説明

画像処理装置、方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】描画面をスキャンして生成した画像データの中から連関性を有する画像データを関連付けて出力可能な画像処理装置、方法、プログラムおよび記録媒体を提供すること。
【解決手段】本発明の画像処理装置は、複数の描画面をスキャニングして複数の画像データを生成し、当該画像データに含まれる描画面に描かれた描画の連続性を判断して、画像データ間の連関性を判定する。そして、画像処理装置は、連関性を有すると判定した画像データを関連付けて出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、描画面に描かれた描画の画像データを処理する画像処理装置に関し、より詳細には、画像データの連関性を考慮して出力する画像処理装置、方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業や教育機関、行政機関等における会議等において、ホワイトボード等の描画面上にユーザが描いた文字や数字、図形等の描画を出力可能なホワイトボードシステムが利用されている。
【0003】
このようなホワイトボードシステムは、専用のスキャナが描画面上を移動して走査し、そのスキャンデータから印刷データや特定のデータ形式のファイルを生成し、印刷データを印刷装置に印刷させ、またはファイルをフラッシュメモリ等の記録媒体に出力する。
【0004】
従来のホワイトボードシステムの一例として、特許文献1は、筆記シート等の描画面に記述された文字や図形等の描画を記録装置に出力する電子黒板装置を開示する。この電子黒板装置は、筆記シートの読み取り指示を受領すると、駆動部が筆記シートをイメージセンサに搬送し、筆記シートの描画情報を読み取って2値画像データに変換し、記録装置用インタフェースを介して記録装置に出力する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数の描画面に描かれた連続または関連する描画を出力する場合、特許文献1に開示するような従来のホワイトボードシステムでは、当該描画面のスキャンデータである画像データ間の連関性が失われてしまい、これらの印刷物やファイル等の出力データがいずれの出力データと連関性を有するのか、ユーザが判断しなければならないという問題があった。
【0006】
本発明は上記の課題を解決するものであり、描画面をスキャンして生成した画像データの中から連関性を有する画像データを関連付けて出力可能な画像処理装置、方法、プログラムおよび記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像処理装置は、複数の描画面をスキャニングして複数の画像データを生成し、当該画像データに含まれる描画面に描かれた描画の連続性を判断して、画像データ間の連関性を判定する。そして、画像処理装置は、連関性を有すると判定した画像データを関連付けて出力する。これにより、本発明の画像処理装置は、連関性を有する画像データを関連付けて出力することができる。
【0008】
本発明によれば、複数の描画面から生成した画像データの連関性を判定し、連関性を有する画像データを関連付けて出力する方法、プログラムおよび記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の画像処理装置を示す図。
【図2】本発明の画像処理装置の一実施形態に係る機能構成を示す図。
【図3】図2に示す実施形態の画像処理装置が実行する画像データの出力処理を示すフローチャート。
【図4】図2に示す実施形態の画像処理装置が実行する画像判定処理を示すフローチャート。
【図5】本発明の画像処理装置がスキャニングする描画面のスキャン範囲を示す図。
【図6】図2に示す実施形態の画像処理装置が実行する画像データの連関性の判定方法を示す図。
【図7】図2に示す実施形態の画像処理装置が生成する関連情報テーブルを示す図。
【図8】本発明の画像処理装置の他の実施形態に係る機能構成を示す図。
【図9】図8に示す実施形態の画像処理装置が実行する初期画像の登録処理を示すフローチャート。
【図10】図8に示す画像処理装置が実行する画像判定処理の一実施形態を示すフローチャート。
【図11】初期状態の描画面の一実施形態および当該描画面に描画が描かれた状態の描画面を示す図。
【図12】図8に示す画像処理装置が実行する画像判定処理の別の実施形態を示すフローチャート。
【図13】図8および図12に示す実施形態の画像処理装置が実行する描画の検出方法を示す図。
【図14】図8、図12および図13に示す実施形態が実行する連関性を有する画像データの判別方法を説明する図。
【図15】図8に示す画像処理装置が実行する画像データの出力処理を示すフローチャート。
【図16】図8に示す画像処理装置が実行する画像データの出力処理を示すフローチャート。
【図17】図8に示す実施形態の画像処理装置が生成する関連情報テーブルを示す。
【図18】図8に示す実施形態の画像処理装置が出力する出力物を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について実施形態をもって説明するが、本発明は、後述する実施形態に限定されるものではない。
【0011】
図1は、本発明の画像処理装置100を示す。画像処理装置100は、ユーザが文字や図形、記号等の様々な描画を書き込み、その描画をスキャニングして出力する装置である。画像処理装置100は、描画媒体102と、スキャナ装置104と、印刷装置106とを含んで構成される。
【0012】
描画媒体102は、描画を書き込むことが可能な筆記シートや描画シート等の媒体である。描画媒体102は、画像処理装置100内部に設けられた2の駆動ローラに巻き付けられており、当該駆動ローラを回転させることにより、描画媒体102が移動して新たな描画面が現れる。
【0013】
スキャナ装置104は、描画媒体102をスキャニングする画像読取装置である。スキャナ装置104は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを含んで構成されており、CCDイメージセンサが描画媒体102に描かれた描画をスキャニングし、スキャンデータに対してエッジ補正やガンマ補正等の種々の補正を施し、A/D変換をして画像データを生成する。
【0014】
印刷装置106は、スキャナ装置104が生成した画像データを出力する装置である。本実施形態では、印刷装置106を画像処理装置100と一体化して構成されているが、他の実施形態では、USBコネクタ等の印刷装置用のインタフェースを画像処理装置100に設けて、ケーブルを介して画像処理装置100に印刷装置106を接続するように構成してもよい。
【0015】
画像処理装置100は、PENTIUM(登録商標)プロセッサまたは互換プロセッサなどの種々のプロセッサを搭載し、UNIX(登録商標)、LINUX(登録商標)、ITRON、μITRONなどのOSの管理下で、アセンブラ、C、C++、Java(登録商標)、JavaScript(登録商標)、PERL、RUBY、PYTHONなどのプログラム言語で記述された本発明のプログラムを実行する。また、画像処理装置100は、本発明のプログラムを実行するための実行空間を提供するRAM、プログラムやデータなどを持続的に保持するためのハードディスク装置(HDD)などを含んでおり、本発明のプログラムを実行することにより、本実施形態の各機能手段を画像処理装置上に実現する。
【0016】
本発明のプログラムは、HDD、CD−ROM、MO、フレキシブルディスク、EEPROM、EPROMなどの装置可読な記録媒体に格納して頒布することができ、また他装置が可能な形式でネットワークを介して伝送することができる。
【0017】
図2は、本発明の画像処理装置の一実施形態に係る機能構成を示す図である。以下、図2を参照して、画像処理装置100の機能構成200について説明する。
【0018】
画像処理装置100は、画像処理部202と、スキャナ装置104と、印刷装置106と、駆動装置240と、インタフェース242とを含んで構成される。駆動装置240は、描画媒体102が取り付けられた2の駆動ローラを含んで構成されており、当該駆動ローラを回転させて描画媒体102を移動させる装置である。これらの駆動ローラは、画像処理装置100の両端部の近傍に設置されており、正回転および逆回転が可能であり、その回転方向を制御することによって描画媒体102の移動方向を制御する。
【0019】
画像処理部202は、制御部204と、画像読取部206と、画像保存部208と、記憶装置220とを含む。制御部204は、画像処理装置100の全体制御を行う機能手段であり、後述する機能手段を適宜呼び出して各種処理を実行させる。
【0020】
画像読取部206は、スキャナ装置104および駆動装置240を制御して描画媒体102の画像データを取得する機能手段である。画像読取部206は、制御部204から読み出されると、駆動装置240に描画媒体102を移動させると共に、スキャナ装置104に描画媒体102をスキャニングさせる。画像読取部206は、スキャニングによって得られた画像データをスキャナ装置104から取得し、画像データを固有に識別する情報(以下、「画像識別情報」とする。)を生成し、画像データおよび画像識別情報を記憶装置220に保存させる。
【0021】
本実施形態では、画像識別情報には、描画媒体のいずれの面(例えば、第1面、第2面等)をスキャニングして得られた画像データであるかを示す情報を含む。画像読取部206は、駆動ローラの回転数および回転角を記憶装置(図示せず)に保持しており、これらの情報を用いて描画媒体102のいずれの面が露出しているか判断することができる。例えば、回転数および回転角が0である場合には、駆動ローラは回転しておらず、画像読取部206は、描画媒体の第1面が露出していると判断し、画像データを保存する際に、描画媒体の第1面の画像データであることを示す情報を含む画像識別情報を生成して、当該画像識別情報を画像データに付加して保存させる。
【0022】
画像読取部206は、描画媒体102の画像データを生成する場合、描画媒体102の露出している面と、その次の面の一部とをスキャニングして、これらを含む画像データを生成する。このとき、画像読取部206は、当該次の面の一部をスキャナ装置104がスキャンできるように駆動装置240を制御する。具体的には、画像読取部206は、駆動装置240の駆動ローラを正回転させて、当該次の面の一部をスキャナ装置104直下まで移動させる。そして、画像読取部206は、駆動ローラを逆回転させて、当該次の面の全体が露出する位置まで描画媒体102を移動させる。
【0023】
画像保存部208は、画像データを保存する機能手段である。画像保存部208は、新たな画像データを保存する場合、画像読取部206が取得した画像データに画像識別情報を付加して、記憶装置220に保存する。また、画像保存部208は、他の機能手段に要求に応じて、記憶装置220に保存された画像データを更新する。
【0024】
また、画像処理部202は、画像判定部210と、関連情報登録部212と、画像削除部214と、画像結合部216と、画像出力部218と、記憶装置222とを含む。
【0025】
画像判定部210は、スキャナ装置104がスキャニングした複数の画像データの連関性を判定する機能手段である。画像判定部210は、連続する画像データを比較し、これらの画像データに分割された同一の描画が含まれているか判定する。分割された同一の描画が含まれている場合には、画像判定部210は、これらの画像データには連関性があると判断し、関連情報登録部212に対し、当該画像データの連関性を示す関連情報を生成させ、記憶装置222に登録させる。
【0026】
関連情報登録部212は、画像データの連関性を示す関連情報を生成および登録する機能手段である。関連情報登録部212は、画像判定部210が連関性を有すると判断した画像データの関連情報を生成し、記憶装置222に登録する。なお、関連情報については、図7を参照して詳細に説明する。
【0027】
画像削除部214は、スキャナ装置104が生成した画像データから重複部分を削除する機能手段である。上述したように、スキャナ装置104が生成した画像データには、露出した描画媒体の1の面と、その次の面の一部とが含まれており、画像削除部214は、画像データから当該次の面の一部を削除する。画像削除部214は、画像保存部208に対して、加工した画像データを記憶装置220に上書き保存させる。
【0028】
画像結合部216は、連関性を有する複数の画像データを結合する機能手段である。画像結合部216は、記憶装置222に保存された関連情報を参照し、連関性を有する画像データを記憶装置220から取得して結合する。画像結合部216は、画像削除部214によって重複部分が削除された画像データ同士を結合する。
【0029】
画像出力部218は、画像データから出力データを生成して印刷装置106またはインタフェース242に出力する機能手段である。画像出力部218は、画像結合部216が結合した画像データまたは結合していない画像データから出力データを生成する。
【0030】
画像出力部218は、出力方法として印刷出力が指定されている場合、印刷装置106が読取可能なPDL(Page Description Language)で記述した出力データを生成し、当該出力データを印刷装置106に出力して印刷させる。一方、出力方法としてファイル出力が指定されている場合、画像出力部218は、画像データをJPEGやGIF、PNG、BMP、TIFF、PDF等の特定のファイル形式に変換して、インタフェース242を介して当該出力データを記録媒体に保存し、または指定された出力先に出力データをネットワーク送信する。本実施形態では、出力指示や印刷方法、出力先を指定可能な操作パネルを画像処理装置100に設けて、当該操作パネルを介してユーザが指定した出力方法や出力先を取得することができる。
【0031】
インタフェース242は、画像出力部218が出力した画像データを出力するインタフェースである。本実施形態では、インタフェース242として、USBメモリやメモリカード等のフラッシュメモリなどの記録媒体を挿入可能なソケット等を採用し、これらの記録媒体に画像データを出力することができる。また、インタフェース242として、LANやWAN、インターネット等のネットワークに接続可能なネットワークインタフェースを採用し、画像データをネットワーク送信することができる。さらに、インタフェース242として、BluetoothやWiFi等の無線通信プロトコルに対応する無線通信ポートを採用し、無線通信によって画像データを送信することができる。
【0032】
図3は、図2に示す実施形態の画像処理装置が実行する画像データの出力処理を示すフローチャートである。以下、図3を参照して、本実施形態の画像データの出力処理について説明する。
【0033】
図3の処理は、画像処理装置100が操作パネルを介して画像データの出力指示を受領することによりステップS300から開始する。ステップS301では、画像処理装置100の制御部204が画像読取部206を呼び出し、画像読取部206は、画像データを識別するための変数である画像識別変数nを初期化する。ステップS302では、画像読取部206は、露出している描画面と当該描画面に後続する次の描画面の一部とをスキャナ装置104にスキャンさせて画像データを取得する。ステップS303では、画像読取部206は、画像識別変数nをインクリメントする。ステップS304では、画像読取部206は、画像識別変数nを使用して画像識別情報を生成し、画像保存部208が、画像読取部206が取得した直近の画像データに当該画像識別情報を付加して記憶装置220に保存する。
【0034】
本実施形態では、画像識別変数を用いて画像識別情報を生成するが、他の実施形態では、画像データを識別できる限り、例えば、画像データの取得時間などの如何なる内容の画像識別情報を使用することができる。
【0035】
ステップS305では、画像読取部206は、次の描画面と当該描画面に後続するその次の描画面の一部とをスキャナ装置104にスキャンさせて画像データを取得する。ステップS306では、画像読取部206は、当該画像データに描画が存在するか否か判断する。描画が存在すると判断した場合には(yes)、ステップS303からステップS306の処理を反復させる。一方、描画が存在しないと判断した場合には(no)、処理をステップS307に分岐させる。
【0036】
本実施形態では、描画が描かれていない状態の描画媒体102の色情報を画像処理装置100の不揮発性の記憶装置に格納されており、画像読取部206は、スキャンした次の描画面および当該描画面に後続する描画面の一部の画像データを構成する総ての画素の色情報が、当該描画媒体102の色情報と一致するか否か判断することにより、当該画像データに描画が存在するか否か判断することができる。具体的には、当該総ての画素の色情報が当該描画媒体102の色情報と一致する場合には、描画が存在しないと判断する。一方、当該画素の色情報のうちいずれかが当該描画媒体102の色情報と一致しない場合には、描画が存在すると判断する。なお、画像データのノイズ等を考慮して、当該画像データを構成する総ての画素の色情報ではなく、大部分の画素の色情報が当該描画媒体102の色情報と一致するか否か判断するようにしてもよい。
【0037】
ステップS307では、制御部204は画像識別変数nを初期化する。ステップS308では、制御部204は画像識別変数nをインクリメントする。ステップS309では、制御部204は画像判定部210を呼び出し、画像識別変数nおよびn+1を用いて生成される画像識別情報が示す画像データについて、図4に示す画像判定処理を施し、これらの画像データの連関性を判定する。ステップS310では、制御部204は画像結合部216を呼び出し、画像結合部216は、画像識別変数nを用いて生成される画像識別情報が示す画像データから重複部分である後続の描画面の画像を削除し、画像保存部208が、加工された画像データを記憶装置220に保存する。
【0038】
ステップS311では、制御部204は、画像判定処理を施すべき画像データが記憶装置220に存在するか否か判断する。画像判定処理を施すべき画像データが存在すると判断した場合には(yes)、ステップS308〜ステップS311の処理を反復させ、次の画像データ対に対して画像判定処理を施し、当該画像データ対の連関性を判定する。一方、画像判定処理を施すべき画像データが存在しないと判断した場合には(no)、処理をステップS312に分岐させる。
【0039】
ステップS312では、制御部204は、画像判定処理で生成される関連情報が記憶装置222に存在するか判断する。関連情報が存在しないと判断した場合には(no)、処理をステップS314に分岐させる。一方、関連情報が存在すると判断した場合には(yes)、処理をステップS313に分岐させる。
【0040】
ステップS313では、制御部204は画像結合部216を呼び出し、画像結合部216は、記憶装置222に保存されている関連情報を使用して、連関性を有する画像データを記憶装置220から取得して結合する。ステップS314では、制御部204は画像出力部218を呼び出し、画像出力部218は、画像データを印刷装置106またはインタフェース242に出力し、ステップS315で処理が終了する。
【0041】
本実施形態では、画像出力部218は、関連情報が存在する場合には、画像結合部216が結合した画像データを出力し、関連情報が存在しない場合には、結合していない画像データを記憶装置220から取得して出力する。
【0042】
図4は、図2に示す実施形態の画像処理装置が実行する画像判定処理を示すフローチャートである。以下、図4を参照して、画像データの連関性を判定する画像判定処理について説明する。
【0043】
図4の処理は、ステップS400から開始し、ステップS401で画像判定部210が、画像データを構成する画素が形成する行を識別するための変数である画素行変数Lを初期化する。ステップS402では、画像判定部210は、画素行変数Lをインクリメントする。
【0044】
ステップS403では、画像判定部210は、画像識別変数nを用いて生成された画像識別情報が示す画像データの画素の色情報や輝度などの構成情報(以下、「画素構成情報」とする。)のうち画素行変数Lが示す画素行の画素構成情報を記憶装置220から取得する。ステップS404では、画像判定部210は、ステップS403で取得した画素構成情報を使用して、当該画像データの主要な描画面と後続する描画面との境界部分の描画が連続するか否か判断する。
【0045】
本実施形態では、画素行変数Lが示す画素行の画素構成情報のうち、当該境界部分における主要な描画面の画素構成情報と後続する描画面の画素構成情報とが同一であるか否か判断することにより、描画が連続するか否か判断することができる。このとき、対比する主要な描画面の画素および後続する描画面の画素は、それぞれ単一の画素でもよく、また、複数の画素からなる画素ブロック同士を対比してもよい。
【0046】
ステップS404の判定で当該境界部分の描画が連続すると判断した場合には(yes)、処理をステップS405に分岐させる。ステップS405では、関連情報登録部212が、これらの画像データの関連情報を生成して記憶装置222に保存し、ステップS407で処理が終了する。
【0047】
一方、ステップS404の判定で当該境界部分の描画が連続しないと判断した場合には(no)、処理をステップS406に分岐させる。ステップS406では、画像判定部210は、画素行変数Lを使用して、判定すべき画素行が存在するか否か判断し、画素行が存在する場合には(yes)、処理をステップS402に分岐させる。一方、画素行が存在しない場合には(no)、処理をステップS407に分岐させて終了させる。
【0048】
本実施形態では、画像判定部210は、画素行変数Lが最大値に達したか否か判断することにより、判定すべき画素行が存在するか否か判断することができる。画素行変数Lの最大値は画像データの大きさに依拠し、画像データに含まれ得る画素行の最大数を画素行変数Lの最大値とすることができる。
【0049】
図5は、本発明の画像処理装置がスキャニングする描画面のスキャン範囲を示す図である。図5には、描画媒体102の一部である先行する描画面510と、当該描画面510に後続する描画面520とが示されている。
【0050】
描画面510は、描画面510のスキャニングの際に露出している描画面512と、重複部分である描画面520の一部の領域514とを含む。領域514は、描画面520のうち描画面510に隣接する部分524と同一である。画像処理装置100は、描画面510をスキャニングする場合、スキャン範囲である描画面512と、描画面520の一部の領域514とをスキャニングし、画像データを取得する。
【0051】
描画面520は、描画面510と同様に、描画面520のスキャニングの際に露出している描画面522と、描画面510のスキャニングで既にスキャンされた領域514と同一の領域524と、描画面520に後続する描画面(図示せず)の一部の領域526とを含む。画像処理装置100は、描画面520をスキャニングする場合、スキャン範囲である領域524と、描画面522と、後続する描画面の一部の領域526とをスキャニングし、画像データを取得する。
【0052】
図6は、図2に示す実施形態の画像処理装置が実行する画像データの連関性の判定方法を示す図である。図6には、画像処理装置100がスキャンして取得した画像データ610が示されている。画像データ610には、当該スキャンを行う際に露出していた描画面の画像データ612と、当該描画面に後続する描画面の一部に相当する画像データ614とが含まれる。
【0053】
画像処理装置100は、画像データ612と画像データ614との境界部分の画素の画素構成情報を使用して、境界部分の描画が連続しているか判断する。具体的には、画像データ610の第1の画素行に含まれる画像データ612の画素620の画素構成情報と、同一の画素行に含まれる画像データ612の画素621の画素構成情報とが同一であるか否か判断することにより、描画が連続しているか判断する。これらの画素構成情報が相違する場合には、次の画素行に含まれる画素622,623に対して同様の処理を行う。当該処理を繰り返すことにより、境界部分の描画が連続しているか判断する。
【0054】
本実施形態では、画像データの上側の画素行から順に画像判定を行うが、他の実施形態では、画像データの下側の画素行から順に画像判定を行うようにしてもよい。
【0055】
図7は、図2に示す実施形態の画像処理装置が生成する関連情報テーブル700を示す。関連情報テーブル700は、画像対識別情報710と、第1の画像データの画像識別情報712と、第2の画像データの画像識別情報714とが関連付けて登録される。
【0056】
画像対識別情報710には、連関する画像データから成る画像データ対を固有に識別する情報(以下、「画像対識別情報」とする。)が登録される。図7に示す実施形態では、連関画像識別情報として「画像対1」および「画像対2」等の文字列が使用されているが、画像データ対を固有に識別できる限り、任意の文字列、記号、数字およびこれらの結合等、如何なる表現形式の画像対識別情報を採用することができる。
【0057】
第1の画像データの画像識別情報712には、連関性を有する描画面の画像データのうち先行する描画面の画像データである第1の画像データの画像識別情報が登録される。第2の画像データの画像識別情報714には、連関性を有する描画面の画像データのうち後続する描画面の画像データである第2の画像データの画像識別情報が登録される。
【0058】
関連情報テーブル700では、画像対識別情報「画像対1」に、第1の画像データの画像識別情報「画像データ3」と、第2の画像データの画像識別情報「画像データ4」とが関連付けて登録されており、画像識別情報「画像データ3」が示す画像データと、画像識別情報「画像データ4」が示す画像データとが連関性を有することを示している。同様に、画像対識別情報「画像対2」に、第1の画像データの画像識別情報「画像データ6」と、第2の画像データの画像識別情報「画像データ7」とが関連付けて登録されており、画像識別情報「画像データ6」が示す画像データと、画像識別情報「画像データ7」が示す画像データとが連関性を有することを示している。
【0059】
図7に示す実施形態では、画像識別情報として「画像データ3」および「画像データ4」等の文字列が使用されているが、画像データを固有に識別できる限り、任意の文字列、記号、数字およびこれらの結合等、如何なる表現形式の画像識別情報を採用することができる。
【0060】
図8は、本発明の画像処理装置の他の実施形態に係る機能構成を示す図である。以下、図8を参照して、画像処理装置100の機能構成800について説明する。なお、画像処理装置100の機能構成800は、図2に示す画像処理装置100の機能構成200と共通する機能手段を含むため、以下、相違点を中心に説明する。
【0061】
画像処理装置100は、画像処理部802と、スキャナ装置104と、印刷装置106と、駆動装置840と、インタフェース842とを含んで構成される。画像処理部802は、初期画像登録部824と、描画色判定部826と、画像出力部818とを含む。
【0062】
初期画像登録部824は、描画が描かれる前の初期状態の描画面の画像データである初期画像を登録する手段である。初期画像登録部824は、画像読取部806に対して、描画媒体102の総ての描画面の画像データをスキャンさせる。具体的には、画像読取部806は、駆動装置840の駆動ローラを回転させて、描画媒体102の総ての画像データをスキャンさせる。そして、初期画像登録部824は、駆動ローラの回転数および回転角を使用して描画面の境界を判断して、スキャンした画像データを描画面毎に分割する。次いで、初期画像登録部824は、描画面毎の初期画像を固有に識別可能な情報(以下、「初期画像識別情報」とする。)を生成し、描画面毎の初期画像に付加して記憶装置820に保存する。
【0063】
描画色判定部826は、描画媒体102に描かれた描画の色を判定する機能手段である。画像処理装置100は、描画媒体102に描画する可能性のある筆記具の色情報、例えば、RGB情報を描画色として予め記憶装置(図示せず)に登録する。描画色判定部826は、描画面をスキャンして得られた画像データに含まれる描画を構成する画素の色情報と、既定の描画色の色情報とを比較し、描画の色と同一または近似する既定の描画色の色情報を特定する。
【0064】
画像出力部818は、ユーザが指定した画像データの出力方法に応じて画像データを出力する機能手段であり、出力方法判定部828と、画像加工部830と、出力部832とを含む。
【0065】
出力方法判定部828は、ユーザが指定した画像データの出力方法を判定する機能手段である。出力方法判定部828は、オペレーションパネルを通じてユーザが指定した画像データの出力方法に応じて、画像加工部830に画像データを加工させて出力データを生成させ、出力部832に当該出力データを出力させる。
【0066】
画像加工部830は、ユーザが指定した画像データの出力方法に応じて画像データを加工する機能手段である。本実施形態では、画像データの出力方法として、画像データを用紙等の印刷媒体に印刷する方法と、特定形式のファイルデータを生成して出力する方法とがある。
【0067】
画像加工部830は、出力方法として印刷出力が指定されている場合、印刷装置106が読取可能なPDLで記述した出力データを生成する。より詳細には、本実施形態の画像処理装置が画像データを印刷する場合、画像データの出力方法として、長尺印刷、縮小印刷、集約印刷およびステープル印刷を指定することができる。
【0068】
長尺印刷は、連関性を有する画像データを結合して1の長尺用紙に印刷する方法であり、画像加工部830は、連関性を有する画像データを結合して出力データを生成する。縮小印刷は、連関性を有する画像データを結合および縮小して印刷する方法であり、画像加工部830は、連関性を有する画像データを結合し、出力用紙の大きさに縮小して出力データを生成する。集約印刷は、連関性を有する画像データを集約して印刷する方法であり、画像加工部830は、連関性を有する画像データを合成し、集約された出力データを生成する。ステープル印刷は、出力データを印字した出力用紙をステープル止めして出力する方法である。
【0069】
また、画像加工部830は、出力方法としてファイル出力が指定されている場合、画像データをJPEGやGIF、PNG、BMP、TIFF、PDF等の特定のファイル形式に変換して、ユーザが指定した出力先に送信する。本実施形態では、ファイル出力として、連関性を有する画像データを合成して出力する方法と、当該画像データを合成せずに出力する方法とを採用することができる。画像加工部830は、画像データを合成して出力する場合、連関性を有する画像データを結合および縮小して出力データを生成する。
【0070】
出力部832は、画像加工部830が生成した出力データを出力する機能手段である。出力部832は、出力方法として印刷装置による出力が指定されている場合、出力データを印刷装置106に出力して印刷を実行させる。一方、出力方法としてファイル出力が指定されている場合、出力部832は、インタフェース842を介して、当該出力データを記録媒体に保存し、またはユーザが指定した出力先に出力データを送信する。
【0071】
図9は、図8に示す実施形態の画像処理装置が実行する初期画像の登録処理を示すフローチャートである。以下、図8を参照して、初期画像の登録処理について説明する。
【0072】
図9の処理は、初期画像の登録指示を受領することによりステップS900から開始する。本実施形態では、画像処理装置100に設けられた初期画像の登録を指示可能な操作パネルを用いてユーザが初期画像の登録指示を発行する。
【0073】
ステップS901では、画像処理部802の制御部804が初期画像登録部824を呼び出し、初期画像登録部824が、画像読取部806を介してスキャナ装置104に描画媒体102の総ての描画面をスキャンさせる。ステップS902では、初期画像登録部824は、スキャンデータを分割して描画面毎の初期画像を生成する。ステップS903では、初期画像登録部824は、初期画像識別情報を生成し、描画面毎に初期画像に付加して記憶装置820に保存し、ステップS904で処理が終了する。
【0074】
図10は、図8に示す画像処理装置が実行する画像判定処理の一実施形態を示すフローチャートである。以下、図10を参照して、本実施形態の画像判定処理について説明する。
【0075】
図10の処理は、ステップS1000から開始し、ステップS1001で画像判定部810が、画素行変数Lを初期化する。ステップS1002では、画像判定部810は、画素行変数Lをインクリメントする。
【0076】
ステップS1003では、画像判定部810は、画像識別変数nを用いて生成された画像識別情報が示す画像データの画素構成情報のうち画素行変数Lが示す画素行の画素構成情報と、当該画像データに含まれる2の描画面、すなわち、主要な描画面および当該描画面に後続する描画面の初期画像の画像構成情報のうち画素行変数Lが示す画素行の画素構成情報とを記憶装置820から取得する。
【0077】
ステップS1004では、画像判定部810は、ステップS1003で取得した画素構成情報を使用して、当該画像データの主要な描画面と後続する描画面との境界部分に描画として検出すべきでない対象物が存在するか否か判断する。描画として検出すべきでない対象物には、例えば、油性ペンなどで描画媒体上に描いた描画や傷、汚れ、付着物等の初期画像の背景色と異なる色情報を有する対象物の画像が該当する。本実施形態は、画像判定部810は、当該画像データの主要な描画面と後続する描画面との境界部分の画素の画素構成情報と、当該画素に対応する初期画像の画素の画素構成情報とが異なるか否か判断することにより、描画として検出すべきでない対象物が存在するか否か判断することができる。
【0078】
ステップS1004の判定で、検出すべきでない対象物が存在すると判断した場合には(yes)、ステップS1002〜ステップS1004の処理を反復させる。一方、検出すべきでない対象物が存在しないと判断した場合には(no)、処理をステップS1005に分岐させる。
【0079】
ステップS1005では、画像判定部810は、ステップS1003で取得した画素構成情報を使用して、当該画像データの主要な描画面と後続する描画面との境界部分の描画が連続するか否か判断する。本実施形態では、図4に示す実施形態と同様に、画素行変数Lが示す画素行の画素構成情報のうち、当該境界部分における主要な描画面の画素構成情報と後続する描画面の画素構成情報とが同一であるか否か判断することにより、描画が連続するか否か判断することができる。
【0080】
ステップS1005の判定で当該境界部分の描画が連続すると判断した場合には(yes)、処理をステップS1006に分岐させる。ステップS1006では、関連情報登録部812が関連情報を生成して記憶装置822に保存し、ステップS1008で処理が終了する。
【0081】
一方、ステップS1005の判定で当該境界部分の描画が連続しないと判断した場合には(no)、処理をステップS1007に分岐させる。ステップS1007では、画像判定部810は、画素行変数Lを使用して、判定すべき画素行が存在するか否か判断し、画素行が存在する場合には(yes)、処理をステップS1002に分岐させる。一方、画素行が存在しない場合には(no)、処理をステップS1008に分岐させて終了させる。本実施形態では、図4に示す実施形態と同様に、画像判定部810は、画素行変数Lが最大値に達したか否か判断することにより、判定すべき画素行が存在するか否か判断することができる。
【0082】
図11は、初期状態の描画面の一実施形態および当該描画面に描画が描かれた状態の描画面を示す図である。図11には、初期状態の描画面1110,1112と、描画面1120,1122とが示されている。
【0083】
描画面1110,1112は、描画が描かれる前の初期状態の描画面である。描画面1110には、描画として検出すべきでない対象物1114,1116が存在する。描画面1110に後続する描画面1112には、描画として検出すべきでない対象物1116,1118が存在する。対象物1116は、描画面1110,1112の境界部分に延在する。
【0084】
描画面1120,1122は、描画面1110,1112に描画1124,1126が描かれた状態の描画面である。描画面1120,1122には、描画として検出すべきでない対象物1116が、これらの描画面の境界部分に存在する。図8〜図10に示す実施形態では、当該対象物1116を除外して、境界部分に存在する描画の連続性を判断することができる。
【0085】
図12は、図8に示す画像処理装置が実行する画像判定処理の別の実施形態を示すフローチャートである。以下、図12を参照して、本実施形態の画像判定処理について説明する。
【0086】
図12の処理は、ステップS1200から開始し、ステップS1201で画像判定部810が、画像データを構成する画素が形成する列を識別するための変数である画素列変数Cを初期化する。ステップS1202では、画像判定部810は、画素列変数Cをインクリメントする。ステップS1203では、画像判定部810は、画素列変数Cを使用して、判定すべき画素列が存在するか否か判断する。
【0087】
本実施形態では、画像判定部810は、画素列変数Cが最大値に達したか否か判断することにより、判定すべき画素行が存在するか否か判断することができる。画素列変数Cの最大値は画像データの大きさに依拠し、画像データに含まれ得る画素列の最大数を画素列変数Cの最大値とすることができる。
【0088】
ステップS1203で、判定すべき画素列が存在しないと判断した場合には(no)、処理をステップS1215に分岐させて終了させる。一方、判定すべき画素列が存在すると判断した場合には(yes)、処理をステップS1204に分岐させる。
【0089】
ステップS1204では、画像判定部810は、画像識別変数nを用いて生成された画像識別情報が示す画像データの画素構成情報のうち画素列変数Cが示す画素行の画素構成情報を記憶装置820から取得する。本実施形態では、当該画像データに含まれる主要な描画面と当該描画面に後続する描画面との境界部分の画素列から順に画素構成情報を取得する。
【0090】
ステップS1205では、画像判定部810は、当該画素行の画素構成情報と、描画が描かれていない状態の描画媒体102の色情報とを使用して、当該画像データの画素列変数Cが示す画素行に描画が存在するか否か判断する。
【0091】
本実施形態では、描画が描かれていない状態の描画媒体102の色情報が画像処理装置100の不揮発性の記憶装置に格納されており、画像判定部810は、当該画像データの画素列変数Cが示す画素列を構成する総ての画素の色情報が、当該描画媒体102の色情報と一致するか否か判断することにより、描画が存在するか否か判断することができる。具体的には、当該総ての画素の色情報が当該描画媒体102の色情報と一致する場合には、描画が存在しないと判断する。一方、当該画素の色情報のうちいずれかが当該描画媒体102の色情報と一致しない場合には、描画が存在すると判断する。なお、画像データのノイズ等を考慮して、当該画像データを構成する総ての画素の色情報ではなく、大部分の画素の色情報が当該描画媒体102の色情報と一致するか否か判断するようにしてもよい。
【0092】
ステップS1205の判定で当該画像データの画素列変数Cが示す画素行に描画が存在しないと判断した場合には(no)、処理をステップS1202に戻し、次の画素列について同様の処理を実行する。一方、当該画像データの画素列変数Cが示す画素行に描画が存在すると判断した場合には(yes)、処理をステップS1206に分岐させる。ステップS1206では、描画色判定部826が、ステップS1205で検出した描画の色情報と同一または近似する既定の描画色の色情報を特定する。
【0093】
ステップS1207では、画像判定部810は、画素列変数Cを初期化する。ステップS1208では、画像判定部810は、画素列変数Cをインクリメントする。ステップS1209では、画像判定部810は、画素列変数Cを使用して、判定すべき画素列が存在するか否か判断する。
【0094】
ステップS1209で、判定すべき画素列が存在しないと判断した場合には(no)、処理をステップS1215に分岐させて終了させる。一方、判定すべき画素列が存在すると判断した場合には(yes)、処理をステップS1210に分岐させる。
【0095】
ステップS1210では、画像判定部810は、画像識別変数n+1を用いて生成された画像識別情報が示す画像データの画素構成情報のうち画素列変数Cが示す画素行の画素構成情報を記憶装置820から取得する。本実施形態では、当該画像データに含まれる主要な描画面と当該描画面に先行する描画面との境界部分の画素列から順に画素構成情報を取得する。
【0096】
ステップS1211では、画像判定部810は、当該画素行の画素構成情報と、描画が描かれていない状態の描画媒体102の色情報とを使用して、当該画像データの画素列変数Cが示す画素行に描画が存在するか否か判断する。
【0097】
ステップS1211の判定で当該画像データの画素列変数Cが示す画素行に描画が存在しないと判断した場合には(no)、処理をステップS1208に戻し、次の画素列について同様の処理を実行する。一方、当該画像データの画素列変数Cが示す画素行に描画が存在すると判断した場合には(yes)、処理をステップS1212に分岐させる。
【0098】
ステップS1212では、描画色判定部826が、ステップS1211で検出した描画の色情報と同一または近似する既定の描画色の色情報を特定する。ステップS1213では、画像判定部810は、画像識別変数nを用いて生成された画像識別情報が示す画像データの描画の描画色と、画像識別変数n+1を用いて生成された画像識別情報が示す画像データの描画の描画色とが同じであるか否か判断する。これらの描画色が相違すると判断した場合には(no)、処理をステップS1215に分岐させて終了させる。
【0099】
一方、これらの描画色が同じであると判断した場合には(yes)、処理をステップS1214に分岐させる。ステップS1214では、関連情報登録部812が関連情報を生成して記憶装置822に保存し、ステップS1215で処理が終了する。
【0100】
図13は、図8および図12に示す実施形態の画像処理装置が実行する描画の検出方法を示す図である。図13には、画像処理装置100がスキャンして画像データ1310,1320が示されている。
【0101】
画像データ1310は、描画面をスキャンする際に露出している或る描画面の画像データ1312と、後続する描画面の一部である画像データ1314とが含まれる。画像データ1320は、当該或る描画面に後続する描画面の画像データである。画像データ1320は、当該後続する描画面の画像データ1322と、当該後続する描画面に後続する描画面の一部である画像データ1324とが含まれる。
【0102】
図8および図12に示す実施形態では、先行する描画面の画像データである画像データ1310に含まれる主要な描画面の画像データ1312と当該描画面に後続する描画面との境界部分1316の画素列から順に、描画が存在するか否か判断する。また、本実施形態では、後続する描画面の画像データである画像データ1320に含まれる主要な描画面の画像データ1322と当該描画面に先行する描画面との境界部分1326の画素列から順に、描画が存在するか否か判断する。
【0103】
図13に示す実施形態では、同一の画素列内で上部に位置する画素から順に描画が存在するか否か判断するが、他の実施形態では、同一の画素列内で下部に位置する画素から順に描画が存在するか否か判断してもよい。
【0104】
図14は、図8、図12および図13に示す実施形態が実行する連関性を有する画像データの判別方法を説明する図である。図14には、連続する描画面の画像データ1410,1420,1430が示されている。画像データ1410,1420,1430には、それぞれ描画1412,1422,1432が含まれている。描画1412,1422は、同一の描画色で描かれており、描画1432は、描画1412,1422と異なる描画色で描かれている。
【0105】
本実施形態では、画像処理装置100は、画像データ1410の描画1412の描画色と、画像データ1420の描画1422の描画色とが同一であることから、画像データ1410および画像データ1420が連関性を有すると判断し、これらの画像データの関連情報を生成する。一方、画像データ1420の描画1422の描画色と、画像データ1430の描画1432の描画色とが異なることから、画像データ1420および画像データ1430が連関性を有しないと判断する。これにより、図8、図12および図13に示す実施形態では、描画面に描かれた描画の色を使用して、画像データ間の連関性を判断することできる。
【0106】
図15は、図8に示す画像処理装置が実行する画像データの出力処理を示すフローチャートである。以下、図15を参照して、本実施形態の画像データの出力処理について説明する。なお、図15のステップS1500〜ステップS1511までの処理は、図3に示すステップS300〜ステップS311の処理と同様であるため、以下、説明を省略する。
【0107】
図15の処理はステップS1500から開始する。ステップS1512では、画像処理装置100の制御部804が、画像出力部818を呼び出して、図16に示す画像データの出力処理を実行させ、ステップS1513で処理が終了する。
【0108】
図16は、図8に示す画像処理装置が実行する画像データの出力処理を示すフローチャートである。以下、図16を参照して、画像処理装置100の画像出力部818が実行する画像データの出力処理について説明する。
【0109】
図16の処理はステップS1600から開始し、ステップS1601で画像出力部818の出力方法判定部828が、ユーザが指定した出力方法の種類を判断する。ユーザが指定した出力方法が、長尺印刷、縮小印刷、集約印刷、または合成した画像データのファイル出力である場合には、処理をステップS1602に分岐させる。
【0110】
ステップS1602では、出力方法判定部828が、記憶装置822に関連情報が存在するか否か判断する。関連情報が存在しない場合には(no)、処理をステップS1603に分岐させる。ステップS1603では、画像加工部830が、ユーザの指定した出力方法に応じて出力データを生成し、出力部832が当該出力データを出力し、ステップS1611で処理が終了する。
【0111】
一方、ステップS1602の判定で関連情報が存在すると判断した場合には(yes)、処理をステップS1604に分岐させる。ステップS1604では、出力方法判定部828は、連関性を有する1の画像データ対と連関性を有する他の画像データ対が存在するか判断する。当該連関性を有する他の画像データ対が存在する場合には(yes)、ステップS1604の処理を反復させる。一方、当該連関性を有する他の画像データ対が存在しない場合には(no)、処理をステップS1605に分岐させる。ステップS1605では、画像加工部830が、ユーザの指定した出力方法に応じて、連関性を有する画像データ対に含まれる総ての画像データを加工し、出力データを生成する。ステップS1606では、出力部832が当該出力データを出力し、ステップS1611で処理が終了する。
【0112】
一方、ステップS1601の判定でユーザが指定した出力方法が、ステープル印刷または合成していない画像データのファイル出力であると判断した場合には、処理をステップS1607に分岐させる。
【0113】
ステップS1607では、出力方法判定部828が、記憶装置822に関連情報が存在するか否か判断する。関連情報が存在しない場合には(no)、処理をステップS1608に分岐させる。ステップS1608では、画像加工部830が、ユーザの指定した出力方法に応じて出力データを生成し、出力部832が当該出力データを出力し、ステップS1611で処理が終了する。
【0114】
一方、ステップS1607の判定で関連情報が存在すると判断した場合には(yes)、処理をステップS1609に分岐させる。ステップS1609では、出力方法判定部828は、連関性を有する1の画像データ対と連関性を有する他の画像データ対が存在するか判断する。当該連関性を有する他の画像データ対が存在する場合には(yes)、ステップS1609の処理を反復させる。一方、当該連関性を有する他の画像データ対が存在しない場合には(no)、処理をステップS1610に分岐させる。ステップS1610では、画像加工部830が、ユーザの指定した出力方法に応じて、当該連関性を有する画像データ対に含まれる総ての画像データの出力データを生成し、出力部832が当該出力データを出力し、ステップS1611で処理が終了する。
【0115】
図17は、図8に示す実施形態の画像処理装置が生成する関連情報テーブル1700を示す。以下、図17を参照して、関連情報テーブル1700について説明する。なお、図7に示す関連情報テーブル700と相違する点について説明する。
【0116】
関連情報テーブル1700は、図7に示す関連情報テーブル700と同様に、画像対識別情報1710と、第1の画像データの画像識別情報1712と、第2の画像データの画像識別情報1714とが関連付けて登録される。
【0117】
関連情報テーブル1700では、画像対識別情報「画像対2」に第1の画像データの画像識別情報「画像データ3」および第2の画像データの画像識別情報「画像データ4」が関連付けて登録されている。また、画像対識別情報「画像対3」に第1の画像データの画像識別情報「画像データ4」および第2の画像データの画像識別情報「画像データ5」が関連付けて登録されている。すなわち、画像対識別情報「画像対2」が示す画像データ対には、画像識別情報「画像データ3」が示す画像データと、画像識別情報「画像データ4」が示す画像データとが含まれており、画像対識別情報「画像対3」が示す画像データ対には、画像識別情報「画像データ4」が示す画像データと、画像識別情報「画像データ5」が示す画像データとが含まれている。
【0118】
図17に示す実施形態では、画像対識別情報「画像対2」が示す画像対に含まれる第2の画像データである画像識別情報「画像データ4」が示す画像データと、画像対識別情報「画像対3」が示す画像対に含まれる第1の画像データである画像識別情報「画像データ4」が示す画像データとが同一である。このため、本実施形態の画像処理装置は、画像対識別情報「画像対2」が示す画像対と、画像対識別情報「画像対3」が示す画像対とが連関性を有すると判断することができ、画像対識別情報「画像対2」および「画像対3」が示す画像対に含まれる画像データ、すなわち、画像識別情報「画像データ3」、「画像データ4」、「画像データ5」が示す画像データが連関性を有すると判断することができる。
【0119】
図18は、図8に示す実施形態の画像処理装置が出力する出力物を示す図である。以下、図18を参照して、画像処理装置100の出力物について説明する。
【0120】
画像データ1810,1812は、出力データの生成に利用される画像データの一実施形態である。本実施形態の画像処理装置100は、連関性を有する画像データ1810,1812を、ユーザの指定した出力方法に応じて加工して出力することにより、印刷物や出力ファイル等の出力物1814,1816,1818,1820,1822を生成する。
【0121】
出力物1814は、出力方法として連関性を有する画像データを長尺印刷する方法が指定された場合に生成される出力物である。画像処理装置100は、画像データ1810,1812を結合して出力データを生成し、印刷装置106に対して、当該出力データを長尺用紙に印刷させて出力物1814を排出させる。
【0122】
出力物1816は、出力方法として連関性を有する画像データを縮小印刷する方法、または当該画像データを合成してファイル出力する方法が指定された場合に生成される出力物である。画像処理装置100は、出力方法として縮小印刷が指定された場合、画像データ1810,1812を結合および縮小して出力データを生成し、印刷装置106に対して、当該出力データを1の用紙に印刷させて出力物1816を排出させる。また、画像処理装置100は、出力方法として当該ファイル出力が指定された場合、出力方法として縮小印刷が指定された場合、画像データ1810,1812を結合および縮小して出力データを生成し、当該出力データを1のファイルに変換してデジタルデータとして出力物1816を出力する。
【0123】
出力物1818は、出力方法として連関性を有する画像データを集約印刷する方法が指定された場合に生成される出力物である。画像処理装置100は、画像データ1810,1812を集約して出力データを生成し、印刷装置106に対して、当該出力データを印刷用紙に印刷させて出力物1818を排出させる。
【0124】
出力物1820は、出力方法として連関性を有する画像データをステープル印刷する方法が指定された場合に生成される出力物である。画像処理装置100は、画像データ1810,1812をそれぞれ個別のページとする出力データを生成し、印刷装置106に対して、当該出力データをそれぞれ印刷用紙に印刷させ、ステープル止めした状態の出力物1820を排出させる。
【0125】
出力物1822は、連関性を有する画像データを個別のページとしてファイル出力する方法が指定された場合に生成される出力物である。画像処理装置100は、画像データ1810,1812をそれぞれ個別のページとする出力データを生成し、印刷装置106に対して、当該出力データをそれぞれ印刷用紙に印刷させて出力物1822を排出させる。
【0126】
これまで本実施形態につき説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0127】
100…画像処理装置、102…描画媒体、104…スキャナ装置、106…印刷装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0128】
【特許文献1】特願2006−292940号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを処理する画像処理装置であって、
複数の描画面をスキャニングして複数の画像データを生成するスキャナ手段と、
前記複数の画像データに含まれる前記描画面に描かれた描画の連続性を判断して前記画像データ間の連関性を判定する画像判定手段と、
連関性を有する画像データを関連付けて出力する出力手段と
を含む、画像処理装置。
【請求項2】
前記画像判定手段は、
先行する画像データと、後続する画像データとの境界部分に存在する描画が連続すると判断した場合に、前記先行する画像データおよび前記後続する画像データが連関性を有すると判定する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像判定手段は、
前記先行する画像データおよび前記後続する画像データが連関性を有すると判定した場合、前記後続する画像データと、前記後続する画像データにさらに後続する画像データとの境界部分に存在する描画が連続すると判断したとき、前記先行する画像データと、前記後続する画像データと、前記後続する画像データにさらに後続する画像データとが連関性を有すると判定する、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像処理装置は、
前記描画面の初期状態の画像データを登録する手段をさらに含み、
前記画像判定手段は、
前記初期状態の画像データに含まれる画像を除外して、前記複数の画像データに含まれる前記描画面に描かれた描画の連続性を判断する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
画像データを処理する画像処理装置であって、
複数の描画面をスキャニングして複数の画像データを生成するスキャナ手段と、
前記複数の画像データのうち先行する画像データに含まれる描画の色と、後続する画像データに含まれる描画の色とを使用して、前記画像データ間の連関性を判定する画像判定手段と、
連関性を有する画像データを関連付けて出力する出力手段と
を含む、画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理装置は、
前記連関性を有する画像データを結合する画像結合手段をさらに含み、
前記出力手段は、
前記画像結合手段が結合した画像データを出力する、請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像処理装置は、
ユーザが指定した出力方法に応じて、前記連関性を有する画像データを加工する画像加工手段をさらに含み、
前記出力手段は、
前記画像加工手段が加工した画像データを出力する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記出力手段は、前記連関性を有する画像データの長尺印刷、縮小印刷、集約印刷、ステーブル印刷および/またはファイル出力である、請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
画像データを処理する画像処理装置が実行する方法であって、前記方法は、前記画像処理装置が、
複数の描画面をスキャニングして複数の画像データを生成するステップと、
前記複数の画像データに含まれる前記描画面に描かれた描画の連続性を判断して前記画像データ間の連関性を判定するステップと、
連関性を有する画像データを関連付けて出力するステップと
を含む、方法。
【請求項10】
前記判定するステップは、
先行する画像データと、後続する画像データとの境界部分に存在する描画が連続すると判断した場合に、前記先行する画像データおよび前記後続する画像データが連関性を有すると判定するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記判定するステップは、
前記先行する画像データおよび前記後続する画像データが連関性を有すると判定した場合、前記後続する画像データと、前記後続する画像データにさらに後続する画像データとの境界部分に存在する描画が連続すると判断したとき、前記先行する画像データと、前記後続する画像データと、前記後続する画像データにさらに後続する画像データとが連関性を有すると判定するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
画像処理装置に対して、請求項9〜11のいずれか1項に記載のステップを実行させるためのコンピュータ実行可能なプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載されたプログラムを記録したコンピュータ可読な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−194837(P2012−194837A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58961(P2011−58961)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】