説明

画像再生装置、画像保持装置、及び、画像再生システム

【課題】デジタルカメラの画像データを印刷する際の印刷設定に関して、ユーザの利便性を向上させるとともに、デジタルカメラの製造メーカの製品設計作業の効率化を図る。
【解決手段】デジタルカメラに保持されている画像データを、プリンタで印刷する際の印刷設定の各設定項目に、「プリンタ設定に従う」という選択肢を設けておく。プリンタが受信した印刷設定データの中に、「プリンタ設定に従う」という設定項目があった場合には、その設定項目については、その時点でこのプリンタに設定登録されている指定に基づいて、プリンタは画像データの印刷を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像再生装置、画像保持装置、及び、画像再生システムに関し、特に、画像保持装置から画像再生装置に送信した画像データを、画像再生装置の再生設定に基づいて再生可能な画像再生装置、画像保持装置、及び、画像再生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタに接続して印刷を行う機器として、デジタルカメラがある。すなわち、デジタルカメラをプリンタにUSB(Universal Serial Bus)通信インターフェースケーブル等で直接接続し、デジタルカメラで撮影した画像をプリンタで印刷することが可能である。この場合、デジタルカメラからプリンタに対して画像データを送信するとともに、その画像データに基づいた印刷をする際の印刷設定も送信するようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、デジタルカメラが接続されるであろうプリンタには、数多くの機種があり、一般に、プリンタの機種毎に印刷設定の設定項目や、その選択肢の種類や数も異なる。このため、デジタルカメラを製造する製造メーカにとっては、デジタルカメラ側で印刷設定をできるようにするには、各プリンタの機種に応じた多様な設定画面を設けなければならず、その開発作業が大きな負担になるという問題がある。
【0004】
また、プリンタは、そのプリンタ本体にコントロールパネル等が設けられており、ユーザがこのコントロールパネル等を操作することにより、これから行う印刷の印刷設定ができるようになっている。このため、ユーザにとっても、操作の慣れているプリンタ側で印刷設定を行い、操作の慣れていないデジタルカメラ側では印刷設定を行いたくない場合も想定される。このような場合に、デジタルカメラからは、印刷する画像データだけを取得して、印刷設定はプリンタ側の設定で印刷が行われるようにすれば、ユーザの利便性も向上する。
【0005】
このような問題は、デジタルカメラとプリンタとの間に限られるものではない。画像保持装置としては、デジタルカメラの他に、ハードディスクに画像データを保持しているコンピュータなどがあり、画像再生装置としては、プリンタの他に、画像データに基づいて画像を投影するプロジェクタなどがある。このような画像再生システムにおいて、画像データを再生する際の再生設定の利便性を向上させることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、画像保持装置から画像再生装置に送信した画像データを、画像再生装置の再生設定に基づいて再生可能にすることにより、デジタルカメラ等の画像保持装置の製造メーカの開発負担を軽減するとともに、ユーザの利便性を向上させることを目的とする。
【0007】
上記及び他の目的を達成するため、本発明の1つのアスペクトによれば、画像再生装置は、
画像データを受信する、画像データ受信部と、
前記画像データを再生する際の設定が指定してある再生設定データを受信する、再生設定データ受信部と、
前記再生設定データが、当該画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて再生することを指定する依存設定であるか、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて再生することを指定する非依存設定であるかを判断する、判断部と、
前記再生設定データが前記依存設定であると前記判断部が判断した場合には、当該画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて、前記画像データの再生を行い、前記再生設定データが前記非依存設定であると前記判断部が判断した場合には、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて前記画像データの再生を行う、再生実行部と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の他のアスペクトによれば、画像保持装置は、
画像データを保持する画像データ保持部と、
前記画像データ保持部に保持されている画像データを画像再生装置に送信する、画像データ送信部と、
前記画像データを再生する際の設定を含んでいる再生設定データであって、前記画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて前記画像データを再生することを指定する依存設定、又は、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて前記画像データを再生することを指定する非依存設定を含んでいる再生設定データを、前記画像再生装置に送信する、再生設定データ送信部と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の他のアスペクトによれば、画像再生装置の制御方法は、
画像データを受信する、ステップと、
前記画像データを再生する際の設定が指定してある再生設定データを受信する、ステップと、
前記再生設定データが、当該画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて再生することを指定する依存設定であるか、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて再生することを指定する非依存設定であるかを判断する、ステップと、
前記再生設定データが前記依存設定であると判断した場合に、当該画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて、前記画像データの再生を行う、ステップと、
前記再生設定データが前記非依存設定であると判断した場合に、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて、前記画像データの再生を行う、ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の他のアスペクトによれば、画像保持装置の制御方法は、
画像データ保持部に画像データを保持する、ステップと、
前記画像データ保持部に保持されている画像データを画像再生装置に送信する、ステップと、
前記画像データを再生する際の設定を含んでいる再生設定データであって、前記画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて前記画像データを再生することを指定する依存設定、又は、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて前記画像データを再生することを指定する非依存設定を含んでいる再生設定データを、前記画像再生装置に送信する、ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の他のアスペクトによれば、プログラムは、
画像データを受信する、ステップと、
前記画像データを再生する際の設定が指定してある再生設定データを受信する、ステップと、
前記再生設定データが、当該画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて再生することを指定する依存設定であるか、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて再生することを指定する非依存設定であるかを判断する、ステップと、
前記再生設定データが前記依存設定であると判断した場合に、当該画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて、前記画像データの再生を行う、ステップと、
前記再生設定データが前記非依存設定であると判断した場合に、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて、前記画像データの再生を行う、ステップと、
を画像再生装置に実行させるためのプログラムであることを特徴とする。
【0012】
本発明の他のアスペクトによれば、プログラムは、
画像データ保持部に画像データを保持する、ステップと、
前記画像データ保持部に保持されている画像データを画像再生装置に送信する、ステップと、
前記画像データを再生する際の設定を含んでいる再生設定データであって、前記画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて前記画像データを再生することを指定する依存設定、又は、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて前記画像データを再生することを指定する非依存設定を含んでいる再生設定データを、前記画像再生装置に送信する、ステップと、
を画像保持装置に実行させるためのプログラムであることを特徴とする。
本発明の他のアスペクトによれば、記録媒体は、
画像データを受信する、ステップと、
前記画像データを再生する際の設定が指定してある再生設定データを受信する、ステップと、
前記再生設定データが、当該画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて再生することを指定する依存設定であるか、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて再生することを指定する非依存設定であるかを判断する、ステップと、
前記再生設定データが前記依存設定であると判断した場合に、当該画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて、前記画像データの再生を行う、ステップと、
前記再生設定データが前記非依存設定であると判断した場合に、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて、前記画像データの再生を行う、ステップと、
を画像再生装置に実行させるためのプログラムが記録された記録媒体であることを特徴とする。
【0013】
本発明の他のアスペクトによれば、記録媒体は、
画像データ保持部に画像データを保持する、ステップと、
前記画像データ保持部に保持されている画像データを画像再生装置に送信する、ステップと、
前記画像データを再生する際の設定を含んでいる再生設定データであって、前記画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて前記画像データを再生することを指定する依存設定、又は、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて前記画像データを再生することを指定する非依存設定を含んでいる再生設定データを、前記画像再生装置に送信する、ステップと、
を画像保持装置に実行させるためのプログラムが記録された記録媒体であることを特徴とする。
【0014】
本発明の他のアスペクトによれば、画像再生システムは、画像保持装置と、この画像保持装置に接続される画像再生装置とを有する画像再生システムであって、
前記画像保持装置は、
画像データを保持する画像データ保持部と、
前記画像データ保持部に保持されている画像データを前記画像再生装置に送信する、画像データ送信部と、
前記画像データを再生する際の設定を含んでいる再生設定データであって、前記画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて前記画像データを再生することを指定する依存設定、又は、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて前記画像データを再生することを指定する非依存設定を含んでいる再生設定データを、前記画像再生装置に送信する、再生設定データ送信部と、
を備え、
前記画像再生装置は、
前記画像データを受信する、画像データ受信部と、
前記再生設定データを受信する、再生設定データ受信部と、
前記再生設定データが、前記依存設定であるか、前記非依存設定であるかを判断する、判断部と、
前記再生設定データが前記依存設定であると前記判断部が判断した場合には、当該画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて、前記画像データの再生を行い、前記再生設定データが前記非依存設定であると前記判断部が判断した場合には、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて前記画像データの再生を行う、再生実行部と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の他のアスペクトによれば、画像再生システムは、
画像データを保持する画像データ保持部と、
前記画像データ保持部に保持されている画像データを画像再生装置に送信する、画像データ送信部と、
前記画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて前記画像データを再生することを指定する依存設定を含んでいる再生設定データを、前記画像再生装置に送信する、再生設定データ送信部と、
を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷システムの構成を説明するブロック図である。
【図2】本実施形態において、デジタルカメラとプリンタとの間に形成される論理的なパイプの構成を説明する図である。
【図3】本実施形態に係るデジタルカメラとプリンタとの間において、通信が確立された直後の初期的な通信手順の一例を示すシーケンス図である。
【図4】本実施形態に係るデジタルカメラとプリンタとの間において、デジタルカメラからプリンタに印刷要求が送信された場合の通信手順の一例を示すシーケンス図である。
【図5】本実施形態に係るデジタルカメラのメモリに格納される印刷設定データの構成の一例を説明する図である。
【図6】印刷設定データの設定項目のうち、プリンタ設定に従う選択肢を有している選択項目と、その選択肢の一覧を説明する図である。
【図7】本実施形態に係るデジタルカメラの操作面側のレイアウトを説明する図である。
【図8】本実施形態に係るデジタルカメラの液晶表示パネルに表示される印刷設定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[好適な実施例]
本発明の一実施形態は、紙種や用紙サイズ等の印刷設定の選択肢として、「プリンタ設定に従う」という選択肢を用意し、印刷設定としてそのような選択肢が選択されている場合には、プリンタは印刷の際に、プリンタ側で設定されている印刷設定の内容に基づいて、印刷を行うようにしたものである。より詳しくを、以下に説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る印刷システムの全体構成を説明するブロック図である。この図1に示すように、本実施形態に係る印刷システムは、デジタルカメラ10と、このデジタルカメラ10にUSB通信インターフェースケーブル30を介して接続されているプリンタ20とを備えて構成されている。
【0019】
デジタルカメラ10は、メモリ11と、撮像装置13と、カメラコントローラ15と、デバイスコントローラ17とを、備えている。メモリ11には、撮像装置13で撮影した画像データが格納される。この画像データは、例えば、JPEGファイルや、その他の汎用形式ファイルの形式で格納されている。撮像装置13は、写真を撮影して電気信号に変換する。
【0020】
概略的には、カメラコントローラ15は、このデジタルカメラ10の各部の動作を制御する。デバイスコントローラ17は、プリンタ20のようなUSBホストとの通信をコントロールする。
【0021】
より詳細には、カメラコントローラ15は、シャッターボタンを始めとする各種の操作ボタンや、液晶表示パネルなどを備えている。そして、カメラコントローラ15は、シャッターボタン操作に基づいて、撮影装置13を駆動して写真を撮影させたり、撮影された画像の電気信号を撮影装置13から受信して画像データのファイルを作成してメモリ11に書き込んだり、所定の画像参照ボタン操作に基づいて、メモリ11から所望の画像を読み出して、液晶表示パネルに表示したりする。
【0022】
さらに、カメラコントローラ15は、定期的にプリンタステータスの取得を要求する制御コマンド(プリンタステータス要求)を生成したり、ユーザの画像選択ボタン操作に基づいて印刷対象の画像データのファイルをメモリ11から選択して読み出したり、ユーザの印刷設定ボタン操作に基づいて印刷設定(例えば、印刷枚数、用紙種類、用紙サイズ、レイアウト、日付印刷、印刷品質、自動補正など)の内容を示す印刷設定データを生成したり、画像選択ボタン操作に引き続くユーザの印刷要求ボタン操作に基づいて印刷実行を要求する制御コマンド(印刷要求)を生成したり、ユーザの印刷中止ボタン操作に基づいて印刷中止を要求する制御コマンド(印刷中止要求)を生成したりする。
【0023】
デバイスコントローラ17は、USBのストレージクラスのデバイスとしてUSBの規格に従いながら、USBホストと通信する機能を有している。このため、USBホストは、メモリ11内にある様々なディレクトリを検索し、所望のデータファイルに自由にアクセスすることが可能である。
【0024】
さらに、詳しくは後述するが、本実施形態に係るデバイスコントローラ17は、上述したカメラコントローラ15が生成したプリンタステータス要求、印刷要求、印刷中止要求などの制御コマンドを、デジタルカメラ10から主体的に送信するのと実質的に同様の態様で、プリンタ20に送信することが可能である。
【0025】
一方、プリンタ20は、印刷コントローラ21と、印刷エンジン23と、ホストコントローラ25と、コントロールパネル27とを備えている。概略的には、印刷コントローラ21は、デジタルカメラ10から送信されたプリンタステータス要求、印刷要求、印刷中止要求などに応答して、プリンタステータスの返信、印刷対象画像ファイルのメモリ11からの読み込み、印刷画像のレンダリングやその他の各種制御を行う。ホストコントローラ25は、USBホストとしてUSBデバイスと通信するための機能を有する。印刷エン
ジン23は、印刷コントローラ21の制御の下で印刷を実行する。
【0026】
より詳細には、印刷コントローラ21は、JPEGファイル又はその他の汎用形式ファイルのような汎用圧縮フォーマットの画像データをデジタルカメラ10から受信し、これを伸張してビットマップ画像データに変換する機能と、そのビットマップ画像データのRGB画素値を、CMYK画素値へ変換する色変換機能と、この色変換されたビットマップ画像データの多階調の画素値をドットと空白を表すような面積階調の画素値に変換するハーフトーニング機能とを備えている。
【0027】
このため、デジタルカメラ10には、メモリ11内に格納されているJPEGのような印刷対象の画像データのファイルを、伸張したり、色変換したり、ハーフトーニングしたりする機能を備えている必要は必ずしもなく、その画像データのファイルをそのままプリンタ20に送信する機能を備えていれば足りる。その結果、デジタルカメラ10の構成は、プリンタ20の機種毎にカスタマイズする必要がなく、汎用的なものでよいというメリットが得られる。
【0028】
ホストコントローラ25は、ストレージクラスのUSBデバイスとして機能するデジタルカメラ10のメモリ11に、USBの規格に従ってアクセスすることにより、所望のディレクトリの所望のデータファイルを読み書きする機能を有している。さらに、詳しくは後述するが、ホストコントローラ25は、上述したカメラコントローラ15が生成したプリンタステータス要求、印刷要求、印刷中止要求などの制御コマンドを、デジタルカメラ10から主体的に送信するのと実質的に同様の態様で、デジタルカメラ10から受信することを可能にする。
【0029】
コントロールパネル27は、このプリンタ20に、ユーザが印刷設定を行い、登録する際に操作するパネルである。すなわち、ユーザが、印刷枚数、用紙種類、用紙サイズ、レイアウト、日付印刷、印刷品質、自動補正などの設定項目からなる印刷設定を、このプリンタ20に設定登録する場合には、ユーザは、このコントロールパネル27を操作して、必要な設定登録を行う。
【0030】
図2は、デジタルカメラ10のデバイスコントローラ17と、プリンタ20のホストコントローラ25とが通信する際に使用する論理的なパイプ(論理的な通信チャネル)を示す図である。
【0031】
この図2に示すように、デバイスコントローラ17とホストコントローラ25との間では、コントロールパイプ41、バルクパイプ43、インタラプトパイプ45という3種類の通信パイプが使用される。コントロールパイプ41は、デジタルカメラ10からプリンタ20へ、及び、プリンタ20からデジタルカメラ10への各種の制御コマンドの送信に使用される。バルクパイプ43は、デジタルカメラ10からプリンタ20への画像データのファイルの送信や、プリンタ20からデジタルカメラ10へのプリンタステータスデータの送信などのデータ送信に使用される。また、インタラプトパイプ45は、プリンタ20からデジタルカメラ10への「Interrupt In」というリクエスト問い合わせコマンドの送信に使用される。
【0032】
これら3種類のパイプは、いずれもUSB規格で定義されている。しかし、USB規格では、ストレージデバイスの通信に関しては、インタラプトパイプ45の使用に関して何の規定もない。そこで、本実施形態においては、インタラプトパイプ45を有効活用することで、USBストレージタイプであるデジタルカメラ10から、実質的に主体的に、各種の制御コマンドをUSBホストであるプリンタ20に送信できるようにしている。
【0033】
すなわち、プリンタ20は、デジタルカメラ10とUSB通信インターフェースケーブル30で接続されている場合、例えば1m秒に最低1回というようなユーザから見て非常に短い周期で、「Interrupt In」コマンドをインタラプトパイプ45を使用してデジタルカメラ10に送信する。デジタルカメラ10では、「Interrupt In」コマンドを受信する度に、それに対する応答を、プリンタ20にコントロールパイプ41を使用して返信する。
【0034】
この「Interrupt In」コマンドをデジタルカメラ10が受信した時点で、上述したプリンタステータス要求、印刷要求、又は、印刷中止要求などの何らかの制御コマンドがデジタルカメラ10内で生成されていた場合には、デジタルカメラ10はその制御コマンドを、「Interrupt In」コマンドに対する応答として、プリンタ20に返信する。
【0035】
プリンタ20では、この返信された制御コマンドを解釈して、デジタルカメラ10の要求する動作(例えば、プリンタステータスの返信、印刷の実行、又は、印刷の中止など)を実行する。その結果、見かけ上、デジタルカメラ10による実質的に主体的な制御で、プリンタ20を動作させることが可能になる。
【0036】
なお、プリンタ20は、印刷要求に対応して印刷を実行する際には、デジタルカメラ10がストレージクラスであることを利用して、印刷に必要な各種のデータリソース(例えば、印刷対象の画像データのファイルや、印刷設定データのファイルなど)を勝手にデジタルカメラ10から読み込む。このため、デジタルカメラ10は、印刷に必要なデータリソースをメモリ11に格納しておいて、プリンタ20からの読み出し要求に応答してこのデータリソースを読み出すという、ストレージクラスとしての動作を行えばよいこととなる。
【0037】
次に、図3に基づいて、プリンタ20とデジタルカメラ10との間のUSBによる通信接続が確立された当初に行われる初期的な通信の流れを説明する。この図3に示すように、プリンタ20とデジタルカメラ10の電源が既にオンになっている状態で、両者がUSB通信インターフェースケーブル30により接続された場合、又は、プリンタ20とデジタルカメラ10が既にUSB通信インターフェースケーブル30で接続されている状態で、両者がともに電源オンになった場合にはプリンタ20とデジタルカメラ10との間でUSBの通信接続が確立される。
【0038】
USBの通信接続が確立されると、プリンタ20のホストコントローラ25が、デジタルカメラ10のデバイスコントローラ17から、USBデバイスとしての構成を記述した「デバイスディスクリプタ」を取得する(ステップS1)。デジタルカメラ10からのデバイスディスクリプタには、デジタルカメラ10がストレージクラスのデバイスであることを記述した「インターフェースディスクリプタ」が含まれている。そして、このインターフェースディスクリプタには、デジタルカメラ10が使用するUSBの複数のエンドポイント(図2に示した3種類のパイプ41、43、45の何れかを使ってパケットを送信し又は受信するエンドポイント)を列挙した「ストリングディスクリプタ」が含まれている。
【0039】
具体的には、このストリングディスクリプタには、USB規格で定まったストレージデバイスが持つべきエンドポイント(例えば、「Bulk Out(バルクアウト)」エンドポイントや「Bulk In(バルクイン)」エンドポイント)に加えて、本実施形態における追加のエンドポイントである「Interrupt In」エンドポイントが記述されている。したがって、プリンタ20のホストコントローラ25は、インターフェースディスクリプタ及びそのストリングディスクリプタから、デジタルカメラ10がストレージクラスのデバイスであって、且つ、「Interrupt In」コマンド(USBデバイス側のリクエストを問い合わせるコマンド)を使用するデバイスであることを確認する。
【0040】
デジタルカメラ10のデバイスディスクリプタを取得したプリンタ20は、その時点から所定の短い時間以内(例えば、1秒以内)に、コントロールパイプ41を通じてデジタルカメラ10に「プリンタプロトコル確認コマンド」を送信する(ステップS4)。これにより、プリンタ20が使用する通信プロトコルのタイプ(すなわち、「Interrupt In」コマンドを使用するタイプであること)や、プロトコルバージョンなどを、デジタルカメラ10に通知する。
【0041】
これとは別に、通信接続が確立した後には、プリンタ20は、例えば1m秒に1回というような割合で周期的に、「Interrupt In」コマンドを、インタラプトパイプ45を通じてデジタルカメラ10に送信する(ステップS2、ステップS5など)。デジタルカメラ10は、「Interrupt In」コマンドを受信する都度、その時点において何らかの制御コマンドがデジタルカメラ10内で発生しているか否かを調べる。そして、何の制御コマンドも発生していなければ、要求なしを意味する「Nak」メッセージをコントロールパイプ41を通じてプリンタ20へ返信する(ステップS3など)。一方、「Interrupt In」コマンドを受信した時点で、デジタルカメラ10内で何らかの制御コマンドが発生している場合には、デジタルカメラ10は、その制御コマンドをコントロールパイプ41を通じてプリンタ20へ返信する(ステップS6など)。
【0042】
上述したように、そのような制御コマンドには、プリンタステータス要求、印刷要求、及び、印刷中止要求などがある。例えば、図3のステップS6では、プリンタステータス要求が、ステップS5の「Interrupt In」コマンドに対する返信としてプリンタ20に送信されている。プリンタステータス要求を受信したプリンタ20は、最新のプリンタステータスを調べて、そのプリンタステータスを示したデータを、バルクパイプ43を通じてデジタルカメラ10のメモリ11内の所定のディレクトリに書き込む(ステップS7)。これにより、デジタルカメラ10は、最新のプリンタステータスを取得する。これにより、例えば、このプリンタステータスを、デジタルカメラ10の液晶表示パネルなどに表示することができるようになる。
【0043】
プリンタ20は、また、通信接続が確立した後、印刷要求を受け入れることが可能な状態になると、その状態になってから最初にプリンタステータス要求を受信した際(ステップS6)に、デジタルカメラ10にプリンタステータスデータを送信する(ステップS7)だけでなく、印刷要求が受け入れ可能であることを通知するためのメッセージを、コントロールパイプ41を通じてデジタルカメラ10に送信する(ステップS8)。
【0044】
なお、プリンタステータス要求がデジタルカメラ10で発生するタイミングは、デジタルカメラ10の設計次第で如何様にもなるが、例えば、プリンタ20に印刷要求を送信してから印刷が完了するまでの間や、プリンタ20に印刷中止要求を送信してから印刷が中止されるまでの間において、例えば、5秒間隔や1秒間隔などの定期的な周期とすることができる。
【0045】
図4は、デジタルカメラ10から印刷要求がプリンタ20に送信されて、プリンタ20で印刷が実行される場合の通信手順の一例を示している。この図4に示すように、プリンタ20は、所定の時間周期で「Interrupt In」コマンドをデジタルカメラ10に送信する(ステップS11、ステップS13、ステップS17、ステップS21など)。ステップS13のように、「Interrupt In」コマンドを受信した時点で、デジタルカメラ10に印刷要求が発生している場合には、デジタルカメラ10は「Interrupt In」コマンドに対する返信として、印刷要求をコントロールパイプ41を介してプリンタ20に送信する(ステップS14)。
【0046】
この印刷要求を受信したプリンタ20は、印刷要求によって要求された印刷に必要なリソースファイルをデジタルカメラ10のメモリ11から読み込むためのコマンド(リソースファイル要求コマンド)を、デジタルカメラ10に送信する(ステップS15)。これに応答して、デジタルカメラ10のデバイスコントローラ17の仲介で、プリンタ20は、デジタルカメラ10のメモリ11から必要なリソースファイルを読み込み(ステップS16)、このリソースファイルに基づいて印刷を実行する。
【0047】
ここで印刷に必要なリソースファイルには、印刷対象の画像データのファイル(そのパス名やファイル名は印刷要求に記述されている)や、印刷に関する各種の設定項目に設定が記述されている印刷設定データの印刷設定ファイル(そのパス名やファイル名は印刷要求に記述されている)などがある。これらのリソースファイルは、プリンタ20がデジタルカメラ10のメモリ11から勝手に読み出して、伸張や色変換やハーフトーニングなど変換処理を施すので、デジタルカメラ10としては、特別に複雑な処理を行う必要はない。
【0048】
なお、本実施形態においては、これら画像データのファイルや、印刷設定データのファイルは、デジタルカメラ10のメモリ11に格納しておき、プリンタ20がこのメモリ11から読み出すと説明しているが、この場合でも画像データのファイルや印刷設定データのファイルはUSB接続インターフェースケーブル30を通じてデジタルカメラ10から送信されて、プリンタ20で受信されることとなる。このため、広義には、これら画像データのファイルや印刷設定データのファイルは、デジタルカメラ10からプリンタ20に送信されていると言うことができる。
【0049】
プリンタ20が印刷を行っている間でも、プリンタ20は、所定の時間周期で「Interrupt In」コマンドをデジタルカメラ10に送信する(ステップS17など)。印刷要求を送信した後(ステップS14の後)に、この「Interrupt In」コマンドを受信したデジタルカメラ10は、プリンタステータス要求をプリンタ20に返信する(ステップS18など)。印刷を行っている間に、このプリンタステータス要求を受信したプリンタ20は、プリンタステータスをデジタルカメラ10に返信する(ステップS19)だけでなく、最新の印刷状態(例えば、印刷未完の残り枚数、又は、印刷完了枚数)を調べて、これらのデータを含む印刷中のメッセージをデジタルカメラ10に送信する(ステップS20)。
【0050】
印刷が終了した後にも、プリンタ20は所定の時間周期で「Interrupt In」コマンドをデジタルカメラ10に送信する(ステップS21)。そして、印刷が終了した後に、プリンタ20がデジタルカメラ10からプリンタステータス要求を受信した場合(ステップS22)には、プリンタステータスを返信する(ステップS23)だけでなく、印刷が終了した旨のメッセージをコントロールパイプ41を通じてデジタルカメラ10に送信する(ステップS24)。この印刷完了のメッセージを受信したデジタルカメラ10は、新しい印刷要求を発行できるように、デジタルカメラ10自身の動作を制御する。
【0051】
次に、図5及び図6に基づいて、本実施形態に係るデジタルカメラ10のメモリ11に格納される印刷設定データのファイル構造と設定項目について説明する。図5は、デジタルカメラ10のメモリ11に格納されている印刷設定データファイルPSETの構造の一例を示す図であり、図6は、印刷設定データファイルPSETにおいて規定されている設定項目の選択肢の一覧を示す図である。
【0052】
図5に示すように、本実施形態に係る印刷設定データファイルPSETは、設定項目として、ベンダID T10と、印刷枚数T11と、紙種T12と、用紙サイズT13と、レイアウトT14と、日付印刷T15と、印刷品質T16と、自動補正T17とを備えている。
【0053】
ベンダID T10には、プリンタのベンダを特定するための情報が格納される。印刷枚数T11には、この印刷設定データファイルPSETとともにプリンタ20に送信される画像データを、何枚印刷するのか(例えば、1つの画像を2部印刷する等)を設定した情報が格納される。紙種T12には、画像データを印刷する印刷用紙の種類を特定する情報が格納される。図6に示すように、本実施形態においては、紙種T12の選択肢として、「プリンタ設定に従う」、「普通紙」、「光沢紙」の3つが用意されている。「プリンタ設定に従う」が紙種T12に格納されている場合には、デジタルカメラ10からの指定ではなく、プリンタ20にその時点で設定されている紙種の指定に基づいて、プリンタ20は画像データに対する伸張、色変換、ハーフトーニング等の変換処理を行い、印刷を実行する。「普通紙」、「光沢紙」が紙種T12に格納されて、指定されている場合には、デジタルカメラ10からの指定が優先される。
【0054】
用紙サイズT13には、画像ファイルを印刷する印刷用紙のサイズを特定する情報が格納される。本実施形態においては、用紙サイズT13の選択肢として、「プリンタ設定に従う」、「はがき」、「100mm×150mm」、「A6」、「A4」、「ロール紙」の6つが用意されている。「プリンタ設定に従う」が用紙サイズT13に格納されている場合には、デジタルカメラ10からの指定ではなく、プリンタ20にその時点で設定されている用紙サイズの指定に基づいて、プリンタ20は印刷を実行する。すなわち、プリンタで設定されている用紙サイズに適用するように、画像データに対する伸張、色変換、ハーフトーニング等の変換処理を行い、印刷を実行する。一方、「はがき」、「100mm×150mm」、「A6」、「A4」、「ロール紙」が用紙サイズT13に格納されている場合には、デジタルカメラ10からの指定が優先される。例えば、用紙サイズT13に「はがき」という指定がなされている場合には、プリンタ20は、はがきのサイズに適合するように、画像データに対する伸張、色変換、ハーフトーニング等の変換処理を行い、印刷を実行する。
【0055】
レイアウトT14には、画像データのファイルを印刷する際のレイアウトを特定する情報が格納される。本実施形態においては、レイアウトT14の選択肢として、「プリンタ設定に従う」、「1面付け(縁有り)」、「1面付け(縁無し)」の3つが用意されている。「プリンタ設定に従う」がレイアウトT14に格納されている場合には、デジタルカメラ10からの指定ではなく、プリンタ20にその時点で設定されているレイアウトの指定に基づいて、プリンタ20は印刷を実行する。すなわち、プリンタで設定されているレイアウトに適用するように、画像データに対する伸張、色変換、ハーフトーニング等の変換処理を行い、印刷を実行する。「1面付け(縁有り)」がレイアウトT14に格納されている場合には、プリンタ20は、この指定に基づいて、1枚の印刷用紙に1つの画像を印刷するレイアウトで、且つ、縁有りのレイアウトに適合するように、画像データ画像データに対する伸張、色変換、ハーフトーニング等の変換処理を行い、印刷を行う。「1面付け(縁無し)」がレイアウトT14に格納されている場合には、プリンタ20は、この指定に基づいて、1枚の印刷用紙に1つの画像を印刷するレイアウトで、且つ、縁無しのレイアウトに適合するように、画像データに対する伸張、色変換、ハーフトーニング等の変換処理を行い、印刷を行う。
【0056】
日付印刷T15には、画像データのファイルを印刷する際に撮影日付を印刷するか否かを特定する情報が格納される。本実施形態においては、日付印刷T15の選択肢として、「プリンタ設定に従う」、「日付を印刷しない」、「日付を画像に重ねて印刷する」の3つが用意されている。「プリンタ設定に従う」が日付印刷T15に格納されている場合には、デジタルカメラ10からの指定ではなく、プリンタ20にその時点で設定されている日付印刷の要否の指定に基づいて、プリンタ20は印刷を実行する。すなわち、プリンタに登録されている日付印刷の要否に関する設定に適合するように、画像データに対する伸張、色変換、ハーフトーニング等の変換処理を行い、印刷を実行する。「日付を印刷しない」が日付印刷T15に格納されている場合には、プリンタ20は、この指定に基づいて、撮影日付の印刷は行わないように、画像データに対する伸張、色変換、ハーフトーニング等の変換処理を行い、印刷を実行する。「日付を画像に重ねて印刷する」が日付印刷T15に格納されている場合には、プリンタ20は、この指定に基づいて、例えば印刷する画像の右隅に撮影日付を画像に重ねて印刷するように、画像データに対する伸張、色変換、ハーフトーニング等の変換処理を行い、印刷を実行する。
【0057】
印刷品質T16には、画像ファイルを印刷する際の品質を特定する情報が格納される。本実施形態においては、印刷品質T16の選択肢として、「プリンタ設定に従う」、「最高画質」、「高画質」、「高速印刷」の4つが用意されている。
「プリンタ設定に従う」が印刷品質T16に格納されている場合には、デジタルカメラ10からの指定ではなく、プリンタ20にその時点で設定されている印刷品質に基づいて、プリンタ20は印刷を実行する。すなわち、プリンタに設定されている印刷品質に適合するように、画像データに対する伸張、色変換、ハーフトーニング等の変換処理を行い、印刷を実行する。「最高画質」、「高画質」、「高速印刷」が印刷品質T16に格納されている場合には、プリンタ20は、この指定に基づいた品質に適合するように、画像データに対する伸張、色変換、ハーフトーニング等の変換処理を行い、印刷を実行する。
【0058】
自動補正T17には、画像ファイルを印刷する際に自動補正をするか否かを特定する情報が格納される。本実施形態においては、自動補正T17の選択肢として、「プリンタ設定に従う」、「補正なし」、「自動補正」の3つが用意されている。「プリンタ設定に従う」が自動補正T17に格納されている場合には、デジタルカメラ10からの指定ではなく、プリンタ20にその時点で設定されている自動補正の要否に基づいて、プリンタ20は印刷を実行する。すなわち、プリンタに登録されている自動補正の要否の設定に適合するように、画像データに対する伸張、色変換、ハーフトーニング等の変換処理を行い、印刷を実行する。「補正なし」が自動補正T17に格納されている場合には、プリンタ20は、自動補正をしないで画像を印刷するように、画像データに対する伸張、色変換、ハーフトーニング等の変換処理を行い、印刷を実行する。「自動補正」が自動補正T17に格納されている場合には、プリンタ20は、例えば印刷する画像の明るさ等を調整するように、画像データに対する伸張、色変換、ハーフトーニング等の変換処理を行い、印刷を実行する。
【0059】
これらの説明から分かるように、プリンタ20は、受信した印刷設定データの各設定項目が、プリンタの設定に従うことを示す「依存設定」であるのか、それとも、この印刷設定データに指定されている設定に従うことを示す「非依存設定」であるのかを判断する。そして、依存設定である設定項目については、その時点でプリンタに登録されている印刷設定に基づいて、画像データの伸張、色変換、ハーフトーニング等の変換処理を行い、非依存設定である設定項目については、印刷設定データで指定されている設定に基づいて、画像データに対する伸張、色変換、ハーフトーニング等の変換処理を行うこととなる。
【0060】
次に、図7及び図8に基づいて、ユーザがデジタルカメラ10を用いて印刷設定する際の操作について説明する。図7は、デジタルカメラ10の操作面側のレイアウトの一例を示す図であり、図8は、印刷設定画面W10の一例を示す図である。
【0061】
図7に示すように、本実施形態に係るデジタルカメラ10は、中央部分に液晶表示パネル100が配置されている。ユーザがこのデジタルカメラ10を用いて写真を撮影する際には、この液晶表示パネル100に、撮影する画像が表示される。
【0062】
液晶表示パネル100の右側には、メニューボタン110と、上側ボタン120と、下側ボタン130と、右側ボタン140と、左側ボタン150と、決定ボタン160とが、配置されている。ユーザがメニューボタン110を押下して、印刷設定画面を選択すると、液晶表示パネル100に、図8に示す印刷設定画面W10が表示される。
【0063】
この図8に示すように、印刷設定画面W10には、カーソルCSが表示される。このカーソルCSは、上側ボタン120を押下することにより上側に移動し、下側ボタン130を押下することにより下側に移動する。また、右側ボタン140を押下することにより、カーソルCSが位置している設定項目の選択肢が順方向にシフトし、左側ボタン150を押下することにより、選択肢が逆方向にシフトする。例えば、カーソルCSが紙種の位置にある状態で、右側ボタン140を押下すると、順次、選択肢として「プリンタ設定に従う」、「普通紙」、「光沢紙」が表示される。
【0064】
カーソルCSが印刷設定画面W10の一番下側の設定項目に位置している状態で下側ボタン130を押下すると、印刷設定画面W10が順次下側にスクロールし、次の設定項目が表示される。逆に、カーソルCSが印刷設定画面W10の一番上側の設定項目に位置している状態で上側ボタン120を押下すると、印刷設定画面W10が順次上側にスクロールし、前の設定項目が表示される。
【0065】
印刷する画像の選択は、「写真ナンバー」の位置にカーソルCSを移動し、右側ボタン140及び左側ボタン150を操作することにより行う。すなわち、右側ボタン140を押下することにより、写真ナンバーが1つ増加し、左側ボタン150を押下することにより、写真ナンバーが1つ減少する。このような操作を繰り返すことにより、ユーザは、印刷する写真と、その印刷設定を行う。
【0066】
すべての設定が終了した時点で、ユーザは、図7に示す決定ボタン160を押下する。この決定ボタン160を押下することにより、メモリ11内に保持されている画像データのファイルが1つ特定されるとともに、設定した内容に基づいた印刷設定データのファイルがメモリ11内に形成される。そして、上述した印刷要求コマンド(図4のステップS14参照)がデジタルカメラ10からプリンタ20に送信され、印刷が開始される。すなわち、画像データのファイルと印刷設定データのファイルとが、プリンタ20に送信され、印刷が開始される。
【0067】
以上のように、本実施形態に係る印刷システムによれば、印刷設定の設定項目に、プリンタの設定に従うという選択肢を設けたので、ユーザは、プリンタ20側のコントロールパネル27を操作して設定しておいた印刷設定に基づいて、デジタルカメラ10の画像を印刷することができる。このため、ユーザの利便性が向上する。例えば、プリンタ20側で用紙サイズを「はがき」に設定し、デジタルカメラ10で用紙サイズT13を「プリンタ設定に従う」に設定すれば、プリンタ20側で、印刷する印刷用紙のサイズがはがきサイズであるとの前提の下、画像データをはがきサイズの印刷に適合した大きさで、伸張し、色変換し、ハーフトーニングを行うようにすることができる。
【0068】
また、印刷設定における設定項目をプリンタ20側の指定に委ねる選択肢を設ければ、デジタルカメラ10の製造メーカも、多数のプリンタ機種に適合させて、印刷設定画面W10を設計する必要がなくなる。すなわち、プリンタの機種によって、印刷設定における設定項目の選択肢は異なる場合が多い。このため、デジタルカメラ10側から必要な印刷設定の設定項目を必ず指定することとすると、デジタルカメラ10の製造メーカは、各プリンタ機種毎に印刷設定画面W10を設計しなければならなくなる。しかし、本実施形態のように、「プリンタ設定に従う」とう選択肢を少なくとも用意しておけば、必ずしも各プリンタ機種毎に印刷設定画面W10を設計する必要がなくなる。
【0069】
さらに言及すれば、すべての印刷設定項目を、プリンタ設定に従うようにしておけば、デジタルカメラ10側では印刷する画像データを選択する機能だけを備えていれば足りることとなり、デジタルカメラ10の印刷設定に関する設計を極めて簡単なものにすることができる。この場合、印刷設定の設定項目をユーザが設定するのではなく、デジタルカメラ10が設定値として「プリンタ設定に従う」という値を保持しておくようにし、これをユーザの意思に拘わらず、画像データとともに、プリンタ20に送信することとなる。
【0070】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず種々に変形可能である。例えば、上述した実施形態においては、デジタルカメラ10とプリンタ20との間をUSB通信により接続したが、パラレル通信等の他の通信規格ににより接続するようにしてもよい。
【0071】
また、印刷設定データの設定項目は、上述した実施形態の設定項目限られるものではなく、他の設定項目が含まれていてもよいし、実施形態に例示されている設定項目が省かれていてもよい。また、その選択肢の種類や数も、任意に設計することが可能である。
【0072】
さらに、上述した実施形態においては、画像保持装置としてデジタルカメラ10を例示し、画像再生装置の一例としてプリンタ20を例示したが、画像保持装置及び画像再生装置の組み合わせはこれらに限られるものではない。この場合、再生設定に含まれる設定項目も、画像保持装置や画像再生装置の種類に応じて、適宜、設計すればよい。
【符号の説明】
【0073】
10 デジタルカメラ、11 メモリ、13 撮影装置、15 カメラコントローラ、17 デバイスコントローラ、20 プリンタ、21 印刷コントローラ、23 印刷エンジン、25 ホストコントローラ、27 コントロールパネル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを受信する、画像データ受信部と、
前記画像データを再生する際の設定が指定してある再生設定データを受信する、再生設定データ受信部と、
前記再生設定データが、当該画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて再生することを指定する依存設定であるか、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて再生することを指定する非依存設定であるかを判断する、判断部と、
前記再生設定データが前記依存設定であると前記判断部が判断した場合には、当該画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて、前記画像データの再生を行い、前記再生設定データが前記非依存設定であると前記判断部が判断した場合には、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて前記画像データの再生を行う、再生実行部と、
を備えることを特徴とする画像再生装置。
【請求項2】
前記再生設定データに含まれている設定項目は複数あり、
前記判断部は、再生設定データに含まれている各設定項目毎に、前記依存設定であるか又は前記非依存設定であるかを判断し、
前記印刷実行部は、前記判断部における各設定項目の判断に基づいて設定を行い、前記画像データの再生を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像再生装置。
【請求項3】
前記再生実行部は、前記画像データに対して、設定に基づいた再生を行うのに必要な変換処理を行う、ことを特徴とする請求項2に記載の画像再生装置。
【請求項4】
ユーザが当該画像再生装置に再生装置設定の設定を行うためのユーザ設定部を、さらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像再生装置。
【請求項5】
画像データを保持する画像データ保持部と、
前記画像データ保持部に保持されている画像データを画像再生装置に送信する、画像データ送信部と、
前記画像データを再生する際の設定を含んでいる再生設定データであって、前記画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて前記画像データを再生することを指定する依存設定、又は、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて前記画像データを再生することを指定する非依存設定を含んでいる再生設定データを、前記画像再生装置に送信する、再生設定データ送信部と、
を備えることを特徴とする画像保持装置。
【請求項6】
前記再生設定データに含まれている設定項目は複数あり、各設定項目毎に、前記依存設定であるか、又は、前記非依存設定であるかが指定されている、ことを特徴とする請求項5に記載の画像保持装置。
【請求項7】
前記設定項目が前記非依存設定である場合には、前記画像データをどのような設定に基づいて再生するかを特定する情報が指定されている、ことを特徴とする請求項6に記載の画像保持装置。
【請求項8】
各設定項目毎に、前記依存設定であるか、又は、前記非依存設定であるかを、ユーザが指定する再生設定指定部を、さらに備えることを特徴とする請求項7に記載の画像保持装置。
【請求項9】
画像データを受信する、ステップと、
前記画像データを再生する際の設定が指定してある再生設定データを受信する、ステップと、
前記再生設定データが、当該画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて再生することを指定する依存設定であるか、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて再生することを指定する非依存設定であるかを判断する、ステップと、
前記再生設定データが前記依存設定であると判断した場合に、当該画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて、前記画像データの再生を行う、ステップと、
前記再生設定データが前記非依存設定であると判断した場合に、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて、前記画像データの再生を行う、ステップと、
を備えることを特徴とする画像再生装置の制御方法。
【請求項10】
前記再生設定データに含まれている設定項目は複数あり、
前記判断するステップでは、再生設定データに含まれている各設定項目毎に、前記依存設定であるか又は前記非依存設定であるかを判断し、
前記画像データの再生を行うステップでは、各設定項目の判断に基づいて設定を行い、前記画像データの再生を行う、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像再生装置の制御方法。
【請求項11】
前記画像データの再生を行うステップでは、前記画像データに対して、設定に基づいた再生を行うのに必要な変換処理を行う、ことを特徴とする請求項10に記載の画像再生装置の制御方法。
【請求項12】
ユーザが当該画像再生装置に再生装置設定の設定を行うステップを、さらに備えることを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれかに記載の画像再生装置の制御方法。
【請求項13】
画像データ保持部に画像データを保持する、ステップと、
前記画像データ保持部に保持されている画像データを画像再生装置に送信する、ステップと、
前記画像データを再生する際の設定を含んでいる再生設定データであって、前記画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて前記画像データを再生することを指定する依存設定、又は、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて前記画像データを再生することを指定する非依存設定を含んでいる再生設定データを、前記画像再生装置に送信する、ステップと、
を備えることを特徴とする画像保持装置の制御方法。
【請求項14】
前記再生設定データに含まれている設定項目は複数あり、各設定項目毎に、前記依存設定であるか、又は、前記非依存設定であるかが指定されている、ことを特徴とする請求項13に記載の画像保持装置の制御方法。
【請求項15】
前記設定項目が前記非依存設定である場合には、前記画像データをどのような設定に基づいて再生するかを特定する情報が指定されている、ことを特徴とする請求項14に記載の画像保持装置の制御方法。
【請求項16】
各設定項目毎に、前記依存設定であるか、又は、前記非依存設定であるかを、ユーザが指定するステップを、さらに備えることを特徴とする請求項15に記載の画像保持装置の制御方法。
【請求項17】
画像データを受信する、ステップと、
前記画像データを再生する際の設定が指定してある再生設定データを受信する、ステップと、
前記再生設定データが、当該画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて再生することを指定する依存設定であるか、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて再生することを指定する非依存設定であるかを判断する、ステップと、
前記再生設定データが前記依存設定であると判断した場合に、当該画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて、前記画像データの再生を行う、ステップと、
前記再生設定データが前記非依存設定であると判断した場合に、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて、前記画像データの再生を行う、ステップと、
を画像再生装置に実行させるためのプログラム。
【請求項18】
画像データ保持部に画像データを保持する、ステップと、
前記画像データ保持部に保持されている画像データを画像再生装置に送信する、ステップと、
前記画像データを再生する際の設定を含んでいる再生設定データであって、前記画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて前記画像データを再生することを指定する依存設定、又は、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて前記画像データを再生することを指定する非依存設定を含んでいる再生設定データを、前記画像再生装置に送信する、ステップと、
を画像保持装置に実行させるためのプログラム。
【請求項19】
画像データを受信する、ステップと、
前記画像データを再生する際の設定が指定してある再生設定データを受信する、ステップと、
前記再生設定データが、当該画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて再生することを指定する依存設定であるか、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて再生することを指定する非依存設定であるかを判断する、ステップと、
前記再生設定データが前記依存設定であると判断した場合に、当該画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて、前記画像データの再生を行う、ステップと、
前記再生設定データが前記非依存設定であると判断した場合に、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて、前記画像データの再生を行う、ステップと、
を画像再生装置に実行させるためのプログラムが記録された記録媒体。
【請求項20】
画像データ保持部に画像データを保持する、ステップと、
前記画像データ保持部に保持されている画像データを画像再生装置に送信する、ステップと、
前記画像データを再生する際の設定を含んでいる再生設定データであって、前記画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて前記画像データを再生することを指定する依存設定、又は、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて前記画像データを再生することを指定する非依存設定を含んでいる再生設定データを、前記画像再生装置に送信する、ステップと、
を画像保持装置に実行させるためのプログラムが記録された記録媒体。
【請求項21】
画像保持装置と、この画像保持装置に接続される画像再生装置とを有する画像再生システムであって、
前記画像保持装置は、
画像データを保持する画像データ保持部と、
前記画像データ保持部に保持されている画像データを前記画像再生装置に送信する、画像データ送信部と、
前記画像データを再生する際の設定を含んでいる再生設定データであって、前記画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて前記画像データを再生することを指定する依存設定、又は、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて前記画像データを再生することを指定する非依存設定を含んでいる再生設定データを、前記画像再生装置に送信する、再生設定データ送信部と、
を備え、
前記画像再生装置は、
前記画像データを受信する、画像データ受信部と、
前記再生設定データを受信する、再生設定データ受信部と、
前記再生設定データが、前記依存設定であるか、前記非依存設定であるかを判断する、判断部と、
前記再生設定データが前記依存設定であると前記判断部が判断した場合には、当該画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて、前記画像データの再生を行い、前記再生設定データが前記非依存設定であると前記判断部が判断した場合には、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて前記画像データの再生を行う、再生実行部と、
を備えることを特徴とする画像再生システム。
【請求項22】
画像データを保持する画像データ保持部と、
前記画像データ保持部に保持されている画像データを画像再生装置に送信する、画像データ送信部と、
前記画像再生装置に設定されている再生装置設定に基づいて前記画像データを再生することを指定する依存設定を含んでいる再生設定データを、前記画像再生装置に送信する、再生設定データ送信部と、
を備えることを特徴とする画像保持装置。
【請求項23】
前記再生設定データ送信部は、前記依存設定を含んでいる再生設定データ、又は、前記再生設定データに指定されている個別設定に基づいて前記画像データを再生することを指定する非依存設定を含んでいる再生設定データを送信する、ことを特徴とする請求項22に記載の画像保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−4554(P2010−4554A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188265(P2009−188265)
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【分割の表示】特願2004−525790(P2004−525790)の分割
【原出願日】平成15年7月25日(2003.7.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】