説明

画像処理装置、撮像装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】人体の部位を撮像した画像の不要部分を消去した、より美しい画像を容易に取得することのできる画像処理装置等を提供する。
【解決手段】画像取得部141で取得された人物画像に対し、手領域検出部111が、画像の中から人の手が表示された領域を検出する。検出した手領域の、画像の全領域に対する割合が、予め定めた閾値以上であった場合に補正処理を行う。器官範囲特定部112が、手領域の中から肌が占める肌範囲と爪が占める爪範囲を特定し、画像補正部113が、特定された肌範囲及び爪範囲の画像に対して、各器官に対してユーザ等が予め設定した処理設定情報に基づいて、スムージング処理、色調補正、コントラスト補正等を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、撮像装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等で撮影した人の画像をより美しくするため、又は化粧等のシミュレーションを行うために、撮影した画像を補正する機能を有する画像処理装置がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の画像処理方法は、人の顔の画像に対して画像の処理範囲、及び、色等の属性をユーザが指定し、その指定された処理範囲内の属性範囲に属する画素の領域を抽出し、その領域に合成用の画像を合成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−78158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、手等の人体の部位を拡大して撮影することもあり、美しい手の画像を取得するために、手荒れや爪が痛んでいる状態の手を撮影した画像に対し、手の赤みや爪の傷等の不要部分を消去する必要があった。
【0006】
これに対し、特許文献1に記載の技術と同様の技術を、手等の人体の部位の画像を自動補正する際に利用した場合、細かい処理範囲の指定やその部位特有の属性の指定が必要となり、時間も手間もかかってしまう。
また、手は顔より凹凸が多く平坦な領域も狭いため正確な処理範囲設定が困難であった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、人体の部位を撮像した画像の不要部分を消去した、より美しい画像を容易に取得することのできる画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る画像処理装置は、
画像から人体の部位の画像を検出し、前記人体の部位の領域情報を取得する部位領域情報取得手段と、
前記部位の領域情報が示す領域から、前記部位に含まれる器官の器官情報を抽出し、前記器官情報から前記器官が占める範囲を特定する器官範囲特定手段と、
前記器官が占める範囲の画像を、各々の器官に対して予め定めた補正処理を行う画像補正処理手段と、
を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第2の観点に係る撮像装置は、
被写体像を撮像して画像を取得する撮像手段と、第1の観点に係る画像処理装置を備える、
ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第3の観点に係る画像処理方法は、
画像から人体の部位の画像を検出し、前記人体の部位の領域情報を取得する部位領域情報取得ステップと、
前記部位の領域情報が示す領域から、前記部位に含まれる器官の器官情報を抽出し、前記器官情報から前記器官が占める範囲を特定する器官範囲特定ステップと、
前記器官が占める範囲の画像を、各々の器官に対して予め定めた補正処理を行う画像補正処理ステップと、
を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第4の観点に係るプログラムは、
コンピュータに、
画像から人体の部位の画像を検出し、前記人体の部位の領域情報を取得する部位領域情報取得手順と、
前記部位の領域情報が示す領域から、前記部位に含まれる器官の器官情報を抽出し、前記器官情報から前記器官が占める範囲を特定する器官範囲特定手順と、
前記器官が占める範囲の画像を、各々の器官に対して予め定めた補正処理を行う画像補正処理手順と、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る画像処理装置、撮像装置、画像処理方法、及びプログラムによれば、人体の部位を撮像した画像の不要部分を消去した、より美しい画像を容易に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態1に係る撮像装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る撮像装置の機能を示す機能ブロック図である。
【図3】手画像補正処理手順を示すフローチャートである。
【図4】手画像補正処理を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態2に係る画像処理装置の内部構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態3に係る画像処理システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
実施形態1に係る撮像装置1は、撮像部で人の手を含む被写体像を撮像し、得られた人の手の画像に画像処理を施す装置であり、画像処理機能を有するデジタルカメラ等の撮像装置である。
【0016】
撮像装置1は、図1に示すように、CPU11、RAM12、ROM13、撮像部14、操作部15、記憶部16、表示部17を備える。
【0017】
CPU(Central Processing Unit)11は、演算装置、制御装置等から構成され、ROM13又は記憶部16に記憶されているプログラムを実行することにより、撮像装置1の各構成部の制御や、画像処理機能等の撮像装置1の有する機能を実現する。
【0018】
RAM(Random Access Memory)12は、ワーク領域を有する内部メモリで、DRAM (Direct Random Access Memory) 、SDRAM (Synchronous DRAM) 等から構成されている。RAM12は、撮像部14が撮像した画像のデータや、記憶部16に記憶されている画像データに画像処理を施すために、読み出した画像データを一時保存する。また、撮像装置1の有する機能を実現するために制御データの一時保存を行う。
【0019】
ROM(Read Only Memory)13は、読み出し専用の半導体メモリであり、CPU11が実行するプログラム等を記憶する。
【0020】
撮像部14は、撮影レンズ、シャッタ・絞りなどの露出制御部、撮像素子、撮像素子の駆動及び読み出し回路等から構成され、撮影レンズによって形成された被写体像を撮像素子によって画像データに変換して出力する。
【0021】
操作部15は、レンズのズーム制御ボタン、シャッタボタン、方向キー・決定キー・ファンクションキー等の各種のキーボタンやダイヤル等から構成され、ユーザからの操作入力を受け付け、受け付けた操作入力に係る信号をCPU11に送出する。操作部15はユーザから、シャッタ操作、ズームレンズ操作、撮像条件や画像処理条件の入力操作等を受け付ける。
【0022】
記憶部16は、例えば、フラッシュメモリ等の読み書き可能な不揮発性の半導体メモリから構成され、原画像の画像データや、画像処理後の画像データ、及び、CPU11が実行するプログラムや、そのプログラムが参照する条件データ等を記憶する。これらの記憶されたデータは操作部15に入力するユーザの操作やCPU11の制御により書き換え可能な構成となっている。
【0023】
表示部17は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro -Luminescence)ディスプレイ等の表示デバイスから構成され、画像、図形、文字、記号などの情報表示出力を行う。
表示部17には、画像処理前の原画像や、画像処理後の画像や、画像処理機能の操作画面などを表示する。
【0024】
以上のように構成された撮像装置1の動作を説明する。
【0025】
ユーザがシャッタボタンを押すと、撮影レンズによって形成されている被写体像が撮像素子によって画像データに変換され撮像部14より出力される。
撮像部14より出力された画像データはRAM12に一時保存される。
一時保存された画像データに対して、事前にユーザが設定した画像処理条件に従って各種画像処理が施される。
【0026】
その画像処理の1つが手画像補正処理である。
手画像補正処理について、図2乃至4を用いて説明する。
【0027】
撮像装置1は、図2に示すように、CPU11から構成される手領域検出部111、器官範囲特定部112、画像補正部113と、撮像部14から構成される画像取得部141と、RAM12から構成される一時記憶部121を含み、これらの各機能部により、手画像補正処理機能を実現している。
【0028】
手画像補正処理の手順を図3のフローチャートに従って説明する。
画像取得部141で取得された画像は一時記憶部121に一時記憶される。一時記憶された画像に対し、まず、CPU11は人の手の画像を探索する。
探索の結果、人の手の画像が検出された場合に、図3に示す手画像補正処理が開始される。
【0029】
まず、手領域検出部111が、画像の中から人の手が表示された領域を検出する(ステップS101)。具体的には記憶部16に予め記憶されている人の手の色、形状等に関する特徴データを参照して、一時記憶部121に記憶されている画像の中から、記憶部16に記憶されている特徴データに一致している人の手の画像が表示されている領域を検出する。そして、検出した領域を示す位置情報を一時記憶部121に記憶する。
【0030】
次に手の画像が表示されている手領域の、画像の全領域に対する割合が、予め定めた閾値(例えば3割)以上であるか否かを判定する(ステップS102)。
この割合が閾値より低い場合には(例えば3割未満)、手が小さく表示されており、手に傷などがあっても目立たず補正をする必要がないため、以下に述べる補正は行わない(ステップS102:No)。
【0031】
ステップ102で手領域の割合が閾値以上であると判定された場合には、器官範囲特定部112が、一時記憶部121に記憶された位置情報が示す手領域の中から手に含まれる器官のうち肌が占める範囲を特定する(ステップS103)。
【0032】
ここで、手に含まれる器官のうち、肌と爪は互いに異なる色、形状、凹凸パターンを有しており、記憶部16には、人の手の肌、爪それぞれの色、形状、凹凸パターン等の特徴情報が予め記憶されている。ここで、凹凸パターンとは、しわや毛穴や骨格による膨らみ等の凹凸に起因する明暗パターンを示す。
【0033】
器官範囲特定部112は、ステップS103において、記憶部16に記憶されている肌の色、形状、凹凸パターン等の特徴情報を読み出し、手領域として記憶されている領域の画像の中から、肌の特徴情報に略一致している情報を有する画素が占める範囲、すなわち肌範囲を特定する。
【0034】
次に、一時記憶部121に保存されている画像のうち、特定された肌範囲の画像に対して、予めユーザ等が定めた処理設定情報に基づいて、スムージング処理、色調補正、コントラスト補正等を行う(ステップS104)。
【0035】
スムージング処理により、肌のしわ、毛穴、傷、しみ等を目立たなくすることができる。
また、色調補正により、色白の肌、小麦色の肌など、好みに応じて予め設定した肌の色調に変更することができる。
また、コントラスト補正により、手の画像の肌色の明るい部分と暗い部分の輝度の差を調整でき、ユーザなどの好みに応じたコントラストの画像を取得することができる。
【0036】
次に、器官範囲特定部112が、一時記憶部121に記憶された位置情報が示す手領域の中から手に含まれる器官のうち爪が占める範囲を特定する(ステップS105)。
【0037】
ステップS105の爪の範囲の特定は、肌の範囲の特定(ステップ103)と同様に、器官範囲特定部112が、記憶部16に記憶されている爪の色、形状、凹凸パターン等の特徴情報を読み出し、手領域として記憶されている領域の画像の中から、爪の特徴情報に略一致している情報を有する画素が占める範囲、すなわち爪範囲を特定する。
【0038】
次に、一時記憶部121に保存されている画像の特定された爪範囲の画像に対して、予めユーザ等が定めた処理設定情報に基づいて、スムージング処理、色調補正、コントラスト補正等を行う(ステップS106)。
【0039】
スムージング処理により、爪の凸凹、スジ、傷等を目立たなくすることができる。
また、色調補正により、明るい色調、光沢があるように見える色調など、好みに応じて予め設定した爪の色調に変更することができる。
また、コントラスト補正により、手の画像の爪の色の明るい部分と暗い部分の輝度の差を調整でき、ユーザなどの好みに応じたコントラストの画像を取得することができる。
【0040】
以上説明したステップ102乃至S106の処理を、図4を用いて説明する。
【0041】
図4(a)には、手の画像を含む原画像の一例を示す。
原画像には、図4(a)に示すように、肌の範囲に赤み201があり、爪の範囲にはスジ202がある。
【0042】
まず、ステップS102で、手領域検出部111が検出した手領域の、画像の全領域に対する割合が、予め定めた閾値(例えば3割)以上であるか否かを判定する。図4(a)に示した画像は、手領域が3割を超えているため(ステップS102:Yes)、ステップS103の処理に進む。
【0043】
ステップS103では、器官範囲特定部112が肌範囲を特定する。図4(b)の一点鎖線で囲んだ範囲203が肌範囲と特定されている。
次にステップS104で、特定された肌範囲内にスムージング処理を行うことで、赤み201の部分の画素が周囲の画素の色に近い色に変換され、赤み201が消去される。(図4(c)の203)。
【0044】
次に、ステップS105では、器官範囲特定部112が爪範囲を特定する。図4(b)の破線で囲んだ範囲204が爪範囲と特定されている。
次にステップS106で、特定された爪範囲内にスムージング処理を行うことで、スジ202の部分の画素が周囲の画素の色に近い色に変換され、スジ202が消去される。(図4(c)の204)。
【0045】
なお、図4(b)及び(c)においては、肌及び爪の範囲を示す203の一点鎖線、204の破線は、手と背景の境界の外側を囲んでいるが、これは図を見やすくするものであり、実際は、手と背景画像の境界、肌と爪の境界に沿って肌及び爪の範囲を特定している。
また、爪も各指毎に範囲特定する。
これにより、境界がぼけることなく、肌の赤みや爪のスジを目立たなくすることができる。
【0046】
また、時計や指輪などの付属物との境界にそって肌及び爪の範囲を特定することにより、時計や指輪などの画像をぼかすことなく肌の画像に補正を加えることができる。
【0047】
以上説明した手画像補正処理を施した処理画像は、一時記憶部121を構成するRAM12より出力され、記憶部16に保存される(ステップS107)。
ここで、記憶部16には画像処理を施す前の原画像に対応付けて保存しても良い。
【0048】
また、RAM12より出力した処理画像は、表示部17に出力される。ユーザは、表示部17に表示された画像を視認することができる。ここで、ユーザに原画像又は処理画像を保存するか否かの判断を促し、ユーザが保存すると選択した場合のみ、記憶部16に原画像又は処理画像を保存するようにしてもよい。
【0049】
以上説明したように、本実施形態においては、撮像部14が撮像した画像に対し、人の手の領域を検出し、その領域内で、肌や爪の器官の特徴情報に一致する肌範囲又は爪範囲を特定し、それぞれ予め設定した処理設定情報に基づいて、肌範囲又は爪範囲の画像に処理を施すこととした。これにより、肌の赤みや爪のスジ等不要部分を消去した、より美しい人の手の画像を取得することができる。
【0050】
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2について図5を参照して詳細に説明する。実施形態1と同一の機能を有する構成部については同じ名称を付し、説明を省略する。
【0051】
実施形態2に係る画像処理装置2は、外部のデジタルカメラ等で撮像した人物画像を取り込み、その画像に画像処理を施す装置であり、画像処理機能を有する画像処理専用端末、又は、画像処理機能を有するPC(Personal Computer)等の情報処理端末である。
【0052】
画像処理装置2は、図5に示すように、CPU21、RAM22、ROM23、カメラ接続インターフェース24、操作部25、記憶部26、表示部27を備える。
【0053】
カメラ接続インターフェース24に外部のデジタルカメラが接続されると、CPU21が外部のデジタルカメラを認識し、カメラ接続インターフェース24のデータ送受信機能を起動する。またCPU21は画像取得アプリケーションを起動し、表示部27にそのアプリケーションの操作画面を表示する。
【0054】
ユーザは、その操作画面に従い、操作部25に操作入力して、デジタルカメラから画像処理装置2に取り込む画像を選択する。選択された画像の画像データはカメラ接続インターフェースを介して画像処理装置2に取り込まれ、RAM22に一時保存される。
【0055】
一時保存された画像データに対して、事前にユーザが設定した画像処理条件に従って各種画像処理が施される。
その画像処理の1つとして手画像補正処理があるが、手画像補正処理の内容は実施形態1と同じである。
【0056】
手画像補正処理を含む画像処理を施して取得した処理画像は、RAM22より出力され、記憶部26に保存される。
ここで、記憶部26には画像処理を施す前の原画像も一緒に保存しても良い。
【0057】
また、RAM22より出力した処理画像は、表示部27に出力される。ユーザは、表示部27に表示された画像を視認することができる。ここで、ユーザに原画像又は処理画像を保存するか否かの判断を促し、ユーザが保存すると選択した場合のみ、記憶部26に原画像又は処理画像を保存するようにしてもよい。
【0058】
以上説明したように、本実施形態においては、外部のデジタルカメラ等で撮像した画像を画像処理装置に取り込み、取り込んだ画像に対して、人の手の領域を検出し、その領域内で、肌や爪の器官の特徴情報に一致する肌範囲又は爪範囲を特定し、それぞれ予め設定した処理設定情報に基づいて、肌範囲又は爪範囲の画像に処理を施すこととした。これにより、肌の赤みや爪のスジ等不要部分を消去した、より美しい人の手の画像を取得することができる。
【0059】
(実施形態3)
以下、本発明の実施形態3について図6を参照して詳細に説明する。実施形態1と同一の機能を有する構成部については同じ名称を付し、説明を省略する。
【0060】
実施形態3に係る画像処理システム3は、ネットワーク接続機能を有する撮像装置4が撮像した画像を、ネットワーク5経由で画像処理機能を有する画像処理サーバ6に送信し、画像処理サーバ6がその画像に画像処理を施す画像処理システムである。
【0061】
撮像装置4は、図6に示すように、CPU41、RAM42、ROM43、撮像部44、操作部45、記憶部46、表示部47、ネットワーク制御部48を備える。
【0062】
また、画像処理サーバ6は、図6に示すように、CPU61、RAM62、ROM63、操作部65、記憶部66、表示部67、ネットワーク制御部68を備える。
【0063】
撮像装置4の撮像部44が人の手を含む被写体像を撮像すると、取得された画像データがRAM42又は記憶部46に保存される。CPU41は、保存されている画像データのうち、画像処理サーバ6に送信する画像をユーザの操作、又は事前設定に従って選択する。そして、ネットワーク制御部48が、選択された画像データを画像処理サーバ6に送信する。
【0064】
送信された画像データは、ネットワーク5を経由して、画像処理サーバ6のネットワーク制御部68で受信される。
受信された画像データは、画像処理サーバ6のRAM62に一時保存される。
【0065】
一時保存された画像データに対して、事前にユーザが設定した画像処理条件に従って各種画像処理が施される。
その画像処理の1つとして手画像補正処理があるが、手画像補正の内容は実施形態1と同じである。
【0066】
手画像補正処理を含む画像処理を施して取得した処理画像は、RAM62より出力され、記憶部66に保存される。
ここで、記憶部66には画像処理を施す前の原画像も一緒に保存しても良い。
【0067】
また、RAM62より出力した処理画像は、ネットワーク制御部68から送信される。送信された処理画像のデータは、ネットワーク5を経由して撮像装置4のネットワーク制御部48で受信され、RAM42に一時保存され、表示部47で表示される。ユーザは、表示部47に表示された画像を視認することができる。ここで、ユーザに原画像又は処理画像を保存するか否かの判断を促し、ユーザが保存すると選択した場合、記憶部46に原画像又は処理画像を保存する。
【0068】
以上説明したように、本実施形態においては、撮像装置で撮像した画像を画像処理サーバにネットワークを経由して送信し、画像処理サーバが受信した画像データに対して、人の手の領域を検出し、その領域内で、肌や爪の器官の特徴情報に一致する肌範囲又は爪範囲を特定し、それぞれ予め設定した処理設定情報に基づいて、肌範囲又は爪範囲の画像に処理を施し、画像処理を施した処理画像を撮像装置にネットワークを経由して送信し、撮像装置で受信した処理画像を表示、保存することとした。これにより、画像処理機能を有さない撮像装置で撮像した画像であっても、ネットワークを経由した画像処理サーバで突出部消去処理を行うことができ、肌の赤みや爪のスジ等不要部分を消去した、より美しい人の手の画像を取得することができる。
【0069】
このように本発明は、人体の部位を含む被写体像を撮像した原画像の画像データに対して、人体の部位の領域を検出し、その領域内からその部位に含まれる器官が占める器官範囲を特定し、それぞれ予め設定した処理設定情報に基づいて、各器官範囲の画像に処理を施すこととした。これにより、消去箇所の手動指定を要することなく、人体の部位を撮像した画像の不要部分を消去した、より美しい画像を取得することができる。
【0070】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更は勿論可能である。
【0071】
例えば、上記実施形態において、爪範囲の特定後に、まず、マニキュアによる光沢状態及び色を含む現在の爪画素情報を取得して、取得した爪画素情報に対応して予め定めている処理設定情報に基づいて補正処理を行っても良い。これにより、光沢のあるマニキュアを塗っている爪に対して、スムージング処理を控えるように設定することによりその光沢感を鈍化させることなく爪範囲の補正を行うことができる。
【0072】
また、肌範囲の特定において、各指、手のひら、手の甲それぞれの範囲の特定を行っても良い。これにより、消去する必要のないしわを残すことができ、手の画像が不自然な画像となることを回避することができる。
【0073】
また、人の手の画像について、肌や爪範囲について補正処理を行うとしたが、他の人体の部位についてその部位特有の補正処理を行っても良い。例えば、人の脚領域を検出し、脚領域内の肌範囲を特定し、肌の赤みやアザをスムージング処理によって消去する等の補正を行う構成としても良い。
【0074】
また、撮像した画像や受信した画像をRAMに一時保存し、それに対して画像処理を施し、処理画像を記憶部に保存することとしたが、撮像した画像や受信した画像を記憶部に保存し、ユーザの選択操作に従い、記憶部から画像を読み出して、その画像に対して画像処理を施す構成としても良い。
【0075】
また、実施形態3において、ネットワーク5を経由して画像データを送受信するとしたが、近距離無線通信など、他の通信手段を用いて、撮像装置4と画像処理サーバ6との間の画像データの送受信を行っても良い。
【0076】
また、上記実施形態のCPU21、61が実行した画像処理のプログラムを、既存の情報端末に適用することで、当該情報端末を本発明に係る画像処理装置2又は画像処理サーバ6として機能させることも可能である。
【0077】
このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、携帯電話網やインターネット等の通信ネットワークを介して配布してもよい。
【0078】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0079】
(付記1)
画像から人体の部位の画像を検出し、前記人体の部位の領域情報を取得する部位領域情報取得手段と、
前記部位の領域情報が示す領域から、前記部位に含まれる器官の器官情報を抽出し、前記器官情報から前記器官が占める範囲を特定する器官範囲特定手段と、
前記器官が占める範囲の画像を、各々の器官に対して予め定めた補正処理を行う画像補正処理手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【0080】
(付記2)
前記画像補正処理手段は、前記部位領域が画像の全領域に占める割合が予め定めた割合以上となっている前記人体の部位に対して前記補正処理を行う、
ことを特徴とする付記1に記載の画像処理装置。
【0081】
(付記3)
前記器官情報は、前記画像処理装置に備えられた記憶手段に記憶された各器官の色又は形状又は凹凸パターンを含む情報と略一致する情報の有無を示す情報である、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の画像処理装置。
【0082】
(付記4)
前記人体の部位は、人の手であり、前記器官は、肌又は爪を含む、
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置。
【0083】
(付記5)
前記補正処理は、肌又は爪のスムージング処理又は色調補正処理又はコントラスト補正処理である、
ことを特徴とする付記4に記載の画像処理装置。
【0084】
(付記6)
前記画像補正処理手段は、前記爪の範囲を補正する際に、マニキュアによる光沢状態及び色を含む爪画素情報から、前記爪画素情報に対応して予め定めた補正処理を行う、
ことを特徴とする付記4又は5に記載の画像処理装置。
【0085】
(付記7)
被写体像を撮像して画像を取得する撮像手段と、付記1乃至6の何れかに記載の画像処理装置を備える、
ことを特徴とする撮像装置。
【0086】
(付記8)
画像から人体の部位の画像を検出し、前記人体の部位の領域情報を取得する部位領域情報取得ステップと、
前記部位の領域情報が示す領域から、前記部位に含まれる器官の器官情報を抽出し、前記器官情報から前記器官が占める範囲を特定する器官範囲特定ステップと、
前記器官が占める範囲の画像を、各々の器官に対して予め定めた補正処理を行う画像補正処理ステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【0087】
(付記9)
コンピュータに、
画像から人体の部位の画像を検出し、前記人体の部位の領域情報を取得する部位領域情報取得手順と、
前記部位の領域情報が示す領域から、前記部位に含まれる器官の器官情報を抽出し、前記器官情報から前記器官が占める範囲を特定する器官範囲特定手順と、
前記器官が占める範囲の画像を、各々の器官に対して予め定めた補正処理を行う画像補正処理手順と、
を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0088】
1 撮像装置
2 画像処理装置
3 画像処理システム
4 撮像装置
5 ネットワーク
6 画像処理サーバ
11、21、41、61 CPU
12、22、42、62 RAM
13、23、43、63 ROM
14、44 撮像部
15、25、45、65 操作部
16、26、46、66 記憶部
17、27、47、67 表示部
24 カメラ接続インターフェース
48、68 ネットワーク制御部
111 手領域検出部
112 器官範囲特定部
113 画像補正部
121 一時記憶部
141 画像取得部
201 肌範囲の赤み
202 爪範囲のスジ
203 肌範囲
204 爪範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像から人体の部位の画像を検出し、前記人体の部位の領域情報を取得する部位領域情報取得手段と、
前記部位の領域情報が示す領域から、前記部位に含まれる器官の器官情報を抽出し、前記器官情報から前記器官が占める範囲を特定する器官範囲特定手段と、
前記器官が占める範囲の画像を、各々の器官に対して予め定めた補正処理を行う画像補正処理手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像補正処理手段は、前記部位領域が画像の全領域に占める割合が予め定めた割合以上となっている前記人体の部位に対して前記補正処理を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記器官情報は、前記画像処理装置に備えられた記憶手段に記憶された各器官の色又は形状又は凹凸パターンを含む情報と略一致する情報の有無を示す情報である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記人体の部位は、人の手であり、前記器官は、肌又は爪を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記補正処理は、肌又は爪のスムージング処理又は色調補正処理又はコントラスト補正処理である、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像補正処理手段は、前記爪の範囲を補正する際に、マニキュアによる光沢状態及び色を含む爪画素情報から、前記爪画素情報に対応して予め定めた補正処理を行う、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
被写体像を撮像して画像を取得する撮像手段と、請求項1乃至6の何れかに記載の画像処理装置を備える、
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
画像から人体の部位の画像を検出し、前記人体の部位の領域情報を取得する部位領域情報取得ステップと、
前記部位の領域情報が示す領域から、前記部位に含まれる器官の器官情報を抽出し、前記器官情報から前記器官が占める範囲を特定する器官範囲特定ステップと、
前記器官が占める範囲の画像を、各々の器官に対して予め定めた補正処理を行う画像補正処理ステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
画像から人体の部位の画像を検出し、前記人体の部位の領域情報を取得する部位領域情報取得手順と、
前記部位の領域情報が示す領域から、前記部位に含まれる器官の器官情報を抽出し、前記器官情報から前記器官が占める範囲を特定する器官範囲特定手順と、
前記器官が占める範囲の画像を、各々の器官に対して予め定めた補正処理を行う画像補正処理手順と、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−181785(P2012−181785A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45814(P2011−45814)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】