説明

画像処理装置および画像処理方法

【課題】ファクシミリ番号、メールアドレス、機能設定等、制御情報の設定に画像読取り機能と表示機能を兼ね備える読取表示部を用いることにより、ユーザーの手を煩わさずに簡便な設定を可能とする画像処理装置を提供する。
【解決手段】ユーザーから操作を受け付ける操作パネル70を有し、入力された画像を処理して出力する画像処理部と、前記操作パネル70に配置され、画像を読み取る機能と画像の処理に係る情報を制御情報として表示する機能とを兼ね備える読取表示部71と、前記操作部にあって画像の処理に係る指示入力を受け付ける指示入力部79と、前記画像処理部、読取表示部71および指示入力部79の動作を制御する制御部80とを備え、前記制御部80は、前記制御情報を示す画像を操作パネル70の読取表示部71に読み取らせ、読み取られた画像に基づく制御情報を得、得られた制御情報を用いて画像処理部の動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置に関し、詳しくは、画像の処理に係る制御情報を画像として読み取る制御情報読取機能と前記制御情報を表示する表示機能とを兼ね備える読取表示部を備える画像処理装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機から発展した複合機の普及が進んでいる。複合機としては、例えば、複写機能に加え、電話回線またはインターネットを介して画像情報を送受信するファクシミリ機能、原稿画像を読み取り通信ネットワークを介し読み取られた画像のデータを外部の機器へ送信するネットワークスキャナ機能、外部から入力された画像データを印字するプリンタ機能などを兼ね備えたものがある。
【0003】
この発明に関連する従来技術としては、例えば、名刺に記されたファクシミリ番号の画像を読み取り、読み取った画像からファクシミリ番号と当該ファクシミリ番号により特定される相手方ファクシミリ装置の機能を表す情報とを光学画像認識により抽出し、最も送信効率の高いファクシミリ番号を原稿の送信先として設定するファクシミリ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、この発明に関連する従来技術としては、画像を読み取るスキャナ機能を併せ持った表示装置と、リードエリアを指定する指示入力部とを備え、リードエリアの画像のみを選択的に読み取れるように構成されたスキャナ装置が知られている(例えば、特許文献2、非特許文献1、2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平3−71677号公報
【特許文献2】特開2006−179977号公報
【非特許文献1】"液晶パネルで写真も名刺も読み込める 東芝「インプットディスプレイ」"、[online]、2003年9月23日、Windows(登録商標)CE FAN記事、[平成19年11月19日検索]、インターネット<URL:http://www.wince.ne.jp/snap/ceSnapView.asp?PID=1453>
【非特許文献2】"液晶がスキャナーに、さらに指紋センサーに−シャープ、モバイル機器向けの新液晶パネル開発"、[online]、2007年8月31日、ITmedia記事、[平成19年11月19日検索]、インターネット<URL:http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0708/31/news118.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ファクシミリ機能やネットワークスキャナ機能が付加された複合機では、送信先となる相手方のファクシミリ番号やメールアドレスを入力する場面が生ずる。もちろん、頻繁に送信を行う相手方については、ファクシミリ番号やメールアドレスを予め登録しておき、必要に応じて登録されたファクシミリ番号やメールアドレスを呼び出して選択することにより、ファクシミリ番号やメールアドレスの入力を省略できる。
【0007】
しかしながら、初めての相手先に送信する場合には相手方のファクシミリ番号やメールアドレスを手入力するしかない。また、将来の手間を省くために相手方のファクシミリ番号やメールアドレスを予め登録しておく場合にも、相手方の名前、ファクシミリ番号、メールアドレス等は手入力に頼るほかない。
【0008】
相手方の名前、ファクシミリ番号、メールアドレスなどを登録する作業は現在のところユーザーの手入力によって行われているが、登録すべき相手方が多数であるような場合には入力作業に相応の労力を要求する。また、ユーザーの手入力によることから、当然ながら入力ミスが生ずる恐れもある。
【0009】
また、複合機が複写機能を有する場合、その複写機能が利用される場面においても、ユーザーが原稿を複写するにあたって、用紙サイズ、両面印字、拡大・縮小倍率、濃淡、両面印字、枠の消去幅、複写枚数、ソート数などの多岐の項目にわたって任意に条件を設定することがある。
このように設定された条件は、事務作業の現場で繰り返し使用されることもあるが、その都度、上記の条件を手入力するのはユーザーにとって手間である。
以後、画像の送信先、原稿画像の読み取りや印刷を行わせる場合のそれらの機能の設定など、画像の処理を実行するうえで必要な条件(設定内容)に係る情報を制御情報という。
【0010】
前述のような課題の対処法として、ユーザーによって設定された条件を登録しておき、後で必要となったときに登録された条件を呼び出して利用するという解決策も考えられる。
しかしながら、1台の複合機を多くの人数で共用する事務作業の現場において、各人が自己の設定した条件を登録すれば、登録件数が膨大な数となり、登録された条件からユーザーが希望する条件を呼び出すのに手間と時間を要するといった弊害も考えられる。
【0011】
この発明は以上のような事情を考慮してなされたものであり、ファクシミリ番号、メールアドレス、機能設定等、制御情報の設定に画像読取り機能と表示機能を兼ね備える読取表示部を用いることにより、ユーザーの手を煩わさずに簡便な設定を可能とする画像処理装置および画像処理方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、ユーザーから操作を受け付ける操作部を有し、入力された画像を処理して出力する画像処理部と、前記操作部に配置され、画像を読み取る機能と画像の処理に係る情報を制御情報として表示する機能とを兼ね備える読取表示部と、前記操作部にあって画像の処理に係る指示入力を受け付ける指示入力部と、前記画像処理部、読取表示部および指示入力部の動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記制御情報を示す画像を操作部の読取表示部に読み取らせ、読み取られた画像に基づく制御情報を得、得られた制御情報を用いて画像処理部の動作を制御することを特徴とする画像処理装置を提供するものである。
異なる観点から、この発明は、原稿読取部を用い、外部の機器へ送信すべき原稿画像を読み取らせる工程と、画像の処理に係る制御情報を画像として読み取る制御情報読取機能と前記制御情報を表示する表示機能とを兼ね備える読取表示部に原稿画像の送信先に係る前記制御情報を読み取らせる工程と、読取られた画像に基づいて送信先の情報を取得する工程と通信部を用いて前記送信先へ前記原稿画像を送信する工程とを備えることを特徴とする画像処理方法を提供する。
また、この発明は、原稿読取部を用い、外部の機器へ送信すべき原稿画像を読み取らせる工程と、画像の処理に係る制御情報を画像として読み取る制御情報読取機能と前記制御情報を表示する表示機能とを兼ね備える読取表示部に印刷設定に係る前記制御情報を読み取らせる工程と、読取られた画像に基づいて印刷設定の内容を取得する工程と取得した印刷設定に基づいて、原稿画像を印刷部に印刷させる工程を備えることを特徴とする画像処理方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
この発明による画像処理装置によれば、制御部は、前記制御情報に係る内容が記された画像を操作部の読取表示部に読み取らせ、読み取られた画像に基づく制御情報を得、得られた制御情報を用いて画像処理部の動作を制御するので、ユーザーの手を煩わすことなく簡便な制御情報の設定が可能になる。従って、従来はユーザーの手入力に頼らなければ得られなかった制御情報を、読取表示部によって読み取られた画像から得ることができる。これによって、制御情報の指示入力に関するユーザーの利便性が向上する。
【0014】
ここで、画像処理装置が原稿を読み取るためのスキャナを備えている場合、送信先を指定するための名刺等を原稿読み取り用のスキャナ読み取ることも考えられる。しかしながら、原稿読み取り用のスキャナにはADF等の原稿自動搬送装置を搭載したものが多く存在し、かつ、送信先情報が記載されたもの(例えば、名刺)は、サイズが小さすぎるために通常はADFを使用して読み取ることができない。そのため、原稿読み取り用のスキャナと原稿自動搬送装置とを備える複合機で送信先情報を読み取るためには、原稿カバーを開閉する作業が必要となりユーザーの利便性を損なう。また、原稿読み取り用のスキャナで、送信先情報と送信原稿の双方を読み取る場合、何れの情報を読み取るモードかを指示するための操作をユーザーが行ったり、装置側で予め定められた順序に従って送信先情報の記載された名刺と原稿とを読み取らせる操作をユーザーが行ったりする必要が生じる。これでは、不慣れなユーザーにとって良好な操作性を実現しているとはいいがたい。
【0015】
本発明によれば、ユーザーにとって最も操作性や視認性の良い位置に配置される操作部に画像を読み取る機能と前記制御情報を表示する機能と持たせた読取表示部を配することにより、ユーザーの操作性を向上させることができる。また、原稿読み取り用のスキャナと制御情報を読み取るスキャナが個別に設けられるので、原稿画像と制御情報とを同時に並行して読み取ることも可能になる。従って、利用者の操作を含めた画像形成処理の効率を向上することができる。ここで、読取表示部は表示機能とスキャナ機能を兼ね合わせたものであるから、操作部の設置面積を増大させることがない。また、読取表示部には操作や読取り結果に係る情報が表示されるので、ユーザーへの操作性を損なうこともない。
【0016】
この発明による画像処理装置は、入力された画像を処理して出力する装置である。その具体的な態様の例として、画像を読み取って画像データを出力するスキャナ、画像データを取得して印刷出力するプリンタ、スキャナとプリンタの機能を有し原稿画像を複写するコピー機、公衆回線に接続され画像を読み取って送信し、かつ、受信した画像データを印刷するファクシミリおよび前述のスキャナ、プリンタ、コピー機、ファクシミリの全部または一部の機能が複合された複合機などが挙げられる。
【0017】
この発明の画像処理装置において、画像処理部は、入力された画像を処理して出力可能なデータにするものであり、その具体的な態様の一例は画像データを処理するための集積回路、前記画像データを画像処理の過程で格納する記憶素子、それらの回路の動作を制御するCPU、CPUが実行する処理の手順を格納する記憶素子(ROMやハードディスク装置など)からなる。さらに、原稿の画像を読み取るためのスキャナがある場合は、スキャナ部分を含む。また、画像を印刷するための印刷部がある場合は、印刷部を含む。後述する実施形態において、画像処理部は原稿搬送読取部、印刷部、給紙部、後処理装置、送受信部に相当し、かつ、制御部の一部機能に相当する。
【0018】
操作部は、画像処理装置に係る情報を表示してユーザーに知らせ、ユーザーからの指示を受け付けるものである。後述する実施形態における操作パネルに相当する。
読取表示部は、画像を読み取る読取機能と画像を表示する表示機能とを兼ね備えたデバイスであり、操作パネルに配置される。読取表示部の具体的態様としては、例えば、液晶ディスプレイの各画素に隣接して光センサが設けられた素子、例えば、非特許文献1および2のようなデバイスが挙げられる。
操作パネルに配される読取表示部を用いて制御情報が記されたものを画像として読み取る動作は、この発明の特徴に関連する。
【0019】
指示入力部は、ユーザーからの指示を受け付ける入力手段であり、例えば、操作パネルに設けられたキースイッチ類が挙げられる。また、前述の読取表示部の表面を指先で触れたことを読取表示部の読取機能で検出することにより指示入力部としての機能を持たせてもよい。それらを組み合わせてもよい。
特に、この発明による画像処理装置では、上述の読取表示部に表示された制御情報を、ユーザーが指示入力部を介して選択または入力するので、直感的な操作を可能とする観点からは読取表示部が指示入力部として機能する態様が好ましい。
【0020】
制御部は、例えば、マイクロコンピュータ(MPU)またはCPU、(以下、この明細書ではMPUおよびCPUを総称してCPUとよぶ)CPUが実行する制御プログラムを格納した記憶素子(ROMまたはハードディスク装置)、CPUにワークエリアを提供するRAM、画像処理装置の各部に設けられる回路やセンサ、アクチュエータとの間で信号の入出力を行う入出力回路等で構成される。制御部は、画像処理部、読取表示部、指示入力部の動作を統合的に制御する。
この発明の特徴は、制御部が読取表示部に画像を読み取らせ、その画像から制御情報を得る処理を実行することによって実現される。また、制御部は、制御情報が記されたものを読み取るために行うべき操作の手順や読み取られた画像や制御情報を読取表示部に表示させることができる。読取表示部に後述する実施形態では、制御部として説明している。
【0021】
制御情報が記されたものの例としては、通信部を介して画像情報を送信する際の送信先が記された名刺が挙げられる。また、画像処理装置の製造者などがその機能設定を指定するための専用のマークシートをユーザーに提供し、ユーザーがそのマークシートを読取表示部に読み取らせる態様も考えられる。さらに、一度登録された機能設定の内容を画像処理装置が所定の書式で印刷出力する態様も考えられる。読取表示部が読み取り可能なものであればその具体的態様は限定されない。制御情報は、例えば、文字、記号もしくは数字またはその組合せとして記されていてもよく、マークシートのマークやバーコード(1次元または2次元のバーコード)として記されていてもよい。画像として判別可能な形態であれば、その態様は限定されない。
なお、制御情報としての画像の送信先には、例えば、送信先の名称、名前、電話番号、ファクシミリ番号、メールアドレスなどの情報が含まれる。
一方、機能設定に関する情報としては、例えば、用紙サイズ、両面印字、拡大・縮小倍率、濃淡、両面印字、枠の消去幅、複写枚数、ソート数などの情報が挙げられる。
【0022】
なお、制御部が、読み取られた画像情報から所定の制御情報を抽出して読取表示部に表示する場合、抽出され表示される制御情報は1つであってもよいし、複数であってもよい。
したがって、ユーザーによって入力または選択される制御情報も1つに限られず、複数の制御情報が入力または選択されてもよい。
【0023】
以下、この発明の好ましい態様について説明する。
この発明による画像処理装置において、原稿画像を読み取る原稿読取部をさらに備え、前記制御部は、原稿画像を前記原稿読取部に読み取らせると同時に制御情報に係る画像を前記読取表示部に読み取らせるよう制御してもよい。このようにすれば、原稿画像と制御情報とを同時に並行して読み取ることができるので、利用者の操作を含めた画像形成処理の効率を向上することができる。
【0024】
また、有線または無線で通信可能な外部の機器へ原稿画像を送信する通信部をさらに備え、前記制御情報は画像の送信先に係る情報を含み、前記制御部は、前記読取表示部を制御して名刺を読み取らせ、読取られた画像に基づいて送信先の情報を取得してもよい。このようにすれば、ユーザーの手入力に頼らず、原稿画像の宛先を指示することができ、入力作業に係るユーザーの手間を省くことができる。また、手入力による入力ミスも防止できる。
【0025】
あるいは、前記読取表示部は、その表面に触れた操作者の指先または所定の指示用部材を画像として読取り、前記指示入力部は、読み取られた指先または指示用部材の画像とその位置の情報とを指示として受け付け、前記制御部は、読み取られた名刺の画像とその画像中でメールアドレスを取得すべき部分の指定を求める表示を前記読取表示部に表示させるよう制御し、前記指先または指示用部材が触れた位置からメールアドレスを取得すべき部分を決定してもよい。このようにすれば、読取表示部の表面に触れることによって指示入力部としての機能が実現されるので、操作部の設置面積を増大させることがない。また、読取表示部に表示される箇所と指示入力を行う箇所が一致または近接するので、ユーザーが制御情報を設定し易く、かつ、設定された結果を理解し易い。
なお、宛先を格納する宛先格納部をさらに備え、前記制御部は、読み取られた宛先を宛先格納部に格納するか否かの選択を読取表示部に表示し、宛先格納部への格納が選択されると読み取られた宛先を宛先格納部に格納されるように制御してもよい。
【0026】
さらに、前記制御部は、読み取られた名刺の画像からメールアドレスの文字を抽出してもよい。このようにすれば、ユーザーの手入力によることなく、原稿画像の宛先としてのメールアドレスを指示することができ、入力作業に係るユーザーの手間を省くことができる。また手入力による入力ミスも防止できる。
あるいは、前記制御部は、読み取られた名刺の画像からファックス番号の文字を抽出してもよい。このようにすれば、ユーザーの手入力によることなく、原稿画像の宛先としてのファックス番号を指示することができ、入力作業に係るユーザーの手間を省くことができる。また手入力による入力ミスも防止できる。
【0027】
また、このような構成によれば、相手方から入手した名刺を利用して画像情報の宛先を設定できる。また、宛先リストを作成することもできる。名刺は、相手方の情報が一定の書式に則って記されていることが多く、制御情報を抽出するための印刷物として好適である。
【0028】
なお、前記制御部は、制御情報を示す一次元または二次元バーコードの画像を前記読取表示部に読み取らせるよう制御し、読取られた画像から制御情報を取得してもよい。このようにすれば、読み取り精度の高いバーコードを用いて認識精度を向上させることができる。例えば、名刺は、会社名、部署、名前、電話番号、ファクシミリ番号、メールアドレスなどの情報が、文字列とは別に2次元バーコードで示されたものであってもよい。この場合、上記の各種情報を一括して宛先格納部に格納するといったことも可能となる。
【0029】
さらに、読み取られた原稿画像を印刷として出力する印刷部をさらに備え、前記制御情報は原稿画像の印刷設定に係る情報を含み、前記制御部は、前記読取表示部を制御して印刷設定が記載されたシートを読み取らせ、読取られた画像に基づいて印刷設定を取得してもよい。このようにすれば、ユーザーの手入力によることなく印刷に係る機能を設定でき、事務作業の効率化を図ることができる。なお、印刷機能の設定がバーコードであってもよい。ここで、バーコードは、通常のバーコードのみならず、2次元バーコードであってもよい。2次元バーコードであれば、より多くの情報を示すことができ、多項目にわたる機能設定を再現できる。
【0030】
この発明による画像処理装置において、制御部は、ユーザーが画像処理に係る機能の設定内容を保存するよう要求したとき、それに応答してその機能設定の内容をバーコードに変換して印刷部から出力させてもよい。
このような構成によれば、ユーザーが設定した画像処理に係る機能(例えば、コピー処理の機能、スキャナの原稿読み取り処理の機能)の設定内容をバーコードという形で保存することができ、同じ設定内容を再び適用して複写を行う際には、上述のように印刷されたバーコードを読取表示部に読み取らせることにより、容易に設定条件を再現でき、事務作業の効率化を図ることができる。
なお、ここでもバーコードは、通常のバーコードのみならず、2次元バーコードであってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面に基づいてこの発明の実施形態に係る画像処理装置(デジタル複合機)について詳細に説明する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0032】
(デジタル複合機の全体構成と動作)
図1はこの発明の画像処理装置の一態様としてのデジタル複合機の外観斜視図である。また、図2は、この実施形態に係るデジタル複合機(図1に示す装置)の機構的な構成を示す説明図である。この発明の操作部としての操作パネルは、図1の70のようにユーザーが操作し易く視認し易い部分に配される。操作パネル70内には、この発明の読取表示部としての読取表示部とこの発明の指示入力部としてのキースイッチ類が配置されている。また、デジタル複合機は、画像処理部として原稿搬送読取部2と印刷部3とを含む。
【0033】
さらに、詳細を説明する。このデジタル複合機1では、原稿の画像を読み取って記録用紙に印刷するコピーモード(複写モード)、原稿の画像を読み取って送信したり、原稿の画像を受信して記録用紙に印刷したりするファクシミリモード、および情報端末装置からネットワークを介して受信した画像を記録用紙に印刷するプリンタモード等を選択的に行うことができる。
デジタル複合機1は、原稿読取部に相当する原稿搬送読取部2、印刷部3、給紙部4、後処理装置5およびUSBインターフェース7とから主に構成されている。
デジタル複合機1の各部の動作説明は、この実施形態の最後の部分で説明しているので、必要に応じて参照されたい。
【0034】
(制御情報の抽出と利用)
この項目では、制御情報の一例として画像の送信先を取得する場合の処理を説明する。図3に示されるように、本実施形態に係るデジタル複合機1は、電話回線およびインターネットを含む外部のネットワーク100とデジタル複合機1とを接続するインターフェースとしての送受信部50(通信部に相当)を備え、ネットワーク100を介して他の複合機200、ファクシミリ300またはコンピュータ端末400(以下、これらを「相手先の端末」と称する)と接続されている。
「ファックス/イメージ送信」が選択された場合は、読み取った原稿の画像データを相手先の端末へ送信できる。もちろん、相手先の端末から送信された画像データを、ネットワーク100を介して受信し、記録用紙に印刷する機能も有している。
また、デジタル複合機1は、「ファックス/イメージ送信」において利用する宛先の情報を「アドレス帳」として格納しておくための宛先格納部60(図5参照)も備えている。
【0035】
図4に示される操作パネル70は、読取機能および表示機能を兼ね備え、さらに指示入力部としても機能する読取表示部71と、「プリンタ」、「ファックス/イメージ送信」、「コピー」の機能を選択するファンクションキー72,73,74、部数などの入力に用いられるテンキー75、設定した要求の実行を指示するスタートキー76、機能設定の内容を解除する(予め定められた標準の状態に戻す)クリアキー77などの各種キースイッチ(指示入力部)とから構成されている。読取表示部71は、ユーザーの指先99が読取表示部71の表面に触れたことを読み取って判別するので、ユーザーからの入力を受け付ける指示入力部としても機能する。即ち、ハードウェアとしてのタッチパネルを備えてはいないが、タッチパネル付き表示装置のようにユーザーが読取表示部71の表面(画面の領域)に触れるとそれを検出して反応することができる。
【0036】
また、図5に示されるように、デジタル複合機1は、原稿搬送読取部2、印刷部3、給紙部4、後処理装置5の各部にその動作および制御に係るモータ、アクチュエータ、センサ、スイッチ等を備える。それらは制御部80と接続され、制御部80によって統合的に制御される。また、制御部80は、ハードディスク装置(HDD)85とデータをやり取りする。HDD85内の記憶領域の一部には、宛先格納部60と機能設定格納部70とが割り当てられている。さらに、制御部80は、送受信部50を介して外部の機器と通信できる。さらにまた、制御部80は、操作パネル70に配置される読取表示部71および指示入力部79と接続され、それらの動作を制御する。
制御部80は、演算処理を行うCPU81、CPU81が実行する制御プログラムを格納したROM82、CPUにワークエリアを提供するRAM83、画像処理装置の各部との間で信号の入出力を行うI/Oポート84、CPU81の制御の下で各種駆動部を駆動するドライバ回路85、等で構成されている。
【0037】
以下、「ファックス/イメージ送信」時に制御部80が行う一連の処理について説明する。
制御部80は、図4に示される操作パネルにおいて「ファックス/イメージ送信」のファンクションキー73が押下されると、それに応答して読取表示部71の表示を「ファックス/イメージ送信」の画面に切り換えるように制御する。
また、制御部80は、原稿検知センサ12からの信号によって原稿が原稿搬送読取部2の原稿セットトレイ11にセットされたことを認識する。原稿がセットされるのは、「ファックス/イメージ送信」のファンクションキー73が押下される前でもよい。あるいは、後述する名刺の読取り処理の後であってもよい。この発明において、原稿画像の読取りは原稿搬送読取部2で行われ、一方、名刺の読み取りは読取表示部71で行われるので原稿のセットと名刺読み取りの先後は限定されず、ユーザーが操作しやすい手順で行うことができる。
図6は、「ファックス/イメージ送信」時に制御部80が行う一連の処理手順を概略的に示したフローチャート図である。図7は、名刺読み取り可能な「ファックス/イメージ送信」モードの画面を示す説明図である。
【0038】
図7(a)は、「ファックス/イメージ送信」のファンクションキー73が押された後に表示される画面である。図7(a)に示すように、画面内には、原稿を読み取る際の条件として、「濃度」、「解像度」、「フォーマット」、「原稿」(原稿のサイズ)、「モード切替」(ファクシミリ送信モードとネットワークスキャナモードの選択)および「特別機能」(枠消し、ページ分割などの各種編集機能)を設定するためのボタンが表示されている。ユーザーがそれらのボタンの位置に触れると、ボタンに割り当てられた機能に応じた設定メニューの画面が表示される。また、画面内の上部には、メッセージ表示用の領域(メッセージ領域72M)が配置されており、「送信できます。宛先を読み取らせる場合は、枠線内に名刺を置いてください。」のメッセージが表示されている。
さらに、画面内には「アドレス帳」(登録された送信先の選択用)、「宛先一覧」(選択された宛先の確認表示用)、「アドレス入力」(メールアドレス、電話番号等の手入力用)のボタンと名刺読み取り領域92を示す枠線が表示されている。その状態で、制御部80は、読取表示部71に名刺読み取り領域92をくり返し読み取らせるように制御し(ステップS01)、読み取られた画像の特徴(例えば、名刺の輪郭形状や文字のレイアウトの特徴)を公知の画像認識技術によって認識し、名刺が置かれたことを検出することができる(ステップS03)。
【0039】
ここで、ユーザーが、名刺読み取り領域92の枠線内に名刺90(図7(b)参照)をうつ伏せにして置くと、制御部80は読取表示部71の読み取り結果から名刺90が名刺読み取り領域92に置かれたことを認識する。その認識結果に基づき、制御部80はメッセージ領域72Mに「名刺読み取り中です。名刺を動かさないでください。」のメッセージを表示させ、あらためて読取表示部71に名刺を読み取らせる(ステップS05)。精度よく認識処理を行うためである。
名刺90の画像が読み取られると、制御情報は、読み取られた画像の特徴から、文字認識処理を行うか、バーコード読み取り処理を行うかを判断する(ステップS07)。この実施形態の名刺90には文字が記載されているので、制御部80は文字認識処理を行うべきであると判断し(ステップS07のYes)、その判断に基づいて文字認識処理を行う(ステップS09)。一方、文字でないと判断した場合は、バーコードとして読取りの処理を行う(ステップS11)このような画像の特徴判定と文字認識技術あるいはバーコード読み取り技術は公知技術を利用して実現可能であるので、これ以上の詳細な説明は省略する。
制御部80は、文字認識の結果をユーザーに確認させ、かつ、宛先として利用する部分をユーザーに選択させるための画面を読取表示部71に表示させる(ステップS13)。図8は、その画面の一例を示す説明図である。図8に示されるように、制御部81は、メッセージ領域に「以下の制御情報が抽出されました。利用したい制御情報を選択のうえ、決定を押してください(複数可)。」のメッセージを表示させると共に、認識された文字列を画面に表示させる(ステップS4)。
【0040】
表示されたメッセージに応答して、例えば相手方のメールアドレスを示す文字列が表示された部分をユーザーが選択し、「決定」ボタン部を押下する操作を行うと、制御部80はそれらの操作を認識する(ステップS15のYes)。そして、図9に示されるように、認識結果の利用方法をユーザーが選択できるように、それらの候補を読取表示部71に表示させる(ステップS17)。メッセージ領域には、「希望する利用方法を選択のうえ、決定を押してください。」のメッセージを表示させる。
【0041】
図9の画面において、ユーザーが、例えば「送信先のメールアドレスに設定する」を選択し、「決定」ボタン部に触れると、制御部80はそれらの操作を認識する。(ステップS19)。そして、最終確認のために、送信先のメールアドレスを画面に表示させる(ステップS23)。図10は、送信先が画面に表示された状態を示す説明図である。図10の画面で、制御部80は送信先の確認内容として、「ファイル:xxxxxを、メールアドレス:tarou@(公序良俗違反につき、不掲載).co.jpに送信します。」と表示させる。また、メッセージ領域には、「内容を確認のうえ、よろしければ送信を押してください。」のメッセージを表示させる。
なお、この際、制御部80は、先に認識された文字列から「E−mail:」または「Mail:」といった文字列を削除した残りの文字列をメールアドレスとして取り扱う。
ユーザーが表示された内容を確認し「送信」を押下すると、制御部80はそれに応答し、画面に表示された制御情報(この説明ではメールアドレス)を選択された利用方法(この説明では、送信先のメールアドレスに設定)に応じて処理する(ステップS25)。即ち、原稿搬送読取部2で読み取られる画像の送信先メールアドレスとして設定する。
原稿搬送読取部2に原稿がセットされた状態でスタートキー76が押下されると、制御部80はそれを認識して原稿を原稿搬送読取部2に読み取らせ、読み取られた原稿画像を処理して送信可能な状態にする。
【0042】
また、異なる例として、図8に示される画面において、ユーザーが相手方の所属先の名称を示す文字列と相手方のメールアドレスを選択し(ステップS4)、図9に示される画面において「アドレス帳に登録する」を選択すると(ステップS7)、制御部80は、図11に示されるように「名称/名前:(公序良俗違反につき、不掲載);メールアドレス:tarou@(公序良俗違反につき、不掲載).co.jpをアドレス帳に登録します。」といった確認表示を読取表示部71に表示させ(ステップS8)、その画面でユーザーが表示内容を確認し登録を押下すると、それらの走査を認識して図12に示されるような「名称/名前」の読み入力画面を表示させ、読みの入力処理に移行する。入力が完了すると、メールアドレスとその読みとをアドレス帳(宛先格納部60)に登録(格納)するように制御する(ステップS9)。
【0043】
なお、この際にも制御部80は、「E−mail:」または「Mail:」といった文字列を含んだ制御情報をメールアドレスとして判断し、先に認識した文字列から「E−mail:」または「Mail:」といった文字列を削除した残りの文字列をメールアドレスとして取り扱い、アドレス帳に登録する。
一方、「E−mail:」または「Mail:」といった文字列を含んでいない制御情報は、原則として相手方の名称又は名前として判断され取り扱われる。
以上、宛先としてメールアドレスを例に説明したが、宛先がファクシミリ番号であっても同様である。
【0044】
次に、コピーモード時にコピー動作に係る機能設定を読み取らせる場合、制御部80が行う一連の制御フローについて図13に基づいて説明する。この実施形態で、前記機能設定の内容は2次元バーコードとして与えられるものとする。図14は、読み取り対象の2次元バーコードの一例を示す説明図である。この実施形態において、デジタル複合機1は、登録された機能設定の内容を2次元バーコードとして出力する機能を有している。なお、ある文字列やデータに基づいて、それに対応する2次元バーコードを生成する技術は公知である。この実施形態のデジタル複合機1は、公知技術を適用して制御情報に係る2次元バーコード91を生成し、印刷する。図13は、コピーモード時に制御部80が行う一連の制御フローを概略的に示したフローチャート図である。
【0045】
図4に示される操作パネルにおいて「コピー」のファンクションキー74が押下されると、制御部80は、読取表示部71の表示をコピー用の画面に切り換えるように制御する。図4に示す画面は、コピー用の画面の例である。メッセージ領域には、「コピー読み込みできます」のメッセージを表示させる。
また、制御部80は、原稿検知センサ12からの信号によって原稿が原稿搬送読取部2の原稿セットトレイ11にセットされたことを認識する。原稿がセットされるのは、「コピー」のファンクションキー74が押下される前でもよい。あるいは、後述するバーコード読取り処理の後であってもよい。この発明において、原稿画像の読取りは原稿搬送読取部2で行われ、一方、バーコードの読み取りは読取表示部71で行われるので原稿のセットとバーコード読み取りの先後は限定されず、ユーザーが操作しやすい手順で行うことができる。
コピーモードにおいて、図4に示される「機能設定の読取り」キースイッチ78が押下されると、制御部80はそれを認識し(ステップS31)、メッセージ領域に「機能設定を読み取ります。シートを読み取り領域の枠線内に置いてください。」の図示しないメッセージを表示させて待機する。また、画面に読み取り領域の枠線を表示させるように制御する(ステップS33)。制御部80は、機能設定の内容が記載されたシートが読取表示部71に置かれたかどうかを、読み取られた画像から判断する。この実施形態では、シートが置かれか否かの判断は、2次元バーコードの画像として認識可能な画像が読み取られたか否かによってなされる。
【0046】
ユーザーが、2次元バーコード91が印刷されたシートを読取表示部71におくと、制御部80はその画像の特徴部分を認識してシートがおかれたと判断し(ステップS35)バーコードの読み取り処理を行う(ステップS37)。このとき、制御部80は、メッセージ領域に、「読み取り中です。シートを動かさないでください。」のメッセージを表示させる。
【0047】
バーコードの読み取り処理が終了したら、制御部80は読み取られた画像に基づいてバーコードに埋め込まれた機能設定の内容を認識し、認識した内容を読取表示部71に表示させる。そして、表示された機能設定を画像形成(複写)に適用するかどうかをユーザーに確認する。そのため、「以下の複写条件が抽出されました。内容をご確認のうえ、よろしければ適用を押してください。」のメッセージをメッセージ領域に表示させる(ステップS39)。図15は、認識された機能設定の確認を求める画面を示す説明図である。図15の画面においてユーザーが「適用」ボタン部に触れると(ステップS41)、制御部80はそれを認識し、その複写条件を現在の設定に反映させるように制御する(ステップS43)。従って、その後、原稿搬送読取部2に原稿がセットされた状態でユーザーがスタートキー76を押下すると、反映された複写条件でコピー処理が行われる。
【0048】
コピーモードにおいても、機能設定の内容を保存できるようにしてもよい。そのような構成の場合、デジタル複合機は、図5に図示しない機能設定格納部をさらに備える。制御部80は、現在の機能設定を保存するために専用のメニュー画面を表示させることができる。ユーザーが機能設定保存用の画面を用いて現在設定されている機能設定を保存するため所定の操作を行うと、制御部80はそれに応答して現在の機能設定の内容を前記機能設定格納部へ格納する。格納された機能設定の内容は、後から呼び出すことができ、呼び出した機能設定の内容をバーコードに変換して印刷させることもできる。そのような機能は、公知の技術を組み合わせて実現できる。
【0049】
(デジタル複合機の動作説明)
以下に、コピーモードを例に、図1および図2に示すデジタル複合機1の動作を説明する。
まず、原稿が原稿搬送読取部2の原稿セットトレイ11にセットされると、原稿検知センサ12は原稿がセットされたことを検出する。
その後、ユーザーは原稿搬送読取部2の操作パネル70を操作し、必要に応じて記録用紙のサイズや変倍率等を入力設定し、複写の開始を指示する。
これらの操作に応答して原稿搬送読取部2では、原稿セットトレイ11上の原稿がピックアップローラ13により順次送り出され、サバキ板14と搬送ローラ15との間を通って1枚ずつプラテンガラス16上へと搬送された後、プラテンガラス16上を所定方向(副走査方向)に搬送され、原稿排出トレイ17へと排出される。
【0050】
このとき、第1読取部21によって原稿の表面側の画像が読み取られる。図2に図示しない制御部80(図5参照)は、第1読取部21の第1走査ユニット23および第2走査ユニット24をそれぞれホームポジションに移動させておき、原稿がプラテンガラス16上に搬送されてくるタイミングに合せて、第1走査ユニット23の露光ランプを発光させ、プラテンガラス16を介して原稿の表面を照射するように制御する。
原稿の表面から反射した反射光は、第1および第2走査ユニット23,24の各反射ミラーにより光路変換されて結像レンズ26へ導かれ、集光されてCCD(Charge Coupled Device)27に結像させられる。
【0051】
また、原稿の裏面側の画像は第2読取部22によって読み取られる。第2読取部22はプラテンガラス16の上方に配置されている。
第2読取部22は、原稿の裏面を照射する露光ランプ(LED(Light Emitting Diode)アレイ、蛍光灯等)、画素毎に原稿の反射光を集光するセルフォックレンズアレイ、セルフォックレンズアレイを介して受光した原稿の反射光を光電変換してアナログの画像信号を出力する密着イメージセンサ(CIS(Contact Image Sensor))等から構成されている。
【0052】
原稿搬送読取部2の上部筐体を開き、プラテンガラス16上に原稿を載置して原稿の画像を読み取ることもできる(原稿固定方式)。その場合、複写開始が指示されると、第1読取部21の第1走査ユニット23は原稿を照射しながら速度Vでホームポジションから副走査方向に移動し、それと同時に第2走査ユニット24も速度V/2でホームポジションから副走査方向に移動する。
これにより、原稿からの反射光は、常に光路長を一定に保ちつつ結像レンズ26を介してCCD27へ結像させられる。
【0053】
このようにして原稿の片面もしくは両面の画像が読み取られると、読み取られた画像データがマイクロコンピュータ等で構成される制御部80に入力される。
制御部80に入力された画像データには各種の画像処理が施され、印刷部3へ出力される。
印刷部3は、画像データに対応する画像を記録用紙に印刷する部分であって、感光体ドラム31、帯電装置32、レーザスキャンユニット33、現像装置34、転写装置35、クリーニング装置36、除電装置(図示せず)、定着装置37等から主に構成されている。
【0054】
また、印刷部3には、主搬送路38および反転搬送路39が設けられており、給紙部4から給紙された記録用紙は主搬送路38に沿って搬送される。
給紙部4は、用紙カセット41に収納された記録用紙、または手差トレイ42に載置された記録用紙を1枚ずつ繰り出して印刷部3の主搬送路38へ送り出す。
【0055】
印刷部3の主搬送路38に沿って記録用紙が搬送されているあいだに、記録用紙は感光体ドラム31と転写装置35との間を通過し、更に定着装置37を通過することにより記録用紙に対する印刷が行われる。
感光体ドラム31は一方向に回転しており、その表面はクリーニング装置36によってクリーニングされ除電装置により除電された後、帯電装置32によって均一に帯電される。
レーザスキャンユニット33は、原稿搬送読取部2により読み取られ、制御部80で画像処理が施された画像データに基づいてレーザ光を変調し、このレーザ光で感光体ドラム31の表面を主走査方向に繰り返し走査することにより、感光体ドラム31の表面に静電潜像を形成する。
【0056】
現像装置34は、トナーを感光体ドラム31の表面に供給して静電潜像を顕像化し、トナー像を感光体ドラム31の表面に形成する。
転写装置35は、転写装置35と感光体ドラム31との間を通過していく記録用紙に感光体ドラム31の表面に形成されたトナー像を転写する。
定着装置37は記録用紙を加熱および加圧し、記録用紙上の未定着トナー像を溶融させて定着させる。
【0057】
主搬送路38と反転搬送路39との接続箇所には、分岐爪43が配設されている。記録用紙の片面だけに印刷が行われる場合は分岐爪43が図2に示される位置に位置決めされ、この分岐爪43により定着装置37を通り抜けた記録用紙は排紙トレイ44または後処理装置5の方へと導かれる。
一方、記録用紙の両面に印刷が行われる場合は、片面の印刷が済んだ記録用紙を反転搬送路39へ導くように分岐爪43が回動する。反転搬送路39へ導かれた記録用紙は、反転搬送路39の途中でスイッチバックされることにより表裏が反転されて再び主搬送路38へ搬送される。
主搬送路38へ搬送された記録用紙は、転写および定着工程を経て裏面に印刷がなされ、再び回動して元の位置に戻った分岐爪により、排紙トレイ44または後処理装置5の方へと導かれる。
【0058】
このようにして印刷された記録用紙は、排紙トレイ44または後処理装置5の方へと導かれて排紙トレイ44に排出されるか、あるいは、後処理装置5に備えられた複数の排紙トレイ5aのいずれかに排出される。
後処理装置5では、複数の記録用紙を各排紙トレイ5aに仕分けして排出したり、各記録用紙にパンチング処理を施したり、各記録用紙にステープル処理を施す。
例えば、複数部の印刷物を作成する場合は、各排紙トレイ5aに一部の印刷物が割り当てられるように、記録用紙を各排紙トレイ5aに仕分けして排出し、排紙トレイ5a毎にパンチング処理やステープル処理を施して、印刷物を作成する。
【0059】
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明の実施形態に係るデジタル複合機の外観斜視図である。
【図2】図1に示されるデジタル複合機の全体構成を示す説明図である。
【図3】この発明の実施形態に係るデジタル複合機がネットワークを介して相手先の端末と接続された状態を示す説明図である。
【図4】操作パネル部の構成を示す説明図である。
【図5】デジタル複合機の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】「ファックス/イメージ送信」時に制御部が行う一連の制御フローを概略的に示したフローチャート図である。
【図7】名刺読み取り可能なファクシミリ送信用の設定画面を示す説明図である。
【図8】読取表示部の表示例を示す説明図である。
【図9】読取表示部の表示例を示す説明図である。
【図10】読取表示部の表示例を示す説明図である。
【図11】読取表示部の表示例を示す説明図である。
【図12】読取表示部の表示例を示す説明図である。
【図13】コピーモード時に制御部が行う一連の制御フローを概略的に示したフローチャート図である。
【図14】印刷物としての2次元バーコードを示す説明図である。
【図15】読取表示部の表示例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0061】
1・・・デジタル複合機
2・・・原稿搬送読取部
3・・・印刷部
4・・・給紙部
5・・・後処理装置
5a,44・・・排紙トレイ
7・・・USBインターフェース
11・・・原稿セットトレイ
12・・・原稿検知センサ
13・・・ピックアップローラ
14・・・サバキ板
15・・・搬送ローラ
16・・・プラテンガラス
17・・・原稿排出トレイ
21・・・第1読取部
22・・・第2読取部
23・・・第1走査ユニット
24・・・第2走査ユニット
26・・・結像レンズ
27・・・CCD
31・・・感光体ドラム
32・・・帯電装置
33・・・レーザスキャンユニット
34・・・現像装置
35・・・転写装置
36・・・クリーニング装置
37・・・定着装置
38・・・主搬送路
39・・・反転搬送路
43・・・分岐爪
50・・・送受信部
60・・・宛先格納部
61・・・機能設定格納部
70・・・操作パネル
71・・・読取表示部
72,73,74・・・ファンクションキー
75・・・テンキー
76・・・スタートキー
77・・・クリアキー
78・・・設定機能の読取りキー
79・・・指示入力部
80・・・制御部
81・・・CPU
82・・・ROM
83・・・RAM
84・・・I/Oポート
85・・・ハードディスク装置、HDD
90・・・名刺
91・・・2次元バーコード
99・・・ユーザーの指先
100・・・ネットワーク
200・・・他の複合機
300・・・ファクシミリ
400・・・コンピュータ端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーから操作を受け付ける操作部を有し、入力された画像を処理して出力する画像処理部と、
前記操作部に配置され、画像を読み取る機能と画像の処理に係る情報を制御情報として表示する機能とを兼ね備える読取表示部と、
前記操作部にあって画像の処理に係る指示入力を受け付ける指示入力部と、
前記画像処理部、読取表示部および指示入力部の動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記制御情報を示す画像を操作部の読取表示部に読み取らせ、読み取られた画像に基づく制御情報を得、得られた制御情報を用いて画像処理部の動作を制御することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
原稿画像を読み取る原稿読取部をさらに備え、
前記制御部は、原稿画像を前記原稿読取部に読み取らせると同時に制御情報に係る画像を前記読取表示部に読み取らせるよう制御する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
有線または無線で通信可能な外部の機器へ原稿画像を送信する通信部をさらに備え、
前記制御情報は画像の送信先に係る情報を含み、
前記制御部は、前記読取表示部を制御して名刺を読み取らせ、読取られた画像に基づいて送信先の情報を取得する請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記読取表示部は、その表面に触れた操作者の指先または所定の指示用部材を画像として読取り、
前記指示入力部は、読み取られた指先または指示用部材の画像とその位置の情報とを指示として受け付け、
前記制御部は、読み取られた名刺の画像とその画像中でメールアドレスを取得すべき部分の指定を求める表示を前記読取表示部に表示させるよう制御し、前記指先または指示用部材が触れた位置からメールアドレスを取得すべき部分を決定する請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、読み取られた名刺の画像からメールアドレスの文字を抽出する請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、読み取られた名刺の画像からファックス番号の文字を抽出する請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、制御情報を示す一次元または二次元バーコードの画像を前記読取表示部に読み取らせるよう制御し、読取られた画像から制御情報を取得する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
読み取られた原稿画像を印刷として出力する印刷部をさらに備え、
前記制御情報は原稿画像の印刷設定に係る情報を含み、
前記制御部は、前記読取表示部を制御して印刷設定が記載されたシートを読み取らせ、読取られた画像に基づいて印刷設定を取得する請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
原稿読取部を用い、外部の機器へ送信すべき原稿画像を読み取らせる工程と、
画像の処理に係る制御情報を画像として読み取る制御情報読取機能と前記制御情報を表示する表示機能とを兼ね備える読取表示部に原稿画像の送信先に係る前記制御情報を読み取らせる工程と、
読取られた画像に基づいて送信先の情報を取得する工程と
通信部を用いて前記送信先へ前記原稿画像を送信する工程とを備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
原稿読取部を用い、外部の機器へ送信すべき原稿画像を読み取らせる工程と、
画像の処理に係る制御情報を画像として読み取る制御情報読取機能と前記制御情報を表示する表示機能とを兼ね備える読取表示部に印刷設定に係る前記制御情報を読み取らせる工程と、
読取られた画像に基づいて印刷設定の内容を取得する工程と
取得した印刷設定に基づいて、原稿画像を印刷部に印刷させる工程を備えることを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−141402(P2009−141402A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312313(P2007−312313)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により明細書の一部または全部を不掲載とする。
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】