説明

画像修正装置およびデジタルカメラ

【課題】被写体画像中の人物の白目、歯および白髪を簡便に色修正すること。
【解決手段】顔表情検出部23は、被写体画像中の被写体人物の笑顔を検出し、画像記録部16は、その被写体画像データと、笑顔であるとの属性データとを関連付けてメモリ16aに記録する。顔表情として笑顔を設定すると、画像読出し部20は、メモリ16aの被写体画像データの中から、被写体人物が笑顔である被写体画像データを読み出し、読み出された被写体画像データの人物画像について、白目領域検出部27a、歯領域検出部27bおよび白髪領域検出部27cは、それぞれ白目、歯および白髪の画像領域を検出し、色修正部31は、白目、歯については白色補正、白髪については黒色補正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像に色修正を施す画像修正装置およびその画像修正装置を備えるデジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラで撮影した被写体画像を修正する場合に、記録媒体に記録された被写体画像をディスプレイに再生表示して、その再生画像を見ながら画像修正ソフトを用いて、マニュアルで修正していた。しかしながら、上述の従来の技術は、ディスプレイ上の再生画像を見て、修正箇所を探して修正するため、極めて手間のかかる作業であった。
一方、被写体画像の白目の領域を検出し、その白目領域に充血部分が存在するか否かを検出し、その検出結果に基づき、充血部分の画像について自動的に修正を行うことができる画像補正装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−228076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献に記載された画像補正装置は、画像毎に修正対象部分、即ち白目の充血部分を検出し、その結果に基づき修正の要否を判断して修正を実行しなければならず、工程が複雑である。
特に、修正対象部分が複数存在する場合には、それぞれの修正対象部分毎に上記の工程が必要であり、膨大な画像処理が必要になるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)請求項1の発明による画像修正装置は、被写体画像データを記憶する記憶手段と、記憶手段から被写体画像データを読み出す読出し手段と、被写体画像データ中の被写体人物の顔表情が所定の顔表情であることを検出する顔表情検出手段と、読出し手段により被写体画像データを読み出したとき、顔表情検出手段により所定の顔表情であることが検出された被写体人物の顔について、白目と歯と髪との少なくとも一つの部分画像に対して自動的に色修正を施す色修正手段と、色修正手段によって色修正された被写体画像データに基づく再生画像を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の画像修正装置によれば、被写体人物の所定の顔表情を検出した画像について、白目と歯と髪との少なくとも一つの部分画像に対して自動的に修正を施すので、工程が簡略化され迅速な修正処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態に係るデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】被写体人物の顔にイラストを挿入した一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態によるデジタルカメラについて、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態によるデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、デジタルカメラは、撮影レンズ11、絞り12、撮像素子13、バッファメモリ14および画像処理部15を備える。また、デジタルカメラは、画像記録部16、CPU(Central Processing Unit)17、ROM(Read Only Memory)18、バス19、画像読出し部20、顔表情設定部36、手動修正部37、表示制御部41およびディスプレイ42を備える。
【0009】
画像処理部15、画像記録部16、CPU17、ROM18、画像読出し部20、顔表情設定部36、手動修正部37および表示制御部41は、バス19を介して互いに接続されている。
【0010】
CPU17は、顔検出部21、顔表情検出部23、顔表情レベル判定部25、白目領域検出部27a、歯領域検出部27b、白髪領域検出部27c、色修正部31、イラスト挿入部33およびデータ保存指示部35として機能する。また、CPU17は、撮影手段である撮影レンズ11、絞り12、撮像素子13を制御する。
ROM18は、顔データ記憶部22、顔表情データ記憶部24、顔表情レベルデータ記憶部26、イラストデータ記憶部34として機能する。
【0011】
撮影レンズ11は、ズームレンズやフォーカスレンズを含む複数のレンズで構成され、被写体像を撮像素子13上に結像する。図1では簡単のため、撮影レンズ11は1枚のレンズで示されている。撮像素子13は、撮影レンズ11からの被写体光L1を光電変換することにより画像信号を生成する。
【0012】
撮像素子13から出力される画像信号は、バッファメモリ14を介して画像処理部15に送られ、ここで所定の種々の画像処理が施される。撮影開始前の段階では、撮像素子13からの画像信号は、バッファメモリ14、画像処理部15を経てバス19を介してディスプレイ42に送られ、スルー画像として表示される。撮影段階では、撮像素子13からの画像信号は、バッファメモリ14、画像処理部15を経てバス19を介して画像記録部16にて記録される。
【0013】
画像記録部16は、画像データとその画像データに関する属性データとを関連付けて不揮発性のメモリ(記憶媒体)16aに記録する。画像データには、撮像素子13からの被写体画像データや、外部機器から画像記録部16に入力された被写体画像データが含まれる。
【0014】
画像読出し部20は、画像記録部16のメモリ16aに記録されている画像データの検索や属性データに基づいて画像の再生を行う操作部である。
【0015】
顔検出部21は、被写体画像データを入力し、これを顔データ記憶部22に予め記憶されている顔データと比較することにより、画像中の被写体人物の顔を検出する。被写体人物が複数人の場合は各人の顔を検出する。顔データ記憶部22は、例えば、眉、眼、鼻、唇の形状に関する特徴点のデータを記憶している。
【0016】
顔検出には、例えば、特開2001−16573号公報に開示されている検出手法を用いることができる。この検出手法は、入力画像中から特徴点を抽出して被写体の顔領域、顔の大きさ等を検出するものである。特徴点としては、眉、眼、鼻、唇の各端点、および顔の輪郭点、例えば頭頂点や顎の下端点が挙げられる。
【0017】
他の顔検出としては、例えば、特開2005−157679号公報に開示されている検出手法を用いることができる。この検出手法は、先ず、入力画像中の2画素間の輝度差を特徴量として学習しておき、その特徴量に基づいて入力画像中の所定領域に顔が存在するか否かを示す推定値を算出し、推定値が1以上のときにその所定領域に顔が存在すると判別するものである。
【0018】
顔表情検出部23は、顔検出部21により検出された顔領域の画像の顔表情を顔表情データ記憶部24に予め記憶されている所定の顔表情データと比較することにより、被写体画像中の被写体人物の顔表情が所定の顔表情に対応することを検出する。この顔表情検出部23は、被写体人物が複数人の場合は各人の顔について顔表情を検出する。
顔表情には、笑顔、泣き顔、怒り顔、驚き顔、寝顔などの様々な種類があり、顔表情データ記憶部24は、これらの複数の顔表情データを記憶している。顔表情検出部23は、例えば、被写体画像中の被写体人物の顔表情が笑顔であることを検出すると、その旨の検出信号を出力する。画像記録部16は、被写体画像データと、検出信号に基づく属性データとを関連付けてメモリ16aに記録する。
【0019】
顔表情検出部23が顔領域の画像の顔表情を検出する場合には、特開2008−42319号公報に開示されている検出手法を用いることができる。この検出手法は、例えば笑顔であることを検出するには、検出された画像の顔が笑顔と通常時の顔という2つの顔表情のいずれに近いかに基づいて表情の種類を判断するものである。
【0020】
顔表情レベル判定部25は、顔検出部21により検出された顔領域の画像の顔表情を顔表情レベルデータ記憶部26に予め記憶されている複数の顔表情レベルデータと比較することにより、顔領域の画像中の被写体人物の顔表情がいずれの顔表情レベルに対応するかを判定する。顔表情レベル判定部25は、被写体人物の顔表情レベルに対応する判定信号を出力する。画像記録部16は、被写体画像データと、所定の顔表情であることを表す属性データとを関連付けてメモリ16aに記録する。
【0021】
顔表情レベルデータ記憶部26は、顔表情の種類毎に表情の度合い(顔表情レベル)として、例えば笑顔であれば、微笑、中位の笑い、大笑いという3段階の笑顔レベルデータを記憶している。
【0022】
笑顔の度合いを判定する手法には、例えば、特開2004−46591号公報に開示されている手法を用いることができる。この判定手法は、入力された部分画像の笑顔について笑顔の度合いの評価を行い、笑顔評価値を算出する。笑顔評価の際は、予め記憶されている笑顔データを参照して眉、瞳孔、唇の各要素の形状の評価ポイントを算出し、各評価ポイントを係数により重み付けした上で合算した値を笑顔評価値としている。
【0023】
白目領域検出部27a、歯領域検出部27bおよび白髪領域検出部27cは、画像読出し部20によってメモリ16aから読み出された被写体画像データ中の人物画像について、それぞれ白目、歯および白髪の画像領域を検出する。これらの読み出された被写体画像データは、顔表情検出部23によって所定の顔表情であることが検出された画像データ、または顔表情レベル判定部25によって顔表情レベルが判定された画像データである。
上述したように、画像記録部16は、被写体画像データとその属性データ(顔表情の種類や顔表情レベル)とを関連付けてメモリ16aに記録しているので、画像読出し部20は、これらの属性データを利用して所定の被写体画像データを読み出すことができる。
【0024】
色修正部31は、白目、歯および白髪の画像領域が検出された被写体画像データに含まれる人物画像について、白目、歯および白髪の画像領域の色修正を自動的に行う。そして、色修正部31は、色修正が終了すると色修正済みの信号を発する。
【0025】
詳しくは、色修正部31は、白目領域検出部27aによって白目の画像領域が検出されると、その画像領域の画素に対して自動的に白色に置換する補正を行い、同様に、歯領域検出部27bによって歯の画像領域が検出されると、その画像領域の画素に対して自動的に白色に置換する補正を行う。また、色修正部31は、白髪領域検出部27cによって白髪の画像領域が検出されると、その画像領域の画素に対して自動的に黒色に置換する補正を行う。
【0026】
イラスト挿入部33は、色修正部31により白目、歯および白髪の画像領域の色修正が施された被写体画像データ中の人物の顔に対して自動でイラストを挿入し、被写体画像にイラスト画像を合成する。イラストとしては、星形,十字形などの輝きイラストと呼ばれるものがある。
【0027】
イラストデータ記憶部34は、このような各種のイラストデータを記憶しており、更にイラスト毎に大きさや色が異なるいくつかのデータを記憶している。イラスト挿入部33は、イラストデータ記憶部34に記憶されているイラストの中から、顔画像の大きさ、顔表情の種類あるいは顔表情レベルに適した形状、大きさ、色のイラストを自動で抽出し、被写体画像にイラストを挿入する。このとき、イラスト挿入部33は、イラストの挿入位置、数量についても自動で決定する。そして、イラスト挿入部33は、イラスト挿入が終了すると、イラスト挿入済みの信号を発する。
【0028】
図2は、被写体人物の顔にイラストを挿入した一例を模式的に示す図であり、図2(a)は、笑顔レベルが微笑みの顔表情、図2(b)は、笑顔レベルが大笑いの顔表情を示している。図2(a)では、被写体人物100の左目の目尻にイラスト101が1つ挿入されている。また、図2(b)では、被写体人物110の左目の目尻にイラスト101が2つ、口角にイラスト101が1つ挿入されている。
【0029】
データ保存指示部35は、色修正部31からの色修正済みの信号と、イラスト挿入部33からのイラスト挿入済みの信号とに応じて、色修正とイラスト挿入がなされた被写体画像データをその属性データとともにメモリ16aに保存せよとの指示信号を発する。画像記録部16は、その指示信号に基づいて色修正とイラスト挿入がなされた被写体画像データと、色修正済み及びイラスト挿入済みであることを表す属性データとを関連付けてメモリ16aに記録する。
【0030】
顔表情設定部36は、被写体人物の顔表情の種類や顔表情レベルを外部から設定する操作部であり、笑顔を含む複数の顔表情の設定や顔表情毎のレベルの設定ができる。例えば、顔表情設定部36が顔表情として笑顔を設定すると、画像読出し部20は、画像記録部16のメモリ16aから笑顔の被写体画像データを読み出す。同様に、顔表情設定部36が顔表情レベルとして大笑いを設定すると、画像読出し部20は、画像記録部16のメモリ16aから大笑いの被写体画像データを読み出す。
【0031】
手動修正部37は、マニュアルで被写体画像の色修正を行う操作部である。ユーザーは、ディスプレイ42に表示された被写体画像を見ながら更に手動による色修正を行うことができる。
【0032】
表示制御部41は、ディスプレイ42による表示を制御する。すなわち、表示制御部41は、バッファメモリ14に一時的に記録されている被写体画像の表示、画像記録部16のメモリ16aに保存された被写体画像の再生表示を行なう時の表示態様を制御する。
【0033】
ディスプレイ42は、スルー画像の表示やバッファメモリ14に一時的に記録されている被写体画像、メモリ16aに保存された被写体画像の表示を行い、また、表示制御部41の指令により、被写体画像に関連する属性データの表示などを行う。
【0034】
以上のように構成されたデジタルカメラは、次のように動作する。
撮影が行われ、撮像素子13が被写体画像データを出力すると、顔検出部21がこの被写体画像データの被写体人物画像を顔データ記録部22に記憶された顔データと比較して、被写体人物の顔領域を検出する。顔表情検出部23は、顔検出部21が検出した顔領域の画像を顔表情データ記憶部24の顔表情データと比較して、被写体人物の顔表情が「笑顔」、「泣き顔」等の所定の顔表情に相当することを検出する。ここでは、顔表情検出部23は、笑顔を検出したとする。
【0035】
顔表情検出部23が笑顔であることを検出すると、その旨の検出信号を出力する。画像記録部16は、被写体画像データと、笑顔であるとの属性データとを関連付けてメモリ16aに記録する。
【0036】
次に、顔表情設定部36によって顔表情として笑顔を設定したとする。画像読出し部20は、メモリ16aに記録されている被写体画像データの中から、各被写体画像データに付されている属性データを検索し、笑顔の被写体画像データを読み出す。
【0037】
白目領域検出部27a、歯領域検出部27bおよび白髪領域検出部27cは、読み出された笑顔の被写体画像データ中の人物画像について、それぞれ白目、歯および白髪の画像領域を検出する。
【0038】
色修正部31は、検出された白目、歯および白髪の画像領域の色修正を自動的に行う。すなわち、色修正部31は、白目の画像領域の画素に対しては白色に置換する補正を行い、歯の画像領域の画素に対しては白色に置換する補正を行い、白髪の画像領域の画素に対しては黒色に置換する補正を行う。このとき、被写体人物の黒髪に白髪が混在している場合は、白髪部分に黒色化の修正を行うことが望ましいが、頭髪がほとんど全て白髪である場合には、不自然さを回避するために黒色化修正を止めた方が好ましい。色修正部31は、色修正が終了すると色修正済みの信号を発する。
【0039】
続いて、イラスト挿入部33は、色修正部31により白目、歯および白髪の画像領域の色修正が施された被写体画像データ中の人物の顔に対して自動的にイラストを挿入し、被写体画像にイラスト画像を合成する。イラスト挿入部33は、イラストデータ記憶部34に記憶されているイラストの中から、顔画像の大きさ、笑顔の顔表情に適した形状、大きさ、色のイラストを選び、イラストの挿入位置、数量を自動的に決定する。イラスト挿入部33は、イラスト挿入が終了するとイラスト挿入済みの信号を発する。
【0040】
このように自動色修正とイラスト挿入とが行われた被写体画像は、ディスプレイ42に表示される。ユーザーは、必要に応じて、手動修正部37を操作して、ディスプレイ42上の自動修正済みの被写体画像を見ながら、マニュアルによる色修正を加えることもできる。更には、イラスト挿入部33によって自動挿入されたイラストの形状、大きさ、色、挿入位置、数量などをマニュアル修正することもできる。
【0041】
データ保存指示部35は、色修正部31からの色修正済みの信号と、イラスト挿入部33からのイラスト挿入済みの信号とに応じて、色修正とイラスト挿入がなされた被写体画像データをその属性データとともにメモリ16aに保存せよとの指示信号を発する。画像記録部16は、その指示信号に基づいてその被写体画像データと、色修正済み及びイラスト挿入済みを表す属性データとを関連付けてメモリ16aに記録する。なお、色修正とイラスト挿入がなされていないオリジナルの被写体画像データは、その属性データとともにそのままメモリ16aに保存されている。
【0042】
本実施の形態によるデジタルカメラは以下の作用効果を奏する。
(1)笑顔が検出された被写体画像データを読み出して被写体画像中の人物画像について、白目、歯および白髪の画像領域の色修正を自動的に行うので、工程が簡略となり、顔表情の引き立つ画像を手間をかけずに得ることができる。
(2)白目、歯および白髪の画像領域の色修正が施された被写体画像にイラストを自動的に挿入するので、顔表情の更に引き立つ画像を手間をかけずに得ることができる。
【0043】
本実施の形態によるデジタルカメラは、更に以下の動作も可能である。
(1)上述した実施の形態では、顔表情検出部23が笑顔を検出した被写体画像について色修正やイラスト挿入を行うものであったが、顔表情レベル判定部25が顔表情の度合いとして顔表情レベルを判定した被写体画像について、所定レベル以上の顔表情の被写体画像に色修正やイラスト挿入を行うように動作させることもできる。
【0044】
その動作を以下に説明する。
顔表情レベル判定部25は、顔検出部21により検出された顔領域の画像の顔表情を顔表情レベルデータ記憶部26に予め記憶されている複数の顔表情レベルデータと比較することにより、顔領域の画像中の被写体人物の顔表情がいずれの顔表情レベルに対応するかを判定する。顔表情レベル判定部25が、被写体人物の顔表情レベルを判定すると、その顔表情レベルに対応する判定信号を出力する。画像記録部16は、被写体画像データと、判定信号に基づく属性データとを関連付けてメモリ16aに記録する。
【0045】
次に、顔表情設定部36によって顔表情レベルとして大笑いを設定したとする。画像読出し部20は、メモリ16aに記録されている被写体画像データの中から、各被写体画像データに付されている属性データを検索し、笑顔レベルが大笑い以上の被写体画像データを読み出す。
【0046】
以後の手順は、上記実施の形態で説明したのと同様に、抽出された被写体画像データに含まれる人物画像について、白目、歯および白髪の画像領域を検出し、白目、歯および白髪の画像領域の色修正を自動的に行い、イラストを自動的に挿入する。そして、色修正とイラスト挿入がなされた被写体画像データを、色修正とイラスト挿入を表す属性データとともにメモリ16aに保存する。
【0047】
イラストの挿入数量については、図2に示したように、笑顔レベルに応じて異なるようにしてもよい。図2(b)に示すように、笑顔レベルが大笑いの場合は、被写体人物110の左目の目尻にイラスト101が2つ、口角にイラスト101が1つの合計3つが挿入されている。一方、図2(a)に示すように、笑顔レベルが微笑みの場合は、被写体人物100の左目の目尻にイラスト101が1つだけ挿入されている。
【0048】
(2)被写体画像中に複数の被写体人物が存在する場合は、顔表情検出部23は、各々の被写体人物の顔表情を検出し、例えば顔表情設定部36によって所定の顔表情として笑顔が設定されていた場合は、笑顔が検出された個々の人物画像について色修正やイラスト挿入を行うこともできる。
【0049】
本実施の形態によるデジタルカメラは、以下のように変形することができる。
(1)上述した実施の形態では、被写体画像データをメモリ16aに記録する前に、顔表情検出部23が被写体画像中の被写体人物の笑顔を検出し、画像記録部16がその被写体画像データと、笑顔であるとの属性データとを関連付けてメモリ16aに記録した。そして、画像読出し部20は、メモリ16aに記録された被写体画像データの中から、被写体人物が笑顔である被写体画像データを読み出し、読み出された被写体画像データの人物画像について、白目、歯および白髪の画像領域の色修正などを行うものであった。
【0050】
この変形例では、撮像素子13からの被写体画像データは、被写体画像の被写体人物の笑顔検出動作をせずに、メモリ16aに記録される。その後で、画像読出し部20は、メモリ16aに記録された被写体画像データを読み出し、顔表情検出部23は、読み出された被写体画像データの被写体人物の笑顔を検出する。そして、笑顔が検出された被写体画像データの人物画像について、本実施の形態と同様に、白目、歯および白髪の画像領域の色修正などを行う。このように、笑顔検出動作の順番を変えて、記録動作の後にするものも本発明に含まれる。
【0051】
(2)上述した実施の形態では、色修正部31は、白目、歯および白髪の画像領域が検出された人物画像について、白目、歯および白髪のすべての色修正を行うものであったが、色修正を行う部位と行わない部位とを分けてもよい。例えば、白目には色修正を行い、白髪には色修正を行わないようにしてもよい。
(3)上述した実施の形態では、イラスト挿入部33によるイラスト挿入動作を行うものであったが、イラスト挿入動作は省略してもよい。
(4)上述した実施の形態では、イラスト挿入部33は、白目、歯の両方にイラスト挿入を行うものであったが、いずれか一方にイラスト挿入を行ってもよい。
【0052】
上述した実施の形態では、デジタルカメラについて説明したが、本発明は、図1において、撮影手段、バッファメモリ14および画像処理部15を有さない画像修正装置やアプリケーションソフトウエア(画像閲覧編集ソフト)にも適用可能である。
また、色修正やイラスト挿入の対象は、白目、歯および白髪に限らず、例えば美肌補正のように肌にも適用可能である。
本発明は、その特徴を損なわない限り、以上説明した実施の形態に何ら限定されない。
【符号の説明】
【0053】
16:画像記録部 16a:メモリ
20:画像読出し部 23:顔表情検出部
24:顔表情データ記憶部 25:顔表情レベル判定部
26:顔表情レベルデータ記憶部 27a:白目領域検出部
27b:歯領域検出部 27c:白髪領域検出部
31:色修正部 33:イラスト挿入部
34:イラストデータ記憶部 35:データ保存指示部
36:顔表情設定部 37:手動修正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体画像データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から前記被写体画像データを読み出す読出し手段と、
前記被写体画像データ中の被写体人物の顔表情が所定の顔表情であることを検出する顔表情検出手段と、
前記読出し手段により前記被写体画像データを読み出したとき、前記顔表情検出手段により前記所定の顔表情であることが検出された被写体人物の顔について、白目と歯と髪との少なくとも一つの部分画像に対して自動的に色修正を施す色修正手段と、
前記色修正手段によって色修正された被写体画像データに基づく再生画像を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする画像修正装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像修正装置において、
前記顔表情検出手段は、前記読出し手段により読み出された前記被写体画像データ中の被写体人物の顔表情が所定の顔表情であることを検出することを特徴とする画像修正装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像修正装置において、
前記顔表情検出手段は、前記記憶手段に記憶される前の被写体画像データについて、該被写体画像データ中の被写体人物の顔表情が所定の顔表情であることを検出し、
前記記憶手段は、前記被写体画像データと、前記顔表情検出手段により前記所定の顔表情であることが検出された旨の属性データとを関連付けて記憶することを特徴とする画像修正装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像修正装置において、
前記被写体画像データ中の被写体人物の顔表情の度合いが所定の顔表情レベルに対応することを判定するレベル判定手段を更に備え、
前記色修正手段は、前記レベル判定手段により判定された顔表情レベルが所定の顔表情レベル以上である被写体人物の顔について、白目と歯との少なくとも一つの部分画像に対して自動的に前記色修正を施すことを特徴とする画像修正装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像修正装置において、
前記白目と歯との少なくとも一つの部分画像に対して自動的にイラストを挿入するイラスト挿入手段を備えることを特徴とする画像修正装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像修正装置において、
前記イラスト挿入手段は、前記レベル判定手段により判定された顔表情レベルの高さに応じて前記イラストの挿入数量を変更することを特徴とする画像修正装置。
【請求項7】
請求項1に記載の画像修正装置において、
前記顔表情検出手段は、前記被写体画像データ中の複数の被写体人物の各々の顔について前記所定の顔表情であることを検出し、
前記色修正手段は、前記顔表情検出手段により前記所定の顔表情であることが検出された顔について、自動的に前記色修正を施すことを特徴とする画像修正装置。
【請求項8】
請求項1に記載の画像修正装置において、
前記色修正手段は、前記顔表情検出手段により前記所定の顔表情であることが検出された被写体人物の顔について、該被写体人物の黒髪に白髪が混在している場合、その頭髪部分に自動的に黒色修正を施すことを特徴とする画像修正装置。
【請求項9】
請求項1に記載の画像修正装置において、
前記色修正手段により自動的に色修正が施された後に、手動による色修正を施す手動修正手段を更に備えることを特徴とする画像修正装置。
【請求項10】
請求項1に記載の画像修正装置において、
前記顔表情検出手段により検出される前記所定の顔表情は笑顔であることを特徴とする画像修正装置。
【請求項11】
請求項1に記載の画像修正装置において、
前記色修正手段によって色修正が施された被写体画像データに色修正を示す属性データを付して、前記記憶手段に保存する保存手段を更に備えることを特徴とする画像修正装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の画像修正装置を備えるデジタルカメラ。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−176217(P2010−176217A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15805(P2009−15805)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】