説明

画像作成装置、画像作成プログラムおよびそれを記録した記録媒体

【課題】プログラマブル表示器に表示される記号を入力するための入力画像の入力操作性を向上させる。
【解決手段】パーソナルコンピュータ1の画像作成部13は、機種設定部131と、画像サイズ決定部132とを含んでいる。機種設定部131は、プログラマブル表示器2の機種(種類)を設定する。画像サイズ決定部132は、設定された機種に応じた画像のサイズを決定するとともに、画面作成部13に予め用意されている、各機種に応じた画像サイズのパスワード入力画像から、決定された画像サイズのパスワード入力画像をプログラマブル表示器2に表示させるパスワード入力画像として決定する。これにより、パスワード入力画像が、プログラマブル表示器2に表示される画像のサイズに応じた大きさで表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラマブル表示器に表示させる画像を作成する画像作成装置に関しており、パスワード入力画像によるパスワードの入力を容易にした画像作成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プログラマブル表示器は、タッチパネルと、表示器本体と、ホストコントローラ(PLC、インバータ、温調計等)とのインターフェースを備えており、ホストコントローラに接続されたデバイスの稼働状況を表示したり、デバイスへの制御指示を与えるための操作入力をタッチパネルから受け付けたりする機能を備えた操作型表示器である。一般に、プログラマブル表示器は、グラフィック表示機能を有するので、表示器本体の表示画面に操作盤、スイッチ、表示灯などを表示することができ、制御システムにおける操作端末としての役割を果たす。
【0003】
プログラマブル表示器で表示される画像は、画像データとして画像作成ソフトウェアを用いてユーザによって作成される。画像の作成に際しては、ユーザが、汎用のパーソナルコンピュータ等において画像作成ソフトウェアによって提供される部品、描画機能等を用いて所望の画像を構成する。作成された画像は、画像データとしてプログラマブル表示器に送信されて記憶される。そして、ホストコントローラの稼働時には、ホストコントローラに接続されたデバイスの状態に応じて、プログラマブル表示器の表示画面に表示された画像におけるメータ表示器等の出力部品画像が動的に変化する。また、表示された画像におけるスイッチ等の入力部品画像上のタッチパネルへの入力操作が制御指示としてデバイスに与えられる。
【0004】
プログラマブル表示器の操作においては、プログラマブル表示器へのログインや特定の画像を表示するときに、パスワードの入力を要求して、ユーザによる操作を制限することがある。パスワードは、通常、パスワードの入力画像(キーボード等)が表示画面に表示された状態で、ユーザがその入力画像上のタッチパネルへタッチ操作することにより入力される。
【0005】
パスワードを入力するための手段として、例えば、特許文献1に開示されるようなソフトウェアキーボードが用いられる。特許文献1には、入力モードに対応してキーボードの表示状態を異ならせて、キーボードの操作性を向上させ、ユーザの誤操作を防止することが記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、上記のようなソフトウェアキーボードの各キーの表示形態を変更することにより、パスワードの入力操作が他者から容易に見える場合でも、パスワードが他者に推測される危険性を減らすことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−100186号公報(2005年4月14日公開)
【特許文献2】特開2004−126973号公報(2004年4月22日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
プログラマブル表示器は、FAの分野で発展してきたことから、一般に、工場設備などの環境に設置されることが多い。また、このような環境でプログラマブル表示器を操作する作業者は手袋を着用していることが多い。このため、パスワードの入力画像(キー)が小さいと、手袋を着用したままでは、誤ったキー入力をしやすくなる。このようなパスワードの入力ミスを避けるために、作業者は、手袋を外してから入力操作を行う必要があり、パスワード入力作業が繁雑になるという不都合がある。
【0009】
通常、プログラマブル表示器におけるパスワード入力画像は、画像の表示サイズに関わらず、単一の表示サイズのみで用意されており、画面に対して一定の比率でキーボードが表示されるようになっている。例えば、小さい表示画面を有するプログラマブル表示器に、それより大きい表示画面に適合した表示サイズのパスワード入力画像を表示させる場合、表示画面に占めるパスワード入力画像の割合が小さくなるので、パスワード入力画像が表示画面に対して小さく表示されてしまう。また、例えば、プログラマブル表示器の解像度がVGA(Video Graphics Array)以上である場合、パスワード入力画像がQVGA(Quarter VGA)用であれば、表示画面サイズが同じであっても、表示画面に占めるパスワード入力画像の割合が小さくなり、QVGAのプログラマブル表示器に表示される場合と比べて、パスワード入力画像が小さく表示されてしまう。このため、作業者は、手袋を着用している状態では、所望のキーだけでなく、その周辺のキーもタッチしてしまうことがある。
【0010】
また、逆に、表示画面に占めるパスワード入力画像の割合が大きくなる場合は、パスワード入力画像が大きく表示され過ぎることになる。この場合も、キーがタッチ操作に適した大きさではなくなるので、好ましくない。
【0011】
上記の問題は、パスワードの入力に限らず、数値の入力や文字列の入力などの記号を単に入力する場合にも同様に生じる。
【0012】
しかしながら、上述のような特許文献1,2に記載された技術をプログラマブル表示器に適用しても、上記の問題を解決するには至らない。
【0013】
また、プログラマブル表示器は、専用機であることから、汎用のパーソナルコンピュータのように高性能のCPUを搭載しておらず、表示される画像のサイズを変更するといった高度な演算処理には不向きである。このため、プログラマブル表示器において、パスワード入力画像を拡大することは、実際には不可能である。
【0014】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、プログラマブル表示器に表示される入力画像の入力操作性を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る画像作成装置は、少なくとも2以上の種類のプログラマブル表示器に表示させる画像を作成するとともに、前記プログラマブル表示器に、所定の記号を入力するためのアルファニューメリックキーを有する入力画像を提供する画像作成装置であって、前記プログラマブル表示器の種類を設定する種類設定手段と、設定された前記種類の表示画面サイズおよび解像度の少なくともいずれか一方によって前記入力画像の画像サイズを決定する入力画像サイズ決定手段とを備えていることを特徴としている。
【0016】
上記の構成では、種類設定手段によってプログラマブル表示器の種類が設定されると、入力画像サイズ決定手段が、当該種類の表示画面サイズによって入力画像の画像サイズを決定し、プログラマブル表示器に提供する。例えば、入力画像サイズ決定手段は、前記種類毎に予め用意されている、各種類の表示画面サイズと同一サイズの前記入力画像から、設定された前記種類に対応する前記入力画像を選択する。あるいは、入力画像サイズ決定手段は、予め用意されている単一の前記入力画像を、設定された前記種類の前記表示画面サイズと同一サイズとなるように前記入力画像の画像サイズを変更する。
【0017】
これにより、入力画像は、種類に応じた画像サイズを有するので、例えば、画像サイズがVGAであればVGAのサイズで表示される。それゆえ、入力画像を従来の均一の画像サイズであるQVGAよりも大きく表示することができる。これにより、画像サイズが大きいにも関わらず入力画像が小さく表示されることがなくなり、作業者が手袋を着用したままでも、アルファニューメリックキーのタッチの操作を確実にすることができる。
【0018】
また、前記画像作成装置において、前記入力画像は、入力された前記記号を表示するための表示部を有しており、前記入力画像サイズ決定手段は、前記表示部に表示される前記記号の表示サイズを変更する表示サイズ変更手段を備えていることが好ましい。
【0019】
上記の構成では、表示サイズ変更手段によって、入力画像の表示部に表示される記号の表示サイズが変更される。例えば、入力された記号をそのまま表示部に表示する場合、記号を小さくするように変更する。これにより、表示画面サイズの大きい種類のプログラマブル表示器において、入力画像の画像サイズが大きくなっても、記号が小さく表示されるので、プログラマブル表示器の周辺にいる他者に認識されにくくすることができる。これは、パスワードを記号として入力するときに特に有効である。
【0020】
本発明の画像作成プログラムは、コンピュータを前述のいずれかの画像作成装置として機能させるための画像作成タプログラムであって、当該コンピュータを上記各手段として機能させるプログラムである。また、この画像作成プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録される。このように、画像作成プログラムをコンピュータに読み取らせて実行させることにより、前記画像作成装置を実現することができる。
【0021】
なお、本明細書において、画像サイズとは、入力画像が、表示器の表示画面に映し出された状態での、表示器の表示画面に対する大きさ、すなわち、入力画像と表示器の表示画面との面積比をいうものとする。上記の入力画像が表示画面と同一サイズである場合は、当該面積比は1:1となる(画像サイズ1)。入力画像が表示画面の半分である場合は、当該面積比は0.5:1となる(画像サイズ0.5)。
【0022】
例えば、大小二つの表示器がある場合に、小さい画面の表示器の画面に映し出された入力画像と、大きい表示器の画面に映し出された入力画像の大きさが見かけは同じであっても、小さい画面に表示された入力画像の方が、画面に占める割合が大きく、画像サイズが大きいことになる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る画像作成装置は、以上のように、プログラマブル表示器の種類を設定する種類設定手段と、設定された前記種類の表示画面サイズおよび解像度の少なくともいずれか一方によって前記入力画像の画像サイズを決定する入力画像サイズ決定手段とを備えているので、入力画像の画像サイズを操作に適した画像サイズにすることができる。
【0024】
例えば、プログラマブル表示器の表示画面サイズが小さくなったり、解像度が細かくなったりしても、入力画像は、小さく表示されることがなく、作業者が手袋を着用したままでも、キーを操作し得る大きさで表示される。これにより、作業者が手袋を着用したままであっても、キータッチの操作を確実にすることができる。したがって、プログラマブル表示器に表示される入力画像の入力操作性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係るパーソナルコンピュータを含むシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】上記パーソナルコンピュータの画像作成部によって表示される機種設定のためのダイアログボックスを示す図である。
【図3】(a)は上記パーソナルコンピュータの画像作成部によって提供される横型表示のID/パスワード画像を示す図であり、(b)は上記パーソナルコンピュータの画像作成部によって提供される横型表示のパスワード入力画像を示す図である。
【図4】(a)は上記パーソナルコンピュータの画像作成部によって提供される縦型表示のID/パスワード画像を示す図であり、(b)は上記パーソナルコンピュータの画像作成部によって提供される縦型表示のパスワード入力画像を示す図である。
【図5】図3(b)のパスワード入力画像が小さく表示される状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態を図1〜図5に基づいて説明すると、以下の通りである。
【0027】
本実施の形態に係る画像作成装置は、図1に示すように、例えば、パーソナルコンピュータ1によって構成されている。パーソナルコンピュータ1は、CPU、メモリ(RAM、ROMなど)、外部記憶装置(ハードディスクドライブ、MOドライブなど)、表示装置および入力装置(キーボード、マウスなど)を有している。また、パーソナルコンピュータ1は、図1に示すように、制御部11、インターフェース部(図中、I/F)12、画面作成部13およびデータ記憶部14を備えている。
【0028】
インターフェース部12は、プログラマブル表示器2との間の通信を行うための通信制御部であり、通信ケーブル3に接続されている。通信ケーブル3としては、例えばUSBケーブルなどが用いられる。
【0029】
プログラマブル表示器2は、CPUなどの演算処理装置と、画像を表示するスクリーン23と、スクリーン23上に重ねられたタッチパネル24とを備えている。これにより、プログラマブル表示器2は、ユーザが作成した入力操作および表示のための画像データを表示し、スクリーン23に画像データが表示された状態でタッチパネル24をタッチ操作することによりプログラマブル表示器特有の操作機能および表示機能を実現する専用コンピュータとして提供される。ここで、表示画面とは、スクリーン23において画像が表示される表示領域を意味する。
【0030】
このプログラマブル表示器2は、シリアルケーブルなどの通信ケーブル6を介したPLC4との通信により、PLC4を介して各デバイス5の状態を取得して、その状態をスクリーン23に表示された画像に表す機能を有している。また、プログラマブル表示器2は、後述のタッチパネル24への操作に応じて、デバイス5の状態制御をPLC4に指示する機能を有している。
【0031】
PLC4は、ユーザが作成したロジックプログラム(ラダープログラムなど)にしたがって動作する。具体的には、PLC4は、数十msなどの予め定められたスキャンタイム毎に、入力ユニットを介して入力元のデバイス5の状態を取り込むとともに、出力ユニットを介して出力先のデバイス5に状態を変更するように制御指示を与える。
【0032】
入力元のデバイス5としては、センサ(温度センサ、光センサなど)、スイッチ(押ボタンスイッチ、リミットスイッチ、圧力スイッチなど)のような機器が用いられる。出力先のデバイス5としては、アクチュエータ、リレー、電磁弁、表示器などが用いられる。これらのデバイス5は、製造ラインなどの所要各部に配置される。また、プログラマブル表示器2に表示される画像に含まれる実体のないスイッチ部品画像や表示器部品画像などもデバイス5として扱われる。
【0033】
HMI機器として好適に使用されるプログラマブル表示器2は、HMI処理部21を制御の中心として備えている。このHMI処理部21は、HMI処理のプログラムを実行することによって実現される機能ブロックである。
【0034】
上記のHMI処理部21は、所定の時間間隔毎や所定のイベント毎にPLC4と通信することによって、PLC4のメモリ4a(後述の外部メモリデバイス)から、PLC4に接続されたデバイス5の状態をデータ(状態データ)として取得して、その状態をプログラマブル表示器2のスクリーン23に表示する。また、HMI処理部21は、プログラマブル表示器2内に用意されたデータ格納領域、例えばデータメモリ26の特定の領域(例えば後述の内部メモリデバイス)に書き込まれたデータを取得してその状態をプログラマブル表示器2の画面に表示する。一方、HMI処理部21は、プログラマブル表示器2のスクリーン23上に設けられたタッチパネル24への操作などに応じて、外部メモリデバイスおよび内部メモリデバイスにおけるデータを更新するように、PLC4と通信することによって外部メモリデバイスのデータを書き替えるとともに、内部メモリデバイスのデータを書き替える。
【0035】
また、HMI処理部21は、後述する部品画像等を組み合わせて作成された画像データに基づいて、外部メモリデバイスおよび内部メモリデバイスから取得したデータをスクリーン23に描画表示するときの動作や、スクリーン23上のタッチパネル24への操作に応じてデバイス5の状態の変更を指示するときの動作を処理規定情報によって特定する。
【0036】
画像データは、後述するパーソナルコンピュータ1の画像作成部13で作成されて、HMI処理部21で処理可能な形式として変換された上で、後述するようにプロジェクトファイルとしてパーソナルコンピュータ1から通信ケーブル3を介して送信される。送信されたプロジェクトファイルは、データメモリ26に格納される。プログラマブル表示器2におけるプロジェクトファイルの受信は、インターフェース部(図中I/F)27によって行われる。
【0037】
また、HMI処理部21は、インターフェース部(図中I/F)28による通信ケーブル6を介したPLC4との通信により、PLC4のメモリに格納された各デバイス5の状態を取得し、スクリーン23に表示される画像に各デバイス5の状態を表す機能を有する。
【0038】
さらに、HMI処理部21は、パスワード照合部211を含んでいる。
【0039】
パスワード照合部211は、プログラマブル表示器2へログインする場合や特定の画像を表示させるような場合等、操作が制限される場合に、ユーザによって入力されたユーザIDおよびパスワードを、それぞれ予め設定されているユーザIDおよびパスワードと照合する。パスワード照合部211は、照合の結果、入力されたユーザIDおよびパスワードと設定されたユーザIDおよびパスワードとがそれぞれ一致している場合に、制限されている操作を許可する処理を行い、一致していない場合に、制限されている操作を許可しない処理を行う。
【0040】
パスワード照合部211は、ユーザにパスワードを入力させるためのユーザインターフェースとして、例えば、図3(a)に示すパスワード画像101と、図3(b)に示すID/パスワード入力画像201とをスクリーン23に表示する。
【0041】
図3(a)および(b)に示す画像101,201は、いずれも横長の矩形状をなし、一方、図4(a)および(b)に示す画像301,401は、いずれも縦長の矩形状をなしている。図3(a)および(b)は、横長に配置されたスクリーン23の表示画面いっぱいに画像101,201が表示されている状態を示す(画像サイズ1(表示画像と画像の面積比は1:1))。また、図4(a)および(b)は、縦長に配置されたスクリーン23の表示画面いっぱいに画像301,401が表示されている状態を示す。
【0042】
パスワード画像101は、パスワードダイアログボックス102を含んでいる。このパスワードダイアログボックス102は、ID入力ボックス102aと、パスワード入力ボックス102bと、入力事項を決定するためのOKボタン102cと、入力処理を取り消すためのキャンセルボタン102cとを有している。ID入力ボックス102aは、入力されたユーザIDを*で表示する表示部である。パスワード入力ボックス102bは、入力されたパスワードを*で表示する表示部である。
【0043】
ID/パスワード入力画像201は、パスワード入力ウインドウ202を含んでいる。このパスワード入力ウインドウ202は、キーボード部202aと、ID/パスワード表示部202bとを有している。
【0044】
キーボード部202aは、アルファニューメリックキーと、入力操作のためのキー(バックスペースキー、エスケープキー、キャプスロックキー、エンターキー、クリアキーなど)を有している。
【0045】
パスワード照合部211は、まず、ID入力ボックス102aおよびパスワード入力ボックス102bのいずれか一方がユーザによってタッチされると、ID/パスワード入力画像201を表示する。また、パスワード照合部211は、ユーザIDおよびパスワードがユーザによってキーボード部202aを用いて入力されると、入力された文字を*で表示していく。また、パスワード照合部211は、エンターキー(ENT)が押されると、入力された文字を確定し、パスワードダイアログボックス102のID入力ボックス102aおよびパスワード入力ボックス102bにそれぞれ同様に入力された文字を表示する。さらに、パスワード照合部211は、OKボタン102cがタッチされると、入力されたユーザIDおよびパスワードを前述のように、予め設定されたユーザIDおよびパスワードとそれぞれ照合する。
【0046】
ここで、再びパーソナルコンピュータ1の説明に戻る。
【0047】
制御部11は、ハードウェア(CPUやメモリなど)およびソフトウェア(オペレーティングシステムなど)によって実現される機能ブロックであり、アプリケーションプログラムの実行や周辺機器の動作を制御する部分である。制御部11は、その機能を果たすために作業メモリ11aを有している。作業メモリ11aは、RAMなどによって構成され、画像作成部13が画像データを展開するためなどに用いられる。
【0048】
また、制御部11は、アプリケーションプログラムである画像作成ソフトウェア(画像作成プログラム)を実行することにより、画像作成部13として機能する。画像作成ソフトウェアは、パーソナルコンピュータ1と分離可能に構成される記録媒体に記録され、この記憶媒体からパーソナルコンピュータ1にインストールすることが可能である。パーソナルコンピュータ1は、画像作成部13を備えることにより画像作成装置として機能する。
【0049】
なお、図1においては、便宜上、画像作成部13を制御部11と分離して描いている。
【0050】
上記の記録媒体(プログラムメディア)は、コンピュータに読み取り可能な記録媒体であり、磁気テープやカセットテープなどのテープ系、フレキシブルディスクやハードディスクなどの磁気ディスク系、CD−ROM、MO、MD、DVDなどの光ディスク系、ICカード(メモリカードを含む)、光カードなどのカード系が好適である。その他、上記のプログラムメディアは、マスクROM、EPROM、EEPROM、フラッシュROMなどによる半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する媒体であってもよい。
【0051】
また、パーソナルコンピュータ1が、インターネットを含む通信ネットワークと接続可能な環境に置かれていれば、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する媒体であってもよい。ただし、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用プログラムは予めパーソナルコンピュータ1に格納されるか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであることが好ましい。
【0052】
画像作成部13は、スクリーン23に表示される画像データをユーザによって作成できるように、スイッチ、ランプ、テンキー、各種表示器(例えば、数値表示器、メータ表示器およびグラフ表示器)などの部品画像、描画機能、テキスト入力機能などを備えている。部品画像としては、単一の機能を有する部品画像だけでなく、複数の機能を有する、複合スイッチ、カウンタ、タイマといった複合機能を有する部品画像が用意されている。また、部品画像に他の部品画像を重ねて表示することもできる。
【0053】
部品画像は、それぞれ固有の番号が付された状態で登録されており、ユーザが容易に選択できるように、ブラウザ形式や後述するようなアイコン形式で表示される。また、部品画像には、それぞれの機能に応じた処理規定情報が予め付与されている。例えば、部品画像がスイッチであれば、スイッチの操作により、このスイッチと関連付けられたデバイスのオン・オフが制御できるようになっている。
【0054】
描画機能は、直線や曲線の線図形を描画したり、各種のグラフ、円、四角形、三角形などの基本図形の描画および図形内の指定色や模様による塗りつぶしを行ったりするための機能である。
【0055】
テキスト入力機能は、画像上に配置する所望の文字列を入力するための機能である。このテキスト入力機能は、文字列を入力するだけでなく、入力される文字の属性(フォントタイプ、文字サイズ、カラー、横書き・縦書き、表示言語等)を設定できるようになっている。
【0056】
また、画像作成部13は、画像データ作成のための画像データ作成ウインドウ(図示せず)に画像の基本となるベース画像を表示し、このベース画像上への部品画像の配置や描画機能を利用した図形の描画といったユーザによる操作を支援するユーザインターフェースを提供する。すなわち、ユーザは、ベース画像上に部品画像を配置し、部品画像とデバイス5とを関連付けることによって、さらに、必要に応じて描画機能を用いて適切な図形をベース画像上に描く、あるいはテキスト入力機能を用いてテキストを配置することによって画像データを作成できる。
【0057】
画像作成部13は、作成された画像データをHMI処理部21で処理可能なファイル形式に変換して、上記の外部記憶装置によって構成されるデータ記憶部14に保存する。
【0058】
画像データは、関連する複数の画像データを1まとまりとして、プログラマブル表示器2の機種情報、プログラマブル表示器2と接続される接続機器に関する情報、プログラマブル表示器2と接続機器との間の通信設定情報などと併せてプロジェクトファイルとしてデータ記憶部14に保存される。このプロジェクトファイルには、前述のパスワード画像およびパスワード入力画像も含まれている。また、画像作成部13は、プロジェクトファイルをデータ記憶部14から読み出し、通信ケーブル3を介してプログラマブル表示器2に送信する。
【0059】
さらに、画像作成部13は、ユーザによって入力されたアドレスを部品画像に設定する機能を有している。アドレスは、前述の外部アドレスおよび内部アドレスである。また、画像作成部13は、ユーザによって入力された前述のシンボル名をアドレスに対応付けて設定する機能も有している。これにより、外部アドレスおよび内部アドレスをユーザの定義による分かりやすい名称で管理することができる。
【0060】
画像作成部13は、上記のプログラマブル表示器2の機種(種類)情報を設定する機種設定部131と、設定された機種に基づいたパスワード画像のサイズを決定する画像サイズ決定部132と、前述のパスワード照合部211で照合されるパスワードを設定するパスワード設定部133とを有している。
【0061】
機種設定部131は、パスワード画像の提供先となるプログラマブル表示器2の機種情報を設定するために、図2に示す機種情報設定ダイアログボックス51をスクリーン23に表示する。機種設定部131は、画像作成部13がその起動時に表示する初期ダイアログボックス(図示せず)で、ユーザによってプロジェクトファイルの新規作成が指示されると、上記の機種情報設定ダイアログボックス51を表示して、機種情報の設定をユーザに促す。機種情報が設定されることにより、新規のプロジェクトファイルを作成することが可能となる。
【0062】
機種情報設定ダイアログボックス51は、シリーズ選択ボックス51aと、機種選択ボックス51bと、設置方法選択ボックス51cと、仕様表示部51dと、設定事項を決定するためのOKボタン51eと、設定処理を取り消すためのキャンセルボタン51fとを有している。
【0063】
シリーズ選択ボックス51aは、プログラマブル表示器2の機種のシリーズを設定するために、予め登録されている複数のシリーズ名から1つを選択できるように、リストボックスとして設けられている。機種選択ボックス51bは、プログラマブル表示器2の機種を設定するために、シリーズ選択ボックス51aで選択されたシリーズ名のシリーズに属する機種として予め登録されている複数の機種名から1つを選択できるように、リストボックスとして設けられている。設置方法選択ボックス51cは、プログラマブル表示器2の設置方法として横型または縦型のいずれかを設定するために、横型または縦型のいずれか一方を選択できるように、リストボックスとして設けられている。なお、横型とはスクリーンが横長の状態で配置されること、縦型とはスクリーンが縦長の状態で配置されることを表す。
【0064】
仕様表示部51dは、選択された機種についての仕様を表示する部分である。この仕様表示部51dには、表示画面サイズ、表示ドット数、表示デバイス(スクリーン23のタイプ)、表示色・階調などが仕様として表示されている。
【0065】
機種設定部131は、シリーズ選択ボックス51a、機種選択ボックス51bおよび設置方法選択ボックス51cにそれぞれ選択項目が選択された状態で、ユーザによってOKボタン51eがクリックされると、選択された機種を設定し、当該機種のプログラマブル表示器2の設置方法を設定する。
【0066】
画像サイズ決定部132は、上記の設定された機種(表示画面サイズまたは表示ドット数)に応じた画像のサイズを決定する。また、画像サイズ決定部132は、上記の設定された設置方法にしたがって、画像が横長の矩形形状であるか縦長の矩形形状であるかを決定する。画面作成部13は、このようにして決定された画像のサイズおよび横長/縦長のベース画像を前述の画像作成ウインドウに表示する。また、画像サイズ決定部132は、画面作成部13に予め用意されている、各機種および設置方法に応じた画像サイズおよび横長/縦長のパスワード画像およびパスワード入力画像から、決定された画像サイズおよび横長/縦長のパスワード画像およびパスワード入力画像を新規のプロジェクトファイルに含めるパスワード画像およびパスワード入力画像として決定する。
【0067】
なお、ここでは、画像サイズは表示画面サイズまたは表示ドット数と等しいものとする。
【0068】
パスワード設定部133は、前述のパスワード照合部211で入力されたユーザIDおよびパスワードが適正であるか否かを照合するためのユーザIDおよびパスワードを設定する。このためにパスワード設定部133は、ユーザIDおよびパスワードを入力し決定するためのウインドウ(図示せず)をユーザインターフェースとして表示する。パスワード設定部133は、ユーザによって入力され、かつ決定されたユーザIDおよびパスワードを属性として上記の決定されたパスワード画像に付与する。
【0069】
上記のように構成されるパーソナルコンピュータ1においては、画像作成部13が有する画像サイズ決定部132によって、画像のサイズおよび横長/縦長が決定されるときに、これらに応じたパスワード画像およびパスワード入力画像が決定される。このように決定されたパスワード画像およびパスワード入力画像は、プロジェクトファイルに含まれて、画像データなどとともにプログラマブル表示器2に送信されて、データメモリ26に記憶される。
【0070】
プログラマブル表示器2においては、パスワード照合部211によって、データメモリ26に記憶されたパスワード画像およびパスワード入力画像がスクリーン23に表示される。
【0071】
例えば、図3(a)に示すパスワード画像101および図3(b)に示すパスワード入力画像201は横長の矩形形状(設置方法は横型)である。一方、図4(a)に示すパスワード画像301および図4(b)に示すパスワード入力画像401は縦長の矩形形状(設置方法は縦型)である。このパスワード画像301も、ID入力ボックス102a、パスワード入力ボックス102b、OKボタン102cおよびキャンセルボタン102cと同様の機能を有するID入力ボックス302a、パスワード入力ボックス302b、OKボタン302cおよびキャンセルボタン302cを有している。また、パスワード入力画像401も、キーボード部202aおよびID/パスワード表示部202bと同様の機能を有するキーボード部402aおよびID/パスワード表示部402bを有している。
【0072】
以下、先ず、プログラマブル表示器2の2つの機種について、表示画面サイズが同じで解像度が、例えば、QVGAとVGAと異なる場合、それぞれに適合したパスワード入力画像201,401が用意されているので、解像度がQVGAであれば、QVGAのサイズで、例えば、図3(b)のように表示される。一方、解像度がVGAの場合、QVGA用のパスワード入力画像201,401をそのまま用いると、表示画面に占めるパスワード入力画像201,401の割合が、例えば図5に示すように小さくなってしまう、すなわち実際の画像の大きさが小さくなってしまう。これに対し、本発明の画像作成装置によれば、VGA用のパスワード入力画像が用意されているので、解像度がVGAであっても表示画面に占めるパスワード入力画像の割合が変化せず、パスワード入力画像の大きさが、見かけでは変化せず、図3(a)に示す状態のままとなる。したがって、パスワード入力画像201,401は、手袋をはずすことなく、キーを操作可能な大きさとすることができる。
【0073】
次いで、解像度が同じで表示画面サイズが異なる場合について説明する。
【0074】
例えば、3.8型(表示画面サイズ:78.8×59.6mm)のプログラマブル表示器2と、7.5型(表示画面サイズ:153.7×115.8mm)のプログラマブル表示器2との場合について説明する。7.5型用のパスワード入力画像201,401を、3.8型のプログラマブル表示器2にそのまま表示させる場合、すなわち、表示画面に占めるパスワード入力画像201,401の割合がそのままである場合、7.5型と3.8型とでは表示画面の面積比がほぼ4対1であるため、パスワード入力画像201,401の実際の大きさ(面積)が7.5型で表示した場合と比べてほぼ1/4となり、小さくなってしまう。このため、作業者が手袋をしたままキータッチをすることが困難になる。そこで、3.8型の機種には、7.5型用のパスワード入力画像201,401よりも、表示画面に占める割合が大きいパスワード入力画像を提供する。すなわち、表示画面中に占める割合が4倍となるパスワード画像を3.8型に提供すれば、パスワード入力画像201,401の見かけの大きさは同じとなり、7.5型と比較した場合も、作業者のパスワード入力に要する手間に変化は生じない。
【0075】
また、表示画面サイズが15型(解像度変わらず)に、例えば7.5型用のパスワード入力画像をそのまま表示させる場合、逆に見かけの大きさが大きくなりすぎる。そこで、このような場合には、キーがタッチ操作に適した大きさになるように、表示画面に占める割合が小さい(画像サイズが小さい)パスワード入力画像を提供する。
【0076】
なお、手袋をはずすことなく操作可能なキーの大きさは、15×15mm程度が最小の大きさであり、好ましくは20×20mm以上あるとよいが、作業者がはめる手袋の厚みや作業者の性別によって好ましい大きさは異なるため、キーの大きさは適宜選択すればよい。また、好ましいキーの大きさを確保するために、キーの配列は、必ずしも図3や図4に示すものには限られない。
【0077】
例えば、図3(b)においては、キーボード部202aが縦6×横7個のキーにより構成されているが、画面が横長の場合であっては、縦4×横11個等のキー構成としてもよい。図4(b)に示す画面が縦長の場合であっては、縦8×横6個等のキー構成としてもよく、キーボード部402aのキー配列における縦、横の数は適宜変更すればよい。
【0078】
なお、上述の説明においては、便宜上、3.8型および7.5型、QVGAおよびVGAでそれぞれパスワード入力画像の見かけの大きさが同じになると説明したが、それぞれの画面に表示されるパスワード入力画像の縦横比や見かけの大きさは、必ずしも同じである必要はない。
【0079】
また、図3(b)に示すように、パスワードウインドウ202が、横長型のパスワード入力画像201における縦方向の範囲に表示可能な最大の高さを有しておれば、パスワードウインドウ202の大きさを最大にすることができる。これにより、画像サイズがQVGAのように小さい場合でも、パスワードウインドウ202におけるキータッチの操作性を向上させることができる。図4(b)に示す縦長型のパスワード入力画像401においては、パスワードウインドウ402が横方向の範囲に表示可能な最大の幅を有しておれば、パスワードウインドウ402の大きさを最大にすることができる。
【0080】
また、パスワード入力画像201,301は、機種に応じた画像サイズを有することから、画像サイズが大きくなるほど大きく表示される。パスワード入力画像201,401のID/パスワード表示部202b,402bには、前述のように、通常*でユーザIDおよびパスワードを表示するが、入力された文字をそのまま表示するようにしてもよい。この場合、ID/パスワード表示部202b,402bに表示される文字も、画像サイズに応じて大きくなるため、表示されたユーザIDおよびパスワードが、プログラマブル表示器2の周辺にいる他者に認識されやすくなる。このような不都合を回避するため、ID/パスワード表示部202b,402bに表示される文字のサイズを画像サイズに関係なく小さく設定するようにしてもよい。このため、例えば、パスワード設定部132(文字サイズ変更手段)は、ユーザによって選択された文字サイズを設定するようにする。
【0081】
なお、本実施の形態では、パスワード画像およびパスワード入力画像が、表示器の画面の大きさ(表示画面サイズ)や解像度(表示ドット数)毎に用意されている例について説明したが、単一のパスワード画像およびパスワード入力画像を用意しておき、画像サイズ決定部132によって、当該パスワード画像およびパスワード入力画像のサイズを変更したり、キーの配列を変更したりするようにしてもよい。本発明の目的を達成するには、表示器の画面の大きさや解像度に適し、作業者の操作が容易な、特に作業者が手袋をしたままでも操作が容易である入力画像を提供できればよいので、そのための具体的手段は問わない。
【0082】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、入力画像はパスワード入力画像に限られない。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の画像作成装置は、プログラマブル表示器の表示画面と同サイズを有する、パスワードなどを入力する入力画像を用意するので、大きい表示画面に入力画像が小さく表示されたりすることがなく、プログラマブル表示器に入力画像を表示することに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 パーソナルコンピュータ(画像作成装置)
2 プログラマブル表示器
13 画像作成部
131 種類設定部(種類設定手段)
132 画像サイズ決定部(入力画像サイズ決定手段)
133 パスワード設定部(表示サイズ変更手段)
201 パスワード入力画像
202a ID/パスワード表示部(表示部)
401 パスワード入力画像
402a ID/パスワード表示部(表示部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2以上の種類のプログラマブル表示器に表示させる画像を作成するとともに、前記プログラマブル表示器に、所定の記号を入力するためのアルファニューメリックキーを有する入力画像を提供する画像作成装置であって、
前記プログラマブル表示器の種類を設定する種類設定手段と、
設定された前記種類の表示画面サイズおよび解像度の少なくともいずれか一方によって前記入力画像の画像サイズを決定する入力画像サイズ決定手段とを備えていることを特徴とする画像作成装置。
【請求項2】
前記入力画像は、入力された前記記号を表示するための表示部を有しており、
前記入力画像サイズ決定手段は、前記表示部に表示される前記記号の表示サイズを変更する表示サイズ変更手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の画像作成装置。
【請求項3】
コンピュータを請求項1または2に記載の画像作成装置として機能させるための画像作成プログラムであって、当該コンピュータを上記各手段として機能させる画像作成プログラム。
【請求項4】
請求項3に記載の画像作成プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−170497(P2010−170497A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14667(P2009−14667)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000134109)株式会社デジタル (224)
【Fターム(参考)】