説明

画像処理装置、データ量削減方法およびデータ量削減プログラム

【課題】 画像データのデータ量を削減するとともに、画質が低下するのを防止する。
【解決手段】 MFPは、画像データを取得する画像データ取得部(S01)と、画像データから予め定められた属性の領域を抽出する領域抽出部(S02、S03,S04)と、抽出された複数の領域から1つを選択する選択部(S09またはS10)と、選択された領域を該領域の属性に対して予め定められた方法で処理し、画像データのデータ量を削減する削減部(S12またはS13)と、データ量が削減された後の画像データのデータ量を予め定められた目標値と比較する比較部(S14)と、を備え、選択部は、比較部により画像データのデータ量が目標値以下になるまで、複数の領域から1つを選択する(S14でNOで繰り返し実行されるS09またはS10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置、データ量削減方法およびデータ量削減プログラムに関し、特に画像データのデータ量を所望のデータ量に削減する画像処理装置、データ量削減方法およびデータ量削減プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スキャナ等で原稿を読み取って、得られる画像データを電子メール等で送信する処理が行われる。電子メール等のデータ送信においては、ネットワークの負荷を軽減する必要があることから、一度に送信できるデータ量を制限する場合がある。このため、画像データのデータ量が大きい場合には、制限されているデータ量以下になるように画像データのデータ量を削減する必要がある。画像データのデータ量を削減するための技術として、例えば、特開2005−204206号公報(特許文献1)に、画像データを、文字が表された文字画像と、文字以外の図形または写真等が表された写真画像とに分離し、文字画像を2値化した後にMMR圧縮し、写真画像をJPEG(Joint Photographic Experts Group)圧縮する画像処理装置が記載されている。
【0003】
しかしながら、従来の画像処理装置においては、画像データに含まれる文字の部分のすべてが2値化され、画像データに含まれる写真の部分がすべてJPEG圧縮されるので、文字の部分および写真の部分の画質がすべて劣化してしまうといった問題がある。文字の部分は2値化後に文字が潰れて読めなくなってしまう場合があり、写真の部分はJPEG圧縮後に画質が低下する。画像データにおいては、ユーザが重要と判断する重要部分と、そうでない不要部分とが存在する場合があり、不要部分の画質は劣化してもよいが、重要部分の画質が劣化しない方が都合がよい。
【特許文献1】特開2005−204206号公報
【特許文献2】特開2005−204207号公報
【特許文献3】特開2005−210570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の一つは、画像データのデータ量を削減するとともに、画質が低下するのを防止した画像処理装置を提供することである。
【0005】
この発明の他の目的は、画像データのデータ量を削減するとともに、画質が低下するのを防止したデータ量削減方法を提供することである。
【0006】
この発明のさらに他の目的は、画像データのデータ量を削減するとともに、画質が低下するのを防止したデータ量削減プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するためにこの発明のある局面によれば、画像処理装置は、画像データを取得する画像データ取得手段と、取得された画像データから予め定められた属性の領域を抽出する領域抽出手段と、領域抽出手段により抽出された複数の領域から1つを選択する選択手段と、選択された領域を該領域の属性に対して予め定められた方法で処理し、画像データのデータ量を削減する削減手段と、削減手段によりデータ量が削減された後の画像データのデータ量を予め定められた目標値と比較する比較手段と、を備え、選択手段は、比較手段により画像データのデータ量が目標値以下になるまで、複数の領域から1つを選択する。
【0008】
この局面に従えば、画像データから抽出された複数の領域から1つが、画像データのデータ量が予め定められた目標値以下になるまで順に選択され、選択された領域がその領域の属性に対して予め定められた方法で処理されることによって、画像データのデータ量が削減される。このため、画像データの一部部分のみにデータ量を削減する処理をするので、画像データのデータ量を削減する処理が実行される部分の画質が低下するが、他の部分の画質は低下しない。また、画像データのデータ量が目標値に近いデータ量になるので、画像データのデータ量を所望のデータ量以下にすることができる。その結果、画像データのデータ量を削減するとともに、画質が低下するのを防止した画像処理装置を提供することができる。
【0009】
好ましくは、目標値に対する取得された画像データのデータ量の比率を算出する削減率算出手段をさらに備え、選択手段は、算出された比率に基づいて、抽出された複数の領域のうちから1つを選択する順を決定する選択順決定手段を含む。
【0010】
この局面に従えば、比率が小さい場合に画質を優先させることができ、比率が大きい場合に処理効率を優先させることができる。
【0011】
好ましくは、選択順決定手段は、算出された比率が所定の値より小さければ面積の小さい順に決定し、算出された比率が所定の値以上ならば面積の大きい順に決定する。
【0012】
この局面に従えば、比率が小さい場合に画質が低下する部分を可能な限り小さくすることができ、比率が大きい場合に処理効率を優先させることができる。
【0013】
好ましくは、領域抽出手段は、予め定められた複数の属性それぞれの領域を抽出し、選択手段は、複数の属性のうちから1つを選択する順番を決定する属性選択順序決定手段と、決定された順番に従って、複数の属性のうちから1つを選択する属性選択手段と、を含み、抽出された複数の領域から選択された属性の1つの領域を選択する。
【0014】
この局面に従えば、決定された順番で属性が選択され、選択された属性の領域から順に画質を低下させる処理が実行される。このため、画質が低下しない属性と、低下する属性とを分けることができる。
【0015】
好ましくは、属性選択順序決定手段は、ユーザにより指示された属性を優先し、ユーザにより指示されなかった属性を選択する。
【0016】
この局面に従えば、ユーザにより指示された属性の領域の画質が低下するのを防止することができる。
【0017】
好ましくは、属性選択順序決定手段は、抽出された複数の領域の面積を同じ属性で合算することにより複数の属性ごとの総面積を算出し、画像データに占める総面積の割合(占有率)が小さいものから順に1つの属性を選択する。
【0018】
この局面に従えば、占有率の小さい属性の領域から順に画質が低下するので、占有率の大きな属性の領域の画質が低下するのを防止することができる。
【0019】
好ましくは、目標値に対する取得された画像データのデータ量の比率を算出する削減率算出手段をさらに備え、選択手段は、選択された属性の領域が複数の場合、算出された比率に基づいて、選択された属性の複数の領域のうちから1つを選択する順を決定する選択順決定手段を、をさらに含む。
【0020】
好ましくは、選択順決定手段は、算出された比率が所定の値より小さければ面積の小さい順に決定し、算出された比率が所定の値以上ならば面積の大きい順に決定する。
【0021】
好ましくは、選択手段は、選択された属性の領域が複数の場合、選択された属性が文字を含む領域を示す文字属性の場合に文字サイズの大きい順に決定し、選択された属性が図形を含む領域を示す図形属性または写真を含む領域を示す写真属性の場合に類似する色の数の多い順に決定する選択順決定手段を、さらに含む。
【0022】
この局面に従えば、文字サイズの小さい文字領域の画質が低下するのを防止して、文字が潰れて読めなくなるのを防止することができるとともに、類似色の数の多い写真属性の領域または図形属性の領域を優先して減色するので、データ量を削減する効率を高めることができる。
【0023】
好ましくは、削減手段は、複数の領域のうち文字を含む領域を示す文字属性の領域を2値化する2値化手段と、複数の領域のうち図形を含む領域を示す図形属性または写真を含む写真属性の領域の色数を減らす減色手段と、を含む。
【0024】
好ましくは、画像データ取得手段は、原稿を読み取って画像データを出力する読取手段を含み、読取手段は、予め定められた設定値に従って原稿を読み取る。
【0025】
この発明の他の局面によれば、データ量削減方法は、画像データを取得するステップと、取得された画像データから予め定められた属性の領域を抽出するステップと、抽出された複数の領域から1つを選択するステップと、選択された領域を該領域の属性に対して予め定められた方法で処理し、画像データのデータ量を削減するステップと、削減するステップにおいてデータ量が削減された後の画像データのサイズを予め定められた目標値と比較するステップと、比較するステップにおいてデータ量が削減された後の画像データのサイズが目標値以下になるまで、選択するステップ、削減するステップを繰り返すステップと、を含む。
【0026】
この局面に従えば、画像データのデータ量を削減するとともに、画質が低下するのを防止したデータ量削減方法を提供することができる。
【0027】
この発明のさらに他の局面によれば、データ量削減プログラムは、画像データを取得するステップと、取得された画像データから予め定められた属性の領域を抽出するステップと、抽出された複数の領域から1つを選択するステップと、選択された領域を該領域の属性に対して予め定められた方法で処理し、画像データのデータ量を削減するステップと、削減するステップにおいてデータ量が削減された後の画像データのサイズを予め定められた目標値と比較するステップと、比較するステップにおいてデータ量が削減された後の画像データのサイズが目標値以下になるまで、選択するステップ、削減するステップを繰り返すステップと、をコンピュータに実行させる。
【0028】
この局面に従えば、画像データのデータ量を削減するとともに、画質が低下するのを防止したデータ量削減プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態の一つにおける画像処理システムの全体概要を示す図である。図1を参照して、画像処理システム1は、ネットワーク2にそれぞれ接続された画像処理装置としてのMFP(Multi Function Peripheral)100と、コンピュータ3,3A,3B,3Cと、それぞれがMFP100に接続されるデジタルカメラ4と、デジタルビデオカメラ5と、携帯情報端末6と、を含む。
【0031】
MFP100は、原稿を読み取るためのスキャナ、画像データに基づいて紙などの記録媒体に画像を形成するための画像形成部、ファクシミリを含み、画像読取機能、複写機能、ファクシミリ送受信機能を備えている。
【0032】
コンピュータ3,3A,3B,3Cは、一般的なパーソナルコンピュータであり、それらがアプリケーションプログラムを実行することにより生成されるアプリケーションデータまたは画像データをMFP100に送信することが可能である。また、コンピュータ3,3A,3B,3Cには、MFP100を制御するためのプリンタドライバプログラムがインストールされており、アプリケーションデータ、画像データをプリントデータに変換し、MFP100に出力する。さらに、コンピュータ3,3A,3B,3Cは、画像処理装置としても機能することが可能である。
【0033】
デジタルカメラ4およびデジタルビデオカメラ5は、撮像した静止画像または動画像を記憶し、それらが接続されたMFP100に静止画像または動画像の画像データを出力する。携帯情報端末6は、コンピュータ3,3A,3B,3Cと同様に、アプリケーションデータまたは画像データを、MFP100に出力する。
【0034】
MFP100は、原稿を読み取って得られる画像データ、コンピュータ3,3A,3B,3C、デジタルカメラ4、デジタルビデオカメラ5、または携帯情報端末6から入力される画像データを画像処理する。また、MFP100は、コンピュータ3,3A,3B,3C、または携帯情報端末6から入力されるアプリケーションデータまたはプリントデータをビットマップの画像データに変換し、それを画像処理することが可能である。さらに、MFP100は、携帯情報端末6から入力される画像データが動画像の場合、1フレームの画像に対して画像処理することが可能である。
【0035】
MFP100は、画像処理後の画像データを、電子メールまたはファイル転送等の通信プロトコルに基づいて、コンピュータ3,3A,3B,3C、デジタルカメラ4、デジタルビデオカメラ5、または携帯情報端末6に送信することが可能である。
【0036】
ネットワーク2は、ローカルエリアネットワーク(LAN)であり、接続形態は有線または無線を問わない。またネットワーク2は、LANに限らず、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネット等であってもよい。
【0037】
図2は、MFPの外観を示す斜視図である。図2を参照して、MFP100は、自動原稿搬送装置(ADF)10と、画像読取部20と、画像形成部40と、給紙部50と、を含む。ADF10は、原稿台に搭載された複数枚の原稿をさばいて1枚ずつ順に、画像読取部20に搬送する。画像読取部20は、写真、文字、絵等の画像情報を原稿から光学的に読み取って画像データを取得する。画像形成部40は、画像データが入力されると、画像データに基づいて用紙上に画像を形成する。画像形成部40は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナーを用いて画像を形成する。給紙部50は、用紙を格納しており、格納した用紙を1枚ずつ画像形成部40に供給する。MFP100は、その上面に操作パネル9を備える。
【0038】
図3は、MFPのハード構成の一例を示すブロック図である。図3を参照して、MFP100は、メイン回路101と、ファクシミリ部121と、通信制御部123と、ADF10と、画像読取部20と、画像処理部30と、画像形成部40と、給紙部50とを含む。メイン回路101は、中央演算装置(CPU)111と、CPU111の作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)112と、CPU111が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)113と、表示部114と、操作部115と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)116と、データ通信制御部117と、を含む。CPU111は、表示部114、操作部115、HDD116およびデータ通信制御部117とそれぞれ接続され、メイン回路101の全体を制御する。また、CPU111は、ファクシミリ部121、通信制御部123、ADF10、画像読取部20、画像処理部30、画像形成部40および給紙部50と接続され、MFP100の全体を制御する。
【0039】
表示部114は、液晶表示装置(LCD)、有機ELD(Electro Luminescence Display)等の表示装置であり、ユーザに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。操作部115は、複数のキーを備え、キーに対応するユーザの操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受け付ける。操作部115は、表示部114上に設けられたタッチパネルを含む。表示部114と操作部115とで、操作パネル9が構成される。
【0040】
データ通信制御部117は、TCP(Transmission Control Protocol)またはUDP(User Datagram Protocol)等の通信プロトコルで通信するためのインターフェースであるLAN端子118と、シリアル通信インターフェース端子119とを有する。データ通信制御部117は、CPU111からの指示に従って、LAN端子118またはシリアル通信インターフェース端子119に接続された外部の機器との間でデータを送受信する。
【0041】
LAN端子118に、ネットワーク2に接続するためのLANケーブルが接続される場合、データ通信制御部117は、LAN端子118を介して接続された他のMFP、スキャナ、プリンタ、またはコンピュータ3,3A,3B,3Cと通信する。また、データ通信制御部117は、LAN端子118を介して接続された電子メールサーバと通信し、電子メールの送受信が可能である。
【0042】
シリアル通信インターフェース端子119に機器が接続された場合、データ通信制御部117は、シリアル通信インターフェース端子119に接続された機器、例えば、デジタルカメラ4、デジタルビデオカメラ5または携帯情報端末6との間で通信して画像データを入出力する。また、シリアル通信インターフェース端子119には、フラッシュメモリを内蔵したメモリカード119Aが接続可能である。CPU111は、データ通信制御部117を制御して、メモリカード119Aに記憶された画像データを入出力する。
【0043】
また、CPU111は、データ通信制御部117を制御して、メモリカード119Aから、それに記憶されたCPU111または画像処理部30が実行するためのデータ削減プログラムを読出し、読み出したデータ削減プログラムをRAM112に記憶し、実行する。なお、CPU111または画像処理部30が実行するためのプログラムを記憶する記録媒体としては、メモリカード119Aに限られず、フレキシブルディスク、カセットテープ、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)/MO(Magnetic Optical Disc/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、ICカード(メモリカードを含む)、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electronically EPROM)などの半導体メモリ等の媒体でもよい。
【0044】
さらに、CPU111がインターネットに接続されたコンピュータからデータ削減プログラムをダウンロードしてHDD116に記憶する、または、インターネットに接続されたコンピュータがデータ削減プログラムをHDD116に書込みするようにして、HDD116に記憶されたデータ削減プログラムをRAM112にロードしてCPU111または画像処理部30で実行するようにしてもよい。ここでいうデータ削減プログラムは、CPU111または画像処理部30により直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0045】
通信制御部123は、CPU111をPSTN7に接続するためのモデムである。MFP100には、PSTN7における電話番号が予め割り当てられており、PSTN7に接続されたファクシミリ装置からMFP100に割り当てられた電話番号に発呼があると、通信制御部123がその発呼を検出する。通信制御部123は、発呼を検出すると通話を確立し、ファクシミリ部121に通信させる。
【0046】
ファクシミリ部121は、PSTN7に接続され、PSTN7にファクシミリデータを送信する、またはPSTN7からファクシミリデータを受信する。ファクシミリ部121は、受信したファクシミリデータを、RAM112に一時記憶する。また、ファクシミリ部121は、受信したファクシミリデータを画像形成部40でプリント可能なプリントデータに変換して、画像形成部40に出力する。これにより、画像形成部40は、ファクシミリ部121により受信されたファクシミリデータを記録シートにプリントする。また、ファクシミリ部121は、HDD116に記憶された画像データをファクシミリデータに変換して、PSTN7に接続されたファクシミリ装置または他のMFPに出力する。これにより、HDD116に記憶されたデータをファクシミリ装置または他のMFPに出力することができる。なお、ファクシミリデータは画像データに含まれる。このように、MFP100は、ファクシミリ送受信機能を有する。
【0047】
MFP100は、スキャナ機能を有し、画像読取部20が原稿を読み取って出力する画像データを、RAM112に一時的に記憶する。また、画像形成部40は、画像読取部20が原稿を読み取って出力する画像データに基づいて、用紙等の記録シート上に画像を形成する。このため、MFP100は、コピー機能を有する。さらに、データ通信制御部117は、ネットワーク2に接続された他のPC3、3A,3B,3Cのいずれかから受信した画像データ、または、シリアル通信インターフェース端子119に接続されたデジタルカメラ4、デジタルビデオカメラ5および携帯情報端末6のいずれかから受信された画像データをRAM112に一時的に記憶する。そして、RAM112に一時的に記憶された画像データに基づいて、用紙等の記録シート上に画像を形成する。このため、MFP100は、プリント機能を有する。
【0048】
画像処理部30は、RAM112に記憶された画像データを画像処理する。ここでは、画像処理部30が、画像データのファイル形式を変換する処理を実行する場合を例に説明する。この場合、画像処理の対象となる画像データは、MFP100がスキャナ機能またはコピー機能を能動化する場合に画像読取部20が原稿を読み取って出力する画像データ、MFP100がファクシミリ機能を能動化する場合にファクシミリ部121が受信するファクシミリデータ(画像データ)、データ通信制御部117がネットワーク2に接続された他のPC3、3A,3B,3C、スキャナ、他のMFPのいずれかから画像データを受信する画像データ、またはシリアル通信インターフェース端子119に接続されたデジタルカメラ4、デジタルビデオカメラ5および携帯情報端末6のいずれかから入力される画像データを含む。さらに、画像処理の対象となる画像データは、PC3、3A,3B,3C、または携帯情報端末6から入力されるアプリケーションデータまたはプリントデータをビットマップ形式に変換した画像データを含み、デジタルカメラ4、デジタルビデオカメラ5から入力される動画像に含まれる1フレームの画像データを含む。
【0049】
画像処理部30は、ファイル形式を変換する処理を実行する場合、表示部114に、ファイル形式選択画面を表示し、画像処理の対象となる画像データのファイル形式を変換した後のファイル形式の設定を受け付ける。図4は、ファイル形式選択画面の一例を示す図である。図4を参照して、ファイル形式選択画面は、4種類のファイル形式を選択するためのボタンとして、ファイル形式としてPDFを選択するための通常PDFの文字が表されたボタンと、ファイル形式としてTIFFを選択するためのTIFFの文字が表されたボタンと、ファイル形式としてCompactPDFを選択するためのCompctPDFの文字が表されたボタンと、ファイル形式としてJPEGを選択するためのJPEGの文字が表されたボタンとを含む。画像処理部30は、4種類のボタンのいずれかが指示された後、OKの文字が表されたボタンが指示されると、処理対象となる画像データのファイル形式を、指示されたボタンに対応して定められたファイル形式に変換する。
【0050】
さらに、ファイル形式選択画面は、ファイル形式としてビットマップを選択するための自動選択の文字が表されたボタンを含む。画像処理部30は、自動選択の文字が表されたボタンが指示された後、OKの文字が表されたボタンが指示されると、データ量削減処理を実行し、画像データのデータ量を削減したビットマップのファイル形式に変換する。以下、画像処理部30がデータ量削減処理を実行する場合について説明する。
【0051】
図5は、画像処理部の機能の一例を示す機能ブロック図である。図5を参照して、画像処理部30は、画像データを取得する画像データ取得部51と、画像データから予め定められた属性の領域を抽出する領域抽出部53と、抽出された領域のうちから処理対象となる領域を選択する選択部59と、選択された領域のデータ量を削減する削減部71と、目標値を設定するための目標値設定部55と、画像データのデータ量と目標値とを比較する比較部57と、を含む。
【0052】
画像データ取得部51は、ユーザが操作部115に入力する指示に従って、画像データを取得する。具体的には、ユーザがMFP100にスキャナ機能またはコピー機能を能動化する操作を入力する場合には、画像読取部20が原稿を読み取って出力する画像データを取得する。また、ユーザがMFP100にファクシミリ機能を能動化する操作を入力する場合には、ファクシミリ部121が受信するファクシミリデータ(画像データ)を取得する。さらに、ユーザが、データ通信制御部117がネットワーク2に接続された他のPC3、3A,3B,3C、スキャナ、他のMFPのいずれかから画像データを受信する操作を入力する場合は、データ通信制御部117が受信する画像データを取得する。さらにユーザがシリアル通信インターフェース端子119に接続されたデジタルカメラ4、デジタルビデオカメラ5および携帯情報端末6のいずれかから画像データを読み出す操作を入力する場合、シリアル通信インターフェース端子119に接続された機器に記憶された画像データを取得する。画像データ取得部51は、取得された画像データを領域抽出部53および選択部59に出力する。
【0053】
領域抽出部53は、画像データ取得部51から入力される画像データから文字が表わされた文字属性の文字領域と、図形が表された図形属性の図形領域と、写真が表された写真属性の写真領域とを抽出する。画像データから文字属性、図形属性および写真属性それぞれの領域を抽出する技術は、周知なのでここでは説明を繰り返さない。領域抽出部53は、抽出された文字領域、図形領域または写真領域を選択部59に出力する。また、1つの画像データから複数の文字領域が抽出される場合があり、複数の図形領域が抽出される場合があり、また、複数の写真領域が抽出される場合がある。領域抽出部53は、画像データから複数の文字領域が抽出される場合、抽出された複数の文字領域を選択部59に出力し、画像データから複数の図形領域が抽出される場合、複数の図形領域を選択部59に出力し、画像データから複数の写真領域が抽出される場合、複数の写真領域を選択部59に出力する。
【0054】
目標値設定部55は、データ量を削減した後の画像データのデータ量を目標値として設定する。具体的には、目標値設定部55は、表示部114に図4に示したファイル形式選択画面が表示されている段階で、自動選択の文字が表されたボタンが指示された後に、OKの文字が表されたボタンが指示されると、表示部114にファイル容量設定画面を表示する。そして、目標値設定部55は、ユーザがファイル容量設定画面に従って操作部115に入力するファイル容量を受け付け、受け付けたファイル容量を目標値に設定する。目標値設定部55は、設定された目標値を比較部57および選択部59に出力する。
【0055】
図6は、ファイル容量設定画面の一例を示す図である。図6を参照して、ファイル容量設定画面は、ファイル容量の上限値を入力するための領域と、OKの文字が表されたボタンと、オプション設定の文字が表されたボタンと、を含む。ユーザが操作部115を操作して領域にファイル容量の上限値を入力し、OKの文字が表されたボタンを指示すると、入力されたファイル容量の上限値が目標値設定部55により受け付けられる。オプション設定の文字が表されたボタンが指示された場合については、後述する。
【0056】
図5に戻って、選択部59は、削減率算出部61と、選択順決定部63とを含む。削減率算出部61は、目標値設定部55から目標値が入力され、画像データ取得部51から画像データが入力される。削減率算出部61は、画像データのデータ量に対するデータ削減量の比率を算出する。例えば、目標値が3Mbyteで画像データのデータ量が5Mbyteならば、(5−3)/5×100=40(%)を削減率として算出する。削減率算出部61は、算出された削減率を選択順決定部63に出力する。
【0057】
選択順決定部63は、削減率算出部61から入力される削減率に基づいて、領域抽出部53から入力される複数の領域のうちから1つを選択する順を決定する。具体的には、削減率が所定の値より小さければ面積の小さい順に決定し、削減率が所定の値以上ならば面積の大きい順に決定する。ここでは、所定の値を20%としている。削減率が小さい場合、画像データのデータ量を削減する量が少なくてよいので、少ない面積でデータ量を削減すればよい。このため、小さい面積の領域からデータ量を削減することにより、画質が劣化する面積をできるだけ少なくすることができる。一方、削減率が大きい場合、画像データのデータ量を削減する量が多くなるので、広い面積でデータ量を削減する必要がある。このため、面積の大きい領域からデータ量を削減することにより、処理効率を高めることができる。
【0058】
選択順決定部63は、決定された選択順に従って領域抽出部53から入力される複数の領域から1つを選択し、選択した領域を削減部71に出力する。具体的には、削減率が20%よりも小さければ、複数の領域のうち面積の小さいものから順に1つを選択し、削減率が20%以上ならば、複数の領域のうち面積の大きいものから順に1つを選択し、削減部71に出力する。なお、ここでは、しきい値に20%を用いる例を示したが、しきい値をこれに限定するものではなく、これより大きな値としてもよいし、小さな値としてもよい。データを削減する方式に合わせてしきい値を決定するようにすればよい。データを削減する方式によるデータを削減する量が大きければ、大きなしきい値とすればよい。
【0059】
削減部71は、選択部59から入力される領域に対して、その領域の属性に対応して予め定められた方法で処理し、画像データの一部分のデータ量を削減する。削減部71は、2値化部73と減色部75とを含む。2値化部73は、選択部59から入力される領域の属性が文字属性の場合、文字領域を2値化する。減色部75は、選択部59から入力される領域の属性か図形属性または写真属性の場合、図形領域または写真領域を減色する。具体的には、類似する色の複数の画素すべてを1つの色に変更する。削減部71は、データ量を削減した後の画像データを、比較部57に出力する。このように、削減部71は、画像データを部分的に2値化または減色することによって、画像データのデータ量を削減する。
【0060】
比較部57は、目標値設定部55から目標値が設定され、削減部71からデータ量を削減した後の画像データが入力される。比較部57は、データ量が削減された後の画像データのデータ量と目標値とを比較し、画像データのデータ量が目標値以下であれば、データ量が削減された後の画像データをCPU111に出力するが、画像データのデータ量が目標値より大きければ、データ量が削減された後の画像データを選択部59に出力する。
【0061】
選択部59においては、選択順決定部63において先に設定された選択順に従って、次に処理対象とするべき1つの領域を選択し、選択された領域を削減部71に出力する。このように、比較部57において、削減部71においてデータ量が削減された後の画像データのデータ量が目標値以下と判断されるまで、画像データから抽出された複数の領域のうちから1つが選択部59により順に選択され、削減部71により選択された領域のデータ量が削減される。従って、画像データを部分的に2値化または減色する処理を繰り返し、2値化または減色する領域の面積を徐々に増加することにより、画像データ取得部51により取得された画像データのデータ量を、可能な限り目標値に近いデータ量になるまで削減する。このため、画質の劣化する部分を極力少なくすることができる。
【0062】
図7は、データ量削減処理の流れの一例を示すフローチャートである。データ量削減処理は、画像処理部30がデータ量削減プログラムを実行することにより、画像処理部30により実行される処理である。図7を参照して、画像処理部30は、画像データを取得する(ステップS01)。ユーザがMFP100にスキャナ機能またはコピー機能を能動化する操作を入力する場合、画像読取部20が原稿を読み取って出力する画像データを取得する。また、ユーザがMFP100にファクシミリ機能を能動化する操作を入力する場合には、ファクシミリ部121が受信するファクシミリデータ(画像データ)を取得する。さらに、ユーザが、データ通信制御部117がネットワーク2に接続された他のPC3、3A,3B,3C、スキャナ、他のMFPのいずれかから画像データを受信する操作を入力する場合は、データ通信制御部117が受信する画像データを取得する。さらにユーザがシリアル通信インターフェース端子119に接続されたデジタルカメラ4、デジタルビデオカメラ5および携帯情報端末6のいずれかから画像データを読み出す操作を入力する場合、シリアル通信インターフェース端子119に接続された機器に記憶された画像データを取得する。
【0063】
次に、ステップS01において取得された画像データから文字属性の文字領域を抽出し(ステップS02)、ステップS01において取得された画像データから図形属性の図形領域を抽出し(ステップS03)、ステップS01において取得された画像データから写真属性の写真領域を抽出する(ステップS04)。
【0064】
次のステップS05においては、目標値を設定する。具体的には、表示部114にファイル容量設定画面を表示し、ユーザが操作部115に入力するファイル容量の上限値を受け付け、受け付けられた上限値を目標値に設定する。そして、ステップS01において取得された画像データのデータ量から設定された目標値を減算した値をステップS01において取得された画像データのデータ量で除算した値である削減率を算出する(ステップS06)。
【0065】
次のステップS07においては、算出された削減率が80%より小さいか否かを判断する。削減率が80%より小さければ処理をステップS08に進めるが、そうでなければ処理をステップS16に進める。ステップS16においては、ステップS01において取得された画像データの解像度を変換し、処理をステップS15に進める。ステップS15においては、解像度を変換した後の画像データをHDD116に記憶し、処理を終了する。画像データを変換した後の解像度は、ステップS05において設定された目標値によって定まる。すなわち、解像度を変換した後の画像データのデータ量が目標値以下となるように解像度が決定される。または、解像度を所定の値だけ下げた上で解像度変換後の画像データ量で再度削減率の計算ステップS06に戻り、別の方法を用いてデータ量を削減するようにしてもよい。
【0066】
ステップS08においては、算出された削減率が20%より小さいか否かを判断する。削減率が20%より小さければ処理をステップS09に進め、そうでなければ処理をステップS10に進める。
【0067】
ステップS09においては、ステップS02において抽出された文字領域、ステップS03において抽出された図形領域、およびステップS04において抽出された写真領域のうちから面積の小さい順に処理対象となる領域を選択し、処理をステップS11に進める。ステップS10においては、ステップS02において抽出された文字領域、ステップS03において抽出された図形領域、およびステップS04において抽出された写真領域のうちから面積の大きい順に処理対象となる領域を選択し、処理をステップS11に進める。
【0068】
ステップS11においては、処理対象に選択された領域の属性を判断し、属性により処理を分岐させる。処理対象に選択された領域の属性が文字属性ならば、処理をステップS12に進め、図形属性または写真属性ならば処理をステップS13に進める。ステップS12においては、画像データの処理対象として選択された文字領域の部分を2値化し、処理をステップS14に進める。ステップS13においては、画像データの処理対象として選択された図形領域または写真領域の部分を減色処理し、処理をステップS14に進める。
【0069】
ステップS14においては、ステップS12および/またはステップS13において部分的に2値化および/または減色された画像データのデータ量が、ステップS05において設定された目標値以下であるか否かを判断する。データ量が目標値以下ならば処理をステップS15に進めるが、そうでなければ処理をステップS17に進める。
【0070】
ステップS17においては、未だ処理対象となっていない領域が存在するか否かを判断する。未処理の領域が存在すれば、処理をステップS08に戻すが、そうでなければ処理をステップS18に進める。ステップS18においては、エラーメッセージを表示部114に表示し、処理を終了する。エラーメッセージは、ユーザが設定したデータ量に画像データのデータ量を削減することができなかったことを通知するメッセージであり、例えば、「設定されたデータ量に画像データのデータ量を削減することができませんでした。」等である。
【0071】
未処理の領域が存在すれば、処理をステップS08に戻すので、ステップS01において取得された画像データを部分的に2値化または減色する処理を、2値化または減色した後のデータ量が目標値以下となるまで繰り返す。このように、画像データの全体に対して2値化および減色するのではなく、画像データを部分的に2値化または減色するので、画質の劣化する部分を限り少なくすることができる。また、画像データを部分的に2値化または減色する処理の繰り返しを、画像データのデータ量が目標値以下となると終了するので、画像データのデータ量を可能な限り目標値に近づけることができる。このため、画像データのデータ量が目標値よりも非常に小さくなることがなく、画質が劣化する部分を最小限に抑えることができる。
【0072】
<変形例>
上述した実施の形態におけるMFP100は、画像データに含まれる複数の領域のうちから処理対象となる領域を選択する順を、面積の大きい順または面積の小さい順のいずれかとした。変形例におけるMFP100は、画像データに含まれる複数の領域のうちから1つを処理対象に選択する際に、先に属性を選択した後に、選択された属性の領域から順に1つを処理対象に選択するようにしたものである。
【0073】
図8は、変形例におけるMFPが備える画像処理部が有する機能の概要を示す機能ブロック図である。図8を参照して、図5に示した機能ブロック図と異なる点は、選択部59が選択部59Aに変更された点である。選択部59Aは、削減率算出部61および選択順決定部63に加えて、属性順決定部65および属性選択部67を含む。
【0074】
属性順決定部65は、オプション設定画面を表示部114に表示し、ユーザがオプション設定画面に従って操作部115に入力する属性を選択するための属性選択条件を受け付ける。オプション設定画面は、図6に示したファイル容量設定画面において、オプション設定の文字が表されたボタンがユーザにより指示されることにより表示部114に表示される。
【0075】
図9は、オプション設定画面の一例を示す図である。図9を参照して、オプション設定画面201は、ユーザが画質を優先する属性を選択するための領域203と、画像データに応じて自動的に処理対象とする属性の順を決定することを設定する領域205とを含む。領域203と領域205とは排他的に指定可能である。
【0076】
チェックボックス207が指定されると、ユーザが画質を優先する属性を選択可能となる。文字領域優先の文字が表された選択肢のコンボボックスが指定されると、文字属性の文字領域を優先する設定が入力され、写真領域優先の文字が表された選択肢のコンボボックスが指定されると、写真属性の写真領域を優先する設定が入力され、図形領域優先の文字が表された選択肢のコンボボックスが指定されると、図形属性の図形領域を優先する設定が入力される。なお、3つの選択肢のうち2つを同時に指定可能としてもよい。
【0077】
チェックボックス209が指定されると、画像データに応じて処理対象とする属性を選択する順を自動的に決定する設定が入力される。
【0078】
図8に戻って、属性順決定部65は、文字属性の文字領域を優先する設定が入力されると、文字属性の文字領域よりも先に、写真領域または図形領域を選択する。写真属性の写真領域を優先する設定が入力されると、写真領域よりも先に、文字領域または図形領域を選択する。図形属性の図形領域を優先する設定が入力されると、図形領域よりも先に、文字領域または写真領域を選択する。このように、ユーザが優先した属性の領域を最後に選択する。従って、ユーザが優先した属性の領域の画質ができるだけ低下しないようにすることができる。ユーザが優先した属性を除く残りの2つの属性のうちから処理対象とする属性を選択する順は、次に説明する画像データに応じて自動的に決定する方法によって決定する。
【0079】
次に、処理対象とする属性を選択する順を自動的に決定する方法について説明する。属性順決定部65は、オプション設定画面201においてチェックボックス209が指定されると、画像データに応じて処理対象とする属性を選択する順を自動的に決定する設定が入力される。属性順決定部65は、処理対象とする属性を選択する順を自動的に決定する設定が入力されると、3つの属性のうちから選択する順を、各属性の領域が画像データに占める割合(占有率)に基づいて決定する。具体的には、文字領域のすべての面積を合算した総面積を算出し、総面積が画像データの面積に占める割合を文字属性の占有率として算出し、写真領域のすべての面積を合算した総面積を算出し、総面積が画像データの面積に占める割合を写真属性の占有率として算出し、図形領域のすべての面積を合算を合算した総面積を算出し、総面積が画像データの面積に占める割合を図形属性の占有率として算出する。そして、文字属性、写真属性および図形属性それぞれについて算出され占有率が小さい順を選択する順として決定する。属性順決定部65は、決定した属性の順番を属性選択部67に出力する。占有率が小さい属性から順に選択するので、画像データ中に占める面積の割合が小さい属性の領域から順に2値化または減色される。
【0080】
3つの属性のうち、占有率の小さい順に属性が選択される。従って、画質の低下する領域を属性によって分類することができる。具体的には、占有率の最も小さな属性の領域を2値化または減色することにより、画像データのデータ量が目標値以下となる場合には、占有率が2番目または最大の属性の領域を2値化または減色する必要がない。このため、占有率が2番目または最大の属性の領域の画質が劣化するのを可能な限り防止することができる。さらに、占有率が最小の属性の領域を2値化または減色することによっても画像データのデータ量が目標値以下とならない場合、占有率が2番目の属性の領域が2値化または減色される。占有率が2番目の属性の領域を2値化または減色することにより、画像データのデータ量が目標値以下となる場合には、占有率が最大の属性の領域を2値化または減色する必要がない。このため、占有率が最大の属性の領域の画質が劣化するのを可能な限り防止することができる。
【0081】
また、属性順決定部65は、文字属性の文字領域を優先する設定、写真属性の写真領域を優先する設定、または図形属性の図形領域を優先する設定が入力されると、残りの2つの属性のうちから選択する順を、各属性の領域が画像データに占める割合(占有率)に基づいて決定する。具体的には、文字領域を優先する設定が入力される場合、写真属性の占有率と図形属性の占有率とを比較し、小さい占有率の属性を1番目に、大きい占有率の属性を2番目に、文字属性を3番目に決定する。
【0082】
また、写真領域を優先する設定が入力される場合、文字属性の占有率と図形属性の占有率とを比較し、小さい占有率の属性を1番目に、大きい占有率の属性を2番目に、写真属性を3番目に決定する。また、図形領域を優先する設定が入力される場合、文字属性の占有率と写真属性の占有率とを比較し、小さい占有率の属性を1番目に、大きい占有率の属性を2番目に、図形属性を3番目に決定する。
【0083】
属性順決定部65は、決定した属性の順を属性選択部67に出力する。ユーザが、優先する領域の属性を設定した場合、その属性の領域が最後に選択されるので、ユーザは、所望の属性の領域の画質が劣化しないように設定することができる。例えば、画像データ中で、文字が表された領域が重要な部分である場合、文字属性の文字領域を優先する設定を入力すれば、文字領域は最後に2値化される。例えば、写真領域または図形領域を減色することにより画像データのデータ量が目標値以下となる場合があり、その場合には文字領域は2値化されないので、文字領域の画質が低下しないように画像データのデータ量を削減することができる。
【0084】
さらに、ユーザが設定した優先する領域の属性以外の残りの2つの属性のうち、占有率の小さい属性が選択される。従って、占有率の小さな属性の領域を2値化または減色することにより、画像データのデータ量が目標値以下となる場合には、占有率の大きな属性の領域を2値化または減色する必要がない。このため、占有率の大きな属性の領域の画質が劣化するのを可能な限り防止することができる。
【0085】
属性選択部67は、属性順決定部65から入力される属性の順に従って、領域抽出部53から入力される複数の領域のうちから該当する順番の属性の領域を選択し、選択した属性の領域を選択順決定部63に出力する。例えば、属性の順が、1番目が文字属性、2番目が写真属性、3番目が図形属性ならば、最初に文字属性の文字領域を選択し、文字領域のすべてを選択順決定部63に出力する。次に、写真属性の写真領域を選択し、写真領域のすべてを選択順決定部63に出力する。最後に、図形属性の図形領域を選択し、図形領域のすべてを選択順決定部63に出力する。
【0086】
選択順決定部63は、領域抽出部53が出力する複数の領域のうち属性選択部67から入力される複数の領域のうちから1つを選択する順を、削減率算出部61から入力される削減率に基づいて決定し、決定した順に領域を選択し、削減部71に出力する。具体的には、選択順決定部63は、属性選択部67から文字属性の複数の文字領域が入力される場合、削減率が20%よりも小さければ複数の文字領域のうちから面積の小さいものから順に1つを選択し、削減率が20%以上ならば、複数の文字領域のうち面積の大きいものから順に1つを選択し、削減部71に出力する。選択順決定部63は、属性選択部67から写真属性の複数の写真領域が入力される場合、削減率が20%よりも小さければ複数の写真領域のうちから面積の小さいものから順に1つを選択し、削減率が20%以上ならば、複数の写真領域のうち面積の大きいものから順に1つを選択し、削減部71に出力する。選択順決定部63は、属性選択部67から図形属性の複数の図形領域が入力される場合、削減率が20%よりも小さければ複数の図形領域のうちから面積の小さいものから順に1つを選択し、削減率が20%以上ならば、複数の図形領域のうち面積の大きいものから順に1つを選択し、削減部71に出力する。
【0087】
図10は、変形例におけるデータ削減処理の流れの一例を示すフローチャートである。変形におけるデータ削減処理は、画像処理部30がデータ量削減プログラムを実行することにより、画像処理部30により実行される処理である。図10を参照して、ステップS21からステップS27までの処理は、図7に示したステップS01からステップS07までの処理と同じなのでここでは説明を繰り返さない。ステップS41においては、図7に示したステップS16と同様に、画像データの解像度を変換し、処理をステップS35に進める。
【0088】
ステップS28においては、属性ごとに占有率を算出する。具体的には、文字属性の文字領域のすべての面積が画像データの面積に占める割合を文字領域の占有率として算出し、図形属性の図形領域のすべての面積が画像データの面積に占める割合を図形領域の占有率として算出し、写真属性の写真領域のすべての面積が画像データの面積に占める割合を写真領域の占有率として算出する。
【0089】
次のステップS29においては、優先属性が設定されているか否かを判断する。図9に示したオプション設定画面において、領域203のチェックボックス207がチェックされ、画質を優先する属性が設定されているか否かを判断する。チェックボックス207がチェックされ、文字領域優先、写真領域優先および図形領域優先のいずれかが選択されていれば、優先属性が設定されていると判断する。優先属性が設定されていると判断する場合、処理をステップS30に進めるが、そうでなければ処理をステップS37に進める。
【0090】
ステップS30においては、設定されている優先属性によって処理を分岐させる。文字属性を優先することが設定されていれば処理をステップS31に進め、図形属性を優先することが設定されていれば処理をステップS32に進め、写真属性を優先することが設定されていれば処理をステップS33に進める。
【0091】
ステップS31においては、文字属性優先処理を実行し、処理をステップS34に進める。文字属性優先処理については後述するが、文字属性を優先して画像データのデータ量を削減する処理であり、データ量を目標値まで削減できなかった場合に返り値としてエラーを返す。ステップS32においては、図形属性優先処理を実行し、処理をステップS34に進める。図形属性優先処理については後述するが、図形属性を優先して画像データのデータ量を削減する処理であり、データ量を目標値まで削減できなかった場合に返り値としてエラーを返す。ステップS33においては、写真属性優先処理を実行し、処理をステップS34に進める。写真属性優先処理については後述するが、写真属性を優先して画像データのデータ量を削減する処理であり、データ量を目標値まで削減できなかった場合に返り値としてエラーを返す。
【0092】
ステップS34においては、文字属性優先処理、図形属性優先処理または写真属性優先処理いずれかの返り値がエラーか否かを判断する。返り値がエラーならば処理をステップS36に進め、そうでなければ処理をステップS35に進める。ステップS35においては、データ量が削減された画像データを、例えばHDD116に記憶し、処理を終了する。一方、ステップS36においては、図7のステップS18と同様に、エラーメッセージを表示部114に表示し、処理を終了する。
【0093】
一方、ステップS29において優先属性が設定されていないと判断される場合、ステップS28において算出された属性ごとの占有率が最大の属性によって処理を分岐させる。文字属性の占有率が最大ならば処理をステップS38に進め、図形属性の占有率が最大ならば処理をステップS39に進め、写真属性の占有率が最大ならば処理をステップS40進める。ステップS38においては、ステップS31と同様に文字属性優先処理を実行し、処理をステップS34に進める。ステップS39においては、ステップS32と同様に図形属性優先処理を実行し、処理をステップS34に進める。ステップS40においては、ステップS33と同様に写真属性優先処理を実行し、処理をステップS34に進める。
【0094】
図11は、文字属性優先処理の流れの一例を示すフローチャートである。文字属性優先処理は、図10のステップS31およびステップS38において実行される処理である。図11を参照して、ステップS51においては、図形属性の占有率が写真属性の占有率よりも大きいか否かを判断する。図形属性の占有率が写真属性の占有率よりも大きいならば処理をステップS52に進め、そうでなければ処理をステップS61に進める。
【0095】
ステップS52においては、写真属性削減処理を実行し、処理をステップS53に進める。写真属性削減処理については後述するが、画像データの写真属性の写真領域を1つづつ順に減色する処理である。ステップS53においては、写真属性削減処理を実行した後の画像データのデータ量が目標値以下であるか否かを判断する。画像データのデータ量が目標値以下ならば処理をステップS58に進め、そうでなければ処理をステップS54に進める。
【0096】
ステップS54においては、図形属性削減処理を実行し処理をステップS55に進める。図形属性削減処理については後述するが、画像データの図形属性の図形領域を1つづつ順に減色する処理である。ステップS55においては、図形属性削減処理を実行した後の画像データのデータ量が目標値以下となったか否かを判断する。データ量が目標値以下ならば処理をステップS58に進め、そうでなければ処理をステップS56に進める。
【0097】
一方、ステップS61においては、ステップS54と同様に、図形属性削減処理を実行し、処理をステップS62に進める。ステップS62においては、図形属性削減処理を実行した後の画像データのデータ量が目標値以下となったか否かを判断する。画像データのデータ量が目標値以下となったならば処理をステップS58に進めるが、そうでなければ処理をステップS63に進める。
【0098】
ステップS63においては、ステップS52と同様に、写真属性削減処理を実行し、処理をステップS64に進める。ステップS64においては、写真属性削減処理を実行した後の画像データのデータ量が目標値以下となったか否かを判断する。画像データのデータ量が目標値以下となったならば処理をステップS58に進めるが、そうでなければ処理をステップS56に進める。
【0099】
ステップS56においては、文字属性削減処理を実行し、処理をステップS57に進める。文字属性削減処理については後述するが、画像データの文字属性の文字領域を1つづつ順に2値化する処理である。ステップS57においては、文字属性削減処理を実行した後の画像データのデータ量が目標値以下となったか否かを判断する。データ量が目標値以下ならば処理をステップS58に進めるが、そうでなければ処理をステップS59に進める。
【0100】
ステップS58においては、返り値に正常を設定し処理を図10に示したデータ量削減処理に戻すが、ステップS59においては、返り値にエラーを設定し、処理を図10に示したデータ量削減処理に戻す。
【0101】
文字属性優先処理によれば、文字属性の文字領域が、図形領域または写真領域よりも後に減色されるので、図形領域または/および写真領域の減色によって、画像データのデータ量が目標値以下になれば、文字領域が2値化されない。このため、文字領域の画質が劣化するのを可能な限り防止することができる。
【0102】
図12は、図形属性優先処理の流れの一例を示すフローチャートである。図形属性優先処理は、図10のステップS32およびステップS39において実行される処理である。図12を参照して、ステップS71においては、文字属性の占有率が写真属性の占有率よりも大きいか否かを判断する。文字属性の占有率が写真属性の占有率よりも大きいならば処理をステップS72に進め、そうでなければ処理をステップS81に進める。
【0103】
ステップS72においては、写真属性削減処理を実行し、処理をステップS73に進める。ステップS73においては、写真属性削減処理を実行した後の画像データのデータ量が目標値以下であるか否かを判断する。画像データのデータ量が目標値以下ならば処理をステップS78に進め、そうでなければ処理をステップS74に進める。
【0104】
ステップS74においては、文字属性削減処理を実行し、処理をステップS75に進める。ステップS75においては、文字属性削減処理を実行した後の画像データのデータ量が目標値以下となったか否かを判断する。データ量が目標値以下ならば処理をステップS78に進め、そうでなければ処理をステップS76に進める。
【0105】
一方、ステップS81においては、ステップS74と同様に、文字属性削減処理を実行し、処理をステップS82に進める。ステップS82においては、文字属性削減処理を実行した後の画像データのデータ量が目標値以下となったか否かを判断する。画像データのデータ量が目標値以下ならば処理をステップS78に進めるが、そうでなければ処理をステップS83に進める。
【0106】
ステップS83においては、ステップS72と同様に、写真属性削減処理を実行し、処理をステップS84に進める。ステップS84においては、写真属性削減処理を実行した後の画像データのデータ量が目標値以下となったか否かを判断する。画像データのデータ量が目標値以下となったならば処理をステップS78に進めるが、そうでなければ処理をステップS76に進める。
【0107】
ステップS76においては、図形属性削減処理を実行し、処理をステップS77に進める。ステップS77においては、図形属性削減処理を実行した後の画像データのデータ量が目標値以下となったか否かを判断する。データ量が目標値以下ならば処理をステップS78に進めるが、そうでなければ処理をステップS79に進める。
【0108】
ステップS78においては、返り値に正常を設定し処理を図10に示したデータ量削減処理に戻すが、ステップS79においては、返り値にエラーを設定し、処理を図10に示したデータ量削減処理に戻す。
【0109】
図形属性優先処理によれば、図形属性の図形領域が、文字領域または写真領域よりも後に減色されるので、文字領域の2値化または/および写真領域の減色によって、画像データのデータ量が目標値以下になれば、図形領域が減色されない。このため、図形領域の画質が劣化するのを可能な限り防止することができる。
【0110】
図13は、写真属性優先処理の流れの一例を示すフローチャートである。写真属性優先処理は、図10のステップS33およびステップS40において実行される処理である。図13を参照して、ステップS91においては、文字属性の占有率が図形属性の占有率よりも大きいか否かを判断する。文字属性の占有率が図形属性の占有率よりも大きいならば処理をステップS92に進め、そうでなければ処理をステップS101に進める。
【0111】
ステップS92においては、図形属性削減処理を実行し、処理をステップS93に進める。ステップS93においては、図形属性削減処理を実行した後の画像データのデータ量が目標値以下であるか否かを判断する。画像データのデータ量が目標値以下ならば処理をステップS98に進め、そうでなければ処理をステップS94に進める。
【0112】
ステップS94においては、文字属性削減処理を実行し処理をステップS95に進める。ステップS95においては、文字属性削減処理を実行した後の画像データのデータ量が目標値以下となったか否かを判断する。データ量が目標値以下ならば処理をステップS98に進め、そうでなければ処理をステップS96に進める。
【0113】
一方、ステップS101においては、ステップS94と同様に、文字属性削減処理を実行し、処理をステップS102に進める。ステップS102においては、文字属性削減処理を実行した後の画像データのデータ量が目標値以下となったか否かを判断する。画像データのデータ量が目標値以下となったならば処理をステップS98に進めるが、そうでなければ処理をステップS103に進める。
【0114】
ステップS103においては、ステップS92と同様に、図形属性削減処理を実行し、処理をステップS104に進める。ステップS104においては、図形属性削減処理を実行した後の画像データのデータ量が目標値以下となったか否かを判断する。画像データのデータ量が目標値以下となったならば処理をステップS98に進めるが、そうでなければ処理をステップS96に進める。
【0115】
ステップS96においては、写真属性削減処理を実行し、処理をステップS97に進める。ステップS97においては、写真属性削減処理を実行した後の画像データのデータ量が目標値以下となったか否かを判断する。データ量が目標値以下ならば処理をステップS98に進めるが、そうでなければ処理をステップS99に進める。
【0116】
ステップS98においては、返り値に正常を設定し処理を図10に示したデータ量削減処理に戻すが、ステップS99においては、返り値にエラーを設定し、処理を図10に示したデータ量削減処理に戻す。
【0117】
写真属性優先処理によれば、写真属性の文字領域が、文字領域または図形領域よりも後に減色されるので、文字領域の2値化または/および写真領域の減色によって、画像データのデータ量が目標値以下になれば、写真領域が減色されない。このため、写真領域の画質が劣化するのを可能な限り防止することができる。
【0118】
図14は、写真属性削減処理の流れの一例を示す第1のフローチャートである。写真属性削減処理は、図11におけるステップS52およびステップS63、図12におけるステップS72およびステップS83、図13におけるステップS96において実行される処理である。図14を参照して、写真属性の写真領域を処理対象に選択する(ステップS111)。画像データから抽出された複数の領域のうち、写真属性の領域のみを処理対象に選択する。
【0119】
次のステップS112においては、削減率が20%より小さいか否かを判断する。削減率が20%より小さいならば処理をステップS113に進めるが、そうでなければ処理をステップS114に進める。ステップS113においては、ステップS111において選択された写真領域のうちから面積の小さな領域から順に1つを選択し、処理をステップS115に進める。ステップS114においては、ステップS111において選択された写真領域のうちから面積の大きな領域から順に1つを選択し、処理をステップS115に進める。
【0120】
ステップS115においては、ステップS113またはステップS114において選択された写真領域を減色する。これにより、画像データが部分的に減色され、データ量が減少する。次のステップS116においては、減色した後の画像データのデータ量が目標値以下となったか否かを判断する。データ量が目標値以下ならば処理を図11に示した文字属性優先処理、図12に示した図形属性優先処理または図13に示した写真属性優先処理のいずれかに戻す。データ量が目標値以下でなければ、処理をステップS117に進める。
【0121】
ステップS117においては、次に処理対象として選択するべき写真領域が存在するか否かを判断する。未処理の写真領域が存在するならば、処理をステップS112に戻し、そうでなければ処理を図11に示した文字属性優先処理、図12に示した図形属性優先処理または図13に示した写真属性優先処理のいずれかに戻す。
【0122】
図15は、図形属性削減処理の流れの一例を示す第1のフローチャートである。図形属性削減処理は、図11におけるステップS54およびステップS61、図12におけるステップS76、図13におけるステップS92およびステップS103において実行される処理である。図15を参照して、図形属性の図形領域を処理対象に選択する(ステップS121)。画像データから抽出された複数の領域のうち、図形属性の領域のみを処理対象に選択する。
【0123】
次のステップS122においては、削減率が20%より小さいか否かを判断する。削減率が20%より小さいならば処理をステップS123に進めるが、そうでなければ処理をステップS124に進める。ステップS123においては、ステップS121において選択された図形領域のうちから面積の小さな領域から順に1つを選択し、処理をステップS125に進める。ステップS124においては、ステップS121において選択された図形領域のうちから面積の大きな領域から順に1つを選択し、処理をステップS125に進める。
【0124】
ステップS125においては、ステップS123またはステップS124において選択された図形領域を減色する。これにより、画像データが部分的に減色され、データ量が減少する。次のステップS126においては、減色した後の画像データのデータ量が目標値以下となったか否かを判断する。データ量が目標値以下ならば処理を図11に示した文字属性優先処理、図12に示した図形属性優先処理または図13に示した図形属性優先処理のいずれかに戻す。データ量が目標値以下でなければ、処理をステップS127に進める。
【0125】
ステップS127においては、次に処理対象として選択するべき図形領域が存在するか否かを判断する。未処理の図形領域が存在するならば、処理をステップS122に戻し、そうでなければ処理を図11に示した文字属性優先処理、図12に示した図形属性優先処理または図13に示した図形属性優先処理のいずれかに戻す。
【0126】
図16は、文字属性削減処理の流れの一例を示す第1のフローチャートである。文字属性削減処理は、図11におけるステップS56、図12におけるステップS74およびステップS81、図13におけるステップS94およびステップS101において実行される処理である。図16を参照して、文字属性の文字領域を処理対象に選択する(ステップS131)。画像データから抽出された複数の領域のうち、文字属性の領域のみを処理対象に選択する。
【0127】
次のステップS132においては、削減率が20%より小さいか否かを判断する。削減率が20%より小さいならば処理をステップS133に進めるが、そうでなければ処理をステップS134に進める。ステップS133においては、ステップS131において選択された文字領域のうちから面積の小さな領域から順に1つを選択し、処理をステップS135に進める。ステップS134においては、ステップS131において選択された文字領域のうちから面積の大きな領域から順に1つを選択し、処理をステップS135に進める。
【0128】
ステップS135においては、ステップS133またはステップS134において選択された文字領域を2値化する。これにより、画像データが部分的に2値化され、データ量が減少する。次のステップS136においては、2値化した後の画像データのデータ量が目標値以下となったか否かを判断する。データ量が目標値以下ならば処理を図11に示した文字属性優先処理、図12に示した文字属性優先処理または図13に示した文字属性優先処理のいずれかに戻す。データ量が目標値以下でなければ、処理をステップS137に進める。
【0129】
ステップS137においては、次に処理対象として選択するべき文字領域が存在するか否かを判断する。未処理の文字領域が存在するならば、処理をステップS132に戻し、そうでなければ処理を図11に示した文字属性優先処理、図12に示した文字属性優先処理または図13に示した文字属性優先処理のいずれかに戻す。
【0130】
<削減処理の変形例>
上述した削減処理においては、削減率に応じて、複数の領域から1つを選択する順を面積の大きい順または小さい順のいずれかに決定していた。変形例における削減処理においては、写真属性の写真領域および図形属性の図形領域については、処理対象の領域を選択する順を、類似する色の数が多い順とし、文字属性の文字領域については、文字のサイズの大きい順とするものである。類似する色の数が多い順とは、処理対象の領域に含まれる複数の画素がそれぞれ有する複数の色(画素値)のうち、1色にまとめることのできる色の範囲(予め定められた画素値の範囲内)に含まれる色の数(異なる画素値の数)が多い順である。
【0131】
図17は、写真属性削減処理の流れの一例を示す第2のフローチャートである。図17を参照して、図14に示した写真属性削減処理と異なる点は、ステップS112およびステップS113がステップS112AおよびステップS113Aにそれぞれ変更された点、ステップS114を削除した点である。その他の処理は図14に示したのと同じなのでここでは説明を繰り返さない。
【0132】
ステップS112Aにおいては、写真領域ごとに類似色を検出する。次のステップS113Aにおいては、類似色の数が多い領域から順に選択し、処理をステップS115に進める。類似色の数が多い写真領域は、減色処理を実行することによりデータの削減率が高いとともに、減色前後で画像の変化が目立たない。このため、データ削減率が高い順に減色処理を実行するので、効率的にデータ量を削減することができる。
【0133】
図18は、図形属性削減処理の流れの一例を示す第2のフローチャートである。図18を参照して、図15に示した図形属性削減処理と異なる点は、ステップS122およびステップS123がステップS122AおよびステップS123Aにそれぞれ変更された点、ステップS124を削除した点である。その他の処理は図15に示したのと同じなのでここでは説明を繰り返さない。
【0134】
ステップS122Aにおいては、図形領域ごとに類似色を検出する。次のステップS123Aにおいては、類似色の数が多い領域から順に選択し、処理をステップS125に進める。類似色の数が多い図形領域は、減色処理を実行することによりデータの削減率が高い。このため、データ削減率が高い順に減色処理を実行するので、効率的にデータ量を削減することができる。
【0135】
図19は、文字属性削減処理の流れの一例を示す第2のフローチャートである。図19を参照して、図16に示した文字属性削減処理と異なる点は、ステップS132およびステップS133がステップS132AおよびステップS133Aにそれぞれ変更された点、ステップS134を削除した点である。その他の処理は図16に示したのと同じなのでここでは説明を繰り返さない。
【0136】
ステップS132Aにおいては、文字領域ごとに文字のサイズを検出する。次のステップS133Aにおいては、文字サイズの大きな領域から順に選択し、処理をステップS135に進める。文字サイズの小さな領域を2値化すると、文字が潰れて読めなくなってしまう場合がある。このため、文字サイズの大きな領域から2値化することにより、文字サイズの小さな領域をできるだけ2値化しないようにして、文字が潰れて読めなくなってしまうのを防止することができる。また、所定の文字サイズの大きさの領域まで2値化して、所定の文字サイズ以下の文字領域を2値化しないようにしてもよい。
【0137】
以上説明したように、本実施の形態における画像処理装置としてのMFP100は、画像データから抽出された複数の文字領域、図形領域および写真領域から1つが、画像データのデータ量がユーザにより設定された目標値以下になるまで順に選択され、選択された領域が文字領域の場合に2値化、図形領域または写真領域の場合に減色され、その結果、画像データのデータ量が目標値以下に削減される。このため、画像データの一部部分のみを2値化または減色するので、画像データの2値化または減色される部分の画質が低下するが、他の部分の画質は低下しないようにすることができる。また、画像データのデータ量が目標値に近いデータ量にすることができる。
【0138】
また、取得された画像データのデータ量の目標値に対する比率(削減率)が小さい場合に、面積の小さな領域から順に2値化または減色するので画質が低下する部分を可能な限り小さくすることができ、画質を優先させることができる。一方、削減率が大きな場合に面積の大きな領域から順に2値化または減色するので処理効率を優先させることができる。
【0139】
また、文字属性、図形属性および写真属性のうちから選択する順を決定し、決定された順番で属性が選択され、選択された属性の領域から順に2値化または減色する。このため、画質が低下しない属性と、低下する属性とを分けることができる。さらに、ユーザにより指示された属性を優先し、ユーザにより指示されなかった属性の領域を先に2値化または減色する。このため、ユーザにより指示された属性の領域の画質が低下するのを防止することができる。
【0140】
また、文字属性、図形属性および写真属性のうちから占有率が小さいものから順に属性を選択するので、占有率の小さい属性の領域から順に画質が低下する。このため、占有率の大きな属性の領域の画質が低下するのを防止することができる。画質の低下する面積を小さくすることができる。
【0141】
また、文字領域が複数の場合、文字サイズの大きい順に2値化し、図形属性または写真属性が複数の場合に、類似する色の数の多い順に減色する。この局面に従えば、文字サイズの小さい文字領域の画質が低下するのを防止して、文字が潰れて読めなくなるのを防止し、類似する色の数が多い写真領域または図形領域を優先して減色するので、データ量を削減する効率を高め、減色による画質劣化を抑えることができる。
【0142】
なお、本実施の形態においては、図形属性の図形領域、写真属性の写真領域のデータ量を削減するために、画像データを部分的に減色するようにしたが、これに代えて、またはこれに加えて、画像データを部分的にJPEG圧縮してもよいし、解像度変換するようにしてもよい。また、データ削減処理においては、ビットマップの画像データを生成する場合を例に説明したが、ビットマップの画像データを、図形領域または写真領域のみの画像と、文字領域のみの画像とに分離し、図形領域または写真領域のみの画像をJPEG等の圧縮方式で圧縮し、文字領域のみの画像をMMR等の圧縮方式で圧縮し、圧縮後の量データを合成した1つの合成データに変換するようにしてもよい。
【0143】
また、上述した実施の形態においては、属性を選択するようにしたが、2値化または減色する領域を、ユーザが指定し、ユーザにより指定された領域に含まれる文字領域、図形領域および写真領域を、2値化または減色するようにしてもよい。このようにすることで、ユーザが重要でないと考える部分を指定することができるので、重要と考える部分の画質が低下しないようにすることができる。
【0144】
また、上述した実施の形態においては画像処理装置の一例としてMFP100について説明したが、画像データを処理する機能を備えた装置であれば、スキャナ、プリンタ、コンピュータ等であってもよい。さらに、図7、または図10〜図19に示した処理をMFP100等の画像処理装置に実行させるためのデータ削減方法、およびそのデータ削減方法をコンピュータに実行させるためのデータ削減プログラムとして発明を捉えることができるのは言うまでもない。
【0145】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の実施の形態の一つにおける画像処理システムの全体概要を示す図である。
【図2】MFPの外観を示す斜視図である。
【図3】MFPのハード構成の一例を示すブロック図である。
【図4】ファイル形式選択画面の一例を示す図である。
【図5】画像処理部の機能の一例を示す機能ブロック図である。
【図6】ファイル容量設定画面の一例を示す図である。
【図7】データ量削減処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図8】変形例におけるMFPが備える画像処理部が有する機能の概要を示す機能ブロック図である。
【図9】オプション設定画面の一例を示す図である。
【図10】変形例におけるデータ削減処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図11】文字属性優先処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図12】図形属性優先処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図13】写真属性優先処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図14】写真属性削減処理の流れの一例を示す第1のフローチャートである。
【図15】図形属性削減処理の流れの一例を示す第1のフローチャートである。
【図16】文字属性削減処理の流れの一例を示す第1のフローチャートである。
【図17】写真属性削減処理の流れの一例を示す第2のフローチャートである。
【図18】図形属性削減処理の流れの一例を示す第2のフローチャートである。
【図19】文字属性削減処理の流れの一例を示す第2のフローチャートである。
【符号の説明】
【0147】
1 画像処理システム、2 ネットワーク、3,3A,3B,3C コンピュータ、4 デジタルカメラ、5 デジタルビデオカメラ、6 携帯情報端末、9 操作パネル、10 ADF、20 画像読取部、30 画像処理部、40 画像形成部、50 給紙部、51 画像データ取得部、53 領域抽出部、55 目標値設定部、57 比較部、59,59A 選択部、61 削減率算出部、63 選択順決定部、65 属性順決定部、67 属性選択部、71 削減部、73 2値化部、75 減色部、101 メイン回路、111 CPU、112 RAM、113 ROM、114 表示部、115 操作部、116 HDD、117 データ通信制御部、118 LAN端子、119 シリアル通信インターフェース端子、119A メモリカード、121 ファクシミリ部、123 通信制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記取得された画像データから予め定められた属性の領域を抽出する領域抽出手段と、
前記領域抽出手段により抽出された複数の領域から1つを選択する選択手段と、
前記選択された領域を該領域の属性に対して予め定められた方法で処理し、前記画像データのデータ量を削減する削減手段と、
前記削減手段によりデータ量が削減された後の画像データのデータ量を予め定められた目標値と比較する比較手段と、を備え、
前記選択手段は、前記比較手段により画像データのデータ量が前記目標値以下になるまで、前記複数の領域から1つを選択する、画像処理装置。
【請求項2】
前記目標値に対する前記取得された画像データのデータ量の比率を算出する削減率算出手段をさらに備え、
前記選択手段は、前記算出された比率に基づいて、前記抽出された複数の領域のうちから1つを選択する順を決定する選択順決定手段を含む、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記選択順決定手段は、前記算出された比率が所定の値より小さければ面積の小さい順に決定し、前記算出された比率が前記所定の値以上ならば面積の大きい順に決定する、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記領域抽出手段は、予め定められた複数の属性それぞれの領域を抽出し、
前記選択手段は、前記複数の属性のうちから1つを選択する順番を決定する属性選択順序決定手段と、
前記決定された順番に従って、前記複数の属性のうちから1つを選択する属性選択手段と、を含み、
前記抽出された複数の領域から前記選択された属性の1つの領域を選択する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記属性選択順序決定手段は、ユーザにより指示された属性を優先し、ユーザにより指示されなかった属性を選択する、請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記属性選択順序決定手段は、前記抽出された複数の領域の面積を同じ属性で合算することにより前記複数の属性ごとの総面積を算出し、前記画像データに占める総面積の割合(占有率)が小さいものから順に1つの属性を選択する、請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記目標値に対する前記取得された画像データのデータ量の比率を算出する削減率算出手段をさらに備え、
前記選択手段は、前記選択された属性の領域が複数の場合、前記算出された比率に基づいて、前記選択された属性の複数の領域のうちから1つを選択する順を決定する選択順決定手段を、をさらに含む、請求項5または6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記選択順決定手段は、前記算出された比率が所定の値より小さければ面積の小さい順に決定し、前記算出された比率が前記所定の値以上ならば面積の大きい順に決定する、請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記選択手段は、前記選択された属性の領域が複数の場合、前記選択された属性が文字を含む領域を示す文字属性の場合に文字サイズの大きい順に決定し、前記選択された属性が図形を含む領域を示す図形属性または写真を含む領域を示す写真属性の場合に類似する色の数の多い順に決定する選択順決定手段を、さらに含む請求項5または6に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記削減手段は、前記複数の領域のうち文字を含む領域を示す文字属性の領域を2値化する2値化手段と、前記複数の領域のうち図形を含む領域を示す図形属性または写真を含む写真属性の領域の色数を減らす減色手段と、を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記画像データ取得手段は、原稿を読み取って画像データを出力する読取手段を含み、
前記読取手段は、予め定められた設定値に従って原稿を読み取る、請求項1〜10のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項12】
画像データを取得するステップと、
前記取得された画像データから予め定められた属性の領域を抽出するステップと、
前記抽出された複数の領域から1つを選択するステップと、
前記選択された領域を該領域の属性に対して予め定められた方法で処理し、前記画像データのデータ量を削減するステップと、
前記削減するステップにおいてデータ量が削減された後の画像データのデータ量を予め定められた目標値と比較するステップと、
前記比較するステップにおいてデータ量が削減された後の画像データのデータ量が前記目標値以下になるまで、前記選択するステップ、前記削減するステップを繰り返すステップと、を含むデータ量削減方法。
【請求項13】
画像データを取得するステップと、
前記取得された画像データから予め定められた属性の領域を抽出するステップと、
前記抽出された複数の領域から1つを選択するステップと、
前記選択された領域を該領域の属性に対して予め定められた方法で処理し、前記画像データのデータ量を削減するステップと、
前記削減するステップにおいてデータ量が削減された後の画像データのデータ量を予め定められた目標値と比較するステップと、
前記比較するステップにおいてデータ量が削減された後の画像データのデータ量が前記目標値以下になるまで、前記選択するステップ、前記削減するステップを繰り返すステップと、をコンピュータに実行させるデータ量削減プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−157811(P2010−157811A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333716(P2008−333716)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】