説明

画像処理アルゴリズムの評価方法、生成方法、装置、プログラムおよび記録媒体

【課題】高い処理能力を持つ画像処理アルゴリズムに対して高い評価を与える。
【解決手段】欠陥などの抽出対象部の位置が既知の画像データに対して、評価対象となる画像処理アルゴリズムの前処理を施したのちに1次評価を行い、前処理後の画像より非抽出対象部を含む抽出対象部の候補を抽出して、それらの特徴量を算出し、抽出対象部の位置が既知であることから候補を抽出対象部と非抽出対象部に分類し、抽出対象部の群の特徴量と非抽出対象部の群の特徴量の分離度によって2次評価し、その評価値に基づいて画像処理アルゴリズムのパラメータを調整する。また、1次評価に基づいて棄却処理を行う。また、2次評価に基づいて1次評価基準を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理アルゴリズムの評価方法、生成方法、装置、プログラムおよび記録媒体に関し、特に、画像データの画像から所望の対象部を抽出するための画像処理アルゴリズムの性能を評価する方法、当該評価方法を用いて画像処理アルゴリズムを生成する方法、ならびにそのための装置、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CCD(Charge Coupled Device)等の画像撮像デバイスやパーソナルコンピュータ等の画像処理機器の低価格化により、画像処理の適用分野が広がりつつある。とりわけ、産業分野における欠陥検査への画像処理の適用は広範に渡り、製品やデバイスの歩留まり、品質の向上や目視検査員削減によるコストダウンのためにますますその必要性を高めている。しかしながら、欠陥検査向けの画像処理アルゴリズムは欠陥対象毎に専用設計することが一般的であり、一度設計した画像処理アルゴリズムを他の欠陥検査に適用できない場合が多い。よって、現状では欠陥検査のために、対象とする製品やデバイスに合わせて多種多様な画像処理アルゴリズムが開発されており、適用分野および検査対象の拡大に比例して開発工数は増加してゆく。一般に、画像処理アルゴリズムの開発と導入は、設計作業と調整作業から構成され、いずれも画像処理モジュールの組合せや各種のパラメータ変更などの作業と、その評価とを試行錯誤的に繰り返すことになり、非常に多くの工数を要する。このように、画像処理機器の低価格化が進む一方で画像処理アルゴリズム開発コストは下がらないため、欠陥検査装置に占める画像処理アルゴリズム開発コストは上昇する一方である。
【0003】
ここにおいて、画像処理アルゴリズムは、その開発・導入において非常に多くの工数を必要とするため、画像処理適用分野の拡大にともない、画像処理アルゴリズムの自動生成手法の確立が切望されている。
【0004】
画像処理アルゴリズムの自動生成は、候補となる画像処理アルゴリズム群を作成し、これらに対して良否結果が予め既知である画像データを適用し、適用した結果得られた良否判定精度に基づいて各々の画像処理アルゴリズムの性能の評価値を算出し、これらの評価値に基づいて新たに候補となる画像処理アルゴリズム群を作成することを繰り返し、より評価の高い画像処理アルゴリズムを求めてゆくものである。
【0005】
一般に、画像処理アルゴリズムに従い所望の演算結果を導き出すのに必要となるCPU(Central Processing Unit)による演算量は多く、画像データを用いて候補となる多数の画像処理アルゴリズムを評価する際には非常に多くのCPUによる演算量を必要とするため、画像処理アルゴリズム生成までに長時間を要する。また、評価する画像処理アルゴリズムの数を減らした場合には、十分な精度をもつ画像処理アルゴリズムを生成できる確率は低下する。そのために、画像処理アルゴリズムの自動生成では、一定時間でより多くの候補となる画像処理アルゴリズムを評価することが重要となる。
【0006】
画像処理アルゴリズムの評価を行い、その評価結果に基づいて画像処理アルゴリズムを生成するための従来技術が特許文献1と2に開示される。
【0007】
特許文献1では、良品画像データサンプル、欠陥(不良品)画像データサンプル、およびこれらの中庸の特性をもつ中間グレード画像データサンプルを入力して、入力した各々の画像データサンプルに含まれる欠陥部位に作業者が順位を設定する。そして、各画像デ
ータサンプルについて画像処理アルゴリズムによって処理された後に算出された欠陥部位の特徴量と予め作業者が設定した順位との相関によって画像処理アルゴリズムの良品と不良品の判別能力を評価する。そして、その評価結果に基づいて複数の画像処理アルゴリズム候補の中から適切なものを選択している。
【0008】
特許文献2では、作業者は原画像に対して市街地領域と非市街地領域をそれぞれ白色と黒色で表現したカテゴリ画像ファイルを作成する。そして、種々の画像処理プログラムモジュールを組合わせることにより生成された特徴抽出方法によって、原画像とカテゴリ画像ファイルから構成される各画像データサンプルの特徴ベクトルを算出されて、算出された特徴ベクトルの主成分である圧縮特徴ベクトルにより1次評価値が算出される。そして、算出された1次評価値の高い複数の圧縮特徴ベクトルを組合わせて特徴空間を構成し、その独立性に基づいて特徴空間を評価する2次評価を行ない、2次評価値の最も高い特徴空間上での認識率に基づいて3次評価を行なう。
【特許文献1】特開平4−367982号公報
【特許文献2】特開2004−38744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の技術では、画像処理モジュールを組合わせ、かつ最終段の画像処理モジュールに特徴抽出モジュールを組合わせることにより、評価対象となる画像処理アルゴリズムを構成し、その後に初めて判別能力の評価を行っている。つまり、画像処理アルゴリズムのすべての処理手順を決定した後に、それらの全ての処理を学習用の画像データに施すことによってのみ判別能力の評価が可能となる。したがって、数段の処理手順を経ただけで判別能力が不十分であることが明らかとなる画像処理アルゴリズムであっても、最終段まで処理手順が実施されるため、必要な演算量は多い。
【0010】
特許文献2の技術では、画像処理アルゴリズムは特徴抽出方法評価と特徴空間評価と認識率評価の3段階の評価がなされる。特徴抽出方法評価部では、特徴抽出方式により算出される各クラスに属する部位の特徴量の分布に基づいて、十分な認識率を発揮しないと予測される特徴抽出方式を持つ画像処理アルゴリズムについて、これを棄却して後段の評価を行わないことにより、画像処理アルゴリズムの評価に必要とされる演算量を低減している。
【0011】
しかしながら、特徴抽出方法評価部に至るまでに画像データ変換処理と特徴抽出処理と特徴量分布に関する統計的な処理が行われているため、通常は同評価で棄却するまでに特許文献1の技術と同等以上の演算量が必要となり、演算量は減少していない。また、画像処理アルゴリズムの生成中において各評価部における評価基準は固定されているため、最後段の認識率評価部における評価基準と前段の評価部における評価基準の相関が高くない場合は、十分な認識率が得られない場合がある。つまり、特徴抽出方法評価基準において十分に高くない評価値を得た特徴量抽出手法においても、特徴量抽出手法の組合わせによっては認識率評価部において高い評価値を示す画像処理アルゴリズムが存在する可能性があるが、これらの特徴量抽出手法は既に棄却されているために最終段の評価まで到達することはなく、これらの特徴量抽出方法を含む画像処理アルゴリズムは高い認識率を持つにもかかわらず生成されることはない。
【0012】
それゆえにこの発明の目的は、画像処理アルゴリズムを処理能力に従い評価することが可能な画像処理アルゴリズムの評価方法、装置、プログラムおよび記憶媒体を提供することである。
【0013】
この発明の他の目的は、処理能力に従い評価された画像処理アルゴリズムを生成する方
法、装置、プログラムおよび記録媒体を提供することである。
【0014】
この発明のさらに他の目的は、必要な演算量が少ない画像処理アルゴリズムの評価方法、生成方法、装置、プログラムおよび記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明のある局面に従うと、画像処理アルゴリズム評価方法は、処理対象画像の画像データを処理可能なように変換し、変換後の画像データに基づき前記画像内の複数の欠陥候補部に関して算出した特徴量を用いて1つ以上の真欠陥部を処理対象となる画像から抽出する画像処理アルゴリズムについて、画像に含まれる抽出すべき1つ以上の真欠陥部に関する所定情報を有する画像データを用いて評価する方法であって以下の特徴を備える。
【0016】
所定情報を有する画像データに対して画像処理アルゴリズムの変換処理を実施する変換工程と、変換工程を適用することにより得られる処理可能なように変換された変換後画像データと所定情報に基づいて変換処理の能力を評価する1次評価工程と、画像データの複数の欠陥候補部それぞれの1種類以上の特徴量を算出する特徴量算出工程と、所定情報に基づき特徴量算出工程により特徴量が算出された複数の欠陥候補部を真欠陥部と残りを擬似欠陥部に分類する分類工程と、真欠陥部の1種類以上の特徴量の群と擬似欠陥部の1種類以上の特徴量の群との、1種類以上の特徴量により規定される特徴空間における分離度を算出する分離度算出工程と、分離度算出工程により算出した分離度と1次評価工程の評価結果の少なくとも一方に基づいて前記画像処理アルゴリズムの性能を評価する2次評価工程とを備える。
【0017】
変換工程は処理対象の画像データに対して画像処理アルゴリズムの変換処理を実施し、1次評価工程は変換された画像データを所定情報に基づいて評価し、特徴量算出工程は画像データの複数の欠陥候補部それぞれの1種類以上の特徴量を算出し、分類工程は特徴量が算出された複数の欠陥候補部を所定情報に基づいて真欠陥部と擬似欠陥部に分類し、分離度算出工程は真欠陥部の1種類以上の特徴量の群と擬似欠陥部の1種類以上の特徴量の群との、特徴空間における分離度を算出し、2次評価工程ではこの分離度と1次評価工程の評価結果の少なくとも一方に基づいて画像処理アルゴリズムの性能を評価する。
【0018】
したがって、1次評価工程の評価結果により変換処理能力に従う画像処理アルゴリズムの性能を評価することができ、また、2次評価工程の評価結果により分離能力に従う画像処理アルゴリズムの性能の評価が可能となり、また、1次評価と2次評価の両者の評価結果により変換能力と分離能力に従う画像処理アルゴリズムの性能評価が可能となる。
【0019】
好ましくは、画像処理アルゴリズム評価方法は、1次評価工程の評価結果に基づいて評価基準に満たない画像処理アルゴリズムを棄却する棄却工程を備える。
【0020】
棄却工程は1次評価工程の評価結果に基づいて評価基準に満たない画像処理アルゴリズムを棄却するので、評価基準により、2次評価工程で十分な分離度を持たないと予測される画像処理アルゴリズムは、比較的演算量の少ない画像データ変換処理のみが実施された1次評価工程の完了時点で棄却することができる。そのため、画像処理アルゴリズムについて、必要な演算量をより少なくした評価が可能となる。
【0021】
好ましくは、画像処理アルゴリズム評価方法は、2次評価工程の評価結果に基づいて1次評価工程の評価基準を変更する1次評価基準変更工程を備える。
【0022】
1次評価基準変更工程では2次評価工程の評価結果に基づいて1次評価工程の評価基準が変更されるため、1次評価工程の評価基準を2次評価工程の評価基準に従わせることが
可能となる。
【0023】
好ましくは、所定情報を有する画像データは、処理対象画像に含まれる抽出すべき1つ以上の真欠陥部それ以外の擬似欠陥部を異なる濃度値で表現した1次評価基準画像データを含む。したがって、1次評価基準画像データを簡便に与えることができる。さらに異なる濃度値の画像、たとえば2値画像とすることで所定情報を有する画像データのサイズを小さくできて、評価時のデータ処理量を削減できる。
【0024】
好ましくは、1次評価工程では、1次評価基準画像データと変換後画像データを比較することにより評価する。
【0025】
好ましくは、1次評価基準変更工程では、2次評価工程において評価が終了した画像処理アルゴリズムによって変換された変換後画像データを用いて1次評価基準画像データを変更する。したがって、1次評価基準画像データを新規に作成する処理を省くことができる。
【0026】
好ましくは、1次評価基準変更工程では、2次評価工程において最良の評価を得る画像処理アルゴリズムによって変換された変換後画像データを1次評価基準画像データに置き換える。したがって、最良の2次評価が与えられた画像処理アルゴリズムによる画像変換処理結果データを、1次評価基準画像データに用いるから、分離能力について最良の評価が与えられた画像処理アルゴリズムが、1次評価においても高い評価値を得ることが可能となる。
【0027】
この発明の他の局面に従うと、画像処理アルゴリズム生成方法は、上述の画像処理アルゴリズム評価方法を用いて画像処理アルゴリズムを生成するために、上述の画像処理アルゴリズム評価方法の工程に加えて、2次評価工程に続いて、所定基準に基づいて、画像処理アルゴリズムの生成が完了したか否かを判断する完了判断工程と、完了判断工程により完了していないと判断されると、1次評価工程および2次評価工程の少なくとも一方により出力された評価結果に基づいて、画像処理アルゴリズムの要素を変更することにより1つ以上の画像処理アルゴリズムを作成し、作成した画像処理アルゴリズムを変換工程に出力する調整工程と、を備える。
【0028】
好ましくは、1次評価工程での評価結果に基づいて評価基準に満たない画像処理アルゴリズムを棄却する棄却工程をさらに備える。
【0029】
好ましくは、棄却工程では、棄却工程以降の処理能力に基づいて決定される棄却率に応じて画像処理アルゴリズムを棄却することにより当該画像処理アルゴリズムのみ以降の工程での処理を実施しない。
【0030】
したがって、棄却工程以降の処理能力に合わせて棄却率を決定して、これにより2次評価すべき画像処理アルゴリズムの数を絞ることができる。その結果、画像処理アルゴリズムの生成の1サイクルを構成する1次評価、棄却、2次評価および画像処理アルゴリズムの生成に係る処理を高速に実施できる。そのため、一定時間内により多くの画像処理アルゴリズムの評価が可能となる。
【0031】
好ましくは、棄却工程では、1次評価工程による評価結果と2次評価工程による評価結果との相関状態に基づいて決定される棄却率に応じて画像処理アルゴリズムを棄却することにより当該画像処理アルゴリズムのみ以降の工程での処理を実施しない。
【0032】
1次評価工程による評価結果と2次評価工程による評価結果との相関性が高い場合には
、ある画像処理アルゴリズムの1次評価での評価順位および2次評価での評価順位が変更することが少なくなると考えられる。したがって、この場合には、1次評価工程による評価結果と2次評価工程による評価結果との相関状態に基づき高い棄却率を決定することが可能となり、一定時間内により多くの画像処理アルゴリズムの評価を可能にする。
【0033】
1次評価および棄却の処理と2次評価および画像処理アルゴリズム生成の処理の2つの処理を同じ処理時間で実施できるように棄却率を決定することにより、画像処理アルゴリズム生成装置をパイプライン構成を適用した場合には、パイプライン処理時にボトルネックがなく高いパフォーマンスを得ることが可能となる。
【0034】
1次評価および棄却の処理と2次評価および画像処理アルゴリズム生成の処理の2つの処理を同じ処理時間で実施できるような棄却率を上限として、相関状態に応じて動的に棄却率を決定することが可能となり、一定時間内により多くの画像処理アルゴリズムの評価が可能となる。
【0035】
好ましくは、画像処理アルゴリズム生成装置では、変換手段と、特徴量算出手段、分類手段および分離度算出手段からなる一連の手段とを2つ以上備え、2つ以上の画像処理アルゴリズムの評価を並列処理する。
【0036】
したがって、変換手段に相当する前処理に適した処理装置(たとえばDSPなど)と特徴量算出手段から分離度算出手段に相当する後処理に適した処理装置(たとえばRISC系のCPUなど)を用いて、並列処理化することによって必要とする画像処理アルゴリズム生成速度に応じた処理装置構成が可能となる。
【0037】
画像処理アルゴリズム生成装置は、1次評価手段により出力された評価結果に基づいて1次評価が完了したか否か判断をする1次完了判断手段と、1次評価完了判断手段により完了していないと判断されたとき、1次評価手段により出力された評価結果に基づいて画像処理アルゴリズムの任意の要素を変更することにより1つ以上の画像処理アルゴリズムを作成し、作成した画像処理アルゴリズムを変換手段に出力する1次調整手段と、をさらに備える。
【0038】
したがって、1次評価までを前処理に適した処理装置(たとえばDSPなど)で処理し、さらに1次評価完了時点で新規画像処理アルゴリズムの生成を行なうことにより、画像処理生成アルゴリズムの評価・生成のサイクルを実現し、十分に高い1次評価を得た画像処理アルゴリズムのみについて、多くの演算量を必要とする2次評価が実施される。その結果、少ない演算量でより多くの画像処理アルゴリズムを評価することが可能となる。
【0039】
この発明のさらに他の局面では、上述の画像処理アルゴリズム評価方法に対応の装置、当該方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、およびこれを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体が提供される。
【0040】
この発明のさらに他の局面では、上述の画像処理アルゴリズム生成方法に対応の装置、当該方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、およびこれを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、画像処理アルゴリズムの評価を2段階として、十分な分離能力を持たないと考えられる画像処理アルゴリズムを1次評価後であって2次評価の前に棄却することにより、必要な演算量の削減が可能となる。一般的に、1次評価工程までの必要な演算量と1次評価工程以降2次評価工程までの必要な演算量を比較すると、後者の演算量のほ
うが多いため、1次評価にて画像処理アルゴリズムを棄却することは演算量を削減する観点より望ましい。
【0042】
また、本発明によれば、画像処理アルゴリズムの1次評価の評価基準を、2次評価がなされた画像処理アルゴリズムの1次評価結果に基づいて変更するため、1次評価と2次評価の間での相関性を高めることができる。このことより、たとえば、1次評価の低い画像処理アルゴリズムを棄却しても、高い2次評価を取りうる画像処理アルゴリズムは1次評価工程以降の工程に進むため、演算量が削減されるとともに分離能力の高い画像処理アルゴリズムに高い評価値を与えることが可能となる。
【0043】
特に、1次評価に用いる評価基準である所定情報に誤りがある場合には、1次評価の基準と2次評価の基準の評価軸が異なるため、画像処理アルゴリズム生成時に評価値が収束しないおそれがある。この場合に、最良の2次評価が与えられる画像処理アルゴリズムの1次評価の結果の元となった変換後画像データに基づいて1次評価の評価基準画像データを変更することにより、所定情報の誤りの修正が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、この発明の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1には、実施の形態1に係る画像処理アルゴリズム評価およびそれを用いた画像処理アルゴリズム生成のための処理手順が示されて、図2には実施の形態1に係る画像処理アルゴリズム評価と生成のための装置の機能構成が示されて、図3には各実施の形態に係る装置が搭載されるコンピュータの構成が示される。
【0045】
一般に、画像処理アルゴリズムはいくつかの画像処理モジュール(2値化処理モジュール、フィルタ処理モジュールなど)が連結されており、各画像処理モジュールは2値化の閾値、フィルタサイズなどのいくつかのパラメータを持つ。すなわち、画像処理アルゴリズムは種々の画像処理モジュールの組合せと、各モジュールの持つパラメータ値によって表現される。本画像処理アルゴリズム生成方法は、画像処理アルゴリズム評価方法によって算出された評価値に基づいて、画像処理モジュールの組合せや、各モジュールが持つパラメータ値を変更することを繰返して、より評価値の高い画像処理アルゴリズムを生成するものである。また、画像処理モジュールは作業者もしくはプログラム等によって予め登録もしくは生成されたものの中から選択するものと想定する。
【0046】
ここでは、画像処理アルゴリズムの処理対象となる製品などを撮像して得られた原画像データと、同画像データに関して予め製品の真の欠陥部等の抽出対象部の原画像内における位置情報および形状情報が作業者によって付与されている基準画像データとの組を、学習用画像データセットと呼ぶ。
【0047】
また、ここでは、画像処理アルゴリズムは処理対象となる画像データに対してフィルタ処理によってノイズ除去やエッジ強調等の画質改善を施す前処理部と、画質改善が行われた画像に対して欠陥部を抽出する候補となる複数の部分領域である欠陥候補部(以下、抽出候補領域という)それぞれの画像特徴量を算出したうえで、その特徴量に対して設けられたしきい値により、複数の欠陥候補部を、真欠陥部の抽出対象部と、擬似欠陥部の非抽出対象部とに分離する後処理部から構成されるものとする。擬似欠陥部は、真欠陥部を検出する際に副作用として誤検出される部分をさす。
【0048】
(コンピュータの構成と記録媒体)
図3を参照してコンピュータは、ユーザが操作して外部から情報を入力するためのマウス110、キーボード350およびペン・タブレット360、CRT(陰極線管)や液晶
などからなるモニタ310、該コンピュータ自体を集中的に制御するためのCPU(中央処理装置の略)312、ROM(Read Only Memory)またはRAM(ランダムアクセスメモリの略)を含んで構成されるメモリ324、ハードディスクなどの固定ディスク326、FD(フレキシブルディスク)332が着脱自在に装着されて、装着されたFD332をアクセスするFD駆動装置330、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)342が着脱自在に装着されて、装着されたCD−ROM342をアクセスするC
D−ROM駆動装置340、およびインターネットを含む各種の有線又は無線の通信ネットワーク109と該コンピュータとを接続するための通信インターフェィス380を含む。これらの各部はバスを介して通信接続される。通信ネットワーク109を介して外部と各種の情報を送受信できる。受信する情報には処理対象となる画像データが含まれて、該画像データはたとえば外部のカメラによって撮影された画像のデータであってもよい。
【0049】
図3のコンピュータには、カセット形式の磁気テープが着脱自在に装着されて磁気テープをアクセスする磁気テープ装置が設けられても良い。
【0050】
メモリ324には、学習用画像データ保存部34が設けられるとともに、変換後画像データ13、1次評価基準画像データ12、画像処理アルゴリズムデータ14およびアルゴリズム生成・調整用データ44が格納される。
【0051】
学習用画像データ保存部34には、図2に示すように、複数の学習用画像データセット35が格納される。学習用画像データセット35は、画像処理アルゴリズムの処理対象となる原画像データ36と基準画像データ37を関連付けて含む。基準画像データ37は、関連の原画像データ36の原画像における抽出対象部それぞれを特定するための所定情報として、位置(座標)を示す位置情報38と当該抽出対象部の形状を示す形状情報39および、原画像に含まれる1つ以上の抽出対象部とそれ以外の非抽出対象部を異なる濃度値で表現した画像データを含む。後述の画像データ入力部1は抽出対象となる欠陥を含む原画像データ36を撮像などにより取得して、学習用画像データ保存部34に格納する。その際に、後述の抽出対象情報設定部21は、作業者がキーボード350などの外部入力装置を用いて原画像データ36に対して抽出対象部の位置情報38および形状情報39を入力するための機能を提供する。ここで入力された位置情報38と形状情報39により基準画像データ37が構成されて、基準画像データ37と、上述の原画像データ36とからなる学習用画像データセット35が学習用画像データ保存部34に格納される。
【0052】
画像処理アルゴリズムデータ14は、図2に示すように、最良の評価(最高の評価)を有する画像処理アルゴリズムを構成する1つ以上の画像処理モジュール42と1つ以上の画像処理のパラメータそれぞれの値43、および該画像処理アルゴリズムの評価値41を有する。ここではパラメータの値43を有するとしたが、画像処理アルゴリズムによってはパラメータを含まない場合もあるので、画像処理アルゴリズムデータ14はパラメータの値43を含まない場合もある。
【0053】
アルゴリズム生成・調整用データ44は、処理対象の画像処理アルゴリズムを生成または調整するために参照されて、画像処理アルゴリズムの構成要素となり得る複数の画像処理モジュール42と複数の画像処理のためのパラメータ値43を含む。画像処理モジュール42はそこに引用するパラメータ値43により表現される。
【0054】
図2を参照して装置は、画像データ入力部1、作業者に各種情報を表示するためのモニタ310に対応の表示部3、および画像データ入力部1と表示部3を接続する画像処理アルゴリズム生成部2を備える。画像処理アルゴリズム生成部2は画像処理装置に相当する。画像処理アルゴリズム生成部2は、学習用画像データ保存部34を参照する抽出対象情報設定部21、アルゴリズム生成・調整用データ44を参照する画像処理アルゴリズム生
成・調整部22、画像データ変換部23、1次評価基準画像データ12に基づき画像処理アルゴリズムの画像データの変換処理能力を評価する1次評価部24、1次評価の結果に基づき画像処理アルゴリズムを棄却するか否か判定する棄却判定部25、画像データ変換部23により変換された後の画像データ13をメモリ324に格納する変換後画像データ保存処理部26、特徴量算出部27、分類部28、分離度算出部29、2次評価部30、最良と評価された画像処理アルゴリズムを画像処理アルゴリズム14としてメモリ324に格納する画像処理アルゴリズム保存処理部31、一次評価基準画像データ12を書換える1次評価基準変更部32、および画像処理アルゴリズムの生成の完了を判断する画像処理アルゴリズム生成完了判断部33を備える。これらの各部は図3のコンピュータで実行可能なプログラムとして予め準備されて、当該プログラムはメモリ324などに予め格納されて、各プログラムはCPU312により読出されて実行される。
【0055】
図1および図2を用いて本実施形態に係る画像処理アルゴリズムの評価手順および生成手順、装置について概略説明し、その後、実際の学習用画像データセット35を用いた動作について図を用いて説明する。
【0056】
図1では、任意の画像処理アルゴリズムに対して、前処理後の画像データにより1次評価が行なわれ、後処理後の抽出対象部と非抽出対象部との分離度合いにより両者の分離能力を評価する2次評価が行なわれる。図1のフローチャートにより、画像処理アルゴリズム評価方法およびそれを用いた画像処理アルゴリズム生成方法が示される。画像処理アルゴリズム評価方法に相当する部位はSTEP2およびSTEP3〜STEP10ならびにSTEP12である。
【0057】
STEP1では、画像処理アルゴリズム生成・調整部22は評価対象となる画像処理アルゴリズムを、アルゴリズム生成・調整用データ44から読出した1つ以上のモジュール42または1つ以上のパラメータ値43を組合わせて生成する。アルゴリズム生成・調整用データ44から読出して生成に用いるべきモジュール42の種類またはパラメータ値43の種類は、作業者がキーボード350などの外部入力装置を操作することにより、画像処理アルゴリズム生成・調整部22に対して指示される。
【0058】
STEP2では、抽出対象情報設定部21は、作業者がキーボード350を操作して入力する選択信号に基づき、画像処理アルゴリズム評価に用いる学習用画像データセット35を学習用画像データ保存部34の中から選択的に読出す。
【0059】
STEP3では、画像データ変換部23は、選択的に読出された学習用画像データセット35の原画像データ36に対して評価対象となる画像処理アルゴリズムの前処理部を適用して、変換後画像データ13を生成する。
【0060】
STEP4では、1次評価部24は、変換後画像データ13を、1次評価基準画像データ12が示す画像データと比較可能となるように処理したのちに、処理後の変換後画像データ13を1次評価基準画像データ12が示す画像データと比較して、比較結果に基づき、評価対象となる画像処理アルゴリズムの1次評価を行なう。以降、1次評価の評価値を1次評価値と呼ぶ。
【0061】
ここで、1次評価基準画像データ12はSTEP1にて選択された学習用画像データセット35の基準画像データ37とすることが可能である。また、1次評価基準画像データ12は作業者が別途設定することも可能である。
【0062】
STEP5では、棄却判定部25は1次評価部24により出力された1次評価値が、メモリ324などに予め格納された所定基準値以上を示すかを判定する。所定基準値未満を
示すと判定した場合、当該画像処理アルゴリズムを棄却する。つまり、1次評価値が所定基準値より小さい画像処理アルゴリズムについては以降の処理、すなわち、STEP6以降の処理が施されないように制御される。所定基準値以上と判定した場合には、当該画像処理アルゴリズムについて以降の処理が実行される。
【0063】
STEP6では、変換後画像データ保存処理部26は、1次評価値が所定基準以上である画像処理アルゴリズムに関して、変換後画像データ13をメモリ324に格納する。メモリ324に格納された変換後画像データ13は後に1次評価基準画像データ12を変更する際に用いられる。
【0064】
STEP7では、特徴量算出部27は、変換後画像データ13が示す画像における複数の抽出候補領域を決定し、それぞれについての位置情報と画像特徴量を算出する。ここで、抽出候補領域の決定およびそれらの位置情報は変換後画像データ13を2値化処理することにより取得可能である。ただし、抽出候補領域の決定および位置情報を取得する手順はこれに限定されない。このようにして得られた抽出候補領域および位置情報に基づいて変換後画像データ13の画像における抽出候補領域を決定し、同領域の画像特徴量を算出する。
【0065】
STEP8では、分類部28は、作業者が選択した学習用画像データセット35の基準画像データ37の位置情報38とSTEP7で取得した位置情報とを比較して、比較結果に基づいて、STEP7で取得した抽出候補領域それぞれが抽出対象部であるか非抽出対象部であるかを判断する。
【0066】
STEP9では、分離度算出部29は、STEP7にて算出した画像特徴量に基づき構成される特徴空間を設定する。そして、STEP8にて抽出対象部と判断された抽出候補領域である抽出対象領域それぞれの算出された特徴量と、非抽出対象部と判断された抽出候補領域である非抽出対象領域それぞれの算出された特徴量とを、前述の特徴空間に各々プロットする。そして、特徴空間における、抽出対象領域についてプロットされた特徴量群と非抽出対象領域についてプロットされた特徴量群との分離の程度を示す分離度を算出する。
【0067】
STEP10では、2次評価部30は、STEP9にて算出された分離度に基づいて評価対象となる画像処理アルゴリズムの2次評価を行なう。以降、2次評価の評価値を2次評価値と呼ぶ。2次評価の詳細は後述する。
【0068】
STEP11では、画像処理アルゴリズム保存処理部31は、2次評価値に基づき、画像処理アルゴリズムと2次評価値を画像処理アルゴリズムデータ14としてメモリ324に格納する。
【0069】
STEP12では、1次評価基準変更部32は、画像処理アルゴリズムの評価結果に基づいてメモリ324の1次評価基準画像データ12を変更(書換え)する。一例として、高い評価を示す2次評価値が出力された画像処理アルゴリズムについて、当該画像処理アルゴリズムによる変換後画像データ13がSTEP4においてメモリ324に既に格納されているので、この変換後画像データ13を用いて作業者が予め選択した学習用画像データセット35の基準画像データ37が示す1次評価基準画像データ12を変更することが可能である。たとえば、1次評価基準画像データ12を変換後画像データ13により代替することで、1次評価基準画像データ12を変更する。
【0070】
次に、図1を参照して、上述した画像処理アルゴリズム評価方法を利用した画像処理アルゴリズム生成方法について説明する。
【0071】
STEP1〜STEP10の処理が行なわれて、画像処理アルゴリズムの2次評価値が算出される。STEP11では、STEP1〜STEP10の処理が繰返される毎に、評価された画像処理アルゴリズムのうち2次評価値が最大となるものを最良の画像処理アルゴリズムとし、その2次評価値と画像処理モジュールおよびパラメータ値の組合せを画像処理アルゴリズムデータ14としてメモリ324に格納する。
【0072】
以降、繰返す毎に、画像処理アルゴリズム保存処理部31は、その2次評価値が、メモリ324に格納された画像処理アルゴリズムデータ14の評価値41を超えた画像処理アルゴリズムである場合にのみ、メモリ324の画像処理アルゴリズムデータ14を当該画像処理アルゴリズムのデータを用いて書換える。
【0073】
STEP13では、画像処理アルゴリズム生成完了判断部33は、終了条件が成立するか否か判別する。終了条件が成立しない場合には(STEP13でNO)、STEP14において、画像処理アルゴリズム生成・調整部22により、アルゴリズム生成・調整用データ44を用いて組合わせるモジュール42またはパラメータ値43を調整した新たな画像処理アルゴリズムを生成する。そして新たに生成された画像処理アルゴリズムについて、STEP3以降の処理が同様に繰返される。
【0074】
このようにして、複数の画像処理アルゴリズムの生成が繰返されながら、終了条件成立と判別された場合は(STEP13でYES)、評価値に基づく画像処理アルゴリズムの生成は終了する。したがって、この時点で、メモリ324に格納された画像処理アルゴリズムデータ14が示す画像処理アルゴリズムが、これまで生成された画像処理アルゴリズムのうち2次評価値が最大である、すなわち最良の画像処理アルゴリズムとなる。
【0075】
なお、STEP11における、最良となる画像処理アルゴリズムデータ14の書換え基準は上記に制限されるものではなく、メモリ324に格納可能なデータ容量に応じて複数個の画像処理アルゴリズムデータ14を格納することも可能である。たとえば、上位から3番目までの大きい値の2次評価値を有する画像処理アルゴリズムの画像処理アルゴリズムデータ14を格納するようにしておき、上位から3番目までの評価値を超える画像処理アルゴリズムが生成されたときには、メモリ324の画像処理アルゴリズムデータ14の書換えがされるようにしてもよい。このようにすれば、同じ2次評価値を有する異なる複数の画像処理アルゴリズムを取得することも出来る。
【0076】
ここで、STEP13の終了条件について説明する。終了条件は、たとえば予め作業者やプログラム等によって設定された2次評価値の基準値を超えるものが生成された場合や、STEP14の画像処理アルゴリズムのパラメータ調整と画像処理アルゴリズムの再評価作業の繰り返し回数が、作業者やプログラム等によって設定された規定回数を超えた場合、もしくは総処理時間が設定時間を超えた場合、などである。
【0077】
終了条件を満たさない場合は、STEP14にて画像処理アルゴリズムの調整が行なわれる。具体的には、画像処理アルゴリズムの評価値に基づいて画像処理モジュール42の組合せやパラメータ値43の変更が行なわれる。このような、ある評価値に基づいて画像処理モジュール42の組合せやパラメータ値43を最適化してゆく手法としては、たとえばGA(遺伝的アルゴリズム)によるものやSA(シミュレーティッドアニーリング)によるものなど多数提案されている。いずれも、評価値の高い組合せやパラメータ値に対して、それらの組合せや値をわずかに変動させて、より評価値の高いものを探索してゆく方法である。
【0078】
「画像処理モジュール42の組合せ」の変更については、たとえば、先行技術文献とし
て特開2002−366929号公報において、GA(遺伝的アルゴリズム)による方法が記載されている。当該公報に開示の方法を適用することで、評価値に対して画像処理モジュールの組合せやパラメータ値を最適化することが可能である。
【0079】
ここで、GAに関連した画像処理モジュール群の表現方法と変更方法(突然変異と交叉)とを図4(A)、図4(B)および図4(C)を参照しながら説明する。
【0080】
<画像処理モジュール群の表現方法>
画像処理モジュール群は複数の画像処理モジュールが連結されたものであり、画像処理モジュールはパラメータ値を有する。図4(A)では画像処理モジュール群が、楕円で示す画像処理モジュールが複数個連結された状態で示されている。図4(A)では、たとえば1つめの楕円内の文字列「F1−1」について、“F1”は当該楕円の画像処理モジュールの種類を表し、ハイフン(‘‐’)の次の‘1’は、当該画像処理モジュールのパラメータ値を表すものとする。他の楕円の画像処理モジュールについても同様に画像処理モジュールの種類とパラメータ値が表現されている。
【0081】
<突然変異>
GAにおける突然変異とは、画像処理モジュール群の画像処理モジュールもしくはパラメータをランダムに変更することにより、さらに評価の高い(評価値の大きい)画像処理モジュール群が生成されることを期待するというものである。図4(B)では、画像処理モジュール群B1の2番目の画像処理モジュールとパラメータ値とが変更されるという突然変異により、画像処理モジュール群B2が生成される状態を示している。
【0082】
<交叉>
GAにおける交叉とは、2つの画像処理モジュール群を対象にして、相互に、連結の途中から画像処理モジュールを入れ替えるというものである。通常は、さらに評価の高い(評価値の大きい)画像処理モジュール群が生成されることを期待して、評価の高い画像処理モジュール群同士で交叉が行なわれる。図4(C)では、画像処理モジュール群B1とB3を対象にして交叉が行なわれる状態が示されている。ここでは、画像処理モジュール群B1の連結の途中の部分モジュール群BB1と、画像処理モジュール群B3の連結の途中の部分モジュール群BB3とを入れ替えることで、画像処理モジュール群B1は画像処理モジュール群B11に変更されて、画像処理モジュール群B3は画像処理モジュール群B31に変更されている。
【0083】
STEP13の終了条件の成立に関して、画像処理モジュール42の組合せの数やパラメータ値43の取る範囲が十分に小さい場合は、STEP13の終了条件の成立を待たなくても、画像処理モジュール42の全ての組合せとパラメータ値43を変動させた条件とで生成され得る全ての画像処理アルゴリズムについての評価を終えることが可能である。このようにしてSTEP14において画像処理モジュールの組合せやパラメータ値の変更が行われ都度生成される画像処理アルゴリズムに対して、STEP3以降の手順を同様に繰返し適用することにより、最良の評価を有する画像処理アルゴリズムの自動生成を実現しうる。
【0084】
次に、図5を用いて実際の学習用画像データセット35への画像処理アルゴリズム評価方法の適用について概略説明する。学習用画像データセット35の原画像データ36は、評価対象となる画像処理アルゴリズムによって図1のSTEP3に相当する前段の処理であるフィルタ処理STEP3aが施され、フィルタ後画像データ131に変換される。フィルタ後画像データ131は、2値化画像データである1次評価基準画像データ12と比較するために、STEP3に相当する後段の処理である2値化処理STEP3bが施されて、2値化変換後画像データ132となる。以降、2値化後画像データ132を変換後画
像データ13とする。
【0085】
フィルタ処理STEP3aでは、処理対象画像についてエッジが強調されて、エッジが強調された画像について複数回の膨張処理が繰返されて、その後に、複数回の収縮処理が繰返される。
【0086】
ここで、1次評価基準画像データ12は、基準画像データ37をそのまま用いている。ただし、1次評価基準画像データ12についてはこれに限定されるものではない。
【0087】
また、フィルタ後画像データ131を2値化するためのしきい値については、基準画像データ37により抽出対象の個数(位置情報38の個数)が予め指定されているから、その個数にあわせた抽出候補領域が出現するように2値化しきい値を決定して、キーボード350などから入力することが可能である。本実施の形態では、基準画像データ37に抽出対象が2個含まれることが予め分かっていることより少なくとも2個以上の抽出候補領域が出現し、かつ、以降の処理で多くの演算量が必要とならないように、5個の抽出候補領域が出現するような2値化しきい値を用いている。ただし、抽出候補領域を出現させるための処理は本実施の形態に限定されず、2値化しきい値の決定方法についてもさまざまな手法を選択することが可能である。
【0088】
次に、変換後画像データ13(2値化後画像データ132)と1次評価基準画像データ12の比較によって、1次評価値が算出される。たとえば、変換後画像データ13と1次評価基準画像データ12の絶対値差分画像データを求め、当該絶対値差分画像データにより求められる画像の濃度平均値の逆数に従い1次評価値を規定することが可能である。ここでは、2値画像どうしの比較(一般には差分処理)であるから、高速に比較することが可能となる。
【0089】
ここで、絶対値差分画像とは、変換後画像データ13と1次評価基準画像データ12の画像同士について画素毎の輝度差で示される画像である。絶対値差分画像の濃度平均値とは、絶対値差分画像の濃度のヒストグラムから算出される平均値をいう。具体的には、たとえば絶対値差分画像Aが濃度0(黒)の画素を9900個および濃度255(白)の画素を100個からなる場合には、絶対値差分画像Aの濃度平均値=(0×9900+255×100)÷(9900+100)=2.55と算出することができる。たとえば絶対値差分画像Bが濃度0(黒)の画素を7000個および濃度255(白)の画素を3000個からなる場合には、絶対値差分画像Bの濃度平均値=(0×7000+255×3000)÷(7000+3000)=76.5と算出することができる。
【0090】
また、算出された濃度平均値の逆数が1次評価値を規定する。つまり、上述の絶対値差分画像Aの濃度平均値2.55の場合、その逆数は(1/2.55)=0.392となり絶対値差分画像Bの濃度平均値76.5の場合、その逆数は(1/76.5)=0.0130…となる。つまり、濃度平均値の逆数(1次評価値)が大きいということは、図5の変換後画像データ13(2値化後画像データ132)と1次評価基準画像データ12の差が小さくなっており、適用されている画像処理アルゴリズムが原画像データ36の画像を、より1次評価基準画像データ12の画像に近づける機能に優れている(高い能力を有する)ことを指す。
【0091】
ここでは、絶対値差分画像データの濃度平均値が0となった時に1次評価値を最大とする。また、抽出対象部に関して重要度に応じて重み付けを行なうことにより、より重要な抽出対象部が抽出候補領域として現われている場合はより大きい評価値(高い評価)を、逆に抽出候補領域として現われていない場合はより小さい評価値(低い評価)を与えることが可能である。
【0092】
具体的には、1次評価のSTEP4において、絶対値差分画像データに対して予めメモリ324などに格納されている「重み画像」データを、画素単位で積算することにより重み付けが行なわれる。当該重み付けにより、たとえば、同一面積の部位であるならば非抽出対象部が抽出されるよりも、抽出対象部が抽出されない場合の方が1次評価値は低くなるので、抽出対象部をより確実に抽出することができる画像処理アルゴリズムに高い評価(大きい評価値)を与えることができる。
【0093】
なお、1次評価値を規定する方法は本実施の形態に限定されるものではなく、多値画像での比較なども可能である。
【0094】
このようにして得られた1次評価値に基づいて、評価対象となる画像処理アルゴリズムに関して以降の処理を実施するか否かを図1のSTEP5において決定する。1次評価値が基準値以上である場合は次の処理に進む。つまり、フィルタ変換後画像データ131に関して、2値化変換後画像データ132に出現した抽出候補領域を含む部位を矩形にて囲んだものが抽出候補領域決定済み変換後画像データ133である。ここでは、当該画像データ133の画像上の抽出候補領域に関して画像特徴量を算出する。これは図1のSTEP7の処理に相当する。
【0095】
画像特徴量の一例としては、抽出候補領域と近傍領域の画像の濃度の差によって規定されるコントラストや、2値化処理後に出現する領域の面積などが挙げられる。さらに、1次評価基準画像データ12に基づいて、抽出候補領域決定済み変換後画像データ133の画像の抽出候補領域を抽出対象領域135と非抽出対象領域136とに分類し、抽出対象領域135を含む部位を太線矩形にて、非抽出対象領域136を含む部位を破線矩形にて囲んだものが抽出領域分類済み変換後画像データ135の画像である。これは図1のSTEP8の処理に相当する。
【0096】
抽出対象領域135である抽出候補領域について算出された画像特徴量と、非抽出対象領域136である抽出候補領域について算出された画像特徴量とは特徴空間137に配置される。特徴空間137は、2種類の特徴量CH1とCH2が算出されたと想定した場合に、特徴量CH1および特徴量CH2の直交する座標軸で規定される2次元座標空間に相当し、特徴空間137には抽出対象領域135の特徴量と非抽出対象領域136の特徴量がプロットされる。抽出対象領域135の特徴量の値は太実線の○(正円)で、非抽出対象領域136の特徴量の値は細点線の○(正円)でプロットされている。
【0097】
特徴空間137における抽出対象領域135のプロットされた特徴量と非抽出対象領域136のプロットされた特徴量との分布状態により両者の分離の程度(分離度S)が規定される。
【0098】
ここでは、分離度Sを求めるために、2種類の特徴量CH1とCH2で規定される2個の座標軸で規定される座標空間(座標平面)を用いているので、抽出対象領域と非抽出対象領域の特徴量は2次元のベクトル(平面ベクトル)によって張られる2次元特徴空間上(平面)でプロットされた。しかし、適用される特徴空間は座標平面に限定されない。たとえば、1種類の特徴量で規定される1次元の座標軸上で規定されてもよいし、d(≧3)個の特徴量の各座標軸で規定される座標空間で規定されてもよい。
【0099】
d(≧3)個の特徴量の各座標軸で規定される座標空間は、d次元の空間ベクトルによって張られる特徴空間である。今、d個の特徴量CHj(j=1,2,3,…,d)を算出して、算出されたd個の特徴量を用いることにすると、抽出対象領域および非抽出対象領域はd次元の特徴ベクトルCHによって張られる特徴空間上でプロットされる。なお、
特徴ベクトルCH=(CH1、CH2、…,CHj、…CHd)(tは転置を示す)と示される。d次元の特徴空間上において、抽出対象領域について特徴ベクトルCHで定まる位置にプロットされた点(特徴量)の分布域と、非抽出対象領域について特徴ベクトルCHで定まる位置にプロットされた点(特徴量)の分布域との距離に従い分離度Sを求めることができる。したがって、分離度Sが高いほど抽出対象部と非抽出対象部とを分離する能力に優れている、すなわち評価は高くなる。
【0100】
学習用画像データセット35に依存して非抽出対象領域が抽出されない場合は、仮想の非抽出対象領域の特徴量を、特徴空間137の任意座標においてプロットする。
【0101】
たとえば、特徴空間137の2次元座標の原点に仮想の非抽出対象領域の特徴量がプロットされるとすることも可能である。
【0102】
また、たとえば、2次元座標の原点から無限に遠い点(特徴量CH1の無限大および特徴量CH2の無限大で規定される2次元座標値の点)に仮想の非抽出対象領域の特徴量がプロットされるとすることも可能である。
【0103】
また、たとえば、2次元座標の抽出対象領域の特徴量の分布域の近傍点に仮想の非抽出対象領域の特徴量がプロットされるとすることも可能である。ここで、近傍点とは、たとえば2次元座標の複数の抽出対象領域の特徴量がプロットされた座標の中央値を中心とした同心楕円の内部の点であり、当該同心楕円上もしくは外部に少なくとも1点の抽出対象領域の特徴量を含むものとする。
【0104】
これらの分離度Sの算出はSTEP9の処理に相当する。ここで、分離度Sは、特徴空間における抽出対象領域の特徴量の分布域と非抽出対象領域の特徴量の分布域とが離れていて、かつ、各分布域において特徴量が1箇所に集中する場合に分離度Sは高くなる。ここで、評価対象となる画像処理アルゴリズムの分離度Sが十分に高い場合は2次評価値が大きくなり(2次評価は高くなり)、当該画像処理アルゴリズムにて処理された変換後画像データ13により1次評価基準画像12が置き換えられる。これは図1のSTEP12に相当する。
【0105】
これまでに説明したように、本実施の形態では画像処理アルゴリズムの1次評価の評価基準を、2次評価値が高い画像処理アルゴリズムの1次評価結果に基づいて変更するため、1次評価と2次評価の間で相関性が高まることより、1次評価値の低い画像処理アルゴリズムを棄却しても、2次評価で高い評価値を取りうる画像処理アルゴリズムは次工程に進むため、演算量を削減するとともに分離能力の高い画像処理アルゴリズムには、より高い評価値を与えることが可能となる。
【0106】
特に、図5に示すように、1次評価に用いる1次評価基準画像データ12において抽出対象部の指定形状に誤差を含む場合には評価値が収束しないおそれがある。つまり、画像処理アルゴリズム生成の過程においては画像処理アルゴリズムの評価が繰返されるが、1次評価の基準(1次評価基準データ12)と2次評価の基準(特徴空間137の特徴量)が異なるため、すなわち評価軸が異なるために、その評価値が増加しない(収束しない)おそれがある。この際に、2次評価値が大きい(2次評価が高い)画像処理アルゴリズムの1次評価結果に基づいて1次評価の基準を変更することにより、図5の2値化変換後画像データ132に示すように抽出対象部の指定形状誤りの修正が可能となるため、より高い分離度を達成する画像処理アルゴリズムがより高い評価を得ることが可能となり、より高い分離度を達成する画像処理アルゴリズムの生成が可能となる。なお、本実施の形態の画像処理アルゴリズム評価手法では、最終的には抽出対象領域と非抽出対象領域の分離度によって評価対象となる画像処理アルゴリズムの能力が規定されるため、図5の2値化変
換後画像データ132に示すように1次評価時に非抽出対象領域が出現しても問題はない。
【0107】
本実施の形態では、いずれの評価工程においても高い分離度Sを得ることのできる画像処理アルゴリズムについてより高い性能の評価を与えることが可能となる。また、1次評価で評価の低い画像処理アルゴリズムが2次評価で高い評価を得ることや、あるいは1次評価で評価の高い画像処理アルゴリズムが2次評価で低い評価を得ることがなくなる。そのため、1次評価の結果に基づいて画像処理アルゴリズムを棄却した際にも高い分離度Sを得ることのできる画像処理アルゴリズムが2次評価にて高い評価を得ることが可能となり、さらに棄却率を十分に高く設定できることよりCPU312による画像処理アルゴリズム評価・生成のための演算量の削減が可能となる。
【0108】
(実施の形態2)
繰返し最適化問題として画像処理アルゴリズムを生成する際は、一般的に次のような手法を用いる。すなわち、一度に複数の評価対象となる画像処理アルゴリズムを作成し、これらの全てのもしくは任意数の画像処理アルゴリズムを評価した上で、少なくともひとつ以上の評価値の高い画像処理アルゴリズムに基づいて画像処理アルゴリズムの構成要素である画像処理モジュールの組合せやパラメータ値を変更させることにより、再度、複数の評価対象となる画像処理アルゴリズムを作成することを、画像処理アルゴリズム生成の完了判断基準を満たすまで繰り返す。
【0109】
図6は、複数の評価対象となる画像処理アルゴリズムを評価することにより画像処理アルゴリズムを生成する処理フローチャートである。図6に示す処理フローの図1と同一符号が付された処理の内容は図1で説明したものとほぼ同等である。ここでは、特に図1に示す処理内容と差異がある部位について説明を行なう。
【0110】
図6のSTEP1aでは、前述したSTEP1と同様に画像処理アルゴリズム生成・調整部22によりアルゴリズム生成・調整用データ44を参照して評価対象となる複数の画像処理アルゴリズムが新規に作成される。
【0111】
STEP2では、学習用画像データ保存部34から1つの学習用画像データセット35が選択される。ここでは1つ選択しているが複数選択することも可能である。複数選択した場合には、複数の画像処理アルゴリズムのそれぞれに、選択した学習用画像データセット35のそれぞれを適用する。
【0112】
作成された複数の画像処理アルゴリズムのそれぞれについてルーチンRi(i=1,2,3,…,n)がSTEP2で選択された学習用画像データセット35を共通して適用して並列に実行される。ルーチンRiは前述したSTEP3〜10の処理を含む。
【0113】
並列処理の形態としては、たとえば、1つのプロセッサで複数のルーチンRiを時分割で処理することや、複数のプロセッサで個別にルーチンRiを同時並列に処理することや、両者を組合せて処理することなどが挙げられる。ただし、実装方法はこれに限定されるものではない。
【0114】
本実施の形態では、STEP5において画像処理アルゴリズムの棄却条件(所定基準値)を動的に変更して棄却率を更新することが可能である。一例として、画像処理アルゴリズムについて1次評価値と2次評価値の相関の程度が低い場合は、1次評価が低い画像処理アルゴリズムであっても2次評価で高い評価値を得る可能性があるため、棄却率は低く設定する必要がある。反対に、1次評価値と2次評価値の相関の程度が十分に高い場合は、1次評価が低い画像処理アルゴリズムは高い確率で2次評価においても低い評価を得る
ため、高い棄却率を設定することが可能となり、この際には必要な演算量を十分に削減することが可能となる。
【0115】
各ルーチンRiの実行後には図6のSTEP11では、各ルーチンRiにより出力された2次評価値に基づき、2次評価を経た複数の評価対象となる画像処理アルゴリズムに関して、2次評価が高いものについて1または複数個数の画像処理アルゴリズムを保存する。
【0116】
図7を参照して、図6の手順を実際の学習用画像データセット35に適用したケースを概略説明する。図7では、T回目の評価→T+1回目の評価→T+2回目の評価の3回の評価がされる。STEP1aにおいて最初に3つの評価対象となる画像処理アルゴリズムRC、RDおよびREが新規作成されて、これら画像処理アルゴリズムは図7の左側のT回目の評価で処理される。
【0117】
次に、T回目の評価結果に基づいて、画像アルゴリズム生成・調整部22により新たに3つの評価対象となる画像処理アルゴリズムRG、RHおよびRIが、アルゴリズム生成・調整用データ44の画像処理モジュール42の組合せやパラメータ値43を用いて作成されて、これらの評価が行なわれる。これは図7の中央部のT+1回目の評価に相当する。
【0118】
図7では、STEP2で選択された学習用画像データセット35の原画像データ36が各回の評価に共用されている。T回目の評価においては当該学習用画像データセット35の基準画像データ37が、1次評価基準画像データ12として用いられる。
【0119】
T回目の評価においては、画像処理アルゴリズムRC、RDおよびREによる2値化変換後画像データ132(変換後画像データ13)が各ルーチンRiにおいて出力される。T回目の評価の各ルーチンRiのSTEP4では、1次評価基準画像データ12と2値化変換後画像データ132を比較し、その結果、それぞれ3.0、1.0、2.0という1次評価値が得られる。
【0120】
ここで1次評価の所定基準値は1.9に設定されていると想定する。得られた1次評価値のうち画像処理アルゴリズムRDの1次評価値1.0は所定基準値よりも小さいため、この時点で画像処理アルゴリズムRDは評価対象から外されて(棄却され)、以降の画像処理アルゴリズムRDによる画像処理を含む評価の処理は実施されない。
【0121】
画像処理アルゴリズムRCとREについては特徴空間137を用いてSTEP10において2次評価が行われ、その結果それぞれ1.0、5.0という2次評価値が出力される。このうち最大の2次評価値(=5.0)を有する画像処理アルゴリズムREが最良と決定されて、T回目の評価終了後に、STEP11において画像処理アルゴリズムデータ14として画像処理アルゴリズム保存処理部31によりメモリ324に格納される。このとき、STEP11では、1次評価基準変更部32は、最良と判定された画像処理アルゴリズムREの処理(ルーチンRi)のSTEP6でメモリ324に格納された変換後画像データ13により1次評価基準画像データ12を置換する。
【0122】
その後、画像処理アルゴリズム生成完了判断部33は、STEP13において、画像処理アルゴリズムの生成は完了していないと判断するので、次に、T+1回目の評価が実施される。
【0123】
T+1回目の評価の前に、まず、STEP14aで画像処理アルゴリズム生成・調整部22によりアルゴリズム生成・調整用データ44を参照して、T回目の評価で最良と判断
された画像処理アルゴリズムREを用いて、評価対象となる画像処理アルゴリズムRG、RHおよびRIを生成する。これら画像処理アルゴリズムは、T回目の評価で最良のものであった画像処理アルゴリズムREを構成する画像処理モジュール42の組合せやパラメータ値43の変更により新規作成されたものである。なお、画像処理アルゴリズムRGは、画像処理アルゴリズムREと同等のものであると想定する。
【0124】
T+1回目の評価では、画像処理アルゴリズムRG、RHおよびRIのルーチンRiが並列に実行されて、各ルーチンRiにおいて個々に2値化変換後画像データ132(変換後画像データ13)が出力される。これらの1次評価値はそれぞれ∞、5.0、1.5となったと想定する。ここで、画像処理アルゴリズムRGはT回目の評価で最良となった画像処理アルゴリズムREと同等のものであるため、1次評価値は最大の値が与えられている。1次評価の結果、画像処理アルゴリズムRIの1次評価値は1.5であってと他の画像処理アルゴリズムのそれよりは小さいため、画像処理アルゴリズムRIの以降の処理は実施されない(画像処理アルゴリズムRIは評価対象から外される(棄却される))。
【0125】
画像処理アルゴリズムRGとRHについては、それぞれ5.0、6.0という2次評価値が与えられると想定する。この時点で、最大の2次評価値6.0が与えられた画像処理アルゴリズムRHが、T回目の評価で最良であった画像処理アルゴリズムREに替わって、画像処理アルゴリズムデータ14としてメモリ324に格納される。また、最良と判断された画像処理アルゴリズムRHの処理で生成された変換後画像データ13により1次評価基準画像データ12が置換される。これにより、次のT+2回目の評価のための1次評価基準画像データ12は、画像処理アルゴリズムRHの処理で生成された変換後画像データ13を指すことなる。
【0126】
これらの一連の評価を繰返すことによって、2次評価値のより高い画像処理アルゴリズムを生成することが可能となる。
【0127】
(実施の形態3)
次に、図6と6の処理を効率的に実現する機能構成について、図8および図9を用いて説明する。本発明では、画像処理アルゴリズムの評価を2段階とし、最初の段階では固定的なフィルタ処理の組合せ等による前処理を実施後に1次評価を行い、次の段階では応用展開先毎に設計が必要な画像領域の特徴量抽出などの複雑な後処理の実施後に2次評価を行なう。このため、特に本方法を実装するハードウェア構成については、1次評価までを高速なフィルタ処理が可能なDSP(digital signal Processor)等で設計し、1次評価以降2次評価までを汎用性に優れたRISC(Reduced Instruction Set Computer)プロセッサで設計することにより効率的な処理が可能となる。
【0128】
図8には、本実施の形態に適用される装置の機能構成が模式的に示される。図8では画像データ入力部1と、後処理と2次評価および評価対象となる画像処理アルゴリズムの作成を行なうRISC画像処理装置2Aと、作業者に各種情報を提示するための表示部3と、主に前処理と1次評価を行なうDSP画像処理装置4から構成される。
【0129】
DSP画像処理装置4は、画像データ変換部23、1次評価部24、1次評価基準画像データ12を格納するメモリである格納部12a、棄却判定部25、変換後画像データ保存処理部26および1つ以上の変換後画像データ13を格納するメモリである格納部13aより構成される。DSP画像処理装置4は、RISC画像処理装置2Aにおける画像処理アルゴリズム生成・調整部22より、評価対象となる画像処理アルゴリズムを図示されない通信機能によって受信して、これらの画像処理アルゴリズムのうち1次評価値が基準を満たすものについてのみ、その変換後画像データ13をRISC画像処理装置2Aの特徴量算出部27に送信する。
【0130】
図8の機能構成を用いた画像処理アルゴリズムを評価と生成の処理手順を図9を参照して説明する。
【0131】
図9において、図1または図6と同一符号を付した処理は図1または図6で説明した内容と同等であるから詳細は略す。図9では、STEP1aまたはSTEP14aで生成された複数の画像処理アルゴリズムそれぞれについてSTEP3とSTEP4からなる1次評価のルーチンSj(j=1,2,3…,N)が並行して実行される。また、1次評価の結果に基づく複数の画像処理アルゴリズムそれぞれについてSTEP7〜STEP10からなる2次評価のルーチンTk(k=1,2,3…,M)が並行して実行される。
【0132】
処理においては、ルーチンSjによる1次評価の後、STEP5cでは、各ルーチンSjにて1次評価されたN個の画像処理アルゴリズムのうち、たとえば1次評価値が最小である画像処理アルゴリズムは棄却するという予め設定された棄却条件、またはN個の画像処理アルゴリズムのうち1次評価値が小さい方のn個を棄却するとういう棄却率に従い画像処理アルゴリズムが棄却されて、STEP6では最大の1次評価値を有する画像処理アルゴリズムの変換後画像データ13は格納される。ここでは、STEP5cにて実施される棄却処理の棄却条件または棄却率は、前処理を含むルーチンSjの処理能力および後処理を含むルーチンTkの処理能力によって作業者がキーボード350を操作して所望するように設定することが可能である。
【0133】
図9の処理を実行する環境は、図8の機能構成に制限されるものではなく、たとえばルーチンSjまたはTkを1つのプロセッサ等で時分割に実行するようにしてもよく、2つ以上のプロセッサにより並列に実行してもよく、また、これらを組合わせて実行してもよい。
【0134】
本実施の形態では、図9のSTEP5cで設定する棄却率(所定基準値)に応じて、前処理と後処理のプロセッサの処理能力の配分を動的に変更することも可能であり、効率的な画像処理アルゴリズムの生成が可能となる。
【0135】
(実施の形態4)
上述の各実施の形態では、2次評価が完了した後に抽出対象と非抽出対象の分離度を高くする画像処理アルゴリズムの画像処理モジュールの組合せやパラメータ値を変更させることにより、次の評価対象となる複数の画像処理アルゴリズムを作成していたが、評価対象となる画像処理アルゴリズムの作成のタイミングはこれに限定されない。
【0136】
たとえば、本実施の形態のように、1次評価が完了した時点で、1次評価値が大きい画像処理アルゴリズムの画像処理モジュール42の組合せやパラメータ値43を変更させることにより次の1次評価の対象となる複数の画像処理アルゴリズムを作成してもよい。このようにした場合には、1次評価の段階で十分に最適化した画像処理アルゴリズムのみを以降の2次評価の処理に渡すことが可能となる。
【0137】
図10に本実施の形態の処理フローを示す。図10と図9を参照して異なる点は、STEP5とSTEP6との間においてSTEP5aと5bの処理が設けられた点にある。その他の処理は図9で説明したものと同様である。
【0138】
図10ではSTEP1aで生成された複数の画像処理アルゴリズムについて、STEP2で選択された学習用画像データセット35を共用して、1次評価のルーチンSjが実行される。1次評価処理後のSTEP5では、各ルーチンSjの1次評価値に基づき、評価対象から外される画像処理アルゴリズムが決定されて棄却される。
【0139】
次のSTEP5aでは、1次評価処理を終了するか否か判断される。一般的には1次評価処理の終了の判断では、各ルーチンSjから出力される1次評価値の全てが、または1つ以上が所定の基準値を満たす場合、もしくは処理開始から所定の時間を経た場合には、1次評価処理を終了と判断する。ここでは、前処理に割当てられた演算処理能力に対して後処理に割当てられた演算処理能力が十分に小さい場合は、STEP5aでの1次評価の終了判断について参照される基準値を高くする、もしくは所定時間を長くすることによって、前処理の段階で十分に最良の画像処理アルゴリズムの候補を絞ることが可能となり、効率的な画像処理アルゴリズムの生成が可能となる。
【0140】
STEP5aにおいて終了と判断されると、STEP6以降の2次評価の処理が同様に行なわれる。この2次評価の処理は図9で説明したものと同じなので説明は略す。一方、終了ではないと判断されるとSTEP5bの処理に移行する。
【0141】
STEP5bでは、1次評価値が大きい画像処理アルゴリズムの画像処理モジュール42の組合せやパラメータ値43を、アルゴリズム生成・調整用データ44を参照して変更することにより、次の1次評価の対象となる複数の画像処理アルゴリズムを作成する。そして、作成された複数の画像処理アルゴリズムについて1次評価のルーチンSjが実行される。
【0142】
本実施の形態では、1次評価の処理は、STEP5aにおいて1次評価処理を終了すると判断されるまで、前回の1次評価結果に基づく新たな画像処理アルゴリズムを作成し、作成した新たな複数の画像処理アルゴリズムについて今回の1次評価を実行し、その評価結果に基づき、次回の1次評価を実行するとの処理が繰返されるので、前処理の段階で十分に最良の画像処理アルゴリズムの候補を絞ることが可能となる。
【0143】
図11には、図10の処理フローを実行するための機能構成が模式的に示される。図11において、画像処理アルゴリズム評価と生成の装置は、画像データ入力部1と、後処理と2次評価および評価対象となるアルゴリズムの生成を行なうRISC画像処理装置2Aと、作業者に各種情報を提示するための表示部3と、複数のDSPを有して主に前処理と1次評価を行なうDSP画像処理装置4Aから構成される。DSP画像処理装置4AはDSPの数に応じた個数の画像データ変換部23と1次評価部24をそれぞれ有する。DSP画像処理装置4AとRISC画像処理装置2Aとの処理能力の差に応じて、STEP5aの処理を実行する1次評価完了判断部41が参照する完了判断基準を設定することが可能である。STEP5bの複数の画像処理アルゴリズムの生成は、画像処理アルゴリズム調整部42によりアルゴリズム生成・調整用データ44を参照して実行される。
【0144】
なお、図10に示す処理フローを実行するための環境は、図11に示された構成に限定されない。
【0145】
本実施の形態でも、図10のSTEP12において、2次評価での評価値が高い画像処理アルゴリズムの2次評価結果に基づいて1次評価の基準(1次評価基準画像データ12)を変更しているので、1次評価に関する処理と2次評価に関する処理について独立して最適化を進めていっても1次評価の基準と2次評価の基準の評価軸が異なることはなく、高い分離度を達成する画像処理アルゴリズムの生成が可能になる。
【0146】
上述の各実施の形態の画像処理アルゴリズム評価方法および装置、画像処理アルゴリズムの生成方法および装置は、抽出対象部を製品の欠陥部とすれば製品検査用の画像処理アルゴリズムに適用することができるが、適用対象は欠陥検査に限定されない。つまり、画像データからなんらかの注目の部分画像を抽出する、または、多数の画像サンプルの中か
ら注目の部分画像を含む画像を抽出する場合などに適用することが可能である。
【0147】
また、適用される画像データについても、たとえば1次元信号等への適用についても同様の効果を発揮する。
【0148】
上述の実施の形態においては、画像処理アルゴリズムの評価を1次評価と2次評価の2段階とし、画像処理アルゴリズムによる変換処理を実施後に1次評価を行い、1次評価終了後に特徴量抽出などの複雑な処理を実施した後に2次評価を行なう方法を実装するハードウェア構成については、1次評価までを高速なフィルタ処理が可能なDSP等で設計し、1次評価以降2次評価までを汎用性に優れたRISCプロセッサで設計するので、処理の高速化が可能となる。特に、DSPにて前処理段階で1次評価基準に基づいて画像処理アルゴリズムを最適化し、さらに複数個のDSPを用いて多数の画像処理アルゴリズムを十分に1次評価した後に、厳選された画像処理アルゴリズムのみをRISCプロセッサにて実施される次の工程に適用することにより、十分に高速な画像処理アルゴリズムの生成が可能となる。ここで、2次評価での評価結果が高い画像処理アルゴリズムの1次評価結果に基づいて1次評価の基準を変更することにより、DSPにより独立して最適化を進めていっても1次評価の基準と2次評価の基準の評価軸が異なることはなく、高い分離度を達成する画像処理アルゴリズムの生成が可能になる。
【0149】
(実施の形態5)
上述の各実施の形態では、処理対象となる原画像データ36はメモリ324に予め学習用画像データセット35として格納されているとしたが、処理が実行される都度、外部から入力するようにしてもよい。つまり、図3の構成では、通信ネットワーク109を介して外部と各種の情報を送受信できるので、受信する情報に処理対象となる原画像データ36または基準画像データ37が含まれるようにしてもよい。また、原画像データ36は、たとえば外部のカメラによって撮影された画像のデータであってもよい。
【0150】
上述の各実施形態で示した機能を実現するプログラムコードなどのデータを記録した記録媒体としては、図3に示されているコンピュータで処理が行なわれるために必要なメモリ、たとえばメモリ324のようなそのものがプログラムメディアであってもよいし、また外部記憶装置として図示のない磁気テープ装置およびCD−ROM駆動装置340などのプログラム読取装置が設けられ、そこに記録媒体である図示のない磁気テープまたはCD−ROM342が挿入されることで読取可能なプログラムメディアであってもよい。いずれの場合においても、格納されているプログラムはCPU312がアクセスして実行させる構成であってもよいし、あるいはいずれの場合もプログラムが一旦記録媒体から読出されて、読出されたプログラムは、図3のコンピュータの所定のプログラム記憶エリア、たとえばメモリ324のプログラム記憶エリアにロードされて、CPU312により読出されて実行される方式であってもよい。このロード用のプログラムは、予め当該コンピュータに格納されているものとする。
【0151】
ここで、上述したプログラムメディアはコンピュータ本体と分離可能に構成される記録媒体であり、固定的にプログラムを担持する媒体であってよい。たとえば、磁気テープやカセットテープなどのテープ系、FD332や固定ディスク326などの磁気ディスクやCD−ROM342/MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD
(Digital Versatile Disc)などの光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カードなどのカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable and Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)、フラッシュ
ROMなどによる半導体メモリが適用可能であろう。
【0152】
また、本実施の形態においては、コンピュータはインターネットを含む通信ネットワー
ク109と通信インターフェイス380を介して接続可能な構成が採用されているから、通信ネットワーク109からプログラムがダウンロードされてもよい。なお、このように通信ネットワーク109からプログラムがダウンロードされる場合には、ダウンロード用プログラムは予め当該コンピュータ本体に格納しておくか、あるいは別の記録媒体から予め当該コンピュータ本体にインストールされる。
【0153】
なお記録媒体に格納されている内容としてはプログラムに限定されず、データであってもよい。
【0154】
また、コンピュータがこれら記録媒体から読出したプログラムコードを実行することにより、図1と図2に示す機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によってこれらの機能が実現されることは言うまでもない。
【0155】
さらに、記録媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって上述した機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0156】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】実施の形態1に係る処理フローチャートである。
【図2】実施の形態1に係る装置の機能構成図である。
【図3】各実施の形態に係る装置が搭載されるコンピュータの構成図である。
【図4】(A)〜(C)は、各実施の形態に係る画像処理モジュールの組合せの変更を説明する図である。
【図5】実施の形態1に係る学習用画像データセットへの画像処理アルゴリズム評価方法の適用について説明する図である。
【図6】実施の形態2に係る処理フローチャートである。
【図7】図6の手順を実際の学習用画像データセットに適用したケースを説明する図である。
【図8】実施の形態3に係る装置の機能構成図である。
【図9】実施の形態3に係る処理フローチャートである。
【図10】実施の形態4に係る処理フローチャートである。
【図11】実施の形態4に係る装置の機能構成図である。
【符号の説明】
【0158】
12 1次評価基準データ、13 変換後画像データ、14 画像処理アルゴリズムデータ、21 抽出対象情報設定部、22 画像処理アルゴリズム生成・調整部、23 画像データ変換部、24 1次評価部、25 棄却判定部、26 変換後画像データ保存処理部、27 特徴量算出部、28 分類部、29 分離度算出部、30 2次評価部、31 画像処理アルゴリズム保存処理部、32 1次評価基準変更部、33 画像処理アルゴリズム生成完了判断部、34 学習用画像データ保存部、35 学習用画像データセット、36 原画像データ、37 基準画像データ、44 アルゴリズム生成・調整用デー
タ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象画像の画像データを処理可能なように変換し、変換後の画像データに基づき前記画像内の複数の欠陥候補部に関して算出した特徴量を用いて1つ以上の真欠陥部を前記処理対象となる画像から抽出する画像処理アルゴリズムについて、前記処理対象画像に含まれる抽出すべき前記1つ以上の真欠陥部に関する所定情報を有する画像データを用いて評価する方法であって、
前記処理対象画像データに対して前記画像処理アルゴリズムの変換処理を実施する変換工程と、
前記変換工程を適用することにより得られる処理可能なように変換された変換後画像データと前記所定情報に基づいて前記変換処理の能力を評価する1次評価工程と、
前記処理対象画像の複数の欠陥候補部それぞれの1種類以上の特徴量を算出する特徴量算出工程と、
前記所定情報に基づき前記特徴量算出工程により前記特徴量が算出された前記複数の欠陥候補部を前記真欠陥部と残りを擬似欠陥部に分類する分類工程と、
前記真欠陥部の前記1種類以上の特徴量の群と前記擬似欠陥部の前記1種類以上の特徴量の群との、前記1種類以上の特徴量により規定される特徴空間における分離度を算出する分離度算出工程と、
前記分離度算出工程により算出した前記分離度と前記1次評価工程の評価結果の少なくとも一方に基づいて前記画像処理アルゴリズムの性能を評価する2次評価工程と、を備える、画像処理アルゴリズム評価方法。
【請求項2】
前記1次評価工程での評価結果に基づいて評価基準に満たない画像処理アルゴリズムを棄却する棄却工程を、さらに備える、請求項1に記載の画像処理アルゴリズム評価方法。
【請求項3】
前記2次評価工程の評価結果に基づいて前記1次評価工程の前記評価基準を変更する1次評価基準変更工程を、さらに備える、請求項1または2に記載の画像処理アルゴリズム評価方法。
【請求項4】
前記所定情報を有する画像データは、
前記処理対象画像に含まれる抽出すべき前記1つ以上の真欠陥部とそれ以外の擬似欠陥部を異なる濃度値で表現した1次評価基準画像データを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理アルゴリズム評価方法。
【請求項5】
前記1次評価工程では、
前記1次評価基準画像データと前記変換後画像データを比較することにより評価する、請求項4に記載の画像処理アルゴリズム評価方法。
【請求項6】
前記1次評価基準変更工程では、
前記2次評価工程において評価が終了した前記画像処理アルゴリズムによって変換された前記変換後画像データを用いて前記1次評価基準画像データを変更する、請求項4または5に記載の画像処理アルゴリズム評価方法。
【請求項7】
前記1次評価基準変更工程では、
前記2次評価工程において最良の評価を得る画像処理アルゴリズムによって変換された変換後画像データを前記1次評価基準画像データに置き換える、請求項6に記載の画像処理アルゴリズム評価方法。
【請求項8】
処理対象画像の画像データを処理可能なように変換し、変換後の画像データに基づき前記画像内の複数の欠陥候補部に関して算出した特徴量を用いて1つ以上の真欠陥部を前記
処理対象画像から抽出する画像処理アルゴリズムについて、画像に含まれる抽出すべき前記1つ以上の真欠陥部に関する所定情報を有する画像データを用いた評価に基づいて前記画像処理アルゴリズムを生成する方法であって、
前記処理対象の画像データに対して、入力する前記画像処理アルゴリズムの変換処理を実施する変換工程と、
前記変換工程を適用することにより得られる処理可能なように変換された変換後画像データと前記所定情報とに基づいて前記変換処理の能力を評価する1次評価工程と、
前記処理対象画像の複数の欠陥候補部それぞれの1種類以上の特徴量を算出する特徴量算出工程と、
前記所定情報に基づき前記特徴量算出工程により前記特徴量が算出された前記複数の欠陥候補部を前記真欠陥部と残りを擬似欠陥部に分類する分類工程と、
前記真欠陥部の前記1種類以上の特徴量の群と前記擬似欠陥部の前記1種類以上の特徴量の群との、前記1種類以上の特徴量により規定される特徴空間における分離度を算出する分離度算出工程と、
前記分離度算出工程により算出した前記分離度と前記1次評価工程の評価結果の少なくとも一方に基づいて前記画像処理アルゴリズムの性能を評価する2次評価工程と、
所定基準に基づいて、前記画像処理アルゴリズムの生成が完了したか否かを判断する完了判断工程と、
前記完了判断工程により完了していないと判断されると、前記1次評価工程および前記2次評価工程の少なくとも一方により出力された評価結果に基づいて、前記画像処理アルゴリズムの要素を変更することにより1つ以上の画像処理アルゴリズムを作成し、作成した前記画像処理アルゴリズムを前記変換工程に出力する調整工程と、を備える、画像処理アルゴリズム生成方法。
【請求項9】
前記1次評価工程での評価結果に基づいて評価基準に満たない画像処理アルゴリズムを棄却する棄却工程をさらに備える、請求項8に記載の画像処理アルゴリズム生成方法。
【請求項10】
前記棄却工程では、
前記棄却工程以降の処理能力に基づいて決定される棄却率に応じて画像処理アルゴリズムを棄却することにより当該画像処理アルゴリズムのみ以降の工程での処理を実施しない、請求項9に記載の画像処理アルゴリズム生成方法。
【請求項11】
前記棄却工程では、
前記1次評価工程による評価結果と前記2次評価工程による評価結果との相関状態に基づいて決定される棄却率に応じて画像処理アルゴリズムを棄却することにより当該画像処理アルゴリズムのみ以降の工程での処理を実施しない、請求項9に記載の画像処理アルゴリズム生成方法。
【請求項12】
前記2次評価工程の評価結果に基づいて前記1次評価工程の評価基準を変更する1次評価基準変更工程をさらに備える、請求項8から11のいずれか1項に記載の画像処理アルゴリズム生成方法。
【請求項13】
前記所定情報を有する画像データは、
前記処理対象画像に含まれる抽出すべき前記1つ以上の真欠陥部とそれ以外の擬似欠陥部を異なる濃度値で表現した1次評価基準画像データを含む、請求項8から12のいずれか1項に記載の画像処理アルゴリズム生成方法。
【請求項14】
前記1次評価工程では、
前記1次評価基準画像データと変換後画像データを比較することにより評価する、請求項13に記載の画像処理アルゴリズム生成方法。
【請求項15】
前記1次評価基準変更工程では、
前記2次評価工程において評価が終了した画像処理アルゴリズムによって変換された変換後画像データを用いて前記1次評価基準画像データを変更すること、を特徴とする請求項13または14に記載の画像処理アルゴリズム生成方法。
【請求項16】
前記1次評価基準変更工程では、
前記2次評価工程において最良の評価を得る画像処理アルゴリズムによって変換された変換後画像データを前記1次評価基準画像データに置き換えること、を特徴とする請求項15に記載の画像処理アルゴリズム生成方法。
【請求項17】
請求項1から7のいずれか1項に記載の画像処理アルゴリズム評価方法をコンピュータにより実行させるためのプログラム。
【請求項18】
請求項1から7のいずれか1項に記載の画像処理アルゴリズム評価方法をコンピュータにより実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
【請求項19】
請求項8から16のいずれか1項に記載の画像処理アルゴリズム生成方法をコンピュータにより実行させるためのプログラム。
【請求項20】
請求項8から16のいずれか1項に記載の画像処理アルゴリズム生成方法をコンピュータにより実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
【請求項21】
処理対象画像の画像データを処理可能なように変換し、変換後の画像データに基づき前記画像内の複数の欠陥候補部に関して算出した特徴量を用いて1つ以上の真欠陥部を前記処理対象となる画像から抽出する画像処理アルゴリズムについて、画像に含まれる抽出すべき前記1つ以上の真欠陥部に関する所定情報を有する画像データを用いた評価に基づいて前記画像処理アルゴリズムを生成する装置であって、
前記処理対象画像の画像データに対して、入力する前記画像処理アルゴリズムの変換処理を実施する変換手段と、
前記変換手段を適用することにより得られる処理可能なように変換された変換後画像データと前記所定情報とに基づいて前記変換処理の能力を評価する1次評価手段と、
前記処理対象画像の複数の欠陥候補部それぞれの1種類以上の特徴量を算出する特徴量算出手段と、
前記所定情報に基づき前記特徴量算出手段により前記特徴量が算出された前記複数の欠陥候補部を前記真欠陥部と残りを擬似欠陥部に分類する分類手段と、
前記真欠陥部の前記1種類以上の特徴量の群と前記擬似欠陥部の前記1種類以上の特徴量の群との、前記1種類以上の特徴量により規定される特徴空間における分離度を算出する分離度算出手段と、
前記分離度算出手段により算出した前記分離度と前記1次評価工程の評価結果の少なくとも一方に基づいて前記画像処理アルゴリズムの性能を評価する2次評価手段と、
所定基準に基づいて、前記画像処理アルゴリズムの生成が完了したか否かを判断する完了判断手段と、
前記完了判断手段により完了していないと判断されると、前記1次評価手段および前記2次評価手段の少なくとも一方により出力された評価結果に基づいて前記画像処理アルゴリズムの要素を変更することにより1つ以上の画像処理アルゴリズムを作成し、作成した前記画像処理アルゴリズムを前記変換手段に出力する調整手段と、を備える、画像処理アルゴリズム生成装置。
【請求項22】
前記1次評価手段での評価結果に基づいて評価基準に満たない画像処理アルゴリズムを
棄却する棄却手段をさらに備える、請求項21に記載の画像処理アルゴリズム生成装置。
【請求項23】
前記棄却手段では、
前記棄却手段以降の処理能力に基づいて決定される棄却率に応じて画像処理アルゴリズムを棄却することにより当該画像処理アルゴリズムのみ以降の手段での処理を実施しない、請求項22に記載の画像処理アルゴリズム生成装置。
【請求項24】
前記棄却手段では、
前記棄却手段による評価結果と前記2次評価手段による評価結果との相関状態に基づいて決定される棄却率に応じて画像処理アルゴリズムを棄却することにより当該画像処理アルゴリズムのみ以降の手段での処理を実施しない、請求項22に記載の画像処理アルゴリズム生成装置。
【請求項25】
前記2次評価手段の評価結果に基づいて前記1次評価手段の評価基準を変更する1次評価基準変更手段をさらに備える、請求項21から24のいずれか1項に記載の画像処理アルゴリズム生成装置。
【請求項26】
前記変換手段と、前記特徴量算出手段、前記分類手段および前記分離度算出手段からなる一連の手段とを2つ以上備え、2つ以上の画像処理アルゴリズムの評価を並列処理する、請求項21から25のいずれか1項に記載の画像処理アルゴリズム生成装置。
【請求項27】
前記1次評価手段により出力された評価結果に基づいて1次評価が完了したか否か判断をする1次完了判断手段と、
前記1次評価完了判断手段により完了していないと判断されたとき、前記1次評価手段により出力された評価結果に基づいて前記画像処理アルゴリズムの任意の要素を変更することにより1つ以上の画像処理アルゴリズムを作成し、作成した前記画像処理アルゴリズムを前記変換手段に出力する1次調整手段と、をさらに備える、請求項26に記載の画像処理アルゴリズム生成装置。
【請求項28】
処理対象画像の画像データを処理可能なように変換し、変換後の画像データに基づき前記画像内の複数の欠陥候補部に関して算出した特徴量を用いて1つ以上の真欠陥部を前記処理対象となる画像から抽出する画像処理アルゴリズムについて、前記処理対象画像に含まれる抽出すべき前記1つ以上の真欠陥部に関する所定情報を有する画像データを用いて評価する装置であって、
前記処理対象画像データに対して前記画像処理アルゴリズムの変換処理を実施する変換手段と、
前記変換手段を適用することにより得られる処理可能なように変換された変換後画像データと前記所定情報に基づいて前記変換処理の能力を評価する1次評価手段と、
前記処理対象画像の複数の欠陥候補部それぞれの1種類以上の特徴量を算出する特徴量算出手段と、
前記所定情報に基づき前記特徴量算出手段により前記特徴量が算出された前記複数の欠陥候補部を前記真欠陥部と残りを擬似欠陥部に分類する分類手段と、
前記真欠陥部の前記1種類以上の特徴量の群と前記擬似欠陥部の前記1種類以上の特徴量の群との、前記1種類以上の特徴量により規定される特徴空間における分離度を算出する分離度算出手段と、
前記分離度算出手段により算出した前記分離度と前記1次評価手段の評価結果の少なくとも一方に基づいて前記画像処理アルゴリズムの性能を評価する2次評価手段と、を備える、画像処理アルゴリズム評価装置。
【請求項29】
前記1次評価手段での評価結果に基づいて評価基準に満たない画像処理アルゴリズムを
棄却する棄却手段を、さらに備える、請求項28に記載の画像処理アルゴリズム評価装置。
【請求項30】
前記2次評価手段の評価結果に基づいて前記1次評価手段の前記評価基準を変更する1次評価基準変更手段を、さらに備える、請求項28または29に記載の画像処理アルゴリズム評価装置。
【請求項31】
前記所定情報を有する画像データは、
前記処理対象画像に含まれる抽出すべき前記1つ以上の真欠陥部とそれ以外の擬似欠陥部を異なる濃度値で表現した1次評価基準画像データを含む、請求項28から30のいずれか1項に記載の画像処理アルゴリズム評価装置。
【請求項32】
前記1次評価手段では、
前記1次評価基準画像データと前記変換後画像データを比較することにより評価する、請求項31に記載の画像処理アルゴリズム評価装置。
【請求項33】
前記1次評価基準変更手段では、
前記2次評価手段において評価が終了した前記画像処理アルゴリズムによって変換された前記変換後画像データを用いて前記1次評価基準画像データを変更する、請求項31または32に記載の画像処理アルゴリズム評価装置。
【請求項34】
前記1次評価基準変更手段では、
前記2次評価手段において最良の評価を得る画像処理アルゴリズムによって変換された変換後画像データを前記1次評価基準画像データに置き換える、請求項33に記載の画像処理アルゴリズム評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−200246(P2007−200246A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21121(P2006−21121)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】