説明

画像処理装置及びその制御方法、プログラム

【課題】画像処理装置で処理される印刷データを予め予測して画像データに展開して準備することで、印刷データを速やかに印刷するための仕組みを提供する。
【解決手段】印刷データが画像データに展開されて印刷する画像処理装置において、印刷処理の履歴情報に基づいてレンダリング予約テーブル及び印刷頻度管理テーブルを作成して管理する。そして、電源オン時又は日付変更時に、レンダリング予約テーブルまたは印刷頻度管理テーブルに管理されている印刷データのうち、レンダリングされていない印刷データをラスタデータに展開しておく(S506)。そして、ユーザが印刷すべき印刷データを選択すると、予め準備されているラスタデータを用いて印刷処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶手段に記憶されている印刷データを読み出して印刷する機能を有する画像処理装置及びその制御方法、プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷処理が実行された印刷データを印刷処理が終了した後も記憶装置に記憶しておいて、その印刷データを記憶装置から読み出して再印刷することが知られている。特に、特許文献1に記載された技術によれば、印刷データをビットマップの画像データに展開した後、このビットマップ画像データをメモリに記憶しておいて、再印刷時にはこの画像データを読み出して印刷することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−175290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の場合は、印刷処理を実行した全てのビットマップ画像データを記憶するため、大容量のメモリが必要になってしまうという問題がある。
また、特許文献1には、メモリが一杯になった場合は、古い順からビットマップ画像データを消去することも記載されているが、古いからといって再印刷を行わないとは限らない。このため、再印刷を行おうとしたときに所望のデータが既に消されてしまっているという場合も考えられる。
更に、たとえば印刷処理の終了後に印刷データ(または画像データ)を外部の記憶装置に記憶させておくことも考えられる。
しかしながら、この場合、再印刷を行おうとしたときに、外部の記憶装置から印刷データ(または画像データ)をダウンロードしてくるのに時間がかかってしまう場合があった。このため、結果として速やかに印刷を実行できなくなり、作業効率が低下してしまう。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、画像処理装置で処理される印刷データを予め予測して画像データに展開して準備することで、印刷データを速やかに印刷するための仕組みを提供することを目的とする。
【0006】
また、画像処理装置で処理される印刷データを予め予測して外部装置から取得して準備することで、印刷データを速やかに印刷するための仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明の画像処理装置は、印刷データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている印刷データを読み出して画像データに展開する展開処理を実行する展開手段と、前記展開手段により得られた画像データに基づいて印刷処理を実行する印刷手段と、前記印刷手段により実行された印刷処理の履歴情報を管理する管理手段と、前記管理手段により管理されている履歴情報に基づいて、前記展開手段に前記展開処理を実行させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像処理装置で処理される印刷データを予め予測して画像データに展開して準備することで、印刷データを速やかに印刷することができる。
また、画像処理装置で処理される印刷データを予め予測して外部装置から取得して準備することで、印刷データを速やかに印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態を示す画像処理装置のハードウエアを示すブロック図である。
【図2】画像処理装置内で保存される文書ファイルの構成を示す図である。
【図3】本実施形態を示す画像処理装置における文書管理状態を示す図である。
【図4】図1に示したHDDで管理される文書管理テーブルの一例を示す図である。
【図5】本実施形態を示す画像処理装置のデータ処理のフローチャートである。
【図6】本実施形態を示す画像処理装置のデータ処理のフローチャートである。
【図7】本実施形態を示す画像処理装置における文書管理状態を示す図である。
【図8】図7に示すHDDで管理される操作履歴管理テーブルを示す図である。
【図9】本実施形態を示す画像処理装置のデータ処理のフローチャートである。
【図10】本実施形態を示す画像処理装置のデータ処理のフローチャートである。
【図11】画像処理装置内で保存される文書ファイルの構成を示す図である。
【図12】本実施形態を示す画像処理装置のデータ処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
<システム構成の説明>
〔第1実施形態〕
図1は、本実施形態を示す画像処理装置のハードウエア構成を示すブロック図である。本実施形態では、画像処理装置の一例として、プリンタ部とスキャナ部とを備えるMFP(Multi Function Peripheral)を示す。画像処理装置は、ネットワークを介してホストコンピュータから印刷データを受信して、プリンタ部が印刷可能なビットマップ形式の画像データに展開する機能を備える。ここで、印刷データには、ページ記述言語に基づくPDLデータやPDFファイル等が含まれる。なお、本実施形態では、印刷データを文書ファイルと呼び、印刷データはHDD108で管理されているものとする。
図1において、100は画像処理装置全体を制御するコントローラで、以下を備える。CPU101は、画像処理装置のソフトウェアプログラムを実行し、装置全体の制御を行う。ROM102は、装置のブートプログラムや固定パラメータ等が格納されている。RAM103は、CPU101が装置を制御する際に、一時的なデータの格納などに使用する。
【0011】
ハードディスクドライブ(HDD)108は、プリンタ110で印刷される印刷データの格納や行動履歴ログ、ドキュメントに関連付けられたインデックス情報など、様々なデータの格納に使用される。なお、本実施形態における画像データとは、印刷データをラスタイメージに展開する処理(レンダリング処理)により生成されるデータであって、プリンタ110が処理可能なデータのことを示す。
【0012】
タイマ112は、タイマ処理における経過時刻の管理を行う。プリンタI/F制御部104は、プリンタ110を制御する。NVRAM105は、不揮発性のメモリであり画像処理装置の各種設定値を保存する。
パネル制御部106は、オペレーションパネル109を制御し、各種情報の表示、ユーザからの指示入力を行う。ネットワークI/F制御部107は、LAN111上の外部装置との間のデータ送受信を制御する。
バス113には、CPU101、ROM102、RAM103、HDD108、タイマ112、プリンタI/F制御部104、NVRAM105、パネル制御部106、ネットワークI/F制御部107が接続される。CPU101は、バス113に接続される上記各装置からの制御信号や各装置間のデータ信号を送受信する。
【0013】
図2は、図1に示した画像処理装置内で保存される文書ファイルの構成を示す図である。本実施形態では、図1に示したHDD108で文書ファイルが管理される。また、本例は、ログインしたユーザに対応付けて、そのユーザが実行した印刷処理の履歴情報を管理する。
図2において、201は、文書とそれに紐付けられたインデックス情報を保存できるHDD108を備える画像処理装置を示している。
文書ファイル202,203,204はHDD108内に保存されている。文書ファイル202,203,204は複数ページからなる文書データで構成される。205は、文書ファイル204に紐付けられているインデックス情報テーブルを示している。そして、本インデックス情報には行動分類、印刷設定、利用日時(曜日)、利用したユーザ名などの情報が記述されている。
【0014】
206はユーザで、ユーザ名が「B」であり、当該ユーザ206が画像処理装置201に保存されている文書ファイル204を印刷すると、インデックス情報テーブル205がインデックス情報テーブル207の内容に更新される。ここでは、ユーザ206は、文書ファイル204を2007年6月14日の木曜日に等倍でプリントした場合を例とする。これにより、画像処理装置201内に保存されているインデックス情報にユーザ206による履歴が追記される。
図2に示す例では、ユーザ名が「B」の印刷操作により文書204のインデックス情報テーブル205の状態に新しい情報が追記されると、インデックス情報テーブル207に更新されることを示している。
【0015】
図3は、本実施形態を示す画像処理装置における文書ファイルの管理方法を示す図である。図3において、ラスタデータ301は、CPU101がRAM103を用いて、文書ファイル204に対しレンダリング処理を行い生成したラスタデータである。ラスタデータ301は、プリンタ110が解釈可能な状態とした画像データである。ラスタデータは、その元データである文書ファイル204と紐付けて管理されている。
【0016】
図4は、図1に示したHDD108で管理される文書管理テーブルの一例を示す図である。図4(A)に示す文書管理テーブルは、レンダリング予約テーブルであり、文書ファイルとラスタファイルとを曜日別に管理している。例えば、「金曜」の行には、文書205と「ラスタ_金1」という名称のラスタデータが示されている。これは、金曜日に文書205が定期的に印刷されることが多いことから、毎週金曜日に文書205に対応するラスタデータである「ラスタ_金1」を準備しておく必要があることを示している。
また、図4(B)に示す文書管理テーブルは文書ファイルとラスタファイルの印刷頻度を管理している。本例では、レンダリング予約テーブルでは連続3週以上同じ曜日に印刷されている文書がリストアップ対象となっている。また、リストアップした文書にはラスタデータ化した際のファイル名も同テーブルに保持される。しかしながら、一つの曜日に最大3文書しか登録できないように制限されている。
これに対して、図4(B)に示す印刷頻度管理テーブルでは、月辺りの印刷回数を文書ファイル毎に区別して管理しており、その回数の上位3文書がリストアップされている。
【0017】
図5及び図6は、本実施形態を示す画像処理装置のデータ処理手順の一例を示すフローチャートである。図5に示す処理は事前処理に対応し、図6に示す処理は、プリント処理に対応する。なお、フローチャートに示す各ステップは、図1に示したCPU101がROM102、HDD108に格納される制御プログラムをRAM103にロードして実行することで実現される。
本実施形態では、図2に示した履歴情報に基づいて、ユーザによる再印刷が実行される可能性が高そうな印刷データをCPU101が特定し、図4(A)に示したレンダリング予約テーブル及び図4(B)に示した履歴情報管理テーブルを作成しておく。そして、画像処理装置の電源がオンになったこと、または日付が変化したことをトリガーとして、図5に示す手順に従って前もって印刷データの展開処理を自動的に行う。
まず、図5に示すステップS501で、画像処理装置201の電源がONとなる、または日付が変更されるとステップS502に進む。ステップS502では、CPU101は、画像処理装置201内の記憶装置であるHDD108に保持しているレンダリング予約テーブル及び印刷頻度管理テーブルにアクセスし、それらの内容を参照する。
次に、ステップS503で、CPU101は、ステップS502で参照したレンダリング予約テーブル及び印刷頻度管理テーブルの内容に基づいて、HDD108に保持されているラスタデータのうち、不要なラスタデータが存在するか否かを判定する。
【0018】
具体的には、まずレンダリング予約テーブルを参照し、処理を実行している当日の曜日に対応していない文書ファイルのラスタデータを不要と判断する。つまり、例えば図4(A)に示す例で金曜に処理を実行しているものとすると、文書205に対応するラスタデータは必要なものと判断され、文書204に対応するラスタデータは不要なものと判断されることになる。
次に、印刷頻度管理テーブルを参照し、テーブル内に含まれていない文書ファイルのラスタデータを不要と判断する。つまり、図4(B)に示す例では、文書aaaに対応するラスタデータは必要なものと判断され、文書bbbに対応するラスタデータは不要なものと判断されることになる。
ステップS503で、不要なラスタデータが存在しないと判定した場合は、ステップS505に進み、不要なラスタデータが存在すると判定した場合は、ステップS504に進む。ステップS504では、不要と判断されたラスタデータを消去(削除)する。なお、ここでは不要と判断されたラスタデータをHDD108から消去する処理を行うものとするが、データを実際に消去するのではなく単に使用できない状態にする処理を行うだけでも良い。
ステップS505では、CPU101は、ステップS502で参照したレンダリング予約テーブル及び印刷頻度管理テーブルの内容に基づいて、新たにラスタデータを生成する必要があるか否かを判定する。
【0019】
具体的には、まずレンダリング予約テーブルを参照し、処理を実行している当日の曜日に対応している文書ファイルのうち、対応するラスタデータがHDD108に保持されていないものが存在する場合に、ラスタデータを生成する必要があると判定する。つまり、例えば図4(A)に示す例で木曜に処理を実行しているものとし、文書204に対応するラスタデータが保持されていなかったとすれば、文書204に対応するラスタデータを新たに生成する必要があると判断されることになる。
次に、印刷頻度管理テーブルを参照し、テーブル内に含まれていない文書ファイルのうち、対応するラスタデータがHDD108に保持されていないものが存在する場合に、ラスタデータを生成する必要があると判定する。つまり、図4(B)に示す例では、文書aaaに対応するラスタデータが保持されていなかったとすれば、文書aaaに対応するラスタデータを新たに生成する必要があると判断されることになる。
【0020】
ステップS505で、新たにラスタデータを生成する必要がないと判定した場合は、そのまま処理を終了し、新たにラスタデータを生成する必要があると判定した場合は、ステップS506に進む。ステップS506では、ラスタデータの生成が必要と判断された文書ファイルをHDD108から読み出してレンダリング処理を実行し、ラスタデータを生成する。以上がプリント処理の事前処理に対応する。
次に、図6を用いて文書ファイルの印刷処理について説明する。図6に示すステップS601で、ユーザによりHDD108に保持されている文書ファイルが選択され、オペレーションパネル109に表示されるユーザインタフェースを用いて印刷処理の実行が指示されるとステップS602に進む。
ステップS602では、CPU101は、ユーザにより選択された文書ファイルに対応するラスタデータが既に作成されているか否かを判定する。そして、ステップS602での判定の結果、ラスタデータが作成されていればステップS604に進み、作成されていなければステップS603に進む。ステップS603では、選択された文書ファイルをHDD108から読み出してレンダリング処理を実行し、ラスタデータを生成する。
【0021】
ステップS604では、選択された文書ファイルに対応するラスタデータをHDD108から読み出してプリンタ110による印刷処理を実行する。そして、続くステップS605では、図2を用いて説明した方法により、印刷された文書ファイルに対応するインデックス情報を更新する。
ステップS606では、更新したインデックス情報に基づいて、ステップS604で印刷処理を行った文書ファイルが、3週連続で同じ曜日に印刷処理されているか否かを判定する。この判定の結果、3週連続で同じ曜日に印刷処理されている場合は、ステップS607に進み、図4(A)のレンダリング予約テーブルに新たに追記する。
【0022】
続くステップS608では、ステップS604で印刷処理を行った文書ファイルが1ヶ月間で印刷された回数をカウントし、図4(B)の印刷頻度管理テーブルに記録されている他の文書ファイルの印刷回数と比較する(ステップS609)。この比較の結果、ステップS604で印刷処理を行った文書ファイルの印刷回数が他の文書よりも多い場合は、ステップS610に進み、ステップS604で印刷処理を行った文書ファイルを印刷頻度管理テーブルに新たに記録する。
【0023】
ステップS611では、図4(A)のレンダリング予約テーブル及び図4(B)の印刷頻度管理テーブルを参照し、ステップS604で印刷処理を行った文書ファイルのラスタデータを保存するかどうかを判定する。なお、ここではレンダリング予約テーブル及び印刷頻度管理テーブルの少なくとも一方に記録されている場合は、ラスタデータを保存すると判定するものとするが、印刷頻度管理テーブルに記録されている場合のみ保存すると判定するようにしても良い。
ステップS611の判定の結果、ラスタデータを保存しないと判定した場合はステップS612に進み、印刷処理に用いたラスタデータを削除する。一方、ラスタデータを保存すると判定した場合はそのまま処理を終了する。
以上の処理により、HDD108に保存されている文書ファイルのうち、印刷が指示される可能性が高い文書ファイルを自動的に選択し、その文書ファイルのラスタデータを事前に準備しておくことができる。これにより、文書ファイルの印刷が指示された場合に、速やかに印刷処理を実行することが可能となる。
つまり、レンダリング予約テーブルまたは印刷頻度管理テーブルに記録されている文書ファイルについては、次回、同文書ファイルを印刷する時に、改めてレンダリング処理を実行することなく、即座に印刷することが可能となる。
なお、本実施形態では、「3週間連続で同じ曜日に同じ処理方法で印刷されている文書があるか」、「1ヶ月間に何回印刷されているか」といったアルゴリズムにて文書の行動予測を行っている場合を説明した。しかしながら、本発明は、上記アルゴリズムに限定されるものではなく、他の態様であっても構わない。
【0024】
〔第2実施形態〕
第1実施形態では、画像処理装置自体が備える記憶装置内で管理されている文書ファイルの操作履歴情報又は印刷頻度に基づいて事前にレンダリング処理を行う場合について説明した。以下、画像処理装置が管理する操作履歴情報に基づいて他の画像処理装置の記憶装置やネットワーク上の記憶装置に記憶されている文書ファイルを事前に取得(ダウンロード)して処理する例について説明する。
また、上記実施形態は、「履歴情報」が印刷データ(又は画像データ)の属性情報として管理されている場合について説明した。本実施形態では、画像処理装置が管理している(操作)履歴情報に基づいて出力準備処理(レンダリング処理やダウンロードなど)を行う実施形態について説明する。
【0025】
図7は、本実施形態を示す画像処理装置における文書管理状態を示す図である。本例は、画像処理装置がネットワークを介して記憶装置を備える外部装置と通信可能なネットワークシステムの例である。本実施形態では、外部装置として、ネットワークに接続される画像処理装置の例を示すが、サーバやPCなどの各種情報処理装置でもよい。
図7において、画像処理装置701はLAN111に接続されており、LAN111に接続された他の機器、例えば画像処理装置702とデータの送受信を可能としている。また、画像処理装置701はその内部にHDD108を内蔵しており、ユーザにより画像処理装置701上で行われた操作履歴(行動履歴)および文書705をHDD108に格納している。
画像処理装置702は、画像処理装置701と同様のネットワーク111に接続されており、そのネットワーク111に接続された機器とデータの送受信を可能としている。
また、画像処理装置702は、その内部にデータ保持のためのHDD703を内蔵し、HDD703には文書ファイル704と文書ファイル706が保存されている。
なお、矢印707は、画像処理装置701を操作するユーザからの指示に基づきHDD403に保存されている文書ファイル704が、LAN111を介して画像処理装置701のHDD108へ転送される状態を示している。
【0026】
図8は、図7に示した画像処理装置701が備えるHDD108に管理される操作履歴管理テーブルの一例を示す図である。本例では、画像処理装置701のHDD108内に保存される操作履歴を行動毎に分類して管理している。したがって、当該管理テーブルでは、画像処理装置701が画像処理装置702から文書ファイル704を取得してプルプリントした履歴が管理されている。
【0027】
図8において、操作履歴管理テーブル801は、HDD108へ格納されている情報であり、ユーザによりFAX送信やBOXプリント、コピー動作など画像処理装置701に対して実行させたときの操作内容の履歴に対応する。なお、操作履歴管理テーブル801は、行動分類802、ファイルパス803、電話番号804、日時805の項目を行動履歴として管理している。
【0028】
ここで、行動分類802は、画像処理装置701に実行させたアクションをFAX送信、コピー、BOXプリント、プルプリント、SEND等で分類したものである。ファイルパス803は、FAXやプリントされた文書の所在を示したものであり、当該画像処理装置701内だけでなくLAN111により接続された画像処理装置702や、図示しないサーバなどのパスが管理される。電話番号804は、FAX操作した際の送信先電話番号である。日時805は、FAX送信やコピー動作、プリント動作などをした時間である。
また、806はファイルパスの一例であり、「¥¥画像処理装置402¥BOXNo.01¥文書404」というファイルを他の画像処理装置702からダウンロードしプルプリントしたことを示している。
また、画像処理装置701に含まれているCPU101によりHDD108に格納されている操作履歴管理テーブル801を「毎週同じ曜日に同じ処理方法で印刷されている文書があるか」、「毎日同じ時間で印刷している文書があるか」といったアルゴリズムにて解析する。
【0029】
図9及び図10は、本実施形態を示す画像処理装置のデータ処理手順の一例を示すフローチャートである。図9に示す処理は事前処理に対応し、図10に示す処理は、プリント処理に対応する。なお、フローチャートに示す各ステップは、図1に示したCPU101がROM102、HDD108に格納される制御プログラムをRAM103にロードして実行することで実現される。
本実施形態では、図8に示した操作履歴管理テーブル801に基づいて、ユーザによる再印刷が実行される可能性が高そうな印刷データをCPU101が特定する。そして、画像処理装置の電源がオンになったこと、または日付が変化したことをトリガーとして、図9に示す手順に従って前もって文書データのダウンロード処理を自動的に行う。
【0030】
まず、図9に示すステップS901で、画像処理装置201の電源がONとなる、または日付が変更されるとステップS902に進む。ステップS902では、CPU101は、画像処理装置201内の記憶装置であるHDD108に保持している操作履歴管理テーブル801にアクセスし、その内容を参照する。
次に、ステップS903で、CPU101は、ステップS902で参照した操作履歴管理テーブルの内容に基づいて、HDD108に保持されているダウンロードデータのうち、不要なダウンロードデータが存在するか否かを判定する。
具体的には、操作履歴管理テーブルを参照し、処理を実行している当日の曜日に印刷されたことがない文書ファイルのデータを不要と判断する。また、操作履歴管理テーブルに所定数以上のレコードが記録されていない文書ファイルのデータを不要と判断してもよい。
【0031】
ステップS903で、不要なダウンロードデータが存在しないと判定した場合は、ステップS905に進み、不要なダウンロードデータが存在すると判定した場合は、ステップS904に進む。ステップS904では、不要と判断されたダウンロードデータを消去する。なお、ここでは不要と判断されたダウンロードデータをHDD108から消去する処理を行うものとするが、データを実際に消去するのではなく単に使用できない状態にする処理を行うだけでも良い。
ステップS905では、CPU101は、ステップS902で参照した操作履歴管理テーブル801の内容に基づいて、新たに文書ファイルをダウンロードする必要があるか否かを判定する。
【0032】
具体的には、操作履歴管理テーブルを参照し、処理を実行している当日の曜日に印刷されたことがある文書ファイルのうち、データがHDD108に保持されていないものが存在する場合に、文書ファイルのデータをダウンロードする必要があると判定する。また、操作履歴管理テーブルに所定数以上のレコードが記録されている文書ファイルのうち、データがダウンロードされていないものが有る場合に、文書ファイルのデータをダウンロードする必要があると判定してもよい。
【0033】
ステップS905で、新たに文書ファイルをダウンロードする必要がないと判定した場合は、そのまま処理を終了し、新たに文書ファイルをダウンロードする必要があると判定した場合は、ステップS906に進む。ステップS906では、データのダウンロードが必要と判断された文書ファイルのデータをダウンロードする。以上がプリント処理の事前処理に対応する。
次に、図10を用いて文書ファイルの印刷処理について説明する。図10に示すステップS1001で、ユーザによりHDD108に保持されている文書ファイルが選択され、オペレーションパネル109に表示されるユーザインタフェースを用いて印刷処理の実行が指示されるとステップS1002に進む。
【0034】
ステップS1002では、CPU101は、ユーザにより選択された文書ファイルに対応するデータが既にダウンロードされているか否かを判定する。そして、ステップS1002での判定の結果、データがダウンロードされていればステップS1004に進み、作成されていなければステップS1003に進む。ステップS1003では、選択された文書ファイルのデータをダウンロードする。
ステップS1004では、選択された文書ファイルに対応するデータをHDD108から読み出してプリンタ110による印刷処理を実行する。そして、続くステップS1005では、操作履歴管理テーブル801を更新する。
【0035】
ステップS1006では、更新した操作履歴管理テーブル801に基づいて、ステップS1004で印刷処理を行った文書ファイルが、3週連続で同じ曜日に印刷処理されているか否かを判定する。この判定の結果、3週連続で同じ曜日に印刷処理されている場合は、そのまま処理を終了する。一方、3週連続で同じ曜日に印刷処理されていない場合は、ステップS1007に進み、ステップS1004で印刷処理を行った文書ファイルが1ヶ月間で印刷された回数をカウントし、操作履歴管理テーブルに記録されている他の文書ファイルの印刷回数と比較する(ステップS1008)。この比較の結果、ステップS1004で印刷処理を行った文書ファイルの印刷回数が他の文書よりも多い場合は、そのまま処理を終了する。ステップS1008の判定の結果、印刷頻度が上位でないと判定した場合はステップS1009に進み、印刷処理に用いたダウンロードデータを削除する。
以上の処理により、HDD108に保存されている文書ファイルのうち、印刷が指示される可能性が高い文書ファイルのデータを自動的にダウンロードし、その文書ファイルのデータを事前に準備しておくことができる。これにより、文書ファイルの印刷が指示された場合に、速やかに印刷処理を実行することが可能となる。
【0036】
〔第3実施形態〕
第2実施形態においては、画像処理装置全体の操作履歴管理テーブル501を利用して行動予測を行う場合について説明した。これに対して、操作履歴(操作ログ)をユーザ毎に持ち、そのログインしたユーザごとに行動予測を行う。そして、ユーザIDが入力された場合に、その行動要予測結果に基づいて、そのユーザIDに適応した推奨操作画面を表示する構成としてもよい。以下、その実施形態について説明する。
【0037】
図11は、本実施形態を示す画像処理装置で管理される操作履歴テーブルの一例を示す図である。本例は、操作履歴テーブルが、認証可能なユーザ毎に区別して管理している例である。なお、操作履歴テーブル1103〜1105は、画像処理装置1101が備える記憶媒体1102の中のユーザログ領域で管理されている。また、HDD1102は、例えば図1に示したHDD108で構成される場合を示すが、他の記憶媒体であってもよい。また、記録媒体1102には、ユーザログ領域の他に、システムデータ領域、文書データ領域が確保されている。
図11において、1101は画像処理装置であり、図1に示した画像処理装置と同等のハードウエア資源を備えている。1102はHDDで、画像処理装置1101に内蔵され、HDD1102にシステムデータや文書データ、ユーザログが記憶されている。
1103はユーザAの操作ログの一例であり、HDD1102に保存されている。特に、ユーザAの本操作ログでは、行動分類にコピーやFAX動作が多いことが示されている。1104はユーザBの操作ログの一例であり、HDD1102に保存されている。特に、ユーザBの本操作ログでは、行動分類にBOXプリントが多いことを示している。
1105はユーザCの操作ログの一例であり、HDD1102に保存されている。特に、ユーザCの本操作ログでは、行動分類にコピーが多いことを示している。
【0038】
図12は、本実施形態を示す画像処理装置におけるデータ処理手順の一例を示すフローチャートである。本例は、ユーザの操作履歴を管理する処理例である。また、各ステップは、図1に示したCPU101がROM102、HDD108に格納される制御プログラムをRAM103にロードして実行することで実現される。
まず、S1201で、ユーザAがオペレーションパネル109を操作して、ユーザIDの認証情報を画像処理装置1101に入力して、画像処理装置1101にログインする。
【0039】
次に、S1202で、ユーザがオペレーションパネル109にて何かしらの設定を行い、スタートキーを押下した場合、CPU101は、設定されたモードに従う画像処理を実行する。ここで、ユーザAであれば、FAX送信処理を実行することとなる。なお、FAX送信を実行する場合には、操作ログに登録されたFAX送信履歴から、送信すべき文書ファイルをAと特定して、送信すべき文書ファイルを文書ファイルAとしてもよいかどうかをユーザに問い合わせてもよい。
そして、S1203で、CPU101は、S1014で実行された画像処理機能に従い、ユーザの操作履歴へ行動分類、ファイル名等を記憶媒体1102に対し追記登録する。
【0040】
次に、S1204で、画像処理装置1101は、追記登録された操作履歴に基づいて、CPU101は機能毎の使用頻度を算出し、操作履歴の行動分類の解析結果として、当該ユーザの操作履歴に保存して、本処理を終了する。
このように、履歴情報をユーザ毎に区別して管理することによって、第1実施形態または第2実施形態で説明した、ラスタデータまたはダウンロードデータを保持しておくべき文書ファイルの選択をより精度良く行うことができる。
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することによっても達成される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。
【0041】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0042】
101 CPU
102 ROM
103 RAM
108 HDD
109 オペレーションパネル
110 プリンタ
112 タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている印刷データを読み出して画像データに展開する展開処理を実行する展開手段と、
前記展開手段により得られた画像データに基づいて印刷処理を実行する印刷手段と、
前記印刷手段により実行された印刷処理の履歴情報を管理する管理手段と、
前記管理手段により管理されている履歴情報に基づいて、前記展開手段に前記展開処理を実行させる制御手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記展開処理とは、前記記憶手段に記憶されている印刷データに対してレンダリング処理を実行することによりラスタデータを生成する処理であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
ユーザを認証する認証手段を更に備え、
前記管理手段は、前記認証手段により認証されたユーザ毎に区別して前記履歴情報を管理することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、前記画像処理装置に接続された外部装置からネットワークを介して取得した印刷データを記憶することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記管理手段により管理されている履歴情報に基づいて、前記記憶手段に記憶されている印刷データの中から印刷頻度の高い印刷データを選択し、該印刷データの展開処理を前記展開手段に実行させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記管理手段により管理されている履歴情報に基づいて、前記記憶手段に記憶されている印刷データの中から定期的に印刷処理が実行されている印刷データを選択し、該印刷データの展開処理を前記展開手段に実行させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
印刷データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている印刷データを読み出して画像データに展開する展開処理を実行する展開手段と、を備える画像処理装置の制御方法であって、
前記展開手段により得られた画像データに基づいて印刷処理を実行する印刷工程と、
前記印刷工程で実行された印刷処理の履歴情報を管理する管理工程と、
前記管理工程で管理されている履歴情報に基づいて、前記展開手段に前記展開処理を実行させる制御工程と、
を備えることを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の画像処理装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−201776(P2010−201776A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49472(P2009−49472)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】