説明

画像処理装置、画像処理システム及び画像処理方法

【課題】既に複数のジョブが存在している画像処理装置に対して新たにジョブを追加する場合に、ユーザがその新たに追加するジョブが終了する時間を知ることができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】所定の画像データに基づいて所定のジョブを実行する画像処理装置であって、既に受け付け済みの既存ジョブが少なくとも1以上ある時に、追加ジョブの実行指示を受け付け、かつ、追加ジョブが終了して欲しい時間としてジョブ終了期待時間を受け付ける機能と、追加ジョブが終了する予定の時間としてジョブ終了予定時間を算出する機能と、ジョブ終了予定時間がジョブ終了期待時間を超えているか否かを判定する機能と、判定の結果を表示する機能と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された情報に基づいて、ジョブの終了予定時間を算出し、操作者に提示する画像処理装置、画像処理システム及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機やプリンタ等の画像処理装置の分野では、機能の多様化や複合機能化(ファクシミリ装置、プリンタ、複写機などの機能の組み合わせ)等の技術が進んでいる。また、ディジタル複写機等の画像処理装置をネットワーク上に複数接続し、同時に多くの画像処理装置を使用して連結画像処理を行なうことができる画像処理システムの技術も進んでいる。このような画像処理装置及び画像処理システムは、例えば、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2000−78345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来、画像処理装置において、既に複数のジョブが存在(実行中や実行待機)している時に、新たにジョブを追加する場合、その新たに追加するジョブが終了する時間の予測が不可能であった。特に、特許文献1に開示されているような画像処理システムにおいて、ネットワークに接続された画像処理装置は複数のユーザ(操作者・使用者)による操作が可能であるため、一の画像処理装置において複数のジョブが行なわれることが多く、一の画像処理装置において、既に複数のジョブが存在している時に、新たなジョブが追加されるという状況が発生する。そして、このような状況の場合に、新たにジョブを追加するユーザは、そのジョブが終了する時間を知ることができなかった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、既に複数のジョブが存在している画像処理装置に対して新たにジョブを追加する場合に、ユーザがその新たに追加するジョブが終了する時間を知ることができる画像処理装置、画像処理システム及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために、本発明の第1の画像処理装置は、所定の画像データに基づいて所定のジョブを実行する画像処理装置であって、既に受け付け済みの既存ジョブが少なくとも1以上ある時に、追加ジョブの実行指示を受け付け、かつ、追加ジョブが終了して欲しい時間としてジョブ終了期待時間を受け付ける機能と、追加ジョブが終了する予定の時間としてジョブ終了予定時間を算出する機能と、ジョブ終了予定時間がジョブ終了期待時間を超えているか否かを判定する機能と、判定の結果を表示する機能と、を有することを特徴とする。
【0006】
本発明の第2の画像処理装置は、入力操作を受け付ける操作手段と、所定の情報を表示する表示手段と、所定の画像データに基づいて所定のジョブを実行するために、装置の制御を行なう制御手段と、を有し、制御手段は、既に受け付け済みの既存ジョブが少なくとも1以上ある時に、操作手段を介して、追加ジョブの実行指示を受け付け、かつ、追加ジョブが終了して欲しい時間としてジョブ終了期待時間の入力を受け付けた場合、追加ジョブを開始可能な時間としてジョブ開始時間を取得し、追加ジョブの処理に要する時間としてジョブ所要時間を計算し、ジョブ開始時間と、ジョブ所要時間とに基づいて、追加ジョブが終了する予定の時間としてジョブ終了予定時間を算出し、ジョブ終了予定時間がジョブ終了期待時間を超えているか否かを判定し、判定の結果を表示手段に表示させることを特徴とする。
【0007】
本発明の第3の画像処理装置は、本発明の第2の画像処理装置において、制御手段は、判定の結果を表示手段に表示させた際に、既存ジョブの少なくとも1つと追加ジョブとの入れ換えを試行するかどうかを表示手段に表示し、操作手段を介して入れ換えの指示を受け付けた場合、追加ジョブの終了予定時間を再算出し、再算出した終了予定時間を表示手段に表示させることを特徴とする。
【0008】
本発明の第4の画像処理装置は、本発明の第3の画像処理装置において、制御手段は、操作手段を介して入れ換えの指示を受け付けた場合、入れ換えの対象となった既存ジョブの終了予定時間を再算出し、再算出した終了予定時間を表示手段に表示させることを特徴とする。
【0009】
本発明の第5の画像処理装置は、本発明の第2から第4のいずれか1つの画像処理装置において、ネットワークに接続するための通信手段をさらに有し、他の画像処理装置と連結して追加ジョブを実行することが可能であり、制御手段は、判定の結果、ジョブ終了予定時間がジョブ終了期待時間を超えていると判定した場合、通信手段を介して、他の画像処理装置に対して、画像データ及び追加ジョブに関する情報を送信するとともに、他の画像処理装置でのジョブ終了予定時間を算出するように依頼し、他の画像処理装置から、他の画像処理装置でのジョブ終了予定時間を受信した場合、他の画像処理装置でのジョブ終了予定時間を表示手段に表示させることを特徴とする。
【0010】
本発明の第6の画像処理装置は、本発明の第5の画像処理装置において、制御手段は、他の画像処理装置が複数あり、複数の他の画像処理装置に対して、複数の他の画像処理装置毎のジョブ終了予定時間を算出するように依頼し、複数の他の画像処理装置毎のジョブ終了予定時間を受信した場合、複数の他の画像処理装置毎のジョブ終了予定時間に基づいて、ジョブ終了期待時間内で追加ジョブが終了するように追加ジョブの処理負荷を分散させることができる、自装置も含めた複数の他の画像処理装置の組み合わせを表示手段に表示させることを特徴とする。
【0011】
本発明の画像処理システムは、本発明の第1から第6のいずれか1つの画像処理装置を複数連結したことを特徴とする。
【0012】
本発明の第1の画像処理方法は、所定の画像データに基づいて所定のジョブを実行する画像処理方法であって、既に受け付け済みの既存ジョブが少なくとも1以上ある時に、追加ジョブの実行指示を受け付け、かつ、追加ジョブが終了して欲しい時間としてジョブ終了期待時間を受け付けるステップと、追加ジョブが終了する予定の時間としてジョブ終了予定時間を算出するステップと、ジョブ終了予定時間がジョブ終了期待時間を超えているか否かを判定するステップと、判定の結果を表示するステップと、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の第2の画像処理方法は、本発明の第1の画像処理方法において、ジョブ終了予定時間を算出するステップでは、追加ジョブを開始できる時間としてジョブ開始時間を取得し、追加ジョブの処理に要する時間としてジョブ所要時間を計算し、ジョブ開始時間と、ジョブ所要時間とに基づいて、ジョブ終了予定時間を算出することを特徴とする。
【0014】
本発明の第3の画像処理方法は、本発明の第1又は第2の画像処理方法において、判定の結果を表示するステップでは、既存ジョブの少なくとも1つと追加ジョブとの入れ換えを試行するかどうかをさらに表示し、入れ換えの指示を受け付けた場合、追加ジョブの終了予定時間を再算出し、再算出した終了予定時間を表示するステップをさらに有することを特徴とする。
【0015】
本発明の第4の画像処理方法は、本発明の第3の画像処理方法において、入れ換えの指示を受け付けた場合、入れ換えの対象となった既存ジョブの終了予定時間を再算出し、再算出した終了予定時間を表示するステップをさらに有することを特徴とする。
【0016】
本発明の第5の画像処理方法は、本発明の第1から第4のいずれか1つの画像処理方法において、ジョブ終了予定時間がジョブ終了期待時間を超えていると判定した場合、ネットワーク上の他の画像処理装置に対して、画像データ及び追加ジョブに関する情報を送信するとともに、他の画像処理装置でのジョブ終了予定時間を算出するように依頼するステップと、他の画像処理装置から、他の画像処理装置でのジョブ終了予定時間を受信した場合、他の画像処理装置でのジョブ終了予定時間を表示するステップと、をさらに有することを特徴とする。
【0017】
本発明の第6の画像処理方法は、本発明の第5の画像処理方法において、他の画像処理装置が複数あり、複数の他の画像処理装置に対して、複数の他の画像処理装置毎のジョブ終了予定時間を算出するように依頼し、複数の他の画像処理装置毎のジョブ終了予定時間を受信した場合、複数の他の画像処理装置毎のジョブ終了予定時間に基づいて、ジョブ終了期待時間内で追加ジョブが終了するように追加ジョブの処理負荷を分散させることができる、自装置も含めた複数の他の画像処理装置の組み合わせを表示するステップをさらに有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、既に複数のジョブが存在している画像処理装置に対して新たにジョブを追加する場合に、ユーザがその新たに追加するジョブが終了する時間を知ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図7は本発明の画像処理装置の基本構成を示す図である。図7に示す画像処理装置1は、縦長の矩形状に形成される装置匡体2と、この装置匡体2の上部に設けられる自動原稿送り装置3と、装置匡体2の上側に設けられる画像読取装置4と、装置匡体2の下側に設けられる画像作成装置5と、装置匡体2の上部に設けられる操作装置7と、装置匡体2内の下側に設けられる給紙装置8とを備えている。操作装置7によって他の画像処理装置1と連結指示が指定されている状態でプリントキー33(図8参照)が押下されたとき、セットされている原稿を1枚ずつ読み取りながら連結されている各画像処理装置1に原稿画像データを送信してこれらの各画像処理装置1にプリント処理を分担させ、指定された部数だけプリントアウトさせる。以下、前記画像処理装置1を構成する自動原稿送り装置3、画像読取装置4、操作装置7、画像作成装置5、給紙装置8、について順次詳細に説明する。
【0021】
自動原稿送り装置3は、装置匡体2の上部に開閉自在に設けられる送り装置匡体9と、この送り装置匡体9上部に設けられる原稿台10と、この原稿台10に原稿がセットされているときこれを検知する原稿セット検知センサ11と、前記原稿台10上にセットされている原稿を1枚ずつ取り込む給送ローラ12と、複数のローラ13および給送ベルト14などによって構成され、給送ローラ12によって取り込まれた原稿を装置匡体2側のコンタクトガラス18上に送る給送機構15と、コンタクトガラス18上でその画像が読み取られた後給送機構15によって搬送された原稿を取り込んで、送り装置匡体9の上部に形成された排紙部16上に排出する排送ローラ17と、これら原稿セット検知センサ11〜排送ローラ17を制御する処理、送った原稿の枚数をカウントする処理などを行なう制御部(図示は省略する)と、この制御部の制御の下に給送ローラ12〜排送ローラ17を駆動する搬送モータ(図示は省略する)とを備えている。画像作成装置5から原稿送り指示が出力されたとき、原稿台10上に載置されている原稿を1枚ずつ取り込んで、これを画像読取装置4に設けられたコンタクトガラス18上に導いて画像を読み取らせた後、この原稿を再度搬送して排紙部16上に排紙する処理を繰り返す。
【0022】
画像読取装置4は、装置匡体2の上部に形成された開口部に填込まれ、自動原稿送り装置3によって開閉自在に閉じられるコンタクトガラス18と、装置匡体2内に配置されたガイドレール(図示は省略する)により、副走査方向に対し移動自在に構成され、変倍率に応じた第1速度で走行駆動される第1キャリッジ19と、この第1キャリッジ19上に配置されコンタクトガラス18上に載置されている原稿を照明する光源20と、第1キャリッジ19上に配置され、前記原稿から光(光学画像)を反射する第1ミラー21とを備えている。さらに、画像読取装置4は、装置匡体2内に配置されたガイドレール(図示は省略する)により副走査方向に対し移動自在に構成され、第1キャリッジ19が移動しても原稿を読み取る際の光路長が一定となるように、第1速度の半分の速度(第2速度)で走行駆動される第2キャリッジ22と、この第2キャリッジ22上に配置され第1ミラー21から反射された光学像を反射する第2、第3ミラー23、24と、装置匡体2内に移動自在に配置されピント、倍率などに応じた位置に位置調整されて、第3ミラー24から出射された光学像を集光するレンズ25と、装置匡体2内に移動自在に配置され、ピント、倍率などに応じた位置に位置調整されて、前記レンズ25で集光された光学像を受光し、電気信号(画像信号)に変換するCCDイメージセンサ26とを備えている。
【0023】
画像作成装置5側から画像読取指令が出力されたとき、読取倍率、読取範囲などに応じて、レンズ25と、CCDイメージセンサ26の位置を左右方向(副走査方向)に移動させてその位置を調整した後、第1キャリッジ19の光源20を点灯させた状態で第1キャリッジ19と、第2キャリッジ22とを各々第1、第2速度で副走査方向に走行させながらコンタクトガラス18上に載置された原稿の画像を取り込むとともに、レンズ25によってCCDイメージセンサ26上に集光して画像信号を生成し、これを画像作成装置5に供給する。また、操作装置7は、図8に示すように、装置匡体2の上部に左右方向に長くなるように配置されるLCDディスプレイ(液晶ディスプレイ:Liquid Crystal Display)27と、このLCDディスプレイ27の上面部に配置され、オペレータによってLCDディスプレイ27がタッチされたとき、これを検出してタッチ位置情報を生成するタッチパネル28と、LCDディスプレイ27の右側に配置されたテンキー29、モードクリアキー31、クリア/ストップキー32、コピー動作開始指示キーであるプリントキー33などによって構成されるキーボード135と、マイクロプロセッサを持ち、装置匡体2内の上部側に配置され、I/Oポートを介して画像作成装置5側のシステムコントローラ119と通信を行ないながら、そのシステムコントローラ119から出力される表示指示指令、状態情報などを取り込んでこれをLCDディスプレイ27に表示させる処理、前記タッチパネル28のタッチ位置情報を処理して操作されたキーを検知する処理、前記キーボード135の操作内容を検知する処理、これらの処理結果を前記システムコントローラ119に送信する処理などを行なう操作部(図示は省略する)とを備えている。
【0024】
前記システムコントローラ119からコピー表示画面指示が出力されたとき、操作部によってこれを取り込んでLCDディスプレイ27上に、コピー表示画面指示で指定された画面、例えば図9に示すように、現在コピーができることを示す状態メッセージ34と、現在のセット枚数を示すコピー枚数表示メッセージ35と、自動濃度指示を指定する際に操作される自動濃度キー36と、転写紙46を自動的に選択する際に操作される自動用紙選択キー37と、倍率を等倍にセットする際に操作される等倍キー38と、コピーを一部ずつページ順に揃える処理を指定する際に操作されるソートキー39と、コピーをページ毎に仕分けする処理を指定する際に操作されるスタックキー40と、ソート処理されたものを一部ずつ綴じる処理を指定する際に操作されるステープルキー41と、拡大/縮小倍率をセットする際に操作される変倍キー42と、両面モードを設定する際などに操作される両面/分割キー43と、複数の原稿画像を1枚のコピーに集約させる際などに操作される集約キー44と、SCSIケーブルなどを使用したネットワークを介して、各画像処理装置1に多量のコピーをプリントアウトさせる際に操作される連結モードキー45などを表示させる。
【0025】
また、給紙装置8は、図7に示すように、装置匡体2内に出没自在に収納され、各々指定されたサイズの転写紙46が収納される第1〜第3給紙トレイ47〜49と、これら第1〜第3給紙トレイ47〜49毎に設けられた第1〜第3給紙クラッチ(図示は省略する)の断続動作によって、第1〜第3給紙トレイ47〜49に収納されている各転写紙46を取り出す第1〜第3給紙ユニット50〜52と、断続動作する中間クラッチ(図示は省略する)および複数の搬送ローラ53などを有し、前記中間クラッチの断続動作によって、第1〜第3給紙ユニット50〜52によって取り出された転写紙46を上方に搬送する縦搬送ユニット54と、この縦搬送ユニット54によって搬送された転写紙46を取込み、タイミングをとって画像作成装置5に供給するレジストローラ55とを備えており、プリント動作を行なうとき第1〜第3給紙トレイ47〜49に格納されている各サイズの転写紙46のうち指定されたサイズの転写紙46を取り出し、これを上方に搬送するとともに感光体66上に形成されているトナー画像の先端部が紙転写位置に到達するタイミングに合わせて転写紙46を画像作成装置5に供給する。
【0026】
画像作成装置5は、図7に示すように、画像読取装置4から出力される画像信号に基づき光画像の書込みを行なう書込み光学ユニット56と、一度、画像が形成された転写紙46の表裏を反転させて前記縦搬送ユニット54に再給紙するか転写紙46を反転させて排紙トレイ81に排紙する反転/両面ユニット57と、前記書込み光学ユニット56で生成された光画像をトナー画像として顕像化させる顕像化ユニット58と、給紙装置8により取り出された転写紙46に対し、前記顕像化ユニット58で顕像化されたトナー画像を転写させる紙転写ユニット59と、この紙転写ユニット59で画像が転写された転写紙46上のトナーを溶融定着させる定着ユニット60と、この定着ユニット60でトナー画像が定着された転写紙46を装置匡体2の左側に取り付けられた後処理装置(図示は省略する)、前記反転/両面ユニット57のいずれか一方に導く搬送路切替ユニット61と、この画像処理装置1全体の動作を制御する制御基板62とを備えており、画像読取装置4から出力される画像信号で示される画像をトナー画像として顕像化させて指定されたサイズの転写紙46上にトナー画像を転写させた後、トナー画像を定着させ、機外の後処理装置(図示は省略する)に供給する。
【0027】
この場合、前記書込み光学ユニット56は、制御基板62から出力される画像データに基づきレーザー光を発生するレーザーダイオード、このレーザーダイオードから出射されるレーザー光をスキャンさせるポリゴンミラー、このポリゴンミラーを回転させる駆動モータなどによって構成されるレーザー出力ユニット63と、このレーザー出力ユニット63から出力されるレーザー光をfθ変換するf−θレンズなどのレンズ群64と、このレンズ群64からのレーザー光を反射して前記顕像化ユニット58に供給するミラー65とを備えており、制御基板62から出力される画像データを光信号に変換して前記顕像化ユニット58を構成する感光体66上に画像データに対応した光画像を書き込んで静電潜像を形成する。顕像化ユニット58は、メインモータ(図示は省略する)によって回転駆動されながら前記書込み光学ユニット56から出射されるレーザー光により潜像が形成される感光体66と、この感光体66の一端近傍に配置され、前記書込み光学ユニット56から出射されるレーザー光を検出したとき、主走査同期信号(LSYNC)を生成してシステムコントローラ119に供給するビームセンサ(図示は省略する)と、前記感光体66の周りに配置されて、感光体66をクリーニングする感光体クリーニングユニット(図示は省略する)と、感光体66の周りに配置されて、感光体66を均一に帯電させる帯電ユニット(図示は省略する)と、感光体66の周りに配置されて、感光体66上に形成されている静電潜像を現像する現像ユニット67とを備えている。
【0028】
プリント処理を行なうとき、メインモータの駆動力によって感光体66を回転駆動しながらこの感光体66の表面に対し、クリーニングユニットによるクリーニング処理、帯電ユニットによる帯電処理を行ないながら前記書込み光学ユニット56から出射されるレーザー光によって光画像を書き込んで静電潜像を形成した後、現像ユニット67によって感光体66上に形成されている静電潜像を現像してトナー画像を形成する。また、紙転写ユニット59は、感光体66と対向するように配置され、感光体66上に形成されたトナー画像を転写紙46に転写させるとき、バイアス電圧が印加される紙転写バイアスローラ68と、前記メインモータによって回転駆動される駆動ローラ69と、これら駆動ローラ69、紙転写バイアスローラ68に張設され、紙転写バイアスローラ68によって感光体66上のトナー画像が転写された転写紙46を搬送する搬送ベルト70とを備えており、プリント動作を行なうとき、レジストローラ55から供給された転写紙46を介在させた状態で搬送ベルト70を感光体66に押圧しながら紙転写バイアスローラ68に所定のバイアス電圧を印加して、感光体66上に形成されているトナー画像を転写紙46にして転写させた後、これを定着ユニット60に搬送する。
【0029】
定着ユニット60は、所定温度となるようにコントロールされた定着ローラ71と、紙転写ユニット59によって搬送されてきた転写紙46を前記定着ローラ71に押し付ける加圧ローラ72とを備えており、紙転写ユニット59から搬送されてきた転写紙46を加圧しながら加熱して、この転写紙46上に形成されているトナー画像を溶融定着させ、搬送路切替ユニット61に搬出する。搬送路切替ユニット61は、前記定着ユニット60から供給された転写紙46を取り込む取込みローラ73と、この取込みローラ73によって取り込まれた転写紙46の搬送路を切り替える切替爪(図示は省略する)と、この切替爪によって転写紙46が左側(図7において左側)に導かれたとき、転写紙46を左側に搬送して機外の排紙トレイ81に導く複数の排紙ローラ75と、前記切替爪によって転写紙46が下側(図7において下側)に導かれたとき、これを前記反転/両面ユニット57に導く反転/両面入紙ローラ76と、反転/両面ユニット57により反転された転写紙46を排紙トレイ81に導く反転排紙ローラ78とを備えており、前記定着ユニット60から搬送されてきた転写紙46を取り込むとともに、システムコントローラ119の指示に基づき切替爪によって搬送方向を切り替えて、そのまま排紙トレイ81導いたり、反転/両面ユニット57に導いたりする。
【0030】
反転/両面ユニット57は、搬送路切替ユニット61から供給された転写紙46を取り込んだ後で逆方向に搬送して転写紙46の表裏を反転させる反転ローラ77と、反転済みの転写紙46を給紙装置8の縦搬送ユニット54に供給する再給紙ローラ79とを備えており、システムコントローラ119から反転排紙指示が出力されているとき、搬送路切替ユニット61から供給された転写紙46を取り込んだ後で反転ローラ77によって転写紙46の搬送方向を反転(スイッチバック)させて反転排紙ローラ78によって反転済みの転写紙46を排紙トレイ81に排出し、システムコントローラ119から両面入紙指示が出力されているとき、搬送路切替ユニット61から供給された転写紙46を取り込んだ後で反転ローラ77によって転写紙46の搬送方向を反転させて再給紙ローラ79によって反転済みの転写紙46を給紙装置8の縦搬送ユニット54に供給する。
【0031】
また、前記制御基板62は、図1に示すように、各種のデータ処理を行なうことで画像処理装置1全体の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)140及びシステムコントローラ119と、各種メモリ150とを備えており、制御プログラムに基づき装置各部の動作を制御して、原稿画像の読取処理、プリント処理、連結処理などを行なわせる。
【0032】
また、図1に示すように、本発明のシステムコントローラ2は、画像処理装置1のジョブ処理動作を予測するための動作予測機能136を備えている。動作予測機能136は、リアルタイムで日時を計測するタイマ機能、後述するジョブ開始時間を計算(取得)する機能、後述するジョブ所要時間を計算する機能、上記ジョブ開始時間及びジョブ所要時間を基に、後述するジョブ終了予定時間を算出する機能、上記ジョブ終了予定時間が、後述するジョブ終了期待時間を超えているか否かを判定する機能、などを有する。
【0033】
また、メモリ150は、図1には示していないが、CPU140の動作を規定する制御プログラムや各種の定数データが格納されるROM(Read Only Memory)、CPU140の作業エリアなどとして使用されるRAM(Random Access Memory)、半導体メモリにより構成される1次記憶装置、ハードディスクによって構成される2次記憶装置、画像データの格納エリアなどとして使用される画像メモリなどを有する。
【0034】
以上のように構成された本発明の画像処理装置の動作について、図2を参照して以下に説明する。
以下の説明では、本発明の画像処理装置には、既に複数のジョブが存在しており、ユーザが新たなジョブを追加する場合とする。また、追加する新たなジョブは、「画像を用紙に印刷して出力すること」とする。また、既に画像処理装置に存在しているジョブを「既存ジョブ」といい、追加する新たなジョブを「追加ジョブ」という。
【0035】
ユーザは、操作装置7のタッチパネル28や各種キー29、31、32、33を操作して、画像処理装置の動作条件を入力し、追加ジョブの実行を指示する。システムコントローラ119は、入力された動作条件を受け付けてメモリ150(例えば、1次記憶装置や2次記憶装置)に一時格納するとともに、ジョブ処理対象(印刷出力対象)の画像の読み取り(入力)を画像読取装置4に行なわせ、画像データを取得してメモリ150(例えば、画像メモリ)に一時格納する(ステップS1)。なお、上記「動作条件」とは、ジョブを実行する際にユーザが希望する条件であり、ジョブに関する詳細を含む情報(ジョブ情報)である。ここでは、ジョブが「画像を用紙に印刷して出力すること」であるので、例えば、印刷枚数、印刷濃度、倍率(拡大/縮小)、用紙サイズ、印刷モード(カラー/白黒/写真)、ジョブ終了期待時間などが動作条件となり、ユーザが希望に応じて設定、入力する。
【0036】
また、上記「ジョブ終了期待時間」は、ユーザが希望するジョブの終了時間であり、本発明では必ず入力されるものとする。なお、このジョブ終了期待時間は、日時(期限)を指定するものが好ましい。例えば、ユーザが追加ジョブを5月9日の10時20分までに終了させたい場合は、ユーザはジョブ終了期待時間を「5/9 10:20」として入力する。
【0037】
上記ステップS1において、追加ジョブである「画像を用紙に印刷して出力すること」を追加する操作が行なわれると、システムコントローラ119は、動作予測機能136により、その追加ジョブを開始することができる時間(以下、ジョブ開始時間という)をメモリ150から取得する(ステップS2)。メモリ150には、既存ジョブ毎の終了予定時間(以下、ジョブ終了予定時間という)がそれぞれ算出されて格納されているので、それら既存ジョブのジョブ終了予定時間を基に、追加ジョブのジョブ開始時間を取得することができる。既存ジョブが複数ある場合は、最後に処理予定の既存ジョブの終了予定時間と同じ時間か又はそれ以降の時間が、追加ジョブのジョブ開始時間となる。なお、ジョブ開始時間及びジョブ終了予定時間は、日時を示すものが好ましい。
【0038】
次に、システムコントローラ119は、動作予測機能136により、メモリ150に一時格納された印刷出力対象の画像データに基づいて、その画像データを印刷出力するのにかかる時間(追加ジョブの処理にかかる時間。以下、ジョブ所要時間という)を計算する(ステップS3)。
【0039】
次に、システムコントローラ119は、動作予測機能136により、ジョブ開始時間と、ジョブ所要時間とに基づいて、追加ジョブが終了する予定の時間であるジョブ終了予定時間を算出する(ステップS4)。
【0040】
次に、システムコントローラ119は、動作予測機能136により、先に、ユーザにより動作条件として入力されてメモリ150に一時格納されたジョブ終了期待時間をメモリ150から読み出し、ステップS4で算出したジョブ終了予定時間が、メモリ150から読み出したジョブ終了期待時間を超えているか否かを判定する(ステップS5)。
【0041】
ステップS5の判定の結果、ジョブ終了予定時間がジョブ終了期待時間を超えていない場合(ステップS5/NO)、システムコントローラ119は、LCD27を介して、ジョブ終了期待時間内で出力印刷できる旨を、ユーザに対して提示させるとともに、画像作成装置5に追加ジョブ(出力印刷)の実行を指示する(実際には、既存ジョブが実行中又は待機中であるので、追加ジョブは実行待機状態となる)。そして、既存ジョブが終了した後に、システムコントローラ119は、メモリ150に一時格納された動作条件を読み出し、その動作条件に基づいた追加ジョブを画像作成装置5に実行させる(ステップS6)。この場合、追加ジョブは、ジョブ終了期待時間内に行なわれることになる。
【0042】
ステップS5の判定の結果、ジョブ終了予定時間がジョブ終了期待時間を超える場合(ステップS5/YES)、システムコントローラ119は、LCD27を介して、ジョブ終了期待時間内で出力印刷できない旨を、ユーザに対して提示させる(ステップS7)。このLCD27の表示は、例えば、「追加ジョブ(ジョブ名)は、ご希望の時間内には終了しません。終了予定時間は、○○時△△分(ジョブ終了予定時間)です。」のような内容である。ユーザはLCD27の表示を見て、この画像処理装置で追加ジョブを実行するかどうかの判断を行なうことができる。
【0043】
ステップS7の表示の後、ユーザによりジョブ実行の指示を受け付けた場合は(ステップS8/YES)、システムコントローラ119は、画像作成装置5に追加ジョブの実行を指示する(実際には、既存ジョブが実行中であるので、追加ジョブは実行待機状態となる)。そして、既存ジョブが終了した後に、システムコントローラ119は、メモリ150に一時格納された動作条件を読み出し、その動作条件に基づいた追加ジョブを画像作成装置5に実行させる(ステップS6)。この場合、追加ジョブは、ジョブ終了期待時間以降に行なわれることになる。
【0044】
ステップS7の表示の後、ユーザにより、追加ジョブの実行の指示を一定時間内に受け付けなかった場合や、クリアキーの押下などの、追加ジョブの実行をキャンセルする操作が行なわれた場合(ステップS8/NO)、システムコントローラ119は、追加ジョブをキャンセル扱いとし、例えば、「追加ジョブ(ジョブ名)はキャンセルされました。」などのメッセージをLCD27に表示させる。また、システムコントローラ119は、一時的にメモリ150に格納した動作条件や画像データを一定時間後に消去する。
【0045】
以上のように、本発明の画像処理装置によれば、ジョブ終了予定時間を計算し、ユーザに対して表示できるようにすることで、ユーザは、追加したいジョブがいつ終了するのかを知ることができる。
【実施例2】
【0046】
上記実施例1で説明した本発明の画像処理装置は、既存ジョブと追加ジョブの入れ換えを行なって、ジョブ終了期待時間内に全てのジョブを終了できるかを算出することもできる。上記実施例1で説明したように、既存ジョブであるジョブ1、2が既に存在している時に、追加ジョブであるジョブ3を新たに追加する場合(図3(a)参照)、ジョブ1、2の終了後にジョブ3が追加される(図3(b)参照)。そして、このように追加ジョブ3を既存ジョブ2の後に行なうと、ジョブ終了期待時間内に終了しない場合がある(図2のステップS5/YES)。そこで、本発明の画像処理装置は、このような場合に、既存ジョブ2と追加ジョブ3との入れ換えを行なって、ジョブ終了期待時間内に追加ジョブを終了できるかどうかを試す。
【0047】
図2のステップS5で、図3(b)のように、既存ジョブ1→既存ジョブ2→追加ジョブ3の順番であると、ジョブ終了予定時間がジョブ終了期待時間を超えてしまうと判定した場合(ステップS5/YES)、ステップS7において、LCD27を介して、ジョブ終了期待時間内で出力印刷できない旨を、ユーザに対して提示させるが、この時に、LCD27を介して、既存ジョブと追加ジョブとの入れ換えを試行するかどうかをユーザに対して提示する。入れ換え試行の指示操作を受け付けなかった場合は、ステップS8に進む。入れ換え試行の指示操作を受け付けた場合は、システムコントローラ119は、動作予測機能136により、図3(c)に示すように、既存ジョブ1、2のうち最後に実行予定の既存ジョブ2と、追加ジョブ3とを入れ換えを試行し、追加ジョブ3のジョブ終了予定時間を再算出する。そして、この入れ換え試行により、追加ジョブ3のジョブ終了予定時間がジョブ終了期待時間(追加ジョブ3のジョブ終了期待時間)を超えないと判定した場合、その旨(例えば、「既存ジョブ2と追加ジョブ3とを入れ換えると、○○時△△分(ジョブ終了期待時間内)に終了します。入れ換えを実行しますか?」という内容)をLCD27に表示し、実際にジョブの入れ換えを実行するかどうかをユーザに対して提示する。ユーザは、その表示を見て、実際にジョブの入れ換えを行なうかどうかを選択することができる。そして、ジョブの入れ換え実行の指示操作を受け付けた場合は、図2のステップS6に進み、既存ジョブ1の実行後は、図3(c)に示す順序で各ジョブを実行する。なお、ジョブの入れ換え実行の指示操作を受け付けなかった場合は、ステップS8に進む。
【0048】
以上のように、本発明の画像処理装置によれば、既存ジョブ実行後に追加ジョブ実行という順番でジョブ終了期待時間内に追加ジョブが終了しない場合に、既存ジョブと追加ジョブの入れ換えを試行して、追加ジョブがジョブ終了期待時間内に終了するかどうかを判定し、その判定結果をユーザに対して表示することで、ユーザは、ジョブの入れ換えにより、ジョブ終了期待時間内に追加ジョブが終了するか否かを知ることができる。
【0049】
なお、上記の説明において、追加ジョブ3が既存ジョブ2に優先して行なわれる場合に、追加ジョブ3のジョブ終了期待時間内に追加ジョブ3が終わるようになるが、既存ジョブ2のジョブ終了期待時間内に既存ジョブ2が終わらないことも起こりうる。そこで、ジョブの入れ換え試行時に、追加ジョブ3のジョブ終了予定時間だけではなく、既存ジョブ2のジョブ終了予定時間も再算出するようにする。そして、追加ジョブ3のジョブ終了予定時間が追加ジョブ3のジョブ終了期待時間を超えるかどうかの判定と、既存ジョブ2のジョブ終了予定時間が既存ジョブ2のジョブ終了期待時間を超えるかどうかの判定と、の両方を行ない、それらの判定結果(例えば、「追加ジョブ3はご希望時間(追加ジョブ3のジョブ終了期待時間)内に終了しますが、既存ジョブ2はご希望時間(既存ジョブ2のジョブ終了期待時間)内に終了しません。」や、「追加ジョブ3及び既存ジョブ2の両方とも、それぞれのご希望時間(追加ジョブ3のジョブ終了期待時間及び既存ジョブ2のジョブ終了期待時間)内に終了します。」などの内容)をLCD27に表示するようにしてもよい。ユーザは、その表示を見て、実際にジョブの入れ換えを行なうかどうかを選択することができる。
【実施例3】
【0050】
上記実施例1、2で説明した本発明の画像処理装置を、図4に示すように、ネットワークに複数接続し、画像処理システムとすることができる。図4に示す画像処理システムにおいて、上記実施例1で例とした「画像データの印刷出力」ジョブを行なう場合、例えば、画像処理装置Aで画像データを入力し、画像処理装置Dでその画像データの印刷出力を行なう。なお、ここでの説明では、上記実施例1、2で説明した本発明の画像処理装置は、図1の構成に加えて、通信装置(他装置と通信を行なうためのネットワークインターフェースなど)を備える構成とする。
【0051】
図4に示す画像処理システムにおける、本発明の画像処理装置A、Dの動作について、図5を参照して説明する。
以下の説明では、本発明の画像処理装置Aには、既に複数のジョブが存在しており、ユーザが、新たなジョブとして「画像を用紙に印刷して出力すること」を追加する場合とする。また、画像処理装置A(マスター機)が連結処理を行なう相手機を、画像処理装置D(スレーブ機)とする。
【0052】
まず、画像処理装置Aにおいて、ステップS11〜S15を行なう。これは、図2のステップS1〜S5と同じであるので、ここでの説明は省略する。
【0053】
ステップS15の判定の結果、ジョブ終了予定時間がジョブ終了期待時間を超えていない場合(ステップS15/NO)、システムコントローラ119は、LCD27を介して、ジョブ終了期待時間内で出力印刷できる旨を、ユーザに対して提示させるとともに、画像作成装置5に追加ジョブ(印刷出力)の実行を指示する(実際には、既存ジョブが実行中であるので、追加ジョブは実行待機状態となる)。そして、既存ジョブが終了した後に、システムコントローラ119は、メモリ150に一時格納された動作条件を読み出し、その動作条件に基づいた追加ジョブを画像作成装置5に実行させる(ステップS16)。
【0054】
ステップS15の判定の結果、ジョブ終了予定時間がジョブ終了期待時間を超える場合(ステップS15/YES)、システムコントローラ119は、LCD27を介して、ジョブ終了期待時間内で出力印刷できない旨を、ユーザに対して提示させるとともに、図1に図示しない通信装置(他装置と通信を行なうためのネットワークインターフェースなど)を介して、ネットワーク上の画像処理装置Dに対して追加ジョブの動作条件(ジョブ情報)及び画像データを送信する(ステップS17)。また、LCD27には、画像処理装置Dと通信を行なう旨を表示させる。
【0055】
画像処理装置Dでは、画像処理装置Dの通信装置を介して、画像処理装置Aからジョブ情報及び画像データを受信すると、画像処理装置Dのシステムコントローラ119が、画像処理装置Aが行なったステップS12〜S14と同じ動作を行ない、画像処理装置Dでのジョブ終了予定時間を算出する。そして、そのジョブ終了予定時間を画像処理装置Aに送信するとともに、受信したジョブ情報及び画像データを、仮情報としてメモリ150に格納する(ステップS17’)。仮情報として保持しておく理由は、画像処理装置Aが処理を行なっている間に、画像処理装置Dに別のジョブが入るなどして、画像処理装置Dで算出したジョブ終了予定時間がずれてしまうことを防ぐためである。
【0056】
画像処理装置Aでは、図1に図示しない通信装置を介して、画像処理装置Dでのジョブ終了予定時間を受信すると、システムコントローラ119は、画像処理装置Dでのジョブ終了予定時間をLCD27に表示させる。また、この時、LCD27に、追加ジョブを実行する画像処理装置をユーザに選択させるための表示(例えば「どの画像処理装置で印刷出力を実行しますか?」といった内容)を表示させる。ユーザは、LCD27の表示を見て、所望の画像処理装置(A、D)、又は、「いずれの画像処理装置も選択しない」を選択する(ステップS19)。
【0057】
ステップS19において、ユーザが画像処理装置Aを選択した場合(ステップS19/A)、システムコントローラ119は、画像作成装置5に追加ジョブの実行を指示する(実際には、既存ジョブが実行中であるので、追加ジョブは実行待機状態となる)。そして、既存ジョブが終了した後に、システムコントローラ119は、メモリ150に一時格納された動作条件を読み出し、その動作条件に基づいた追加ジョブを画像作成装置5に実行させる(ステップS16)。なお、画像処理装置Aのシステムコントローラ119は、画像処理装置Dに対して、仮情報として画像処理装置Dに保持されているジョブ情報(動作条件)及び画像データを消去するように、通信装置を介して指示する。画像処理装置Aから消去指示を受けた画像処理装置Dのシステムコントローラ119は、保持している仮情報を消去する。
【0058】
ステップS19において、ユーザが画像処理装置A、Dのいずれも選択しなかった場合(ステップS19/選択なし)、システムコントローラ119は、追加ジョブをキャンセル扱いとし、例えば、「追加ジョブ(ジョブ名)はキャンセルされました。」などのメッセージをLCD27に表示させる。また、システムコントローラ119は、画像処理装置Aにおいて、一時的にメモリ150に格納した動作条件や画像データを一定時間後に消去する。また、画像処理装置Aのシステムコントローラ119は、画像処理装置Dに対して、仮情報として画像処理装置Dに保持されているジョブ情報(動作条件)及び画像データを消去するように、通信装置を介して指示する。画像処理装置Aから消去指示を受けた画像処理装置Dのシステムコントローラ119は、保持している仮情報を消去する。
【0059】
ステップS19において、ユーザが画像処理装置Dを選択した場合(ステップS19/D)、システムコントローラ119は、追加ジョブを実行するように、画像処理装置Dに対して、通信装置を介して指示する。画像処理装置Aからジョブ実行指示を受けた画像処理装置Dのシステムコントローラ119は、保持している仮情報に基づいて、追加ジョブを実行する(ステップS19’)。なお、画像処理装置Aのシステムコントローラ119は、画像処理装置Aにおいて、一時的にメモリ150に格納した動作条件や画像データを一定時間後に消去する。
【0060】
以上のように、本発明の画像処理装置及び画像処理システムによれば、マスター機でジョブ終了期待時間内に追加ジョブが終了しない場合に、スレーブ機でジョブ終了期待時間内に追加ジョブが終了するかどうかを表示することで、ユーザは、追加ジョブを実行する画像処理装置を選択することができる(いずれの画像処理装置も選択しないこともできる)。
【0061】
なお、上記の説明では、図4に示すように、画像処理装置Dのみが画像データ出力を行なうようにものとしたが、図6に示すように、例えば、画像処理装置Dと、画像処理装置Bとの2つを使用して、画像データ出力(追加ジョブ)の負荷を分散させるようにすることで、ジョブ終了期待時間内にジョブ終了予定時間を収めることも可能である。例えば、画像処理装置Aのシステムコントローラ119は、複数の他の画像処理装置B〜Dに対して、画像処理装置B〜D毎のジョブ終了予定時間を算出するように依頼して、画像処理装置B〜D毎のジョブ終了予定時間を受信する。そして、画像処理装置B〜D毎のジョブ終了予定時間に基づいて、自装置(画像処理装置A)と他の画像処理装置B〜Dの中から、ジョブ終了期待時間内で追加ジョブが終了するように追加ジョブの処理負荷を分散させることができる最適な画像処理装置の組み合わせを計算し、その組み合わせをLCD27に表示させる。
【0062】
以上、本発明の実施例1〜3について説明したが、上記各実施例の記載に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、複数のジョブ(特に、画像処理に関するジョブ)を受け付けることが可能な装置、機器、システム、方法、プログラム(そのプログラムを記録した記録媒体)に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の画像処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の画像処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の画像処理装置のシステムコントローラが管理するジョブ情報の例を示す図である。
【図4】本発明の画像処理システムの構成の一例を示す図である。
【図5】本発明の画像処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の画像処理システムの構成の一例を示す図である。
【図7】本発明の画像処理装置の基本構成を示す側断面図である。
【図8】図7に示す操作装置の詳細な構成例を示す平面図である。
【図9】図8に示すLCDディスプレイの表示内容例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 画像処理装置
2 装置匡体
3 自動原稿送り装置
4 画像読取装置
5 画像作成装置
7 操作装置
8 給紙装置
9 送り装置匡体
10 原稿台
11 原稿セット検知センサ
12 給送ローラ
13 ローラ
14 給送ベルト
15 給送機構
16 排紙部
17 排送ローラ
18 コンタクトガラス
19 第1キャリッジ
20 光源
21 第1ミラー
22 第2キャリッジ
23 第2ミラー
24 第3ミラー
25 レンズ
26 CCDイメージセンサ
27 LCDディスプレイ(表示手段)
28 タッチパネル(操作手段)
29 テンキー(操作手段)
31 モードクリアキー(操作手段)
32 クリア/ストップキー(操作手段)
33 プリントキー(決定キー。操作手段)
34 状態メッセージ
35 コピー枚数表示メッセージ
36 自動濃度キー
37 自動用紙選択キー
38 等倍キー
39 ソートキー
40 スタックキー
41 ステープルキー
42 変倍キー
43 両面/分割キー
44 集約キー
45 連結モードキー
46 転写紙
47 第1給紙トレイ
48 第2給紙トレイ
49 第3給紙トレイ
50 第1給紙ユニット
51 第2給紙ユニット
52 第3給紙ユニット
53 搬送ローラ
54 縦搬送ユニット
55 レジストローラ
56 書込み光学ユニット
57 反転/両面ユニット
58 顕像化ユニット
59 紙転写ユニット
60 定着ユニット
61 搬送路切替ユニット
62 制御基板
63 レーザー出力ユニット
64 レンズ群
65 ミラー
66 感光体
67 現像ユニット
68 紙転写バイアスローラ
69 駆動ローラ
70 搬送ベルト
71 定着ローラ
72 加圧ローラ
73 取込みローラ
75 排紙ローラ
76 反転/両面入紙ローラ
77 反転ローラ
78 反転排紙ローラ
79 再給紙ローラ
81 排紙トレイ
119 システムコントローラ(制御手段)
135 キーボード
136 動作予測機能
140 CPU(制御手段)
150 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の画像データに基づいて所定のジョブを実行する画像処理装置であって、
既に受け付け済みの既存ジョブが少なくとも1以上ある時に、追加ジョブの実行指示を受け付け、かつ、該追加ジョブが終了して欲しい時間としてジョブ終了期待時間を受け付ける機能と、
前記追加ジョブが終了する予定の時間としてジョブ終了予定時間を算出する機能と、
前記ジョブ終了予定時間が前記ジョブ終了期待時間を超えているか否かを判定する機能と、
前記判定の結果を表示する機能と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
入力操作を受け付ける操作手段と、
所定の情報を表示する表示手段と、
所定の画像データに基づいて所定のジョブを実行するために、装置の制御を行なう制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
既に受け付け済みの既存ジョブが少なくとも1以上ある時に、前記操作手段を介して、追加ジョブの実行指示を受け付け、かつ、該追加ジョブが終了して欲しい時間としてジョブ終了期待時間の入力を受け付けた場合、
前記追加ジョブを開始可能な時間としてジョブ開始時間を取得し、
前記追加ジョブの処理に要する時間としてジョブ所要時間を計算し、
前記ジョブ開始時間と、前記ジョブ所要時間とに基づいて、前記追加ジョブが終了する予定の時間としてジョブ終了予定時間を算出し、
前記ジョブ終了予定時間が前記ジョブ終了期待時間を超えているか否かを判定し、
前記判定の結果を前記表示手段に表示させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記判定の結果を前記表示手段に表示させた際に、前記既存ジョブの少なくとも1つと前記追加ジョブとの入れ換えを試行するかどうかを前記表示手段に表示し、
前記操作手段を介して前記入れ換えの指示を受け付けた場合、前記追加ジョブの終了予定時間を再算出し、該再算出した終了予定時間を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記操作手段を介して前記入れ換えの指示を受け付けた場合、前記入れ換えの対象となった既存ジョブの終了予定時間を再算出し、該再算出した終了予定時間を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
ネットワークに接続するための通信手段をさらに有し、他の画像処理装置と連結して前記追加ジョブを実行することが可能であり、
前記制御手段は、
前記判定の結果、前記ジョブ終了予定時間が前記ジョブ終了期待時間を超えていると判定した場合、前記通信手段を介して、前記他の画像処理装置に対して、前記画像データ及び前記追加ジョブに関する情報を送信するとともに、前記他の画像処理装置でのジョブ終了予定時間を算出するように依頼し、
前記他の画像処理装置から、前記他の画像処理装置でのジョブ終了予定時間を受信した場合、前記他の画像処理装置でのジョブ終了予定時間を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記他の画像処理装置が複数あり、該複数の他の画像処理装置に対して、該複数の他の画像処理装置毎のジョブ終了予定時間を算出するように依頼し、該複数の他の画像処理装置毎のジョブ終了予定時間を受信した場合、
該複数の他の画像処理装置毎のジョブ終了予定時間に基づいて、前記ジョブ終了期待時間内で前記追加ジョブが終了するように前記追加ジョブの処理負荷を分散させることができる、自装置も含めた前記複数の他の画像処理装置の組み合わせを前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の画像処理装置を複数連結したことを特徴とする画像処理システム。
【請求項8】
所定の画像データに基づいて所定のジョブを実行する画像処理方法であって、
既に受け付け済みの既存ジョブが少なくとも1以上ある時に、追加ジョブの実行指示を受け付け、かつ、該追加ジョブが終了して欲しい時間としてジョブ終了期待時間を受け付けるステップと、
前記追加ジョブが終了する予定の時間としてジョブ終了予定時間を算出するステップと、
前記ジョブ終了予定時間が前記ジョブ終了期待時間を超えているか否かを判定するステップと、
前記判定の結果を表示するステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
前記ジョブ終了予定時間を算出するステップでは、
前記追加ジョブを開始できる時間としてジョブ開始時間を取得し、
前記追加ジョブの処理に要する時間としてジョブ所要時間を計算し、
前記ジョブ開始時間と、前記ジョブ所要時間とに基づいて、前記ジョブ終了予定時間を算出することを特徴とする請求項8記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記判定の結果を表示するステップでは、
前記既存ジョブの少なくとも1つと前記追加ジョブとの入れ換えを試行するかどうかをさらに表示し、
前記入れ換えの指示を受け付けた場合、
前記追加ジョブの終了予定時間を再算出し、該再算出した終了予定時間を表示するステップをさらに有することを特徴とする請求項8又は9記載の画像処理方法。
【請求項11】
前記入れ換えの指示を受け付けた場合、前記入れ換えの対象となった既存ジョブの終了予定時間を再算出し、該再算出した終了予定時間を表示するステップをさらに有することを特徴とする請求項10の画像処理方法。
【請求項12】
前記ジョブ終了予定時間が前記ジョブ終了期待時間を超えていると判定した場合、ネットワーク上の他の画像処理装置に対して、前記画像データ及び前記追加ジョブに関する情報を送信するとともに、前記他の画像処理装置でのジョブ終了予定時間を算出するように依頼するステップと、
前記他の画像処理装置から、前記他の画像処理装置でのジョブ終了予定時間を受信した場合、前記他の画像処理装置でのジョブ終了予定時間を表示するステップと、
をさらに有することを特徴とする請求項8から11のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項13】
前記他の画像処理装置が複数あり、該複数の他の画像処理装置に対して、該複数の他の画像処理装置毎のジョブ終了予定時間を算出するように依頼し、該複数の他の画像処理装置毎のジョブ終了予定時間を受信した場合、
該複数の他の画像処理装置毎のジョブ終了予定時間に基づいて、前記ジョブ終了期待時間内で前記追加ジョブが終了するように前記追加ジョブの処理負荷を分散させることができる、自装置も含めた前記複数の他の画像処理装置の組み合わせを表示するステップをさらに有することを特徴とする請求項12記載の画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−283515(P2008−283515A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126389(P2007−126389)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】