説明

画像処理方法及び装置

【課題】HDR画像が2つ以上の照明源を有することを承認するハイダイナミックレンジ画像のホワイトバランス正規化の方法および機器が提供すること。
【解決手段】ハイダイナミックレンジ画像のホワイトバランス正規化が、画像の比較的明るい部分に対する第1の画像順応点および画像の比較的暗い部分に対する第2の画像順応点を特定することによって行われる。画像のより明るい部分に対する第1の白色点調節は、第1の画像順応点を用いて行われ、画像のより暗い部分に対する第2の白色点調節は、第2の画像順応点を用いて行われる。このため、ハイダイナミックレンジ画像を描画する際に複数の照明源を考慮に入れ、視覚的により魅力的な描画後の画像を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイダイナミックレンジ画像の描画に関し、特に、複数の順応点を用いたホワイトバランス正規化に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル画像がますます一般的になるにつれて、消費者は、デジタルイメージング装置により高品質の画像を要求してきている。改善の必要なデジタルイメージングの領域の1つは、ハイダイナミックレンジ(HDR(high dynamic range))画像の描画である。HDR画像のフォーマットは、1チャネルあたり32ビットまでを、普通は指数付きの「Float」(浮動小数点)フォーマットでサポートしている。例えば、RGBフォーマットのHDR画像では、1ピクセルあたり96ビットまでが必要となる。TIFF Floatは、HDRフォーマットの別の例である。HDRフォーマットにより、人間の視覚によって知覚可能な全色調範囲(tonalrange)のエンコードが可能になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
HDR画像をうまく描画することは困難であることが知られている。HDR画像の圧縮に使用されるトーンマッピング(tone mapping)の従来の技法は、計算量が大きく、また、明るい光源のまわりのリンギング(ringing)などのアーティファクトが生じる可能性がある。また、従来の方法では、描画後の画像の特定の領域で不快な輝度圧縮およびカラーシフトが生じる可能性がある。
【0004】
発明の要約
以上の点に取り組むために、本発明は、しばしば2つ以上の照明源が存在することが認識されたハイダイナミックレンジ画像のホワイトバランス正規化の方法および機器を提供する。本発明によれば、画像を描画するときに画像の複数の照明源を考慮に入れられることが可能になる。
【0005】
HDRのシーンは、複数の照明源の結果である場合が多い。よく知られている例の1つは、窓がある部屋であり、その部屋は、例えばタングステン灯で、薄暗く照らされ、戸外のシーンは日光で明るく照らされている。そのようなシーンは、タングステン灯の照らす内部の輝度と日光の照らす外部の輝度との大きな差が原因で、ハイダイナミックレンジを有する。そのようなシーンのHDR画像を従来の技法で描画すると、不快な輝度圧縮およびカラーシフトが生じることがある。これは、従来の画像処理技法は、順応(adaptation)のために、1つだけの基準白色点(普通はその画像の最も明るい点)を使用するからである。
【0006】
これと対照的に、本発明では、複数の順応点を用いてHDR画像を描画する。本発明によれば、ハイダイナミックレンジ画像のホワイトバランス正規化は、画像の比較的明るい部分に対する第1の画像順応点と、画像の比較的暗い部分に対する第2の画像順応点とを特定することを含む。第1の白色点調節は、画像の比較的明るい部分に対して第1の画像順応点を用いて行われ、そして、第2の白色点調節は、画像の比較的暗い部分に対して第2の画像順応点を用いて行われる。好ましくは、白色点調節は、メモリ内でその場で(in situ)行って、それにより、メモリを節約し、また上述のプロセスの完了時に画像がすぐ描画できるようにする。その後、画像は、例えば、ディスプレイまたはプリンタ上に描画される。
【0007】
従来の技法では、異なる複数の照明源に対処していないため、上述した窓が1つある部屋のようなHDRのシーンのトーンマッピングが従来の技法で行われると、結果画像は、通常、一様でないホワイトバランスに悩まされることになる。これに対して、本発明は、HDR画像の描画を、その画像の比較的明るい部分に対する順応点、およびその画像の比較的暗い部分に対する順応点に基づいて行う。このため、本発明により、HDR画像を描画する際に複数の照明源を考慮に入れられるようになる。
【0008】
比較的明るい部分と比較的暗い部分を判定するために、輝度を尺度とする閾値を使用することができる。比較的明るい部分は、その閾値よりも輝度の大きい画像部分を含み、比較的暗い部分は、その閾値よりも輝度の小さいまたは等しい画像部分を含む。閾値の決定は、画像の輝度の累積ヒストグラムを計算し、その累積ヒストグラムの傾きが最小の点での輝度の値を当該閾値とすることによって行うことができる。或いは、閾値の決定は、画像のISODATA閾値を特定し、そのISODATA閾値を当該閾値とすることによっても行うことができる。
【0009】
比較的明るい部分および比較的暗い部分の画像順応点の計算は、例えば、グレーワールドアサンプション(gray world assumption)、最大輝度点、および他の方法を用いて行うことができる。
【0010】
画像順応点を用いたこれら部分のそれぞれの白色点調節は、グレーワールド仮定および/または完全拡散反射面(perfect reflecting diffuser)(PDR)アサンプションに基づいて行うことができる。しかし、好ましくは、白色点調節は、グレーワールドアサンプションのPDRアサンプションに対するそれぞれの比に基づいて行われる。より具体的には、第1の白色点調節は、第1のグレーワールドアサンプションの第1のPDRアサンプションに対する第1の比に基づき、第2の白色点調節は、第2のグレーワールドアサンプションの第2のPDRアサンプションに対する第2の比に基づく。第1のグレーワールドアサンプションおよび第1のPDRアサンプションは、比較的明るい部分に対して、第1の画像順応点に基づいて決定される。第2のグレーワールドアサンプションおよび第2のPDRアサンプションは、比較的暗い部分に対して、第2の画像順応点に基づいて決定される。
【0011】
視覚的に快い結果は、多くの場合、順応点の導出に先立って、及び白色点調節に先立って行われる画像の前処理によって得られる。一態様では、画像の対数が計算され、画像の最小値が0に等しく、画像の最大値が1に等しく、画像の平均値が0.5に等しくなるようにその画像の対数は正規化される。この正規化された対数が、HSVフォーマットの画像へと変換され、このHSVフォーマットの画像に対して少なくとも1つの彩度強調(saturation boost)およびシャープネス強調(sharpness enhancement)が行われて、新しいHSV画像が得られる。ユーザは、彩度強調のうちの少なくとも1つのレベルを選択することができる。
【0012】
新しいHSV画像の輝度の累積ヒストグラムが計算され、閾値の決定は、そのヒストグラムの傾きが最小の点での輝度の値を当該閾値とすることによって行われる。新しいHSV画像は、RGBフォーマットの画像へと変換される。このRGB画像の比較的明るい部分が特定され、この比較的明るい部分は、輝度の値が閾値よりも大きいピクセルを含む。また、RGB画像の比較的暗い部分が特定され、この比較的暗い部分は、輝度の値が閾値よりも小さいまたは等しいピクセルを含む。そして、比較的明るい部分に対する第1の白色点調節および比較的暗い部分に対する第2の白色点調節が行われる。画像の描画は、画像依存のガンマ補正、彩度調節、およびシャープ化フィルタを適用した後で行われる。
【0013】
また、本発明は、方法、機器、またはコンピュータ実行可能プログラムコードの形で実施することができる。
【0014】
以上の簡潔な要約は、本発明の性質を迅速に理解できるように提供したものである。本発明のより完全な理解は、以下の詳細な説明を添付の図面とともに参照することによって得ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して説明する。これらの実施形態では、HDR画像が多くの場合複数の発光源の結果であることを認知したホワイトバランス正規化の方法を説明する。複数の発光源のそれぞれが、HDR画像中の色および輝度の順応のための視覚的基準を提供する。以下で説明する諸方法では、複数の発光源に対処することにより、特に、好ましい大局的な輝度圧縮を引き起こし、カラーシフトを最小にするという点で、より正確なHDR画像の描画を容易に実現できる。
【0016】
以下で説明する方法では、シーン内で観察可能な複数の光源が原因で単一の画像内に複数の順応のある状態が存在する可能性があることを認めている。例えば、一般的なハイダイナミックレンジの室内/戸外のシーンには、タングステン電球などの室内の光源、ならびに日光などの戸外の光源を基準として有するであろう。従来の描画方法では、単一の基準白色点の使用が、そのシーンの1つまたは複数の領域が正しく描画されないということを引き起こす可能性がある。しかし、以下の方法が承認するように、複数の基準白色点が利用されると、画像の各構成部分の描画を、それ自体の順応基準点に基づいて行うことができ、したがって、例えば、望ましくないカラーシフトを低減することができる。さらに、輝度範囲のそれぞれを、画像の特定の領域に関してスケーリングすることができ、その結果、輝度および色の順応の組合せが得られる。
【0017】
輝度および色順応に続いて、画像が描画される。描画は、画像依存のガンマ補正を彩度調節と並んで含むことができ、これはしばしば有益である。さらに、小さなシャープ化フィルタを使用すると、広範囲の輝度圧縮が発生した場合に生じ得るぼけの一部を除去することができる。
【0018】
図1は、本発明の代表的な一実施形態を示す。デジタルカメラ5は、CPU15、ストレージ装置20、およびディスプレイ25を有するパーソナルコンピュータ10に接続されている。ストレージ装置20は、以下で説明する本発明の一実施形態によるコンピュータ実行可能な動作命令30を格納するコンピュータ可読メモリ媒体(これは、ネットワーク化されたディスクドライブ媒体など、ローカルでも非ローカルでもよい)である。パーソナルコンピュータ10は、プリンタ35にも接続されている。
【0019】
デジタルカメラ5は、複数のデジタル画像40を格納する。これらは、HDRシーンのダイナミックレンジをブラケット(bracket)する、複数の露出(exposures)にて撮影された画像である。デジタル画像40は、パーソナルコンピュータ10へ転送され、動作命令30に従った処理に応じてHDR画像45へと合成される。CPU15は、HDR画像45を動作命令30に従って描画する。結果となる描画後の画像50は、ディスプレイ25上に表示されたり、プリンタ35で印刷されたりすることができる。
【0020】
図2は、ホワイトバランス正規化を行い、上記のHDR画像45などのHDR画像を描画するための、本発明の一実施形態に従った方法のプロセスフローチャートを示している。ステップS201からS204では、強調の効果が現れるようにHDR画像データを前処理する。こうしたステップは、厳密には必要ではないが、しばしばより満足のいく視覚的描画を生じさせるため、好ましいものである。
【0021】
ステップS201で、RGB放射輝度(radiance)フォーマットによるHDR原画像が入力されると、この原画像の対数が計算されて、対数画像(log image)が作成される。この対数画像は、対数画像のピクセルを0から1までのスケールにマッピングすることによって正規化され、正規化画像が作成される。
【0022】
図3に、S202の正規化プロセスの一例を示している。図3を参照すると、原画像のピクセルの平均値が計算される(S301)。原画像の各ピクセル値が、この平均値と比較される(S302)。原画像のピクセル値が、ピクセル値の平均よりも大きい場合、対応する対数画像ピクセルは0.5と1の間にマッピングされる(S303)。一方、原画像のピクセル値が、ピクセル値の平均よりも小さいまたは等しい場合、対応する対数画像ピクセルは0と0.5の間にマッピングされる(S304)。このプロセスは、原画像の全てのピクセルがこの平均値と比較されるまで続く(S305)。こうして正規化画像が作成される。
【0023】
図2に戻って、S203でHSV画像を作成するために正規化画像はHSVフォーマットへと変換され、彩度強調(saturation boost)がこのHSV画像に対して行われ、HSV画像からVチャネルが抽出される。一般的な彩度強調が、Sチャネルに対して適用されて(S204)、新しいHSV画像が生成される。彩度強調は、所望の彩度レベルを選択するためのユーザインターフェースを介して達成することができる。上述した処理(S201からS204)は、原HDR画像の前処理を詳しく述べたものであり、これにより、視覚的により満足のいく最終画像をもたらすことができる。
【0024】
尚、S201からS204の前処理ステップが行われない場合は、RGB放射輝度フォーマットである入力HDR画像をHSV空間へ変換すれば十分である。
【0025】
前処理の後で、Vチャネルの累積ヒストグラムを用いて閾値が決定される(S205)。図4は、S205のより詳細な図である。図4を参照すると、Vチャネルの累積ヒストグラムが計算される(S401)。累積ヒストグラム上の傾きが最小の点が決定される(S402)。この傾きが最小の点が閾値として決定される(S403)。
【0026】
図5は、S205における閾値決定の別の方法を示す。図5を参照すると、閾値は、ISODATA計算を行うことによって計算することができる。したがって、図4に示される閾値を計算するためのプロセスを図5のプロセスで置き換えることができる。図5に示すように、必要な数のクラスタが識別される(S501)。本例では光源毎に1つのクラスタが識別される。ISODATA計算が行われる(S502)。このISODATA計算は、画像中の全範囲のピクセルの平均および標準偏差に基づいて、画像中の各ピクセルの値を所与のクラスタへ分離することを、繰り返し行うものである。全てのピクセル値を2つのクラスタのうちの1つへと割り当てるための繰り返しが収束した後で、クラスタの境界値を示す閾値が特定される(S503)。尚、累積ヒストグラムを用いる方法およびISODATA計算を用いる方法は、閾値を計算する方法の1例に過ぎない。閾値の計算に適する他の方法があることは、当業者に容易に理解されよう。
【0027】
図2に戻って、S206で、HSV画像の比較的明るい部分および比較的暗い部分が、この閾値を適用することによって決定される。図6は、S206のより詳細な図である。
【0028】
図6を参照すると、HSV画像のピクセルのV値が閾値と比較される(S601)。V値が閾値よりも大きい場合は、そのHSVピクセルは、比較的明るいピクセルに分類される(S602)。一方、V値が閾値よりも小さいまたは等しい場合は、そのHSVピクセルは、比較的暗いピクセルに分類される(S603)。このプロセスが、HSV画像中のピクセルのすべてに対して繰り返される(S604)。したがって、HSV画像の比較的明るい部分は、比較的明るいピクセルを含み、HSV画像の比較的暗い部分は、比較的暗いピクセルを含む。
【0029】
図2に戻ると、新しいHSV画像がRGBフォーマットへと変換されて、RGB画像が作成される。ここで、この新しいHSV画像の比較的明るい部分および比較的暗い部分(閾値領域(threshold areas))の記憶を維持したまま行われる。そして、新しいHSVの閾値領域に対応するRGB画像の画像セグメントが抽出される(S208)。したがって、RGB画像の比較的明るい部分(即ち「ハイキー」(highkey)部分)はHSV画像の比較的明るい部分に対応し、RGB画像の比較的暗い部分(即ち「ローキー」(lowkey)部分)はHSV画像の比較的暗い部分に対応する。メモリを節約するとともに、(ステップS215で)画像をすぐ描画できるように、画像セグメントはメモリ内でその場で(insitu)識別され処理される。しかしながら、図解の目的で図2には、RGB画像から「抽出」された分離後の画像セグメントを、ハイキーとローキーの部分にそれぞれ対応する画像A(S209)と画像B(S210)として示している。画像セグメントは、後続するホワイトバランス処理のために分離することができるが、その場での処理により、計算の複雑さおよびメモリ要求が低減される。
【0030】
画像Aに対する画像順応点が特定される(S211)。同様に、画像Bに対する画像順応点も特定される(S212)。画像順応点を特定するための一つの方法では、最大輝度点を利用する。画像Aを例に取ると、最大輝度点は、画像A中には、RGB成分ごとに反射が最大の点が1つまたは複数存在するという事実に基づいている。この1つまたは複数の点が、画像Aに対する画像順応点として使用される。
【0031】
画像順応点は、グレーワールドアサンプションを用いて決定することもできる。グレーワールドアサンプションは、色の変動の量が十分な画像があるとき、その画像の赤、緑、および青の成分の平均値は、平均されて共通のグレーの値になるはずである、ということを述べている。このアサンプションは、所与のどのような実世界のシーンでも、多くの異なる色の変動が存在するということは多くの場合において正しいため、一般には有効である。色の変動はランダムで独立であるため、十分な数のサンプルがあるとき、その平均はグレーを表す平均値へと収束する傾向があるはずであると言って差し支えない。再び画像Aを例に取ると、グレーワールドアサンプションでは、画像A中の色すべての平均はグレーに等しいとされており、したがって、平均画像のRGB成分は等しい。画像順応点は、画像Aが、この計算されたグレーから逸脱する量によって決定される。
【0032】
画像Aおよび画像Bに対して画像順応点が特定された後で、画像Aおよび画像B上の白色点調節が、それぞれの画像順応点を用いて行われる。白色点調節が、画像A、すなわちRGB画像のハイキーの部分に対して行われる(S213)。また、白色点調節は、画像B、すなわちRGB画像のローキーの部分に対しても行われる(S214)。白色点調節を行う一つの方法によれば、その画像セグメントに対するグレーワールドアサンプションが計算され、その画像セグメントに対する完全拡散反射面アサンプションが計算される。グレーワールドアサンプションおよび完全拡散反射面アサンプションは、その画像セグメントに対する画像順応点に基づいている。白色点調節は、グレーワールドアサンプションと完全拡散反射面アサンプションの比に基づいている。また、白色点調節は、グレーワールドアサンプションだけ、または完全拡散反射面アサンプションだけを用いて行うこともできる。
【0033】
最後に、処理後の画像が、例えば、ディスプレイまたはプリンタ上で描画される(S215)。図7は、S215のより詳細な図である。図7を参照すると、画像依存のガンマ補正が処理後の画像に対して行われる(S701)。処理後の画像の彩度の調節が行われる(S702)。小さなシャープ化フィルタが処理後の画像に適用される(S703)。最後に、処理後の画像が描画される(S704)。
【0034】
この発明の説明を、特定の具体的な実施形態の助けを借りて行ってきたが、多くのさらに別の変更形態および変形形態が、当業者には明らかであろう。したがって、この発明は、具体的に説明した以外のように実施できることを了解されたい。したがって、本発明の上述の実施形態は、すべての点で、例示的であり、限定的ではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲およびその均等物によって決定されると見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態を実現することのできる例示的な環境のブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による、HDR画像を描画するための方法を示すプロセスフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態による、対数画像を正規化するための方法を示すプロセスフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態による、閾値を特定するための方法を示すプロセスフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態による、閾値を特定するための他の方法を示すプロセスフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態による、閾値領域を特定するための方法を示すプロセスフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態による、処理後の画像を描画するための方法を示すプロセスフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイダイナミックレンジ画像のホワイトバランス正規化を行うための方法であって、
前記画像の比較的明るい部分に対する第1の画像順応点および前記画像の比較的暗い部分に対する第2の画像順応点を特定し、
前記画像の前記より明るい部分に対する第1の白色点調節を前記第1の画像順応点を用いて、前記画像の前記より暗い部分に対する第2の白色点調節を前記第2の画像順応点を用いて行うことを特徴とする方法。
【請求項2】
更に、前記比較的明るい部分および前記比較的暗い部分を閾値を用いて決定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記閾値は輝度を尺度とし、前記比較的明るい部分は、前記画像の、輝度の値が前記閾値よりも大きい領域を含み、前記比較的暗い部分は、前記画像の、輝度の値が前記閾値よりも小さいまたは等しい領域を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記閾値の決定は、
前記画像の輝度の累積ヒストグラムを計算し、
前記ヒストグラムの傾きが最小の点での輝度の値を前記閾値とすることによってなされることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記閾値の決定は、
前記画像のISODATA閾値を決定し、
前記ISODATA閾値を前記閾値とすることによってなされることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の白色点調節は、前記第1の画像順応点を用い、前記比較的明るい部分に対する第1のグレーワールドアサンプションに基づき、前記第2の白色点調節は、前記第2の画像順応点を用い、前記比較的暗い部分に対する第2のグレーワールドアサンプションに基づくことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の白色点調節は、前記第1の画像順応点を用い、前記比較的明るい部分に対する第1の完全拡散反射面アサンプションに基づき、前記第2の白色点調節は、前記第2の画像順応点を用い、前記比較的暗い部分に対する第2の完全拡散反射面アサンプションに基づくことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の白色点調節は、第1のグレーワールドアサンプションの第1の完全拡散反射面アサンプションに対する第1の比に基づき、
前記第2の白色点調節は、第2のグレーワールドアサンプションの第2の完全拡散反射面アサンプションに対する第2の比に基づき、
前記第1のグレーワールドアサンプションおよび前記第1の完全拡散反射面アサンプションは、前記比較的明るい部分に対して決定され、前記第1の画像順応点に基づいており、前記第2のグレーワールドアサンプションおよび前記第2の完全拡散反射面アサンプションは、前記比較的暗い部分に対して決定され、前記第2の画像順応点に基づいていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
更に、
前記画像の対数を計算し、
前記画像の前記対数を、画像の最小値が0に等しく、画像の最大値が1に等しく、画像の平均値が0.5に等しくなるように正規化することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
更に、
前記正規化された前記画像の対数をHSVフォーマットのHSV画像へと変換し、
少なくとも1つの彩度強調およびシャープネス強調を前記HSV画像に対して行って新しいHSV画像を取得し、
前記新しいHSV画像をRGBフォーマットのRGB画像へと変換することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
更に、
前記新しいHSV画像の輝度の累積ヒストグラムを計算し、
前記ヒストグラムの傾きが最小の点での輝度の値を閾値に設定することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記比較的明るい部分は、前記RGB画像の輝度の値が前記閾値よりも大きい部分を含み、前記比較的暗い部分は、前記RGB画像の輝度の値が前記閾値よりも小さいまたは等しい部分を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ユーザが彩度強調のレベルを選択することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1および第2の順応点は特定プロセスを用いて特定され、前記特定プロセスはグレーワールドアサンプションおよび最大輝度点からなるグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
更に、前記第1の白色点調節および前記第2の白色点調節に続いて、前記画像を描画することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記描画が、画像依存のガンマ補正、彩度調節、およびシャープ化フィルタを適用することをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ハイダイナミックレンジ画像のホワイトバランス正規化を行うための装置であって、
前記画像の比較的明るい部分に対する第1の画像順応点および前記画像の比較的暗い部分に対する第2の画像順応点を特定する特定手段と、
前記画像の前記より明るい部分に対する第1の白色点調節を前記第1の画像順応点を用いて行い、前記画像の前記より暗い部分に対する第2の白色点調節を前記第2の画像順応点を用いて行う白色点調節手段とを備えることを特徴とする装置。
【請求項18】
コンピュータ可読媒体上に格納されたコンピュータ実行可能命令であって、前記コンピュータ実行可能命令はハイダイナミックレンジ画像のホワイトバランス正規化を行うように実行可能であり、前記コンピュータ実行可能プロセスステップは請求項1から16のいずれかに記載の方法を行うように実行可能なプロセスステップを備えることを特徴とするコンピュータ実行可能命令。
【請求項19】
コンピュータ実行可能プロセスステップを含むコンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ実行可能プロセスステップはハイダイナミックレンジ画像のホワイトバランス正規化を行うように実行可能であり、前記コンピュータ実行可能命令は請求項1から16のいずれかに記載の方法を行うように実行可能であることを特徴とするコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
ハイダイナミックレンジ画像のホワイトバランス正規化を行うための装置であって、
請求項1から16のいずれかに記載の方法を行うように実行可能なプロセスステップを格納するプログラムメモリと、
前記プログラムメモリ内に格納されたプロセスステップを実行するプログラムメモリに結合されたプロセッサとを備えることを特徴とする装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイダイナミックレンジ画像の白色点調整を行うための方法であって、
画素の明るさ情報に基づき、画像を複数の領域に分割する分割工程と、
前記分割された画像の領域の各々における画素値に基づき、該分割された画像の領域の各々における画像順応点を設定する画像順応点設定工程と、
前記分割された画像の領域の各々に対して、前記画像順応点設定工程において設定された対応する画像順応点を用いて白色点調節を行う白色点調節工程とを有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記ハイダイナミックレンジ画像の画素値を0から1の範囲のデータに変換する変換工程を更に有し、
前記分割工程は、前記変換工程で変換された画像データに対して、前記分割を行うことを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記分割工程は、前記画像の明るさ情報のヒストグラムを作成し、該ヒストグラムに基づき閾値を決定し、該閾値を用いて前記画像を複数の領域に分割することを特徴とする請求項1または2記載の画像処理方法。
【請求項4】
ハイダイナミックレンジ画像の白色点調整処理をコンピュータに実行させるための制御プログラムであって、前記白色点調整処理が、
画素の明るさ情報に基づき、画像を複数の領域に分割する分割工程と、
前記分割された画像の領域の各々における画素値に基づき、該分割された画像の領域の各々における画像順応点を設定する画像順応点設定工程と、
前記分割された画像の領域の各々に対して、前記画像順応点設定工程において設定された対応する画像順応点を用いて白色点調節を行う白色点調節工程とを有することを特徴とする制御プログラム。
【請求項5】
前記白色点調整処理において、
前記ハイダイナミックレンジ画像の画素値を0から1の範囲のデータに変換する変換工程を更に有し、
前記分割工程は、前記変換工程で変換された画像データに対して、前記分割を行うことを特徴とする請求項4に記載の制御プログラム。
【請求項6】
前記白色点調整処理において、
前記分割工程は、前記画像の明るさ情報のヒストグラムを作成し、該ヒストグラムに基づき閾値を決定し、該閾値を用いて前記画像を複数の領域に分割することを特徴とする請求項4または5記載の制御プログラム。
【請求項7】
ハイダイナミックレンジ画像の白色点調整を行う装置であって、
画素の明るさ情報に基づき、画像を複数の領域に分割する分割手段と、
前記分割された画像の領域の各々における画素値に基づき、該分割された画像の領域の各々における画像順応点を設定する画像順応点設定手段と、
前記分割された画像の領域の各々に対して、前記画像順応点設定手段によって設定された対応する画像順応点を用いて白色点調節を行う白色点調節手段とを有することを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−345509(P2006−345509A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−143330(P2006−143330)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】