説明

画像処理装置および画像処理システム

【課題】 小規模化を図れる画像処理装置および画像処理システムを提供する。
【解決手段】 信号生成回路30は、R,G,Bの画素信号を用いてY信号を生成する処理と、Y,U,Pb,V,Pr信号を生成する処理を行う。信号生成回路31は、U,V信号に所定の係数を乗算してPb,Pr信号を生成する処理を行う。信号生成回路32は、Y,U,V信号を用いてコンポジット信号Compを生成する処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、R(赤),G(緑),B(青)信号を用いてY(輝度)、Cb,Cr,Pb,Pr(色差)信号を生成する回路に特徴を有する画像処理装置および画像処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】画像処理回路では、レンダリング処理などで生成されたR,G,B信号をエンコードしてディスプレイ出力用のY(輝度)、Cb,Cr,Pb,Pr(色差)信号を生成する。
【0003】図7は、従来の画像処理システム101の構成図である。図7に示すように、画像処理システム101は、データバス120を介してCPU(Central Processing Unit) 110、ROM(Read Only Memory)/RAM(Random Access Memory)111、I/F回路112およびグラフィックLSI114が接続されている。I/F回路112にはDVDドライブ113が接続されている。また、グラフィックLSI114にはデジタルビデオエンコーダ115が接続されており、デジタルビデオエンコーダ115にはDAC116が接続されている。
【0004】画像処理システム101では、例えば、DVDドライブ113においてDVDから再生されたそれぞれ8ビットのR,G,Bの画素信号、あるいはCPU110で生成されたそれぞれ8ビットのR,G,Bの画素信号が、グラフィックLSI114に出力される。グラフィックLSI114では、入力したR,G,Bの画素信号を用いてレンダリング処理を行い、それによって生成したR,G,Bの画素信号をデジタルビデオエンコーダ115に出力する。
【0005】デジタルビデオエンコーダ115では、R,G,Bの画素信号を用いて、下記式に基づいて、Y,U,V信号、Y,Cb,Cr信号、並びにY,Pb,Pr信号を生成する。下記式において、RはR信号が示す値であり、GはG信号が示す値であり、BはB信号が示す値であり、YはY信号が示す値、UはU信号が示す値、VはV信号が示す値、CbはCb信号が示す値、CrはCr信号が示す値、PbはPb信号が示す値、PrはPr信号が示す値である。
【0006】
【数1】
〔RGB→YUV〕
Y=0.299R+0.587G+0.114B …(1)
U=0.493(B−Y) …(2)
V=0.877(R−Y) …(3)
【0007】
【数2】
〔RGB→YCbCr〕
Y=0.299R+0.587G+0.114B …(4)
Cb=0.713(R−Y) …(5)
Cr=0.564(B−Y) …(6)
【0008】
【数3】
〔RGB→YPbPr〕
Y=0.2126R+0.7152G+0.0722B …(7)
Pb=0.635(R−Y) …(8)
Pr=0.5389(B−Y) …(9)
【0009】図8は、図7に示すデジタルビデオエンコーダ115の構成図である。図8に示すように、デジタルビデオエンコーダ115は、信号生成回路200,201,203の3つの信号生成回路を有する。信号生成回路200は、グラフィックLSI114から入力したR,G,Bの画素信号を入力し、上記式(1)〜(3)に基づいて演算を行って、Y,U,Vの3つの信号を生成し、これをDAC116に出力する。信号生成回路201は、グラフィックLSI114から入力したR,G,Bの画素信号を入力し、上記式(4)〜(6)に基づいて演算を行って、Y,Cb,Crの3つの信号を生成し、これをDAC116に出力する。信号生成回路202は、グラフィックLSI114から入力したR,G,Bの画素信号を入力し、上記式(7)〜(9)に基づいて演算を行って、Y,Pb,Prの3つの信号を生成し、これをDAC116に出力する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した図7に示す従来の画像処理システム101では、図8に示すようにデジタルビデオエンコーダ115が、Y,U,V信号、Y,Cb,Cr信号、並びにY,Pb,Pr信号を独立して生成するための3つの信号生成回路を用いるため、回路が大規模化してしまうという問題がある。
【0011】本発明は上述した従来技術に鑑みてなされ、小規模化を図れる画像処理装置および画像処理システムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述した従来技術の問題を解決し、上述した目的を達成するために、本発明の画像処理装置は、R,G,Bの画素信号を用いて輝度信号を生成する処理と、当該生成した輝度信号と前記R,G,Bの画素信号のうち一つの画素信号との差分に所定の係数を乗算して第1の色差信号を生成する処理と、前記生成した輝度信号と前記R,G,Bの画素信号のうち前記一つの画素信号以外の一つの画素信号との差分に所定の係数を乗算して第2の色差信号を生成する処理とを行う第1の信号生成回路と、前記第1の色差信号に第1の係数を乗算して第3の色差信号を生成する処理と、前記第2の色差信号に第2の係数を乗算して第4の色差信号を生成する処理とを行う第2の信号生成回路とを有する。
【0013】本発明の画像処理装置の作用は以下のようになる。先ず、第1の信号処理回路において、R,G,Bの画素信号を用いて輝度信号が生成される。そして、第1の信号処理回路において、前記生成した輝度信号とR,G,Bの画素信号のうち一つの画素信号との差分に所定の係数が乗算され、第1の色差信号が生成される。また、第1の信号処理回路において、前記生成した輝度信号と前記R,G,Bの画素信号のうち前記一つの画素信号以外の一つの画素信号との差分に所定の係数が乗算され、第2の色差信号が生成される。そして、第2の信号処理回路において、前記第1の色差信号に第1の係数が乗算されて第3の色差信号が生成される。また、第2の信号処理回路において、前記第2の色差信号に第2の係数が乗算されて第4の色差信号が生成される。このように、本発明の画像処理装置では、第2の信号処理回路において、前記第1の色差信号に第1の係数を乗算して第3の色差信号を生成し、前記第2の色差信号に第2の係数を乗算して第4の色差信号を生成することから、第3の色差信号および第4の色差信号を独立して生成する場合に比べて回路規模を縮小できる。
【0014】また、本発明の画像処理装置は、好ましくは、前記第1の信号生成回路は、R,G,Bの画素信号の各々に所定の係数を乗算し、各々の乗算結果を加算して前記輝度信号を生成する。
【0015】また、本発明の画像処理装置は、好ましくは、前記第1の信号生成回路は、選択信号に基づいて、複数の異なる係数を選択して用いて、複数の輝度信号を選択して生成する。
【0016】また、本発明の画像処理装置は、好ましくは、前記第1の信号生成回路は、複数の係数を選択して用いて複数の種類の前記第1の色差信号を選択して生成する処理と、複数の係数を選択して用いて複数の種類の前記第2の色差信号を選択して生成する処理とを行う。
【0017】また、本発明の画像処理装置は、好ましくは、前記第2の信号生成回路は、前記第1の色差信号に第1の係数を乗算して第3の色差信号を生成する処理と、選択信号に基づいて、前記第1の色差信号と前記第3の色差信号とを選択して出力する処理と、前記第2の色差信号に第2の係数を乗算して第4の色差信号を生成する処理と、選択信号に基づいて、前記第2の色差信号と前記第4の色差信号とを選択して出力する処理とを行う。
【0018】また、本発明の画像処理装置は、好ましくは、前記複数の種類の第1の色差信号は、U信号およびPb信号であり、前記複数の種類の第2の色差信号は、V信号およびPr信号である。
【0019】また、本発明の画像処理装置は、好ましくは、前記第3の色差信号は、Cb信号であり、前記第4の色差信号は、Cr信号である。
【0020】また、本発明の画像処理装置は、好ましくは、前記輝度信号、前記第1の色差信号および前記第2の色差信号を多重化してコンポジット信号を生成する第3の信号生成回路をさらに有する。
【0021】また、本発明の画像処理システムは、データバスと、前記データバスに接続され、選択信号を生成する演算処理回路と、前記データバスに接続され、レンダリング処理を行う第1の画像処理回路と、前記演算処理回路および前記第1の画像処理回路の少なくとも一方が生成した画素信号を用いて表示用の輝度信号および色差信号を生成する第2の画像処理回路とを有し、前記第2の画像処理回路は、R,G,Bの画素信号を用いて輝度信号を生成する処理と、当該生成した輝度信号と前記R,G,Bの画素信号のうち一つの画素信号との差分に所定の係数を乗算して第1の色差信号を生成する処理と、前記生成した輝度信号と前記R,G,Bの画素信号のうち前記一つの画素信号以外の一つの画素信号との差分に所定の係数を乗算して第2の色差信号を生成する処理とを行う第1の信号生成回路と、前記第1の色差信号に第1の係数を乗算して第3の色差信号を生成する処理と、前記第2の色差信号に第2の係数を乗算して第4の色差信号を生成する処理とを行う第2の信号生成回路とを有する。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に係わる画像処理装置を、添付図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の画像処理システム1の構成図である。図1に示すように、画像処理システム1は、データバス20を介してCPU(Central Processing Unit) 10、ROM(Read Only Memory)/RAM(Random Access Memory)11、I/F回路12およびグラフィックLSI14が接続されている。また、I/F回路12には、DVDドライブ13が接続されている。また、グラフィックLSI14は、デジタルビデオエンコーダ15に接続されている。デジタルビデオエンコーダ15は、DAC(Digital Analog Converter)16に接続されている。ここで、デジタルビデオエンコーダ15が本発明の画像処理装置および第2の画像処理回路に対応している。まが、CPU10が本発明の演算処理回路に対応し、グラフィックLSI14が本発明の第1の画像処理回路に対応し、データバス20が本発明のデータバスに対応している。
【0023】CPU10は、画像処理システム1の各構成要素の処理を統括して制御する。CPU10は、デジタルビデオエンコーダ15においてY,Cr,Cb信号およびコンポジット信号Compを生成する場合に、第1の論理値を示す選択信号SELを生成し、これをデジタルビデオエンコーダ15に出力する。また、CPU10は、デジタルビデオエンコーダ15においてY,Pr,Pb信号を生成する場合に、第2の論理値を示す選択信号SELを生成し、これをデジタルビデオエンコーダ15に出力する。
【0024】ROM/RAM11は、画像処理システム1の処理に用いられるプログラムやデータを記憶する。
【0025】I/F回路12は、データバス20とDVDドライブ13との間で画素信号などのデータおよび信号を入出力する。
【0026】DVDドライブ13は、DVDの再生および記録を行う。
【0027】グラフィックLSI14は、データバス20を介してDVDドライブ13あるいはCPU10から入力したR,G,Bの画素信号を用いてレンダリング処理を行い、その処理結果であるR,G,Bの画素信号をデジタルビデオエンコーダ15に出力する。
【0028】デジタルビデオエンコーダ15は、CPU10およびグラフィックLSI14の少なくとも一方が生成したR,G,Bの画素信号を用いて、Y,Pb,Pr信号とY,Cb,Cr信号とを選択的に生成すると共に、コンポジット信号Compを生成する。具体的には、デジタルビデオエンコーダ15は、下記式に基づいて、Y,U,V信号、Y,Cb,Cr信号およびY,Pb,Pr信号を生成する。下記式において、RはR信号が示す値であり、GはG信号が示す値であり、BはB信号が示す値であり、YはY信号が示す値、UはU信号が示す値、VはV信号が示す値、CbはCb信号が示す値、CrはCr信号が示す値、PbはPb信号が示す値、PrはPr信号が示す値である。ここで、Y信号が本発明の輝度信号に対応し、PbおよびV信号が本発明の第1の色差信号に対応し、Pr信号およびU信号が本発明の第2の色差信号に対応し、Cbが本発明の第3の色差信号に対応し、Crが本発明の第4の色差信号に対応している。
【0029】
【数4】
〔RGB→YUV〕
Y=0.299R+0.587G+0.114B …(1)
U=0.493(B−Y) …(2)
V=0.877(R−Y) …(3)
【0030】
【数5】
〔RGB→YCbCr〕
Y=0.299R+0.587G+0.114B …(4)
Cb=0.713(R−Y) …(5)
Cr=0.564(B−Y) …(6)
【0031】
【数6】
〔RGB→YPbPr〕
Y=0.2126R+0.7152G+0.0722B …(7)
Pb=0.635(R−Y) …(8)
Pr=0.5389(B−Y) …(9)
【0032】図2は、デジタルビデオエンコーダ15の構成図である。図2に示すように、デジタルビデオエンコーダ15は、信号生成回路30、信号生成回路31、信号生成回路32および係数設定回路33を有する。ここで、信号生成回路30が本発明の第1の信号生成回路に対応し、信号生成回路31が本発明の第2の信号生成回路に対応し、信号生成回路32が本発明の第3の信号生成回路に対応している。以下、各信号生成回路について詳細に説明する。図3は、信号生成回路30の構成図である。図3に示すように、信号生成回路30は、Y信号生成回路45、色差信号生成回路46および色差信号生成回路47を有する。
【0033】図4は、Y信号生成回路45の構成図である。図4に示すように、Y信号生成回路45は、選択回路40、乗算回路41、加算回路70および加算回路71を有する。選択回路40は、図2に示す係数設定回路33から係数Ar1およびAr2を入力し、CPU10が生成した選択信号SELが第1の論理値(例えば、論理値「1」)を示す場合に係数Ar1を選択して係数S40として乗算回路41に出力し、選択信号SELが第2の論理値(例えば、論理値「0」)を示す場合に係数Ar2を選択して係数S40として乗算回路41に出力する。ここで、係数Ar1は、上記式(1),(4)のRの係数0.299である。また、係数Ar2は、上記式(7)のRの係数0.2126である。
【0034】乗算回路41は、R信号が示す値と係数S40とを乗算し、その乗算結果S41を加算回路70に出力する。
【0035】選択回路50は、図2に示す係数設定回路33から係数Ag1およびAg2を入力し、CPU10が生成した選択信号SELが第1の論理値を示す場合に係数Ag1を選択して係数S50として乗算回路51に出力し、選択信号SELが第2の論理値を示す場合に係数Ag2を選択して係数S50として乗算回路51に出力する。ここで、係数Ag1は、上記式(1),(4)のGの係数0.587である。また、係数Ag2は、上記式(7)のGの係数0.7152である。
【0036】乗算回路51は、G信号が示す値と係数S50とを乗算し、その乗算結果S51を加算回路70に出力する。
【0037】選択回路60は、図2に示す係数設定回路33から係数Ab1およびAb2を入力し、CPU10が生成した選択信号SELが第1の論理値を示す場合に係数Ab1を選択して係数S60として乗算回路61に出力し、選択信号SELが第2の論理値を示す場合に係数Ab2を選択して係数S60として乗算回路61に出力する。ここで、係数Ab1は、上記式(1),(4)のBの係数0.114である。また、係数Ab2は、上記式(7)のBの係数0.0722である。
【0038】乗算回路61は、B信号が示す値と係数S60とを乗算し、その乗算結果S61を加算回路71に出力する。
【0039】加算回路70は、乗算回路41の乗算結果S41と乗算回路51の乗算結果S51とを加算し、その加算結果S70を加算回路71に出力する。加算回路71は、加算結果S70と乗算回路61の乗算結果S61とを加算し、その加算結果をY信号として図1に示すDAC16および図3に示す色差信号生成回路46および47に出力する。
【0040】図5(A)は、図3に示す色差信号生成回路46の構成図である。図5(A)に示すように、色差信号生成回路46は、減算回路80、選択回路81および乗算回路82を有する。減算回路80は、グラフィックLSI14から入力したB信号から、図3および図4に示すY信号生成回路45から入力したY信号を減算して(B−Y)信号を生成し、これを乗算回路82に出力する。選択回路81は、係数設定回路33から係数AUおよびAPrを入力し、CPU10が生成した選択信号SELが第1の論理値を示す場合に係数AUを係数S81として乗算回路82に出力し、選択信号SELが第2の論理値を示す場合に係数APrを係数S81として乗算回路82に出力する。乗算回路82は、減算回路80から入力した(B−Y)信号と、選択回路81から入力した係数S81とを乗算し、乗算結果を図2に示す信号生成回路31および信号生成回路32に出力する。ここで、選択信号SELが第1の論理値を示す場合に乗算回路82の乗算結果はU信号となり、選択信号SELが第2の論理値を示す場合に乗算回路82の乗算結果はPr信号となる。
【0041】図5(B)は、図3に示す色差信号生成回路47の構成図である。図5(B)に示すように、色差信号生成回路47は、減算回路90、選択回路91および乗算回路92を有する。減算回路90は、グラフィックLSI14から入力したR信号から、図3および図4に示すY信号生成回路45から入力したY信号を減算して(R−Y)信号を生成し、これを乗算回路92に出力する。選択回路91は、係数設定回路33から係数AVおよびAPbを入力し、CPU10が生成した選択信号SELが第1の論理値を示す場合に係数AVを係数S91として乗算回路92に出力し、選択信号SELが第2の論理値を示す場合に係数APbを係数S91として乗算回路92に出力する。乗算回路92は、減算回路90から入力した(R−Y)信号と、選択回路91から入力した係数S91とを乗算し、乗算結果を図2に示す信号生成回路31および信号生成回路32に出力する。ここで、選択信号SELが第1の論理値を示す場合に乗算回路92の乗算結果はV信号となり、選択信号SELが第2の論理値を示す場合に乗算回路92の乗算結果はPb信号となる。
【0042】図6は、図2に示す信号生成回路31の構成図である。図6に示すように、信号生成回路31は、乗算回路300、選択回路301、乗算回路302および選択回路303を有する。乗算回路300は、図2に示す信号生成回路30から入力したU信号またはPr信号に、係数(ACr/AU)を乗算し、その乗算結果を選択回路301に出力する。ここで、係数AUは、前述した式(2)の(B−Y)の係数0.493であり、係数ACrは前述した式(6)の(B−Y)の係数0.564である。乗算回路300は、前述した選択信号SELが第1の論理値を示す場合に信号生成回路30からU信号を入力し、選択信号SELが第2の論理値を示す場合に信号生成回路30からPr信号を入力する。このとき、選択信号SELが第1の論理値を示す場合に、乗算回路300の乗算結果がCr信号になる。選択回路301は、選択信号SELが第1の論理値を示す場合に、乗算回路300から入力したCr信号を選択して出力する。選択回路301は、選択信号SELが第2の論理値を示す場合に、信号生成回路30から入力したPr信号を選択して出力する。
【0043】乗算回路302は、図2に示す信号生成回路30から入力したV信号またはPb信号に、係数(ACb/AV)を乗算し、その乗算結果を選択回路303に出力する。ここで、係数AVは、前述した式(3)の(R−Y)の係数0.877であり、係数ACbは前述した式(5)の(R−Y)の係数0.713である。乗算回路302は、前述した選択信号SELが第1の論理値を示す場合に信号生成回路30からV信号を入力し、選択信号SELが第2の論理値を示す場合に信号生成回路30からPb信号を入力する。このとき、選択信号SELが第1の論理値を示す場合に、乗算回路300の乗算結果がCb信号になる。選択回路303は、選択信号SELが第1の論理値を示す場合に、乗算回路302から入力したCb信号を選択して出力する。選択回路303は、選択信号SELが第2の論理値を示す場合に、信号生成回路30から入力したPb信号を選択して出力する。
【0044】信号生成回路32は、信号生成回路30から入力したY信号、U信号およびV信号を周波数インタリーブによって多重化してコンポジット信号Compを生成し、これを出力する。
【0045】また、図2に示す係数設定回路33は、信号生成回路30,31の処理に用いられる種々の係数を記憶している。
【0046】以下、図2〜図6を参照してデジタルビデオエンコーダ15の動作例を説明する。
〔第1の動作例〕以下、CPU10において、論理値「1」の選択信号SELが生成され、当該選択信号SELに基づいて、デジタルビデオエンコーダ15が、Y,Cr,Cb信号およびコンポジット信号Compを生成する場合の動作例を説明する。
【0047】図1に示すグラフィックLSI14で生成されたR,G,B信号が図1および図2に示すデジタルビデオエンコーダ15の信号生成回路30に入力される。当該R,G,B信号は、図3に示す信号生成回路30のY信号生成回路45、色差信号生成回路46および色差信号生成回路47に入力される。そして、信号生成回路30に内蔵された図4に示すY信号生成回路45において、第1の論理値を示す選択信号SELに基づいて、選択回路40,50,60が係数Ar1,Ag1,Ab1をそれぞれ選択する。そして、乗算回路41において、R信号と係数Ar1とが乗算され、その乗算結果S41が加算回路70に出力される。また、乗算回路51において、G信号と係数Ag1とが乗算され、その乗算結果S51が加算回路70に出力される。また、乗算回路61において、B信号と係数Ab1とが乗算され、その乗算結果S61が加算回路71に出力される。
【0048】そして、加算回路70において、乗算結果S41とS51とが加算され、その加算結果S70が加算回路71に出力される。そして、加算回路71において、加算結果S70と乗算結果S61とが加算され、その加算結果がY信号としてDAC16、図2に示す信号生成回路31、信号生成回路32、並びに図3に示す色差信号生成回路46,47に出力される。
【0049】そして、図5(A)に示す色差信号生成回路46において以下の処理が行われる。選択回路81において、選択信号SELに基づいて、係数AUが選択され、係数S81として乗算回路82に出力される。減算回路80において、B信号からY信号が減算され、その減算結果(B−Y)が乗算回路82に出力される。そして、乗算回路82において、減算結果(B−Y)と係数S81とが乗算され、その乗算結果であるU信号が図2に示す信号生成回路31に出力される。
【0050】また、上述した色差信号生成回路46の処理と並行して図5(B)に示す色差信号生成回路47において以下の処理が行われる。選択回路91において、選択信号SELに基づいて、係数AVが選択され、係数S91として乗算回路92に出力される。減算回路90において、R信号からY信号が減算され、その減算結果(R−Y)が乗算回路92に出力される。そして、乗算回路92において、減算結果(R−Y)と係数S91とが乗算され、その乗算結果であるV信号が図2に示す信号生成回路31に出力される。
【0051】そして、信号生成回路32において、Y信号、U信号およびV信号を用いて多重化が行われてコンポジット信号Compが生成および出力される。
【0052】また、信号生成回路32の処理と並行して図6に示す信号生成回路31において以下の処理が行われる。乗算回路300において、係数ACr/AUとU信号とが乗算されてCr信号が生成され、選択回路301に出力される。そして、選択回路301において、選択信号SELに基づいて、Cr信号が選択および出力される。
【0053】乗算回路302において、係数ACb/AVとV信号と乗算されてCb信号が生成され、選択回路303に出力される。そして、選択回路303において、選択信号SELに基づいて、Cb信号が選択および出力される。
【0054】上述したように、CPU10において第1の論理値を示す選択信号SELが生成された場合には、デジタルビデオエンコーダ15において、Y,Cr,Cb信号およびコンポジット信号Compが生成される。
【0055】〔第2の動作例〕以下、CPU10において、論理値「0」の選択信号SELが生成され、当該選択信号SELに基づいて、デジタルビデオエンコーダ15が、Y,Pr,Pb信号およびコンポジット信号Compを生成する場合の動作例を説明する。
【0056】図1に示すグラフィックLSI14で生成されたR,G,B信号が図1および図2に示すデジタルビデオエンコーダ15の信号生成回路30に入力される。当該R,G,B信号は、図3に示す信号生成回路30のY信号生成回路45、色差信号生成回路46および色差信号生成回路47に入力される。そして、信号生成回路30に内蔵された図4に示すY信号生成回路45において、第2の論理値を示す選択信号SELに基づいて、選択回路40,50,60が係数Ar2,Ag2,Ab2をそれぞれ選択する。そして、乗算回路41において、R信号と係数Ar2とが乗算され、その乗算結果S41が加算回路70に出力される。また、乗算回路51において、G信号と係数Ag2とが乗算され、その乗算結果S51が加算回路70に出力される。また、乗算回路61において、B信号と係数Ab2とが乗算され、その乗算結果S61が加算回路71に出力される。
【0057】そして、加算回路70において、乗算結果S41とS51とが加算され、その加算結果S70が加算回路71に出力される。そして、加算回路71において、加算結果S70と乗算結果S61とが加算され、その加算結果がY信号としてDAC16、図2に示す信号生成回路31、信号生成回路32、並びに図3に示す色差信号生成回路46,47に出力される。
【0058】そして、図5(A)に示す色差信号生成回路46において以下の処理が行われる。選択回路81において、選択信号SELに基づいて、係数APrが選択され、係数S81として乗算回路82に出力される。減算回路80において、B信号からY信号が減算され、その減算結果(B−Y)が乗算回路82に出力される。そして、乗算回路82において、減算結果(B−Y)と係数S81とが乗算され、その乗算結果であるPr信号が図2に示す信号生成回路31に出力される。
【0059】また、上述した色差信号生成回路46の処理と並行して図5(B)に示す色差信号生成回路47において以下の処理が行われる。選択回路91において、選択信号SELに基づいて、係数APbが選択され、係数S91として乗算回路92に出力される。減算回路90において、R信号からY信号が減算され、その減算結果(R−Y)が乗算回路92に出力される。そして、乗算回路92において、減算結果(R−Y)と係数S91とが乗算され、その乗算結果であるPb信号が図2に示す信号生成回路31に出力される。
【0060】そして、図6に示す信号生成回路31の選択回路301,303において、第2の論理値を示す選択信号SELに基づいて、それぞれPr,Pb信号が選択および出力される。
【0061】上述したように、CPU10において第2の論理値の選択信号SELが生成された場合には、デジタルビデオエンコーダ15において、Y,Pr,Pb信号が生成される。
【0062】以下、図1に示す画像処理システム1の全体動作を説明する。デジタルビデオエンコーダ15においてY,Cr,Cb信号またはコンポジット信号Compを生成する場合に、CPU10において第1の論理値を示す選択信号SELが生成され、これがデジタルビデオエンコーダ15に出力される。そして、CPU10およびグラフィックLSI14の少なくとも一方でR,G,B信号が生成され、これがデジタルビデオエンコーダ15に出力される。そして、デジタルビデオエンコーダ15において、前述したように、選択信号SELに基づいて、Y,Cr,Cb信号またはコンポジット信号Compが生成され、これらがDAC16に出力される。そして、DAC16において、Y,Cr,Cb信号またはコンポジット信号Compがアナログ変換された後に、ディスプレイなどに出力される。
【0063】一方、デジタルビデオエンコーダ15においてY,Pr,Pb信号を生成する場合に、CPU10において第2の論理値を示す選択信号SELが生成され、これがデジタルビデオエンコーダ15に出力される。そして、CPU10およびグラフィックLSI14の少なくとも一方でR,G,B信号が生成され、これがデジタルビデオエンコーダ15に出力される。そして、デジタルビデオエンコーダ15において、前述したように、第2の論理値を示す選択信号SELに基づいて、Y,Pr,Pb信号が生成され、これらがDAC16に出力される。そして、DAC16において、Y,Pr,Pb信号がアナログ変換された後に、ディスプレイなどに出力される。
【0064】以上説明したように、画像処理システム1によれば、デジタルビデオエンコーダ15において、図2R>2〜図6を用いて説明したように、信号生成回路31において、U,V信号に所定の係数を乗算してCb,Cr信号を生成することから、図7および図8に示す従来の画像処理システム101に比べて、回路規模を縮小できる。
【0065】本発明は上述した実施形態には限定されない。例えば、上述した実施形態では、コンポジット信号Compを生成する信号生成回路32を設けた場合を例示したが、本発明では、信号生成回路32は必ずしも必要ない。また、上述した式(1)〜(9)の係数は特に限定されない。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、小規模化を図れる画像処理装置および画像処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係わる画像処理システムの構成図である。
【図2】図2は、図1に示すデジタルビデオエンコーダの構成図である。
【図3】図3は、図2に示す信号生成回路(RGB→YUV,RGB→YPbPr)の構成図である。
【図4】図4は、図3に示すY信号生成回路の構成図である。
【図5】図5(A)は図3に示す色差信号生成回路(Pr,U生成)の構成図、図5(B)は図3に示す色差信号生成回路(Pb,V生成)の構成図である。
【図6】図6は、図2に示す信号生成回路(UV→CbCr)の構成図である。
【図7】図7は、従来の画像処理装置の構成図である。
【図8】図8は、図7に示すデジタルビデオエンコーダの構成図である。
【符号の説明】
1…画像処理システム、10…CPU、11…ROM/RAM、12…I/F回路、13…DVDドライブ、14…グラフィックLSI、15…デジタルビデオエンコーダ、16…DAC、20…データバス、30,31,32…信号生成回路、33…係数設定回路、45…Y信号生成回路、46,47…色差信号生成回路、40,50,60,81,91,301,303…選択回路、41,51,61,82,92,300,302…乗算回路、70,71…加算回路、80,90…減算回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】R,G,Bの画素信号を用いて輝度信号を生成する処理と、当該生成した輝度信号と前記R,G,Bの画素信号のうち一つの画素信号との差分に所定の係数を乗算して第1の色差信号を生成する処理と、前記生成した輝度信号と前記R,G,Bの画素信号のうち前記一つの画素信号以外の一つの画素信号との差分に所定の係数を乗算して第2の色差信号を生成する処理とを行う第1の信号生成回路と、前記第1の色差信号に第1の係数を乗算して第3の色差信号を生成する処理と、前記第2の色差信号に第2の係数を乗算して第4の色差信号を生成する処理とを行う第2の信号生成回路とを有する画像処理装置。
【請求項2】前記第1の信号生成回路は、R,G,Bの画素信号の各々に所定の係数を乗算し、各々の乗算結果を加算して前記輝度信号を生成する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】前記第1の信号生成回路は、選択信号に基づいて、複数の異なる係数を選択して用いて、複数の輝度信号を選択して生成する請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】前記第1の信号生成回路は、複数の係数を選択して用いて複数の種類の前記第1の色差信号を選択して生成する処理と、複数の係数を選択して用いて複数の種類の前記第2の色差信号を選択して生成する処理とを行う請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】前記第2の信号生成回路は、前記第1の色差信号に第1の係数を乗算して第3の色差信号を生成する処理と、選択信号に基づいて、前記第1の色差信号と前記第3の色差信号とを選択して出力する処理と、前記第2の色差信号に第2の係数を乗算して第4の色差信号を生成する処理と、選択信号に基づいて、前記第2の色差信号と前記第4の色差信号とを選択して出力する処理とを行う請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】前記複数の種類の第1の色差信号は、U信号およびPb信号であり、前記複数の種類の第2の色差信号は、V信号およびPr信号である請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項7】前記第3の色差信号は、Cb信号であり、前記第4の色差信号は、Cr信号である請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】前記輝度信号、前記第1の色差信号および前記第2の色差信号を多重化してコンポジット信号を生成する第3の信号生成回路をさらに有する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】データバスと、前記データバスに接続され、選択信号を生成する演算処理回路と、レンダリング処理を行う第1の画像処理回路と、前記演算処理回路および前記第1の画像処理回路の少なくとも一方が生成した画素信号を用いて表示用の輝度信号および色差信号を生成する第2の画像処理回路とを有し、前記第2の画像処理回路は、R,G,Bの画素信号を用いて輝度信号を生成する処理と、当該生成した輝度信号と前記R,G,Bの画素信号のうち一つの画素信号との差分に所定の係数を乗算して第1の色差信号を生成する処理と、前記生成した輝度信号と前記R,G,Bの画素信号のうち前記一つの画素信号以外の一つの画素信号との差分に所定の係数を乗算して第2の色差信号を生成する処理とを行う第1の信号生成回路と、前記第1の色差信号に第1の係数を乗算して第3の色差信号を生成する処理と、前記第2の色差信号に第2の係数を乗算して第4の色差信号を生成する処理とを行う第2の信号生成回路とを有する画像処理システム。
【請求項10】前記第1の信号生成回路は、R,G,Bの画素信号の各々に所定の係数を乗算し、各々の乗算結果を加算して前記輝度信号を生成する請求項9に記載の画像処理システム。
【請求項11】前記第1の信号生成回路は、選択信号に基づいて、複数の異なる係数を選択して用いて、複数の輝度信号を選択して生成する請求項10に記載の画像処理システム。
【請求項12】前記第1の信号生成回路は、複数の係数を選択して用いて複数の種類の前記第1の色差信号を選択して生成する処理と、複数の係数を選択して用いて複数の種類の前記第2の色差信号を選択して生成する処理とを行う請求項9に記載の画像処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2002−305754(P2002−305754A)
【公開日】平成14年10月18日(2002.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−105193(P2001−105193)
【出願日】平成13年4月3日(2001.4.3)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】