説明

画像処理装置および画像処理プログラム

【課題】適切な印刷倍率で拡大または縮小された対象画像の形成を指示できる画像処理装置および画像処理プログラムを提供すること。
【解決手段】MFP1によれば、ユーザにとっては、用紙に形成されることになる対象画像の文字の大きさを、略実物大で、当該対象画像の形成に先だち、プレビューエリア30にて視認でき、適切な印刷倍率を設定できる。例えば、プレビューエリア30における表示を見たユーザは、拡大キーエリア31または縮小キーエリア32を操作することにより、プレビューエリア30内の文字を所望の大きさに拡大または縮小して、適切な印刷倍率を設定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置および画像処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ユーザが設定した印刷倍率で、印刷データを拡大または縮小して印刷する技術が知られている。特許文献1には、画像形成装置において、操作パネル部に表示されたユーザインターフェイスの文字サイズを、変更キーの押下回数に応じて変更すること、および、ユーザインターフェイスの文字サイズが変更された場合には、そのときの変更キーの押下回数に応じて、画像を拡大して印刷出力することが記載されている。このようにすれば、ユーザが小さい文字を好まないと判断される場合、画像を拡大して印刷出力できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−34621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、印刷結果の視認性は、文字のサイズにのみ左右されるものではなく、例えば、フォントの種類、文字飾りの有無など、様々な要因の影響を受ける。よって、特許文献1に記載された技術のように、単に、操作パネル部に表示されたユーザインターフェイスの文字のサイズと、印刷データに含まれる文字のサイズとを対応させるだけでは、必ずしも適切な印刷倍率を設定できない場合があるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、適切な印刷倍率で拡大または縮小された対象画像の形成を指示できる画像処理装置および画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明の画像処理装置は、記録媒体に画像を形成する画像形成部に、画像の形成を指示するものであって、対象画像の構成要素を、前記対象画像の形成に先立って表示部に表示する表示手段と、前記表示手段により表示された構成要素と、記録媒体に形成される対象画像における当該構成要素とが、略同じ大きさとなるように、前記対象画像について印刷倍率を設定する倍率設定手段と、前記倍率設定手段により設定される前記印刷倍率で拡大または縮小された対象画像が前記画像形成部により形成されるように、前記画像形成部に画像の形成を指示する指示手段とを備える。
【0007】
上記の画像処理装置は、前記表示部に表示される前記対象画像の構成要素を、ユーザ操作に応じて拡大または縮小して表示するよう前記表示手段を制御する更新手段を備え、前記倍率設定手段は、前記更新手段により拡大または縮小して表示された構成要素と、記録媒体に形成される対象画像における当該構成要素とが、略同じ大きさとなるように、前記印刷倍率を設定しても良い。
【0008】
なお、本発明は、画像処理装置を制御する制御装置、画像処理方法、画像処理プログラム、当該画像処理プログラムを記録する記録媒体等の種々の態様で構成することができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の画像処理装置によれば、表示部に表示された対象画像の構成要素と、記録媒体に形成される対象画像における当該構成要素とが、略同じ大きさとなるように、対象画像について印刷倍率が設定され、その印刷倍率で拡大または縮小された対象画像が形成されるように指示される。よって、ユーザにとっては、記録媒体に形成されることになる対象画像における構成要素の大きさを、当該対象画像の形成に先だって視認できるので、適切な印刷倍率で拡大または縮小された対象画像の形成を指示できるという効果がある。
【0010】
請求項2記載の画像処理装置によれば、請求項1の奏する効果に加え、ユーザにとっては、表示部に表示された対象画像の構成要素を視認しながら、それを拡大または縮小表示させる操作を行うことで、適切な印刷倍率を設定できるので、適切な印刷倍率を容易に設定できるという効果がある。
【0011】
請求項3記載の画像処理装置によれば、請求項1または2の奏する効果に加え、倍率設定手段により設定された印刷倍率で拡大または縮小された対象画像が、サイズ設定手段により設定された記録媒体のサイズよりも大きくなると判断される場合、報知されるので、ユーザは、印刷倍率が適切であるか否かを判断できるという効果がある。
【0012】
請求項4記載の画像処理装置によれば、請求項3の奏する効果に加え、倍率設定手段により設定された印刷倍率で拡大または縮小された対象画像よりも大きい記録媒体のサイズが、対象画像が形成される記録媒体のサイズとして再設定されるので、印刷倍率に対応した適切な記録媒体のサイズを設定できるという効果がある。
【0013】
請求項5記載の画像処理装置によれば、請求項3または4の奏する効果に加え、確定された印刷倍率で拡大または縮小された対象画像のうち、表示部に表示される構成要素を含み、且つ、サイズ設定手段により設定されたサイズの記録媒体1枚分に形成可能な領域の画像を、形成させることができるという効果がある。
【0014】
請求項6記載の画像処理装置によれば、請求項3から5のいずれかの奏する効果に加え、確定された印刷倍率で拡大または縮小された対象画像を、複数枚の記録媒体に分割して形成させることができるという効果がある。
【0015】
請求項7記載の画像処理装置によれば、請求項1から6のいずれかの奏する効果に加え、対象画像に含まれる文字を含む領域が表示部に表示されるので、ユーザは、印刷倍率が適切であるか否かを容易に判断できるという効果がある。
【0016】
請求項8記載の画像処理装置によれば、請求項7の奏する効果に加え、対象画像のうち、表示部に表示される領域が、ユーザ操作に応じて変更されるので、ユーザは、印刷倍率が適切であるか否かの判断に好適な領域を、表示部に表示させることができるという効果がある。
【0017】
請求項9記載の画像処理プログラムによれば、画像処理装置において実行されることにより、請求項1記載の画像処理装置と同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態であるMFPの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】MFPが実行するコピー処理の概要を説明する図である。
【図3】MFPが実行するコピー処理を示すフローチャートである。
【図4】MFPが実行する設定変更処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の画像処理装置の一実施形態である多機能周辺装置(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)」と称す)1の電気的構成を示したブロック図である。
【0020】
MFP1は、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャン機能、プリンタ機能など複数種類の機能を有している。本実施形態のMFP1は、コピー処理を実行することにより用紙に形成されることになる対象画像の文字を、当該対象画像の形成に先立ち、略実物大で液晶ディスプレイ(LCD)17に表示することにより、適切な印刷倍率で拡大または縮小された対象画像の形成を、プリンタ21に指示できるように構成されている。
【0021】
なお、本実施形態において、「大きさ」または「サイズ」とは、物理的な長さで表される大きさを意味するものとする。したがって、ある画像の大きさ又はサイズについて言及する場合、それはピクセル数で表される画像のサイズではなく、当該画像の幅および高さの物理的な長さについて言及している。また、画像を構成するピクセル数について言及する場合には、その旨を明記することとする。
【0022】
MFP1には、CPU10、ROM11、RAM12、フラッシュメモリ14、操作キー15、LCDドライバ16、LCD17、タッチパネル18、スキャナ20、プリンタ21、NCU23、モデム24、ネットワークインターフェイス26(以下、ネットワークI/F26と記載)が主に設けられている。CPU10、ROM11、RAM12、フラッシュメモリ14は、バスライン27を介して互いに接続されている。また、操作キー15、LCDドライバ16、タッチパネル18、スキャナ20、プリンタ21、NCU23、モデム24、ネットワークI/F26、バスライン27は、入出力ポート28を介して互いに接続されている。
【0023】
CPU10は、ROM11やフラッシュメモリ14に記憶される固定値やプログラム、RAM12に記憶されているデータ、或いは、NCU23を介して送受信される各種信号に従って、MFP1が有している各機能の制御や、入出力ポート28と接続された各部を制御する。
【0024】
ROM11は、制御プログラム11aなどが設けられた書換不能なメモリである。CPU10は、制御プログラム11aに従い、後述するコピー処理を実行する。
【0025】
RAM12は、書換可能な揮発性のメモリであり、倍率設定メモリ12a、用紙サイズメモリ12b、プレビュー表示フラグ12c、ポスター印刷許可フラグ12d、プレスキャンデータメモリ12e、本スキャンデータメモリ12fが設けられている。倍率設定メモリ12aには、印刷倍率が設定され、用紙サイズメモリ12bには、用紙のサイズが設定される。
【0026】
プレビュー表示フラグ12cは、コピー処理の実行時において、プレビュー画面を表示するか否かを示すフラグである。プレビュー表示フラグ12cがオンに設定されている場合、MFP1は、コピー処理により用紙に形成されることになる対象画像の文字を、LCD17に表示する。詳細は、図2を参照して後述する。
【0027】
ポスター印刷許可フラグ12dは、複数枚の用紙に分割して対象画像を形成するポスター印刷の実行を、許可するか否かを示すフラグである。ポスター印刷許可フラグ12dがオンに設定されている場合において、用紙に形成すべき対象画像が、用紙サイズメモリ12bに記憶されたサイズの用紙よりも大きい場合、MFP1は、対象画像を複数枚の用紙に分割して形成する。
【0028】
プレスキャンデータメモリ12e、本スキャンデータメモリ12fは、それぞれ、スキャナ20により原稿の対象画像を読み取ることにより生成された画像データを格納するメモリである。MFP1は、プレスキャンデータメモリ12eに格納された画像データを用いて、後述するプレビュー画面(図2)に、対象画像の文字を含む領域を表示させる。また、プリンタ21は、本スキャンデータメモリ12fに格納された画像データを用いて、用紙に対象画像を形成する。
【0029】
フラッシュメモリ14は、書換可能な不揮発性のメモリである。操作キー15は、MFP1に指示を入力するためのキーである。LCD17は、LCDドライバ16に駆動されて、プレビュー画面(図2)など、各種の画像を表示する。
【0030】
LCD17の表示面には、タッチパネル18が設けられる。タッチパネル18の全域は格子状に細かく区分けされ、区分けされた領域毎に静電センサが配設されている。タッチパネル18は、LCD17の表示面のうち、ユーザにタッチされた位置を示す座標情報をMFP1に入力する。
【0031】
スキャナ20は、ファクシミリ送信機能、スキャン機能、又は、コピー機能の実行時に、原稿に描かれた対象画像を読み取って画像データを生成する。プリンタ21は、ファクシミリ受信機能、プリンタ機能の実行時に、用紙に画像を形成する。NCU23は、電話回線の制御を行うものである。モデム24は、ファクシミリ送信時には送信信号を電話回線での伝送に適した形態に変調し、一方、ファクシミリ受信時には電話回線から送られてきた変調信号を復調する。ネットワークI/F26は、MFP1を図示しないインターネットやLAN回線に接続するためのインターフェイスである。
【0032】
図2は、MFP1がコピー処理を実行する場合に、スキャナ20が読み取る原稿の一例と、LCD17に表示されるプレビュー画面の一例とを示す図である。
【0033】
図2に示すように、プレビュー画面には、プレビューエリア30、拡大キーエリア31、縮小キーエリア32、スライドバー33、スライダ34が設けられる。
【0034】
まず、MFP1は、スキャナ20により読み取られた対象画像の文字を含む領域を、略実物大で(表示倍率100%で)、プレビューエリア30に表示する。なお、LCD17による表示の解像度(単位長さ当たりに表示されるピクセル数)と、スキャナ20による読み取りの解像度(単位長さ当たりに読み取られるピクセル数)とが異なる場合、スキャナ20により読み取られた対象画像の文字を、略実物大で表示するための解像度変換が必要となる。具体的には、LCD17の表示の解像度が、スキャナ20による読み取りの解像度のa倍である場合において、スキャナ20により読みられた対象画像のピクセル数がI×J(すなわち、幅方向のピクセル数がI、高さ方向のピクセル数がJ)である場合、これをa倍することにより、I・a×J・aのピクセル数の対象画像を作成し、それをLCD17に表示させる。
【0035】
このようにすれば、スキャナ20により読み取られた対象画像の文字を略実物大で、LCD17に表示できる。ここで、「略実物大」の「略」とは、完全な実物大に限定するものではなく、目視により実物大であると認識される程度の大きさの差は許容する意味で用いている。LCD17の解像度とスキャナ20の解像度との関係によっては、スキャナ20により読み取られた対象画像の文字を完全な実物大でLCD17に表示することが困難である場合があるからである。
【0036】
なお、図2には、対象画像の一部の領域がプレビューエリア30に表示されている例を図示しているが、対象画像が小さい場合、あるいは、プレビューエリア30が十分に大きい場合など、対象画像の全てをLCD17に表示できる場合には、対象画像の全てがプレビューエリア30に表示されても良い。以下の説明において、対象画像のうち、プレビューエリア30に表示される領域(図2において二点鎖線で示す領域)を、表示対象領域と称する。スライドバー33およびスライダ34は、対象画像の表示対象領域を移動させるための操作子として機能する。ユーザは、スライドバー33上においてスライダ34をドラッグする操作を行うことで、対象画像の表示対象領域を所望の方向へ変更する。
【0037】
拡大キーエリア31、縮小キーエリア32は、プレビューエリア30に表示された画像の表示倍率の変更を受付けるためのエリアである。拡大キーエリア31がユーザによって操作される毎に、MFP1は、プレビューエリア30に表示される文字を、例えば120%ずつ拡大して表示する。一方、縮小キーエリア32が操作される毎に、MFP1は、プレビューエリア30に表示された文字を、例えば80%ずつ縮小して表示する。したがって、プレビューエリア30に表示された文字が小さく見にくい場合、ユーザは、拡大キーエリア31を所望の回数操作することにより、それを適切な大きさまで拡大表示させることができる。
【0038】
上記の処理をより具体的に説明する。拡大キーエリア31がn回操作され、縮小キーエリア32がm回操作された場合、プレビューエリア30における表示倍率は、以下の(1)式により算出される。
表示倍率=1.2×0.8×100 ・・・(1)
【0039】
上述したように、LCD17による表示の解像度が、スキャナ20による読み取りの解像度のa倍である場合において、対象画像の元々のピクセル数がI×Jである場合、I・a×J・aのサイズの対象画像をLCD17に表示させることで、表示倍率100%で、対象画像の文字を表示できる。よって、I・a×J・aのピクセル数に解像度変換された対象画像を基準とし、これを、上記(1)式で算出される表示倍率に基づいて、拡大または縮小し、LCD17に表示することで、所望の表示倍率で拡大または縮小された対象画像の文字を、LCD17に表示できる。
【0040】
ここで、本実施形態のMFP1は、プレビューエリア30に表示された文字と、用紙に形成される対象画像における当該文字とが、略同じ大きさとなるように、対象画像について印刷倍率を設定する。本実施形態において、「印刷倍率」とは、スキャナ20により読み取られた対象画像の大きさ(すなわち幅及び高さの物理的長さ)を基準の100%とする場合において、プリンタ21に形成させるべき対象画像の大きさをパーセンテージで示した値であり、以下の(2)式により算出される。
印刷倍率=1.2×0.8×100 ・・・(2)
【0041】
したがって、スキャナ20により読み取られた対象画像の大きさを100%とする場合において、例えば、表示倍率120%で対象画像の文字がプレビューエリア30に表示されている場合には、MFP1は、略120%の印刷倍率で拡大された対象画像の形成を、プリンタ21に指示する。
【0042】
本実施形態のMFP1によれば、ユーザにとっては、用紙に形成されることになる対象画像の文字の大きさを、略実物大で、当該対象画像の形成に先だち、プレビューエリア30にて視認でき、適切な印刷倍率を設定できる。例えば、プレビューエリア30における表示を見たユーザは、拡大キーエリア31または縮小キーエリア32を操作することにより、プレビューエリア30内の文字を所望の大きさに拡大または縮小して、適切な印刷倍率を設定できる。また、不適切な印刷設定で画像の形成が行われることが抑制され、無駄な印刷を減らすことができる。
【0043】
また、プレビューエリア30には、対象画像のうち、文字を含む表示対象領域が表示されるので、ユーザは、プレビューエリア30を視認しながら、その文字が読める程度の大きさとなるよう印刷倍率を調整でき、適切な印刷倍率をより容易に設定できる。
【0044】
ここで、「表示された文字と、用紙に形成される対象画像における当該文字とが、略同じ大きさとなる」とは、プリンタ21によって用紙に形成されることになる対象画像内の文字を、略実物大で表示することを意味している。また、「略同じ大きさ」、「略実物大」の「略」とは、幅および高さの物理的な長さが完全に等しいことまでを要求するものではなく、目視では認識できない程度の大きさの差は許容することを意味している。LCD17における表示の解像度と、プリンタ21の解像度とが異なる場合、プレビューエリア30に表示される文字と、プリンタ21により形成される文字とを、完全に同じ大きさとすることが、困難である場合があるためである。
【0045】
なお、プリンタ21による印刷の解像度(単位長さ当たりに形成されるピクセル数)が、スキャナ20による読み取りの解像度のb倍である場合、MFP1は、スキャナ20により読み取られた対象画像のピクセル数をb倍にする解像度変換処理と、上記の(2)式により算出される印刷倍率に基づく拡大または縮小とが施された対象画像を、プリンタ21に形成させる。このようにすれば、スキャナ20により読み取られた対象画像の物理的な幅および高さを、上記の印刷倍率で拡大または縮小して、プリンタ21に印刷させることができる。
【0046】
図3は、MFP1のCPU10によって実行されるコピー処理を示すフローチャートである。この処理は、MFP1の原稿台(図示せず)に載置された原稿の対象画像をスキャナ20により読み取り、プリンタ21に形成させる処理である。なお、MFP1は、原稿台に載置された原稿の大きさを、センサ(図示せず)により予め検出しておく。
【0047】
まず、ステップS302(以下、ステップを省略)において、CPU10は、ユーザの入力に基づき、用紙のサイズ、プレビュー画面の表示を行うか否か、ポスター印刷を許可するか否かなど、各種の印刷条件を設定する。CPU10は、ユーザにより設定された用紙サイズを、用紙サイズメモリ12bに格納する。また、プレビュー画面の表示がユーザにより設定された場合、プレビュー表示フラグ12cをオンとし、それ以外の場合はオフとする。また、ポスター印刷の許可がユーザにより設定された場合、ポスター印刷許可フラグ12dをオンとし、それ以外の場合はオフとする。なお、本実施形態のコピー処理において、倍率設定メモリ12aには、印刷倍率の初期値として100%が設定されているものとして説明するが、ユーザにより設定された印刷倍率を、S302において、倍率設定メモリ12aに格納するように構成しても良い。
【0048】
次に、CPU10は、プレビュー表示フラグ12cがオンであるか否かを判断する(S304)。S304の判断が否定される場合(S304:No)、CPU10は、読み取り範囲などの各種のパラメータを決定する(S328)。例えば、ポスター印刷許可フラグ12dがオンに設定されており、且つ、原稿の大きさが用紙サイズよりも大きい場合には、複数の読み取り範囲に分割して原稿の対象画像を読み取るために、この対象画像に対して複数の読み取り範囲を設定し、各読み取り範囲にページ数を割り当てる。そして、CPU10は、設定された読み取り範囲の読み取り(本スキャン)を、スキャナ20に指示する(S330)。一方、スキャナ20は、CPU10からの指示を受けて、指定された読み取り範囲を読み取り、その読み取り範囲の画像を表す画像データを生成し、本スキャンデータメモリ12fに格納する。
【0049】
次に、CPU10は、倍率設定メモリ12aに設定された印刷倍率、用紙サイズメモリ12bに設定された用紙サイズ、本スキャンデータメモリ12fに格納された画像データを指定して、プリンタ21に対象画像の形成を指示する(S332)。プリンタ21は、CPU10からの指示に基づき、指定されたサイズの用紙に対象画像を形成する。
【0050】
次に、CPU10は、ポスター印刷許可フラグ12dがオンになっているか否かを判断する(S334)。ポスター印刷許可フラグ12dがオンである場合(S334:Yes)、S328において決定されたパラメータに基づき設定された全ページについて、画像の形成を終了したか否かを判断する(S336)。S336の判断が否定される場合(S336:No)、CPU10は、S330に戻り、次の読み取り範囲の読み取りを、スキャナ20に指示する(S330)。
【0051】
このようにして処理を繰り返すうちに、全ページについて画像形成が終了したと判断される場合(S336:Yes)、または、ポスター印刷許可フラグ12dがオフであると判断される場合(S334:No)、CPU10は、コピー処理を終了する。
【0052】
次に、プレビュー表示フラグ12cがオンである場合(S304:Yes)について説明する。この場合、CPU10は、原稿の読み取り(プレスキャン)をスキャナ20に指示する(S305)。一方、スキャナ20は、原稿の対象画像を読み取り、対象画像を表す画像データを生成して、プレスキャンデータメモリ12eに格納する。次に、CPU10は、生成された画像データをOCR(Optical Character Reader)処理することにより、対象画像に含まれる文字を検出する(S306)。
【0053】
次に、CPU10は、検出した文字が複数か否かを判断する(S308)。検出された文字が単数であると判断される場合(S308:No)、CPU10は、対象画像のうち、検出した文字を含む領域(表示対象領域)を、プレビュー画面のプレビューエリア30に表示する(S316)。ここで、本実施形態の場合、倍率設定メモリ12aには、印刷倍率の初期値として100%が設定されている。よって、CPU10は、スキャナ20により読み取られた対象画像の文字を、100%の表示倍率(略実物大)でプレビューエリア30に表示する。換言すれば、印刷倍率100%で対象画像を用紙に形成させる場合に、用紙に形成されることになる対象画像と略同じ大きさの対象画像の一部をプレビューエリア30に表示する。
【0054】
なお、本実施形態では、倍率設定メモリ12aには、印刷倍率の初期値として100%が格納されているものとするが、これに代えて、例えば、S302の処理において、ユーザにより設定された印刷倍率が倍率設定メモリ12aに格納されている場合には、S316の処理において、プレビューエリア30に表示する画像を、当該印刷倍率で拡大または縮小された対象画像の文字を、略実物大で表したものとしても良い。
【0055】
また、本実施形態では、対象画像の一部の領域がプレビューエリア30に表示されるが、MFP1は、対象画像全体を表す表示データを作成し、その表示データのうち、一部を用いて、対象画像の一部をプレビューエリア30に表示しても良いし、対象画像のうち、表示対象領域を表す表示データを作成し、その表示データを用いてプレビューエリア30に対象画像の一部を表示することとしても良い。
【0056】
一方、複数の文字が検出された場合(S308:Yes)、CPU10は、検出された文字の中で最小の文字を含む表示対象領域を、プレビューエリア30に表示する(S310)。したがって、上述したように、倍率設定メモリ12aに、印刷倍率の初期値として100%が設定されている場合、スキャナ20により読み取られた対象画像に含まれる文字のうち、最小の文字が、略実物大でプレビューエリア30に表示される。
【0057】
次に、CPU10は、表示対象領域の変更がユーザによって指示されたか否か、すなわち、スライダ34をドラッグする操作が行われたか否かを判断する(S312)。所定時間待機してもスライダ34をドラッグする操作が行われない場合(S312:No)、CPU10はS318の処理に移行する。一方、S312の判断が肯定される場合(S312:Yes)、CPU10は、対象画像の表示対象領域を、ユーザ操作に応じて変更し、プレビューエリア30における表示を更新する(S314)。したがって、ユーザは、印刷倍率が適切であるか否かの判断に好適な領域(例えば、対象画像中、特に重要な箇所)を、プレビューエリア30に表示させることができる。
【0058】
次に、CPU10は、設定変更処理を実行する(S318)。この設定変更処理(S318)は、ユーザによる拡大キーエリア31,縮小キーエリア32の操作に応じて、プレビューエリア30における表示の表示倍率を変更し、且つ、対象画像に適用すべき印刷倍率を変更する処理である。設定変更処理の詳細は、図4を参照して後述する。
【0059】
次に、CPU10は、設定変更処理(S318)より確定された印刷倍率で、対象画像を拡大または縮小する場合に、拡大または縮小されたその対象画像が、用紙サイズメモリ12bに設定されたサイズの用紙1枚分に収まるか否かを判断する(S322)。すなわち、用紙に形成されることになる対象画像が、用紙サイズよりも大きいか否かを判断する。確定された印刷倍率で拡大または縮小された対象画像が、用紙サイズメモリ12bに設定された用紙サイズ以下であり、1枚の用紙に収まると判断される場合(S322:Yes)、CPU10は、確定された印刷倍率、用紙サイズ、ポスター印刷許可フラグ12dのオンオフに基づいて、読み取り範囲などの各種パラメータを決定する(S328)。そして、CPU10は、確定された印刷倍率、用紙サイズなどを指定して、対象画像の形成をプリンタ21に指示する(S332)。一方、プリンタ21は、CPU10から指定された印刷倍率で拡大または縮小された対象画像を、指定されたサイズの用紙に形成する。なお、S328からS336の処理については、上述したので、詳細な説明は省略する。
【0060】
一方、確定された印刷倍率で対象画像を拡大または縮小する場合に、拡大または縮小されたその対象画像が、用紙サイズメモリ12bに設定された用紙サイズよりも大きくなると判断される場合(S322:No)、CPU10は、ポスター印刷許可フラグ12dがオンにされているか否かを判断する(S324)。S324の判断が否定される場合(S324:No)、CPU10は、確定された印刷倍率で拡大または縮小された対象画像のうち、プレビューエリア30に表示された領域を含み、且つ、用紙サイズメモリ12bに設定されたサイズの用紙1枚分に形成可能な領域を、印刷領域として設定する(S326)。
【0061】
そして、CPU10は、対象画像のうち、設定された印刷領域がスキャナ20によって読み取られるように、読み取り範囲など各種パラメータを決定し(S328)、スキャナ20に本スキャンを指示する(S330)。そして、CPU10は、確定された印刷倍率、用紙サイズなどを指定して、スキャナ20により生成された画像データに基づく対象画像の形成を、プリンタ21に指示する(S332)。すなわち、確定された印刷倍率で拡大または縮小された対象画像のうち、プレビューエリア30に表示される領域を含み、且つ、用紙サイズメモリ12bに設定されたサイズの用紙1枚分に形成可能な領域の画像の形成を、プリンタ21に指示する。その結果、ユーザは、拡大または縮小された対象画像のうち、少なくともプレビューエリア30で視認した領域を含む印刷結果を得ることができる。
【0062】
一方、ポスター印刷許可フラグ12dがオンに設定されている場合(S324:Yes)、CPU10は、対象画像について、読み取り範囲などの各種パラメータを決定する(S328)。具体的には、確定された印刷倍率で拡大または縮小された対象画像を、用紙サイズメモリ12bに設定されたサイズの複数枚の用紙に分割して印刷するために、複数の読み取り範囲を設定し、各読み取り範囲にページ数を割り当てる。そして、CPU10は、設定した読み取り範囲の読み取りをスキャナ20に指示し(S330)、スキャナ20により読み取られた対象画像の形成を、プリンタ21に指示する(S332)。そして、S328において決定されたパラメータに基づき設定された全ページについて、画像の形成を終了したと判断されるまで、S330から処理を繰り返す。
【0063】
このようにすれば、確定された印刷倍率で拡大または縮小された対象画像が、用紙サイズメモリ12bに設定された用紙のサイズよりも大きくなると判断される場合には、対象画像を、複数枚の用紙に分割して形成させることができる。
【0064】
図4は、MFP1のCPU10が実行する設定変更処理(S318)を示すフローチャートである。この処理は、プレビュー画面内の拡大キーエリア31,縮小キーエリア32が操作される毎に、プレビューエリア30内の表示を更新する処理である。
【0065】
まず、CPU10は、拡大キーエリア31または縮小キーエリア32がユーザによって操作されたか否かを判断する(S400)。S400の判断が否定される場合(S400:No)、CPU10は、S420の処理に移行する。
【0066】
一方、S400の判断が肯定される場合(S400:Yes)、CPU10は、プレビューエリア30内に表示された対象画像の文字を、拡大キーエリア31または縮小キーエリア32の操作に応じて拡大または縮小して表示するよう、LCDドライバ16を制御する(S401)。具体的には、上記(1)式により、拡大キーエリア31および縮小キーエリア32の操作回数に基づいて、表示倍率を算出し、その表示倍率で拡大または縮小された対象画像の文字を、プレビューエリア30に表示する。
【0067】
次に、CPU10は、プレビューエリア30において拡大または縮小して表示された文字と、プリンタ21により形成される対象画像における当該文字とが、略同じ大きさとなるように、対象画像に適用すべき印刷倍率を算出し、倍率設定メモリ12aに設定する(S402)。なお、本実施形態においては、上記(2)式により、拡大キーエリア31および縮小キーエリア32の操作回数に基づいて、印刷倍率を算出するものとする。しかしながら、印刷倍率の具体的算出方法は、これに限られない。例えば、プレビューエリア30に表示される対象画像の文字に着目し、当該文字を構成するピクセル数と、LCD17の解像度との関係から、当該文字の実際の大きさ(すなわち、幅および高さの物理的な長さ)を求め、略同じ大きさの文字を含む対象画像が、プリンタ21により形成されるように、印刷倍率を算出する構成としても良い。
【0068】
次に、CPU10は、倍率設定メモリ12aに設定された印刷倍率で拡大または縮小された対象画像が、用紙サイズメモリ12bに設定されたサイズの用紙に収まるか否かを判断する(S404)。S404の判断が肯定される場合(S404:Yes)、CPU10は、印刷倍率の確定指示がユーザにより入力されたか否かを判断する(S420)。具体的には、操作キー15に設けられた図示しない確定キーが押下されたか否かを判断する。S420の判断が肯定される場合(S420:Yes)、CPU10は、倍率設定メモリ12aに設定された印刷倍率を、対象画像に適用すべき印刷倍率として確定し、S322の処理に移行する。一方、S420の判断が否定される場合(S420:No)、CPU10は、S400に戻り処理を繰り返す。
【0069】
S404の判断が否定される場合(S404:No)、すなわち、倍率設定メモリ12aに設定された印刷倍率で対象画像を拡大または縮小する場合に、拡大または縮小されたその対象画像が、用紙サイズメモリ12bに設定された用紙のサイズよりも大きくなると判断される場合、CPU10は、メッセージ「1枚には収まりません」をLCD17に表示して、ユーザに報知する(S406)。
【0070】
このメッセージに基づいて、ユーザは、現状の印刷倍率が適切であるか否かを判断できる。例えば、印刷結果を1枚の用紙に収めたい場合には、縮小キーエリア32を操作することにより、印刷倍率を小さくするなど、適切な対処をすることができ、ユーザにとって印刷倍率の設定がより容易になる。
【0071】
次に、CPU10は、用紙サイズメモリ12bに設定された用紙サイズよりも大きいサイズの用紙がセットされた用紙トレイ(図示せず)が、MFP1において存在するか否かを判断する(S408)。なお、MFP1は、複数の用紙トレイを備え、各用紙トレイにセットされた用紙のサイズを、予め記憶しているものとする。
【0072】
S408の判断が否定される場合(S408:No)、CPU10は、S420の処理に移行する。一方、用紙サイズメモリ12bに設定されたサイズよりも大きいサイズの用紙がセットされた用紙トレイが存在する場合(S408:Yes)、CPU10は、メッセージ「別のトレイを推奨します」をLCD17に表示し、用紙サイズの設定の変更を受付ける(S410)。
【0073】
次に、CPU10は、ユーザが別の用紙サイズに変更したか否かを判断する(S412)。なお、ユーザは、操作キー15に設けられた図示しないテンキーなどから、用紙サイズの変更をMFP1に指示できるものとする。所定時間待機しても、用紙サイズの変更が指示されない場合(S412:No)、CPU10は、S420の処理に移行する。一方、ユーザが別の用紙サイズに変更した場合(S412:Yes)、CPU10は、ユーザにより変更された用紙サイズを、用紙サイズメモリ12bに設定する(S414)。したがって、ユーザは、適切な用紙サイズ、例えば、倍率設定メモリ12aに設定された印刷倍率で拡大または縮小された対象画像よりも大きい用紙サイズを、対象画像が形成される用紙のサイズとして再設定できる。なお、本実施形態では、対象画像が用紙サイズよりも大きくなると判断される場合に、用紙サイズを再設定するものとして説明するが、MFP1における印刷設定の仕様によっては、例えば、使用すべき用紙トレイを再設定するように、この設定変更処理を構成しても良い。
【0074】
次に、CPU10は、倍率設定メモリ12aに設定された印刷倍率で拡大または縮小された対象画像が、変更後の用紙サイズに収まるか否かを判断する(S416)。上記印刷倍率で拡大または縮小された対象画像が、変更後の用紙サイズよりも大きく、変更後の用紙サイズに収まらないと判断される場合(S416:No)、CPU10は、メッセージ「1枚には収まりません」をLCD17に表示し、ユーザに報知する(S418)。そして、CPU10は、S420の処理に移行する。なお、上記印刷倍率で拡大または縮小された対象画像が、変更後の用紙サイズ以下であり、変更後の用紙サイズに収まると判断される場合(S416:Yes)、CPU10は、S418の処理をスキップし、S420の処理に移行する。
【0075】
設定変更処理によれば、ユーザは、プレビューエリア30に表示された対象画像の文字を視認しながら、それを拡大または縮小表示させる操作を行うことで、適切な印刷倍率を設定できる。よって、適切な印刷倍率を容易に設定できる。
【0076】
上記実施形態において、MFP1が画像処理装置の一例であり、制御プログラム11aが画像処理プログラムの一例であり、LCDドライバ16が表示手段の一例であり、プリンタ21が画像形成部の一例である。用紙が記録媒体の一例である。S302,S414を実行するCPU10がサイズ設定手段の一例である。S306を実行するCPU10が文字検出手段の一例である。S314を実行するCPU10が表示領域変更手段の一例である。S322を実行するCPU10が第2判断手段の一例である。S332を実行するCPU10が指示手段、第1種指示手段、第2種指示手段の一例である。S401を実行するCPU10が更新手段の一例である。S402を実行するCPU10が倍率設定手段の一例である。S404を実行するCPU10が第1判断手段の一例である。S406を実行するCPU10が報知手段の一例である。S420の判断を肯定するCPU10が確定手段の一例である。
【0077】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0078】
例えば、上記実施形態において、画像処理装置の一例であるMFP1は、画像形成部の一例であるプリンタ21を内蔵するものであった。しかしながら、画像処理装置は、例えば、パーソナルコンピュータ、スキャナ、携帯電話機、デジタルカメラなど、外部に設けられた画像形成部に対して、画像の形成を指示する装置であっても良い。
【0079】
また、上記実施形態では、最小の文字を含む表示対象領域を、プレビューエリア30に最初に表示していた。これに代えて、例えば、タイトルを含む表示対象領域を、プレビューエリア30に最初に表示するように構成しても良い。
【0080】
また、上記実施形態では、コピー処理時における印刷倍率の設定について、本発明を適用していた。これに代えて、例えば、ファクシミリ受信したデータに基づき、画像形成部により形成されることになる対象画像の構成要素(例えば文字)を、当該対象画像の形成に先だって略実物大で表示するように、上記実施形態を変形しても良い。その場合、ファクシミリ受信したデータによって表される画像が、対象画像の一例に相当する。また、図示しないカードスロットに装着されたメディアカードから読み出したデータや、外部のパーソナルコンピュータなどから入力されたデータに基づいて、画像形成部に画像を形成させる場合についても同様に、本発明を適用可能である。
【0081】
また、パーソナルコンピュータ(PC)を画像処理装置の一例として本発明を適用する場合には、例えば、PCのモニタに表示されるピクセルの総数と、モニタの物理的な幅および高さとを取得し、これらを用いて、モニタにおいてユーザが視認した対象画像の構成要素の実際の大きさを求め、これを用いて印刷倍率を設定するように構成しても良い。なお、PC以外の装置においても、表示部の解像度がユーザによって様々に変更される可能性がある場合には、上述のように、ユーザが視認した構成要素の実際の大きさを求めるように構成しても良い。
【0082】
また、上記実施形態では、対象画像内の表示対象領域をプレビューエリア30に表示していた。これに代えて、対象画像内の1以上の文字を、例えば、OCRにより抽出し、当該抽出文字を表示部に表示する構成としても良い。
【0083】
また、上記実施形態では、印刷倍率を算出していた。これに代えて、例えば、拡大キーエリア31または縮小キーエリア32の操作回数と、印刷倍率との対応関係を定めたテーブルを予め準備し、当該テーブルを参照することにより、操作回数に応じた印刷倍率を読み出し、設定することとしても良い。
【0084】
また、上記実施形態では、プレビュー画面における最初の表示倍率を100%としていた。換言すれば、プレビュー画面における最初の表示は、スキャナ20により読み取られた対象画像の構成要素を、略実物大で表示するものであった。これに代えて、最初のプレビュー画面では、対象画像の全て、又は、幅方向または高さ方向のうち一方の全てが表示されるように、最初の表示倍率が決定されても良い。このようにすれば、ユーザは、最初のプレビュー画像により、対象画像を全体的に把握できる。
【0085】
また、用紙サイズに合わせて自動計算された印刷倍率で対象画像を拡大または縮小する場合に用紙に形成されることになる対象画像の構成要素を略実物大で示した表示を、プレビュー画面における最初の表示としても良い。例えば、対象画像を形成すべき用紙のサイズとしてA4サイズが設定されている場合において、対象画像がA4サイズとは異なるサイズを有している場合には、対象画像をA4サイズの用紙に収めて形成するための印刷倍率を算出し、当該印刷倍率で拡大または縮小された対象画像の構成要素が、略実物大でプレビュー画面に表示されるように、最初の表示倍率が決定されても良い。
【0086】
また、上記実施形態では、ユーザによる印刷条件の設定時(S302)において、ユーザは印刷倍率を設定せず、印刷倍率の初期値として100%が設定されるものとして説明した。しかしながら、印刷条件の設定時(S302)において、ユーザにより印刷倍率が設定される場合、プレビュー画面における最初の表示は、当該設定された印刷倍率で拡大または縮小された対象画像の構成要素を、略実物大で表示するものであっても良い。
【0087】
なお、上述した例のように、プレビュー画面における最初の表示倍率を100%とはしない場合、印刷倍率は、例えば下記(3)式により算出できる。
印刷倍率=1.2×0.8×c ・・・(3)
ここで、cは、プレビュー画面における最初の表示倍率を表す。
【0088】
また、上記実施形態では、表示された対象画像の構成要素(例えば文字)の大きさが気に入らない場合、ユーザは、拡大キーエリア30、縮小キーエリア31を操作することにより、表示倍率および印刷倍率を調整するものとして説明した。しかしながら、これに代えて、表示された対象画像の構成要素の大きさをユーザが気に入らない場合には、例えば、用紙サイズの設定を変更する、コピー処理の実行をキャンセルするなど、その他の処理をユーザが採用できるように、画像処理装置を構成しても良い。
【0089】
また、上記実施形態では、表示倍率が変更される毎に、印刷倍率が算出され、その算出された印刷倍率で拡大または縮小された対象画像が、用紙サイズに収まるか否かが判断されていた。これに代えて、例えば、印刷倍率が確定された場合、または、コピーの実行が指示された場合など、所定のタイミングでのみ、用紙サイズと対象画像の大小関係を判断するように構成しても良い。
【0090】
また、上記実施形態では、対象画像の文字が、構成要素の一例であった。しかしながら、例えば、記号、マーク、図柄など、文字以外の構成要素が表示されるように、上記実施形態を変形しても良い。
【符号の説明】
【0091】
1 MFP
11a 制御プログラム
16 LCDコントローラ
17 LCD
21 プリンタ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成部に、画像の形成を指示する画像処理装置であって、
対象画像の構成要素を、前記対象画像の形成に先立って表示部に表示する表示手段と、
前記表示手段により表示された構成要素と、記録媒体に形成される対象画像における当該構成要素とが、略同じ大きさとなるように、前記対象画像について印刷倍率を設定する倍率設定手段と、
前記倍率設定手段により設定される前記印刷倍率で拡大または縮小された対象画像が前記画像形成部により形成されるように、前記画像形成部に画像の形成を指示する指示手段とを備える画像処理装置。
【請求項2】
前記表示部に表示される前記対象画像の構成要素を、ユーザ操作に応じて拡大または縮小して表示するよう前記表示手段を制御する更新手段を備え、
前記倍率設定手段は、
前記更新手段により拡大または縮小して表示された構成要素と、記録媒体に形成される対象画像における当該構成要素とが、略同じ大きさとなるように、前記印刷倍率を設定するものである請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像形成部により対象画像が形成される記録媒体のサイズを設定するサイズ設定手段と、
前記倍率設定手段により設定された印刷倍率で対象画像を拡大または縮小する場合に、拡大または縮小されたその対象画像が、前記サイズ設定手段により設定された記録媒体のサイズよりも大きくなるかを判断する第1判断手段と、
前記第1判断手段により、前記対象画像が、前記サイズ設定手段により設定される記録媒体のサイズよりも大きくなると判断される場合、報知する報知手段とを備える請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1判断手段により、前記対象画像が、前記サイズ設定手段により設定される記録媒体のサイズよりも大きくなると判断された場合、
前記サイズ設定手段は、前記倍率設定手段により設定された印刷倍率で拡大または縮小された対象画像よりも大きい記録媒体のサイズを、前記対象画像が形成される記録媒体のサイズとして再設定するものである請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記倍率設定手段により設定される印刷倍率を確定する確定手段と、
前記確定手段により確定された印刷倍率で対象画像を拡大または縮小する場合に、拡大または縮小されたその対象画像が、前記サイズ設定手段により設定された記録媒体のサイズよりも大きくなるかを判断する第2判断手段とを備え、
前記指示手段は、
前記第2判断手段により、前記対象画像が、前記サイズ設定手段により設定された記録媒体のサイズよりも大きくなると判断される場合、前記確定手段により確定された印刷倍率で拡大または縮小された対象画像のうち、前記表示部に表示される構成要素を含み、且つ、前記サイズ設定手段により設定されたサイズの記録媒体1枚分に形成可能な領域の画像の形成を、前記画像形成部に指示する第1種指示手段を備える請求項3または4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記倍率設定手段により設定される印刷倍率を確定する確定手段と、
前記確定手段により確定された印刷倍率で対象画像を拡大または縮小する場合に、拡大または縮小されたその対象画像が、前記サイズ設定手段により設定された記録媒体のサイズよりも大きくなるかを判断する第2判断手段とを備え、
前記指示手段は、
前記第2判断手段により、前記対象画像が、前記サイズ設定手段により設定された記録媒体のサイズよりも大きくなると判断される場合、前記確定手段により確定された印刷倍率で拡大または縮小された対象画像を、複数枚の記録媒体に分割して形成するように、前記画像形成部に指示する第2種指示手段を備える請求項3から5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記対象画像に含まれる文字を検出する文字検出手段を備え、
前記表示手段は、前記文字検出手段により検出される文字を前記対象画像の構成要素として、前記対象画像のうち文字を含む領域を、前記表示部に表示するものである請求項1から6のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記対象画像のうち、前記表示部に表示する領域を、ユーザ操作に応じて変更する表示領域変更手段を備える請求項7記載の画像処理装置。
【請求項9】
記録媒体に画像を形成する画像形成部に、画像の形成を指示する画像処理装置において実行される画像処理プログラムであって、
前記画像処理装置を、
対象画像の構成要素を、前記対象画像の形成に先立って表示部に表示する表示手段と、
前記表示手段により表示された構成要素と、記録媒体に形成される対象画像における当該構成要素とが、略同じ大きさとなるように、前記対象画像について印刷倍率を設定する倍率設定手段と、
前記倍率設定手段により設定される前記印刷倍率で拡大または縮小された対象画像が前記画像形成部により形成されるように、前記画像形成部に画像の形成を指示する指示手段として機能させる画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−123028(P2012−123028A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271158(P2010−271158)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】