説明

画像処理装置、画像処理システム及び画像処理プログラム

【課題】ユーザの使用状況に応じた機能モードの自動遷移を実現する。
【解決手段】制御部12は、設定されたモード設定情報に従い複合機10の機能モードを適宜切り替える。ログ収集処理部14は、画像処理実行部13により実施される画像処理の実行内容をログ情報蓄積部18に逐次登録する。最適化処理部15は、ログ情報を解析することによってユーザの利用傾向を特定し、その特定した利用傾向に合致するように複合機10に設定する機能モードとその機能モードを設定する期間とを決定する。情報管理部16は、処理結果をモード設定情報に反映する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の複合機には、通常、使用可能な状態であるユーザモードとは別に、省電力を目的とした省電力モードが設けられている機種が存在する。このような複合機では、直前の使用から管理者等により予め設定された省電力モード移行時間の間に何も使用されないと省電力モードに自動的に切り替わる。つまり、ユーザモードの状態において直前の使用から操作パネル(コントロールパネル)が操作されたり、ネットワーク経由で情報を受信したりするなどして複合機が画像処理要求を受信することなく省電力モード移行時間放置されると、複合機は、自装置をユーザモードから省電力モードへ自動的に切り替える。このようなモードを遷移させるための時間設定は、操作パネルなどから行うことができ、管理者等により事前に設定されている。
【0003】
なお、省電力モードには、内部のヒーター部の温度を下げ、かつモーターを停止させる低電力モード(スタンバイモード)や、主電源を切って最も電力を節約できる電源オフモード(スリープモード)などがある。また、省電力モードでは、操作パネル(コントロールパネル)が消灯されて非表示状態となるエナジースターモードなどもある。このように、複合機に設定可能な各種モードを以下、「機能モード」と総称する。
【0004】
例えば、省電力モード移行時間として30分と設定されていた場合、直前の使用から30分以内に何も使用されなければ、30分が経過した時点で現在のユーザモードから低電力モードへ切り替わる。これにより、機能モードの切替操作をその都度手動にて行う必要無く節電対策を講じることができる。低電力モードへ切り替わった後に複合機を使用したい場合、ユーザが操作パネルに何らかの指示を入力すれば、複合機は、その操作指示を検出して低電力モードからユーザモードに切り替える。これにより、ユーザは、複合機を通常通りに使用することができる。
【0005】
ただ、省電力モードからユーザモードに切り替わり、複合機が使用できる状態になるには、モーターを駆動したり、ヒーター部の温度を上げたりする必要がある。つまり、ユーザが使用のために操作をしてから実際に使用できる状態になるまで時間を要することになる。例えば、従業員が省電力モード移行時間、複合機を使用しなければ、業務時間内であっても省電力モードに切り替わってしまう。従って、省電力モードに移行した後に緊急にコピーしたいときでもユーザモードに切り替わって複合機が使用できる状態になるまで待つことになる。
【0006】
なお、装置の状態を使用環境や使用頻度に応じて切り替える技術として、例えば特許文献1,2がある。
【0007】
【特許文献1】特開2002−166631号公報
【特許文献2】特開平2−289863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来においては、省電力モード移行時間等の時間設定に基づくモード遷移機能しか設けられていなかったので、前述したように業務時間内であれば省電力モードへの自動切替えを阻止したいという、複合機の使用状況に応じたモード遷移を実現することはできなかった。これは、複合機を含め、操作パネルやネットワーク経由で処理要求を受け付ける画像処理装置において共通する問題である。
【0009】
本発明は、ユーザの使用状況に応じた機能モードの自動遷移を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る画像処理システムは、画像処理を実行する1乃至複数の画像処理装置を有し、前記各画像処理装置は、入力された画像処理要求に応じて画像処理を実行する処理実行手段と、前記処理実行手段による画像処理の実行内容をログ情報として収集するログ収集手段と、当該画像処理装置の状態を前記記憶手段に記憶されたモード設定情報への設定内容に従った機能モードに遷移させる制御手段とを有し、始期、終期及び当該期間に当該画像処理装置において適用される機能モードが対応付けされたモード設定情報を記憶する記憶手段と、所定の収集期間に前記各ログ収集手段により収集されたログ情報を解析することで、前記各画像処理装置における各機能モードの適用期間の最適化処理を行う最適化処理手段と、前記最適化処理手段による処理結果に従い前記記憶手段に記憶されたモード設定情報を更新する情報管理手段とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る画像処理装置は、始期と終期と当該期間において適用される機能モードとが対応付けされたモード設定情報を記憶する記憶手段と、自装置の状態を前記記憶手段に記憶されたモード設定情報への設定内容に従った機能モードに遷移させる制御手段と、入力された画像処理要求に応じて画像処理を実行する処理実行手段と、前記処理実行手段による画像処理の実行内容をログ情報として収集するログ収集手段と、所定の収集期間に前記ログ収集手段により収集されたログ情報を解析することで各機能モードの適用期間の最適化処理を行う最適化処理手段と、前記最適化処理手段による処理結果に従い前記記憶手段に記憶されたモード設定情報を更新する情報管理手段とを有することを特徴とする。
【0012】
また、前記最適化処理手段は、画像処理要求に応じて前記処理実行手段が画像処理の実行を開始する前に、機能モードを画像処理の実行が可能なユーザモードに切り替えるようユーザモードの適用期間を設定することを特徴とする。
【0013】
また、前記記憶手段に記憶されたモード設定情報には、さらに情報変更の可否を示す変更禁止情報が含まれており、前記情報管理手段は、前記最適化処理手段による最適化処理の結果、変更対象とされたモード設定情報に変更不可を示す変更禁止情報が設定されていた場合には、当該モード設定情報を更新しないことを特徴とする。
【0014】
また、前記記憶手段に記憶されたモード設定情報には、さらに画像処理の種別が指定される機実行制限処理情報が含まれており、前記処理実行手段は、要求された画像処理が実行制限処理情報に設定された種別に該当する場合にのみ当該画像処理を実行することを特徴とする。
【0015】
また、前記ログ情報には、入力された画像処理要求に応じて画像処理実行開始時において設定されている機能モード、又は画像処理の終了状態の少なくとも一方が含まれていることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る画像処理プログラムは、画像処理装置に搭載されたコンピュータを、始期と終期と当該期間において適用される機能モードとが対応付けされたモード設定情報を記憶する記憶手段、自装置の状態を前記記憶手段に記憶されたモード設定情報への設定内容に従った機能モードに遷移させる制御手段、入力された画像処理要求に応じて画像処理を実行する処理実行手段、前記処理実行手段による画像処理の実行内容をログ情報として収集するログ収集手段、所定の収集期間に前記ログ収集手段により収集されたログ情報を解析することで各機能モードの適用期間の最適化処理を行う最適化処理手段、前記最適化処理手段による処理結果に従い前記記憶手段に記憶されたモード設定情報を更新する情報管理手段として機能させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ユーザの使用状況に応じていつどの機能モードが設定された状態でいればよいのかということを判断し、その使用状況に応じて機能モードを自動的に切り替えることができる。これにより、使い勝手のよいユーザフレンドリな画像処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る画像処理装置の一実施の形態である複合機10のハードウェア構成図である。複合機10は、コピー機能、スキャナ機能等各種機能を搭載しており、コンピュータを内蔵した装置である。図1において、CPU21は、ROM29に格納されたプログラムにしたがってスキャナ24やプリンタエンジン26等本装置に搭載された各種機構の動作制御を行う。アドレスデータバス22は、CPU21の制御対象となる各種機構と接続してデータの通信を行う。操作パネル(コントロールパネル)23は、ユーザからの指示の受け付け、情報の表示を行う。スキャナ24は、ユーザがセットした原稿を読み取り、電子データとしてHDD(Hard Disk Drive)25等に蓄積する。HDD25は、スキャナを使用して読み取った電子文書などを格納する。プリンタエンジン26は、CPU21で実行される制御プログラムからの指示に従い出力用紙上に画像を印字する。ネットワークインタフェース(I/F)27は、ネットワーク4を接続し、FAX等の電子データの送受信、またブラウザ経由による本装置へのアクセスなどに利用される。ランダムアクセスメモリ(RAM)28は、プログラム実行時のワークメモリや電子データ送受信時の通信バッファとして利用される。リードオンリメモリ(ROM)29は、本装置の制御、画像処理制御に関する各種プログラムが格納されている。各種プログラムが実行されることで後述する各構成要素が所定の処理機能を発揮する。外部メディアインタフェース(I/F)30は、USBメモリ、フラッシュメモリ等の外部メモリ機器とのインタフェースである。
【0020】
図2は、本実施の形態における画像処理システムのブロック構成図である。図2には、複合機10と、複合機10を利用するユーザ使用のクライアント2とがネットワーク4で接続された構成が示されている。複合機10は、受付処理部11、制御部12、画像処理実行部13、ログ収集処理部14、最適化処理部15及び情報管理部16を有している。また、モード設定情報保持部17及びログ情報蓄積部18を有している。受付処理部11は、操作パネル23を介してユーザにより入力された指示、項目データ等を受け付ける。制御部12は、複合機10をモード設定情報保持部17に記憶されたモード設定情報への設定内容に従った機能モードに遷移させる。画像処理実行部13は、操作パネル23から入力された、若しくはネットワーク4経由でクライアント2から送られてきた画像処理要求に応じて複合機10が持つコピー機能、スキャナ機能等の各種機能を利用しながら画像処理を実行する。ログ収集処理部14は、画像処理実行部13による画像処理の実行内容を監視し、その実行実績からログ情報を生成してログ情報蓄積部18を登録する。最適化処理部15は、所定の収集期間にログ収集処理部14により収集されたログ情報を解析することで各機能モードの適用期間の最適化処理を行う。情報管理部16は、最適化処理部15による処理結果に従いモード設定情報保持部17に記憶されたモード設定情報を更新する。
【0021】
複合機10における各構成要素11〜16は、複合機10に搭載されたコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU21で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、モード設定情報保持部17はRAM28又はHDD25、ログ情報蓄積部18はHDD25にて、それぞれ実現される。
【0022】
本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【0023】
図3は、本実施の形態におけるモード設定情報保持部17に記憶されるモード設定情報のデータ構成例を示した図である。モード設定情報には、始期及び終期、機能モード、変更禁止情報及び機能制限情報が含まれている。始期及び終期は、機能モードを設定する期間の始期及び終期である。機能モードは、その期間に設定する機能モードである。本実施の形態では、機能モードとして、ユーザにより操作が行われていない待機状態において、通常通りに複合機10を使用させる状態にあるユーザモード、省電力モードに含まれるモードであってヒーター部の低温度化、モーター停止等を行う低電力モード(スタンバイモード)、あるいは同じく省電力モードに含まれるモードであって主電源を切る電源オフモード(スリープモード)のいずれかを設定する。もちろん、その他の機能モードが複合機10に設定可能であれば、その機能モードも設定可能とする。後述する説明によって明確になるが、変更禁止情報には、最適化処理に従った機能モードの設定変更対象から除外する旨を示す情報が設定される。最適化を図るために変更すべきレコードかもしれないが、複合機10の運用管理上、あるいは不正使用の防止上、当該期間に設定した機能モードを変更すべきでない場合があると考えられるからである。なお、図3では、変更を禁止するレコードに対応させて“禁止”を設定する。機能制限情報には、当該機能モードの適用期間において実施が禁止される機能が設定される。なお、実施を許可する機能を設定するようにしてもよい。複合機10の使用開始前に管理者等によって操作パネル23からモード設定情報に設定すべき項目データが入力されると、受付処理部11がその入力された内容を受け付ける。情報管理部16は、その受け付けられた内容に基づきモード設定情報を生成してモード設定情報保持部17に設定登録する。図4は、図3に例示された機能モードの設定例に従った複合機10の状態を示した概念図である。
【0024】
なお、本実施の形態では、各機能モードの適用期間を特定する情報として、便宜的に当該適用期間の始期及び終期に時刻を指定する場合を例にした。これにより、複合機10は、毎日同じ時刻に機能モードが切り替わることになる。ただ、例えば企業であれば、曜日という情報を付加することで営業日と休業日それぞれにモード設定情報を生成できるようにしてもよい。また、日付(年月日)を付加することで、機能モードをより細かに設定してもよい。このように、本実施の形態では、各機能モードの適用期間を設定する必要があるが、適用期間を設定する形式に関しては、ここで示した例に限らず、ユーザによる複合機10の利用形態に適合させて設定すればよい。
【0025】
次に、本実施の形態における動作について説明する。本実施の形態において実施する処理は、ログ情報の収集処理と、複合機10へ設定する機能モードの最適化処理とに大別できる。まず最初に、ログ情報の収集処理について説明する。
【0026】
本実施の形態は、複合機10へ設定する機能モードの最適化を図るために複合機10のユーザの利用状況を把握する。本実施の形態では、複合機10の利用状況を把握するためにログ情報を収集する。すなわち、複合機10は、操作パネル23から入力指示されたコピー指示、あるいはネットワーク4を介して送られてきた印刷指示等をジョブとして受け付けるが、画像処理実行部13は、原則、受付順にジョブを処理することで、当該ジョブによって指定された画像処理をスキャナ24やプリンタエンジン26などのハードウェアと連携して実施する。ログ収集処理部14は、画像処理実行部13の動作を常時監視し、画像処理実行部13により実施される画像処理の実行内容を収集し、ログ情報としてログ情報蓄積部18に逐次登録する。なお、制御部12は、ログ情報が収集されている間、管理者によって事前に設定されたモード設定情報に従い複合機10の機能モードを適宜切り替える。
【0027】
図5は、本実施の形態において収集されるログ情報のデータ構成例を示した図である。ログ情報には、日時、ジョブ種別、開始時モード及び終了状態が含まれている。時間に関する情報は、ユーザがいつ複合機10を使用しようとしたかを把握するために収集する情報であることから、日時には、画像処理実行部13により実行された画像処理の開始時刻が設定される。ただ、便宜的にログ収集処理部14による書込時刻(画像処理の終了時刻)を設定してもよい。ジョブ種別には、実行されたジョブの種別、つまりコピー、印刷、スキャン、電子メール配信、FAX送信等ユーザにより要求された画像処理の種別が設定される。開始時モードには、画像処理実行部13による画像処理の開始時刻における複合機10に設定されていた機能モードが設定される。終了状態には、当該ジョブが終了したときの状態が設定される。ジョブは、基本的には正常終了するはずであるが、ジョブ実行時に優先度の高い他のジョブにより割込みが発生したり、モード設定情報への設定により実行時刻に機能制限がされていたりして異常終了する場合もあり得る。
【0028】
ログ収集処理部14は、画像処理実行部13の動作を常時監視して前述したログ情報を収集する。なお、後述するように、最適化処理部15は、所定期間(例えば、1ヶ月間)に収集されたログ情報を解析することで複合機10に設定する機能モードの最適化を図るが、ログ収集処理部14は、指定された所定期間のみログ情報を収集してもよいし、所定期間の指定の有無に関係なく常時収集して、所定期間のログ情報を最適化処理部15に抽出させるようにしてもよい。本実施の形態では、後者を想定して説明する。なお、所定期間は、通常、管理者によって指定される。
【0029】
続いて、複合機10へ設定する機能モードの最適化処理について説明するが、その前に本実施の形態において行う機能モードの最適化について説明する。
【0030】
通常、モード設定情報には、業務時間等を基準に適切な機能モードが管理者等により設定されているはずである。例えば、業務終了時刻にユーザモードから低電力モードに切り替わるように設定する。ただ、業務時間外であっても書類の整理や日報作成等によって複合機10が使用される場合が少なくない。ただ、単純に複合機10をいつでも使用できるようにユーザモードに設定していたのでは、省電力効果を得ることができない。その一方、省電力モードの状態からユーザモードに切り替わって使用できる状態になるには、モーターを駆動し、またヒーター部の温度を上昇させるなどの機械的な制御を行う必要があるため、ユーザは、省電力モードの状態の複合機10を使用するために操作パネル23から指示入力しても、使用できるようになるためにモーター駆動等に要する時間を待たなくてはならない。
【0031】
また、機能制限がされていたことによりユーザが所望する画像処理を実行できない場合もある。例えば、図3の設定例によると、17時から22時の間にFAX送信を行うことができないため、この期間内にFAX送信を要求がされても異常終了することになる。ただ、仮にユーザによってFAX送信要求が数多く要求されているとしたならば、それは必要な業務処理であると推測できるので、ユーザによるFAX送信処理要求を無条件に拒否することは適切でないかもしれない。
【0032】
そこで、本実施の形態では、上記の通りある所定期間における複合機10の使用状況を記録、解析して、複合機10が通常いつ何に使用されるかというユーザの利用傾向を把握するようにした。すなわち、通常、業務時間外でもある時間帯(例えば、t1〜t2)にコピーされる場合が多いという利用傾向が把握できると、時刻t1の前に複合機10をユーザモードの状態にしておけば、ユーザは、t1以降にコピーをする際に複合機10が使用できるようになるまで待たずにすむ。一方、時刻t2を過ぎた後に複合機10を省電力モードの状態に切り替えれば、省電力効果を期待できる。
【0033】
本実施の形態においては、このようにログ情報を解析してユーザの利用傾向を把握し、その利用傾向に合致したモード設定を行うことで複合機10に設定する機能モードの最適化を図るようにする。この本実施の形態において特徴的な機能モードの最適化処理について図6に示したフローチャートを用いて説明する。
【0034】
最適化処理部15は、所定期間(例えば、1ヶ月間)に収集されたログ情報をログ情報蓄積部18から読み出す(ステップ110)。続いて、最適化処理部15は、読み出したログ情報を解析することによって、前述したようにユーザの利用傾向を特定し、その特定した利用傾向に合致するように複合機10に設定する機能モードとその機能モードを設定する期間とを決定する(ステップ120)。この決定した内容に従い既存のモード設定情報を見直して設定内容を変更することになる。但し、モード設定情報の変更禁止情報に“禁止”と設定されていることによって変更が禁止されているレコードに対しては、変更することができないので、このような設定を考慮しながら既存のモード設定情報の設定内容を最終的に決定する(ステップ130)。情報管理部16は、最適化処理部15による最適化処理の結果に従いモード設定情報保持部17に設定されているモード設定情報を更新する(ステップ140)。
【0035】
モード設定情報が更新されると、制御部12は、複合機10の状態をその更新されたモード設定情報の設定内容に従った機能モードに遷移させる。本実施の形態では、このように複合機10に設定する機能モードを、ユーザの利用傾向に合致した機能モードに自動的に切り替える。
【0036】
図7は、上記最適化処理により更新されたモード設定情報の内容例を示した図である。この例では、ログ情報を解析した結果、18時から21時の期間は、利用頻度が高いことからFAX送信処理要求は依然として拒否するものの、複合機10がすぐに使用できるようにユーザモードに変更した。図8は、図7に示された機能モードの設定に従った複合機10の状態を示した概念図である。
【0037】
本実施の形態では、以上のようにユーザの利用傾向から複合機10に設定する機能モードの最適化を図るようにした。
【0038】
実施の形態2.
図9は、本実施の形態における画像処理システムのブロック構成図である。なお、実施の形態1と同じ構成要素には、同じ符号を付ける。図1には、複数台(図9では3台)の複合機10、クライアント2及びサーバ6がネットワーク4で接続された構成が示されている。なお、複合機10は、全て同一構成でよいため、複合機Aのみ内部ブロック構成を図示した。複合機10は、受付処理部11、制御部12、画像処理実行部13、ログ収集処理部14、情報管理部16及びモード設定情報保持部17を有している。各構成要素に関しては、実施の形態1で説明したとおりである。サーバ6は、最適化処理部15と、各複合機A,B,Cにおける各ログ収集処理部14により収集されたログ情報をそれぞれ蓄積するログ情報蓄積部18A,18B,18Cとを有している。
【0039】
例えば、部署によっては、複数台の複合機10が設置され、所望の複合機10を使用できる環境が構築されている場合がある。つまり、図9に例示したように、3台の複合機10が設置されている場合、複合機10を個々ではなくまとめて運用管理した方が好都合の場合がある。本実施の形態では、このような場合に適合させるために、サーバ6を設置して各複合機10において収集されるログ情報を一括管理して、各複合機10に設定する機能モードを、他の複合機における使用状況をも考慮して決定でききるようにした。すなわち、本実施の形態における最適化処理部15は、最適化処理を実行する際、所定期間に収集されたログ情報を各ログ情報蓄積部18A,18B,18Cから読み出して解析を行うことになる。なお、ログ情報蓄積部18A,18B,18Cは、各レコードにログ情報提供元となる複合機10の識別情報を付加することで統合することが可能になる。
【0040】
各複合機10におけるモード設定情報は、最適化処理部15における解析により得られた内容に基づいてそれぞれ更新されることになるが、全ての複合機10に対して同一内容の変更を行う必要はない。同一部署に設置されているとはいえ、FAX送信用、又はFAX受信用等複合機10を目的によって使い分けている場合があるからである。また、営業時間終了後は、1台のみを使用するなど運用上の制限があるかもしれないからである。
【0041】
図10は、本実施の形態におけるサーバ6のハードウェア構成図である。本実施の形態においてサーバ6は、従前から存在する汎用的なサーバコンピュータのハードウェア構成で実現できる。すなわち、サーバ6は、図10に示したようにCPU61、ROM62、RAM63、ハードディスクドライブ(HDD)64を接続したHDDコントローラ65、入力手段として設けられたマウス66とキーボード67、及び表示装置として設けられたディスプレイ68をそれぞれ接続する入出力コントローラ69、通信手段として設けられたネットワークコントローラ70を内部バス71に接続して構成される。
【0042】
本実施の形態における動作は、複数台の複合機10とサーバ6とに分かれて処理が実施されることに伴いログ情報やモード設定情報の更新データ等のデータ通信が発生する点が異なってくるが、基本的には実施の形態1と同じとなるため説明を省略する。
【0043】
なお、本実施の形態では、画像処理装置として、ユーザモードに加えて省電力モードを有する複合機10を例にして説明したが、その他の機能モードが設定されるその他の画像処理装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る画像処理装置の一実施の形態である複合機のハードウェア構成図である。
【図2】実施の形態1における画像処理システムのブロック構成図である。
【図3】実施の形態1におけるモード設定情報保持部に記憶されるモード設定情報のデータ構成例を示した図である。
【図4】図3に例示された機能モードの設定例に従った複合機の状態を示した概念図である。
【図5】実施の形態1において収集されるログ情報のデータ構成例を示した図である。
【図6】実施の形態1における最適化処理を示したフローチャートである。
【図7】実施の形態1における最適化処理により更新されたモード設定情報の内容例を示した図である。
【図8】図7に示された機能モードに従った複合機の状態を示した概念図である。
【図9】実施の形態2における画像処理システムのブロック構成図である。
【図10】実施の形態2におけるサーバのハードウェア構成図である。
【符号の説明】
【0045】
2 クライアント、4 ネットワーク、6 サーバ、10 複合機、11 受付処理部、12 制御部、13 画像処理実行部、14 ログ収集処理部、15 最適化処理部、16 情報管理部、17 モード設定情報保持部、18,18A,18B,18C ログ情報蓄積部、21,61 CPU、22 アドレスデータバス、23 操作パネル、24 スキャナ、25,64 ハードディスクドライブ(HDD)、26 プリンタエンジン、27 ネットワークインタフェース(I/F)、28,63 RAM、29,62 ROM、30 外部メディアインタフェース(I/F)、65 HDDコントローラ、66 マウス、67 キーボード、68 ディスプレイ、69 入出力コントローラ、70 ネットワークコントローラ、71 内部バス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理を実行する1乃至複数の画像処理装置を有し、
前記各画像処理装置は、
入力された画像処理要求に応じて画像処理を実行する処理実行手段と、
前記処理実行手段による画像処理の実行内容をログ情報として収集するログ収集手段と、
当該画像処理装置の状態を前記記憶手段に記憶されたモード設定情報への設定内容に従った機能モードに遷移させる制御手段と、
を有し、
始期、終期及び当該期間に当該画像処理装置において適用される機能モードが対応付けされたモード設定情報を記憶する記憶手段と、
所定の収集期間に前記各ログ収集手段により収集されたログ情報を解析することで、前記各画像処理装置における各機能モードの適用期間の最適化処理を行う最適化処理手段と、
前記最適化処理手段による処理結果に従い前記記憶手段に記憶されたモード設定情報を更新する情報管理手段と、
を有することを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
始期と終期と当該期間において適用される機能モードとが対応付けされたモード設定情報を記憶する記憶手段と、
自装置の状態を前記記憶手段に記憶されたモード設定情報への設定内容に従った機能モードに遷移させる制御手段と、
入力された画像処理要求に応じて画像処理を実行する処理実行手段と、
前記処理実行手段による画像処理の実行内容をログ情報として収集するログ収集手段と、
所定の収集期間に前記ログ収集手段により収集されたログ情報を解析することで各機能モードの適用期間の最適化処理を行う最適化処理手段と、
前記最適化処理手段による処理結果に従い前記記憶手段に記憶されたモード設定情報を更新する情報管理手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像処理装置において、
前記最適化処理手段は、画像処理要求に応じて前記処理実行手段が画像処理の実行を開始する前に、機能モードを画像処理の実行が可能なユーザモードに切り替えるようユーザモードの適用期間を設定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項2記載の画像処理装置において、
前記記憶手段に記憶されたモード設定情報には、さらに情報変更の可否を示す変更禁止情報が含まれており、
前記情報管理手段は、前記最適化処理手段による最適化処理の結果、変更対象とされたモード設定情報に変更不可を示す変更禁止情報が設定されていた場合には、当該モード設定情報を更新しないことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項2記載の画像処理装置において、
前記記憶手段に記憶されたモード設定情報には、さらに画像処理の種別が指定される機実行制限処理情報が含まれており、
前記処理実行手段は、要求された画像処理が実行制限処理情報に設定された種別に該当する場合にのみ当該画像処理を実行することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項2記載の画像処理装置において、
前記ログ情報には、入力された画像処理要求に応じて画像処理実行開始時において設定されている機能モード、又は画像処理の終了状態の少なくとも一方が含まれていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
画像処理装置に搭載されたコンピュータを、
始期と終期と当該期間において適用される機能モードとが対応付けされたモード設定情報を記憶する記憶手段、
自装置の状態を前記記憶手段に記憶されたモード設定情報への設定内容に従った機能モードに遷移させる制御手段、
入力された画像処理要求に応じて画像処理を実行する処理実行手段、
前記処理実行手段による画像処理の実行内容をログ情報として収集するログ収集手段、
所定の収集期間に前記ログ収集手段により収集されたログ情報を解析することで各機能モードの適用期間の最適化処理を行う最適化処理手段、
前記最適化処理手段による処理結果に従い前記記憶手段に記憶されたモード設定情報を更新する情報管理手段、
として機能させる画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−124578(P2008−124578A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303214(P2006−303214)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】