説明

画像処理装置、画像形成装置およびプログラム

【課題】複数の色を用いて作成され且つ修飾が施された画像における色の違いを色弱者が認識しやすくすること。
【解決手段】制御部31は、取得された画像データが表す画像において、特定の色の範囲に該当する領域を抽出し、当該画像に施された修飾を抽出する。制御部31は、記憶部32に記憶された種類の修飾が抽出された場合に、記憶部32に記憶された種類のうち、抽出された修飾に該当しない種類を表示部34に表示し、表示された種類のうち1または複数の種類の指定を受け付ける。制御部31は、指定された種類の修飾を施した画像を表す画像データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
色弱者は特定の範囲の色を認識しにくい。複数の色を用いて作成された文書で色弱者が認識しにくい色が用いられている場合、この文書の作成者がその色を用いた意図が色弱者に伝わりにくくなる。そこで、文書で用いられている複数の色のうち、色弱者が認識しにくい色を色弱者が認識しやすい色に変更する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−80118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、複数の色を用いて作成され且つ修飾が施された画像における色の違いを色弱者が認識しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、色空間における特定の色の範囲を記憶する色記憶手段と、画像に施す修飾の種類を複数記憶する修飾記憶手段と、画像データを取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された画像データが表す画像において、前記色記憶手段に記憶された範囲に該当する領域を抽出する領域抽出手段と、前記取得手段によって取得された画像データが表す画像に施された修飾を抽出する修飾抽出手段と、前記修飾記憶手段に記憶された種類の修飾が前記修飾抽出手段によって抽出された場合に、前記修飾記憶手段に記憶された種類のうち、前記修飾抽出手段によって抽出された修飾に該当しない種類から選択された種類を表す修飾情報を取得する修飾情報取得手段と、前記領域抽出手段によって抽出された領域に対して前記修飾情報取得手段によって取得された修飾情報が表す種類の修飾を施した画像を表す画像データを生成する生成手段とを備えることを特徴とする画像処理装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、前記修飾記憶手段に記憶された種類の修飾が前記修飾抽出手段によって抽出された場合に、前記修飾記憶手段に記憶された種類のうち、前記修飾抽出手段によって抽出された修飾に該当しない種類を提示する提示手段と、前記提示手段によって提示された種類のうち1または複数の種類の指定を受け付ける指定手段とを備え、前記修飾情報取得手段が、前記指定手段によって指定された種類を表す情報を修飾情報として取得することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
【0007】
請求項3に係る発明は、前記取得手段によって取得された画像データが表す画像に施す修飾の種類の指定を受け付ける第2の指定手段と、当該画像において、前記第2の指定手段によって指定された種類の修飾を抽出する第2の修飾抽出手段とを備え、前記第2の指定手段によって指定された種類の修飾が前記第2の修飾抽出手段によって抽出された場合に、前記提示手段が、前記修飾記憶手段に記憶された種類のうち、前記修飾抽出手段および前記第2の修飾抽出手段によって抽出された修飾に該当しない種類を提示することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置である。
【0008】
請求項4に係る発明は、前記修飾記憶手段に記憶された各種類の優先順位を記憶する順位記憶手段と、前記修飾記憶手段に記憶された種類の修飾が前記修飾抽出手段によって抽出された場合に、前記修飾記憶手段に記憶された種類のうち、前記修飾抽出手段によって抽出された修飾に該当しない種類から、1または複数の種類を前記優先順位に基づいて選択する選択手段を備え、前記修飾情報取得手段が、前記選択手段によって選択された種類を表す情報を修飾情報として取得することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
【0009】
請求項5に係る発明は、前記取得手段によって取得された画像データが表す画像に施す修飾の種類の指定を受け付ける第2の指定手段と、当該画像において、前記第2の指定手段によって指定された種類の修飾を抽出する第2の修飾抽出手段とを備え、前記第2の指定手段によって指定された種類の修飾が前記第2の修飾抽出手段によって抽出された場合に、前記選択手段が、前記修飾記憶手段に記憶された種類のうち、前記修飾抽出手段および前記第2の修飾抽出手段によって抽出された修飾に該当しない種類から、1または複数の種類を前記優先順位に基づいて選択することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置である。
【0010】
請求項6に係る発明は、前記生成手段が、前記領域抽出手段によって抽出された領域に対して前記修飾情報取得手段によって取得された修飾情報が表す種類の修飾を施した画像と、当該修飾の施された領域の色が何色であるかを表す画像とを表す画像データを生成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理装置である。
【0011】
請求項7に係る発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の画像処理装置と、当該画像処理装置によって生成された画像データが表す画像を記録用紙に形成する画像形成手段とを備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0012】
請求項8に係る発明は、コンピュータを、色空間における特定の色の範囲を記憶する色記憶手段と、画像に施す修飾の種類を複数記憶する修飾記憶手段と、画像データを取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された画像データが表す画像において、前記色記憶手段に記憶された範囲に該当する領域を抽出する領域抽出手段と、前記取得手段によって取得された画像データが表す画像に施された修飾を抽出する修飾抽出手段と、前記修飾記憶手段に記憶された種類の修飾が前記修飾抽出手段によって抽出された場合に、前記修飾記憶手段に記憶された種類のうち、前記修飾抽出手段によって抽出された修飾に該当しない種類から選択された種類を表す修飾情報を取得する修飾情報取得手段と、前記領域抽出手段によって抽出された領域に対して前記修飾情報取得手段によって取得された修飾情報が表す種類の修飾を施した画像を表す画像データを生成する生成手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、複数の色を用いて作成され且つ修飾が施された画像における色の違いを色弱者が認識しやすくなる。
請求項2に係る発明によれば、画像中に既に存在する修飾と重複しない範囲で使用者が所望の修飾を選択することができる。
請求項3に係る発明によれば、使用者が選択した修飾が画像中で既に使用されている場合に、使用者が修飾を選択し直すことができる。
請求項4に係る発明によれば、使用者が画像に施す修飾を選択する手間を省くことができる。
請求項5に係る発明によれば、使用者が選択した修飾が画像中で既に使用されている場合に、使用者が修飾を選択し直す手間を省くことができる。
請求項6に係る発明によれば、画像中で使用された色が何色であるかを色弱者が認識することができる。
請求項7に係る発明によれば、複数の色を用いて作成され且つ修飾が施された画像における色の違いを色弱者が認識しやすい画像を形成することができる。
請求項8に係る発明によれば、複数の色を用いて作成され且つ修飾が施された画像における色の違いを色弱者が認識しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るシステムの全体構成を示す図である。
【図2】画像形成装置1の構成を示すブロック図である。
【図3】画像処理装置3の構成を示すブロック図である。
【図4】文字列の画像を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る処理のフローを示す図である。
【図6】ダイアログボックスを示す図である。
【図7】修飾の優先順位を示す図である。
【図8】第2実施形態に係る処理のフローを示す図である。
【図9】第3実施形態に係る処理のフローを示す図である。
【図10】第4実施形態に係る処理のフローを示す図である。
【図11】ダイアログボックスを示す図である。
【図12】棒グラフの画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(1)第1実施形態
(1−1)構成
図1は、本実施形態に係るシステムの全体構成を示す図である。
画像形成装置1と画像処理装置3とは、LAN(Local Area Network)等の通信手段2で接続されている。画像形成装置1は、複写、画像形成、画像読取等の機能を兼ね備えている。画像処理装置3は、例えばパーソナルコンピュータであり、各種の画像処理を行う機能を有する。画像処理装置3は、画像データを通信手段2経由で画像形成装置1に供給し、その画像データに応じた画像を形成するよう画像形成装置1に指示を与える機能を有する。なお、図1において1台の画像形成装置1と3台の画像処理装置3を図示しているが、通信手段2に接続される画像形成装置1や画像処理装置3の数はこれに限らない。
【0016】
図2は、画像形成装置1の構成を示したブロック図である。
画像形成装置1は、制御部11、記憶部12、操作部13、表示部14、通信部15、画像読取部16、および画像形成部17を備えている。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを備えており、CPUがROMや記憶部12に記憶されているプログラムを実行することによって画像形成装置1の各部を制御する。記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性の補助記憶装置であり、各種のプログラムやデータが記憶されている。操作部13は、複数のキーを備えており、使用者の操作を受け付けてその操作に応じた信号を制御部11に出力する。表示部14は、液晶表示画面および液晶駆動回路を備えており、制御部11から供給される情報に基づいて処理の進行状況や使用者に操作を案内する情報などを表示する。通信部15は、通信インタフェースを備えており、通信手段2を介して画像処理装置3と通信を行う。
【0017】
画像読取部16は、CCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子を備えており、記録用紙に形成されている画像を撮像素子によって読み取り、読み取った画像を表す画像データを生成する。画像形成部17は、像を保持する感光体ドラム、画像データに基づいて露光を行うことにより感光体ドラム上に静電潜像を形成する露光部、静電潜像を現像してトナー像を形成する現像部、トナー像を記録用紙へ転写する転写部、および、記録用紙に転写されたトナー像を記録用紙に定着させる定着部を備えている。画像形成部17は、画像読取部16によって生成された画像データが表す画像、または、通信部15を介して受信した画像データが表す画像を記録用紙に形成する。画像形成部17は、画像処理装置によって生成された画像データが表す画像を記録用紙等の記録媒体に形成する画像形成手段の一例である。
【0018】
図3は、画像処理装置3の構成を示したブロック図である。
画像処理装置3は、制御部31、記憶部32、操作部33、表示部34および通信部35を備えている。制御部31は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを備えており、CPUがROMや記憶部32に記憶されているプログラムを実行することによって画像処理装置3の各部を制御する。操作部33は、キーボードおよびマウスを備えており、使用者の操作を受け付けて、その操作に応じた信号を制御部31に供給する。表示部34は、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示画面等の表示手段である。この表示部34は、制御部31から供給される画像データに基づいて各種の情報を表示する。通信部35は、通信回路や通信インタフェースを備えており、通信手段2を介して画像形成装置1と通信を行う。
【0019】
記憶部32は、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の補助記憶装置であり、各種のプログラムやデータが記憶されている。記憶部32には、文書作成アプリケーションプログラム321が記憶されている。制御部31は、文書作成アプリケーションプログラム321に記述された手順に従って、使用者の操作に応じて文字、図形、表などを配した文書を表す画像データをRAM上に作成する。制御部31は、画像データを取得する取得手段の一例である。
【0020】
また、記憶部32には、プリンタドライバ322が記憶されている。制御部31は、プリンタドライバ322に記述された手順に従って、文書作成アプリケーションプログラム321によって作成された画像データを画像形成装置1が解釈可能なページ記述言語で記述された画像データに変換する。このプリンタドライバ322には、RGB色空間における赤色の範囲が記述されている。本実施形態では、RGBの各色を256階調で表し、R=255、G=0乃至51、B=0乃至51を赤色の範囲とする。記憶部32は、色空間における特定の色の範囲を記憶する色記憶手段の一例である。
【0021】
また、プリンタドライバ322には、赤色の文字に施す修飾の種類が複数記述されている。修飾の種類は、網掛け、下線、色反転、太字、斜体等である。色反転は、文字を矩形で囲み、矩形内部を文字の色で塗りつぶし、文字の色を白色に変更する処理である。記憶部32は、画像に施す修飾の種類を複数記憶する修飾記憶手段の一例である。
【0022】
また、プリンタドライバ322には、文書作成アプリケーションプログラム321によって作成された画像データに対して制御部31が施す処理の手順が記述されている。この処理において、制御部31は、作成された画像データが表す画像における特定の色の範囲に該当する領域に対して修飾を施し、修飾の施された画像を表す画像データを生成する。
【0023】
(1−2)動作
使用者は、画像処理装置3に文書作成アプリケーションプログラム321を実行させ、表示部34に表示された画像を見ながら操作部33を操作して文書を作成する。使用者は、文書中で強調すべき文字がある場合には、その文字の色が赤色となるように操作部33によって画像処理装置3に指示を与える。図4(a)は、作成された文書の例である。この文書では、E、F、Gの3文字が赤色で表されており、その他の文字は黒色で表されている。また、A、Bの2文字には下線による修飾が施されており、Dの書体が斜体に変更されている。制御部31は、文書作成アプリケーションプログラム321に記述された手順に従って、使用者の操作に応じた画像データをRAM上に作成する。そして、作成した文書を印刷するように指示が与えられると、制御部31は、プリンタドライバ322を実行し、図5に示す処理を開始する。
【0024】
最初に、制御部31は、画像データが表す画像において赤色の文字を抽出する(ステップA01)。画像データには、図4(a)に示した各文字の色を指定する色情報(R、G、Bの階調値)が各文字を表す文字情報と対応付けて記述されている。制御部31は、この色情報と、プリンタドライバ322に記述されている赤色の範囲とを比較することによって赤色の文字を抽出する。図4(a)の例では、赤色の文字として、E、F、Gの3文字が抽出される。赤色の文字が抽出された場合には(ステップA01:Yes)、制御部31は、図6(a)に示すように、赤色の文字に対して修飾を施すか否かを使用者に決定させるためのダイアログボックス5を表示部34に表示する(ステップA02)。赤色の文字が抽出されなかった場合には(ステップA01:No)、ステップA08に進む。
制御部31は、取得手段によって取得された画像データが表す画像において、色記憶手段に記憶された範囲に該当する領域を抽出する領域抽出手段の一例である。
【0025】
ステップA02で表示されるダイアログボックス5にはラジオボタンR51、R52が設けられており、使用者が操作部33を操作することによってラジオボタンR51とR52のいずれか一方を指定することが可能である。「はい」に対応するラジオボタンR51を指定し、更に「OK」に対応するソフトボタンB53を押下すると(ステップA03:Yes)、制御部31は、ステップA04に進む。一方、使用者が「いいえ」に対応するラジオボタンR51を指定した上でソフトボタンB53を押下すると(ステップA03:No)、制御部31は、赤色の文字に対して修飾を施さずにステップA08に進む。
【0026】
ステップA04において、制御部31は、当該画像に施された修飾を抽出する。画像データには、図4(a)に示した各文字の書体や大きさを指定する情報とともに、各文字に対して施す修飾の種類が各文字と対応付けて記述されている。制御部31は、この修飾の種類を画像データから読み取る。図4(a)の例では、下線および斜体による修飾が抽出される。制御部31は、画像から修飾が抽出された場合には(ステップA04:Yes)、ステップA05に進む。修飾が抽出されなかった場合には(ステップA04:No)、ステップA06に進む。
制御部31は、取得手段によって取得された画像データが表す画像に施された修飾を抽出する修飾抽出手段の一例である。
【0027】
ステップA05において、制御部31は、図6(b)に示すように、警告を表すダイアログボックス6を表示部34に表示する。使用者が「OK」に対応するソフトボタンB61を押下すると、制御部31は、図6(c)に示すように、画像に施す修飾の種類を使用者に選択させるためのリストボックス71を設けたダイアログボックス7を表示部34に表示する(ステップA06)。
【0028】
リストボックス71には、プリンタドライバ322に記述された修飾の種類が表示されている。これらの種類のうち、ステップA04で抽出された下線および斜体は選択不能であり、下線および斜体以外の種類が選択可能な項目として表示される。また、下線および斜体以外の項目を複数選択することも可能である。また、修飾を使用しない場合には、「使用しない」を選択する。
制御部31は、修飾記憶手段に記憶された種類の修飾が修飾抽出手段によって抽出された場合に、修飾記憶手段に記憶された種類のうち、修飾抽出手段によって抽出された修飾に該当しない種類を提示する提示手段、提示手段によって提示された種類のうち1または複数の種類の指定を受け付ける指定手段、および、指定手段によって指定された種類を表す情報を修飾情報として取得する修飾情報取得手段の一例である。
【0029】
使用者がリストボックス71内の所望の種類を指定すると、制御部31は、ステップA07の処理に進む。制御部31は、ステップA06で指定された種類を表す情報をステップA01で抽出された文字と対応付けて画像データに書き込む。ステップA06で網掛けが指定されたとすると、制御部31は、網掛けを表す情報をE、F、Gの3文字と対応付けて画像データに書き込む。
制御部31は、領域抽出手段によって抽出された領域に対して修飾情報取得手段によって取得された修飾情報が表す種類の修飾を施した画像を表す画像データを生成する生成手段の一例である。
【0030】
ステップA08において、制御部31は、ステップA07で生成された画像データをページ記述言語で記述された画像データに変換し、この画像データと、この画像データに応じた画像を形成することを表す指示とを、通信手段2を介して画像形成装置1に送信する。
画像処理装置3から送信された画像データおよび指示を画像形成装置1の通信部15が受信すると、画像形成装置1の制御部11は、その画像データをビットマップ化し、ビットマップ化された画像データに対して2値化処理を施し、この画像データを画像形成部17に供給する。画像形成部17は、供給された画像データが表す画像を記録用紙に形成する。ステップA06において網掛けが指定されたので、図4(b)に示すように、E、F、Gの3文字に対して網掛けが施された画像が形成される。
【0031】
(2)第2実施形態
本実施形態は第1実施形態の一部を変形した実施形態である。ここでは、本実施形態の第1実施形態と異なる点について説明する。
プリンタドライバ322には、赤色の文字に施す修飾の種類が複数記述されている。修飾の種類には、予め優先順位が定められており、プリンタドライバ322には、例えば図7に示すように、修飾の種類と各種類の優先順位とが対応付けて記述されている。
制御部31は、修飾記憶手段に記憶された各種類の優先順位を記憶する順位記憶手段の一例である。
【0032】
次に、画像処理装置3の動作について説明する。
図8は、制御部31がプリンタドライバ322を実行することによって行う処理の手順を表す図である。ステップA01からA04までの処理の内容は第1実施形態と同一である。
ステップB06において、制御部31は、ステップA01で抽出された赤色の文字に施す修飾の種類をプリンタドライバ322に記述された優先順位に基づいて選択する。ステップA04で下線および斜体による修飾が抽出されているので、下線および斜体以外の種類から、優先順位の最も上位の種類を選択する。この場合、網掛けが選択される。なお、優先順位の最も上位の種類から順に複数の種類を選択するようにしてもよい。
制御部31は、修飾記憶手段に記憶された種類の修飾が修飾抽出手段によって抽出された場合に、修飾記憶手段に記憶された種類のうち、修飾抽出手段によって抽出された修飾に該当しない種類から、1または複数の種類を優先順位に基づいて選択する選択手段、および、選択手段によって選択された種類を表す情報を修飾情報として取得する修飾情報取得手段の一例である。
【0033】
ステップB06の処理が完了すると、制御部31は、ステップA07の処理に進む。ステップA07、A08の処理の内容は第1実施形態と同一である。ステップA06において網掛けが選択されたので、図4(b)に示すように、E、F、Gの3文字に対して網掛けが施された画像が形成される。なお、ステップA04で修飾が抽出されなかった場合には(ステップA04:No)、ステップA07において、予め定めた種類の修飾(例えば、下線)を赤色の文字に施す。
【0034】
(3)第3実施形態
本実施形態は第1実施形態の一部を変形した実施形態である。ここでは、本実施形態の第1実施形態と異なる点について説明する。
図7は、制御部31がプリンタドライバ322を実行することによって行う処理の手順を表す図である。ステップA01からA03までの処理の内容は第1実施形態と同一である。
【0035】
ステップC04において、制御部31は、画像に施す修飾の種類を使用者に選択させるためのリストボックス71を設けたダイアログボックス7を表示部34に表示する。リストボックス71には、プリンタドライバ322に記述されたすべての種類が選択可能な項目として表示される。
制御部31は、取得手段によって取得された画像データが表す画像に施す修飾の種類の指定を受け付ける第2の指定手段の一例である。
【0036】
使用者がリストボックス71内の所望の種類を指定すると、制御部31は、ステップC05の処理に進む。ここでは、使用者が下線を指定したとする。
ステップC05において、制御部31は、画像データが表す画像において、ステップC04で指定された種類の修飾を抽出する。具体的には、制御部31は、各文字に対応付けられた修飾の種類を画像データから読み取る。図4(a)の例では、下線および斜体による修飾が施されているから、修飾の種類として下線および斜体が抽出される。そして、抽出された種類がステップC04で指定された種類に該当するか否かを判定する。ステップC04で下線が指定されたので、抽出された下線がこれに該当する。
制御部31は、当該画像において、第2の指定手段によって指定された種類の修飾を抽出する第2の修飾抽出手段の一例である。
【0037】
制御部31は、ステップC04で指定された種類の修飾が抽出された場合には(ステップC05:Yes)、ステップC06に進む。ステップC04で指定された種類の修飾が抽出されなかった場合には(ステップC05:No)、ステップA07に進む。
ステップC06において、制御部31は、図6(b)に示すように、警告を表すダイアログボックス6を表示部34に表示する。使用者が「OK」に対応するソフトボタンB61を押下すると、制御部31は、図6(c)に示すように、画像に施す修飾の種類を使用者に選択させるためのリストボックス71を設けたダイアログボックス7を表示部34に表示する(ステップC07)。
【0038】
リストボックス71には、プリンタドライバ322に記述された修飾の種類が表示されている。これらの種類のうち、ステップC05で抽出された下線および斜体は選択不能であり、下線および斜体以外の種類が選択可能な項目として表示される。
制御部31は、第2の指定手段によって指定された種類の修飾が第2の修飾抽出手段によって抽出された場合に、修飾記憶手段に記憶された種類のうち、修飾抽出手段および第2の修飾抽出手段によって抽出された修飾に該当しない種類を提示する提示手段の一例である。
【0039】
使用者がリストボックス71内の所望の種類を指定すると、制御部31は、ステップA07の処理に進む。ステップA07、A08の処理の内容は第1実施形態と同一である。ステップC07で網掛けが指定されたとすると、図4(b)に示すように、E、F、Gの3文字に対して網掛けが施された画像が形成される。
【0040】
(4)第4実施形態
本実施形態は第3実施形態の一部を変形した実施形態である。ここでは、本実施形態の第3実施形態と異なる点について説明する。
プリンタドライバ322には、赤色の文字に施す修飾の種類が複数記述されている。修飾の種類には、予め優先順位が定められており、プリンタドライバ322には、例えば図7に示すように、修飾の種類と各種類の優先順位とが対応付けて記述されている。
制御部31は、修飾記憶手段に記憶された各種類の優先順位を記憶する順位記憶手段の一例である。
【0041】
次に、画像処理装置3の動作について説明する。
図10は、制御部31がプリンタドライバ322を実行することによって行う処理の手順を表す図である。ステップA01からC05までの処理の内容は第3実施形態と同一である。
ステップD07において、制御部31は、ステップA01で抽出された赤色の文字に施す修飾の種類をプリンタドライバ322に記述された優先順位に基づいて選択する。ステップC05で下線および斜体による修飾が抽出されているので、下線および斜体以外の種類から、優先順位の最も上位の種類を選択する。この場合、網掛けが選択される。なお、優先順位の最も上位の種類から順に複数の種類を選択するようにしてもよい。
制御部31は、第2の指定手段によって指定された種類の修飾が第2の修飾抽出手段によって抽出された場合に、修飾記憶手段に記憶された種類のうち、修飾抽出手段および第2の修飾抽出手段によって抽出された修飾に該当しない種類から、1または複数の種類を優先順位に基づいて選択する選択手段の一例である。
【0042】
ステップD07の処理が完了すると、制御部31は、ステップA07の処理に進む。ステップA07、A08の処理の内容は第1実施形態と同一である。
ステップD07において網掛けが選択されたので、図4(b)に示すように、E、F、Gの3文字に対して網掛けが施された画像が形成される。
【0043】
(5)変形例
以下に示す変形例は互いに組み合わせてもよい。
(変形例1)
第3実施形態のステップC06において、修飾の種類を使用者が選択するか、画像処理装置に選択させるか、使用者が最初に指定した修飾を施すか、これら3通りの選択肢からいずれかを使用者が選択できるようにしてもよい。例えば、第1実施形態のステップA05において、図11に示すダイアログボックス8を表示し、「自分で選択し直す」に対応するラジオボタンR81が指定されたならば、ステップC07以降の処理を実行し、「自動で選択し直す」に対応するラジオボタンR82が指定されたならば、第2実施形態のステップB06以降の処理を実行し、「そのまま出力」に対応するラジオボタンR83が指定されたならば、使用者がステップC04で指定した修飾を施すようにしてもよい。また、上記の3通りの選択肢のうち、いずれか2通りを選択できるようにしてもよい。
【0044】
(変形例2)
第1乃至第4実施形態において、制御部31が、修飾の施された文字の色が何色であるかを表す情報を画像に付加するようにしてもよい。例えば、図4(c)に示すように、網掛けを施した文字が赤色であることを示す凡例を余白に付加するようにしてもよい。
制御部31は、領域抽出手段によって抽出された領域に対して修飾情報取得手段によって取得された修飾情報が表す種類の修飾を施した画像と、当該修飾の施された領域の色が何色であるかを表す画像とを表す画像データを生成する生成手段の一例である。
【0045】
(変形例3)
上記の実施形態では、記憶部32に赤色の範囲を記憶させておき、この範囲に該当する文字に修飾を施す例を示したが、記憶部32に記憶させる色の範囲はいかなる範囲でもよい。色弱者は特定の範囲の色を認識しにくいため、黒色以外の特定の範囲の色で着色された文字列と黒色の文字列との色の違いを認識できない場合がある。従って、色弱者が認識しにくい色の範囲に応じて、記憶部32に記憶させる色の範囲を定めればよい。
なお、色弱者は、認識しにくい色の範囲の違いによっていくつかの類型に分類されるが、中でも赤色を認識しにくい色弱者の割合が比較的多いとされている。また、強調すべき文字列を黒色以外の色で着色する場合には一般に赤色が多用される。従って、特定の色の範囲として赤色の範囲を記憶部32に記憶させておくのが望ましい。
【0046】
(変形例4)
上記の実施形態においては、文字列を対象として修飾を施す例を示したが、修飾の対象は、図形や表などいかなる画像でもよい。図12は、棒グラフに対して修飾を施した例を示す図である。棒グラフG121は処理前のグラフである。このグラフにおいては、A支店に対応する棒が黒色、B支店に対応する棒が赤色、C支店に対応する棒が緑色で表されている。また、C支店に対応する棒を強調するためにこの棒の下方に三角形の図形が付加されている。
これに対して、処理後のグラフであるグラフG122では、B支店に対応する棒の下方に円形の図形が付加されており、さらに、この円形が赤色であることを表す凡例がグラフG122の右上隅に付加されている。
【0047】
(変形例5)
上記実施形態では、画像処理装置3の制御部31がプリンタドライバ322を実行することによって画像に修飾を施す例を示したが、これらの処理の手順を記述したプログラムを画像形成装置1の記憶部12に記憶させ、制御部11がこれらの処理を実行するようにしてもよい。このようにすれば、画像読取部16が読み取った画像を表す画像データが表す画像に対して修飾を施すことが可能となるので、記録用紙に形成された画像を複写する場合にも、修飾の施された画像を得ることができる。
また、上記の処理を実行するASIC(Application Specific Integrated Circuit)を画像処理装置3に実装してもよい。
【0048】
(変形例6)
上記の実施形態では、特定の色の範囲をRGB色空間における階調値で表した例を示したが、例えば色相(Hue)、彩度(Saturation)、輝度(Lightness)で色を表現するHLS色空間等、いかなる色空間で色の範囲を定義してもよい。
【0049】
(変形例7)
第1および第3実施形態では、記憶部32に記憶された種類のうち、画像から抽出された修飾に該当しない種類をリストボックス形式で表示部34に表示する例を示したが、画像から抽出された修飾に該当しない種類の各々に固有の識別番号を割り当てて、各種類を識別番号とともに読み上げる音声をスピーカから発し、使用者が所望の種類に対応する識別番号を画像処理装置3に入力するようにしてもよい。
【0050】
(変形例8)
併用が望ましくない修飾を対応付けて記憶部32に記憶させておき、この記憶内容に該当する修飾を使用しないようにしてもよい。例えば、表計算ソフトで作成した文書に下線を付加すると罫線と下線が重複して下線が目立ちにくくなる。また、背景が着色された文字に網掛けを付加すると網掛けが目立ちにくくなる。従って、罫線と下線、背景の着色と網掛け、等の組み合わせを表すテーブルを記憶部32に記憶させておき、制御部31が画像から抽出した構成要素が記憶部32に記憶されている場合に当該要素に対応付けられた修飾を選択しないようにすればよい。
【符号の説明】
【0051】
1…画像形成装置、11…制御部、12…記憶部、13…操作部、14…表示部、15…通信部、16…画像読取部、17…画像形成部、2…通信手段、3…画像処理装置、31…制御部、32…記憶部、321…文書作成アプリケーションプログラム、322…プリンタドライバ、33…操作部、34…表示部、35…通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色空間における特定の色の範囲を記憶する色記憶手段と、
画像に施す修飾の種類を複数記憶する修飾記憶手段と、
画像データを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された画像データが表す画像において、前記色記憶手段に記憶された範囲に該当する領域を抽出する領域抽出手段と、
前記取得手段によって取得された画像データが表す画像に施された修飾を抽出する修飾抽出手段と、
前記修飾記憶手段に記憶された種類の修飾が前記修飾抽出手段によって抽出された場合に、前記修飾記憶手段に記憶された種類のうち、前記修飾抽出手段によって抽出された修飾に該当しない種類から選択された種類を表す修飾情報を取得する修飾情報取得手段と、
前記領域抽出手段によって抽出された領域に対して前記修飾情報取得手段によって取得された修飾情報が表す種類の修飾を施した画像を表す画像データを生成する生成手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記修飾記憶手段に記憶された種類の修飾が前記修飾抽出手段によって抽出された場合に、前記修飾記憶手段に記憶された種類のうち、前記修飾抽出手段によって抽出された修飾に該当しない種類を提示する提示手段と、
前記提示手段によって提示された種類のうち1または複数の種類の指定を受け付ける指定手段と
を備え、
前記修飾情報取得手段が、前記指定手段によって指定された種類を表す情報を修飾情報として取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記取得手段によって取得された画像データが表す画像に施す修飾の種類の指定を受け付ける第2の指定手段と、
当該画像において、前記第2の指定手段によって指定された種類の修飾を抽出する第2の修飾抽出手段と
を備え、
前記第2の指定手段によって指定された種類の修飾が前記第2の修飾抽出手段によって抽出された場合に、前記提示手段が、前記修飾記憶手段に記憶された種類のうち、前記修飾抽出手段および前記第2の修飾抽出手段によって抽出された修飾に該当しない種類を提示する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記修飾記憶手段に記憶された各種類の優先順位を記憶する順位記憶手段と、
前記修飾記憶手段に記憶された種類の修飾が前記修飾抽出手段によって抽出された場合に、前記修飾記憶手段に記憶された種類のうち、前記修飾抽出手段によって抽出された修飾に該当しない種類から、1または複数の種類を前記優先順位に基づいて選択する選択手段を備え、
前記修飾情報取得手段が、前記選択手段によって選択された種類を表す情報を修飾情報として取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記取得手段によって取得された画像データが表す画像に施す修飾の種類の指定を受け付ける第2の指定手段と、
当該画像において、前記第2の指定手段によって指定された種類の修飾を抽出する第2の修飾抽出手段と
を備え、
前記第2の指定手段によって指定された種類の修飾が前記第2の修飾抽出手段によって抽出された場合に、前記選択手段が、前記修飾記憶手段に記憶された種類のうち、前記修飾抽出手段および前記第2の修飾抽出手段によって抽出された修飾に該当しない種類から、1または複数の種類を前記優先順位に基づいて選択する
ことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記生成手段が、前記領域抽出手段によって抽出された領域に対して前記修飾情報取得手段によって取得された修飾情報が表す種類の修飾を施した画像と、当該修飾の施された領域の色が何色であるかを表す画像とを表す画像データを生成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の画像処理装置と、
当該画像処理装置によって生成された画像データが表す画像を記録用紙に形成する画像形成手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
コンピュータを、
色空間における特定の色の範囲を記憶する色記憶手段と、
画像に施す修飾の種類を複数記憶する修飾記憶手段と、
画像データを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された画像データが表す画像において、前記色記憶手段に記憶された範囲に該当する領域を抽出する領域抽出手段と、
前記取得手段によって取得された画像データが表す画像に施された修飾を抽出する修飾抽出手段と、
前記修飾記憶手段に記憶された種類の修飾が前記修飾抽出手段によって抽出された場合に、前記修飾記憶手段に記憶された種類のうち、前記修飾抽出手段によって抽出された修飾に該当しない種類から選択された種類を表す修飾情報を取得する修飾情報取得手段と、
前記領域抽出手段によって抽出された領域に対して前記修飾情報取得手段によって取得された修飾情報が表す種類の修飾を施した画像を表す画像データを生成する生成手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−232737(P2010−232737A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75176(P2009−75176)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】