説明

画像データ取扱システム、画像処理システム、画像処理装置、画像データ提供方法、およびコンピュータプログラム

【課題】ユーザが、画像処理装置においてUSBメモリなどの可搬型の記録媒体を従来よりも便利に使用できるようにする。
【解決手段】画像処理サーバ2は、第一の画像データに対して特定の処理を施すことによって第二の画像データを生成する。画像形成装置1は、第二の画像データの代わりに、第二の画像データを識別する識別情報を、可搬型の記録媒体に記憶させるか否かをユーザに選択させる。そして、識別情報を記憶させることが選択された場合に、この記録媒体に識別情報を記憶させる。端末装置3は、この記録媒体がセットされると、この記録媒体に記憶される識別情報に基づいて、第二の画像データを画像処理サーバ2に対して要求しダウンロードする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型の記録媒体に画像データを書き込む機能を有する画像処理装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コピー、PCプリント、スキャン、ファックス、およびファイルサーバなどの様々な機能を備えた画像処理装置が普及している。このような画像処理装置は、「複合機」または「MFP(Multi Function Peripherals)」などと呼ばれることもある。
【0003】
さらに、画像処理装置のスペックは、ますます向上している。画像処理用のソフトウェア製品も増えている。サーバと連携して画像処理を行うものも提案されている。
【0004】
また、画像処理装置は、他の装置と接続するためのインタフェースとしてUSB(Universal Serial Bus)を備えるようになった。
【0005】
近年、USBメモリやポータブルハードディスクなどの可搬型の記録媒体の価格が安くなり、ユーザは手頃にこれらの記録媒体を画像処理装置においても使用することができるようになった。
【0006】
特許文献1には、スキャナによって原稿を読み取ることによって得られた画像データを、リムーバブルメモリの使用量を抑えつつ、リムーバブルメモリに保存する機能を備えた装置が提案されている。この装置は、画像データの代わりに、それが記憶されているサーバにおける位置情報を、リムーバブルメモリに保存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−178066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載される方法によると、可搬型の記録媒体に記憶されるデータの量を減らすことができるが、データが必要なときごとに、サーバへアクセスしデータをダウンロードしなければならない。したがって、記憶容量の許す限り、データの、サーバにおける記憶場所を記憶させておくよりも、データそのものを記憶させておいたほうが便利である。その点、上に例示したような、近年の可搬型の記録媒体は、近年、ますます大容量化している。ネットワークの環境が充実してきているとは言え、できるだけ、可搬型の記録媒体から直接にデータを読み出せることが、望まれる。
【0009】
本発明は、このようなに課題に鑑み、MFPのような画像処理装置においてUSBメモリなどの可搬型の記録媒体を従来よりも便利に使用できるようにすることを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一形態に係る画像データ取扱システムは、画像データに対して特定の処理を行う画像処理システムと端末装置とによって構成される画像データ取扱システムであって、前記画像処理システムには、第一の画像データに対して特定の処理を施すことによって第二の画像データを生成する特定処理手段と、前記第二の画像データを可搬型の記録媒体に記憶させることが指定されている場合に、前記第二の画像データが生成されるのに要する時間である所要時間を推測する所要時間推測手段と、推測された前記所要時間が所定の時間を超える場合に、前記第二の画像データの代わりに、前記第二の画像データを取得するための識別情報を、前記記録媒体に記憶させるか否かをユーザに選択させる選択手段と、前記識別情報を記憶させないことが選択された場合に、前記第二の画像データが生成されるのを待って、前記第二の画像データを前記記録媒体に記憶させる、画像データ記憶制御手段と、前記識別情報を記憶させることが選択された場合に、前記記録媒体に前記第二の画像データの記憶場所を含む前記識別情報を記憶させ、当該第二の画像データが生成されたら当該第二の画像データを画像データ記憶手段に記憶させる、識別情報記憶制御手段と、が設けられており、前記端末装置には、前記記録媒体から前記識別情報を読み出す識別情報読出手段と、読み出された前記識別情報に基づいて前記第二の画像データを前記画像処理システムに対して通信回線を介して要求する画像データ要求手段と、が設けられており、前記画像処理システムには、さらに、前記端末装置からの要求に応じて、前記画像データ記憶手段に記憶されている前記第二の画像データを前記端末装置へ送信する、画像データ送信手段、が設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、ユーザは、画像処理装置においてUSBメモリなどの可搬型の記録媒体を従来よりも便利に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ネットワークシステムの全体的な構成の例を示す図である。
【図2】画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図3】画像形成装置の機能的構成の例を示す図である。
【図4】画像処理サーバのハードウェア構成の例を示す図である。
【図5】画像処理サーバの機能的構成の例を示す図である。
【図6】端末装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図7】端末装置の機能的構成の例を示す図である。
【図8】配信先選択画面の例を示す図である。
【図9】保存フォルダ選択画像の例を示す図である。
【図10】保存形式選択画面の例を示す図である。
【図11】ジョブ設定情報の例を示す図である。
【図12】受取タイミング指定画面の例を示す図である。
【図13】画像形成装置の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図14】スキャン開始準備処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図15】画像処理サーバの全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図16】配信方法変更画面の例を示す図である。
【図17】電子メールアドレス指定画面の例を示す図である。
【図18】共有設定画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1はネットワークシステムNSの全体的な構成の例を示す図、図2は画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図、図3は画像形成装置1の機能的構成の例を示す図、図4は画像処理サーバ2のハードウェア構成の例を示す図、図5は画像処理サーバ2の機能的構成の例を示す図、図6は端末装置3のハードウェア構成の例を示す図、図7は端末装置3の機能的構成の例を示す図である。
【0014】
図1に示すように、ネットワークシステムNSは、画像形成装置1、画像処理サーバ2、端末装置3、および通信回線4などによって構成される。これらの装置は、通信回線4を介して互いに接続可能である。通信回線4として、公衆回線、専用線、インターネット、またはいわゆるLAN(Local Area Network)回線などが用いられる。
【0015】
ネットワークシステムNSは、役所または企業などの組織に設けられ、その組織のメンバによって使用される。以下、ある企業Xにおいて使用されるネットワークシステムNSを例に説明する。企業Xの社員を「ユーザ」と記載する。
【0016】
画像形成装置1は、一般に複合機またはMFP(Multi Function Peripherals)などと呼ばれる画像処理装置であって、コピー、PCプリント(ネットワークプリンティング)、ファックス、スキャナ、ボックス、および電子メールなどの機能を集約した装置である。
【0017】
「PCプリント機能」とは、端末装置3から受信した画像データに基づいて画像を用紙に印刷する機能である。
【0018】
「ボックス機能」とは、ユーザごとに「ボックス」または「パーソナルボックス」などと呼ばれる記憶領域を与えておき、各ユーザが自分の記憶領域によって画像データなどのデータを保存し管理するための機能である。ボックスは、パーソナルコンピュータにおける「フォルダ」または「ディレクトリ」に相当する。また、本実施形態では、データは、ファイル単位でボックスに保存される。
【0019】
画像処理サーバ2は、画像データのフォーマットの変換、画像の補正、ファイルの圧縮、または画像の解像度の変更などの、様々な画像処理を行う。特に、PDF(Portable Document Format)のファイルを、CompactPDF、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、または後述するワープロフォーマットのファイルに変換する機能を有する。そして、画像形成装置1の代わりにこれらのフォーマットへの変換の処理を行う。
【0020】
また、画像処理サーバ2は、FTP(File Transfer Protocol)サーバとしても機能し、ファイルをFTPで画像形成装置1から受信して保存したり、ファイルを端末装置3へFTPで転送したりする。さらに、画像処理サーバ2は、ファイルを端末装置3へSMB(Server Message Block)で転送することもできる。
【0021】
端末装置3は、画像を印刷する処理などを画像形成装置1に実行させるためのドライバがインストールされている。端末装置3として、パーソナルコンピュータまたはPDA(Personal Digital Assistant)などが用いられる。
【0022】
画像形成装置1および端末装置3は、企業Xの建物の中に設置されている。以下、多数の社員(ユーザ)が共用するスペースに画像形成装置1が設置され、各ユーザの席に端末装置3が1台ずつ設置されている場合を例に、説明する。
【0023】
ユーザは、用紙に記されている画像を画像形成装置1に読み取らせて電子ファイル化し、その画像の電子ファイル(以下、単に「ファイル」と記載する。)を可搬な記録媒体に記憶させて自分の端末装置3にコピーすることができる。また、画像形成装置1は、電子ファイル化の際に、画像処理を必要に応じて画像処理サーバ2に行わせることができる。
【0024】
例えば、ユーザは、用紙を持って画像形成装置1のところへ出向き、用紙および可搬な記録媒体を画像形成装置1にセットしてスキャンの指令を入力する。すると、画像形成装置1は、用紙に記されている画像を読み取り、必要に応じて画像処理サーバ2と連携して画像処理を施し、画像ファイルを生成する(丸数字1)。画像形成装置1は、可搬な記録媒体に画像ファイルを保存する(丸数字2)。
【0025】
ユーザは、用紙および可搬な記録媒体を画像形成装置1から取り外し、自分の席へ移動する(丸数字3)。そして、自分の端末装置3に可搬な記録媒体をセットし、保存されている画像ファイルを端末装置3にコピーする(丸数字4)。
【0026】
画像形成装置1と画像処理サーバ2とは、連携して画像処理を行うことができるので、両装置によって画像処理システムを構成していると言える。
【0027】
ところで、画像処理サーバ2による画像処理に時間が掛かってしまうと、ユーザは、なかなか画像形成装置1の場所から自分の席へ戻ることができない。なぜなら、画像処理が完了し画像ファイルが可搬な記録媒体に保存されるまで、可搬な記録媒体を画像形成装置1から取り外すことができないからである。
【0028】
そこで、本実施形態のネットワークシステムNSは、画像処理が完了する前に可搬な記録媒体を画像形成装置1から取り外して席に戻っても、ユーザが画像ファイルを取得できるように構成されている。以下、この仕組みについて、順次説明する。
【0029】
画像形成装置1は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)10a、RAM(Random Access Memory)10b、ROM(Read Only Memory)10c、ハードディスク10d、スキャナ10e、印刷装置10f、ネットワークインタフェース10g、タッチパネル10h、モデム10i、および可搬記録媒体インタフェース10jのほか、制御用回路などによって構成される。
【0030】
スキャナ10eは、用紙に記されている写真、文字、絵、図表などの画像を読み取って画像データを生成する装置である。
【0031】
印刷装置10fは、スキャナ10eによって読み取られた画像または他の装置から受信した画像データに示される画像を印刷する。
【0032】
タッチパネル10hには、ユーザへメッセージを与えるための画面、処理の結果を示す画面、またはユーザが画像形成装置1に対して指示を入力するための画面などが表示される。また、タッチパネル10hは、タッチされた(押された)位置を検知し、CPU10aにその位置を通知する。
【0033】
ネットワークインタフェース10gは、通信回線4を介してTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)によって画像処理サーバ2および端末装置3などと通信を行うためのNIC(Network Interface Card)である。
【0034】
モデム10iは、固定電話網を介してG3のプロトコルによって他のファックス端末と通信を行う装置である。
【0035】
ROM10cまたはハードディスク10dには、図3に示すような処理条件受付部101、一次画像処理部102、ステータス情報取得部103、処理時間推測部104、受取タイミング指定受付部105、ファイル格納先決定部106、リンク情報書込部107、一次画像ファイル送信部108、二次画像ファイル受信部121、および二次画像ファイル書込部122などを実現するためのプログラムが記憶されている。これらのプログラムは、必要に応じてRAM10bにロードされ、CPU10aによって実行される。
【0036】
可搬記録媒体インタフェース10jは、可搬な記録媒体を繋ぐためのインタフェースである。以下、可搬な記録媒体としてUSB(Universal Serial Bus)メモリが使用される場合を例に説明する。したがって、可搬記録媒体インタフェース10jとして、USBインタフェースボードが用いられる。
【0037】
画像処理サーバ2は、図4に示すように、CPU20a、RAM20b、ROM20c、ハードディスク20d、およびネットワークインタフェース20eのほか種々の回路などによって構成される。
【0038】
ネットワークインタフェース20eは、通信回線4を介してTCP/IPによって画像形成装置1および端末装置3などと通信を行うためのNICである。
【0039】
ROM20cまたはハードディスク20dには、図5に示すようなステータス情報送信部201、一次画像ファイル受信部202、二次画像処理部203、二次画像ファイル送信部204、二次画像ファイルデータベース205、および二次画像ファイル提供部206などを実現するためのプログラムが記憶されている。これらのプログラムは、必要に応じてRAM20bにロードされ、CPU20aによって実行される。
【0040】
端末装置3は、図6に示すように、CPU30a、RAM30b、ROM30c、ハードディスク30d、ネットワークインタフェース30e、液晶ディスプレイ30f、キーボード30g、ポインティングデバイス30h、および可搬記録媒体インタフェース30iのほか種々の回路などによって構成される。
【0041】
ネットワークインタフェース30eは、通信回線4を介してTCP/IPによって画像形成装置1および画像処理サーバ2などと通信を行うためのNICである。
【0042】
液晶ディスプレイ30fには、ユーザへメッセージを与えるための画面、処理の結果を示す画面、またはユーザが端末装置3に対して指示を入力するための画面などが表示される。
【0043】
キーボード30gおよびポインティングデバイス30hは、ユーザが情報および指令を端末装置3に入力するために用いられる。
【0044】
可搬記録媒体インタフェース30iは、可搬な記録媒体を繋ぐためのインタフェースである。本実施形態では、画像形成装置1の可搬記録媒体インタフェース10jと同様、可搬記録媒体インタフェース30iとしてUSBインタフェースボードが用いられる場合を例に説明する。
【0045】
ROM30cまたはハードディスク30dには、図7に示すようなリンク情報取得部301、二次画像ファイル取得部302、およびリンク情報消去部303などを実現するためのプログラムが記憶されている。これらのプログラムは、必要に応じてRAM30bにロードされ、CPU30aによって実行される。
【0046】
図3、図5、図7に示す各部の機能の全部または一部を回路などのハードウェアのみによって実現してもよい。
【0047】
図8は配信先選択画面SN1の例を示す図、図9は保存フォルダ選択画面SN2の例を示す図、図10は保存形式選択画面SN3の例を示す図、図11はジョブ設定情報70の例を示す図、図12は受取タイミング指定画面SN4の例を示す図である。
【0048】
次に、用紙から画像を読み取ってファイル化しファイルをUSBメモリに保存するジョブ、つまり、いわゆるScan_To_USBジョブを実行する際の、図3に示す画像形成装置1の各部、図5に示す画像処理サーバ2の各部、および図7に示す端末装置3の各部の役割を、順次説明する。
【0049】
図3において、画像形成装置1の処理条件受付部101は、Scan_To_USBジョブの条件およびその実行の指令を受け付けるための処理を、次のように行う。
【0050】
ユーザは、ファイル化(電子データ化)したい画像の記されている用紙およびファイルを保存するUSBメモリ5を持って画像形成装置1のところへ行く。そして、用紙をスキャナ10eにセットし、USBメモリ5を可搬記録媒体インタフェース10jにセットし、所定のコマンドをタッチパネル10hに入力する。
【0051】
すると、処理条件受付部101は、図8のような配信先選択画面SN1をタッチパネル10hに表示させる。ここで、ユーザは、ファイル化された画像(つまり画像ファイル)を保存するデバイス(配信先デバイス)を選択する。本例では、USBメモリ5に保存することが目的なので、ユーザは、「USBメモリ」のボタンを押下して選択する。
【0052】
配信先としてUSBメモリが選択されると、処理条件受付部101は、図9のような保存フォルダ選択画面SN2を表示させる。保存フォルダ選択画面SN2には、USBメモリ5に設けられているフォルダ(ディレクトリ)の一覧が示される。ここで、ユーザは、表示されたフォルダのうちの、画像のファイルを保存するフォルダ(配信先フォルダ)を、それに対応するボタンを押下することによって選択する。
【0053】
すると、処理条件受付部101は、図10のような保存形式選択画面SN3を表示させる。ここで、ユーザは、画像のファイルの所望するフォーマットを、それに対応するボタンを押下することによって選択する。そして、スタートボタンを押すなどして、Scan_To_USBジョブの実行の指令を与える。
【0054】
すると、処理条件受付部101は、配信先選択画面SN1、保存フォルダ選択画面SN2、および保存形式選択画面SN3でそれぞれ選択(指定)された配信先デバイス、配信先フォルダ、およびフォーマットを、Scan_To_USBジョブに関する条件として受け付けるとともに、Scan_To_USBジョブの実行の指令を受け付ける。
【0055】
さらに、処理条件受付部101は、このScan_To_USBジョブに対してユニークなジョブID(identification)を発行する。そして、図11(a)のような、このジョブIDおよび受け付けた各条件の内容のほか一時保存フォルダを示すジョブ設定情報70を生成する。「一時保存フォルダ」とは、画像ファイルが配信デバイスへ保存されるまでの間に一時的に保存されるフォルダである。一時保存フォルダのデフォルトは、画像形成装置1における所定のフォルダの中に設けた、このScan_To_USBジョブの専用のフォルダである。例えば、このScan_To_USBジョブのジョブIDが「J00001」であり、所定のフォルダの名前が「temp」であり、専用のフォルダの名前としてジョブIDを付す場合は、「¥temp¥J00001」というフォルダを一時保存フォルダとする。
【0056】
また、これらの条件および指令が受け付けられると、画像形成装置1によって、Scan_To_USBジョブの各ステップの処理が順次実行される。一部のステップの処理は、画像処理サーバ2によって適宜実行される。
【0057】
Scan_To_USBジョブの最初のステップとして、セットされた用紙がスキャナ10eによってスキャンされ画像データ60が生成される。この画像データ60は、ローデータ(Raw Data)つまりR(Red)、G(Green)、B(Blue)のビットマップデータである。
【0058】
一次画像処理部102は、スキャナ10eによって生成された画像データ60を、所定のフォーマットのファイルに変換する。本実施形態では、アクロバット社のPDFのファイルに変換する。以下、PDFのファイルに変換する処理を「一次画像処理」と記載する。また、変換されたファイルを「一次画像ファイル61」と記載する。
【0059】
ところで、画像形成装置1には、ローデータをPDFのファイルに変換する機能は備わっているが、CompactPDFおよびJPEGのファイルに変換する機能は備わっていない。また、あるアプリケーションの独自のフォーマット(例えば、マイクロソフト社のワープロソフトであるWordのフォーマット。以下、「ワープロフォーマット」と記載する。)のファイルに変換する機能も備わっていない。
【0060】
したがって、図10の保存形式選択画面SN3において、CompactPDF、JPEG、またはワープロフォーマットが選択された場合は、画像形成装置1は、選択されたフォーマットのファイルに変換することができない。そこで、画像形成装置1は、変換の処理を画像処理サーバ2に代行してもらう。
【0061】
図3の説明に戻って、ステータス情報取得部103は、画像処理サーバ2の現在の状況を示すステータス情報71を、画像処理サーバ2に対して要求し取得する。
【0062】
図5において、画像処理サーバ2のステータス情報送信部201は、ステータス情報取得部103からの要求を受け付けると、画像処理サーバ2自身の現在の状況をチェックし、それを示すステータス情報71を画像形成装置1へ送信する。例えば、CPU20aの速度などの仕様および未処理のジョブの一覧などを示すステータス情報71を画像形成装置1へ送信する。
【0063】
図3において、処理時間推測部104は、処理条件受付部101によって条件および指令が受け付けられたScan_To_USBジョブを画像処理サーバ2が完了するまでに要する時間を、ステータス情報取得部103によって取得されたステータス情報71に基づいて次のように推測する。そして、推測した時間(所要時間)が所定の時間α(例えば、1分)を超えるか否かを判別する。
【0064】
処理時間推測部104は、まず、ステータス情報71の中の一覧に示される、画像処理サーバ2が未だ実行していない各処理を実行するのに要する時間を、各処理の内容およびステータス情報71に示される画像処理サーバ2のスペックなどに基づいて、推測する。さらに、このScan_To_USBジョブを構成するステップのうちの未実行の(残りの)ステップを実行するのに要する時間を、これらのステップの内容および画像処理サーバ2のスペックなどに基づいて、推測する。そして、各処理および各ステップの推測した時間の合計を、Scan_To_USBジョブを画像処理サーバ2が完了するまでに要する時間として算出する。
【0065】
受取タイミング指定受付部105は、Scan_To_USBジョブの所要時間が所定の時間αを超える場合は、次のように、画像ファイルを受け取るタイミングを指定するように要求し、タイミングの指定を受け付ける。
【0066】
受取タイミング指定受付部105は、まず、図12のような受取タイミング指定画面SN4を表示させる。
【0067】
ここで、ユーザは、次の2つの選択肢のうちの1つを選択する。1つ目、Scan_To_USBジョブが完了するのを待たずに一旦、USBメモリ5を画像形成装置1から取り外して席に戻り、自分の端末装置3にUSBメモリ5をセットして画像ファイルを受け取る、という選択肢である。つまり、席に戻ってから端末装置3で受け取る、という選択肢である。ユーザは、これを選択する場合は、「はい」のボタンを押す。以下、この選択肢を「選択肢A」と記載する。2つ目は、Scan_To_USBジョブが完了するのを待ち、USBメモリ5に画像ファイルが保存された後でUSBメモリ5を画像形成装置1から取り外す、という選択肢である。つまり、画像形成装置1の場所にいる間に受け取る、という選択肢である。ユーザは、これを選択する場合は、「いいえ」のボタンを押す。以下、この選択肢を「選択肢B」と記載する。
【0068】
そして、受取タイミング指定受付部105は、受取タイミング指定画面SN4で選択された選択肢を受け付ける。
【0069】
ファイル格納先決定部106は、選択肢Aが受取タイミング指定受付部105によって受け付けられた場合に、二次画像ファイル62の格納場所(格納先)を決定する。「二次画像ファイル62」とは、画像処理サーバ2の二次画像処理部203によって一次画像ファイル61を基に生成される画像ファイルである。また、格納場所は、画像処理サーバ2の二次画像ファイルデータベース205に設けられるフォルダである。例えば、このScan_To_USBジョブのジョブIDを付したフォルダ名のフォルダを、格納場所に決定する。二次画像処理部203および二次画像ファイルデータベース205については、後に順次説明する。
【0070】
そして、ファイル格納先決定部106は、図11(b)のように、処理条件受付部101によって生成されたジョブ設定情報70に示される配信先デバイスを「サーバ」に変更し、一時保存フォルダを、決定した格納場所に変更する。
【0071】
リンク情報書込部107は、選択肢Aが選択された場合に、ファイル格納先決定部106によって決定された格納場所のほか画像ファイルをダウンロードする際に使用するプロトコルを示すURL(Uniform Resource Locator)を、リンク情報72としてUSBメモリ5に書き込んで保存する。例えば、格納場所が「server/db/J00001」であってFTPが使用される場合は、「FTP://server/db/J00001」というURLがリンク情報72として保存される。
【0072】
一次画像ファイル送信部108は、一次画像処理部102によって得られた一次画像ファイル61をジョブ設定情報70とともに画像処理サーバ2へ送信することによって、一次画像ファイル61に対して処理を行うように依頼する。
【0073】
図5において、画像処理サーバ2の一次画像ファイル受信部202は、画像形成装置1から一次画像ファイル61およびジョブ設定情報70を受信する。
【0074】
二次画像処理部203は、一次画像ファイル受信部202によって受信された一次画像ファイル61を、それとともに受信されたジョブ設定情報70に示されるフォーマットのファイルに変換する。例えば、ワープロフォーマットがジョブ設定情報70に示される場合は、一次画像ファイル61をワープロフォーマットのファイルに変換する。以下、ジョブ設定情報70に示されるフォーマットに変換する処理を「二次画像処理」と記載する。また、変換された一次画像ファイル61を「二次画像ファイル62」と記載する。
【0075】
二次画像処理によって生成された二次画像ファイル62は、ジョブ設定情報70に示される配信先デバイスが「サーバ」でない場合(例えば、「USBメモリ」である場合)は、二次画像ファイル送信部204によって次の処理が施される。一方、ジョブ設定情報70に示される配信先デバイスが「サーバ」である場合は、二次画像ファイルデータベース205によって次の処理が施される。
【0076】
二次画像ファイル送信部204は、ジョブ設定情報70に示される配信先デバイスが「サーバ」でない場合に、二次画像ファイル62を画像形成装置1へ送信する。
【0077】
二次画像ファイルデータベース205は、ファイル管理システムであって、配信先デバイスが「サーバ」であるScan_To_USBジョブごとに1つずつフォルダが設けられている。生成された二次画像ファイル62は、ジョブ設定情報70に示される一時保存フォルダに保存される。ただし、そのようなフォルダが未だ存在しない場合は、二次画像ファイルデータベース205は、新たにそれを作成し、二次画像ファイル62を保存させる。
【0078】
図3において、画像形成装置1の二次画像ファイル受信部121は、画像処理サーバ2から二次画像ファイル62を受信する。
【0079】
二次画像ファイル書込部122は、受信された二次画像ファイル62を、処理条件受付部101によって受け付けられた、USBメモリ5上のフォルダ(図9の保存フォルダ選択画面SN2で選択されたフォルダ)に書き込む。
【0080】
USBメモリ5に二次画像ファイル62またはリンク情報72が保存されると、USBメモリ5を取り外してもよいことを示すメッセージがタッチパネル10hに表示される。
【0081】
ユーザは、USBメモリ5を取り外して自分の席に戻る。USBメモリ5に二次画像ファイル62が保存されている場合は、端末装置3にUSBメモリ5をセットし、二次画像ファイル62を使用することができる。一方、二次画像ファイル62ではなくリンク情報72が保存されている場合は、次のようにして、画像処理サーバ2から二次画像ファイル62を取得することができる。
【0082】
図7において、リンク情報取得部301は、セットされたUSBメモリ5からリンク情報72を読み出して取得する。
【0083】
二次画像ファイル取得部302は、取得されたリンク情報72に基づいて画像処理サーバ2にアクセスし、リンク情報72に示される一時保存フォルダに保存されている二次画像ファイル62を要求する。
【0084】
すると、画像処理サーバ2の二次画像ファイル提供部206は、要求された二次画像ファイル62を端末装置3へ提供する。このようにして、二次画像ファイル62が端末装置3にダウンロードされ、ユーザは、端末装置3で二次画像ファイル62を使用することができる。なお、未だ一時保存フォルダに保存されていない場合は、所定のタイミングで(例えば、所定の時間が経過するごとに)ダウンロードをリトライする。
【0085】
リンク情報消去部303は、二次画像ファイル取得部302による二次画像ファイル62のダウンロードが完了したら、リンク情報72をUSBメモリ5から消去する。なお、端末装置3にダウンロードされた二次画像ファイル62も、画像処理サーバ2の二次画像ファイルデータベース205から消去してもよい。
【0086】
図13は画像形成装置1の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャート、図14はスキャン開始準備処理の流れの例を説明するフローチャート、図15は画像処理サーバ2の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0087】
次に、画像形成装置1および画像処理サーバ2におけるScan_To_USBジョブの全体的な処理の流れを、図13、図14、および図15のフローチャートを参照しながら説明する。なお、図13および図14に示す処理は画像形成装置1のCPU10aによって実行され、図15に示す処理は画像処理サーバ2のCPU20aによって実行される。
【0088】
画像形成装置1は、所定のコマンドが入力されると、Scan_To_USBジョブの準備のための処理を行う(図13の#131)。この処理は、図14に示す手順で実行される。
【0089】
画像形成装置1には、USBメモリ5および読取りの対象の用紙がセットされる。画像形成装置1は、ユーザの操作に応じて、配信先選択画面SN1、保存フォルダ選択画面SN2、および保存形式選択画面SN3(図8〜図10参照)を順次表示し、Scan_To_USBジョブの条件を受け付ける(図14の#151)。
【0090】
配信先デバイスとして「USBメモリ」が選択され(#152でYes)、かつ、フォーマットとして画像形成装置1で変換不能なものが選択された場合は(#153でYes)、画像形成装置1は、画像処理サーバ2におけるそのフォーマットへの変換処理(二次画像処理)が完了するまでに要する時間(所要時間)を推測する(#154)。
【0091】
所要時間が所定の時間αを超える場合は(#155でYes)、画像形成装置1は、受取タイミング指定画面SN4(図12参照)を表示することによって、画像ファイルの受取りのタイミングを選択するようにユーザに対して促す(#156)。
【0092】
席に戻ってから端末装置3で受け取る選択肢(選択肢A)が選択された場合は(#157でYes)、画像形成装置1は、配信先デバイスを「サーバ」へ変更し、一時保存フォルダを画像処理サーバ2上のこのScan_To_USBジョブ用のフォルダへ変更する(#158)。さらに、そのフォルダのネットワーク上のアドレスおよび画像ファイルの取得に使用するプロトコルを示すURLをリンク情報72としてUSBメモリ5に書き込む(#159)。
【0093】
図13に戻って、画像形成装置1は、Scan_To_USBジョブの条件などの指定を受け付けると、用紙のスキャンを行ってローデータである画像データ60を生成し(#132)、画像データ60に対して一次画像処理を施して一次画像ファイル61を生成する(#133)。
【0094】
ユーザが選択したフォーマットへの変換を画像形成装置1が実行できる場合は(#134でNo)、画像形成装置1がそのフォーマットへの一次画像ファイル61の変換を適宜実行し、USBメモリ5へ書き込む(#135)。
【0095】
一方、ユーザが選択したフォーマットへの変換を画像形成装置1が実行できない場合は(#134でYes)、一次画像ファイル61をジョブ設定情報70とともに画像処理サーバ2へ送信する(#136)。ジョブ設定情報70には、受取タイミング指定画面SN4において選択肢Aが選択された場合は、図11(a)のように、配信先デバイスおよび一時保存フォルダとしてそれぞれ画像処理サーバ2およびそれに設けられるフォルダが示される。選択肢Bが選択された場合は、図11(b)のように、配信先デバイスおよび一時保存フォルダとしてそれぞれUSBメモリおよび画像形成装置1に設けられるフォルダが示される。
【0096】
ジョブ設定情報70に示される配信先デバイスがサーバでない場合は(#137でNo)、一次画像ファイル61の送信後しばらくすると、画像処理サーバ2から二次画像ファイル62が送信されてくる。画像形成装置1は、それを受信すると(#138)、配信先デバイスがUSBメモリである場合は(#139でYes)、セットされているUSBメモリ5上の配信先フォルダへ二次画像ファイル62を書き込む(#140)。一方、配信先デバイスがUSBメモリ以外のデバイスである場合は、そのデバイスへ保存する(#141)。
【0097】
画像処理サーバ2は、イベントが発生するごとに、それに応じた処理を次のように実行する。
【0098】
画像処理サーバ2は、画像形成装置1から一次画像ファイル61およびジョブ設定情報70を受信すると(図15の#231でYes)、ジョブ設定情報70に示されるフォーマットへの変換である二次画像処理を一次画像ファイル61に対して施し、二次画像ファイル62を生成する(#232)。ジョブ設定情報70に示される配信先デバイスがサーバである場合は(#233でYes)、画像処理サーバ2上の、ジョブ設定情報70に示される一時保存フォルダに二次画像ファイル62を保存する(#234)。それ以外のデバイスである場合は(#233でNo)、二次画像ファイル62を画像形成装置1へ送信する(#235)。
【0099】
または、端末装置3から一時保存フォルダに保存されている二次画像ファイル62を要求されると(#236でYes)、それを端末装置3へ送信する(#237)。
【0100】
本実施形態によると、ユーザは、画像処理に時間を要する場合であっても、画像形成装置1のところに長時間留まることなく、二次画像ファイル62をUSBメモリ5に格納させることができる。よって、画像処理装置においてUSBメモリ5を従来よりも便利に使用することができる。
【0101】
本実施形態では、一次画像処理および二次画像処理がともにフォーマットの変換に関する画像処理である場合を例に説明したが、それ以外の画像処理の場合にも、本発明を適用することができる。例えば、二次画像処理がZIP形式へのデータの圧縮の処理である場合にも、適用することができる。この場合は、画像処理サーバ2が未だ処理していない、ZIPへのデータの圧縮の処理の数(ファイル数、文書数)が、所定の個数(例えば、10)以上であれば、処理時間推測部104は、新たなScan_To_USBジョブを画像処理サーバ2が完了するまでに要する時間が所定の時間αを超える場合と判別してもよい。
【0102】
処理時間推測部104によって所要時間を推測しなくても、完了するまでに一定以上の時間を要することが明らかな処理がある。そこで、Scan_To_USBジョブに含まれる二次画像処理が所定のものである場合は、処理時間推測部104による推測の結果に依らず、二次画像ファイル62の受取りのタイミングを選択するようにユーザに対して要求してもよい。
【0103】
例えば、画像形成装置1および画像処理サーバ2の両方がJPEGへのデータの圧縮用のボードを備えておらず画像処理サーバ2がソフトウェアによってJPEGへのデータの圧縮を行う場合において、JPEGへのデータの圧縮のステップを含むScan_To_USBジョブをユーザから指令されたときは、画像形成装置1は、二次画像ファイル62の受取りのタイミングを選択するようにユーザに対して要求してもよい。
【0104】
または、画像処理サーバ2がデータをBTC(Block Truncation Coding)で圧縮しさらにJBIG(Joint Bi-level Image experts Group)で圧縮する処理をソフトウェアで行う場合において、カラー画像の画像ファイルをBTCおよびJBIGで圧縮するステップを含むScan_To_USBジョブをユーザから指令されたときは、画像形成装置1は、二次画像ファイル62の受取りのタイミングを選択するようにユーザに対して要求してもよい。
【0105】
本実施形態では、画像処理サーバ2の二次画像ファイルデータベース205には、Scan_To_USBジョブごとに1つのフォルダが設けられた。よって、リンク情報72にファイル名が含まれていなくても、ファイルを1つに特定(識別)することができた。1つのフォルダを複数のScan_To_USBジョブで共用する場合は、二次画像ファイル62のファイル名がURLに示されるようにすればよい。ファイル名は、画像形成装置1のファイル格納先決定部106が決定してもよいし、画像処理サーバ2が決定した後、画像形成装置1に通知してもよい。
【0106】
本実施形態では、USBメモリ5にリンク情報72または二次画像ファイル62を格納する場合を例に説明したが、他の可搬型の記録媒体に格納する場合にも、本発明を適用することができる。例えば、CD−R、SDカード、ICカード、またはポータブルハードディスクドライブなど種々の形態または方式の可搬型の記録媒体を用いる場合にも、適用することができる。携帯電話端末を用いる場合は、画像形成装置1は、インタフェースとしてUSBの代わりにBluetoothによって携帯電話端末との通信を行ってもよい。
【0107】
本実施形態では、スキャンした画像のデータを処理対象にしたが、ボックスに保存されている画像ファイルを処理対象にする場合にも、本発明を適用することができる。
【0108】
本実施形態では、二次画像処理を行うのに一定以上の時間を要すると判断された場合に、二次画像ファイル62の代わりにリンク情報72を一時的にUSBメモリ5に記憶させるか否かを選択させたが、一次画像処理を行うのに一定以上の時間を要する場合にも選択させてもよい。
【0109】
または、二次画像処理を行うのに一定以上の時間を要すると判断された場合には、ユーザに選択を行わせることなく強制的に、二次画像ファイル62ではなくリンク情報72を一時的にUSBメモリ5に記憶させるようにしてもよい。
【0110】
本実施形態では、画像処理サーバ2が二次画像ファイル62を端末装置3へ送信したが、二次画像ファイル62を画像処理サーバ2から画像形成装置1へ送信し、画像形成装置1が端末装置3へ二次画像ファイル62を送信するようにしてもよい。また、二次画像ファイル62のやり取りを行うためのプロトコルとしてFTPを用いたが、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)を用いてもよい。
【0111】
図16は配信方法変更画面BW1の例を示す図、図17は電子メールアドレス指定画面BW2の例を示す図、図18は共有設定画面BW3の例を示す図である。
【0112】
ユーザが自分の席に戻り、USBメモリ5を端末装置3にセットし、リンク情報72に基づいて二次画像ファイル62をダウンロードしようとしても、二次画像ファイル62の生成が未だ画像処理サーバ2において完了していない場合がある。このような場合のユーザにとっての利便性を高めるために、ネットワークシステムNSを次のように構成してもよい。
【0113】
端末装置3は、リンク情報72に対応する二次画像ファイル62を画像処理サーバ2から取得できない場合に、図16のような配信方法変更画面BW1を表示する。ここで、ユーザは、FTPに代えて電子メール(E−Mail)またはSMBで二次画像ファイル62を取得できるように設定を行うことができる。なお、配信方法変更画面BW1には、二次画像ファイル62の生成が完了すると予測される日時(予測完了時刻)が示されるが、これは、画像処理サーバ2に溜まっているジョブの内容および画像処理サーバ2のスペックなどに基づいて画像処理サーバ2または端末装置3が算出すればよい。予測完了時刻だけでなく、他のジョブの処理の状況など、二次画像ファイル62が生成されるまでの画像処理サーバ2全体の進捗状況を表示してもよい。
【0114】
ユーザは、電子メールで二次画像ファイル62を取得したい場合は、「E−Mail」のボタンを押す。すると、端末装置3は、図17のような電子メールアドレス指定画面BW2を表示する。ここで、ユーザは、二次画像ファイル62の配信先の電子メールアドレスを指定する。
【0115】
端末装置3は、指定された電子メールアドレスを画像処理サーバ2へ通知する。すると、画像処理サーバ2の二次画像ファイル提供部206は、二次画像ファイル62が生成されたら、二次画像ファイル62を添付した電子メールを、通知された電子メールアドレスへ宛てて送信する。
【0116】
または、ユーザは、SMBで二次画像ファイル62を取得したい場合は、「SMB配信」のボタンを押す。すると、端末装置3は、図18のような共有設定画面BW3を表示する。SMBによってUSBメモリ5にファイルを書き込むには、USBメモリ5をネットワーク上で共有しなければならない。そこで、ユーザは、USBメモリ5を共有してもよいと判断した場合は「OK」のボタンを押す。すると、端末装置3は、USBメモリ5に対して共有の設定を行う。
【0117】
画像処理サーバ2の二次画像ファイル提供部206は、二次画像ファイル62が生成されたら、端末装置3にアクセスし、端末装置3にセットされているUSBメモリ5にSMBによって二次画像ファイル62を書き込む。端末装置3は、二次画像ファイル62がUSBメモリ5に書き込まれたら、共有の設定を解除する。
【0118】
その他、ネットワークシステムNS、画像形成装置1、画像処理サーバ2、端末装置3の全体または各部の構成、処理内容、処理順序、データベースの構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0119】
NS ネットワークシステム(画像データ取扱システム)
1 画像形成装置(画像処理システム)
10e スキャナ(画像データ取得手段)
104 処理時間推測部(所要時間推測手段)
105 受取タイミング指定受付部(選択手段)
107 リンク情報書込部(識別情報記憶制御手段)
108 一次画像ファイル送信部(特定画像処理依頼手段)
121 二次画像ファイル受信部(画像データ受信手段)
122 二次画像ファイル書込部(画像データ記憶制御手段)
2 画像処理サーバ(画像処理システム)
203 二次画像処理部(特定処理手段)
206 二次画像ファイル提供部(画像データ送信手段)
3 端末装置
301 リンク情報取得部(識別情報読出手段)
302 二次画像ファイル取得部(画像データ要求手段)
5 USBメモリ(可搬な記録媒体)
62 二次画像ファイル(第二の画像データ)
72 リンク情報(識別情報)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに対して特定の処理を行う画像処理システムと端末装置とによって構成される画像データ取扱システムであって、
前記画像処理システムには、
第一の画像データに対して特定の処理を施すことによって第二の画像データを生成する特定処理手段と、
前記第二の画像データを可搬型の記録媒体に記憶させることが指定されている場合に、前記第二の画像データが生成されるのに要する時間である所要時間を推測する所要時間推測手段と、
推測された前記所要時間が所定の時間を超える場合に、前記第二の画像データの代わりに、前記第二の画像データを取得するための識別情報を、前記記録媒体に記憶させるか否かをユーザに選択させる選択手段と、
前記識別情報を記憶させないことが選択された場合に、前記第二の画像データが生成されるのを待って、前記第二の画像データを前記記録媒体に記憶させる、画像データ記憶制御手段と、
前記識別情報を記憶させることが選択された場合に、前記記録媒体に前記第二の画像データの記憶場所を含む前記識別情報を記憶させ、当該第二の画像データが生成されたら当該第二の画像データを画像データ記憶手段に記憶させる、識別情報記憶制御手段と、
が設けられており、
前記端末装置には、
前記記録媒体から前記識別情報を読み出す識別情報読出手段と、
読み出された前記識別情報に基づいて前記第二の画像データを前記画像処理システムに対して通信回線を介して要求する画像データ要求手段と、が設けられており、
前記画像処理システムには、さらに、
前記端末装置からの要求に応じて、前記画像データ記憶手段に記憶されている前記第二の画像データを前記端末装置へ送信する、画像データ送信手段、が設けられている、
ことを特徴とする画像データ取扱システム。
【請求項2】
前記画像処理システムは、画像形成装置と画像処理サーバとによって構成され、
前記特定処理手段は、前記画像処理サーバに設けられており、前記画像形成装置より受信した前記第一の画像データに対して前記特定の処理を施す、
請求項1記載の画像データ取扱システム。
【請求項3】
前記画像処理システムは、画像形成装置により構成される、
請求項1記載の画像データ取扱システム。
【請求項4】
前記画像データ送信手段は、前記第二の画像データを要求された際に未だ前記第二の画像データが生成されていない場合は、前記ユーザによって指定された方法で、前記第二の画像データが生成された後に前記第二の画像データを送信する、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像データ取扱システム。
【請求項5】
第一の画像データに対して特定の処理を施すことによって第二の画像データを生成する特定処理手段と、
前記第二の画像データを可搬型の記録媒体に記憶させることが指定されている場合に、前記第二の画像データが生成されるのに要する時間である所要時間を推測する所要時間推測手段と、
推測された前記所要時間が所定の時間を超える場合に、前記第二の画像データの代わりに、前記第二の画像データを取得するための識別情報を、前記記録媒体に記憶させるか否かをユーザに選択させる選択手段と、
前記識別情報を記憶させないことが選択された場合に、前記第二の画像データが生成されるのを待って、前記第二の画像データを前記記録媒体に記憶させる、画像データ記憶制御手段と、
前記識別情報を記憶させることが選択された場合に、前記記録媒体に当該第二の画像データの記憶場所を含む前記識別情報を記憶させ、当該第二の画像データが生成されたら当該第二の画像データを画像データ記憶手段に記憶させる、識別情報記憶制御手段と、
端末装置からの要求に応じて、前記画像データ記憶手段に記憶されている前記第二の画像データを前記端末装置へ通信回線を介して送信する画像データ送信手段と、
を有することを特徴とする画像処理システム。
【請求項6】
前記画像処理システムは、画像形成装置と画像処理サーバとによって構成され、
前記特定処理手段は、前記画像処理サーバに設けられており、前記画像形成装置より受信した前記第一の画像データに対して前記特定の処理を施す、
請求項5記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記画像処理システムは、画像形成装置により構成される、
請求項5記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記画像データ送信手段は、前記第二の画像データを要求された際に未だ前記第二の画像データが生成されていない場合は、前記ユーザによって指定された方法で、前記第二の画像データが生成された後に前記第二の画像データを送信する、
請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の画像処理システム。
【請求項9】
第一の画像データを取得する画像データ取得手段と、
取得された前記第一の画像データに対して特定の処理を施すことによって第二の画像データを生成するように他の処理装置に対して依頼する特定画像処理依頼手段と、
前記第二の画像データを可搬型の記録媒体に記憶させることが指定されている場合に、前記第二の画像データが生成されるのに要する時間である所要時間を推測する所要時間推測手段と、
推測された前記所要時間が所定の時間を超える場合に、前記第二の画像データの代わりに、前記第二の画像データを取得するための識別情報を、前記記録媒体に記憶させるか否かをユーザに選択させる選択手段と、
前記第二の画像データを前記他の処理装置から受信する画像データ受信手段と、
前記識別情報を記憶させないことが選択された場合に、前記第二の画像データが前記他の処理装置から送信されてくるのを待って、前記第二の画像データを前記記録媒体に記憶させる、画像データ記憶制御手段と、
前記識別情報を記憶させることが選択された場合に、前記記録媒体に前記第二の画像データの記憶場所を含む前記識別情報を記憶させ、当該第二の画像データが受信されたら当該第二の画像データを画像データ記憶手段に記憶させる、識別情報記憶制御手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
第一の画像データに対して特定の処理を施すことによって生成される第二の画像データを、可搬な記録媒体を用いてユーザに提供する、画像データ提供方法であって、
画像処理システムに、
前記第二の画像データを前記記録媒体に記憶させることが指定されている場合に、前記第二の画像データが生成されるのに要する時間である所要時間を推測する処理を実行させ、
推測された前記所要時間が所定の時間を超える場合に、前記第二の画像データを取得するための識別情報を前記第二の画像データの代わりに前記記録媒体に記憶させるか否かをユーザに選択させる処理を実行させ、
前記第二の画像データを生成する処理を実行させ、
前記識別情報を記憶させないことが選択された場合に、前記第二の画像データが生成されるのを待って、前記第二の画像データを前記記録媒体に記憶させる処理を実行させ、
前記識別情報を記憶させることが選択された場合に、前記記録媒体に前記第二の画像データの記憶場所を含む前記識別情報を記憶させ、当該第二の画像データが生成されたら当該第二の画像データを画像データ記憶手段に記憶させる処理を実行させ、
端末装置に、
前記記録媒体から前記識別情報を読み出す処理を実行させ、
読み出された前記識別情報に基づいて前記第二の画像データを前記画像処理システムに対して通信回線を介して要求する処理を実行させ、
前記画像処理システムに、
前記端末装置からの要求に応じて、前記画像データ記憶手段に記憶されている前記第二の画像データを前記端末装置へ送信する処理を実行させる、
ことを特徴とする画像データ提供方法。
【請求項11】
前記画像処理システムは、画像形成装置と画像処理サーバとによって構成され、
前記画像処理サーバは、前記画像形成装置より受信した前記第一の画像データに対して前記特定の処理を施す、
請求項10記載の画像データ提供方法。
【請求項12】
前記画像処理システムは、画像形成装置により構成される、
請求項10記載の画像データ提供方法。
【請求項13】
前記第二の画像データを要求された際に未だ前記第二の画像データが生成されていない場合に、前記ユーザによって指定された方法で、前記第二の画像データが生成された後に前記第二の画像データを送信する処理を、前記画像処理システムに実行させる、
請求項10ないし請求項12のいずれかに記載の画像データ提供方法。
【請求項14】
画像データを取り扱う画像処理装置に用いられるコンピュータプログラムであって、
前記画像処理装置に、
第一の画像データを取得する取得処理を実行させ、
取得された前記第一の画像データに対して特定の処理を施すことによって第二の画像データを生成するように他の処理装置に対して依頼する依頼処理を実行させ、
前記第二の画像データを可搬型の記録媒体に記憶させることが指定されている場合に、前記第二の画像データが生成されるのに要する時間である所要時間を推測する処理を実行させ、
推測された前記所要時間が所定の時間を超える場合に、前記第二の画像データの代わりに、前記第二の画像データを取得するための識別情報を、前記記録媒体に記憶させるか否かをユーザに選択させる選択処理を実行させ、
前記識別情報を記憶させないことが選択された場合に、前記第二の画像データが前記他の処理装置から送信されてくるのを待って、前記第二の画像データを前記記録媒体に記憶させる、第二の記憶制御処理を実行させ、
前記識別情報を記憶させることが選択された場合に、前記記録媒体に前記第二の画像データの記憶場所を含む前記識別情報を記憶させ、当該第二の画像データが前記他の処理装置から送信されてきたら当該第二の画像データを画像データ記憶手段に記憶させる、第三の記憶制御処理を実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−71578(P2011−71578A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218549(P2009−218549)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】