説明

画像処理装置および方法並びにプログラム

【課題】画像において所望とする領域を効率よく設定できるようにする。
【解決手段】対象領域A1の開始位置の設定指示により、対象領域A1の開始位置B0を設定し、開始位置設定後の目標被写体の動きに応じて、開始位置B0を基準として領域設定枠W0の大きさをスルー画像上において変化させる。対象領域の終了位置E0の設定指示により、開始位置B0および終了位置E0に基づく形状およびサイズを有する対象領域A1を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の撮影装置により取得された画像に領域を設定するための画像処理装置および方法並びに画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラ付きの携帯電話において、被写体を撮影することにより画像を取得し、携帯電話と被写体との相対位置を変化させたときにおける、取得した画像の変化により携帯電話と被写体との相対移動量を検出し、検出した移動量をパソコン等に送信することにより、携帯電話をマウス等のポインティングデバイスとして機能させる手法が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、デジタルカメラにおいて、デジタルカメラから被写体までの距離である被写体距離を検出し、所望とされる被写体の大きさと撮影レンズの焦点距離とから最適な撮影距離を算出し、検出した被写体距離が最適な被写体距離となったときに自動で撮影を行う手法も提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−312194号公報
【特許文献2】特開平6−94968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された手法においては、携帯電話すなわちカメラを移動させることにより、パソコン等においてカーソルを移動させることができる。しかしながら、撮影により取得した画像は単に相対移動量を検出するためにのみ用いられるため、画像に含まれる特定の領域を検出して、何らかの処理に供するものではない。
【0005】
また、特許文献2に記載された手法においては、撮影しようとする画像に距離が異なる複数の被写体が含まれる場合、いずれの被写体の被写体距離に合わせて撮影を行えばよいか分からないため、正しく撮影を行うことができなくなるおそれがある。この場合、いずれの被写体に被写体距離を合わせるべきかを、撮影者が画像上において指定することが考えられる。しかしながら、画像上において被写体を含む領域を効率よく設定するための手法が提案されていない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、画像において所望とする領域を効率よく設定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による画像処理装置は、撮影手段が撮影した被写体の画像を取得する画像取得手段と、
前記取得した画像を表示する表示画面を有する表示手段と、
前記表示手段に表示された画像上に設定された目標被写体の前記表示画面内の動きを検出する動体検出手段と、
前記表示画面における対象領域の設定指示を受け付ける指示手段と、
前記撮影手段をその光軸と垂直な方向に移動することによる前記表示画面内における前記目標被写体の動き、および前記指示手段からの指示に応じて、前記表示画面に前記対象領域を設定する領域設定手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
ここで、表示手段に表示される画像としては、撮影手段が撮影準備状態にあるときに取得するスルー画像を用いることが好ましい。「スルー画像」とは、撮影手段が撮影準備状態にあるときに、操作に関係なく撮影手段が被写体を逐次撮像することにより取得される画像である。
【0009】
なお、本発明による画像処理装置においては、前記指示手段を、前記対象領域の開始位置および終了位置の設定指示を受け付ける手段とし、
前記領域設定手段を、前記対象領域の開始位置の設定指示時の前記目標被写体の位置を該対象領域の開始位置に設定し、該開始位置設定後の前記目標被写体の動きに応じて、前記開始位置を基準として前記対象領域を示す枠を前記表示画面内において変化させ、前記対象領域の終了位置の設定指示時の前記目標被写体の位置を該対象領域の終了位置に設定し、前記開始位置および前記終了位置を基準として前記対象領域を設定する手段としてもよい。
【0010】
また、本発明による画像処理装置においては、前記指示手段を、前記対象領域の基準位置および終了位置の設定指示を受け付ける手段とし、
前記領域設定手段を、前記対象領域の基準位置の設定指示時の前記目標被写体の位置を該対象領域の中心位置に設定し、該中心位置設定後の前記目標被写体の動きに応じて、前記中心位置を基準として前記対象領域を示す枠を前記表示画面内において変化させ、前記対象領域の終了位置の設定指示時の前記目標被写体の位置を該対象領域の終了位置に設定し、前記中心位置および前記終了位置を基準として前記対象領域を設定する手段としてもよい。
【0011】
また、本発明による画像処理装置においては、前記指示手段を、前記対象領域の開始位置の設定指示を受け付ける手段とし、
前記領域設定手段を、前記対象領域の開始位置の設定指示時の前記目標被写体の位置を該対象領域の開始位置に設定し、該開始位置設定後の前記目標被写体の動きに応じて、前記開始位置を始点とする前記対象領域を示す枠の軌跡を前記表示画面内に表示し、該軌跡が交差すると該軌跡により囲まれる閉領域を前記対象領域に設定する手段としてもよい。
【0012】
この場合、前記領域設定手段を、前記閉領域が所定サイズ以上であるか否かを判定し、該判定が肯定された場合にのみ、前記閉領域を前記対象領域に設定する手段としてもよい。
【0013】
また、本発明による画像処理装置においては、前記指示手段を、前記対象領域の設定開始および設定終了の指示により前記対象領域の設定指示を受け付ける手段とし、
前記動体検出手段を、前記対象領域の設定開始指示時の前記表示画面内の所定基準位置に存在する被写体を前記目標被写体としてその位置を検出する手段とし、
前記領域設定手段を、前記対象領域の設定開始指示時の前記所定基準位置を前記対象領域の開始位置に設定し、該開始位置設定後の前記目標被写体の動きに応じて、前記開始位置および前記所定基準位置により規定される前記対象領域を示す枠を前記表示画面内において変化させ、前記対象領域の設定終了指示時の前記所定基準位置を前記対象領域の終了位置に設定し、前記開始位置および前記終了位置を基準として前記対象領域を設定する手段としてもよい。
【0014】
また、本発明による画像処理装置においては、前記対象領域を、前記撮影手段の撮影条件を設定するための領域としてもよい。
【0015】
「撮影条件」とは、AF、AEおよびAWB等の撮影手段が撮影を行う際に必要な撮影のための条件である。
【0016】
また、本発明による画像処理装置においては、前記画像に含まれる顔領域を検出する顔検出手段をさらに備えるものとし、
前記表示手段を、該顔検出手段が検出した顔領域を前記画像において視認可能に該画像を表示する手段とし、
前記対象領域を、前記顔領域が複数検出された場合における所望とする顔領域を決定するための領域としてもよい。
【0017】
本発明による画像処理方法は、撮影手段が撮影した被写体の画像を取得し、
表示画面を有する表示手段に前記取得した画像を表示し、
前記表示手段に表示された画像上に設定された目標被写体の前記表示画面内の動きを検出し、
前記表示画面における対象領域の設定指示を受け付け、
前記撮影手段をその光軸と垂直な方向に移動することによる前記表示画面内における前記目標被写体の動き、および前記指示手段からの指示に応じて、前記表示画面に前記対象領域を設定することを特徴とするものである。
【0018】
なお、本発明による画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして提供してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、表示手段に表示された画像上に設定された目標被写体の表示画面内の動きが検出され、さらに表示画面における対象領域の設定指示が受け付けられる。そして、撮影手段をその光軸と垂直な方向に移動することによる画像上の目標被写体の動き、および指示手段からの指示に応じて、対象領域が表示画面に設定される。このように、本発明によれば、撮影手段を移動させる動作を行うのみで、表示画面内に対象領域を設定することができるため、効率よく領域を設定することができる。
【0020】
また、対象領域の開始位置の設定指示時の目標被写体の位置を対象領域の開始位置に設定し、開始位置設定後の目標被写体の動きに応じて、開始位置を基準として対象領域を示す枠を表示画面内において変化させ、対象領域の終了位置の設定指示時の目標被写体の位置を対象領域の終了位置に設定し、開始位置および終了位置を基準として対象領域を設定することにより、開始位置の設定、終了位置の設定および撮影手段の移動という単純な動作により対象領域を設定することができる。
【0021】
また、対象領域の基準位置の設定指示時の目標被写体の位置を対象領域の中心位置に設定し、中心位置設定後の目標被写体の動きに応じて、中心位置を基準として対象領域を示す枠を表示画面内において変化させ、対象領域の終了位置の設定指示時の目標被写体の位置を対象領域の終了位置に設定し、中心位置および終了位置を基準として対象領域を設定することにより、基準位置の設定、終了位置の設定および撮影手段の移動という単純な動作により対象領域を設定することができる。
【0022】
また、対象領域の開始位置の設定指示時の目標被写体の位置を対象領域の開始位置に設定し、開始位置設定後の目標被写体の動きに応じて、開始位置を始点とする対象領域を示す枠の軌跡を表示画面内に表示し、軌跡が交差すると軌跡により囲まれる閉領域を対象領域に設定することにより、開始位置の設定および撮影手段の移動という単純な動作により、所望とする形状およびサイズを有する対象領域を設定することができる。
【0023】
この場合、閉領域が所定サイズ以上であるか否かを判定し、この判定が肯定された場合にのみ、閉領域を対象領域に設定することにより、対象領域が小さくなりすぎることを防止することができる。
【0024】
また、対象領域の設定開始指示時の所定基準位置を対象領域の開始位置に設定し、開始位置設定後の目標被写体の動きに応じて、開始位置および所定基準位置により規定される対象領域を示す枠を表示画面内において変化させ、対象領域の設定終了指示時の所定基準位置を対象領域の終了位置に設定し、開始位置および終了位置を基準として対象領域を設定することにより、開始の指示、終了の指示および撮影手段の移動という単純な動作により対象領域を設定することができる。
【0025】
また、対象領域を撮影手段の撮影条件を設定するための領域とすることにより、撮影条件を設定するための領域の設定を効率よく行うことができる。
【0026】
また、対象領域を顔領域が複数検出された場合における所望とする顔領域を決定するための領域とすることにより、顔領域の検出を行う場合において、複数の顔領域からAE、AF等の撮影条件を設定する際の基準となる顔領域の選択を効率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1および図2は、本発明の第1の実施形態による画像処理装置を適用したデジタルカメラ1の外観を示す図である。図1および図2に示すように、このデジタルカメラ1の上部には、レリーズボタン2、電源ボタン3およびズームレバー4が備えられている。
【0028】
レリーズボタン2は、2段階の押下により2種類の動作を指示できる構造となっている。例えば、自動露出調整機能(AE:Auto Exposure)、自動焦点調節機能(AF:Auto Focus)を利用した撮影では、デジタルカメラ1は、レリーズボタン2が軽く押下される第1の押下操作(半押しともいう)がなされたときに、露出調整、焦点合わせ等の撮影準備を行う。その状態で、レリーズボタン2が強く押下される第2の押下操作(全押しともいう)がなされると、デジタルカメラ1は露光を開始し、露光により得られた1画面分の画像データを記録メディアに記録する。
【0029】
また、デジタルカメラ1の背面には、液晶等のモニタ5、撮影モード等の設定に利用されるモードダイヤル6、および後述する確定ボタン7を含む各種操作ボタン8が備えられている。なお、本実施形態においては、撮影を行う撮影モード、記録メディアに記録された画像をモニタ5に再生する再生モードの他、AF等の撮影条件を設定するための対象領域をモニタ5の画面に設定する領域設定モードを設定可能とされている。
【0030】
次いで、デジタルカメラ1の内部構成について説明する。図3は本発明の第1の実施形態による画像処理装置を適用したデジタルカメラの内部構成を示す概略ブロック図である。図3に示すように本実施形態による画像処理装置を適用したデジタルカメラ1は、撮像系10を有する。
【0031】
撮像系10は、フォーカスレンズおよびズームレンズからなる撮影レンズ12を有する。撮影レンズ12は、被写体にピントを合わせるためのフォーカスレンズ、ズーム機能を実現するためのズームレンズ等の複数の機能別レンズにより構成される。レンズ駆動部13はステッピングモータ等小型のモータで、CCD18から各機能別レンズのまでの距離が目的に適った距離となるように各機能別レンズの位置を調整する。
【0032】
絞り14は、複数の絞り羽根からなる。絞り駆動部15は、ステッピングモータ等小型のモータで、AE処理部29から出力される絞り値データに応じて、絞りの開口サイズが目的に適ったサイズになるように絞り羽根の位置を調整する。
【0033】
シャッタ16はメカニカルシャッタであり、シャッタ駆動部17によって駆動される。シャッタ駆動部17は、レリーズボタンの押下により発生する信号と、AE処理部29から出力されるシャッタスピードデータとに応じて、シャッタ16の開閉の制御を行う。
【0034】
シャッタ16の後方には撮像素子であるCCD18を有している。CCD18は、多数の受光素子を2次元的に配列した光電面を有しており、撮影レンズ12等の光学系を通過した被写体光がこの光電面に結像し、光電変換される。光電面の前方には、各画素に光を集光するためのマイクロレンズアレイと、R,G,B各色のフィルタが規則的に配列されたカラーフィルタアレイとが配置されている。CCD18は、CCD制御部19から供給される垂直同期信号および水平同期信号に同期して、画素毎に蓄積された電荷を1ラインずつシリアルなアナログ撮影信号として出力する。各画素において電荷を蓄積する時間、すなわち露光時間は、CCD制御部19から与えられる電子シャッタ駆動信号によって決定される。また、CCD18はCCD制御部19により、あらかじめ定められた大きさのアナログ撮像信号が得られるようにゲインが調整されている。
【0035】
CCD18から読み出されたアナログ撮影信号は、アナログフロントエンド(AFE)20に入力される。AFE20は、アナログ信号のノイズを除去する相関2重サンプリング回路(CDS)と、アナログ信号のゲインを調節するオートゲインコントローラ(AGC)と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ(ADC)とからなる。このデジタル信号に変換された画像データは、画素毎にR,G,Bの濃度値を持つCCD−RAWデータである。
【0036】
タイミングジェネレータ21は、タイミング信号を発生させるものであり、このタイミング信号をシャッタ駆動部17、CCD制御部19、およびAFE20に供給することにより、レリーズボタンの操作、シャッタ16の開閉、CCD18からの電荷の読み出し、およびAFE20の処理の同期をとっている。
【0037】
また、デジタルカメラ1は撮影時において必要なときに発光されるフラッシュ24を有する。
【0038】
また、デジタルカメラ1は、AFE20が出力した画像データをデータバス41を介して他の処理部に転送する画像入力コントローラ25、および画像入力コントローラ25から転送された画像データを一時記憶するフレームメモリ26を備える。
【0039】
フレームメモリ26は、画像データに対して後述の各種処理を行う際に使用する作業用メモリであり、例えば、一定周期のバスクロック信号に同期してデータ転送を行うSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)が使用される。
【0040】
表示制御部27は、フレームメモリ26に格納された画像データをスルー画像としてモニタ5に表示させたり、再生モード時に記録メディア34に保存されている画像をモニタ5に表示させたりするためのものである。なお、スルー画像は、撮影モードおよび領域設定モードが選択されている間、タイミングジェネレータ21が発生する垂直同期信号に同期して所定時間間隔で撮像系10により撮影される。
【0041】
AF処理部28およびAE処理部29は、プレ画像に基づいて撮影条件を決定する。このプレ画像とは、レリーズボタンが半押しされることによって発生する半押し信号を検出したCPU40がCCD18にプレ撮影を実行させた結果、フレームメモリ26に格納された画像データにより表される画像である。
【0042】
AF処理部28は、プレ画像に基づいて焦点位置を検出し、フォーカス駆動量データを出力する(AF処理)。焦点位置の検出方式としては、例えば、所望とする被写体にピントが合った状態では画像のコントラストが高くなるという特徴を利用して合焦位置を検出するパッシブ方式が考えられる。より具体的には、プレ画像を複数のAF領域に分割し、各AF領域内の画像に対してハイパスフィルタによるフィルタリング処理を施して、AF領域毎にAF評価値を算出し、最も評価が高い、すなわちフィルタによる出力値が最も高いAF領域を焦点位置として検出する。また、AF処理部28は、後述するようにモニタ5の表示画面内に設定された対象領域内のプレ画像に基づいて焦点位置を検出する。
【0043】
AE処理部29は、プレ画像に基づいて被写体輝度を測定し、測定した被写体輝度に基づいて絞り値およびシャッタスピード等を決定し、絞り値データおよびシャッタスピードデータを露出設定値として出力する(AE処理)。
【0044】
AWB処理部30は、撮影時のホワイトバランスを自動調整する(AWB処理)。
【0045】
画像処理部31は、本画像の画像データに対して、階調補正、シャープネス補正、色補正等の画質補正処理、およびCCD−RAWデータを輝度信号であるYデータと、青色色差信号であるCbデータおよび赤色色差信号であるCrデータとからなるYCデータに変換するYC処理を行う。この本画像とは、レリーズボタンが全押しされることによって実行される本撮影によりCCD18から取り込まれ、AFE20、画像入力コントローラ25経由でフレームメモリ26に格納された画像データにより表される画像である。
【0046】
圧縮/伸長処理部32は、画像処理部31によって処理が行われた本画像の画像データに対して、例えば、JPEG等の圧縮形式で圧縮処理を行い、画像ファイルを生成する。この画像ファイルには、Exifフォーマット等に基づいて、撮影日時等の付帯情報が格納されたタグが付加される。
【0047】
メディア制御部33は、不図示のメディアスロットルに着脱自在にセットされた記録メディア34にアクセスして、画像ファイルの書き込みと読み込みの制御を行う。
【0048】
内部メモリ35は、デジタルカメラ1において設定される各種定数、およびCPU40が実行するプログラム等を記憶する。
【0049】
また、デジタルカメラ1は、動体検出部36、領域設定部37および合成部38を備える。
【0050】
動体検出部36は、後述するようにモニタ5に表示されたスルー画像に動体検出領域を設定し、設定された動体検出領域内に存在する目標被写体と、撮影により取得されたスルー画像とのパターンマッチングを行い、目標被写体のスルー画像上における位置を検出する。ここで、スルー画像は所定時間間隔で連続して取得されるため、目標被写体をスルー画像が取得される毎に検出し、検出した位置に動体検出領域すなわち目標被写体の位置を表すターゲットマークT0を表示することにより、デジタルカメラ1の画角の変化に応じてターゲットマークT0が目標被写体に追従して移動することとなる。
【0051】
領域設定部37は、撮影者がデジタルカメラ1をその光軸と垂直な方向に移動することによるモニタ5の表示画面内における目標被写体の動き、および確定ボタン7の押下に応じて、対象領域A1をモニタ5の表示画面に設定する。
【0052】
合成部38は、ターゲットマークT0および領域設定部37が設定した対象領域等とスルー画像とを重畳するように合成する。なお、合成された画像は、エンコーダ39によりエンコードされて表示制御部27経由でモニタ5に表示される。
【0053】
CPU40は、操作系2およびAF処理部28等の各種処理部からの信号に応じてデジタルカメラ1の本体各部を制御する。
【0054】
データバス41は、各種処理部、フレームメモリ26およびCPU40等に接続されており、画像データおよび各種指示等のやり取りを行う。
【0055】
次いで、第1の実施形態において行われる処理について説明する。なお、本発明はモニタ5の表示画面内に対象領域を設定する点に特徴を有するため、以下に説明する実施形態においては、対象領域を設定する処理についてのみ説明する。図4は第1の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。
【0056】
デジタルカメラ1が領域設定モードに設定されることによりCPU40が処理を開始し、動体検出部36が動体を検出するための矩形の動体検出領域D0の位置をモニタ5の表示画面の中心位置P0に設定し(ステップST1)、さらに中心位置P0にターゲットマークT0を表示する(ステップST2)。図5はターゲットマークT0が表示されたモニタ5の表示画面を示す図である。図5に示すように、モニタ5の表示画面の中心位置P0には十字形状のターゲットマークT0がその中心を動体検出領域D0の中心と一致させて表示されている。ここで、動体検出領域D0はモニタ5には表示されないが、図5においては、便宜上矩形の動体検出領域D0を破線にて示している。なお、対象領域を設定する処理の最中は、撮像系10が所定間隔によりスルー画像を撮影し続けているものとする。
【0057】
この状態において、撮影者がデジタルカメラ1の画角を変更すると、モニタ5に表示されるスルー画像は変化するが、ターゲットマークT0の位置は表示画面の中心位置P0から移動しない。このため、撮影者は、後述するように動体検出する目標被写体がモニタ5の中心に位置するようにデジタルカメラ1の画角を移動する。
【0058】
そして、CPU40は確定ボタン7が押下されたか否かの監視を開始し(ステップST3)、ステップST3が肯定されると、動体検出部36は動体検出領域D0に含まれる被写体を動体として検出する目標被写体に決定する(ステップST4)。これにより、撮影者がデジタルカメラ1の画角を変更し、モニタ5の表示画面内において目標被写体が移動すると、ターゲットマークT0がそれに追従して移動する(ステップST5)。例えば、図5に示す状態において確定ボタン7を押下した後にデジタルカメラ1を右下に移動して画角を変更すると、図6に示すように目標被写体の移動に追従してターゲットマークT0が移動する。
【0059】
そして、CPU40は確定ボタン7が押下されたか否かの監視を開始し(ステップST6)、ステップST6が肯定されると、領域設定部37が現在のターゲットマークT0の中心位置を対象領域A1の開始位置B0に設定し(ステップST7)、領域設定枠W0をモニタ5に表示する(ステップST8)。これにより、撮影者がデジタルカメラ1の画角を変更し、モニタ5の表示画面内において目標被写体が移動すると、ターゲットマークT0がそれに追従して移動し(ステップST9)、ターゲットマークT0の移動方向および移動量に応じて領域設定枠W0の形状およびサイズが変更される。
【0060】
例えば、図6に示す状態において確定ボタン7を押下した後にデジタルカメラ1を左上に移動して画角を変更すると、図7に示すように目標被写体の移動に追従してターゲットマークT0が右下に移動するとともに、領域設定の開始位置B0およびターゲットマークT0の中心位置を結ぶ直線を対角線とする矩形の領域設定枠W0の形状およびサイズが変更される。
【0061】
続いて、CPU40は確定ボタン7が押下されたか否かの監視を開始し(ステップST10)、ステップST10が肯定されると、領域設定部37が現在のターゲットマークT0の中心位置を対象領域A1の終了位置に設定し(ステップST11)、領域設定の開始位置B0および終了位置E0を結ぶ直線を対角線とする領域設定枠W0内の領域を対象領域A1に設定し(ステップST12)、処理を終了する。
【0062】
なお、設定した対象領域A1は、第1の実施形態においてはAF処理を行うための領域となる。図8は第1の実施形態におけるAF処理を説明するための図である。AF処理部28は、AF処理時にプレ画像を複数のAF領域に分割して各AF領域のAF評価値を算出するが、図8に示すように対象領域A1が設定された場合には、対象領域A1内に存在する斜線で示す9個のAF領域のみを用いてAF処理を行う。
【0063】
このように、第1の実施形態においては、対象領域A1の開始位置の設定指示時の目標被写体の位置を対象領域A1の開始位置B0に設定し、開始位置設定後の目標被写体の動きに応じて、開始位置B0を基準として領域設定枠W0の形状およびサイズをモニタ5の表示画面内において変化させ、対象領域A1の終了位置E0の設定指示時の目標被写体の位置を対象領域A1の終了位置E0に設定し、開始位置B0および終了位置E0を基準として対象領域A1を設定するようにしたものである。このため、開始位置B0の設定、終了位置E0の設定およびデジタルカメラ1の移動という単純な動作により対象領域A1を設定することができ、これにより、効率よく対象領域A1を設定することができる。
【0064】
なお、上記第1の実施形態においては、対象領域A1の開始位置B0および終了位置E0の設定の都度確定ボタン7を押下しているが、対象領域A1の開始位置B0の設定時に確定ボタン7を押下し、領域設定枠W0が表示されている間確定ボタン7を押し続け、終了位置E0を設定する際に、確定ボタン7を離すことにより終了位置E0を設定するようにしてもよい。これにより、開始位置B0および終了位置E0の設定を少ない操作により、より簡易に行うことができる。
【0065】
次いで、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態による画像処理装置を適用したデジタルカメラは、第1の実施形態による画像処理装置を適用したデジタルカメラと同一の構成を有し、行われる処理のみが異なるため、ここでは構成についての詳細な説明は省略する。
【0066】
図9は第2の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。デジタルカメラ1が領域設定モードに設定されることによりCPU40が処理を開始し、第1の実施形態において説明した図5に示すように、動体検出部36が動体を検出するための矩形の動体検出位置をモニタ5の表示画面の中心位置P0に設定し(ステップST21)、さらに中心位置P0にターゲットマークT0を表示する(ステップST22)。
【0067】
この状態において、撮影者がデジタルカメラ1の画角を変更すると、モニタ5に表示されるスルー画像は変化するが、ターゲットマークT0の位置は表示画面の中心位置P0から移動しない。このため、撮影者は、後述するように動体検出する目標被写体がモニタ5の中心に位置するようにデジタルカメラ1の画角を移動する。
【0068】
そして、CPU40は確定ボタン7が押下されたか否かの監視を開始し(ステップST23)、ステップST23が肯定されると、動体検出部36は動体検出領域D0に含まれる被写体を動体として検出する目標被写体に決定するとともに、対象領域A1の基準位置を設定する(ステップST24)。ここでは、表示画面の中心位置P0が対象領域A1の基準位置となる。これにより、撮影者がデジタルカメラ1の画角を変更し、モニタ5の表示画面内において目標被写体が移動すると、ターゲットマークT0がそれに追従して移動する(ステップST25)。一方、第2の実施形態においては、基準位置を対象領域A1の中心位置として対象領域A1を設定するものであるため、ターゲットマークT0の移動に伴い、基準位置を基準として領域設定枠W0の形状およびサイズが変更される(ステップST26)。
【0069】
ここで、第2の実施形態において表示される領域設定枠W0は、基準位置が表示画面の中心位置P0であることから、表示画面の中心位置P0とターゲットマークT0の中心とを結ぶ直線を対角線の1/2の長さとする矩形をなすものとなる。そして、ターゲットマークT0が移動すると、表示画面の中心位置P0を基準として、領域設定枠W0の形状およびサイズが変更されることとなる。例えば、図5に示す状態において確定ボタン7を押下した後にデジタルカメラ1を左上に移動して画角を変更すると、図10に示すように目標被写体の移動に追従してターゲットマークT0が右下に移動し、領域設定枠W0の形状およびサイズが中心位置P0を基準として変更される。
【0070】
次いで、CPU40は確定ボタン7が押下されたか否かの監視を開始し(ステップST27)、ステップST27が肯定されると、領域設定部37が現在のターゲットマークT0の中心位置を対象領域の終了位置E0に設定し(ステップST28)、表示画面の中心位置P0および終了位置E0を結ぶ直線を対角線の1/2の長さとする領域設定枠W0内の領域を対象領域A1に設定し(ステップST29)、処理を終了する。
【0071】
なお、設定した対象領域A1は、第2の実施形態においては、第1の実施形態と同様にAF処理を行うための領域となる。第2の実施形態においては、画角の中心位置P0を基準として対象領域A1が設定されるため、図11に示すように、画角の中心位置P0を基準として対象領域A1内に存在する斜線で示す9個のAF領域のみがAF処理に用いられることとなる。
【0072】
このように、第2の実施形態においては、対象領域A1の基準位置の設定指示時の目標被写体の位置を対象領域A1の基準位置(ここでは中心位置P0)に設定し、基準位置設定後の目標被写体の動きに応じて、基準位置を基準として領域設定枠W0の形状およびサイズをモニタ5の表示画面内において変化させ、対象領域A1の終了位置E0の設定指示時の目標被写体の位置を対象領域A1の終了位置E0に設定し、基準位置および終了位置E0に基づく形状およびサイズを有する対象領域A1を設定するようにしたものである。このため、基準位置の設定、終了位置E0の設定およびデジタルカメラ1の移動という単純な動作により対象領域A1を設定することができ、これにより、効率よく対象領域A1を設定することができる。
【0073】
また、確定ボタン7を押下する回数は2回でよいため、第1の実施形態よりも少ない操作により簡易に対象領域A1を設定することができる。
【0074】
なお、上記第2の実施形態においては、基準位置および終了位置E0の設定の都度確定ボタン7を押下しているが、基準位置の設定時に確定ボタン7を押下し、領域設定枠W0が表示されている間確定ボタン7を押し続け、終了位置E0を設定する際に、確定ボタン7を離すことにより終了位置E0を設定するようにしてもよい。これにより、中心位置P0および終了位置E0の設定を少ない操作により、より簡易に行うことができる。
【0075】
また、上記第2の実施形態においては、ターゲットマークT0がモニタの表示画面の中心位置P0に表示されており、目標被写体の決定の指示と基準位置の設定の指示とを同時に行っているため、対象領域A1設定の基準位置は表示画面の中心位置P0となっている。しかしながら、目標被写体の決定の後に、表示画面の中心位置P0以外の位置において別途基準位置の設定の指示を行うようにしてもよい。この場合、別途設定された基準位置が、対象領域A1の中心位置に設定されて、対象領域A1の設定が行われることとなる。
【0076】
次いで、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、第3の実施形態による画像処理装置を適用したデジタルカメラは、第1の実施形態による画像処理装置を適用したデジタルカメラと同一の構成を有し、行われる処理のみが異なるため、ここでは構成についての詳細な説明は省略する。
【0077】
図12は第3の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。デジタルカメラ1が領域設定モードに設定されることによりCPU40が処理を開始し、第1の実施形態において説明した図5に示すように、動体検出部36が動体を検出するための矩形の動体検出位置をモニタ5の表示画面の中心位置P0に設定し(ステップST31)、さらに中心位置P0にターゲットマークT0を表示する(ステップST32)。
【0078】
この状態において、撮影者がデジタルカメラ1の画角を変更すると、モニタ5に表示されるスルー画像は変化するが、ターゲットマークT0の位置は表示画面の中心位置P0から移動しない。このため、撮影者は、後述するように動体検出する目標被写体がモニタ5の中心に位置するようにデジタルカメラ1の画角を移動する。
【0079】
そして、CPU40は確定ボタン7が押下されたか否かの監視を開始し(ステップST33)、ステップST33が肯定されると、動体検出部36は動体検出領域D0に含まれる被写体を動体として検出する目標被写体に決定する(ステップST34)。これにより、撮影者がデジタルカメラ1の画角を変更し、モニタ5の表示画面内において目標被写体が移動すると、図6に示すようにターゲットマークT0がそれに追従して移動する(ステップST35)。
【0080】
次いで、CPU40は確定ボタン7が押下されたか否かの監視を開始し(ステップST36)、ステップST36が肯定されると、領域設定部37が現在のターゲットマークT0の中心位置を対象領域A1の開始位置B0に設定する(ステップST37)。そして、撮影者がデジタルカメラ1の画角を変更し、モニタ5の表示画面内において目標被写体が移動すると、ターゲットマークT0がそれに追従して移動し(ステップST38)、これに伴いターゲットマークT0の開始位置B0からの軌跡がスルー画像上に表示される(ステップST39)。
【0081】
例えば、図6に示す状態において確定ボタン7を押下した後にデジタルカメラ1を一旦左に移動した後に上に移動して画角を変更すると、図13に示すように目標被写体の移動に追従してターゲットマークT0が右下に移動するとともに、ターゲットマークT0の中心の領域設定の開始位置B0からの移動の軌跡K0が表示される
そして、CPU40は軌跡K0が交差したか否かの監視を開始し(ステップST40)、ステップST40が肯定されると、領域設定部37が軌跡K0により囲まれる閉領域のサイズがしきい値Th1以上であるか否かを判定する(ステップST41)。なお、しきい値Th1としては、例えばAF領域を縦横2つずつ並べた領域の面積(すなわち領域内の画素数)を用いることができる。この場合、閉領域内の画素数がしきい値Th1以上であるか否かを判定することとなる。
【0082】
ステップST41が否定されると、閉領域が小さすぎて対象領域A1を設定できない旨の警告をモニタ5に表示し(ステップST42)、処理を終了する。ステップST42が肯定されると、閉領域を対象領域A1に設定し(ステップST43)、処理を終了する。
【0083】
ここで、図13に示す状態からさらに図14に示すようにデジタルカメラ1を右に移動するとともに右下に移動し軌跡が開始位置B0付近において交差した場合において、閉領域がしきい値Th1以上である場合、閉領域が対象領域A1に設定される。
【0084】
なお、設定した対象領域は、本実施形態においては、AF処理を行うための領域となる。図15はAF処理を説明するための図である。AF処理部28は、AF処理時にプレ画像を複数のAF領域に分割して各領域のAF評価値を算出するが、図15に示すように対象領域A1が設定された場合には、対象領域A1内に存在する斜線で示す7個のAF領域のみを用いてAF処理を行う。
【0085】
このように、第3の実施形態においては、対象領域A1の開始位置の設定指示時の目標被写体の位置を対象領域A1の開始位置B0に設定し、開始位置設定後の目標被写体の動きに応じて、開始位置B0を始点とする枠の軌跡K0をモニタ5の表示画面内に表示し、軌跡K0が交差すると軌跡K0により囲まれる閉領域を対象領域A1に設定するようにしたものである。このため、開始位置B0の設定およびデジタルカメラ1の移動という単純な動作により、所望とする形状およびサイズを有する対象領域A1を設定することができる。
【0086】
また、確定ボタン7を押下する回数は2回でよいため、第1の実施形態よりも少ない操作により簡易に対象領域A1を設定することができる。
【0087】
なお、上記第3の実施形態においては、目標被写体の決定および開始位置B0の設定の都度確定ボタン7を押下しているが、目標被写体の決定時に確定ボタン7を押下し、開始位置B0を設定するまで確定ボタン7を押し続け、開始位置B0を設定する際に、確定ボタン7を離すことにより開始位置B0を設定するようにしてもよい。これにより、目標被写体の決定および開始位置B0の設定を少ない操作により、より簡易に行うことができる。
【0088】
次いで、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、第4の実施形態による画像処理装置を適用したデジタルカメラは、第1の実施形態による画像処理装置を適用したデジタルカメラと同一の構成を有し、行われる処理のみが異なるため、ここでは構成についての詳細な説明は省略する。
【0089】
図16は第4の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。デジタルカメラ1が領域設定モードに設定されることによりCPU40が処理を開始し、第1の実施形態において説明した図5に示すように、動体検出部36が動体を検出するための矩形の動体検出位置をモニタ5の表示画面の中心位置P0に設定し(ステップST51)、さらに中心位置P0にターゲットマークT0を表示する(ステップST52)。なお、第4の実施形態においては、ターゲットマークT0は表示画面の中心位置P0に固定されて表示される。
【0090】
この状態において、撮影者がデジタルカメラ1の画角を変更すると、モニタ5に表示されるスルー画像は変化するが、ターゲットマークT0の位置は表示画面の中心位置P0から移動しない。このため、撮影者は、後述するように動体検出する目標被写体がモニタ5の中心に位置するようにデジタルカメラ1の画角を移動する。
【0091】
そして、CPU40は確定ボタン7が押下されたか否かの監視を開始し(ステップST53)、ステップST53が肯定されると、動体検出領域D0に含まれる被写体を動体検出部36が動体として検出する目標被写体に決定し(ステップST54)、さらに目標被写体の位置(ここでは表示画面の中心位置P0)を対象領域の開始位置B0に設定し(ステップST55)、領域設定枠W0をモニタ5に表示する(ステップST56)。これにより、撮影者がデジタルカメラ1の画角を変更し、モニタ5の表示画面内において目標被写体が移動すると、開始位置B0がそれに追従して移動し(ステップST57)、開始位置B0およびターゲットマークT0の中心を結ぶ直線を対角線とする矩形の領域設定枠W0の形状およびサイズが変更される。
【0092】
例えば、図6に示す状態において確定ボタン7を押下した後にデジタルカメラ1を右下に移動して画角を変更すると、図17に示すように目標被写体の移動に追従して開始位置B0が移動するとともに、領域設定の開始位置B0およびターゲットマークT0の中心位置を結ぶ直線を対角線とする矩形の領域設定枠W0の形状およびサイズが変更される。
【0093】
次いで、CPU40は確定ボタン7が押下されたか否かの監視を開始し(ステップST58)、ステップST48が肯定されると、領域設定部37が現在のターゲットマークT0の中心位置を対象領域の終了位置E0に設定し(ステップST59)、領域設定の開始位置B0および終了位置E0を結ぶ直線を対角線とする領域設定枠W0内の領域を対象領域A1に設定し(ステップST60)、処理を終了する。
【0094】
なお、設定した対象領域A1は、本実施形態においては、第1から第3の実施形態と同様にAF処理を行うための領域となる。
【0095】
このように、第4の実施形態においては、対象領域A1の設定開始の指示時の表示画面の中心位置P0を対象領域A1の開始位置B0に設定し、開始位置設定後の目標被写体の動きに応じて、開始位置B0およびターゲットマークT0の中心により規定される枠をモニタ5の表示画面内において変化させ、対象領域A1の設定終了の指示時の表示画面の中心位置P0を対象領域A1の終了位置E0に設定し、開始位置B0および終了位置E0に基づく形状およびサイズを有する対象領域A1を設定するようにしたものである。このため、開始の指示、終了の指示およびデジタルカメラ1の移動という単純な動作により対象領域A1を設定することができる。
【0096】
なお、上記第4の実施形態においては、対象領域A1の開始位置B0および終了位置E0の設定の都度確定ボタン7を押下しているが、対象領域A1の開始位置B0の設定時に確定ボタン7を押下し、領域設定枠W0が表示されている間確定ボタン7を押し続け、終了位置E0を設定する際に、確定ボタン7を離すことにより終了位置E0を設定するようにしてもよい。これにより、開始位置B0および終了位置E0の設定を少ない操作により、より簡易に行うことができる。
【0097】
なお、上記第1から第4の実施形態においては、対象領域A1をAF処理に用いているが、AE処理、ホワイトバランス補正処理を行う際にも、画像を複数の小領域に分割して領域毎に画像の明るさや色温度を算出している。したがって、AE処理およびホワイトバランス補正処理を行う場合においても、本実施形態により設定された対象領域A1内の小領域のみを用いるようにしてもよい。
【0098】
また、フラッシュを用いた撮影時に発光を伴う露光および発光を伴わない露光の2回の露光を行い、2回の露光により得られる画像の明るさの相違に基づいて、本撮影時のフラッシュの発光量を決定するいわゆるフラッシュ調光を行う場合においても、画面を複数の小領域に分割して領域毎に画像の明るさを算出している。このため、フラッシュ調光を行う場合においても、本実施形態により設定された対象領域A1内の小領域のみを用いるようにしてもよい。
【0099】
また、上記第1から第2および第4の実施形態においては、対象領域A1を矩形としているが、これに限定されるものではなく、例えば、開始位置B0および終了位置E0を結ぶ直線を半径とする円形の領域等、任意の形状とすることができる。
【0100】
次いで、本発明の第5の実施形態について説明する。図18は本発明の第5の実施形態による画像処理装置を適用したデジタルカメラの構成を示す概略ブロック図である。なお、第2の実施形態において第1の実施形態と同一の構成については同一の参照番号を付与し、ここでは詳細な説明は省略する。第5の実施形態によるデジタルカメラ1Aは、顔検出部42を備えた点が第1〜第4の実施形態と異なる。
【0101】
ここで、顔検出部42は、テンプレートマッチングによる手法、顔の多数のサンプル画像を用いてマシンラーニング学習により得られた顔判別器を用いる手法等により、撮影により取得された画像から、顔を囲む矩形の領域(顔領域)を顔として検出する。なお、顔を検出する手法はこれに限定されるものではなく、例えば画像における肌色を有しかつ顔の輪郭形状を囲む矩形の領域を顔として検出する手法、顔の輪郭形状をなす領域を顔として検出する手法等、任意の手法を用いることができる。また、画像に顔が複数含まれている場合には、顔検出部42はすべての顔を検出する。
【0102】
第5の実施形態によるデジタルカメラ1Aは、合成部38が顔領域とスルー画像とを合成する。これにより、画角に5人の人物が含まれる場合、図19に示すようにモニタ5には、矩形の顔領域F1〜F5により顔が囲まれたスルー画像が表示される。なお、図19においては顔領域を破線で示す
このような場合、撮影時には複数の顔領域のうち、1つの顔領域を選択し、選択した顔領域に焦点を合わせたり、選択した顔領域の明るさを適切なものとする必要がある。このため、第5の実施形態においては、上記第1から第4の実施形態のいずれかの手法を用いて、複数の顔領域から所望とする顔領域を選択する。例えば、図19に示す状態において、顔領域F2を選択した場合、図20に示すように、顔領域F2のみが他の顔領域F1,F3〜F5と異なる枠(ここでは実線で示す)により表示され、それが選択された顔領域であることが分かることとなる。
【0103】
これにより、撮影条件等を設定するための顔領域の選択を効率よく行うことができる。
【0104】
また、上記第1から第5の実施形態においては、本発明による画像処理装置をデジタルカメラに適用しているが、本発明による画像処理装置を単独で用いるようにしてもよい。この場合、画像処理装置には、被写体を撮影するデジタルカメラが接続され、デジタルカメラの画角を変更することにより、画像処理装置において対象領域の設定が行われる。
【0105】
また、上記第1から第5の実施形態においては、確定ボタン7を設け、確定ボタン7の押下により領域設定の開始および終了の指示を行っているが、レリーズボタン2または他の操作系8を確定ボタンと兼用させて領域設定の開始および終了の指示を行うようにしてもよい。
【0106】
以上、本発明の実施形態に係るデジタルカメラ1について説明したが、コンピュータを、上記の動体検出部36および領域設定部37に対応する手段として機能させ、図4,9,12,16に示すような処理を行わせるプログラムも、本発明の実施形態の1つである。また、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体も本発明の実施形態の1つである。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の第1の実施形態による画像処理装置を適用したデジタルカメラ1の外観を示す図(正面側)
【図2】本発明の第1の実施形態による画像処理装置を適用したデジタルカメラ1の外観を示す図(背面側)
【図3】本発明の第1の実施形態による画像処理装置を適用したデジタルカメラの内部構成を示す概略ブロック図
【図4】第1の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図5】第1の実施形態において行われる処理を説明するための図(その1)
【図6】第1の実施形態において行われる処理を説明するための図(その2)
【図7】第1の実施形態において行われる処理を説明するための図(その3)
【図8】第1の実施形態におけるAF処理を説明するための図
【図9】第2の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図10】第2の実施形態において行われる処理を説明するための図
【図11】第2の実施形態におけるAF処理を説明するための図
【図12】第3の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図13】第3の実施形態において行われる処理を説明するための図(その1)
【図14】第3の実施形態において行われる処理を説明するための図(その2)
【図15】第3の実施形態におけるAF処理を説明するための図
【図16】第4の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図17】第4の実施形態において行われる処理を説明するための図
【図18】本発明の第5の実施形態による画像処理装置を適用したデジタルカメラの内部構成を示す概略ブロック図
【図19】第5の実施形態において行われる処理を説明するための図(その1)
【図20】第5の実施形態において行われる処理を説明するための図(その2)
【符号の説明】
【0108】
1,1A デジタルカメラ
2 レリーズボタン
5 モニタ
10 撮像系
36 動体検出部
37 領域設定部
38 合成部
39 エンコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影手段が撮影した被写体の画像を取得する画像取得手段と、
前記取得した画像を表示する表示画面を有する表示手段と、
前記表示手段に表示された画像上に設定された目標被写体の前記表示画面内の動きを検出する動体検出手段と、
前記表示画面における対象領域の設定指示を受け付ける指示手段と、
前記撮影手段をその光軸と垂直な方向に移動することによる前記表示画面内における前記目標被写体の動き、および前記指示手段からの指示に応じて、前記表示画面に前記対象領域を設定する領域設定手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記指示手段は、前記対象領域の開始位置および終了位置の設定指示を受け付ける手段であり、
前記領域設定手段は、前記対象領域の開始位置の設定指示時の前記目標被写体の位置を該対象領域の開始位置に設定し、該開始位置設定後の前記目標被写体の動きに応じて、前記開始位置を基準として前記対象領域を示す枠を前記表示画面内において変化させ、前記対象領域の終了位置の設定指示時の前記目標被写体の位置を該対象領域の終了位置に設定し、前記開始位置および前記終了位置を基準として前記対象領域を設定する手段であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記指示手段は、前記対象領域の基準位置および終了位置の設定指示を受け付ける手段であり、
前記領域設定手段は、前記対象領域の基準位置の設定指示時の前記目標被写体の位置を該対象領域の中心位置に設定し、該中心位置設定後の前記目標被写体の動きに応じて、前記中心位置を基準として前記対象領域を示す枠を前記表示画面内において変化させ、前記対象領域の終了位置の設定指示時の前記目標被写体の位置を該対象領域の終了位置に設定し、前記中心位置および前記終了位置を基準として前記対象領域を設定する手段であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記指示手段は、前記対象領域の開始位置の設定指示を受け付ける手段であり、
前記領域設定手段は、前記対象領域の開始位置の設定指示時の前記目標被写体の位置を該対象領域の開始位置に設定し、該開始位置設定後の前記目標被写体の動きに応じて、前記開始位置を始点とする前記対象領域を示す枠の軌跡を前記表示画面内に表示し、該軌跡が交差すると該軌跡により囲まれる閉領域を前記対象領域に設定する手段であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記領域設定手段は、前記閉領域が所定サイズ以上であるか否かを判定し、該判定が肯定された場合にのみ、前記閉領域を前記対象領域に設定する手段であることを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記指示手段は、前記対象領域の設定開始および設定終了の指示により前記対象領域の設定指示を受け付ける手段であり、
前記動体検出手段は、前記対象領域の設定開始指示時の前記表示画面内の所定基準位置に存在する被写体を前記目標被写体としてその位置を検出する手段であり、
前記領域設定手段は、前記対象領域の設定開始指示時の前記所定基準位置を前記対象領域の開始位置に設定し、該開始位置設定後の前記目標被写体の動きに応じて、前記開始位置および前記所定基準位置により規定される前記対象領域を示す枠を前記表示画面内において変化させ、前記対象領域の設定終了指示時の前記所定基準位置を前記対象領域の終了位置に設定し、前記開始位置および前記終了位置を基準として前記対象領域を設定する手段であることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記対象領域は、前記撮影手段の撮影条件を設定するための領域であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像に含まれる顔領域を検出する顔検出手段をさらに備え、
前記表示手段は、該顔検出手段が検出した顔領域を前記画像において視認可能に該画像を表示する手段であり、
前記対象領域は、前記顔領域が複数検出された場合における所望とする顔領域を決定するための領域であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項9】
撮影手段が撮影した被写体の画像を取得し、
表示画面を有する表示手段に前記取得した画像を表示し、
前記表示手段に表示された画像上に設定された目標被写体の前記表示画面内の動きを検出し、
前記表示画面における対象領域の設定指示を受け付け、
前記撮影手段をその光軸と垂直な方向に移動することによる前記表示画面内における前記目標被写体の動き、および前記指示手段からの指示に応じて、前記表示画面に前記対象領域を設定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
撮影手段が撮影した被写体の画像を取得する手順と、
表示画面を有する表示手段に前記取得した画像を表示する手順と、
前記表示手段に表示された画像上に設定された目標被写体の前記表示画面内の動きを検出する手順と、
前記表示画面における対象領域の設定指示を受け付ける手順と、
前記撮影手段をその光軸と垂直な方向に移動することによる前記表示画面内における前記目標被写体の動き、および前記指示手段からの指示に応じて、前記表示画面に前記対象領域を設定する手順とを有することを特徴とする画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−290821(P2009−290821A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144096(P2008−144096)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【復代理人】
【識別番号】100104189
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 勲将
【Fターム(参考)】