説明

画像データ記録装置および方法ならびに画像データ再生装置および方法

【目的】画像データの不正利用を未然に防止する。
【構成】メモリ・カード30には,メモリ・カード30に固有のメディアIDが記録されており,カメラの装置ID11には,カメラに固有の装置IDが記憶されている。画像データおよび音声データが得られると,それらのデータは,装置IDを暗号化鍵として第1回目の暗号化が行われる。暗号化されたデータは,メディアIDを暗号化鍵として第2回目の暗号化が行われ,二重の暗号化が行われる。再生時には,メモリ・カードからメディアIDが読み取られ,第1回目の復号が行われる。さらに,装置IDが装置IDメモリ11から読み取られ,復号鍵として第2回目の復号が行われる。IDは,いずれも書き換え不能であり,それらのIDを用いなければ復号できないので,データを不正にコピーしても復号できず,データの不正利用を未然に防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,着脱自在な記録媒体に画像データを記録する装置および方法ならびに着脱自在な記録媒体に記録されている画像データを再生する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタル・スチル・カメラなどの画像データ記録装置においては,画像データは,メモリ・カードなどに記録されることが多い。メモリ・カードは,ディジタル・スチル・カメラから着脱自在であるから,カメラからメモリ・カードを抜き,メモリ・カードに記録されている画像データを不正コピーして利用することも考えられる。
【0003】
このような不正コピーは,画像データのみならず音声データについても同様である。
【発明の開示】
【0004】
この発明は,画像データの不正利用を未然に防止することを目的とする。
【0005】
第1の発明は,着脱自在な記録媒体に画像データを記録する画像データ記録装置において,上記記録媒体に記録されている,上記記録媒体に固有の第1の識別符号を読み取る読み取り手段,画像データ記録装置に固有の第2の識別符号または上記読み取り手段によって読み取られた上記第1の識別符号の一方の識別符号を用いて画像データを暗号化する第1の暗号化手段,上記第1の識別符号または上記第2の識別符号の他方の識別符号を用いて,上記第1の暗号化手段によって暗号化された画像データをさらに暗号化する第2の暗号化手段,および上記第2の暗号化手段によって暗号化された画像データを上記記録媒体に記録する記録制御手段を備えていることを特徴とする。
【0006】
第1の発明は,上記装置に適した方法も提供している。すなわち,この方法は,着脱自在な記録媒体に画像データを記録する画像データ記録装置において,上記記録媒体に記録されている,上記記録媒体に固有の第1の識別符号を読み取り,画像データ記録装置に固有の第2の識別符号または読み取られた上記第1の識別符号の一方の識別符号を用いて画像データを暗号化し,上記第1の識別符号または上記第2の識別符号の他方の識別符号を用いて,暗号化された画像データをさらに暗号化し,さらに暗号化された画像データを上記記録媒体に記録するものである。
【0007】
第1の発明によると,画像データ記録装置に着脱自在な記録媒体には,記録媒体固有の第1の識別符号(シリアル・ナンバなど,固有のID)が記録されており,その第1の識別符号が読み取られる。
【0008】
画像データは,読み取られた第1の識別符号または画像データ記録装置に固有の第2の識別符号のどちらか一方の識別符号を用いて暗号化される。暗号化された画像データは,第1の識別符号または第2の識別符号のうち他方の識別符号を用いてさらに暗号化される。さらに暗号化された画像データが記録媒体に記録される。
【0009】
画像データは,第1の識別符号および第2の識別符号を用いて二重に暗号化されているので,第1の識別符号および第2の識別符号の両方の識別符号が分からなければ,元の画像データに復号できない。画像データの不正利用を未然に防止することができる。
【0010】
記録媒体に記録されている固有の第1の識別符号は,書き換え不能な領域に記録されており,書き換えることはできない。また記録媒体に記録されている画像データをコピーしても,書き換え不能な領域に記録されている第1の識別符号はコピーされない。このような第1の識別符号を用いて画像データを暗号化しているから,画像データを不正コピーしても,不正コピーしたユーザには,第1の識別符号の内容が分からず,復号することができない。画像データの不正利用を未然に防止することができる。
【0011】
第1の発明に,以下に述べる第2の発明にもとづく再生機能を付加するようにしてもよい。
【0012】
第2の発明は,上記第1の発明にもとづいて記録された画像データを再生するものである。すなわち,第2の発明は,着脱自在な記録媒体に記録されている画像データを再生する画像データ再生装置において,上記記録媒体に記録されている,上記記録媒体に固有の第1の識別符号を読み取る第1の読み取り手段,画像データ記録装置に固有の第2の識別符号または上記第1の読み取り手段によって読み取られた第1の識別符号の一方の識別符号を用いて暗号化された画像データがさらに,他方の識別符号を用いて暗号化されている画像データを上記記録媒体から読み取る第2の読み取り手段,上記第1の識別符号または上記第2の識別符号の一方の識別符号を用いて,上記第2の読み取り手段によって読み取られた画像データを復号する第1の復号手段,および上記第1の識別符号または上記第2の識別符号の他方の識別符号を用いて,上記第1の復号手段によって復号された画像データをさらに復号する第2の復号手段を備えていることを特徴とする。
【0013】
第2の発明は,上記装置に適した方法も提供している。すなわち,この方法は,着脱自在な記録媒体に記録されている画像データを再生する画像データ再生装置において,上記記録媒体に記録されている,上記記録媒体に固有の第1の識別符号または画像データ記録装置に固有の第2の識別符号の一方の識別符号を用いて暗号化された画像データがさらに,他方の識別符号を用いて暗号化されている画像データを上記記録媒体から読み取り,上記第1の識別符号または上記第2の識別符号の一方の識別符号を用いて,読み取られた画像データを復号し,上記第1の識別符号または上記第2の識別符号の他方の識別符号を用いて,上記復号された画像データをさらに復号するものである。
【0014】
第2の発明によると,記録媒体に記録されている第1の識別符号が読み取られる。第1の識別符号または画像データ記録装置に固有の第2の識別符号の一方の識別符号を用いて,記録媒体に記録されている二重に暗号化された画像データが暗号化される。暗号化された画像データは,第1の識別符号または第2の識別符号の他方の識別符号を用いて復号される。
【0015】
暗号化された画像データを元の画像データに復号して再生することができるようになる。
【0016】
第3の発明による画像データ記録装置は,着脱自在な記録媒体に画像データを記録する画像データ記録装置において,上記記録媒体に記録されている,上記記録媒体に固有の識別符号を読み取る読み取り手段,上記読み取り手段によって読み取られた識別符号を用いて画像データを暗号化する画像データ暗号化手段,上記読み取り手段によって読み取られた識別符号を用いて上記画像データと関連した音データを暗号化する音データ暗号化手段,ならびに上記画像データ暗号化手段によって暗号化された画像データ,上記音データ暗号化手段によって暗号化された音データおよび画像データと音データとの関連を表すリンク・データを上記記録媒体に記録する記録制御手段を備えていることを特徴とする。
【0017】
第3の発明は,上記装置に適した方法も提供している。すなわち,着脱自在な記録媒体に画像データを記録する画像データ記録装置において,上記記録媒体に記録されている,上記記録媒体に固有の識別符号を読み取り,読み取られた識別符号を用いて画像データおよび上記画像データと関連した音データを暗号化し,暗号化された画像データ,暗号化された画像データ,暗号化された音データおよび画像データと音データとの関連を表すリンク・データを上記記録媒体に記録するものである。
【0018】
第3の発明によると,上記記録媒体に固有の識別符号が読み取られる。読み取られた識別符号を用いて画像データおよびこの画像データに関連した音データがそれぞれ暗号化される。暗号化された画像データ,暗号化された音データおよび画像データと音データとの関連を表すリンク・データが記録媒体に記録される。
【0019】
再生するときには,記録媒体から識別符号が読み取られる。また,暗号化された画像データまたは暗号化された音データの一方のデータが記録媒体から読み取られ,識別符号を用いて復号される。さらに,リンク・データが記録媒体から読み取られ,復号された画像データまたは音データに関連し,暗号化された音データまたは暗号化された画像データの他方のデータが記録媒体から読み取られる。読み取られた音データまたは画像データの他方のデータが復号される。
【0020】
第3の発明においても記録媒体に固有の識別符号が分からなければ,画像データおよび音データのいずれも復号することができない。不正コピーしたユーザが復号し,画像データおよび音データを不正利用することを未然に防止できる。
【0021】
第3の発明に,以下に述べる第4の発明にもとづく再生機能を付加してもよい。
【0022】
第4の発明は,上記第3の発明により記録された画像データおよび音データを再生するものである。すなわち,第4の発明は,着脱自在な記録媒体に記録されている画像データを再生する画像データ再生装置において,上記記録媒体に記録されている,上記記録媒体に固有の識別符号を読み取る識別符号読み取り手段,上記識別符号を用いて暗号化されている画像データまたは上記識別符号を用いて暗号化されている音データの一方のデータを上記記録媒体から読み取る第1のデータ読み取り手段,上記第1のデータ読み取り手段によって読み取られた画像データまたは音データを,上記識別符号読み取り手段によって読み取られた識別符号を用いて復号する第1の復号手段,上記読み取り手段によって読み取られた画像データまたは音データの一方のデータについての音データまたは画像データとの関連を表すリンク・データを上記記録媒体から読み取るリンク・データ読み取り手段,上記リンク・データ読み取り手段によって読み取られたリンク・データによって関連づけられる,暗号化された音データまたは画像データの他方のデータを上記記録媒体から読み取る第2のデータ読み取り手段,および上記第2のデータ読み取り手段によって読み取られた音データまたは画像データを上記識別符号を用いて復号する第2の復号手段を備えていることを特徴とする。
【0023】
第4の発明は,上記装置に適した方法も提供している。すなわち,この方法は,着脱自在な記録媒体に記録されている画像データを再生する画像データ再生装置において,上記記録媒体に記録されている,上記記録媒体に固有の識別符号および上記識別符号を用いて暗号化されている画像データまたは上記識別符号を用いて暗号化されている音データの一方のデータを上記記録媒体から読み取り,読み取られた画像データまたは音データを,読み取られた識別符号を用いて復号し,読み取られた画像データまたは音データの一方のデータについての音データまたは画像データとの関連を表すリンク・データを上記記録媒体から読み取り,読み取られたリンク・データによって関連づけられる,暗号化された音データまたは画像データの他方のデータを上記記録媒体から読み取り,読み取られた音データまたは画像データを上記識別符号を用いて復号するものである。
【0024】
第4の発明によると,互いに関連し,暗号化された画像データおよび音データを復号することができる。しかもリンク・データにもとづいて画像データおよび音データのうち一方のデータから他方のデータを読み出すことができるようになる。
【0025】
上記リンク・データも,上記識別符号により暗号化されていてもよい。この場合,上記リンク・データ読み取り手段によって読み取られたリンク・データを,上記識別符号を用いて復号する第3の復号手段が設けられることとなろう。
【0026】
リンク・データを復号することにより,初めて画像データまたは音データに関連した音データまたは画像データがあることが分かる。
【実施例】
【0027】
図1は,この発明の実施例を示すもので,ディジタル・スチル・カメラの電気的構成を示すブロック図である。
【0028】
この実施例によるディジタル・スチル・カメラは,撮像によって得られた画像データ(および必要であれば音声データも)が,カメラに固有の装置IDを用いて暗号化され,かつ暗号化された画像データが,メモリ・カード30に固有のメディアIDを用いて暗号化される。暗号化された画像データがメモリ・カード30に記録される。2つの固有のIDを利用して画像データ等を暗号化するので,それらの2つの固有のIDが分からなければ復号できない。メモリ・カード30に記録された画像データ等の不正利用を未然に防止することができる。さらに詳細は,以下の説明によって明らかとなろう。
【0029】
ディジタル・スチル・カメラの全体の動作は,システム制御回路10によって統括される。
【0030】
システム制御回路10には,カメラに固有の装置IDを記憶した装置IDメモリ11が接続されている。装置IDメモリ11は,不揮発性メモリであり,装置IDの書き換えはできない。
【0031】
撮像レンズ12によって被写体像がCCD13の受光面上に結像する。CCD13から被写体像を表す映像信号が出力される。被写体像を表す映像信号は,CDS(相関二重サンプリング)/ゲイン・コントロール回路14において,相関二重サンプリング処理および利得調整処理が行われ,アナログ/ディジタル変換回路15に入力する。
【0032】
アナログ/ディジタル変換回路15において変換された画像データは,メモリ制御回路16を単に通過して再生回路18に入力する。再生回路18において所定の再生処理が行われ,表示用の映像信号が出力されることとなる。再生回路18から出力された映像信号が表示装置に与えられることにより,撮像によって得られた被写体像が可視表示される。
【0033】
シャッタ・レリーズ・ボタン(図示略)が押されると,上述のようにしてアナログ/ディジタル変換回路15から出力された画像データは一時的に画像メモリ17に記憶される。画像データは画像メモリ17から読み出され,メモリ制御回路16およびシステム制御回路10を介して圧縮/伸長回路19に入力する。圧縮/伸長回路19においてJPEG(joint photographic coding experts group )などの画像データの圧縮処理が行われる。圧縮された画像データが,システム制御回路10およびカード制御回路20を介してメモリ・カード30に与えられ,アドレス制御信号によって指定されるアドレスをもつ記録領域に記録される。
【0034】
この実施例によるディジタル・スチル・カメラは,音声を表す音声データもメモリ・カード30に記録することができる。このために,ディジタル・スチル・カメラには,マイクロフォン21が設けられている。マイクロフォン21に入力した音声は,マイクロフォン21によってアナログの音声信号に変換されて出力される。マイクロフォン21から出力された音声信号は,増幅回路22において増幅され,アナログ/ディジタル変換回路23において,ディジタル音声データに変換される。ディジタル音声データがメモリ制御回路16を単に通過して再生回路18において所定の再生処理が行われ再生信号として出力される。再生信号がスピーカ等に与えられることにより,音声が出力される。
【0035】
録音ボタン(図示略)が押されると,上述のようにしてアナログ/ディジタル変換回路23から出力された音声データは,メモリ制御回路16およびシステム制御回路10を介して圧縮/伸長回路19においてMP3(MPEG Audio Layer−3)などの音声圧縮が行われる。圧縮された音声データは,システム制御回路10およびカード制御回路20を介してメモリ・カード30に記録される。音声データも画像データと同様に,アドレス制御信号によって指定されるアドレスをもつ記録領域に記録されるのはいうまでもない。
【0036】
さらに,システム制御回路10は,画像データおよび音声データを暗号化する機能および復号する機能も有している。詳しくは後述するように暗号化された画像データおよび音声データがメモリ・カード30に記録され,暗号化された画像データおよび音声データが復号され再生されることとなる。
【0037】
この実施例によるディジタル・スチル・カメラは,再生機能も有している。
【0038】
画像再生モードが設定されると,メモリ・カード30に記録されている画像データがカード制御回路20により読み取られる。画像データは,カード制御回路20およびシステム制御回路10を介して圧縮/伸長回路19においてデータ伸長される。伸長された画像データはシステム制御回路10およびメモリ制御回路16を介して再生回路18に与えられ,再生された映像信号が出力される。
【0039】
音声再生モードが設定されると,メモリ・カード30に記録されている音声データが読み取られる。読み取られた音声データは,カード制御回路20およびシステム制御回路10を介して圧縮/伸長回路19に入力する。音声データが圧縮/伸長回路19において,データ伸長される。伸長された音声データが,システム制御回路10およびメモリ制御回路16を介して再生回路18に与えられることにより,再生された音声信号が出力されることとなる。
【0040】
図2は,メモリ・カード30の電気的構成を示すブロック図である。
【0041】
メモリ・カード30には,メディアID記録領域32およびデータ記録領域33が含まれている。メディアID記録領域32には,不揮発性メモリが利用され,メモリ・カード30に固有のIDを書き換え不能に記録している。データ記録領域33は,画像データおよび音声データを書き換え可能に記録するものである。
【0042】
メモリ・カード30にはさらにアドレス制御回路31が含まれている。アドレス制御回路31によって,カード制御回路20から与えられるアドレス制御信号にもとづいて指定されるアドレスに,画像データおよび音声データがデータ記録領域33に書き込まれ,またデータ記録領域33に記録されている画像データおよび音声データが読み取られる。また,メディアID記録領域32に記録されているデータのうち,アドレス制御回路31から出力されるアドレス制御信号によって指定されるアドレスに記憶されているメディアIDが読み取られる。
【0043】
図3は,メモリ・カード30に含まれるデータ記録領域を示している。
【0044】
データ記録領域には,画像ヘッダ記録領域,音声ヘッダ記録領域,画像データ記録領域および音声データ記録領域が含まれている。
【0045】
画像ヘッダ記録領域には,画像データ記録領域に記録されている画像データが格納されている画像ファイルの画像ファイル名,その画像ファイルの開始アドレスおよび終了アドレスが,画像ファイルごとに記録される。
【0046】
音声ヘッダ記録領域には,音声データ記録領域に記録されている音声データが格納されている音声ファイルの音声ファイル名,その音声ファイルの開始アドレスおよび終了アドレスが,音声ファイルごとに記録される。
【0047】
画像データ記録領域には,上述のようにしてディジタル・スチル・カメラから与えられた画像データが画像ファイルごとに記録される。後述するように,画像データと関連する音声データがある場合には,画像ファイルの画像データの終了を示すEOI(End of Image)以降に,リンク・データを付加することもできる。
【0048】
音声データ記録領域には,上述のようにしてディジタル・スチル・カメラから与えられた音声データが音声ファイルごとに記録される。
【0049】
図4は,ディジタル・スチル・カメラの記録処理を示すフローチャートである。
【0050】
まず,装置IDメモリ11に記憶されている装置IDが読み取られる(ステップ41)。さらに,被写体を撮像することにより画像データを得,かつマイクロフォン21から音声を入力することにより音声データが得られる(ステップ42)。撮像によって得られた画像データは,画像メモリ17に一時的に記憶され,かつ音声データは,音声メモリ24に一時的に記憶される。画像メモリ17から画像データが読み取られ,システム制御回路10に入力する。システム制御回路10において,読み取られた装置IDを暗号化鍵として画像データの第1回目の暗号化が行われる(ステップ43)。暗号化された画像データは,画像メモリ17に与えられ,再び記憶される。また,音声メモリ24から音声データが読み取られ,システム制御回路10において装置IDを暗号化鍵として第1回目の暗号化が行われる(ステップ43)。暗号化された音声データは,音声メモリ24に与えられ,再び記憶される。
【0051】
また,メモリ・カード30のメディア記録領域に記録されているメディアIDが読み取られ,システム制御回路10に与えられる(ステップ44)。
【0052】
第1回目の暗号化された画像データが画像メモリ17から読み取られ,システム制御回路10に入力する。システム制御回路10において,暗号化された画像データがメディアIDを暗号化鍵として第2回目の暗号化が行われる(ステップ45)。また,第1回目の暗号化された音声データが音声メモリ24から読み取られ,システム制御回路10に入力する。システム制御回路10において,暗号化された音声データがメディアIDを暗号化鍵として第2回目の暗号化が行われる(ステップ45)。
【0053】
第2回目の暗号化が行われた画像データおよび第2回目の暗号化が行われた音声データは,カード制御回路20を介してメモリ・カード30に与えられ,データ記録領域に記録される(ステップ46)。
【0054】
もちろん,必要に応じて画像データおよび音声データの圧縮処理が行われるのはいうまでもない。圧縮された画像データおよび音声データを暗号化してもよい。また,上述した実施例では,画像データおよび音声データの両方を暗号化しているが,一方のデータのみを暗号化してもよい。
【0055】
図5は,ディジタル・スチル・カメラの再生処理の手順を示すフローチャートである。
【0056】
再生すべき画像データおよび音声データの少なくとも一方のデータが格納されているメモリ・カード30がディジタル・スチル・カメラに装填される。メモリ・カード30のメディアID記録領域からメディアIDが読み取られる(ステップ51)。また,メモリ・カード30のデータ記録領域に記録されている暗号化された画像データおよび音声データが読み取られ,画像データは画像メモリ17に,音声データは音声メモリ24にそれぞれ一時的に記憶される。
【0057】
画像メモリ17から暗号化された画像データが読み取られ,システム制御回路10に与えられる。メモリ・カード30から読み取られたメディアIDもシステム制御回路10に与えられ,メディアIDを復号鍵として,画像データが復号される(第1回目の復号,ステップ52)。復号された画像データは,画像メモリ17に与えられ,再び記憶される。
【0058】
同様にして,音声メモリ17から暗号化された音声データが読み取られ,システム制御回路10に与えられる。システム制御回路10において,メディアIDを復号鍵として音声データが復号される(第1回目の復号,ステップ52)。復号された音声データは,音声メモリ24に与えられ,再び記憶される。
【0059】
つづいて,装置IDメモリ11から装置IDが読み取られる(ステップ53)。
【0060】
画像メモリ17から再び暗号化された画像データが読み取られる(画像データは,装置IDおよびメディアIDを用いて二重に暗号化されているから,メディアIDを復号鍵として復号したのみでは,まだ暗号化されている)。画像データは,システム制御回路10に与えられ,装置IDを復号鍵として第2回目の復号が行われる(ステップ54)。また,音声メモリ24から再び暗号化された音声データが読み取られる。音声データは,システム制御回路10に入力し装置IDを復号鍵として第2回目の復号が行われる(ステップ54)。
【0061】
第2回目の復号が行われると,画像データおよび音声データはいずれも元のデータに復号されている筈である。したがって,画像ファイルおよび音声ファイルのヘッダ記録領域に記録されているファイル名などを検出することにより,正常に復号されたかどうかを確認することができる。正常に復号された場合には(ステップ55でYES),復号された画像データおよび音声データはいずれも再生回路18に与えられ,再生処理される(ステップ56)。再生により得られた映像信号が表示装置に与えられることにより画像が可視表示され,再生により得られた音声信号がスピーカに与えられることにより,音声出力されることとなる。
【0062】
正常に復号されていなければ(ステップ55でNO),再生処理は中止される(ステップ57)。必要に応じて正常に復号できなかったことをユーザに知らせることとなろう。
【0063】
装置IDおよびメディアIDの両方のIDが分からなければ復号できない。しかも装置IDおよびメディアIDは,いずれも書き換え不能であり,メモリ・カード30に記録された画像データおよび音声データをコピーしてもメディアIDまではコピーされない。コピーした画像データおよび音声データを復号しようとしても正常の復号はできないこととなる。画像データおよび音声データの不正利用を未然に防止することができる。
【0064】
さらに,上述の実施例においては,第1回目の復号をしたときには正常に復号したかどうかを判定していないが,記録時に第1回目の暗号化処理をしたデータにCRC(cyclic redundancy check )などの誤り検出符号を付加し,再生時に第1回目の復号処理をしたときに誤り検出を行うことにより,第1回目の復号が正常に復号されたかどうかを確認することができる。この場合には,必要に応じて,誤り検出符号付加回路および誤り符号検出回路が設けられよう。もちろん,これらの誤り検出符号の付加および検出はソフトウエアによって実現できるのはいうまでもない。
【0065】
図6は,他の実施例を示すもので,ディジタル・スチル・カメラの記録処理手順を示すフローチャートである。
【0066】
図6に示す処理においては,画像データとその画像データに関連する音声データとの関連を表すリンク・データもメモリ・カード30に記録するものである。
【0067】
上述したように画像データおよび音声データが得られ,画像データは画像メモリ17に,音声データは音声メモリ24にそれぞれ記憶される(ステップ61)。さらに,画像データと音声データとが互いに関連していることを示すリンク・データ(たとえば,画像データに関連する音声データが格納される音声ファイルのファイル名)が画像データに付加される(上述したように画像ファイルのEOI以降に付加される)(ステップ62)。被写体の撮影中に音声も入力したときには,被写体の撮影により得られた画像データと音声の入力により得られた音声データとは互いに関連するものとして,画像データにリンク・データが付加されよう。
【0068】
メモリ・カード30からメディアIDが読み取られ(ステップ63),メディアIDを暗号化鍵として画像データおよび音声データが暗号化される(ステップ64)。暗号化された画像データ(リンクデータも付加されているので,リンク・データも暗号化されることとなる)および音声データがメモリ・カード30に与えられ,記録される(ステップ65)(図3参照)。
【0069】
図7は,再生処理の手順を示すフローチャートである。
【0070】
メモリ・カード30のメディア記録領域32からメディアIDが読み取られる(ステップ71)。読み取られたメディアIDを復号鍵として,暗号化された画像データが復号される(ステップ72)。リンク・データは,画像データに付加されているので,画像データが復号されることにより,リンク・データも復号されることとなる。
【0071】
画像ファイル名の確認などにより画像データが正常に復号されたことが確認されると(ステップ73),画像データに付加されていたリンク・データが読み取られる(ステップ74)。読み取られたリンク・データから,画像データに関連した音声データが検索される(ステップ75)。音声データが見つかると,その音声データがメモリ・カード30から読み取られ,システム制御回路10に与えられ,メディアIDを用いて復号される(ステップ76)。
【0072】
音声データのファイル名などの確認により音声データが正常に復号されたかどうかが判定される(ステップ77)。正常復号されたと判定されると(ステップ77でYES),復号された画像データおよび音声データは,再生回路18に与えられ,再生処理が行われる(ステップ78)。
【0073】
画像データおよび音声データのいずれか一方でも正常に復号されていなければ(ステップ73でNOまたはステップ77でNO),再生処理は中止される。
【0074】
リンク・データが付加されているので,画像データに関連した音声データを互いに関連づけてメモリ・カードに記録することができ,再生時には画像を表示しながら,その画像に関連した音声を出力することができる。
【0075】
また,リンク・データもメディアIDを暗号化鍵として暗号化されているので,メディアIDが分からなければ,リンク・データを復号することもできない。正当なユーザのみが画像データに関連した音声データを検索でき,画像を表示しながらその画像に関連した音声を出力することができるようになる。
【0076】
さらに,上述の実施例においては,メディアIDを用いて1回の暗号化処理をしているが,図4および図5に示した実施例と同様に,装置IDを用いて第1回目の暗号化を行い,暗号化された画像データおよび音声データをメディアIDを用いて第2回目の暗号化処理を行なうようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】ディジタル・スチル・カメラの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】メモリ・カードの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】データ記録領域の構造を示している。
【図4】記録処理を示すフローチャートである。
【図5】再生処理を示すフローチャートである。
【図6】記録処理を示すフローチャートである。
【図7】再生処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
10 システム制御回路
11 装置IDメモリ
13 CCD
16 メモリ制御回路
17 画像メモリ
18 再生回路
20 カード制御回路
21 マイクロフォン
24 音声メモリ
30 メモリ・カード
31 アドレス制御回路
32 メディアID記録領域
33 データ記録領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱自在な記録媒体に画像データを記録する画像データ記録装置において,
上記記録媒体に記録されている,上記記録媒体に固有の識別符号を読み取る読み取り手段,
上記読み取り手段によって読み取られた識別符号を用いて画像データを暗号化する画像データ暗号化手段,
上記読み取り手段によって読み取られた識別符号を用いて上記画像データと関連した音データを暗号化する音データ暗号化手段,ならびに
上記画像データ暗号化手段によって暗号化された画像データ,上記音データ暗号化手段によって暗号化された音データおよび画像データと音データとの関連を表すリンク・データを上記記録媒体に記録する記録制御手段,
を備えた画像データ記録装置。
【請求項2】
上記リンク・データを暗号化するリンク・データ暗号化手段をさらに備え,
上記記録制御手段は,上記画像データ暗号化手段によって暗号化された画像データ,上記音データ暗号化手段によって暗号化された音データおよび上記リンク・データ暗号化手段によって暗号化されたリンク・データを上記記録媒体に記録するものである,
請求項1に記載の画像データ記録装置。
【請求項3】
着脱自在な記録媒体に記録されている画像データを再生する画像データ再生装置において,
上記記録媒体に記録されている,上記記録媒体に固有の識別符号を読み取る識別符号読み取り手段,
上記識別符号を用いて暗号化されている画像データまたは上記識別符号を用いて暗号化されている音データの一方のデータを上記記録媒体から読み取る第1のデータ読み取り手段,
上記第1のデータ読み取り手段によって読み取られた画像データまたは音データを,上記識別符号読み取り手段によって読み取られた識別符号を用いて復号する第1の復号手段,
上記読み取り手段によって読み取られた画像データまたは音データの一方のデータについての音データまたは画像データとの関連を表すリンク・データを上記記録媒体から読み取るリンク・データ読み取り手段,
上記リンク・データ読み取り手段によって読み取られたリンク・データによつと関連づけられる,暗号化された音データまたは画像データの他方のデータを上記記録媒体から読み取る第2のデータ読み取り手段,および
上記第2のデータ読み取り手段によって読み取られた音データまたは画像データを上記識別符号を用いて復号する第2の復号手段,
を備えた画像データ再生装置。
【請求項4】
上記リンク・データは,上記識別符号により暗号化されており,
上記リンク・データ読み取り手段によって読み取られたリンク・データを,上記識別符号を用いて復号する第3の復号手段,
をさらに備えた請求項3に記載の画像データ再生装置。
【請求項5】
着脱自在な記録媒体に画像データを記録する画像データ記録装置において,
上記記録媒体に記録されている,上記記録媒体に固有の識別符号を読み取り,
読み取られた識別符号を用いて画像データおよび上記画像データと関連した音データを暗号化し,
暗号化された画像データ,暗号化された画像データ,暗号化された音データおよび画像データと音データとの関連を表すリンク・データを上記記録媒体に記録する,
画像データ記録方法。
【請求項6】
着脱自在な記録媒体に記録されている画像データを再生する画像データ再生装置において,
上記記録媒体に記録されている,上記記録媒体に固有の識別符号および上記識別符号を用いて暗号化されている画像データまたは上記識別符号を用いて暗号化されている音データの一方のデータを上記記録媒体から読み取り,
読み取られた画像データまたは音データを,読み取られた識別符号を用いて復号し,
読み取られた画像データまたは音データの一方のデータについての音データまたは画像データとの関連を表すリンク・データを上記記録媒体から読み取り,
読み取られたリンク・データによって関連づけられる,暗号化された音データまたは画像データの他方のデータを上記記録媒体から読み取り,
読み取られた音データまたは画像データを上記識別符号を用いて復号する,
画像データ再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−135165(P2008−135165A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311877(P2007−311877)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【分割の表示】特願2000−276121(P2000−276121)の分割
【原出願日】平成12年9月12日(2000.9.12)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】