説明

画像処理装置、画像処理装置の制御方法、及びプログラム

【課題】キャラクタの毛髪の描写のリアリティを向上すること。
【解決手段】画像処理装置(10)は、キャラクタを表すキャラクタオブジェクト(44)が配置された3次元空間を所与の視点(46)から見た画像を表示手段(32)に表示する。方向情報取得部(82)は、キャラクタオブジェクト(44)のうちキャラクタの頭部を表すオブジェクト(60)の各点に対応する法線方向に関する情報と、視点(46)の視線方向に関する情報と、を取得する。表示手段(32)に表示されるキャラクタの頭部を表すオブジェクトの各点の色は、毛髪の色と前記頭皮の色とが混合されてなる色である。表示制御部(86)は、表示手段(32)に表示されるキャラクタの頭部を表すオブジェクトの各点の色を、当該点に対応する法線方向と、視線方向と、のなす角が180度に近いほど、毛髪の色の混合比率が小さくなり、かつ、頭皮の色の混合比率が大きくなるように変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、仮想3次元空間を所与の視点から見た画像を表示させる画像処理装置が知られている。特許文献1には、テクスチャがマッピングされたキャラクタオブジェクトを仮想カメラから見た画像を表示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−230543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような画像処理装置のユーザは、特にキャラクタの毛髪の描写にリアリティを感じることが多く、毛髪の描写のリアリティを向上させることが求められている。しかしながら、特許文献1のように、毛髪を表すテクスチャを単にキャラクタオブジェクトにマッピングする方法では、どの方向から見てもキャラクタの頭部が同じような見え方になってしまう。例えば、短髪のキャラクタの毛髪を表現する場合、キャラクタの頭部を見る方向によって、毛髪に覆われた頭皮の見え方が異なる様子を表現することができなかった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、キャラクタの毛髪の描写のリアリティを向上することが可能な画像処理装置、画像処理装置の制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像処理装置は、キャラクタを表すキャラクタオブジェクトが配置された3次元空間を所与の視点から見た画像を表示手段に表示する画像処理装置であって、前記キャラクタオブジェクトのうち前記キャラクタの頭部を表すオブジェクトの各点に対応する法線方向に関する情報と、前記視点の視線方向に関する情報と、を取得する方向情報取得手段と、前記キャラクタの毛髪の色に関する情報と、前記キャラクタの頭皮の色に関する情報と、を取得する色情報取得手段と、前記方向情報取得手段が取得した情報及び前記色情報取得手段が取得した情報に基づいて前記画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を含み、前記表示手段に表示される前記キャラクタの頭部を表すオブジェクトの各点の色は、前記毛髪の色と前記頭皮の色とが混合されてなる色であり、前記表示制御手段は、前記表示手段に表示される前記キャラクタの頭部を表すオブジェクトの各点の色を、当該点に対応する法線方向と、前記視線方向と、のなす角が180度に近いほど、前記毛髪の色の混合比率が小さくなり、かつ、前記頭皮の色の混合比率が大きくなるように変化させる、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る画像処理装置の制御方法は、キャラクタを表すキャラクタオブジェクトが配置された3次元空間を所与の視点から見た画像を表示手段に表示する画像処理装置の制御方法であって、前記キャラクタオブジェクトのうち前記キャラクタの頭部を表すオブジェクトの各点に対応する法線方向に関する情報と、前記視点の視線方向に関する情報と、を取得する方向情報取得ステップと、前記キャラクタの毛髪の色に関する情報と、前記キャラクタの頭皮の色に関する情報と、を取得する色情報取得ステップと、前記方向情報取得ステップにより取得された情報及び前記色情報取得ステップにより取得された情報に基づいて前記画像を前記表示手段に表示させる表示制御ステップと、を含み、前記表示手段に表示される前記キャラクタの頭部を表すオブジェクトの各点の色は、前記毛髪の色と前記頭皮の色とが混合されてなる色であり、前記表示制御ステップにおいては、前記表示手段に表示される前記キャラクタの頭部を表すオブジェクトの各点の色が、当該点に対応する法線方向と、前記視線方向と、のなす角が180度に近いほど、前記毛髪の色の混合比率が小さくなり、かつ、前記頭皮の色の混合比率が大きくなるように変化される、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るプログラムは、キャラクタを表すキャラクタオブジェクトが配置された3次元空間を所与の視点から見た画像を表示手段に表示する画像処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記キャラクタオブジェクトのうち前記キャラクタの頭部を表すオブジェクトの各点に対応する法線方向に関する情報と、前記視点の視線方向に関する情報と、を取得する方向情報取得手段、前記キャラクタの毛髪の色に関する情報と、前記キャラクタの頭皮の色に関する情報と、を取得する色情報取得手段、前記方向情報取得手段が取得した情報及び前記色情報取得手段が取得した情報に基づいて前記画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段、を含み、前記表示手段に表示される前記キャラクタの頭部を表すオブジェクトの各点の色は、前記毛髪の色と前記頭皮の色とが混合されてなる色であり、前記表示制御手段は、前記表示手段に表示される前記キャラクタの頭部を表すオブジェクトの各点の色を、当該点に対応する法線方向と、前記視線方向と、のなす角が180度に近いほど、前記毛髪の色の混合比率が小さくなり、かつ、前記頭皮の色の混合比率が大きくなるように変化させる、画像処理装置として前記コンピュータを機能させる。
【0009】
本発明によれば、キャラクタの毛髪の描写のリアリティを向上することが可能になる。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、前記キャラクタの頭部を表すオブジェクトは、前記キャラクタの毛髪を表す毛髪オブジェクトと、前記キャラクタの頭皮を表す頭皮オブジェクトと、を含んでなるものであって、前記毛髪オブジェクトは、前記頭皮オブジェクトを覆うように設定され、前記方向情報取得手段は、前記毛髪オブジェクトの各点に対応する法線方向に関する情報と、前記視点の視線方向に関する情報と、を取得し、前記毛髪オブジェクトの各点の色は、前記毛髪の色と前記頭皮の色とが混合されてなる色に設定され、前記表示制御手段は、前記毛髪オブジェクトの各点の色を、当該点に対応する法線方向と、前記視線方向と、のなす角が180度に近いほど、前記毛髪の色の混合比率が小さくなり、かつ、前記頭皮の色の混合比率が大きくなるように変化させる、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様によれば、前記キャラクタの頭部を表すオブジェクトは、前記キャラクタの毛髪を表す毛髪オブジェクトと、前記キャラクタの頭皮を表す頭皮オブジェクトと、を含んでなるものであって、前記毛髪オブジェクトは、前記頭皮オブジェクトを覆うように設定され、前記方向情報取得手段は、前記毛髪オブジェクトの各点に対応する法線方向に関する情報と、前記視点の視線方向に関する情報と、を取得し、前記毛髪オブジェクト及び前記頭皮オブジェクトの何れか一方の各点の色は前記毛髪の色に設定され、他方の各点の色は前記頭皮の色に設定され、前記表示制御手段は、前記毛髪オブジェクトの各点の半透明度を、当該点に対応する法線方向と、前記視線方向と、のなす角が180度に近いほど大きく又は小さくなるように変化させることによって、前記表示手段に表示される前記画像における前記毛髪の色の混合比率と前記頭皮の色の混合比率とを変化させる、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るゲーム装置のハードウェア構成を示す図である。
【図2】ゲーム空間の一例を示す図である。
【図3】キャラクタオブジェクトのうちキャラクタの首から上の部位を表すオブジェクトのポリゴンを示す図である。
【図4】ゲーム画面に含まれるキャラクタの一例を示す図である。
【図5】ゲーム装置で実現される機能のうち、本発明に関連する機能を示す機能ブロック図である。
【図6】顔テクスチャ画像の一例を示す図である。
【図7】仮想カメラと毛髪オブジェクトとの関係を示す図である。
【図8】色が設定された毛髪オブジェクトを示す図である。
【図9】ゲーム装置が所定時間ごとに実行する処理を示すフロー図である。
【図10】ゲーム装置が所定時間ごとに実行する処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[1.実施形態]
以下、本発明の実施形態の一例について図面に基づき詳細に説明する。本発明の実施形態に係る画像処理装置は、例えば、家庭用ゲーム機(据置型ゲーム機)、携帯ゲーム機、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)又はパーソナルコンピュータ等によって実現される。本実施形態においては、本発明に係る画像処理装置を、家庭用ゲーム機に適用した場合について説明する。
【0014】
[1−1.ゲーム装置のハードウェア構成]
図1は、本発明の実施形態に係るゲーム装置のハードウェア構成を示す図である。図1に示すゲーム装置10は、家庭用ゲーム機11、表示部32、音声出力部34、及び光ディスク36(情報記憶媒体)を含む。
【0015】
表示部32及び音声出力部34は、家庭用ゲーム機11に接続される。表示部32は、例えば、家庭用テレビ受像機又は液晶ディスプレイなどである。音声出力部34は、例えば、家庭用テレビ受像機に内蔵されたスピーカ又はヘッドホンなどである。
【0016】
家庭用ゲーム機11は、公知のコンピュータゲームシステムである。家庭用ゲーム機11は、バス12、制御部14、主記憶16、画像処理部18、入出力処理部20、音声処理部22、光ディスク再生部24、ハードディスク26、通信インタフェース28、及びコントローラ30を含む。
【0017】
制御部14は、一又は複数の制御部(例えば、CPU等)を含む。制御部14は、図示しないROMに格納されるオペレーティングシステムや、光ディスク36から読み出されるプログラムに基づいて、家庭用ゲーム機11の各部を制御する処理や情報処理を実行する。
【0018】
主記憶16は、例えば、RAMを含む。光ディスク36から読み出されたプログラム及びデータは、主記憶16に書き込まれる。主記憶16は、制御部14の作業用メモリとしても用いられる。バス12は、アドレス及びデータを家庭用ゲーム機11の各部でやり取りするためのものである。
【0019】
画像処理部18は、VRAMを含む。画像処理部18は、制御部14から供給される画像データに基づいてVRAM上にゲーム画面を描画する。VRAM上に描画されたゲーム画面は、ビデオ信号に変換されて所定のタイミングで表示部32に出力される。
【0020】
入出力処理部20は、制御部14が、音声処理部22、光ディスク再生部24、ハードディスク26、通信インタフェース28、及びコントローラ30にアクセスするためのインタフェースである。
【0021】
音声処理部22は、サウンドバッファを含む。音声処理部22は、光ディスク36からサウンドバッファに読み出された音声データを、音声出力部34から出力する。
【0022】
通信インタフェース28は、インターネットなどの通信ネットワークに、家庭用ゲーム機11を有線又は無線接続するためのインタフェースである。
【0023】
光ディスク再生部24は、光ディスク36に記録されたプログラムやデータを読み取る。本実施形態においては、プログラムやデータを家庭用ゲーム機11に供給するために、光ディスク36が用られる場合を説明するが、メモリカード等の他の情報記憶媒体が用いられて、プログラムやデータが家庭用ゲーム機11に対して供給されるようにしてもよい。他にも例えば、通信ネットワークを介して遠隔地からプログラムやデータが家庭用ゲーム機11に供給されるようにしてもよい。
【0024】
ハードディスク26は、一般的なハードディスク装置(補助記憶装置)である。なお、本実施形態において光ディスク36に記憶されるものとして説明するプログラムやデータは、ハードディスク26に記憶されていてもよい。
【0025】
コントローラ30は、ユーザがゲーム操作を行うための操作部である。家庭用ゲーム機11には、一又は複数のコントローラ30が、有線又は無線接続される。入出力処理部20は、一定周期毎(例えば1/60秒毎)に、コントローラ30の各操作部材の状態をスキャンする。このスキャン結果を表す操作信号は、バス12を介して制御部14に供給される。制御部14は、この操作信号に基づいてユーザのゲーム操作を判定する。
【0026】
[1−2.ゲーム装置において実行されるゲーム]
ゲーム装置10は、光ディスク36から読み出したゲームプログラムを実行することによって、例えば、キャラクタを表すキャラクタオブジェクトが配置された3次元空間を所与の視点から見た画像を表示部32に表示する。
【0027】
以下では、短髪のキャラクタを表すキャラクタオブジェクトがゲーム空間(3次元空間)内を移動するゲーム(例えば、サッカーゲーム)が実行される場合について説明する。ゲームが開始されると、例えば、ゲーム空間40が、主記憶16に構築される。
【0028】
図2は、ゲーム空間40の一例を示す図である。図2に示すゲーム空間40は、互いに直交する3つの座標軸(Xw軸、Yw軸、及びZw軸)が設定された仮想的な3次元空間になっている。
【0029】
図2に示すように、ゲーム空間40には、地面を表すフィールドオブジェクト42が配置される。フィールドオブジェクト42上には、短髪のキャラクタを表すキャラクタオブジェクト44が配置される。なお、図2においては、各オブジェクトの形状が、簡略化されて表されている。
【0030】
ゲーム空間40に配置されるオブジェクトは、複数のポリゴンを含んで構成される。即ち、複数のポリゴンによって、各オブジェクトの立体形状が表現される。各オブジェクトに含まれるポリゴンの位置(頂点座標)は、例えば、ワールド座標系(Xw−Yw−Zw座標系)の3次元座標で特定される。
【0031】
図3は、キャラクタオブジェクト44のうちキャラクタの首から上の部位を表すオブジェクトのポリゴンを示す図である。図3に示すように、キャラクタオブジェクト44は、複数のポリゴンによってキャラクタの部位の凹凸が表現されている。例えば、目オブジェクト52、鼻オブジェクト54、口オブジェクト56、頭皮オブジェクト58等によって、キャラクタの顔の凸凹が表現されている。これらのオブジェクトには、例えば、キャラクタの顔(目、鼻、口、頭皮等)を表すテクスチャ画像がマッピングされることによって、キャラクタの顔が描かれる。
【0032】
また、本実施形態においては、キャラクタオブジェクト44は、毛髪オブジェクト60を含む。毛髪オブジェクト60は、キャラクタの頭部を表す位置に設定される。本実施形態において、キャラクタの頭部とは、キャラクタの首から上の部位のうち毛髪が生えている領域のことを示す。例えば、毛髪オブジェクト60は、図3に示すように、頭皮オブジェクト58を覆うように設定される。別の言い方をすれば、毛髪オブジェクト60は、頭皮オブジェクト58に隣接する位置に設定される。即ち、毛髪オブジェクト60は、頭皮オブジェクト58を覆う「かつら」のような役割を果たす。
【0033】
また、ゲーム空間40には、仮想カメラ46(視点)が設定される。表示部32には、ゲーム空間40を仮想カメラ46から見た様子を表す画像(ゲーム画面)が表示される。このゲーム画面は、ゲーム空間40に配置された各オブジェクトの頂点座標(ポリゴンの頂点座標)が、所定の座標変換演算を用いてワールド座標系からスクリーン座標系に座標変換されることによって生成される。
【0034】
図4は、ゲーム画面70に含まれるキャラクタ72の一例を示す図である。図4においては、模式的に、キャラクタの毛髪の色をドットで表し、キャラクタの肌の色を斜線で表している。例えば、各点に色が設定されたキャラクタオブジェクト44が座標変換されることによって、図4に示すゲーム画面70が生成される。
【0035】
本実施形態においては、短髪のキャラクタの毛髪をゲーム画面で表現する場合を想定する。即ち例えば、このキャラクタの毛髪オブジェクト60の各点の法線方向を、キャラクタの毛髪が生えている方向と想定する。そして、仮想カメラ46の視線方向と、毛髪オブジェクト60の法線方向(即ち、毛髪が生えている方向)と、のずれ具合によって、この毛髪オブジェクト60に設定される色が異なるようになっている。
【0036】
例えば、毛髪オブジェクト60の各点の色は、キャラクタの毛髪の色と頭皮の色を混ぜてなる色が設定される。例えば、毛髪オブジェクト60を構成するのポリゴンが仮想カメラ46の視線方向に対して垂直に近い関係にあるほど、毛髪に覆われた頭皮が見えるように、頭皮の色の混合比率が大きくなる(図4の領域72a,72b)。一方、毛髪オブジェクト60のポリゴンが仮想カメラ46の視線方向に対して水平に近いほど、キャラクタの毛髪に覆われた頭皮が見えにくいように、毛髪の色の混合比率を大きくなる(図4の領域72c)。
【0037】
したがって、本実施形態におけるゲーム装置10によれば、図4に示すように、キャラクタの毛髪に覆われた頭皮が見える様子を再現し、毛髪の描写のリアリティを向上させることができる。以降、この技術について詳細に説明する。
【0038】
[1−3.ゲーム装置において実現される機能]
図5は、ゲーム装置10で実現される機能のうち、本発明に関連する機能を示す機能ブロック図である。図5に示すように、ゲーム装置10は、ゲームデータ記憶部80、方向情報取得部82、色情報取得部84、及び表示制御部86を含む。
【0039】
[1−3−1.ゲームデータ記憶部]
ゲームデータ記憶部80は、例えば、主記憶16及び光ディスク36等を主として実現される。ゲームデータ記憶部80は、例えば、ゲームを実現するために必要なデータを記憶する。なお、制御部14は、ゲームデータ記憶部80に記憶されたデータを取得する手段として機能する。
【0040】
ゲームデータ記憶部80には、ゲームの現在の状況を示すゲーム状況データが記憶される。例えば、下記に示すようなデータが、ゲーム状況データに含まれる。
(1)ゲーム空間40に配置されるキャラクタオブジェクト44の位置(ポリゴンの頂点座標)を示すデータ
(2)仮想カメラ46の現在の状態(位置及び視線方向等)を示すデータ
【0041】
また、ゲームデータ記憶部80は、キャラクタオブジェクト44の色に関する情報を記憶する。例えば、ゲームデータ記憶部80は、キャラクタの顔を表す顔テクスチャ画像を記憶する。
【0042】
図6は、顔テクスチャ画像の一例を示す図である。図6に示す顔テクスチャ画像90には、例えば、目92、鼻94、口96、頭皮98等が描かれている。なお、図6では省略されているが、顔テクスチャ画像90には、例えば、キャラクタの耳等も描かれる。図6では、キャラクタの頭皮及び顔の皮膚の色を、模式的に斜線で示している。
【0043】
顔テクスチャ画像90の各部は、マッピングされるべきポリゴンの頂点座標と関連付けられている。例えば、顔テクスチャ画像90の目92の部分は、目オブジェクト52のポリゴンに関連付けられる。即ち、顔テクスチャ画像90の目92の部分は、目オブジェクト52のポリゴンにマッピングされる。同様に、顔テクスチャ画像90が表す他の部位についても、キャラクタオブジェクト44のポリゴンに関連付けられて、マッピングされる。
【0044】
また、本実施形態においては、キャラクタオブジェクト44の色に関する情報として、キャラクタの頭皮の色及び毛髪の色を識別する情報を記憶する。頭皮の色及び毛髪の色は、例えば、予め定められた色情報(例えば、RGB値を示す情報)である。なお、色を識別する情報と、この色を設定すべきポリゴンを特定する情報(例えば、頂点座標の情報)と、が対応付けられて記憶されていてもよい。
【0045】
[1−3−2.方向情報取得部]
方向情報取得部82は、制御部14を主として実現される。方向情報取得部82は、キャラクタオブジェクト44のうちキャラクタの頭部を表すオブジェクト(例えば、毛髪オブジェクト60)の各点に対応する法線方向に関する情報と、視点(例えば、仮想カメラ46)の視線方向に関する情報と、を取得する。方向情報取得部82は、例えば、ゲームデータ記憶部80に記憶されたゲーム状況データに基づいて、法線方向及び視線方向に関する情報を取得する。
【0046】
ここで、キャラクタの頭部を表すオブジェクトとは、キャラクタの首から上の部位のうち毛髪が生えている領域を表すオブジェクトである。即ち、キャラクタの頭部を表すオブジェクトは、キャラクタの毛髪を表す毛髪オブジェクト60と、キャラクタの頭皮を表す頭皮オブジェクト58と、を含んでなるものである。本実施形態においては、キャラクタの頭部を表すオブジェクトが、毛髪オブジェクト60である場合を説明する。
【0047】
また、オブジェクトの各点とは、オブジェクトの表面の点(例えば、ポリゴンの頂点や、頂点によって囲まれる点。)のことである。オブジェクトの各点に対応する法線方向とは、この点を含むポリゴンの法線方向のことである。本実施形態においては、方向情報取得部82が、毛髪オブジェクト60の各点の法線方向に関する情報を取得する場合を説明する。毛髪オブジェクト60の各点の法線方向に関する情報は、例えば、ポリゴンの各頂点を結んだベクトルの外積が算出されることによって取得される。
【0048】
図7は、仮想カメラ46と毛髪オブジェクト60との関係を示す図である。図7では、キャラクタオブジェクト44のうち毛髪オブジェクト60以外のものを破線で示している。例えば、図7に示す場合、キャラクタの側頭部付近のポリゴン60aの法線方向と仮想カメラ46の視線方向とのなす角は、キャラクタの頭頂部付近のポリゴン60bの法線方向と仮想カメラ46の視線方向とのなす角よりも180度に近い。
【0049】
別の言い方をすれば、毛髪オブジェクト60を構成するポリゴンのうち、キャラクタの側頭部付近のポリゴン60aは、仮想カメラ46の視線方向に対して垂直に近い関係になっている。一方、毛髪オブジェクト60を構成するポリゴンのうち、キャラクタの頭頂部付近のポリゴン60bは、仮想カメラ46の視線方向に対して垂直に近い関係ではない。
【0050】
なお、本実施形態においては、方向情報取得部82が、毛髪オブジェクト60の法線のベクトル情報と、仮想カメラ46の視線方向のベクトル情報と、を取得する場合を説明するが、方向情報取得部82が取得する情報は、これらの2つのベクトルに関する情報であればよい。他にも例えば、方向情報取得部82は、これらのなす角度を示す情報を取得するようにしてもよい。
【0051】
[1−3−3.色情報取得部]
色情報取得部84は、制御部14を主として実現される。色情報取得部84は、キャラクタ(例えば、キャラクタ)の毛髪の色に関する情報と、キャラクタの頭皮の色に関する情報と、を取得する。例えば、色情報取得部84は、ゲームデータ記憶部80の記憶内容を参照して、これらの情報を取得する。
【0052】
[1−3−4.表示制御部]
表示制御部86は、制御部14を主として実現される。表示制御部86は、方向情報取得部82が取得した情報及び色情報取得部84が取得した情報に基づいて画像(例えば、ゲーム画面70)を表示手段(例えば、表示部32)に表示させる。この表示手段(例えば、表示部32)に表示されるキャラクタの頭部を表すオブジェクト(例えば、毛髪オブジェクト60)の各点の色は、毛髪の色と頭皮の色とが混合されてなる色である。
【0053】
また、表示制御部86は、表示手段(例えば、表示部32)に表示されるキャラクタの頭部を表すオブジェクト(例えば、毛髪オブジェクト60)の各点の色を、当該点に対応する法線方向と、視線方向と、のなす角が180度に近いほど、毛髪の色の混合比率が小さくなり、かつ、頭皮の色の混合比率が大きくなるように変化させる。
【0054】
「法線方向と視線方向とのなす角が180度に近いほど」とは、「法線方向と視線方向とが逆方向を向いている(対向関係にある)ほど」と同じ意であり、「法線方向と視線方向とのずれが大きくなるほど」と同じ意である。即ち、キャラクタの頭部を表すオブジェクトに含まれるポリゴンの面が仮想カメラ46の視線方向に対して垂直に近いほど、毛髪の色の混合比率が小さくなり、かつ、頭皮の色の混合比率が大きくなる。
【0055】
また、「色の混合比率が小さくなる」又は「色の混合比率が大きくなる」とは、ゲーム画面70の画素における色の混合比率のことである。例えば、ゲーム画面70の画素のうち、キャラクタの毛髪を表す画素の色は、「毛髪の色*毛髪の色の混合比率+頭皮の色*頭皮の色の混合比率」として決定される。例えば、毛髪の色の混合比率は、0〜1の実数値となる。この場合、頭皮の色の混合比率は、例えば「1−毛髪の色の混合比率」である。
【0056】
本実施形態においては、毛髪オブジェクト60の各点の色が、毛髪の色と頭皮の色とが混合されてなる色に設定される場合について説明する。表示制御部86は、毛髪オブジェクト60の各点の色を、当該点に対応する法線方向と、視線方向と、のなす角が180度に近いほど、毛髪の色の混合比率が小さくなり、かつ、頭皮の色の混合比率が大きくなるように変化させる。
【0057】
例えば、表示制御部86は、毛髪オブジェクト60の各点に対応する法線方向と仮想カメラ46の視線方向とのなす角を角度θとすると、「毛髪の色*(sinθ)+頭皮の色*(cosθ)」の式によって定まる色を、この点に設定する。このように定まる色を識別する情報は、毛髪オブジェクト60の各点の3次元座標と対応付けられて記憶される。
【0058】
なお、上記では、毛髪オブジェクト60の各点毎に色を決定する場合を説明したが、上記のように色が決定されるのは、毛髪オブジェクト60のポリゴンの頂点のみであってもよい。この場合、ポリゴンの頂点座標に囲まれた点(即ち、ポリゴン内部の点)は、頂点座標の色に基づいて定まる色(例えば、頂点座標の色と同じ色)が設定される。
【0059】
図8は、色が設定された毛髪オブジェクト60を示す図である。なお、図8においては、模式的に、キャラクタの毛髪の色を点(ドット)で表し、頭皮の色を斜線で表している。
【0060】
図8に示すように、毛髪オブジェクト60の各点に対応する法線方向と視線方向とのなす角が180度に近い領域(領域60a,60b)は、頭皮の色の割合が大きくなる。一方、毛髪オブジェクト60の各点に対応する法線方向と視線方向とのなす角が180度に近くない領域(領域60c)は、毛髪の色の割合が大きくなる。上記のように、毛髪オブジェクト60に、毛髪の色及び頭皮の色とが混合されてなる色が設定されることによって、図8のような色が設定される。
【0061】
なお、毛髪オブジェクト60の色の決定方法は、上記の例に限られない。即ち、毛髪オブジェクト60の色は、法線方向と仮想カメラ46の視線方向とのなす角度θが180度に近い点ほど、毛髪の色が薄くなり、かつ、頭皮の色が濃くなるようにすればよい。他にも例えば、角度θと、頭皮の色及び毛髪の色の割合が対応付けられたテーブルによって、毛髪オブジェクト60の色が決定されるようにしてよい。
【0062】
本実施形態においては、図8に示すように色が設定された毛髪オブジェクト60が、頭皮オブジェクト58を覆うように配置される。別の言い方をすれば、短髪のカツラを表すオブジェクトが、スキンヘッドのキャラクタを表すオブジェクトに被さるように配置される。表示制御部86は、このように色及び配置位置が設定されたキャラクタオブジェクト44を仮想カメラ46から見た画像を生成して表示部32に表示させることになる。
【0063】
なお、表示部32に表示されるゲーム画面70には、ゲーム空間40に配置されるオブジェクトの表面のうち、仮想カメラ46の方を向いている点(ポリゴン)が表示される。即ち、ゲーム空間40に配置されるオブジェクトの各点に対応する法線と、視線方向と、のなす角が、例えば、90度以上180度以下となる点がゲーム画面70に含まれることになる。別の言い方をすれば、上記のなす角が90度未満の点は、仮想カメラ46の方を向いていないので、この点はゲーム画面70に表示されない。
【0064】
[1−4.ゲーム装置において実行される処理]
次に、ゲーム装置10で実行される処理について説明する。図9は、ゲーム装置10が所定時間(例えば、1/60秒)ごとに実行する処理を示すフロー図である。制御部14が、光ディスク36に記憶されたプログラムに従って、図9に示す処理を実行する。
【0065】
まず、制御部14は、仮想カメラ46の視野内にキャラクタの頭部が含まれるか否かを判定する(S101)。例えば、S101においては、ゲーム状況データが参照され、仮想カメラ46の視界を示す視錘台の内部に、キャラクタオブジェクト44の頭皮オブジェクト58又は毛髪オブジェクト60のポリゴンの頂点座標が含まれるか否かが判定される。
【0066】
仮想カメラ46の視界内にキャラクタの頭部が含まれていない場合(S101;N)、制御部14は、後述するS102〜S105の処理をせずに、S106において、仮想カメラ46からゲーム空間40を見た様子を示す画像を表示部32に表示させる。
【0067】
仮想カメラ46の視界内にキャラクタの頭部が含まれている場合(S101;Y)、制御部14は、ゲーム状況データを参照し、毛髪オブジェクト60の各点に対応する法線方向に関する情報と、仮想カメラ46の視線方向に関する情報と、を取得する(S102)。本実施形態においては、仮想カメラ46の視線方向に関する情報は、ゲーム状況データに格納されている。
【0068】
毛髪オブジェクト60の各点に対応する法線方向としては、例えば、S102において設定された毛髪オブジェクト60の各点が含まれるポリゴンの法線方向が用いられる。例えば、毛髪オブジェクト60の各点を囲っている頂点座標が参照され、この座標に基づいて各点に対応する法線方向が算出される。なお、法線方向は、ポリゴンを構成する頂点座標を結ぶベクトルの外積によって得られるようにしてもよいし、予めゲームデータ記憶部80等に記憶された法線マップ(毛髪オブジェクト60の各点の法線方向を定めてなるデータ。)に基づいて法線方向が取得されるようにしてもよい。
【0069】
制御部14は、キャラクタの毛髪の色に関する情報及び頭皮の色に関する情報を参照する(S103)。制御部14は、毛髪オブジェクト60の各点に対応する法線方向と仮想カメラ46の視線方向とに基づいて、毛髪オブジェクト60の各点の色を設定する(S104)。
【0070】
S104においては、例えば、毛髪オブジェクト60の各点の法線方向と仮想カメラ46の視線方向とのなす角度θが180度に近い点については、キャラクタの頭皮の色の割合が大きくなるように、キャラクタの頭皮の色が混合される。例えば、毛髪オブジェクト60のポリゴンの頂点の色が、「毛髪の色*(sinθ)+頭皮の色*(cosθ)」となるように、毛髪の色と頭皮の色との混合比率が変化する。
【0071】
なお、S104における色の設定方法は、上記の例に限られない。方向情報取得部82が取得した情報と、色情報取得部84が取得した情報と、に基づいて色が設定されるようにすればよい。
【0072】
次いで、制御部14は、顔テクスチャ画像90をキャラクタオブジェクト44にマッピングする(S105)。制御部14は、色が設定されたキャラクタオブジェクト44を仮想カメラ46から見たゲーム画面70を表示させる(S106)。S106において表示されるゲーム画面70は、図4に示すように、毛髪で覆われた頭皮が見えるようになっている。
【0073】
以上説明したゲーム装置10においては、キャラクタの毛髪の色が設定された毛髪オブジェクト60が、頭皮オブジェクト58を覆うように設定される。この毛髪オブジェクト60は、仮想カメラ46の視線方向に対して垂直の関係に近いポリゴンほど、毛髪の色の割合が小さく、かつ、頭皮の色の割合が大きくなっている。したがって、実施形態1のゲーム装置によれば、短髪のキャラクタの毛髪で覆われた頭皮が見える様子を表現することができるので、キャラクタの毛髪の描写のリアリティを向上させることができる。
【0074】
[2.実施形態2]
以下、実施形態2について説明する。実施形態1においては、キャラクタの頭皮の色と毛髪の色とを混ぜた色が設定された毛髪オブジェクト60が、頭皮オブジェクト58を覆うように配置される。毛髪で覆われた頭皮が見える様子は、方向情報取得部82が取得する情報及び色情報取得部84が取得する情報に基づいて表現されるようにすればよく、この様子の表現方法は、実施形態1の例に限られない。
【0075】
実施形態2においては、毛髪オブジェクト60に半透明度を設定することによって、毛髪で覆われた頭皮が見える様子を表現する。半透明度は、ポリゴンの透過具合を示す指標となるものである。本実施形態においては、半透明度は、0から1の間の実数で設定される。半透明度が1の場合、ポリゴンは透過しない。半透明度が0の場合、ポリゴンは完全に透過する。例えば、実施形態2においては、半透明度はポリゴン毎に決定され、毛髪オブジェクト60に含まれるポリゴンのうち、仮想カメラ46の方を向いているポリゴンは、半透明度が大きくなるようになっている。
【0076】
なお、実施形態2におけるゲーム装置10のハードウェア構成、及び、ゲーム装置10が実現する機能ブロック図は実施形態1と同様であるので、説明を省略する。また、実施形態2においても、実施形態1と同様に、頭皮オブジェクト58を覆うように毛髪オブジェクト60が設定される。
【0077】
[2−1.実施形態2の表示制御部]
実施形態2においては、毛髪オブジェクト60及び頭皮オブジェクト58の何れか一方に毛髪の色が設定され、他方に頭皮の色が設定される。例えば、表示制御部86は、色情報取得部84が取得した情報に基づいて、上記のように色を設定する。
【0078】
本実施形態では、毛髪オブジェクト60に毛髪の色が設定され、頭皮オブジェクト58に頭皮の色が設定される場合を説明する。なお、頭皮オブジェクト58には顔テクスチャ画像90の頭皮98がマッピングされるようにしてもよい。
【0079】
また、表示制御部86は、毛髪オブジェクト60の各点の半透明度を、当該点に対応する法線方向と、視線方向と、のなす角が180度に近いほど大きく又は小さくなるように変化させることによって、表示手段に表示される画像における毛髪の色の混合比率と頭皮の色の混合比率を変化させる。表示部32に表示されるゲーム画面70においてキャラクタの頭部を表す領域の色は、毛髪の色と頭皮の色とが混合されてなる色であり、毛髪オブジェクト60の半透明度が決定されることによって、頭皮オブジェクト58が見えるようになる。即ち、毛髪オブジェクト60の透明度に従って、ゲーム画面70における毛髪毛髪の色と頭皮の色との混合比率が変化することになる。
【0080】
即ち、表示制御部86が、毛髪オブジェクト60の各点の半透明度を小さくすると、ゲーム画面70において、毛髪オブジェクト60に設定された色(例えば、毛髪の色)が薄くなり、頭皮オブジェクト58に設定された色(例えば、頭皮の色)が濃くなる。一方、毛髪オブジェクト60の各点の半透明度を大きくすると、ゲーム画面70において、毛髪オブジェクト60に設定された色(例えば、毛髪の色)が濃くなり、頭皮オブジェクト58に設定された色(例えば、頭皮の色)が画面に薄くなる。
【0081】
例えば、毛髪オブジェクト60に毛髪の色が設定され、かつ、頭皮オブジェクトに頭皮の色が設定された場合、表示制御部86は、毛髪オブジェクト60の各点に対応する法線と、仮想カメラ46の視線方向と、のなす角が180度に近いほど、この点における毛髪オブジェクト60の各点が半透明になる程度が高まるようにする。
【0082】
例えば、毛髪オブジェクト60の半透明度が、毛髪オブジェクト60の各点に対応する法線方向と仮想カメラ46の視線方向とのなす角θに基づいて決定される。即ち、角度θが180度に近づくほど、この点の半透明度が小さくなるように(より透明になるように)設定される。例えば、毛髪オブジェクト60の各点の半透明度は、(sinθ)となるように決定される。このようにして決定される毛髪オブジェクト60の各点の半透明度は、例えば、各点の3次元座標と対応付けられてゲームデータ記憶部80に記憶される。
【0083】
なお、毛髪オブジェクト60の半透明度は、方向情報取得部82が取得した情報に基づいて決定されるようにすればよく、この決定方法は、上記の例に限られない。他にも例えば、方向情報取得部82が取得した情報を、所定の計算式に代入することによって半透明度が導出されるようにしてもよい。
【0084】
また、上記では、毛髪オブジェクト60の各点の半透明度を決定する場合を説明したが、半透明度が決定されるのは、毛髪オブジェクト60のポリゴンの頂点のみであってもよい。別の言い方をすれば、毛髪オブジェクト60の各点毎ではなく、各ポリゴン毎に半透明度が決定されるようにしてもよい。この場合、毛髪オブジェクト60の各点のうち、ポリゴンの頂点に囲まれる点については、頂点の半透明度が使用されることになる。
【0085】
表示制御部86は、上記のように決定された毛髪オブジェクト60の半透明度に基づいて画像の表示制御を行う。即ち例えば、ゲーム画面に表示されるキャラクタの頭部の色が、「毛髪の色*毛髪オブジェクト60の各点の半透明度+頭皮の色*(1−毛髪オブジェクトの各点60の半透明度)」となるように決定される。
【0086】
[2−2.実施形態2のゲーム装置において実行される処理]
図10は、ゲーム装置10が所定時間(例えば、1/60秒)ごとに実行する処理を示すフロー図である。図10に示す処理は、実施形態1の図9に示す処理に対応する。
【0087】
S201〜S203は、それぞれS101〜S103と同様であるので、説明を省略する。
【0088】
制御部14は、毛髪オブジェクト60の各点に毛髪の色を設定する(S204)。S204においては、実施形態1のS104とは異なり、毛髪の色が、そのまま毛髪オブジェクト60に設定される。
【0089】
制御部14は、頭皮オブジェクト58の各点に頭皮の色を設定する(S205)。なお、S205の処理に代えて、S105と同様に顔テクスチャ画像90がキャラクタオブジェクト44にマッピングされてもよい。即ち、頭皮98が頭皮オブジェクト58にマッピングされるようにしてもよい。
【0090】
制御部14は、S202で取得した情報に基づいて、毛髪オブジェクト60の各点の半透明度を決定する(S206)。例えば、毛髪オブジェクト60の各点に対応するの法線方向と、仮想カメラ46の視線方向と、のなす角が算出され、この角度に基づいて半透明度が決定される。
【0091】
制御部14は、S206において決定された半透明度に基づいて表示部32にゲーム画面70を表示させる(S207)。即ち、毛髪の色が設定された毛髪オブジェクト60をS206において決定された半透明度に基づいて透過させた様子を仮想カメラ46から見た画像が表示部32に表示される。
【0092】
実施形態2のゲーム装置10によれば、毛髪オブジェクト60の各点の法線方向と、仮想カメラ46の視線方向と、に基づいて毛髪オブジェクト60の各点の半透明度が決定される。その結果、上記の法線方向と視線方向とのなす角が180度に近い点ほど、ゲーム画面70における毛髪の色の混合比率が小さくなり、かつ、頭皮の色の混合比率が大きくなるので、キャラクタの毛髪に覆われた頭皮が見えるようになる。
【0093】
なお、本実施形態においては、頭皮オブジェクト58に頭皮の色が設定され、毛髪オブジェクト60に毛髪の色が設定されるようにしたが、頭皮オブジェクト58に毛髪の色が設定され、毛髪オブジェクト60に頭皮の色が設定されるようにしてもよい。
【0094】
毛髪オブジェクト60に頭皮の色が設定され、かつ、頭皮オブジェクト58に毛髪の色が設定された場合、表示制御部86は、毛髪オブジェクト60の各点に対応する法線方向と仮想カメラ46の視線方向とのなす角が180度に近いほど、この点における毛髪オブジェクト60の半透明度が低くなるようにする。
【0095】
この場合、毛髪オブジェクト60の半透明度が、毛髪オブジェクト60の各点に対応する法線方向と仮想カメラ46の視線方向とのなす角θとする)に基づいて決定される。即ち、角度θが180度に近づくほど、半透明度が小さくなるように設定される。例えば、毛髪オブジェクト60の半透明度は、(cosθ)となるように決定される。
【0096】
また、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、実施形態1及び実施形態2を組み合わせてもよい。即ち、実施形態2のS204においても、実施形態1と同様に毛髪オブジェクト60のポリゴンの向きを考慮して、毛髪オブジェクト60にキャラクタの頭皮の色を混ぜるようにしてもよい。
【0097】
[3.変形例]
(1)また、キャラクタの毛髪の長さを考慮して、キャラクタの頭皮の見え具合を調整するようにしてもよい。即ち、同じ坊主頭のキャラクタであっても、毛髪が比較的短いキャラクタについては、頭皮の見え具合を大きくさせ、毛髪が比較的長いキャラクタについては、頭皮の見え具合を小さくさせるようにしてもよい。
【0098】
この場合、ゲームデータ記憶部80は、キャラクタの毛髪の長さに関する情報を記憶する。例えば、キャラクタを識別する情報と、このキャラクタの毛髪の長さを識別するパラメータと、が関連付けて記憶される。
【0099】
即ち、表示制御部86は、毛髪オブジェクト60の各点に対応する法線方向と、仮想カメラ46の視線方向と、キャラクタの毛髪の長さに関する情報と、に基づいて毛髪の色の混合比率及び頭皮の色の混合比率を変化させる。例えば、表示制御部86は、キャラクタの毛髪の長さに関する情報に基づいて、キャラクタの毛髪の長さが長くなるほど、毛髪の色の混合比率が大きくなり、かつ、頭皮の色の混合比率が小さくなるように変化させる。
【0100】
例えば、表示制御部86は、まず、実施形態と同様の方法で毛髪の色と頭皮の色の仮の混合比率を算出する。毛髪の色の仮の混合比率をαとし、頭皮の色の仮の混合比率を1−αとすると、キャラクタの毛髪の長さが基準よりも長い場合、毛髪の色の混合比率をα+0.1(1以上になった場合は1とする。)とし、頭皮の色の混合比率を0.9−α(0以下になった場合は0とする。)とする。一方、キャラクタの毛髪の長さが基準よりも短い場合、毛髪の色の混合比率をα―0.1(0以下になった場合は0とする。)とし、頭皮の色の混合比率を1.1−α(1以上になった場合は1とする。)とする。
【0101】
なお、表示制御部86は、キャラクタの毛髪が長くなるほど、毛髪の色の割合が大きくなるようにすればよく、キャラクタの頭部の色の決定方法は、上記の例に限られない。例えば、法線方向と視線方向とのなす角と、キャラクタの毛髪の長さと、毛髪の色の混合比率及び頭皮の色の混合比率と、が対応付けられて記憶されていてもよい。
【0102】
このようにすることによって、例えば、短髪のキャラクタであっても、比較的毛髪の短いキャラクタの頭皮が見えやすくなり、比較的毛髪の長いキャラクタの頭皮が見えにくくなる様子を表現することができる。
【0103】
(2)また、上記では、毛髪オブジェクト60が設定される場合を説明したが、実施形態1においては、毛髪オブジェクト60を設定せずに、同様の表示制御が行われるようにしてもよい。この場合、頭皮オブジェクト58に、直接、毛髪の色及び頭皮の色が混同されてなる色が設定されることになる。即ち例えば、頭皮オブジェクト58に、毛髪の色と頭皮の色とが混合された色が設定されることになる。
【0104】
(3)また、毛髪の色及び頭皮の色に関する情報として、それぞれの色情報を記憶しておく場合を説明したが、毛髪を表すテクスチャ画像や、頭皮を表すテクスチャ画像を用意しておくことによって、毛髪の色及び頭皮の色に関する情報が取得されるようにしてもよい。
【0105】
(4)また例えば、本発明に係る処理によって頭部が描画されるのは、人間のキャラクタに限られない。他にも例えば、毛髪が直線状に生えている動物を模したキャラクタの毛髪に覆われた頭皮が透けて見える様子を表現するようにしてもよい。
【0106】
(5)また例えば、本発明に係る画像処理装置は、キャラクタオブジェクトが配置された3次元空間を所与の視点から見た画像を表示する装置であればよく、ゲーム装置以外の装置にも、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0107】
10 ゲーム装置、11 家庭用ゲーム機、12 バス、14 制御部、16 主記憶、18 画像処理部、20 入出力処理部、22 音声処理部、24 光ディスク再生部、26 ハードディスク、28 通信インタフェース、30 コントローラ、32 表示部、34 音声出力部、36 光ディスク、40 ゲーム空間、42 フィールドオブジェクト、44 キャラクタオブジェクト、46 仮想カメラ、52 目オブジェクト、54 鼻オブジェクト、56 口オブジェクト、58 頭皮オブジェクト、60 毛髪オブジェクト、70 ゲーム画面、80 ゲームデータ記憶部、82 方向情報取得部、84 色情報取得部、86 表示制御部、90 顔テクスチャ画像、92 目、94 鼻、96 口、98 頭皮。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャラクタを表すキャラクタオブジェクトが配置された3次元空間を所与の視点から見た画像を表示手段に表示する画像処理装置であって、
前記キャラクタオブジェクトのうち前記キャラクタの頭部を表すオブジェクトの各点に対応する法線方向に関する情報と、前記視点の視線方向に関する情報と、を取得する方向情報取得手段と、
前記キャラクタの毛髪の色に関する情報と、前記キャラクタの頭皮の色に関する情報と、を取得する色情報取得手段と、
前記方向情報取得手段が取得した情報及び前記色情報取得手段が取得した情報に基づいて前記画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を含み、
前記表示手段に表示される前記キャラクタの頭部を表すオブジェクトの各点の色は、前記毛髪の色と前記頭皮の色とが混合されてなる色であり、
前記表示制御手段は、前記表示手段に表示される前記キャラクタの頭部を表すオブジェクトの各点の色を、当該点に対応する法線方向と、前記視線方向と、のなす角が180度に近いほど、前記毛髪の色の混合比率が小さくなり、かつ、前記頭皮の色の混合比率が大きくなるように変化させる、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記キャラクタの頭部を表すオブジェクトは、前記キャラクタの毛髪を表す毛髪オブジェクトと、前記キャラクタの頭皮を表す頭皮オブジェクトと、を含んでなるものであって、
前記毛髪オブジェクトは、前記頭皮オブジェクトを覆うように設定され、
前記方向情報取得手段は、前記毛髪オブジェクトの各点に対応する法線方向に関する情報と、前記視点の視線方向に関する情報と、を取得し、
前記毛髪オブジェクトの各点の色は、前記毛髪の色と前記頭皮の色とが混合されてなる色に設定され、
前記表示制御手段は、前記毛髪オブジェクトの各点の色を、当該点に対応する法線方向と、前記視線方向と、のなす角が180度に近いほど、前記毛髪の色の混合比率が小さくなり、かつ、前記頭皮の色の混合比率が大きくなるように変化させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記キャラクタの頭部を表すオブジェクトは、前記キャラクタの毛髪を表す毛髪オブジェクトと、前記キャラクタの頭皮を表す頭皮オブジェクトと、を含んでなるものであって、
前記毛髪オブジェクトは、前記頭皮オブジェクトを覆うように設定され、
前記方向情報取得手段は、前記毛髪オブジェクトの各点に対応する法線方向に関する情報と、前記視点の視線方向に関する情報と、を取得し、
前記毛髪オブジェクト及び前記頭皮オブジェクトの何れか一方の各点の色は前記毛髪の色に設定され、他方の各点の色は前記頭皮の色に設定され、
前記表示制御手段は、前記毛髪オブジェクトの各点の半透明度を、当該点に対応する法線方向と、前記視線方向と、のなす角が180度に近いほど大きく又は小さくなるように変化させることによって、前記表示手段に表示される前記画像における前記毛髪の色の混合比率と前記頭皮の色の混合比率とを変化させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
キャラクタを表すキャラクタオブジェクトが配置された3次元空間を所与の視点から見た画像を表示手段に表示する画像処理装置の制御方法であって、
前記キャラクタオブジェクトのうち前記キャラクタの頭部を表すオブジェクトの各点に対応する法線方向に関する情報と、前記視点の視線方向に関する情報と、を取得する方向情報取得ステップと、
前記キャラクタの毛髪の色に関する情報と、前記キャラクタの頭皮の色に関する情報と、を取得する色情報取得ステップと、
前記方向情報取得ステップにより取得された情報及び前記色情報取得ステップにより取得された情報に基づいて前記画像を前記表示手段に表示させる表示制御ステップと、
を含み、
前記表示手段に表示される前記キャラクタの頭部を表すオブジェクトの各点の色は、前記毛髪の色と前記頭皮の色とが混合されてなる色であり、
前記表示制御ステップにおいては、前記表示手段に表示される前記キャラクタの頭部を表すオブジェクトの各点の色が、当該点に対応する法線方向と、前記視線方向と、のなす角が180度に近いほど、前記毛髪の色の混合比率が小さくなり、かつ、前記頭皮の色の混合比率が大きくなるように変化される、
ことを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項5】
キャラクタを表すキャラクタオブジェクトが配置された3次元空間を所与の視点から見た画像を表示手段に表示する画像処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記キャラクタオブジェクトのうち前記キャラクタの頭部を表すオブジェクトの各点に対応する法線方向に関する情報と、前記視点の視線方向に関する情報と、を取得する方向情報取得手段、
前記キャラクタの毛髪の色に関する情報と、前記キャラクタの頭皮の色に関する情報と、を取得する色情報取得手段、
前記方向情報取得手段が取得した情報及び前記色情報取得手段が取得した情報に基づいて前記画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段、
を含み、
前記表示手段に表示される前記キャラクタの頭部を表すオブジェクトの各点の色は、前記毛髪の色と前記頭皮の色とが混合されてなる色であり、
前記表示制御手段は、前記表示手段に表示される前記キャラクタの頭部を表すオブジェクトの各点の色を、当該点に対応する法線方向と、前記視線方向と、のなす角が180度に近いほど、前記毛髪の色の混合比率が小さくなり、かつ、前記頭皮の色の混合比率が大きくなるように変化させる、
画像処理装置として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−59052(P2012−59052A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202190(P2010−202190)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】