説明

画像処理装置および画像処理システム

【課題】
上位装置を起動せずともコピー機能を実現する画像処理装置および画像処理システムを提供することにある。
【解決手段】
上位装置30および画像形成装置20間に設けられた画像処理装置10において、上位装置を主局として、自己を従局として通信すべく制御を行う従局インタフェース制御部1131と、画像形成装置を従局として、自己を主局として通信すべく制御を行う主局インタフェース制御部1132と、画像を読取り、画像データの生成を行う画像入力部111と、前記画像データを従局インタフェース制御部の制御に基づいて上位装置へ転送する第1のデータ転送部11312と、前記画像データを主局インタフェース制御部の制御に基づいて画像形成装置へ転送する第2のデータ転送部11321と、上位装置で生成された画像データを従局インタフェース制御部の制御に基づいて受信し、該受信した画像データを主局インタフェース制御部の制御に基づいて画像形成装置へ送信する第3のデータ転送部11311,11321と、を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多機能を有する画像処理装置および画像処理システムに関し、特に、ホストコンピュータおよびプリンタ装置へ接続して、スキャン機能、プリント機能、コピー機能を実現するスキャナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホストコンピュータ、スキャナ装置およびプリンタ装置を組み合わせて、ホストコンピュータからの指示によるスキャナ機能や、ホストコンピュータで作成したデータを印刷するプリント機能またはホストコンピュータからの指示によりスキャナ装置で画像を取得し、該画像をプリンタ装置で媒体に転写するコピー機能を実現する画像処理システムが従来から知られている。
【0003】
例えば、ホストコンピュータがパーソナルコンピュータ(以降、PCと称す)である場合には、PCと各周辺装置を接続するインタフェースとして、Universal Serial Bus(以後 USBと記述する)が用いられている。USBインタフェースは、PCと各周辺装置の接続の為に規格化されたバス仕様である。
ところで、USBインタフェースを装置内で用いた複写装置が特許文献1に開示されている。
【0004】
ここで、USBインタフェースを説明する。USBインタフェースでは、主局(Host)および従局(デバイス)が設けられている必要があり、主局から従局への問い合わせるポーリングによって、デバイスにおける「バスの使用権」設定に必要な情報をデバイスから取得した後、Hostおよびデバイス間でデータ通信が開始される。
【0005】
スキャナ装置とプリンタ装置をPCへUSBインタフェースで接続したシステムにおいて、コピー機能を実現するには、PCの制御下でスキャナ装置を起動して画像データを取得すると、該取得された画像データはスキャナ装置からPCへ送られる。同じくPCの制御下で動作するプリンタ装置は、PCから画像データを取得して、該データに基づいて印刷を行う。従って、PCの介在が必要不可欠であり、PCとスキャナ装置とプリンタ装置とが全て起動することでコピー機能を実現することができる。
【特許文献1】特開2001−16382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のようにスキャナ装置とプリンタ装置をPCへUSBインタフェースで接続した場合、PCはHostとなるためコピー機能を実現するためには、必ずPCを起動する必要があり、このPCを起動する手間が使用者にとって煩わしく、特に、離れた所にPCが設置されている場合にはかなりの負担となる。PCを起動する手間を省いた装置の開発が求められていた。
【0007】
従って、本発明の目的は、USBインタフェースで接続しつつ、PCを起動せずともコピー機能を実現する画像処理装置および画像処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像処理装置は、以上の点を解決するために、次の構成を採用する。
〈構成1〉
上位装置および画像形成装置間に設けられた画像処理装置において、
少なくとも1つの従局に対して双方向データ転送を行うための主局インタフェース制御部を備えた上位装置を主局とし、自己を従局として通信すべく通信制御を行う従局インタフェース制御部と、画像形成装置を従局として、自己を主局として通信すべく通信制御を行う主局インタフェース制御部と、画像データを入力する画像入力部と、画像入力部から入力された画像データを従局インタフェース制御部の制御に基づいて上位装置へ転送する第1のデータ転送手段と、画像入力部から入力された画像データを主局インタフェース制御部の制御に基づいて画像形成装置へ転送する第2のデータ転送手段と、上位装置から転送されてくる画像データを従局インタフェース制御部の制御に基づいて受信し、受信した画像データを主局インタフェース制御部の制御に基づいて画像形成装置へ送信する第3のデータ転送手段と、を設けることを特徴とする。
〈構成2〉
前記主局インタフェース制御部および前記従局インタフェース制御部は、USBプロトコルに基づく通信制御を行うことを特徴とする。
〈構成3〉
ネットワークを介して通信するためのネットワーク制御部と、
ネットワーク制御部により、ネットワークを介して取得したネットワークデータを主局インタフェース制御部の制御に基づいて転送するネットワークデータ転送部とを設けることを特徴とする。
〈構成4〉
ネットワークデータを解析し、画像形成装置で認識可能な言語へ変換する言語変換手段を設け、ネットワークデータ転送部は、認識可能な言語へ変換されたデータを主局インタフェース制御部の制御に基づいて画像形成装置へ転送することを特徴とする。
〈構成5〉
画像形成装置がネットワークを介した通信機能を有するか否かを検出するネットワーク機能検出部と、ネットワーク機能検出部は画像形成装置に通信機能が有ることを検出すれば、ネットワークデータ転送部の転送処理を停止する転送停止部とを設けることを特徴とする。
〈構成6〉
画像入力部で入力された画像データを添付した電子メールを作成する電子メール制御部を設け、ネットワーク制御部は、前記ネットワークを介して電子メール制御部で作成された電子メールを送信することが好ましい。
〈構成7〉
通信レポート、設定レポートおよび画像形成装置の管理レポートにおいて、少なくとも一つのレポートを選択する操作部と、選択したレポートを作成すべく、レポートデータを編集し、該レポートデータを画像形成装置へ出力するレポート印刷制御部とを設けることが好ましい。
〈構成8〉
本発明の画像処理システムは、上位装置および画像形成装置間に画像処理装置を配置した画像処理システムにおいて、上位装置は主局として従局の前記画像処理装置と通信をすべく制御する主局インタフェース制御部を備え、画像処理装置は主局として従局の画像形成装置と通信すべく制御する主局インタフェース制御部および従局として主局の上位装置と通信すべく制御する従局インタフェース制御部とを備え、画像形成装置は従局として主局の画像処理装置と通信すべく制御する従局インタフェース制御部を備えることを特徴とする。
〈構成9〉
画像処理装置は、ネットワークを介して通信制御すべく、ネットワーク制御部を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像処理装置によれば、上位装置と通信すべく制御する従局インタフェース制御部と画像形成装置と通信すべく制御する主局インタフェース制御部とを設け、画像入力部からの画像データを従局インタフェース制御部の制御に基づいて上位装置へ転送する第1のデータ転送手段と、画像入力部からの画像データを主局インタフェース制御部の制御に基づいて画像形成装置へ転送する第2のデータ転送手段と、上位装置からの画像データを受信し、受信した画像データを画像形成装置へ送信する第3のデータ転送手段とを設けることにより、上位装置からの画像データを一旦保持し、該保持した雅号データを第3のデータ転送部から画像形成装置へ転送することができ、上位装置からの指示に基づいて原稿を走査して、取得した画像データを第1のデータ転送部から上位装置へ転送することができ、また、オペレータの指示に従い原稿を走査して、取得した画像データを第2のデータ転送部から画像形成装置へ転送することができることから、上位装置からのデータを画像形成装置で印刷処理することができ、かつ原稿を走査して取得した画像データを上位装置へ転送することができる。更に上位装置の介在なしに、画像形成装置と画像処理装置を使用してコピー機能を実現することができ、利便性が向上した画像処理装置を利用者に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態について、図を用いて詳細に説明する。以下の説明では、各実施の形態に用いる図面について同一の構成要素は同一の符号を付し、かつ重複する説明は可能な限り省略する。
【実施例1】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明する。
本発明のスキャナ装置10は、PC30の従局としての通信機能とプリンタ装置20の主局としての通信機能の両方を備えている。すなわち、従局としての通信機能とは、PC30のHost制御部とスキャナ装置10のDevice制御部(従局インタフェース制御部)間での通信機能であり、主局としての通信機能とは、スキャナ装置10のHost制御部(主局インタフェース制御部)とプリンタ装置20のDevice制御部間での通信機能である。
【0012】
本発明のスキャナ装置10を用いた実施例1の画像処理システムは、図1に示されるように、従局としてのスキャナ装置10は、USBケーブル41で主局のPC30に接続されている。また、主局としてのスキャナ装置10は、USBケーブル42で従局のプリンタ装置20に接続され、PC30からの印刷データなどを従局のプリンタ装置20へ転送することができる。
【0013】
スキャナ装置10は、図2に示されるように、原稿を読取り画像データを生成するための画像読取り部(画像入力部)111と、読取った画像データに対して画像処理を行うための画処理部112と、主局のPC30に対して従局としてUSBプロトコルに則って通信するべく制御し、従局のプリンタ装置20に対しては主局としてUSBプロトコルに則って通信するべく制御するUSB制御部113と、スキャナ装置10の動作の設定を行うための複数の押下キーなどが設けられているオペレーションパネル114と、画像の読取り処理と画処理後のデータを圧縮するための圧縮部115と、スキャナ装置10とプリンタ装置20を組み合わせてコピー機能を実現するように制御を行うコピー制御部116と、PC30からスキャナ装置10をコントロールするように制御を行うPCスキャナ制御部117と、PC30からの印刷データをスキャナ装置10で一旦受信し、プリンタ装置20へ受信したデータを転送し、プリンタ装置20で印刷を実行させるPCプリントのための制御を行うPCプリント制御部118と、画像の読取りや画処理や圧縮の際に画データを記憶する画メモリ119およびスキャナ装置10の全体を統括し制御するCPU120とから構成される。
【0014】
プリンタ装置20は、図3に示されるように、ページ記述言語をラスタデータへ展開するためのPDL展開部201と、主局のスキャナ装置10に対して従局としてUSBプロトコルに則ってデータ伝送を行うべく制御するDevice制御部202(従局インタフェース制御部)と、印刷データを記憶する画メモリ203と、印刷処理のため印刷エンジンを制御する印刷部204と、圧縮されて送られてくる印刷データを伸長するための伸長部205およびプリンタ装置全体を統括し制御するCPU206とから構成される。
【0015】
PC30は、図7に示されるように、従局のスキャナ装置10に対して主局としてUSBプロトコルに則った通信するべく制御するHost制御部301(主局インタフェース制御部)と、スキャナ装置10から受信した画像データに対してスキャナ言語展開および伸長処理を行うスキャナドライバ302およびアプリケーションプログラム303で構成される。
【0016】
スキャナ装置10のUSB制御部113は、図4に示されるように、主局のPC30に対して従局としてUSBプロトコルに則った通信するべく制御するDevice制御部1131(従局インタフェース制御部)と従局のプリンタ装置20に対して主局としてUSBプロトコルに則った通信するべく制御するHost制御部1132(主局インタフェース制御部)から構成されている。
【0017】
Device制御部1131は、主局のPC30からのデータを受信するためのRxBuff11311と、PC30へデータを送信するためのTxBuff11312(第1のデータ転送部)から構成される。Host制御部1132は、従局のプリンタ装置20へデータを送信するためのTxBuff11321(第2のデータ転送部)とプリンタ装置20からのデータを受信するためのRxBuff11322から構成される。RxBuff11311に記憶されている受信したデータをTxBuff11321へCPU120からの指令に基づいて転送するか、あるいはオペレーションパネル114のキーなどの指示に基づいて転送を行っている(第3のデータ転送部)。また、RxBuff11322に記憶されている受信したデータをTxBuff11312へCPU120からの指令に基づいて転送するか、あるいはオペレーションパネル114からの指示に基づいて転送を行っている。
【0018】
次に、実施例1の画像処理システムの動作について説明する。
まず、プリンタ装置20とスキャナ装置10のコンフィグレーションの確立について
説明する。
スキャナ装置10へプリンタ装置20が接続されると、プリンタ装置20のDevic
e制御部202は、接続のためにUSBケーブルをアタッチと呼ばれる状態にする。
この状態は、USBケーブルの信号線のD+またはD−のいずれかを3.3Vにするこ
とである。
【0019】
プリンタ装置20のアタッチを検出したスキャナ装置10のHost制御部1132は、100msの時間の後、プリンタ装置20のDevice制御部202へリセット状態を送出する。該リセット状態は、USBケーブルの信号線のD+およびD−の両方ともLowレベルに設定することで行われる。該リセット状態を検出したプリンタ装置のDevice制御部202は、装置内部をリセットした後、デフォルト状態とする。該デフォルト状態では、パイプ0を使用したコントロール転送が可能となる。
【0020】
ここで、転送データについて、図5を用いて説明する。
信号線を流れる転送データは、「フレーム」と呼ばれる単位で伝送されている。このフレームは、1msec周期で繰り返し転送されていて、全てのデータがこのフレームの中で伝送されている。このフレームの構造は、「SOF(Start of Frame)」と呼ばれるパケットで始まる複数の「トランザクション」から構成されている。
【0021】
パケットは、該USBプロトコルに則ったデータ伝送の最小の単位であり、幾つかの種類がある。即ち、SOFパケットやトークンパケットやデータパケットやハンドシェークパケットなどがあります。「トランザクション」とは、幾つかのパケットで構成され、意味を有するデータ転送の単位であり、SETUP、OUT、INの3種類がある。
【0022】
データ転送には、デフォルト状態において使用されるコントロール転送と、大量のデータを誤り再送せずに伝送するためのバルク転送と、誤り再送ありのアイソクロナス転送などがある。
【0023】
次に、コントロール転送について、図6を用いて説明する。
コントロール転送は、セットアップステージ、データステージ、ステータスステージからなり、以下の示す手順により伝送経路を確立する。
セットアップステージでは、初めにスキャナ装置10のHost制御部1132からセットアップ用のトークンパケットおよびデータパケットが送信され、その後プリンタ装置20のDevice制御部202からハンドシェーク用パケットが返信される。
【0024】
データステージでは、スキャナ装置10のHost制御部1132からプリンタ装置20のDevice制御部202へのデータ転送(ライト)の場合と、プリンタ装置20のDevice制御部202からスキャナ装置10のHost制御部1132へのデータ転送(リード)の場合とある。
ライトの場合には、スキャナ装置10のHost制御部1132からOUTトークンパケットがプリンタ装置20へ送信され、データ転送の方向は、スキャナ装置10からプリンタ装置20へと決定される。その後、スキャナ装置10からデータパケットがプリンタ装置20へ送信される。データを転送した後、ハンドシェークパケットがプリンタ装置20からスキャナ装置10へ送信される。
【0025】
リードの場合には、スキャナ装置10のHost制御部1132からINトークンパケットがプリンタ装置20へ送信される。該INトークンパケットを受信したプリンタ装置20のDevice制御部202はデータを送信することが可能ならば、データパケットを送信し、不可能ならば、ハンドシェークパケットをスキャナ装置10のHost制御部1132へ送信する。プリンタ装置20のDevice制御部202からデータパケットが送信された場合には、スキャナ装置10のHost制御部1132は、正しく受信できれば、ハンドシェークパケット(ACKパケット)をプリンタ装置20のDevice制御部202へ送信する。
【0026】
ステータスステージでは、データステージと逆向きにデータパケットの通信が行われて、データステージでのデータ転送が誤りなく行われたことを確認する。
【0027】
プリンタ装置20のDevice制御部202は、プリンタ装置の属性を記述した情報(以後、デバイスディスクリプタと記述する)を有しており、該デバイスディスクリプタをスキャナ装置10のHost制御部1132が読み出すことにより、プリンタ装置20の種類を理解し、プリンタ装置20に適応した制御を行う。
【0028】
プリンタ装置20は、該デバイスディスクリプタを使用して装置自身の属性をスキャナ装置10へ通知する。即ち、スキャナ装置10から送信されたデバイスリクエストを受信する毎にプリンタ装置20のDevice制御部202で保持しているデバイスディスクリプタをスキャナ装置10のHost制御部1132へ送信する。スキャナ装置10のHost制御部1132が、プリンタ装置20のアドレスを割り振り、プリンタ装置20のデバイス構成を認識した時点で、該プリンタ装置20を使用することが可能となる。
【0029】
次に、PC30とスキャナ装置10のコンフィギュレーションの確立について説明する。
PC30へスキャナ装置10が接続されると、スキャナ装置10のDevice制御
部1131は、接続のためにUSBケーブルをアタッチと呼ばれる状態にする。この状
態は、USBケーブルの信号線のD+またはD−のいずれかを3.3Vにすることで実現
する。
【0030】
スキャナ装置10のアタッチを検出したPC30のHost制御部301は、100msの時間の後、スキャナ装置10のDevice制御部1131へリセット状態を送出する。該リセット状態を検出したスキャナ装置のDevice制御部1131は、スキャナ装置を内部リセットした後、デフォルト状態とする。
【0031】
デフォルト状態でのコントロール転送は、セットアップステージ、データステージ、ステータスステージからなり、前述した手順により伝送経路が確立される。
【0032】
スキャナ装置10のDevice制御部1131は、スキャナ装置10の属性を記述したデバイスディスクリプタを有しており、該デバイスディスクリプタをPC30のHost制御部301が読み出すことにより、スキャナ装置10の種類を理解し、スキャナ装置10に適応した制御を行う。
【0033】
スキャナ装置10は、該デバイスディスクリプタを使用してスキャナ装置自身の属性をPC30へ通知する。即ち、PC30から送信されたデバイスリクエストを受信する毎にスキャナ装置10のDevice制御部1131で保持しているデバイスディスクリプタをPC30のHost制御部301へ送信する。PC30のHost制御部301が、スキャナ装置10のアドレスを割り振り、スキャナ装置10のデバイス構成を認識した時点で、該スキャナ装置10を使用することが可能となる。
【0034】
以上の説明のように、スキャナ装置10にHost制御部1132とDevice制御部1131を設け、主局のPC30に対して従局としてUSBプロトコルに則った通信するべく制御しおよび従局のプリンタ装置20に対して主局としてUSBプロトコルに則った通信するべく制御することにより、PC30とスキャナ装置10とのデータ伝送およびスキャナ装置10とプリンタ装置20とのデータ伝送が確立される。
【0035】
次に、PCプリント、PCスキャン、コピー機能におけるデータの流れを説明する。
まず、PCプリントのデータの流れについて、図7と図10を用いて説明する。
PC30は、PCプリントの実施を要求するためにスキャナ装置10のDevice制御部1131へPCプリントの起動コマンドをUSBパケットとして送信する(A2)。Device制御部1131は、USBパケットを受信するとコマンドを解析し、PCプリント用のコマンドと判定するとPCプリント制御部118へその旨を通知する。
【0036】
PCプリント制御部118は、PCプリントの起動コマンドを認識するとDevice制御部1131のRxBuff11311で受信し保持していた印刷データをHost制御部1132のTxBuff11321へ転送するべく制御し(B3)、該転送された全データをHost制御部1132のTxBuff11321からプリンタ装置20のDevice制御部202へ送信するように制御する(B4)。プリンタ装置20では、Device制御部202が印刷データを受信し、受信された印刷データはPDL展開部201によりページ記述言語をラスタデータへ展開された後、印刷部304へ送信される。
【0037】
2番目に、PCスキャンのデータの流れについて、図8と図11を用いて説明する。
PC30は、PCスキャンの実施を要求するためにスキャナ装置10のDevice制御部1131へPCスキャンの起動コマンドをUSBパケットとして送信する(B2)。Device制御部1131は、USBパケットを受信するとコマンドを解析し、PCスキャンの起動コマンドと判定するとPCスキャナ制御部117へその旨を通知する。PCスキャナ制御部117は、PCスキャンの起動コマンドを認識すると画像読取り部111を起動し、原稿を読取り(B3)、画処理部112および圧縮部115においてPC30から指定された画処理や圧縮及びスキャナ言語変換を実施するように制御し(B4)、PCスキャナ制御部117は、Device制御部1131のTxBuff11312からPC30へ画処理や圧縮済みの読取りデータを送信するように制御する(B5)。PC30では、Host制御部301が読取りデータを受信し、受信された読取りデータはスキャナドライバ302によりスキャナ言語展開および伸長処理を施された後、アプリケーションプログラム303へ送信される。
【0038】
3番目に、コピー機能のデータの流れついて、図9と図12を用いて説明する。
オペレーションパネル114においてコピー機能が選択される(C2)と、選択信号を受けたコピー制御部116は、画像読取り部111を起動し原稿を読取る(C3)。読取った画像データに対して、画処理部112及び圧縮部115はオペレーションパネル114で指定された画処理や圧縮を施す(C4)。コピー制御部116は、Host制御部1132のTxBuff11321からプリンタ装置20へ該画処理や圧縮の施された画像データを送信するように制御する(C5)。プリンタ装置20では、送信されてきた画像データをDevice制御部202が受信し、Device制御部202は受信した画像データを伸長部205へ転送する。伸長部205は、受信した画像データを伸長した後、印刷部204へ転送する。印刷部204は、画像データに基づいて用紙上にコピー画像を形成する。
【0039】
実施例1のスキャナ装置10によれば、主局であるPC30に対して従局としてUSBプロトコルに則った通信するべく制御するDevice制御部1131と、従局であるプリンタ装置20に対して主局としてUSBプロトコルに則った通信するべく制御するHost制御部1132とを設け、Device制御部1131で受信したPC30からのデータをプリンタ装置20へ送信可能なHost制御部1132へ転送するように構成し、また画像読取り部111で取得した画像データをプリンタ装置20へ送信可能なHost制御部1132へ転送するように構成し、さらに画像読取り部111で取得した画像データをPC30へ送信可能なDevice制御部のTxBuff11312へ転送するように構成することにより、PC30とスキャナ装置10をUSBケーブルで接続し、スキャナ装置10とプリンタ装置20をUSBケーブルで接続するだけで、PCプリント機能と、コピー機能およびPCスキャン機能を実現できる。
【0040】
また、主局としてスキャナ装置10は、PC30の介在なしに、従局であるプリンタ装置20とUSBプロトコルに則ったデータ伝送が可能である。従って、使用者はコピー機能を利用したい場合、PC30を起動せずにスキャナ装置10とプリンタ装置20を使用することにより、コピー機能を実現することができる。従って、PC30を起動する手間から使用者を開放することができる。
【実施例2】
【0041】
本発明のスキャナ装置11は、PC30の従局としての通信機能とプリンタ装置20の主局としての通信機能の両方を備えているとともに、ネットワーク上の第2のパーソナルコンピュータ70との通信機能を備えている。
本発明のスキャナ装置11を用いた実施例2の画像処理システムは、図13に示されるように、従局のスキャナ装置11は、USBケーブル41で主局のPC30に接続されている。また、主局としてのスキャナ装置11は、USBケーブル42で従局のプリンタ装置20に接続され、PC30からの印刷データなどを従局のプリンタ装置20へ転送している。さらに、スキャナ装置11は、ネットワーク60を経由してPC70に接続されている。
【0042】
スキャナ装置11は、図14に示されるように、原稿を走査し画像データを生成するための画像読取り部111と、読取った画像データに対して画像処理を行うための画処理部112と、主局のPC30に対して従局としてUSBプロトコルに則って通信するべく制御し、従局のプリンタ装置20に対して主局としてUSBプロトコルに則って通信するべく制御するUSB制御部113と、スキャナ装置11の動作の設定を行うための複数の押下キーなどが設けられているオペレーションパネル114と、読取り処理と画処理後のデータを圧縮するための圧縮部115と、スキャナ装置11とプリンタ装置20を組み合わせてコピー機能を実現するように制御を行うコピー制御部116と、PC30からスキャナ装置11をコントロールするように制御を行うPCスキャナ制御部117と、PC30からの印刷データをスキャナ装置11で一旦受信し、受信したデータをプリンタ装置20へ転送しプリンタ装置20で印刷を実行させるPCプリントのための制御を行うPCプリント制御部118と、画像データの読取りや画処理や圧縮の際に画像データを記憶するが画メモリ119と、読取った画像データをE―mailに添付して、ネットワーク上のPC70へ送信するための制御を行うE―mail制御部121(電子メール制御部)と、ネットワーク制御を行うためのネットワーク制御部122と、スキャナ装置11において多機能が同時に動作しないように資源管理を行うリソース管理部123およびスキャナ装置11の全体を統括し制御するCPU120とから構成される。
【0043】
ネットワーク制御部122は、ネットワーク60とスキャナ装置11の間でデータを送受信するためのデータ転送部1221を有している。データ転送部1221は、ネットワーク60からのデータを受信するためのRxBuff12211とネットワーク60へデータを送信するためのTxBuff12212から構成される。ネットワーク制御部122において、RxBuff12211で受信したデータをHost制御部1132のTxBuff11321へCPU転送あるいはハードウエア転送を行っている(通信網画像形成転送部)。また、RxBuff11322で受信したデータをネットワーク制御部122のデータ転送部のTxBuff12212へCPU転送あるいはハードウエア転送を行っている。(図15を参照。)
【0044】
実施例2のスキャナ装置11の動作について、図14〜図16を用いて説明する。
まず、ネットワーク60上のPC70からプリンタ装置20を使用して印刷処理を行う場合、PC70のデータは、プリンタドライバで画処理、圧縮、プリンタ言語変換の処理が施された後ネットワークプロトコルに則ってスキャナ装置11へ送信される。
スキャナ装置11は、印刷データの受信処理を開始する(B1)。ネットワーク60上のPC70から送信された印刷データは、ネットワーク制御部122のデータ転送部のRxBuff12211に格納される(B2)。データ転送部のRxBuff12211に格納されているデータは、Host制御部1132のTxBuff11321へCPU転送あるいはハードウエア転送される(B3)。Host制御部1132のTxBuff11321へに格納されている印刷データをUSBのHost機能でプリンタ装置20へ送信する(B4)。プリンタ装置20は、受信した印刷データに基づいて印刷処理を行う。
【0045】
次に、読取り画像の電子メール送信について説明する。
スキャナ装置11の画像読取り部111で取得された画像データは、画処理部112で画像処理を施された後画メモリ119へ蓄積される。E―mail制御部121は、画メモリ119に蓄積された画像データを添付データとして電子メールを作成し、作成した電子メールをネットワーク制御部122から、ネットワーク60上のメールサーバ(図示せず)へ送信する。そして、メールサーバから相手先へ画像データが添付された電子メールが送信される。
【0046】
実施例2のスキャナ装置11によれば、新規にE―mail制御部121およびネットワーク制御部122を設け、E―mail制御部121は、画像読取り部111で取得した画像データを添付した電子メールを作成し、作成した電子メールをネットワーク制御部122のデータ転送部のTxBuff12212へ転送する仕組みと、ネットワーク制御部122のデータ転送部のRxBuff12211で受信したネットワークデータをUSB制御部113のHost制御部のTxBuff11321へCPU転送あるいはハードウエア転送する仕組みを設けることにより、画像データの添付された電子メールをネットワーク60上のメールサーバへ送信することができ、また、ネットワーク機能のないプリンタ装置20を使用してPC70からのデータに基づいた印刷処理をするPCプリント機能を実現することができる。
【実施例3】
【0047】
本発明のスキャナ装置12は、PC30の従局としての通信機能とプリンタ装置20の主局としての通信機能の両方を備えているとともに、ネットワーク上の第2のパーソナルコンピュータ70との通信機能を備えている。
本発明のスキャナ装置12を用いた実施例3の画像処理システムは、図13に示されるように、従局のスキャナ装置12は、USBケーブル41で主局のPC30に接続されている。また、主局としてのスキャナ装置12は、USBケーブル42で従局のプリンタ装置20に接続され、PC30からの印刷データなどを従局のプリンタ装置20へ転送している。さらに、スキャナ装置12は、ネットワーク60を経由してPC70に接続されている。
【0048】
スキャナ装置12は、図17に示されるように、原稿を読取るための画像読取り部111と、取得した画像データに対して画像処理を行うための画処理部112と、主局のPC30に対して従局としてUSBプロトコルに則った通信するべく制御し、従局のプリンタ装置20に対しては主局としてUSBプロトコルに則った通信するべく制御するUSB制御部113と、スキャナ装置12の動作の設定を行うためのオペレーションパネル114と、読取り処理と画処理後のデータを圧縮するための圧縮部115と、スキャナ装置12とプリンタ装置20を組み合わせてコピー機能を実現するように制御を行うコピー制御部116と、PC30からスキャナ装置12を制御するPCスキャナ制御部117と、PC30からプリンタ装置20へ印刷を実行させるPCプリントのための制御を行うPCプリント制御部118と、原稿から画像データの読取りや画処理や圧縮の際に画像データを記憶する画メモリ119と、読取った画像をE―mailに添付して、ネットワーク上のPC70へ送信するための制御を行うE―mail制御部121と、ネットワーク制御を行うためのネットワーク制御部122Aと、スキャナ装置10において多機能が同時に動作しないように資源管理を行うリソース管理部123およびスキャナ装置12の全体を統括し制御するCPU120とから構成される。
【0049】
ネットワーク制御部122Aは、ネットワーク60とスキャナ装置12の間でデータを送受信するためのデータ転送部1221とデータ解析部1222とプリンタコントロール言語変換部1223を有している。データ転送部1221は、ネットワーク60からのデータを受信するためのRxBuff12211とネットワーク60へデータを送信するためのTxBuff12212から構成される。ネットワーク制御部122において、RxBuff12211で受信したデータをHost制御部1132のTxBuff11321へCPU転送あるいはハードウエア転送を行っている。また、RxBuff11322で受信したデータをネットワーク制御部122のデータ転送部のTxBuff12212へCPU転送あるいはハードウエア転送を行っている。(図15を参照。)
【0050】
データ解析部1222は、データ転送部1221に格納されている受信データを解析し、受信データが印刷データであるかまたはプリンタ情報取得コマンドかを判定する。プリンタコントロール言語変換部1223は、受信データが印刷データ以外のネットワークプロトコルに準じたデータである場合に、ネットワーク機能のないプリンタ装置20で理解できる言語へ変換する。
【0051】
実施例3のスキャナ装置12は、実施例2のスキャナ装置11と下記の点が異なる。即ち、ネットワーク制御部122Aにデータ解析部1222とプリンタコントロール言語変換部1223を追加した点である。
【0052】
実施例3の画像処理システムの動作について、図18を用いて説明する。
ネットワーク60上のPC70にてプリンタ管理ツールを起動させると、PC70がプリンタ情報を獲得するためにプリンタ情報取得コマンドをSimple Network Management Protocol(以後、SNMPと記述する)を用いてネットワーク60を経由してスキャナ装置12へ送信する。
スキャナ装置12は、データの受信処理を開始する(C1)。PC70から受信したデータは、ネットワーク制御部122Aのデータ転送部1221に格納される(C2)。データ解析部1222は、受信し格納されているデータが印刷データかまたはプリンタ情報取得コマンドかの判定を行う(C3)。
【0053】
受信したデータがプリンタ情報取得コマンドである場合は、プリンタコントロール言語変換部1223にて、プリンタ装置20で解釈できるプリンタ制御言語に変換する(C4)。
プリンタ装置20で解釈できるプリンタ制御言語に変換したデータをUSB制御部113のHost制御部のTxBuff11321へCPU転送あるいはハードウエア転送を行う(C5)。Host制御部1132のTxBuff11321に格納されているデータをプリンタ装置20へ送信する(C6)。次に、スキャナ装置12は、プリンタ装置20からの応答を受信したら(C7)、プリンタコントロール言語変換部1223で応答をSNMPに変換し(C8)、ネットワーク制御部122AからPC70へ応答を送信する(C9)。
【0054】
受信したデータが印刷データである場合は、ネットワーク制御部122Aのデータ転送部のRxBuff12211で受信したデータをHost制御部1132のTxBuff11321へCPU転送あるいはハードウエア転送を行う(C10)。TxBuff11321に格納されているPC70からの印刷データをUSBのHost機能でプリンタ装置20へ送信する(C11)。印刷データを受信したプリンタ装置20は、受信したデータに基づいて印刷処理を行う(C12)。
【0055】
実施例3のスキャナ装置12によれば、ネットワーク制御部122Aに受信データを解析するデータ解析部1222と、および受信したデータが印刷データでなくネットワークプロトコルに準じている場合に、ネットワーク機能のないプリンタ装置20が理解できる言語に変換するプリンタコントロール言語変換部1223を設けたので、ネットワーク60上のPC70にインストールされているネットワーク管理ユーティリティを利用することができる。
【実施例4】
【0056】
本発明のスキャナ装置13は、PC30の従局としての通信機能とプリンタ装置21の主局としての通信機能の両方を備えているとともに、ネットワーク上の第2のパーソナルコンピュータ70との通信機能を備えている。
本発明のスキャナ装置13を用いた実施例4の画像処理システムは、図19に示されるように、従局のスキャナ装置13は、USBケーブル41で主局のPC30に接続されている。また、主局としてのスキャナ装置13は、USBケーブル42で従局のプリンタ装置21に接続され、PC30からの印刷データなどを従局のプリンタ装置21へ転送している。さらに、スキャナ装置13は、ネットワーク60を経由してPC70に接続され、プリンタ装置21もネットワーク60を経由してPC70に接続されている。
【0057】
スキャナ装置13は、原稿を走査し画像データを生成するための画像読取り部111と、画像処理を行うための画処理部112と、主局のPC30に対して従局としてUSBプロトコルに則って通信するべく制御し、従局のプリンタ装置21に対しては主局としてUSBプロトコルに則って通信するべく制御するUSB制御部113と、スキャナ装置13の動作の設定を行うためのオペレーションパネル114と、読取り処理と画処理後のデータを圧縮するための圧縮部115と、コピー機能を実現するように制御を行うコピー制御部116と、PC30からスキャナ装置13をコントロールするように制御を行うPCスキャナ制御部117と、PC30からプリンタ装置21へ印刷を実行させるPCプリントのための制御を行うPCプリント制御部118と、画データを記憶する画メモリ119と、E―mailをネットワーク上のPC70へ送信するための制御を行うE―mail制御部121と、ネットワーク制御を行うためのネットワーク制御部122Aと、スキャナ装置13において多機能が同時に動作しないように資源管理を行うリソース管理部123と、プリンタ装置21のネットワーク機能の有無を検出し、プリンタ装置21にネットワーク機能が有る場合にスキャナ装置13の印刷に関するネットワーク機能を停止するプリンタ関連ネットワーク機能管理部124およびスキャナ装置13の全体を統括し制御するCPU120とから構成される。
【0058】
プリンタ関連ネットワーク機能管理部124は、スキャナ装置13の印刷関連のネットワーク機能を停止するための転送停止部1241と、プリンタ装置21のネットワーク機能の有無を検出するネットワーク機能検出部1242と、スキャナ装置13の初期化時にプリンタ装置21のネットワーク機能の有無情報を記録するためのネットワーク禁止フラグ1243から構成される。
【0059】
プリンタ装置21は、ページ記述言語をラスタデータへ展開するためのPDL展開部201と、スキャナ装置13とプリンタ装置21との間においてUSBでデータの送受信を行うように制御するDevice制御部202と、印刷データを記憶する画メモリ203と、印刷処理のため印刷エンジンを制御する印刷部204と、圧縮されて送られてくる印刷データを伸長するための伸長部205と、ネットワーク制御を行うネットワーク制御部207および装置全体を統括し制御するCPU206から構成される。プリンタ装置21には、ネットワーク制御を行うネットワーク制御部207が設けられたことが特徴であり、ネットワーク機能を有する。
【0060】
実施例4のスキャナ装置13は、プリンタ装置21のネットワーク機能の有無を検出し、プリンタ装置21にネットワーク機能が有る場合には、スキャナ装置13の印刷に関するネットワーク機能を停止するプリンタ関連ネットワーク機能管理部124が設けられたことを特徴とする。
【0061】
実施例4のスキャナ装置13の動作について、図22を用いて説明する。
スキャナ装置13の初期化時(D1)に、プリンタ装置21の状況の確認を行う(D2)。プリンタ関連ネットワーク機能管理部124のネットワーク機能検出部1242はプリンタ装置21のネットワーク機能の有無を判定する(D3)。プリンタ装置21にネットワーク機能が無い場合には、通常の初期化処理を行う(D5)。プリンタ装置21にネットワーク機能が有る場合には、ネットワーク禁止フラグ1243をONにする(D4)。
次に、スキャナ装置13のTCP/IPの接続処理について説明する。
ネットワーク60からTCP/IPの接続要求を受ける(E2)と、ネットワーク禁止フラグ1243をチェックし、ネットワーク禁止フラグがOFFの時は、TCP/IPの接続を実施し、実施例2および実施例3で説明した機能を実現する(E5)。ネットワーク禁止フラグがONの時は、TCP/IPの接続を禁止し、実施例2および実施例3で説明した機能の中でスキャナ装置13のネットワーク制御部122を介した印刷およびプリンタ管理機能が動作しないようにする。
【0062】
実施例4のスキャナ装置13によれば、プリンタ装置21のネットワーク機能の有無を検出し、ネットワーク機能が有る場合にはスキャナ装置13の印刷に関するネットワークを停止するプリンタ関連ネットワーク機能管理部124を設けたことにより、スキャナ装置13へネットワーク機能を有するプリンタ装置21が接続されたときに、スキャナ装置13のネットワーク制御部122を介した印刷およびプリンタ装置を管理する機能を停止することができるので、スキャナ装置13のネットワーク機能とプリンタ装置21のネットワーク機能が衝突することを回避できる。
【実施例5】
【0063】
本発明のスキャナ装置14は、PC30の従局としての通信機能とプリンタ装置21の主局としての通信機能の両方を備えているとともに、ネットワーク上の第2のパーソナルコンピュータ70との通信機能を備えている。
本発明のスキャナ装置14を用いた実施例5の画像処理システムは、図19に示されるように、従局のスキャナ装置14は、USBケーブル41で主局のPC30に接続されている。また、主局としてのスキャナ装置14は、USBケーブル42で従局のプリンタ装置21に接続され、PC30からの印刷データなどを従局のプリンタ装置21へ転送している。さらに、スキャナ装置14は、ネットワーク60を経由してPC70に接続され、プリンタ装置21もネットワーク60を経由してPC70に接続されている。
【0064】
スキャナ装置14は、図23に示されるように、原稿を読取るための画像読取り部111と、読取った画像に対して画像処理を行うための画処理部112と、主局のPC30に対して従局としてUSBプロトコルに則って通信するべく制御し、従局のプリンタ装置21に対しては主局としてUSBプロトコルに則って通信するべく制御するUSB制御部113と、スキャナ装置14の動作の設定を行うためのオペレーションパネル(操作部)114と、読取り処理と画処理後のデータを圧縮するための圧縮部115と、スキャナ装置14とプリンタ装置21を組み合わせてコピー機能を実現するように制御を行うコピー制御部116と、PC30からスキャナ装置14をコントロールするように制御するPCスキャナ制御部117と、PC30からのデータをプリンタ装置21で印刷を実行させるPCプリントのための制御を行うPCプリント制御部118と、読取りや画処理や圧縮の際に画データを記憶する画メモリ119と、読取った画像をE―mailに添付して、ネットワーク上のPC70へ送信するための制御を行うE―mail制御部121と、ネットワーク制御を行うためのネットワーク制御部122Aと、スキャナ装置14において多機能が同時に動作しないように資源管理を行うリソース管理部123と、プリンタ装置21のネットワーク機能の有無を検出し、ネットワーク機能が有る場合にスキャナ装置14の印刷に関するネットワーク機能を停止するプリンタ関連ネットワーク機能管理部124と、スキャナ装置14に関連した情報をレポートとしてプリンタ装置21にて印刷するように制御するレポート印刷制御部125およびスキャナ装置14の全体を統括し制御するCPU120とから構成される。
【0065】
レポート印刷制御部125は、E−mailアドレス情報やスキャナ装置14のネットワーク設定などのスキャナ装置14に関連した情報をレポートとしてプリンタ装置21で印刷させるために、スキャナ装置14の情報を集めてレポートのフォーマットに編集するスキャナ情報関連レポート編集手段1251と、プリンタ装置21が装備しているコマンドを受けるとプリンタ装置の消耗品情報や印刷カウンタなどのプリンタ関連情報を印刷する仕組みを用いて、プリンタ装置情報を印刷する機能を有するプリンタ関連情報印刷コマンド送信手段1252と、およびスキャナ装置14のオペレーションパネルのレポート印刷メニューで選択されたレポート種別から印刷するレポートがスキャナ装置関連情報に関するレポートかまたはプリンタ装置関連情報に関するレポートかを判定するレポート種別決定手段1253から構成される。
【0066】
スキャナ装置14のオペレーションパネル114において、図25に示されるようなレポート印刷一覧から印刷するレポートが選択されると(F1)、レポート種別決定手段1253において、スキャナ装置14関連のレポートかどうかの判定を行う(F2)。スキャナ装置14関連のレポートと判定された場合は、スキャナ情報関連レポート編集手段1251が、印刷用のレポートを編集し(F7)、編集されたレポートをプリンタ言語に変換する(F8)。プリンタ言語に変換されたレポート用データは、スキャナ装置14のHost制御部1132のTxBuff11321へCPU転送あるいはハードウエア転送される(F9)。次に、スキャナ装置14のHost制御部1132のTxBuff11321に格納されているデータをプリンタ装置21へ送信する(F10)。プリンタ装置21は、受信したデータに基づいてスキャン装置関連のレポートを印刷する(F11)。
【0067】
レポート種別決定手段1253が、プリンタ装置21関連のレポートと判定した場合は、プリンタ関連情報印刷コマンド送信手段1252が、スキャナ装置14のオペレーションパネル114にて指定されたレポートを印刷するためのコマンドを作成し(F3)、該コマンドをスキャナ装置14のHost制御部1132のTxBuff11321へCPU転送あるいはハードウエア転送する(F4)。次に、スキャナ装置14のHost制御部1132のTxBuff11321に格納されているコマンドをプリンタ装置21へ送信する(F5)。プリンタ装置21は、受信したコマンドに基づいてプリント関連のレポートを印刷する(F6)。
【0068】
実施例5のスキャナ装置14によれば、スキャナ装置に関連する情報を集めてレポートを編集するスキャナ情報関連レポート編集手段1251と、プリンタ情報を印刷する機能を実現するためのプリンタ関連情報印刷コマンド送信手段1252と、スキャナ装置関連情報に関するレポートまたはプリンタ装置関連情報に関するレポートのどちらが選択されたかを判定するレポート種別決定手段1253とから構成されるレポート印刷制御部を設けることにより、スキャナ装置14関連のレポートおよびプリンタ装置21関連のレポートを印刷することができるので、スキャナ装置14及び該装置を用いた画像処理システムの運用管理が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施例1の画像処理システムの構成図である。
【図2】実施例1のスキャナ装置の構成図である。
【図3】実施例1のプリンタ装置の構成図である。
【図4】実施例1のスキャナ装置のUSB制御部の構成図である。
【図5】転送データの構成を示す図である。
【図6】コントロール転送のプロトコルを示す図である。
【図7】PCプリント時のデータの流れを示すフロー図である。
【図8】PCスキャン時のデータの流れを示すフロー図である。
【図9】コピー時のデータの流れを示すフロー図である。
【図10】PCプリント時スキャナ装置の動作を示すフロー図である。
【図11】PCスキャン時スキャナ装置の動作を示すフロー図である。
【図12】コピー時スキャナ装置の動作を示すフロー図である。
【図13】実施例2及び実施例3の画像処理システムの構成図である。
【図14】実施例2のスキャナ装置の構成図である。
【図15】実施例2のスキャナ装置の主要部の細部を示す構成図である。
【図16】実施例2のスキャナ装置の動作を示すフロー図である。
【図17】実施例3のスキャナ装置の構成図である。
【図18】実施例3のスキャナ装置の動作を示すフロー図である。
【図19】実施例4及び実施例5の画像処理システムの構成図である。
【図20】実施例4のプリンタ装置の構成図である。
【図21】実施例4のスキャナ装置の構成図である。
【図22】実施例4のスキャナ装置の動作を示すフロー図である。
【図23】実施例5のスキャナ措置の構成図である。
【図24】実施例5のスキャナ装置の動作を示すフロー図である。
【図25】スキャナ装置のオペレーションパネルに表示するレポート一覧の例
【図26】E―mailアドレス帳の例
【図27】ネットワーク設定一覧の例
【図28】E―mail通信ログレポートの例
【図29】ステータスページの例
【符号の説明】
【0070】
10、11,12、13、14 スキャナ装置
111 画像読取り部
112 画処理部
113 USB制御部
1131 Device制御部
11311、11322 RxBuff
11312、11321 TxBuff
1132 Host制御部
114 オペレーションパネル
115 圧縮部
116 コピー制御部
117 PCスキャナ制御部
118 PCプリント制御部
119 画メモリ
120 CPU
121 E―mail制御部
122、122A ネットワーク制御部
1221 データ転送部
1222 データ解析部
1223 プリンタコントロール言語変換部
123 リソース管理部
124 プリンタ関連ネットワーク管理部
1241 転送停止部
1242 プリンタネットワーク機能検出部
1243 ネットワーク機能禁止フラグ
125 レポート印刷制御部
1251 スキャナ情報関連レポート編集手段
1252 プリンタ関連情報印刷コマンド送信手段
1253 レポート種別決定手段
20、21 プリンタ装置
201 PDL展開部
202 Device制御部
203 画メモリ
204 印刷部
205 伸長部
206 CPU
207 ネットワーク制御部
30 上位装置であるパーソナルコンピュータ(PC)
41,42 USBケーブル
60 ネットワーク
70 ネットワーク上にあるパーソナルコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位装置および画像形成装置間に設けられた画像処理装置において、
少なくとも1つの従局に対して双方向データ転送を行うための主局インタフェース制御部を備えた上位装置を主局として、自己を従局とし通信すべく通信制御を行う従局インタフェース制御部と、
前記画像形成装置を従局として、自己を主局とし通信すべく通信制御を行う主局インタフェース制御部と、
画像データを入力する画像入力部と、
前記画像入力部から入力された画像データを前記従局インタフェース制御部の制御に基づいて前記上位装置へ転送する第1のデータ転送手段と、
前記画像入力部から入力された画像データを前記主局インタフェース制御部の制御に基づいて前記画像形成装置へ転送する第2のデータ転送手段と、
前記上位装置から転送されてくる画像データを前記従局インタフェース制御部の制御に基づいて受信し、該受信した画像データを前記主局インタフェース制御部の制御に基づいて前記画像形成装置へ送信する第3のデータ転送手段と、
を設けることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記主局インタフェース制御部および前記従局インタフェース制御部は、USBプロトコルに基づく通信制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
ネットワークを介して通信するためのネットワーク制御部と、
前記ネットワーク制御部により、前記ネットワークを介して取得したネットワークデータを前記主局インタフェース制御部の制御に基づいて前記画像形成装置へ転送するネットワークデータ転送部とを設けることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ネットワークデータを解析し、前記画像形成装置で認識可能な言語へ変換する言語変換部を設け、
前記ネットワークデータ転送部は、認識可能な言語へ変換されたデータを前記主局インタフェース制御部の制御に基づいて前記画像形成装置へ転送することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像形成装置がネットワークを介した通信機能を有するか否かを検出するネットワーク機能検出部と、
該ネットワーク機能検出部が画像形成装置に通信機能を検出すると、前記ネットワークデータ転送部の転送処理を停止する転送停止部と、
を設けることを特徴とする請求項3あるいは請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像入力部で入力された画像データを添付した電子メールを作成する電子メール制御部を設け、
前記ネットワーク制御部は、前記ネットワークを介して前記電子メール制御部で作成された電子メールを送信することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項7】
通信レポート、設定レポートおよび前記画像形成装置の管理レポートにおいて、少なくとも一つのレポートを選択する操作部と、
選択したレポートを作成すべく、レポートデータを編集し、該レポートデータを画像形成装置へ出力するレポート印刷制御部とを設けることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
上位装置および画像形成装置間に画像処理装置を配置した画像処理システムにおいて、
前記上位装置は主局として従局の前記画像処理装置と通信をすべく制御する主局インタフェース制御部を備え、
前記画像処理装置は主局として従局の前記画像形成装置と通信すべく制御する主局インタフェース制御部および従局として主局の前記上位装置と通信すべく制御する従局インタフェース制御部とを備え、
前記画像形成装置は従局として主局の前記画像処理装置と通信すべく制御する従局インタフェース制御部を備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項9】
前記画像処理装置は、ネットワークを介して通信制御すべく、ネットワーク制御部を備えることを特徴とする請求項8に記載の画像処理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate


【公開番号】特開2006−18734(P2006−18734A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197980(P2004−197980)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】