説明

画像処理装置および方法、プログラム

【課題】2パス構成の処理において、1パス目と2パス目の画像が異なることに起因する画像の破綻を防ぐことができるようにする。
【解決手段】輝度生成部21からのY信号および入力画像は、1パス目では、輝度域情報算出部22およびLPF24に出力されるが、2パス目では、拡大処理部26、調整処理部51、除算部28に入力される。また、調整処理部51には、2パス目で、拡大処理部26からの拡大された中間データである画像も入力される。調整処理部51は、拡大された中間データである画像と輝度生成部21からの入力画像を、1パス目と2パス目の画像の輝度や画角の変化の大きさに応じた出力割合で混合して、混合された画像を、階調圧縮処理部27に出力する。本発明は、例えば、画像の階調補正処理を行う画像処理装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置および方法、プログラムに関し、特に、2パス構成の処理において、1パス目と2パス目の画像が異なることに起因する画像の破綻を防ぐことができるようにした画像処理装置および方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の画像信号処理では、画像中のあるピクセルを処理する際に、その周囲の広い範囲の情報を用いる。例えば、HDR(ハイダイナミックレンジ)圧縮処理に用いるバイラテラルフィルタの計算においては、処理ピクセルを中心に、半径数百ピクセルの範囲の情報を用いて処理が行われる。
【0003】
こういった広範囲の情報を用いる画像信号処理は、ピクセル毎の計算コストが高くなり過ぎる傾向がある。すなわち、ハードウエアの規模や、ソフトウエアの計算時間が増大するため、1ステップで処理を行うことは困難である。
【0004】
そこで、広範囲の情報を用いる信号処理を実装する際には、計算コストを減らすための工夫として、処理を複数のステップに分割する構成が採用されることが多い。例えば、バイラテラルフィルタの計算においては、広い範囲の情報から代表値の組を計算して中間データを作成するステップと、その代表値を用いてピクセル毎の処理を行うステップの2つのステップに処理を分割することで、計算コストを低減している。
【0005】
上述した2ステップ構成については、特許文献1および2などに記載されており、バイテラルフィルタについては、特許文献3などに記載されている。
【0006】
一般に、画像に対するバイラテラルフィルタBLF(pc)では、次式(1)に示されるように、空間方向の重み関数ω(p−pc)および輝度値方向の重み関数φ(I(p)−I(pc))で重み付けした画素位置pcの周囲の画素の画素値I(p)を加算する演算が行われる。
【0007】
【数1】

【0008】
なお、式(1)において、右辺の分母は、重み値の正規化係数を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−275015号公報
【特許文献2】特開2004−221645号公報
【特許文献3】特開2009−177558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、処理を分割して計算コストを低減する場合、各ステップの入力信号の特性がそろっていないと、処理に誤差が生じる。これは、入力の画像が各ステップ間で変化することで、「ある画像に対する一連の処理を、複数のステップに分割する」という条件が崩れるためである。
【0011】
誤差による画像劣化は、主にリアルタイムの動画処理システムで生じることが多い。動画処理システムでは、各画像フレームの信号処理が連続して行われる。処理が連続しているため、ある画像に対して一旦、中間データを作成した後に、再度その画像を処理しなおすことが困難である。
【0012】
そこで、動画処理においては、補正には、前のフレームで作成した中間データを用いるように構成される。これにより、補正処理と中間データの作成が同時に行えるようになる。しかしながら、前のフレームの中間データを用いたことによって、上述した誤差による画質劣化が発生してしまう。
【0013】
静止画処理のシステムにおいても、上述した誤差による画質劣化が発生する場合がある。例えば、特許文献3に記載されるように、複数ステップの処理である階調補正処理の前に、感度ゲイン処理やホワイトバランス処理が行われる信号処理システムがある。このようなシステムにおいて、各ステップ間で、感度ゲイン処理やホワイトバランス処理のパラメータが異なると、階調補正処理に入力される信号が各ステップで異なってしまう。
【0014】
このような静止画処理においては、パラメータが変わった後に第1ステップの処理を再度行うことにより、誤差を無くすことが可能である。しかしながら、第1ステップの処理のやり直しには、処理時間がかかってしまう。
【0015】
また、各ステップ間で入力信号の特性に差異がある場合でも、特性によって画質への影響は異なる。例えば、上述した階調補正処理においては、処理フレーム間の差異のうち、画像中の小さな領域での変化については、画質への影響は少ない。これに対して、処理フレーム間の差異のうち、特に画像の大きな領域で起こる変化(例えば、撮影画像の露出(画面全体の明るさ)や画角(画面全体の位置)の特性など)は、計算誤差が大きくなりやすく、画質を劣化させやすい。
【0016】
さらに例えば、第1ステップと第2ステップで、入力信号が大きく異なる場合、誤差の拡大により意図しない処理が行われて、画像が破たんする恐れがある。
【0017】
また、バイテラルフィルタにおいては、固定小数の実装では、フィルタ係数、すなわち、上述した式(1)の右辺の分母の重み値の正規化係数が極端に小さい場合には計算誤差が拡大してしまう。この場合にも、計算誤差により意図しない処理が行われて、画像が破たんする恐れがある。
【0018】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、画像の破綻を防ぐことができるものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一側面の画像処理装置は、入力される第1の画像信号から代表値を算出する代表値算出手段と、前記第1の画像信号の次に入力される第2の画像信号を用いて、前記代表値算出手段により算出された前記代表値に対して補間処理を行う補間手段と、前記第1の画像信号に対応する画像に対する前記第2の画像信号に対応する画像との変化量が大きい場合、前記変化量が小さい場合に比して、前記補間手段により前記補間処理が行われた画像信号の出力割合が小さくなるように、前記補間処理が行われた画像信号と前記第2の画像信号とを混合する調整処理手段とを備える。
【0020】
前記第1の画像信号に対応する画像に対する前記第2の画像信号に対応する画像との変化量に応じて、前記補間処理が行われた画像信号の出力割合と前記第2の画像信号の出力割合の調整量を決定する調整量決定手段をさらに備え、前記調整処理手段は、前記調整量決定手段により決定された前記調整量に応じて、前記補間処理が行われた画像信号と前記第2の画像信号とを混合することができる。
【0021】
前記調整量決定手段は、前記第1の画像信号に対応する画像に対する前記第2の画像信号に対応する画像のレベルまたは座標の変化量に応じて、前記補間処理が行われた画像信号の出力割合と前記第2の画像信号の出力割合の調整量を決定することができる。
【0022】
前記代表値は、ブロックヒストグラムとブロック積算値から構成される。
【0023】
前記調整量決定手段は、前記ブロックヒストグラムの値の大きさに応じて、前記補間処理が行われた画像信号の出力割合と前記第2の画像信号の出力割合の調整量を決定することができる。
【0024】
本発明の一側面の画像処理方法は、代表値算出手段と、補間手段と、調整処理手段とを備える画像処理装置の画像処理方法において、前記代表値算出手段が、入力される第1の画像信号から代表値を算出し、前記補間手段が、前記第1の画像信号の次に入力される第2の画像信号を用いて、算出された前記代表値に対して補間処理を行い、前記調整処理手段が、前記第1の画像信号に対応する画像に対する前記第2の画像信号に対応する画像との変化量が大きい場合、前記変化量が小さい場合に比して、前記補間処理が行われた画像信号の出力割合が小さくなるように、前記補間処理が行われた画像信号と前記第2の画像信号とを混合する。
【0025】
本発明の一側面のプログラムは、入力される第1の画像信号から代表値を算出する代表値算出手段と、前記第1の画像信号の次に入力される第2の画像信号を用いて、前記代表値算出手段により算出された前記代表値を補間する補間手段と、前記第1の画像信号に対応する画像に対する前記第2の画像信号に対応する画像との変化量が大きい場合、前記変化量が小さい場合に比して、前記補間処理が行われた画像信号の出力割合が小さくなるように、前記補間処理が行われた画像信号と前記第2の画像信号とを混合する調整処理手段としてコンピュータを機能させる。
【0026】
本発明の一側面においては、入力される第1の画像信号から代表値が算出され、前記第1の画像信号の次に入力される第2の画像信号を用いて、算出された前記代表値が補間される。そして、前記第1の画像信号に対応する画像に対する前記第2の画像信号に対応する画像との変化量が大きい場合、前記変化量が小さい場合に比して、前記補間処理が行われた画像信号の出力割合が小さくなるように、前記補間処理が行われた画像信号と前記第2の画像信号とが混合される。
【0027】
なお、上述の画像処理装置は、独立した装置であっても良いし、1つの画像処理装置を構成している内部ブロックであってもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、2パス構成の処理において、1パス目と2パス目の画像が異なることに起因する画像の破綻を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】従来の画像処理装置の構成と1パス目の動作を示すブロック図である。
【図2】従来の画像処理装置の構成と2パス目の動作を示すブロック図である。
【図3】本発明を適用した画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明を適用したデジタルカメラの構成例を示すブロック図である。
【図5】図4のDSPの内部のプロセッサが、所定のプログラムを実行することにより実現される機能の構成の例を示すブロック図である。
【図6】図5の階調補正処理部の機能の構成例を示すブロック図である。
【図7】図6の輝度階調補正部の機能の構成例を示すブロック図である。
【図8】図7の加重積和部の機能の構成例を示すブロック図である。
【図9】図8のフィルタ効果調整処理部の機能の構成例を示すブロック図である。
【図10】図4のデジタルカメラにおける画像処理について説明するフローチャートである。
【図11】図10のステップS114の階調補正処理を説明するフローチャートである。
【図12】図10のステップS114の階調補正処理を説明するフローチャートである。
【図13】トーンカーブを説明する図である。
【図14】図11のステップS150の大局輝度値算出処理について説明するフローチャートである。
【図15】輝度重み関数について説明する図である。
【図16】図7の加重積和部の機能の他の構成例を示すブロック図である。
【図17】図16のフィルタ精度判定部が有するグラフを説明する図である。
【図18】入力信号の変化量に応じた輝度ヒストグラムの値を説明する図である。
【図19】入力信号の変化量に応じた輝度ヒストグラムの値を説明する図である。
【図20】入力信号の変化量に応じた輝度ヒストグラムの値を説明する図である。
【図21】入力信号の変化量に応じた輝度ヒストグラムの値を説明する図である。
【図22】図16の加重積和部の場合の図4のデジタルカメラにおける画像処理について説明するフローチャートである。
【図23】図16の加重積和部の場合の図11のステップS150の大局輝度値算出処理について説明するフローチャートである。
【図24】コンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(本発明の概要)
2.第2の実施の形態(デジタルビデオカメラの例)
【0031】
<1.第1の実施の形態>
[発明の概要]
まず、図1乃至図3を参照して、本発明の概要を説明する。図1および図2の例においては、本発明と比較するために、従来の画像処理装置1の構成例が示されている。なお、図1の例においては、1パス目に動作する部分が実線で示され、動作しない部分が破線で示されている。また、図2の例においては、2パス目に動作する部分が実線で示され、動作しない部分が破線で示されている。
【0032】
画像処理装置1は、信号処理部11および階調補正処理部12により構成されている。信号処理部11は、入力画像に対して所定の信号処理を行い、処理後の画像を階調補正処理部12に出力する。
【0033】
階調補正処理部12は、信号処理部11からの入力画像に対して、2パス処理で、階調補正処理を行い、出力画像を後段に出力する。すなわち、階調補正処理部12は、1パス目で、入力画像から中間データを作成することにより標本化を行い、2パス目で、中間データに対して補間処理を行い、階調補正処理を行う。
【0034】
階調補正処理部12は、輝度生成部21、輝度域情報算出部22、輝度域情報メモリ23、LPF(ローパスフィルタ)24、中間メモリ25、拡大処理部26、階調圧縮処理部27、除算部28、および乗算部29により構成されている。信号処理部11からの入力画像は、輝度生成部21および乗算部29に入力される。
【0035】
輝度生成部21は、入力画像のRGBからY信号(輝度信号)を生成し、生成したY信号および入力画像を、1パス目では、輝度域情報算出部22およびLPF24に出力する。また、輝度生成部21は、生成したY信号および入力画像を、2パス目では、拡大処理部26、階調圧縮処理部27、および除算部28に出力する。
【0036】
輝度域情報算出部22は、1パス目で、1フレーム分の画像の輝度値を見て、階調補正の特性を決めるための画像の統計情報である輝度域情報を算出し、算出した輝度域情報を輝度域情報メモリ23に格納する。輝度域情報メモリ23は、輝度域情報算出部22からの輝度域情報を一時的に記録し、階調圧縮処理部27に供給する。
【0037】
LPF24は、1パス目で、1フレーム分の画像の輝度値に対して、フィルタ処理を行い、フィルタ処理結果の中間データを、中間メモリ25に格納する。フィルタ処理としては、例えば、輝度値を間引いて、それを平滑化する処理が行われる。すなわち、中間データは、間引かれているので、入力画像よりも画素数が少なく、代表値ともいえる。中間メモリ25は、LPF24からの中間データを一時的に記録し、拡大処理部26に供給する。
【0038】
拡大処理部26は、2パス目で、輝度生成部21からの入力画像を用いて、中間メモリ25の中間データを拡大し、中間データが拡大された画像を、階調圧縮処理部27に供給する。すなわち、拡大処理部26においては、補間フィルタにより中間データに対して補間する処理が行われることにより、入力画像と同画素数の画像が生成される。
【0039】
階調圧縮処理部27は、2パス目で、輝度域情報メモリ23の輝度域情報を参照し、拡大処理部26からの拡大された中間データである画像の階調を圧縮する処理を行う。階調圧縮処理部27は、処理後のデータを、除算部28に出力する。
【0040】
除算部28は、2パス目で、輝度生成部21からの階調圧縮前の輝度値と、階調圧縮処理部27からの階調圧縮後の輝度値の比(ゲイン)を求め、求めたゲインを乗算部29に供給する。乗算部29は、2パス目で、信号処理部11からの入力画像のRGBに、除算部28からのゲインを乗算することにより、階調圧縮された出力画像を、後段に出力する。
【0041】
ここで、原理的に、1パス目の画像と2パス目の画像が異なってしまうと、計算誤差で性能が劣化してしまう。具体的には、1パス目の画像と2パス目の画像において、画角の変化があると、計算誤差により、フィルタの空間特性がシフトしてしまい、出力画像に誤った補正による劣化(例えば、後光が差すような症状であるHALO)が出てしまう。
【0042】
また、1パス目の画像と2パス目の画像において、輝度の変化があると、計算誤差により、フィルタの出力レベルがシフトしてしまい、階調圧縮処理の特性がずれて、出力画像のレベルが期待通りにならない。
【0043】
この輝度や画角の変化(差)は、階調圧縮処理部27における補間フィルタの位相の変化といえる。これらの変化が大きくなりすぎると、出力画像の劣化どころか、出力画像の破綻を招く恐れがある。これに対応するために、本発明においては、1パス目の画像に対して、2パス目の画像の輝度や画角の変化量があまりにも大きすぎる場合には、図3に示されるように、1パス目の中間メモリのデータを使わずに、2パス目の信号だけで動作するように信号が切り替えられる。
【0044】
図3は、本発明を適用した画像処理装置の構成例を示すブロック図である。図3の画像処理装置31は、階調補正処理部12が、階調補正処理部41に入れ替わった点が図1の画像処理装置1と異なり、信号処理部11を備えている点が図1の画像処理装置1と共通している。
【0045】
また、階調補正処理部41は、調整処理部51が追加された点だけが、図1の階調補正処理部12と異なっている。そして、階調補正処理部41は、輝度生成部21、輝度域情報算出部22、輝度域情報メモリ23、LPF24、中間メモリ25、拡大処理部26、階調圧縮処理部27、除算部28、および乗算部29を備える点は、図1の階調補正処理部12と共通している。
【0046】
すなわち、輝度生成部21からのY信号および入力画像は、1パス目では、輝度域情報算出部22およびLPF24に出力されるが、2パス目では、拡大処理部26、調整処理部51、除算部28に入力される。
【0047】
また、調整処理部51には、2パス目で、拡大処理部26からの拡大された中間データである画像も入力される。調整処理部51は、拡大された中間データである画像と輝度生成部21からの入力画像を、1パス目の画像に対する2パス目の画像の輝度や画角の変化量の大きさに応じた出力割合に混合して、混合された画像を、階調圧縮処理部27に出力する。
【0048】
例えば、1パス目の画像に対する2パス目の画像の輝度や画角の変化量があまりにも大きすぎるときには、拡大された中間データである画像の出力割合は0とされて、2パス目の画像だけが階調圧縮処理部27に出力される。この場合、階調圧縮処理部27は、単なるトーンカーブ処理として動作するため、1パス目の画像に対する2パス目の画像の輝度や画角の変化量が大きすぎることによる破綻が抑制される。
【0049】
一方、例えば、1パス目の画像に対する2パス目の画像の輝度や画角の変化量があまりないときには、2パス目の画像の出力割合は0とされて、拡大された中間データである画像だけが階調圧縮処理部27に出力される。すなわち、階調圧縮処理部27においては、拡大された中間データが用いられて、従来と同様の階調圧縮処理が行われる。
【0050】
階調圧縮処理部27は、2パス目で、輝度域情報メモリ23の輝度域情報を参照し、調整処理部51からの画像の階調を圧縮する処理を行い、処理後のデータを、除算部28に出力する。
【0051】
以上のように、1パス目と2パス目の画像の輝度や画角の変化に応じて、階調圧縮処理部27に出力される、すなわち、階調圧縮処理部27で用いられる画像の割合が混合されるので、1パス目と2パス目の画像の輝度や画角の変化が大きすぎることによる画像の破綻を抑制することができる。
【0052】
なお、上述した図3の調整処理部51における出力割合の調整量の決定方法として、画角については、例えば、ジャイロセンサの出力から計算したり、画像解析で入力画像の動きベクトルを算出するなどして決定する方法がある。また、明るさについては、例えば、フレーム間での、露出制御の変化量などから算出することで決定する方法がある。
【0053】
例えば、フラッシュ発光など明るさの急激な変化や高速なパンなどによる画角の急激な変化を検出したとき、2パス目の画像だけが階調圧縮処理部27に出力されるように混合される。また、例えば、上述したバイテラルフィルタの式(1)の右辺の分母が小さくなり、計算精度の低下を検出したときにも、2パス目の画像だけが階調圧縮処理部27に出力されるように混合される。
【0054】
以下、本発明を実現するための、さらに具体的な構成について説明する。なお、上述した1パス目および2パス目は、適宜、第1のステップおよび第2のステップとも称する。
【0055】
<2.第2の実施の形態>
[デジタルカメラの構成例]
図4は、本発明を適用した画像処理装置としてのデジタルビデオカメラの構成例を示すブロック図である。デジタルビデオカメラ101は、レンズ111、絞り112、画像センサ113、相関2重サンプリング回路(CDS)114、A/D(Analog/Digital)コンバータ115、DSP(Digital Signal Processor)ブロック116、タイミングジェネレータ(TG)117、LCD(Liquid Crystal Display)ドライバ118、LCD119、CODEC(Compression/Decompression)120、メモリ121、CPU(Central Processing Unit)122、入力デバイス123、ジャイロセンサ124、フラッシュ125、およびバス126から構成される。なお、DSPブロック116は、信号処理用のプロセッサ(例えば、SDP)と画像データを保持するRAM(Random Access Memory)などのメモリなどにより構成されるブロックである。デジタルビデオカメラ101は、プロセッサが所定のプログラムを実行することにより、後述する画像処理を行う。また、以下、DSPブロック116を、単にDSP116と呼ぶ。
【0056】
レンズ111および絞り112などからなる光学系を通過した被写体からの入射光は、まず画像センサ113の撮像面上の各受光素子に到達し、受光素子による光電変換により電気信号に変換される。画像センサ113から出力された電気信号は、相関2重サンプリング回路114によってノイズが除去され、A/Dコンバータ115によってデジタル化された後、デジタル化された画像データがDSP116内のメモリに一時的に格納される。タイミングジェネレータ117は、一定のフレームレートにより画像データが取り込まれるように、相関2重サンプリング回路114、A/Dコンバータ115、および、DSP116により構成される信号処理系を制御する。すなわち、DSP116には、一定のフレームレートで画像データのストリームが供給される。
【0057】
なお、画像センサ113は、一般的なCCD(Charge Coupled Device)などの画像センサよりダイナミックレンジが広く、飽和したり、ノイズを発生させたりすることなく、被写体の暗い部分から明るい部分までを撮像することができる。従って、A/Dコンバータ115は、入力される電気信号を、通常のデジタルビデオカメラの階調数よりも多い階調数の画像データに変換する。すなわち、通常のデジタルビデオカメラの階調数とは、例えば、10乃至12ビット程度のデータにより表現できる階調数であり、それよりも多い階調数とは、例えば、14乃至16ビット程度のデータにより表現できる階調数である。
【0058】
DSP116は、画像データのダイナミックレンジが、例えばLCD119が表示可能なダイナミックレンジになるように、後述する画像処理を画像データに施した後、画像処理を施した画像データを、必要に応じて、LCDドライバ118またはCODEC120に供給する。
【0059】
LCDドライバ118は、DSP116から供給される画像データをアナログの画像信号に変換する。LCDドライバ118は、デジタルビデオカメラのファインダであるLCD119にアナログの画像信号を供給し、画像信号に基づく画像を表示させる。
【0060】
CODEC120は、DSP116から供給される画像データを所定の方式により符号化し、符号化した画像データを、半導体、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、光記録媒体などよりなるメモリ121に記録させる。
【0061】
CPU122は、例えば、ユーザがシャッタボタン等の操作ボタンなどにより構成される入力デバイス123を操作することにより入力された指令などに基づいて、デジタルビデオカメラの全体の処理を制御する。なお、DSP116、タイミングジェネレータ117、CODEC120、メモリ121、LCD119、CPU122、および入力デバイス123は、バス126を介して相互に接続されている。
【0062】
ジャイロセンサ124は、デジタルカメラの傾きを示す情報、例えば速度、角度、角速度、加速度、磁気を検出し、その検出情報を、バス126を介して、CPU122やDSP116などに出力する。フラッシュ125は、バス126を介してなされるCPU122の制御のもと、フラッシュ光を発光する。
【0063】
[DSPの機能構成例]
図5は、DSP116の内部のプロセッサ(演算ユニット)が、所定のプログラムを実行することにより実現される機能の構成の例を示すブロック図である。DSP116の内部のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより、ホワイトバランス処理部151、デモザイク処理部152、階調補正処理部153、ガンマ補正処理部154、およびYC変換処理部155を含む機能が実現される。なお、図5の例において、階調補正処理部153が、図3の階調補正処理部41に対応している。
【0064】
ホワイトバランス処理部151は、A/Dコンバータ115によりA/D変換された、動画像などの画像データであるモザイク画像を取得する。モザイク画像は、R,G,Bのうちのいずれかの色成分に対応するデータが1つの画素に格納され、ベイヤー配列と呼ばれる色配列に従って各画素が配置されている画像であり、RAWデータとも呼ばれている。
【0065】
ホワイトバランス処理部151は、取得したモザイク画像の各画素の画素値に適切な係数をかけることにより、被写体の無彩色の部分の色バランスが実際に無彩色となるように、モザイク画像のホワイトバランスを調整する。ホワイトバランス処理部151は、ホワイトバランスを調整したモザイク画像をデモザイク処理部152に供給する。なお、以下、ホワイトバランスが調整されたモザイク画像をMwとする。
【0066】
デモザイク処理部152は、ホワイトバランス処理部151から供給されたモザイク画像Mwに対して、1つの画素がR,G,B成分を全て有するようにするデモザイク処理を施す。これにより、R,G,Bの3つの色成分にそれぞれ対応するR画像、G画像、B画像の3つの画像データが生成される。デモザイク処理部152は、生成したR画像、G画像、B画像の3つの画像データを階調補正処理部153に供給する。
【0067】
なお、以下、R画像、G画像、B画像の3つの画像データをまとめてRGB画像とも称する。また、以下、モザイク画像の画素位置pにおける画素値をM(p)とする。さらに、以下、デモザイク処理が施された画像データの画素位置pにおける画素値を[R w(p), G w(p), B w(p)]とする。ここで、R w(p)はR成分の画素値であり、G w(p)はG成分の画素値であり、B w(p)はB成分の画素値である。
【0068】
階調補正処理部153は、RGB画像に階調補正処理を施し、階調補正処理を施したRGB画像をガンマ補正処理部154に供給する。その際、階調補正処理部153は、第1のステップで入力される信号から中間データ(代表値)を作り、第2のステップでその中間データに対して補間処理を行うことで、階調補正処理を行う。なお、以下、階調補正処理が施された画像データの画素位置pにおける画素値を[R u(p), G u(p), B u(p)]とする。ここで、R u(p)はR成分の画素値であり、G u(p)はG成分の画素値であり、B u(p)はB成分の画素値である。
【0069】
ガンマ補正処理部154は、階調変換されたRGB画像にガンマ補正を施す。ガンマ補正処理部154は、ガンマ補正を施したRGB画像をYC変換処理部155に供給する。なお、以下、ガンマ補正が施された画像データの画素位置pにおける画素値を[R uγ(p), G uγ(p), B uγ(p)]とする。ここで、R uγ(p)はR成分の画素値であり、G uγ(p)はG成分の画素値であり、B uγ(p)はB成分の画素値である。
【0070】
YC変換処理部155は、ガンマ補正が施されたRGB画像に対して、YCマトリックス処理およびクロマ成分に対する帯域制限を行うことにより、輝度成分(Y成分)により構成されるY画像、および、色差成分(CbまたはCr成分)により構成されるC画像を生成する。YC変換処理部155は、生成したY画像およびC画像を、必要に応じて、LCDドライバ118またはCODEC120に供給する。なお、以下、YC変換処理部155から出力される画像データの画素位置pにおける画素値を[Y(p), C(p)]とする。ここで、Y(p)はY画像における輝度成分の値であり、C(p)はC画像における色差成分の値である。また、以下、C画像のCb成分をCb(p)と称し、C画像のCr成分をCr(p)と称する。
【0071】
[階調補正処理部の構成例]
図6は、階調補正処理部153の機能の構成例を示すブロック図である。階調補正処理部153は、輝度算出部181、非線形変換部182、輝度階調補正部183、非線形変換部184−1乃至非線形変換部184−3、階調補正部185−1乃至階調補正部185−3、および非線形逆変換部186−1乃至非線形逆変換部186−3から構成される。
【0072】
なお、図6の例において、輝度算出部181は、図3の輝度生成部21に対応している。輝度階調補正部183は、図3の階調補正処理部41における輝度生成部21、除算部28、および乗算部29以外の構成に対応している。階調補正部185−1乃至階調補正部185−3は、図3の除算部28および乗算部29に対応している。実際には、階調補正部185−1乃至階調補正部185−3においては、対数変換が用いられているので、除算および乗算の代わりに、減算および加算が行われている。
【0073】
輝度算出部181は、デモザイク処理部152から供給されたRGB画像の画素値Rw(p),Gw(p),Bw(p)から、その画素位置に対応する輝度成分の値(輝度値L(p))を算出し、非線形変換部182に供給する。非線形変換部182は、輝度算出部181からの輝度値L(p)を非線形変換し、その結果として得られた輝度値L(nl)(p)を、輝度階調補正部183および階調補正部185−1乃至階調補正部185−3に供給する。
【0074】
輝度階調補正部183は、非線形変換部182からの輝度値L(nl)(p)の階調を圧縮することで、輝度値L(nl)(p)の階調補正を行い、階調補正により得られた輝度値Lu(nl)(p)を階調補正部185−1乃至階調補正部185−3に供給する。
【0075】
非線形変換部184−1乃至非線形変換部184−3のそれぞれは、デモザイク処理部152から供給されたRGB画像の画素値Rw(p)、Gw(p)、およびBw(p)のそれぞれを非線形変換する。また、非線形変換部184−1乃至非線形変換部184−3のそれぞれは、非線形変換により得られた画素値R(nl)(p)、G(nl)(p)、およびB(nl)(p)のそれぞれを、階調補正部185−1乃至階調補正部185−3に供給する。なお、以下、非線形変換部184−1乃至非線形変換部184−3のそれぞれを個々に区別する必要のない場合、単に非線形変換部184と称する。
【0076】
階調補正部185−1乃至階調補正部185−3のそれぞれは、非線形変換部182からの輝度値L(nl)(p)と、輝度階調補正部183からの輝度値Lu(nl)(p)とを用いて、入出力の輝度値比に対応するように、非線形変換部184−1乃至非線形変換部184−3からの画素値R(nl)(p)、G(nl)(p)、およびB(nl)(p)のそれぞれを階調補正する。階調補正部185−1乃至階調補正部185−3のそれぞれは、階調補正により得られた画素値R u(nl)(p)、G u(nl)(p)、およびB u(nl) (p)のそれぞれを、非線形逆変換部186−1乃至非線形逆変換部186−3のそれぞれに供給する。
【0077】
非線形逆変換部186−1乃至非線形逆変換部186−3のそれぞれは、階調補正部185−1乃至階調補正部185−3からの画素値R u(nl)(p)、G u(nl)(p)、およびB u(nl) (p)のそれぞれに、非線形変換部184による非線形変換の逆変換となる非線形逆変換を施す。非線形逆変換部186−1乃至非線形逆変換部186−3のそれぞれは、非線形逆変換により得られた画素値Ru(p)、Gu(p)、およびBu(p)のそれぞれを、ガンマ補正処理部154に供給する。
【0078】
なお、以下、階調補正部185−1乃至階調補正部185−3のそれぞれを個々に区別する必要のない場合、単に階調補正部185と称する。また、以下、非線形逆変換部186−1乃至非線形逆変換部186−3のそれぞれを個々に区別する必要のない場合、単に非線形逆変換部186と称する。
【0079】
[輝度階調補正部の構成例]
図7は、図6の輝度階調補正部183の機能の構成の例を示すブロック図である。輝度階調補正部183は、輝度域情報算出部211、輝度域情報メモリ212、ブロックヒストグラム算出部213、ブロックヒストグラムメモリ214、ブロック積分値算出部215、ブロック積分値メモリ216、加重積和部217、トーンカーブ算出部218、トーンカーブメモリ219、マッピング部220、マッピング部221、およびコントラスト補正部222から構成される。
【0080】
なお、図7の例において、輝度域情報算出部211は、図3の輝度域情報算出部22に対応し、輝度域情報メモリ212は、図3の輝度域情報メモリ23に対応している。また、ブロックヒストグラム算出部213およびブロック積分値算出部215は、図3のLPF24に対応し、ブロックヒストグラムメモリ214およびブロック積分値メモリ216は、図3の中間メモリ25に対応している。さらに、加重積和部217は、図3の拡大処理部26と調整処理部51に対応し、トーンカーブ算出部218乃至コントラスト補正部222は、図3の階調圧縮処理部27に対応している。
【0081】
輝度域情報算出部211、ブロックヒストグラム算出部213、およびブロック積分値算出部215は、RGB画像の広域的な情報を算出し、その情報を1フレームごとに更新する処理を行う。
【0082】
すなわち、輝度域情報算出部211は、非線形変換部182から供給された輝度値L(nl)(p)からなる1フレーム分の画像(以下、輝度画像と称する)の画素の輝度値のヒストグラムにおける暗輝度側および明輝度側の裾野の輝度値である裾野値を求め、それらの裾野値を輝度域情報として輝度域情報メモリ212に格納する。輝度域情報メモリ212は、輝度域情報算出部211から供給された輝度域情報を一時的に記録し、トーンカーブ算出部218に供給する。
【0083】
ブロックヒストグラム算出部213は、非線形変換部182から供給された輝度値L(nl)(p)からなる1フレーム分の輝度画像を、空間方向に複数のいくつかの空間ブロック(領域)に分割し、さらに空間ブロックを輝度方向に分割して輝度ブロックとする。ここで、輝度ブロックは、空間ブロック内の画素のうち、輝度ブロックに対して予め定められた輝度範囲内の輝度値を有する画素からなる。したがって、例えば空間ブロックをD個の輝度ブロックに分割する場合、輝度値の取り得る範囲が予めD個の範囲に分割されており、空間ブロック内の画素は、その輝度値がD個の範囲のいずれの範囲内の値であるかによって、D個の輝度ブロックのうちのいずれかに分類される。
【0084】
また、ブロックヒストグラム算出部213は、輝度画像を分割して得られる各輝度ブロックの画素の頻度値を求め、それらの頻度値をブロックヒストグラムとして、ブロックヒストグラムメモリ214に供給する。すなわち、ブロックヒストグラムは、各輝度ブロックに属す(分類された)画素数を示している。ブロックヒストグラムメモリ214は、ブロックヒストグラム算出部213から供給されたブロックヒストグラムを一時的に記録し、加重積和部217に供給する。
【0085】
ブロック積分値算出部215は、非線形変換部182から供給された輝度値L(nl)(p)からなる1フレーム分の輝度画像から、各輝度ブロックについて、輝度ブロックに属す画素の輝度値の積分値(総和)を算出し、算出された積分値をブロック積分値としてブロック積分値メモリ216に供給する。ブロック積分値メモリ216は、ブロック積分値算出部215から供給されたブロック積分値を一時的に記録し、加重積和部217に供給する。
【0086】
なお、これらの輝度域情報、ブロックヒストグラム、およびブロック積分値は、1フレーム分の輝度画像の代表値であり、上述してきた中間データに対応する。したがって、以下、適宜、中間データとも称する。この中間データとしての輝度域情報、ブロックヒストグラム、およびブロック積分値は、輝度域情報メモリ212、ブロックヒストグラムメモリ214、およびブロック積分値メモリ216に、輝度画像(RGB画像)の1フレーム分の時間だけ保持されて、1フレームごとに更新されることになる。
【0087】
加重積和部217は、非線形変換部182からの輝度値L(nl)(p)と、ブロックヒストグラムメモリ214からのブロックヒストグラム、およびブロック積分値メモリ216からのブロック積分値とから、輝度値L(nl)(p)からなる輝度画像のごく低周波成分からなる画像(以下、大局輝度画像と称する)の輝度値である大局輝度値Ll(nl)(p)を算出する。
【0088】
すなわち、処理対象となっているフレームの時間的に1つ前のフレームの輝度画像(RGB画像)から求められた、ブロックヒストグラムおよびブロック積分値が用いられて、非線形変換部182からの輝度値L(nl)(p)の画素の大局輝度値Ll(nl)(p)が算出される。ここで、大局輝度値とは、いわばRGB画像上の画素が属す物体領域の平均輝度に相当する情報、つまりその画素が含まれる物体領域の平均的な明るさを示す輝度値である。
【0089】
なお、以下、処理の対象となっている画素、例えば、輝度階調補正部183に供給された輝度値L(nl)(p)の画素を、処理対象画素とも称する。
【0090】
また、加重積和部217で用いられる中間データは、算出するのにほぼ1フレーム分の時間が必要とされるため、実際に生成された中間データが利用されるのは、次のフレームの画像情報が入力されたときとなる。したがって、中間データが生成されるとき(第1のステップ)の画像と、中間データが利用されるとき(第2のステップ)の画像の画角や輝度の変化(差分)が大きい場合があり得る。
【0091】
加重積和部217は、第1のステップの画像と第2のステップの画像の変化(差分)に応じた出力割合であるフィルタ効果調整量に基づき、算出した大局輝度値Ll(nl)(p)と、非線形変換部182からの輝度値L(nl)(p)を混合する。そして、加重積和部217は、ブレンドされた結果の輝度値を、大局輝度値Ll’(nl)(p)として、トーンカーブ算出部218およびマッピング部220に供給する。
【0092】
トーンカーブ算出部218は、輝度域情報メモリ212からの輝度域情報と、加重積和部217からの輝度値Ll’(nl)(p)とから、輝度値の階調を圧縮するために適用されるトーンカーブの形状を算出し、その算出結果をトーンカーブメモリ219に供給する。トーンカーブメモリ219は、トーンカーブ算出部218からのトーンカーブを記録し、記録しているトーンカーブをマッピング部220、マッピング部221、およびコントラスト補正部222に供給する。
【0093】
マッピング部220は、トーンカーブメモリ219に記録されているトーンカーブに基づいて、加重積和部217からの輝度値Ll’(nl)(p)の階調を圧縮(補正)し、階調補正により得られた輝度値Lcl(nl)(p)をコントラスト補正部222に供給する。マッピング部221は、トーンカーブメモリ219に記録されているトーンカーブに基づいて、非線形変換部182からの輝度値L(nl)(p)の階調を圧縮(補正)し、階調補正により得られた輝度値Lc(nl)(p)をコントラスト補正部222に供給する。
【0094】
コントラスト補正部222は、マッピング部220からの輝度値Lcl(nl)(p)、マッピング部221からの輝度値Lc(nl)(p)、およびトーンカーブメモリ219に記録されているトーンカーブに基づいて、階調が圧縮された輝度値Lc(nl)(p)からなる輝度画像のコントラストを補正する。また、コントラスト補正部222は、コントラストの補正された輝度値Lu(nl)(p)を階調補正部185に供給する。
【0095】
すなわち、輝度階調補正部183は、2ステップ構成の輝度階調補正処理を行う構成となっている。この構成では、第1ステップの処理が、輝度域情報算出部211、ブロックヒストグラム算出部213、およびブロック積分値算出部215により行われ、その計算結果である中間データが、輝度域情報メモリ212、ブロックヒストグラムメモリ214、およびブロック積分値メモリ216にそれぞれ格納される。
【0096】
また、第2のステップの処理として、ブロックヒストグラムメモリ214およびブロック積分値メモリ216から中間データが読み出され、その中間データに対して加重積和部217により補間処理が行われる。そして、補間処理後の出力値が用いられて、マッピング部220およびマッピング部221、並びにコントラスト補正部222により階調が調整される。このとき、マッピング部220およびマッピング部221、並びにコントラスト補正部222で用いられるトーンカーブは、輝度域情報メモリ212の値を用いてトーンカーブ算出部218により算出され、トーンカーブメモリ219に格納されている。
【0097】
さらに、図7の構成においては、加重積和部217において、中間データに対して補間処理が行われた画像と、第2のステップの画像とが、第1のステップの画像と第2のステップの画像の変化(差分)に応じて混合されてトーンカーブ算出部218およびマッピング部220に出力される。これにより、トーンカーブ算出部218以降の処理において、計算精度の劣化が抑制される。
【0098】
[加重積和部の構成例]
図8は、図7の加重積和部217の機能の構成例を示すブロック図である。加重積和部217は、補間部233、補間部234、空間重み関数保持部235、積和部236、積和部237、輝度重み関数保持部238、除算部239、およびフィルタ効果調整処理部240から構成される。
【0099】
ブロックヒストグラムメモリ214およびブロック積分値メモリ216には、第1のステップの処理結果として、画像の特徴量を3次元(空間の次元とレベルの次元)で疎に標本化した値(代表値)が格納されている。この加重積和部217においては、第2のステップの処理として、ブロックヒストグラムメモリ214およびブロック積分値メモリ216に格納された疎な代表値に対して、補間フィルタにより補間伸長して、入力画像と同じ画素数の密な信号を得ることが目的とされる。ここで、補間フィルタとしては、式(1)で示されたバイテラルフィルタが用いられる。
【0100】
非線形変換部182からの輝度値L(nl)(p)の画素、つまり処理対象画素の位置は、それぞれ、補間部233および補間部234に供給される。補間部233および補間部234は、パラメータとして、空間重み関数保持部235に保持されている空間重み関数ルックアップテーブルと、非線形変換部182からの入力画像の位置情報を用いて、空間次元の補間伸長処理をそれぞれ行う。
【0101】
具体的には、補間部233は、輝度画像上における非線形変換部182から供給された輝度値L(nl)(p)の画素、つまり処理対象画素の位置に対する、輝度ブロックの輝度範囲の中央値ごとの補間されたブロック積分値を求めて輝度積分値とし、積和部236に供給する。すなわち、輝度ブロック内の画素の取り得る輝度値の範囲の中央値をλとすると、補間部233は、処理対象画素の空間方向近傍の4×4個の空間ブロックから分割された各輝度ブロックのうち、中央値がλである16個の輝度ブロックのブロック積分値のそれぞれに対して補間係数を乗算し、補間係数が乗算されたブロック積分値の和を求めることで、中央値λに対する輝度積分値を求める。
【0102】
換言すれば、補間部233は、処理対象画素近傍の輝度ブロックのブロック積分値を用いた補間処理を行うことにより、各中央値λに対する輝度積分値を求める。これにより、中央値λごとのD個の輝度積分値が求められることになる。なお、各ブロック積分値に乗算される補間係数は、処理対象画素の位置と、その処理対象画素近傍の空間ブロックとの相対位置関係に基づいて、空間重み関数保持部235に保持されている空間重み関数ルックアップテーブルから読み出される。
【0103】
同様に、補間部234は、輝度画像上における非線形変換部182から供給された輝度値L(nl)(p)の画素、つまり処理対象画素の位置に対する、輝度ブロックの輝度範囲の中央値ごとの補間されたブロックヒストグラムを求めて輝度ヒストグラムとし、積和部237に供給する。すなわち、補間部234は、処理対象画素の空間方向近傍の4×4個の空間ブロックから分割された各輝度ブロックのうち、中央値がλである16個の輝度ブロックのブロックヒストグラムのそれぞれに対して補間係数を乗算し、補間係数が乗算されたブロックヒストグラムの和を求めることで、中央値λに対する輝度ヒストグラムを求める。
【0104】
換言すれば、補間部234は、処理対象画素近傍の輝度ブロックのブロックヒストグラムを用いた補間処理を行うことにより、各中央値λに対する輝度ヒストグラムを求める。これにより、中央値λごとのD個の輝度ヒストグラムが求められることになる。なお、各ブロックヒストグラムに乗算される補間係数は、処理対象画素の位置と、その処理対象画素近傍の空間ブロックとの相対位置関係に基づいて、空間重み関数保持部235に保持されている空間重み関数ルックアップテーブルから読み出される。
【0105】
積和部236および積和部237は、パラメータとして、輝度重み関数保持部238に保持されている輝度重み関数ルックアップテーブルと、非線形変換部182からの輝度値L(nl)(p)を用いて、レベル次元の補間伸長処理を行う。
【0106】
具体的には、積和部236は、補間部233から供給されたD個の輝度積分値に対して、輝度加重値を積和する計算を行い、積和された輝度積分値を除算部239に供給する。すなわち、輝度加重値の乗算された輝度積分値の和が求められる。ここで、輝度積分値に乗算される輝度加重値は、非線形変換部182から積和部236に供給された輝度値L(nl)(p)と、中央値λとに基づいて、輝度重み関数保持部238に保持されている輝度重み関数ルックアップテーブルの輝度重み関数から算出される。
【0107】
同様に、積和部237は、補間部234から供給されたD個の輝度ヒストグラムに対して、輝度加重値を積和する計算を行い、積和された輝度ヒストグラムを除算部239に供給する。すなわち、輝度加重値の乗算された輝度ヒストグラムの和が求められる。ここで、輝度ヒストグラムに乗算される輝度加重値は、非線形変換部182から積和部237に供給された輝度値L(nl)(p)と、中央値λとに基づいて、輝度重み関数保持部238に保持されている輝度重み関数ルックアップテーブルの輝度重み関数から算出される。
【0108】
除算部239は、積和部236からの輝度積和値を、積和部237からの輝度ヒストグラムで除算することにより、処理対象画素の大局輝度値Ll(nl)(p)を算出して、フィルタ効果調整処理部240に供給する。
【0109】
ここで、バイテラルフィルタの誤差拡大による処理の破綻は、除算部239からの出力が意図しない値となることによって発生する。すなわち、除算部239では、上述した式(1)による計算が行われる。したがって、例えば、式(1)の右辺の分母であるブロックヒストグラムの補間値が0になった場合には、除算部239の値が不定になる。また、フラッシュ発光などで画像の輝度が極端に変化した場合には、バイテラルフィルタの出力値がその輝度変化に追従することができず、それによって、意図しない大局輝度値(例えば、前のフレームの輝度値)が除算部239から出力されてしまう。
【0110】
これに対応して、フィルタ効果調整処理部240は、バイテラルフィルタの出力値である除算部239からの大局輝度値Ll(nl)(p)と、非線形変換部182からフィルタ効果調整処理部240に供給された輝度値L(nl)(p)とをフィルタ効果調整量に応じて混合する。
【0111】
例えば、処理対象のフレームに対する、その時間的に1つ前のフレームの変化量が大きい場合、除算部239からの大局輝度値Ll(nl)(p)の出力割合が、輝度値L(nl)(p)の出力割合よりも小さくなるように、それらの輝度値が混合される。反対に、処理対象のフレームに対する、その時間的に1つ前のフレームの変化量が小さい場合、除算部239からの大局輝度値Ll(nl)(p)の出力割合が、輝度値L(nl)(p)の出力割合よりも大きくなるように、それらの輝度値が混合される。
【0112】
フィルタ効果調整処理部240は、混合した輝度値を、大局輝度値Ll’(nl)(p)として、トーンカーブ算出部218およびマッピング部220に供給する。
【0113】
なお、このフィルタ効果調整量は、例えば、図5のCPU122により決定され、供給される。
【0114】
図9は、図8のフィルタ効果調整処理部240の機能の構成例を示すブロック図である。
【0115】
図9のフィルタ効果調整処理部240は、減算部261、乗算部262、および加算部263により構成されている。
【0116】
バイテラルフィルタの出力値である除算部239からの大局輝度値Ll(nl)(p)は、減算部261に入力される。非線形変換部182からの輝度値L(nl)(p)は、減算部261および加算部263に入力される。
【0117】
減算部261は、除算部239からの輝度値Ll(nl)(p)と、非線形変換部182からの輝度値L(nl)(p)との差分の輝度値を、乗算部262に出力する。乗算部262には、例えば、図5のCPU122から供給されるフィルタ効果調整量(例えば、0乃至1.0)を、乗算部262からの差分の輝度値に乗算し、乗算した結果の輝度値を、加算部263に出力する。
【0118】
加算部263は、乗算部262からの輝度値に、非線形変換部182からの輝度値L(nl)(p)を加算し、加算した結果である輝度値を、大局輝度値Ll’(nl)(p)として、後段のトーンカーブ算出部218およびマッピング部220に出力する。
【0119】
すなわち、図9の例においては、供給されるフィルタ効果調整量が0の場合、非線形変換部182からの輝度値L(nl)(p)が、大局輝度値Ll’(nl)(p)として、後段のトーンカーブ算出部218およびマッピング部220に出力される。一方、供給されるフィルタ効果調整量が1の場合、除算部239からの輝度値Ll(nl)(p)が、大局輝度値Ll’(nl)(p)として、後段のトーンカーブ算出部218およびマッピング部220に出力される
【0120】
[画像処理の例]
次に、図10のフローチャートを参照して、図4のデジタルカメラ101における画像処理について説明する。なお、この処理は、例えば、デジタルビデオカメラ101による撮影が開始され、A/Dコンバータ115からDSP116への画像データ(モザイク画像)のストリームの供給が開始されたときに開始される。また、DSP116に供給された画像データは、逐次DSP116の図示せぬ内部のメモリに格納される。
【0121】
ステップS111において、ホワイトバランス処理部151は、モザイク画像を読み込む。具体的には、ホワイトバランス処理部151は、DSP116の図示せぬ内部のメモリに格納されている先頭のフレームのモザイク画像を読み込む。
【0122】
ステップS112において、ホワイトバランス処理部151は、取得したモザイク画像のホワイトバランスを調整し、デモザイク処理部152に供給する。
【0123】
ステップS113において、デモザイク処理部152は、デモザイク処理を行う。すなわち、デモザイク処理部152は、ホワイトバランス処理部151からのモザイク画像にデモザイク処理を施してRGB画像を生成し、階調補正処理部153に供給する。
【0124】
ステップS114において、階調補正処理部153は、階調補正処理を行い、デモザイク処理部152からのRGB画像の階調を補正する。このとき、階調補正処理部153は、処理対象となっているフレームの画像に対する、そのフレームの時間的に1つ前のフレームの画像の変化量に応じた割合で、1つ前のフレームの画像で作成された中間データに対して補間処理を行った結果の輝度値と、処理対象の輝度値を混合した輝度値に対して、階調補正処理を行う。そして、階調補正処理部153は、階調の補正されたRGB画像をガンマ補正処理部154に供給する。なお、階調補正処理の詳細は、図11および図12を参照して後述する。
【0125】
ステップS115において、ガンマ補正処理部154は、階調補正処理部153からのRGB画像にガンマ補正を施してYC変換処理部155に供給する。
【0126】
ステップS116において、YC変換処理部155は、YC変換処理を行う。例えば、YC変換処理部155は、ガンマ補正処理部154からのRGB画像に対してYCマトリックス処理およびクロマ成分に対する帯域制限を行うことにより、RGB画像からY画像およびC画像を生成する。そして、ステップS117において、YC変換処理部155は、Y画像およびC画像を出力する。例えば、YC変換処理部155は、必要に応じてY画像およびC画像をLCDドライバ118またはCODEC120に出力する。
【0127】
ステップS118において、ホワイトバランス処理部151は、後続するフレームが存在するか否かを判定する。例えば、DSP116の図示せぬ内部のメモリに後続するフレームのモザイク画像が蓄積されている場合、後続フレームが存在すると判定される。
【0128】
ステップS118において、後続するフレームが存在すると判定された場合、処理は、ステップS119に進む。ステップS119において、CPU122は、フィルタ効果調整量を決定し、決定したフィルタ効果調整量を、図8のフィルタ効果調整処理部240に供給する。
【0129】
すなわち、CPU122は、図5のフラッシュ125の制御値や、ジャイロセンサ124からの検出情報、または、DSP116からフレームを取得して、動き探索などを行うことにより、フィルタ効果調整量(0乃至1.0)を決定する。
【0130】
例えば、フィルタ効果調整量を0に設定すると、入力の輝度値がそのまま出力されるようになり、バイテラルフィルタ(中間データと第2のステップの画像)の誤差による破綻が防止される。反対に、フィルタ効果調整量を1.0に設定すると、バイテラルフィルタ出力がそのまま出力され、バイテラルフィルタを用いた処理が行われる。
【0131】
したがって、CPU122は、次のような変化を検出した場合、いま処理をしていた直前のフレームと、そのフレームの時間的に1つ前のフレームに急激な変化があるとして、フィルタ効果調整量を小さい値に決定する。
【0132】
例えば、図5のフラッシュ125の発光を制御した場合、それらのフレーム間に急激な輝度値の変化があるとして、フィルタ効果調整量が小さい値に決定される。または、ジャイロセンサ124からの検出情報を積分することにより、大きな手振れが生じたと判定された場合、それらのフレーム間に急激な画角の変化があるとして、フィルタ効果調整量が小さい値に決定される。
【0133】
さらに、例えば、それらの2つのフレームの画像データをDSP116から取得し、取得したフレーム間において動き探索などを行い、直前のフレームにおいて大きく早く動く物体などが横切ったと検出された場合、フレーム間に急激な輝度の変化があるとして、フィルタ効果調整量が小さい値に決定される。なお、動き探索には、専用のCPUを用いるようにしてもよい。また、フラッシュ125発光の検出を行うことで、輝度値の変化を検出するようにしてもよい。
【0134】
以上のように、フレーム間の変化の大きさに応じて、フィルタ効果調整量を決定することにより、例えば、急激に画像が変化したような場合に生じる画像の破綻を抑制することができる。
【0135】
ステップS119の後、処理は、ステップS111に戻り、処理対象となる次のフレームのモザイク画像が読み込まれる。これに対して、ステップS118において、後続するフレームが存在しないと判定された場合、画像処理は終了する。
【0136】
[階調補正処理の例]
次に、図11および図12のフローチャートを参照して、図10のステップS114の処理に対応する階調補正処理について説明する。
【0137】
ステップS141において、加重積和部217およびトーンカーブ算出部218は、中間データを読み込む。すなわち、加重積和部217の補間部233は、ブロック積分値メモリ216から中間データとしてのブロック積分値を読み込み、加重積和部217の補間部234は、ブロックヒストグラムメモリ214から中間データとしてのブロックヒストグラムを読み込む。また、トーンカーブ算出部218は、輝度域情報メモリ212から中間データとしての輝度域情報を読み込む。
【0138】
ステップS142において、輝度域情報算出部211は、DSP116の図示せぬ内部のメモリからnoise Level(nl)およびsaturation Level(nl)を読み込む。
【0139】
ステップS143において、階調補正処理部153は、デモザイク処理部152から、RGB画像の処理対象画素の画素値を読み込む。すなわち、非線形変換部184−1乃至非線形変換部184−3は、処理対象画素のR成分の画素値R w(p)、G成分の画素値G w(p)、およびB成分の画素値B w(p)を読み込み、輝度算出部181は、処理対象画素のR、G、およびBの成分の画素値を読み込む。
【0140】
ステップS144において、輝度算出部181は、読み込んだ画素値に基づいて、処理対象画素の輝度値L(p)を算出し、非線形変換部182に供給する。例えば、輝度算出部181は、読み込んだR、G、およびBの成分の画素値に所定の係数を乗算して線形和を求めて輝度値としたり、R、G、およびBの成分の画素値のうちの最大値を輝度値としたりする。
【0141】
ステップS145において、非線形変換部182は、輝度算出部181からの輝度値L(p)を非線形変換し、変換により得られた輝度値L(nl)(p)を、輝度階調補正部183および階調補正部185に供給する。例えば、非線形変換部182は、1より小さい指数によるべき乗特性や対数特性など、上に凸の単調増加特性を有する関数を用いて輝度値L(p)を非線形変換する。
【0142】
ステップS146において、輝度階調補正部183および階調補正部185は、非線形変換部182から、処理対象画素の輝度値L(nl)(p)を読み込む。
【0143】
ステップS147において、輝度階調補正部183の輝度域情報算出部211は、輝度域情報算出のための画素処理を行う。輝度域情報算出のための画素処理において、これまでに供給された輝度画像の画素の輝度値と、非線形変換部182から読み込んだ輝度値L(nl)(p)とが比較され、ソーティングが行われる。
【0144】
ステップS148において、ブロックヒストグラム算出部213は、ブロックヒストグラム算出のための画素処理を行う。ブロックヒストグラム算出のための画素処理において、非線形変換部182から読み込んだ輝度値L(nl)(p)と処理対象画素の位置とに基づいて、処理対象画素が輝度ブロックに分類される。そして、輝度ブロックに対応するブロックヒストグラム算出部213の図示せぬカウンタの値がインクリメントされる。
【0145】
ステップS149において、ブロック積分値算出部215は、ブロック積分値算出のための画素処理を行う。このブロック積分値算出のための画素処理において、非線形変換部182から読み込んだ輝度値L(nl)(p)と処理対象画素の位置とに基づいて、処理対象画素が輝度ブロックに分類され、輝度ブロックに対応するブロック積分値に輝度値L(nl)(p)が加算される。
【0146】
ステップS150において、加重積和部217は、非線形変換部182からの輝度値L(nl)(p)を用いて、大局輝度値算出処理を行って、処理対象画素の大局輝度値Ll(nl)(p)を算出する。そして、加重積和部217は、算出された大局輝度値Ll(nl)(p)と、非線形変換部182からの輝度値L(nl)(p)とを、フィルタ効果調整量に応じて混合し、混合した輝度値を、大局輝度値Ll’(nl)(p)として、トーンカーブ算出部218およびマッピング部220に供給する。なお、大局輝度値算出処理の詳細は、図14を参照して後述する。
【0147】
ステップS151において、トーンカーブ算出部218は、輝度域情報メモリ212から読み出した輝度域情報と、加重積和部217からの大局輝度値Ll’(nl)(p)とから、トーンカーブを求める。
【0148】
例えば、トーンカーブ算出部218は、図13に示すトーンカーブのコントロールポイントを設定する。なお、図13のグラフの横軸方向は、階調補正する前の入力輝度の対数値を表し、縦軸方向は、トーンカーブCLによる階調補正後の出力輝度の対数値を表している。
【0149】
まず、トーンカーブ算出部218は、9つのコントロールポイントP1乃至コントロールポイントP9を設定する。コントロールポイントP1は、入力輝度が所定の最小レベルとなり、出力輝度が所定の最小レベルLbase(nl)となるポイントに設定される。コントロールポイントP2は、入力輝度がノイズレベルであると見なすことができる輝度である所定のノイズレベルLnoise(nl)となり、出力輝度が最小レベルLbase(nl)となるポイントに設定される。コントロールポイントP3は、入力輝度がノイズレベルLnoise(nl)の2倍の輝度値となり、出力輝度が最小レベルLbase(nl)となるポイントに設定される。
【0150】
コントロールポイントP4は、入力輝度が、輝度域情報メモリ212からの輝度域情報としての暗輝度側の裾野値Ldark(nl)となり、出力輝度がほぼ黒レベルの輝度値である輝度値Lankle(nl)となるポイントに設定される。コントロールポイントP5は、入力輝度が裾野値Ldark(nl)の2倍の輝度値となり、出力輝度が輝度値Lankle(nl)の2倍の輝度値となるポイントに設定される。コントロールポイントP6は、入力輝度が加重積和部217からの大局輝度値Ll’(nl)(p)となり、出力輝度が出力輝度の輝度範囲における所定のほぼ中間の中間輝度レベルLmid(nl)となるポイントに設定される。すなわち、大局輝度値がトーンカーブにより階調補正された場合に、大局輝度値が、トーンカーブによる階調補正後の輝度値の取り得る範囲のほぼ中間の値に変換されるように、コントロールポイントP6が設定される。
【0151】
コントロールポイントP7は、入力輝度が明輝度側の裾野値Lbright(nl)の2分の1の輝度値となり、出力輝度がほぼ白レベルの輝度値である輝度値Lshoulder(nl)の2分の1の輝度値となるポイントに設定される。コントロールポイントP8は、入力輝度が、輝度域情報メモリ212からの輝度域情報としての裾野値Lbright(nl)となり、出力輝度が輝度値Lshoulder(nl)となるポイントに設定される。コントロールポイントP9は、入力輝度が所定の入力輝度の最大値となり、出力輝度が所定の出力輝度の最大値となるポイントに設定される。
【0152】
また、図13において、コントロールポイントP5と、コントロールポイントP7とを結ぶ線分ALの傾きは、トーンカーブCLの傾きを代表するγ-compパラメータを示している。
【0153】
処理対象画素ごとのトーンカーブCLの形状は、例えば、コントロールポイントP1乃至コントロールポイントP9に基づいて、各入力輝度値に対する出力輝度値(トーンカーブ値)をB-Spline補間処理により求めることにより定められる。
【0154】
なお、トーンカーブCLの形状は、どのような形式でトーンカーブメモリ219に保持されてもよい。但し、トーンカーブCLの形状は画素ごとに更新されるため、データ量が小さい形式で保持されることが望ましい。例えばトーンカーブの形状を数個乃至10数個程度のコントロールポイントにより表現し、マッピング部220およびマッピング部221がそれらのコントロールポイントから、トーンカーブCLを算出することが妥当である。
【0155】
トーンカーブ算出部218は、設定したコントロールポイントP1乃至コントロールポイントP9の入力輝度および出力輝度のセットをトーンカーブメモリ219に記録させる。したがって、実際には、1フレーム分の輝度画像を処理する期間では、コントロールポイントP6の入力輝度だけが処理対象画素が変化するたびに更新されることになる。
【0156】
なお、コントロールポイントP3が補助点として設定されることにより、トーンカーブCLが確実にコントロールポイントP2またはその近傍を通過するようになる。すなわち、入力輝度がほぼノイズレベルLnoise(nl)である場合、出力輝度の最小レベルLbase(nl)にほぼ等しい値に階調変換されるようになる。また、コントロールポイントP5が補助点として設定されることにより、入力輝度がほぼ裾野値Ldark(nl)となり、出力輝度がほぼ黒レベルとなる輝度値Lankle(nl)となる付近(コントロールポイントP4付近)のトーンカーブCLの傾きが極端に急峻になったり緩やかになったりすることが防止される。また、コントロールポイントP7が補助点として設定されることにより、入力輝度がほぼ裾値Lbright(nl)となり、出力輝度がほぼ白レベルとなる輝度値Lshoulder(nl)付近(コント
ロールポイントP8付近)のトーンカーブCLの傾きが極端に急峻になったり緩やかになったりすることが防止される。
【0157】
したがって、トーンカーブCLは、コントロールポイントP6付近で傾きが緩やかになり、コントロールポイントP4およびP8付近で傾きがほぼ1に近くなる逆S字状の単調増加する曲線となる。つまり、トーンカーブCLは、大局輝度値Ll’(nl)(p)が高い場合には、輝度値の高い画素の明るさを抑えるものとなり、大局輝度値Ll’(nl)(p)が低い場合には、輝度値の低い画素の明るさを明るくするものとなる。これにより、トーンカーブCLによる階調圧縮およびコントラスト補正を組み合わせることにより、画像のディテールをほぼ保持したまま、白ツブレをほとんど発生させることなく、画像上の暗い部分が明るくなるように画像の階調の圧縮を行うことができる。
【0158】
図11のフローチャートの説明に戻り、ステップS151において、トーンカーブの形状が求められ、トーンカーブの形状、より詳細にはコントロールポイントの入力輝度および出力輝度のセットがトーンカーブメモリ219に記録されると、処理はステップS152に進む。
【0159】
ステップS152において、マッピング部220は、加重積和部217から供給された大局輝度値Ll’(nl)(p)を、トーンカーブメモリ219に記録されているトーンカーブに基づいて補正し、コントラスト補正部222に供給する。すなわち、マッピング部220は、トーンカーブメモリ219に記録されているコントロールポイントを用いて、B-Spline補間処理によりトーンカーブを求め、求めたトーンカーブを用いて大局輝度値Ll’(nl)(p)を大局輝度値Lcl(nl)(p)に変換することにより、大局輝度値Ll’(nl)(p)の階調を補正する。
【0160】
ステップS153において、マッピング部221は、読み込んだ処理対象画素の輝度値L(nl)(p)を、トーンカーブメモリ219に記録されているトーンカーブに基づいて補正し、コントラスト補正部222に供給する。すなわち、マッピング部221は、トーンカーブメモリ219に記録されているコントロールポイントを用いて、B-Spline補間処理によりトーンカーブを求め、求めたトーンカーブを用いて、非線形変換部182からの輝度値L(nl)(p)を輝度値Lc(nl)(p)に変換することにより、輝度値L(nl)(p)の階調を補正する。
【0161】
ステップS154において、コントラスト補正部222は、コントラスト補正処理を行い、トーンカーブにより階調が補正され、コントラストが劣化した輝度値Lc(nl)(p)からなる輝度画像を元の画像と同程度のコントラストに補償する。コントラスト補正部222は、コントラスト補正された輝度値Lu(nl)(p)を階調補正部185に供給する。
【0162】
ステップS155において、非線形変換部184は、読み込んだ処理対象画素の画素値を非線形変換し、階調補正部185に供給する。すなわち、非線形変換部184−1乃至非線形変換部184−3は、RGB画像の画素値Rw(p)、Gw(p)、およびBw(p)のそれぞれに対して、ステップS145の処理においてなされる非線形変換と同じ非線形変換を行う。
【0163】
ステップS156において、階調補正部185−1乃至階調補正部185−3は、非線形変換部182からの輝度値L(nl)(p)と、輝度階調補正部183からの輝度値Lu(nl)(p)とを用いて、非線形変換部184からの画素値を階調補正する。そして、階調補正部185は、階調補正された画素値を、非線形逆変換部186に供給する。
【0164】
例えば、階調補正部185は、輝度値L(nl)(p)と、階調補正された輝度値Lu(nl)(p)との比を各色の成分の画素値に乗算する。より具体的には、例えば、階調補正部185−1は、次式(2)を計算することにより、階調補正された画素値R u(nl)(p)を求める。
【0165】
【数2】

【0166】
式(2)では、階調補正前後の輝度値の比率、つまり階調補正された輝度値Lu(nl)(p)を階調補正前の輝度値L(nl)(p)で除算した値が、非線形変換された画素値R(nl)(p)に対して乗算されている。階調補正部185−2および階調補正部185−3においても、上述した式(2)と同様の計算が行われ、画素値が階調補正される。
【0167】
なお、非線形変換部182および非線形変換部184において行われる非線形変換が、対数変換である場合には、式(3)に示す計算を行うことにより、画素値が階調補正されてもよい。
【0168】
【数3】

【0169】
式(3)では、階調補正された輝度値Lu(nl)(p)と、階調補正前の輝度値L(nl)(p)との差分値が、画素値R(nl)(p)に加算されて、階調補正された画素値R u(nl)(p)とされている。
【0170】
ステップS157において、非線形逆変換部186−1乃至非線形逆変換部186−3は、階調補正部185からの画素値に、非線形変換部184による非線形変換の逆変換となる非線形逆変換を施す。そして、ステップS158において、非線形逆変換部186−1乃至非線形逆変換部186−3は、非線形逆変換により得られた画素値Ru(p)、Gu(p)、およびBu(p)を、ガンマ補正処理部154に出力する。
【0171】
ステップS159において、階調補正処理部153は、処理対象となっているフレームのRGB画像上の全ての画素を処理したか否かを判定する。ステップS159において、まだ全ての画素を処理していない、つまり全ての画素が処理対象画素とされていないと判定された場合、処理はステップS143に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0172】
これに対して、ステップS159において、全ての画素が処理されたと判定された場合、ステップS160において、輝度域情報算出部211(図7)は、輝度域情報を求める。すなわち、輝度域情報算出部211は、非線形変換部182から供給された輝度値L(nl)(p)からなる1フレーム分の輝度画像の画素の輝度値のヒストグラムにおける暗輝度側および明輝度側の裾野の輝度値である裾野値を求め、それらの裾野値を輝度域情報として輝度域情報メモリ212に供給し、記録させる。
【0173】
ステップS161において、ブロックヒストグラム算出部213は、ブロックヒストグラムを求める。すなわち、ブロックヒストグラム算出部213は、輝度画像を分割して得られる各輝度ブロックの画素の頻度値を求め、それらの頻度値をブロックヒストグラムとして、ブロックヒストグラムメモリ214に供給し、記録させる。
【0174】
ステップS162において、ブロック積分値算出部215は、ブロック積分値を求め、階調補正処理は終了し、処理は図10のステップS115に進む。すなわち、ブロック積分値算出部215は、非線形変換部182から供給された輝度値L(nl)(p)からなる1フレーム分の輝度画像から、各輝度ブロックについて、輝度ブロックに属す画素の輝度値の積分値(総和)を算出し、算出された積分値をブロック積分値としてブロック積分値メモリ216に供給し、記録させる。
【0175】
このように、階調補正処理においては、1フレーム分の輝度画像に基づいて、代表値である中間データが求められる。そして、中間データが求められると、中間データとしての輝度域情報、ブロックヒストグラム、およびブロック積分値が輝度域情報メモリ212、ブロックヒストグラムメモリ214、およびブロック積分値メモリ216に格納される。
【0176】
輝度階調補正部183では、現在処理しているフレームよりも時間的に1つ前のフレームから求められた中間データが用いられて処理対象画素の大局輝度値やトーンカーブが算出されるため(エッジ保存平滑化処理が行われるため)、処理対象の画像が動画像であっても、画像の全画素を2回スキャンすることなく、少ないワーキングメモリで、大きいオペレータサイズのエッジ保存平滑化処理を行うことができる。
【0177】
その際に、現在処理しているフレームと、そのフレームよりも時間的に1つ前のフレームとの変化の大きさに応じた出力割合で、中間データが用いられて作成された大局輝度値と、現在のフレームの輝度値を混合するようにした。
【0178】
例えば、中間データが用いられて作成された大局輝度値のフィルタ効果調整量を1.0に設定すると、バイテラルフィルタ出力がそのまま出力され、バイテラルフィルタを用いた処理を行うことができる。反対に、中間データが用いられて作成された大局輝度値の出力割合を0に設定すると、入力の輝度値がそのまま出力されるようになり、バイテラルフィルタ(中間データと第2のステップの画像)の誤差による破綻を抑制することができる。
【0179】
以上により、複数ステップで構成される階調補正処理において、ステップ間で画像が異なる場合でも、画質の劣化(HALOや階調不良)を防ぐことができる。これにより、動画像の処理時の画質が改善される。また、静止画像の処理時に、処理時間を増大させることなく、画質を改善することができる。
【0180】
さらに、複数ステップで構成される階調補正処理において、ステップ間で画像が大きく異なる場合には、画像の破綻を抑制することができる。
【0181】
[大局輝度値算出処理の例]
次に、図14のフローチャートを参照して、図11のステップS150の大局輝度値算出処理について説明する。
【0182】
ステップS211において、加重積和部217の補間部233、補間部234、積和部236、積和部237、およびフィルタ効果調整処理部240は、非線形変換部182からの処理対象画素の輝度値L(nl)(p)を読み込む。
【0183】
ステップS212において、補間部233は、非線形変換部182からの輝度値L(nl)(p)の処理対象画素近傍の空間ブロックから得られる輝度ブロックのブロック積分値に対して補間処理を行って、処理対象画素の位置の中央値λごとの輝度積分値を求める。
【0184】
すなわち、補間部233は、処理対象画素の空間方向近傍(処理対象画素が含まれる空間ブロックも含む)の4×4の合計16個の空間ブロックのそれぞれを、空間ブロックBKi,j(但し、1≦i≦4,1≦j≦4)として、空間ブロックBKi,jごとの補間係数Bi,jを読み出す。例えば、空間重み関数保持部235には、3次B-spline関数の関数値のルックアップテーブルが保持されている。補間部233は、処理対象画素の位置と、空間ブロックBKi,jとの相対位置関係により定まる関数値を、空間重み関数保持部235のルックアップテーブルから読み出し、読み出した関数値を空間ブロックBKi,jの補間係数Bi,jとする。なお、補間部233が3次B-spline関数などから直接、演算により補間係数Bi,jを算出するようにしてもよい。
【0185】
次に、補間部233は、空間ブロックから得られるD個の輝度ブロックのそれぞれの輝度範囲の中央値をλ1乃至λDとするとともに、空間ブロックBKi,jから得られるD個の輝度ブロックのうち、中央値がλh(但し、1≦h≦D)である輝度ブロックを輝度ブロックLBKi,j,hとする。そして、補間部233は、ブロック積分値メモリ216から、各輝度ブロックLBKi,j,hのブロック積分値S(i,j,λh)を読み出す。なお、以下、中央値λ1乃至中央値λDのそれぞれを特に区別する必要のない場合、単に中央値λとも称する。
【0186】
さらに、補間部233は、中央値λごとに、読み出した補間係数Bi,jと、ブロック積分値S(i,j,λ)との積の総和を計算し、その結果得られた値を、中央値λの輝度積分値Sinterpolated(λ)とする。すなわち、補間部233は、次式(4)を計算することにより、中央値λごとに輝度積分値Sinterpolated(λ)を求める。
【0187】
【数4】

【0188】
ここで、式(4)において、Σは、変数iおよびjを、それぞれ1から4まで変えて、補間係数Bi,jが乗算されたブロック積分値S(i,j,λ)の総和をとることを表している。したがって、輝度積分値Sinterpolated(λ)は、16個の空間ブロックBKi,jのそれぞれから得られる輝度ブロックのうち、中央値がλである16個の輝度ブロックのブロック積分値S(i,j,λ)のそれぞれに、それらの輝度ブロックが得られる空間ブロックBKi,jについての補間係数Bi,jのそれぞれを乗算し、さらに補間係数が乗算された16個のブロック積分値Bi,j×S(i,j,λ)の和を求めることで算出される。
【0189】
これにより、D個の輝度積分値Sinterpolated(λ)が求められる。これらの輝度積分値は、輝度ブロックに対応する輝度(中央値λ)ごとの、処理対象画素の位置の補間されたブロック積分値である。補間部233は、輝度積分値を求めると、求めた輝度積分値を積和部236に供給する。
【0190】
ステップS213において、補間部234は、非線形変換部182から輝度値L(nl)(p)の処理対象画素近傍の空間ブロックから得られる輝度ブロックのブロックヒストグラムに対して補間処理を行って、処理対象画素の中央値λごとの輝度ヒストグラムを求める。
【0191】
すなわち、補間部234は、ステップS213の処理と同様にして、処理対象画素の位置と、空間ブロックBKi,jとの相対位置関係により定まる関数値を、空間重み関数保持部235のルックアップテーブルから読み出し、読み出した関数値を空間ブロックBKi,jの補間係数Bi,jとする。
【0192】
そして、補間部234は、ブロックヒストグラムメモリ214から、各輝度ブロックLBKi,j,hのブロックヒストグラムH(i,j,λ)を読み出す。さらに、補間部234は、中央値λごとに、読み出した補間係数Bi,jと、ブロックヒストグラムH(i,j,λ)との積の総和を計算し、その結果得られた値を、中央値λの輝度ヒストグラムHinterpolated(λ)とする。すなわち、補間部234は、次式(5)を計算することにより、中央値λごとに輝度ヒストグラムHinterpolated(λ)を求める。
【0193】
【数5】

【0194】
ここで、式(5)の右辺は、式(4)の右辺のブロック積分値S(i,j,λ)がブロックヒストグラムH(i,j,λ)に置き換えられたものとなっている。
【0195】
これにより、D個の輝度ヒストグラムHinterpolated(λ)が求められる。これらの輝度ヒストグラムは、輝度ブロックに対応する輝度(中央値λ)ごとの、処理対象画素の位置の補間されたブロックヒストグラムである。補間部234は、輝度ヒストグラムを求めると、求めた輝度ヒストグラムを積和部237に供給する。
【0196】
ステップS214において、積和部236は、補間部233から供給されたD個の輝度積分値を輝度加重値で積和し、積和された輝度積分値を除算部239に供給する。
【0197】
すなわち、積和部236は、輝度重み関数保持部238に保持されている輝度重み関数ルックアップテーブルから、輝度重み関数を読み出す。そして、積和部236は、読み出した輝度重み関数、非線形変換部182からの輝度値L(nl)(p)、および中央値λを用いて、中央値λごとの輝度加重値φ(λ,L(nl)(p))を求める。
【0198】
例えば、輝度重み関数保持部238に保持されている輝度重み関数ルックアップテーブルには、図15に示す形状の輝度重み関数が保持されている。なお、図15において、縦軸は輝度重み関数の値、すなわち輝度加重値φ(λ,L(nl)(p))を示しており、横軸は中央値λを示している。
【0199】
図15に示す輝度重み関数は、処理対象画素の位置に補間された輝度積分値(および輝度ヒストグラム)の輝度ブロックに相当する輝度レベル、すなわち中央値λと、処理対象画素の輝度値L(nl)(p)との差分値が小さいほど、より大きい値を持つ単峰性形状の関数とされる。
【0200】
このような単峰性形状の輝度重み関数が用いられる場合、例えば、積和部236は、輝度重み関数保持部238に保持された輝度重み関数ルックアップテーブルを参照する代わりに、次式(6)を計算することにより、中央値λごとに輝度加重値φ(λ,L(nl)(p))を求めるようにしてもよい。
【0201】
【数6】

【0202】
ここで、式(6)において、σthは、輝度重み関数の裾野の広がりの大きさを決める定数であり、予め定められている。積和部236は、式(6)の右辺に輝度値L(nl)(p)および中央値λを代入することで、各中央値λに対する輝度加重値φ(λ,L(nl)(p))を求める。
【0203】
式(6)に示される輝度重み関数では、処理対象画素の輝度値L(nl)(p)に近い値の中央値λ(輝度ブロック)に対しては、大きな重み値がつけられ、輝度値L(nl)(p)から離れた中央値λ(輝度ブロック)に対しては小さな重み値がつけられる。
【0204】
積和部236は、中央値λごとに輝度加重値φ(λ,L(nl)(p))を求めると、各中央値λについて、輝度積分値Sinterpolated(λ)に、その中央値λの輝度加重値φ(λ,L(nl)(p))を乗算し、輝度加重値の乗算された輝度積分値の総和を求める。すなわち、各中央値λの輝度加重値での輝度積分値Sinterpolated(λ)の加重和が求められる。
【0205】
この加重和は、処理対象画素の位置と、輝度ブロックが得られる空間ブロックの位置との相対位置関係から定まる補間係数、および輝度ブロック(の中央値λ)と輝度値L(nl)(p)との輝度方向の距離により定まる輝度加重値が乗算された、処理対象画素の位置近傍の16個の空間ブロックから得られる全ての輝度ブロックのブロック積分値の総和である。
【0206】
ステップS215において、積和部237は、補間部234から供給されたD個の輝度ヒストグラムを輝度加重値で積和し、積和された輝度ヒストグラムを除算部239に供給する。
【0207】
すなわち、積和部237は、輝度重み関数保持部238に保持されている輝度重み関数ルックアップテーブルから輝度重み関数を読み出し、読み出した輝度重み関数、非線形変換部182から供給された輝度値L(nl)(p)、および中央値λを用いて、例えば、式(6)を計算することにより、中央値λごとの輝度加重値φ(λ,L(nl)(p))を求める。
【0208】
さらに、積和部237は、輝度ヒストグラムHinterpolated(λ)に、中央値λごとの輝度加重値φ(λ,L(nl)(p))を乗算し、輝度加重値の乗算された輝度ヒストグラムの総和を求める。すなわち、各中央値λの輝度加重値での輝度ヒストグラムHinterpolated(λ)の加重和が求められる。
【0209】
この加重和は、処理対象画素の位置と、輝度ブロックが得られる空間ブロックの位置との相対位置関係から定まる補間係数、および輝度ブロック(の中央値λ)と輝度値L(nl)(p)との輝度方向の距離により定まる輝度加重値が乗算された、処理対象画素の位置近傍の16個の空間ブロックから得られる全ての輝度ブロックのブロックヒストグラムの総和である。
【0210】
ステップS216において、除算部239は、積和部236からの輝度積分値を、積和部237からの輝度ヒストグラムで除算し、大局輝度値Ll(nl)(p)を求める。すなわち、除算部239は、次式(7)を計算することで大局輝度値Ll(nl)(p)を算出する。
【0211】
【数7】

【0212】
ここで、式(7)において、ΣSinterpolated(λ)・φ(λ,L(nl)(p))は、積和部236から供給される積和された輝度積分値を示しており、ΣHinterpolated(λ)・φ(λ,L(nl)(p))は、積和部237から供給される積和された輝度ヒストグラムを示している。
【0213】
したがって、ブロック積分値を補間係数および輝度加重値で重み付き加算して得られた加重和を、ブロックヒストグラムを補間係数および輝度加重値で重み付き加算して得られた加重和で除算することにより、ブロック積分値の加重平均の値が求まり、その値が大局輝度値Ll(nl)(p)とされる。除算部239により求められた大局輝度値Ll(nl)(p)は、フィルタ効果調整処理部240に供給される。
【0214】
ステップS217において、フィルタ効果調整処理部240は、CPU122からのフィルタ効果調整量に応じて、除算部239からの大局輝度値Ll(nl)(p)と非線形変換部182からの輝度値L(nl)(p)を混合する。
【0215】
ステップS218において、フィルタ効果調整処理部240は、混合した結果の輝度値を、大局輝度値Ll’(nl)(p)として、トーンカーブ算出部218およびマッピング部220に出力する。大局輝度値が出力されると、大局輝度値算出処理は終了し、その後、処理は図11のステップS151に進む。
【0216】
このようにして、加重積和部217は、処理対象画素近傍の空間ブロックから得られる輝度ブロックのブロック積分値およびブロックヒストグラムから大局輝度値を求める。
【0217】
ブロック積分値は、空間ブロックごとに、近い輝度値を持った画素を同じ輝度ブロックに属す画素とし、輝度ブロックごとに画素の輝度値を積分して得られる値である。また、ブロックヒストグラムは、各輝度ブロックに属す画素数を示す頻度値である。したがって、処理対象画素の輝度値に近い輝度レベルの輝度ブロックに重みをおいて、輝度ブロックの特性を示す特性値、例えば輝度ブロックのブロック積分値の積和を行うことにより、処理対象画素近傍の空間ブロック内の画素のうち、輝度値が処理対象画素に近い画素の輝度値の積分結果を得ることになる。
【0218】
その結果、例えば、処理対象画素近傍の16個の空間ブロックといった、広範囲な領域内の画素の輝度値を積分しても、処理対象画素とは異なる明るさである、処理対象画素の属す被写体(処理対象画素により表示される被写体)とは、別の被写体の画素による影響は少なく、処理対象画素が属す被写体の平均輝度値を示す大局輝度値を算出することができる。
【0219】
さらに、その際、算出された大局輝度値と現在の入力輝度値とが、時間的に1つ前のフレームと現在のフレームの変化に応じて混合されて出力されるので、加重積和部217より後段でのレベル次元および空間次元の補間の誤差などを抑制することができる。
【0220】
なお、上記説明においては、フィルタ効果調整量を、加重積和部217の外部(すなわち、図5のCPU122)から受け取るようにしたが、次に、加重積和部217が、フィルタの計算精度に応じてフィルタ効果を調整する例を説明する。
【0221】
[加重積和部の他の構成例]
図16は、図7の加重積和部217の機能の他の構成例を示す図である。図16の加重積和部217は、補間部233、補間部234、空間重み関数保持部235、積和部236、積和部237、輝度重み関数保持部238、除算部239、およびフィルタ効果調整処理部240を備えている点が、図8の加重積和部217と共通している。図21の加重積和部217は、フィルタ精度判定部301が追加されている点のみが、図8の加重積和部217と異なっている。
【0222】
すなわち、図8の場合と異なって、積和部237からの積和された輝度ヒストグラムは、フィルタ精度判定部301にも供給される。この積和された輝度ヒストグラムは、上述した式(1)の分母に相当する。
【0223】
フィルタ精度判定部301は、積和された輝度ヒストグラムの値に応じて、フィルタ効果調整量を決定する。すなわち、フィルタ精度判定部301は、例えば、図17に示されるようなフィルタ効果調整量と積和された輝度ヒストグラムの値の対応関係を示すグラフを有している。
【0224】
図10のグラフにおいては、縦軸がフィルタ効果調整量の値(0乃至1.0)を表し、横軸が積和部237からの積和された輝度ヒストグラムの値(0乃至ヒストグラムが取り得るMAXの値)を表している。
【0225】
図17の対応関係を見ると、積和された輝度ヒストグラムが小さいほど、フィルタ効果調整量が小さくなり、積和された輝度ヒストグラムが大きいほど、フィルタ効果調整量が大きくなることがわかる。
【0226】
したがって、フィルタ精度判定部301は、積和された輝度ヒストグラムの値が小さいほど、フィルタ効果調整量を小さくするように決定し、決定したフィルタ効果調整量を、フィルタ効果調整処理部240に供給する。一方、積和された輝度ヒストグラムの値が大きいほど、フィルタ効果調整量を大きくするように決定し、決定したフィルタ効果調整量を、フィルタ効果調整処理部240に供給する。
【0227】
フィルタ効果調整処理部240は、バイテラルフィルタの出力値である除算部239からの大局輝度値Ll(nl)(p)と、非線形変換部182からフィルタ効果調整処理部240に供給された輝度値L(nl)(p)とを、フィルタ精度判定部301からのフィルタ効果調整量に応じて混合する。フィルタ効果調整処理部240は、混合した輝度値を、大局輝度値Ll’(nl)(p)として、トーンカーブ算出部218およびマッピング部220に供給する。
【0228】
次に、さらに具体的に、フィルタ精度判定部301のフィルタ精度判定処理について説明する。輝度階調補正部183で行われる2ステップ処理構成のバイラテラルフィルタの場合には、まず、ブロックヒストグラム算出部213およびブロック積分値算出部215において、第1のステップとして、次式(8)に示される標本化処理が行われる。
【数8】

【0229】
式(8)において、Ssmp,Hsmpは、上述した式(1)の分母、分子の式を、それぞれ代表値(座標ps=(xs、ys),レベルIs)の周辺で標本化したもの、すなわち、代表値である中間データである。Ssmpは、ブロックヒストグラムメモリ214に格納されるブロックヒストグラムに対応している。また、Hsmpは、ブロック積分値メモリ216に格納されるブロック積分値に対応している。また、式(8)におけるサブスクリプトの1は、第1のステップの入力画像であることを表す。
【0230】
そして、補間部233乃至除算部239において、第2のステップとして、次式(9)に示される演算が行われる。
【数9】

【0231】
第2のステップでのバイテラルフィルタの計算値は、第1のステップの標本化信号を補間して得られる。式(9)において、ωiptiptは、補間係数の関数であり、サブスクリプトの2は、第2のステップの入力画像であることを表す。
【0232】
式(9)の計算式は、固定小数の実装において、分母、すなわち、ブロックヒストグラムの補間値が小さくなるに従い、計算精度が低下してしまう。
【0233】
ブロックヒストグラムの補間値が小さくなる要因としては、画像中の輝度のエッジ部分や孤立点(小領域の輝度や黒点)などの他に、上述したように第1のステップの画像に対して、第2のステップの画像が大きく変化する場合も該当する。この場合の例については、図18乃至図21を参照して説明する。
【0234】
図18の例においては、第1のステップと第2のステップにおいて入力信号が類似している(近い)場合の第1のステップの画像、第2のステップの画像、およびブロックヒストグラムHsmp(P)が示されている。
【0235】
このブロックヒストグラムは、第1ステップの画像から計算された座標P周辺のブロックヒストグラムであり、横軸は、輝度(Is)を表し、縦軸は度数を表している。
【0236】
図18の例の場合、第1のステップの画像における座標Pの周辺の輝度値I(P)は、0.3付近の頻度が高く、第2のステップの画像における座標Pの輝度値I(P)は0.3である。座標Pにおいて第1のステップの画像と第2のステップの画像が類似しているため、第1のステップの画像から計算されたブロックヒストグラムにおいて、輝度値I(P)=0.3の度数は、大きい。
【0237】
図19の例においては、画面内を動体が横切ったため、第1のステップと第2のステップにおいて入力信号が大きく異なる場合の第1のステップの画像、第2の画像、およびブロックヒストグラムHsmp(P)が示されている。
【0238】
図19の例の場合、第1のステップの画像における座標Pの周辺の輝度値I(P)は、0.3付近の頻度が高く、第2のステップの画像における座標Pは、画面内を横切った動体である人の顔の位置となり、その輝度値I(P)は3.4である。座標Pにおいて第1のステップの画像と第2のステップの画像が大きく異なるため、第1のステップの画像から計算されたブロックヒストグラムにおいて、輝度値I(P)=3.4の度数は、小さい。
【0239】
図20の例においては、フラッシュ発光などにより画像の輝度が大きく変わったため、第1のステップと第2のステップにおいて入力信号が大きく異なる場合の第1のステップの画像、第2の画像、およびブロックヒストグラムHsmp(P)が示されている。
【0240】
図20の例の場合、第1のステップの画像における座標Pの周辺の輝度値I(P)は、0.3付近の頻度が高く、第2のステップの画像が全体的に明るくなったことにより、第2のステップの画像における座標Pの輝度値I(P)は3.4である。座標Pにおいて第1のステップの画像と第2のステップの画像が大きく異なるため、第1のステップの画像から計算されたブロックヒストグラムにおいて、輝度値I(P)=3.4の度数は、小さい。
【0241】
図21の例においては、画像の画角が大きく変わったため、第1のステップと第2のステップにおいて入力信号が大きく異なる場合の第1のステップの画像、第2の画像、およびブロックヒストグラムHsmp(P)が示されている。
【0242】
図21の例の場合、第1のステップの画像における座標Pの周辺の輝度値I(P)は、0.3付近の頻度が高く、第2のステップの画像がデジタルカメラ101が上を向いたなどにより画角が変わったことにより、第2のステップの画像における座標Pの輝度値I(P)は3.4である。すなわち、第1のステップの画像における座標Pは、輝度の低い山周辺の位置であるが、第2のステップの画像における座標Pは、輝度の高い空周辺の位置となっている。座標Pにおいて第1のステップの画像と第2のステップの画像が大きく異なるため、第1のステップの画像から計算されたブロックヒストグラムにおいて、輝度値I(P)=3.4の度数は、小さい。
【0243】
以上のように、第1のステップの画像に対して、第2のステップの画像に大きな変化がある場合にも、ブロックヒストグラムHsmp(P,I)の値は、小さくなってしまう。この場合、上述したように、計算精度の低下に影響してしまう。
【0244】
したがって、フィルタ精度判定部301は、積和された輝度ヒストグラムが小さいほど、すなわち、第1のステップと第2のステップの画像間に大きな変化があるほど、フィルタ効果調整量を小さくするように決定する。
【0245】
これにより、計算精度の低下を抑制することができ、結果的に、画像の破綻を抑制することができる。
【0246】
なお、以上の説明は、フィルタ精度判定部301によるフィルタ精度判定処理について説明であるが、この精度判定処理は、CPU122により行われるようにすることも可能である。
【0247】
[画像処理の他の例]
次に、図22のフローチャートを参照して、図16の加重積和部217の場合のデジタルカメラ101における画像処理について説明する。なお、図22のステップS311乃至S313は、図10のステップS111乃至S113と基本的に同様の処理を行うので、その説明を省略する。
【0248】
図22のステップS314において、階調補正処理部153は、階調補正処理を行い、デモザイク処理部152からのRGB画像の階調を補正する。このとき、階調補正処理部153は、処理対象となっているフレームの画像とそのフレームの時間的に1つ前のフレームの画像の変化に応じた出力割合(調整量)を求め、求めた出力割合で、1つ前のフレームの画像で作成された中間データに対して補間した結果の輝度値と処理対象の輝度値とを混合した輝度値に対して、階調補正処理を行う。そして、階調補正処理部153は、階調の補正されたRGB画像をガンマ補正処理部154に供給する。
【0249】
なお、階調補正処理の詳細は、図11のステップS150の大局輝度値算出処理以外は、図11および図12を参照して上述した階調補正処理と同様の処理を行うので、その説明を省略する。処理が異なる、図11のステップS150の大局輝度値算出処理については、図23を参照して後述する。
【0250】
また、次のステップS315乃至S318は、図10のステップS115乃至S118と基本的に同様の処理を行うので、その詳細な説明を省略する。
【0251】
すなわち、ステップS318において、ホワイトバランス処理部151は、後続するフレームが存在するか否かを判定する。例えば、DSP116の図示せぬ内部のメモリに後続するフレームのモザイク画像が蓄積されている場合、後続フレームが存在すると判定される。
【0252】
ステップS318において、後続するフレームが存在すると判定された場合、処理は、ステップS311に戻り、処理対象となる次のフレームのモザイク画像が読み込まれる。これに対して、ステップS318において、後続するフレームが存在しないと判定された場合、画像処理は終了する。
【0253】
[大局輝度値算出処理の例]
次に、図23のフローチャートを参照して、図11のステップS150の大局輝度値算出処理の他の例について説明する。すなわち、この大局輝度値算出処理は、図16の加重積和部217により実行される処理である。
【0254】
なお、図23のステップS371乃至S376、およびS378は、図14のステップS211乃至S218と基本的に同様の処理を行うため、その説明は繰り返しになるので省略される。
【0255】
すなわち、ステップS375において積和部237により積和された輝度ヒストグラムは、除算部239だけでなく、フィルタ精度判定部301に供給される。
【0256】
ステップS377において、フィルタ精度判定部301は、積和部237からの積和された輝度ヒストグラムの大きさ、すなわち、第1のフレームに対する第2のフレームの変化の大きさに応じて、フィルタ精度調整量を決定する。フィルタ精度判定部301は、決定したフィルタ精度調整量を、フィルタ効果調整処理部240に供給する。
【0257】
ステップS378において、フィルタ効果調整処理部240は、フィルタ精度判定部301からのフィルタ効果調整量に応じて、除算部239からの大局輝度値Ll(nl)(p)と非線形変換部182からの輝度値L(nl)(p)を混合する。
【0258】
以上のように、現在処理しているフレームと、そのフレームよりも時間的に1つ前のフレームとの変化(差分)に応じて、1つ前のフレームを用いて生成され格納されている中間データが補間された輝度値と現在処理しているフレームの輝度値が混合されて、後段に出力される。
【0259】
これにより、フラッシュ光の影響を受けた場合、動体の影響を受けた場合など、ステップ間で画像が異なることに起因する画像の破綻が軽減、あるいは、抑制される。
【0260】
また、例えば、上述した影響を受けた場合に加えて、画像中の輝度のエッジ部分や、孤立点(小領域の輝点や黒点)など、バイテラルフィルタの計算精度低下に起因する画像の破綻が軽減、あるいは、抑制される。
【0261】
なお、上記説明においては、フィルタ効果調整処理部240において、除算部239からの輝度値と、非線形変換部182からの輝度値を、出力割合(フィルタ効果調整量)に応じて混合する例を説明した。ただし、それに限定されることなく、フィルタ効果調整処理部240を、除算部239からの輝度値と、非線形変換部182からの輝度値のどちらかを選択して出力するスイッチなどで構成するようにすることもできる。
【0262】
また、上記説明においては、階調補正を行うデジタルカメラの例を説明してきたが、本発明は、階調補正処理に限らず、バイテラルフィルタ処理を用いる画像処理装置にも適用することができる。
【0263】
なお、本発明は、上述した階調補正処理、およびバイテラルフィルタ処理などに限らず、例えば、2パスで処理され、1パス目と2パス目で異なる画像が入力される処理を行う画像処理装置や画像処理システムに適用することができる。
【0264】
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0265】
[パーソナルコンピュータの構成例]
図24は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0266】
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503は、バス504により相互に接続されている。
【0267】
バス504には、さらに、入出力インタフェース505が接続されている。入出力インタフェース505には、入力部506、出力部507、記憶部508、通信部509、およびドライブ510が接続されている。
【0268】
入力部506は、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる。出力部507は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部508は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部509は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ510は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア511を駆動する。
【0269】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU501が、例えば、記憶部508に記憶されているプログラムを入出力インタフェース505及びバス504を介してRAM503にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0270】
コンピュータ(CPU501)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア511に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0271】
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブルメディア511をドライブ510に装着することにより、入出力インタフェース505を介して、記憶部508にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部509で受信し、記憶部508にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM502や記憶部508に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0272】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0273】
本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0274】
31 画像処理装置, 41 階調補正処理部, 51 調整処理部, 101 デジタルカメラ, 116 DSP, 122 CPU, 153 階調補正処理部, 183 輝度階調補正部, 214 ブロックヒストグラムメモリ, 216 ブロック積分値メモリ, 217 加重積和部, 233 補間部, 234 補間部, 235 空間重み関数保持部, 236 積和部, 237 積和部, 238 輝度重み関数保持部, 239 除算部,240 フィルタ効果調整処理部, 301 フィルタ精度判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される第1の画像信号から代表値を算出する代表値算出手段と、
前記第1の画像信号の次に入力される第2の画像信号を用いて、前記代表値算出手段により算出された前記代表値に対して補間処理を行う補間手段と、
前記第1の画像信号に対応する画像に対する前記第2の画像信号に対応する画像との変化量が大きい場合、前記変化量が小さい場合に比して、前記補間手段により前記補間処理が行われた画像信号の出力割合が小さくなるように、前記補間処理が行われた画像信号と前記第2の画像信号とを混合する調整処理手段と
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記第1の画像信号に対応する画像に対する前記第2の画像信号に対応する画像との変化量に応じて、前記補間処理が行われた画像信号の出力割合と前記第2の画像信号の出力割合の調整量を決定する調整量決定手段を
さらに備え、
前記調整処理手段は、前記調整量決定手段により決定された前記調整量に応じて、前記補間処理が行われた画像信号と前記第2の画像信号とを混合する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記調整量決定手段は、前記第1の画像信号に対応する画像に対する前記第2の画像信号に対応する画像のレベルまたは座標の変化量に応じて、前記補間処理が行われた画像信号の出力割合と前記第2の画像信号の出力割合の調整量を決定する
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記代表値は、ブロックヒストグラムとブロック積算値から構成される
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記調整量決定手段は、前記ブロックヒストグラムの値の大きさに応じて、前記補間処理が行われた画像信号の出力割合と前記第2の画像信号の出力割合の調整量を決定する
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
代表値算出手段と、補間手段と、調整処理手段とを備える画像処理装置の画像処理方法において、
前記代表値算出手段が、入力される第1の画像信号から代表値を算出し、
前記補間手段が、前記第1の画像信号の次に入力される第2の画像信号を用いて、算出された前記代表値に対して補間処理を行い、
前記調整処理手段が、前記第1の画像信号に対応する画像に対する前記第2の画像信号に対応する画像との変化量が大きい場合、前記変化量が小さい場合に比して、前記補間処理が行われた画像信号の出力割合が小さくなるように、前記補間処理が行われた画像信号と前記第2の画像信号とを混合する
画像処理方法。
【請求項7】
入力される第1の画像信号から代表値を算出する代表値算出手段と、
前記第1の画像信号の次に入力される第2の画像信号を用いて、前記代表値算出手段により算出された前記代表値を補間する補間手段と、
前記第1の画像信号に対応する画像に対する前記第2の画像信号に対応する画像との変化量が大きい場合、前記変化量が小さい場合に比して、前記補間処理が行われた画像信号の出力割合が小さくなるように、前記補間処理が行われた画像信号と前記第2の画像信号とを混合する調整処理手段と
してコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−203814(P2011−203814A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68156(P2010−68156)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】