説明

画像入力装置、ホワイトバランス調整方法、およびその方法を実行するためのプログラムを格納したコンピュータが読取可能な記録媒体

【課題】 白の被写体と肌色などの黒体輻射の特性に近い色の有彩色被写体が混在した場合でも、正確なホワイトバランス調整を行うことが可能な画像入力装置を提供すること。
【解決手段】 図1に示すデジタルカメラは、ホワイトバランス調整が行われたカラー画像データのうち、設定される白検出パラメータの範囲内の画素の各色の画像データを各色毎に積算して各色毎の積算値を出力する白検出回路14と、各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い範囲となる白検出パラメータを算出して、白検出回路14に設定し、かつ、各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い範囲となる白検出パラメータが白検出回路14に設定された場合に出力される各色毎の積算値に基づいて、ホワイトバランス調整回路12のR,Gのゲイン値を算出してホワイトバランス調整回路12に設定するコントローラ6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、画像入力装置、ホワイトバランス調整方法、およびその方法を実行するためのプログラムを格納したコンピュータが読取可能な記録媒体に関し、詳細には、デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等に使用される撮像装置に適用される画像入力装置、ホワイトバランス調整方法、およびその方法を実行するためのプログラムを格納したコンピュータが読取可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】CCDを撮像素子として用いた画像入力装置のホワイトバランス制御装置は、光源の色温度によるCCDの出力信号の色調変化を人間の目に違和感なく補正する技術であり、CCDを用いたデジタルカメラ等において必須の機能である。
【0003】従来、ホワイトバランス制御装置は大別して2つの方式が用いられている。一方の方式は、撮像系とは別に外部色温度センサを設け、その出力信号に応じて撮像系の色調を補正する外部測定方式である。他方の方式は撮像系によって取り込まれた画像の色情報を利用して色調の補正量を求めるTTL(ThroughThe Lens)方式である。
【0004】さらに後者の方式は、経験則に従って撮像画像の全色差の総和を「0」に補正する全画面平均方式と、画像中から白の領域を抽出して、その部分の色差を「0」に補正する白検出方式に大別できる。外部測定方式は専用のセンサーが必要となり、全画面平均方式は誤差が大きいことから、現在、白検出方式が主流となりつつある。
【0005】以下、従来の白検出方式について説明する。例えば、特開平2−26193号公報の「ホワイトバランス装置」では、色情報のY,Cr,Cbの値を用いてCr/Y,Cb/Yの値を算出し、算出したCr/Y,Cb/Yの値がCb/Y−Cr/Y座標上の黒体輻射の特性曲線に沿った一定の範囲に含まれている場合に、その画素を白と判定する方式が提案されている。ここで、Yは画素の輝度値Crは画素の色差R−Y値、Cbは画素の色差B−Y値を示している。
【0006】画像入力装置のCCDから得られるY,Cr,Cb値から、Cr/Y,Cb/Yの値を求めると、Cb/Y−Cr/Y座標上で、同じ色の画素に対する値は、ほぼ一義的に定まる。また、ホワイトバランス制御にかかわる光源の色温度による物体の黒体輻射に沿った特性は、Cb/Y−Cr/Y座標上では図8に示すような曲線として現わすことができる。
【0007】したがって、この曲線に近いCr/Y,Cb/Y値を示す領域は白である可能性が高い。上記特開平2−26193号公報記載の白検出方式では、撮像画像中で図8に示す斜線部分のように、黒体輻射特性曲線を4つの直線で囲んだ領域に含まれるCr/Y,Cb/Y値を示す領域を白領域として検出して、この領域の色差が「0」となるように色調補正することによってホワイトバランス調整を行っている。
【0008】また、撮像画像上に白領域が存在しない場合は、白検出条件を緩和して画像全体の色情報を用いて補正量を求めるが、この際、補正量に制限を加えて有彩色被写体に対して過大な補正がかからないように制限を加えている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特開平2−26193号公報記載の白検出方式では、白の被写体に対しては、画像データの輝度によらず一定の値となるCr/Y,Cb/Yを用いているため、輝度が低く、色が濃い有彩色被写体を誤って白と判定することによって生じる誤差が少なくなる利点があるものの、白い被写体と肌色などの黒体輻射の特性に近い色の有彩色被写体が混在した場合には白以外の領域を白と判定してしまい、白検出の誤差を生じるという問題がある。
【0010】本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、白の被写体と肌色などの黒体輻射の特性に近い色の有彩色被写体が混在した場合でも、正確なホワイトバラ調整を行うことが可能な画像入力装置、ホワイトバランス調整方法、およびその方法を実行するためのプログラムを格納したコンピュータが読取可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1にかかる発明は、入力されるカラー画像データのゲインを調整してホワイトバランスを行う画像入力装置において、前記カラー画像データのうち少なくとも2色の画像データのゲインを調整してホワイトバランス調整を行うホワイトバランス調整手段と、前記ホワイトバランス調整が行われたカラー画像データのうち、設定される白検出パラメータの範囲内にある画素を検出して、当該検出した画素の各色の画像データを各色毎に積算して各色毎の積算値を出力する白検出手段と、前記各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータを算出して、前記白検出手段に設定する白検出パラメータ設定手段と、前記各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータが前記白検出手段に設定された場合の前記各色毎の積算値に基づいて、前記利得調整手段の少なくとも2色のゲイン値を算出し、前記利得調整手段に設定してフィードバック制御するホワイトバランス制御手段と、を備えたものである。
【0012】上記発明によれば、ホワイトバランス調整手段はカラー画像データのうち少なくとも2色の画像データのゲインを調整してホワイトバランス調整を行い、白検出手段は前記ホワイトバランス調整が行われたカラー画像データのうち、設定される白検出パラメータの範囲内にある画素を検出して、当該検出した画素の各色の画像データを各色毎に積算して各色毎の積算値を出力し、白検出パラメータ設定手段は各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータを算出して、白検出手段に設定し、ホワイトバランス制御手段は、前記各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータが前記白検出手段に設定された場合の前記各色毎の積算値に基づいて、利得調整手段の少なくとも2色のゲイン値を算出し、利得調整手段に設定してフィードバック制御を行う。
【0013】また、請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、前記白検出パラメータ設定手段は、所定設定時には白検出パラメータの輝度検出範囲のパラメータを最も高輝度かつ狭い領域に設定し、前記各色毎の積算値が「0」である場合は、所定の幅で白検出パラメータの輝度検出範囲を低輝度側にシフトさせていき、前記白検出手段に画面内で最も高輝度の画素を検出させるべく、前記白検出手段に対してフィードバック制御を行うものである。
【0014】上記発明によれば、白検出パラメータ設定手段は、初期設定時には白検出パラメータの輝度検出範囲を最も高輝度かつ狭い領域に設定し、各色毎の積算値が「0」である場合は、所定の幅で白検出パラメータの輝度検出範囲を低輝度側にシフトさせていき、白検出手段に画面内で最も高輝度の画素を検出させるべく、白検出手段に対してフィードバック制御を行うものである。
【0015】また、請求項3にかかる発明は、請求項2にかかる発明において、前記白検出パラメータ設定手段は、前記白検出パラメータの輝度検出範囲を低輝度側にシフトさせていった場合に、前記各色毎の積算値が「0」でなくなった場合または白検出パラメータの輝度検出範囲が下限値に達した場合に、初期設定時の白検出パラメータにリセットするものである。
【0016】上記発明によれば、白検出パラメータ設定手段は、白検出パラメータの輝度検出範囲を低輝度側にシフトさせていった場合に、各色毎の積算値が「0」でなくなった場合または白検出パラメータの輝度検出範囲が下限値に達した場合に、初期化時の白検出パラメータにリセットする。
【0017】また、請求項4にかかる発明は、入力されるカラー画像データのゲインを調整してホワイトバランスを行うホワイトバランス調整方法において、カラー画像データのうち少なくとも2色の画像データのゲインを調整してホワイトバランス調整を行うステップと、前記ホワイトバランス調整が行われたカラー画像データのうち、設定される白検出パラメータの範囲内にある画素を検出して、当該検出した画素の各色の画像データを各色毎に積算して各色毎の積算値を出力するステップと、前記各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータを算出して設定するステップと、前記各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータが設定された場合の前記各色毎の積算値に基づいて、前記少なくとも2色のゲイン値を算出し設定してフィードバック制御を行うステップとを含むものである。
【0018】上記発明によれば、カラー画像データのうち少なくとも2色の画像データのゲインを調整してホワイトバランス調整を行い、ホワイトバランス調整が行われたカラー画像データのうち、設定される白検出パラメータの範囲内にある画素を検出して、当該検出した画素の各色の画像データを各色毎に積算して各色毎の積算値を出力し、各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータを算出して設定し、各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータが設定された場合の各色毎の積算値に基づいて、少なくとも2色のゲイン値を算出し設定してフィードバック制御を行う。
【0019】また、請求項5にかかる発明は、入力されるカラー画像データのゲインを調整してホワイトバランスを行うホワイトバランス調整方法において、初期設定時の白検出パラメータの輝度検出範囲を最も高輝度に相当する狭い領域に設定するステップと、カラー画像データのうち少なくとも2色の画像データのゲインを調整してホワイトバランス調整を行うステップと、前記ホワイトバランス調整が行われたカラー画像データのうち、設定される白検出パラメータの範囲内にある画素を検出して、当該検出した画素の各色の画像データを各色毎に積算して各色毎の積算値を出力するステップと、前記各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータを算出して設定するステップと、前記各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータが設定された場合の前記各色毎の積算値に基づいて、前記少なくとも2色のゲイン値を算出し設定してフィードバック制御を行うステップと、各色毎の積算値が「0」である場合に、所定の幅で白検出パラメータの輝度検出範囲を低輝度側にシフトさせるステップと、を含むものである。
【0020】上記発明によれば、初期設定時に白検出パラメータの輝度検出範囲を最も高輝度に相当する狭い領域に設定し、カラー画像データのうち少なくとも2色の画像データのゲインを調整してホワイトバランス調整を行い、ホワイトバランス調整が行われたカラー画像データのうち、設定される白検出パラメータの範囲内にある画素を検出して、当該検出した画素の各色の画像データを各色毎に積算して各色毎の積算値を出力し、各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータを算出して設定し、各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータが設定された場合の各色毎の積算値に基づいて、少なくとも2色のゲイン値を算出し設定してフィードバック制御を行い、各色毎の積算値が「0」である場合に、所定の幅で白検出パラメータの輝度検出範囲を低輝度側にシフトさせる。
【0021】また、請求項6にかかる発明は、入力されるカラー画像データのゲインを調整してホワイトバランスを行うホワイトバランス調整方法において、初期設定時に白検出パラメータの輝度検出範囲を最も高輝度かつ狭い領域に設定するステップと、カラー画像データのうち少なくとも2色の画像データのゲインを調整してホワイトバランス調整を行うステップと、前記ホワイトバランス調整が行われたカラー画像データのうち、設定される白検出パラメータの範囲内にある画素を検出して、当該検出した画素の各色の画像データを各色毎に積算して各色毎の積算値を出力するステップと、前記各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い範囲となる白検出パラメータを算出して設定するステップと、前記各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータが設定された場合の前記各色毎の積算値に基づいて、前記少なくとも2色のゲイン値を算出し設定してフィードバック制御を行うステップと、各色毎の積算値が「0」である場合に、所定の幅で白検出パラメータの輝度検出範囲を低輝度側にシフトさせるステップと、各色毎の積算値が「0」でなくなった場合または白検出パラメータの輝度検出範囲が下限値に達した場合に、初期設定時の白検出パラメータにリセットするステップと、を含むものである。
【0022】上記発明によれば、初期設定時に白検出パラメータの輝度検出範囲を最も高輝度かつ狭い領域に設定し、カラー画像データのうち少なくとも2色の画像データのゲインを調整してホワイトバランス調整を行うステップと、前記ホワイトバランス調整が行われたカラー画像データのうち、設定される白検出パラメータの範囲内にある画素を検出して、当該検出した画素の各色の画像データを各色毎に積算して各色毎の積算値を出力し、各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い範囲となる白検出パラメータを算出して設定し、各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータが設定された場合の各色毎の積算値に基づいて、少なくとも2色のゲイン値を算出し設定してフィードバック制御を行い、各色毎の積算値が「0」である場合に、所定の幅で白検出パラメータの輝度検出範囲を低輝度側にシフトさせ、各色毎の積算値が「0」でなくなった場合または白検出パラメータの輝度検出範囲が下限値に達した場合に、初期設定時の白検出パラメータにリセットする。
【0023】また、請求項7にかかる発明は、請求項4〜請求項6のいずれか1つにかかる発明の各工程を実行するためのプログラムを格納したものである。上記発明によれば、コンピュータにより記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより、請求項4〜請求項6のいずれか1つにかかる発明の各工程を実現する。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像入力装置およびホワイトバランス調整方法を適用したデジタルカメラの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0025】図1は本実施の形態にかかるデジタルカメラのブロック図である。図1に示すデジタルカメラは、光学メカ1、CCD・CDS回路2、A/D変換器3、信号処理回路4、画像出力装置5、コントローラ6を備えている。
【0026】光学メカ1は、レンズ・絞り・シャッター等により構成され、被写体の結像や焦点・露光量の調整を行う。CCD・CDS回路2は、光学メカ1により適正な露光条件でカラーCCD面上に結像された被写体像をCCDおよびCDSにおいて電気信号(アナログ信号)に変換する。A/D変換器3は、CDD・CDS回路2から入力されるアナログ信号をデジタルデータに変換する。信号処理回路4は、A/D変換器3で変換されたデジタルデータに対して色補間処理を行いカラー画像データを生成し、コントローラ6により設定されるパラメータに従い、ホワイトバランス調整ならびに白検出用の色積算値の演算を行い結果を出力する。
【0027】画像出力装置5は、ホワイトバランス調整された画像データの表示または記憶媒体への書き込み等を行う。コントローラ6は、ROMに格納された制御プログラムを実行するマイクロプロセッサと制御プログラムが格納されたROM等により構成される。コントローラ6は、信号処理回路4で演算された色積算値に基づいて、ホワイトバランス調整用のRゲイン、Bゲインの設定値、および次の露光で信号処理回路4内の白検出処理に用いられる白検出パラメータの値を算出して、信号処理回路4に対してフィードバック制御を行う。
【0028】上記信号処理回路4は、マトリクス回路11、ホワイトバランス調整回路12、色差演算回路13、および白検出回路14を備えている。マトリクス回路11は、CCD・CDS回路2のR,G,B、C,M,Y等のカラーフィルタを通った画像データに対して色補間演算処理を施して、R,G,Bカラー画像データを生成してホワイトバランス調整回路12に出力する。
【0029】ホワイトバランス調整回路12は、マトリクス回路11から入力されるR,G,Bカラー画像データのうち、R,Bデータに対してゲイン調整処理を行ってホワイトバランス調整を行い、ホワイトバランス調整後のR,G,Bデータを色差演算回路13および画像出力装置5に出力する。この際の調整係数、すなわち、Rゲイン、Bゲインの値はコントローラ6によって設定される。
【0030】色差演算回路13は、ホワイトバランス調整されたR,G,Bデータを輝度データYと色差データR−G,B−Gに変換して白検出回路14に出力する。ここで、輝度データYは下式(1)により変換を行う。
【0031】
Y = 0.3*R+0.6*G+0.1*B・・・(1)
【0032】白検出回路14は、コントローラ6によって設定される白検出パラメータY_min(Y下限値),Y_max(Y上限値),R−G_min(R−G下限値),R−G_max(R−G上限値),B−G_min(B−G下限値),B−G_max(B−G上限値)の6つの値にしたがって、下式(2)〜(4)の3条件を全て満たす画素を画像全体から検出し、検出した全画素のR,G,Bデータの積算値ΣR,ΣG,ΣBを夫々算出してコントローラ6に出力する。
【0033】
Y_min <= Y <= Y_max ・・・(2)
R−G_min <= R−G <= R−G_max・・・(3)
B−G_min <= B−G <= B−G_max・・・(4)
【0034】図2は白検出回路14の白検出範囲を説明するための図である。同図は、R−G,B−Gの色差平面と輝度Yの3次元座標を示しており、白検出パラメータY_min(Y下限値),Y_max(Y上限値),R−G_min(R−G下限値),R−G_max(R−G上限値),B−G_min(B−G下限値),B−G_max(B−G上限値)で指定される白検出範囲Wrangeは角柱の領域となる。白検出回路14は、画像データの中でこの白検出範囲Wrange内(角柱領域内)に含まれる値を有する画素のR,G,Bデータの積算値ΣR,ΣG,ΣBを夫々演算してコントローラ6に出力する。
【0035】上記構成のデジタルカメラにおいて、コントローラ6は白検出パラメータ設定手段およびホワイトバランス制御手段として機能し、ホワイトバランス調整回路12はホワイトバランス調整手段として機能し、白検出回路14は白検出手段として機能する。
【0036】つぎに、上記コントローラ6の処理を詳細に説明する。コントローラ6は、上述したように、ホワイトバランス調整回路12のRゲイン、Bゲインの値、および白検出回路14の白検出パラメータを算出し、ホワイトバランス調整回路12のRゲイン、Bゲインの値、および白検出回路14の白検出パラメータを設定する。
【0037】まず、Rゲイン,Bゲインの算出方法について説明する。コントローラ6は、ホワイトバランス調整回路12のRゲイン,Bゲインを、白検出回路14から入力される色積算値データΣR,ΣG,ΣBに基づいて、下式(5)、(6)に従って算出する。
【0038】Rゲイン=ΣG/ΣR・・・(5)
Bゲイン=ΣG/ΣB・・・(6)
【0039】コントローラ6は、この演算結果(Rゲイン、Bゲイン)を次回の露光の際に信号処理回路4のホワイトバランス調整回路12に対してフィードバックすることにより、ΣR=ΣG=ΣB、すなわち白検出回路14で検出された領域の画像データを白とするホワイトバランス調整を行う。
【0040】次に、白検出パラメータの決定方法について説明する。まず、カメラを起動する際の白検出パラメータの初期設定を説明する。図3は白検出範囲Wrangeの色差平面(R−G、B−G)を示している。図3に示すように、色差に関する白検出パラメータR−G_min(R−G下限値),R−G_max(R−G上限値),B−G_min(B−G下限値),B−G_max(B−G上限値)は、ホワイトバランス制御を行う色温度の範囲で黒体輻射に従って白の被写体の色が変化する曲線の軌跡を全て含むような領域で可能な限り狭い領域を設定する。
【0041】図4は白検出範囲Wrangeの輝度方向の検出領域(輝度検出範囲)を示した図である。図4に示すように、輝度に関する白検出パラメータY_min(Y下限値),Y_max(Y上限値)は、灰色から黒の低輝度の無彩色領域を含まない白に相当する領域で可能な限り狭い領域に設定する。
【0042】白検出パラメータをシフトさせる場合について説明する。図5は白検出パラメータのシフトを説明するための図であり、同図は、白検出回路14における白検出範囲を輝度方向から見た図である。白検出パラメータの初期設定において、白検出回路14から入力される色積算値ΣR,ΣG,ΣBが「0」である場合は、図5に示すように輝度検出範囲を低輝度方向に所定の微少な幅でシフトさせる。この際、画像データにおいて輝度が小さくなると白被写体の色温度変化に対する色ずれ色差も小さくなるため、色差方向の白検出範囲も同時に狭めるものとする。同図では、露光1、露光2、露光3、露光4、露光5で順次、輝度検出範囲を低輝度方向に微少な幅でシフトさせ、かつ色差方向の白検出範囲も同時に狭めた場合を示している。
【0043】コントローラ6は、白検出パラメータの輝度検出範囲を低輝度方向にシフトさせ、かつ白検出パラメータの色差方向の検出範囲を狭めながら、信号処理回路4の白検出回路14から入力される色積算値ΣR,ΣG,ΣBが出力されるまで露光を繰り返し、色積算値ΣR,ΣG,ΣBが「0」以外の値、すなわち白検出範囲にいくつかの画素が含まれた際に、白検出パラメータを再び高輝度領域の初期設定にリセットするとともに、白検出回路14から入力される色積算値ΣR,ΣG,ΣBに基づいてRゲインとBゲインの演算処理を行い、ホワイトバランス調整回路12に対するRゲイン、Bゲインを再設定する。
【0044】また、コントローラ6は、色積算値ΣR,ΣG,ΣBが出力されないまま白検出パラメータの輝度検出範囲が下限に達した際にも、白検出パラメータを初期設定にリセットし、再び、白検出回路14に高輝度側より白検出動作を再開させる。以上の動作を繰り返し行うことで、コントローラ6におけるRゲイン、Bゲインの演算は、常に画面内で最も輝度の高い領域に対して行われるこになる。
【0045】図6は、信号処理回路4の白検出回路14における白検出範囲を輝度方向から見た図であり、白被写体と肌色被写体が混在しているシーンの一例を示している。本発明においては、高輝度側から順次、白を検索していくため、露光2において色積算値が出力された時点で、最高輝度領域に白検出範囲がリセットされるため、肌色領域の色積算値が出力されることがなく、従来技術で生じていたような肌色に対する誤差を防止できる。
【0046】つぎに、図1のデジタルカメラのホワイトバランス調整方法を図7のフローチャートに従って説明する。図7は、図1のデジタルカメラのホワイトバランス調整方法を説明するためのフローチャートを示している。
【0047】図7において、まず、カメラの電源がONされて起動されると、コントローラ6は、信号処理回路4のホワイトバランス調整回路12のRゲイン、Bゲインを太陽光などに対して適正値となる基準の値に初期化する(ステップS1)。ついで、コントローラ6は、信号処理回路4の白検出回路14の白検出パラメータY_min(Y下限値),Y_max(Y上限値),R−G_min(R−G下限値),R−G_max(R−G上限値),B−G_min(R−G下限値),B−G_max(B−G上限値)を、上述したように高輝度領域に初期化する(ステップS2)。この後、露光制御を行って、光学メカ1、CCD・CDS回路2等を介して画像データを取り込み、信号処理回路4の白検出回路14は取り込んだ画像データに対して白検出処理を行って色積算値ΣR,ΣG,ΣBを算出し、コントローラ6に出力する(ステップS3)。
【0048】コントローラ6は、白検出回路14から入力される色積算値ΣR,ΣG,ΣBが「0」であるか否かを判定し(ステップS4)、色積算値ΣR,ΣG,ΣBが「0」である場合には、ステップS5に移行する一方、色積算値ΣR,ΣG,ΣBが「0」でない場合には、ステップS8に移行する。
【0049】ステップS5では、コントローラ6は、色積算値ΣR,ΣG,ΣBが「0」である場合には、上述したように、白検出範囲の輝度検出範囲を低輝度方向にシフトさせ、色差検出範囲を狭めた白検出パラメータY_min(Y下限値),Y_max(Y上限値),R−G_min(R−G下限値),R−G_max(R−G上限値),B−G_min(B−G下限値),B−G_max(B−G上限値)を算出する。そして、コントローラ6は、演算した白検出パラメータのうち、輝度検出範囲Y_min(Y下限値)、Y_max(Y上限値)が下限に達したか否かを判定し(ステップS6)、輝度検出範囲が下限に達していると判断した場合には、ステップS2に移行して、白検出パラメータを初期化してリセットを行う。他方、ステップS6で白検出パラメータの輝度検出範囲Y_min(Y下限値)、Y_max(Y上限値)が下限に達していないと判断した場合には、ステップS7に移行して、上述のステップS5で演算した白検出パラメータY_min(Y下限値),Y_max(Y上限値),R−G_min(R−G下限値),R−G_max(R−G上限値),B−G_min(B−G下限値),B−G_max(B−G上限値)を信号処理回路4の白検出回路14に設定して、ステップS3に戻り、次の露光制御が行われる。
【0050】他方、ステップS8では、コントローラ6は、色積算値ΣR,ΣG,ΣBが「0」でない場合には、色積算値ΣR,ΣG,ΣBに基づいて信号処理回路4のホワイトバランス調整回路12のRゲインとBゲインの値を演算する。この後、コントローラ6は、信号処理回路4のホワイトバランス調整回路12に対して演算したRゲイン、Bゲインの値を設定した後(ステップS9)、ステップS2に戻り、白検出パラメータを初期設定にリセットし、同じ処理を繰り返し実行する。このように、コントローラ6は、上記の処理を繰り返してフィードバック制御を行い、ホワイトバランス調整を行う。
【0051】以上説明したように、本実施の形態においては、ホワイトバランス調整回路12はカラー画像データのR,Bの画像データのゲインを調整してホワイトバランス調整を行い、白検出回路14はホワイトバランス調整が行われたカラー画像データのうち、設定される白検出パラメータの範囲内にある画素を検出して、当該検出した画素の各色の画像データを各色毎に積算して各色毎の色積算値ΣR,ΣG,ΣBを出力し、コントローラ6は各色毎の色積算値ΣR,ΣG,ΣBが「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い範囲となる白検出パラメータを算出して白検出回路14に設定するとともに、各色毎の色積算値ΣR,ΣG,ΣBが「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い範囲となる白検出パラメータが白検出回路14に設定された場合に出力される各色毎の色積算値ΣR,ΣG,ΣBに基づいて、ホワイトバランス調整回路12のR,Bのゲインを算出してホワイトバランス調整回路12に設定してフィードバック制御を行うこととしたので、ホワイトバランス調整のRゲイン、Bゲインを画面内で高輝度の領域に限定して白検出した色積算値を用いて決定することができ、白色と黒体輻射に沿った色温度変化による色ずれに相当する有彩色の被写体が混在したシーンでも、有彩色領域の影響を受けずに、誤差の少ないホワイトバランス調整を行うことが可能となる。付言すると、画面内で無彩色の領域のうち、白である可能性の最も高い、高輝度の領域を自動検索して、白検出処理した結果の色差積算値を用いているため、肌色などの誤差を生じ易い有彩色被写体の影響を防止できる。
【0052】また、コントローラ6は、制御を開始する初期設定時には、白検出回路14に対する白検出パラメータの輝度検出範囲を最も高輝度に相当する狭い領域に設定しておき、白検出回路14の色積算値ΣR,ΣG,ΣBが「0」であった場合は、所定の幅で白検出パラメータの輝度検出範囲を低輝度側にシフトさせていき、白検出回路14に画面内で最も高輝度の画素を検出させるべく、白検出回路14に対して白検出パラメータのフィードバック制御を行うこととしたので、画面内に高輝度の領域が存在しない場合には白検出の輝度領域を低輝度方向にシフトさせて順次検索し、最も輝度の高い領域で白検出された色積算値に基づいてホワイトバランス調整を行うことができ、画面内に白が存在していなくても、無彩色領域がある場合には適正なホワイトバランス調整が可能となる。
【0053】また、コントローラ6は、白検出回路14の白検出パラメータを低輝度側にシフトさせていき、白検出回路14の色積算値ΣR,ΣG,ΣBが「0」でなくなった場合と白検出パラメータの輝度検出範囲が設定可能な下限値に達した場合に、初期設定の白検出パラメータ(輝度検出範囲を最も高輝度に相当する狭い領域とした)にリセットすることとしたので、中間の輝度検出範囲で無彩色の領域が検出された場合や、輝度検出範囲の設定範囲の下限値まで検索しても画面内に無彩色の領域が存在しなかった場合に、白検出パラメータの高輝度領域へのリセット動作と低輝度方向への検索処理を続行し、画角が変化してより高輝度の白の領域が画面内に含まれしだい、直ぐにその領域における色積算値を用いてゲイン設定値の演算を実行でき、常に撮影画面に対して最も誤差の少ないホワイトバランス調整を行うことが可能となる。
【0054】なお、上述の実施の形態の画像入力装置のホワイトバランス調整方法は、予め容易されたプログラムをパーソナルコンピュータや、ワークステーション等のコンピュータで実行することにしても良い。このプログラムは、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータが読取可能な記録媒体から読み出されることによって実行される。また、このプログラムは、上記記録媒体を介して、また伝送媒体として、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。
【0055】また、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。例えば、ホワイトバランス調整回路12で調整するゲインをR、Bとしているが、本発明はこれに限られるものではなく、R,G,Bのうち少なくとも2以上の組み合わせのゲインを調整することにしても良い。
【0056】また、本発明の画像入力装置およびホワイトバランス調整方法は、ビデオカメラ、デジタルカメラ等に使用される撮像装置に広く適用可能である。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1にかかる画像入力装置によれば、ホワイトバランス調整手段はカラー画像データのうち少なくとも2色の画像データのゲインを調整してホワイトバランス調整を行い、白検出手段は前記ホワイトバランス調整が行われたカラー画像データのうち、設定される白検出パラメータの範囲内にある画素を検出して、当該検出した画素の各色の画像データを各色毎に積算して各色毎の積算値を出力し、白検出パラメータ設定手段は各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータを算出して、白検出手段に設定し、ホワイトバランス制御手段は、前記各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータが前記白検出手段に設定された場合の前記各色毎の積算値に基づいて、利得調整手段の少なくとも2色のゲイン値を算出し、利得調整手段に設定してフィードバック制御を行うこととしたので、ホワイトバランス調整のRゲイン、Bゲインを画面内で高輝度の領域に限定して白検出した色積算値を用いて決定することができ、白色と黒体輻射に沿った色温度変化による色ずれに相当する有彩色の被写体が混在したシーンでも、有彩色領域の影響を受けずに、誤差の少ないホワイトバランス調整を行うことが可能となる。
【0058】また、請求項2にかかる画像入力装置によれば、請求項1にかかる画像入力装置において、白検出パラメータ設定手段は、初期設定時には白検出パラメータの輝度検出範囲のパラメータを最も高輝度かつ狭い領域に設定し、各色毎の積算値が「0」である場合は、所定の幅で白検出パラメータの輝度検出範囲を低輝度側にシフトさせていき、白検出手段に画面内で最も高輝度の画素を検出させるべく、白検出手段に対してフィードバック制御を行うこととしたので、画面内に高輝度の領域が存在しない場合には白検出の輝度領域を低輝度方向にシフトさせて順次検索し、最も輝度の高い領域で白検出された色積算値を用いたホワイトバランス調整を行うことができ、画面内に白が存在していなくても、無彩色領域があればホワイトバランス調整が可能となる。
【0059】また、請求項3にかかる画像入力装置によれば、請求項2にかかる画像入力装置において、白検出パラメータ設定手段は、白検出パラメータの輝度検出範囲をを低輝度側にシフトさせていった場合に、各色毎の積算値が「0」でなくなった場合または白検出パラメータの輝度検出範囲が下限値に達した場合に、初期設定時の白検出パラメータにリセットすることとしたので、中間の輝度検出範囲で無彩色の領域が検出された場合や、輝度検出範囲の設定範囲の下限値まで検索しても画面内に無彩色の領域が存在しなかった場合に、白検出範囲の高輝度領域へのリセット動作と低輝度方向への検索処理を続行するため、画角が変化してより高輝度の白の領域が画面内に含まれしだい、直ぐにその領域に対する色積算値を用いてゲイン設定値の演算を実行でき、常に撮影画面に対して最も誤差の少ないホワイトバランス調整を行うことが可能となる。
【0060】また、請求項4にかかるホワイトバランス調整方法によれば、カラー画像データのうち少なくとも2色の画像データのゲインを調整してホワイトバランス調整を行い、ホワイトバランス調整が行われたカラー画像データのうち、設定される白検出パラメータの範囲内にある画素を検出して、当該検出した画素の各色の画像データを各色毎に積算して各色毎の積算値を出力し、各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータを算出して設定し、各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータが設定された場合の各色毎の積算値に基づいて、少なくとも2色の画像データのゲイン値を算出し設定してフィードバック制御を行うこととしたので、ホワイトバランス調整のRゲイン、Bゲイン等を画面内で高輝度の領域に限定して白検出した色積算値を用いて決定することができ、白色と黒体輻射に沿った色温度変化による色ずれに相当する有彩色の被写体が混在したシーンでも、有彩色領域の影響を受けずに、誤差の少ないホワイトバランス調整を行うことが可能となる。
【0061】また、請求項5にかかるホワイトバランス調整方法によれば、初期設定時に白検出パラメータの輝度検出範囲のパラメータを最も高輝度に相当する狭い領域に設定し、カラー画像データのうち少なくとも2色の画像データのゲインを調整してホワイトバランス調整を行い、ホワイトバランス調整が行われたカラー画像データのうち、設定される白検出パラメータの範囲内にある画素を検出して、当該検出した画素の各色の画像データを各色毎に積算して各色毎の積算値を出力し、各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータを算出して設定し、各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータが設定された場合の各色毎の積算値に基づいて、少なくとも2色のゲイン値を算出し設定してフィードバック制御を行い、各色毎の積算値が「0」である場合に、所定の幅で白検出パラメータの輝度検出範囲を低輝度側にシフトさせることとしたので、画面内に高輝度の領域が存在しない場合には白検出の輝度領域を低輝度方向にシフトさせて順次検索して、最も輝度の高い領域で白検出された積算値を用いたホワイトバランス調整を行うことができ、画面内に白が存在していなくても、無彩色領域があればホワイトバランス調整が可能となる。
【0062】また、請求項6にかかるホワイトバランス調整方法によれば、初期設定時に白検出パラメータの輝度検出範囲のパラメータを最も高輝度に相当する狭い領域に設定し、カラー画像データのうち少なくとも2色の画像データのゲインを調整してホワイトバランス調整を行うステップと、前記ホワイトバランス調整が行われたカラー画像データのうち、設定される白検出パラメータの範囲内にある画素を検出して、当該検出した画素の各色の画像データを各色毎に積算して各色毎の積算値を出力し、各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い範囲となる白検出パラメータを算出して設定し、各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータが設定された場合の各色毎の積算値に基づいて、少なくとも2色のゲイン値を算出し設定してフィードバック制御を行い、各色毎の積算値出力が「0」である場合に、所定の幅で白検出パラメータの輝度検出範囲を低輝度側にシフトさせ、各色毎の積算値が「0」でなくなった場合または白検出パラメータの輝度検出範囲が下限値に達した場合に、初期設定時の白検出パラメータにリセットすることとしたので、中間の輝度検出範囲で無彩色の領域が検出された場合や、輝度検出範囲の設定範囲の下限値まで検索しても画面内に無彩色の領域が存在しなかった場合に、白検出範囲の高輝度領域へのリセット動作と低輝度方向への検索処理を実行し続けるため、画角が変化してより高輝度の白の領域が画面内に含まれしだい、直ぐにその領域に対する色積算値を用いてゲイン設定値の演算を実行でき、常に撮影画面に対して最も誤差の少ないホワイトバランス調整を行うことが可能となる。
【0063】また、請求項7にかかる記録媒体によれば、コンピュータにより記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより、請求項4〜請求項6のいずれか1つにかかる発明の各工程を実現することとしたので、ホワイトバランス調整のRゲイン、Bゲイン等を画面内で高輝度の領域に限定して白検出した色積算値を用いて決定することができ、白色と黒体輻射に沿った色温度変化による色ずれに相当する有彩色の被写体が混在したシーンでも、有彩色領域の影響を受けずに、誤差の少ないホワイトバランス調整を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態にかかるデジタルカメラのブロック図である。
【図2】図1の白検出回路の白検出範囲を説明するための図である。
【図3】白検出範囲Wrangeの色差平面(R−G、B−G)を示す図である。
【図4】白検出範囲Wrangeの輝度方向の検出領域(輝度検出範囲)を示した図である。
【図5】白検出パラメータのシフトを説明するための図であり、白検出回路における白検出範囲Wrangeを輝度方向から見た図である。
【図6】肌色を含んだ被写体の場合の白検出パラメータのシフトを説明するための図であり、白検出回路における白検出範囲Wrangeを輝度方向から見た図である。
【図7】図1のデジタルカメラのホワイトバランス調整方法を説明するためのフローチャートである。
【図8】従来の白検出方式を説明するための図である。
【符号の説明】
1 光学メカ
2 CCD・CDS回路
3 A/D変換器
4 信号処理回路
5 画像出力装置
6 コントローラ
11 マトリクス回路
12 ホワイトバランス調整回路
13 色差演算回路
14 白検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】 入力されるカラー画像データのゲインを調整してホワイトバランスを行う画像入力装置において、前記カラー画像データのうち少なくとも2色の画像データのゲインを調整してホワイトバランス調整を行うホワイトバランス調整手段と、前記ホワイトバランス調整が行われたカラー画像データのうち、設定される白検出パラメータの範囲内にある画素を検出して、当該検出した画素の各色の画像データを各色毎に積算して各色毎の積算値を出力する白検出手段と、前記各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータを算出して、前記白検出手段に設定する白検出パラメータ設定手段と、前記各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータが前記白検出手段に設定された場合の前記各色毎の積算値に基づいて、前記利得調整手段の少なくとも2色のゲイン値を算出し、前記利得調整手段に設定してフィードバック制御するホワイトバランス制御手段と、を備えたことを特徴とする画像入力装置。
【請求項2】 前記白検出パラメータ設定手段は、初期設定時には前記白検出パラメータの輝度検出範囲を最も高輝度かつ狭い領域に設定し、前記各色毎の積算値が「0」である場合は、所定の幅で前記白検出パラメータの輝度検出範囲を低輝度側にシフトさせていき、前記白検出手段に画面内で最も高輝度の画素を検出させるべく、前記白検出手段に対してフィードバック制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像入力装置。
【請求項3】 前記白検出パラメータ設定手段は、前記白検出パラメータの輝度検出範囲の低輝度側にシフトさせていった場合に、前記各色毎の積算値が「0」でなくなった場合または前記白検出パラメータの輝度検出範囲が下限値に達した場合に、初期設定時の白検出パラメータにリセットすることを特徴とする請求項2に記載の画像入力装置。
【請求項4】 入力されるカラー画像データのゲインを調整してホワイトバランスを行うホワイトバランス調整方法において、カラー画像データのうち少なくとも2色の画像データのゲインを調整してホワイトバランス調整を行うステップと、前記ホワイトバランス調整が行われたカラー画像データのうち、設定される白検出パラメータの範囲内にある画素を検出して、当該検出した画素の各色の画像データを各色毎に積算して各色毎の積算値を出力するステップと、前記各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータを算出して設定するステップと、前記各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータが設定された場合の前記各色毎の積算値に基づいて、前記少なくとも2色のゲイン値を算出し設定してフィードバック制御を行うステップと、を含むことを特徴とするホワイトバランス調整方法。
【請求項5】 入力されるカラー画像データのゲインを調整してホワイトバランスを行うホワイトバランス調整方法において、初期設定時に白検出パラメータの輝度検出範囲のパラメータを最も高輝度に相当する狭い領域に設定するステップと、カラー画像データのうち少なくとも2色の画像データのゲインを調整してホワイトバランス調整を行うステップと、前記ホワイトバランス調整が行われたカラー画像データのうち、設定される白検出パラメータの範囲内にある画素を検出して、当該検出した画素の各色の画像データを各色毎に積算して各色毎の積算値を出力するステップと、前記各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータを算出して設定するステップと、前記各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータが設定された場合の前記各色毎の積算値に基づいて、前記少なくとも2色のゲイン値を算出し設定してフィードバック制御を行うステップと、前記各色毎の積算値が「0」である場合に、所定の幅で白検出パラメータの輝度検出範囲を低輝度側にシフトさせるステップと、を含むことを特徴とするホワイトバランス調整方法。
【請求項6】 入力されるカラー画像データのゲインを調整してホワイトバランスを行うホワイトバランス調整方法において、初期設定時に白検出パラメータの輝度検出範囲のパラメータを最も高輝度に相当する狭い領域に設定するステップと、カラー画像データのうち少なくとも2色の画像データのゲインを調整してホワイトバランス調整を行うステップと、前記ホワイトバランス調整が行われたカラー画像データのうち、設定される白検出パラメータの範囲内にある画素を検出して、当該検出した画素の各色の画像データを各色毎に積算して各色毎の積算値を出力するステップと、前記各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータを算出して設定するステップと、前記各色毎の積算値が「0」とならない条件で、最も高輝度かつ狭い領域となる白検出パラメータが設定された場合の前記各色毎の積算値に基づいて、前記少なくとも2色のゲイン値を算出し設定してフィードバック制御を行うステップと、前記各色毎の積算値が「0」である場合に、所定の幅で白検出パラメータの輝度検出範囲を低輝度側にシフトさせるステップと、前記各色毎の積算値が「0」でなくなった場合または白検出パラメータの輝度検出範囲が下限値に達した場合に、初期設定時の白検出パラメータにリセットするステップと、を含むことを特徴とするホワイトバランス調整方法。
【請求項7】 請求項4〜請求項6のいずれか1つにかかる発明の各工程を実行するためのプログラムを格納したことを特徴とするコンピュータが読取可能な記録媒体。

【図1】
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【図4】
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【図8】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2002−27491(P2002−27491A)
【公開日】平成14年1月25日(2002.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−200270(P2000−200270)
【出願日】平成12年6月30日(2000.6.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】