画像データ処理方法、画像データ処理プログラム、記録媒体、及び画像データの印刷システム
【課題】操作端末におけるメモリ消費容量を抑制しつつ、迅速な処理時間で、良好な画質での画像データの印刷を行う。
【解決手段】携帯端末300は、画像データDを取得して記憶するステップS10と、画像データDを互いの境界線近傍を一部重複するようにしつつ複数の領域データD1〜Dnに分割するステップS20と、複数の領域データD1〜Dnに対し所定の処理を順次行うステップS30と、処理が終了した1つの領域データDn等を記憶するステップS40と、領域データDn等を読み出して携帯型プリンタ100へ送信するステップS50と、送信された1つの領域データDn等をメモリ304から削除するステップS60とを実行し、各領域データD1〜DnについてステップS30での処理が順次終了するごとに、ステップS40〜S60を繰り返すことにより、領域データD1〜Dnの携帯型プリンタ100への送信を実行する。
【解決手段】携帯端末300は、画像データDを取得して記憶するステップS10と、画像データDを互いの境界線近傍を一部重複するようにしつつ複数の領域データD1〜Dnに分割するステップS20と、複数の領域データD1〜Dnに対し所定の処理を順次行うステップS30と、処理が終了した1つの領域データDn等を記憶するステップS40と、領域データDn等を読み出して携帯型プリンタ100へ送信するステップS50と、送信された1つの領域データDn等をメモリ304から削除するステップS60とを実行し、各領域データD1〜DnについてステップS30での処理が順次終了するごとに、ステップS40〜S60を繰り返すことにより、領域データD1〜Dnの携帯型プリンタ100への送信を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データをプリンタへ送信し印刷を実行する画像データの処理方法、画像データ処理プログラム、記録媒体、及び画像データの印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像データをプリンタへ送信し印刷する画像データの印刷システムが知られている。この印刷システムは、例えば、バッテリ電源により駆動可能な携帯型のプリンタと、携帯型の操作端末とを有している。操作端末は、無線通信によりプリンタに対し情報送受信可能に接続されており、プリンタは操作端末より受信した所望の画像データを印刷する。
【0003】
上記のように操作端末からプリンタへの画像データの送信に関し、使用するメモリ容量の低減を図った従来技術として、特許文献1記載のものがある。この従来技術では、操作端末は、画像データを、プリンタで処理可能な単位の大きさに分割するとともに、プリンタとの接続形態に基づきデータ転送レートを算出する。そして、操作端末は、算出した転送レートで転送した時におけるプリンタの排紙速度に間に合う圧縮率を求め、画像データを算出した圧縮率以下に圧縮してプリンタに出力する。これにより、印刷装置は、画像データの1ページ分のページメモリを持たなくても、当該画像データを確実に印刷することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−329393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術には以下の課題が存在する。すなわち、画像データを分割した後に圧縮する際、ディザ処理により二値イメージデータとした後、例えばLossLess圧縮方式等の適宜の方式により圧縮を行っている。この圧縮では、例えば、画像データ上、隣接して連続する複数のバイトにおいて同一の値が繰り返される場合に、繰り返される値自体を1バイトのデータ部で記述し、その繰り替えし数を1バイトの制御部で記述することで、合計2バイトの消費に抑制する方式等が用いられる。このような圧縮方式では、各バイトのデータ値は両隣りのバイトにおけるデータ値によって規定されることから、画像データのデータ領域の端部に位置するバイトでは(一方側に隣接するバイトにはデータが存在するが他方側にはデータが存在しないことから)上記圧縮処理によって精度の悪いデータとなる可能性が高い。前述のように画像データを複数個のデータに分割して圧縮を行う場合、そのままでは、各データの端部付近のデータが上記の理由で劣化し、プリンタ側で複数個のデータを用いてもとの画像データを再現して印刷する際、当該上記劣化したデータによって各領域データの境界に不連続な模様や線が生じ、画質が悪くなる可能性があった。
【0006】
本発明の目的は、メモリ消費容量を抑制しつつ、良好な印刷画質を確保できる画像データの処理方法、その方法を実行するための画像データ処理プログラム、そのプログラムを記録した記録媒体、及び画像データの印刷システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、画像データをプリンタへ送信し印刷を実行する操作端末の制御手段が実行する、画像データ処理方法であって、処理対象の画像データを取得してメモリに記憶する第1記憶処理手順と、前記第1記憶処理手順で前記メモリに記憶された画像データを、互いの境界線近傍を一部重複するようにしつつ複数の領域データに分割する、データ分割手順と、前記データ分割手順での分割により生成される前記複数の領域データのそれぞれに対し、前記プリンタの機能に対応したデータ量へ減容するための所定の処理を順次行う、データ処理手順と、前記データ処理手順での処理が終了した1つの前記領域データをメモリに記憶する第2記憶処理手順と、前記第2記憶処理手順でメモリに記憶された前記1つの領域データを読み出して、プリンタへ送信するデータ送信手順と、前記データ送信手順で前記プリンタへ送信された前記1つの領域データを、前記メモリから削除するデータ削除手順と、を有し、前記複数の領域データのそれぞれについて前記データ処理手順での処理が順次終了するごとに、前記第2記憶処理手順、前記データ送信手順、及び前記データ削除手順を繰り返すことにより、前記第1記憶処理手順で記憶した前記画像データに対応する前記複数の領域データの、前記プリンタへの送信を実行することを特徴とする。
【0008】
本願第1発明においては、操作端末が画像データをプリンタへ送信し、プリンタによって当該画像データの印刷が行われる。操作端末では、制御手段の制御によって、まず第1記憶処理手順において、処理対象の画像データが取得され、メモリに記憶される。その後、データ分割手順において、上記メモリに記憶された画像データが複数の領域データに分割される。その後、データ処理手順において、上記複数の領域データのそれぞれに対し、プリンタの機能に対応したデータ量へ減容する所定の処理、例えばモノクロ画像データに対するディザ処理、カラー画像データに対するディザ処理及び減色処理の後の、圧縮処理等が行われる。
【0009】
そして、本願第1発明では、複数の領域データについて上記データ処理手順で上記所定の処理が順次行われていくとき、1つの領域データについての処理が終了する都度、当該1つの領域データに対し、第2記憶処理手順、データ送信手順、データ削除手順が行われる。すなわち、第2記憶処理手順では、データ処理手順での処理が終了した当該1つの領域データがメモリに記憶される。その後、データ送信手順で、メモリに記憶された当該1つの領域データが読み出されてプリンタへ送信され、データ削除手順で、その送信された領域データをメモリから削除する。これにより、1つの領域データの上記所定の処理が完了して次の領域データの処理が行われている間に、上記処理が完了した領域データをプリンタへ送信することができる(あるいは、1つの領域データの送信が行われている間に、次の領域データの上記所定の処理を完了させることができる)。したがって、N個の領域データそれぞれの所定の処理に要する処理時間が領域データ1個あたりtoであり、またそれぞれのプリンタへの送信に要する送信時間が領域データ1個あたりtsであったとすると、N個の領域データすべてに対する上記所定の処理及び送信に要する全所要時間は、
to+(N−1)to=to×N (但しto>tsの場合)
若しくは、
to+(N−1)ts (但しto<tsの場合)
となる。
【0010】
したがって、N個の領域データすべての上記所定の処理の完了を待ってから、それらをプリンタへ送信する場合に必要な全所要時間、
to×N+ts×N
よりも、全所要時間を大きく短縮することができる。
【0011】
また、上記のように、1つの領域データの上記所定の処理が完了して次の領域データの処理が行われている間に、上記処理が完了した領域データはプリンタへ送信され、送信完了後はそのデータはメモリから削除され、メモリが空き状態となる。上記次の領域データの上記所定の処理が完了したら、上記空き状態となったメモリに対して記憶される。これを繰り返すことで、複数の領域データの処理及び送信が行われることから、第2記憶処理手順においてメモリに必要な容量は、上記1個の領域データの分だけで足りることとなる。したがって、N個の領域データすべてについて所定の処理が終わるごとにメモリに記憶しておきすべての領域データの記憶が終わってからプリンタへ送信する場合(N個の領域データ分のメモリ容量が必要)や、N個への分割を行わずに画像データ全体に対し1度に所定の処理が行われる場合(N個の領域データと同等のメモリ容量が必要)に比べて、当該所定の処理及びその後の送信を実行するために必要なメモリ容量を大きく低減することができる。
【0012】
また、上記所定の処理を行う際には、ディザ処理により二値イメージデータとした後、例えばLossLess圧縮方式等の適宜の方式により圧縮を行うことで、データ量を減らすことができる。この圧縮では、例えば、画像データ上、隣接して連続する複数のバイトにおいて同一の値が繰り返される場合に、繰り返される値自体を1バイトのデータ部で記述し、その繰り替えし数を1バイトの制御部で記述することで、合計2バイトの消費に抑制する方式等が用いられる。このような圧縮方式では、各バイトのデータ値は両隣りのバイトにおけるデータ値によって規定されることから、画像データのデータ領域の端部に位置するバイトでは(一方側に隣接するバイトにはデータが存在するが他方側にはデータが存在しないことから)上記圧縮処理によって精度の悪いデータとなる可能性が高い。本願第1発明のように複数個の領域データに分割して圧縮を行う場合、そのままでは、各領域データの端部付近のデータが上記の理由で劣化し、プリンタ側で複数個の領域データを用いてもとの画像データを再現して印刷する際、当該上記劣化したデータによって各領域データの境界に不連続な模様や線が生じ、画質が悪くなる可能性がある。
【0013】
そこで本願第1発明では、データ分割手順で画像データを複数の領域データに分割する際、各領域データにおいて、隣接する他の領域データとの境界線近傍のデータについては当該他の領域データと重複するように(境界線近傍のデータが境界線を挟んだ一方側の領域データと他方側の領域データとの両方に二重に含まれるように)、画像データの分割が行われる。これにより、本来の領域データの端部のバイトにはその両側いずれにも隣接してバイトが存在することから、当該本来の領域データの端部のバイトのデータ値は、前述のようなデータの劣化は生じない(データ劣化が生じる見かけ上の各領域データの端部は、本来の領域データの端部とは異なる位置となる)。この結果、プリンタ側で上記のようにして分割されて送信されてきた複数個の領域データを用いてもとの画像データを再現する際も、劣化したデータによる画質の悪化を招くことなく、良好な印刷画質を得ることができる。
【0014】
以上のようにして、本願第1発明の画像データの処理方法によれば、操作端末におけるメモリ消費容量を抑制しつつ、迅速な処理時間で、良好な画質での画像データの印刷を行うことができる。
【0015】
第2発明は、上記第1発明において、前記第1記憶処理手順では、前記処理対象の画像データとして、モノクロの画像データを取得して記憶し、前記データ処理手順では、前記所定の処理として、モノクロの前記複数の領域データのそれぞれに対するディザ処理、及び、圧縮処理を順次行うことを特徴とする。
【0016】
本願第2発明においては、モノクロの画像データに対してディザ処理による二値化データ化後に圧縮処理が行われる。前述のように、画像データの複数の領域データへの分割において隣接する領域データどうしの境界線近傍のデータを重複させることにより、上記圧縮処理時におけるデータ劣化を防止し、プリンタでのモノクロ印刷時における画質の低下を防止することができる。
【0017】
第3発明は、上記第2発明において、前記第1記憶処理手順では、前記処理対象の画像データとして、カラーの画像データを取得して記憶し、前記データ処理手順では、前記所定の処理として、カラーの前記複数の領域データのそれぞれに対しディザ処理を含む減色処理、及び、圧縮処理を順次行うことを特徴とする。
【0018】
本願第3発明においては、カラーの画像データに対してディザ処理による二値化データ化及び減色処理の後に圧縮処理が行われる。前述のように、画像データの複数の領域データへの分割において隣接する領域データどうしの境界線近傍のデータを重複させることにより、上記圧縮処理時におけるデータ劣化を防止し、プリンタでのカラー印刷時における画質の低下を防止することができる。
【0019】
上記目的を達成するために、第4の発明は、プリンタに接続可能な操作端末の制御手段に対し、処理対象の画像データを取得してメモリに記憶する第1記憶処理手順と、前記第1記憶処理手順で前記メモリに記憶された画像データを、互いの境界線近傍を一部重複するようにしつつ複数の領域データに分割する、データ分割手順と、前記データ分割手順での分割により生成される前記複数の領域データのそれぞれに対し、前記プリンタの機能に対応したデータ量へ減容するための所定の処理を順次行う、データ処理手順と、前記データ処理手順での処理が終了した1つの前記領域データをメモリに記憶する第2記憶処理手順と、前記第2記憶処理手順でメモリに記憶された前記1つの領域データを読み出して、プリンタへ送信するデータ送信手順と、前記データ送信手順で前記プリンタへ送信された前記1つの領域データを、前記メモリから削除するデータ削除手順と、を実行させ、かつ、前記複数の領域データのそれぞれについて前記データ処理手順での処理が順次終了するごとに、前記第2記憶処理手順、前記データ送信手順、及び前記データ削除手順を繰り返すことにより、前記第1記憶処理手順で記憶した前記画像データに対応する前記複数の領域データの、前記プリンタへの送信を実行させる。
【0020】
本願第4発明のプログラムを実行する操作端末は、画像データをプリンタへ送信し、プリンタによって当該画像データの印刷が行われる。操作端末の制御手段が画像データ処理プログラムを実行することで、まず第1記憶処理手順において、処理対象の画像データが取得され、メモリに記憶される。その後、データ分割手順において、上記メモリに記憶された画像データが複数の領域データに分割される。その後、データ処理手順において、上記複数の領域データのそれぞれに対し、プリンタの機能に対応したデータ量へ減容する所定の処理、例えばモノクロ画像データに対するディザ処理、カラー画像データに対するディザ処理及び減色処理の後の、圧縮処理等が行われる。そして、上記複数の領域データについて上記データ処理手順で上記所定の処理が順次行われていくとき、1つの領域データについての処理が終了する都度、当該1つの領域データに対し、第2記憶処理手順、データ送信手順、データ削除手順が行われる。これにより、1つの領域データの上記所定の処理が完了して次の領域データの処理が行われている間に、上記処理が完了した領域データをプリンタへ送信することができる(あるいは、1つの領域データの送信が行われている間に、次の領域データの上記所定の処理を完了させることができる)。したがって、N個の領域データすべての上記所定の処理の完了を待ってから、それらをプリンタへ送信する場合よりも、全所要時間を大きく短縮することができる。
【0021】
また、上記のように、1つの領域データの上記所定の処理が完了して次の領域データの処理が行われている間に、上記処理が完了した領域データはプリンタへ送信され、送信完了後はそのデータはメモリから削除され、メモリが空き状態となる。これにより、第2記憶処理手順においてメモリに必要な容量は、上記1個の領域データの分だけで足りる。したがって、所定の処理及びその後の送信を実行するために必要なメモリ容量を大きく低減することができる。
【0022】
また、データ分割手順で画像データを複数の領域データに分割する際、各領域データにおいて、隣接する他の領域データとの境界線近傍のデータについては当該他の領域データと重複するように、画像データの分割が行われる。これにより、上記同様、プリンタ側で複数個の領域データを用いてもとの画像データを再現する際も、劣化したデータによる画質の悪化を招くことなく、良好な印刷画質を得ることができる。
【0023】
以上のようにして、本願第4発明によっても、操作端末におけるメモリ消費容量を抑制しつつ、迅速な処理時間で、良好な画質での画像データの印刷を行うことができる。
【0024】
上記目的を達成するために、第5の発明は、プリンタに接続可能な操作端末の制御手段に対し、処理対象の画像データを取得してメモリに記憶する第1記憶処理手順と、前記第1記憶処理手順で前記メモリに記憶された画像データを、互いの境界線近傍を一部重複するようにしつつ複数の領域データに分割する、データ分割手順と、前記データ分割手順での分割により生成される前記複数の領域データのそれぞれに対し、前記プリンタの機能に対応したデータ量へ減容するための所定の処理を順次行う、データ処理手順と、前記データ処理手順での処理が終了した1つの前記領域データをメモリに記憶する第2記憶処理手順と、前記第2記憶処理手順でメモリに記憶された前記1つの領域データを読み出して、プリンタへ送信するデータ送信手順と、前記データ送信手順で前記プリンタへ送信された前記1つの領域データを、前記メモリから削除するデータ削除手順とを、実行させるとともに、前記複数の領域データのそれぞれについて前記データ処理手順での処理が順次終了するごとに、前記第2記憶処理手順、前記データ送信手順、及び前記データ削除手順を繰り返すことにより、前記第1記憶処理手順で記憶した前記画像データに対応する前記複数の領域データの、前記プリンタへの送信を実行させるための、画像データ処理プログラムを記録する。
【0025】
本願第5発明の記録媒体からプログラムを読み出して実行する操作端末は、画像データをプリンタへ送信し、プリンタによって当該画像データの印刷が行われる。操作端末の制御手段が上記読み出した画像データ処理プログラムを実行することで、まず第1記憶処理手順において、処理対象の画像データが取得され、メモリに記憶される。その後、データ分割手順において、上記メモリに記憶された画像データが複数の領域データに分割される。その後、データ処理手順において、上記複数の領域データのそれぞれに対し、プリンタの機能に対応したデータ量へ減容する所定の処理、例えばモノクロ画像データに対するディザ処理、カラー画像データに対するディザ処理及び減色処理の後の、圧縮処理等が行われる。そして、上記複数の領域データについて上記データ処理手順で上記所定の処理が順次行われていくとき、1つの領域データについての処理が終了する都度、当該1つの領域データに対し、第2記憶処理手順、データ送信手順、データ削除手順が行われる。これにより、1つの領域データの上記所定の処理が完了して次の領域データの処理が行われている間に、上記処理が完了した領域データをプリンタへ送信することができる(あるいは、1つの領域データの送信が行われている間に、次の領域データの上記所定の処理を完了させることができる)。したがって、N個の領域データすべての上記所定の処理の完了を待ってから、それらをプリンタへ送信する場合よりも、全所要時間を大きく短縮することができる。
【0026】
また、上記のように、1つの領域データの上記所定の処理が完了して次の領域データの処理が行われている間に、上記処理が完了した領域データはプリンタへ送信され、送信完了後はそのデータはメモリから削除され、メモリが空き状態となる。これにより、第2記憶処理手順においてメモリに必要な容量は、上記1個の領域データの分だけで足りる。したがって、所定の処理及びその後の送信を実行するために必要なメモリ容量を大きく低減することができる。
【0027】
また、データ分割手順で画像データを複数の領域データに分割する際、各領域データにおいて、隣接する他の領域データとの境界線近傍のデータについては当該他の領域データと重複するように、画像データの分割が行われる。これにより、上記同様、プリンタ側で複数個の領域データを用いてもとの画像データを再現する際も、劣化したデータによる画質の悪化を招くことなく、良好な印刷画質を得ることができる。
【0028】
以上のようにして、本願第5発明によっても、操作端末におけるメモリ消費容量を抑制しつつ、迅速な処理時間で、良好な画質での画像データの印刷を行うことができる。
【0029】
上記目的を達成するために、第6の発明は、画像データの印刷を行うプリンタと、前記プリンタに対し画像データを送信可能な操作端末とを有する、画像データの印刷システムであって、前記操作端末は、処理対象の画像データを取得してメモリに記憶する第1記憶処理手段と、前記第1記憶処理手段により前記メモリに記憶された画像データを、互いの境界線近傍を一部重複するようにしつつ複数の領域データに分割する、データ分割手段と、前記データ分割手段の分割により生成される前記複数の領域データのそれぞれに対し、前記プリンタの機能に対応したデータ量へ減容するための所定の処理を順次行う、データ処理手段と、前記データ処理手段による処理が終了した1つの前記領域データをメモリに記憶する第2記憶処理手段と、前記第2記憶処理手段によりメモリに記憶された前記1つの領域データを読み出して、プリンタへ送信するデータ送信手段と、前記データ送信手段により前記プリンタへ送信された前記1つの領域データを、前記メモリから削除するデータ削除手段と、を有し、前記複数の領域データのそれぞれについて前記データ処理手段の処理が順次終了するごとに、前記第2記憶処理手段による記憶処理、前記データ送信手段による送信処理、及び前記データ削除手段による削除処理を繰り返すことにより、前記第1記憶処理手段が前記メモリに記憶した前記画像データに対応する前記複数の領域データの、前記プリンタへの送信を実行し、前記プリンタは、被印刷媒体に対し、所望の印刷を行う印刷ヘッドと、前記操作端末より順次送信された、複数の領域データのそれぞれを受信して取得するデータ受信手段と、前記データ受信手段により受信された前記複数の領域データを用いて、前記処理対象の画像データの印刷を実行するように前記印刷ヘッドを制御する、印刷制御手段とを有することを特徴とする。
【0030】
本願第6発明の画像データ印刷システムでは、操作端末が画像データをプリンタへ送信し、プリンタによって当該画像データの印刷が行われる。すなわち、操作端末の第1記憶処理手段が、処理対象の画像データを取得し、メモリに記憶する。その後、データ分割手段が、上記メモリに記憶された画像データを複数の領域データに分割する。その後、データ処理手段が、上記複数の領域データのそれぞれに対し、プリンタの機能に対応したデータ量へ減容する所定の処理、例えばモノクロ画像データに対するディザ処理、カラー画像データに対するディザ処理及び減色処理の後の、圧縮処理等を行う。そして、上記複数の領域データについて上記データ処理手段が上記所定の処理を順次行っていくとき、1つの領域データについての処理が終了する都度、当該1つの領域データに対し、第2記憶処理手段による記憶処理、データ送信手段による送信処理、データ削除手段による削除処理が行われる。これにより、1つの領域データの上記所定の処理が完了して次の領域データの処理が行われている間に、上記処理が完了した領域データをプリンタへ送信することができる(あるいは、1つの領域データの送信が行われている間に、次の領域データの上記所定の処理を完了させることができる)。したがって、N個の領域データすべての上記所定の処理の完了を待ってから、それらをプリンタへ送信する場合よりも、全所要時間を大きく短縮することができる。
【0031】
また、上記のように、1つの領域データの上記所定の処理が完了して次の領域データの処理が行われている間に、上記処理が完了した領域データはプリンタへ送信され、送信完了後はそのデータはメモリから削除され、メモリが空き状態となる。これにより、第2記憶処理手段の処理においてメモリに必要な容量は、上記1個の領域データの分だけで足りる。したがって、所定の処理及びその後の送信を実行するために必要なメモリ容量を大きく低減することができる。
【0032】
また、データ分割手段が画像データを複数の領域データに分割する際、各領域データにおいて、隣接する他の領域データとの境界線近傍のデータについては当該他の領域データと重複するように、画像データの分割が行われる。これにより、プリンタのデータ受信手段が受信した複数個の領域データを用いて、印刷制御手段の制御により印刷ヘッドがもとの画像データを再現して印刷する際に、上記同様、劣化したデータによる画質の悪化を招くことなく、良好な印刷画質を得ることができる。
【0033】
以上のようにして、本願第6発明によっても、操作端末におけるメモリ消費容量を抑制しつつ、迅速な処理時間で、プリンタにおいて良好な画質での画像データの印刷を行うことができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、メモリ消費容量を抑制しつつ、良好な印刷画質を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態の画像データ処理方法を実行する印刷システムの全体を表すシステム構成図である。
【図2】携帯型プリンタの外観構成を表す斜視図である。
【図3】携帯型プリンタの内部構造を表す図2中III−III断面による側断面図である。
【図4】携帯型プリンタ及び携帯端末の機能構成を表すブロック図である。
【図5】携帯端末内における処理制御上の機能的構成の一例を表すブロック図である。
【図6】比較例による画像データ処理の流れを概念的に説明する図である。
【図7】携帯端末のCPUによって実行される画像データ処理の流れを概念的に説明する図である。
【図8】バイト幅単位のディザ法を用い二値化を行う方法を説明するための図である。
【図9】携帯端末のCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図10】携帯端末のCPUによって実行されるプロセスの一部を概念的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0037】
図1は、本実施形態の画像データ処理方法を実行する印刷システム全体を表すシステム構成図である。
【0038】
図1において、印刷システムPSは、画像データ(後述の図6参照)の印刷を行う携帯型プリンタ(プリンタ)100と、携帯型プリンタ100に対し上記画像データを送信可能な携帯端末(操作端末)300とを有している。携帯型プリンタ100と携帯端末300とは、この例では無線通信(有線通信でもよい)により情報送受信可能に接続されている。なお、携帯端末300の代わりに一般に市販されている汎用パーソナルコンピュータ等の操作端末を使用してもよい。
【0039】
図2を用いて、上記携帯型プリンタ100の外観構成について説明する。
【0040】
図2において、携帯型プリンタ100は、全体が略直方体形状に形成されたハウジング102を備えている。ハウジング102の図中奥側の上面にカバー部材103が開閉可能に設けられている。印刷時には、このカバー部材103の隙間(図示せず)に被印刷用紙(被印刷媒体。後述の図4参照)が挿通される。図2中においてハウジング102の手前側に位置する側面は、当該携帯型プリンタ100の背面部分に相当し、この背面部分にはバッテリ室カバー104が着脱可能に設けられている。バッテリ室カバー104を取り外した状態では、バッテリ収納室105がハウジング102の背面部分に開口する。
【0041】
図3を用いて、携帯型プリンタ100の内部構造について説明する。
【0042】
図3において、ハウジング102は、トップカバー121、アンダーカバー131、及び2つのサイドカバー(図示省略)で構成されている。ハウジング102内には、プラテンローラ111とサーマルラインヘッド112とが設けられている。ハウジング102の背面部分に開口(図2参照)可能な上記バッテリ収納室105には、略棒状の上記バッテリ電源107が収容される。
【0043】
プラテンローラ111は、ハウジング102の内部で回転自在に支持されており、上記バッテリ電源から供給される電力を駆動源とする図示しない駆動機構により回転駆動されることで、上記被印刷用紙を搬送する。サーマルラインヘッド112は、上記プラテンローラ111に接離自在に設置されており、印刷時にはプラテンローラ111に所定の圧接力で接触し、その間に挿通された被印刷用紙に所望の印刷を行う。
【0044】
通常の場合は、カバー部材103を閉じた状態で隙間の搬送路に被印刷用紙を挿通することで、プラテンローラ111により被印刷用紙が搬送され、当該被印刷用紙に対しサーマルラインヘッド112によって所望の印刷が行われる。なお、紙詰まりを取り除くには、カバー部材103を開けた状態にする。この時、サーマルラインヘッド112からプラテンローラ111がリリースされるため、容易に用紙を引き出すことが可能になる。
【0045】
図4を用いて、携帯型プリンタ100及び携帯端末300の機能構成を説明する。
【0046】
図4において、携帯端末300は、例えば一般に市販されている汎用の携帯電話機やモバイル端末等であり、CPU303と、例えばRAMやROM等からなるメモリ304と、使用者からの指示や情報が入力されるキー等の操作部302と、各種画像情報やメッセージ情報等を表示する液晶ディスプレイ等からなる表示部301と、ハードディスク装置等からなり上記した各種情報を記憶する大容量記憶装置305と、無線通信(又は有線通信でもよい)を介して携帯型プリンタ100との情報送受信の制御を行う通信制御部306とを備えている。無線通信が行われる場合には通信制御部306には無線通信用のアンテナが含まれる。CPU303は、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによって携帯型プリンタ100との間で各種の指示信号・情報信号の送受を行うようになっている。
【0047】
携帯型プリンタ100は、被印刷用紙Sに所望の印刷を行う上記サーマルラインヘッド112と、上記プラテンローラ111と、制御回路141と、上記携帯端末300との間で行われる通信の制御を行う通信制御部142とを備えている。無線通信が行われる場合には通信制御部142には、上記同様、無線通信用のアンテナが含まれる。
【0048】
上記構成において、携帯型プリンタ100で画像データを印刷する際には、操作者は携帯端末300において起動されているアプリケーションを用いつつ、操作部302より所望の操作を行うことにより、被印刷用紙Sの表面に印刷する画像データを指定する。これにより、携帯端末300から携帯型プリンタ100に指定された画像データが送信され、携帯型プリンタ100の制御回路141の制御により、上記画像データに基づいたサーマルラインヘッド112による印刷が行われる。
【0049】
図5を用いて、携帯端末300内における処理制御上の機能的構成について説明する。
【0050】
図5において、携帯端末300の上記メモリ304上に、少なくとも1つのアプリケーションプログラムAPと、プリンタドライバPDのそれぞれのプログラムが展開して起動しており、相互に指示信号と情報信号を送受信可能となっている。そしてアプリケーションプログラムAPはプリンタドライバPDに対して信号を送受し、またプリンタドライバPDは上記通信制御部306及び通信制御部142同士の通信を介して携帯型プリンタ100と信号を送受信するようになっている。
【0051】
これらアプリケーションプログラムAPとプリンタドライバPDは、いずれも携帯端末300が備える一つのCPU303によって実行されるものであるが、例えばタイムシェアリングシステム(TSS)などの時分割での割り込み制御によってそれぞれ個別に独立して実行されるものとなっている。またプリンタドライバPDについては、携帯端末300の基本OSに予め組み込まれたものでもよいし、他のアプリケーションと同様にOS上で個別に起動されるプログラムであってもよい。
【0052】
ここで、アプリケーションプログラムAPとして適用される具体例としては、文書作成・管理用の文書管理用アプリケーションプログラムや、写真やイラスト等の画像作成・管理用の画像管理用アプリケーションプログラムなどがある。これらは、印刷の際に必要とされる各設定情報を設定するとともに、これら設定情報や画像データを含めた印刷開始指令をプリンタドライバPDに出力する。
【0053】
プリンタドライバPDは、アプリケーションプログラムAPから出力された画像データの印刷指令を受け付け、例えば大容量記憶装置305に記憶された関数を用いて対応するデータ形式に変換する。そして、携帯型プリンタ100に対してこの変換した画像データを送信する。携帯型プリンタ100は、プリンタドライバPDから入力された画像データに基づいて当該画像データの印刷を行う。
【0054】
以上の基本構成において、本実施形態の特徴は、携帯端末300が画像データを携帯型プリンタ100へ送信する際に行う、画像データ処理手順にある。すなわち、本実施形態では、携帯端末300が、画像データを複数個の領域データD1〜Dn(後述)に分割した後、データ量減容のための所定の処理を行い、携帯型プリンタ100へ送信する。特に、本実施形態では、上記画像データの分割の際、互いの境界線近傍を一部重複するようにしつつ複数の領域データに分割する。以下、その詳細を順を追って説明する。
【0055】
<比較例でのデータ処理>
本実施形態の比較例として、上記のような画像データの分割を行わずプリンタへ送信する場合の、データ処理の流れを図6に示す。比較の明確のため、本実施形態と同等の部分には同一の符号を付す。
【0056】
図6において、この比較例では、処理対象の画像データD(例えば10Mサイズのデータ容量とする)は、取得されてまずメモリ304に保存された後、データ量を減容する所定の処理が行われ、処理後のデータもメモリ304に保存される。この所定の処理として、例えば画像データDがモノクロの場合には、まず、二値イメージデータとするためのディザ処理が行われた後、適宜の方式により圧縮処理が行われ、中間ファイルFとしてメモリ304に再度記憶される。画像データDがカラーの場合には、上記ディザ処理と併せて、例えば24色を8色に減色する等の減色処理が行われた後、適宜の方式により圧縮処理が行われ、中間ファイルFとしてメモリ304に再度記憶される。なお、この例では圧縮率が0.5である場合を例に取り、上記10Mサイズのデータが5Mへと減容されている。その後、この中間ファイルFがメモリ304から読み出され、携帯型プリンタ100へ送信される。
【0057】
この比較例では、画像データD全体(すなわち10Mサイズ全体)に対し1度に処理が行われて中間ファイルFとしてメモリ304に記憶され、すべての画像データDの記憶が終わってから携帯型プリンタ100へ送信するので、メモリ304において比較的大きなメモリ容量が必要となる(上記の例では処理前データの10Mと処理後データの5M、併せて15Mのサイズが必要となる)。また、送信時には5Mのサイズのデータを送信するので、送信に要する全所要時間も長くなる。
【0058】
<実施形態のデータ処理の概要>
上記の比較例に対して、本実施形態の携帯端末のCPUによって実行される画像データ処理の流れを図7(a)に示す。図7(a)に示すように、本実施形態では、処理対象の画像データD(上記の例に沿い、10Mサイズのデータ容量とする)は、携帯端末300によって取得された後、まずメモリ304に保存される。その後、画像データDは、上記アプリケーションプログラムAPに基づいて実行されるCPU303の制御によって、まず複数の領域データD1,D2,D3,・・Dnに分割される。図示の例はn=10の場合であり、すなわち、それぞれが0.5Mサイズである10個の領域データD1,D2,D3,・・D10に分割される場合を、例に取って示している。そして、それら複数の領域データD1,D2,D3,・・Dnのそれぞれ(以下適宜、各領域データを個別に指すときには単に「領域データDn等」という)に対し、上記同様の、データ量へ減容する所定の処理、すなわちモノクロの領域データDn等に対するディザ処理や、カラーの領域データDn等に対するディザ処理及び減色処理、が行われる。そしてそれら所定の処理が行われた各領域データDn等について上記同様の圧縮処理が行われ、中間ファイルF1,F2,F3,・・Fn(以下適宜、各中間ファイルを個別に指すときには単に「中間ファイルFn等」という)として、それぞれメモリ304に再度記憶される。なお、この例では、上記同様圧縮率が0.5である場合を例に取り、上記1Mサイズの各領域データDn等は0.5Mの各中間ファイルFn等へとそれぞれ減容されている。その後、メモリ304に記憶された各中間ファイルFn等は個別に再度読み出され、携帯型プリンタ100へ送信される。
【0059】
<データ圧縮の詳細>
上記した本実施形態の圧縮処理について、さらに詳細に説明する。本実施形態においては、上記したように分割された複数の領域データD1,D2,D3,・・Dnは、ディザ処理により二値イメージデータとした後、適宜の方式により圧縮を行うことで、データ量を減らすことができる。
【0060】
本実施形態においては、上記の圧縮方式として、例えば、LossLess圧縮方式(バイトランレングス圧縮法、パックビッツ圧縮法等)を用いる。すなわち、例えば、画像データD上、隣接して連続する複数のバイトにおいて同一の値が繰り返される場合に、繰り返される値自体を1バイトのデータ部で記述し、その繰り替えし数を1バイトの制御部で記述することで、合計2バイトの消費に抑制する方式である。構造が単純なためエンコード、デコードともにソフトウェアで行っても高速で行うことができる。
【0061】
バイトランレングス圧縮法は、データを、出現回数を指定する制御部(1バイト)と、出現するデータを記述するデータ部(1バイト)の合計2バイトを1単位として記述し、制御部には連続して出現する回数を256回まで指定でき、”出現回数−1”の値を記述する方法である。
【0062】
またパックビッツ圧縮法は、データを、出現回数を指定する制御部(1バイト)と、出現するデータを記述するデータ部(1バイト)の合計2バイトを単位として記述し、制御部には連続して出現する回数を128回まで指定でき、”(出現回数−1)×(−1)”の値を記述する。繰り返しのないデータ(1回だけ出現するデータ)は、制御部に繰り返しのないデータのバイト数を”(出現回数−1)”の値を記述する方法である。
【0063】
<ディザ法の詳細>
そして、本実施形態においてはさらに、バイトランレングス、パックビッツ圧縮法の圧縮率を上げるために、二値化手法として、バイト幅単位のディザ法を用いる。このディザ法の詳細を図8を用いて説明する。
【0064】
本実施形態のディザ法では、例えば、図8(a)に示すように、1バイト幅単位の8×8のディザマトリクス400のテーブルをページの1面に張り詰め、対応するピクセルの階調値の方が大きい場合はONピクセルにする。例えば、1面の濃度が55であるイメージを図8(a)のディザマトリクス400で二値化すると、図8(b)の下部に示すように、スキャンライン単位で同一の値が連続するデータ401となる。したがって、上述したLossLess圧縮方式のように、繰り返される値自体を1バイトのデータ部で記述し、繰り替えし数を1バイトの制御部で記述する方式を適用すると、非常に大きな圧縮率を得ることができるので、有効である。この結果、例えばDTPソフトウェア、Drawソフトウェアで作成した、広い区域が同一色で塗られたようなデータは高圧縮率を得ることができる。
【0065】
<境界線処理>
ところで、上記のような圧縮方式を用いる場合、前述したように、各バイトのデータ値は両隣りのバイトにおけるデータ値によって規定されることから、データ領域の端部に位置するバイトでは(一方側に隣接するバイトにはデータが存在するが他方側にはデータが存在しないことから)上記圧縮処理によって精度の悪いデータとなる可能性が高い。つまり図7(a)に示すように複数個の領域データに分割して圧縮を行う場合、そのままでは、各領域データの端部付近のデータが上記の理由で劣化し、携帯型プリンタ100側で複数個の領域データを用いてもとの画像データDを再現して印刷する際、上記劣化したデータによって各領域データの境界に不連続な模様や線が生じ、画質が悪くなる可能性がある。
【0066】
そこで本実施形態では、図7(b)に示すように、画像データDを複数の領域データD1,D2,D3,・・Dnに分割する際には、それぞれの領域データにおいて隣接する他の領域データとの境界線近傍のデータについては当該他の領域データと重複(図7(b)において重複部分をdwで示す)するように、すなわち境界線近傍のデータが境界線を挟んだ一方側の領域データと他方側の領域データとの両方に二重に含まれるように、画像データDの領域データD1〜Dnへの分割が行われる。すなわち、領域データD1には、次の領域データD2と共通する重複部分dw12が含まれ、領域データD2には、前の領域データD1と共通する重複部分dw12と、次の領域データD3と共通する重複部分dw23とが、含まれる。以下同様に、領域データD3には、前の領域データD2と共通する重複部分dw23と次の領域データD4と共通する重複部分dw34とが含まれ、領域データD4には、前の領域データD3と共通する重複部分dw34と次の領域データD5と共通する重複部分dw45とが含まれ、領域データD5には、前の領域データD4と共通する重複部分dw45と次の領域データD6と共通する重複部分dw56とが含まれ、領域データD6には、前の領域データD5と共通する重複部分dw56と次の領域データD7と共通する重複部分dw67とが含まれ、領域データD7には、前の領域データD6と共通する重複部分dw67と次の領域データD8と共通する重複部分dw78とが含まれ、領域データD8には、前の領域データD7と共通する重複部分dw78と次の領域データD9と共通する重複部分dw89とが含まれ、領域データD9には、前の領域データD8と共通する重複部分dw89と次の領域データD10と共通する重複部分dw910とが含まれる。そして、最後の領域データD10には、前の領域データD9と共通する重複部分dw910が含まれる。
【0067】
これにより、本来の領域データ(上記領域データD1〜Dnのうち上記重複部分dwを除いた部分)の端部(図中d*で示す)のバイトにはその両側いずれにも隣接してバイト(重複部分dwに属するバイト)が存在することから、当該本来の領域データの端部d*のバイトのデータ値は、前述のようなデータの劣化は生じない。すなわち、データ劣化が生じる見かけ上の各領域データD1〜Dnの端部は、上記重複部分dwがある分、本来の領域データの端部d*とは異なる位置となる。この結果、携帯型プリンタ100側で上記のようにして分割されて送信されてきた複数個の領域データD1,D2,D3,・・Dnを用いてもとの画像データDを再現する際も、劣化したデータによる画質の悪化を招くことなく、良好な印刷画質を得ることができる。
【0068】
以上説明した処理を実行するために、携帯端末300のCPU303(制御手段)によって実行される制御手順を、図9のフローチャートにより説明する。なお、この制御手順は、例えばメモリ304のROM(記録媒体)に記録された画像処理プログラムをCPU303が読み出すことによって、実行される。
【0069】
ユーザが携帯端末300の操作部302を適宜に操作することによって、図9のフローが開始される。
【0070】
まず、ステップS10で、CPU303は、処理対象となる画像データDを取得する。例えば、携帯端末300に別途備えられた例えばCCDカメラ等によって撮影されたカラー画像データや、ネットワーク通信を介して所望のホームページからダウンロードされたモノクロ画像データやカラー画像データ等)が、CPU303によって取得される。そして、CPU303は、この取得した画像データDをメモリ304の上記RAMに記憶する。なお、このステップS10が各請求項に記載の第1記憶処理手順に相当するとともに、第1記憶処理手段として機能する。
【0071】
その後、ステップS20で、CPU303は、メモリ304に記憶された画像データDを、図7(b)に示したように互いの境界線近傍を一部重複(図7(b)中の重複部分dw参照)するようにしつつ複数の領域データD1,D2,D3,・・Dnに分割する。図7(a)、図7(b)に示した例では、10Mサイズの1つの画像データDが各0.5Mサイズの10個の領域データD1,D2,D3,・・D10に分割される。なお、このステップS20がデータ分割手順に相当するとともに、データ分割手段として機能する。
【0072】
そして、ステップS30で、CPU303は、上記のデータ分割により生成される複数の領域データD1,D2,D3,・・Dnのそれぞれに対し、携帯型プリンタ100の機能に対応したデータ量へ減容するための所定の処理を順次行う。すなわち、CPU303は、上述したように、画像データDがモノクロデータであった場合にはディザ処理を行って各領域データDn等を二値イメージータとし、画像データDがカラーデータであった場合にはディザ処理及び減色処理により各領域データDn等を二値イメージータとする。そして、CPU303は、当該二値イメージデータに対し、前述したような例えばLossLess圧縮方式等の適宜の方式によって圧縮を行う。なお、このステップS30がデータ処理手順に相当するとともに、データ処理手段として機能する。
【0073】
その後、ステップS40で、CPU303は、上記ステップS30でのデータ処理が終了した1つの領域データDn等を1つの中間ファイルFn等としてメモリ304に記憶する。なお、このステップS40が各請求項に記載の第2記憶処理手順に相当するとともに、第2記憶処理手段として機能する。
【0074】
そして、ステップS50で、CPU303は、メモリ304に記憶された1つの領域データDn等の中間ファイルDn等を読み出し、通信制御部306を介して携帯型プリンタ100の通信制御部142への送信を開始する。なお、このステップS50が各請求項に記載のデータ送信手順に相当するとともに、データ送信手段として機能する。
【0075】
その後、ステップS60で、CPU303は、携帯型プリンタ100へ送信した1つの領域データDn等を、上記メモリ304から削除する。なお、ステップS60は各請求項に記載のデータ削除手順に相当するとともに、データ削除手段として機能する。この削除処理によってメモリ304が空き状態となる。これにより、CPU303は、ステップS50で1つの領域データDn等の送信が行われている間に、次の領域データ等の上記所定の処理を完了させることができる。具体的には、例えば最初に領域データD1に対するステップS30のデータ処理、ステップS40の記憶処理が終了して、ステップS50のデータ送信が開始されると、ステップS60でメモリ403が空き状態となる。したがって、ステップS50で開始された領域データD1(詳細には対応する中間ファイルF1。以下同様)の携帯型プリンタ100への送信が終了するより前に、次の領域データD2に対するステップS30のデータ処理、ステップS40の記憶処理が終了している場合には、CPU303は、上記空き状態となったメモリ403へ領域データD2(詳細には対応する中間ファイルF2)を記憶する。そして、上記領域データF1の送信が完了したら、CPU303は、メモリ403から領域データD2を読み出してステップS50で送信を開始する。
【0076】
以下同様に、CPU303は、領域データD2の送信終了より前にメモリ403へ次の領域データD3を記憶し、領域データD2の送信が終了したらメモリ403から領域データD3を読み出して送信開始し、領域データD3の送信終了より前にメモリ403へ次の領域データD4を記憶し、領域データD3の送信が終了したらメモリ403から領域データD4を読み出して送信開始し、・・領域データD9の送信終了より前にメモリ403へ次の領域データD10を記憶し、領域データD9の送信が終了したらメモリ403から領域データD10を読み出して送信開始する。
【0077】
以上のようにして、本実施形態では、上記のように分割された複数の領域データD1,D2,D3,・・D10のそれぞれについてステップS30のデータ処理が順次終了するごとに、ステップS40の記憶処理、ステップS50のデータ送信、及びステップS60のデータ削除を繰り返し、画像データDに対応する10個の領域データD1,D2,D3,・・D10の、(中間ファイルF1,F2,F3,・・F10の形式を介した)携帯型プリンタ100への送信を実行する。
【0078】
上記ステップS50により順次送られてきた、10個の領域データD1,D2,D3,・・D10にそれぞれ対応した中間ファイルF1,F2,F3,・・F10は、携帯型プリンタ100の通信制御部142を介して制御回路141で受信され、取得される(データ受信手段としての機能)。そして、制御回路141は、上記中間ファイルF1,F2,F3,・・F10を用いた公知の手法による合成処理を行って画像データDを1つのデータとして復元し、これを用いてサーマルヘッド111を制御する(印刷制御手段としての機能)。これによって、サーマルヘッド111により、被印刷用紙Sに対し上記復元した画像データDの印刷が行われる。
【0079】
以上説明したように、本実施形態の画像データ処理方法を実行する印刷システムPSにおいては、処理対象の画像データDが複数の領域データD1,D2,D3,・・Dnに分割された後、各領域データDn等に対し、ディザ処理及び圧縮処理(画像データDがカラーであった場合にはディザ処理、減色処理、及び圧縮処理)等のデータ量減容のための所定の処理が行われる。
【0080】
その際、1つの領域データDn等についての上記処理の処理が終了する都度、当該1つの領域データDn等がメモリ304に記憶される(ステップS40)。その後、メモリ304に記憶された当該1つの領域データが読み出されて携帯型プリンタ100へ送信され(ステップS50)、送信完了後はその送信された領域データがメモリ304から削除される(ステップS60)。これにより、1つの領域データDn等の上記所定の処理が完了して次の領域データDn等の処理が行われている間に、上記処理が完了した領域データDn等を携帯型プリンタ100へ送信する(言い換えれば、1つの領域データDn等の送信が行われている間に、次の領域データDn等の上記所定の処理を完了させることができる)。具体例として、図10には、領域データD1の上記所定の処理が完了して次の領域データD2の処理が行われている間に、上記処理が完了した領域データD1に対応した中間ファイルF1を携帯型プリンタ100へ送信する(領域データD1の送信が行われている間に、次の領域データ2の上記所定の処理を完了させる)場合を例にとって示している。
【0081】
この場合に、例えば、N個(上記の例ではN=10。以下同様)の領域データそれぞれの上記所定の処理に要する処理時間が領域データ1個あたりtoであり、またそれぞれの携帯型プリンタ100への送信に要する送信時間が領域データ1個あたりtsであったとすると、N個の領域データすべてに対する上記所定の処理及び送信に要する全所要時間は、
to+(N−1)to=to×N (但しto>tsの場合)
若しくは、
to+(N−1)ts (但しto<tsの場合)
となる。したがって、N個の領域データすべての上記所定の処理の完了を待ってから、それらを携帯型プリンタ100へ送信する場合に必要な全所要時間、
to×N+ts×N
よりも、全所要時間を大きく短縮することができる。
【0082】
また、本実施形態の印刷システムPSにおいては、前述のように画像データDをN個に分割する際、図7(b)に示したように、各領域データDn等において隣接する他の領域データとの境界線近傍のデータについては当該他の領域データと重複(重複部分dw参照)するように、画像データDの分割が行われる。したがって、携帯型プリンタ100側で上記のようにして分割されて送信されてきた複数個の領域データD1〜Dnに対応した中間ファイルF1〜Fnを用いてもとの画像データDを再現する際も、劣化したデータによる画質の悪化を招くことなく、良好な印刷画質を得ることができる。
【0083】
また、本実施形態の印刷システムPSにおいては、上述したように、1つの領域データDn等の所定の処理が完了して次の領域データDn等の処理が行われている間に、上記処理が完了した領域データDn等は携帯型プリンタ100へ送信され、送信完了後はそのデータはメモリ304から削除され、上記次の領域データDn等の所定の処理が完了したら上記空き状態となったメモリ304に対して記憶される、という手順を繰り返す。このようにして、複数の領域データD1〜Dnに対する所定の処理及び送信が行われることから、メモリ304に必要な容量は、上記1個の領域データの分だけで足りることとなる。この結果、上記所定の処理及びその後の送信を実行するために必要なメモリ容量を大きく低減することができる。
【0084】
具体的には、上記図6及び図7の例に沿うと、本実施形態のメモリ304に必要なメモリ容量は、分割前の1つの画像データDのために必要なサイズ10Mと、10個に分割した領域データDn等のうち1つの領域データDn等(詳細にはこれに対応する中間ファイルFn等)のために必要なサイズ0.5Mの、合計10.5Mで足りることとなる(図7(a)参照)これに対して、上記図6の比較例のように、N個への分割を行わずに画像データD全体に対し1度に所定の処理が行われる場合には、処理前の1つの画像データDのために必要なサイズ10Mと、この画像データDを処理した中間ファイルFのために必要なサイズ5Mとの、合計15Mのサイズがメモリ304において必要となる。あるいは、N個の領域データD1〜Dnすべてについて所定の処理が終わるごとにメモリ304に記憶しておきすべての領域データの記憶が終わってから携帯型プリンタ100へ送信する場合も、上記比較例と同様、N個の領域データD1〜Dnの合計分のメモリ容量が必要となるので、上記図6の例に沿うと比較例と同等の15Mが必要となる。本実施形態では、これらの場合に比べて、携帯端末300におけるメモリ消費容量を抑制することができる。
【0085】
以上のようにして、本実施形態によれば、携帯端末300におけるメモリ消費容量を抑制しつつ、迅速な処理時間で、良好な画質での画像データの印刷を行うことができる。
【0086】
なお、以上において、図4、図5等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0087】
また、図9に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0088】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【符号の説明】
【0089】
100 携帯型プリンタ(プリンタ)
107 バッテリ電源
112 サーマルラインヘッド(印刷ヘッド)
300 携帯端末(操作端末)
305 大容量記憶装置
303 CPU(制御手段)
304 メモリ(記録媒体)
D 画像データ
Dn 領域データ
F 中間ファイル
Fn 中間ファイル
PS 印刷システム(画像データの印刷システム)
S 被印刷用紙(被印刷媒体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データをプリンタへ送信し印刷を実行する画像データの処理方法、画像データ処理プログラム、記録媒体、及び画像データの印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像データをプリンタへ送信し印刷する画像データの印刷システムが知られている。この印刷システムは、例えば、バッテリ電源により駆動可能な携帯型のプリンタと、携帯型の操作端末とを有している。操作端末は、無線通信によりプリンタに対し情報送受信可能に接続されており、プリンタは操作端末より受信した所望の画像データを印刷する。
【0003】
上記のように操作端末からプリンタへの画像データの送信に関し、使用するメモリ容量の低減を図った従来技術として、特許文献1記載のものがある。この従来技術では、操作端末は、画像データを、プリンタで処理可能な単位の大きさに分割するとともに、プリンタとの接続形態に基づきデータ転送レートを算出する。そして、操作端末は、算出した転送レートで転送した時におけるプリンタの排紙速度に間に合う圧縮率を求め、画像データを算出した圧縮率以下に圧縮してプリンタに出力する。これにより、印刷装置は、画像データの1ページ分のページメモリを持たなくても、当該画像データを確実に印刷することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−329393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術には以下の課題が存在する。すなわち、画像データを分割した後に圧縮する際、ディザ処理により二値イメージデータとした後、例えばLossLess圧縮方式等の適宜の方式により圧縮を行っている。この圧縮では、例えば、画像データ上、隣接して連続する複数のバイトにおいて同一の値が繰り返される場合に、繰り返される値自体を1バイトのデータ部で記述し、その繰り替えし数を1バイトの制御部で記述することで、合計2バイトの消費に抑制する方式等が用いられる。このような圧縮方式では、各バイトのデータ値は両隣りのバイトにおけるデータ値によって規定されることから、画像データのデータ領域の端部に位置するバイトでは(一方側に隣接するバイトにはデータが存在するが他方側にはデータが存在しないことから)上記圧縮処理によって精度の悪いデータとなる可能性が高い。前述のように画像データを複数個のデータに分割して圧縮を行う場合、そのままでは、各データの端部付近のデータが上記の理由で劣化し、プリンタ側で複数個のデータを用いてもとの画像データを再現して印刷する際、当該上記劣化したデータによって各領域データの境界に不連続な模様や線が生じ、画質が悪くなる可能性があった。
【0006】
本発明の目的は、メモリ消費容量を抑制しつつ、良好な印刷画質を確保できる画像データの処理方法、その方法を実行するための画像データ処理プログラム、そのプログラムを記録した記録媒体、及び画像データの印刷システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、画像データをプリンタへ送信し印刷を実行する操作端末の制御手段が実行する、画像データ処理方法であって、処理対象の画像データを取得してメモリに記憶する第1記憶処理手順と、前記第1記憶処理手順で前記メモリに記憶された画像データを、互いの境界線近傍を一部重複するようにしつつ複数の領域データに分割する、データ分割手順と、前記データ分割手順での分割により生成される前記複数の領域データのそれぞれに対し、前記プリンタの機能に対応したデータ量へ減容するための所定の処理を順次行う、データ処理手順と、前記データ処理手順での処理が終了した1つの前記領域データをメモリに記憶する第2記憶処理手順と、前記第2記憶処理手順でメモリに記憶された前記1つの領域データを読み出して、プリンタへ送信するデータ送信手順と、前記データ送信手順で前記プリンタへ送信された前記1つの領域データを、前記メモリから削除するデータ削除手順と、を有し、前記複数の領域データのそれぞれについて前記データ処理手順での処理が順次終了するごとに、前記第2記憶処理手順、前記データ送信手順、及び前記データ削除手順を繰り返すことにより、前記第1記憶処理手順で記憶した前記画像データに対応する前記複数の領域データの、前記プリンタへの送信を実行することを特徴とする。
【0008】
本願第1発明においては、操作端末が画像データをプリンタへ送信し、プリンタによって当該画像データの印刷が行われる。操作端末では、制御手段の制御によって、まず第1記憶処理手順において、処理対象の画像データが取得され、メモリに記憶される。その後、データ分割手順において、上記メモリに記憶された画像データが複数の領域データに分割される。その後、データ処理手順において、上記複数の領域データのそれぞれに対し、プリンタの機能に対応したデータ量へ減容する所定の処理、例えばモノクロ画像データに対するディザ処理、カラー画像データに対するディザ処理及び減色処理の後の、圧縮処理等が行われる。
【0009】
そして、本願第1発明では、複数の領域データについて上記データ処理手順で上記所定の処理が順次行われていくとき、1つの領域データについての処理が終了する都度、当該1つの領域データに対し、第2記憶処理手順、データ送信手順、データ削除手順が行われる。すなわち、第2記憶処理手順では、データ処理手順での処理が終了した当該1つの領域データがメモリに記憶される。その後、データ送信手順で、メモリに記憶された当該1つの領域データが読み出されてプリンタへ送信され、データ削除手順で、その送信された領域データをメモリから削除する。これにより、1つの領域データの上記所定の処理が完了して次の領域データの処理が行われている間に、上記処理が完了した領域データをプリンタへ送信することができる(あるいは、1つの領域データの送信が行われている間に、次の領域データの上記所定の処理を完了させることができる)。したがって、N個の領域データそれぞれの所定の処理に要する処理時間が領域データ1個あたりtoであり、またそれぞれのプリンタへの送信に要する送信時間が領域データ1個あたりtsであったとすると、N個の領域データすべてに対する上記所定の処理及び送信に要する全所要時間は、
to+(N−1)to=to×N (但しto>tsの場合)
若しくは、
to+(N−1)ts (但しto<tsの場合)
となる。
【0010】
したがって、N個の領域データすべての上記所定の処理の完了を待ってから、それらをプリンタへ送信する場合に必要な全所要時間、
to×N+ts×N
よりも、全所要時間を大きく短縮することができる。
【0011】
また、上記のように、1つの領域データの上記所定の処理が完了して次の領域データの処理が行われている間に、上記処理が完了した領域データはプリンタへ送信され、送信完了後はそのデータはメモリから削除され、メモリが空き状態となる。上記次の領域データの上記所定の処理が完了したら、上記空き状態となったメモリに対して記憶される。これを繰り返すことで、複数の領域データの処理及び送信が行われることから、第2記憶処理手順においてメモリに必要な容量は、上記1個の領域データの分だけで足りることとなる。したがって、N個の領域データすべてについて所定の処理が終わるごとにメモリに記憶しておきすべての領域データの記憶が終わってからプリンタへ送信する場合(N個の領域データ分のメモリ容量が必要)や、N個への分割を行わずに画像データ全体に対し1度に所定の処理が行われる場合(N個の領域データと同等のメモリ容量が必要)に比べて、当該所定の処理及びその後の送信を実行するために必要なメモリ容量を大きく低減することができる。
【0012】
また、上記所定の処理を行う際には、ディザ処理により二値イメージデータとした後、例えばLossLess圧縮方式等の適宜の方式により圧縮を行うことで、データ量を減らすことができる。この圧縮では、例えば、画像データ上、隣接して連続する複数のバイトにおいて同一の値が繰り返される場合に、繰り返される値自体を1バイトのデータ部で記述し、その繰り替えし数を1バイトの制御部で記述することで、合計2バイトの消費に抑制する方式等が用いられる。このような圧縮方式では、各バイトのデータ値は両隣りのバイトにおけるデータ値によって規定されることから、画像データのデータ領域の端部に位置するバイトでは(一方側に隣接するバイトにはデータが存在するが他方側にはデータが存在しないことから)上記圧縮処理によって精度の悪いデータとなる可能性が高い。本願第1発明のように複数個の領域データに分割して圧縮を行う場合、そのままでは、各領域データの端部付近のデータが上記の理由で劣化し、プリンタ側で複数個の領域データを用いてもとの画像データを再現して印刷する際、当該上記劣化したデータによって各領域データの境界に不連続な模様や線が生じ、画質が悪くなる可能性がある。
【0013】
そこで本願第1発明では、データ分割手順で画像データを複数の領域データに分割する際、各領域データにおいて、隣接する他の領域データとの境界線近傍のデータについては当該他の領域データと重複するように(境界線近傍のデータが境界線を挟んだ一方側の領域データと他方側の領域データとの両方に二重に含まれるように)、画像データの分割が行われる。これにより、本来の領域データの端部のバイトにはその両側いずれにも隣接してバイトが存在することから、当該本来の領域データの端部のバイトのデータ値は、前述のようなデータの劣化は生じない(データ劣化が生じる見かけ上の各領域データの端部は、本来の領域データの端部とは異なる位置となる)。この結果、プリンタ側で上記のようにして分割されて送信されてきた複数個の領域データを用いてもとの画像データを再現する際も、劣化したデータによる画質の悪化を招くことなく、良好な印刷画質を得ることができる。
【0014】
以上のようにして、本願第1発明の画像データの処理方法によれば、操作端末におけるメモリ消費容量を抑制しつつ、迅速な処理時間で、良好な画質での画像データの印刷を行うことができる。
【0015】
第2発明は、上記第1発明において、前記第1記憶処理手順では、前記処理対象の画像データとして、モノクロの画像データを取得して記憶し、前記データ処理手順では、前記所定の処理として、モノクロの前記複数の領域データのそれぞれに対するディザ処理、及び、圧縮処理を順次行うことを特徴とする。
【0016】
本願第2発明においては、モノクロの画像データに対してディザ処理による二値化データ化後に圧縮処理が行われる。前述のように、画像データの複数の領域データへの分割において隣接する領域データどうしの境界線近傍のデータを重複させることにより、上記圧縮処理時におけるデータ劣化を防止し、プリンタでのモノクロ印刷時における画質の低下を防止することができる。
【0017】
第3発明は、上記第2発明において、前記第1記憶処理手順では、前記処理対象の画像データとして、カラーの画像データを取得して記憶し、前記データ処理手順では、前記所定の処理として、カラーの前記複数の領域データのそれぞれに対しディザ処理を含む減色処理、及び、圧縮処理を順次行うことを特徴とする。
【0018】
本願第3発明においては、カラーの画像データに対してディザ処理による二値化データ化及び減色処理の後に圧縮処理が行われる。前述のように、画像データの複数の領域データへの分割において隣接する領域データどうしの境界線近傍のデータを重複させることにより、上記圧縮処理時におけるデータ劣化を防止し、プリンタでのカラー印刷時における画質の低下を防止することができる。
【0019】
上記目的を達成するために、第4の発明は、プリンタに接続可能な操作端末の制御手段に対し、処理対象の画像データを取得してメモリに記憶する第1記憶処理手順と、前記第1記憶処理手順で前記メモリに記憶された画像データを、互いの境界線近傍を一部重複するようにしつつ複数の領域データに分割する、データ分割手順と、前記データ分割手順での分割により生成される前記複数の領域データのそれぞれに対し、前記プリンタの機能に対応したデータ量へ減容するための所定の処理を順次行う、データ処理手順と、前記データ処理手順での処理が終了した1つの前記領域データをメモリに記憶する第2記憶処理手順と、前記第2記憶処理手順でメモリに記憶された前記1つの領域データを読み出して、プリンタへ送信するデータ送信手順と、前記データ送信手順で前記プリンタへ送信された前記1つの領域データを、前記メモリから削除するデータ削除手順と、を実行させ、かつ、前記複数の領域データのそれぞれについて前記データ処理手順での処理が順次終了するごとに、前記第2記憶処理手順、前記データ送信手順、及び前記データ削除手順を繰り返すことにより、前記第1記憶処理手順で記憶した前記画像データに対応する前記複数の領域データの、前記プリンタへの送信を実行させる。
【0020】
本願第4発明のプログラムを実行する操作端末は、画像データをプリンタへ送信し、プリンタによって当該画像データの印刷が行われる。操作端末の制御手段が画像データ処理プログラムを実行することで、まず第1記憶処理手順において、処理対象の画像データが取得され、メモリに記憶される。その後、データ分割手順において、上記メモリに記憶された画像データが複数の領域データに分割される。その後、データ処理手順において、上記複数の領域データのそれぞれに対し、プリンタの機能に対応したデータ量へ減容する所定の処理、例えばモノクロ画像データに対するディザ処理、カラー画像データに対するディザ処理及び減色処理の後の、圧縮処理等が行われる。そして、上記複数の領域データについて上記データ処理手順で上記所定の処理が順次行われていくとき、1つの領域データについての処理が終了する都度、当該1つの領域データに対し、第2記憶処理手順、データ送信手順、データ削除手順が行われる。これにより、1つの領域データの上記所定の処理が完了して次の領域データの処理が行われている間に、上記処理が完了した領域データをプリンタへ送信することができる(あるいは、1つの領域データの送信が行われている間に、次の領域データの上記所定の処理を完了させることができる)。したがって、N個の領域データすべての上記所定の処理の完了を待ってから、それらをプリンタへ送信する場合よりも、全所要時間を大きく短縮することができる。
【0021】
また、上記のように、1つの領域データの上記所定の処理が完了して次の領域データの処理が行われている間に、上記処理が完了した領域データはプリンタへ送信され、送信完了後はそのデータはメモリから削除され、メモリが空き状態となる。これにより、第2記憶処理手順においてメモリに必要な容量は、上記1個の領域データの分だけで足りる。したがって、所定の処理及びその後の送信を実行するために必要なメモリ容量を大きく低減することができる。
【0022】
また、データ分割手順で画像データを複数の領域データに分割する際、各領域データにおいて、隣接する他の領域データとの境界線近傍のデータについては当該他の領域データと重複するように、画像データの分割が行われる。これにより、上記同様、プリンタ側で複数個の領域データを用いてもとの画像データを再現する際も、劣化したデータによる画質の悪化を招くことなく、良好な印刷画質を得ることができる。
【0023】
以上のようにして、本願第4発明によっても、操作端末におけるメモリ消費容量を抑制しつつ、迅速な処理時間で、良好な画質での画像データの印刷を行うことができる。
【0024】
上記目的を達成するために、第5の発明は、プリンタに接続可能な操作端末の制御手段に対し、処理対象の画像データを取得してメモリに記憶する第1記憶処理手順と、前記第1記憶処理手順で前記メモリに記憶された画像データを、互いの境界線近傍を一部重複するようにしつつ複数の領域データに分割する、データ分割手順と、前記データ分割手順での分割により生成される前記複数の領域データのそれぞれに対し、前記プリンタの機能に対応したデータ量へ減容するための所定の処理を順次行う、データ処理手順と、前記データ処理手順での処理が終了した1つの前記領域データをメモリに記憶する第2記憶処理手順と、前記第2記憶処理手順でメモリに記憶された前記1つの領域データを読み出して、プリンタへ送信するデータ送信手順と、前記データ送信手順で前記プリンタへ送信された前記1つの領域データを、前記メモリから削除するデータ削除手順とを、実行させるとともに、前記複数の領域データのそれぞれについて前記データ処理手順での処理が順次終了するごとに、前記第2記憶処理手順、前記データ送信手順、及び前記データ削除手順を繰り返すことにより、前記第1記憶処理手順で記憶した前記画像データに対応する前記複数の領域データの、前記プリンタへの送信を実行させるための、画像データ処理プログラムを記録する。
【0025】
本願第5発明の記録媒体からプログラムを読み出して実行する操作端末は、画像データをプリンタへ送信し、プリンタによって当該画像データの印刷が行われる。操作端末の制御手段が上記読み出した画像データ処理プログラムを実行することで、まず第1記憶処理手順において、処理対象の画像データが取得され、メモリに記憶される。その後、データ分割手順において、上記メモリに記憶された画像データが複数の領域データに分割される。その後、データ処理手順において、上記複数の領域データのそれぞれに対し、プリンタの機能に対応したデータ量へ減容する所定の処理、例えばモノクロ画像データに対するディザ処理、カラー画像データに対するディザ処理及び減色処理の後の、圧縮処理等が行われる。そして、上記複数の領域データについて上記データ処理手順で上記所定の処理が順次行われていくとき、1つの領域データについての処理が終了する都度、当該1つの領域データに対し、第2記憶処理手順、データ送信手順、データ削除手順が行われる。これにより、1つの領域データの上記所定の処理が完了して次の領域データの処理が行われている間に、上記処理が完了した領域データをプリンタへ送信することができる(あるいは、1つの領域データの送信が行われている間に、次の領域データの上記所定の処理を完了させることができる)。したがって、N個の領域データすべての上記所定の処理の完了を待ってから、それらをプリンタへ送信する場合よりも、全所要時間を大きく短縮することができる。
【0026】
また、上記のように、1つの領域データの上記所定の処理が完了して次の領域データの処理が行われている間に、上記処理が完了した領域データはプリンタへ送信され、送信完了後はそのデータはメモリから削除され、メモリが空き状態となる。これにより、第2記憶処理手順においてメモリに必要な容量は、上記1個の領域データの分だけで足りる。したがって、所定の処理及びその後の送信を実行するために必要なメモリ容量を大きく低減することができる。
【0027】
また、データ分割手順で画像データを複数の領域データに分割する際、各領域データにおいて、隣接する他の領域データとの境界線近傍のデータについては当該他の領域データと重複するように、画像データの分割が行われる。これにより、上記同様、プリンタ側で複数個の領域データを用いてもとの画像データを再現する際も、劣化したデータによる画質の悪化を招くことなく、良好な印刷画質を得ることができる。
【0028】
以上のようにして、本願第5発明によっても、操作端末におけるメモリ消費容量を抑制しつつ、迅速な処理時間で、良好な画質での画像データの印刷を行うことができる。
【0029】
上記目的を達成するために、第6の発明は、画像データの印刷を行うプリンタと、前記プリンタに対し画像データを送信可能な操作端末とを有する、画像データの印刷システムであって、前記操作端末は、処理対象の画像データを取得してメモリに記憶する第1記憶処理手段と、前記第1記憶処理手段により前記メモリに記憶された画像データを、互いの境界線近傍を一部重複するようにしつつ複数の領域データに分割する、データ分割手段と、前記データ分割手段の分割により生成される前記複数の領域データのそれぞれに対し、前記プリンタの機能に対応したデータ量へ減容するための所定の処理を順次行う、データ処理手段と、前記データ処理手段による処理が終了した1つの前記領域データをメモリに記憶する第2記憶処理手段と、前記第2記憶処理手段によりメモリに記憶された前記1つの領域データを読み出して、プリンタへ送信するデータ送信手段と、前記データ送信手段により前記プリンタへ送信された前記1つの領域データを、前記メモリから削除するデータ削除手段と、を有し、前記複数の領域データのそれぞれについて前記データ処理手段の処理が順次終了するごとに、前記第2記憶処理手段による記憶処理、前記データ送信手段による送信処理、及び前記データ削除手段による削除処理を繰り返すことにより、前記第1記憶処理手段が前記メモリに記憶した前記画像データに対応する前記複数の領域データの、前記プリンタへの送信を実行し、前記プリンタは、被印刷媒体に対し、所望の印刷を行う印刷ヘッドと、前記操作端末より順次送信された、複数の領域データのそれぞれを受信して取得するデータ受信手段と、前記データ受信手段により受信された前記複数の領域データを用いて、前記処理対象の画像データの印刷を実行するように前記印刷ヘッドを制御する、印刷制御手段とを有することを特徴とする。
【0030】
本願第6発明の画像データ印刷システムでは、操作端末が画像データをプリンタへ送信し、プリンタによって当該画像データの印刷が行われる。すなわち、操作端末の第1記憶処理手段が、処理対象の画像データを取得し、メモリに記憶する。その後、データ分割手段が、上記メモリに記憶された画像データを複数の領域データに分割する。その後、データ処理手段が、上記複数の領域データのそれぞれに対し、プリンタの機能に対応したデータ量へ減容する所定の処理、例えばモノクロ画像データに対するディザ処理、カラー画像データに対するディザ処理及び減色処理の後の、圧縮処理等を行う。そして、上記複数の領域データについて上記データ処理手段が上記所定の処理を順次行っていくとき、1つの領域データについての処理が終了する都度、当該1つの領域データに対し、第2記憶処理手段による記憶処理、データ送信手段による送信処理、データ削除手段による削除処理が行われる。これにより、1つの領域データの上記所定の処理が完了して次の領域データの処理が行われている間に、上記処理が完了した領域データをプリンタへ送信することができる(あるいは、1つの領域データの送信が行われている間に、次の領域データの上記所定の処理を完了させることができる)。したがって、N個の領域データすべての上記所定の処理の完了を待ってから、それらをプリンタへ送信する場合よりも、全所要時間を大きく短縮することができる。
【0031】
また、上記のように、1つの領域データの上記所定の処理が完了して次の領域データの処理が行われている間に、上記処理が完了した領域データはプリンタへ送信され、送信完了後はそのデータはメモリから削除され、メモリが空き状態となる。これにより、第2記憶処理手段の処理においてメモリに必要な容量は、上記1個の領域データの分だけで足りる。したがって、所定の処理及びその後の送信を実行するために必要なメモリ容量を大きく低減することができる。
【0032】
また、データ分割手段が画像データを複数の領域データに分割する際、各領域データにおいて、隣接する他の領域データとの境界線近傍のデータについては当該他の領域データと重複するように、画像データの分割が行われる。これにより、プリンタのデータ受信手段が受信した複数個の領域データを用いて、印刷制御手段の制御により印刷ヘッドがもとの画像データを再現して印刷する際に、上記同様、劣化したデータによる画質の悪化を招くことなく、良好な印刷画質を得ることができる。
【0033】
以上のようにして、本願第6発明によっても、操作端末におけるメモリ消費容量を抑制しつつ、迅速な処理時間で、プリンタにおいて良好な画質での画像データの印刷を行うことができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、メモリ消費容量を抑制しつつ、良好な印刷画質を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態の画像データ処理方法を実行する印刷システムの全体を表すシステム構成図である。
【図2】携帯型プリンタの外観構成を表す斜視図である。
【図3】携帯型プリンタの内部構造を表す図2中III−III断面による側断面図である。
【図4】携帯型プリンタ及び携帯端末の機能構成を表すブロック図である。
【図5】携帯端末内における処理制御上の機能的構成の一例を表すブロック図である。
【図6】比較例による画像データ処理の流れを概念的に説明する図である。
【図7】携帯端末のCPUによって実行される画像データ処理の流れを概念的に説明する図である。
【図8】バイト幅単位のディザ法を用い二値化を行う方法を説明するための図である。
【図9】携帯端末のCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図10】携帯端末のCPUによって実行されるプロセスの一部を概念的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0037】
図1は、本実施形態の画像データ処理方法を実行する印刷システム全体を表すシステム構成図である。
【0038】
図1において、印刷システムPSは、画像データ(後述の図6参照)の印刷を行う携帯型プリンタ(プリンタ)100と、携帯型プリンタ100に対し上記画像データを送信可能な携帯端末(操作端末)300とを有している。携帯型プリンタ100と携帯端末300とは、この例では無線通信(有線通信でもよい)により情報送受信可能に接続されている。なお、携帯端末300の代わりに一般に市販されている汎用パーソナルコンピュータ等の操作端末を使用してもよい。
【0039】
図2を用いて、上記携帯型プリンタ100の外観構成について説明する。
【0040】
図2において、携帯型プリンタ100は、全体が略直方体形状に形成されたハウジング102を備えている。ハウジング102の図中奥側の上面にカバー部材103が開閉可能に設けられている。印刷時には、このカバー部材103の隙間(図示せず)に被印刷用紙(被印刷媒体。後述の図4参照)が挿通される。図2中においてハウジング102の手前側に位置する側面は、当該携帯型プリンタ100の背面部分に相当し、この背面部分にはバッテリ室カバー104が着脱可能に設けられている。バッテリ室カバー104を取り外した状態では、バッテリ収納室105がハウジング102の背面部分に開口する。
【0041】
図3を用いて、携帯型プリンタ100の内部構造について説明する。
【0042】
図3において、ハウジング102は、トップカバー121、アンダーカバー131、及び2つのサイドカバー(図示省略)で構成されている。ハウジング102内には、プラテンローラ111とサーマルラインヘッド112とが設けられている。ハウジング102の背面部分に開口(図2参照)可能な上記バッテリ収納室105には、略棒状の上記バッテリ電源107が収容される。
【0043】
プラテンローラ111は、ハウジング102の内部で回転自在に支持されており、上記バッテリ電源から供給される電力を駆動源とする図示しない駆動機構により回転駆動されることで、上記被印刷用紙を搬送する。サーマルラインヘッド112は、上記プラテンローラ111に接離自在に設置されており、印刷時にはプラテンローラ111に所定の圧接力で接触し、その間に挿通された被印刷用紙に所望の印刷を行う。
【0044】
通常の場合は、カバー部材103を閉じた状態で隙間の搬送路に被印刷用紙を挿通することで、プラテンローラ111により被印刷用紙が搬送され、当該被印刷用紙に対しサーマルラインヘッド112によって所望の印刷が行われる。なお、紙詰まりを取り除くには、カバー部材103を開けた状態にする。この時、サーマルラインヘッド112からプラテンローラ111がリリースされるため、容易に用紙を引き出すことが可能になる。
【0045】
図4を用いて、携帯型プリンタ100及び携帯端末300の機能構成を説明する。
【0046】
図4において、携帯端末300は、例えば一般に市販されている汎用の携帯電話機やモバイル端末等であり、CPU303と、例えばRAMやROM等からなるメモリ304と、使用者からの指示や情報が入力されるキー等の操作部302と、各種画像情報やメッセージ情報等を表示する液晶ディスプレイ等からなる表示部301と、ハードディスク装置等からなり上記した各種情報を記憶する大容量記憶装置305と、無線通信(又は有線通信でもよい)を介して携帯型プリンタ100との情報送受信の制御を行う通信制御部306とを備えている。無線通信が行われる場合には通信制御部306には無線通信用のアンテナが含まれる。CPU303は、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによって携帯型プリンタ100との間で各種の指示信号・情報信号の送受を行うようになっている。
【0047】
携帯型プリンタ100は、被印刷用紙Sに所望の印刷を行う上記サーマルラインヘッド112と、上記プラテンローラ111と、制御回路141と、上記携帯端末300との間で行われる通信の制御を行う通信制御部142とを備えている。無線通信が行われる場合には通信制御部142には、上記同様、無線通信用のアンテナが含まれる。
【0048】
上記構成において、携帯型プリンタ100で画像データを印刷する際には、操作者は携帯端末300において起動されているアプリケーションを用いつつ、操作部302より所望の操作を行うことにより、被印刷用紙Sの表面に印刷する画像データを指定する。これにより、携帯端末300から携帯型プリンタ100に指定された画像データが送信され、携帯型プリンタ100の制御回路141の制御により、上記画像データに基づいたサーマルラインヘッド112による印刷が行われる。
【0049】
図5を用いて、携帯端末300内における処理制御上の機能的構成について説明する。
【0050】
図5において、携帯端末300の上記メモリ304上に、少なくとも1つのアプリケーションプログラムAPと、プリンタドライバPDのそれぞれのプログラムが展開して起動しており、相互に指示信号と情報信号を送受信可能となっている。そしてアプリケーションプログラムAPはプリンタドライバPDに対して信号を送受し、またプリンタドライバPDは上記通信制御部306及び通信制御部142同士の通信を介して携帯型プリンタ100と信号を送受信するようになっている。
【0051】
これらアプリケーションプログラムAPとプリンタドライバPDは、いずれも携帯端末300が備える一つのCPU303によって実行されるものであるが、例えばタイムシェアリングシステム(TSS)などの時分割での割り込み制御によってそれぞれ個別に独立して実行されるものとなっている。またプリンタドライバPDについては、携帯端末300の基本OSに予め組み込まれたものでもよいし、他のアプリケーションと同様にOS上で個別に起動されるプログラムであってもよい。
【0052】
ここで、アプリケーションプログラムAPとして適用される具体例としては、文書作成・管理用の文書管理用アプリケーションプログラムや、写真やイラスト等の画像作成・管理用の画像管理用アプリケーションプログラムなどがある。これらは、印刷の際に必要とされる各設定情報を設定するとともに、これら設定情報や画像データを含めた印刷開始指令をプリンタドライバPDに出力する。
【0053】
プリンタドライバPDは、アプリケーションプログラムAPから出力された画像データの印刷指令を受け付け、例えば大容量記憶装置305に記憶された関数を用いて対応するデータ形式に変換する。そして、携帯型プリンタ100に対してこの変換した画像データを送信する。携帯型プリンタ100は、プリンタドライバPDから入力された画像データに基づいて当該画像データの印刷を行う。
【0054】
以上の基本構成において、本実施形態の特徴は、携帯端末300が画像データを携帯型プリンタ100へ送信する際に行う、画像データ処理手順にある。すなわち、本実施形態では、携帯端末300が、画像データを複数個の領域データD1〜Dn(後述)に分割した後、データ量減容のための所定の処理を行い、携帯型プリンタ100へ送信する。特に、本実施形態では、上記画像データの分割の際、互いの境界線近傍を一部重複するようにしつつ複数の領域データに分割する。以下、その詳細を順を追って説明する。
【0055】
<比較例でのデータ処理>
本実施形態の比較例として、上記のような画像データの分割を行わずプリンタへ送信する場合の、データ処理の流れを図6に示す。比較の明確のため、本実施形態と同等の部分には同一の符号を付す。
【0056】
図6において、この比較例では、処理対象の画像データD(例えば10Mサイズのデータ容量とする)は、取得されてまずメモリ304に保存された後、データ量を減容する所定の処理が行われ、処理後のデータもメモリ304に保存される。この所定の処理として、例えば画像データDがモノクロの場合には、まず、二値イメージデータとするためのディザ処理が行われた後、適宜の方式により圧縮処理が行われ、中間ファイルFとしてメモリ304に再度記憶される。画像データDがカラーの場合には、上記ディザ処理と併せて、例えば24色を8色に減色する等の減色処理が行われた後、適宜の方式により圧縮処理が行われ、中間ファイルFとしてメモリ304に再度記憶される。なお、この例では圧縮率が0.5である場合を例に取り、上記10Mサイズのデータが5Mへと減容されている。その後、この中間ファイルFがメモリ304から読み出され、携帯型プリンタ100へ送信される。
【0057】
この比較例では、画像データD全体(すなわち10Mサイズ全体)に対し1度に処理が行われて中間ファイルFとしてメモリ304に記憶され、すべての画像データDの記憶が終わってから携帯型プリンタ100へ送信するので、メモリ304において比較的大きなメモリ容量が必要となる(上記の例では処理前データの10Mと処理後データの5M、併せて15Mのサイズが必要となる)。また、送信時には5Mのサイズのデータを送信するので、送信に要する全所要時間も長くなる。
【0058】
<実施形態のデータ処理の概要>
上記の比較例に対して、本実施形態の携帯端末のCPUによって実行される画像データ処理の流れを図7(a)に示す。図7(a)に示すように、本実施形態では、処理対象の画像データD(上記の例に沿い、10Mサイズのデータ容量とする)は、携帯端末300によって取得された後、まずメモリ304に保存される。その後、画像データDは、上記アプリケーションプログラムAPに基づいて実行されるCPU303の制御によって、まず複数の領域データD1,D2,D3,・・Dnに分割される。図示の例はn=10の場合であり、すなわち、それぞれが0.5Mサイズである10個の領域データD1,D2,D3,・・D10に分割される場合を、例に取って示している。そして、それら複数の領域データD1,D2,D3,・・Dnのそれぞれ(以下適宜、各領域データを個別に指すときには単に「領域データDn等」という)に対し、上記同様の、データ量へ減容する所定の処理、すなわちモノクロの領域データDn等に対するディザ処理や、カラーの領域データDn等に対するディザ処理及び減色処理、が行われる。そしてそれら所定の処理が行われた各領域データDn等について上記同様の圧縮処理が行われ、中間ファイルF1,F2,F3,・・Fn(以下適宜、各中間ファイルを個別に指すときには単に「中間ファイルFn等」という)として、それぞれメモリ304に再度記憶される。なお、この例では、上記同様圧縮率が0.5である場合を例に取り、上記1Mサイズの各領域データDn等は0.5Mの各中間ファイルFn等へとそれぞれ減容されている。その後、メモリ304に記憶された各中間ファイルFn等は個別に再度読み出され、携帯型プリンタ100へ送信される。
【0059】
<データ圧縮の詳細>
上記した本実施形態の圧縮処理について、さらに詳細に説明する。本実施形態においては、上記したように分割された複数の領域データD1,D2,D3,・・Dnは、ディザ処理により二値イメージデータとした後、適宜の方式により圧縮を行うことで、データ量を減らすことができる。
【0060】
本実施形態においては、上記の圧縮方式として、例えば、LossLess圧縮方式(バイトランレングス圧縮法、パックビッツ圧縮法等)を用いる。すなわち、例えば、画像データD上、隣接して連続する複数のバイトにおいて同一の値が繰り返される場合に、繰り返される値自体を1バイトのデータ部で記述し、その繰り替えし数を1バイトの制御部で記述することで、合計2バイトの消費に抑制する方式である。構造が単純なためエンコード、デコードともにソフトウェアで行っても高速で行うことができる。
【0061】
バイトランレングス圧縮法は、データを、出現回数を指定する制御部(1バイト)と、出現するデータを記述するデータ部(1バイト)の合計2バイトを1単位として記述し、制御部には連続して出現する回数を256回まで指定でき、”出現回数−1”の値を記述する方法である。
【0062】
またパックビッツ圧縮法は、データを、出現回数を指定する制御部(1バイト)と、出現するデータを記述するデータ部(1バイト)の合計2バイトを単位として記述し、制御部には連続して出現する回数を128回まで指定でき、”(出現回数−1)×(−1)”の値を記述する。繰り返しのないデータ(1回だけ出現するデータ)は、制御部に繰り返しのないデータのバイト数を”(出現回数−1)”の値を記述する方法である。
【0063】
<ディザ法の詳細>
そして、本実施形態においてはさらに、バイトランレングス、パックビッツ圧縮法の圧縮率を上げるために、二値化手法として、バイト幅単位のディザ法を用いる。このディザ法の詳細を図8を用いて説明する。
【0064】
本実施形態のディザ法では、例えば、図8(a)に示すように、1バイト幅単位の8×8のディザマトリクス400のテーブルをページの1面に張り詰め、対応するピクセルの階調値の方が大きい場合はONピクセルにする。例えば、1面の濃度が55であるイメージを図8(a)のディザマトリクス400で二値化すると、図8(b)の下部に示すように、スキャンライン単位で同一の値が連続するデータ401となる。したがって、上述したLossLess圧縮方式のように、繰り返される値自体を1バイトのデータ部で記述し、繰り替えし数を1バイトの制御部で記述する方式を適用すると、非常に大きな圧縮率を得ることができるので、有効である。この結果、例えばDTPソフトウェア、Drawソフトウェアで作成した、広い区域が同一色で塗られたようなデータは高圧縮率を得ることができる。
【0065】
<境界線処理>
ところで、上記のような圧縮方式を用いる場合、前述したように、各バイトのデータ値は両隣りのバイトにおけるデータ値によって規定されることから、データ領域の端部に位置するバイトでは(一方側に隣接するバイトにはデータが存在するが他方側にはデータが存在しないことから)上記圧縮処理によって精度の悪いデータとなる可能性が高い。つまり図7(a)に示すように複数個の領域データに分割して圧縮を行う場合、そのままでは、各領域データの端部付近のデータが上記の理由で劣化し、携帯型プリンタ100側で複数個の領域データを用いてもとの画像データDを再現して印刷する際、上記劣化したデータによって各領域データの境界に不連続な模様や線が生じ、画質が悪くなる可能性がある。
【0066】
そこで本実施形態では、図7(b)に示すように、画像データDを複数の領域データD1,D2,D3,・・Dnに分割する際には、それぞれの領域データにおいて隣接する他の領域データとの境界線近傍のデータについては当該他の領域データと重複(図7(b)において重複部分をdwで示す)するように、すなわち境界線近傍のデータが境界線を挟んだ一方側の領域データと他方側の領域データとの両方に二重に含まれるように、画像データDの領域データD1〜Dnへの分割が行われる。すなわち、領域データD1には、次の領域データD2と共通する重複部分dw12が含まれ、領域データD2には、前の領域データD1と共通する重複部分dw12と、次の領域データD3と共通する重複部分dw23とが、含まれる。以下同様に、領域データD3には、前の領域データD2と共通する重複部分dw23と次の領域データD4と共通する重複部分dw34とが含まれ、領域データD4には、前の領域データD3と共通する重複部分dw34と次の領域データD5と共通する重複部分dw45とが含まれ、領域データD5には、前の領域データD4と共通する重複部分dw45と次の領域データD6と共通する重複部分dw56とが含まれ、領域データD6には、前の領域データD5と共通する重複部分dw56と次の領域データD7と共通する重複部分dw67とが含まれ、領域データD7には、前の領域データD6と共通する重複部分dw67と次の領域データD8と共通する重複部分dw78とが含まれ、領域データD8には、前の領域データD7と共通する重複部分dw78と次の領域データD9と共通する重複部分dw89とが含まれ、領域データD9には、前の領域データD8と共通する重複部分dw89と次の領域データD10と共通する重複部分dw910とが含まれる。そして、最後の領域データD10には、前の領域データD9と共通する重複部分dw910が含まれる。
【0067】
これにより、本来の領域データ(上記領域データD1〜Dnのうち上記重複部分dwを除いた部分)の端部(図中d*で示す)のバイトにはその両側いずれにも隣接してバイト(重複部分dwに属するバイト)が存在することから、当該本来の領域データの端部d*のバイトのデータ値は、前述のようなデータの劣化は生じない。すなわち、データ劣化が生じる見かけ上の各領域データD1〜Dnの端部は、上記重複部分dwがある分、本来の領域データの端部d*とは異なる位置となる。この結果、携帯型プリンタ100側で上記のようにして分割されて送信されてきた複数個の領域データD1,D2,D3,・・Dnを用いてもとの画像データDを再現する際も、劣化したデータによる画質の悪化を招くことなく、良好な印刷画質を得ることができる。
【0068】
以上説明した処理を実行するために、携帯端末300のCPU303(制御手段)によって実行される制御手順を、図9のフローチャートにより説明する。なお、この制御手順は、例えばメモリ304のROM(記録媒体)に記録された画像処理プログラムをCPU303が読み出すことによって、実行される。
【0069】
ユーザが携帯端末300の操作部302を適宜に操作することによって、図9のフローが開始される。
【0070】
まず、ステップS10で、CPU303は、処理対象となる画像データDを取得する。例えば、携帯端末300に別途備えられた例えばCCDカメラ等によって撮影されたカラー画像データや、ネットワーク通信を介して所望のホームページからダウンロードされたモノクロ画像データやカラー画像データ等)が、CPU303によって取得される。そして、CPU303は、この取得した画像データDをメモリ304の上記RAMに記憶する。なお、このステップS10が各請求項に記載の第1記憶処理手順に相当するとともに、第1記憶処理手段として機能する。
【0071】
その後、ステップS20で、CPU303は、メモリ304に記憶された画像データDを、図7(b)に示したように互いの境界線近傍を一部重複(図7(b)中の重複部分dw参照)するようにしつつ複数の領域データD1,D2,D3,・・Dnに分割する。図7(a)、図7(b)に示した例では、10Mサイズの1つの画像データDが各0.5Mサイズの10個の領域データD1,D2,D3,・・D10に分割される。なお、このステップS20がデータ分割手順に相当するとともに、データ分割手段として機能する。
【0072】
そして、ステップS30で、CPU303は、上記のデータ分割により生成される複数の領域データD1,D2,D3,・・Dnのそれぞれに対し、携帯型プリンタ100の機能に対応したデータ量へ減容するための所定の処理を順次行う。すなわち、CPU303は、上述したように、画像データDがモノクロデータであった場合にはディザ処理を行って各領域データDn等を二値イメージータとし、画像データDがカラーデータであった場合にはディザ処理及び減色処理により各領域データDn等を二値イメージータとする。そして、CPU303は、当該二値イメージデータに対し、前述したような例えばLossLess圧縮方式等の適宜の方式によって圧縮を行う。なお、このステップS30がデータ処理手順に相当するとともに、データ処理手段として機能する。
【0073】
その後、ステップS40で、CPU303は、上記ステップS30でのデータ処理が終了した1つの領域データDn等を1つの中間ファイルFn等としてメモリ304に記憶する。なお、このステップS40が各請求項に記載の第2記憶処理手順に相当するとともに、第2記憶処理手段として機能する。
【0074】
そして、ステップS50で、CPU303は、メモリ304に記憶された1つの領域データDn等の中間ファイルDn等を読み出し、通信制御部306を介して携帯型プリンタ100の通信制御部142への送信を開始する。なお、このステップS50が各請求項に記載のデータ送信手順に相当するとともに、データ送信手段として機能する。
【0075】
その後、ステップS60で、CPU303は、携帯型プリンタ100へ送信した1つの領域データDn等を、上記メモリ304から削除する。なお、ステップS60は各請求項に記載のデータ削除手順に相当するとともに、データ削除手段として機能する。この削除処理によってメモリ304が空き状態となる。これにより、CPU303は、ステップS50で1つの領域データDn等の送信が行われている間に、次の領域データ等の上記所定の処理を完了させることができる。具体的には、例えば最初に領域データD1に対するステップS30のデータ処理、ステップS40の記憶処理が終了して、ステップS50のデータ送信が開始されると、ステップS60でメモリ403が空き状態となる。したがって、ステップS50で開始された領域データD1(詳細には対応する中間ファイルF1。以下同様)の携帯型プリンタ100への送信が終了するより前に、次の領域データD2に対するステップS30のデータ処理、ステップS40の記憶処理が終了している場合には、CPU303は、上記空き状態となったメモリ403へ領域データD2(詳細には対応する中間ファイルF2)を記憶する。そして、上記領域データF1の送信が完了したら、CPU303は、メモリ403から領域データD2を読み出してステップS50で送信を開始する。
【0076】
以下同様に、CPU303は、領域データD2の送信終了より前にメモリ403へ次の領域データD3を記憶し、領域データD2の送信が終了したらメモリ403から領域データD3を読み出して送信開始し、領域データD3の送信終了より前にメモリ403へ次の領域データD4を記憶し、領域データD3の送信が終了したらメモリ403から領域データD4を読み出して送信開始し、・・領域データD9の送信終了より前にメモリ403へ次の領域データD10を記憶し、領域データD9の送信が終了したらメモリ403から領域データD10を読み出して送信開始する。
【0077】
以上のようにして、本実施形態では、上記のように分割された複数の領域データD1,D2,D3,・・D10のそれぞれについてステップS30のデータ処理が順次終了するごとに、ステップS40の記憶処理、ステップS50のデータ送信、及びステップS60のデータ削除を繰り返し、画像データDに対応する10個の領域データD1,D2,D3,・・D10の、(中間ファイルF1,F2,F3,・・F10の形式を介した)携帯型プリンタ100への送信を実行する。
【0078】
上記ステップS50により順次送られてきた、10個の領域データD1,D2,D3,・・D10にそれぞれ対応した中間ファイルF1,F2,F3,・・F10は、携帯型プリンタ100の通信制御部142を介して制御回路141で受信され、取得される(データ受信手段としての機能)。そして、制御回路141は、上記中間ファイルF1,F2,F3,・・F10を用いた公知の手法による合成処理を行って画像データDを1つのデータとして復元し、これを用いてサーマルヘッド111を制御する(印刷制御手段としての機能)。これによって、サーマルヘッド111により、被印刷用紙Sに対し上記復元した画像データDの印刷が行われる。
【0079】
以上説明したように、本実施形態の画像データ処理方法を実行する印刷システムPSにおいては、処理対象の画像データDが複数の領域データD1,D2,D3,・・Dnに分割された後、各領域データDn等に対し、ディザ処理及び圧縮処理(画像データDがカラーであった場合にはディザ処理、減色処理、及び圧縮処理)等のデータ量減容のための所定の処理が行われる。
【0080】
その際、1つの領域データDn等についての上記処理の処理が終了する都度、当該1つの領域データDn等がメモリ304に記憶される(ステップS40)。その後、メモリ304に記憶された当該1つの領域データが読み出されて携帯型プリンタ100へ送信され(ステップS50)、送信完了後はその送信された領域データがメモリ304から削除される(ステップS60)。これにより、1つの領域データDn等の上記所定の処理が完了して次の領域データDn等の処理が行われている間に、上記処理が完了した領域データDn等を携帯型プリンタ100へ送信する(言い換えれば、1つの領域データDn等の送信が行われている間に、次の領域データDn等の上記所定の処理を完了させることができる)。具体例として、図10には、領域データD1の上記所定の処理が完了して次の領域データD2の処理が行われている間に、上記処理が完了した領域データD1に対応した中間ファイルF1を携帯型プリンタ100へ送信する(領域データD1の送信が行われている間に、次の領域データ2の上記所定の処理を完了させる)場合を例にとって示している。
【0081】
この場合に、例えば、N個(上記の例ではN=10。以下同様)の領域データそれぞれの上記所定の処理に要する処理時間が領域データ1個あたりtoであり、またそれぞれの携帯型プリンタ100への送信に要する送信時間が領域データ1個あたりtsであったとすると、N個の領域データすべてに対する上記所定の処理及び送信に要する全所要時間は、
to+(N−1)to=to×N (但しto>tsの場合)
若しくは、
to+(N−1)ts (但しto<tsの場合)
となる。したがって、N個の領域データすべての上記所定の処理の完了を待ってから、それらを携帯型プリンタ100へ送信する場合に必要な全所要時間、
to×N+ts×N
よりも、全所要時間を大きく短縮することができる。
【0082】
また、本実施形態の印刷システムPSにおいては、前述のように画像データDをN個に分割する際、図7(b)に示したように、各領域データDn等において隣接する他の領域データとの境界線近傍のデータについては当該他の領域データと重複(重複部分dw参照)するように、画像データDの分割が行われる。したがって、携帯型プリンタ100側で上記のようにして分割されて送信されてきた複数個の領域データD1〜Dnに対応した中間ファイルF1〜Fnを用いてもとの画像データDを再現する際も、劣化したデータによる画質の悪化を招くことなく、良好な印刷画質を得ることができる。
【0083】
また、本実施形態の印刷システムPSにおいては、上述したように、1つの領域データDn等の所定の処理が完了して次の領域データDn等の処理が行われている間に、上記処理が完了した領域データDn等は携帯型プリンタ100へ送信され、送信完了後はそのデータはメモリ304から削除され、上記次の領域データDn等の所定の処理が完了したら上記空き状態となったメモリ304に対して記憶される、という手順を繰り返す。このようにして、複数の領域データD1〜Dnに対する所定の処理及び送信が行われることから、メモリ304に必要な容量は、上記1個の領域データの分だけで足りることとなる。この結果、上記所定の処理及びその後の送信を実行するために必要なメモリ容量を大きく低減することができる。
【0084】
具体的には、上記図6及び図7の例に沿うと、本実施形態のメモリ304に必要なメモリ容量は、分割前の1つの画像データDのために必要なサイズ10Mと、10個に分割した領域データDn等のうち1つの領域データDn等(詳細にはこれに対応する中間ファイルFn等)のために必要なサイズ0.5Mの、合計10.5Mで足りることとなる(図7(a)参照)これに対して、上記図6の比較例のように、N個への分割を行わずに画像データD全体に対し1度に所定の処理が行われる場合には、処理前の1つの画像データDのために必要なサイズ10Mと、この画像データDを処理した中間ファイルFのために必要なサイズ5Mとの、合計15Mのサイズがメモリ304において必要となる。あるいは、N個の領域データD1〜Dnすべてについて所定の処理が終わるごとにメモリ304に記憶しておきすべての領域データの記憶が終わってから携帯型プリンタ100へ送信する場合も、上記比較例と同様、N個の領域データD1〜Dnの合計分のメモリ容量が必要となるので、上記図6の例に沿うと比較例と同等の15Mが必要となる。本実施形態では、これらの場合に比べて、携帯端末300におけるメモリ消費容量を抑制することができる。
【0085】
以上のようにして、本実施形態によれば、携帯端末300におけるメモリ消費容量を抑制しつつ、迅速な処理時間で、良好な画質での画像データの印刷を行うことができる。
【0086】
なお、以上において、図4、図5等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0087】
また、図9に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0088】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【符号の説明】
【0089】
100 携帯型プリンタ(プリンタ)
107 バッテリ電源
112 サーマルラインヘッド(印刷ヘッド)
300 携帯端末(操作端末)
305 大容量記憶装置
303 CPU(制御手段)
304 メモリ(記録媒体)
D 画像データ
Dn 領域データ
F 中間ファイル
Fn 中間ファイル
PS 印刷システム(画像データの印刷システム)
S 被印刷用紙(被印刷媒体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データをプリンタへ送信し印刷を実行する操作端末の制御手段が実行する、画像データ処理方法であって、
処理対象の画像データを取得してメモリに記憶する第1記憶処理手順と、
前記第1記憶処理手順で前記メモリに記憶された画像データを、互いの境界線近傍を一部重複するようにしつつ複数の領域データに分割する、データ分割手順と、
前記データ分割手順での分割により生成される前記複数の領域データのそれぞれに対し、前記プリンタの機能に対応したデータ量へ減容するための所定の処理を順次行う、データ処理手順と、
前記データ処理手順での処理が終了した1つの前記領域データをメモリに記憶する第2記憶処理手順と、
前記第2記憶処理手順でメモリに記憶された前記1つの領域データを読み出して、プリンタへ送信するデータ送信手順と、
前記データ送信手順で前記プリンタへ送信された前記1つの領域データを、前記メモリから削除するデータ削除手順と、
を有し、
前記複数の領域データのそれぞれについて前記データ処理手順での処理が順次終了するごとに、前記第2記憶処理手順、前記データ送信手順、及び前記データ削除手順を繰り返すことにより、前記第1記憶処理手順で記憶した前記画像データに対応する前記複数の領域データの、前記プリンタへの送信を実行する
ことを特徴とする画像データ処理方法。
【請求項2】
請求項1記載の画像データ処理方法において、
前記第1記憶処理手順では、前記処理対象の画像データとして、モノクロの画像データを取得して記憶し、
前記データ処理手順では、前記所定の処理として、モノクロの前記複数の領域データのそれぞれに対するディザ処理、及び、圧縮処理を順次行う
ことを特徴とする画像データ処理方法。
【請求項3】
請求項1記載の画像データ処理方法において、
前記第1記憶処理手順では、前記処理対象の画像データとして、カラーの画像データを取得して記憶し、
前記データ処理手順では、前記所定の処理として、カラーの前記複数の領域データのそれぞれに対しディザ処理を含む減色処理、及び、圧縮処理を順次行う
ことを特徴とする画像データ処理方法。
【請求項4】
プリンタに接続可能な操作端末の制御手段に対し、
処理対象の画像データを取得してメモリに記憶する第1記憶処理手順と、
前記第1記憶処理手順で前記メモリに記憶された画像データを、互いの境界線近傍を一部重複するようにしつつ複数の領域データに分割する、データ分割手順と、
前記データ分割手順での分割により生成される前記複数の領域データのそれぞれに対し、前記プリンタの機能に対応したデータ量へ減容するための所定の処理を順次行う、データ処理手順と、
前記データ処理手順での処理が終了した1つの前記領域データをメモリに記憶する第2記憶処理手順と、
前記第2記憶処理手順でメモリに記憶された前記1つの領域データを読み出して、プリンタへ送信するデータ送信手順と、
前記データ送信手順で前記プリンタへ送信された前記1つの領域データを、前記メモリから削除するデータ削除手順と、
を実行させ、かつ、
前記複数の領域データのそれぞれについて前記データ処理手順での処理が順次終了するごとに、前記第2記憶処理手順、前記データ送信手順、及び前記データ削除手順を繰り返すことにより、前記第1記憶処理手順で記憶した前記画像データに対応する前記複数の領域データの、前記プリンタへの送信を実行させるための、画像データ処理プログラム。
【請求項5】
プリンタに接続可能な操作端末の制御手段に対し、
処理対象の画像データを取得してメモリに記憶する第1記憶処理手順と、
前記第1記憶処理手順で前記メモリに記憶された画像データを、互いの境界線近傍を一部重複するようにしつつ複数の領域データに分割する、データ分割手順と、
前記データ分割手順での分割により生成される前記複数の領域データのそれぞれに対し、前記プリンタの機能に対応したデータ量へ減容するための所定の処理を順次行う、データ処理手順と、
前記データ処理手順での処理が終了した1つの前記領域データをメモリに記憶する第2記憶処理手順と、
前記第2記憶処理手順でメモリに記憶された前記1つの領域データを読み出して、プリンタへ送信するデータ送信手順と、
前記データ送信手順で前記プリンタへ送信された前記1つの領域データを、前記メモリから削除するデータ削除手順とを、実行させるとともに、
前記複数の領域データのそれぞれについて前記データ処理手順での処理が順次終了するごとに、前記第2記憶処理手順、前記データ送信手順、及び前記データ削除手順を繰り返すことにより、前記第1記憶処理手順で記憶した前記画像データに対応する前記複数の領域データの、前記プリンタへの送信を実行させるための、画像データ処理プログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項6】
画像データの印刷を行うプリンタと、前記プリンタに対し画像データを送信可能な操作端末とを有する、画像データの印刷システムであって、
前記操作端末は、
処理対象の画像データを取得してメモリに記憶する第1記憶処理手段と、
前記第1記憶処理手段により前記メモリに記憶された画像データを、互いの境界線近傍を一部重複するようにしつつ複数の領域データに分割する、データ分割手段と、
前記データ分割手段の分割により生成される前記複数の領域データのそれぞれに対し、前記プリンタの機能に対応したデータ量へ減容するための所定の処理を順次行う、データ処理手段と、
前記データ処理手段による処理が終了した1つの前記領域データをメモリに記憶する第2記憶処理手段と、
前記第2記憶処理手段によりメモリに記憶された前記1つの領域データを読み出して、プリンタへ送信するデータ送信手段と、
前記データ送信手段により前記プリンタへ送信された前記1つの領域データを、前記メモリから削除するデータ削除手段と、
を有し、
前記複数の領域データのそれぞれについて前記データ処理手段の処理が順次終了するごとに、前記第2記憶処理手段による記憶処理、前記データ送信手段による送信処理、及び前記データ削除手段による削除処理を繰り返すことにより、前記第1記憶処理手段が前記メモリに記憶した前記画像データに対応する前記複数の領域データの、前記プリンタへの送信を実行し、
前記プリンタは、
被印刷媒体に対し、所望の印刷を行う印刷ヘッドと、
前記操作端末より順次送信された、複数の領域データのそれぞれを受信して取得するデータ受信手段と、
前記データ受信手段により受信された前記複数の領域データを用いて、前記処理対象の画像データの印刷を実行するように前記印刷ヘッドを制御する、印刷制御手段と
を有することを特徴とする画像データの印刷システム。
【請求項1】
画像データをプリンタへ送信し印刷を実行する操作端末の制御手段が実行する、画像データ処理方法であって、
処理対象の画像データを取得してメモリに記憶する第1記憶処理手順と、
前記第1記憶処理手順で前記メモリに記憶された画像データを、互いの境界線近傍を一部重複するようにしつつ複数の領域データに分割する、データ分割手順と、
前記データ分割手順での分割により生成される前記複数の領域データのそれぞれに対し、前記プリンタの機能に対応したデータ量へ減容するための所定の処理を順次行う、データ処理手順と、
前記データ処理手順での処理が終了した1つの前記領域データをメモリに記憶する第2記憶処理手順と、
前記第2記憶処理手順でメモリに記憶された前記1つの領域データを読み出して、プリンタへ送信するデータ送信手順と、
前記データ送信手順で前記プリンタへ送信された前記1つの領域データを、前記メモリから削除するデータ削除手順と、
を有し、
前記複数の領域データのそれぞれについて前記データ処理手順での処理が順次終了するごとに、前記第2記憶処理手順、前記データ送信手順、及び前記データ削除手順を繰り返すことにより、前記第1記憶処理手順で記憶した前記画像データに対応する前記複数の領域データの、前記プリンタへの送信を実行する
ことを特徴とする画像データ処理方法。
【請求項2】
請求項1記載の画像データ処理方法において、
前記第1記憶処理手順では、前記処理対象の画像データとして、モノクロの画像データを取得して記憶し、
前記データ処理手順では、前記所定の処理として、モノクロの前記複数の領域データのそれぞれに対するディザ処理、及び、圧縮処理を順次行う
ことを特徴とする画像データ処理方法。
【請求項3】
請求項1記載の画像データ処理方法において、
前記第1記憶処理手順では、前記処理対象の画像データとして、カラーの画像データを取得して記憶し、
前記データ処理手順では、前記所定の処理として、カラーの前記複数の領域データのそれぞれに対しディザ処理を含む減色処理、及び、圧縮処理を順次行う
ことを特徴とする画像データ処理方法。
【請求項4】
プリンタに接続可能な操作端末の制御手段に対し、
処理対象の画像データを取得してメモリに記憶する第1記憶処理手順と、
前記第1記憶処理手順で前記メモリに記憶された画像データを、互いの境界線近傍を一部重複するようにしつつ複数の領域データに分割する、データ分割手順と、
前記データ分割手順での分割により生成される前記複数の領域データのそれぞれに対し、前記プリンタの機能に対応したデータ量へ減容するための所定の処理を順次行う、データ処理手順と、
前記データ処理手順での処理が終了した1つの前記領域データをメモリに記憶する第2記憶処理手順と、
前記第2記憶処理手順でメモリに記憶された前記1つの領域データを読み出して、プリンタへ送信するデータ送信手順と、
前記データ送信手順で前記プリンタへ送信された前記1つの領域データを、前記メモリから削除するデータ削除手順と、
を実行させ、かつ、
前記複数の領域データのそれぞれについて前記データ処理手順での処理が順次終了するごとに、前記第2記憶処理手順、前記データ送信手順、及び前記データ削除手順を繰り返すことにより、前記第1記憶処理手順で記憶した前記画像データに対応する前記複数の領域データの、前記プリンタへの送信を実行させるための、画像データ処理プログラム。
【請求項5】
プリンタに接続可能な操作端末の制御手段に対し、
処理対象の画像データを取得してメモリに記憶する第1記憶処理手順と、
前記第1記憶処理手順で前記メモリに記憶された画像データを、互いの境界線近傍を一部重複するようにしつつ複数の領域データに分割する、データ分割手順と、
前記データ分割手順での分割により生成される前記複数の領域データのそれぞれに対し、前記プリンタの機能に対応したデータ量へ減容するための所定の処理を順次行う、データ処理手順と、
前記データ処理手順での処理が終了した1つの前記領域データをメモリに記憶する第2記憶処理手順と、
前記第2記憶処理手順でメモリに記憶された前記1つの領域データを読み出して、プリンタへ送信するデータ送信手順と、
前記データ送信手順で前記プリンタへ送信された前記1つの領域データを、前記メモリから削除するデータ削除手順とを、実行させるとともに、
前記複数の領域データのそれぞれについて前記データ処理手順での処理が順次終了するごとに、前記第2記憶処理手順、前記データ送信手順、及び前記データ削除手順を繰り返すことにより、前記第1記憶処理手順で記憶した前記画像データに対応する前記複数の領域データの、前記プリンタへの送信を実行させるための、画像データ処理プログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項6】
画像データの印刷を行うプリンタと、前記プリンタに対し画像データを送信可能な操作端末とを有する、画像データの印刷システムであって、
前記操作端末は、
処理対象の画像データを取得してメモリに記憶する第1記憶処理手段と、
前記第1記憶処理手段により前記メモリに記憶された画像データを、互いの境界線近傍を一部重複するようにしつつ複数の領域データに分割する、データ分割手段と、
前記データ分割手段の分割により生成される前記複数の領域データのそれぞれに対し、前記プリンタの機能に対応したデータ量へ減容するための所定の処理を順次行う、データ処理手段と、
前記データ処理手段による処理が終了した1つの前記領域データをメモリに記憶する第2記憶処理手段と、
前記第2記憶処理手段によりメモリに記憶された前記1つの領域データを読み出して、プリンタへ送信するデータ送信手段と、
前記データ送信手段により前記プリンタへ送信された前記1つの領域データを、前記メモリから削除するデータ削除手段と、
を有し、
前記複数の領域データのそれぞれについて前記データ処理手段の処理が順次終了するごとに、前記第2記憶処理手段による記憶処理、前記データ送信手段による送信処理、及び前記データ削除手段による削除処理を繰り返すことにより、前記第1記憶処理手段が前記メモリに記憶した前記画像データに対応する前記複数の領域データの、前記プリンタへの送信を実行し、
前記プリンタは、
被印刷媒体に対し、所望の印刷を行う印刷ヘッドと、
前記操作端末より順次送信された、複数の領域データのそれぞれを受信して取得するデータ受信手段と、
前記データ受信手段により受信された前記複数の領域データを用いて、前記処理対象の画像データの印刷を実行するように前記印刷ヘッドを制御する、印刷制御手段と
を有することを特徴とする画像データの印刷システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−60415(P2012−60415A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201683(P2010−201683)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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