説明

画像処理システムおよびプログラム

【課題】特殊な編集アプリケーションプログラムを用いることなく用紙上の特定の制御機能(サービス)に対応付けられる領域を特定でき、かつ特定の領域と制御機能との対応を柔軟に設定することができる画像処理システムを提供する。
【解決手段】印刷対象の電子文書を生成する画像処理装置100と、電子文書を印刷する画像形成装置400と、電子文書に関するデータを管理する管理サーバ200とを備える。画像処理装置100は、電子文書を解析して描画オブジェクトに含まれる特定の文字列を検出し、電子文書における特定の文字列を含む領域を指定する解析部と、印刷された電子文書において特定の領域が指定された場合に所定の処理を実行するための制御情報とこの領域を特定する情報とを関連付けた管理データを生成する管理データ生成部とを備える。管理サーバ200は、管理データを管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、細かなドットが印刷された特殊な用紙に文字や絵を描き、ユーザがこの用紙上に書いた文字等のデータをパソコンや携帯電話等に転送し、この内容の保存や、メール送信を可能とする技術が注目されている。この技術では、この特殊な用紙に例えば0.3mm程度の間隔にて小さなドットが印刷され、これが例えば所定の大きさのグリッドごとに、全て異なるパターンを描くように構成されている。これを、例えばデジタルカメラを内蔵した専用のペンを用いて読み込むことで、この特殊な用紙上に書かれた文字等の位置を特定することができ、このような文字等を電子情報として利用することが可能となる。
【0003】
また、このパターンを用いて用紙上にコード化(符号化)された情報を埋め込むことも行われる。この種の技術では、上記のような用紙上の位置を示す位置情報の他、用紙や用紙に記録された文書の識別情報や所定の処理の実行を要求する制御情報等が、パターン画像によって表される。
【0004】
公報記載の従来技術として、例えば、特許文献1には、電子的に記憶された文書(電子文書)を、位置コーディングパターンを備えた紙シート上に印刷する技術が開示されている。この技術においては、位置コーディングパターンを備えた特殊な紙シートが用いられる。そして、この紙シートに文書を印刷し、その上から、位置コーディングパターン読取り用手段を備えたデジタルペンと紙の表面にマーキングを付けるペンポイントとを用いて手動で編集し、その編集結果が電子情報に反映されるように構成されている。
【0005】
また、特許文献2には、電子文書を作成するための文書作成アプリケーションが、電子文書のページごとにコード画像を付与する領域を指定できるようにした印刷指示装置が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特表2003−528388号公報
【特許文献2】特開2007−72640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、特殊な編集アプリケーションプログラムを用いることなく用紙上の特定の制御機能(サービス)に対応付けられる領域を特定でき、かつ特定の領域と制御機能との対応を柔軟に設定することができる画像処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、印刷対象の電子文書を解析して描画オブジェクトに含まれる特定の文字列を検出する文字列検出手段と、前記電子文書における前記特定の文字列を含む領域を指定する領域指定手段と、印刷された前記電子文書において前記領域が指定された場合に所定の処理を実行するための制御情報と当該領域を特定する情報とを関連付けた管理データを生成する管理データ生成手段とを備えることを特徴とする画像処理システムである。
請求項2に係る発明は、前記特定の文字列は、URL(Uniform Resource Locator)を表す文字列であり、前記制御情報は、前記URLで特定されるウェブページを表示デバイスに表示させるための情報であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理システムである。
請求項3に係る発明は、前記文字列は、電話番号を表す文字列であり、前記制御情報は、前記電話番号に電話をかける処理を所定の端末装置に実行させるための情報であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理システムである。
請求項4に係る発明は、前記管理データを保持する保持手段と、印刷された前記電子文書において指定された領域の位置情報に基づき、前記保持手段から前記管理データを取得し、前記制御情報に応じた処理を実行する処理手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理システムである。
請求項5に係る発明は、前記領域の位置情報を符号化し、符号化された当該位置情報を記述するパターン画像を生成して、前記電子文書と共に印刷する印刷手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理システムである。
請求項6に係る発明は、印刷対象の電子文書を生成する画像処理装置と、前記電子文書を印刷する画像形成装置と、前記電子文書に関するデータを管理する管理サーバとを備え、前記画像処理装置は、前記電子文書を解析して描画オブジェクトに含まれる特定の文字列を検出する文字列検出手段と、前記電子文書における前記特定の文字列を含む領域を指定する領域指定手段と、印刷された前記電子文書において前記領域が指定された場合に所定の処理を実行するための制御情報と当該領域を特定する情報とを関連付けた管理データを生成する管理データ生成手段とを備え、前記管理サーバは、前記管理データを管理することを特徴とする画像処理システムである。
請求項7に係る発明は、前記画像形成装置は、前記領域の位置情報を符号化し、符号化された当該位置情報を記述するパターン画像を生成して、前記電子文書と共に印刷することを特徴とする請求項6に記載の画像処理システムである。
請求項8に係る発明は、コンピュータを、印刷対象の電子文書を解析して描画オブジェクトに含まれる特定の文字列を検出する文字列検出手段と、前記電子文書における前記特定の文字列を含む領域を指定する領域指定手段と、印刷された前記電子文書において前記領域が指定された場合に所定の処理を実行するための制御情報と当該領域を特定する情報とを関連付けた管理データを生成する管理データ生成手段として機能させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、管理データを用いることにより、特殊な編集アプリケーションプログラムを用いることなく用紙上の特定の制御機能に対応付けられる領域を特定でき、かつ特定の領域と制御機能との対応を柔軟に設定することができる。
請求項2に係る発明によれば、管理データを用いて、URLを表す文字列を含む領域とウェブページを表示させる機能とを対応付けることができる。
請求項3に係る発明によれば、管理データを用いて、電話番号を表す文字列を含む領域と電話をかける機能とを対応付けることができる。
請求項4に係る発明によれば、印刷された電子文書において指定された領域の位置に応じて、保持されている管理データにしたがって処理を行うことができる。
請求項5に係る発明によれば、特定の制御機能に対応付けられた領域をパターン画像で記述することができる。
請求項6に係る発明によれば、管理データを生成し管理サーバに保持することにより、特殊な編集アプリケーションプログラムを用いることなく用紙上の特定の制御機能に対応付けられる領域を特定でき、かつ特定の領域と制御機能との対応を柔軟に設定することができる。
請求項7に係る発明によれば、特定の制御機能に対応付けられた領域をパターン画像で記述することができる。
請求項8に係る発明によれば、コンピュータにおいて、管理データを用いることにより、特殊な編集アプリケーションプログラムを用いることなく用紙上の特定の制御機能に対応付けられる領域を特定でき、かつ特定の領域と制御機能との対応を柔軟に設定するシステムを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<システム構成>
図1は、本実施形態が適用されるシステムの構成の一例を示したものである。このシステムは、少なくとも、電子文書の印刷を指示する画像処理装置100と、電子文書の情報を管理する管理サーバ200と、電子文書の画像と符号パターン画像との重畳画像を印刷する画像形成装置400とがネットワーク900に接続されて構成されている。また、このシステムは、画像形成装置400にて出力される印刷物500と、印刷物500に文字または図形を記録し、その文字または図形の軌跡を読み取るペンデバイス600とを含む。さらに、ネットワーク900には、ペンデバイス600により選択された所定のサービスを提供する端末装置700も接続されている。
【0011】
図1において、画像処理装置100は、所定のアプリケーションプログラムにより作成した電子文書の印刷を指示する(A)。このとき、画像処理装置100は、印刷に関するパラメータである印刷属性を指定する。この印刷属性には、通常の印刷と同様、用紙サイズ、向き、両面印刷等が含まれる。また、符号パターン画像に関し、符号パターン画像を印刷すべき領域の指定等が含まれても良い。さらに、画像処理装置100は、管理サーバ200に印刷される電子文書の管理データが送られる(E)。
【0012】
この電子文書の印刷指示を受けると、画像形成装置400は、電子文書の画像に符号パターン画像を重畳した画像を紙等の媒体に印刷し、印刷物500をプリント出力する(B)。ここで、符号パターン画像は、所定の機能に関連した管理情報を画像化したものや、その他の付加情報を含めて画像化したものである。付加情報としては、例えば、印刷指示を行ったユーザの識別情報や、コピー禁止であるかどうかの情報等がある。符号パターン画像と機能との対応関係は、管理サーバ200により管理される。
【0013】
また、画像形成装置400は、符号パターン画像を、赤外光の吸収率が一定の基準以上である不可視のトナーを用いて不可視画像として形成する。一方、電子文書の文書画像は、赤外光の吸収率が一定の基準以下である可視のトナーを用いて可視画像として形成することが好ましい。符号パターン画像の形成に用いるトナーと文書画像の形成に用いるトナーとで、赤外光の吸収率に差を設けたのは、赤外光を照射して符号パターン画像を読み取る際の読取り精度を確保するためである。なお、本明細書では、赤外光照射による符号パターン画像の読取りを前提として説明するが、紫外光により符号パターン画像を読み取るものであっても良い。
【0014】
その後、ユーザが、ペンデバイス600を用いて印刷物500に文字や図形を筆記したとする(C)。これにより、ペンデバイス600は、印刷物500に対し赤外光を照射し、その反射光を検出することで符号パターン画像を入力する。そして、符号パターン画像から情報を取得し、その情報を端末装置700に送信する(D)。なお、ペンデバイス600から端末装置700への通信は、有線であっても無線であっても良い。また、送信される情報は、例えば、所定の機能に関連した管理情報である。
【0015】
端末装置700は、ペンデバイス600から受信した管理情報に基づいて、管理サーバ200から対応する機能についての情報を取得し(F)、取得した情報にしたがって所定の機能を実行する。ここで、所定の機能としては、所定のサービスを提供するためのリンク機能が挙げられる。さらに具体的には、管理情報に基づいて、インターネット上の特定のウェブページを表示する、特定の電話番号に電話をかける、などが例示される。
【0016】
以上、本実施形態が適用されるシステムについて述べてきたが、このような構成はあくまで一例に過ぎない。例えば、電子文書の画像と符号パターン画像とを重畳する処理や符号パターン画像を作成する処理は、画像処理装置100で行ってもよいし、画像形成装置400で行っても良い。また、図1には示していないが、画像処理装置100から画像形成装置400への印刷指示を中継するサーバコンピュータ等で行うようにしても良い。
【0017】
なお、本明細書では、「電子文書」の文言を用いるが、これは、テキストを含む「文書」を電子化したデータのみを意味するものではない。例えば、絵、写真、図形等の画像データ(ラスタデータかベクターデータかによらない)、その他の印刷可能な各種の電子データも含めて「電子文書」と呼ぶ。
【0018】
<電子文書の構成>
ここで、本実施形態で扱われる電子文書について説明する。
図2は、印刷された電子文書の構成例を示す図であり、図3は、図2に示す電子文書の印刷データの例を示す図である。なお、以下では、印刷物としての文書と電子的なデータとを区別するため、図2のような印刷物500としての文書を印刷文書と呼び、画像処理装置100等で電子的に扱われるデータとしての文書を電子文書と呼ぶことにする。
【0019】
図2に示す印刷文書20には、6つのコンテンツ21〜26が描画されている。ここでは、全てのコンテンツがテキスト・コンテンツである例が示されているが、上述したように画像等の他の種類のコンテンツであっても良い。また、コンテンツ24およびコンテンツ25はURL(Uniform Resource Locator)を含んでおり、コンテンツ26は電話番号を含んでいる。
【0020】
図3を参照すると、印刷文書20の印刷データは、8つの描画オブジェクトを含む。描画オブジェクト31(「StartPage」)は、ページ開始を示す描画オブジェクトである。描画オブジェクト32〜37は、図2のコンテンツ21〜26に対応するテキストを描画するための描画オブジェクトである。描画オブジェクト38(「EndPage」)は、ページ終了を示す描画オブジェクトである。描画オブジェクト32〜37において、先頭(左端)から記載された数字は、(左上X座標、左上Y座標)−(右下X座標、右下Y座標)であり、コンテンツの描画位置を示す。また、ダブルコーテーション「“ ”」で挟まれた文字列は、印刷文書に実際に描画されるテキスト・コンテンツを示す。
【0021】
本実施形態では、印刷文書20に特定のサービスに対応付けられた特定の領域(以下、「サービス領域」と呼ぶ)が設定される。サービス領域には、対応付けられたサービスを呼び出すための制御情報が符号パターン画像によって記録される。したがって、このサービス領域を図1に示したペンデバイス600で読み取れば、端末装置700においてサービス領域に対応付けられたサービスが呼び出されることとなる。サービス領域に対応付けられるサービスは、任意に設定して良く、例えば、特定のウェブページをブラウザに表示する、特定の電話番号に電話をかける等のサービスが適用される。
【0022】
サービス領域は、通常、所定の描画オブジェクトの少なくとも一部に重なるように設定される。ただし、これは必須ではなく、サービスの種類によっては、描画オブジェクトの描画位置とは関係なく設定しても良い。詳しくは後述するが、本実施形態は、描画オブジェクトにより印刷文書20に描画されるテキスト・コンテンツとサービスとを対応付ける手法を提供する。したがって、特に本実施形態では、テキスト・コンテンツにおける特定の文字列を含むようにサービス領域が設定される。
【0023】
<画像処理装置の機能>
図4は、画像処理装置100の機能構成例を示す図である。
図4に示す画像処理装置100は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータで実現され、文書編集部110と、印刷制御部120と、ネットワークインタフェース(ネットワークI/F)130と、表示制御部140とを備える。表示制御部140には表示デバイス150が接続されている。文書編集部110、印刷制御部120および表示制御部140は、プログラム制御されたCPUおよびメモリ等の記憶手段により実現される。また、特に図示しないが、画像処理装置100は、ユーザがデータ入力その他の操作を行うための、キーボードやマウス等の入力デバイスを備える。
【0024】
文書編集部110は、ソフトウェアであるアプリケーションプログラムおよびOS(Operating System)とハードウェアであるCPUおよびメモリとが協働することにより実現される。この文書編集部110は、ユーザによる入力操作を受け付けて電子文書を編集する。また、文書編集部110は、ユーザの操作にしたがって電子文書の印刷データと共に印刷指示を印刷制御部120に送る。
【0025】
印刷制御部120は、ソフトウェアであるプリンタドライバとハードウェアであるCPUおよびメモリとが協働することにより実現される。図2に示すように印刷制御部120は、解析部121と、媒体ID取得部122と、管理データ生成部123とを備える。
【0026】
解析部121は、文書編集部110から受け取った電子文書の印刷データを解析し、サービス領域の設定を行う。すなわち、本実施形態では、電子文書からサービス領域が自動設定される。本実施形態では、描画オブジェクトに含まれる特定の文字列を含む領域がサービス領域に指定される。そのため、解析部121は、文字列検出手段およびサービス領域指定手段として機能する。サービス領域の設定方法の詳細については後述する。
【0027】
媒体ID取得部122は、ネットワークI/F130を介してネットワーク900に接続されており、文書編集部110から受け取った電子文書の印刷物500(印刷文書)に付与される媒体IDを管理サーバ200から取得する。媒体IDとは、個々の印刷物500を識別可能とするための一意性を持つIDである。
【0028】
管理データ生成部123は、ネットワークI/F130を介してネットワーク900に接続されている。そして、この管理データ生成部123は、文書編集部110から受け取った電子文書の印刷データと、解析部121により設定されたサービス領域のデータと、媒体ID取得部122により取得された媒体IDとを関連付けて管理データを生成し、管理サーバ200に送る。また、管理データ生成部123は、媒体ID取得部122により取得された媒体IDを画像形成装置400に送る。
【0029】
ネットワークI/F130は、画像処理装置100がネットワーク900に接続するためのインタフェースであり、使用されるネットワークや回線の規格に応じたNIC(Network Interface Card)等を用いて実現される。
表示制御部140は、ソフトウェアであるディスプレイドライバとハードウェアであるCPUおよびメモリとが協働することにより実現され、表示デバイス150に画像を表示させる。
表示デバイス150は、液晶ディスプレイ等のディスプレイ装置により実現され、表示制御部140の制御により、電子文書やその印刷データの編集画面、各種の操作を行うための操作画面等の各種の画面等を表示する。
【0030】
<画像形成装置の機能>
図5は、画像形成装置400の機能構成例を示す図である。
図5に示す画像形成装置400は、プリンタやプリンタ機能を備えた多機能機で実現され、データ取得部410と、描画部420と、符号パターン画像生成部430と、合成部440と、印刷部450と、ネットワークインタフェース(I/F)460とを備える。データ取得部410、描画部420、符号パターン画像生成部430および合成部440は、プログラム制御されたCPUおよびメモリ等の記憶手段により実現される。また、特に図示しないが、画像形成装置400は、ユーザがコマンド入力その他の操作を行うためのタッチパネル等の入力デバイスと、ユーザに印刷設定その他の情報を提示するための表示デバイスとを備える。
【0031】
データ取得部410は、ネットワークI/F460を介してネットワーク900に接続されており、画像処理装置100から媒体IDを取得する。また、データ取得部410は、取得した媒体IDを管理サーバ200に送信し、この媒体IDに関連付けられた電子文書の印刷データを取得する。取得された印刷データは、描画部420に送られる。また、媒体IDは、符号パターン画像生成部430にも送られる。
【0032】
描画部420は、データ取得部410により取得された印刷データを受け取り、画像イメージに変換して合成部440に送る。
符号パターン画像生成部430は、電子文書が印刷される媒体上の位置座標や媒体ID等の情報を符号化(コード化)し、この符号化データを記述する符号パターン画像を生成して合成部440に送る。
合成部440は、描画部420から受け取った電子文書の画像イメージと符号パターン画像生成部430から受け取った符号パターン画像とを合成し、合成イメージを印刷部450に送る。
【0033】
印刷部450は、画像形成材であるトナーを用いて、合成部440から受け取った合成イメージを媒体上に形成する。すなわち、印刷部450は、電子文書と共に符号パターン画像を印刷する印刷手段である。上述したように、符号パターン画像は不可視のトナーを用いて形成される。
ネットワークI/F460は、画像形成装置400がネットワーク900に接続するためのインタフェースであり、使用されるネットワークや回線の規格に応じたNIC等を用いて実現される。
【0034】
<管理サーバの機能>
図6は、管理サーバ200の機能構成例を示す図である。
図6に示す管理サーバ200は、パーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実現され、媒体ID生成部210と、管理データ保持部220と、サービス情報提供部230と、管理データ編集部240と、ネットワークインタフェース(I/F)250とを備える。媒体ID生成部210、サービス情報提供部230および管理データ編集部240は、プログラム制御されたCPUおよびメモリ等の記憶手段により実現される。管理データ保持部220は、磁気ディスク装置等の記憶手段により実現される。これらの構成要素は、ネットワークI/F250を介してネットワーク900に接続されている。また、特に図示しないが、管理サーバ200は、ユーザがデータ入力その他の操作を行うためのキーボード等の入力デバイスと、ユーザに各種の情報を提示するための表示デバイスとを備える。
【0035】
媒体ID生成部210は、画像処理装置100からの媒体IDの取得要求を集中管理する。これにより、媒体IDは、画像処理装置100が複数ある場合も一元管理される。媒体ID生成部210は、画像処理装置100から受け付けた媒体IDの取得要求に対して、シリアル番号や乱数を用いて一意性を有するIDを発生させ、画像処理装置100に返送する。
【0036】
管理データ保持部220は、画像処理装置100から、媒体IDと印刷データとサービス領域データとが関連付けられた管理データを受け付けて保持する保持手段である。
図7は、管理データの構成例を示す図であり、図8は、管理データに含まれるサービス領域データの構成例を示す図である。
図8を参照すると、サービス領域データには、個々のサービス領域を識別するための「サービスID」と、サービス領域の位置を表す座標値(「左上座標」および「右下座標」)と、サービスの種類を表す「サービス種別」と、サービスの具体的な内容を表す「属性」とが格納されている。
【0037】
サービス情報提供部230は、端末装置700からのサービス情報の要求に応じて、管理データ保持部220に保持されている管理データを検索し、要求に対応するサービスの情報を読み出して端末装置700に返送する。
【0038】
管理データ編集部240は、管理データ保持部220に保持されている管理データを編集する。管理データ編集部240は、HTTPサーバの機能を備えており、ネットワーク900に接続された外部端末の表示デバイスや管理サーバ200自身のコンソールに、ウェブページとして構成された管理データの編集用の操作画面を表示させる。そして、この操作画面上での操作を受け付けて、操作内容に応じて管理データを更新する。これにより、サービス領域に対応付けられたサービスの内容を、電子文書が印刷された後でも変更することが可能となる。管理データ編集部240により管理データを編集する操作の詳細については後述する。
【0039】
ネットワークI/F250は、管理サーバ200がネットワーク900に接続するためのインタフェースであり、使用されるネットワークや回線の規格に応じたNIC等を用いて実現される。
【0040】
<端末装置の機能>
図9は、端末装置700の機能構成例を示す図である。
図9に示す端末装置700は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータで実現され、サービス制御部710と、ペンデバイス制御部720と、電話制御部730と、表示制御部740と、ネットワークインタフェース(I/F)750とを備える。ペンデバイス制御部720にはペンデバイス600が接続され、電話制御部730には電話機610が接続され、表示制御部740には、表示デバイス620が接続されている。サービス制御部710、ペンデバイス制御部720、電話制御部730および表示制御部740は、プログラム制御されたCPUおよびメモリ等の記憶手段により実現される。また、特に図示しないが、端末装置700は、ユーザがデータ入力その他の操作を行うための、キーボードやマウス等の入力デバイスを備える。
【0041】
サービス制御部710は、ソフトウェアであるアプリケーションプログラムおよびOSとハードウェアであるCPUおよびメモリとが協働することにより実現される。このサービス制御部710は、ペンデバイス600により読み取られたコード情報に基づき、ネットワークI/F750を介して管理サーバ200からサービス情報を取得し、対応するサービスを実行する。すなわち、サービス制御部710は、サービス情報に応じた処理を実行する処理手段である。
【0042】
ペンデバイス制御部720は、ソフトウェアであるデバイスドライバとハードウェアであるCPUおよびメモリとが協働することにより実現される。このペンデバイス制御部720は、ペンデバイス600により取得された情報を受け付け、サービス制御部710に送る。
【0043】
電話制御部730は、ソフトウェアであるデバイスドライバとハードウェアであるCPUおよびメモリとが協働することにより実現される。この電話制御部730は、サービス制御部710からの指示にしたがって電話機610を制御し、電話をかける。また、電話機610を介して送信されるトーン信号やパルス信号を生成する。
表示制御部740は、ソフトウェアであるディスプレイドライバとハードウェアであるCPUおよびメモリとが協働することにより実現され、表示デバイス620に画像を表示させる。
ネットワークI/F750は、端末装置700がネットワーク900に接続するためのインタフェースであり、使用されるネットワークや回線の規格に応じたNIC等を用いて実現される。
【0044】
ペンデバイス600は、図1に示した印刷物500の表面に赤外光を照射して反射光を検知することにより、符号パターン画像を読み取る。そして、符号パターン画像で記述された情報を復号して端末装置700のペンデバイス制御部720に送る。また、ペンデバイス600では符号パターン画像で記述された符号化データのみを読み取り、情報の復号はペンデバイス制御部720で行うようにしても良い。
【0045】
電話機610は、電話制御部730の制御により、電話回線を介して信号の送受信を行う。
表示デバイス620は、液晶ディスプレイ等のディスプレイ装置により実現され、表示制御部740の制御により、図1に示した印刷物500上でのペンデバイス600の読み取り経路(筆跡)を表示したり、ウェブページ等の画面を表示したりする。
【0046】
<サービス領域の設定方法>
次に、画像処理装置100の印刷制御部120によるサービス領域設定方法について詳細に説明する。
初期設定として、印刷制御部120の設定ダイアログにより、印刷指示の際にサービス領域の指定を行うか否かを設定しておく。
図10は、表示デバイス150に表示される設定画面の例を示す図である。
表示デバイス150に表示された設定ダイアログ40のサービスタブ41をマウスでクリックするなどして選択すると、図10に示すサービス領域に関する設定の画面となる。図10に示す例では、サービス領域指定を行うか否かを設定するチェックボックス42をチェックすると、サービスグループボックス43が指定できるようになる。図示の例では、電子文書のURLが記述された箇所をサービス領域に指定することと、電話番号が記述された箇所をサービス領域に指定することが選べるようになっている。また、出力時確認を行うか否かを設定するチェックボックス44のチェックを解除しておくと、出力時の確認を行わずに、自動生成されたサービス領域が印刷されるようになる。
【0047】
図11は、印刷制御部120によるサービス領域の設定処理の流れを示すフローチャートである。
ユーザ操作により印刷対象の電子文書が指定され、印刷指示が入力されると、文書編集部110がこの印刷指示を印刷制御部120に送る。印刷制御部120は、印刷指示を受け付けると(ステップ1101)、サービス領域を指定する設定がなされているか否かを調べる。サービス領域を指定しない設定である場合(ステップ1102でNo)、直ちに管理データ生成部123による管理データの生成処理に移行する(ステップ1116)。
【0048】
サービス領域を指定する設定である場合(ステップ1102でYes)、印刷制御部120の解析部121が印刷対象の電子文書の印刷データから描画オブジェクトを順次取得する(ステップ1103)。そして、取得した描画オブジェクトを識別し、その種類に応じた以下の処理を行う。
【0049】
描画オブジェクトが「StartPage」である場合(ステップ1104でYes)、解析部121は、表示デバイス150にサービス領域確認ダイアログを表示させ、電子文書のプレビュー表示を行う(ステップ1105)。そして、ステップ1103に戻り、次の描画オブジェクトを取得する。
【0050】
図12は、サービス領域確認ダイアログの画面構成例を示す図である。
図12に示すサービス領域確認ダイアログの画面50において、プレビュー画面51が左側に、サービス領域一覧画面52が右側に、それぞれ表示されている。また、プレビュー画面51の表示ページを移動するためのボタンオブジェクト53と、印刷開始を指示するためのボタンオブジェクト54が表示されている。
【0051】
描画オブジェクトがテキストである場合(ステップ1104でNo、ステップ1106でYes)、次に解析部121は、描画オブジェクトが特定文字列を含むか否かを判断する(ステップ1107)。ここで、特定文字列とは、サービス領域に関連付けられたサービスの内容を特定する文字列であり、サービスを呼び出す際の引数として用いられる。具体的には、サービスがウェブページの表示である場合、表示対象であるウェブページのURLが特定文字列とされる。また、サービスが電話をかけることである場合、電話番号が特定文字列とされる。特定文字列の検出方法については後述する。
【0052】
描画オブジェクトに特定文字列が含まれていた場合(ステップ1107でYes)、解析部121は、処理中の描画オブジェクトをサービス領域確認ダイアログの画面50のプレビュー画面51に表示し、該当する特定文字列の場所に網掛け表示を行う(ステップ1108)。そして、サービス領域一覧画面52に、網掛け表示された場所に関する情報を追加する(ステップ1109)。この網掛け表示がなされた場所がサービス領域となる。この後、解析部121は、ステップ1103に戻り、次の描画オブジェクトを取得する。
【0053】
一方、描画オブジェクトに特定文字列が含まれていない場合(ステップ1107でNo)、解析部121は、処理中の描画オブジェクトをサービス領域確認ダイアログの画面50のプレビュー画面51に表示する(ステップ1111)。そして、ステップ1103に戻り、次の描画オブジェクトを取得する。
【0054】
また、描画オブジェクトがテキスト以外のコンテンツである場合(ステップ1104、1106、1110でNo)も同様に、解析部121は、処理中の描画オブジェクトをサービス領域確認ダイアログの画面50のプレビュー画面51に表示する(ステップ1111)。そして、ステップ1103に戻り、次の描画オブジェクトを取得する。
【0055】
図12のサービス領域確認ダイアログの画面50を参照すると、プレビュー画面51に図2で示した印刷画像と同様の画像がプレビュー表示されている。また、図2のコンテンツ24〜26に対応する場所に、網掛け表示がなされている。サービス領域一覧画面52を参照すると、プレビュー画面51の網掛け表示されたサービス領域に関して、領域に含まれる特定文字列の種類および内容(URL、電話番号)が表示されている。また、各サービス領域の設定を削除するためのボタンオブジェクトが表示されている。なお、サービス領域の網掛けは、サービス領域確認ダイアログのプレビュー画面51でサービス領域の場所を認識できるように表示されているのであり、実際の印刷物500(印刷文書)では、網掛け表示は行われず、描画オブジェクトに基づくコンテンツと不可視の符号パターン画像のみが印刷される。
【0056】
描画オブジェクトが「EndPage」である場合(ステップ1104、1106でNo、1110でYes)、次に解析部121は、ユーザによる入力操作を待つ。ユーザによりサービス領域確認ダイアログの画面50のボタンオブジェクト53が選択された場合(ステップ1112でYes)、プレビュー画面51の表示ページが変わり、ステップ1103に戻って、改めて描画オブジェクトが取得される。
【0057】
サービス領域一覧画面52に設けられた「削除」のボタンオブジェクトが選択された場合(ステップ1112でNo、ステップ1113でYes)、該当するサービス領域がサービス領域一覧画面52から削除される(ステップ1114)。また、ボタンオブジェクト54が選択された場合(ステップ1112、1113でNo、ステップ1115でYes)、管理データ生成部123による管理データの生成処理に移行する(ステップ1116)。
【0058】
<特定文字列の検出方法>
次に、サービス領域を設定する際の特定文字列の検出方法について説明する。
図13は、特定文字列の検出処理の流れを示すフローチャートである。
図13に示すように、解析部121は、まずURLに対してサービス領域を指定する設定が行われているか否かを判断する(ステップ1301)。そのような設定が行われているならば、処理中の描画オブジェクトにURLを表す文字列が存在するか否かを判断する(ステップ1302)。URLを表す文字列が存在する場合は、そのURLに対応する文字列の部分をサービス領域として抽出する(ステップ1303)。ここで、URLを表す文字列か否かは、例えば、「http://」という文字列が含まれているか否かによって判断される。そして、この「http://」からURLの構成文字列として許されない文字までが、URLを表す文字列として抽出される。
【0059】
次に、解析部121は、電話番号に対してサービス領域を指定する設定が行われているか否かを判断する(ステップ1304)。そのような設定が行われているならば、処理中の描画オブジェクトに電話番号を表す文字列が存在するか否かを判断する(ステップ1305)。電話番号を表す文字列が存在する場合は、その電話番号に対応する文字列の部分をサービス領域として抽出する(ステップ1306)。ここで、電話番号を表す文字列か否かは、例えば、数字とハイフンのみが連続し、かつ電話番号として許される文字数である(2桁の数字、ハイフン、4桁の数字、ハイフン、4桁の数字といった並びなど)か否かによって判断される。そして、この文字列全体が電話番号を表す文字列として抽出される。
【0060】
以上のようにして、印刷対象の電子文書から、サービス領域に対応する特定文字列として、URLと電話番号が抽出される。ここでは、サービスとしてウェブページの表示と電話をかけることとを取り上げたが、その他のサービスが設定されている場合は、そのサービスに応じた文字列を特定文字列として検出対象としても良い。例えば、特定のプログラムを起動する、特定の周辺装置の制御を実行する等のサービスの場合、プログラムや周辺装置を特定する文字列(プログラム名やファイル名、機器名等)を特定文字列としても良い。
【0061】
図12に例示したサービス領域確認ダイアログでは、サービスに対応づけられた描画オブジェクトのうち、特定文字列に対応する部分(グリフ領域)のみがサービス領域として指定されているが、サービス領域の指定は、図示の方式に限定されない。例えば、特定文字列を含む描画オブジェクト全体をサービス領域として指定しても良い。描画オブジェクトが表などの場合は、特定文字列が存在する升目をサービス領域として指定しても良い。また、隣接する複数の描画オブジェクトがサービス領域として指定される場合、サービス領域どうしが重ならないように自動的に縮小するようにしても良い。また、初期的にサービス領域として指定された領域が一定以下のサイズである場合、ペンデバイス600で指示しやすいサイズに自動的に拡大するようにしても良い。さらには、自動的に設定されたサービス領域を手動で編集し、サイズを変更したり新たなサービス領域を追加したりする操作を受け付けるようにしても良い。この他、ビットマップ画像を含む描画オブジェクトに対して、OCR(Optical Character Recognition)により文字列を抽出して特定文字列を検索するようにしても良い。また、URLが折り返して表示されている場合を想定し、連続する二つのテキストオブジェクトについて、テキストが連続していると仮定して特定文字列を抽出し、二つのテキストオブジェクトにまたがる領域をサービス領域として指定しても良い。
【0062】
<印刷時の動作>
上記のようにして、解析部121により初期設定に応じてサービス領域の指定が行われた後、管理データ生成部123により電子文書の印刷データとサービス領域のデータと媒体IDとを含む管理データが生成され、管理サーバ200に送られて、管理データ保持部220に保持される。また、媒体IDが画像形成装置400に送られる。画像形成装置400では、データ取得部410が、画像処理装置100から受け取った媒体IDに対応する印刷データとサービス領域のデータを管理サーバ200から取得する。そして、電子文書のイメージと符号パターン画像が合成されて、印刷部450により印刷される。これにより、少なくともサービス領域に符号パターン画像が印刷された電子文書の印刷物500(印刷文書)が出力される。符号パターン画像は、印刷文書全体に印刷されても良いし、サービス領域にのみ印刷されても良い。
【0063】
<サービス領域の読み取り時の動作>
次に、印刷物500に印刷された符号パターン画像をペンデバイス600で読み取る場合について考える。
ペンデバイス600により符号パターン画像が読み取られると、読み取りデータが端末装置700に送られ、ペンデバイス制御部720からサービス制御部710に送られる。サービス制御部710は、符号パターン画像の読み取りデータから位置情報(座標値)を復号し、管理サーバ200へ送信する。管理サーバ200が端末装置700から位置情報を受け取ると、サービス情報提供部230が、管理データ保持部220を検索して、受け取った位置情報に対応するサービスの情報を読み出し、端末装置700へ返送する。端末装置700は、受け取ったサービス情報に基づいて、設定されたサービスの処理を実行する。
【0064】
具体例を挙げて説明する。
図12に示したようにサービス領域が指定されているものとする。また、図8に示したようにサービス領域のデータが設定されているものとする。このとき、コンテンツ「地図:http://xxx.xx.xx」に設定されたサービス領域がペンデバイス600で読み取られると、管理サーバ200から端末装置700へサービスIDが「1」のサービス情報が返送される。端末装置700は、受け取ったサービス情報に基づき、URL「http://xxx.xx.xx」にアクセスしてウェブページをダウンロードし、表示デバイス620に表示させる。
【0065】
また、コンテンツ「電話:0z−zzzz−zzzz」に設定されたサービス領域がペンデバイス600で読み取られると、管理サーバ200から端末装置700へサービスIDが「3」のサービス情報が返送される。端末装置700は、受け取ったサービス情報に基づき、電話番号「0z−zzzz−zzzz」に電話をかける。
【0066】
<管理データの編集>
上記のように、本実施形態は、サービスの内容やサービスを呼び出すための情報をコード情報として符号パターン画像により印刷物500に記録するのではなく、管理サーバ200において管理する。そのため、電子文書が印刷された後であっても、サービス領域とサービスの内容との対応関係を変更することが可能である。以下、管理サーバ200の管理データ保持部220に保持されている管理データの編集方法について説明する。
【0067】
図6に示した管理サーバ200の管理データ編集部240は、権限あるユーザのアクセス要求を受け付ける。そして、このアクセス要求に応じて、アクセス元である外部端末の表示デバイスや管理サーバ200自身のコンソールに、管理データの編集画面を表示させる。
【0068】
図14および図15は、管理データの編集用の操作画面の構成例を示す図であり、図14は管理データの選択画面を、図15は個々の管理データの編集画面を示す。
まず、図14に示す選択画面60に、管理データ保持部220に保持されている管理データの情報が表示される。図14に示す例では、文書一覧61には、個々の管理データについて、「文書番号」、「文書名」「登録日時」、「ページ数」の各情報が表示されている。ユーザは、この選択画面60を操作して、管理データを編集しようとする電子文書を指定する。また、この選択画面では、電子文書ごとに、その管理データを削除する操作も受け付ける。
【0069】
図14の選択画面60で所定の電子文書が指定されると、図15に示す編集画面70が表示される。図15の編集画面70には、指定された電子文書のプレビュー画面71と、指定されたサービス領域に関する情報が記載されたサービス領域一覧画面72とが表示されている。ユーザは、この編集画面で、所望のサービス領域に関して、サービスの種類(図で「種別」と記載された項目)やサービスの具体的な内容(図で「属性」と記載された項目)等を編集する。さらに、電子文書に新たにサービス領域を指定できる描画オブジェクトが存在する場合には、新たにサービス領域を指定し、その管理データを作成しても良い。ただし、実際の印刷物500の対応箇所に符号パターン画像が印刷されていることが必要である。
【0070】
この他、図15の編集画面70において、「前のページ」ボタンや「次のページ」ボタンがマウスクリック等で選択されると、プレビュー表示されているページを、前のページや次のページへ移行する。「新規サービス領域追加」ボタンは、新たなサービス領域を指定する際に用いられる。「確定」ボタンが選択されると、プレビュー画面71およびサービス領域一覧画面72に表示されている内容で、管理データ保持部220のデータが上書きされる。「元に戻す」ボタンが選択されると、編集した内容が元の内容に戻る。
【0071】
以上のようにして管理データの編集が行われた場合、これ以降、ペンデバイス600による印刷物500の読み取りが行われて端末装置700からサービス情報が要求された場合に、編集後の新しいサービス情報が返送される。そして、端末装置700において変更後の新たなサービスが実行されることとなる。
【0072】
<ハードウェアの構成例>
図16は、ペンデバイス600の構成例を示す図である。
図16に示すように、ペンデバイス600は、ペン全体の動作を制御する制御回路601を備える。また、制御回路601は、入力画像から検出した符号パターン画像を処理する画像処理部601aと、そこでの処理結果から管理情報等を抽出するデータ処理部601bとを含む。制御回路601には、ペンデバイス600による筆記動作をペンチップ609に加わる圧力によって検出する圧力センサ602と、媒体上に赤外光を照射する赤外LED603と、画像を入力する赤外CMOS604とが接続されている。また、管理情報等を記憶するための情報メモリ605と、外部装置と通信するための通信回路606と、ペンを駆動するためのバッテリ607と、ペンの識別情報(ペンID)を記憶するペンIDメモリ608とが接続されている。
【0073】
図17は、画像処理装置100、管理サーバ200および端末装置700を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
図17に示すコンピュータ10は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)10aと、記憶手段である主記憶装置(メインメモリ)10bおよび外部記憶装置10cを備える。外部記憶装置10cとしては、一般に磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)が用いられるが、SSD等を用いても良い。また、図17のコンピュータ10は、ネットワークを介して外部装置に接続するためのネットワークI/F(インタフェース)10dと、ディスプレイ装置へ表示出力を行うための表示機構10eと、音声出力を行うための音声機構10fとを備える。さらに、キーボードやマウス等の入力デバイス10gを備える。CPU10aと他の構成要素との間には、図示しないチップセットやブリッジ回路が介在している。
【0074】
図17において、各構成要素は、システムバスや入出力バス等の各種のバスを介して接続される。例えば、CPU10aと主記憶装置10bの間は、システムバスやメモリバスを介して接続される。また、CPU10aと外部記憶装置10c、ネットワークI/F10d、表示機構10e、音声機構10f、入力デバイス10g等との間は、PCI(Peripheral Components Interconnect)、PCI Express、シリアルATA(AT Attachment)、USB(Universal Serial Bus)、AGP(Accelerated Graphics Port)等の入出力バスを介して接続される。
【0075】
なお、図17は、画像処理装置100、管理サーバ200および端末装置700を実現するのに好適なコンピュータのハードウェア構成を例示するに過ぎず、図示の構成に限定されないことは言うまでもない。例えば、補助記憶装置として、外部記憶装置10cの他に、フレキシブルディスクや光学ディスクをメディアとするドライブを設けたり、USBメモリを設けたりしても良い。USBメモリは、USBを介してブリッジ回路に接続されることとなる。また、音声機構10fを独立した構成とせず、チップセットの機能として備えるようにしても良い。
【0076】
<符号化データおよび符号パターン画像の構成例>
図18は、画像形成装置400の符号パターン画像生成部430により生成される符号化データの構成例を示す図である。
図18に示す符号化データは、128ビットのデータ列として構成され、先頭の32ビット(96ビット〜127ビット)でX座標が記述され、次の32ビット(64ビット〜95ビット)でY座標が記述され、残りの64ビットで媒体IDが記述される。その他の情報を記述する場合も、この残りの64ビットが使用される。
【0077】
図19(a)〜(c)は、符号パターン画像の構成例を説明する図である。図19(a)は、符号パターン画像を形成する符号パターン配列を模式的に示している。また、図19(b)は、図19(a)における符号パターン配列の基本単位である符号ブロックを拡大して示した図である。さらに、図19(c)は、符号ブロックを構成する単位符号パターンの具体的なパターンについて説明する図である。
【0078】
図19(b)において、符号ブロックは、5ブロック×5ブロックの合計25ブロックの単位符号パターンで構成されている。各単位符号パターンは、図19(c)に示される縦3ドット、横3ドットの合計9ドットを配置可能な領域により形成され、ドット配置可能な領域に2ドットを配置するいわゆる9C2方式における符号パターンである。ここで、黒色の領域と斜線の領域をドット配置可能な領域とし、その間にある白色の領域をドット配置不可能な領域としている。そして、ドット配置可能な領域のうち、黒色の領域にドットが配置され、斜線の領域にはドットが配置されていないことを示している。
【0079】
より具体的には、配置可能な9ドットのうち2ドットを使用し、各単位符号パターンが1つの情報を表現する。この場合は、36(=9C2)通りの情報を表現することができる。このような方式を用いることで、可視画像に与えるノイズが極めて小さく、且つ、大量の情報を高密度にデジタル化して埋め込むことが可能な符号パターンを提供することが可能となる。
【0080】
本実施形態では、これらの単位符号パターンのうち、特定の単位符号パターンを情報パターンとして利用し、残りを同期パターンとして利用する。ここで、情報パターンとは、媒体に埋め込む情報を表現するパターンである。また、同期パターンとは、媒体に印刷された情報パターンを取り出すために用いられるパターンである。例えば、情報パターンの位置を特定したり、画像の回転を検出したりするために用いられる。
図19(b)に示した例では、図19(b)において黒色の領域で表した左上の1ブロックの単位符号パターンを使用し、同期パターンとしている。そして、画像の回転を検出するために4種類の単位符号パターンを同期パターンとして用意する必要がある。即ち、正立した同期パターン、右に90度回転した同期パターン、右に180度回転した同期パターン、右に270度回転した同期パターンを用意する。
【0081】
そして残りの24ブロックを情報パターンとして利用する。そして、同期パターンの右の4ブロックに紙面上のX方向の座標を特定するX座標情報を表す情報パターンを配置し、同期パターンの下の4ブロックに紙面上のY方向の座標を特定するY座標情報を表す情報パターンを配置している。さらに、これらの座標情報を表す情報パターンで囲まれた16ブロックに、紙面または紙面に印刷される文書の識別情報を表す情報パターンを配置している。そして、X座標情報を表す情報パターン領域とY座標情報を表す情報パターンには、それぞれ配置される場所により異なる位置情報が格納されている。一方、識別パターンを表す領域には、配置される場所によらず同じ識別情報が格納されている。
【0082】
<その他のシステム構成例>
上記の実施形態では、画像形成装置400がデータ取得部410を備え、媒体IDに基づいて管理サーバ200から印刷データ(管理データ)を取得したが、印刷データを管理サーバ200経由ではなく、画像処理装置100から直接取得するようにしても良い。
【0083】
図20は、データ取得部410を持たない画像形成装置400の構成を示す図である。
図示の構成の場合、印刷時には、画像処理装置100から媒体IDおよび印刷データが画像形成装置400に送られる。描画部420は、この画像処理装置100から受け取った印刷データを画像イメージに変換する。また、この場合、管理サーバ200に送られる管理データには、印刷データは含まれない。したがって、画像形成装置400は、サービス領域の情報のみを管理サーバ200から取得する。
【0084】
ところで、このシステム構成では、管理データに印刷データが含まれないため、そのままでは管理サーバ200において管理データの編集を行う場合に、図15の編集画面70のようにプレビュー画面71を表示することができない。このような問題を回避するには、画像処理装置100の印刷制御部120の管理データ生成部123が管理データを生成する際に、図12におけるプレビュー画面51の縮小ビットマップであるサムネールを生成し、管理データとして管理サーバ200へ送るようにすれば良い。管理サーバ200で管理データを編集する場合には、このサムネールを編集画面70のプレビュー画面71として表示する。
【0085】
以上、本実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、画像処理装置100、管理サーバ200、画像形成装置400、端末装置700がそれぞれネットワークを介して接続されているシステム構成としたが、これらはシステムにおける役割に応じて構成したに過ぎない。実際には、画像処理装置100と端末装置700、あるいは管理サーバ200等が物理的に単一のコンピュータで実現されても良い。また、提供されるサービスに応じて、端末装置700に、電話機610や表示デバイス620以外の周辺装置が接続されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本実施形態が適用されるシステムの構成の一例を示す図である。
【図2】印刷された電子文書の構成例を示す図である。
【図3】図2に示す電子文書の印刷データの例を示す図である。
【図4】本実施形態における画像処理装置の機能構成例を示す図である。
【図5】本実施形態における画像形成装置の機能構成例を示す図である。
【図6】本実施形態における管理サーバの機能構成例を示す図である。
【図7】本実施形態で用いられる管理データの構成例を示す図である。
【図8】本実施形態の管理データに含まれるサービス領域データの構成例を示す図である。
【図9】本実施形態における端末装置の機能構成例を示す図である。
【図10】本実施形態の画像処理装置の表示デバイスに表示される設定画面の例を示す図である。
【図11】本実施形態の画像処理装置の印刷制御部によるサービス領域の設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】本実施形態で用いられるサービス領域確認ダイアログの画面構成例を示す図である。
【図13】特定文字列の検出処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】本実施形態における管理データの編集用の操作画面の構成例を示す図であり、管理データの選択画面を示す図である。
【図15】本実施形態における管理データの編集用の操作画面の構成例を示す図であり、個々の管理データの編集画面を示す図である。
【図16】ペンデバイスの構成例を示す図である。
【図17】画像処理装置、管理サーバおよび端末装置を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
【図18】符号パターン画像生成部により生成される符号化データの構成例を示す図である。
【図19】符号パターン画像生成部により生成される符号パターン画像の構成例を説明する図である。
【図20】本実施形態の他のシステム構成例において、データ取得部を持たない画像形成装置の機能構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
100…画像処理装置、110…文書編集部、120…印刷制御部、121…解析部、122…媒体ID取得部、123…管理データ生成部、130、250、460、750…ネットワークインタフェース(I/F)、140、740…表示制御部、150、620…表示デバイス、200…管理サーバ、210…媒体ID生成部、220…管理データ保持部、230…サービス情報提供部、240…管理データ編集部、400…画像形成装置、410…データ取得部、420…描画部、430…符号パターン画像生成部、440…合成部、450…印刷部、600…ペンデバイス、610…電話機、700…端末装置、710…サービス制御部、720…ペンデバイス制御部、730…電話制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象の電子文書を解析して描画オブジェクトに含まれる特定の文字列を検出する文字列検出手段と、
前記電子文書における前記特定の文字列を含む領域を指定する領域指定手段と、
印刷された前記電子文書において前記領域が指定された場合に所定の処理を実行するための制御情報と、当該領域を特定する情報とを関連付けた管理データを生成する管理データ生成手段と
を備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記特定の文字列は、URL(Uniform Resource Locator)を表す文字列であり、
前記制御情報は、前記URLで特定されるウェブページを表示デバイスに表示させるための情報であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記文字列は、電話番号を表す文字列であり、
前記制御情報は、前記電話番号に電話をかける処理を所定の端末装置に実行させるための情報であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記管理データを保持する保持手段と、
印刷された前記電子文書において指定された領域の位置情報に基づき、前記保持手段から前記管理データを取得し、前記制御情報に応じた処理を実行する処理手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記領域の位置情報を符号化し、符号化された当該位置情報を記述するパターン画像を生成して、前記電子文書と共に印刷する印刷手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項6】
印刷対象の電子文書を生成する画像処理装置と、
前記電子文書を印刷する画像形成装置と、
前記電子文書に関するデータを管理する管理サーバとを備え、
前記画像処理装置は、
前記電子文書を解析して描画オブジェクトに含まれる特定の文字列を検出する文字列検出手段と、
前記電子文書における前記特定の文字列を含む領域を指定する領域指定手段と、
印刷された前記電子文書において前記領域が指定された場合に所定の処理を実行するための制御情報と、当該領域を特定する情報とを関連付けた管理データを生成する管理データ生成手段とを備え、
前記管理サーバは、前記管理データを管理することを特徴とする画像処理システム。
【請求項7】
前記画像形成装置は、前記領域の位置情報を符号化し、符号化された当該位置情報を記述するパターン画像を生成して、前記電子文書と共に印刷することを特徴とする請求項6に記載の画像処理システム。
【請求項8】
コンピュータを、
印刷対象の電子文書を解析して描画オブジェクトに含まれる特定の文字列を検出する文字列検出手段と、
前記電子文書における前記特定の文字列を含む領域を指定する領域指定手段と、
印刷された前記電子文書において前記領域が指定された場合に所定の処理を実行するための制御情報と、当該領域を特定する情報とを関連付けた管理データを生成する管理データ生成手段として
機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−237743(P2009−237743A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80888(P2008−80888)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】