説明

画像処理装置、プロジェクターおよび画像処理方法

【課題】ライン毎に複数の異なる画像データが入力される場合のメモリーを削減した画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置10は、入力画像データ200の水平方向の解像度を変換して水平解像度変換画像データ300を出力する水平方向解像度変換部100と、該水平解像度変換画像データをライン毎に記憶する左目用ラインメモリー120及び右目用ラインメモリー130と、該水平解像度変換画像データを該右目用ラインメモリーに記憶させるか該左目用ラインメモリーに記憶させるかを指定するラインメモリー指定部110と、該左目用ラインメモリー及び該右目用ラインメモリーの何れか一方から該水平解像度変換画像データを読み出すラインメモリー読み出し部140と、該ラインメモリー読み出し部によって読み出された該水平解像度変換画像データの垂直方向の解像度を変換し出力画像データとして出力する垂直方向解像度変換部150とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライン毎に複数の異なった画像に由来する画像データが配置された入力画像データを処理する画像処理装置、プロジェクターおよび画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、3次元立体映像を表現する技術として、左目用画像と右目用画像とをフレーム期間ごとに交互に表示するディスプレイと、左目のシャッター及び右目のシャッターをフレームに同期して交互に開閉するシャッター眼鏡とを組み合わせたことにより、ユーザーに立体視可能なように映像を表示する、時分割方式と呼ばれる技術が提案されている(特許文献1)。また、時分割方式以外にも、アナグリフ方式や偏光フィルター方式など、立体視用眼鏡を用いる方式が各種提案されている。
【0003】
さらに、眼鏡を使用せず、裸眼で立体視を実現する方法として、視差バリア方式(パララックスバリア方式)などが知られている(特許文献2)
【0004】
また、立体視用の映像信号のフォーマットや信号の伝送方法についても、さまざまな検討がされており、最近では、いわゆるデジタル家電向けのインターフェイスであるHDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)が立体視映像の伝送に対応したことで、今後立体視映像の市場が増大していくことが予想される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−152897号公報
【特許文献2】特開2005−266116号公報
【特許文献3】特開2001−075047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
立体視映像のフォーマットとしては、左目用の画像と右目用の画像とを走査線単位でインターレースする方式が提案されている。しかしながら、特許文献1および特許文献2は、インターレース方式の立体視映像信号を効率よくリサイズすることについて、検討していない。特許文献3は、インターレース方式の映像信号をライン毎に画像の並び替えを行って、それぞれ左目用の画像と右目用の画像を再構成する例を開示しているが、このような構成では、インターレース方式の映像信号によって表される画像をリサイズするのに必要なメモリーや回路規模が増大することが問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例は、入力画像データを処理する画像処理装置であって、前記入力画像データの水平方向の解像度を変換して、水平解像度変換画像データを出力する水平方向解像度変換部と、前記水平解像度変換画像データをライン毎に記憶する第1のラインメモリーおよび第2のラインメモリーと、前記水平解像度変換画像データを前記第1のラインメモリーに記憶させるか前記第2のラインメモリーに記憶させるかを指定するラインメモリー指定部と、前記第1のラインメモリーおよび前記第2のラインメモリーのいずれか一方から、前記水平解像度変換画像データを読み出すラインメモリー読み出し部と、前記ラインメモリー読み出し部によって読み出された前記水平解像度変換画像データの、垂直方向の解像度を変換し、出力画像データとして出力する垂直方向解像度変換部と、を備えてなることを特徴とする。
【0009】
本適用例による画像処理装置は、入力画像データを、水平解像度変換を行いながら、指定されたラインメモリーに格納し、ラインメモリーに格納された画像データに基づいて垂直解像度変換を行う。要するに、立体視用の画像データのように、ライン毎にそれぞれ異なる画像に由来する画像データによって構成された入力画像データに対し、解像度変換と、水平解像度変換画像データの出力先の切り替えとが連続的に行われる。すなわち、ラインメモリーから異なる画像を交互に読み出すことで、データを並び替えながら解像度変換を行うことができるので、回路規模が縮小し、装置のコストを削減することができる。なお、第1のラインメモリーの容量と第2のラインメモリーの容量とを合計した容量が、入力画像データの1フレーム分の画像データを格納するのに必要な容量に達している必要はない。したがって、フレームメモリーを用いて画像データの並べ替えを行なうのに比べて、より少ないメモリーで画像処理装置を構成することができ、より低コストの画像処理装置を提供することが可能となる。
【0010】
[適用例2]上記適用例に記載の画像処理装置において、前記ラインメモリー指定部は、前記入力画像データに基づくライン情報に応じて、前記水平解像度変換画像データを第1のラインメモリーに記憶させるか第2のラインメモリーに記憶させるかを指定することを特徴とする。
【0011】
本適用例によれば、それぞれのラインメモリーには、垂直方向に連続した水平解像度変換画像データが記憶されるので、水平解像度変換画像データを連続的に読み出すことができ、ただちに垂直方向の解像度を変換することが可能となる。要するに、複数の画像データが右目用画像、左目用画像であった場合に、画像データをライン毎に判定した結果に基づいて、水平解像度変換画像データが右目用のラインメモリーと、左目用のラインメモリーとに適切に記録されるので、読み出し側の構成を、ラインを飛び越しながら画像データを読み出すのと比べて簡易化することができ、さらに、ラインメモリーから画像データを読み出す効率を向上させることができる。
【0012】
[適用例3]上記適用例に記載の画像処理装置において、前記ライン情報は、前記水平方向解像度変換部から出力される前記水平解像度変換画像データの、ライン番号を含むことを特徴とする。
【0013】
本適用例によれば、入力画像データのライン番号に基づいて水平解像度変換画像データの出力先を決定するので、ラインメモリー指定部を簡易な構成とすることが可能となる。
【0014】
[適用例4]上記適用例に記載の画像処理装置において、前記第1のラインメモリーおよび前記第2のラインメモリーは、それぞれ、前記垂直方向解像度変換部において、前記水平解像度変換画像データの垂直方向の解像度を変換するのに必要なライン数を保持可能な容量を有することを特徴とする。
【0015】
本適用例によれば、1フレーム分の入力画像データが完全に揃うのを待たずに垂直方向の解像度変換を開始することができる。すなわち、入力画像データの最初のラインが入力されてから、解像度変換済みの画像データが出力されるまでの遅延を、最小限にすることが可能となる。
【0016】
[適用例5]上記適用例に記載の画像処理装置において、前記第1のラインメモリーまたは前記第2のラインメモリーのうち、それぞれに記憶された前記水平解像度変換画像データが前記ライン数に達した方から、前記水平解像度変換画像データを読み出すことを特徴とする。
【0017】
本適用例によれば、垂直解像度変換に必要なライン数の水平解像度変換画像データが記録された方のラインメモリーから画像データを読み出し、その間に水平解像度変換された画像を他方のラインメモリーに書き出すことで、効率よく処理ができる。たとえば、立体視用の入力画像データを処理する場合、左目用画像の垂直解像度が変換できる状態になると、左目用ラインメモリーから画像データを読み出し、その間に、水平解像度変換された画像を右目用ラインメモリーに書き出すことで、効率よく処理することができる。一方のラインメモリーに対するリードアクセスを妨げることなく、他方のラインメモリーに対するライトアクセスが可能となる。
【0018】
[適用例6]上記適用例に記載の画像処理装置において、前記出力画像データの出力方式を選択するための画像データ出力方式選択部を備えることを特徴とする。
【0019】
本適用例によれば、解像度変換処理の済んだ出力画像データを、画像表示装置に出力する際の出力方式を選択することができる。具体的には、たとえば、入力画像データが立体視用の画像データである場合、出力画像データのライン毎に、左目用画像データと右目用画像データとをインターレースさせて出力したり、ラインの後半を右目用画像データでそれぞれ構成した出力画像データを生成して出力したりすることができる。また、左目用画像データだけが一時記憶されるフレームバッファーの出力ポートと右目用画像データだけが一時記憶されるフレームメモリーの出力ポートとをそれぞれ解放することができる。したがって、入力フォーマットの異なる様々な画像表示装置との組み合わせが可能となり、汎用性を高めることができる。
【0020】
なお、本発明は、上記構成の画像処理装置を備えた画像表示装置、プロジェクター、または、画像処理装置における画像表示方法、その表示方法を上記構成の画像処理装置に実行させるためのコンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムを記録した記録媒体など、種々の態様で実現することができ、いずれの態様でも、上述した効果を得ることができる。
【0021】
[適用例7]上記適用例に記載の画像処理装置において、前記水平解像度変換部は、前記入力画像データを構成する前記ラインの少なくともいずれか一方の端部から1以上の画素を複製して前記端部に連結し、前記水平解像度変換画像データを生成することを特徴とする。
【0022】
本適用例によれば、入力画像データの端部を水平解像度変換する際に、入力画像データとは無関係な値を参照しないため、水平解像度変換画像の端部の歪を少なくすることができる。
【0023】
[適用例8]上記適用例に記載の画像処理装置において、前記ラインが少なくとも左目用画像データと右目用画像データとを含むように構成されている場合、前記水平解像度変換部は、前記左目用画像データの右端から1以上の画素を複製して前記右端に連結し、左目用水平解像度変換画像を生成するとともに、前記右目用画像データの左端から少なくとも1以上の画素を複製して前記左端に連結し、右目用解像度変換画像データを生成することを特徴とする。
【0024】
本適用例によれば、1走査線に左目用画像データと右目用画像データを含む、いわゆるサイドバイサイド形式の入力画像データが与えられた場合において、左目用画像データの右端部を水平解像度変換する際に、右目用画像データを参照しないため、左目用水平解像度変換画像の端部の歪を少なくすることができる。また、右目用画像データの左端部を水平解像度変換する際に、左目用画像データを参照しないため、右目用水平解像度変換画像の端部の歪を少なくすることができる。
【0025】
[適用例9]たとえば、本適用例におけるプロジェクターは、上記適用例のいずれかに記載の画像処理装置と、前記画像処理装置から出力される前記出力画像データに基づく画像を投写する投射光学装置と、を備えることを特徴とする。したがって、本適用例に記載したプロジェクターは、上述した適用例に記載した画像処理装置が奏する効果を有する。
【0026】
[適用例10]また、本適用例における画像処理方法は、第1のラインメモリーと第2のラインメモリーとを備えた画像処理装置における画像処理方法であって、入力画像データの水平方向の解像度を変換して、水平解像度変換画像データを出力するステップと、前記水平解像度変換画像データを前記第1のラインメモリーに記憶させるか前記第2のラインメモリーに記憶させるかを指定するステップと、前記第1のラインメモリーおよび前記第2のラインメモリーのいずれか一方から、前記水平解像度変換画像データを読み出すステップと、前記ラインメモリー読み出し部によって読み出された前記水平解像度変換画像データの、垂直方向の解像度を変換し、出力画像として出力するステップと、を備えてなることを特徴とする。したがって、本適用例に記載した画像処理方法を実行可能に構成された電子機器は、上述した適用例に記載した画像処理装置が奏する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施形態に係るプロジェクターの構成を表すブロック図。
【図2】第1の実施形態に係る画像処理装置の構成を表すブロック図。
【図3】ライン毎に左目用画像と右目用画像とが交互に配置された入力画像を示す図。
【図4】水平解像度変換を行った後の画像を示す図。
【図5】第1の実施形態に係る画像処理装置における画像処理方法のフローチャート。
【図6】第2の実施形態に係る画像処理装置の構成を表すブロック図。
【図7】ライン毎に複数の異なった画像が配置された入力画像を示す図。
【図8】1ラインに複数の異なった画像が配置された入力画像を示す図。
【図9】ライン端部に複製した画素を連結した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1の実施形態)
以下、本発明を適用した実施形態について図面を参照して説明する。
【0029】
図1は、本実施形態に係るプロジェクターの回路構成を示すブロック図である。
図1に示すように、プロジェクター1は、画像処理装置10、制御部20、画像信号入力部30、入力端子31,32,33、操作部40、電源装置50、電源コネクター51、画像投写部60等を備えており、各構成要素は、プロジェクター1の筐体(不図示)の内部に収容されている。電源装置50は、電源コネクター51を介して供給される電源を、所定の電圧の直流に変換して各部に分配する。画像信号入力部30は、複数の入力端子31,32,33に接続されており、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)、コンポジットビデオ信号、RGB信号など、各種の映像信号を受け付けることができる。制御部20は、プロジェクター1のユーザーが操作部40を通じて選択した入力端子31,32,33にソースを切替えるよう、画像信号入力部30を制御する。画像信号入力部30は、ソースとして選択された入力端子31,32,33からの映像信号を、画像処理装置10に入力可能な形式に変換して出力する。
【0030】
画像投写部60は、液晶駆動部61、光源駆動部62、ランプ63、液晶パネル64(64−R,64−G,64−B)、投写レンズ65等で構成されている。液晶駆動部61は、画像処理装置10からの出力画像データに基づいて、光変調装置としての液晶パネル64を駆動する。ランプ63から射出された光は、液晶パネル64で変調されて、画像光として投写レンズ65から投写される。
【0031】
図2は、本実施形態に係る画像処理装置10の概略構成を示すブロック図である。画像処理装置10は、水平方向解像度変換部100と、ラインメモリー指定部110と、左目用ラインメモリー120と、右目用ラインメモリー130と、ラインメモリー読み出し部140と、垂直方向解像度変換部150と、画像データ出力方式選択部160と、出力部170と、制御回路180と、を有している。制御回路180は制御部20と接続され、操作部40が受け付けた操作に基づき、制御部20が生成した制御信号に従って、画像処理装置10を制御する。左目用ラインメモリー120と、右目用ラインメモリー130とは、それぞれ、垂直方向解像度変換部150において、垂直方向の解像度変換を行なうのに必要なデータ量、すなわちライン数を記憶できる容量を備えている。
【0032】
画像信号入力部30から入力される入力画像データは、まず、水平方向解像度変換部100によって水平方向の解像度が変換される。水平方向解像度変換部100は、図3のようなライン毎に左目用入力画像データ200L、右目用入力画像データ200Rが交互に配置された画像で構成される入力画像データ200を水平方向に解像度変換を行う。立体視に対応しない通常の画像データの垂直同期信号の周期をVactiveとすると、入力画像データ200の垂直同期信号の周期は、2×Vactiveである。ここで用いられる解像度変換の方式は、フィルター処理を用いたものであってもよいし、エッジ適応などの方法でもよい。
【0033】
図4は、図3に示した入力画像データ200が、水平方向解像度変換部100によって、水平方向の解像度が変換された結果の模式図である。図4(a)は、左目用水平解像度変換画像データ300Lを、図4(b)は、右目用水平解像度変換画像データ300Rを、それぞれ表している。
【0034】
ラインメモリー指定部110は、ラインメモリー指定部110に入力される水平解像度変換画像データ300のライン番号に基づいて、該当するライン番号の画像データを、左目用水平解像度変換画像データ300Lとして左目用ラインメモリー120に記憶させるか、右目用水平解像度変換画像データ300Rとして右目用ラインメモリー130に記憶させるかを指定する。フレームを跨いでも、フレームの0ライン目が左目画像300Lであるならば、奇数ラインを左目用水平解像度変換画像データ300Lと判定し、偶数ラインを右目用水平解像度変換画像データ300Rと判定する。なお、次フレームの0ライン目が右目用であるならば、奇数ラインを右目用水平解像度変換画像データ300Rと判定し、偶数ラインを左目用水平解像度変換画像データ300Lと判定する。奇数ラインと偶数ラインとが、それぞれ左目用として用いられるのか、右目用として用いられるのかは、入力画像データ200の仕様に基づいて判定することができる。
【0035】
左目用ラインメモリー120および右目用ラインメモリー130に書き込まれる水平解像度変換画像データ300のライン番号は、たとえば、各フレームの偶数ラインが左目用画像、奇数ラインが右目用画像である場合、左目用ラインメモリー120に書き込まれる画像データのライン番号は2n、右目用ラインメモリー130に書き込まれる画像データのライン番号は2n+1として表すことができる。
各フレームの0ライン目が、フレーム毎に左目用と右目用とを切替えられる場合は、フレーム毎に偶数ラインおよび奇数ラインを書き込むラインメモリーを切り替えればよい。
【0036】
また、判定の方法は入力画像データ200のライン番号に限定されるものではなく、たとえば、水平解像度変換画像データ300の水平方向の輝度差に関する情報であってもよい。この場合、入力画像データ200あるいは水平解像度変換画像データ300をライン毎に微分して得られる水平方向の輝度差に関する情報に基づき、水平解像度変換画像データ300が、左目用水平解像度変換画像データ300Lであるか、右目用水平解像度変換画像データ300Rであるかを、判定してもよい。この判定は、ラインメモリー指定部110で行なってもよいし、水平方向解像度変換部100で行なってもよい。当該判定を水平方向解像度変換部100で行う場合は、ライン毎の判定結果がラインメモリー指定部110に入力される。
【0037】
ラインメモリー読み出し部140は、左目用ラインメモリー120と、右目用ラインメモリー130とのうち、垂直方向解像度変換部150において垂直解像度の変換に必要なライン数の画像データが書き込まれた方を選択して画像データを読み出し、垂直方向解像度変換部150にデータを送る。
【0038】
ここで、右目用ラインメモリー130に対して、右目用水平解像度変換画像データ300Rを書き込んでいる間に、左目用ラインメモリー120から、左目用の垂直解像度変換に必要な画像データを読み出す。また、左目用水平解像度変換画像データ300Lを左目用ラインメモリー120に書き込んでいる間に、右目用の垂直解像度変換に必要な画像データを右目用ラインメモリー130から読み出す。こうすることで、効率良く画像処理を行うことができる。
【0039】
垂直方向解像度変換部150は、ラインメモリー読み出し部140から入力される画像データの垂直方向の解像度を変換する。垂直方向解像度変換部150から出力される画像データは、予め選択された出力方式で、出力部170から出力される。
【0040】
出力部170は、画像出力部172と、フレームメモリー174とを含んでいる。制御回路180は予め設定された出力方式に基づいて画像データ出力方式選択部160を制御する。画像データ出力方式選択部160は、制御回路180からの指示に従って、解像度変換済みの画像データを画像出力部172から出力するか、フレームメモリー174に出力するかを選択する。さらに、出力画像データは、各種の出力方式で出力することができる。たとえば、左目用画像データと右目用画像データとを、インターレース方式で出力したり、出力画像データの1ライン上に、左目用画像データと右目用画像データとが含まれる、いわゆるサイドバイサイド方式で出力したりすることができる。また、1フレーム分の左目用出力画像データを出力した後で、1フレーム分の右目用出力画像データを、出力することもできる。
【0041】
フレームメモリー174は、垂直方向の解像度が変換された画像データを格納しておくためのものであり、少なくとも、左目用フレームバッファー1741と右目用フレームバッファー1742とを割り当てることのできる容量を備えている。
【0042】
(画像処理装置の画像処理方法)
次に、図5を参照しながら、本実施形態の画像処理装置10における画像処理方法を説明する。
【0043】
画像処理装置10は、画像信号入力部30から、入力画像データが入力されているか否かを判定する(ステップS100)。入力画像データが入力されている(ステップS100:Yes)と判定すると、水平方向解像度変換部100において入力画像データ200に対して水平解像度変換を行い、水平方向解像度変換画像データ300(300L,300R)を出力する(ステップS102)。
続いて、ラインメモリー指定部110は、水平方向解像度変換画像データ300を、左目用ラインメモリー120に記憶させるか、右目用ラインメモリー130に記憶させるかを指定する(ステップS104)。水平方向解像度変換画像データ300は、ラインメモリー指定部110によって指定されたラインメモリーに記録される(ステップS106)。
ラインメモリー指定部110は、各々のラインメモリーに記録されたライン数をカウントし、垂直方向の解像度変換に必要なライン数に達したか否かを判定する(ステップS108)。この判定は、左目用ラインメモリー120および右目用ラインメモリー130のそれぞれに対して行なわれる。
ラインメモリーに記憶された水平方向解像度変換画像データ300のライン数が、垂直方向の解像度変換に必要なライン数に達していないと判定されると(ステップS108:No)、ステップS100に戻る。ラインメモリーに記憶された水平方向解像度変換画像データ300のライン数が、垂直方向の解像度変換に必要なライン数に達していると判定されると、該当するラインメモリーのアドレスがラインメモリー読み出し部140に通知される(ステップS108:Yes)。ラインメモリー読み出し部140は、通知されたアドレスから水平方向解像度変換画像データ300を読み出して垂直方向解像度変換部150に入力する(ステップS110)。垂直方向解像度変換部150は、入力された水平方向解像度変換画像データ300を用いて、所定の倍率で垂直方向の解像度を変換する(ステップS112)。垂直方向解像度変換部150によって垂直方向の解像度が変換された出力画像データは、予め定められた出力方式に従って、出力部170に出力される(ステップS114)。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の画像処理装置10によれば、以下の効果を得ることができる。
すなわち、ライン毎にそれぞれ異なる画像に由来する画像データによって構成された入力画像データ200に対し、水平方向解像度変換部100による水平方向の解像度変換を行ないつつ、水平解像度変換画像データの出力先であるラインメモリー(120,130)の切り替を連続的に行う。そして、垂直方向の解像度変換に必要なライン数の水平解像度変換画像データの格納が完了した方のラインメモリーから順に画像データを読み出し、垂直方向解像度変換部150で垂直解像度変換を行う。すなわち、解像度変換と画像データの並び替えを連続して行うことで、回路規模が縮小するので、装置のコストを削減する効果が得られる。
【0045】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、説明を簡単にするため左目用入力画像データ200Lと右目用入力画像データ200Rがライン毎に交互に配置された画像について説明をしたが、これに限定されるものではない。たとえば、図7(a)に示した異なる複数の画像211,212および213にそれぞれ対応する画像データ2101,2102および2103が、ライン毎にインターレースするように配置された場合、すなわち、図7(b)に示した入力画像データ210のようなデータを処理する場合は、図6に示すように、ラインメモリー12A−1〜12A−m(mは2以上の整数)を設けるとともに、フレームメモリー174に、m個のフレームバッファー174A−1〜174A−m(mは2以上の整数)を設けることで、第1の実施形態と同様の処理が可能である。
【0046】
(変形例)
上記実施形態では、ライン毎に複数の画像データが配置された入力画像データについて説明した。しかしながら、本発明は、図8のように1ラインに複数の画像が含まれる入力画像データ220に対しても有効である。
【0047】
図8に示した入力画像データ220は、水平走査線(ライン)HLの前半すなわちフレームの左半分が左目用入力画像データ221、水平走査線HLの後半すなわちフレームの右半分が右目用入力画像データ222によって構成されている。立体視に対応しない通常の画像データの水平同期信号の周期をHactiveとすると、入力画像データ220の水平同期信号の周期は、2×Hactiveである。
【0048】
このような入力画像データ220を処理する場合は、水平方向解像度変換部100において、左目用入力画像データ221の左端付近を解像度変換する際に、直後に続く右目用入力画像データ222を参照すると、画像出力装置10から出力される出力画像データの右端付近の画質に影響するので好ましくない。この問題は、左目用入力画像データ221の、右端部付近の画素を水平方向に折り返した画素列を使って解像度変換を行なうことにより解決することができる。しかも、このような制御は、入力画像データの画素数をカウントするカウンターの値を参照することによって、容易に実現することができる。
【0049】
図8に示したPxleは、左目用画像データ221の右端側画素列を、Pxrtは、右目用画像データ222の左端側画素列を、それぞれ表している。
ここで、画像データ220の水平解像度変換の処理を、図9を用いて説明する。Pxle1は、左目用画像データ221を構成するある走査線において、最も右側に位置する画素を表している。また、Pxle2は、Pxle1の左隣に位置する画素を表している。この実施例では、水平解像度変換部100は、左目用画像データ221の右端に位置する2つの画素を複製して左目用画像の右端部に連結するものとする。水平解像度変換部220は、Pxle1を複製してPxle1´を生成し、Pxle1の右側に連結する。さらに、Pxle2を複製してPxlw2´を生成し、Pxle1´の右側に連結する。このようにして、オリジナルの左目用画像データ221の右端側を、2画素分拡張した拡張画像データが生成される。拡張画像データを使って左目用画像データ221の右端部の水平解像度を変換することにより、右目用画像データ222の左端側画素を参照した場合と比べて、より歪みの少ない変換結果を得ることができる。複製する画素と、複製した画素を連結する位置を変えるだけで、右目用画像データ222の左端側を2画素分拡張した拡張画像データを生成することができる。なお、左目用画像データ221の左端側と、右目用画像データの右端側も、同様の方法で拡張できることは言うまでもない。また、このような拡張画像データの生成は、上述したいずれの実施例にも適用可能である。
【0050】
また、水平方向解像度変換部100は、左目用画像データの右端よりも右側に実在しない画素を生成し、実在しない画素を参照して左目用画像データの右端付近の解像度変換を行なってもよい。実在しない画素の生成には、公知の各種手法を適用することができる。また、実在しない画素をいくつ生成するかは、出力画像データに求める画質や、解像度の変換率に応じて適宜決定することができる。
【0051】
上記実施形態では、ライン毎に複数の異なる画像に基づく画像データが配置された入力画像データを処理する例を、上記変形例では、1ライン上に複数の画像が含まれる場合を、それぞれ説明したが、入力画像データが、単一の画像に基づく画像データによって構成されていても構わない。また、1フレーム内に、複数の画像と、画像に関する情報とを含む入力画像データにも対応することができる。ここで、画像に関する情報とは、たとえば、画像の奥行きを表現するためのパラメーターを例示することができる。
【0052】
上記実施形態では、出力方式を選択可能であることを説明したが、さらに、選択された出力方式に応じて、出力画像データが書き込まれるアドレスを切り替えられるようにしてもよい。
【0053】
上記実施形態では、立体視可能に画像を投写するプロジェクター1の実施形態を例示したが、発明はこれに限定されるものではない。たとえば、入力画像データが立体視に対応したフォーマットである場合、プロジェクター1が投写する画像を、立体視可能な3D方式とするか、一般的な2D方式とするかを切替えられるようにしてもよい。プロジェクター1のユーザーは、画像投写部60から投射されるメニュー画面を見ながら、いずれの方式で画像を投射させるかを、操作部40を操作することによって選択することができる。操作部40は、プロジェクター1の筐体に備えられた操作パネルであってもよいし、図示しないリモートコントローラーであってもよい。また、有線、無線に係わらず、プロジェクター1とネットワーク接続可能な端末装置からの遠隔操作により、画像を3D方式で投射させるか、2D方式で投射させるかを選択可能に構成してもよい。
【0054】
上記実施形態では、光変調装置として液晶パネル64を採用するプロジェクター1を例示して画像処理装置10を説明したが、他の態様でも本発明を実施可能である。たとえば、光変調装置としてデジタルマイクロミラーデバイスや、反射型液晶パネルを採用するプロジェクターに、画像処理装置10を適用することができる。また、画像処理装置10は、プラズマディスプレイや、有機EL(Electro Luminescence)などの直視型のフラットパネルディスプレイを備えた画像表示装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1…プロジェクター、10…画像処理装置、20…制御部、30…画像信号入力部、31,32,33…入力端子、40…操作部、50…電源装置、51…電源コネクター、60…画像投射部、61…液晶駆動部、62…光源駆動部、63…ランプ、64−R,64−G,64−B…液晶パネル、65…投写レンズ、100…水平方向解像度変換部、110…ラインメモリー指定部、120…左目用ラインメモリー、12A−1,12A−m…ラインメモリー、130…右目用ラインメモリー、140…ラインメモリー読み出し部、150…垂直方向解像度変換部、160…画像データ出力方式選択部、170…出力部、172…画像出力部、174…フレームメモリー、1741…左目用フレームバッファー、1742…右目用フレームバッファー、174A−1,174A−m…フレームバッファー、180…制御回路、200…入力画像データ、200L…左目用ラインメモリー入力画像データ、200R…右目用ラインメモリー入力画像データ、210…入力画像データ、2101…画像1に対応するラインデータ、2102…画像2に対応するラインデータ、2103…画像3に対応するラインデータ、211…画像、212…画像、213…画像、220…入力画像データ、221…左目用入力画像データ、222…右目用入力画像データ、300…水平解像度変換画像データ、300L…左目用水平解像度変換画像データ、300R…右目用水平解像度変換画像データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像データを処理する画像処理装置であって、
前記入力画像データの水平方向の解像度を変換して、水平解像度変換画像データを出力する水平方向解像度変換部と、
前記水平解像度変換画像データをライン毎に記憶する第1のラインメモリーおよび第2のラインメモリーと、
前記水平解像度変換画像データを前記第1のラインメモリーに記憶させるか前記第2のラインメモリーに記憶させるかを指定するラインメモリー指定部と、
前記第1のラインメモリーおよび前記第2のラインメモリーのいずれか一方から、前記水平解像度変換画像データを読み出すラインメモリー読み出し部と、
前記ラインメモリー読み出し部によって読み出された前記水平解像度変換画像データの、垂直方向の解像度を変換し、出力画像データとして出力する垂直方向解像度変換部と、
を備えてなることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記ラインメモリー指定部は、前記入力画像データに基づくライン情報に応じて、前記水平解像度変換画像データを第1のラインメモリーに記憶させるか第2のラインメモリーに記憶させるかを指定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ライン情報は、前記水平方向解像度変換部から出力される前記水平解像度変換画像データの、ライン番号を含むことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1のラインメモリーおよび前記第2のラインメモリーは、それぞれ、前記垂直方向解像度変換部において、前記水平解像度変換画像データの垂直方向の解像度を変換するのに必要なライン数を保持可能な容量を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記ラインメモリー読み出し部は、前記第1のラインメモリーまたは前記第2のラインメモリーのうち、それぞれに記憶された前記水平解像度変換画像データが前記ライン数に達した方から、前記水平解像度変換画像データを読み出すことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記出力画像データの出力方式を選択するための画像データ出力方式選択部を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記水平解像度変換部は、前記入力画像データを構成する走査線の端部から1以上の画素を複製して前記端部に連結し、前記水平解像度変換画像データを生成することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記走査線が、それぞれ少なくとも左目用画像データと右目用画像データとを含むように構成されている場合、
前記水平解像度変換部は、前記左目用画像データの右端から1以上の画素を複製して前記右端に連結し、左目用水平解像度変換画像を生成するとともに、前記右目用画像データの左端から少なくとも1以上の画素を複製して前記左端に連結し、右目用解像度変換画像データを生成することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置から出力される前記出力画像データに基づく画像を投写する投射光学装置と、を備えたプロジェクター。
【請求項10】
第1のラインメモリーと第2のラインメモリーとを備えた画像処理装置における画像処理方法であって、
入力画像データの水平方向の解像度を変換して、水平解像度変換画像データを出力するステップと、
前記水平解像度変換画像データを前記第1のラインメモリーに記憶させるか前記第2のラインメモリーに記憶させるかを指定するステップと、
前記第1のラインメモリーおよび前記第2のラインメモリーのいずれか一方から、前記水平解像度変換画像データを読み出すステップと、
前記ラインメモリー読み出し部によって読み出された前記水平解像度変換画像データの、垂直方向の解像度を変換し、出力画像として出力するステップと、
を備えてなることを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−182156(P2011−182156A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43864(P2010−43864)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】