説明

画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム

【課題】入力色空間で表現された入力データを、出力色空間で表現された出力データに変換する画像処理装置等を提供する
【解決手段】入力色空間で表現された入力データを、出力色空間で表現された出力データに変換する画像処理装置であって、第1の色空間を、第2の色空間に変換するための第1変換情報を記憶する第1記憶部と、前記第2の色空間を前記出力色空間に変換するための第2変換情報を記憶する第2記憶部と、前記入力データの入力色空間が前記第2の色空間である場合、該入力データを前記第2変換情報を用いて出力データに変換する変換手段と、を備え、前記変換手段は、前記入力データの入力色空間が前記第1の色空間である場合、該入力データを前記第1変換情報および前記第2変換情報を用いて出力データに変換する画像処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像などの入力データをプリンタ等で出力する際には、該入力データに対して色変換処理などの画像処理を施して出力データを生成し、該出力データに基づいて出力処理を実行する。
【0003】
色変換処理は、ある色空間で規定された階調画像を別の色空間で規定された階調画像に変換する処理である。たとえば、ホスト装置などで生成される入力データがRGB色空間で規定される一方、出力機器(たとえば、プリンタ)ではCMYK色空間で規定された出力データに基づいて印刷を実行することから、色変換処理が必要となる。色変換の方法としては、変換前の色空間における色値と変換後の色空間における色値とを対応づけた変換情報(LUT:Look−up Table)を用意しておき、該LUTを参照して色変換を行う方法が一般的である(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−286904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、たとえば、複数の色空間で表現された入力データを処理するプリンタにおいては、各色空間からプリンタの機種に依存する出力色空間へ変換するための複数のLUTを用意する必要がある。
【0006】
また、同じ色空間であっても、入力データの種類に応じて処理内容を変更した方が望ましい場合、たとえば、同じ色空間に対してテキスト用のLUTとイメージ用のLUTを用意する場合は、上記複数のLUTの数がさらに増加する。
【0007】
そのため、これら複数のLUTを保持するため、プリンタには大きな記憶容量を有するメモリが必要となる。特に、プリンタで用いられる色空間は、通常、4次元のCMYK色空間であって、この4次元の色空間に変換する各LUTのデータ量は多い傾向がある。
【0008】
また、上述のように、出力色空間はプリンタの機種に依存するので、上記複数のLUTを機種ごとに設計する必要があり、その設計者の手間と時間を要していた。
【0009】
したがって、本発明は、入力色空間で表現された入力データを、出力色空間で表現された出力データに変換する画像処理装置等であって、変換情報の設計が容易であり、該変換情報の記憶容量を少なく抑えることのできる画像処理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による画像処理装置は、入力色空間で表現された入力データを、出力色空間で表現された出力データに変換する画像処理装置であって、第1の色空間を、第2の色空間に変換するための第1変換情報を記憶する第1記憶部と、前記第2の色空間を前記出力色空間に変換するための第2変換情報を記憶する第2記憶部と、前記入力データの入力色空間が前記第2の色空間である場合、該入力データを前記第2変換情報を用いて出力データに変換する変換手段と、を備え、前記変換手段は、前記入力データの入力色空間が前記第1の色空間である場合、該入力データを前記第1変換情報および前記第2変換情報を用いて出力データに変換する。
【0011】
また、前記第1記憶部は、前記第1の色空間の種類に応じて複数の前記第1変換情報を記憶することが望ましい。
【0012】
さらに、前記画像処理装置は、着脱可能な機器ユニットを備えており、前記第1記憶部は、前記機器ユニットに配置されてもよい。
【0013】
本発明による画像処理方法は、入力色空間で表現された入力データを、出力色空間で表現された出力データに変換する画像処理方法であって、第1の色空間を、第2の色空間に変換するための第1変換情報を記憶し、前記第2の色空間を前記出力色空間に変換するための第2変換情報を記憶し、前記入力データの入力色空間が前記第2の色空間である場合、該入力データを前記第2変換情報を用いて出力データに変換し、前記入力データの入力色空間が前記第1の色空間である場合、該入力データを前記第1変換情報および前記第2変換情報を用いて出力データに変換する。
【0014】
本発明による画像処理プログラムは、本発明の画像処理方法の各工程をコンピュータ上で実行させることを特徴とする。本発明のプログラムは、CD−ROM、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じてコンピュータにインストールまたはロードすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態の画像処理システム1のハードウェア構成を示す概略図である。
【図2】第1実施形態の画像処理装置の概略構成の一例を示す図である。
【図3】第1実施形態の色変換処理の流れを示す概略図である。
【図4】第1実施形態の画像処理方法の処理内容を示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態の変形例における画像処理システム1'のハードウェア構成を示す概略図である。
【図6】第1実施形態の変形例における画像処理装置および機器ユニットの概略構成の一例を示す図である。
【図7】第2実施形態の画像処理システム2のハードウェア構成を示す概略図である。
【図8】第2実施形態の画像処理装置の概略構成の一例を示す図である。
【図9】第2実施形態の色変換処理の流れを示す概略図である。
【図10】第2実施形態の画像処理方法の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための好適な各実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0017】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態の画像処理システム1のハードウェア構成を表すブロック図である。画像処理システム1は、ホストコンピュータ10とプリンタ20とで構成される。
【0018】
ホストコンピュータ10は、プリンタ20に対して印刷要求を行うプリンタドライバ101を備えており、プリンタ20に対してホスト装置として機能する。プリンタドライバ101は、ユーザの印刷指示操作に応答して、プリンタ20への画像データなどの入力データ(印刷対象データ)を生成し、プリンタ20に送信する。なお、プリンタドライバ101は、上記処理を記述したドライバプログラム等にしたがって処理を実行する制御装置によって構成可能である。プリンタドライバ101の構成自体は、原則として、通常のプリンタに使用されるプリンタドライバの構成と同様にすることができるので、その詳細な説明は省略する。
【0019】
プリンタ(画像処理装置)20は、たとえば、ホストコンピュータ10と通信ネットワークを介して接続され、ホストコンピュータ10から入力色空間で表現された入力データを受信し、該入力データを印刷用のインクに対応する出力色空間で表現された出力データ(印刷データ)に変換し、該出力データの印刷を実行するものである。
【0020】
ここで、本実施形態において、出力データで表現される出力色空間は、プリンタ20の機種に依存するCMYK色空間とし、入力データで表現される入力色空間は、RGB(1)色空間、RGB(2)色空間(RGB(1)色空間とは異なる色空間)、CMYK(2),CMYK(3)色空間(出力色空間としてのCMYK色空間とは異なる色空間)、およびLab色空間のいずれかの色空間とする。なお、CMYKであっても、インク、トナーなどの色材が異なれば、同じ色を表す場合の色値の階調濃度は異なる値となるため、上述のようなCMYK(2)色空間およびCMYK(3)が存在し得る。
【0021】
プリンタ20は、プリンタエンジン21、プリンタコントローラ22を含んで構成される。ただし、プリンタコントローラ22は、プリンタ20と別体になされてもよい。
【0022】
プリンタエンジン21は、その構成自体は通常のプリンタエンジンと同様であって、たとえば、インクジェットプリンタや熱転写プリンタのように1文字単位で印刷するシリアルプリンタ、1行単位で印刷するラインプリンタ、ページ単位で印刷するページプリンタ等に対応する各種プリンタエンジンを用いることができる。
【0023】
プリンタコントローラ22は、たとえば、各種演算を行うCPU(中央演算処理装置)201、各種データや各種プログラム等をあらかじめ格納するROM202、CPU201が実行するプログラムまたは画像データを一時的に記憶するRAM203、およびホストコンピュータ10などの外部機器と通信可能に接続するためのインタフェース204などの構成要素を備えている。
【0024】
プリンタコントローラ22は、機能的には、図2に示すように、受信手段221と、判断手段222と、変換手段223と、第1記憶部224と、第2記憶部225とを備える。受信手段221などの各手段は、主に、CPU201がROM202やRAM203に格納されるプログラムを実行し、各ハードウェアを制御することにより実現され、第1記憶部224および第2記憶部225は、ROM202やRAM203を用いて実現することができる。
【0025】
第1記憶部224は、第1の色空間を第2の色空間に変換するための第1変換情報を記憶する。第2の色空間は、RGB(1)色空間(RGB色空間)である。一方、第1の色空間は、第2の色空間としてのRGB色空間を除いた入力色空間、すなわち、RGB(2)色空間と、CMYK(2)色空間と、CMYK(3)色空間と、Lab色空間とのいずれかの色空間である。第1変換情報は、第1の色空間における色値と第2の色空間における色値とを対応づけた変換情報(LUT:Look−up Table)であって、第1の色空間の種類に応じて複数用意される。具体的には、RGB(2)色空間からRGB色空間に変換するためのLUT「RGB(2) to RGB LUT」、CMYK(2)色空間からRGB色空間に変換するためのLUT「CMYK(2) to RGB LUT」、CMYK(3)色空間からRGB色空間に変換するためのLUT「CMYK(3) to RGB LUT」、およびLab色空間からRGB色空間に変換するためのLUT「Lab to RGB LUT」である。
【0026】
第2記憶部225は、第2の色空間を出力色空間に変換するための第2変換情報を記憶する。すなわち、第2変換情報は、RGB色空間からCMYK色空間に変換するためのLUT「RGB to CMYK LUT」である。
【0027】
受信手段221は、ホストコンピュータ10から各入力色空間で表現された入力データを受信する。
【0028】
判断手段222は、受信手段221により受信した入力データで表現される入力色空間が第1の色空間であるか否かを判断する。
【0029】
変換手段223は、判断手段222により判断した結果、入力データの入力色空間が第1の色空間である場合、該入力データを第1変換情報および第2変換情報を用いて出力データに変換し、入力データの入力色空間が第2の色空間である場合、該入力データを第2変換情報を用いて出力データに変換する。図3に、変換手段223による処理フローの概略図を示す。
【0030】
以下、図4に示すフローチャートを参照して、プリンタ20を用いて実施される画像処理方法を説明する。以下の処理は、CPU201が主として実行する。なお、各工程(符号が付与されていない部分的な工程を含む)は処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更して又は並列に実行することができる。また、CPU201は、種々の機能を備えるが、画像処理に直接関係しない機能については説明を省略する。
【0031】
本実施形態において、プリンタ20は、色変換処理の前段階として、上述した第1変換情報および第2変換情報が、それぞれ第1記憶部224および第2記憶部225に予め記憶されているものとする。
【0032】
プリンタ20における色変換処理は、まず、プリンタコントローラ22が、入力色空間で表現された入力データを受信する(ステップS100)。たとえば、ホストコンピュータ10から「RGB」色空間で表現された入力データ、「RGB(2)」色空間で表現された入力データ、または「CMYK(2)」色空間で表現された入力データを受信する。
【0033】
次いで、プリンタコントローラ22が、受信した入力データの入力色空間が第2の色空間であるか、または第1の色空間であるかを判断する(ステップS101)。
【0034】
判断した結果、入力データの入力色空間が第1の色空間である場合(ステップS101:第1の色空間)、プリンタコントローラ22が、第1の色空間に対応する第1変換情報を第1記憶部224から取得する(ステップS102)。たとえば、受信した入力データが、「RGB(2)」色空間で表現された入力データであれば、該「RGB(2)」色空間に対応するLUT「RGB(2) to RGB LUT」を第1記憶部224から取得する。
【0035】
次いで、プリンタコントローラ22が、取得した第1変換情報を用いて、入力データを変換する(ステップS103)。たとえば、LUT「RGB(2) to RGB LUT」を用いることで、「RGB(2)」色空間の色値を第2の色空間とする「RGB」色空間の色値にして入力データを変換する。
【0036】
次いで、プリンタコントローラ22が、第2変換情報を第2記憶部225から取得する(ステップS104)。すなわち、LUT「RGB to CMYK LUT」を第2記憶部225から取得する。
【0037】
次いで、プリンタコントローラ22が、取得した第2変換情報を用いて、上記変換された入力データを出力データに変換する(ステップS105)。すなわち、LUT「RGB to CMYK LUT」を用いることで、第2の色空間である「RGB」色空間の色値を出力色空間である「CMYK」色空間の色値にして、上記ステップS103の処理で変換された入力データを出力データに変換する。
【0038】
一方、ステップS101の処理で判断した結果、入力データの入力色空間が第2の色空間である場合(ステップS101:第2の色空間)、プリンタコントローラ22が、第2変換情報を第2記憶部225から取得する(ステップS106)。たとえば、受信した入力データが、「RGB」色空間で表現された入力データであれば、LUT「RGB to CMYK LUT」を第2記憶部225から取得する。
【0039】
次いで、プリンタコントローラ22は、取得した第2変換情報を用いて、入力データを出力データに変換する(ステップS107)。すなわち、LUT「RGB to CMYK LUT」を用いることで、「RGB」色空間の色値を「CMYK」色空間の色値にして、入力データを出力データに変換する。
【0040】
以上、本実施形態の画像処理装置および画像処理方法によれば、プリンタ20に保持すべきLUTのうち、プリンタの機種に依存する出力色空間に係るLUTは、「RGB to CMYK LUT」である。その結果、プリンタの機種によって変更すべきLUTは上記LUTのみとなり、プリンタの機種ごとの設計に必要なLUTの数を抑制でき、LUTの設計に伴う設計者の手間と時間を大幅に省略することができる。
【0041】
すなわち、出力色空間に変換するLUTは、プリンタの特性を考慮して作成しなければならないため、設計者にとって手間がかかる。そして、従来は、このLUTを入力データの色空間の種類に応じた数分だけ作成しなければならなかったため、設計者にとっては過大な負担となっていた。しかし、本発明は、プリンタの特性を考慮して作成するLUTを1つのみとすることができるので、LUTの設計に伴う設計者の手間と時間を大幅に省略することができる。
【0042】
また、プリンタで用いられる出力色空間は、一般的に、プリンタの機種に依存する4次元のCMYK色空間であるため、4次元の出力色空間に変換する各LUTのデータ量は多くなってしまう。そのため、従来のように、4次元の出力色空間に変換するLUTを複数保持する場合、プリンタには大きな記憶容量が必要となる。しかし、本発明によれば、入力データの色空間をプリンタの機種に依存しない第2の色空間に変換するLUTを用意することで、4次元の出力色空間に変換するLUTを1つのみとすることができ、各入力色空間の色値を第2の色空間の色値にするLUTはプリンタの特性を考慮せずに粗く作成できるため、LUTを保持する際に必要なプリンタの記憶容量を少なく抑えることができる。
【0043】
さらに、本発明では、第2の色空間として、RGB色空間を用いている。第2の色空間を用いる際に、CMYK色空間で表現される色が、第2の色空間で表現できない場合は、プリンタ本来の印刷能力を十分に発揮できないという問題があり、また、第2の色空間で表現される色が、CMYK色空間で表現できない場合は、入力データを出力データに色変換処理する際、色変換の精度が落ちてしまうという問題がある。しかし、本発明では、上述したRGB色空間を用いることで、その問題を解決することができる。
【0044】
<第1実施形態の変形例>
第1実施形態の画像処理システム1では、第1記憶部224がプリンタ20内に配置されている場合を説明したが、本実施形態はこれに限られず、たとえば、プリンタ20が着脱可能な機器ユニットを備える場合、図5および図6に示すように、第1記憶部224'が機器ユニット30内に配置されていてもよい。すなわち、上記変換手段223は、入力データの入力色空間が第1の色空間である場合、プリンタ20に装着された機器ユニット30にアクセスし、該機器ユニット30から第1の色空間に対応する第1変換情報を取得する。なお、機器ユニット30は、たとえば、プリンタの各処理を実行する一般的なプリンタボードや、またはUSBメモリ等の記憶装置を用いることができる。
【0045】
また、プリンタ20内および機器ユニット30内にそれぞれ第1記憶部が備えられ(第1記憶部224,224')、異なる第1変換情報を記憶する構成であってもよい。たとえば、プリンタ20内の第1記憶部224には、「RGB(2) to RGB LUT」、「CMYK(2) to RGB LUT」、および「CMYK(3) to RGB LUT」が記憶され、機器ユニット30内の第1記憶部224'には、「Lab to RGB LUT」が記憶されていてもよい。
【0046】
これらの上記構成とすれば、プリンタ20自体にある入力色空間で表現された入力データに変換するLUTが記憶されていない場合でも、該LUTが記憶された機器ユニット30をプリンタ20に装着するのみで、上記入力データを出力データに変換することができる。
【0047】
さらに、第1実施形態のプリンタコントローラ22の構成に加えて、更新手段を備えさせ、該更新手段によって、プリンタ20に装着された機器ユニット30の記憶部224'に保持される第1変換情報を第1記憶部224に追加・更新するような構成とすることもできる。
【0048】
<第2実施形態>
第2実施形態の画像処理システム2は、プリンタ20aが、色変換処理を実行するシステムAおよびシステムBを備えることを特徴とする。
【0049】
図7に、本実施形態の画像処理システム2のハードウェア構成を表すブロック図である。画像処理システム1は、ホストコンピュータ10aとプリンタ20aとで構成される。
【0050】
ホストコンピュータ10aは、プリンタ20aに対して印刷要求を行うプリンタドライバ101Aおよびプリンタドライバ101Bを備えるものであって、プリンタ20aのホスト装置である。プリンタドライバ101Aおよびプリンタドライバ101Bは、それぞれプリンタ20aのシステムAおよびシステムBのドライバとして機能する。プリンタドライバ101Aは、一般的に用いられるRGB色空間で表現された画像などの入力データを生成し、プリンタ20aに送信する。プリンタドライバ101Bは、RGB(2)色空間(RGB色空間とは異なる色空間)と、CMYK(2)色空間およびCMYK(3)色空間(出力色空間としてのCMYK色空間とは異なる色空間)と、Lab色空間とのいずれかの色空間で表現された入力データを生成し、プリンタ20aに送信する。なお、プリンタドライバ101A,101Bの機能は、原則として、通常のプリンタ20に用いられるプリンタドライバの機能と同様とすることができるので、その詳細な説明は省略する。
【0051】
プリンタ20aは、プリンタエンジン21、システムA用プリンタコントローラ22A、システムB用プリンタコントローラ22Bを含んで構成される。ただし、システム用プリンタコントローラ22Bは、プリンタ20aと別体として構成することができる。
【0052】
プリンタエンジン21、システムA用プリンタコントローラ22A,22Bは、第1実施形態のプリンタエンジン21、プリンタコントローラ22と同様のハードウェア構成とすることができるので、その詳細な説明は省略する。
【0053】
システムA用プリンタコントローラ22Aは、図8に示すように、受信手段221Aと、変換手段223Aと、第2記憶部225とを備え、また、システムB用プリンタコントローラ22Bは、受信手段221Bと、変換手段223Bと、第1記憶部224とを備える。
【0054】
第1記憶部224および第2記憶部225がそれぞれ記憶する第1変換情報(LUT)は、第1実施形態の場合と同様とし、たとえば、第1記憶部224には、第1の色空間から出力色空間に変換する各LUT「RGB(2) to RGB LUT」、「CMYK(2) to RGB LUT」、「CMYK(3) to RGB LUT」、および「Lab to RGB LUT」が記憶され、第2記憶部225には、第2の色空間から出力色空間に変換するLUT「RGB to CMYK LUT」が記憶される。
【0055】
受信手段221Aは、ホストコンピュータ10aにおけるプリンタドライバ101Aから第2の色空間(RGB色空間)で表現された入力データを受信する。受信手段221Bは、ホストコンピュータ10aにおけるプリンタドライバ101Bから第1の色空間(RGB(2)色空間、CMYK(2)色空間、CMYK(3)色空間、およびLab色空間のいずれかの色空間)で表現された入力データを受信する。
【0056】
変換手段223Aは、受信手段221Aが入力データを受信した場合、第2記憶部225から第2変換情報を取得し、該取得した第2変換情報を用いて受信した入力データを出力データに変換する。変換手段223Bは、受信手段221Bが入力データを受信した場合、第2変換情報をシステムA用プリンタドライバの第2記憶部225から取得し、また、第1変換情報を第1記憶部224から取得し、受信した入力データを、該取得した第1変換情報および第2変換情報を用いて出力データに変換する。図10に、変換手段223Aおよび変換手段223Bによる処理フローの概略図を示す。
【0057】
すなわち、図9に示すように、システムA用プリンタコントローラ22Aは、RGB色空間で表現された入力データを受信し、自らが保持する「RGB to CMYK LUT」を用いて、受信した入力データを出力色空間であるCMYK色空間で表現された出力データに変換して、色変換処理を終了する。一方、システムB用プリンタコントローラ22Bは、種々の入力色空間(第1の色空間)で表現された入力データを受信する。ここで、受信した入力データの入力色空間を出力色空間であるCMYK色空間に変換する必要があるが、本システムB用プリンタコントローラ22Bは、その変換処理をシステムA用プリンタコントローラ22Aと連携して行う。より具体的には、自らが保持する各LUT「RGB(2) to RGB LUT」、「CMYK(2) to RGB LUT」、「CMYK(3) to RGB LUT」、および「Lab to RGB LUT」と、システムA用プリンタコントローラ22Aとが保持するLUT「RGB to CMYK LUT」を用いて変換処理を実行する。
【0058】
以下、図10に示すフローチャートを参照して、システムBが起動した場合の処理手順の一例を説明する。以下の処理は、CPU201Bが主として実行する。なお、各工程(符号が付与されていない部分的な工程を含む)は処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更して又は並列に実行することができる。また、CPU201Bは、種々の機能を備えるが、画像処理に直接関係しない機能については説明を省略する。
【0059】
まず、プリンタコントローラ22Bが、第1の色空間で表現された入力データを受信する(ステップS200)。たとえば、ホストコンピュータ10から「RGB(2)」色空間で表現された入力データや「CMYK(2)」色空間で表現された入力データを受信する。
【0060】
次いで、プリンタコントローラ22Bが、受信した入力データの第1の色空間に対応する第1変換情報を第1記憶部224から取得する(ステップS201)。たとえば、受信した入力データが、「RGB(2)」色空間で表現された入力データであれば、該「RGB(2)」色空間に対応するLUT「RGB(2) to RGB LUT」を第1記憶部224から取得する。
【0061】
次いで、プリンタコントローラ22Bが、取得した第1変換情報を用いて、入力データを変換する(ステップS202)。たとえば、LUT「RGB(2) to RGB LUT」を用いることで、「RGB(2)」色空間の色値を「RGB」色空間の色値にして入力データを変換する。
【0062】
次いで、プリンタコントローラ22Bが、第2変換情報(LUT)をシステムAの第2記憶部225から取得する(ステップS203)。すなわち、LUT「RGB to CMYK LUT」を第2記憶部225から取得する。
【0063】
次いで、プリンタコントローラ22Bが、取得した第2変換情報を用いて、上記変換された入力データを出力データに変換する(ステップS204)。すなわちLUT「RGB to CMYK LUT」を用いることで、第2の色空間である「RGB」色空間の色値を出力色空間である「CMYK」色空間の色値にして、上記ステップS202の処理で変換された入力データを出力データにさらに変換する。
【0064】
なお、上記ステップS203〜S204の処理の代わりに、プリンタコントローラ22Bが「RGB」色空間で表現されたデータをプリンタコントローラ22Aに送信し、このデータを受信したプリンタコントローラ22Aが、自ら保持するLUT「RGB to CMYK LUT」を用いて、「RGB」色空間の色値を「CMYK」色空間の色値にして、上記ステップS202の処理で変換された入力データを出力データに変換することもできる。
【0065】
以上、本発明の第2実施形態の画像処理装置および画像処理方法によれば、システムB側では、プリンタ20の機種に依存するCMYKにかかるLUTを保持せず、そのLUTについてはシステムA側に保持されるものを利用する。その結果、システムB用プリンタコントローラ22Bは、保持するLUTがプリンタの機種に依存しないため、その意味において、どの機種のプリンタにも使用することができ、LUTに関しては他の機種のプリンタの設計にそのまま用いることができる。なお、このコントローラ部分が着脱可能なボードで構成されていれば、プリンタ20aのようなシステムAおよびBを用いた構成が可能な他のプリンタに、システムB用プリンタコントローラ22Bをそのまま装着して利用することができる。
【0066】
<変形例>
以上のように本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、以上の実施形態に限定されるべきものではなく、特許請求の範囲に表現された思想および範囲を逸脱することなく、種々の変形、追加、および省略が当業者によって可能である。
【0067】
たとえば、上記各実施形態において、第1記憶部224および第2記憶部225から各LUTを用いて各変換処理を行う場合を説明したが、本発明はこれに限られず、各LUTを合成した後に1度の変換処理を行ってもよい。たとえば、第1実施形態の画像処理システム1において、RGB(2)色空間で表現された入力データを受信した場合、第1記憶部224からLUT「RGB(2) to RGB LUT」を取得し、また、第2記憶部225からLUT「RGB to CMYK LUT」を取得して、これらLUTから合成LUT「RGB(2) to CMYK LUT」を作成し、該作成したLUTを用いて、RGB(2)色空間で表現された入力データをCMYKで表現された出力データに変換することができる。
【0068】
また、上記各実施形態では、第1の色空間として、RGB(2)、CMYK(2)、CMYK(3)、およびLabの4つの各色空間を例にとって説明したが、本発明はこれらに限られず、第1の色空間を、第2の色空間と異なる少なくとも1つの色空間とすることができる。
【0069】
さらに、上記各実施形態では、プリンタ20が画像処理装置としての機能を有する場合を説明したが、これに限られず、たとえば、ホストコンピュータ10に画像処理装置としての機能を組み込んで、ホストコンピュータ10の制御部で画像処理装置の各機能を実現することもできる。また、プリンタ20は、ホストコンピュータ10から入力データを受信する場合に限られず、たとえば、スキャナ装置などの画像形成装置から入力データを受信する構成とすることもできる。
【0070】
さらに、上記各実施形態において、画像処理装置としてのプリンタ20には、用途に応じた各手段が備えられているが、プリンタ20に備えられている各手段は、そのいくつかを一纏めにして構成されていてもよいし、一つの手段をさらに複数の手段に分割して構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 画像処理システム、10 ホストコンピュータ、101 プリンタドライバ、20 プリンタ、21 プリンタエンジン、22 プリンタコントローラ、221 受信手段、222 判断手段、223 変換手段、224 第1記憶部、225 第2記憶部、30 機器ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力色空間で表現された入力データを、出力色空間で表現された出力データに変換する画像処理装置であって、
第1の色空間を、第2の色空間に変換するための第1変換情報を記憶する第1記憶部と、
前記第2の色空間を前記出力色空間に変換するための第2変換情報を記憶する第2記憶部と、
前記入力データの入力色空間が前記第2の色空間である場合、該入力データを前記第2変換情報を用いて出力データに変換する変換手段と、
を備え、
前記変換手段は、前記入力データの入力色空間が前記第1の色空間である場合、該入力データを前記第1変換情報および前記第2変換情報を用いて出力データに変換する画像処理装置。
【請求項2】
前記第1記憶部は、前記第1の色空間の種類に応じて複数の前記第1変換情報を記憶する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理装置は、着脱可能な機器ユニットを備えており、
前記第1記憶部は、前記機器ユニットに配置される、請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
入力色空間で表現された入力データを、出力色空間で表現された出力データに変換する画像処理方法であって、
第1の色空間を、第2の色空間に変換するための第1変換情報、および前記第2の色空間を前記出力色空間に変換するための第2変換情報を記憶し、
前記入力データの入力色空間が前記第2の色空間である場合、該入力データを前記第2変換情報を用いて出力データに変換し、
前記入力データの入力色空間が前記第1の色空間である場合、該入力データを前記第1変換情報および前記第2変換情報を用いて出力データに変換する、画像処理方法。
【請求項5】
請求項4に記載の画像処理方法をコンピュータで実行させるための画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−182136(P2011−182136A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43357(P2010−43357)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】