説明

画像処理システム

【課題】画像処理装置と後処理装置とを具備して構成される画像処理システムにおいて,パンチ処理に関する初期設定の作業性向上を可能とする画像処理システムを提供すること。
【解決手段】補正情報設定画面107b上には,表示画面上の所定エリアをパンチ処理が施されたシートに見立てて,予め設定されたパンチ処理を施すべき設定位置と,予めパンチ処理が施されたパンチ穴の位置を検出した検出位置との各々に対応する位置に,設定位置の表示マークd1と検出位置の表示マークd2とが表示(画像表示)されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,シート上に形成された画像を読み取る画像読取機能を備えた画像処理装置と該画像処理装置から供給されるシートに対してパンチ処理を含む後処理を施す後処理装置とを具備して構成された画像処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機や,これとプリンタ,スキャナ,ファクシミリ等の複合機として構成される画像処理装置に,これら画像処理装置によって画像形成処理がなされたシートに対して後処理を施す後処理装置が連結されて,画像処理システムが構成されることがある。
一般に,前記画像処理システムにおいて,画像処理装置は,後処理装置に対して,どのような後処理を,シートのどの位置に施すか等の指示(以下,制御指示と記す)を送信することにより,該後処理装置にパンチ(穿孔)処理やステープル処理などの後処理を実行させる。
例えば,この制御指示を設定する方法の一例が,特許文献1に示されている。特許文献1に記載された技術では,印刷しようとする画像と後処理を施すべき位置とを同時に表示させることにより,その画像と後処理位置とが重合しないか等を考慮しながら制御指示を設定することを可能としている。
ところで,このような制御指示の設定は,後処理装置がその制御指示の通りに正確に動作することが前提であり,そのためには,画像処理システムの初期設定が正確に行われている必要がある。初期設定の内容としては,後処理装置に設けられた各種の機器の機械的な位置調整や制御パラメータの調整,後処理装置における禁則事項(処理できない機能)の設定などがある。
一般に,この初期設定は,その画像処理システム(画像処理装置や後処理装置など)の製造時や,出荷時,設置時などにその製造業者や販売業者等のサービスマンにより設定されるものである。
【0003】
一方,従来より,パンチ処理を施すパンチ装置を備えた後処理装置として,シート搬送路上のシートを搬送する搬送ローラ(搬送手段の一例,いわゆるレジストローラ)を設け,この搬送ローラの駆動を制御することにより,そのシート搬送路上近傍に配設されたパンチ装置のパンチ部(シートに貫通する部位)に対するシートの停止位置を調整するものがある。即ち,前記パンチ装置がシートに対してパンチ処理を施すパンチ穴の位置(シート搬送方向の位置)が,前記搬送ローラを停止させるタイミングによって定まる。ここで言うタイミングは,例えば,そのシート搬送路上近傍に配設されたシート検知センサによりシートが検知された時点等を基準時とし,その基準時からの経過時間(ms)や,前記搬送ローラの駆動源にステッピングモータ等の駆動パルス数に応じてその回転数を制御する駆動手段を用いる場合は,前記基準時から前記駆動手段に対して供給する前記駆動パルス数などである。以下,これを停止タイミングという。
ここでも,前記同様にサービスマンによる初期設定は必要であり,前記パンチ装置がシートに対してパンチ処理を施すパンチ穴の位置(以下,パンチ位置と記す)を設定するため,以下の2方向のパンチ位置を調整する必要がある。
まず,シート搬送方向と直行する方向のパンチ位置については,パンチ装置に付された目盛り等を見ながら機械的な位置調整を行えば良く,その調整(設定)は比較的容易であり所要時間も短い。
他方,シート搬送方向のパンチ位置については,予め設定されたパンチ処理を施すべき位置(以下,設定位置と記す)に正確にパンチ処理を施すために,前記停止タイミングを正確に調整する必要がある。
従来,この調整では,まず前記設定位置に対応する標準の前記停止タイミングを設定した状態で,パンチ処理を一度実行させてみる。そして,そのパンチ処理が施されたシートについて,定規などによりそのパンチ位置を計測する。次に,前記設定位置とズレが生じている場合には,そのズレの分だけ修正した前記停止タイミングを再設定し,再度パンチ処理を実行させる。このような動作を繰り返し行うことにより,前記停止タイミングを調整していた。
【特許文献1】特開2003−60823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,搬送ローラの停止タイミングの人手による調整によってシート搬送方向のパンチ位置の設定(前記停止タイミングの設定)を行う場合,その設定を行うサービスマンの技量に応じてその精度が高低し,また,その設定の所要時間も長くなって作業効率が悪いという問題点があった。
特に,後処理装置は,既設の画像処理装置に対してオプションとして追加することや,既設の後処理装置に対して新たな後処理機能をオプションとして追加する(例えば,ステープル装置のみを備える後処理装置に対してパンチ装置を追加する)ことが多く,また,その後処理装置の設置後の使用状況,経時変化などにより誤差(同じ停止タイミングの設定でも実際のシートの停止位置が異なる等)が生じることもある。このため,前記停止タイミングの調整を簡易化することは重要な事項である。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,画像処理装置と後処理装置とを具備して構成される画像処理システムにおいて,パンチ処理に関する初期設定の作業性向上を可能とする画像処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明は,シート上に形成された画像を読み取る機能を備えた画像処理装置と,その画像処理装置から供給(排出)されるシートを搬送する搬送手段(搬送ローラ等)を制御することによりそのシートの停止位置を調整するとともに,その搬送が停止されたシートに対してパンチ処理を施す後処理装置とを具備して構成された画像処理システムに適用されるものであって,前記画像処理装置によって読み取られたシート上のパンチ穴の画像に基づいて前記パンチ穴の位置を検出するものである。なお,前記搬送手段には,例えば搬送ローラや搬送ベルトが用いられる。
このようにして検出されたパンチ穴の位置(パンチ処理が施された位置(以下,検出位置という))は,前記搬送手段を制御するための要素情報として有用である。
例えば,前記検出位置や,これと予め設定された前記パンチ処理を施すべき設定位置とを表示する構成であれば,サービスマンやユーザ等(以下,操作者と記す)は,その表示によって前記検出位置が前記設定位置に対してどの程度ずれているかを容易に確認できる。これにより,従来のように定規などでパンチ位置を計測する手間を省くことができ作業性が向上する。
さらに,このとき,前記検出位置や前記設定位置を画像によって表示すれば,それらの位置やその差分などの視認性が高まり,ズレの有無や程度を一見して把握できる。また,万一,実際のパンチ位置と異なる前記検出位置が誤って検出された場合に,それを容易に認知できるという効果もある。なお,このときの表示は,実寸表示や縮小表示,部分表示など,適宜様々な表示方法が考えられる。また,前記各位置の画像表示時には,少なくとも前記検出位置や前記設定位置の近傍のシートの端部の位置を表示することが望ましい。
ここで,前記設定位置を入力して変更することができるよう構成すれば,ユーザの所望の位置にパンチ処理が施されるよう設定できる。
また,さらに作業性を向上させるためには,前記検出位置等の表示により確認した前記検出位置の前記設定位置に対するズレを補正するために,前記搬送手段の制御の補正情報を設定することを可能とし,前記搬送手段を前記補正情報に基づいて制御するよう構成することがより望ましい。
なお,前記補正情報としては,前記停止タイミングや前記検出位置に対する差分情報(差分距離)など,また,これに限られず前記搬送手段の制御の際にシートの停止位置を調整(補正)する指標となり得るその他の各種情報が考えられる。また,前記停止タイミングとしては,前述したような,シート検知センサによりシートが検知されてからの経過時間や前記搬送手段の駆動パルス数の他,画像処理装置からシートが排出されてからの経過時間等,ある特定の位置からのシートの移動量を決定し得る各種のパラメータが考えられる。
さらに,例えばタッチパネルなどに表示されたタッチキー等の所定の操作入力手段を通じた入力に応じて,前記検出位置の画像表示位置を移動させ,その移動量に基づいて前記差分情報(補正情報の一例)を設定するよう構成すれば,操作者は,前記検出位置と前記設定位置との差分(ズレ)を確認しながら前記差分情報の設定を行うことができる。
もちろん前記検出位置と前記設定位置とに基づいて前記搬送手段を制御(自動制御)するものであっても良く,これによれば,前記のような補正情報を設定する手間や,前記設定位置を再設定する手間を省くことができる。なお,ここで,前記設定位置を入力して変更することができるよう構成すれば,ユーザの所望の位置にパンチ処理が施されるよう設定できる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば,シート上に形成された画像を読み取る画像読取機能を備えた画像処理装置とパンチ処理を施すパンチ装置を備えた後処理装置とを具備して構成された画像処理システムにおいて,前記画像処理装置によって読み取られたシート上のパンチ穴の画像に基づいて前記パンチ穴の位置が検出されるので,その検出位置の表示や,その検出位置と予め設定された設定位置との差分補正等が可能となる。その結果,前記搬送手段を停止させる停止タイミングを調整する作業の作業性向上や,その作業の自動化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
本実施の形態は,シート上に形成された画像を読み取る画像読取機能を備えた画像処理装置とパンチ処理を施すパンチ装置を備えた後処理装置とを具備して構成された画像処理システムであって,前記パンチ装置によりパンチ処理が施されたシート上のパンチ穴の画像からそのパンチ穴の位置(パンチ位置)を検出し,その検出位置を,前記パンチ装置によるパンチ位置を所望の位置に合わせるための調整に有効活用する画像処理システムに関するものである。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る画像処理システムXの概略構成図,図2は画像処理システムXにおけるパンチ位置検出処理を示すフローチャート,図3は第1及び第2実施例に係る補正情報設定処理手順を示すフローチャート,図4は第1実施例における補正情報設定画面の表示例を示す図,図5は第2実施例における補正情報設定画面の表示例を示す図である。
図1に示すように,本発明の実施の形態に係る前記画像処理システムXは,大別すると画像処理装置100と後処理装置200とを備えて構成されており,前記後処理装置200では,前記画像処理装置100からの制御指示に基づいてパンチ処理やステープル処理などの各種後処理が実行される。この制御指示は,これら装置が備える下記の制御部101及び201の相互間で行われるシリアル通信により送受信される。
以下,図1を用いて前記画像処理装置100及び前記後処理装置200それぞれの概略構成について説明する。
【0008】
まず,前記画像処理装置100は,図1に示すように,CPU,ASIC等の演算手段及びその周辺装置(ROM,RAM等)からなる制御部101,ADF(自動搬送装置)105により自動搬送された或いは原稿台106にセットされた原稿上に形成された画像を読み取るCCD等からなる画像読取部130,該読み取られた画像(原稿画像)をシート(記録紙)に形成する画像形成部120,及び当該画像処理装置100の上面部に配設され,印刷枚数や印刷倍率,印刷シート種別,後処理種別等に関する各種の設定情報を表示すると共に,ユーザによる各種の操作が行われる液晶タッチパネル等の操作表示部107などを備えて構成されている。
前記制御部101は,前記ROMに格納された所定のプログラムに従った処理を実行することにより当該画像処理装置100を統括的に制御する制御手段である。本実施の形態では,後述する前記後処理装置200の制御部201に対して制御指示を送信し,該後処理装置200に各種の後処理を実行させる。また,前記制御部101は,前記画像読取部130により読み取った画像についての画像処理を実行する画像処理部も兼ねている。
前記画像形成部120は,静電潜像を担持する感光体ドラム121と,その周囲に配設された各要素,即ち,前記感光体ドラム121の表面を一様に帯電させる帯電装置123,前記感光体ドラム121の表面にレーザービームを照射して静電潜像を形成する不図示の露光装置,前記静電潜像を現像する現像装置124,現像されたトナー画像をシートに転写する転写装置125,及び転写後の感光体ドラム121の表面に残存するトナー粒子を除去するクリーニング装置122とから構成されている。
また,シートを収容する給紙カセット102,103,及び手差し給紙トレイ104のシートを,1枚毎にシート搬送路111に給紙する給紙ローラ112,113,及び114と,シート搬送路111近傍に設けられ前記画像形成部120に対して前記シートを搬送する搬送ローラ115と,画像形成終了後のシートを前記後処理装置200に対して排出する排出ローラ116と,両面印刷時に画像形成後のシートを表裏面反転させて前記画像形成部120へ再度搬送する両面ユニット140とを備えている。
【0009】
一方,前記後処理装置200は,図1に示すように,CPU,ASIC等の演算手段及びその周辺装置(ROM,RAM等)からなる制御部201,前記画像処理装置100からシート搬送路210上に供給されたシートを搬送する搬送ローラ211(搬送手段の一例),前記シート搬送路210上におけるシートを検出する光学センサなどのシート検出センサ212,前記搬送ローラ211の停止により搬送が停止されたシートに対してパンチ部213aを降下させて貫通させることによりパンチ(1以上の穿孔)処理を施すパンチ装置213,ステープル処理を施すステープル処理部202,中折りを施す中折処理部203,これら処理部に対してシートを搬送する分岐ローラ215,前記シート搬送路210上のシートを排出トレイ204に排出する排出ローラ214,及び前記中折処理部203による中折処理後のシートが排出される排出トレイ205などを備えて構成されている。
前記シート検出センサ212は,前記シート搬送路210における前記パンチ装置213よりもシート搬送方向上流側に設けられ,前記搬送ローラ211(いわゆるレジストローラ)の停止タイミングの制御(即ち,前記パンチ装置213に対して搬送されるシートの停止位置の調整)に用いられるものである。
前記制御部201は,前記ROMに格納された所定のプログラムに従った処理を実行することにより当該後処理装置200を統括的に制御する制御手段であり,本実施の形態では,前記画像処理装置100の制御部101から受信した制御指示に基づいて当該後処理装置200に各種の後処理を実行させる。なお,該後処理実行の手段は,これに限られず,例えば前記画像処理装置100の制御部101が当該後処理装置200を制御して後処理を実行させる構成であっても良い。
【0010】
次に,図2(a)のフローチャートを用いて前記後処理装置200の制御部201が,該後処理装置200を制御して後処理を実行させる手順の一例について説明する。以下の説明中に記載されるS1,S2,…は処理手順(ステップ)の番号を表している。
図2(a)に示すように,前記後処理装置200の制御部201では,前記画像処理装置100の制御部101からの制御指示の受信により,その制御指示に基づいた後処理を該後処理装置200に実行させる制御が開始される(ステップS1においてYes)。以下,本実施の形態においては,前記制御指示により後処理としてパンチ処理を施すべきことが指示された場合について説明する。
まず,ステップS2では,前記搬送ローラ211の駆動が開始される(ステップS2)。これにより,前記シート搬送路210に供給されるシートが,前記パンチ装置213に対して搬送されることとなる。ここで,そのシートに対して予め設定された位置にパンチ処理が施されるように,前記パンチ装置213によるパンチ位置(パンチ装置がシートに対してパンチ処理を施すパンチ穴の位置)が設定位置(予め設定されたパンチ処理を施すべきパンチ穴の位置)となる位置で,そのシートの搬送を停止させる必要がある。
そこで,前記シート検出センサ212によりシートが検知されると(ステップS3においてYes),その時点から所定時間経過後に(停止タイミング),前記搬送ローラ211が停止されるよう制御されることにより搬送されるシートの停止位置が調整される(ステップS4,シート停止位置調整手段に相当)。ここでは,前記停止タイミングは,前記シート検出センサ212によりシートが検知されてからの経過時間を示すが,その他,前記搬送ローラ211を駆動パルス数に応じた回転数だけ回転させる駆動手段(例えば,ステッピングモータ等)により駆動するものであれば,その駆動パルス数を前記停止タイミングとしても良く,ある特定の位置からのシートの移動量を決定し得る指標であれば良い。
そして,この前記搬送ローラ211の停止により搬送が停止されたシートに対して,前記パンチ装置213(パンチ手段に相当)によるパンチ処理が施され(ステップS5),前記駆動が停止されていた前記搬送ローラ211の駆動が再開される(ステップS6)。これにより,前記シートは更に搬送されて前記排出ローラ214により排出トレイ204に排出され(ステップS7),当該制御は終了する。
このように,シートに対するシート搬送方向のパンチ位置は,前記搬送ローラ211を停止させる停止タイミングに依存しているため,前記ステップS4において前記搬送ローラ211を停止する停止タイミングが誤っていれば,前記パンチ位置と前記設定位置は一致しない。前記パンチ位置と前記設定位置とを正確に一致させるためには,前記搬送ローラ211を停止させる停止タイミングを正確に調整する必要がある。
本発明の実施の形態に係る画像処理システムXは,この停止タイミングを正確に調整するための初期設定作業などを,容易かつ短時間で行うことを可能としており,その点については後述するが,そのためにまず,以下のパンチ位置検出処理を実行する。当該パンチ位置検出処理は,パンチ処理が施されたシートのパンチ穴の位置(パンチ位置)をそのシート上のパンチ穴の画像から検出するものであり,従来のように,パンチ位置を目視して定規などで計測する等の操作者の手間を削減すると共に,操作者の目視及び手作業による計測誤差の発生を防止している。
【0011】
以下,図2(b)のフローチャートを用いて,当該画像処理システムXにおいて画像処理装置100の制御部101により実行されるパンチ位置検出処理(パンチ位置検出手段に相当)について説明する。以下の説明中に記載されるS11,S12,…は処理手順(ステップ)の番号を表している。
まず,前記画像処理装置100において,操作者によりパンチ処理に関する初期設定を行うモードである保守モードを起動する操作が操作表示部107に対してなされたとき等に,当該パンチ位置検出処理の実行は開始される(ステップS11)。
このパンチ位置検出処理が実行される処理手順では,まず,前記後処理装置200に対してパンチ処理(図2(a)参照,ステップS1〜S7)を実行させるため,該後処理装置200の制御部201に対して制御指示が送信される(ステップS12)。これにより,前記後処理装置200によって,シートへのパンチ処理が実行され(S1〜S5),そのシートが前記排出トレイ204に排出される。なお,予め前記後処理装置200における前記パンチ処理が実行されている場合には,このステップS12の処理は省略することができる。
そして,このようにして予めパンチ処理が施されたシートが,操作者により前記画像処理装置100のADF105或いは原稿台106にセットされ,前記操作表示部107に対する画像読取開始の操作がなされると(ステップS13においてYes),前記画像読取部130により,前記シート上に形成された画像が読み取られる(ステップS14)。なお,このとき操作者は,画像の読み取り方向(副走査方向)におけるシートの先頭が,後処理装置200におけるシート搬送方向におけるシートの先頭と一致するようにシートをセットする。
【0012】
次に,前記画像読取部130により読み取られたシート上のパンチ穴の画像からそのパンチ穴の位置(パンチ位置)が検出される(ステップS15)。このように画像から特定の部位を検出する技術自体は,周知であるからその詳細な説明は割愛するが,例えば,白/黒領域の境界では,画素の輝度値の変化が大きいことから,画素値(画素の濃度或いは輝度)の変化に対して微分演算を行うことによって前記パンチ位置を検出することが可能である。また,この検出をより確実にするため,例えば,前記シートから画像を読み取らせる際に,前記原稿台106にセットしたシートの上(特に,パンチ穴の上)に,黒いシートを重ねて画像を読み取らせてエッジが強調されるようにすれば好適である。また,画像処理によりエッジ強調処理などを施しても良い。なお,このとき検出される位置は,前記設定位置を特定する基準位置(例えば,パンチ穴の中心位置など)と同様の基準位置である。
こうして,前記パンチ位置が検出されると,そのシートの端部(副走査方向の先端)から前記パンチ位置(検出位置)までのシート搬送方向における距離(座標)が導出される(ステップS16)。ここでは,例えば,前記シートの端部からそのパンチ位置までのライン数が計数され,そのライン数に基づいて距離が導出される。なお,前記ステップS15〜S16において,さらにそのシートの副走査方向(搬送方向)と直行する方向のパンチ位置も検出しても良い。
以下,このように当該パンチ位置検出処理により検出されたパンチ位置(検出位置)を用いて行う前記搬送ローラ211の制御方法について説明する。
【0013】
<第1実施例>
まず,図3及び図4を用いて,本発明の第1実施例に係る前記搬送ローラ211の制御方法について説明する。
ここに,図3は第1実施例に係る補正情報設定処理手順を示すフローチャート,図4は第1実施例に係る補正情報設定画面の表示例を示す図である。
本第1実施例では,前記検出位置を用いて前記搬送ローラ211の停止タイミングを補正する補正情報を設定することにより,前記パンチ位置と前記設定位置とを一致させるよう前記搬送ローラ211を制御する方法を示すものある。
当該補正情報設定処理手順においては,まず,操作者により前記操作表示部107に対して補正情報を設定するための操作がなされると(ステップS21においてYes),図4に示すように,前記操作表示部107に補正情報設定画面107aが表示される(ステップS22)。前記補正情報設定画面107a上には,前記設定位置の表示k1,前記検出位置の表示k2,前記補正情報の表示k3,テストパンチ処理開始の表示k4,補正終了の表示k5が表示されている。
前記補正情報は,例えば,図示するように,前記設定位置と前記検出位置との差分距離であっても良いし,その他,時間的なパラメータ(前記停止タイミング)など,また,これに限られず前記搬送ローラ211の制御の際にシートの停止位置を調整(補正)し得るその他の指標であって良い。
このように表示された前記補正情報設定画面107aを参照することにより,操作者は,前記設定位置と前記検出位置との位置及びそのズレ等を容易に確認することができる。このとき,前記設定位置や前記検出位置の表示は,図4に示すように,数字で表示されるものであっても良いし,その他,記号や図形,画像などにより表示され得る。
図3に戻り,ステップS23では,前記設定位置と前記検出位置とにズレが生じている場合に,そのズレを解消するための前記補正情報が,操作者により設定される。このとき,例えば,前記補正情報の表示k3(図4参照)がタッチされて選択された後,不図示のテンキー等の入力手段によりその補正情報が設定される(補正情報設定手段の一例)。
そして,前記制御部201は,前記補正情報が設定された後については,該補正情報に基づいて前記搬送ローラ211を制御することにより,前記搬送ローラ211により搬送されるシートの停止位置を調整するよう構成されている(シート停止位置調整手段に相当)。即ち,前記設定された補正情報に基づいて,前記搬送ローラ211を停止させる停止タイミングを早めたり,或いは遅らせることによりシートの停止位置が調整され,そのシートに対するパンチ位置が調整される。
なお,前記テストパンチ処理開始の表示k4が操作されると(ステップS24においてYes),当該制御部101から前記後処理装置200の制御部201に対して一時的にその前記補正情報と前記検出位置に基づいたパンチ処理を実行させるための制御指示が送信され,いわゆるテスト処理が実行される(ステップS25)。そして,操作者は,前記テスト処理によりパンチ処理が施されたシートの画像を読み取らせるため,シートを画像処理装置100にセットし,前記パンチ位置検出処理(ステップS11〜S16,図2(b)参照)を当該制御部101に実行させる(ステップS26)。そして,そのパンチ位置検出処理により検出された検出位置が前記操作表示部107に表示され(ステップS22),操作者は,該表示により前記補正情報によって前記パンチ位置(検出位置)が前記設定位置と一致するように正確に補正されたか否かを確認することができる。
また,前記補正終了の表示k5が操作されると(ステップS27においてYes),その補正情報が確定され,前記後処理装置200の制御部201に対してその補正情報が送信される(ステップS28)。これに対し,前記後処理装置200の制御部201は,受信した前記補正情報をSRAM等のメモリに記憶させる(不図示)。そして,それ以後は,前記後処理装置200の制御部201は,前記メモリに記憶された前記補正情報に基づいて前記搬送ローラ211の停止タイミングを制御する(シート停止位置調整手段の一例)。その他,前記補正情報を前記画像処理装置100の制御部101に記憶させ,必要の都度,前記後処理装置200の制御部201に送信されるよう構成してもかまわない。
【0014】
<第2実施例>
次に,本発明の第2実施例に係る前記搬送ローラ211の制御方法について説明する。ここに,図5は第2実施例に係る補正情報設定画面の表示例を示す図である。
本第2実施例では,前記検出位置を用いて前記搬送ローラ211の停止タイミングを補正する補正情報を設定することにより,前記パンチ位置と前記設定位置とを一致させるよう前記搬送ローラ211を制御する点(図3参照,ステップS21〜S28)では,前記第1実施例と同様であるが,前記補正情報設定処理手順において前記操作表示部107に表示される前記補正情報設定画面の表示方法(前記ステップS22)と,その画面上における前記補正情報の設定方法(前記ステップS23)に,前記第1実施例との相違点がある。
図5に示すように,本第2実施例に係る補正情報設定画面107b上には,前記設定位置の表示k1,テストパンチ処理開始の表示k4,補正終了の表示k5が前記補正情報設定画面107a(図4参照)と同様に表示されるのに加え,表示画面上の所定エリアをパンチ処理が施されたシートに見立てて,前記設定位置と前記検出位置との各々に対応する位置に,設定位置の表示マークd1と検出位置の表示マークd2とが画像表示される(前記ステップS22に相当,表示手段の一例)。このとき,同時にシート搬送方向(副走査方向)におけるシートの端部の位置d3(シート搬送方向)と,それに直交する方向(主走査方向)におけるシートの端部の位置d4も表示される。これにより操作者は,前記設定位置や前記検出位置,その差分(ズレ)などを,視認性の高い画像表示により一見して確認することができる。
また,さらに,前記補正情報設定画面107b上には,矢印表示k3a,k3bが表示されている。前記矢印表示k3a,k3bは,操作者からの操作を受け付ける入力手段である。
ここで,本第2実施例においては,操作者による前記矢印表示k3a,k3bに対する入力(タッチ操作)により,前記補正情報設定画面107b上に表示された前記検出位置の表示マークd2の表示位置が移動されるよう構成されている(画像表示位置移動手段に相当)。また,このとき前記入力に応じて移動した前記検出位置の表示マークd2の移動量が,前記搬送ローラ211の制御の指標となる差分情報(補正情報)として設定される構成である(前記ステップS23に相当,補正情報設定手段の一例)。
したがって,操作者は,その操作により移動する前記検出位置の表示マークd2や,前記設置位置の表示マークd1,その差分などを確認しながらパンチ位置(搬送ローラ211の停止タイミング)を調整することができる。
例えば,操作者は,前記矢印表示k3a,k3bの操作により,前記検出位置の画像表示を移動させ,その画像表示位置が前記設定位置の画像表示位置と一致する(重なる)ようにすれば,パンチ位置を前記設定位置と一致させることができる。もちろん,必ずしも前記検出位置の画像表示位置は,前記設定位置の画像表示位置に一致させる必要はなく,その他の任意の位置に移動させることにより,パンチ位置を任意の位置に調節することが可能である。
なお,前記第1及び第2実施例の構成においては,前記検出位置と前記設定位置とを共に表示する例について示したが,前記検出位置のみを表示する構成であっても構わない。この場合,前記設定位置を入力することができるように構成することが望ましく(設定位置入力手段に相当),これにより,操作者は,前記検出位置の表示を確認した上で,新たな前記設定位置を入力することにより前記停止タイミングを変更(調整)できる。
【0015】
<第3実施例>
次に,本発明の第3実施例に係る前記搬送ローラ211の制御方法について説明する。本第3実施例は,操作者により行われていた前記補正情報の設定作業を必要とすることなく,前記搬送ローラ211を前記検出位置と前記設定位置に基づいて制御することにより,前記搬送ローラ211により搬送されるシートの停止位置が調整されるものである(シート停止位置調整手段に相当)。
即ち,前記画像処理装置100の制御部101は,例えば,前記検出位置と前記設定位置に基づいてその差分距離(シート搬送方向の距離)を自動的に算出し,その差分距離を前記第1及び第2実施例で言うところの前記補正情報と同様に取り扱い,前記搬送ローラ211を停止させる停止タイミングを自動調整するよう構成されている。そして,この停止タイミングに関する情報が前記後処理装置200の制御部201に対して送信されることにより,その初期設定作業が終了する。このとき,前記補正情報は,前記後処理装置200の制御部201に記憶される。
したがって,操作者は,初期設定作業において前記補正情報を設定することなく,前記パンチ位置検出処理を実行させるだけで,前記画像処理システムXにおける正確なパンチ処理性能を得ることができる。
なお,前記後処理装置200の制御部201が,前記検出位置と前記設定位置とに基づいて前記搬送ローラ211を自動制御するような構成であっても構わない。
また,本第3実施例においては,前記設定位置と,前記検出位置から自動的に前記搬送ローラ211が制御されるため,パンチ位置を自由に変更することができないことが問題となるが,このような問題を解決するため,前記第3実施例においては,さらに前記操作表示部107に対して前記設定位置を入力して変更することができる構成(設定位置入力手段に相当)を採用する。
これにより,操作者はパンチ位置(シート端部からの距離)を任意に設定できる。ここで,前記設定位置に対する差分距離が前記補正情報として記憶されているので,前記設定位置の変更後,再度の初期設定作業を行わなくても,新たに設定された前記設定位置にパンチ処理がなされるよう前記搬送ローラ211が制御される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理システムXの概略構成図。
【図2】画像処理システムXにおけるパンチ位置検出処理を示すフローチャート。
【図3】第1及び第2実施例に係る補正情報設定処理手順を示すフローチャート。
【図4】第1実施例における補正情報設定画面の表示例を示す図。
【図5】第2実施例における補正情報設定画面の表示例を示す図。
【符号の説明】
【0017】
100…画像処理装置
101,201…制御部
107…操作表示部
107a,107b…補正情報設定画面
k1…設定位置の表示
k2…検出位置の表示
k3…補正情報の表示
d1…設定位置の表示マーク
d2…検出位置の表示マーク
k3a,k3b…矢印表示
111,210…シート搬送路
120…画像形成部
130…画像読取部
200…後処理装置
211…搬送ローラ(搬送手段の一例)
212…シート検出センサ
213…パンチ装置
213a…パンチ部
S1,S2,,,…処理手順(ステップ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート上に形成された画像を読み取る画像読取手段を備えた画像処理装置と該画像処理装置から供給されるシートに対してパンチ処理を含む後処理を施す後処理装置とを具備して構成された画像処理システムであって,
前記画像処理装置から前記後処理装置内のシート搬送路に供給されたシートを搬送する搬送手段と,
前記搬送手段を制御することにより搬送されるシートの停止位置を調整するシート停止位置調整手段と,
搬送が停止されたシートに対して前記パンチ処理を施すパンチ処理手段と,
前記画像読取手段により読み取られたシート上のパンチ穴の画像に基づいて前記パンチ穴の位置を検出するパンチ位置検出手段と,
前記パンチ位置検出手段により検出されたパンチ穴の位置,又は該パンチ穴の位置及び予め設定された前記パンチ処理を施すべき設定位置を表示する表示手段と,
を具備してなる画像処理システム。
【請求項2】
前記表示手段が,
前記パンチ位置検出手段により検出されたパンチ穴の位置,又は該パンチ穴の位置及び前記設定位置を画像表示してなる請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記シート停止位置調整手段による前記搬送手段の制御の補正情報を設定する補正情報設定手段を具備し,
前記シート停止位置調整手段が,前記補正情報設定手段により設定された補正情報に基づいて前記搬送手段を制御してなる請求項1又は2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記補正情報が前記パンチ位置検出手段により検出されたパンチ穴の位置に対する差分情報である請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項5】
所定の操作入力手段を通じた入力に応じて前記パンチ穴の位置の画像表示位置を移動させる画像表示位置移動手段を具備し,
前記補正情報設定手段が,前記パンチ穴の位置の画像表示位置の移動量に基づいて前記差分情報を設定するものである請求項4に記載の画像処理システム。
【請求項6】
シート上に形成された画像を読み取る画像読取手段を備えた画像処理装置と該画像処理装置から供給されるシートに対してパンチ処理を含む後処理を施す後処理装置とを具備して構成された画像処理システムであって,
前記画像処理装置から前記後処理装置内のシート搬送路に供給されたシートを搬送する搬送手段と,
前記画像読取手段により読み取られたシート上のパンチ穴の画像に基づいて前記パンチ穴の位置を検出するパンチ位置検出手段と,
前記パンチ位置検出手段により検出されたパンチ穴の位置と予め設定された前記パンチ処理を施すべき設定位置とに基づいて前記搬送手段を制御することにより,搬送されるシートの停止位置を調整するシート停止位置調整手段と,
搬送が停止されたシートに対して前記パンチ処理を施すパンチ処理手段と,
を具備してなる画像処理システム。
【請求項7】
前記設定位置を入力する設定位置入力手段を備えてなる請求項1〜6のいずれかに記載の画像処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−35557(P2006−35557A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−217041(P2004−217041)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】