説明

画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、プログラム、記憶媒体

【課題】ユーザが所望するデータを簡単に特定できる画像処理装置を提供すること。
【解決手段】ネットワークを介して他の機器と接続される画像処理装置100であって、ユーザ又は他の機器から処理要求を取得する処理要求取得手段18と、他の機器の機能が登録された機能テーブル23を記憶する機能テーブル記憶手段と、他の機器が可能な処理を機能テーブルに登録された機能により特定し、処理要求を分担させる他の機器を決定する分散処理決定手段15と、画像処理前の電子データに対し当該画像処理装置が施すことで生じた画像処理の差分情報を生成する差分情報生成手段21と、機能テーブルにデータ蓄積機能が登録され、分散処理決定手段が処理を分担させると決定した他の機器に差分情報の蓄積を要求する処理要求送信手段17と、差分情報を他の機器から収集して差分情報一覧画面の画面情報を生成する一覧画面生成手段22と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して他の機器と接続された画像処理装置等に関し、特に、電子データを共有することができる画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法、プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク上で繋がっている複数の機器が、互いに連携して動作する環境を構築することが可能になっている。機器連携によりユーザは、
・一方の機器に蓄積された文書を他の機器の機能を利用して出力させる
・自機器に記憶領域がない場合に他機器の記憶領域にデータを蓄積させたり、蓄積されたデータを利用する
こと等が可能である。例えば、ユーザは、操作中の機器に所望のデータがなかった場合でも、操作中の機器と連携して動作する他機器に蓄積されたデータを、その機器と連携して動作する他機器から出力させることができる(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、自機器にない機能を連係動作により補完する目的で、自機器だけで処理要求が完了できない場合に連携している他機器を使用して処理要求を完了させる技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された連携処理システムのデータ蓄積処理では、連携処理システムが連携対象の機器の稼動状況などを判断して蓄積先を決定するため、データが複数の連携対象機器の記憶領域にバラバラに保存されるという問題があった。データが複数の連携対象機器に無作為に保存されると、データの再利用時にユーザが所望のデータを特定するのに時間がかかる等の不都合を引き起こす。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑み、ユーザが画像処理システムを使ってデータを再利用する際に複数の機器に蓄積されたデータからユーザが所望するデータを簡単に特定できる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ネットワークを介して他の機器と接続される画像処理装置であって、ユーザ又は他の機器から処理要求を取得する処理要求取得手段と、他の機器の機能が登録された機能テーブルを記憶する機能テーブル記憶手段と、他の機器が可能な処理を前記機能テーブルに登録された機能により特定し、前記処理要求を分担させる他の機器を決定する分散処理決定手段と、画像処理前の電子データに対し当該画像処理装置が施すことで生じた画像処理の差分情報を生成する差分情報生成手段と、前記機能テーブルにデータ蓄積機能が登録され、前記分散処理決定手段が処理を分担させると決定した他の機器に前記差分情報の蓄積を要求する処理要求送信手段と、前記差分情報を他の機器から収集して差分情報一覧画面の画面情報を生成する一覧画面生成手段と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
ユーザが画像処理システムを使ってデータを再利用する際に複数の機器に蓄積されたデータからユーザが所望するデータを簡単に特定できる画像処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】連携処理システムの概略的な特徴部と特徴部の実装形態を説明する図の一例である。
【図2】連携処理システムの全体構成図の一例を示す図である。
【図3】MFPのハードウェア構成図の一例である。
【図4】MFPの機能ブロック図の一例である。
【図5】MFPの機能ブロック図の一例である。
【図6】MFPの機能ブロック図の一例である。
【図7】電子データの印刷と電子データの蓄積を実行するシーケンス図の一例である。
【図8】機器制御部が取得した他のMFPの機器情報の一例を示す図である。
【図9】差分情報を模式的に説明する図の一例である。
【図10】MFPが差分情報を生成する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図11】データ差分管理部が、差分情報管理データを生成する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図12】差分情報管理データの一例を示す図である。
【図13】MFPが差分情報一覧画面を表示する際のシーケンス図の一例である。
【図14】差分情報一覧画面の画面情報の生成と、差分情報一覧画面の表示を異なるMFPが行うシーケンス図の一例である。
【図15】S3−5、S4−7の差分情報一覧の画面情報の生成をより詳細に説明する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図16】差分情報管理データから生成された差分情報一覧画面の一例を示す図である。
【図17】差分情報一覧画面の別の一例を示す図である。
【図18】ユーザが比較したい2つの文書を押下した際の差分情報一覧画面の一例を示す図である。
【図19】差分情報一覧画面の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、連携処理システム300の概略的な特徴部と特徴部の実装形態を説明する図の一例である。図では4つのMFP(Multifunction Peripheral)100がネットワークで接続されている。MFP_A〜Dは共通に管理部を有する。管理部は、
・差分情報(画像処理内容)、差分情報管理データ
・一覧画面の画面情報
の生成を行う。したがって、MFP_Dのように管理部を有していれば、本願の最も特徴的な機能を提供することは可能となる。
【0009】
また、MFP_A及びMFP_Cは、HDD(Hard Disk Drive)を有し、差分情報と電子データを記憶することができる。電子データは必ずしも差分情報と同じMFPに記憶されなくてもよいが、同じMFPに記憶すれば差分情報とMFPの紐付け情報が不要になる。
【0010】
そして、MFP_A及びMFP_Bは、表示部を有する。表示部は差分情報の一覧を表示するために用いられる。差分情報の一覧表示の例は後述する図面例にて説明するが、差分情報は、MFPが電子データに対し施した画像処理であるので、ユーザは差分情報により目的の電子データを探すことができる。したがって、電子データが種々のMFP100に記憶されうる連携処理システム300において、ユーザは電子データがどのMFP100に記憶されているかを意識することなく、目的の電子データを探すことができる。
【0011】
〔連携処理システムの動作概略〕
図2は、連携処理システム300の全体構成図の一例を示す図である。ネットワーク99を介してクライアントPC200とMFP100(区別する場合、MFP1〜4という)が接続されている。MFP100は、少なくともプリンタ機能を有していればよいが、プリンタ機能の他、蓄積機能、複写機能、スキャナ機能、又は、送信機能(FAX送信、SCAN To Email)を有していてもよい。
【0012】
また、ネットワーク99は、社内LAN、LANスイッチを介して接続された複数のLAN、LAN同士が専用線を介して接続されたWAN、又は、インターネットを含むネットワークである。
【0013】
なお、図2ではMFP2、3は蓄積機能(HDD)を有するが、MFP1,4は蓄積機能を有していない。これは、本実施形態の連携処理システム300は2つ以上のMFP100に電子データが分散して蓄積される場合に有効なためであるが、少なくとも1つのMFP100が蓄積機能を有していれば連携処理システム300としては機能する。
【0014】
ユーザが連携処理システム300を使用する使用例を説明する。ここでは、ユーザが印刷と蓄積、暗号化PDFの作成、高圧縮PDFの作成を指示したとする。
(1)まず、ユーザはクライアントPC200からMFP1に対し印刷と蓄積を要求する。印刷と蓄積を要求するとは、例えば、プリンタドライバが提供する印刷画面でユーザが「プリンタに保存して印刷」を選択することをいう。
(2)MFP1は印刷機能を有しており印刷を実行できるが蓄積の機能を有していないので、電子データをMFP2に保存する(documentA)。
(3)MFP2は、蓄積した電子データを暗号化PDFに変換する。
【0015】
(3−1)暗号化機能はMFP3が持っているので、MFP3はMFP2から電子データを取得する。
【0016】
(3−2)MFP3は電子データを取得した後に、暗号化PDFに加工する。
【0017】
(3−3)MFP3は蓄積機能を有しているので、加工した電子データを自機に蓄積する(documentB)。
(4)次に、MFP4は、先ほど暗号化した電子データを高圧縮PDFに変換する。
【0018】
(4−1)高圧縮PDF化機能はMFP4が持っているので、MFP4はMFP3から暗号化PDFを取得する。
【0019】
(4−2)MFP4は、暗号化PDFデータを取得して高圧縮PDFに変換する。
【0020】
(4−3)MFP4は蓄積機能を有していないので、蓄積機能を有する他機に送信する(今回の場合はMFP2とする)。
(5)MFP2は高圧縮PDFを自機に蓄積する(documentC)。
【0021】
以上のように、連携処理システム300は、各MFP1〜4が蓄積機能を有するか否か、及び、各MFP1〜4が有する画像処理の機能に応じて連携動作することで、ユーザに様々な機能を提供することが可能になる。
【0022】
しかしながら、図示したように連携処理することで、MFP2はdocumentB、MFP3はdocumentAとdocumentC、を蓄積することになった。ユーザは、MFP1にて印刷したのに対し、電子データはMFP1以外の複数のMFP2,3に分散して蓄積されていることになり、ユーザにとっては蓄積先を把握しにくい状況となっている。仮にMFP1が蓄積機能を有していれば、documentA〜Cを全てMFP1に蓄積するように設定することも可能であるが、MFP1が蓄積機能を有していても、HDD等に空き容量が無ければ、ネットワーク99で接続されたいずれかのMFP2、3に蓄積する必要が発生する。
【0023】
このため、本実施形態の連携処理システム300のように、ネットワーク99上のMFP1〜4からユーザが電子データを効率的に探し出す仕組みが要請される。
【0024】
〔構成〕
図3は、MFP100のハードウェア構成図の一例を示す。MFP100は、コントローラ120と、操作パネル130と、FCU(ファクシミリコントロールユニット)140と、スキャナエンジン150及びプロッタエンジン160が有する。
【0025】
コントローラ120は、CPU101と、ASIC113と、NB(ノースブリッジ)102と、SB(サウスブリッジ)106と、MEM−P(システムメモリ)103と、MEM−C(ローカルメモリ)104と、HDD105と、メモリカードスロット111と、NIC(ネットワークインタフェースコントローラ)107と、USBデバイス108と、IEEE1394デバイス109と、セントロニクスデバイス110とを有する。
【0026】
CPU101は、種々の情報処理を実行するためのICであり、アプリケーションプログラムやサービスを提供するプログラムをUNIX(登録商標)等のOSによりプロセスを並列的に実行する。ASIC113は、画像処理用のICである。NB102は、CPU101とASIC113を接続するためのブリッジである。SB106は、NB102と周辺機器等を接続するためのブリッジである。ASIC113とNB102は、AGP(Accelerated Graphics Port)を介して接続されている。
【0027】
MEM−P103は、NB102に接続されたメモリである。MEM−C104は、ASIC113に接続されたメモリである。HDD105は、ASIC113に接続されたストレージであり、画像データ(電子データ)の蓄積、フォントデータの蓄積、を行うために使用される。図ではHDD105にプログラム115のみ示した。プログラム115は本実施形態の特徴的な処理を提供する。
【0028】
メモリカードスロット112は、SB106に接続され、メモリカード112をセット(挿入)するために使用される。メモリカード112は、USBメモリ等のフラッシュメモリであり、プログラム115を配布するために使用される。また、プログラム115は所定のサーバからMFP100にダウンロードして配布することもできる。
【0029】
NIC107は、ネットワーク99等を介してMACアドレス等を使用したデータ通信を行うためのコントローラである。USBデバイス108は、USB規格に準拠したシリアルポートを提供するためのデバイスである。IEEE1394デバイス109は、IEEE1394規格に準拠したシリアルポートを提供するためのデバイスである。セントロニクスデバイス110は、セントロニクス仕様に準拠したパラレルポートを提供するためのデバイスである。NIC107と、USBデバイス108と、IEEE1394デバイス109と、セントロニクスデバイス110と、PCI(Peripheral Component Interconnect)バスを介してNB102とSB106に接続されている。
【0030】
操作パネル130は、ユーザがMFP100に入力を行うためのハードウェア(操作部)であると共に、MFP100がオペレータに可視情報を提供するためのハードウェア(表示部)である。操作パネル130は、ASIC113に接続されている。FCU140と、スキャナエンジン150と、プロッタエンジン160は、PCIバスを介してASIC113に接続されている。
【0031】
スキャナエンジン150は、コンタクトガラスに載置された原稿を光学的に走査して、その反射光をA/D変換して画像処理を施し、所定の解像度のデジタルデータ(以下、画像データという)を生成する。
【0032】
プロッタエンジン160は、例えばタンデム型の感光ドラムを有し、上記の画像データやユーザPCから受信したPDLデータに基づきレーザビームを変調し感光ドラムを走査して潜像を形成する。潜像にトナーを付着して現像した1ページ毎の画像を用紙に熱と圧力で転写する。
【0033】
FCU140は、NIC107を介してネットワーク99に接続し例えばT.37,T.38の規格に対応した通信手順、又は、公衆通信網に接続し例えばG3、G4規格に対応した通信手順、に従い画像データの送受信を行う。また、MFP100の電源がOFFのときに画像データを受信しても、プロッタエンジン160を起動して画像データを用紙に印刷することができる。
【0034】
図4は、MFPの機能ブロック図の一例を示す。図4は図1のMFP_Aに相当する機能ブロック図である。各機能はCPU101がプログラム115を実行して、ハードウェアと協働して実現される。
【0035】
ネットワーク通信部19は、MFP同士にネットワーク99を介して通信させる通信手段であり、例えば上記のNIC、上位の通信プロトコル(TCP/IP)を担うプロトコルスタック、さらにFTP、HTTPなどのプロトコル処理を担うアプリケーションの一部の機能である。
【0036】
処理要求受信部18は、ネットワーク経由で他のMFP100又はクライアントPC200から処理依頼を受信する。また、処理要求受信部18は、操作パネル130が受け付けたユーザの操作に基づき処理依頼を取得することができる。
【0037】
機器制御部16は、全体的な制御を行うと共に、処理要求受信部18からの処理通知を受けて各構成部品に実行指示を与える。機器制御部16は、連携処理のための機器情報23の交換などを行う。
【0038】
分散処理決定部15は、機器情報23を用いて、処理要求をネットワーク99内のどのMFPに実行させるかを決定する。処理要求送信部17は、分散処理決定部15が他のMFPに処理要求の依頼を出す際、処理要求を生成し、ネットワーク通信部19を介して送信する。
【0039】
データ出力処理実行部14は、原稿の印刷やFAX送信などの処理を実行する。データ出力処理実行部14は画像処理部141を有し、画像処理部141は両面集約、白黒、スタンプ印字、TIFF化などMFPが有する機能に応じた画像処理を施す。
【0040】
データ記憶処理実行部13は、クライアントPC200から受信した電子データやスキャンした電子データを、データ記憶部12に記憶させる。データ記憶部12は、電子データを保存するストレージデバイスであり、図3ではHDD105が相当する。
【0041】
差分情報生成部21は、差分情報や差分情報管理データを生成する。生成方法については後述する。一覧画面生成部22は差分情報管理データを用いて電子データの差分情報の一覧を表示するための画面情報を生成する。データ履歴表示部11は、電子データの差分情報の一覧を表示する手段で、例えば図3の操作パネル130が相当する。
【0042】
図1のMFP_B〜MFP_Dの構成について簡単に説明する。図5(a)は、MFP_Bの機能ブロック図の一例を、図5(b)は、MFP_Cの機能ブロック図の一例を、図6は、MFP_Dの機能ブロック図の一例を、それぞれ示す。
【0043】
MFP_Bはデータ記憶部12とデータ記憶処理実行部13を有しておらず、MFP_Cはデータ履歴表示部11を有しておらず、MFP_Dはデータ記憶部12、データ記憶処理実行部13及びデータ履歴表示部11を有していない。不図示の機能について各MFP_B〜Dは、連携処理システム300のいずれかのMFP100の機能を利用することができる。
【0044】
〔動作手順〕
図7は、電子データの印刷と電子データの蓄積を実行するシーケンス図の一例である。
【0045】
S1−1:ユーザは、クライアントPC200又は操作パネル130を操作して、文書の印刷と蓄積を要求する。ユーザはクライアントPC200の画面から例えば「プリンタに保存して印刷」を選択することで、一度に印刷と蓄積を要求できる。なお、ユーザは、印刷の操作の後に蓄積を要求してもよいし、蓄積のみを要求することもできる。処理要求受信部18は、ネットワーク通信部19を介して処理要求を受信する。
【0046】
S1−2:処理要求受信部18は、印刷と蓄積の処理要求を受け付けたことを機器制御部16に通知する。
【0047】
S1−3:機器制御部16は、連携処理のために他のMFP100から機器情報23を取得する。機器情報23の取得はどのように行ってもよい。例えば、機器情報23を取得するタイミングとして、図のように連携処理の直前以外にも、MFP100の起動後に定期的に機器情報23を取得しておくことができる。また、機器制御部16が機器情報23を取得する他のMFPについて、ユーザが予め他のMFP100のIPアドレスやMACアドレスを自機に登録しておいてもよいし、同報的に連携処理が可能なMFP100を問い合わせることで機器情報23を取得する他のMFP100をリストアップしてもよい。
【0048】
図8は、機器制御部16が取得した他のMFP100の機器情報23の一例を示す。機器情報23は、各MFP100の機器名に対応づけられた、IPアドレスとそのMFP100が有する機能である。図では、機能として蓄積機能と、暗号化PDFへの変換機能、高圧縮PDFへの変換機能が示されているが、登録される機能としてはFAX機能、OCR機能、翻訳機能等、種々の機能があり得る。
【0049】
また、蓄積機能を有する場合、機器制御部16は他のMFP100から空き容量を取得する。空き容量はHDD105の全容量に対する未使用領域である。
【0050】
S1−4:図7に戻り、機器制御部16は分散処理決定部15に分散処理を依頼する。
【0051】
S1−5:分散処理決定部15は印刷と蓄積の処理要求のうち、自機で実行可能な処理を特定する。分散処理決定部15は、予め定められた選択ポリシーに基づき、自機で実行する処理と他機で実行する処理を仕分ける。MFP100には以下のような選択ポリシーが登録されている。
・自機が有する機能で可能な処理は自機で行う(自機がジョブを実行中の場合など処理負荷が大きい場合を含む)。
・自機が有さない機能が必要な処理は、その機能を有するMFPのうちHDD105の空き容量が多いMFP100を優先して選択する。
【0052】
なお、このようにMFP100が自動的に処理を依頼する他のMFP100を決定するのでなく、ユーザが処理を要求する他のMFP100をマニュアルで選択可能としてもよい。
【0053】
図7の手順では、自機であるMFP100が印刷機能と蓄積機能を有しているものとして、分散処理決定部15は印刷と蓄積の両方を自機で実行すると判定する。
【0054】
S1−6:まず、分散処理決定部15は、データ出力処理実行部14にデータ出力を依頼する。これにより、データ出力処理実行部14は、クライアントPC200から送信された電子データ(PDLデータ)を描画処理(ラスタライズ)して、プロッタエンジン160に印刷させる。
【0055】
S1−7:次に、分散処理決定部15は、データ記憶処理実行部13に電子データの記憶を依頼する。
【0056】
S1−8:データ記憶処理実行部13は差分情報生成部21に差分情報の生成を依頼する。
【0057】
S1−9:差分情報生成部21は、処理した電子データについて差分情報を生成する。図7の手順では、電子データが新規作成されたので差分情報は「新規作成」となる。差分情報の生成については後述する。
【0058】
S1−10:差分情報生成部21は、差分情報をデータ記憶処理実行部13に送出する。
【0059】
S1−11:データ記憶処理実行部13は、電子データと差分情報を対応づけて、データ記憶部12に記憶する。具体的には、新しい文書識別子と差分情報を差分情報管理データの1レコードとしてデータ記憶部12に保管する。差分情報管理データについては後述する。
【0060】
なお、図7のシーケンス図では、印刷と蓄積の両方を自機が実行するが、分散処理決定部15が他のMFPに処理を依頼した場合、処理要求送信部17に対してネットワーク99上の他機器に処理を依頼するように通知する。例えば、点線の処理は、蓄積を他のMFPに依頼する場合、データ記憶処理実行部13が他のMFPに電子データと差分情報を送信する処理を意味している。
【0061】
自機であるMFPがデータ記憶処理実行部13を有さない場合(ブロック図が図5(a)又は図6の場合)、ステップS1−5で分散処理決定部15が他機で蓄積を行うと判定する。分散処理決定部15は、他のMFPを指定して機器制御部16に他のMFPへの蓄積を要求する(S1−21)。なお、差分情報を自機のMFPが作成しておくこともできる。
【0062】
機器制御部16は処理要求送信部17を介して電子データを他のMFPの処理要求受信部18に送信する。他のMFPの機器制御部16はデータ記憶処理実行部13に電子データの記憶を要求する。データ記憶処理実行部13は差分情報生成部21に差分情報を生成させ、データ記憶部12に差分情報と電子データを記憶する(S1−22)。なお、図では他のMFPの機能ブロックは省略した。
【0063】
〔差分情報〕
差分情報について説明する。差分情報とは、直前の電子データに対し施された画像処理である。
【0064】
図9は、差分情報を模式的に説明する図の一例である。図9(a)ではまず、クライアントPC200又は複写により電子データが蓄積される。クライアントPC200又は複写により蓄積された直後の電子データは「新規作成」扱いとなり、新規作成された電子データには差分情報は存在しないので、便宜上「新規作成」という差分情報が付与される。差分情報と電子データは、蓄積機能を有するMFP100が記憶する。
【0065】
次に、新規作成された電子データに、ユーザが暗号化PDFという処理を施したとする。すなわち、ユーザはネットワーク99上のいずれかのMFPに蓄積された電子データを、いずれかのMFPで読み出し暗号化されたPDFに変換するという操作を行う。すると電子データは暗号化PDFとなり、ネットワーク99上のいずれかのMFPに蓄積される。
【0066】
この場合、新規作成された電子データに対し、暗号化PDFという画像処理が施されたことになるので、差分情報は暗号化PDFとなる。
【0067】
図9(b)についても同様である。新規作成までの手順は図9(a)と同様であるが、新規作成された電子データに、ユーザがTIFF化という処理を施したとする。すなわち、ユーザはネットワーク99上のいずれかのMFPに蓄積された電子データを、いずれかのMFPで読み出しTIFFという画像データのフォーマットに変換するという操作を行う。すると電子データはTIFF化された画像データとなり、ネットワーク99上のいずれかのMFPに蓄積される。したがって、差分情報はTIFF化となる。
【0068】
図9(a)(b)では新規作成された電子データに対する差分情報を説明したが、何らかの画像データが施された電子データにさらに1つ以上の画像処理が施された場合も、差分情報を定義できる。
【0069】
図9(c)では、図9(a)において暗号化PDFに変換された電子データに、ユーザが復号化という処理を施したとする。すなわち、ユーザはネットワーク99上のいずれかのMFPに蓄積された電子データを、いずれかのMFPで読み出し復号化した。すると電子データは暗号化PDFから平文のPDFとなり、ネットワーク99上のいずれかのMFPに蓄積される。したがって、差分情報は復号化となる。
【0070】
なお、一度に(一台のMFPで)、複数の画像処理が施された場合は、その複数の画像処理の全てで1つの差分情報である。
【0071】
差分情報は、MFPにおいてユーザが設定した画像処理そのものである。したがって、差分情報生成部21にとって差分情報はユーザの操作及び受け付けた画像処理の内容として明らかである。
【0072】
図10は、図9(c)のようにMFPが新規作成以外の差分情報を生成する手順を示すフローチャート図の一例である。
【0073】
まず、ユーザはネットワーク99上のいずれかのMFPから画像処理を施す対象の電子データを読み出す。読み出すという処理は本実施形態の特徴の1つなので、後に詳述する。現段階では、ユーザは文書名や差分情報により電子データを特定しているとする。特定された電子データは、機器制御部16がデータ記憶処理実行部13に読み出すよう要求することで、データ記憶処理実行部13がデータ記憶部12から読み出し、機器制御部16に送出する。
S2−1:ユーザは読み出した電子データに対し施す画像処理を処理要求受信部18に通知する。
S2−2:処理要求受信部18は、画像処理の処理要求を機器制御部16に通知する。
S2−3:機器制御部16は、画像処理の内容と共に画像処理を画像処理部141に依頼する。なお、機器制御部16は画像処理部141に依頼する前に、分散処理決定部15に画像処理を行うMFPの決定を依頼するが、ここでは省略して自MFPが画像処理するとする。
S2−4:画像処理部141は、電子データに画像処理を施し、処理結果を機器制御部16に通知する。
S2−5:機器制御部16は、データ記憶処理実行部13に電子データの記憶を依頼する。
S2−6:データ記憶処理実行部13は差分情報生成部21に差分情報の生成を依頼する。
S2−7:差分情報生成部21は、処理した電子データについて差分情報を生成する。上記のとおり、差分情報は画像処理の内容である。
S2−8:差分情報生成部21は、差分情報をデータ記憶処理実行部13に送出する。
S2−9:データ記憶処理実行部13は、電子データと差分情報の記憶をデータ記憶部12に記憶する。具体的には、新しい文書識別子と差分情報を差分情報管理データの1レコードとしてデータ記憶部12に保管する。
【0074】
図7と同様に、点線の処理は、蓄積を他のMFPに依頼する場合を示すが、処理内容は図7と同様なので説明は省略する。
【0075】
〔差分情報管理データ〕
画像処理により画像処理の前の電子データと、画像処理後の電子データは別のファイルとなるので、データ記憶処理実行部13は、重複しない文書識別子を画像処理後の電子データに付与する。図9などで説明したように、元の電子データに様々な画像処理が施され、複数のMFPに分散して記憶される状況が生じうるが、文書識別子により、新規作成された元の電子データから画像処理により派生した複数の電子データをMFP100は識別することができる。
【0076】
例えば、次のように差分情報と文書識別子が管理される場合、
文書名:文書識別子(変更前):文書識別子(変更後):差分情報
新規作成された電子データには、
「文書識別子(変更前)=文書識別子(変更後)」のように変更の前後で同じ文書識別子が付与される。したがって、文書識別子(変更前)=文書識別子(変更後)であれば、その電子データは新規作成されたものであることがわかる。なお、このような文書識別子は一例であり、新規作成されたことが分かる文書識別子であればよい。
【0077】
以下、差分情報を管理するための1レコード又はレコードの集合を差分情報管理データという。電子データの差分情報管理データは複数のMFP100に散在するが、文書識別子(変更後)は、連携処理するネットワーク上のMFPにとってユニークであることが保証されている。
【0078】
図11は、差分情報生成部21が、差分情報管理データを生成する手順を示すフローチャート図の一例である。なお、図11の手順は電子データが新規作成される際の差分情報管理データの生成をカバーしている。
【0079】
まず、ステップS10の処理は、図7のS1−9及び図10のS2−7に対応している。
【0080】
次に、差分情報生成部21は、同一ネットワーク99上に蓄積されている差分情報管理データを取得する(S20)。差分情報生成部21にとって、連携処理システム300の他のMFPは図8に示すようなMFPの機器情報23により既知となっている。差分情報生成部21は、例えばIPアドレスで連携処理システム300のMFPを指定して、各MFPから差分情報管理データを取得する。
【0081】
差分情報生成部21は、連携処理システム300の全てのMFPから差分情報管理データを取得するまで差分情報管理データの取得を繰り返す(S30)。
【0082】
差分情報生成部21は、全てのMFPから差分情報管理データを取得すると、取得した差分情報管理データの中から、図9にて画像処理を施した電子データのレコードを特定する。差分情報生成部21は、例えば、差分情報管理データの文書識別子(変更後)が、画像処理を施した電子データの文書識別子と同じものを特定する(S40)。
【0083】
画像処理を施した電子データが新規作成されたもの又はすでに何らかの画像処理が施されたものの場合、いずれかのMFPに差分情報管理データが登録されている。一方、図7のように印刷された段階の電子データは、新規作成されたもののまだ差分情報管理データがどのMFPにも登録されていない。
【0084】
画像処理を施した電子データの文書識別子と一致する文書識別子(変更後)が差分情報管理データに含まれている場合(S50のYes)、差分情報生成部21は、新たなレコードを作り、差分情報管理データに含まれている文書識別子(変更後)を、新たに生成したレコードの文書識別子(変更前)のフィールドに記録する(S60)。
【0085】
そして、差分情報生成部21は、新たに生成したレコードの文書識別子(変更後)のフィールドに新しい文書識別子を記録する(S70)。この文書識別子は、各MFPのどの文書識別子(変更後)とも重複しないことが必要なため、差分情報生成部21は、ステップS20〜S30で取得した差分情報管理データの文書識別子と重複しない文書識別子を生成する。
【0086】
次に、差分情報生成部21は、新たに生成したレコードの「差分情報」のフィールドに、ステップS2−7で生成した差分情報を記録する(S80)。なお、文書名については、ユーザが新たな文書名を付与しなければ画像処理の前の文書名が引き継がれ、ユーザが新たな文書名を付与した場合はその文書名が差分情報管理データに記録される。
【0087】
一方、ステップS50にて、自MFPが画像処理を施した電子データの文書識別子と一致する文書識別子(変更後)が差分情報管理データに含まれていない場合(S50のN
o)、差分情報生成部21は、新たなレコードを作り、新たに生成したレコードの文書識別子(変更前)と文書識別子(変更後)のフィールドに同じ新しい文書識別子を記録する(S90)。すなわち、この場合、電子データは新規作成されたものになる。
【0088】
なお、新規作成の場合、ステップS50の判定の時点では画像処理を施した電子データの文書識別子は決まっていないので、S50でNoと判定されることは、画像処理を施した電子データに文書識別子が与えられていないと判定されることと同様の意味となる。
【0089】
次に、差分情報生成部21は、新たに生成したレコードの「差分情報」のフィールドに、ステップS1−9で生成した差分情報、すなわち「新規作成」を記録する(S100)。なお、文書名については、クライアントPC200から送信された電子データのファイル名となる。ユーザが新たな文書名を付与することも可能である。
【0090】
図12は、差分情報管理データの一例を示す図である。上記のように、差分情報管理データは複数のMFPが記憶しうる。図12(a)はMFP2の、図12(b)はMFP3の、図12(c)はMFP以外の他の機器(例えば、なんらかのPC)それぞれの差分情報管理データである。
【0091】
MFP2の差分情報管理データは、documentAの4つの電子データの差分情報が登録されている。これまで説明したように、MFP2のレコード1は、文書識別子(変更前)と文書識別子(変更後)が同じ"A0001"なので、差分情報が「新規作成」となる。
【0092】
MFP2のレコード2は、文書識別子(変更前)が"A0001"なので、差分情報"両面集約、白黒"は、レコード1の電子データに対する差分情報であることがわかる。MFP2のレコード3は、文書識別子(変更前)が"A0002"なので、差分情報"スタンプ印字"は、レコード2の電子データに対する差分情報であることがわかる。MFP2のレコード4は、文書識別子(変更前)が"A0001"なので、差分情報"TIFF化"は、レコード1の電子データに対する差分情報であることがわかる。
【0093】
また、MFP3のレコード1は、文書識別子(変更前)が"A0003"なので、差分情報"暗号化PDF"は、MFP2のレコード3の電子データに対する差分情報であることがわかる。MFP3のレコード番号2は、文書識別子(変更前)が"A0004"なので、差分情報"高圧縮PDF化"は、MFP2のレコード4の電子データに対する差分情報であることがわかる。
【0094】
また、他の機器のレコード1は、文書識別子(変更前)が"A0001"なので、差分情報"2色"は、MFP2のレコード1の電子データに対する差分情報であることがわかる。他の機器のレコード2は、文書識別子(変更前)が"A0002"なので、差分情報"QRコード"は、MFP2のレコード2の電子データに対する差分情報であることがわかる。他の機器のレコード3は、文書識別子(変更前)が"A0006"なので、差分情報"OCR"は、MFP3のレコード2の電子データに対する差分情報であることがわかる。
これら差分情報管理データを利用することで、差分情報一覧の生成等が行われる。
【0095】
〔差分情報一覧の生成〕
各MFPが差分情報管理データを生成するので、図12に示した差分情報管理データを各MFPが記憶している。ユーザが操作中のMFPで電子データを一覧表示するには、他のMFPから差分情報管理データを取得する必要がある。
【0096】
図13は、MFPが差分情報一覧画面を表示する際のシーケンス図の一例である。
S3−1:まず、ユーザは所望の電子データを特定すべく、差分情報一覧画面を表示するための操作をMFPに入力する。ここでも操作は、操作パネル130から入力してもクライアントPC200から送信してもよい。処理要求受信部18は差分情報一覧画面の表示の操作を受け付ける。
S3−2:処理要求受信部18は、差分情報一覧画面の生成という処理要求を機器制御部16に通知する。
S3−3:機器制御部16は、差分情報一覧画面の生成を一覧画面生成部22に依頼する。
S3−4:一覧画面生成部22は、処理要求送信部17を介して連携処理システム300の全ての他のMFPから差分情報管理データを取得する。
S3−5:一覧画面生成部22は、連携処理システム300の全ての他のMFPから取得した差分情報管理データから差分情報一覧画面の画面情報を生成する。
S3−6:一覧画面生成部22は、差分情報一覧画面の画面情報をデータ履歴表示部11に送出する。これにより、後述する差分情報一覧画面が表示される。
【0097】
なお、図13では、ユーザが操作するMFPが差分情報一覧画面の画面情報を生成し、そのMFPが差分情報一覧画面を表示した。しかし、ユーザが操作するMFPが差分情報一覧画面の画面情報の生成を別のMFPに依頼し、別のMFPが生成した差分情報一覧画面の画面情報に基づき、ユーザが操作するMFPが差分情報一覧画面を表示することもできる。
【0098】
図14はこの場合の手順を示すシーケンス図の一例である。図14ではMFP1がMFP2に差分情報一覧画面の画面情報の生成を依頼する。このため、MFP1は処理要求受信部18、機器制御部16、及び、データ履歴表示部11を有し、MFP2は処理要求受信部18、機器制御部16、及び、一覧画面生成部22を有する。
S4−1:まず、ユーザは差分情報一覧画面を表示するための操作をMFPに入力する。処理要求受信部18は差分情報一覧画面の表示の操作を受け付ける。
S4−2:処理要求受信部18は、差分情報一覧画面の生成という処理要求を機器制御部16に通知する。
S4−3:機器制御部16(正確には処理要求送信部17)は、差分情報一覧画面の画面情報の生成をMFP2に依頼する。依頼先のMFP2は、機器情報23に基づき分散処理決定部15が、一覧画面生成部22(差分情報一覧画面の画面情報を生成する手段)を有するMFPとして決定する。なお、本実施形態では一覧画面生成部22は連携処理システム300の全てのMFPが有しているので、分散処理決定部15は、例えば、処理負荷の小さいMFPを選択する。
S4−4:MFP2の処理要求受信部18は、差分情報一覧画面の画面情報の生成という処理要求をMFP2の機器制御部16に通知する。
S4−5:MFP2の機器制御部16は、差分情報一覧画面の生成を一覧画面生成部22に依頼する。
S4−6:MFP2の一覧画面生成部22は、連携処理システム300の全ての他のMFPから差分情報管理データを取得する。全ての他のMFPにはユーザが操作中のMFPが含まれる。
S4−7:MFP2の一覧画面生成部22は、連携処理システム300の全ての他のMFPから取得した差分情報管理データから差分情報一覧画面の画面情報を生成する。
S4−8:MFP2の一覧画面生成部22は差分情報一覧画面の画面情報を機器制御部16に送出する。
S4−9:MFP2の機器制御部16(正確には処理要求送信部17)は差分情報一覧画面の画面情報をMFP1に送信する。
S4−10:MFP1の処理要求受信部18は、差分情報一覧画面の画面情報と表示という処理要求を機器制御部16に通知する。
S4−11:MFP1の機器制御部16は、差分情報一覧画面の画面情報をデータ履歴表示部11に送出する。
S4−12:これにより、後述する差分情報一覧画面が表示される。
【0099】
図15は、S3−5、S4−7の差分情報一覧の画面情報の生成をより詳細に説明する手順を示すフローチャート図の一例である。
【0100】
まず、ユーザの操作を受け付けたMFPの一覧画面生成部22は、自機のデータ記憶部12から差分情報管理データを読み出す(S210)。
【0101】
次に、ユーザの操作を受け付けたMFPの一覧画面生成部22は、連携処理システム300に接続されたMFPから差分情報管理データを取得する(S220)。
【0102】
一覧画面生成部22にとって、連携処理システム300の他のMFPは図8に示すようなMFPの機器情報23により既知となっている。一覧画面生成部22は、例えばIPアドレスで連携処理システム300のMFPを指定して、各MFPから差分情報管理データを取得する。
【0103】
一覧画面生成部22は、連携処理システム300の全てのMFPから差分情報管理データを取得するまで差分情報管理データの取得を繰り返す(S230)。
【0104】
一覧画面生成部22が全てのMFPから差分情報管理データを取得すると、一覧画面生成部22が取得した差分情報管理データの中から「差分情報」が"新規作成"のレコードを全て検索する(S240)。
【0105】
"新規作成"のレコードを特定したら、一覧画面生成部22は"新規作成"のレコードから各レコードを辿って、"新規作成"の電子データから派生した各電子データを特定する(S250)。
【0106】
具体的には、新規作成の文書識別子(変更前)を起点に、文書識別子(変更後)と同じ文書識別子の文書識別子(変更前)を、レコード順に次々と辿っていく。例えば、図12を例にすると、新規作成から始めて次のように辿れることが分かる。(i)〜(iv)は派生の階層を示す。
・より具体的な手順としては、最上位の階層(新規作成)から始めて、文書識別子(変更後)と同じ文書識別子の文書識別子(変更前)を差分情報管理データから全て抽出し、(i)の階層とする。
・次に、(i)の階層の、右側の文書識別子(変更後)と同じ文書識別子(変更前)を差分情報管理データから全て抽出し、(ii)の階層とする。
・最終的にレコードが辿れなくなるまで階層の抽出を繰り返す。
(i) A0001(新規作成)について
A0001→A0002
A0001→A0004
A0001→A0007
(ii) A0002について
A0002→A0003
A0002→A0008
(ii) A0004について
A0004→A0006
(ii) A0007について
なし
(iii)A0003について
A0003→A0005
(iii)A0008について
なし
(iii)A0006について
A0006→A0009
(iv)A0005について
なし
(iv)A0009について
なし
階層毎に矢印で結ばれた1つの派生関係を辿ることで、任意の電子データに施された一連の画像処理を特定できる。全ての派生関係を辿れば、任意の電子データに施された全ての画像処理を特定できる。
【0107】
"新規作成"の電子データから派生した全ての電子データを特定したら、一覧画面生成部22は図15の処理を終了する。
【0108】
〔差分情報一覧画面〕
図16は、差分情報管理データから生成された差分情報一覧画面の一例を示す。図16の差分情報一覧画面は、「文書番号」、「文書名」、「生成元データ」、「生成日時」、「差分情報」が表示される。図16の差分情報一覧画面は、差分情報管理データの各レコードを、一覧画面生成部22が文書識別子の順にソートして操作パネル130に表示する。差分情報管理データの文書識別子(変更後)は一意なので、一覧画面生成部22は各MFPから取得した差分情報管理データから、文書識別子(変更後)を読み出し、例えば昇順にソートする。
【0109】
そして、一覧画面生成部22は、「文書番号」に文書識別子(変更後)を、「文書名」に文書名を、「生成元データ」に「文書識別子(変更前)」を、「生成日時」に電子データに画像処理が施された日時(ファイルのタイムスタンプ)を、「差分情報」に差分情報を、それぞれ配置して図16の画面情報を表示する。操作パネル130に表示しきれいないレコードは、ユーザが「前へ」ボタン401、「次へ」ボタン402を押下することで表示される。
【0110】
図示するように同一の文書名でも生成元の電子データや差分情報を表示することで、ユーザが目的の文書を探しやすくすることができる。なお、蓄積機能を持つ機器同士は自機以外の差分情報管理データも記憶領域に保存しておき、バックアップデータとして使用する。このため、連携処理システム300上の機器のいずれかの電源が入っていなかったり、通信が不能になった場合、なくなった場合等でも差分情報の表示が出来なくなることはない。
【0111】
また、差分情報一覧画面には右上に「表示切換」ボタン403があり、ユーザが押下することで、差分情報一覧画面の表示態様を切り替えることができる。
【0112】
図17は、差分情報一覧画面の別の一例を示す図である。この差分情報一覧画面は、電子データの変更履歴を、派生した各電子データをツリー形状に配置することで表示する。ユーザは、各電子データの派生状況を視覚的に一目で把握することができる。図15の手順により、各電子データが新規作成の電子データから派生した履歴は抽出されている。矢印で結ばれた1行が任意の電子データに施された一連の画像処理である。
・A0001→A0002→A0003→A0005
・A0001→A0002→A0008
・A0001→A0004→A0006→A0009
・A0001→A0007
なお、同じ文書識別子(変更後)の電子データは1つ表示すればよいので、データ履歴表示部11は同じ文書識別子(変更後)の電子データを1つのアイコン405にて表示したり、文字で表示した後、派生順を示す矢印で電子データ間を結ぶ。こうすることで図17のような差分情報一覧画面が表示される。なお、アイコン405には少なくとも文書名が表示され、さらに、文書識別子、生成日時を表示することができる。
【0113】
また、図17の画面において、ユーザが比較したい2つの文書を押下して選択すると、データ履歴表示部11は、電子データ間の差分情報を右側にある「差分情報の表示」欄404に表示する。具体的には、データ履歴表示部11は、差分情報管理データから、ユーザが選択した文書識別子(変更後)のレコードを特定し、そのレコードの差分情報を読み出し、「差分情報の表示」欄404に表示する。
【0114】
図18は、ユーザが比較したい2つの文書を押下した際の差分情報一覧画面の一例を示す。図18では文書識別子が"A0002"のアイコン405と、文書識別子が"A0008"のアイコン405が反転表示されている。また、「差分情報の表示」欄には「比較元文書」として"A0002"が、「比較先文書」として"A0008"が、「差分情報」として"QRコード"が、表示されている。
【0115】
図19は、差分情報一覧画面の別の一例を示す図である。この差分情報一覧画面は、派生元の電子データから派生後の電子データに向かう矢印の近くに、差分情報が表示されている。このような表示であれば、ユーザは、各電子データの派生状況を視覚的に一目で把握できるだけでなく、電子データ間の差分情報(画像処理)を一目で把握することができる。
【0116】
したがって、ユーザは自身が印刷したり又は加工したい電子データを短時間で特定できる。ユーザが電子データを特定した場合、データ履歴表示部11が該電子データの文書識別子(変更後)に基づき、該電子データを蓄積しているMFPを特定する。電子データを蓄積しているMFPは、差分情報管理データを収集した際に明らかである。機器制御部16は特定したMFPに電子データの送信を要求し、該電子データを受信する。これにより、図10にて説明したように、ユーザは操作しているMFPで所望の電子データに所望の加工を施すことができる。
【0117】
以上説明しように、本実施形態の連携処理システム300は、文書名と共に差分情報を表示することで、ユーザは電子データにどのように画像処理が施されているかを把握でき、ユーザが目的の文書を探しやすくすることができる。
【符号の説明】
【0118】
11 データ履歴表示部
12 データ記憶部
13 データ記憶処理実行部
14 データ出力処理実行部
15 分散処理決定部
16 機器制御部
17 処理要求送信部
18 処理要求受信部
19 ネットワーク通信部
21 差分情報生成部
22 一覧画面生成部
100 MFP
300 連携処理システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0119】
【特許文献1】特開2009−188820号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して他の機器と接続される画像処理装置であって、
ユーザ又は他の機器から処理要求を取得する処理要求取得手段と、
他の機器の機能が登録された機能テーブルを記憶する機能テーブル記憶手段と、
他の機器が可能な処理を前記機能テーブルに登録された機能により特定し、前記処理要求を分担させる他の機器を決定する分散処理決定手段と、
画像処理前の電子データに対し当該画像処理装置が施すことで生じた画像処理の差分情報を生成する差分情報生成手段と、
前記機能テーブルにデータ蓄積機能が登録され、前記分散処理決定手段が処理を分担させると決定した他の機器に前記差分情報の蓄積を要求する処理要求送信手段と、
前記差分情報を他の機器から収集して差分情報一覧画面の画面情報を生成する一覧画面生成手段と、
を有する画像処理装置。
【請求項2】
当該画像処理装置が作成した前記差分情報、又は、前記処理要求取得手段が他の機器から蓄積を要求された前記差分情報を記憶するデータ記憶手段、
を有する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画面情報を用いて、前記差分情報一覧画面を表示する差分情報一覧表示手段を、をさらに有する請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
当該画像処理装置が電子データに画像処理を施す際、前記差分情報生成手段は、前記差分情報に、画像処理前の電子データの文書識別情報と画像処理後の文書識別情報を対応づけ、
前記データ記憶手段は、画像処理前及び画像処理後の文書識別情報を対応づけて前記差分情報を記憶する、請求項2記載の画像処理装置。
【請求項5】
当該画像処理装置が電子データに画像処理を施した際、前記差分情報生成手段は、自機の前記データ記憶手段から画像処理後の文書識別情報を読み出し、かつ、他の機器から画像処理後の文書識別情報を収集し、
自機及び他の機器内で重複しない画像処理後の文書識別情報を、画像処理が施された電子データに付与する、請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
当該画像処理装置が作成した前記差分情報、又は、前記処理要求取得手段が他の機器から蓄積を要求された前記差分情報を記憶するデータ記憶手段を有し、
前記一覧画面生成手段は、自機の前記データ記憶手段から文書名と前記差分情報を読み出し、かつ、他の機器から文書名と前記差分情報を収集し、文書名に前記差分情報が対応づけられて一覧に表示される前記画面情報を生成し、
前記差分情報一覧表示手段は、前記画面情報に基づき文書名と前記差分情報の一覧を表示する、請求項3記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記一覧画面生成手段は、自機の前記データ記憶手段から画像処理前と後の文書識別情報を読み出し、かつ、他の機器から画像処理前と後の文書識別情報を収集し、
予め既知の新規作成された電子データの文書識別情報を起点に、画像処理前の文書識別情報に対応づけられた画像処理後の文書識別情報を辿ることで、電子データをツリー状に表示する前記画面情報を生成し、
前記画面情報に基づき電子データの一覧を表示する差分情報一覧表示手段を有する、請求項4記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記差分情報一覧表示手段は、選択を受け付けた画像処理前の電子データと画像処理後の電子データの前記差分情報を表示する、請求項7記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記差分情報一覧表示手段は、ツリー状に表示した画像処理前の電子データから画像処理後の電子データに向けた線分の付近に前記差分情報を表示する、請求項7記載の画像処理装置。
【請求項10】
ネットワークを介して複数の画像処理装置が接続され、少なくとも2つの画像処理装置が画像データの記憶手段を有する画像処理システムであって、
ユーザ又は他の機器から処理要求を取得する処理要求取得手段と、
他の機器の機能が登録された機能テーブルを記憶する機能テーブル記憶手段と、
他の機器が可能な処理を前記機能テーブルに登録された機能により特定し、前記処理要求を分担させる他の機器を決定する分散処理決定手段と、
画像処理前の電子データに対し当該画像処理装置が施すことで生じた画像処理の差分情報を生成する差分情報生成手段と、
前記機能テーブルにデータ蓄積機能が登録され、前記分散処理決定手段が処理を分担させると決定した他の機器に前記差分情報の蓄積を要求する処理要求送信手段と、
前記差分情報を他の機器から収集して差分情報一覧画面の画面情報を生成する一覧画面生成手段と、
を有する画像処理システム。
【請求項11】
ネットワークを介して他の機器と接続される機器の画像処理方法あって、
処理要求取得手段が、ユーザ又は他の機器から処理要求を取得するステップと、
分散処理決定手段が、機能テーブル記憶手段に記憶された他の機器の機能が登録された機能テーブルから、他の機器が可能な処理を特定し、前記処理要求を分担させる他の機器を決定するステップと、
差分情報生成手段が、画像処理前の電子データに対し当該画像処理装置が施すことで生じた画像処理の差分情報を生成するステップと、
前記機能テーブルにデータ蓄積機能が登録され、前記分散処理決定手段が処理を分担させると決定した他の機器に、処理要求送信手段が、前記差分情報の蓄積を要求するステップと、
一覧画面生成手段が、前記差分情報を他の機器から収集して差分情報一覧画面の画面情報を生成するステップと、
を有する画像処理方法。
【請求項12】
ネットワークを介して他の機器と接続される機器の画像処理装置に、
ユーザ又は他の機器から処理要求を取得する処理要求取得ステップと、
機能テーブル記憶手段に記憶された他の機器の機能が登録された機能テーブルから、他の機器が可能な処理を特定し、前記処理要求を分担させる他の機器を決定する分散処理決定ステップと、
画像処理前の電子データに対し当該画像処理装置が施すことで生じた画像処理の差分情報を生成する差分情報生成ステップと、
前記機能テーブルにデータ蓄積機能が登録され、前記分散処理決定手段が処理を分担させると決定した他の機器に、前記差分情報の蓄積を要求する処理要求送信ステップと、
前記差分情報を他の機器から収集して差分情報一覧画面の画面情報を生成する一覧画面生成ステップと、
を実行させるプログラム。
【請求項13】
請求項12記載のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−182668(P2012−182668A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44321(P2011−44321)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】