説明

画像伝送システム

【課題】受信機自体の表示スペックよりも高解像度の表示環境を備える外部機器の接続に応じて、高解像度の画像表示を可能にする。
【解決手段】エンコーダ5は、QVGAモードおよびVGAモードのいずれかで、カメラ4から出力された撮像画像を圧縮する。デコーダ9は、送受信回路6,8を介して入力された圧縮画像を伸張し、QVGAモードの圧縮画像からQVGA伸張画像を生成するとともに、VGAモードの圧縮画像からVGA伸張画像を生成する。QVGA表示部11aは、QVGA伸張画像を表示する。USBインターフェイス12は、VGA伸張画像を外部に出力する。外部装置13の非接続時には、QVGAモードで撮像画像が圧縮され、QVGA伸張画像がQVGA表示部11aに表示される。また、外部装置13の接続時には、VGAモードで撮像画像が圧縮され、VGA伸張画像がUSBインターフェイス12を介してVGA表示部13aに表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信機側で撮像された画像をリアルタイムで受信機側に表示させる画像伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ベビーモニタやインターフォンのように、送信機側で撮像された画像を受信機側に表示させる画像伝送システムが提案されている。例えば、特許文献1には、無線で相互に通信可能な携帯端末および異常通報装置によって構成されたシステムが開示されている。このシステムにおいて、異常通報装置は、幼児の周辺環境の変化または体調の変化を検出し、異常を検知した場合には異常通報信号を携帯端末に無線で送信する。また、特許文献2には、幼児を撮像するカメラと、幼児の状態を検出する各種センサとを備え、カメラにより得られた画像情報と、センサにより得られたセンサ情報とを管理サーバに定期的に送信するシステムが開示されている。このシステムにおいて、管理サーバは、受信した画像情報とセンサ情報とを蓄積していくとともに、幼児の成長過程が閲覧できるようにホームページに育児日記を掲載するとともに、異常検出時には予め指定された端末に異常を通知する。
【0003】
また、特許文献3〜5には、転送すべき画像のデータ量を低減すべく、画像に応じてフレームレートを変更する画像伝送システムが開示されている。具体的には、特許文献3には、転送すべき画像の動き量を検出し、これに応じてコマ落とし画や間引き画を転送する点が開示されている。また、特許文献4には、1フレームの画像における注目部分のみを高画質で伝送し、それ以外の部分を低画質で伝送する点が開示されている。さらに、特許文献5には、カメラのピントが合っていない場合には、撮像画像を高圧縮率で圧縮して低フレームレートでデータ転送する一方、カメラのピントが合っている場合には、撮像画像を低圧縮率で圧縮して高フレームレートでデータ転送する点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−11674号公報
【特許文献2】特開2002−149909号公報
【特許文献3】特開平10−66074号公報
【特許文献4】特開2000−217108号公報
【特許文献5】特開2006−33160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の画像伝送システムにおいて、送信機から受信機に送られる画像の解像度は、受信機自体の表示スペックに依存して常に一定であることが多い。例えば、送信機側のカメラの解像度が30万画素であっても、携帯性を重んじる受信機側の表示サイズが2.4インチ程度であれば、送信機側でQVGA(320×240=76800画素)に圧縮して画像が転送されるといった如くである。そのため、より解像度の高い表示環境を備えるパーソナルコンピュータ等を接続しても、画質を劣化させることなく、画像をより高い解像度で表示することは困難であった。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、受信機自体の表示スペックよりも高解像度の表示環境を備える外部機器の接続に応じて、高解像度の画像表示を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決すべく、本発明は、カメラと、エンコーダと、送信回路と、受信回路と、デコーダと、第1の表示部と、出力インターフェイスとを有する画像伝送システムを提供する。カメラは、撮像画像を時系列的な順序で出力する。エンコーダは、第1の圧縮モード、および、第1の圧縮モードよりも解像度の高い第2の圧縮モードのいずれかで、カメラから出力された撮像画像を圧縮する。送信回路は、エンコーダによって圧縮された圧縮画像を送信する。受信回路は、送信回路から送信された圧縮画像を受信する。デコーダは、受信回路によって受信された圧縮画像を伸張し、第1の圧縮モードの圧縮画像から第1の伸張画像を生成するとともに、第2の圧縮モードの圧縮画像から第1の伸張画像よりも解像度の高い第2の伸張画像を生成する。第1の表示部は、第1の伸張画像を表示する。出力インターフェイスは、第2の伸張画像を外部に出力する。モード切換回路は、第1の表示部とは異なる第2の表示部を有する外部装置が出力インターフェイスに接続されていない非接続時には、第1の圧縮モードで撮像画像を圧縮すべき旨をエンコーダに指示するとともに、デコーダによって生成された第1の伸張画像を第1の表示部に供給する。また、モード切換回路は、この外部装置が出力インターフェイスに接続されている接続時には、第2の圧縮モードで撮像画像を圧縮すべき旨をエンコーダに指示するとともに、デコーダによって生成された第2の伸張画像を出力インターフェイスを介して第1の表示部に供給する。
【0008】
ここで、本発明において、送信回路は、第2の圧縮モードの圧縮画像を送信する場合には、第1の圧縮モードの圧縮画像を送信する場合よりも低いフレームレートで送信することが好ましい。また、第1の表示部は、第1の圧縮モードの解像度相当の表示サイズを有することが好ましい。この場合、第2の表示部は、第1の表示部よりも高解像度の表示が可能な表示サイズを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、出力インターフェイスに外部装置が接続されているか否かを受信機側で検出し、これに応じて、送信機側における撮像画像の圧縮モードを切り換える。すなわち、外部装置の非接続時には、受信機自体の表示スペックに合致した低解像度の圧縮・転送が行われ、外部装置の接続時には、外部装置の表示スペックで表示可能な高解像度の圧縮・転送が行われる。これにより、受信機自身の表示スペックに制約されることなく、かつ、高解像度時における表示のリアルタイム性を損なうことなく、解像度の高い表示環境に合致した画像表示が可能となる。それとともに、受信機側ではなく送信機側で圧縮モードを切り換えることで、伝送帯域幅の不足を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像伝送システムのブロック構成図
【図2】QVGAモードの概略的な動作説明図
【図3】VGAモードの概略的な動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本実施形態に係る画像伝送システムのブロック構成図である。この画像伝送システム1は、双方向の無線通信を行う送信機2と受信機3とによって構成されている。画像転送システム1としては、例えば、送信機2側のカメラ4で撮像した幼児の画像を受信機3側の表示装置11等にリアルタイムで表示し、離れた場所に居ても幼児を管理できるベビーモニタが挙げられる。また、送信機2と受信機3との間のデータ通信手法としては、例えば、2.4GHz近辺のISMバンドを用いたIEEE802.11bに準拠したデジタル通信を用いることができる。なお、本実施形態の特徴は画像の圧縮・伝送にあるので省略するが、マイクロフォンや体温センサといった各種センサが送信機2側に併設されていてもよく、この場合には、これらのセンサ情報も受信機3側に伝送される。
【0012】
送信機2は、カメラ4と、エンコーダ5と、送信回路6と、モード指示回路7とを主体に構成されている。カメラ4は、例えば30万画素程度の画素数を有し、監視対象となる幼児を撮像した画像(VGA相当)を時系列的な順序で出力する。エンコーダ5は、カメラ4から出力された時系列的な撮像画像、すなわち動画を順次圧縮する。動画の圧縮手法としては、任意のものを用いることができるが、例えば、少ないデータ量で効率よく動画を伝送するための動画圧縮規格であるH.264を用いることができる。エンコーダ5は、圧縮モードとして、カメラ4の本来のスペックよりも低いQVGAモード、および、カメラ4の本来のスペックに相当するVGAモードのいずれかで画像を圧縮する。QVGAモードでは、カメラ4からの画像がQVGAサイズ(320×240=76800画素)に圧縮される。また、VGAモードでは、カメラ4からの画像がQVGAサイズよりも解像度の高いVGAサイズ(640×480=307200画素)に圧縮される。エンコーダ5における圧縮モードの選択は、モード指示回路7からの指示に基づいて行われるが、通常はQVGAモードが選択されている。送信回路6は、エンコーダ5によって圧縮された圧縮画像を時系列的に順次送信する。圧縮画像の伝送は、伝送すべき圧縮画像に適用された圧縮モードに応じて、フレームレートを可変にすることによって行われる。
【0013】
一方、受信機3は、受信回路8と、デコーダ9と、モード切換回路10と、表示装置11と、出力インターフェイスであるUSBインターフェイス12とを主体に構成されている。受信回路8は、送信回路6から送信された圧縮画像を時系列に順次受信する。デコーダ9は、受信回路8によって受信された圧縮画像を伸張する。圧縮画像がQVGAモードで圧縮されている場合、圧縮画像からQVGAサイズの伸張画像(以下、「QVGA伸張画像」という)が生成される。一方、圧縮画像がVGAモードで圧縮されている場合、圧縮画像からVGAサイズの伸張画像(以下、「VGA伸張画像」という)が生成される。モード切換回路10は、デコーダ9からの伸張画像を表示装置11およびUSBインターフェイス12のいずれかに選択的に出力する。すなわち、QVGA伸張画像は表示装置11に出力され、VGA伸張画像はUSBインターフェイス12に出力される。また、モード切換回路10は、USBインターフェイス12に外部装置13が接続されているか否かを検出し、その検出結果に応じて、QVGAモードおよびVGAモードのいずれかの圧縮モードを送受信回路6,8を介してモード指示回路7に指示する。この指示を受けたモード指示回路7は、指定された圧縮モードでの圧縮をエンコーダ5に指示する。
【0014】
図2は、QVGAモードの概略的な動作説明図である。外部装置13がUSBインターフェイス12に接続されていないUSB非接続時には、受信機3自体の表示スペックに合致した低解像度の圧縮・伝送が行われ、QVGA表示部11aにリアルタイムで画像が表示される。この場合、モード切換回路10は、圧縮モードとしてQVGAモードを選択するとともに、その旨を送受信回路6,8を介してモード指示回路7に指示する。この指示を受けたモード指示回路7は、QVGAモードで撮像画像を圧縮すべき旨をエンコーダ5に指示する。これにより、カメラ4からの画像がQVGAモードで圧縮されるとともに、フレームレートが例えば最大25fpsで送信回路6より送信される。そして、受信回路8およびデコーダ9を経て生成されたQVGA伸張画像がモード切換回路10に入力される。デコーダ9からの入力がQVGA伸張画像の場合、モード切換回路10は、受信機3自身が備える表示装置11を出力先として選択し、これにQVGA伸張画像を供給する。これによって、表示装置11のQVGA表示部11aにQVGA伸張画像が表示される。QVGA表示部11aは、QVGAモードの解像度に相当する比較的小さな表示サイズ(例えば2.4インチ程度)を有する。
【0015】
図3は、VGAモードの概略的な動作説明図である。外部装置13がUSBインターフェイス12に接続されているUSB接続時には、外部装置13の表示スペックに合致した高解像度の圧縮・伝送が行われ、QVGA表示部11aとは異なるVGA表示部13aにリアルタイムで画像が表示される。この外部装置13としては、典型的には、画像伝送システム1と連携させる画像表示アプリケーションがインストールされ、かつ、QVGA表示部11aよりも高解像度の表示が可能なVGA表示部13aを備えたパーソナルコンピュータを用いることができる。なお、VGA表示部13aの表示サイズは、VGAそのものの解像度である必要はなく、それ以上であればよい。この場合、モード切換回路10は、圧縮モードとしてVGAモードを選択するとともに、その旨を送受信回路6,8を介してモード指示回路7に指示する。この指示を受けたモード指示回路7は、VGAモードで撮像画像を圧縮すべき旨をエンコーダ5に指示する。これにより、カメラ4からの画像がVGAモードで圧縮されるとともに、QVGAモードの圧縮画像を送信する場合よりも低いフレームレートで送信される。フレームレートを低くする理由は、圧縮画像のデータサイズの増大に伴う伝送帯域幅の不足を抑制するためであり、この場合のフレームレートとしては、例えば最大18fpsとすることができる。そして、受信回路8およびデコーダ9を経て生成されたVGA伸張画像がモード切換回路10に入力される。デコーダ9からの入力がVGA伸張画像の場合、モード切換回路10は、外部装置13が接続されたUSBインターフェイス12を出力先として選択し、これにVGA伸張画像を供給する。これによって、USBインターフェイス12より外部にVGA画像が出力され、外部装置13のVGA表示部13aにVGA伸張画像が表示される。VGA表示部13aに表示される画像は、画質を損なうことなく、QVGA表示部11aに表示される画像の4倍の大きさを有する。
【0016】
このように、本実施形態によれば、USBインターフェイス12に外部装置13が接続されているか否かを受信機3側で検出し、この検出結果に応じて、QVGA表示部11aおよびVGA表示部13aのいずれかに表示先を切り換える。外部装置13のUSB非接続時には、受信機3自体の表示スペックに合致した低解像度の圧縮・伝送が行われ、外部装置13のUSB接続時には、外部装置13の表示スペックで表示可能な高解像度の圧縮・伝送が行われる。その結果、携帯性を重視するがゆえに小型な受信機3の表示スペックの制約を受けることなく、かつ、高解像度時における表示のリアルタイム性を損なうことなく、解像度の高い表示環境での画像表示が可能となる。それとともに、受信機3側ではなく送信機2側で圧縮モードを切り換えることで、伝送帯域幅の不足を抑制できる。
【0017】
また、本実施形態によれば、圧縮モードに応じて圧縮画像を伝送する際のフレームレートを切り換え、高解像度の圧縮画像の伝送時にはフレームレートを低くすることで、伝送帯域幅の不足を一層有効に抑制できる。
【0018】
なお、上述した実施形態では、圧縮モードとしてQVGAモードおよびVGAモードを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、解像度の異なる任意の複数のモードに対して広く適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
以上のように、本発明は、ベビーモニタやインターフォンのように、送信機側で撮像された画像をリアルタイムで受信機側に表示する画像伝送システムに対して、広く適用できる。
【符号の説明】
【0020】
1 画像伝送システム
2 送信機
3 受信機
4 カメラ
5 エンコーダ
6 送信回路
7 モード指示回路
8 受信回路
9 デコーダ
10 モード切換回路
11 表示装置
11a QVGA表示部
12 USBインターフェイス
13 外部装置
13a VGA表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像伝送システムにおいて、
撮像画像を時系列的な順序で出力するカメラと、
第1の圧縮モード、および、前記第1の圧縮モードよりも解像度の高い第2の圧縮モードのいずれかで、前記カメラから出力された前記撮像画像を圧縮するエンコーダと、
前記エンコーダによって圧縮された前記圧縮画像を送信する送信回路と、
前記送信回路から送信された前記圧縮画像を受信する受信回路と、
前記受信回路によって受信された前記圧縮画像を伸張し、前記第1の圧縮モードの前記圧縮画像から第1の伸張画像を生成するとともに、前記第2の圧縮モードの前記圧縮画像から前記第1の伸張画像よりも解像度の高い第2の伸張画像を生成するデコーダと、
前記第1の伸張画像を表示する第1の表示部と、
前記第2の伸張画像を外部に出力する出力インターフェイスと、
前記第1の表示部とは異なる第2の表示部を有する外部装置が前記出力インターフェイスに接続されていない非接続時には、前記第1の圧縮モードで前記撮像画像を圧縮すべき旨を前記エンコーダに指示するとともに、前記デコーダによって生成された前記第1の伸張画像を前記第1の表示部に供給し、前記外部装置が前記出力インターフェイスに接続されている接続時には、前記第2の圧縮モードで前記撮像画像を圧縮すべき旨を前記エンコーダに指示するとともに、前記デコーダによって生成された前記第2の伸張画像を前記出力インターフェイスを介して前記第2の表示部に供給するモード切換回路と
を有することを特徴とする画像伝送システム。
【請求項2】
前記送信回路は、前記第2の圧縮モードの前記圧縮画像を送信する場合には、前記第1の圧縮モードの前記圧縮画像を送信する場合よりも低いフレームレートで送信することを特徴とする請求項1に記載された画像伝送システム。
【請求項3】
前記第1の表示部は、前記第1の圧縮モードの解像度相当の表示サイズを有することを特徴とする請求項1または2に記載された画像伝送システム。
【請求項4】
前記第2の表示部は、前記第1の表示部よりも高解像度の表示が可能な表示サイズを有することを特徴とする請求項3に記載された画像伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−151607(P2011−151607A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11170(P2010−11170)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【Fターム(参考)】