説明

画像処理装置、ファイルの保存先フォルダ決定方法及び同決定プログラム

【課題】読取手段により読み取った画像データのファイルを保存すべき最も適したフォルダを自動的に決定して保存させることができる画像処理装置等を提供する。
【解決手段】原稿が読取手段18で読み取られ、文字認識手段14により前記画像データから文字が抽出され、さらに、フォルダ情報取得手段16を介してユーザの送信先のフォルダ情報が取得される。取得されたフォルダ情報に基づいて、文字認識手段14により抽出された文字にフォルダの名称が含まれているか否かが判定され、名称が含まれている最も下位階層のフォルダが、前記ファイルの最終保存先フォルダと決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スキャナ部で読み取った画像データのファイルを情報処理機器の指定フォルダに送信する機能を有する画像処理装置、同装置で実施されるファイルの保存先フォルダ決定方法、及びファイルの保存先フォルダ決定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複写機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を備えた多機能デジタル画像形成装置であるMFP(Muiti Function Peripherals) 等では、画像読取装置であるスキャナが搭載され、紙媒体資料を全て電子化できるように構成されたものが多い。
【0003】
また、電子化された画像データのファイルを、ユーザの情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ:PC)内に設定されているテンポラリフォルダ(temporaly folder)に対して「Scan to Ftp」や「Scan to Smb」等の方式により、送信して保存できるように構成されたものも存在する。
【0004】
その場合、ユーザは、テンポラリフォルダに保存した画像データのファイルを、その内容に応じて希望のフォルダに手作業操作で移動させているのが一般的である。
【0005】
また、従来より、メール受信ソフト等を使用して指定のフォルダに対して振り分ける機能をもった技術が知られており、フォルダ毎に検索キーワードや条件を設定し、該当するデータを保存することができるようになっている。
【0006】
また、従来、「文書毎のキーワード表」と「キーワード毎の文書ID表」の2つの情報をデータベースに用意しておき、ある文書とその文書の関連文書を保存する場合に、関連するキーワードをフォルダとして生成し、階層化して文書を保存することにより、関連性と視認性を向上させた技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−25940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来のように、テンポラリフォルダに読み取られた画像データのファイルを送信して保存し、その保存ファイルを内容に応じて希望のフォルダに移動させる作業を手動で行うのでは、頻繁にそのような作業が発生した場合、実に面倒であるという問題がある。
【0009】
例えば、定例会議の資料の場合、会議終了後にその資料をMFPの読取装置により画像データとし、その画像データのファイルをユーザPC内のテンポラリフォルダに送信し、その後、該テンポラリフォルダ内のファイルをコピー操作、移動操作等により会議資料保存用のフォルダに移動させる作業を手動で行う場合、このコピー操作、移動操作が多いと、作業がかなり煩わしいものとなる。
【0010】
また、メール受信ソフト等を使用して指定のフォルダに対して振り分ける機能を持った技術では、フォルダ毎に検索キーワードや条件を設定する必要があり、やはり手間がかかる。
【0011】
また、前記特許文献1に記載の技術のように、複数の文書の関連を示すキーワードをフォルダとして生成して階層化したものでは、フォルダで区別ができるものの、予め用意したデータベースに応じて自動的にフォルダを生成する構成であるから、ユーザの意図したフォルダ構成になるとは限らないという問題がある。
【0012】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、読取手段により読み取った画像データのファイルを保存すべき最も適したフォルダを自動的に決定して保存させることができる画像処理装置、及び同装置で実施されるファイルの保存先フォルダ決定方法を提供し、さらには前記保存先フォルダ決定方法を画像処理装置のコンピュータに実行させるためのファイルの保存先フォルダ決定プログラムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)原稿を読み取る読取手段と、前記読取手段で読み取られた原稿の画像データのファイルを外部装置の送信先のフォルダに送信するための送信手段と、前記ファイル送信先のフォルダの階層関係及びフォルダ名称を含むフォルダ情報を取得するフォルダ情報取得手段と、前記画像データから文字を抽出する文字認識手段と、前記フォルダ情報取得手段により取得したフォルダ情報に基づいて、前記文字認識手段により抽出された文字にフォルダの名称が含まれているか否かを判定するとともに、名称が含まれている最も下位階層のフォルダを、前記ファイルの最終保存先フォルダと決定する保存先フォルダ決定手段と、前記保存先フォルダ決定手段により決定された最終保存先フォルダに、前記ファイルを保存させる制御手段と、を備えていることを特徴とする画像処理装置。
(2)前記送信手段により前記ファイルを送信先の最上位のルートフォルダへ送信した後に、前記保存先フォルダ決定手段は、文字認識手段により抽出された文字にフォルダの名称が含まれているか否かを、上位階層のフォルダから下位階層のフォルダへと順に判定して、ファイルの最終保存先フォルダを決定し、前記制御手段は、前記ルートフォルダに送信したファイルを、前記最終保存先フォルダに移動させる前項1に記載の画像処理装置。
(3)画像データから抽出された文字に名称が含まれているが最終保存先でないフォルダに、ファイルのショートカットが作成される前項2に記載の画像処理装置。
(4)前記原稿画像の読み取り開始後、前記ファイルが最終保存先フォルダに保存されるまでの自装置の処理状況を表示する表示手段を備えている前項1ないしは3のいずれかに記載の画像処理装置。
(5)前記保存先フォルダ決定手段は、同一階層の複数のフォルダ名称が前記ファイルの別ページに含まれていた場合には、該当ページを境界としてファイルを分割し、分割されたファイルに対応するフォルダをそのファイルの最終保存先フォルダと決定する前項1ないしは4のいずれかに記載の画像処理装置。
(6)前記保存先フォルダ決定手段は、同一階層の複数のフォルダ名称が前記ファイルの別ページに含まれていた場合には、該当ページのみを1つのファイルに分割し、分割されたファイルに対応するフォルダをそのファイルの最終保存先フォルダと決定する前項1ないしは4のいずれかに記載の画像処理装置。
(7)原稿を読み取る読取ステップと、前記読取ステップにおいて読み取られた原稿の画像データのファイルを外部装置の送信先のフォルダに送信する送信ステップと、前記ファイル送信先のフォルダの階層関係及びフォルダ名称を含むフォルダ情報を取得するフォルダ情報取得ステップと、前記画像データから文字を抽出する文字認識ステップと、前記フォルダ情報取得ステップにおいて取得したフォルダ情報に基づいて、前記文字認識ステツプにおいて抽出された文字にフォルダの名称が含まれているか否かを判定するとともに、名称が含まれている最も下位階層のフォルダを、前記ファイルの最終保存先フォルダと決定する保存先フォルダ決定ステップと、前記保存先フォルダ決定ステップにおいて決定された最終保存先フォルダに、前記ファイルを保存させる制御ステツプと、を備えている、画像処理装置におけるファイルの保存先フォルダ決定方法。
(8)原稿を読み取る読取ステップと、前記読取ステップにおいて読み取られた原稿の画像データのファイルを外部装置の送信先のフォルダに送信する送信ステップと、前記ファイル送信先のフォルダの階層関係及びフォルダ名称を含むフォルダ情報を取得するフォルダ情報取得ステップと、前記画像データから文字を抽出する文字認識ステップと、前記フォルダ情報取得ステップにおいて取得したフォルダ情報に基づいて、前記文字認識ステツプにおいて抽出された文字にフォルダの名称が含まれているか否かを判定するとともに、名称が含まれている最も下位階層のフォルダを、前記ファイルの最終保存先フォルダと決定する保存先フォルダ決定ステップと、前記保存先フォルダ決定ステップにおいて決定された最終保存先フォルダに、前記ファイルを保存させる制御ステツプと、を、画像処理装置のコンピュータに実行させるためのファイルの保存先フォルダ決定プログラム。
【発明の効果】
【0014】
前項(1)に記載の発明によれば、原稿が読取手段で読み取ってが像データとなされ、文字認識手段により前記画像データから文字が抽出され、さらに、フォルダ情報取得手段を介してユーザの送信先のフォルダ情報が取得される。取得されたフォルダ情報に基づいて、前記文字認識手段により抽出された文字にフォルダの名称が含まれているか否かが判定され、名称が含まれている最も下位階層のフォルダが、前記ファイルの最終保存先フォルダと決定される。
【0015】
従って、画像データのファイルを保存したいフォルダの名称として、画像データ内に含まれている文字の一部を採用しておくことで、そのファイルの保存先としてそのフォルダが自動的に決定されるから、ユーザは従来のようにファイルを所定のフォルダにコピー操作したり移動操作する必要はなくなり、そのファイルに最も適したフォルダに自動的に保存させることができる。
【0016】
前項(2)に記載の発明によれば、ファイルはルートフォルダへ送信された後に最終保存先フォルダに保存される。
【0017】
前項(3)に記載の発明によれば、ユーザは最終保存先フォルダが決定されるまでの状況を容易に把握できる。
【0018】
前項(4)に記載の発明によれば、原稿画像の読み取り開始後、ファイルが最終保存先フォルダに保存されるまでの装置の処理状況を確認することができる。
【0019】
前項(5)に記載の発明によれば、同一階層の複数のフォルダ名称がファイルの別ページに含まれていた場合には、該当ページを境界としてファイルが分割され、これらの分割されたファイルが対応するフォルダに保存される。
【0020】
前項(6)に記載の発明によれば、同一階層の複数のフォルダ名称がファイルの別ページに含まれていた場合には、該当ページのみが1つのファイルに分割され、これらの分割されたファイルが対応するフォルダに保存される。
【0021】
前項(7)に記載の発明によれば、画像データのファイルを保存したいフォルダの名前として、画像データ内に含まれている文字の一部を採用しておくことで、そのファイルの保存先としてそのフォルダが自動的に決定されるから、ユーザは従来のようにファイルを所定のフォルダにコピー操作したり移動操作する必要はなくなり、そのファイルに最も適したフォルダに自動的に保存させることができる。
【0022】
前項(8)に記載の発明によれば、ファイルを最も適したフォルダに自動的に保存させる処理を、画像処理装置のコンピュータに実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施形態に係る画像処理装置が用いられたファイル送信システムを示す概略構成図である。
【図2】図1の画像処理装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】ファイルの送信処理を示すフローチャートである。
【図4】ファイルの保存先のフォルダ構造の説明図である。
【図5】図3のフローチャートにおける保存先フォルダ決定処理(ステップS5)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図6】ファイルの送信処理の実行中に表示手段に表示された実行中履歴の画面を示す図である。
【図7】図6の画面から遷移した詳細画面を示す図である。
【図8】送信したファイルの最終保存先決定後のフォルダ構成図である。
【図9】ページ分割の処理結果の説明図である。
【図10】ページ分割の別の処理結果の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は、この発明の一実施形態に係る画像処理装置が用いられたファイル送信システムを示す概略構成図である。
【0026】
図1において、このファイル送信システムは、画像処理装置1と、外部の情報処理装置としてのユーザ端末である例えばパーソナルコンピュータ(PCという)2とを備えており、これら画像処理装置1とPC2とは、LAN等のネットワーク3を介して接続されている。
【0027】
図2は、画像処理装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【0028】
この実施形態では、画像処理装置1として多機能デジタル画像形成装置である前述のMFPが用いられている。なお、以下の説明では、画像処理装置をMFPとも記す。
【0029】
図2において、MFP1は、通信手段11と、表示手段12と、操作指示手段13と、文字認識手段14と、記憶手段15と、フォルダ情報取得手段16と、保存先フォルダルート解析手段17と、読取手段18と、制御手段19を備えている。
【0030】
前記通信手段11は、ユーザPC2との間でのデータの授受を行う送受信機能を有している。
【0031】
前記表示手段12は、例えばタッチパネル式の液晶表示装置等からなり、ユーザが設定した送信宛先等の設定情報やユーザによる操作情報、ならびにジョブ(JOB)の実行状況やJOB履歴等を表示するためのものである。
【0032】
前記操作指示手段13は、ユーザがJOBの投入や各種設定等の操作を行うためのものであり、スタートキー、ストップキー等のハードキー等を有しており、前記表示手段12と共に操作パネルを構成する。
【0033】
前記文字認識手段14は、光学式文字読取装置(OCR)を使用して、読取手段18で読み取られた原稿の画像データ(入力画像データともいう)中の文字を抽出してテキストデータに変換するものである。
【0034】
前記記憶手段15は、読取手段18で得られた入力画像データやユーザが入力した設定情報等を保存するためのものであり、例えばハードディスク装置(HDD)等が用いられている。
【0035】
前記フォルダ情報取得手段16は、前記通信手段11を介して入力画像データの送信先であるPC2内のフォルダの階層関係及びフォルダ名称を含むフォルダ情報を取得するものである。
【0036】
前記保存先フォルダルート解析手段17は、前記入力画像データのファイルをユーザPC2の送信先フォルダ内のどのフォルダに保存するかを決定するものである。具体的には、フォルダ情報取得手段16により取得したフォルダ情報に基づいて、文字認識手段14により抽出された入力画像データ中の文字に、送信先のフォルダの名称が含まれているか否かを、上位階層のフォルダから下位階層のフォルダへと順に判定する。そして、名称が含まれている最も下位のフォルダを、前記ファイルの最終保存先フォルダと決定する。
【0037】
前記読取手段18は、原稿画像を読み取って電子データである画像データに変換するスキャナである。読み取られた入力画像データはファイルとして「Scan to XXX」により外部に送信されるようになっている。
【0038】
前記制御部19は、MFP1の全体動作を統括的に制御するものであり、図示しないCPU、ROM、RAM等により構成されている。
【0039】
なお、「Scan to XXX」とは、前記入力画像データを、ネットワーク3を介して外部の情報処理装置、例えばPC2に対してファイル送信する機能である。送信するためのプロトコルは、「Ftp」「Smb」等、送信先のフォルダ階層の指定を行うことが可能なものであれば、特に限定はしない。
【0040】
図3は、「Scan to XXX」による入力画像データのファイルの送信処理を示すフローチャートである。この処理は、MFP1の制御部19のCPUがROM等の記録媒体に記録された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0041】
図3において、ステップS1では、自動原稿搬送装置(ADF)あるいはプラテンガラス上にセットされた紙媒体(原稿)の画像を読み取って、画像データ(入力画像データ)を取得する。
【0042】
ステップS2では、「Scan to XXX」でユーザが指定したPC2内の送信先のフォルダ情報を取得する。
【0043】
図4に、送信先であるPC2内のフォルダの構成を示す。ルート(root)フォルダFは、ユーザが送信先のフォルダとして設定を行うフォルダであり、最上位のフォルダである。ルートフォルダFの下位階層に「○○会議」フォルダF1があり、さらにその「○○会議」フォルダF1の下位階層に「議事録」フォルダF11と「報告書」フォルダF12の2つのフォルダが存在している。ステップS2では、その情報(フォルダ名称と各フォルダの階層関係)を取得する。
【0044】
ステップS3では、ステップS1で取得した画像データ内の文字をOCRを用いて抽出するともに、テキスト情報に変換する。次いで、ステップS4では、入力画像データのファイルをユーザが指定した送信先であるルートフォルダに送信する。ファイルをルートフォルダに送信するのは次の理由による。即ち、フォルダの振り分け先(最終保存先)をその後MFP1が自動決定するが、その決定を待たなくても、送信されたファイルの表示や移動・コピー等の利用をユーザが可能とするためである。なお、最終保存先の決定を待ち、決定後に最終保存先にファイルを送信しても良い。
【0045】
次いで、ステップS5で、ファイルの最終保存先フォルダの決定処理を実行する。
【0046】
なお、この実施形態では、読取手段18による原稿画像の読み取り開始後、ファイルが最終保存先フォルダに保存されるまでのMFP1の処理状況を表示手段12に表示するものとなされている。例えば、ステップS1で原稿画像の読み取りが開始されると、MFP1のステータスが変更され、表示手段12には「入力中」のメッセージが表示される。また、ステップS4でファイルのルートフォルダへの送信が開始されると、ステータスが変更され、表示手段12に「ルートフォルダ送信中」が表示される。
【0047】
このように、自装置の処理状況が表示手段12に表示されることで、ユーザは処理状況を確認することができる。
【0048】
図5は、図3のフローチャートにおけるステップS5の保存先フォルダ決定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0049】
図5の保存先フォルダ決定処理が開始されると、MFP1のステータスが変更され、表示手段12には「サブフォルダ解析中」のメッセージが表示される。
【0050】
ステップS51で、前記取得した送信先のフォルダ情報に基づいて、同一階層にフォルダが存在するか否かを判断する。同一階層にフォルダが存在すれば(ステップS51でYES)、ステップS52では、入力画像データから抽出された文字から同一階層の全てのフォルダ名称の文字列を検索し、ステップS53に進む。
【0051】
ステップS53では、フォルダ名称の文字列の検索結果から、入力画像データ内の文字にフォルダ名称の文字列が含まれている否かを判定する。文字列が存在すれば(ステップS53でYES)、ステップS54では、同一フォルダの階層に遷移する。遷移を行った場合には、ステップS55で、遷移元のフォルダに、図3のステップS3で送信した入力画像データ(ファイル)のエイリアス(ショートカット)を作成してから、ステップS51に戻る。
【0052】
このエイリアスの作成によって、ユーザがリアルタイムで解析状況を把握できるようになる。エイリアスが作成されると、MFP1のステータスが変更され、表示手段12には「サブフォルダ解析中(フォルダパス保存)」が表示される。
【0053】
上記ステップS51〜S55の処理を繰り返しているうちで、下位階層にフォルダが存在しない場合(ステップS51でNO)、あるいは入力画像データ内の文字から同一階層のフォルダ名称の文字列が存在しなくなった場合、つまり、ルートフォルダを解析開始位置として下位階層まで下ってフォルダ名称が見つからなくなったフォルダ(解析終了位置のフォルダ)があった場合(ステップS53でNO)、その下位階層位置のフォルダつまりフォルダ名称が含まれている最も下位階層のフォルダが、最終保存先のフォルダとして決定される。
【0054】
ステップS56では、最終保存先として決定された前記フォルダへのファイルの移動をPC2に行わせる。この状態では、MFP1のステータスは「送信中」に変更され、表示手段12に表示される。
【0055】
ファイルの移動が完了すると、MFP1のステータスは「完了」に変更され、表示手段12に表示される。
【0056】
なお、ファイルの移動は、図3のステップS4で送信されたファイルに対して行われる。このようなアルゴリズムにより、ルートフォルダから振り分け先(最終保存先)フォルダまでの軌跡に、エイリアスが残ることになるが、振り分け先の決定後エイリアスを削除させるか否かは特に限定されるものではない。
【0057】
ここで、具体的に図4に示す「○○会議議事録」の文字列が存在する入力画像データのファイルを送信した場合を例に説明する。
【0058】
図4において、入力完了時にルートフォルダFに送信を行う。ルートフォルダFには、フォルダ名称が「○○会議」のフォルダF1が存在するため、「○○会議」の文字列を入力画像データの抽出文字から検索し、入力画像データの抽出文字にフォルダ名称「○○会議」の文字列が含まれているか否かが判定され、含まれていれば、「○○会議」フォルダF1に遷移し、ルートフォルダFにエイリアス(ショ−トカット)の作成が行われる。
【0059】
ついで、「○○会議」フォルダF1には、下位階層として、ファイル名称が「議事録」のフォルダ11と、ファイル名称が「報告書」のフォルダF12とが存在するため、2つのフォルダF11,F12の文字列を前記と同様に入力画像データの抽出文字から検索する。
【0060】
例えばフォイル名称「議事録」の文字が画像データ中の文字に一致すれば、「議事録」フォルダF11に遷移し、「○○会議」フォルダF1にはエイリアス(ショ−トカット)が作成される。なお、「議事録」フォルダF11には、下位階層のフォルダが存在しないため、「議事録」フォルダF11がデータの振り分け先(最終保存先)フォルダとして決定される。決定された振り分け先のフォルダF11に対してルートフォルダF内のファイルの移動が行われる。
【0061】
このように、この実施形態では、画像データのファイルを保存したいフォルダの名称として、画像データ内に含まれている文字の一部を採用しておけば、そのファイルの保存先としてそのフォルダが自動的に決定されるから、ユーザは従来のようにファイルを所定のフォルダにコピー操作したり移動操作する必要はなくなり、そのファイルに最も適したフォルダに自動的に保存させることができる。
【0062】
図6は、最終保存先フォルダの決定処理中に表示手段12に表示された処理状況(ステータス)を示す図である。
【0063】
図6において、表示手段12の画面D1には、JobIDが「1234」、JobTypeが「Scan送信」、StatuSが「○○会議フォルダ解析中」と表示されており、また、画面D1の右下には、図7の画面D2に遷移するための「詳細ボタン」100が表示されている。
【0064】
この「詳細ボタン」100を押下すると、図7に示すような詳細画面D2に遷移し、この画面D2から、フォルダ解析処理の進捗状況(フォルダ階層の検索履歴、エイリアス情報等)を確認することができる。
【0065】
図7の画面D2において、この例では、JobID「124」について、「○○会議」フォルダF1について解析中であることが表示されている。
【0066】
図8は、最終保存先決定後のフォルダ構成図である。フォルダの振り分けルートの解析による最終保存先フォルダF11の決定後、ファイルがロートフォルダFから前記決定された最終保存先のフォルダF11に移動され手居る。一方、名称が入力画像データから抽出された文字に含まれていると判定されたが最終保存先ではないフォルダ(例えば○○会議フォルダF1)には、入力画像データ(ファイル)のエイリアス(ショ−トカット)が作成されている。なお、ルートフォルダFにもエイリアスが作成されている。これらのエイリアスは、処理終了後に削除しても残してもどちらでもよい。
【0067】
また、このエイリアスは、フォルダルートの解析中に、解析状況を確認しやすくするために、図5のステップS54の次のフォルダへの遷移が確定次第、随時作成することとする。
【0068】
つぎに、前記保存先フォルダルート解析手段17による解析結果、同一階層の複数のフォルダ名称が全て別ページに含まれていた場合の処理について、図9を参照して説明する。
【0069】
図9において、同一階層の複数のフォルダ名称が全て別ページに含まれていた場合には、その該当ページを境界としてファイルを分割し、該分割ファイルを該当する名称のフォルダへ別々に保存させる。
【0070】
具体的には、入力画像データの抽出文字列に、同一階層の複数フォルダの各名称が別ページに含まれていた場合は、含まれているページを区切りとして、ファイルの分割を行い、分割された各ファイルを対応する名称のフォルダへ保存させる。
【0071】
図9の例では、ファイルの1ページに「議事録」の文字があり、2ページに「報告書」の文字がある。このため、ファイルの1ページと2ページ以下をP1ファイルとP2−P3ファイルの2つのファイルに分割し、P1ファイルについては「議事録」フォルダF11が、P2−P3ファイルについては「報告書」フォルダF12がそれぞれ最終保存先フォルダとして決定され、保存される。
【0072】
この実施形態では、例えば議事録と報告書を1つの入力画像データとして取得した場合等に、これらの議事録と報告書を分離して別々の関連するフォルダに保存するような場合に便利である。
【0073】
また、同一階層の複数のフォルダ名称が全て別ページに含まれていた場合に、該当ページを境界としてファイルを分割するのではなく、該当ページのみを1つのファイルに分割して、該分割ファイルを該当する名称のフォルダへ別々に保存させてもよい。
【0074】
例えば、図10に示すように、ファイルの1ページに「議事録」の文字があり、2ページに「報告書」の文字がある場合、ファイルの1ページと2ページをそれぞれP1ファイルとP2ファイルという単独ページのファイルとし、P1ファイルについては「議事録」フォルダF11に、P2ファイルについては「報告書」フォルダF12に、それぞれ保存し、「議事録」「報告書」の文字を含まない3ページのP3ファイルについては、「○○会議」フォルダF1に保存させる。
【0075】
なお、図9及び図10に示した例において、同一ページに「議事録」「報告書」の両方の文字が含まれている場合の処理は特に限定されないが、例えばいずれか一方のフォルダのみに保存させる構成とすれば良い。
【0076】
また、以上の説明では、フォルダの名称が入力画像データから抽出された文字に含まれているかどうかを、上位フォルダから下位フォルダへと順に検索し判定したが、検索、判定の順序はこれに限定されることはない。
【符号の説明】
【0077】
1 画像処理装置
2 情報処理装置
3 ネットワーク
11 通信手段
12 表示手段
13 操作指示手段
14 文字認識手段
15 記憶手段
16 フォルダ情報取得手段
17 保存先フォルダルート解析手段
18 読取手段
19 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取る読取手段と、
前記読取手段で読み取られた原稿の画像データのファイルを外部装置の送信先のフォルダに送信するための送信手段と、
前記ファイル送信先のフォルダの階層関係及びフォルダ名称を含むフォルダ情報を取得するフォルダ情報取得手段と、
前記画像データから文字を抽出する文字認識手段と、
前記フォルダ情報取得手段により取得したフォルダ情報に基づいて、前記文字認識手段により抽出された文字にフォルダの名称が含まれているか否かを判定するとともに、名称が含まれている最も下位階層のフォルダを、前記ファイルの最終保存先フォルダと決定する保存先フォルダ決定手段と、
前記保存先フォルダ決定手段により決定された最終保存先フォルダに、前記ファイルを保存させる制御手段と、
を備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記送信手段により前記ファイルを送信先の最上位のルートフォルダへ送信した後に、前記保存先フォルダ決定手段は、文字認識手段により抽出された文字にフォルダの名称が含まれているか否かを、上位階層のフォルダから下位階層のフォルダへと順に判定して、ファイルの最終保存先フォルダを決定し、
前記制御手段は、前記ルートフォルダに送信したファイルを、前記最終保存先フォルダに移動させる請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
画像データから抽出された文字に名称が含まれているが最終保存先でないフォルダに、ファイルのショートカットが作成される請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記原稿画像の読み取り開始後、前記ファイルが最終保存先フォルダに保存されるまでの自装置の処理状況を表示する表示手段を備えている請求項1ないしは3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記保存先フォルダ決定手段は、同一階層の複数のフォルダ名称が前記ファイルの別ページに含まれていた場合には、該当ページを境界としてファイルを分割し、分割されたファイルに対応するフォルダをそのファイルの最終保存先フォルダと決定する請求項1ないしは4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記保存先フォルダ決定手段は、同一階層の複数のフォルダ名称が前記ファイルの別ページに含まれていた場合には、該当ページのみを1つのファイルに分割し、分割されたファイルに対応するフォルダをそのファイルの最終保存先フォルダと決定する請求項1ないしは4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
原稿を読み取る読取ステップと、
前記読取ステップにおいて読み取られた原稿の画像データのファイルを外部装置の送信先のフォルダに送信する送信ステップと、
前記ファイル送信先のフォルダの階層関係及びフォルダ名称を含むフォルダ情報を取得するフォルダ情報取得ステップと、
前記画像データから文字を抽出する文字認識ステップと、
前記フォルダ情報取得ステップにおいて取得したフォルダ情報に基づいて、前記文字認識ステツプにおいて抽出された文字にフォルダの名称が含まれているか否かを判定するとともに、名称が含まれている最も下位階層のフォルダを、前記ファイルの最終保存先フォルダと決定する保存先フォルダ決定ステップと、
前記保存先フォルダ決定ステップにおいて決定された最終保存先フォルダに、前記ファイルを保存させる制御ステツプと、
を備えている、画像処理装置におけるファイルの保存先フォルダ決定方法。
【請求項8】
原稿を読み取る読取ステップと、
前記読取ステップにおいて読み取られた原稿の画像データのファイルを外部装置の送信先のフォルダに送信する送信ステップと、
前記ファイル送信先のフォルダの階層関係及びフォルダ名称を含むフォルダ情報を取得するフォルダ情報取得ステップと、
前記画像データから文字を抽出する文字認識ステップと、
前記フォルダ情報取得ステップにおいて取得したフォルダ情報に基づいて、前記文字認識ステツプにおいて抽出された文字にフォルダの名称が含まれているか否かを判定するとともに、名称が含まれている最も下位階層のフォルダを、前記ファイルの最終保存先フォルダと決定する保存先フォルダ決定ステップと、
前記保存先フォルダ決定ステップにおいて決定された最終保存先フォルダに、前記ファイルを保存させる制御ステツプと、
を、画像処理装置のコンピュータに実行させるためのファイルの保存先フォルダ決定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−42436(P2013−42436A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179259(P2011−179259)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】