説明

画像処理装置およびこれを備えるプリンタ、画像処理装置の制御方法

【課題】 画像処理を施す際の処理時間の短縮を図る。
【解決手段】 印刷指示に係る画像ファイルに対応する事前収集情報として回転処理に用いる起点復元用情報や自動補正処理に用いる自動補正用パラメータが存在する場合にはデータバッファから読み込んで取得し(S100〜S120)、対応する事前収集情報が存在しない場合には事前収集情報取得処理を実行して事前収集情報を取得すると共に画像ファイルに関連付けてデータバッファに記憶し(S130)、こうして取得した事前収集情報を用いて画像ファイルに自動補正処理や回転処理を施して印刷する(S140〜250)。したがって、事前収集情報を一度取得した画像ファイルについては、この事前収集情報を用いて次回の自動補正処理や回転処理を施すことができる。この結果、画像処理を施す際の処理時間の短縮を図ることができると共に画像処理をより効率的に行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置およびこれを備えるプリンタ、画像処理装置の制御方法、画像処理装置用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像処理装置としては、入力された画像ファイルの中に人物の顔などのオブジェクトが含まれるか否かを検出し、この検出結果に基づいて画像内容を判定すると共に補正パラメータを設定して画像ファイルを補正するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−236110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の画像処理装置では、オブジェクトを検出する処理などは画像ファイル全体の画素情報などを取得して行なう必要があるから、処理時間の増大などを招いてしまう虞がある。一方、こうした画像処理装置をプリンタに適用する場合を考えると、こうした処理時間の増大は印刷開始までの待ち時間の増大に繋がるから、できるだけ処理時間の短縮や処理の効率化を図ることが望ましい。
【0004】
本発明の画像処理装置およびこれを備えるプリンタ、画像処理装置の制御方法、画像処理装置用プログラムは、画像ファイルに対して画像処理を施す際の処理時間の短縮を図ることを目的の一つとする。また、本発明の画像処理装置およびこれを備えるプリンタ、画像処理装置の制御方法、画像処理装置用プログラムは、画像処理をより効率的に行なうことを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の画像処理装置およびこれを備えるプリンタ、画像処理装置の制御方法、画像処理装置用プログラムは、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の画像処理装置は、
画像ファイルに所定の画像処理を施して出力する画像処理装置であって、
画像ファイルに所定の画像処理を施す際に用いられ該画像ファイルに基づいて収集可能な事前収集情報を該画像ファイルと関連付けて記憶する情報記憶手段と、
所定の記憶媒体に記憶されている画像ファイルの中から指定された画像ファイルに所定の画像処理を施す指示がなされたときに、該画像ファイルに関連する事前収集情報が前記情報記憶手段に存在しない場合には該画像ファイルに基づいて事前収集情報を収集し該収集した事前収集情報を該画像ファイルと関連付けて前記情報記憶手段に記憶させると共に該事前収集情報を用いて該画像ファイルに所定の画像処理を施して出力し、該画像ファイルに関連する事前収集情報が前記情報記憶手段に存在する場合には該事前収集情報を用いて該画像ファイルに所定の画像処理を施して出力する画像処理手段と、
を備えることを要旨とする。
【0007】
この本発明の画像処理装置では、画像ファイルに所定の画像処理を施す際に用いられる事前収集情報を画像ファイルと関連付けて情報記憶手段に記憶しておき、画像ファイルに対して所定の画像処理を施す指示がなされたときに、この画像ファイルに関連する事前収集情報が存在しない場合には画像ファイルに基づいて事前収集情報を収集して情報記憶手段に記憶させると共に所定の画像処理を施して出力し、画像ファイルに関連する事前収集情報が存在する場合にはこの事前収集情報を用いて所定の画像処理を施して出力する。したがって、事前収集情報を画像ファイルと関連付けて記憶しておくから、事前収集情報を一度収集した画像ファイルについては、この事前収集情報を用いて次回の画像処理を施すことができる。この結果、事前収集情報を収集する処理を繰り返し行なう必要がないから、画像ファイルに対して画像処理を施す際の処理時間の短縮を図ることができると共に画像処理をより効率的に行なうことができる。
【0008】
こうした本発明の画像処理装置において、所定タイミングで前記情報記憶手段に記憶されている前記事前収集情報をクリアする情報クリア手段を備えるものとすることもできる。こうすれば、不要な事前収集情報などをクリアすることができる。この場合、前記所定の記憶媒体は前記画像処理装置に着脱可能に装着されてなり、前記所定タイミングは前記所定の記憶媒体の取付け時および/または取外し時を含むものとすることもできる。こうすれば、着脱可能に装着された記憶媒体を取り付けたり取り外したりするタイミングで事前収集情報をクリアすることができる。なお「所定のタイミング」としては、この他、画像処理装置の電源をON/OFFするタイミングなどを挙げることができる。
【0009】
また、本発明の画像処理装置において、前記情報記憶手段は、前記画像ファイルの識別情報と前記事前収集情報の識別情報との対応関係を管理する対応関係管理テーブルを用いて該事前収集情報を該画像ファイルと関連付けて記憶する手段であるものとすることもできる。こうすれば、対応関係管理テーブルを用いて事前収集情報と画像ファイルとを関連付けることができる。この場合、前記画像ファイルの識別情報は、該画像ファイルの前記所定の記憶媒体における物理的な位置を示すアドレス情報であるものとしたり、前記事前収集情報の識別情報は、該事前収集情報の前記情報記憶手段における物理的な位置を示すアドレス情報であるものとしたりすることができる。こうすれば、画像ファイルや事前収集情報へのアクセス速度を向上させることができる。
【0010】
さらに、本発明の画像処理装置において、前記画像ファイルは所定方式で圧縮されてなり、前記事前収集情報は前記画像ファイルを先頭から順に復元することにより収集可能な情報であるものとすることもできる。こうすれば、画像ファイルを先頭から順に復元する処理を繰り返し行なう必要がないから、処理時間の短縮や処理の効率化という効果がより顕著に表れる。この場合、前記所定の画像処理は前記画像ファイルを先頭から順に復元して画素情報を取得し該取得した画素情報に基づいて該画像ファイルの特性を示す特性情報を演算し該演算した特性情報に基づいて補正用パラメータを計算し該計算した補正用パラメータに基づいて画素情報を変換するルックアップテーブルを生成し該生成したルックアップテーブルに基づいて該画像ファイルの画素情報を変換することにより該画像ファイルを補正する画像自動補正処理であり、前記事前収集情報は前記画素情報、前記特性情報、前記補正用パラメータ、前記ルックアップテーブルのいずれかであるものとしたり、前記所定の画像処理は前記画像ファイルを先頭から順に復元して該画像ファイルの所定位置を起点として該画像ファイルを復元するための起点復元用情報を取得し該取得した起点復元用情報に基づいて前記所定位置を起点として該画像ファイルを復元することにより所定の方向および角度で回転後の画像を上端から順に生成する回転画像生成処理であり、前記事前収集情報は前記起点復元用情報であるものとしたりすることができる。こうすれば、画像ファイルに対して画像自動補正処理や回転画像生成処理を施す際の処理時間の短縮を図ることができると共にこうした画像処理をより効率的に行なうことができる。
【0011】
こうした本発明の画像処理装置において、前記情報記憶手段は前記事前収集情報を前記画像ファイルと前記所定の画像処理の処理パターンとの組み合わせと関連付けて記憶する手段であり、前記所定の画像処理を施す指示は該所定の画像処理の処理パターンの指定を伴ってなされる指示であり、前記画像処理手段は前記画像ファイルと前記処理パターンとの組み合わせに関連する事前収集情報が前記情報記憶手段に存在しない場合には該画像ファイルと該処理パターンとに基づいて事前収集情報を収集し該収集した事前収集情報を該画像ファイルと該処理パターンとの組み合わせと関連付けて前記情報記憶手段に記憶させると共に該事前収集情報を用いて該画像ファイルに所定の画像処理を施して出力し該画像ファイルと該処理パターンとの組み合わせに関連する事前収集情報が前記情報記憶手段に存在する場合には該事前収集情報を用いて該画像ファイルに所定の画像処理を施して出力する手段であるものとすることもできる。こうすれば、事前収集情報が画像ファイルと処理パターンとの組み合わせに関連付けられる場合(即ち、所定の画像処理の処理パターンによって異なる事前収集情報となる場合)にも対応することができる。ここで「処理パターン」としては、例えば、所定の画像処理が画像自動補正処理の場合には画像ファイルを補正する処理の処理パターンなどが該当し、所定の画像処理が画像回転生成処理の場合には画像ファイルを回転する方向および角度のパターンなどが該当する。
【0012】
本発明のプリンタは、上述したいずれかの態様の本発明の画像処理装置と、該画像処理装置から出力される画像ファイルを印刷する印刷実行手段とを備えることを要旨とする。
【0013】
この本発明のプリンタでは、上述したいずれかの態様の本発明のプリンタを備えるから、本発明の画像処理装置が奏する効果、例えば、画像ファイルに対して画像処理を施す際の処理時間の短縮を図ることができる効果や画像処理をより効率的に行なうことができる効果などを奏することができる。
【0014】
本発明の画像処理装置の制御方法は、
情報を記憶する情報記憶手段を備える画像処理装置の制御方法であって、
所定の記憶媒体に記憶されている画像ファイルの中から指定された画像ファイルに所定の画像処理を施す指示がなされたときに、該画像ファイルに関連する事前収集情報が前記情報記憶手段に存在しない場合には該画像ファイルに基づいて事前収集情報を収集し該収集した事前収集情報を該画像ファイルと関連付けて前記情報記憶手段に記憶させると共に該事前収集情報を用いて該画像ファイルに所定の画像処理を施して出力し、該画像ファイルに関連する事前収集情報が前記情報記憶手段に存在する場合には該事前収集情報を用いて該画像ファイルに所定の画像処理を施して出力する、
ことを要旨とする。
【0015】
この本発明の画像処理装置の制御方法では、画像ファイルに所定の画像処理を施す際に用いられる事前収集情報を画像ファイルと関連付けて情報記憶手段に記憶しておき、画像ファイルに対して所定の画像処理を施す指示がなされたときに、この画像ファイルに関連する事前収集情報が存在しない場合には画像ファイルに基づいて事前収集情報を収集して情報記憶手段に記憶させると共に所定の画像処理を施して出力し、画像ファイルに関連する事前収集情報が存在する場合にはこの事前収集情報を用いて所定の画像処理を施して出力する。したがって、事前収集情報を画像ファイルと関連付けて記憶しておくから、事前収集情報を一度収集した画像ファイルについては、この事前収集情報を用いて次回の画像処理を施すことができる。この結果、事前収集情報を収集する処理を繰り返し行なう必要がないから、画像ファイルに対して画像処理を施す際の処理時間の短縮を図ることができると共に画像処理をより効率的に行なうことができる。
【0016】
本発明の画像処理装置用プログラムは、
情報を記憶する情報記憶手段を備える画像処理装置用のプログラムであって、
所定の記憶媒体に記憶されている画像ファイルの中から指定された画像ファイルに所定の画像処理を施す指示がなされたときに、該画像ファイルに関連する事前収集情報が前記情報記憶手段に存在しない場合には該画像ファイルに基づいて事前収集情報を収集し該収集した事前収集情報を該画像ファイルと関連付けて前記情報記憶手段に記憶させると共に該事前収集情報を用いて該画像ファイルに所定の画像処理を施して出力し、該画像ファイルに関連する事前収集情報が前記情報記憶手段に存在する場合には該事前収集情報を用いて該画像ファイルに所定の画像処理を施して出力する画像処理モジュール、
を備えることを要旨とする。
【0017】
この本発明の画像処理装置用プログラムでは、画像ファイルに所定の画像処理を施す際に用いられる事前収集情報を画像ファイルと関連付けて情報記憶手段に記憶しておき、画像ファイルに対して所定の画像処理を施す指示がなされたときに、この画像ファイルに関連する事前収集情報が存在しない場合には画像ファイルに基づいて事前収集情報を収集して情報記憶手段に記憶させると共に所定の画像処理を施して出力し、画像ファイルに関連する事前収集情報が存在する場合にはこの事前収集情報を用いて所定の画像処理を施して出力する。したがって、事前収集情報を画像ファイルと関連付けて記憶しておくから、事前収集情報を一度収集した画像ファイルについては、この事前収集情報を用いて次回の画像処理を施すことができる。この結果、事前収集情報を収集する処理を繰り返し行なう必要がないから、画像ファイルに対して画像処理を施す際の処理時間の短縮を図ることができると共に画像処理をより効率的に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0019】
図1は、本発明の一実施例としての画像処理装置を搭載したプリンタ20の構成の概略を示す構成図である。実施例のプリンタ20は、図示するように、装置全体を制御する制御部21と、着脱可能なメモリカードなどの記憶媒体30やデジタルスチルカメラ31,パーソナルコンピュータ32などとの接続を司るインタフェース部22と、記憶媒体30などから読み込んだ画像ファイルに対して各種の画像処理を施す画像処理部23と、データを一時的に記憶するデータバッファ24と、読み込んだ画像ファイルに色変換処理や二値化処理などを施して印刷データを生成する印刷データ生成部25と、生成された印刷データを蓄積するイメージバッファ26と、イメージバッファ26に蓄積された印刷データに基づいて印刷を実行するプリンタエンジン27とを備え、各色のインクを用紙に噴射して印刷を行なうインクジェットプリンタとして構成されている。画像処理部23では、記憶媒体30などに記憶されJPEG方式などで圧縮された画像ファイルを復元する処理なども行なわれる。JPEG方式の画像ファイルは、ブロック分割や離散コサイン変換(以下、DCTと略す)演算,量子化処理,ハフマン符号化などの工程を経て圧縮されている。こうしたJPEG方式の画像ファイルは一般的な画像ファイルであり、本発明の中核をなさないから、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0020】
次に、こうして構成されたプリンタ20の動作、特に、記憶媒体30などから読み込んだ画像ファイルに対して自動補正処理や回転処理を施して印刷する際の動作について説明する。図2は、自動補正処理と回転処理とを伴う印刷指示がなされたときに制御部21や画像処理部23,印刷データ生成部25などにより実行される画像回転印刷処理の一例を示すフローチャートである。こうした印刷指示がなされるケースとしては、例えば、プリンタ20の図示しない操作パネルなどを介して自動補正処理を施す設定がなされたり回転処理を要する印刷レイアウトが設定されたりして印刷指示がなされたときなどを挙げることができる。また、実施例では、画像ファイルを右方向に90°回転する場合を具体例として説明する。
【0021】
画像回転印刷処理では、まず、図示するように、印刷指示に係る画像ファイルに対応する事前収集情報として、画像ファイルの自動補正処理に用いる自動補正処理用パラメータや回転後の画像を上端から順に生成する処理に用いる起点復元用情報がデータバッファ24の事前収集情報格納領域に存在するか否かを判定する(ステップS100,S110)。事前収集情報の有無は、実施例では、データバッファ24に記憶された図3に例示する事前収集情報管理テーブルを用いて判定するものとした。事前収集情報管理テーブルでは、図示するように、記憶媒体30などに記憶されている各画像ファイルを識別するインデックスと、この画像ファイルの記憶媒体30上の物理的な位置を示す画像ファイルポインタと、起点復元用情報のデータバッファ24上の物理的な位置を示す起点復元用情報ポインタと、自動補正処理用パラメータのデータバッファ24上の物理的な位置を示す補正用パラメータポインタとを管理するように構成されている。これらの情報のうちインデックスおよび画像ファイルポインタは、プリンタ20の電源投入時や記憶媒体30などの取付け時などに、記憶媒体30などに記憶されている全ての画像ファイルを対象にインデックスを割り当てると共に画像ファイルポインタを取得して登録される。起点復元用情報ポインタや補正用パラメータポインタは、プリンタ20の電源投入時や記憶媒体30などの取付け時には空の値(Null値)が設定される。これは、データバッファ24の事前収集情報は、プリンタ20の電源オフ時や記憶媒体30などの取付け時/取外し時などにクリアされることに基づく。したがって、プリンタ20の電源を投入したり記憶媒体30などを取付けたりして最初に画像ファイルを印刷する際には、いずれの画像ファイルについても対応する事前収集情報は存在しないことになる。なお、起点復元用情報ポインタや補正用パラメータポインタを更新する処理については後述する。
【0022】
そして、起点復元用情報と自動補正処理用パラメータとが共にデータバッファ24に存在する場合には、事前収集情報管理テーブルの起点復元用情報ポインタや補正用パラメータポインタにより特定される起点復元用情報や自動補正処理用パラメータをデータバッファ24の事前収集情報格納領域から読み込んでデータバッファ24の作業用領域にコピーし(ステップS120)、起点復元用情報と自動補正処理用パラメータのいずれかが存在しない場合には、起点復元用情報や自動補正処理用パラメータを取得するための事前収集情報取得処理を実行する(ステップS130)。ここで、画像回転印刷処理の説明を中断し、図4に例示する事前収集情報取得処理について説明する。
【0023】
事前収集情報取得処理では、まず、図4に示すように、印刷指示に係る画像ファイルの1アクセス単位のデータを記憶媒体30などから読み込み(ステップS400)、読み込んだデータをハフマン解凍する処理を実行する(ステップS410)。ここで、アクセス単位とは、記憶媒体30などの仕様に応じて予め定められているデータの読込単位であり、例えば、フラッシュメモリにおけるセクタなどが該当する。また、図5に例示するように、JPEG方式で圧縮された画像ファイルの各ブロックのデータサイズはアクセス単位とは必ずしも一致せず、各ブロック間のデータサイズも異なるから、1ブロックのデータが複数のアクセス単位に跨ることがある。
【0024】
そして、1ブロック分のデータがハフマン解凍されるまでアクセス単位のデータを読み込んでハフマン解凍する処理を繰り返し実行し、1ブロック分のデータが解凍されると(ステップS420)、解凍されたデータ(ブロックの量子化DCT係数)に対して逆量子化処理を実行する(ステップS430)。逆量子化処理を実行することにより、ブロックのDCT係数が取得される。ここで、JPEG方式の画像ファイルでは、量子化DCT係数の量子化DC成分についてはブロック間の差分値がハフマン符号化されているから、ハフマン解凍により得られる量子化DC成分の差分値を累計することにより量子化DC成分が取得され、この量子化DC成分に逆量子化処理を施すことによりDC成分が取得される。
【0025】
次に、現在のブロックが起点ブロックであるか否かを判定する(ステップS440)。ここで、起点ブロックとは、画像ファイルを途中から復元する起点となるブロックであり、実施例では、画像を右方向に90°回転したときに上端となる左端のブロックを起点ブロックとした(図6参照)。
【0026】
そして、現在のブロックが起点ブロックである場合には、このブロックを起点として画像ファイルを復元するための起点復元用情報をデータバッファ24の作業用領域に記憶する(ステップS450)。起点復元用情報は、具体的には、起点ブロックのデータが開始されるアクセス単位の物理的な位置を示すファイルポインタと、このアクセス単位から起点ブロックのデータをハフマン解凍するための解凍中間情報と、起点ブロックのDC成分とにより構成される。図7は、解凍中間情報を概念的に説明するための説明図である。前述したように、各ブロックのデータサイズとアクセス単位とは必ずしも一致せず、各ブロック間のデータサイズも異なるから、起点ブロックのデータが開始されるアクセス単位には前のブロックのデータも含まれることになる。したがって、起点ブロックのデータをハフマン解凍するためには前のブロックのデータのハフマン解凍に関する情報(例えば、前のブロックのデータとしてハフマン解凍されたビット数など)が必要であり、こうした情報が解凍中間情報に該当する。
【0027】
続いて、ステップS430の逆量子化処理により取得したDCT係数に対して逆DCT演算処理を施してブロックの画素情報を取得すると共に(ステップS460)、取得した画素情報の色空間を変換する色変換処理を実行する(ステップS470)。ここで、色変換処理は、JPEG方式の画像ファイルで用いられるYCC色空間をRGB色空間に変換する処理である。
【0028】
こうしてRGB色空間に変換された画素情報が得られると、画像ファイル全体のRGB値の分布を示すヒストグラムを累計してデータバッファ24の作業用領域に記憶する(ステップS480)。なお、ヒストグラムを累計する対象とする画素は、適当なルールでサンプリングした画素としてもよい。
【0029】
次に、現在のブロックの画素から人物の顔などのオブジェクト領域を抽出してデータバッファ24の作業用領域に記憶する(ステップS490)。オブジェクト領域の抽出は、実施例では、現在のブロックの画素のうち肌色の画素からなる肌色領域を抽出するものとした。肌色領域の抽出は、肌色に相当するRGB値の範囲を予め定めておき、このRGB値の範囲内の画素を抽出することにより行なわれる。
【0030】
そして、現在のブロックが画像ファイルの最後のブロックでないときにはステップS400に戻り(ステップS500)、次のブロックについてステップS400〜S490の処理を繰り返し実行する。図8は、ステップS400〜S490の処理を繰り返し実行した際の起点復元用情報の一例を示す説明図である。図示するように、実施例では起点ブロックとして画像の左端のブロックが設定されているから、左端のブロックについての起点復元用情報(ファイルポインタと解凍中間情報とDC成分)が上のブロックから順に記憶されている。このように、画像ファイルを先頭から順に復元することにより、起点復元用情報やRGB値のヒストグラムを取得すると共にオブジェクト領域を抽出してデータバッファ24の作業用領域に記憶するのである。
【0031】
こうして画像ファイルの最後のブロックまでステップS400〜S490の処理を繰り返し実行すると、次に、ステップS490で抽出したオブジェクト領域に基づいて画像内容が人物画像であるか風景画像であるかを判定するオブジェクト認識処理を実行する(ステップS510)。オブジェクト認識処理は、各種のルールを適用することができ、実施例では、画像全体に対するオブジェクト領域の配置(例えば、上辺や左右辺に接しているか否か)やオブジェクト領域内に両目や口に相当する画素領域が存在するか否かなどに基づいて、人物画像か風景画像かの判定を行なうものとした。
【0032】
こうしてオブジェクト認識処理により画像内容を判定すると、判定した画像内容や累計したRGB値のヒストグラムなどに基づいて画像ファイルに対して自動補正処理を施すための自動補正処理用パラメータを計算してデータバッファ24の作業用領域に記憶する(ステップS200)。自動補正処理用パラメータの計算は、各種のルールを適用して行なうことができる。実施例では、画像内容が人物画像であるときには、肌色がより良好な肌色となるように補正する肌色補正処理やソフトフォーカス処理、明度をやや明るめに補正する明度補正処理などを施すようにパラメータを計算し、画像内容が風景画像であるときには、新緑色がより良好な新緑色となるように補正する新緑色補正処理や彩度が鮮やかとなるように補正する彩度補正処理などを施すようにパラメータを計算するものとした。なお、画像内容が人物画像であるか風景画像であるかに拘らず、RGB値のヒストグラムに応じて各種の画像補正処理(コントラスト補正処理やγ補正処理など)を施すようなパラメータの計算も行なわれる。
【0033】
そして、データバッファ24の作業用領域に記憶した起点復元用情報や自動補正処理用パラメータを事前収集情報格納領域にコピーすると共に事前収集情報管理テーブルに反映して(ステップS530)、この事前収集情報取得処理を終了する。図9は、データバッファ24の作業用領域および事前収集情報格納領域を概念的に説明する説明図である。図示するように、データバッファ24の作業用領域には、上述した事前収集情報取得処理を実行することにより取得した各種のデータが記憶され、このうち、起点復元用情報と自動補正処理用パラメータとを事前収集情報格納領域にコピーするのである。図10は、事前収集情報管理テーブルが更新された様子の一例を示す説明図である。この例は、インデックス「002」の画像ファイルに対して事前収集情報取得処理が実行された場合の例であり、事前収集情報格納領域にコピーした起点復元用情報および自動補正処理用パラメータの物理的な位置を示す各ポインタが起点復元用情報ポインタや補正用パラメータポインタとして登録されている。
【0034】
こうして事前収集情報取得処理を実行したりデータバッファ24の事前収集情報格納領域から読み込むことにより事前収集情報としての起点復元用情報や自動補正処理用パラメータを取得すると、画像回転印刷処理では、次に、取得した起点復元用情報のうち最初の起点ブロックのファイルポインタを読み込み、読み込んだファイルポインタにより特定されるアクセス単位のデータを記憶媒体30などから読み込んでハフマン解凍する(ステップS140,S150)。この際、起点復元用情報の解凍中間情報を用いることにより、アクセス単位のデータのうち起点ブロックのデータを解凍することができる。
【0035】
そして、1ブロック分のデータを解凍すると(ステップS160)、逆量子化処理や逆DCT演算処理,色変換処理を実行する(ステップS170〜S190)。ここで、DCT係数のDC成分を取得する際には、起点復元用情報のDC成分が読み込まれる。
【0036】
続いて、事前収集情報として取得した自動補正処理用パラメータに従ってこのブロックに対して自動補正処理を施す(ステップS200)。具体的には、自動補正処理用パラメータに基づいて生成された画素情報の変換テーブルであるルックアップテーブルを用いて画素情報を変換する処理が行なわれる。
【0037】
次に、このブロックを右方向に90°回転させてデータバッファ24の作業用領域に出力する(ステップS210)。データバッファ24に出力する際には、ブロック自体を回転させると共にブロックの位置が回転後の位置となるように(例えば、左上隅のブロックは右上隅となるように)出力される。
【0038】
こうしてブロックを回転して出力すると、このブロックの起点復元用情報を次のブロック(右隣のブロック)の起点復元用情報に更新する(ステップS220)。即ち、次のブロックのデータが開始されるアクセス単位のファイルポインタと、解凍中間情報と、DC成分とに更新する(図11参照)。ここでのDC成分は、現在のブロックの量子化DC成分が格納される。従って、次のブロックを復元する際には、この量子化DC成分と次のブロックのデータをハフマン解凍して得られる差分値とを累計することにより次のブロックの量子化DC成分を取得することになる。ここで、起点復元用情報を更新する際には、データバッファ24の作業用領域に記憶されている起点復元用情報が更新される。即ち、データバッファ24の事前収集情報格納領域に記憶されている起点復元用情報は、起点ブロックとしての左端のブロックに関する情報がそのまま保持されるのである。
【0039】
そして、データバッファ24の作業用領域に出力される回転後のブロックが蓄積されてプリンタエンジン27により印刷を実行する単位であるバンド単位となるまで、ステップS140〜S220の処理を繰り返し実行する(ステップS230)。図12は、ステップS140〜S220の処理が繰り返し実行される様子を示す説明図である。図示するように、起点ブロックとしての左端のブロックを上から順に対象としてステップS140〜S220の処理を実行することにより回転後の画像の上端のブロックが出力され、左端のブロックを対象とした処理が終了すると、左端のブロックの右隣の列のブロックを上から順に対象としてステップS140〜S220の処理を繰り返し実行する。そして、図13に示すように、蓄積された回転後のブロックがバンド単位となると、このバンド単位のデータに基づいて印刷データ生成部25により印刷データを生成してイメージバッファ26に出力し、この印刷データに基づいてプリンタエンジン27により印刷を実行する(ステップS240)。そして、画像ファイルの最後のブロックまで到達したときに(ステップS250)、この画像回転印刷処理を終了するのである。
【0040】
以上説明した実施例のプリンタ20によれば、起点復元用情報と自動補正処理用パラメータとを事前収集情報として画像ファイルと関連付けてデータバッファ24の事前収集情報格納領域に記憶するものとし、自動補正処理と回転処理とを伴う印刷指示がなされたときに、印刷指示に係る画像ファイルに対応する事前収集情報が存在しない場合には事前収集情報取得処理を実行することにより事前収集情報を取得すると共にデータバッファ24の事前収集情報格納領域に記憶し、画像ファイルに対応する事前収集情報が存在する場合にはデータバッファ24の事前収集情報格納領域から事前収集情報を読み込んで取得し、こうして取得した事前収集情報を用いて画像ファイルに自動補正処理や回転処理を施して印刷することができる。したがって、事前収集情報を画像ファイルと関連付けてデータバッファ24に記憶しておくから、事前収集情報を一度取得した画像ファイルについては、この事前収集情報を用いて次回の自動補正処理や回転処理を施すことができる。この結果、事前収集情報を取得する処理(事前収集情報取得処理)を繰り返し実行する必要がないから、画像ファイルに対して画像処理を施す際の処理時間の短縮を図ることができると共に画像処理をより効率的に行なうことができる。
【0041】
また、実施例のプリンタ20によれば、事前収集情報管理テーブルを用いて事前収集情報と画像ファイルとの関連付けを管理することができる。さらに、事前収集情報管理テーブルでは、画像ファイルの記憶媒体30上の物理的な位置を示す画像ファイルポインタと、起点復元用情報のデータバッファ24上の物理的な位置を示す起点復元用情報ポインタと、自動補正処理用パラメータのデータバッファ24上の物理的な位置を示す補正用パラメータポインタとを管理するから、画像ファイルや起点復元用情報、自動補正処理用パラメータへのアクセス速度を向上させることができる。
【0042】
ここで、実施例のプリンタ20では、データバッファ24が情報記憶手段に相当し、画像回転印刷処理のステップS100〜S230の処理を実行する制御部21や画像処理部23が画像処理手段に相当し、画像回転印刷処理のステップS240の処理を実行する制御部21や印刷データ生成部25,プリンタエンジン27が印刷実行手段に相当し、記憶媒体30などが所定の記憶媒体に相当し、データバッファ24の事前収集情報格納領域から事前収集情報をクリアする処理を行なう制御部21や画像処理部23が情報クリア手段に相当する。また、事前収集情報管理テーブルが対応関係管理テーブルに相当し、画像ファイルポインタが画像ファイルのアドレス情報に相当し、起点復元用情報ポインタや補正用パラメータポインタが事前収集情報のアドレス情報に相当する。
【0043】
実施例のプリンタ20では、データバッファ24の事前収集情報はプリンタ20の電源オフ時や記憶媒体30の取付け時/取外し時などにクリアされるものとしたが、その他のタイミングでクリアするものとしても構わない。
【0044】
実施例のプリンタ20では、データバッファ24の事前収集情報格納領域に事前収集情報を記憶するものとしたが、データバッファ24以外のメモリ上で事前収集情報を記憶するものとしてもよい。例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリを搭載すると共にこの不揮発性メモリに事前収集情報や事前収集情報管理テーブルを記憶するものとしてもよい。こうすれば、プリンタ20の電源をオフしても事前収集情報がクリアされないようにすることができる。
【0045】
実施例のプリンタ20では、事前収集情報管理テーブルを用いて事前収集情報と画像ファイルとの関連付けを管理するものとしたが、事前収集情報を画像ファイルと関連付けて記憶できればよいから、その他の方法で事前収集情報と画像ファイルとの関連付けを管理するものとしてもよい。
【0046】
実施例のプリンタ20では、事前収集情報管理テーブルにおいて、インデックスや画像ファイルポインタを用いて画像ファイルを識別するものとしたが、画像ファイルを識別できればよく、例えば、画像ファイルのファイル名などを用いてもよい。同様に、起点復元用情報ポインタや補正用パラメータポインタを用いるものとしたが、起点復元用情報や自動補正処理用パラメータを識別できればよく、その他の情報を用いるものとしてもよい。
【0047】
実施例のプリンタ20では、自動補正処理に用いる事前収集情報として自動補正処理用パラメータを例示したが、その他の情報を事前収集情報としてもよい。例えば、RGB色空間に変換された画素情報やRGB値のヒストグラム、自動補正処理用パラメータに基づいて生成されるルックアップテーブルなどを事前収集情報として用いるものとしても差し支えない。
【0048】
実施例のプリンタ20では、起点復元用情報と自動補正処理用パラメータのいずれかが存在しない場合には、いずれか一方が存在しても、事前収集情報取得処理を実行するものとしたが、いずれか一方が存在する場合には、起点復元用情報を取得する処理(ステップS440〜S450)や自動補正処理用パラメータを計算する処理(ステップS460〜S490,S510,S520)をスキップして事前収集情報取得処理を実行するものとしてもよい。
【0049】
実施例のプリンタ20では、事前収集情報として起点復元用情報と自動補正処理用パラメータとを記憶しておき回転処理や自動補正処理に用いるのものとしたが、起点復元用情報のみを記憶しておくものとしたり、自動補正処理用パラメータのみを記憶しておくものとしてもよい。さらに、回転処理や自動補正処理以外の画像処理に用いる情報を事前収集情報として記憶しておき、次回の画像処理に用いるものとしてもよい。
【0050】
実施例のプリンタ20では、JPEG方式で圧縮された画像ファイルを例に説明したが、その他の方式で圧縮された画像ファイルに適用することができるのは勿論である。この場合、その圧縮方式に応じて、画像ファイルを所定位置(例えば、左端の画素)から復元するために必要な情報を起点復元用情報として記憶するものとすればよい。
【0051】
実施例のプリンタ20では、右方向に90°回転する場合を具体例として説明したが、これに限られないのは勿論である。例えば、180°回転する場合には、起点ブロックとしての左端のブロックを下から順に復元することにより回転後の画像の上端のブロックから順に出力することができる。さらに、左方向に90°回転する場合には、図14に例示するように、起点ブロックとして、左端のブロックに加え、画像ファイルの略中央に位置する列を起点ブロックとし、回転後の画像の上半分については略中央に位置する列の起点ブロックを起点として復元し、回転後の画像の下半分については左端の起点ブロックを起点として復元するものとすればよい。この場合、起点復元用情報は回転の方向や角度に応じて異なるものとなるから、事前収集情報としての起点復元用情報を、画像ファイルと回転パターン(方向および角度)との組み合わせと関連付けて管理するものとすればよい。同様に、自動補正処理用パラメータが自動補正処理の処理パターンに応じて異なる場合には、事前収集情報としての自動補正用パラメータを画像ファイルと処理パターンとの組み合わせと関連付けて管理するものとすればよい。こうすれば、事前収集情報が画像ファイルと処理パターンとの組み合わせに関連付けられる場合(即ち、処理パターンによって異なる事前収集情報となる場合)にも対応することができる。
【0052】
実施例では、事前収集情報を画像ファイルと関連付けてデータバッファ24に記憶しておく本発明をプリンタ20の形態として説明したが、こうした画像処理を施す画像処理装置の形態としてもよい。また、こうした画像処理装置の制御方法の形態としたり画像処理装置用プログラムの形態とすることもできる。
【0053】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の画像処理装置を搭載したプリンタ20の構成の概略を示す構成図。
【図2】画像回転印刷処理の一例を示すフローチャート。
【図3】事前収集情報管理テーブルの一例を示す説明図。
【図4】事前収集情報取得処理の一例を示すフローチャート。
【図5】画像ファイルのブロックとアクセス単位との関係を示す説明図。
【図6】起点ブロックの一例を示す説明図。
【図7】解凍中間情報を概念的に説明するための説明図。
【図8】起点復元用情報の一例を示す説明図。
【図9】データバッファ24の各領域を概念的に説明する説明図。
【図10】事前収集情報管理テーブルが更新された様子の一例を示す説明図。
【図11】起点復元用情報を更新する様子の一例を示す説明図。
【図12】ステップS140〜S220の処理が実行される様子を示す説明図。
【図13】蓄積された回転後のブロックがバンド単位となる様子を示す説明図。
【図14】変形例の起点ブロックの一例を示す説明図。
【符号の説明】
【0055】
20 プリンタ、21 制御部、22 インタフェース部、23 画像処理部、24 データバッファ、25 印刷データ生成部、26 イメージバッファ、27 プリンタエンジン、30 記憶媒体、31 デジタルスチルカメラ、32 パーソナルコンピュータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像ファイルに所定の画像処理を施して出力する画像処理装置であって、
画像ファイルに所定の画像処理を施す際に用いられ該画像ファイルに基づいて収集可能な事前収集情報を該画像ファイルと関連付けて記憶する情報記憶手段と、
所定の記憶媒体に記憶されている画像ファイルの中から指定された画像ファイルに所定の画像処理を施す指示がなされたときに、該画像ファイルに関連する事前収集情報が前記情報記憶手段に存在しない場合には該画像ファイルに基づいて事前収集情報を収集し該収集した事前収集情報を該画像ファイルと関連付けて前記情報記憶手段に記憶させると共に該事前収集情報を用いて該画像ファイルに所定の画像処理を施して出力し、該画像ファイルに関連する事前収集情報が前記情報記憶手段に存在する場合には該事前収集情報を用いて該画像ファイルに所定の画像処理を施して出力する画像処理手段と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
所定タイミングで前記情報記憶手段に記憶されている前記事前収集情報をクリアする情報クリア手段を備える請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像処理装置であって、
前記所定の記憶媒体は、前記画像処理装置に着脱可能に装着されてなり、
前記所定タイミングは、前記所定の記憶媒体の取付け時および/または取外し時を含む、
画像処理装置。
【請求項4】
前記情報記憶手段は、前記画像ファイルの識別情報と前記事前収集情報の識別情報との対応関係を管理する対応関係管理テーブルを用いて該事前収集情報を該画像ファイルと関連付けて記憶する手段である請求項1ないし3いずれか記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像ファイルの識別情報は、該画像ファイルの前記所定の記憶媒体における物理的な位置を示すアドレス情報である請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記事前収集情報の識別情報は、該事前収集情報の前記情報記憶手段における物理的な位置を示すアドレス情報である請求項4または5記載の画像処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれか記載の画像処理装置であって、
前記画像ファイルは、所定方式で圧縮されてなり、
前記事前収集情報は、前記画像ファイルを先頭から順に復元することにより収集可能な情報である、
画像処理装置。
【請求項8】
請求項7記載の画像処理装置であって、
前記所定の画像処理は、前記画像ファイルを先頭から順に復元して画素情報を取得し、該取得した画素情報に基づいて該画像ファイルの特性を示す特性情報を演算し、該演算した特性情報に基づいて補正用パラメータを計算し、該計算した補正用パラメータに基づいて画素情報を変換するルックアップテーブルを生成し、該生成したルックアップテーブルに基づいて該画像ファイルの画素情報を変換することにより該画像ファイルを補正する画像自動補正処理であり、
前記事前収集情報は、前記画素情報、前記特性情報、前記補正用パラメータ、前記ルックアップテーブルのいずれかである、
画像処理装置。
【請求項9】
請求項7記載の画像処理装置であって、
前記所定の画像処理は、前記画像ファイルを先頭から順に復元して該画像ファイルの所定位置を起点として該画像ファイルを復元するための起点復元用情報を取得し、該取得した起点復元用情報に基づいて前記所定位置を起点として該画像ファイルを復元することにより所定の方向および角度で回転後の画像を上端から順に生成する回転画像生成処理であり、
前記事前収集情報は、前記起点復元用情報である、
画像処理装置。
【請求項10】
請求項1ないし9いずれか記載の画像処理装置であって、
前記情報記憶手段は、前記事前収集情報を前記画像ファイルと前記所定の画像処理の処理パターンとの組み合わせと関連付けて記憶する手段であり、
前記所定の画像処理を施す指示は、該所定の画像処理の処理パターンの指定を伴ってなされる指示であり、
前記画像処理手段は、前記画像ファイルと前記処理パターンとの組み合わせに関連する事前収集情報が前記情報記憶手段に存在しない場合には該画像ファイルと該処理パターンとに基づいて事前収集情報を収集し該収集した事前収集情報を該画像ファイルと該処理パターンとの組み合わせと関連付けて前記情報記憶手段に記憶させると共に該事前収集情報を用いて該画像ファイルに所定の画像処理を施して出力し、該画像ファイルと該処理パターンとの組み合わせに関連する事前収集情報が前記情報記憶手段に存在する場合には該事前収集情報を用いて該画像ファイルに所定の画像処理を施して出力する手段である、
画像処理装置。
【請求項11】
請求項1ないし10いずれか記載の画像処理装置と、
該画像処理装置から出力される画像ファイルを印刷する印刷実行手段と、
を備えるプリンタ。
【請求項12】
情報を記憶する情報記憶手段を備える画像処理装置の制御方法であって、
所定の記憶媒体に記憶されている画像ファイルの中から指定された画像ファイルに所定の画像処理を施す指示がなされたときに、該画像ファイルに関連する事前収集情報が前記情報記憶手段に存在しない場合には該画像ファイルに基づいて事前収集情報を収集し該収集した事前収集情報を該画像ファイルと関連付けて前記情報記憶手段に記憶させると共に該事前収集情報を用いて該画像ファイルに所定の画像処理を施して出力し、該画像ファイルに関連する事前収集情報が前記情報記憶手段に存在する場合には該事前収集情報を用いて該画像ファイルに所定の画像処理を施して出力する、
画像処理装置の制御方法。
【請求項13】
情報を記憶する情報記憶手段を備える画像処理装置用のプログラムであって、
所定の記憶媒体に記憶されている画像ファイルの中から指定された画像ファイルに所定の画像処理を施す指示がなされたときに、該画像ファイルに関連する事前収集情報が前記情報記憶手段に存在しない場合には該画像ファイルに基づいて事前収集情報を収集し該収集した事前収集情報を該画像ファイルと関連付けて前記情報記憶手段に記憶させると共に該事前収集情報を用いて該画像ファイルに所定の画像処理を施して出力し、該画像ファイルに関連する事前収集情報が前記情報記憶手段に存在する場合には該事前収集情報を用いて該画像ファイルに所定の画像処理を施して出力する画像処理モジュール、
を備える画像処理装置用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−101015(P2006−101015A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−282534(P2004−282534)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】