画像処理装置、画像処理方法、コンピュータプログラム
【課題】 電子文書内のオブジェクトのうち、条件にしたがって選択されたオブジェクトが新たに印刷出力され、当該印刷出力物に対して追記が行われた場合であっても、スキャンした画像から追記部分を容易に抽出して、該電子文書に追加格納できるようにする。
【解決手段】 本発明によれば、電子文書から、ユーザーにより指定された条件を満たすタグ情報が関連付けられているオブジェクトデータを抽出する。そして、当該抽出されたオブジェクトデータを識別するためのオブジェクトID情報と前記電子文書を特定するための電子文書特定情報とを含む符号画像パターンを生成し、前記抽出されたオブジェクトデータと前記生成された符号画像パターンとを含む印刷データの印刷処理を実行する。
このようにすることにより、印刷に用いたオブジェクトを容易に特定することができるので、新たな印刷出力物から追記された部分を容易に抽出できるようになる。
【解決手段】 本発明によれば、電子文書から、ユーザーにより指定された条件を満たすタグ情報が関連付けられているオブジェクトデータを抽出する。そして、当該抽出されたオブジェクトデータを識別するためのオブジェクトID情報と前記電子文書を特定するための電子文書特定情報とを含む符号画像パターンを生成し、前記抽出されたオブジェクトデータと前記生成された符号画像パターンとを含む印刷データの印刷処理を実行する。
このようにすることにより、印刷に用いたオブジェクトを容易に特定することができるので、新たな印刷出力物から追記された部分を容易に抽出できるようになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイリングされた電子文書に対して処理を実行する画像処理装置、画像処理方法、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の複写機は、内部画像処理のデジタル化によって、目覚しいスピードで多機能化が進んでいる。例えば、基本的な機能として、原稿を複写するコピー機能、ホストコンピュータで作成した文書のプリントが可能なPDL印刷機能(PDLで記述されたデータの印刷機能)、スキャン機能、ネットワークを介してスキャン画像を送信する送信機能などを有する。その他にも、コピー機能やPDL機能やスキャン機能によって生成される画像データを複写機内の保存部(ボックス)に保存しておき、後で印刷などに再利用できるようにするボックス機能や、原稿画像の編集機能など、多くの機能を有している。
【0003】
また、スキャン画像を複写機内の保存部に保存したり、ネットワークを介して送信したスキャン画像をサーバに保存させたりすることで、スキャンした文書の画像をファイリングする電子文書ファイリング技術が注目されている。電子文書ファイリングは、文書画像を保存する際にデータベース化して保存することにより、保存している電子文書の検索が容易に行えるようになり、再利用しやすくなる。一方、電子文書ファイリングの重要な課題として、文書の保存に必要なメモリ量の削減を挙げることができる。その課題を解決するために、特許文献1では、入力されたスキャン画像データを、既にファイリングされている元文書と比較して追加情報(追記部分)を抽出し、その追加情報をファイリングされていた文書に階層構造にして保存する技術が開示されている。また、特許文献1では、入力された画像データの比較対象になる元文書をユーザーの指定に基づいて特定する例と、電子文書を印刷する際にバーコード等の選別符号を付与しておき、スキャンした際に当該選別符号を識別して元文書を特定する例とが記載されている。また、特許文献1では、追記が為された後の文書Bに対して、更に追記がなされた場合、当該追記部分を抽出することが記載されている。すなわち、特許文献1では、同じ紙文書に対して追記が為されるたびに追記部分を抽出することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−317155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、ファイリングされている電子文書内のオブジェクトのうち、ユーザーにより設定された条件を満たすオブジェクトのみを選択して新たにプリント出力する場合については考慮されていなかった。本発明では、条件にしたがって選択されたオブジェクトが新たにプリント出力され、当該新たなプリント出力物に追記された場合でも、追記部分を容易に抽出して、元の電子文書に追加格納できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の画像処理装置は、タグ情報が関連付けられたオブジェクトデータを含む電子文書を記憶する記憶手段と、ユーザーにより指定された条件を満たすタグ情報が関連付けられているオブジェクトデータを、前記電子文書から抽出するオブジェクトデータ処理手段と、前記オブジェクトデータ処理手段で抽出されたオブジェクトデータを識別するためのオブジェクトID情報と前記電子文書を特定するための電子文書特定情報とを含む符号画像パターンを生成するパターン生成手段と、前記オブジェクトデータ処理手段で抽出されたオブジェクトデータと、前記パターン生成手段で生成された符号画像パターンとを含む印刷データの印刷処理を実行する印刷手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
前記画像処理装置は、更に、前記印刷手段の印刷処理により印刷された印刷物をスキャンして得た画像を入力する入力手段と、前記入力手段で入力された画像から前記符号画像パターンの検出を行い、当該検出された符号画像パターンから前記オブジェクトID情報と前記電子文書特定情報とを復号する復号手段と、前記入力手段で入力された画像に含まれるオブジェクトデータと、前記復号されたオブジェクトID情報と電子文書特定情報とに基づいて前記記憶手段から抽出したオブジェクトデータとを比較することにより、差分を抽出する差分抽出手段と、前記差分抽出手段で抽出された差分を新たなオブジェクトデータとして、当該新たなオブジェクトデータにタグ情報を付加するタグ情報付加手段と、前記タグ情報付加手段で前記タグ情報が付加された新たなオブジェクトデータを、前記電子文書特定情報により特定される電子文書に追加格納する変換手段とを備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
ファイリングされている電子文書に含まれる複数のオブジェクトのうち、任意の条件にしたがってオブジェクトを選択して、新たなプリント出力を行えるようになる。そして、該プリント出力物に対して追加編集を行った場合でも、差分を抽出することが容易に行え、当該差分のオブジェクトデータを元の電子文書に追加格納することができる。
【0009】
また、印刷対象のオブジェクトを選択し、更に、用紙サイズ等の印刷設定を変更して新たなプリント出力を行った場合であっても、差分を抽出して、差分のオブジェクトデータを元の電子文書に追加格納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明におけるPDFデータの内部構造を示す図
【図2】本発明におけるMFPを示すブロック図
【図3】図2におけるデータ処理部215の構成例を示すブロック図
【図4】電子文書データをプリントする際の処理を説明するためのフローチャート
【図5】電子文書データを更新する際の処理を説明するためのフローチャート
【図6A】本発明におけるPDFデータの説明図
【図6B】本発明におけるPDFデータの説明図
【図7A】操作部203に表示されるユーザーインタフェース画面の説明図
【図7B】操作部203に表示されるユーザーインタフェース画面の説明図
【図8】本発明におけるQRコードの説明図
【図9】本発明におけるパターン生成部305のフローチャート
【図10】本発明におけるパターン検出・復号部306のフローチャート
【図11】本発明の実施形態2における印刷設定情報を説明するための図
【図12】本発明の実施形態2における電子文書データを更新する際の処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1について図面を用いて説明する。
【0012】
<画像処理装置の詳細構成>
図2は本実施形態において、画像処理装置として用いる複合機(MFP)の詳細構成を示す図である。MFPは、画像入力デバイスであるスキャナ部201と、画像出力デバイスであるプリンタ部202、タッチパネルなどのユーザーインタフェースである操作部203、CPUやメモリ等で構成される制御ユニット204などを有する。制御ユニット204は、画像情報やデバイス情報の入出力を行うコントローラであり、スキャナ部201、プリンタ部202、操作部203と接続されている。更に、制御ユニット204はLAN209を介して外部装置と通信することもできる。
【0013】
CPU205はシステム全体を制御する情報処理部(コンピュータ)である。RAM206は、CPU205が動作する際にシステムワークメモリとして利用され、更に、画像データを一時記憶するための画像メモリでもある。ROM210は、ブートROMであり、システムのブートプログラム等のプログラムが格納されている。記憶部211はハードディスクドライブで、システム制御ソフトウェア、画像データや電子文書などを格納する。操作部I/F207は操作部(UI)203とのインターフェース部で、操作部203に表示するための画像データを操作部203に対して出力する。また、操作部I/F207は本画像処理装置の使用者によって操作部203を介して指示された内容に関する情報を、CPU205に伝える役割をする。ネットワークIF208は本画像処理装置をLAN209に接続し、パケット形式の情報の入出力を行うためのインターフェースである。以上のデバイスがシステムバス216上に配置される。
【0014】
イメージバスインターフェース212はシステムバス216と画像データを高速で転送する画像バス217とを接続し、データ構造を変換するバスブリッジである。画像バス217は、例えば、PCIバスやIEEE1394で構成される。画像バス222上には、以下のデバイス(RIP213、デバイスI/F214、データ処理部215)が配置される。ラスターイメージプロセッサ(RIP)213はPDL(ページ記述言語)コードを解析し、指定された解像度のビットマップイメージに展開する、いわゆるレンダリング処理を実現する。このビットマップイメージに展開する際には、各画素単位あるいは領域単位で属性情報が付加されることになる。これを像域判定処理と呼ぶ。像域判定処理により、画素毎あるいは領域毎に、文字(テキスト)や線(ライン)、グラフィクス、イメージなどといったオブジェクト種類を示す属性情報が付与される。例えば、PDLコード内に含まれるPDL記述のオブジェクトの種類に応じて、RIP213から像域信号が出力され、その信号値で示される属性に応じた属性情報が、オブジェクトに対応する画素や領域に関連づけて保存される。したがって画像データには、関連づけられた属性情報が付属している。デバイスI/F部214は、信号線218を介して画像入力デバイスであるスキャナ部201、信号線219を介して画像出力デバイスであるプリンタ部202、をそれぞれ制御ユニット204に接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。
【0015】
<データ処理部>
次に、図3を用いて図2のデータ処理部215で実行する処理の詳細について説明を行う。データ処理部215は、フォーマット変換部301、タグ情報付加部302、オブジェクト情報処理部303、差分抽出部304、パターン生成部305、パターン検出・復号部306、印刷データ生成部307、から構成される。なお、本実施形態では、コンピュータ読取可能な記憶媒体に格納されたコンピュータプログラムをコンピュータが実行することによって、データ処理部215の各処理部(図3の各処理部)を実現するものとするが、これに限るものではない。例えば、データ処理部215(図3の各処理部)の一部または全部を、電子回路等のハードウェアで実現するように構成してもよい。
【0016】
データ処理部215は、入力データ300が入力されると、各処理部301〜307で処理を行い、出力データ310を出力する。入力データ300は、スキャナ部201で原稿を読み取ることにより得られるビットマップデータ(画像データ)、または記憶部211に格納されているビットマップデータや電子文書データである。ここで、電子文書データとは、例えば、PDF、XPS、OfficeOpenXML等のフォーマットの電子文書である。出力データ310は、ビットマップデータ、または電子文書データであり、記憶部211に格納したり、プリンタ部202で印刷出力したり、LAN209によってネットワーク接続された不図示の外部装置に送信、等の処理が行われる。尚、本実施形態では、電子文書データとしてPDF(以下、PDFデータ)を用いた説明を行うものとする。
【0017】
<PDFデータ>
次に、図6Aを用いてPDFデータの詳細について説明を行う。図6Aの(a)は、記憶部211に格納されるPDFデータを説明するための概念図である。PDFデータを描画再生可能なソフトウェアの実例としては、Adobe Reader(商標)が挙げられる。なお、本実施形態では、PDFデータを後述する操作部203においても表示可能とする。
【0018】
図6A(a)の601は、記憶部211に格納されるPDFデータの一例を示しており、602〜605は、PDFデータ601内部の階層構造(レイヤー構造)を模式的に示す図である。なお、602〜605は、各々JPEGデータであって、JPEGデータ602は背景画像を示すデータ、JPEGデータ603〜605は背景の上に描画される文字列データであるものとする。本実施形態では、JPEGデータ602は、例として全て白画素で構成されるデータ、JPEGデータ603、604、605は、各々「あいうえお」「かきくけこ」「さしすせそ」のビットマップ画像の文字列情報で構成されるデータとして説明を行う。なお、PDFデータが内部に格納可能なデータであれば、JPEGデータ以外のデータでもよく、例えば、MMRデータやZIPデータ等であってもよい。また、JPEGデータを構成している情報は、文字列情報に限ることはなく、写真や線画、イラスト等でも構わない。
【0019】
また、PDFデータを階層構造で表現する場合には、各々の階層をレイヤーと呼ぶ。即ち、JPEGデータ602〜605は、JPEGデータであるとともに各々PDFデータ601を構成するレイヤーでもある。PDFデータをレイヤーで表現する場合、図6の609に示す矢印の方向から画像を見る(すなわち、JPEGデータ602〜605を順番に重ねて描画する)と、PDFデータを表示させた時に601に示すように見える。各レイヤーにおいてオブジェクト(JPEGデータ603〜605)以外の部分610は透明であるため、609に示す矢印の方向から画像を見ると、JPEGデータ603〜605の周囲に相当する部分は、背景のJPEGデータ602が見えることになる。なお、JPEGデータ603と604の上に605が位置的に重なっていた場合は、609に示す矢印の方向から画像を見るとJPEGデータ605の下のレイヤーにあるJPEGデータ603、604の重なっている部分は見えないことになる。図6の例においては、JPEGデータ603〜605が位置的に重なっておらず、609に示す矢印の方向から画像を見た場合は601に示すように見えるものとする。
【0020】
尚、本実施形態では、説明の便宜上、JPEGデータ603〜605のレイヤーを全てオブジェクトデータと呼ぶ。
【0021】
図6Aの(a)において、オブジェクトデータ603〜605それぞれに対して、タグ情報606〜608が付与されている。例えば、オブジェクトデータ603には、「日付:3月1日、名前:Aさん」のタグ情報606が付与されている。タグ情報606〜608は、後述する操作部203における条件設定にもとづいて用いられる。
【0022】
<PDFデータの構造>
次に、PDFデータの内部構造について図1を用いて説明する。図6Aの(a)で示されるPDFデータの模式図は、図1に示される内部データ構造を有している。図6A(a)のオブジェクトデータ602〜605は、各々図1のオブジェクトデータ101〜104に対応しているものとする。例えば、図6A(a)のオブジェクトデータ603は、図1のオブジェクトデータ102に対応している。また、図6A(a)の背景を示すオブジェクトデータ602は、図1のオブジェクトデータ101に対応している。なお、オブジェクトデータ101〜104は、それぞれPDFデータを構成するためのPS(PostScript)言語で記述されているものとする。
【0023】
また、図1のオブジェクトデータ102(図6A(a)の603に相当)は、オブジェクトID情報としてオブジェクトIDが2であるJPEGデータであることを示す。また、オブジェクトデータ102は、タグ情報として、「(日付:3月1日)、(名前:Aさん)」が関連付けられている。即ち、オブジェクトデータを検索する際に、例えば、「3月1日」というタグ情報で検索すると、オブジェクトデータ102が抽出される。また、「座標(X2、Y2)に描画」は、JPEGデータを(X2、Y2)を始点にして描画するという命令である。
【0024】
<操作部>
次に、図7A〜図7Bに記載のユーザーインタフェース画面(a)〜(f)を用いて、操作部203の詳細について説明を行う。尚、本実施形態においては、MFPに接続されている操作部203について説明を行うが、これに限るものではなく、例えば、LAN209によってネットワーク接続された同様の機能を有するホストコンピュータの操作部でも実現可能である。
【0025】
図7Aの画面(a)は、MFPにおける操作部203に表示される画面の例である。701は、コピー機能を動作させるためのボタンである。該ボタン701が選択されると、スキャナ部201で読み取られた原稿の画像をプリンタ部202で印刷出力するための設定画面に切り替わり、コピー機能を利用できるようになる。702は、送信機能(センド機能)を動作させるためのボタンである。該ボタン702が選択されると、スキャナ部で読み取った原稿の画像を、ビットマップデータや電子文書データとして、記憶部211に格納したり、ネットワークを介して外部装置に送信したりするための設定画面に切り替わり、送信機能が利用できるようになる。703は、ボックス機能を動作させるためのボタンである。該ボタン703が選択されると、記憶部211に格納されているビットマップデータや電子文書データを呼び出して、プリンタ部で印刷出力したり、ネットワークを介して外部装置へ送信したりするための画面に切り替わり、ボックス機能が利用できるようになる。
【0026】
図7Aの画面(a)はボックス機能のボタン703が選択されたときの画面である。本実施形態のボックス機能は、記憶部211に格納されている電子文書データを選択した後、更に、条件設定の指示を行うことが可能である。なお、データ選択と条件設定の詳細については後述する。ボックスボタン703が選択されると、図7Aの画面(a)のように、データ選択ボタン704、決定ボタン705、日付ボタン706、人物ボタン707、表示ウインドウ708、プリントボタン709が表示される。そして、データ選択ボタン704が押下されると、記憶部211に格納されている電子文書データのリストが表示ウインドウ708に表示され、更に、リストの中から所望とするデータがユーザーにより押下されると、選択されたデータが反転表示される。図7(a)の表示ウインドウ708では、例として、データ(1)〜データ(5)の5つのデータが表示され、データ(2)が選択されている状態を示している。
【0027】
決定ボタン705が押下されると、表示ウインドウ708に、当該リスト上で選択されているデータの画像(またはサムネイル画像)が表示される。図7Aの画面(b)の表示ウインドウには、例として選択されたデータ(2)の画像710が表示されている状態を示している。なお、データ(2)は図1(図6A(a))のようなデータ構造を有するものとする。ここで、プリントボタン709を押下すると、記憶部211に格納されているデータ(2)の画像710が印刷出力される。このとき、データ(2)の所在を示すアドレス情報(電子文書を特定するための電子文書特定情報)と当該印刷出力されたオブジェクトデータのIDを示すID情報とが、符号画像パターン(QRコード)としてデータ(2)の画像に埋め込まれて印刷出力される。なお、符号画像パターンについては後述する。
【0028】
本実施形態では、選択されたデータ(2)の画像710が表示されている状態で、印刷出力指示する前に、ユーザーの指示により、タグ情報に基づく条件設定を行うことが可能である。本実施形態において、条件設定は、日付条件と人物条件とを設定可能である。例えば、日付ボタン706が押下されると、日付条件を選択するための日付リスト、またはカレンダーが表示ウインドウ708に表示される。そして、ユーザー所望の日付が押下されると、押下された日付が反転表示され、選択状態になる。図7Aの画面(c)の表示ウインドウ708には、例として3月1日〜3月5日の5つの日付が表示されており、3月2日と3月3日が選択された状態を示している。同様に人物ボタン707が押下されると、人物条件を選択するための人物名のリストが表示ウインドウ708に表示される。そして、ユーザー所望の人物の名前が押下されると、当該押下された名前が反転表示され、選択状態になる。図7Bの画面(d)の表示ウインドウ708には、例としてAさん〜Eさんの5つの名前が表示されており、AさんとBさんとCさんが選択された状態を示している。以上の条件設定が終了し、決定ボタン705が押下されると、設定された条件がデータ(2)の画像710に適用される。即ち、画像710の中で、背景画像のデータと、次の条件式に当てはまるタグ情報に関連付けられている部分のオブジェクトデータとが表示される。
条件式=((3月2日)OR(3月3日))AND((Aさん)OR(Bさん)OR(Cさん))
該条件式は、条件パラメータとしてRAM206等の記憶装置に保存される。また、例えば、日付条件として、3月1日だけが選択され、人物条件としてBさんだけが選択されている場合、条件式=(3月1日)AND(Bさん)となる。尚、条件設定については、日付条件、人物条件に限るものではなく、文字、写真、線画、イラスト等の属性条件など他の条件でも可能である。
【0029】
次に、図7Bの画面(e)の表示ウインドウ708には、前述の条件式(((3月2日)OR(3月3日))AND((Aさん)OR(Bさん)OR(Cさん)))に当てはまる部分が表示された状態を示している。表示されている画像は、データ(2)から抽出されたオブジェクトにより生成された画像であるため、ここではデータ(2’)と呼ぶことにする。ここで、プリントボタン709を押下すると、記憶部211に格納されているデータ(2)から抽出されたデータ(2’)が印刷出力される。この時、記憶部211におけるデータ(2)の所在を示すアドレス情報と、データ(2’)として印刷出力されたオブジェクトデータのIDを示すID情報とが、符号画像パターンであるQRコードとしてデータ(2’)の画像に埋め込まれて印刷出力される。
【0030】
<オブジェクトデータ処理部>
オブジェクトデータ処理部303は、記憶部211に格納されている電子文書データから、RAM206等の記憶装置に保存された条件パラメータ、及びタグ情報に基づいて、オブジェクトデータを抽出する機能を有する。以下、図6A(a)のPDFデータを用いて補足する。図7A(a)の表示ウインドウ708で選択されたデータ(2)を図6のPDFデータ601とする。図7A(b)の表示ウインドウ708で表示される画像710は、条件設定されていないので、PDFデータ601がそのまま表示されたものである。データ(2’)は、前述したように設定された条件に従ってデータ(2)から抽出されたオブジェクトデータにより生成された画像である。条件式=((3月2日)OR(3月3日))AND((Aさん)OR(Bさん)OR(Cさん))の場合、タグ情報606〜608に基づいて、PDFデータ601に含まれるオブジェクトデータ603〜605のうち、オブジェクトデータ604と605とが抽出される。オブジェクトデータ603は、人物条件は当てはまるが、日付条件が当てはまらないため抽出されない。
【0031】
また、オブジェクトデータ処理部303は、抽出されたオブジェクトデータを合成し、ビットマップデータを生成する機能も有する。図6B(c)は、オブジェクトデータ604と605を合成した場合の模式図である。尚、合成後のオブジェクトデータは、ビットマップデータとする。
【0032】
更に、オブジェクトデータ処理部303は、スキャン画像にQRコードが含まれる場合、該QRコードから得られるアドレス情報(電子文書特定情報)とオブジェクトID情報とに基づき、該当する電子文書データからオブジェクトデータを抽出する機能も有する。
【0033】
また、オブジェクトデータ処理部303は、後述する差分抽出部304において抽出された差分からオブジェクトデータを生成する機能も有する。
【0034】
<パターン生成部、パターン検出・復号部>
パターン生成部305および、パターン検出・復号部306を説明する前に、本実施形態で使用する符号画像パターンであるQRコードの説明を行う。なお、本実施形態で使用する符号画像パターンは、QRコードに限るものではなく、他の符号化コード(他の2次元コード)であってもよい。好適には、検出用パターンを有する符号画像パターンが望ましい。なぜならば、検出用パターンとは、符号画像パターンの位置を検出するための切り出しシンボルであり、そのような検出用パターンを有する符号画像パターンは検出し易いからである。なお、QRコードの検出用パターンは図8(a)に示すパターンであり、図8(b)のQRコードの例では3箇所に検出用パターンが存在する。
【0035】
QRコードは、JIS0X0510で規定される符号画像パターンである。本実施形態では、電子文書データ(PDFデータ)を印刷する際にQRコードを付加することを前提とする。その符号化のフローについて説明する。
【0036】
図9は、QRコードシンボル(JIS0X0510にて規格化)に、複写制限情報等の付加情報を符号化する過程を示すフローチャートである。なお、このフローは、QRコードを原稿に付加して印刷する装置において行われてもよいし、ネットワークを介して接続されたコンピュータ上で行われてもよい。
【0037】
まず、ステップS900において、パターン生成部305は、符号化対象の付加情報を分析して、当該付加情報に含まれるデータ量を識別し、誤り検出及び誤り訂正レベルを選択して、当該付加情報を収容できる最小型番(QRコードのサイズ)を選択する。
【0038】
次に、ステップS901において、パターン生成部305は、付加情報を所定のビット列に変換し、必要に応じてデータのモード(数字、英数字、8ビットバイト、漢字等)を表す指示子や、終端パターンを付加して、データコード語に変換する。
【0039】
更に、ステップS902では、誤り訂正のコード語を追加するために、S901で生成されたデータコード語を型番および誤り訂正レベルに応じて所定のブロック数に分割し、剰余計算等を行って、各ブロックに対する誤り訂正コード語を生成する。
【0040】
次に、ステップS903において、パターン生成部305は、ステップS901で得られたデータコード語と、ステップ902で得た各ブロックの誤り訂正コード語とを並べて、コード語列のデータを構築する。
【0041】
次に、ステップS904において、パターン生成部305は、所定の配置ルールにしたがって、位置検出用パターン、その他の構成要素(分離パターン、タイミングパターンおよび位置合わせパターン等)とともにコード語列のデータをマトリクスに配置する。そして、各ビットのデータを各モジュールに割り振って配置する。
【0042】
更に、ステップS905において、パターン生成部305は、符号画像パターンの符号化領域に対して最適なマスクパターンを選択して、マスク処理パターンをステップS904で得られたモジュールにXOR演算により変換する。ここで、最適なマスクパターンについて説明する。符号画像パターンを構成する最小単位の白い領域のことを白セルと呼び、黒い領域のことを黒セルと呼ぶ。この白セルと黒セルの比率が1対1に近くなるようなマスク処理をすることができるマスクパターンが、最適なマスクパターンである。このように1対1の比率にする(白または黒のいずれかに偏らないようにする)ことにより、黒セルの形成に難があっても、白セルの形成の難があっても、同等の対応が可能となるパターンとすることが可能となる。
【0043】
最後に、ステップS906において、パターン生成部305は、誤り訂正レベルやマスクパターン参照子を記述する形式情報および型番情報を生成して、当該生成された情報をステップS905で得られたモジュールに付加して、符号画像パターンを完成する。
【0044】
このように符号化された結果として、QRコードは例えば、図8(b)のような外観の符合画像パターンとなる。本発明においては、電子文書のアドレス情報とオブジェクトデータのID情報とを符号化して生成されたQRコードパターンが、紙原稿上に付加されて印刷される。したがって、その紙原稿をMFPのスキャナ部201でスキャンすると、QRコードから各情報を得られることになる。なお、上記情報の他に、その原稿の出力プリンタ・時刻などの各種属性情報も符号化してQRコードに含めるようにしても構わない。
【0045】
次に、このようなQRコードを前提とし、パターン検出・復号部306について説明する。パターン検出・復号部306では、符号画像パターンに存在する検出用パターンを画像から検出し、符号画像パターン位置を確定する。検出は、高速化のため、通常2値化された画像に対して行うが、多値画像に対して、検出を行っても構わない。また、検出効率を向上するために、画像をダウンサンプリングして解像度が低くした画像に対して、検出を行っても構わない。更に、パターン検出・復号部306では、当該検出した符号画像パターン(QRコード)に対して復号処理を施し、情報データを取り出す。
【0046】
図10はQRコードを例として、符号画像パターンを復号する際の処理を説明する図である。
【0047】
まず、ステップS1001において、パターン検出・復号部306は、検出用パターンに隣接する位置にあるパターンから形式情報を復元し、符号画像パターンに適用された誤り訂正レベルおよびマスクパターンを得る。
【0048】
ステップS1002において、パターン検出・復号部306は、検出用パターンに隣接する位置にあるパターンから型番情報を復元し、符号画像パターンの型番を決定する。
【0049】
ステップS1003において、パターン検出・復号部306は、形式情報に基づいて特定されたマスクパターンを使って、符号化領域ビットパターンを排他的論理和(XOR)演算することで、マスクを解除する。
【0050】
ステップS1004において、パターン検出・復号部306は、型番に対応する配置規則に従い、S1003でマスクが解除された符号化領域ビットパターンを読み、データコード語と誤り訂正コード語とを復元する。
【0051】
ステップS1005において、パターン検出・復号部306は、誤り訂正コードに基づいてデータの誤りを検出し、誤りがなければ、ステップS1007に進み、誤りがあった場合にはステップS1006に進む。
【0052】
ステップS1006において、パターン検出・復号部306は、誤り訂正コードに基づいて検出した誤りを訂正する。
【0053】
ステップS1007において、パターン検出・復号部306は、モード指示子に基づき、データをセグメント分割して、データコード語から、符号化されていた情報を復元する。
【0054】
ステップS1008において、パターン検出・復号部306は、S1007で復元された情報を出力する。
【0055】
<印刷データ生成部>
印刷データ生成部307は、オブジェクトデータ処理部303によって抽出されたオブジェクトデータと、パターン生成部305によって生成されたQRコードを合成し、印刷データを生成する。図6A(b)の模式図で示されるように、印刷データ生成部307は、設定された条件にしたがって抽出されたオブジェクトデータ614、615と、生成されたQRコード613と、背景画像を示すデータとを合成し、印刷データ611を生成する。このようにして印刷データ生成部307は、印刷処理を実行する。尚、QRコード613は、上述したように、記憶部211に格納されているPDFデータ601の所在を示すアドレス情報と、該電子文書データから抽出されたオブジェクトデータ604、605の番号を示すオブジェクトID情報が符号化されている。
【0056】
<差分抽出部>
差分抽出部304は、スキャナ部201で読み取られたビットマップデータと、オブジェクトデータ処理部303によって合成されたデータ(印刷出力されたデータ)との差分を抽出する。すなわち、印刷後の原稿に対してユーザーにより新たに追記された部分を、差分として抽出する。尚、差分を抽出する際、入力されたビットマップデータ上のQRコードは、除くものとする。以下、図6を用いて補足する。図6B(c)は、オブジェクトデータ604と605を合成した場合の模式図である。図6B(c)のデータにQRコードが付与されて紙文書に印刷出力される。図6B(d)は、印刷出力された紙文書に対してユーザーが編集(追記)を行った後の状態を示す図である。図6B(d)に示す文字列616が、ユーザーによって記入されている。差分抽出部304は、図6B(c)のビットマップデータと、スキャナ部201で読み取られた図6B(d)のビットマップデータとの差分を抽出する。差分抽出方法の一例として、本実施形態では、各々の画像の2値化を行い画素単位で比較する。この時、図6B(d)のビットマップデータ上のQRコードは、除いて比較する。図6B(e)は、当該比較結果として得られる差分のビットマップデータである。図6B(e)に示す差分のビットマップデータから、オブジェクトデータ処理部303は、新たなオブジェクトデータ617を生成する。本実施形態では、オブジェクトデータをJPEG圧縮したデータに変換する。
【0057】
<タグ情報付加部>
タグ情報付加部302は、オブジェクトデータ処理部303によって新たに生成されたオブジェクトデータに対して、タグ情報を付加する。タグ情報としては、日付情報や人物情報があげられる。日付情報や人物情報は、新規作成あるいは編集を行った日時や人物を示す情報とする。タグ情報は、本実施形態では、差分抽出部304で差分が抽出された後に、操作部203上にタグ情報入力画面を表示し、タグ情報を入力するものとし、これらのタグ情報をオブジェクトデータに対して付加するものとする。その他の方法としては、パターン生成部305においてタグ情報をQRコードに埋め込んでおく方法があげられる。また、図6B(d)に示す紙文書をスキャナ部201で読み取る際に、操作部203でタグ情報として付加する情報を予め指定しておくようにしてもよい。オブジェクトデータ処理部303によって生成されたオブジェクトデータとタグ情報付加部302によって付加されたタグ情報の模式図を図6B(f)に示す。図6B(f)の例では、オブジェクトデータ617に対して、タグ情報618として、(日付:3月4日)(名前:Dさん)が付加され、関連付けられている。
【0058】
<フォーマット変換部>
フォーマット変換部301は、記憶部211に格納されている電子文書データに対して、オブジェクトデータ処理部303によって新たに生成されたオブジェクトデータと、タグ情報付加部302によって付加されたタグ情報とを追加格納する。本実施形態では、新たなオブジェクトデータとタグ情報とを新たなレイヤーに格納したPDFデータに変換する。PDFデータに変換された状態を図6B(g)に示す。また、図7B(f)は、3月2日〜3月4日の間の日付が付与されているオブジェクトを表示するように設定したときに、図6B(g)のPDFデータを操作部203の表示ウインドウ708に表示させたときの画面である。
【0059】
ここで、本発明におけるポイントを以下に述べる。最初に記憶部211に格納されているPDFデータは、図6A(a)の601である。該PDFデータに対してユーザーが条件設定を行った後にプリントしたプリント出力物は、図6A(b)の611のように、印刷出力されるオブジェクトが選別されることになる。該プリント出力物に対してユーザーが追記編集すると、図6B(d)のような状態の紙文書になっている。ユーザーが追記した後の紙文書をスキャンすると、QRコードに基づいてPDFデータのアドレスと印刷出力に用いたオブジェクトデータとを特定できるので、差分抽出して、追記されたオブジェクトデータ617を生成できる。そして、その追記された新たなオブジェクトデータを新たなレイヤーに追加格納して更新されたPDFデータは、図6B(g)の619のようになる。即ち、電子文書ファイリングされている文書に対して、ユーザーにより設定された任意の条件に基づいて選択されたオブジェクト情報をQRコードを付加してプリント出力することができる。そして、追記された後の文書をスキャンした際は、QRコードに基づいて印刷出力されたオブジェクトを特定できるので、新たに追記された部分を正確に抽出することができるようになる。そして追記部分から新たなオブジェクトデータを生成して、元の電子文書に対して、該オブジェクトデータとタグ情報とを追加格納することができる。このように、追記部分を精度よく抽出して、元の電子文書データに追加格納していくので、保存に必要なデータ容量が少なくて済み、効率的に更新することが可能となる。
【0060】
本実施形態におけるシステムの説明は以上である。
【0061】
図4は、本実施形態において記憶部211に格納されている電子文書データを、条件設定の指示に従ってプリントする際の処理の詳細を示すフローチャートである。フローチャートの各処理を実行する各処理部としてCPU205を機能させるためのプログラムは、図2のROM210または記憶部211(コンピュータ読取可能な記憶媒体)に格納される。CPU205は、イメージバスインターフェース212、システムバス216、画像バス217を用いて、データ処理部215とデータのやり取りをすることが可能である。
【0062】
まず、ステップS401において、操作部203のデータ選択ボタン704がユーザーにより押下されると、図7A(a)のように、記憶部211に格納されている電子文書データのリストが表示ウインドウ708に表示される。次に、当該表示されたリストの中からユーザーにより所望とするデータが選択されると、当該選択されたデータを反転表示する。
【0063】
次に、ステップS402において、ユーザーにより条件設定の指示が為された場合は、ステップS403へ進む。条件設定を行わない場合は、ステップS401で選択されたデータに含まれる全てのオブジェクトデータが表示され、ステップS405へ進む。
【0064】
ステップS403において、ユーザーにより日付ボタン706が押下されると、日付条件を選択するための日付リストまたはカレンダーを、表示ウインドウ708に表示する。そして、所望の日付がユーザーにより押下されると、選択された日付を反転表示する。また、ユーザーにより人物ボタン707が押下されると、人物条件を選択するための人物名のリストを表示ウインドウ708に表示する。そして、所望の人物の名前がユーザーにより押下されると、選択された名前を反転表示する。このようにして条件設定が終了し、決定ボタン705が押下されると、CPU205は、設定された条件パラメータをRAM206等の記憶装置に保存し、ステップS404に進む。なお、決定ボタン705が押されずに、不図示のキャンセルボタンが押下されると、ステップS402に戻るようにしてもよい。
【0065】
ステップS404において、操作部203は、ステップS403において設定された条件を満たすオブジェクトをタグ情報に基づいて抽出し、当該抽出したオブジェクトデータと背景データとで構成される画像を表示ウインドウ708に表示する。
【0066】
ステップS405において、プリントボタン709がユーザーにより押下されると、CPU205は、ステップS401で選択したデータをデータ処理部215へ入力し、ステップS406へ進む。
【0067】
ステップS406において、図3のオブジェクトデータ処理部303は、入力されたデータ(ステップS401で選択したデータ)から、ステップS403でRAM206等の記憶装置に保存された条件パラメータを満たすオブジェクトデータを抽出する。なお、ステップS402において条件設定が行われていない場合は、オブジェクトデータ処理部303は、全てのオブジェクトデータを抽出する。
【0068】
次に、ステップS407において、パターン生成部305は、ステップS406においてオブジェクトデータ処理部303によって抽出されたオブジェクトデータに基づいてQRコード(符号画像パターン)を生成する。QRコードには、ステップS401で選択した記憶部211に格納されているデータを特定するためのアドレス情報(電子文書特定情報)と、ステップS406において抽出されたオブジェクトデータの番号を示すオブジェクトID情報とが格納されている。
【0069】
次に、ステップS408において、印刷データ生成部307は、ステップS406において抽出されたオブジェクトデータおよび背景データと、ステップS407において生成されたQRコードを合成し、印刷データを生成する。
【0070】
次に、ステップS409において、プリント部202は、ステップS408において生成された印刷データをプリントし、終了する。
【0071】
本発明では、条件設定を行うことで、ユーザーが所望とするオブジェクトデータのみを印刷出力することができる。ユーザーは、この所望のデータが印刷された紙文書(印刷物)に対して、新たな書き込み等の編集を行うことがある。次に、このような書き込みが行われた髪文書をスキャンしたときの処理のフローチャートについて説明する。
【0072】
図5は、図4の処理に従ってプリントされた紙文書に対して追記編集が行われた紙文書をスキャンしたときの処理を示すフローチャートである。ここでは、スキャンした紙文書の画像と記憶部211に格納されている電子文書データとの差分を抽出し、該電子文書データを更新して記憶部211に格納する。図5のフローチャートの各処理を実行するための各処理部として、CPU205を機能させるためのプログラムは、ROM210または記憶部211(コンピュータ読取可能な記憶媒体)に格納されているものとする。
【0073】
まず、ステップS501において、スキャナ部201を介して紙文書をスキャンし、所定のスキャン画像処理を実行した後のビットマップデータを、データ処理部215へ入力する。尚、スキャン画像処理としては、下地除去処理、色変換処理、フィルタ処理などがあげられる。
【0074】
次に、ステップS502において、パターン検出・復号部306は、入力されたビットマップ画像からQRコード(符号画像パターン)の検出処理を行い、QRコードが有るか否かを判断する。QRコードが有る場合はステップS503へ進み、QRコードが無い場合は元の電子文書データが無い旨を示すエラーメッセージを出力して終了する。
【0075】
ステップS503において、パターン検出・復号部306はQRコードを復号し、符号化されていた情報を得る。本実施形態では、記憶部211に格納されている電子文書データの所在を示すアドレス情報と、印刷に用いられたオブジェクトデータの番号を示すオブジェクトID情報とを得る。次に、CPU205は、これらの情報をRAM206等の記憶装置に保存し、ステップS504に進む。
【0076】
ステップS504において、CPU205は、ステップS503において復号されたアドレス情報に基づいて、記憶部211に格納されている電子文書データを呼び出す。呼び出しが成功の場合は、該電子文書データをオブジェクトデータ処理部303へ入力し、ステップS505へ進む。記憶部211に電子文書データが無い場合等、呼び出しが不成功の場合、操作部203はエラーメッセージを出力し、終了する。
【0077】
ステップS505において、オブジェクトデータ処理部303は、ステップS504で呼び出した電子文書データから、ステップS503で保存されたオブジェクトID情報に対応するオブジェクトデータを抽出する。次に、オブジェクトデータ処理部303は、当該抽出されたオブジェクトデータと背景とを合成し、ビットマップデータを生成する。
【0078】
ステップS506において、差分抽出部304は、ステップS505で生成されたビットマップデータと、ステップS501で入力されたビットマップデータとの差分を抽出する。尚、差分を抽出する際、ステップS501で入力されたビットマップデータ上のQRコードの部分は、除くものとする。差分があった場合にはステップS507に進み、差分が無かった場合は差分が無いことを警告表示して処理を終了する。
【0079】
ステップS507において、オブジェクトデータ処理部303は、ステップS506で抽出された差分(差分画像)を、追記された新たなオブジェクトデータとして生成する。
【0080】
ステップS508において、タグ情報付加部302は、ステップS507で生成されたオブジェクトデータに対してタグ情報を付加する。
【0081】
ステップS509において、フォーマット変換部301は、ステップS507で生成されたオブジェクトデータと、ステップS508で付加されたタグ情報とを、ステップS504で呼び出された電子文書データの新たなレイヤーに追加格納する。
【0082】
次に、ステップS510において、ステップS509で新たなオブジェクトデータが追加された電子文書データを記憶部211に保存して終了する。
【0083】
以上、電子文書ファイリングされている電子文書に対して、ユーザーが条件設定することにより任意の情報を選択してプリント出力できるようになる。そして、当該任意の情報が印刷された出力物に対して追加編集を行った場合でも、元の電子文書の対応するオブジェクトと比較することにより容易に差分が抽出でき、当該差分のオブジェクトデータを元の電子文書に追加格納することが可能となる。
【0084】
なお、ステップS502でQRコードが無かった場合やステップS504で電子文書を呼び出せなかった場合はそのまま終了していたが、これに限るものではない。例えば、スキャンした画像データを新たな電子文書として保存するように構成してもよい。
【0085】
(実施形態2)
図4のステップS409において印刷データをプリントする際の印刷設定によっては、図5のステップS506において、差分を抽出することが難しくなる場合がある。例えば、印刷データをプリントする際に、プリンタドライバの印刷設定において用紙サイズを変更したり、拡大率を変更したりすると、差分を抽出することが難しくなる。
【0086】
図11に、印刷設定を変更を行った場合に得られる印刷データの例を示す。1101は、印刷データ611と同様の印刷データの例であり、印刷設定の変更は行われていないものとし、デフォルトの印刷設定は、用紙サイズ(A4横)、拡大率(100%)であるとする。1102は、用紙サイズの変更が行われた印刷データであり、印刷設定は、用紙サイズ(A3縦)、拡大率(100%)とする。1103は、拡大率の変更が行われた印刷データであり、印刷設定は、用紙サイズ(A4横)、拡大率(200%)とする。
【0087】
印刷データ1102や1103の例のように印刷設定の変更が行われた場合は、図5のステップS506において、元のデータ1101と比較を行ったときに、各オブジェクトの位置やサイズが合わないため、差分を抽出することが難しい。
【0088】
実施形態2では、印刷設定の変更が行われた場合でも、該プリント出力物のスキャン画像から抽出されるオブジェクトデータの位置やサイズの補正を行うことで、元の電子文書との差分を抽出し、該電子文書を効率的に更新する方法について説明する。実施形態2では、図3で示した各処理部に加えて、オブジェクトデータの位置やサイズの補正を行うための補正部が追加される。
【0089】
実施形態2において、記憶部211から選択された電子文書データのうち、ユーザーにより設定された条件を満たすオブジェクトデータを抽出してプリントする際の処理は、実施形態1の図4のフローチャートと同様である。ただし、ステップS407において、パターン生成部305は、アドレス情報とオブジェクトID情報に加えて、印刷設定情報を含むQRコードを生成する。ここで、印刷設定情報は、用紙サイズや拡大率と例としてあげるが、更に、色設定や解像度設定等の情報を含んでも構わない。
【0090】
図12は、実施形態2において、図4のフローチャートに従ってプリントされた紙文書に対してユーザーにより追記・編集が行われた後、当該紙文書をスキャンして元の電子文書データとの差分を抽出して、該電子文書データを更新する際の処理を示す。図12のフローチャートの各処理を実行するための各処理部として、CPU205を機能させるためのプログラムは、ROM210または記憶部211に格納されているものとする。
【0091】
尚、図12と図5のフローチャートの差異は、ステップS1201における入力データの補正が追加されている点であり、同様のステップに関しては、説明を省略する。
【0092】
ステップS501でスキャン入力されたビットマップデータにQRコードが含まれている場合、ステップS503では、アドレス情報とオブジェクトID情報と印刷設定情報とが得られることになる。
【0093】
ステップS1201では、補正部が、ステップS503で得られた印刷設定情報に基づいて、ステップS501でスキャン入力されたビットマップデータ(入力データ)に対して補正処理を行う。例えば、印刷設定情報が用紙サイズの変更や拡大率の変更の場合は、位置補正処理(比較時の原点位置の補正処理)や、変倍処理を行うものとする。また、本実施形態における変倍は、解像度変換を含むものとし、変倍の方法に関しては、リニア変倍やバイキュービック等、公知の技術を用いることとする。またこのとき、元の電子文書の用紙サイズを、スキャン入力されたデータに応じて変更するかどうかを、ユーザーが設定できるようにしてもよい。
【0094】
ステップS503で得た印刷設定情報に基づいて、ステップS1201で行う入力データの補正処理の例(1)〜(3)を示す。
【0095】
(1)印刷設定情報が用紙サイズ(A3縦)、拡大率(100%)で、且つ、元の電子文書の用紙サイズやオブジェクトデータの変更を行わない設定が為されている場合、画像切り抜きによる位置補正を行う。すなわち、図11の1102のような入力データに対して、1104の点線部分で示される領域の画像が切り出される。この切り出された部分が、元の電子文書のオブジェクトデータに基づいて印刷された部分に相当するので、元の電子文書のうちオブジェクトID情報に基づいてS505で選択されたオブジェクトデータと比較を行って、差分抽出を行う。すなわち、入力データから切り出された部分領域内に追記されていた個所が、ステップS507で新たなオブジェクトデータとして生成されて、タグ情報とともに元の電子文書に追加保存されることになる。
【0096】
(2)印刷設定情報が用紙サイズ(A3縦)、拡大率(100%)で、且つ、元の電子文書の用紙サイズの変更を許可する設定が為されている場合、比較時の原点位置補正を行う。すなわち、図11の1102のような入力データに対して、差分抽出時に1104の点線内部の領域に比較対象の元電子文書の位置が合わさるように原点補正を行う。そして、ステップS506で差分抽出を行うと、入力データ1104の点線内部と点線外部の両方から、追記されたオブジェクトが抽出されて、ステップS507では新たなオブジェクトデータが生成される。そして、ステップS509では、元の電子文書の用紙サイズ設定がA3縦に変更され、当該生成された新たなオブジェクトデータが新たなレイヤーに追加格納される。この例では、A3縦に変更して印刷した場合、余白領域が増えることになるが、この余白領域に対して追記された情報も、元の電子文書に追加格納されることになる。
【0097】
(3)印刷設定情報が用紙サイズ(A4横)、拡大率(200%)の場合は、ステップS1201では入力データの変倍(50%)を行う。すなわち、図11の1103のような原稿画像がスキャン入力された場合、変倍(50%)処理を行うことにより、図11の1105のように補正される。尚、変倍(50%)によってQRコード部分も縮小されてしまうが、前述したようにステップS506における差分抽出の処理対象からQRコード部分は除くので影響はない。そして、この補正された画像を用いて差分抽出を行い、新たなオブジェクトデータを生成し、当該生成されたオブジェクトデータをタグ情報とともに元の電子文書に追加格納することになる。
【0098】
(4)印刷設定情報が用紙サイズ(A4横)、拡大率(50%)の場合は、ステップS1201では入力データの変倍(200%)を行い、比較時の原点位置補正を行う。200%に拡大されるので、入力データはA3横に相当する大きさになり、元の電子文書に対応する部分領域との比較が行われて差分抽出処理が為される。元の電子文書の用紙サイズの変更を許可する設定が為されている場合、ステップS509では、元の電子文書の用紙サイズ設定がA3横に変更され、当該生成された新たなオブジェクトデータが新たなレイヤーに追加格納される。
【0099】
(5)印刷設定情報が用紙サイズ(A4横)、拡大率(100%)の場合は、ステップS1201で入力データの補正は行われないので、実施形態1と同様の処理が行われることになる。
【0100】
以上、説明したように、印刷設定の変更が行われて印刷されたプリント出力物に対しても、スキャン入力で得たデータの位置やサイズの補正を行うことで、元の電子文書との差分を抽出できるようになり、該電子文書を効率的に更新することが可能となる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイリングされた電子文書に対して処理を実行する画像処理装置、画像処理方法、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の複写機は、内部画像処理のデジタル化によって、目覚しいスピードで多機能化が進んでいる。例えば、基本的な機能として、原稿を複写するコピー機能、ホストコンピュータで作成した文書のプリントが可能なPDL印刷機能(PDLで記述されたデータの印刷機能)、スキャン機能、ネットワークを介してスキャン画像を送信する送信機能などを有する。その他にも、コピー機能やPDL機能やスキャン機能によって生成される画像データを複写機内の保存部(ボックス)に保存しておき、後で印刷などに再利用できるようにするボックス機能や、原稿画像の編集機能など、多くの機能を有している。
【0003】
また、スキャン画像を複写機内の保存部に保存したり、ネットワークを介して送信したスキャン画像をサーバに保存させたりすることで、スキャンした文書の画像をファイリングする電子文書ファイリング技術が注目されている。電子文書ファイリングは、文書画像を保存する際にデータベース化して保存することにより、保存している電子文書の検索が容易に行えるようになり、再利用しやすくなる。一方、電子文書ファイリングの重要な課題として、文書の保存に必要なメモリ量の削減を挙げることができる。その課題を解決するために、特許文献1では、入力されたスキャン画像データを、既にファイリングされている元文書と比較して追加情報(追記部分)を抽出し、その追加情報をファイリングされていた文書に階層構造にして保存する技術が開示されている。また、特許文献1では、入力された画像データの比較対象になる元文書をユーザーの指定に基づいて特定する例と、電子文書を印刷する際にバーコード等の選別符号を付与しておき、スキャンした際に当該選別符号を識別して元文書を特定する例とが記載されている。また、特許文献1では、追記が為された後の文書Bに対して、更に追記がなされた場合、当該追記部分を抽出することが記載されている。すなわち、特許文献1では、同じ紙文書に対して追記が為されるたびに追記部分を抽出することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−317155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、ファイリングされている電子文書内のオブジェクトのうち、ユーザーにより設定された条件を満たすオブジェクトのみを選択して新たにプリント出力する場合については考慮されていなかった。本発明では、条件にしたがって選択されたオブジェクトが新たにプリント出力され、当該新たなプリント出力物に追記された場合でも、追記部分を容易に抽出して、元の電子文書に追加格納できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の画像処理装置は、タグ情報が関連付けられたオブジェクトデータを含む電子文書を記憶する記憶手段と、ユーザーにより指定された条件を満たすタグ情報が関連付けられているオブジェクトデータを、前記電子文書から抽出するオブジェクトデータ処理手段と、前記オブジェクトデータ処理手段で抽出されたオブジェクトデータを識別するためのオブジェクトID情報と前記電子文書を特定するための電子文書特定情報とを含む符号画像パターンを生成するパターン生成手段と、前記オブジェクトデータ処理手段で抽出されたオブジェクトデータと、前記パターン生成手段で生成された符号画像パターンとを含む印刷データの印刷処理を実行する印刷手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
前記画像処理装置は、更に、前記印刷手段の印刷処理により印刷された印刷物をスキャンして得た画像を入力する入力手段と、前記入力手段で入力された画像から前記符号画像パターンの検出を行い、当該検出された符号画像パターンから前記オブジェクトID情報と前記電子文書特定情報とを復号する復号手段と、前記入力手段で入力された画像に含まれるオブジェクトデータと、前記復号されたオブジェクトID情報と電子文書特定情報とに基づいて前記記憶手段から抽出したオブジェクトデータとを比較することにより、差分を抽出する差分抽出手段と、前記差分抽出手段で抽出された差分を新たなオブジェクトデータとして、当該新たなオブジェクトデータにタグ情報を付加するタグ情報付加手段と、前記タグ情報付加手段で前記タグ情報が付加された新たなオブジェクトデータを、前記電子文書特定情報により特定される電子文書に追加格納する変換手段とを備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
ファイリングされている電子文書に含まれる複数のオブジェクトのうち、任意の条件にしたがってオブジェクトを選択して、新たなプリント出力を行えるようになる。そして、該プリント出力物に対して追加編集を行った場合でも、差分を抽出することが容易に行え、当該差分のオブジェクトデータを元の電子文書に追加格納することができる。
【0009】
また、印刷対象のオブジェクトを選択し、更に、用紙サイズ等の印刷設定を変更して新たなプリント出力を行った場合であっても、差分を抽出して、差分のオブジェクトデータを元の電子文書に追加格納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明におけるPDFデータの内部構造を示す図
【図2】本発明におけるMFPを示すブロック図
【図3】図2におけるデータ処理部215の構成例を示すブロック図
【図4】電子文書データをプリントする際の処理を説明するためのフローチャート
【図5】電子文書データを更新する際の処理を説明するためのフローチャート
【図6A】本発明におけるPDFデータの説明図
【図6B】本発明におけるPDFデータの説明図
【図7A】操作部203に表示されるユーザーインタフェース画面の説明図
【図7B】操作部203に表示されるユーザーインタフェース画面の説明図
【図8】本発明におけるQRコードの説明図
【図9】本発明におけるパターン生成部305のフローチャート
【図10】本発明におけるパターン検出・復号部306のフローチャート
【図11】本発明の実施形態2における印刷設定情報を説明するための図
【図12】本発明の実施形態2における電子文書データを更新する際の処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1について図面を用いて説明する。
【0012】
<画像処理装置の詳細構成>
図2は本実施形態において、画像処理装置として用いる複合機(MFP)の詳細構成を示す図である。MFPは、画像入力デバイスであるスキャナ部201と、画像出力デバイスであるプリンタ部202、タッチパネルなどのユーザーインタフェースである操作部203、CPUやメモリ等で構成される制御ユニット204などを有する。制御ユニット204は、画像情報やデバイス情報の入出力を行うコントローラであり、スキャナ部201、プリンタ部202、操作部203と接続されている。更に、制御ユニット204はLAN209を介して外部装置と通信することもできる。
【0013】
CPU205はシステム全体を制御する情報処理部(コンピュータ)である。RAM206は、CPU205が動作する際にシステムワークメモリとして利用され、更に、画像データを一時記憶するための画像メモリでもある。ROM210は、ブートROMであり、システムのブートプログラム等のプログラムが格納されている。記憶部211はハードディスクドライブで、システム制御ソフトウェア、画像データや電子文書などを格納する。操作部I/F207は操作部(UI)203とのインターフェース部で、操作部203に表示するための画像データを操作部203に対して出力する。また、操作部I/F207は本画像処理装置の使用者によって操作部203を介して指示された内容に関する情報を、CPU205に伝える役割をする。ネットワークIF208は本画像処理装置をLAN209に接続し、パケット形式の情報の入出力を行うためのインターフェースである。以上のデバイスがシステムバス216上に配置される。
【0014】
イメージバスインターフェース212はシステムバス216と画像データを高速で転送する画像バス217とを接続し、データ構造を変換するバスブリッジである。画像バス217は、例えば、PCIバスやIEEE1394で構成される。画像バス222上には、以下のデバイス(RIP213、デバイスI/F214、データ処理部215)が配置される。ラスターイメージプロセッサ(RIP)213はPDL(ページ記述言語)コードを解析し、指定された解像度のビットマップイメージに展開する、いわゆるレンダリング処理を実現する。このビットマップイメージに展開する際には、各画素単位あるいは領域単位で属性情報が付加されることになる。これを像域判定処理と呼ぶ。像域判定処理により、画素毎あるいは領域毎に、文字(テキスト)や線(ライン)、グラフィクス、イメージなどといったオブジェクト種類を示す属性情報が付与される。例えば、PDLコード内に含まれるPDL記述のオブジェクトの種類に応じて、RIP213から像域信号が出力され、その信号値で示される属性に応じた属性情報が、オブジェクトに対応する画素や領域に関連づけて保存される。したがって画像データには、関連づけられた属性情報が付属している。デバイスI/F部214は、信号線218を介して画像入力デバイスであるスキャナ部201、信号線219を介して画像出力デバイスであるプリンタ部202、をそれぞれ制御ユニット204に接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。
【0015】
<データ処理部>
次に、図3を用いて図2のデータ処理部215で実行する処理の詳細について説明を行う。データ処理部215は、フォーマット変換部301、タグ情報付加部302、オブジェクト情報処理部303、差分抽出部304、パターン生成部305、パターン検出・復号部306、印刷データ生成部307、から構成される。なお、本実施形態では、コンピュータ読取可能な記憶媒体に格納されたコンピュータプログラムをコンピュータが実行することによって、データ処理部215の各処理部(図3の各処理部)を実現するものとするが、これに限るものではない。例えば、データ処理部215(図3の各処理部)の一部または全部を、電子回路等のハードウェアで実現するように構成してもよい。
【0016】
データ処理部215は、入力データ300が入力されると、各処理部301〜307で処理を行い、出力データ310を出力する。入力データ300は、スキャナ部201で原稿を読み取ることにより得られるビットマップデータ(画像データ)、または記憶部211に格納されているビットマップデータや電子文書データである。ここで、電子文書データとは、例えば、PDF、XPS、OfficeOpenXML等のフォーマットの電子文書である。出力データ310は、ビットマップデータ、または電子文書データであり、記憶部211に格納したり、プリンタ部202で印刷出力したり、LAN209によってネットワーク接続された不図示の外部装置に送信、等の処理が行われる。尚、本実施形態では、電子文書データとしてPDF(以下、PDFデータ)を用いた説明を行うものとする。
【0017】
<PDFデータ>
次に、図6Aを用いてPDFデータの詳細について説明を行う。図6Aの(a)は、記憶部211に格納されるPDFデータを説明するための概念図である。PDFデータを描画再生可能なソフトウェアの実例としては、Adobe Reader(商標)が挙げられる。なお、本実施形態では、PDFデータを後述する操作部203においても表示可能とする。
【0018】
図6A(a)の601は、記憶部211に格納されるPDFデータの一例を示しており、602〜605は、PDFデータ601内部の階層構造(レイヤー構造)を模式的に示す図である。なお、602〜605は、各々JPEGデータであって、JPEGデータ602は背景画像を示すデータ、JPEGデータ603〜605は背景の上に描画される文字列データであるものとする。本実施形態では、JPEGデータ602は、例として全て白画素で構成されるデータ、JPEGデータ603、604、605は、各々「あいうえお」「かきくけこ」「さしすせそ」のビットマップ画像の文字列情報で構成されるデータとして説明を行う。なお、PDFデータが内部に格納可能なデータであれば、JPEGデータ以外のデータでもよく、例えば、MMRデータやZIPデータ等であってもよい。また、JPEGデータを構成している情報は、文字列情報に限ることはなく、写真や線画、イラスト等でも構わない。
【0019】
また、PDFデータを階層構造で表現する場合には、各々の階層をレイヤーと呼ぶ。即ち、JPEGデータ602〜605は、JPEGデータであるとともに各々PDFデータ601を構成するレイヤーでもある。PDFデータをレイヤーで表現する場合、図6の609に示す矢印の方向から画像を見る(すなわち、JPEGデータ602〜605を順番に重ねて描画する)と、PDFデータを表示させた時に601に示すように見える。各レイヤーにおいてオブジェクト(JPEGデータ603〜605)以外の部分610は透明であるため、609に示す矢印の方向から画像を見ると、JPEGデータ603〜605の周囲に相当する部分は、背景のJPEGデータ602が見えることになる。なお、JPEGデータ603と604の上に605が位置的に重なっていた場合は、609に示す矢印の方向から画像を見るとJPEGデータ605の下のレイヤーにあるJPEGデータ603、604の重なっている部分は見えないことになる。図6の例においては、JPEGデータ603〜605が位置的に重なっておらず、609に示す矢印の方向から画像を見た場合は601に示すように見えるものとする。
【0020】
尚、本実施形態では、説明の便宜上、JPEGデータ603〜605のレイヤーを全てオブジェクトデータと呼ぶ。
【0021】
図6Aの(a)において、オブジェクトデータ603〜605それぞれに対して、タグ情報606〜608が付与されている。例えば、オブジェクトデータ603には、「日付:3月1日、名前:Aさん」のタグ情報606が付与されている。タグ情報606〜608は、後述する操作部203における条件設定にもとづいて用いられる。
【0022】
<PDFデータの構造>
次に、PDFデータの内部構造について図1を用いて説明する。図6Aの(a)で示されるPDFデータの模式図は、図1に示される内部データ構造を有している。図6A(a)のオブジェクトデータ602〜605は、各々図1のオブジェクトデータ101〜104に対応しているものとする。例えば、図6A(a)のオブジェクトデータ603は、図1のオブジェクトデータ102に対応している。また、図6A(a)の背景を示すオブジェクトデータ602は、図1のオブジェクトデータ101に対応している。なお、オブジェクトデータ101〜104は、それぞれPDFデータを構成するためのPS(PostScript)言語で記述されているものとする。
【0023】
また、図1のオブジェクトデータ102(図6A(a)の603に相当)は、オブジェクトID情報としてオブジェクトIDが2であるJPEGデータであることを示す。また、オブジェクトデータ102は、タグ情報として、「(日付:3月1日)、(名前:Aさん)」が関連付けられている。即ち、オブジェクトデータを検索する際に、例えば、「3月1日」というタグ情報で検索すると、オブジェクトデータ102が抽出される。また、「座標(X2、Y2)に描画」は、JPEGデータを(X2、Y2)を始点にして描画するという命令である。
【0024】
<操作部>
次に、図7A〜図7Bに記載のユーザーインタフェース画面(a)〜(f)を用いて、操作部203の詳細について説明を行う。尚、本実施形態においては、MFPに接続されている操作部203について説明を行うが、これに限るものではなく、例えば、LAN209によってネットワーク接続された同様の機能を有するホストコンピュータの操作部でも実現可能である。
【0025】
図7Aの画面(a)は、MFPにおける操作部203に表示される画面の例である。701は、コピー機能を動作させるためのボタンである。該ボタン701が選択されると、スキャナ部201で読み取られた原稿の画像をプリンタ部202で印刷出力するための設定画面に切り替わり、コピー機能を利用できるようになる。702は、送信機能(センド機能)を動作させるためのボタンである。該ボタン702が選択されると、スキャナ部で読み取った原稿の画像を、ビットマップデータや電子文書データとして、記憶部211に格納したり、ネットワークを介して外部装置に送信したりするための設定画面に切り替わり、送信機能が利用できるようになる。703は、ボックス機能を動作させるためのボタンである。該ボタン703が選択されると、記憶部211に格納されているビットマップデータや電子文書データを呼び出して、プリンタ部で印刷出力したり、ネットワークを介して外部装置へ送信したりするための画面に切り替わり、ボックス機能が利用できるようになる。
【0026】
図7Aの画面(a)はボックス機能のボタン703が選択されたときの画面である。本実施形態のボックス機能は、記憶部211に格納されている電子文書データを選択した後、更に、条件設定の指示を行うことが可能である。なお、データ選択と条件設定の詳細については後述する。ボックスボタン703が選択されると、図7Aの画面(a)のように、データ選択ボタン704、決定ボタン705、日付ボタン706、人物ボタン707、表示ウインドウ708、プリントボタン709が表示される。そして、データ選択ボタン704が押下されると、記憶部211に格納されている電子文書データのリストが表示ウインドウ708に表示され、更に、リストの中から所望とするデータがユーザーにより押下されると、選択されたデータが反転表示される。図7(a)の表示ウインドウ708では、例として、データ(1)〜データ(5)の5つのデータが表示され、データ(2)が選択されている状態を示している。
【0027】
決定ボタン705が押下されると、表示ウインドウ708に、当該リスト上で選択されているデータの画像(またはサムネイル画像)が表示される。図7Aの画面(b)の表示ウインドウには、例として選択されたデータ(2)の画像710が表示されている状態を示している。なお、データ(2)は図1(図6A(a))のようなデータ構造を有するものとする。ここで、プリントボタン709を押下すると、記憶部211に格納されているデータ(2)の画像710が印刷出力される。このとき、データ(2)の所在を示すアドレス情報(電子文書を特定するための電子文書特定情報)と当該印刷出力されたオブジェクトデータのIDを示すID情報とが、符号画像パターン(QRコード)としてデータ(2)の画像に埋め込まれて印刷出力される。なお、符号画像パターンについては後述する。
【0028】
本実施形態では、選択されたデータ(2)の画像710が表示されている状態で、印刷出力指示する前に、ユーザーの指示により、タグ情報に基づく条件設定を行うことが可能である。本実施形態において、条件設定は、日付条件と人物条件とを設定可能である。例えば、日付ボタン706が押下されると、日付条件を選択するための日付リスト、またはカレンダーが表示ウインドウ708に表示される。そして、ユーザー所望の日付が押下されると、押下された日付が反転表示され、選択状態になる。図7Aの画面(c)の表示ウインドウ708には、例として3月1日〜3月5日の5つの日付が表示されており、3月2日と3月3日が選択された状態を示している。同様に人物ボタン707が押下されると、人物条件を選択するための人物名のリストが表示ウインドウ708に表示される。そして、ユーザー所望の人物の名前が押下されると、当該押下された名前が反転表示され、選択状態になる。図7Bの画面(d)の表示ウインドウ708には、例としてAさん〜Eさんの5つの名前が表示されており、AさんとBさんとCさんが選択された状態を示している。以上の条件設定が終了し、決定ボタン705が押下されると、設定された条件がデータ(2)の画像710に適用される。即ち、画像710の中で、背景画像のデータと、次の条件式に当てはまるタグ情報に関連付けられている部分のオブジェクトデータとが表示される。
条件式=((3月2日)OR(3月3日))AND((Aさん)OR(Bさん)OR(Cさん))
該条件式は、条件パラメータとしてRAM206等の記憶装置に保存される。また、例えば、日付条件として、3月1日だけが選択され、人物条件としてBさんだけが選択されている場合、条件式=(3月1日)AND(Bさん)となる。尚、条件設定については、日付条件、人物条件に限るものではなく、文字、写真、線画、イラスト等の属性条件など他の条件でも可能である。
【0029】
次に、図7Bの画面(e)の表示ウインドウ708には、前述の条件式(((3月2日)OR(3月3日))AND((Aさん)OR(Bさん)OR(Cさん)))に当てはまる部分が表示された状態を示している。表示されている画像は、データ(2)から抽出されたオブジェクトにより生成された画像であるため、ここではデータ(2’)と呼ぶことにする。ここで、プリントボタン709を押下すると、記憶部211に格納されているデータ(2)から抽出されたデータ(2’)が印刷出力される。この時、記憶部211におけるデータ(2)の所在を示すアドレス情報と、データ(2’)として印刷出力されたオブジェクトデータのIDを示すID情報とが、符号画像パターンであるQRコードとしてデータ(2’)の画像に埋め込まれて印刷出力される。
【0030】
<オブジェクトデータ処理部>
オブジェクトデータ処理部303は、記憶部211に格納されている電子文書データから、RAM206等の記憶装置に保存された条件パラメータ、及びタグ情報に基づいて、オブジェクトデータを抽出する機能を有する。以下、図6A(a)のPDFデータを用いて補足する。図7A(a)の表示ウインドウ708で選択されたデータ(2)を図6のPDFデータ601とする。図7A(b)の表示ウインドウ708で表示される画像710は、条件設定されていないので、PDFデータ601がそのまま表示されたものである。データ(2’)は、前述したように設定された条件に従ってデータ(2)から抽出されたオブジェクトデータにより生成された画像である。条件式=((3月2日)OR(3月3日))AND((Aさん)OR(Bさん)OR(Cさん))の場合、タグ情報606〜608に基づいて、PDFデータ601に含まれるオブジェクトデータ603〜605のうち、オブジェクトデータ604と605とが抽出される。オブジェクトデータ603は、人物条件は当てはまるが、日付条件が当てはまらないため抽出されない。
【0031】
また、オブジェクトデータ処理部303は、抽出されたオブジェクトデータを合成し、ビットマップデータを生成する機能も有する。図6B(c)は、オブジェクトデータ604と605を合成した場合の模式図である。尚、合成後のオブジェクトデータは、ビットマップデータとする。
【0032】
更に、オブジェクトデータ処理部303は、スキャン画像にQRコードが含まれる場合、該QRコードから得られるアドレス情報(電子文書特定情報)とオブジェクトID情報とに基づき、該当する電子文書データからオブジェクトデータを抽出する機能も有する。
【0033】
また、オブジェクトデータ処理部303は、後述する差分抽出部304において抽出された差分からオブジェクトデータを生成する機能も有する。
【0034】
<パターン生成部、パターン検出・復号部>
パターン生成部305および、パターン検出・復号部306を説明する前に、本実施形態で使用する符号画像パターンであるQRコードの説明を行う。なお、本実施形態で使用する符号画像パターンは、QRコードに限るものではなく、他の符号化コード(他の2次元コード)であってもよい。好適には、検出用パターンを有する符号画像パターンが望ましい。なぜならば、検出用パターンとは、符号画像パターンの位置を検出するための切り出しシンボルであり、そのような検出用パターンを有する符号画像パターンは検出し易いからである。なお、QRコードの検出用パターンは図8(a)に示すパターンであり、図8(b)のQRコードの例では3箇所に検出用パターンが存在する。
【0035】
QRコードは、JIS0X0510で規定される符号画像パターンである。本実施形態では、電子文書データ(PDFデータ)を印刷する際にQRコードを付加することを前提とする。その符号化のフローについて説明する。
【0036】
図9は、QRコードシンボル(JIS0X0510にて規格化)に、複写制限情報等の付加情報を符号化する過程を示すフローチャートである。なお、このフローは、QRコードを原稿に付加して印刷する装置において行われてもよいし、ネットワークを介して接続されたコンピュータ上で行われてもよい。
【0037】
まず、ステップS900において、パターン生成部305は、符号化対象の付加情報を分析して、当該付加情報に含まれるデータ量を識別し、誤り検出及び誤り訂正レベルを選択して、当該付加情報を収容できる最小型番(QRコードのサイズ)を選択する。
【0038】
次に、ステップS901において、パターン生成部305は、付加情報を所定のビット列に変換し、必要に応じてデータのモード(数字、英数字、8ビットバイト、漢字等)を表す指示子や、終端パターンを付加して、データコード語に変換する。
【0039】
更に、ステップS902では、誤り訂正のコード語を追加するために、S901で生成されたデータコード語を型番および誤り訂正レベルに応じて所定のブロック数に分割し、剰余計算等を行って、各ブロックに対する誤り訂正コード語を生成する。
【0040】
次に、ステップS903において、パターン生成部305は、ステップS901で得られたデータコード語と、ステップ902で得た各ブロックの誤り訂正コード語とを並べて、コード語列のデータを構築する。
【0041】
次に、ステップS904において、パターン生成部305は、所定の配置ルールにしたがって、位置検出用パターン、その他の構成要素(分離パターン、タイミングパターンおよび位置合わせパターン等)とともにコード語列のデータをマトリクスに配置する。そして、各ビットのデータを各モジュールに割り振って配置する。
【0042】
更に、ステップS905において、パターン生成部305は、符号画像パターンの符号化領域に対して最適なマスクパターンを選択して、マスク処理パターンをステップS904で得られたモジュールにXOR演算により変換する。ここで、最適なマスクパターンについて説明する。符号画像パターンを構成する最小単位の白い領域のことを白セルと呼び、黒い領域のことを黒セルと呼ぶ。この白セルと黒セルの比率が1対1に近くなるようなマスク処理をすることができるマスクパターンが、最適なマスクパターンである。このように1対1の比率にする(白または黒のいずれかに偏らないようにする)ことにより、黒セルの形成に難があっても、白セルの形成の難があっても、同等の対応が可能となるパターンとすることが可能となる。
【0043】
最後に、ステップS906において、パターン生成部305は、誤り訂正レベルやマスクパターン参照子を記述する形式情報および型番情報を生成して、当該生成された情報をステップS905で得られたモジュールに付加して、符号画像パターンを完成する。
【0044】
このように符号化された結果として、QRコードは例えば、図8(b)のような外観の符合画像パターンとなる。本発明においては、電子文書のアドレス情報とオブジェクトデータのID情報とを符号化して生成されたQRコードパターンが、紙原稿上に付加されて印刷される。したがって、その紙原稿をMFPのスキャナ部201でスキャンすると、QRコードから各情報を得られることになる。なお、上記情報の他に、その原稿の出力プリンタ・時刻などの各種属性情報も符号化してQRコードに含めるようにしても構わない。
【0045】
次に、このようなQRコードを前提とし、パターン検出・復号部306について説明する。パターン検出・復号部306では、符号画像パターンに存在する検出用パターンを画像から検出し、符号画像パターン位置を確定する。検出は、高速化のため、通常2値化された画像に対して行うが、多値画像に対して、検出を行っても構わない。また、検出効率を向上するために、画像をダウンサンプリングして解像度が低くした画像に対して、検出を行っても構わない。更に、パターン検出・復号部306では、当該検出した符号画像パターン(QRコード)に対して復号処理を施し、情報データを取り出す。
【0046】
図10はQRコードを例として、符号画像パターンを復号する際の処理を説明する図である。
【0047】
まず、ステップS1001において、パターン検出・復号部306は、検出用パターンに隣接する位置にあるパターンから形式情報を復元し、符号画像パターンに適用された誤り訂正レベルおよびマスクパターンを得る。
【0048】
ステップS1002において、パターン検出・復号部306は、検出用パターンに隣接する位置にあるパターンから型番情報を復元し、符号画像パターンの型番を決定する。
【0049】
ステップS1003において、パターン検出・復号部306は、形式情報に基づいて特定されたマスクパターンを使って、符号化領域ビットパターンを排他的論理和(XOR)演算することで、マスクを解除する。
【0050】
ステップS1004において、パターン検出・復号部306は、型番に対応する配置規則に従い、S1003でマスクが解除された符号化領域ビットパターンを読み、データコード語と誤り訂正コード語とを復元する。
【0051】
ステップS1005において、パターン検出・復号部306は、誤り訂正コードに基づいてデータの誤りを検出し、誤りがなければ、ステップS1007に進み、誤りがあった場合にはステップS1006に進む。
【0052】
ステップS1006において、パターン検出・復号部306は、誤り訂正コードに基づいて検出した誤りを訂正する。
【0053】
ステップS1007において、パターン検出・復号部306は、モード指示子に基づき、データをセグメント分割して、データコード語から、符号化されていた情報を復元する。
【0054】
ステップS1008において、パターン検出・復号部306は、S1007で復元された情報を出力する。
【0055】
<印刷データ生成部>
印刷データ生成部307は、オブジェクトデータ処理部303によって抽出されたオブジェクトデータと、パターン生成部305によって生成されたQRコードを合成し、印刷データを生成する。図6A(b)の模式図で示されるように、印刷データ生成部307は、設定された条件にしたがって抽出されたオブジェクトデータ614、615と、生成されたQRコード613と、背景画像を示すデータとを合成し、印刷データ611を生成する。このようにして印刷データ生成部307は、印刷処理を実行する。尚、QRコード613は、上述したように、記憶部211に格納されているPDFデータ601の所在を示すアドレス情報と、該電子文書データから抽出されたオブジェクトデータ604、605の番号を示すオブジェクトID情報が符号化されている。
【0056】
<差分抽出部>
差分抽出部304は、スキャナ部201で読み取られたビットマップデータと、オブジェクトデータ処理部303によって合成されたデータ(印刷出力されたデータ)との差分を抽出する。すなわち、印刷後の原稿に対してユーザーにより新たに追記された部分を、差分として抽出する。尚、差分を抽出する際、入力されたビットマップデータ上のQRコードは、除くものとする。以下、図6を用いて補足する。図6B(c)は、オブジェクトデータ604と605を合成した場合の模式図である。図6B(c)のデータにQRコードが付与されて紙文書に印刷出力される。図6B(d)は、印刷出力された紙文書に対してユーザーが編集(追記)を行った後の状態を示す図である。図6B(d)に示す文字列616が、ユーザーによって記入されている。差分抽出部304は、図6B(c)のビットマップデータと、スキャナ部201で読み取られた図6B(d)のビットマップデータとの差分を抽出する。差分抽出方法の一例として、本実施形態では、各々の画像の2値化を行い画素単位で比較する。この時、図6B(d)のビットマップデータ上のQRコードは、除いて比較する。図6B(e)は、当該比較結果として得られる差分のビットマップデータである。図6B(e)に示す差分のビットマップデータから、オブジェクトデータ処理部303は、新たなオブジェクトデータ617を生成する。本実施形態では、オブジェクトデータをJPEG圧縮したデータに変換する。
【0057】
<タグ情報付加部>
タグ情報付加部302は、オブジェクトデータ処理部303によって新たに生成されたオブジェクトデータに対して、タグ情報を付加する。タグ情報としては、日付情報や人物情報があげられる。日付情報や人物情報は、新規作成あるいは編集を行った日時や人物を示す情報とする。タグ情報は、本実施形態では、差分抽出部304で差分が抽出された後に、操作部203上にタグ情報入力画面を表示し、タグ情報を入力するものとし、これらのタグ情報をオブジェクトデータに対して付加するものとする。その他の方法としては、パターン生成部305においてタグ情報をQRコードに埋め込んでおく方法があげられる。また、図6B(d)に示す紙文書をスキャナ部201で読み取る際に、操作部203でタグ情報として付加する情報を予め指定しておくようにしてもよい。オブジェクトデータ処理部303によって生成されたオブジェクトデータとタグ情報付加部302によって付加されたタグ情報の模式図を図6B(f)に示す。図6B(f)の例では、オブジェクトデータ617に対して、タグ情報618として、(日付:3月4日)(名前:Dさん)が付加され、関連付けられている。
【0058】
<フォーマット変換部>
フォーマット変換部301は、記憶部211に格納されている電子文書データに対して、オブジェクトデータ処理部303によって新たに生成されたオブジェクトデータと、タグ情報付加部302によって付加されたタグ情報とを追加格納する。本実施形態では、新たなオブジェクトデータとタグ情報とを新たなレイヤーに格納したPDFデータに変換する。PDFデータに変換された状態を図6B(g)に示す。また、図7B(f)は、3月2日〜3月4日の間の日付が付与されているオブジェクトを表示するように設定したときに、図6B(g)のPDFデータを操作部203の表示ウインドウ708に表示させたときの画面である。
【0059】
ここで、本発明におけるポイントを以下に述べる。最初に記憶部211に格納されているPDFデータは、図6A(a)の601である。該PDFデータに対してユーザーが条件設定を行った後にプリントしたプリント出力物は、図6A(b)の611のように、印刷出力されるオブジェクトが選別されることになる。該プリント出力物に対してユーザーが追記編集すると、図6B(d)のような状態の紙文書になっている。ユーザーが追記した後の紙文書をスキャンすると、QRコードに基づいてPDFデータのアドレスと印刷出力に用いたオブジェクトデータとを特定できるので、差分抽出して、追記されたオブジェクトデータ617を生成できる。そして、その追記された新たなオブジェクトデータを新たなレイヤーに追加格納して更新されたPDFデータは、図6B(g)の619のようになる。即ち、電子文書ファイリングされている文書に対して、ユーザーにより設定された任意の条件に基づいて選択されたオブジェクト情報をQRコードを付加してプリント出力することができる。そして、追記された後の文書をスキャンした際は、QRコードに基づいて印刷出力されたオブジェクトを特定できるので、新たに追記された部分を正確に抽出することができるようになる。そして追記部分から新たなオブジェクトデータを生成して、元の電子文書に対して、該オブジェクトデータとタグ情報とを追加格納することができる。このように、追記部分を精度よく抽出して、元の電子文書データに追加格納していくので、保存に必要なデータ容量が少なくて済み、効率的に更新することが可能となる。
【0060】
本実施形態におけるシステムの説明は以上である。
【0061】
図4は、本実施形態において記憶部211に格納されている電子文書データを、条件設定の指示に従ってプリントする際の処理の詳細を示すフローチャートである。フローチャートの各処理を実行する各処理部としてCPU205を機能させるためのプログラムは、図2のROM210または記憶部211(コンピュータ読取可能な記憶媒体)に格納される。CPU205は、イメージバスインターフェース212、システムバス216、画像バス217を用いて、データ処理部215とデータのやり取りをすることが可能である。
【0062】
まず、ステップS401において、操作部203のデータ選択ボタン704がユーザーにより押下されると、図7A(a)のように、記憶部211に格納されている電子文書データのリストが表示ウインドウ708に表示される。次に、当該表示されたリストの中からユーザーにより所望とするデータが選択されると、当該選択されたデータを反転表示する。
【0063】
次に、ステップS402において、ユーザーにより条件設定の指示が為された場合は、ステップS403へ進む。条件設定を行わない場合は、ステップS401で選択されたデータに含まれる全てのオブジェクトデータが表示され、ステップS405へ進む。
【0064】
ステップS403において、ユーザーにより日付ボタン706が押下されると、日付条件を選択するための日付リストまたはカレンダーを、表示ウインドウ708に表示する。そして、所望の日付がユーザーにより押下されると、選択された日付を反転表示する。また、ユーザーにより人物ボタン707が押下されると、人物条件を選択するための人物名のリストを表示ウインドウ708に表示する。そして、所望の人物の名前がユーザーにより押下されると、選択された名前を反転表示する。このようにして条件設定が終了し、決定ボタン705が押下されると、CPU205は、設定された条件パラメータをRAM206等の記憶装置に保存し、ステップS404に進む。なお、決定ボタン705が押されずに、不図示のキャンセルボタンが押下されると、ステップS402に戻るようにしてもよい。
【0065】
ステップS404において、操作部203は、ステップS403において設定された条件を満たすオブジェクトをタグ情報に基づいて抽出し、当該抽出したオブジェクトデータと背景データとで構成される画像を表示ウインドウ708に表示する。
【0066】
ステップS405において、プリントボタン709がユーザーにより押下されると、CPU205は、ステップS401で選択したデータをデータ処理部215へ入力し、ステップS406へ進む。
【0067】
ステップS406において、図3のオブジェクトデータ処理部303は、入力されたデータ(ステップS401で選択したデータ)から、ステップS403でRAM206等の記憶装置に保存された条件パラメータを満たすオブジェクトデータを抽出する。なお、ステップS402において条件設定が行われていない場合は、オブジェクトデータ処理部303は、全てのオブジェクトデータを抽出する。
【0068】
次に、ステップS407において、パターン生成部305は、ステップS406においてオブジェクトデータ処理部303によって抽出されたオブジェクトデータに基づいてQRコード(符号画像パターン)を生成する。QRコードには、ステップS401で選択した記憶部211に格納されているデータを特定するためのアドレス情報(電子文書特定情報)と、ステップS406において抽出されたオブジェクトデータの番号を示すオブジェクトID情報とが格納されている。
【0069】
次に、ステップS408において、印刷データ生成部307は、ステップS406において抽出されたオブジェクトデータおよび背景データと、ステップS407において生成されたQRコードを合成し、印刷データを生成する。
【0070】
次に、ステップS409において、プリント部202は、ステップS408において生成された印刷データをプリントし、終了する。
【0071】
本発明では、条件設定を行うことで、ユーザーが所望とするオブジェクトデータのみを印刷出力することができる。ユーザーは、この所望のデータが印刷された紙文書(印刷物)に対して、新たな書き込み等の編集を行うことがある。次に、このような書き込みが行われた髪文書をスキャンしたときの処理のフローチャートについて説明する。
【0072】
図5は、図4の処理に従ってプリントされた紙文書に対して追記編集が行われた紙文書をスキャンしたときの処理を示すフローチャートである。ここでは、スキャンした紙文書の画像と記憶部211に格納されている電子文書データとの差分を抽出し、該電子文書データを更新して記憶部211に格納する。図5のフローチャートの各処理を実行するための各処理部として、CPU205を機能させるためのプログラムは、ROM210または記憶部211(コンピュータ読取可能な記憶媒体)に格納されているものとする。
【0073】
まず、ステップS501において、スキャナ部201を介して紙文書をスキャンし、所定のスキャン画像処理を実行した後のビットマップデータを、データ処理部215へ入力する。尚、スキャン画像処理としては、下地除去処理、色変換処理、フィルタ処理などがあげられる。
【0074】
次に、ステップS502において、パターン検出・復号部306は、入力されたビットマップ画像からQRコード(符号画像パターン)の検出処理を行い、QRコードが有るか否かを判断する。QRコードが有る場合はステップS503へ進み、QRコードが無い場合は元の電子文書データが無い旨を示すエラーメッセージを出力して終了する。
【0075】
ステップS503において、パターン検出・復号部306はQRコードを復号し、符号化されていた情報を得る。本実施形態では、記憶部211に格納されている電子文書データの所在を示すアドレス情報と、印刷に用いられたオブジェクトデータの番号を示すオブジェクトID情報とを得る。次に、CPU205は、これらの情報をRAM206等の記憶装置に保存し、ステップS504に進む。
【0076】
ステップS504において、CPU205は、ステップS503において復号されたアドレス情報に基づいて、記憶部211に格納されている電子文書データを呼び出す。呼び出しが成功の場合は、該電子文書データをオブジェクトデータ処理部303へ入力し、ステップS505へ進む。記憶部211に電子文書データが無い場合等、呼び出しが不成功の場合、操作部203はエラーメッセージを出力し、終了する。
【0077】
ステップS505において、オブジェクトデータ処理部303は、ステップS504で呼び出した電子文書データから、ステップS503で保存されたオブジェクトID情報に対応するオブジェクトデータを抽出する。次に、オブジェクトデータ処理部303は、当該抽出されたオブジェクトデータと背景とを合成し、ビットマップデータを生成する。
【0078】
ステップS506において、差分抽出部304は、ステップS505で生成されたビットマップデータと、ステップS501で入力されたビットマップデータとの差分を抽出する。尚、差分を抽出する際、ステップS501で入力されたビットマップデータ上のQRコードの部分は、除くものとする。差分があった場合にはステップS507に進み、差分が無かった場合は差分が無いことを警告表示して処理を終了する。
【0079】
ステップS507において、オブジェクトデータ処理部303は、ステップS506で抽出された差分(差分画像)を、追記された新たなオブジェクトデータとして生成する。
【0080】
ステップS508において、タグ情報付加部302は、ステップS507で生成されたオブジェクトデータに対してタグ情報を付加する。
【0081】
ステップS509において、フォーマット変換部301は、ステップS507で生成されたオブジェクトデータと、ステップS508で付加されたタグ情報とを、ステップS504で呼び出された電子文書データの新たなレイヤーに追加格納する。
【0082】
次に、ステップS510において、ステップS509で新たなオブジェクトデータが追加された電子文書データを記憶部211に保存して終了する。
【0083】
以上、電子文書ファイリングされている電子文書に対して、ユーザーが条件設定することにより任意の情報を選択してプリント出力できるようになる。そして、当該任意の情報が印刷された出力物に対して追加編集を行った場合でも、元の電子文書の対応するオブジェクトと比較することにより容易に差分が抽出でき、当該差分のオブジェクトデータを元の電子文書に追加格納することが可能となる。
【0084】
なお、ステップS502でQRコードが無かった場合やステップS504で電子文書を呼び出せなかった場合はそのまま終了していたが、これに限るものではない。例えば、スキャンした画像データを新たな電子文書として保存するように構成してもよい。
【0085】
(実施形態2)
図4のステップS409において印刷データをプリントする際の印刷設定によっては、図5のステップS506において、差分を抽出することが難しくなる場合がある。例えば、印刷データをプリントする際に、プリンタドライバの印刷設定において用紙サイズを変更したり、拡大率を変更したりすると、差分を抽出することが難しくなる。
【0086】
図11に、印刷設定を変更を行った場合に得られる印刷データの例を示す。1101は、印刷データ611と同様の印刷データの例であり、印刷設定の変更は行われていないものとし、デフォルトの印刷設定は、用紙サイズ(A4横)、拡大率(100%)であるとする。1102は、用紙サイズの変更が行われた印刷データであり、印刷設定は、用紙サイズ(A3縦)、拡大率(100%)とする。1103は、拡大率の変更が行われた印刷データであり、印刷設定は、用紙サイズ(A4横)、拡大率(200%)とする。
【0087】
印刷データ1102や1103の例のように印刷設定の変更が行われた場合は、図5のステップS506において、元のデータ1101と比較を行ったときに、各オブジェクトの位置やサイズが合わないため、差分を抽出することが難しい。
【0088】
実施形態2では、印刷設定の変更が行われた場合でも、該プリント出力物のスキャン画像から抽出されるオブジェクトデータの位置やサイズの補正を行うことで、元の電子文書との差分を抽出し、該電子文書を効率的に更新する方法について説明する。実施形態2では、図3で示した各処理部に加えて、オブジェクトデータの位置やサイズの補正を行うための補正部が追加される。
【0089】
実施形態2において、記憶部211から選択された電子文書データのうち、ユーザーにより設定された条件を満たすオブジェクトデータを抽出してプリントする際の処理は、実施形態1の図4のフローチャートと同様である。ただし、ステップS407において、パターン生成部305は、アドレス情報とオブジェクトID情報に加えて、印刷設定情報を含むQRコードを生成する。ここで、印刷設定情報は、用紙サイズや拡大率と例としてあげるが、更に、色設定や解像度設定等の情報を含んでも構わない。
【0090】
図12は、実施形態2において、図4のフローチャートに従ってプリントされた紙文書に対してユーザーにより追記・編集が行われた後、当該紙文書をスキャンして元の電子文書データとの差分を抽出して、該電子文書データを更新する際の処理を示す。図12のフローチャートの各処理を実行するための各処理部として、CPU205を機能させるためのプログラムは、ROM210または記憶部211に格納されているものとする。
【0091】
尚、図12と図5のフローチャートの差異は、ステップS1201における入力データの補正が追加されている点であり、同様のステップに関しては、説明を省略する。
【0092】
ステップS501でスキャン入力されたビットマップデータにQRコードが含まれている場合、ステップS503では、アドレス情報とオブジェクトID情報と印刷設定情報とが得られることになる。
【0093】
ステップS1201では、補正部が、ステップS503で得られた印刷設定情報に基づいて、ステップS501でスキャン入力されたビットマップデータ(入力データ)に対して補正処理を行う。例えば、印刷設定情報が用紙サイズの変更や拡大率の変更の場合は、位置補正処理(比較時の原点位置の補正処理)や、変倍処理を行うものとする。また、本実施形態における変倍は、解像度変換を含むものとし、変倍の方法に関しては、リニア変倍やバイキュービック等、公知の技術を用いることとする。またこのとき、元の電子文書の用紙サイズを、スキャン入力されたデータに応じて変更するかどうかを、ユーザーが設定できるようにしてもよい。
【0094】
ステップS503で得た印刷設定情報に基づいて、ステップS1201で行う入力データの補正処理の例(1)〜(3)を示す。
【0095】
(1)印刷設定情報が用紙サイズ(A3縦)、拡大率(100%)で、且つ、元の電子文書の用紙サイズやオブジェクトデータの変更を行わない設定が為されている場合、画像切り抜きによる位置補正を行う。すなわち、図11の1102のような入力データに対して、1104の点線部分で示される領域の画像が切り出される。この切り出された部分が、元の電子文書のオブジェクトデータに基づいて印刷された部分に相当するので、元の電子文書のうちオブジェクトID情報に基づいてS505で選択されたオブジェクトデータと比較を行って、差分抽出を行う。すなわち、入力データから切り出された部分領域内に追記されていた個所が、ステップS507で新たなオブジェクトデータとして生成されて、タグ情報とともに元の電子文書に追加保存されることになる。
【0096】
(2)印刷設定情報が用紙サイズ(A3縦)、拡大率(100%)で、且つ、元の電子文書の用紙サイズの変更を許可する設定が為されている場合、比較時の原点位置補正を行う。すなわち、図11の1102のような入力データに対して、差分抽出時に1104の点線内部の領域に比較対象の元電子文書の位置が合わさるように原点補正を行う。そして、ステップS506で差分抽出を行うと、入力データ1104の点線内部と点線外部の両方から、追記されたオブジェクトが抽出されて、ステップS507では新たなオブジェクトデータが生成される。そして、ステップS509では、元の電子文書の用紙サイズ設定がA3縦に変更され、当該生成された新たなオブジェクトデータが新たなレイヤーに追加格納される。この例では、A3縦に変更して印刷した場合、余白領域が増えることになるが、この余白領域に対して追記された情報も、元の電子文書に追加格納されることになる。
【0097】
(3)印刷設定情報が用紙サイズ(A4横)、拡大率(200%)の場合は、ステップS1201では入力データの変倍(50%)を行う。すなわち、図11の1103のような原稿画像がスキャン入力された場合、変倍(50%)処理を行うことにより、図11の1105のように補正される。尚、変倍(50%)によってQRコード部分も縮小されてしまうが、前述したようにステップS506における差分抽出の処理対象からQRコード部分は除くので影響はない。そして、この補正された画像を用いて差分抽出を行い、新たなオブジェクトデータを生成し、当該生成されたオブジェクトデータをタグ情報とともに元の電子文書に追加格納することになる。
【0098】
(4)印刷設定情報が用紙サイズ(A4横)、拡大率(50%)の場合は、ステップS1201では入力データの変倍(200%)を行い、比較時の原点位置補正を行う。200%に拡大されるので、入力データはA3横に相当する大きさになり、元の電子文書に対応する部分領域との比較が行われて差分抽出処理が為される。元の電子文書の用紙サイズの変更を許可する設定が為されている場合、ステップS509では、元の電子文書の用紙サイズ設定がA3横に変更され、当該生成された新たなオブジェクトデータが新たなレイヤーに追加格納される。
【0099】
(5)印刷設定情報が用紙サイズ(A4横)、拡大率(100%)の場合は、ステップS1201で入力データの補正は行われないので、実施形態1と同様の処理が行われることになる。
【0100】
以上、説明したように、印刷設定の変更が行われて印刷されたプリント出力物に対しても、スキャン入力で得たデータの位置やサイズの補正を行うことで、元の電子文書との差分を抽出できるようになり、該電子文書を効率的に更新することが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タグ情報が関連付けられたオブジェクトデータを含む電子文書を記憶する記憶手段と、
ユーザーにより指定された条件を満たすタグ情報が関連付けられているオブジェクトデータを、前記電子文書から抽出するオブジェクトデータ処理手段と、
前記オブジェクトデータ処理手段で抽出されたオブジェクトデータを識別するためのオブジェクトID情報と前記電子文書を特定するための電子文書特定情報とを含む符号画像パターンを生成するパターン生成手段と、
前記オブジェクトデータ処理手段で抽出されたオブジェクトデータと、前記パターン生成手段で生成された符号画像パターンとを含む印刷データの印刷処理を実行する印刷手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記印刷手段の印刷処理により印刷された印刷物をスキャンして得た画像を入力する入力手段と、
前記入力手段で入力された画像から前記符号画像パターンの検出を行い、当該検出された符号画像パターンから前記オブジェクトID情報と前記電子文書特定情報とを復号する復号手段と、
前記入力手段で入力された画像に含まれるオブジェクトデータと、前記復号されたオブジェクトID情報と電子文書特定情報とに基づいて前記記憶手段から抽出したオブジェクトデータとを比較することにより、差分を抽出する差分抽出手段と、
前記差分抽出手段で抽出された差分を新たなオブジェクトデータとして、当該新たなオブジェクトデータにタグ情報を付加するタグ情報付加手段と、
前記タグ情報付加手段で前記タグ情報が付加された新たなオブジェクトデータを、前記電子文書特定情報により特定される電子文書に追加格納する変換手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記パターン生成手段は、前記オブジェクトデータ処理手段で抽出されたオブジェクトデータを識別するためのオブジェクトID情報と、前記電子文書を特定するための電子文書特定情報と、前記印刷手段で印刷処理を実行する際の印刷設定の情報とを含む符号画像パターンを生成し、
前記復号手段は、前記入力手段で入力された画像から前記符号画像パターンの検出を行い、当該検出された符号画像パターンから前記オブジェクトID情報と前記電子文書特定情報と前記印刷設定の情報とを復号し、
前記差分抽出手段は、前記復号された印刷設定の情報に基づいて、前記入力手段で入力された画像に対する補正処理を行い、当該補正処理がなされた画像に含まれるオブジェクトデータと、前記復号されたオブジェクトID情報と電子文書特定情報とに基づいて前記記憶手段から抽出したオブジェクトデータとを比較することにより、差分を抽出する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記電子文書の用紙サイズの変更が許可されている場合、前記変換手段は、前記復号された印刷設定の情報に基づいて、前記電子文書特定情報により特定される電子文書の用紙サイズの変更を行い、前記タグ情報付加手段で前記タグ情報が付加された新たなオブジェクトデータを、前記用紙サイズの変更が行われた電子文書に追加格納することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記符号画像パターンは、2次元コードであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記タグ情報は、日付情報あるいは人物情報の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
タグ情報が関連付けられたオブジェクトデータを含む電子文書を記憶する記憶手段を有する画像処理装置により実行される画像処理方法であって、
オブジェクトデータ処理手段が、ユーザーにより指定された条件を満たすタグ情報が関連付けられているオブジェクトデータを、前記電子文書から抽出するオブジェクトデータ処理ステップと、
パターン生成手段が、前記オブジェクトデータ処理ステップで抽出されたオブジェクトデータを識別するためのオブジェクトID情報と前記電子文書を特定するための電子文書特定情報とを含む符号画像パターンを生成するパターン生成ステップと、
印刷手段が、前記オブジェクトデータ処理ステップで抽出されたオブジェクトデータと、前記パターン生成ステップで生成された符号画像パターンとを含む印刷データの印刷処理を実行する印刷ステップと、
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
入力手段が、前記印刷ステップでの印刷処理により印刷された印刷物をスキャンして得た画像を入力する入力ステップと、
復号手段が、前記入力ステップで入力された画像から前記符号画像パターンの検出を行い、当該検出された符号画像パターンから前記オブジェクトID情報と前記電子文書特定情報とを復号する復号ステップと、
差分抽出手段が、前記入力ステップで入力された画像に含まれるオブジェクトデータと、前記復号されたオブジェクトID情報と電子文書特定情報とに基づいて前記記憶手段から抽出したオブジェクトデータとを比較することにより、差分を抽出する差分抽出ステップと、
タグ情報付加手段が、前記差分抽出ステップで抽出された差分を新たなオブジェクトデータとして、当該新たなオブジェクトデータにタグ情報を付加するタグ情報付加ステップと、
変換手段が、前記タグ情報付加ステップで前記タグ情報が付加された新たなオブジェクトデータを、前記電子文書特定情報により特定される電子文書に追加格納する変換ステップと
を更に備えることを特徴とする請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項9】
コンピュータを、
記憶手段に記憶された電子文書から、ユーザーにより指定された条件を満たすタグ情報が関連付けられているオブジェクトデータを抽出するオブジェクトデータ処理手段、
前記オブジェクトデータ処理手段で抽出されたオブジェクトデータを識別するためのオブジェクトID情報と前記電子文書を特定するための電子文書特定情報とを含む符号画像パターンを生成するパターン生成手段、
前記オブジェクトデータ処理手段で抽出されたオブジェクトデータと、前記パターン生成手段で生成された符号画像パターンとを含む印刷データの印刷処理を実行する印刷手段、
として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記コンピュータを更に、
前記印刷手段の印刷処理により印刷された印刷物をスキャンして得た画像を入力する入力手段、
前記入力手段で入力された画像から前記符号画像パターンの検出を行い、当該検出された符号画像パターンから前記オブジェクトID情報と前記電子文書特定情報とを復号する復号手段、
前記入力手段で入力された画像に含まれるオブジェクトデータと、前記復号されたオブジェクトID情報と電子文書特定情報とに基づいて前記記憶手段から抽出したオブジェクトデータとを比較することにより、差分を抽出する差分抽出手段、
前記差分抽出手段で抽出された差分を新たなオブジェクトデータとして、当該新たなオブジェクトデータにタグ情報を付加するタグ情報付加手段、
前記タグ情報付加手段で前記タグ情報が付加された新たなオブジェクトデータを、前記電子文書特定情報により特定される電子文書に追加格納する変換手段、
として機能させるための、請求項9に記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項9または10のいずれかに記載のコンピュータプログラムを格納した、コンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項1】
タグ情報が関連付けられたオブジェクトデータを含む電子文書を記憶する記憶手段と、
ユーザーにより指定された条件を満たすタグ情報が関連付けられているオブジェクトデータを、前記電子文書から抽出するオブジェクトデータ処理手段と、
前記オブジェクトデータ処理手段で抽出されたオブジェクトデータを識別するためのオブジェクトID情報と前記電子文書を特定するための電子文書特定情報とを含む符号画像パターンを生成するパターン生成手段と、
前記オブジェクトデータ処理手段で抽出されたオブジェクトデータと、前記パターン生成手段で生成された符号画像パターンとを含む印刷データの印刷処理を実行する印刷手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記印刷手段の印刷処理により印刷された印刷物をスキャンして得た画像を入力する入力手段と、
前記入力手段で入力された画像から前記符号画像パターンの検出を行い、当該検出された符号画像パターンから前記オブジェクトID情報と前記電子文書特定情報とを復号する復号手段と、
前記入力手段で入力された画像に含まれるオブジェクトデータと、前記復号されたオブジェクトID情報と電子文書特定情報とに基づいて前記記憶手段から抽出したオブジェクトデータとを比較することにより、差分を抽出する差分抽出手段と、
前記差分抽出手段で抽出された差分を新たなオブジェクトデータとして、当該新たなオブジェクトデータにタグ情報を付加するタグ情報付加手段と、
前記タグ情報付加手段で前記タグ情報が付加された新たなオブジェクトデータを、前記電子文書特定情報により特定される電子文書に追加格納する変換手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記パターン生成手段は、前記オブジェクトデータ処理手段で抽出されたオブジェクトデータを識別するためのオブジェクトID情報と、前記電子文書を特定するための電子文書特定情報と、前記印刷手段で印刷処理を実行する際の印刷設定の情報とを含む符号画像パターンを生成し、
前記復号手段は、前記入力手段で入力された画像から前記符号画像パターンの検出を行い、当該検出された符号画像パターンから前記オブジェクトID情報と前記電子文書特定情報と前記印刷設定の情報とを復号し、
前記差分抽出手段は、前記復号された印刷設定の情報に基づいて、前記入力手段で入力された画像に対する補正処理を行い、当該補正処理がなされた画像に含まれるオブジェクトデータと、前記復号されたオブジェクトID情報と電子文書特定情報とに基づいて前記記憶手段から抽出したオブジェクトデータとを比較することにより、差分を抽出する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記電子文書の用紙サイズの変更が許可されている場合、前記変換手段は、前記復号された印刷設定の情報に基づいて、前記電子文書特定情報により特定される電子文書の用紙サイズの変更を行い、前記タグ情報付加手段で前記タグ情報が付加された新たなオブジェクトデータを、前記用紙サイズの変更が行われた電子文書に追加格納することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記符号画像パターンは、2次元コードであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記タグ情報は、日付情報あるいは人物情報の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
タグ情報が関連付けられたオブジェクトデータを含む電子文書を記憶する記憶手段を有する画像処理装置により実行される画像処理方法であって、
オブジェクトデータ処理手段が、ユーザーにより指定された条件を満たすタグ情報が関連付けられているオブジェクトデータを、前記電子文書から抽出するオブジェクトデータ処理ステップと、
パターン生成手段が、前記オブジェクトデータ処理ステップで抽出されたオブジェクトデータを識別するためのオブジェクトID情報と前記電子文書を特定するための電子文書特定情報とを含む符号画像パターンを生成するパターン生成ステップと、
印刷手段が、前記オブジェクトデータ処理ステップで抽出されたオブジェクトデータと、前記パターン生成ステップで生成された符号画像パターンとを含む印刷データの印刷処理を実行する印刷ステップと、
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
入力手段が、前記印刷ステップでの印刷処理により印刷された印刷物をスキャンして得た画像を入力する入力ステップと、
復号手段が、前記入力ステップで入力された画像から前記符号画像パターンの検出を行い、当該検出された符号画像パターンから前記オブジェクトID情報と前記電子文書特定情報とを復号する復号ステップと、
差分抽出手段が、前記入力ステップで入力された画像に含まれるオブジェクトデータと、前記復号されたオブジェクトID情報と電子文書特定情報とに基づいて前記記憶手段から抽出したオブジェクトデータとを比較することにより、差分を抽出する差分抽出ステップと、
タグ情報付加手段が、前記差分抽出ステップで抽出された差分を新たなオブジェクトデータとして、当該新たなオブジェクトデータにタグ情報を付加するタグ情報付加ステップと、
変換手段が、前記タグ情報付加ステップで前記タグ情報が付加された新たなオブジェクトデータを、前記電子文書特定情報により特定される電子文書に追加格納する変換ステップと
を更に備えることを特徴とする請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項9】
コンピュータを、
記憶手段に記憶された電子文書から、ユーザーにより指定された条件を満たすタグ情報が関連付けられているオブジェクトデータを抽出するオブジェクトデータ処理手段、
前記オブジェクトデータ処理手段で抽出されたオブジェクトデータを識別するためのオブジェクトID情報と前記電子文書を特定するための電子文書特定情報とを含む符号画像パターンを生成するパターン生成手段、
前記オブジェクトデータ処理手段で抽出されたオブジェクトデータと、前記パターン生成手段で生成された符号画像パターンとを含む印刷データの印刷処理を実行する印刷手段、
として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記コンピュータを更に、
前記印刷手段の印刷処理により印刷された印刷物をスキャンして得た画像を入力する入力手段、
前記入力手段で入力された画像から前記符号画像パターンの検出を行い、当該検出された符号画像パターンから前記オブジェクトID情報と前記電子文書特定情報とを復号する復号手段、
前記入力手段で入力された画像に含まれるオブジェクトデータと、前記復号されたオブジェクトID情報と電子文書特定情報とに基づいて前記記憶手段から抽出したオブジェクトデータとを比較することにより、差分を抽出する差分抽出手段、
前記差分抽出手段で抽出された差分を新たなオブジェクトデータとして、当該新たなオブジェクトデータにタグ情報を付加するタグ情報付加手段、
前記タグ情報付加手段で前記タグ情報が付加された新たなオブジェクトデータを、前記電子文書特定情報により特定される電子文書に追加格納する変換手段、
として機能させるための、請求項9に記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項9または10のいずれかに記載のコンピュータプログラムを格納した、コンピュータ読取可能な記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−3995(P2011−3995A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143535(P2009−143535)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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