信する。HTML受信・解析部10は、受信したコンテンツ文書を解釈する機能を有する。特に、当該コンテンツ文書中にリンクが定義されている場合には、そのリンク先からの情報取得処理を起動させる機能や、コンテンツ文書中に指定されるトリミング指示を検知するトリミング指示検知手段としての機能を有する。
【0028】
画像取得部12は、HTML受信・解析部10からの指示に基づいてサーバ4から画像(原画像)を取得するという情報取得処理を行う。
【0029】
画像サイズ調整部20は、HTML受信・解析部10から出力されるコンテンツ文書と、画像取得部12から出力される画像情報をそれぞれ受け取る。そして、それらに基づいて、まずトリミングを行うか否かが判断され、トリミングを行う場合にはトリミング量が決定される。画像サイズ調整部20は、トリミングを行うか否かの判断手段の一つとして、原画像の表示サイズと携帯情報端末6のブラウザの表示領域サイズとの比較に基づいて判断を行うトリミング要否判定手段を有している。トリミングを行う場合には、画像サイズ決定手段によって、トリミング後の画像サイズが携帯情報端末6のブラウザに表示可能なサイズに定められる。
【0030】
ここで、原画像の表示サイズとは、トリミング処理を行わなかった場合にクライアントの画面に表示されるであろう画像サイズであり、原画像情報自体、またはサーバが提供するコンテンツ文書中において画像表示領域の指定がされている場合にはその指定によって定められる。例えば、原画像の表示サイズより大きな画面サイズのディスプレイにおいてはブラウザの表示領域も大きく確保でき、画像情報は基本的には原画像のまま表示される。しかし画面サイズが小さいクライアントでは、画像情報を原画像の表示サイズに表示することが難しい場合がある。トリミング要否判定手段は、例えばクライアントのブラウザ画面サイズすなわちブラウザの表示領域のサイズに応じて定められる基準より原画像の表示サイズが大きいか否かを判断し、大きい場合にはトリミングを行うことを決定し、画像トリミング手段にトリミングを指示する。
【0031】
画像解析部22は、コンテンツ文書又は原画像情報を解析して、原画像から取り出される抽出対象画像領域を決定する。すなわち、トリミングレイアウトを決定する。このトリミングレイアウト決定は、コンテンツ文書に指定されるトリミングタイプに基づくレイアウト決定処理や、原画像の所定の画素属性の原画像内での分布に基づくレイアウト決定処理によって行われる。
【0032】
画像加工部24は、画像解析部22で決定されたトリミングレイアウトに基づいて原画像をトリミングする。
【0033】
画像送信部14は、画像加工部24でトリミングされた画像情報を元のファイルフォーマットに形式を整え、携帯情報端末6へ送出する。
【0034】
次に、本装置の処理を説明する。図2は、本発明に係る処理全体を説明する処理フロー図である。携帯情報端末6がサービス中継装置2を介してサーバ4へWebページ等のコンテンツを要求すると、それに応じてサーバ4はサービス中継装置2へコンテンツを記述するHTML文書を送信する。サービス中継装置2では、HTML受信・解析部10がサーバ4から送られてきたHTML文書を受け取り(S50)、これを解析する(S55)。
【0035】
解析の結果、HTML文書にリンクが定義されていることが明らかになると、HTML受信・解析部10は、そのリンク先にアクセスして指定されたファイルを取得する処理を起動させる。例えば、HTML文書に、画像表示を指示する<IMG>タグを検出すると、画像取得部12を起動する。
【0036】
画像取得部12は、そのタグ中にSRCオプションで指定される画像ファイルをサーバ4へ要求し、サーバ4から送られるそのファイルを受信する(S60)。受信したファイルは画像サイズ調整部20へ渡される。
【0037】
また、HTML受信・解析部10は、HTML文書中に指定されているトリミング指示を検知し、トリミングのリクエストを画像サイズ調整部20へ送る(S65)。
【0038】
例えば、HTML文書中でのトリミング指示は、
<IMG SRC="/Images/welcome.jpg" TRIMMING>
といった<IMG>タグの記述により行われる。ここで、タグの最後に指定された属性“TRIMMING”が、当該タグに指定された画像に対してトリミングを行うことを指示するものである。なお、タグ中程の“SRC=”に続いて画像ファイルの指定が記述されている。
【0039】
画像サイズ調整部20は、HTML受信・解析部10から出力されるコンテンツ文書、トリミングリクエスト及び、画像取得部12から出力される画像情報を入力される。画像サイズ調整部20はトリミング要否判定手段によって、まず入力された原画像情報に対してトリミングを行うか否かを判断する(S70)。
【0040】
トリミング要否判定手段は、HTML受信・解析部10からトリミングのリクエストを受信している場合には必ずトリミングを行うと決定する。さらに、本装置では、従来よりのWebページ等、トリミング指定を考慮せずに作成されたコンテンツをも必要に応じてトリミングを行って携帯情報端末6に提供できるように、トリミング要否判定手段が構成されている。
【0041】
具体的には、トリミング要否判定手段は、トリミングリクエストをHTML受信・解析部10から受け取らない場合には、トリミング処理を行わなかった場合にクライアントの画面に表示されるであろう画像サイズと携帯情報端末6のブラウザの表示領域サイズとの比較に基づいて判断を行う。まず本装置は、クライアントからサービス提供のリクエストがあったときに、クライアントのブラウザの表示領域サイズを判別する。例えば本装置は、クライアントがHTTPのリクエストを送信する際、そのリクエスト内に用意されたクライアント情報項目に値を設定している場合には、それに基づいてクライアントの種別を判別し、予め登録された端末種別と当該端末にインプリメントされたブラウザの有効表示領域との対応テーブルから、リクエストを発したクライアントのブラウザの表示領域サイズを認識する。また、サービス中継装置2の利用の許諾が与えられたクライアントごとにそのアドレス等の端末識別情報とブラウザ表示領域サイズとの対応関係のテーブルを予め本装置に登録・保持しておいて、リクエスト元の端末の識別情報からテーブルを検索してブラウザの表示領域サイズを認識するという方法も可能である。
【0042】
一方、原画像の表示サイズは、サーバが提供するHTML文書中の<IMG>タグに画像表示領域を指定するパラメータが指定されている場合には、そのサイズが採用され、指定されていない場合には原画像情報の本来のサイズが採用される。
【0043】
トリミング要否判定手段は、このようにして得られた原画像の表示サイズとクライアントのブラウザの表示領域サイズとを比較し、原画像の表示サイズがブラウザの表示領域サイズの例えば0.25倍より大きい場合には、トリミングを行うと決定する。なお、この原画像の表示サイズとブラウザ表示領域サイズとの比を暫定値とし、様々なWebページから原画像を取得するごとに値を変えるようにすることもできる。この場合、トリミングを行うか否かの閾値の比は、画像ごとの比を統計処理して、逐次更新するように構成することができる。
【0044】
処理S70の判断によりトリミングを行うと決定された場合には(S75)、画像サイズ調整部20は、トリミングサイズが決まっているか否かを判定する(S80)。トリミングサイズが決まっていない場合には、画像サイズ調整部20の画像サイズ決定手段が、画像取得部12からの原画像の画像サイズやHTML文書の指定等に基づいて、トリミング量を求めトリミング後の画像サイズ(トリミング画像サイズ)を決定する(S85)。
【0045】
画像サイズ決定手段は、例えば、<IMG>タグに指定されるWIDTH属性やHEIGHT属性をトリミング画像サイズを定めるために用いる。これらWIDTH属性やHEIGHT属性は、一般には、それらの値に合わせて画像を表示するために用いられるものであり、例えば次行に示す形式で使用される。
<IMG SRC="/Images/welcome.jpg" WIDTH="364",HEIGHT="280">
【0046】
画像サイズ決定手段は、トリミングを行うと決定された場合には、これらWIDTH属性、HEIGHT属性によって指定されるサイズをトリミング画像サイズに設定することができる。WIDTH、HEIGHTの値がクライアントのブラウザ表示領域サイズより大きい場合や、WIDTH属性、HEIGHT属性が指定されていない場合には、画像サイズ決定手段は、トリミング画像サイズをクライアントのブラウザ表示領域サイズより小さくなるように定める。
【0047】
画像サイズ調整部20は、このように決定したトリミング画像サイズを、HTML文書、原画像情報とともに画像解析部22へ渡す。なお、判定処理S80において、トリミング画像サイズが決まっている場合には上述した処理S85は省略され、その決まっているトリミングサイズが画像解析部22に渡される。
【0048】
画像解析部22は、コンテンツ文書又は原画像情報を解析して、トリミング画像サイズで指定される大きさの画像情報を原画像のどの部分から取り出すべきかを決定する(S90)。そして、画像加工部24が、画像解析部22で決定されたトリミングレイアウトに基づいて原画像をトリミングする(S95)。トリミングされた画像情報は、画像送信部14へ送られ、ここで元のファイルフォーマットに形式を整えられ(S100)、携帯情報端末6のブラウザへ送信される(S105)。
【0049】
なお、判定処理S75において、トリミングを行わないと決定された場合には、処理S80〜S100は省略され、処理S105に移行して、原画像情報がそのまま携帯情報端末6のブラウザへ送信される。
【0050】
さて、上述した<IMG>タグ中に指定されるTRIMMING属性には、トリミングレイアウトのタイプを指定することができる。例えば、
<IMG SRC="/Images/welcome.jpg" TRIMMING="center">
といった形式で、“TRIMMING=”に続いてタイプを指定することができる。この場合の値“center”は、原画像の中央にトリミングの基準点(アンカー)を設定するものである。例えば、このアンカーが中心点であってトリミング画像サイズで指定される大きさの画像情報が原画像から取り出される。図3は、この場合のトリミングの一例を示す説明図である。原画像150の中央部に示された枠内の画像152がトリミング画像として取り出される。
【0051】
アンカー位置を指定するタイプには、様々なものを用意することができる。図4〜図12は原画像中におけるトリミング画像の配置例をアンカーの各タイプごとに示す説明図である。図4〜6がそれぞれトリミング属性“topleft”、“top”、“topright”における原画像中のトリミング画像の配置を示す図である。図において枠154が原画像150中でのトリミング画像の配置を示す。トリミング属性値“topleft”、“top”、“topright”は、トリミング画像が原画像の左右方向に関してはそれぞれ左、中央、右に位置する点で相違するが、原画像の上下方向に関してはともに上方に配置される点で共通するものである。また、トリミング属性値“left”、“center”、“right”は、トリミング画像が原画像150の左右方向に関してはそれぞれ左、中央、右に位置する点で相違するが、原画像150の上下方向に関してはともに中央に配置される点で共通するものである。図7〜9がそれぞれ“left”、“center”、“right”の配置を示す図である。同様に、トリミング属性値“bottomleft”、“bottom”、“bottomright”は、トリミング画像が原画像150の左右方向に関してはそれぞれ左、中央、右に位置する点で相違するが、原画像150の上下方向に関してはともに下方に配置される点で共通するものである。図10〜12がそれぞれ“bottomleft”、“bottom”、“bottomright”の配置を示す図である。
【0052】
画像解析部22、画像加工部24では、上述したトリミング属性値を利用して処理が行われる。図13は、画像解析部22、画像加工部24及び画像送信部14での処理S90〜S100を説明する処理フロー図である。
【0053】
トリミングを行うことが決定され、処理が画像解析部22に移行すると、画像解析部22は、渡されたHTML文書中の<IMG>タグにトリミング属性“TRIMMING”が指定されているかどうかを調べる(S200)。もし指定されていれば、それに上述したようなトリミング属性値が指定されているかどうかが調べられる(S205)。
【0054】
トリミング属性値が指定されていれば、画像解析部22は、その属性値で指定される原画像内でのトリミング画像の配置と、トリミングサイズとからトリミングレイアウトを定め(S210)、画像加工部24が当該トリミングレイアウト内に含まれる画像情報を原画像から取り出す(S215)。
【0055】
取り出されたトリミング画像は、画像送信部14に渡され、元のファイルフォーマットに形式を整えられる(S220)。
【0056】
一方、処理S90の一部である判定処理S200においてトリミング属性が指定されていない場合は、トリミング処理を行わなかった場合にクライアントの画面に表示されるであろう画像サイズと携帯情報端末6のブラウザの表示領域サイズとの比較(S70)に基づいてトリミングを行うと決定された場合(S75)である。
【0057】
この場合には、画像解析部22が原画像情報に基づいてトリミングレイアウトを決定する。例えば画像解析部22は、既存の輪郭線抽出等の画像解析処理の手法を用いて、例えば、原画像の周辺領域とその内側領域とのいずれに画像としての情報がより多く含まれるかを判定し(S225)、それに応じてトリミングレイアウトの大まかなタイプを決定する(S230)。例えば、原画像の周辺領域に情報が偏在する場合とは、画像の主題が画像の上下、左右に分かれて存在し、その間には存在しないような場合である。このような場合は、例えば原画像の上下、または左右にそれぞれ一つずつの画像取り出し領域が設定され、それら一対の領域からの画像情報が一体に組み合わされてトリミング画像とされることが決定される。なお、一対の画像取り出し領域は、上下一対、左右一対の画像取り出し領域のいずれかを原画像中の画像情報の分布に応じて選択するように構成することもできる。
【0058】
一方、判定処理S230において、画像情報が原画像内の一つの領域内に偏在すると判定された場合は、原画像内に一つの画像切り出し領域が設けられ、その領域の画像情報がトリミング画像とされることが決定される。
【0059】
画像解析部22のトリミングレイアウト決定手段は、上述のように大まかなレイアウトパターンを定めると(S230)、次に、画像取り出し領域の原画像内での具体的な配置を、原画像の所定の画素属性の画像内分布に基づいて定める(S235、S240)。本装置では、その所定の画素属性として色を採用している。例えば、各画素の色と背景色との偏差が画素属性として評価される。すなわち、背景と異なる色の部分には、背景以外の画像が表現されていると判断するわけである。この偏差は例えば、各画素でのRGB値と白のRGB成分との差の二乗和といった数値で客観的に評価されうる。なお、画素属性としては、背景と抽出対象画像部分とを区別できる他のものを採用することができる。例えば、輝度値を用いることも可能である。画素属性は数値評価されるものにあっては、例えば、背景で小さな値をとり抽出対象画像情報において大きな値をとる属性が選択される。また、画素属性としては、単に属性の有無といった二値的な評価がされるものを用いることもできる。
【0060】
処理S230において、原画像内に一つの画像取り出し領域を設定するとされた場合には、色の偏差の重心がトリミングの中心(アンカー)とされる(S235)。このアンカーの位置と、予め決められたトリミングサイズ(S80)か処理S85にて定められたトリミングサイズとに基づいて、トリミングレイアウトが決定され(S235)、画像加工部24が当該トリミングレイアウト内に含まれる画像情報を原画像から取り出す(S245)。
【0061】
図14〜16は、色を画素属性として用いた場合の処理S235の例を示す説明図である。図14は、原画像250の主題が「リンゴ」一つであり、他の部分は背景色なので、色重心を求めることによって「リンゴ」の中央部にアンカーの位置が決定され、トリミング画像252は「リンゴ」を中心にした画像となる。
【0062】
図15は、原画像254に大きな「リンゴ」と小さな「イチゴ」がある程度近接して描かれた例である。2つの対象物がこの程度に近接している場合には、本装置では、画像取り出し領域は1つに設定され処理される。この場合のトリミング画像256は、アンカーの位置が両対象物の大小関係から両者の中心よりも「リンゴ」側に寄った位置であるものとなる。ちなみに図16は、原画像258に「リンゴ」とそれと同程度の大きさの「バナナ」がある程度近接して描かれた例であり、トリミング画像260は、アンカーが両対象物間のおおよそ中心に位置するものとなる。なお、写真画像のように、色のトーンが原画像内でほぼ均等化している場合は、原画像の中心付近にアンカーが位置することになるであろう。
【0063】
さて、処理S230において、原画像内に2つの画像取り出し領域を設定するとされた場合には、原画像が複数の部分領域に分割され、それぞれに含まれる画素属性の合計値や密度に基づいて、カットされる領域が決定される(S240)。そして、画像加工部24が当該トリミングレイアウト内に含まれる画像情報を原画像から取り出し(S270)、取り出されたトリミング画像は、画像送信部14に渡され、元のファイルフォーマットに形式を整えられる(S220)。
【0064】
図17は、処理230、S240、S270の処理例を示す模式図である。図において原画像300は上中下の3段の部分領域302〜306に分割され、例えばそれぞれの領域における色偏差の平均値が求められる。ここでは、処理S230の判断に基づいて中段の部分領域304がカットされることになる。その部分領域304の配置及び大きさ、すなわち原画像300をどのように部分領域302〜306に分割するかは、中段の部分領域304の色偏差の平均値がほぼ0、つまり背景色に近いことや、必要なトリミング量に基づいて処理S240にて決定される。部分領域302〜306が決定されると、処理S270にて部分領域304がカットされ、残る上段の部分領域302と下段の部分領域306とを接合してトリミング画像310が生成される。
【0065】
なお、判定処理S205にて、トリミング属性値がないことが分かると、処理S225に移行し、以後、判定処理S200にてトリミング属性がないと判定された場合と同様の処理が行われる。
【0066】
以上には、Webページとしてサーバ4から提供されるサービス中に含まれる画像のトリミングの例を示した。この場合には、画像情報はHTMLで記述されたコンテンツ文書中に所定の形式で指定されたが、本発明は、HTML以外の種類のコンテンツ文書に対しても有効である。また、上述の処理の説明においては、コンテンツ文書にてトリミング属性等のパラメータが指定されない場合の画像トリミング処理も述べた。そのようなトリミング処理は、コンテンツ文書の存在を必要とせずに行うことができるので、本発明をサーバ4からコンテンツ文書なしに例えば画像情報が単体で提供される場合に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態であるサービス中継装置の概略のブロック構成及びそれを用いたサーバ・クライアントシステムの概略構成を示す説明図である。
【図2】本発明に係る処理全体を説明する処理フロー図である。
【図3】トリミングの一例を示す説明図である。
【図4】トリミング属性値に“topleft”が指定された場合のトリミング画像の配置例を示す説明図である。
【図5】トリミング属性値に“top”が指定された場合のトリミング画像の配置例を示す説明図である。
【図6】トリミング属性値に“topright”が指定された場合のトリミング画像の配置例を示す説明図である。
【図7】トリミング属性値に“left”が指定された場合のトリミング画像の配置例を示す説明図である。
【図8】トリミング属性値に“center”が指定された場合のトリミング画像の配置例を示す説明図である。
【図9】トリミング属性値に“right”が指定された場合のトリミング画像の配置例を示す説明図である。
【図10】トリミング属性値に“bottomleft”が指定された場合のトリミング画像の配置例を示す説明図である。
【図11】トリミング属性値に“bottom”が指定された場合のトリミング画像の配置例を示す説明図である。
【図12】トリミング属性値に“bottomright”が指定された場合のトリミング画像の配置例を示す説明図である。
【図13】画像解析部、画像加工部及び画像送信部での処理S90〜S100を説明する処理フロー図である。
【図14】画像取り出し領域が一つである場合のトリミングレイアウトの例を示す説明図である。
【図15】画像取り出し領域が一つである場合のトリミングレイアウトの例を示す説明図である。
【図16】画像取り出し領域が一つである場合のトリミングレイアウトの例を示す説明図である。
【図17】画像取り出し領域が二つである場合のトリミングレイアウト決定処理の例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0068】
2 サービス中継装置、4 サーバ、6 携帯情報端末、10 HTML受信・解析部、12 画像取得部、14 画像送信部、20 画像サイズ調整部、22 画像解析部、24 画像加工部、150,250,254,258,300 原画像、152,252,256,260,310 トリミング画像、302,304,306 部分領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信側と受信側とからなる画像サイズ調整システムであって、
前記送信側は、画像を含んだ画面表示コンテンツとともにトリミング指示を記述するコンテンツ文書を送信する送信手段を有し、
前記受信側は、
前記コンテンツ文書を受信する受信手段と、
前記コンテンツ文書中に指定された原画像情報群を取得する取得手段と、
前記コンテンツ文書中に指定されるトリミング指示を検知するトリミング指示検知手段と、
前記トリミング指示にトリミング対象として示された原画像情報により表される原画像をトリミングし、当該原画像の一部領域の情報のみを含んだトリミング画像情報を生成する画像トリミング手段と、
を有することを特徴とする画像サイズ調整システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像サイズ調整システムにおいて、
前記画像トリミング手段は、前記コンテンツ文書中に前記トリミング対象の原画像に対するトリミングサイズが示されている場合、そのトリミングサイズとなるように、前記トリミング対象の原画像をトリミングすることを特徴とする画像サイズ調整システム。
【請求項3】
前記受信側は、前記コンテンツ文書中に指定されるトリミングの基準点を示すトリミングタイプに応じて、前記トリミング対象の原画像から取り出される前記一部領域を決定するトリミングレイアウト決定手段を有することを特徴とする請求項1記載の画像サイズ調整システム。
【請求項4】
請求項3に記載の画像サイズ調整システムにおいて、
前記トリミングレイアウト決定手段は、前記コンテンツ文書中にトリミングタイプが示されていない場合、前記原画像の所定の画素属性の画像内分布に基づいて、前記原画像から取り出される前記一部領域の配置を定めることを特徴とする画像サイズ調整システム。
【請求項5】
前記トリミングレイアウト決定手段は、
前記原画像を複数の部分領域に分割する手段と、
前記各部分領域内における前記画素属性の密度を求める手段と、
前記密度に基づいて前記複数の部分領域から、前記原画像から取り出される前記一部領域を選択する手段と、
を有することを特徴とする請求項4記載の画像サイズ調整システム。
【請求項6】
前記トリミングレイアウト決定手段は、前記画素属性の重心位置を求め、前記原画像から取り出される前記一部領域の配置を前記重心位置に基づいて定めることを特徴とする請求項4記載の画像サイズ調整システム。
【請求項7】
画像を含んだ画面表示コンテンツを記述するコンテンツ文書及び当該コンテンツ文書中に指定された原画像情報群を取得する取得手段と、
前記コンテンツ文書中に指定されるトリミング指示を検知するトリミング指示検知手段と、
前記トリミング指示にトリミング対象として示された原画像情報により表される原画像をトリミングし、当該原画像の一部領域の情報のみを含んだトリミング画像情報を生成する画像トリミング手段と、
を有することを特徴とする画像サイズ調整装置。
【請求項8】
画像を含んだ画面表示コンテンツを記述するコンテンツ文書及び当該コンテンツ文書中に指定された原画像情報群を取得する取得工程と、
前記コンテンツ文書中に指定されるトリミング指示を検知するトリミング指示検知工程と、
前記トリミング指示にトリミング対象として示された原画像情報により表される原画像をトリミングし、当該原画像の一部領域の情報のみを含んだトリミング画像情報を生成する画像トリミング工程と、
を含むことを特徴とする画像サイズ調整方法。
【請求項9】
画像を含んだ画面表示コンテンツを記述するコンテンツ文書であって、前記画像に応じた原画像をトリミングし、当該原画像の一部領域の情報のみを含んだトリミング画像情報を生成するためのトリミング指示が示されていることを特徴とするコンテンツ文書。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−31730(P2006−31730A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−239723(P2005−239723)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【分割の表示】特願平9−340958の分割
【原出願日】平成9年12月11日(1997.12.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】