画像処理装置及びその制御方法
【課題】 立体視可能な左眼用画像及び右眼用画像の補正を行う際に、左眼用画像の特徴と右眼用画像の特徴とを反映したγ補正カーブを用いて、適正なダイナミックγ補正処理を行う。
【解決手段】 立体視可能な左眼用画像及び右眼用画像のヒストグラムを作成し、左眼用画像のヒストグラムから低階調側の階調値である第1暗部特徴量及び高階調側の階調値である第1明部特徴量を検出し、右眼用画像のヒストグラムから低階調側の階調値である第2暗部特徴量及び高階調側の階調値である第2明部特徴量を検出する。第1暗部特徴量及び第2暗部特徴量を用いて統合暗部特徴量を決定し、第1明部特徴量及び第2明部特徴量を用いて統合明部特徴量を決定する。統合暗部特徴量及び統合明部特徴量に基づいた階調補正パラメータを設定し、左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正する。
【解決手段】 立体視可能な左眼用画像及び右眼用画像のヒストグラムを作成し、左眼用画像のヒストグラムから低階調側の階調値である第1暗部特徴量及び高階調側の階調値である第1明部特徴量を検出し、右眼用画像のヒストグラムから低階調側の階調値である第2暗部特徴量及び高階調側の階調値である第2明部特徴量を検出する。第1暗部特徴量及び第2暗部特徴量を用いて統合暗部特徴量を決定し、第1明部特徴量及び第2明部特徴量を用いて統合明部特徴量を決定する。統合暗部特徴量及び統合明部特徴量に基づいた階調補正パラメータを設定し、左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体視可能な左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正することができる画像処理装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フレームごとに、そのフレームの平均輝度値(APL)や輝度ヒストグラムなどの特徴量に基づいて階調補正パラメータ(γ補正カーブ)を設定することで、表示画像の階調を好適に補正する技術がある(特許文献1)。以後、このような階調補正処理をダイナミックγ補正処理と表記する。
【0003】
現在、2次元の表示画面上に、両眼視差を利用した左眼用映像及び右眼用映像からなる3次元(3D)映像を表示することによって立体視を行う、立体視システムが知られている。しかし、立体視可能な1組の左眼用画像と右眼用画像とをそれぞれフレームごとにダイナミックγ補正処理したことにより、左眼用画像の階調と右眼用画像の階調とに大きな差が生じると、立体視しづらくなったり眼の疲労感が増大したりする。
そこで、左眼用画像及び右眼用画像における輝度などの特性の平均値に基づいて、左眼用画像と右眼用画像とを補正する技術が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平03−126377号公報
【特許文献2】特開2007−151125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし上記の特許文献2において、左眼用画像及び右眼用画像における輝度などの特性の平均値として、どのような値を用いるかについては具体的な記載がない。例えば、左眼用画像の輝度と右眼用画像の輝度を用いて、左眼用画像の輝度と右眼用画像の輝度の平均値を算出し、その平均値の階調を元に作成したγ補正カーブを用いて左眼用画像及び右眼用画像を補正するとする。この場合、左眼用画像及び右眼用画像の画像内で該平均値付近の輝度の領域は適正に補正されるが、該平均値以外の輝度の領域は適正に補正することができないことがある。該平均値よりも大きい輝度を持つ特殊領域が右眼用画像のみに含まれていた場合、前述の例のγ補正カーブでは該平均値の階調値に多くの階調が割りあてられて、該特殊領域の輝度の階調値には多くの階調が割りあてられていないため適正に補正できない。
【0006】
本発明は、立体視可能な左眼用画像及び右眼用画像の補正を行う際に、左眼用画像の特徴と右眼用画像の特徴とを反映した階調補正パラメータを設定し、左眼用画像及び右眼用画像の階調を適正に補正できる画像処理装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、左眼用画像及び右眼用画像を表示部に立体視可能なように表示する画像処理装置において、入力された前記左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれのヒストグラムを作成するヒストグラム作成手段と、前記ヒストグラム作成手段で作成された前記左眼用画像のヒストグラムから、低階調側の階調値である第1暗部特徴量及び高階調側の階調値である第1明部特徴量を検出する第1検出手段と、前記ヒストグラム作成手段で作成された前記右眼用画像のヒストグラムから、低階調側の階調値である第2暗部特徴量及び高階調側の階調値である第2明部特徴量を検出する第2検出手段と、前記第1暗部特徴量及び前記第2暗部特徴量を用いて統合暗部特徴量を決定し、前記第1明部特徴量及び前記第2明部特徴量を用いて統合明部特徴量を決定する決定手段と、前記統合暗部特徴量及び前記統合明部特徴量に基づいた階調補正パラメータを設定する設定手段と、前記設定手段で設定された前記階調補正パラメータを用いて、前記左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正する補正手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明は、立体視可能な左眼用画像及び右眼用画像の補正を行う際に、左眼用画像の特徴と右眼用画像の特徴とを反映した階調補正パラメータを設定し、左眼用画像及び右眼用画像の階調を適正に補正できる画像処理装置及びその制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1及び2に係る画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】画像処理装置での処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】分割領域を説明する概念図である。
【図4】暗部注目階調及び明部注目階調を説明する図である。
【図5】実施例1に係る左眼用画像及び右眼用画像の各分割領域における暗部注目階調及び明部注目階調の具体例を示す図である。
【図6】γ補正カーブの設定方法を示す図である。
【図7】図6と異なるγ補正カーブの設定方法を示す図である。
【図8】実施例2に係る左眼用画像及び右眼用画像における暗部注目階調及び明部注目階調の具体例を示す図である。
【図9】実施例3に係る画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図10】画像処理装置での処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】左眼用画像及び右眼用画像の各分割領域におけるAPL値及び差分と、ゲイン調整後のAPL値の具体例を示す図である。
【図12】γ補正カーブの設定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施例を説明する。
【0011】
(実施例1)
本発明の実施形態に係る画像処理装置及びその制御方法の具体的な実施例について説明する。図1は本実施例に係る画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。本実施例の画像処理装置は、左眼用画像入力端子101及び右眼用画像入力端子102と、左眼用画像ヒストグラム作成部103及び右眼用画像ヒストグラム作成部104と、左眼用画像注目階調検出部105及び右眼用画像注目階調検出部106を備える。更に、統合注目階調決定部107と、γ補正カーブ設定部108と、左眼用画像γ補正部109及び右眼用画像γ補正部110と、左眼用画像出力端子111及び右眼用画像出力端子112から構成されている。
【0012】
画像処理装置での処理の流れについて、図2のフローチャートと共に説明する。ステップS11において、左眼用画像ヒストグラム作成部103及び右眼用画像ヒストグラム作成部104は、左眼用画像入力端子101及び右眼用画像入力端子102から入力された立体視可能な左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれのヒストグラムを作成する。
【0013】
次にステップS12において、左眼用画像注目階調検出部105及び右眼用画像注目階調検出部106は、左眼用画像のヒストグラムと右眼用画像のヒストグラムからそれぞれ暗部注目階調及び明部注目階調を検出する。暗部注目階調及び明部注目階調の検出方法についての説明は後述する。
【0014】
ステップS13において、統合注目階調決定部107は、左眼用画像の暗部注目階調及び右眼用画像の暗部注目階調を用いて統合暗部注目階調を決定し、左眼用画像の明部注目階調及び右眼用画像の明部注目階調を用いて統合明部注目階調を決定する。統合暗部注目階調及び統合明部注目階調の決定方法についての説明は後述する。
【0015】
ステップS14において、γ補正カーブ設定部108は、統合注目階調決定部107で決定した統合暗部注目階調及び統合明部注目階調に基づいた階調補正パラメータであるγ補正カーブを設定する。そしてステップS15において、左眼用画像γ補正部109及び右眼用画像γ補正部110は、γ補正カーブ設定部108で設定されたγ補正カーブを用いて左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正する処理を行う。そして補正された左眼用画像及び右眼用画像はそれぞれ左眼用画像出力端子111及び右眼用画像出力端子112から出力され表示部に表示される。
【0016】
左眼用画像ヒストグラム作成部103及び右眼用画像ヒストグラム作成部104でのヒストグラムの作成方法について説明する。左眼用画像ヒストグラム作成部103及び右眼用画像ヒストグラム作成部104は、左眼用画像入力端子101及び右眼用画像入力端子102から入力された左眼用画像信号及び右眼用画像信号のそれぞれのヒストグラムを作成する。
【0017】
本実施例では、左眼用画像ヒストグラム作成部103及び右眼用画像ヒストグラム作成部104は、入力された左眼用画像及び右眼用画像をそれぞれ複数の分割領域に分割し、各分割領域における輝度ヒストグラムを作成するものとする。例えば図3に示すように入力された画像を4×4の16の分割領域に分割する。各分割画像には図3のような識別番号d1〜d16により区別することができる。分割数は特にこれに限られず10×5や5×3等であってもよい。
【0018】
本実施例では作成されるヒストグラムは、階調値0〜255の8bit(256階調)の輝度ヒストグラムとする。階調値は128階調や512階調でもよい。また、ヒストグラムは画像の輝度のものではなく、R(赤)画素値とG(緑)画素値とB(青)画素値の平均値の階調としたヒストグラムや、R(赤)画素値とG(緑)画素値とB(青)画素値のうちの最大値の階調としたヒストグラムであってもよい。また、横軸をG(緑)画素値の階調としたヒストグラム等、R(赤)画素値とG(緑)画素値とB(青)画素値のうちのいずれかの画素値の階調としたヒストグラムであってもよい。このような画像の特徴を表すヒストグラムであれば、本実施例を適用可能である。
【0019】
次に暗部注目階調及び明部注目階調の検出方法について説明する。以下ではまず、左眼用画像における暗部注目階調及び明部注目階調の検出方法を説明する。
【0020】
左眼用画像注目階調検出部105は、左眼用画像ヒストグラム作成部103で作成された左眼用画像の各単位領域における輝度ヒストグラムのそれぞれから暗部注目階調(第1暗部特徴量)及び明部注目階調(第1明部特徴量)を検出する。ここで注目階調とは、階調性を高めることが望ましい階調値である。注目階調とは輝度ヒストグラムにおいて(1)度数が所定の閾値以上かつ(2)極大値となる階調値で、かつ(3)該階調値を含む所定範囲内の度数の変動量が所定の基準より小さい階調値であり、以上(1)〜(3)の3つの条件を満たす階調値である。ここで(2)の条件での度数が極大値か否かは、例えば、注目階調か否かの対象とする階調値の度数と、その前後それぞれm個の階調値(mは1以上の整数)の度数とを比較することにより判断すればよい。比較する階調値の度数の中での最大値を極大値とする。なお、対象とする階調値の前後それぞれm個の階調値とは、対象とする階調値よりも小さなm個の階調値と、対象とする階調値よりも大きなm個の階調値を意味する。(3)の条件は、画像が同一色(同一の階調値)の領域(例えば、レターボックスや、データ放送などの図形や文字)を含む場合に局所的に度数の変動量が大きくなる階調値を除外するための条件である。(3)の条件を満たすか否かは、注目階調か否かの対象とする階調値の度数と、その階調値を除く±nの階調値(nは1以上の整数)の度数の総和に所定値を乗算した値とを比較することなどにより判断すればよい。
【0021】
輝度ヒストグラムにおける暗部注目階調は、階調値が低階調側の注目階調である。本実施例では、輝度ヒストグラムが256階調の場合、階調値が2〜126の範囲で上記の条件を満たす注目階調の中の最小注目階調を暗部注目階調とする。階調値が2〜126の範囲に注目階調がない場合は、暗部注目階調は128とする。
【0022】
輝度ヒストグラムにおける明部注目階調は、階調値が高階調側の注目階調である。本実施例は、輝度ヒストグラムが256階調の場合、階調値が130〜253の範囲で上記の条件を満たす注目階調の中の最大注目階調を明部注目階調とする。階調値が130〜253の範囲に注目階調がない場合は、明部注目階調は128とする。階調値0、1、127、128、129、254、255は、上下それぞれ2つの階調値の度数を注目階調の検出に用いるために注目階調の範囲から除外している。
【0023】
輝度ヒストグラムから検出した低階調側の階調値である暗部注目階調(第1暗部特徴量)と高階調側の階調値である明部注目階調(第1明部特徴量)を図4に示す。以上のように左眼用画像注目階調検出部105は、左眼用画像の各分割領域におけるヒストグラムのそれぞれから暗部注目階調及び明部注目階調を検出する。同様に右眼用画像注目階調検出部106は、右眼用画像の各分割領域におけるヒストグラムのそれぞれから暗部注目階調(第2暗部特徴量)及び明部注目階調(第2明部特徴量)を検出する。
【0024】
次に、統合暗部注目階調及び統合明部注目階調の決定方法について説明する。統合注目階調決定部107は、左眼用画像の各分割領域における暗部注目階調(第1暗部特徴量)、及び右眼用画像の各分割領域における暗部注目階調(第2暗部特徴量)を用いて統合暗部注目階調(統合暗部特徴量)を決定する。また、左眼用画像の各分割領域における明部注目階調(第1明部特徴量)、及び右眼用画像の各分割領域における明部注目階調(第2明部特徴量)を用いて統合明部注目階調(統合明部特徴量)を決定する。
【0025】
本実施例では、左眼用画像の各分割領域における暗部注目階調及び右眼用画像の各分割領域における暗部注目階調の中の最小値を統合暗部注目階調と決定する。また、左眼用画像の各分割領域における明部注目階調及び右眼用画像の各分割領域における明部注目階調の中の最小値を統合暗部注目階調と決定する。具体例を図5に示す。
【0026】
図5(a)は左眼用画像の各分割領域における暗部注目階調及び右眼用画像の各分割領域における暗部注目階調を示したものであり、図5(b)は左眼用画像の各分割領域における明部注目階調及び右眼用画像の各分割領域における明部注目階調を示したものである。図5(a)の暗部注目階調の中の最小値である、左眼用画像の領域d6の階調値25が統合暗部注目階調となる。図5(b)の明部注目階調の中の最大値である、右眼用画像の領域d2の階調値230が統合暗部注目階調となる。
【0027】
上記の例では、左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれの各分割領域における暗部注目階調の最小値を統合暗部注目階調、左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれの各分割領域における明部注目階調の最大値を統合明部注目階調としたがこれに限られない。例えば統合暗部注目階調は、左眼用画像の各分割領域における暗部注目階調の最小値と、右眼用画像の各分割領域における暗部注目階調の最小値との平均値としてもよい。同様に統合明部注目階調を左眼用画像の各分割領域における明部注目階調の最大値と、右眼用画像の各分割領域における明部注目階調の最大値との平均値としてもよい。図5の例で、統合暗部注目階調は左眼用画像の暗部注目階調の最小値25と右眼用画像の暗部注目階調の最小値35との平均値30、統合明部注目階調は左眼用画像の明部注目階調の最大値200と右眼用画像の暗部注目階調の最大値230との平均値215となる。
【0028】
続いてγ補正カーブの設定方法について説明する。γ補正カーブ設定部108は、統合注目階調決定部107で決定された統合暗部注目階調及び統合明部注目階調に基づいた階調補正パラメータであるγ補正カーブを設定する。設定するγ補正カーブは、統合暗部注目階調及び統合明部注目階調の階調値周辺の階調性を高めるようなγ補正カーブである。
【0029】
図6に統合暗部注目階調が階調値25、統合明部注目階調が階調値230の場合のγ補正カーブを示す。図6の破線は入力された画像の階調値をそのまま出力する場合のγ補正カーブである。これに対し、γ補正カーブ設定部108で設定される実線のγ補正カーブは、統合暗部注目階調が階調値25、統合明部注目階調が階調値230周辺の階調性を高めるようなγ補正カーブになっている。
【0030】
また、図7に示すように、低階調データを補正する暗部カーブγB、高階調データを補正する明部カーブγWと、中間階調を補正する中間カーブγMから、γ補正カーブを設定してもよい。以下に暗部カーブγB、明部カーブγW、中間カーブγMから、γ補正カーブを設定する方法を説明する。
【0031】
例えば図7に示すように、暗部カーブγBは階調値0〜128の入力データをγ補正するカーブである。暗部カーブγB(i)は126種類(i:2〜126、128)用意されている。暗部カーブγB(i)は階調値i周辺の範囲の階調値における階調性を高めるγ補正カーブになっている。統合暗部注目階調に応じて126種類の暗部カーブγB(i)(i:2〜126,128)の中から一つの暗部カーブγB(i)が選択される。統合暗部注目階調は、左眼用画像の各分割領域における暗部注目階調、及び右眼用画像の各分割領域における暗部注目階調を用いて決定されるので、2〜126、128のいずれかの値をとる。統合暗部注目階調が階調値25の場合は、暗部カーブγB(25)が選択される。
【0032】
また、明部カーブγWは階調値192〜255の入力データをγ補正するカーブである。図7に示すように、明部カーブγW(i)は125種類(i:128、130〜253)用意されている。明部カーブγW(i)は階調値i周辺の範囲の階調値における階調性を高めるγ補正カーブになっている。統合明部注目階調に応じて125種類の明部カーブγW(i)(i:128、130〜253)の中から一つの明部カーブγW(i)が選択される。統合明部注目階調は、左眼用画像の各分割領域における明部注目階調、及び右眼用画像の各分割領域における明部注目階調を用いて決定されるので、128、130〜253のいずれかの値をとる。統合明部注目階調が階調値230の場合は、明部カーブγW(230)が選択される。
【0033】
以上のようにγ補正カーブを決定することによって、統合暗部注目階調が低い場合ほど低い階調値に階調を割り付けるカーブが生成され、統合明部注目階調が高い場合ほど高い階調値に階調を割り付けるカーブが生成される。以上のように決定したγ補正カーブを用いて補正をすることで暗部と明部の視認性を上げることが可能である。
【0034】
中間カーブγMは階調値129〜191の入力データをγ補正するカーブである。中間γカーブγMは選択された暗部カーブγB(i)と明部カーブγW(i)の間の階調を直線補間により補間した変換特性とする。以上のようにγ補正カーブ設定部108において、暗部カーブγB、明部カーブγW及び中間カーブγMによりγ補正カーブが設定される。
【0035】
左眼用画像γ補正部109及び右眼用画像γ補正部110では、上記のように設定されたγ補正カーブを用いて、左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正する。そして補正した左眼用画像及び右眼用画像はそれぞれ、左眼用画像出力端子111及び右眼用画像出力端子112から出力され表示部で表示される。
【0036】
以上のように本実施例によれば、立体視可能な左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正するγ補正カーブが左眼用画像及び右眼用画像の両画像の特徴を反映して設定されているため、黒つぶれや白とびすることない適正なγ補正処理を行うことができる。
【0037】
(実施例2)
実施例1では、左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれのヒストグラムを作成する際に、左眼用画像及び右眼用画像をそれぞれ複数の分割領域に分割し、各分割領域におけるヒストグラムを作成した。本実施例では、左眼用画像及び右眼用画像を分割しない場合を説明する。実施例1と同様の処理については説明を省略する。
【0038】
左眼用画像ヒストグラム作成部103及び右眼用画像ヒストグラム作成部104は、入力された左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれのヒストグラムを作成する。本実施例でも実施例1と同様に、作成されるヒストグラムは階調値0〜255の8bit(256階調)の輝度ヒストグラムとする。
【0039】
左眼用画像注目階調検出部105は、左眼用画像ヒストグラム作成部103で作成された左眼用画像の輝度ヒストグラムから暗部注目階調(第1暗部特徴量)及び明部注目階調(第1明部特徴量)を検出する。ヒストグラムから暗部注目階調及び明部注目階調を検出する方法は実施例1と同様である。右眼用画像注目階調検出部106も左眼用画像注目階調検出部105と同様に、右眼用画像の輝度ヒストグラムから暗部注目階調(第2暗部特徴量)及び明部注目階調(第2明部特徴量)を検出する。左眼用画像注目階調検出部105及び右眼用画像注目階調検出部106のそれぞれで検出した、左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれの暗部注目階調及び明部注目階調を図8に示す。
【0040】
統合注目階調決定部107は、左眼用画像注目階調検出部105及び右眼用画像注目階調検出部106のそれぞれで検出した、左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれの暗部注目階調から統合暗部注目階調を決定する。また同様に、左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれの明部注目階調から統合明部注目階調を決定する。
【0041】
本実施例では、統合暗部注目階調は、左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれの暗部注目階調の最小値としてもよいし、左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれの暗部注目階調の平均値としてもよい。図8の例において、統合暗部注目階調を左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれの暗部注目階調の最小値とした場合は25、平均値とした場合は30となる。また、統合明部注目階調は、左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれの明部注目階調の最大値としてもよいし、左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれの明部注目階調の平均値としてもよい。図8の例において、統合明部注目階調を左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれの明部注目階調の最大値とした場合は230、平均値とした場合は215となる。
【0042】
以上のように決定された統合暗部注目階調及び統合明部注目階調に基づいた階調補正パラメータであるγ補正カーブを実施例1と同様にγ補正カーブ設定部108が設定し、設定されたγ補正カーブを用いて左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正する。
【0043】
このように本実施例においても、立体視可能な左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正するγ補正カーブが左眼用画像及び右眼用画像の両画像の特徴を反映して設定されているため、黒つぶれや白とびすることない適正なγ補正処理を行うことができる。
【0044】
(実施例3)
本発明の実施形態に係る画像処理装置及びその制御方法の具体的な実施例について説明する。図9は本実施例に係る画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。実施例1及び2に係る画像処理装置の図1のブロック図と同様な処理を行うブロックについては同符号を付している。
【0045】
本実施例の画像処理装置は、左眼用画像入力端子101及び右眼用画像入力端子102と、左眼用画像分割APL検出部301及び右眼用画像分割APL検出部302と、ゲイン値算出部303と、統合APL決定部304を備える。更に、左眼用画像ゲイン調整部305及び右眼用画像ゲイン調整部306と、γ補正カーブ設定部307と、左眼用画像γ補正部109及び右眼用画像γ補正部110と、左眼用画像出力端子111及び右眼用画像出力端子112から構成されている。
【0046】
画像処理装置での処理の流れについて、図10のフローチャートと共に説明する。ステップS31において、左眼用画像分割APL検出部301及び右眼用画像分割APL検出部302は、左眼用画像入力端子101及び右眼用画像入力端子102から入力された左眼用画像及び右眼用画像それぞれを複数の分割領域に分割する。そして、各分割領域における平均輝度値を検出する。本実施例では左眼用画像分割APL検出部301及び右眼用画像分割APL検出部302において各分割領域における平均輝度値(APL値)を検出する。
【0047】
ステップS32においてゲイン値算出部303は、ステップS31で検出した左眼用画像及び右眼用画像それぞれの各分割領域におけるAPL値を比較し、左眼用画像及び右眼用画像それぞれのゲイン値を算出する。ステップS33において左眼用画像ゲイン調整部305及び右眼用画像ゲイン調整部306は、算出されたゲイン値に基づいて、左眼用画像及び右眼用画像それぞれの各領域におけるAPL値を調整する。ゲイン値の算出方法及びゲイン値によるAPL値の調整方法の説明は後述する。
【0048】
ステップS34において統合APL決定部304は、ゲイン値によって補正した左眼用画像及び右眼用画像それぞれの各分割領域におけるAPL値を用いて、統合暗部APL値及び統合明部APL値を決定する。統合暗部APL値及び統合明部APL値の決定方法は後述する。
【0049】
ステップS35においてγ補正カーブ設定部307は、統合暗部APL値及び統合明部APL値に基づいた階調補正パラメータであるγ補正カーブを設定する。γ補正カーブの設定方法は後述する。ステップS36において左眼用画像γ補正部109及び右眼用画像γ補正部110は、γ補正カーブ設定部307で設定されたγ補正カーブを用いて実施例1及び2と同様に、左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正する処理を行う。そして補正された左眼用画像及び右眼用画像はそれぞれ左眼用画像出力端子111及び右眼用画像出力端子112から出力され表示部に表示される。
【0050】
本実施例では、左眼用画像分割APL検出部301及び右眼用画像分割APL検出部302は、左眼用画像及び右眼用画像の各画素の輝度値を検出する。本実施例では輝度値を階調値0〜255の8bit(256階調)で検出する。
【0051】
左眼用画像及び右眼用画像を例えば図3のように4×4の16の分割領域d1〜d16に分割して各分割領域のAPL値を検出するとする。また、左眼用画像分割APL検出部301及び右眼用画像分割APL検出部302は、256階調で検出された各画素の輝度値を0〜7を用いて、APL値を3bit(8階調)で検出するとする。画像の分割数は特にこれに限られず10×5や5×3等であってもよく、APL値の検出精度は例えば128階調や256階調でもよい。
【0052】
図11(a)に左眼用画像及び右眼用画像それぞれの各分割領域のAPL値、及び各分割領域における左眼用画像APL値と右眼用画像APL値との差分の具体例を示す。左眼用画像及び右眼用画像それぞれの各分割領域のAPL値は、左眼用画像分割APL検出部301及び右眼用画像分割APL検出部302で検出される。また、各分割領域における左眼用画像APL値と右眼用画像APL値との差分はゲイン値算出部303にて求められる。
【0053】
図11(a)を用いて、ゲイン値の算出方法及びゲイン値によるAPL値の調整方法を説明する。
【0054】
ゲイン値算出部303は、各分割領域における左眼用画像APL値と右眼用画像APL値とを比較する。比較して所定の閾値以上の差がある(偏りがある)分割領域において、左眼用画像APL値が右眼用画像APL値より大きい分割領域の数と、右眼用画像APL値が左眼用画像APL値より大きい分割領域の数とをカウントする。
【0055】
図11(a)において所定の閾値を1とすると、左眼用画像APL値が右眼用画像APL値より大きい分割領域(左眼用画像APL値−右眼用画像APL値が正で1以上)が13個存在する。また、右眼用画像APL値が左眼用画像APL値より大きい分割領域(左眼用画像APL値−右眼用画像APL値が負で絶対値が1以上)が2個存在する。
【0056】
このように、左眼用画像APL値が右眼用画像APL値より大きい分割領域の数と、右眼用画像APL値が左眼用画像APL値より大きい分割領域の数の差が所定値(例えば2)以上あり偏りがある場合には、左眼用画像及び右眼用画像のゲインの調整を行う。これは、3D画像において視差により、左眼用画像及び右眼用画像の特徴量に差が生じる一方で、多くの画像内の領域においてほぼ同様な被写体が映っていると考えられるため、左眼用画像及び右眼用画像の特徴量に一定以上の差は生じないと想定されるからである。
【0057】
ゲイン値算出部303は、偏りがある分割領域において、左眼用画像APL値と右眼用画像APL値との差が一定範囲内である各分割領域の左眼用画像APL値の平均値と、右眼用画像APL値の平均値との比からゲイン値を算出する。図11(a)において偏りがある分割領域d1〜d9、d10〜d16の中で、左眼用画像APL値と右眼用画像APL値との差が1である各分割領域の左眼用画像APL値の平均値と、右眼用画像APL値の平均値を算出する。具体的には、左眼用画像APL値−右眼用画像APL値との差が1である分割領域d2、d4〜d8、d10〜d14、d16における左眼用画像APL値の平均値は3.83、右眼用画像APL値の平均値は2.83となる。そして、左眼用画像APL値の平均値と右眼用画像APL値の平均値との比は、(左眼用画像APL値の平均値)/(右眼用画像APL値の平均値)=1.35となる。
【0058】
ゲイン値算出部303は左眼用画像ゲイン調整部305にゲイン値として1/1.35を出力し、右眼用画像ゲイン調整部306にゲイン値として1を出力する。このように設定されたゲイン値を用いて、左眼用画像及び右眼用画像それぞれのゲインを調整すると、左眼用画像及び右眼用画像の特徴量の大きな偏りが調整できる。左眼用画像ゲイン調整部305及び右眼用画像ゲイン調整部306は、ゲイン値算出部303から出力されたゲイン値を用いて左眼用画像及び右眼用画像それぞれのゲインを調整する。調整後の左眼用画像及び右眼用画像それぞれの各分割領域おける左眼用画像APL値(調整後)と右眼用画像APL値(調整後)を図11(b)に示す。
【0059】
統合暗部APL値及び統合明部APL値の決定方法を説明する。統合APL決定部304には、左眼用画像分割APL検出部301及び右眼用画像分割APL検出部302から、左眼用画像及び右眼用画像それぞれの各分割領域おける左眼用画像APL値と右眼用画像APL値が出力される。更に、ゲイン値算出部303から、左眼用画像及び右眼用画像それぞれのゲイン値が出力される。
【0060】
左眼用画像及び右眼用画像それぞれの各分割領域おける左眼用画像APL値と右眼用画像APL値から、左眼用画像における最小APL値(第1暗部特徴量)と最大APL値(第1明部特徴量)を決定する。また、右眼用画像における最小APL値(第2暗部特徴量)と最大APL値(第2明部特徴量)を決定する。図11(a)において、左眼用画像の各分割領域おける左眼用画像APL値の中の最大APL値は6、最小APL値は2である。右眼用画像の各分割領域おける右眼用画像APL値の中の最大APL値は7、最小APL値は2である。
【0061】
左眼用画像及び右眼用画像それぞれにおける最大APL値及び最小APL値に、ゲイン値算出部303から出力された左眼用画像及び右眼用画像それぞれのゲイン値を用いて、ゲインを調整する。左眼用画像のゲイン値は1/1.35なので、左眼用画像の最大APL値6は、6×1/1.35=4(小数点以下四捨五入)、最小APL値2は、2×1/1.35=1と調整される。右眼用画像のゲイン値は1なので、右眼用画像の最大APL値7は、7×1=7、最小APL値2は、2×1=2と調整される(ゲイン値が1の場合はゲイン調整を行わないとの同等の値になる)。
【0062】
ゲイン調整後の左眼用画像の最小APL値(第1暗部特徴量)及び右眼用画像の最小APL値(第2暗部特徴量)のうち小さいほうのAPL値である階調値1を、統合暗部APL値(統合暗部特徴量)とする。ゲイン調整後の左眼用画像の最大APL値(第1明部特徴量)及び右眼用画像の最大APL値(第2明部特徴量)のうち大きいほうのAPL値である階調値7を、統合明部APL値(統合明部特徴量)とする。
【0063】
統合暗部APL値及び統合明部APL値の決定の仕方は上記に限らない。例えば左眼用画像の最小APL値及び右眼用画像の最小APL値の平均値を統合暗部APL値、左眼用画像の最大APL値及び右眼用画像の最大APL値の平均値を統合明部APL値としてもよい。
【0064】
また、左眼用画像及び右眼用画像それぞれにおける最大APL値及び最小APL値に対するゲイン調整を統合APL決定部304で行わなくてもよい。その場合は、ゲイン調整後の左眼用画像及び右眼用画像それぞれの各分割領域おける左眼用画像APL値と右眼用画像APL値(図11(b)に示したもの)を、左眼用画像ゲイン調整部305及び右眼用画像ゲイン調整部306から取得する。そして取得した、ゲイン調整後の左眼用画像及び右眼用画像それぞれの各分割領域おける左眼用画像APL値と右眼用画像APL値から、各画像における最大APL値と最小APL値を決定する。
【0065】
統合暗部APL値及び統合明部APL値に基づいたγ補正カーブの設定方法について説明する。
【0066】
本実施例のγ補正カーブは、低階調データを補正する暗部カーブγB、高階調データを補正する明部カーブγWと、中間階調を補正する中間カーブγMから成る。本実施例では画像データの階調分解能は3bit(0〜7階調)であるものとする。
【0067】
図12に示すように、暗部カーブγBは階調値0〜128の入力データをγ補正するカーブである。暗部カーブγB(i)は8種類(i:0〜8)用意されている。暗部カーブγB(i)は階調値i周辺の範囲の階調値における階調性を高めるγ補正カーブになっている。統合暗部APL値に応じて8種類の暗部カーブγB(i)(i:0〜7)の中から一つの暗部カーブγB(i)が選択される。統合暗部APL値は、左眼用画像の最小APL値、及び右眼用画像の最小APL値を用いて決定されるので、APL値が3bitの精度で検出される場合は0〜7のいずれかの値をとる。統合暗部APL値が階調値1の場合は、暗部カーブγB(1)が選択される。
【0068】
また、明部カーブγWは階調値192〜255の入力データをγ補正するカーブである。図12に示すように、明部カーブγW(i)は8種類(i:0〜7)用意される。明部カーブγW(i)は階調値i周辺の範囲の階調値における階調性を高めるγ補正カーブになっている。統合明部APL値に応じて8種類の明部カーブγW(i)(i:0〜7)の中から一つの明部カーブγW(i)が選択される。統合明部APL値は、左眼用画像の最大APL値、及び右眼用画像の最大APL値を用いて決定されるので、APL値が3bitの精度で検出される場合は0〜7のいずれかの値をとる。統合明部APL値が階調値7の場合は、明部カーブγW(7)が選択される。
【0069】
中間カーブγMは階調値128〜192の入力データをγ補正するカーブである。中間γカーブγMは選択された暗部カーブγB(i)と明部カーブγW(i)の間の階調を直線補間により補間した変換特性とする。以上のようにγ補正カーブ設定部108において、暗部カーブγB、明部カーブγW及び中間カーブγMによりγ補正カーブが設定される。
【0070】
以上のように、暗部カーブγB、明部カーブγW、中間カーブγMを設定したが、各γカーブが補正する階調値は上記に示すものに限られない。例えば、暗部カーブγBは階調値0〜3、明部カーブγWは階調値6〜7、中間カーブγMは階調値3〜6の入力データを補正するものとしてもよい。
【0071】
以上のようにγ補正カーブを決定することによって、統合暗部APL値が低い場合ほど低い階調値に階調を割り付けるカーブが生成され、統合暗部APL値が高い場合ほど高い階調値に階調を割り付けるカーブが生成される。以上のように決定したγ補正カーブを用いて補正をすることで暗部と明部の視認性を上げることが可能である。
【0072】
なお、本実施例においては、ゲイン値算出部303で左眼用画像のAPL値と右眼用画像のAPL値とを比較して所定の閾値以上の差がある場合に、ゲイン値を計算しゲインの調整をしているが、差が所定の閾値以下である場合にはゲインの調整は行わなくでもよい。
【0073】
以上のように本実施例においても、立体視可能な左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正するγ補正カーブが左眼用画像及び右眼用画像の両画像の特徴を反映して設定されているため、黒つぶれや白とびすることない適正なγ補正処理を行うことができる。左眼用画像のAPL値と右眼画像のAPL値に差がある場合でも、適正なγ補正処理を行うことができる。
【符号の説明】
【0074】
105 左眼用画像注目階調検出部
106 右眼用画像注目階調検出部
107 統合注目階調決定部
108 γカーブ設定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体視可能な左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正することができる画像処理装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フレームごとに、そのフレームの平均輝度値(APL)や輝度ヒストグラムなどの特徴量に基づいて階調補正パラメータ(γ補正カーブ)を設定することで、表示画像の階調を好適に補正する技術がある(特許文献1)。以後、このような階調補正処理をダイナミックγ補正処理と表記する。
【0003】
現在、2次元の表示画面上に、両眼視差を利用した左眼用映像及び右眼用映像からなる3次元(3D)映像を表示することによって立体視を行う、立体視システムが知られている。しかし、立体視可能な1組の左眼用画像と右眼用画像とをそれぞれフレームごとにダイナミックγ補正処理したことにより、左眼用画像の階調と右眼用画像の階調とに大きな差が生じると、立体視しづらくなったり眼の疲労感が増大したりする。
そこで、左眼用画像及び右眼用画像における輝度などの特性の平均値に基づいて、左眼用画像と右眼用画像とを補正する技術が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平03−126377号公報
【特許文献2】特開2007−151125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし上記の特許文献2において、左眼用画像及び右眼用画像における輝度などの特性の平均値として、どのような値を用いるかについては具体的な記載がない。例えば、左眼用画像の輝度と右眼用画像の輝度を用いて、左眼用画像の輝度と右眼用画像の輝度の平均値を算出し、その平均値の階調を元に作成したγ補正カーブを用いて左眼用画像及び右眼用画像を補正するとする。この場合、左眼用画像及び右眼用画像の画像内で該平均値付近の輝度の領域は適正に補正されるが、該平均値以外の輝度の領域は適正に補正することができないことがある。該平均値よりも大きい輝度を持つ特殊領域が右眼用画像のみに含まれていた場合、前述の例のγ補正カーブでは該平均値の階調値に多くの階調が割りあてられて、該特殊領域の輝度の階調値には多くの階調が割りあてられていないため適正に補正できない。
【0006】
本発明は、立体視可能な左眼用画像及び右眼用画像の補正を行う際に、左眼用画像の特徴と右眼用画像の特徴とを反映した階調補正パラメータを設定し、左眼用画像及び右眼用画像の階調を適正に補正できる画像処理装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、左眼用画像及び右眼用画像を表示部に立体視可能なように表示する画像処理装置において、入力された前記左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれのヒストグラムを作成するヒストグラム作成手段と、前記ヒストグラム作成手段で作成された前記左眼用画像のヒストグラムから、低階調側の階調値である第1暗部特徴量及び高階調側の階調値である第1明部特徴量を検出する第1検出手段と、前記ヒストグラム作成手段で作成された前記右眼用画像のヒストグラムから、低階調側の階調値である第2暗部特徴量及び高階調側の階調値である第2明部特徴量を検出する第2検出手段と、前記第1暗部特徴量及び前記第2暗部特徴量を用いて統合暗部特徴量を決定し、前記第1明部特徴量及び前記第2明部特徴量を用いて統合明部特徴量を決定する決定手段と、前記統合暗部特徴量及び前記統合明部特徴量に基づいた階調補正パラメータを設定する設定手段と、前記設定手段で設定された前記階調補正パラメータを用いて、前記左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正する補正手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明は、立体視可能な左眼用画像及び右眼用画像の補正を行う際に、左眼用画像の特徴と右眼用画像の特徴とを反映した階調補正パラメータを設定し、左眼用画像及び右眼用画像の階調を適正に補正できる画像処理装置及びその制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1及び2に係る画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】画像処理装置での処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】分割領域を説明する概念図である。
【図4】暗部注目階調及び明部注目階調を説明する図である。
【図5】実施例1に係る左眼用画像及び右眼用画像の各分割領域における暗部注目階調及び明部注目階調の具体例を示す図である。
【図6】γ補正カーブの設定方法を示す図である。
【図7】図6と異なるγ補正カーブの設定方法を示す図である。
【図8】実施例2に係る左眼用画像及び右眼用画像における暗部注目階調及び明部注目階調の具体例を示す図である。
【図9】実施例3に係る画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図10】画像処理装置での処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】左眼用画像及び右眼用画像の各分割領域におけるAPL値及び差分と、ゲイン調整後のAPL値の具体例を示す図である。
【図12】γ補正カーブの設定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施例を説明する。
【0011】
(実施例1)
本発明の実施形態に係る画像処理装置及びその制御方法の具体的な実施例について説明する。図1は本実施例に係る画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。本実施例の画像処理装置は、左眼用画像入力端子101及び右眼用画像入力端子102と、左眼用画像ヒストグラム作成部103及び右眼用画像ヒストグラム作成部104と、左眼用画像注目階調検出部105及び右眼用画像注目階調検出部106を備える。更に、統合注目階調決定部107と、γ補正カーブ設定部108と、左眼用画像γ補正部109及び右眼用画像γ補正部110と、左眼用画像出力端子111及び右眼用画像出力端子112から構成されている。
【0012】
画像処理装置での処理の流れについて、図2のフローチャートと共に説明する。ステップS11において、左眼用画像ヒストグラム作成部103及び右眼用画像ヒストグラム作成部104は、左眼用画像入力端子101及び右眼用画像入力端子102から入力された立体視可能な左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれのヒストグラムを作成する。
【0013】
次にステップS12において、左眼用画像注目階調検出部105及び右眼用画像注目階調検出部106は、左眼用画像のヒストグラムと右眼用画像のヒストグラムからそれぞれ暗部注目階調及び明部注目階調を検出する。暗部注目階調及び明部注目階調の検出方法についての説明は後述する。
【0014】
ステップS13において、統合注目階調決定部107は、左眼用画像の暗部注目階調及び右眼用画像の暗部注目階調を用いて統合暗部注目階調を決定し、左眼用画像の明部注目階調及び右眼用画像の明部注目階調を用いて統合明部注目階調を決定する。統合暗部注目階調及び統合明部注目階調の決定方法についての説明は後述する。
【0015】
ステップS14において、γ補正カーブ設定部108は、統合注目階調決定部107で決定した統合暗部注目階調及び統合明部注目階調に基づいた階調補正パラメータであるγ補正カーブを設定する。そしてステップS15において、左眼用画像γ補正部109及び右眼用画像γ補正部110は、γ補正カーブ設定部108で設定されたγ補正カーブを用いて左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正する処理を行う。そして補正された左眼用画像及び右眼用画像はそれぞれ左眼用画像出力端子111及び右眼用画像出力端子112から出力され表示部に表示される。
【0016】
左眼用画像ヒストグラム作成部103及び右眼用画像ヒストグラム作成部104でのヒストグラムの作成方法について説明する。左眼用画像ヒストグラム作成部103及び右眼用画像ヒストグラム作成部104は、左眼用画像入力端子101及び右眼用画像入力端子102から入力された左眼用画像信号及び右眼用画像信号のそれぞれのヒストグラムを作成する。
【0017】
本実施例では、左眼用画像ヒストグラム作成部103及び右眼用画像ヒストグラム作成部104は、入力された左眼用画像及び右眼用画像をそれぞれ複数の分割領域に分割し、各分割領域における輝度ヒストグラムを作成するものとする。例えば図3に示すように入力された画像を4×4の16の分割領域に分割する。各分割画像には図3のような識別番号d1〜d16により区別することができる。分割数は特にこれに限られず10×5や5×3等であってもよい。
【0018】
本実施例では作成されるヒストグラムは、階調値0〜255の8bit(256階調)の輝度ヒストグラムとする。階調値は128階調や512階調でもよい。また、ヒストグラムは画像の輝度のものではなく、R(赤)画素値とG(緑)画素値とB(青)画素値の平均値の階調としたヒストグラムや、R(赤)画素値とG(緑)画素値とB(青)画素値のうちの最大値の階調としたヒストグラムであってもよい。また、横軸をG(緑)画素値の階調としたヒストグラム等、R(赤)画素値とG(緑)画素値とB(青)画素値のうちのいずれかの画素値の階調としたヒストグラムであってもよい。このような画像の特徴を表すヒストグラムであれば、本実施例を適用可能である。
【0019】
次に暗部注目階調及び明部注目階調の検出方法について説明する。以下ではまず、左眼用画像における暗部注目階調及び明部注目階調の検出方法を説明する。
【0020】
左眼用画像注目階調検出部105は、左眼用画像ヒストグラム作成部103で作成された左眼用画像の各単位領域における輝度ヒストグラムのそれぞれから暗部注目階調(第1暗部特徴量)及び明部注目階調(第1明部特徴量)を検出する。ここで注目階調とは、階調性を高めることが望ましい階調値である。注目階調とは輝度ヒストグラムにおいて(1)度数が所定の閾値以上かつ(2)極大値となる階調値で、かつ(3)該階調値を含む所定範囲内の度数の変動量が所定の基準より小さい階調値であり、以上(1)〜(3)の3つの条件を満たす階調値である。ここで(2)の条件での度数が極大値か否かは、例えば、注目階調か否かの対象とする階調値の度数と、その前後それぞれm個の階調値(mは1以上の整数)の度数とを比較することにより判断すればよい。比較する階調値の度数の中での最大値を極大値とする。なお、対象とする階調値の前後それぞれm個の階調値とは、対象とする階調値よりも小さなm個の階調値と、対象とする階調値よりも大きなm個の階調値を意味する。(3)の条件は、画像が同一色(同一の階調値)の領域(例えば、レターボックスや、データ放送などの図形や文字)を含む場合に局所的に度数の変動量が大きくなる階調値を除外するための条件である。(3)の条件を満たすか否かは、注目階調か否かの対象とする階調値の度数と、その階調値を除く±nの階調値(nは1以上の整数)の度数の総和に所定値を乗算した値とを比較することなどにより判断すればよい。
【0021】
輝度ヒストグラムにおける暗部注目階調は、階調値が低階調側の注目階調である。本実施例では、輝度ヒストグラムが256階調の場合、階調値が2〜126の範囲で上記の条件を満たす注目階調の中の最小注目階調を暗部注目階調とする。階調値が2〜126の範囲に注目階調がない場合は、暗部注目階調は128とする。
【0022】
輝度ヒストグラムにおける明部注目階調は、階調値が高階調側の注目階調である。本実施例は、輝度ヒストグラムが256階調の場合、階調値が130〜253の範囲で上記の条件を満たす注目階調の中の最大注目階調を明部注目階調とする。階調値が130〜253の範囲に注目階調がない場合は、明部注目階調は128とする。階調値0、1、127、128、129、254、255は、上下それぞれ2つの階調値の度数を注目階調の検出に用いるために注目階調の範囲から除外している。
【0023】
輝度ヒストグラムから検出した低階調側の階調値である暗部注目階調(第1暗部特徴量)と高階調側の階調値である明部注目階調(第1明部特徴量)を図4に示す。以上のように左眼用画像注目階調検出部105は、左眼用画像の各分割領域におけるヒストグラムのそれぞれから暗部注目階調及び明部注目階調を検出する。同様に右眼用画像注目階調検出部106は、右眼用画像の各分割領域におけるヒストグラムのそれぞれから暗部注目階調(第2暗部特徴量)及び明部注目階調(第2明部特徴量)を検出する。
【0024】
次に、統合暗部注目階調及び統合明部注目階調の決定方法について説明する。統合注目階調決定部107は、左眼用画像の各分割領域における暗部注目階調(第1暗部特徴量)、及び右眼用画像の各分割領域における暗部注目階調(第2暗部特徴量)を用いて統合暗部注目階調(統合暗部特徴量)を決定する。また、左眼用画像の各分割領域における明部注目階調(第1明部特徴量)、及び右眼用画像の各分割領域における明部注目階調(第2明部特徴量)を用いて統合明部注目階調(統合明部特徴量)を決定する。
【0025】
本実施例では、左眼用画像の各分割領域における暗部注目階調及び右眼用画像の各分割領域における暗部注目階調の中の最小値を統合暗部注目階調と決定する。また、左眼用画像の各分割領域における明部注目階調及び右眼用画像の各分割領域における明部注目階調の中の最小値を統合暗部注目階調と決定する。具体例を図5に示す。
【0026】
図5(a)は左眼用画像の各分割領域における暗部注目階調及び右眼用画像の各分割領域における暗部注目階調を示したものであり、図5(b)は左眼用画像の各分割領域における明部注目階調及び右眼用画像の各分割領域における明部注目階調を示したものである。図5(a)の暗部注目階調の中の最小値である、左眼用画像の領域d6の階調値25が統合暗部注目階調となる。図5(b)の明部注目階調の中の最大値である、右眼用画像の領域d2の階調値230が統合暗部注目階調となる。
【0027】
上記の例では、左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれの各分割領域における暗部注目階調の最小値を統合暗部注目階調、左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれの各分割領域における明部注目階調の最大値を統合明部注目階調としたがこれに限られない。例えば統合暗部注目階調は、左眼用画像の各分割領域における暗部注目階調の最小値と、右眼用画像の各分割領域における暗部注目階調の最小値との平均値としてもよい。同様に統合明部注目階調を左眼用画像の各分割領域における明部注目階調の最大値と、右眼用画像の各分割領域における明部注目階調の最大値との平均値としてもよい。図5の例で、統合暗部注目階調は左眼用画像の暗部注目階調の最小値25と右眼用画像の暗部注目階調の最小値35との平均値30、統合明部注目階調は左眼用画像の明部注目階調の最大値200と右眼用画像の暗部注目階調の最大値230との平均値215となる。
【0028】
続いてγ補正カーブの設定方法について説明する。γ補正カーブ設定部108は、統合注目階調決定部107で決定された統合暗部注目階調及び統合明部注目階調に基づいた階調補正パラメータであるγ補正カーブを設定する。設定するγ補正カーブは、統合暗部注目階調及び統合明部注目階調の階調値周辺の階調性を高めるようなγ補正カーブである。
【0029】
図6に統合暗部注目階調が階調値25、統合明部注目階調が階調値230の場合のγ補正カーブを示す。図6の破線は入力された画像の階調値をそのまま出力する場合のγ補正カーブである。これに対し、γ補正カーブ設定部108で設定される実線のγ補正カーブは、統合暗部注目階調が階調値25、統合明部注目階調が階調値230周辺の階調性を高めるようなγ補正カーブになっている。
【0030】
また、図7に示すように、低階調データを補正する暗部カーブγB、高階調データを補正する明部カーブγWと、中間階調を補正する中間カーブγMから、γ補正カーブを設定してもよい。以下に暗部カーブγB、明部カーブγW、中間カーブγMから、γ補正カーブを設定する方法を説明する。
【0031】
例えば図7に示すように、暗部カーブγBは階調値0〜128の入力データをγ補正するカーブである。暗部カーブγB(i)は126種類(i:2〜126、128)用意されている。暗部カーブγB(i)は階調値i周辺の範囲の階調値における階調性を高めるγ補正カーブになっている。統合暗部注目階調に応じて126種類の暗部カーブγB(i)(i:2〜126,128)の中から一つの暗部カーブγB(i)が選択される。統合暗部注目階調は、左眼用画像の各分割領域における暗部注目階調、及び右眼用画像の各分割領域における暗部注目階調を用いて決定されるので、2〜126、128のいずれかの値をとる。統合暗部注目階調が階調値25の場合は、暗部カーブγB(25)が選択される。
【0032】
また、明部カーブγWは階調値192〜255の入力データをγ補正するカーブである。図7に示すように、明部カーブγW(i)は125種類(i:128、130〜253)用意されている。明部カーブγW(i)は階調値i周辺の範囲の階調値における階調性を高めるγ補正カーブになっている。統合明部注目階調に応じて125種類の明部カーブγW(i)(i:128、130〜253)の中から一つの明部カーブγW(i)が選択される。統合明部注目階調は、左眼用画像の各分割領域における明部注目階調、及び右眼用画像の各分割領域における明部注目階調を用いて決定されるので、128、130〜253のいずれかの値をとる。統合明部注目階調が階調値230の場合は、明部カーブγW(230)が選択される。
【0033】
以上のようにγ補正カーブを決定することによって、統合暗部注目階調が低い場合ほど低い階調値に階調を割り付けるカーブが生成され、統合明部注目階調が高い場合ほど高い階調値に階調を割り付けるカーブが生成される。以上のように決定したγ補正カーブを用いて補正をすることで暗部と明部の視認性を上げることが可能である。
【0034】
中間カーブγMは階調値129〜191の入力データをγ補正するカーブである。中間γカーブγMは選択された暗部カーブγB(i)と明部カーブγW(i)の間の階調を直線補間により補間した変換特性とする。以上のようにγ補正カーブ設定部108において、暗部カーブγB、明部カーブγW及び中間カーブγMによりγ補正カーブが設定される。
【0035】
左眼用画像γ補正部109及び右眼用画像γ補正部110では、上記のように設定されたγ補正カーブを用いて、左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正する。そして補正した左眼用画像及び右眼用画像はそれぞれ、左眼用画像出力端子111及び右眼用画像出力端子112から出力され表示部で表示される。
【0036】
以上のように本実施例によれば、立体視可能な左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正するγ補正カーブが左眼用画像及び右眼用画像の両画像の特徴を反映して設定されているため、黒つぶれや白とびすることない適正なγ補正処理を行うことができる。
【0037】
(実施例2)
実施例1では、左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれのヒストグラムを作成する際に、左眼用画像及び右眼用画像をそれぞれ複数の分割領域に分割し、各分割領域におけるヒストグラムを作成した。本実施例では、左眼用画像及び右眼用画像を分割しない場合を説明する。実施例1と同様の処理については説明を省略する。
【0038】
左眼用画像ヒストグラム作成部103及び右眼用画像ヒストグラム作成部104は、入力された左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれのヒストグラムを作成する。本実施例でも実施例1と同様に、作成されるヒストグラムは階調値0〜255の8bit(256階調)の輝度ヒストグラムとする。
【0039】
左眼用画像注目階調検出部105は、左眼用画像ヒストグラム作成部103で作成された左眼用画像の輝度ヒストグラムから暗部注目階調(第1暗部特徴量)及び明部注目階調(第1明部特徴量)を検出する。ヒストグラムから暗部注目階調及び明部注目階調を検出する方法は実施例1と同様である。右眼用画像注目階調検出部106も左眼用画像注目階調検出部105と同様に、右眼用画像の輝度ヒストグラムから暗部注目階調(第2暗部特徴量)及び明部注目階調(第2明部特徴量)を検出する。左眼用画像注目階調検出部105及び右眼用画像注目階調検出部106のそれぞれで検出した、左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれの暗部注目階調及び明部注目階調を図8に示す。
【0040】
統合注目階調決定部107は、左眼用画像注目階調検出部105及び右眼用画像注目階調検出部106のそれぞれで検出した、左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれの暗部注目階調から統合暗部注目階調を決定する。また同様に、左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれの明部注目階調から統合明部注目階調を決定する。
【0041】
本実施例では、統合暗部注目階調は、左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれの暗部注目階調の最小値としてもよいし、左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれの暗部注目階調の平均値としてもよい。図8の例において、統合暗部注目階調を左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれの暗部注目階調の最小値とした場合は25、平均値とした場合は30となる。また、統合明部注目階調は、左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれの明部注目階調の最大値としてもよいし、左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれの明部注目階調の平均値としてもよい。図8の例において、統合明部注目階調を左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれの明部注目階調の最大値とした場合は230、平均値とした場合は215となる。
【0042】
以上のように決定された統合暗部注目階調及び統合明部注目階調に基づいた階調補正パラメータであるγ補正カーブを実施例1と同様にγ補正カーブ設定部108が設定し、設定されたγ補正カーブを用いて左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正する。
【0043】
このように本実施例においても、立体視可能な左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正するγ補正カーブが左眼用画像及び右眼用画像の両画像の特徴を反映して設定されているため、黒つぶれや白とびすることない適正なγ補正処理を行うことができる。
【0044】
(実施例3)
本発明の実施形態に係る画像処理装置及びその制御方法の具体的な実施例について説明する。図9は本実施例に係る画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。実施例1及び2に係る画像処理装置の図1のブロック図と同様な処理を行うブロックについては同符号を付している。
【0045】
本実施例の画像処理装置は、左眼用画像入力端子101及び右眼用画像入力端子102と、左眼用画像分割APL検出部301及び右眼用画像分割APL検出部302と、ゲイン値算出部303と、統合APL決定部304を備える。更に、左眼用画像ゲイン調整部305及び右眼用画像ゲイン調整部306と、γ補正カーブ設定部307と、左眼用画像γ補正部109及び右眼用画像γ補正部110と、左眼用画像出力端子111及び右眼用画像出力端子112から構成されている。
【0046】
画像処理装置での処理の流れについて、図10のフローチャートと共に説明する。ステップS31において、左眼用画像分割APL検出部301及び右眼用画像分割APL検出部302は、左眼用画像入力端子101及び右眼用画像入力端子102から入力された左眼用画像及び右眼用画像それぞれを複数の分割領域に分割する。そして、各分割領域における平均輝度値を検出する。本実施例では左眼用画像分割APL検出部301及び右眼用画像分割APL検出部302において各分割領域における平均輝度値(APL値)を検出する。
【0047】
ステップS32においてゲイン値算出部303は、ステップS31で検出した左眼用画像及び右眼用画像それぞれの各分割領域におけるAPL値を比較し、左眼用画像及び右眼用画像それぞれのゲイン値を算出する。ステップS33において左眼用画像ゲイン調整部305及び右眼用画像ゲイン調整部306は、算出されたゲイン値に基づいて、左眼用画像及び右眼用画像それぞれの各領域におけるAPL値を調整する。ゲイン値の算出方法及びゲイン値によるAPL値の調整方法の説明は後述する。
【0048】
ステップS34において統合APL決定部304は、ゲイン値によって補正した左眼用画像及び右眼用画像それぞれの各分割領域におけるAPL値を用いて、統合暗部APL値及び統合明部APL値を決定する。統合暗部APL値及び統合明部APL値の決定方法は後述する。
【0049】
ステップS35においてγ補正カーブ設定部307は、統合暗部APL値及び統合明部APL値に基づいた階調補正パラメータであるγ補正カーブを設定する。γ補正カーブの設定方法は後述する。ステップS36において左眼用画像γ補正部109及び右眼用画像γ補正部110は、γ補正カーブ設定部307で設定されたγ補正カーブを用いて実施例1及び2と同様に、左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正する処理を行う。そして補正された左眼用画像及び右眼用画像はそれぞれ左眼用画像出力端子111及び右眼用画像出力端子112から出力され表示部に表示される。
【0050】
本実施例では、左眼用画像分割APL検出部301及び右眼用画像分割APL検出部302は、左眼用画像及び右眼用画像の各画素の輝度値を検出する。本実施例では輝度値を階調値0〜255の8bit(256階調)で検出する。
【0051】
左眼用画像及び右眼用画像を例えば図3のように4×4の16の分割領域d1〜d16に分割して各分割領域のAPL値を検出するとする。また、左眼用画像分割APL検出部301及び右眼用画像分割APL検出部302は、256階調で検出された各画素の輝度値を0〜7を用いて、APL値を3bit(8階調)で検出するとする。画像の分割数は特にこれに限られず10×5や5×3等であってもよく、APL値の検出精度は例えば128階調や256階調でもよい。
【0052】
図11(a)に左眼用画像及び右眼用画像それぞれの各分割領域のAPL値、及び各分割領域における左眼用画像APL値と右眼用画像APL値との差分の具体例を示す。左眼用画像及び右眼用画像それぞれの各分割領域のAPL値は、左眼用画像分割APL検出部301及び右眼用画像分割APL検出部302で検出される。また、各分割領域における左眼用画像APL値と右眼用画像APL値との差分はゲイン値算出部303にて求められる。
【0053】
図11(a)を用いて、ゲイン値の算出方法及びゲイン値によるAPL値の調整方法を説明する。
【0054】
ゲイン値算出部303は、各分割領域における左眼用画像APL値と右眼用画像APL値とを比較する。比較して所定の閾値以上の差がある(偏りがある)分割領域において、左眼用画像APL値が右眼用画像APL値より大きい分割領域の数と、右眼用画像APL値が左眼用画像APL値より大きい分割領域の数とをカウントする。
【0055】
図11(a)において所定の閾値を1とすると、左眼用画像APL値が右眼用画像APL値より大きい分割領域(左眼用画像APL値−右眼用画像APL値が正で1以上)が13個存在する。また、右眼用画像APL値が左眼用画像APL値より大きい分割領域(左眼用画像APL値−右眼用画像APL値が負で絶対値が1以上)が2個存在する。
【0056】
このように、左眼用画像APL値が右眼用画像APL値より大きい分割領域の数と、右眼用画像APL値が左眼用画像APL値より大きい分割領域の数の差が所定値(例えば2)以上あり偏りがある場合には、左眼用画像及び右眼用画像のゲインの調整を行う。これは、3D画像において視差により、左眼用画像及び右眼用画像の特徴量に差が生じる一方で、多くの画像内の領域においてほぼ同様な被写体が映っていると考えられるため、左眼用画像及び右眼用画像の特徴量に一定以上の差は生じないと想定されるからである。
【0057】
ゲイン値算出部303は、偏りがある分割領域において、左眼用画像APL値と右眼用画像APL値との差が一定範囲内である各分割領域の左眼用画像APL値の平均値と、右眼用画像APL値の平均値との比からゲイン値を算出する。図11(a)において偏りがある分割領域d1〜d9、d10〜d16の中で、左眼用画像APL値と右眼用画像APL値との差が1である各分割領域の左眼用画像APL値の平均値と、右眼用画像APL値の平均値を算出する。具体的には、左眼用画像APL値−右眼用画像APL値との差が1である分割領域d2、d4〜d8、d10〜d14、d16における左眼用画像APL値の平均値は3.83、右眼用画像APL値の平均値は2.83となる。そして、左眼用画像APL値の平均値と右眼用画像APL値の平均値との比は、(左眼用画像APL値の平均値)/(右眼用画像APL値の平均値)=1.35となる。
【0058】
ゲイン値算出部303は左眼用画像ゲイン調整部305にゲイン値として1/1.35を出力し、右眼用画像ゲイン調整部306にゲイン値として1を出力する。このように設定されたゲイン値を用いて、左眼用画像及び右眼用画像それぞれのゲインを調整すると、左眼用画像及び右眼用画像の特徴量の大きな偏りが調整できる。左眼用画像ゲイン調整部305及び右眼用画像ゲイン調整部306は、ゲイン値算出部303から出力されたゲイン値を用いて左眼用画像及び右眼用画像それぞれのゲインを調整する。調整後の左眼用画像及び右眼用画像それぞれの各分割領域おける左眼用画像APL値(調整後)と右眼用画像APL値(調整後)を図11(b)に示す。
【0059】
統合暗部APL値及び統合明部APL値の決定方法を説明する。統合APL決定部304には、左眼用画像分割APL検出部301及び右眼用画像分割APL検出部302から、左眼用画像及び右眼用画像それぞれの各分割領域おける左眼用画像APL値と右眼用画像APL値が出力される。更に、ゲイン値算出部303から、左眼用画像及び右眼用画像それぞれのゲイン値が出力される。
【0060】
左眼用画像及び右眼用画像それぞれの各分割領域おける左眼用画像APL値と右眼用画像APL値から、左眼用画像における最小APL値(第1暗部特徴量)と最大APL値(第1明部特徴量)を決定する。また、右眼用画像における最小APL値(第2暗部特徴量)と最大APL値(第2明部特徴量)を決定する。図11(a)において、左眼用画像の各分割領域おける左眼用画像APL値の中の最大APL値は6、最小APL値は2である。右眼用画像の各分割領域おける右眼用画像APL値の中の最大APL値は7、最小APL値は2である。
【0061】
左眼用画像及び右眼用画像それぞれにおける最大APL値及び最小APL値に、ゲイン値算出部303から出力された左眼用画像及び右眼用画像それぞれのゲイン値を用いて、ゲインを調整する。左眼用画像のゲイン値は1/1.35なので、左眼用画像の最大APL値6は、6×1/1.35=4(小数点以下四捨五入)、最小APL値2は、2×1/1.35=1と調整される。右眼用画像のゲイン値は1なので、右眼用画像の最大APL値7は、7×1=7、最小APL値2は、2×1=2と調整される(ゲイン値が1の場合はゲイン調整を行わないとの同等の値になる)。
【0062】
ゲイン調整後の左眼用画像の最小APL値(第1暗部特徴量)及び右眼用画像の最小APL値(第2暗部特徴量)のうち小さいほうのAPL値である階調値1を、統合暗部APL値(統合暗部特徴量)とする。ゲイン調整後の左眼用画像の最大APL値(第1明部特徴量)及び右眼用画像の最大APL値(第2明部特徴量)のうち大きいほうのAPL値である階調値7を、統合明部APL値(統合明部特徴量)とする。
【0063】
統合暗部APL値及び統合明部APL値の決定の仕方は上記に限らない。例えば左眼用画像の最小APL値及び右眼用画像の最小APL値の平均値を統合暗部APL値、左眼用画像の最大APL値及び右眼用画像の最大APL値の平均値を統合明部APL値としてもよい。
【0064】
また、左眼用画像及び右眼用画像それぞれにおける最大APL値及び最小APL値に対するゲイン調整を統合APL決定部304で行わなくてもよい。その場合は、ゲイン調整後の左眼用画像及び右眼用画像それぞれの各分割領域おける左眼用画像APL値と右眼用画像APL値(図11(b)に示したもの)を、左眼用画像ゲイン調整部305及び右眼用画像ゲイン調整部306から取得する。そして取得した、ゲイン調整後の左眼用画像及び右眼用画像それぞれの各分割領域おける左眼用画像APL値と右眼用画像APL値から、各画像における最大APL値と最小APL値を決定する。
【0065】
統合暗部APL値及び統合明部APL値に基づいたγ補正カーブの設定方法について説明する。
【0066】
本実施例のγ補正カーブは、低階調データを補正する暗部カーブγB、高階調データを補正する明部カーブγWと、中間階調を補正する中間カーブγMから成る。本実施例では画像データの階調分解能は3bit(0〜7階調)であるものとする。
【0067】
図12に示すように、暗部カーブγBは階調値0〜128の入力データをγ補正するカーブである。暗部カーブγB(i)は8種類(i:0〜8)用意されている。暗部カーブγB(i)は階調値i周辺の範囲の階調値における階調性を高めるγ補正カーブになっている。統合暗部APL値に応じて8種類の暗部カーブγB(i)(i:0〜7)の中から一つの暗部カーブγB(i)が選択される。統合暗部APL値は、左眼用画像の最小APL値、及び右眼用画像の最小APL値を用いて決定されるので、APL値が3bitの精度で検出される場合は0〜7のいずれかの値をとる。統合暗部APL値が階調値1の場合は、暗部カーブγB(1)が選択される。
【0068】
また、明部カーブγWは階調値192〜255の入力データをγ補正するカーブである。図12に示すように、明部カーブγW(i)は8種類(i:0〜7)用意される。明部カーブγW(i)は階調値i周辺の範囲の階調値における階調性を高めるγ補正カーブになっている。統合明部APL値に応じて8種類の明部カーブγW(i)(i:0〜7)の中から一つの明部カーブγW(i)が選択される。統合明部APL値は、左眼用画像の最大APL値、及び右眼用画像の最大APL値を用いて決定されるので、APL値が3bitの精度で検出される場合は0〜7のいずれかの値をとる。統合明部APL値が階調値7の場合は、明部カーブγW(7)が選択される。
【0069】
中間カーブγMは階調値128〜192の入力データをγ補正するカーブである。中間γカーブγMは選択された暗部カーブγB(i)と明部カーブγW(i)の間の階調を直線補間により補間した変換特性とする。以上のようにγ補正カーブ設定部108において、暗部カーブγB、明部カーブγW及び中間カーブγMによりγ補正カーブが設定される。
【0070】
以上のように、暗部カーブγB、明部カーブγW、中間カーブγMを設定したが、各γカーブが補正する階調値は上記に示すものに限られない。例えば、暗部カーブγBは階調値0〜3、明部カーブγWは階調値6〜7、中間カーブγMは階調値3〜6の入力データを補正するものとしてもよい。
【0071】
以上のようにγ補正カーブを決定することによって、統合暗部APL値が低い場合ほど低い階調値に階調を割り付けるカーブが生成され、統合暗部APL値が高い場合ほど高い階調値に階調を割り付けるカーブが生成される。以上のように決定したγ補正カーブを用いて補正をすることで暗部と明部の視認性を上げることが可能である。
【0072】
なお、本実施例においては、ゲイン値算出部303で左眼用画像のAPL値と右眼用画像のAPL値とを比較して所定の閾値以上の差がある場合に、ゲイン値を計算しゲインの調整をしているが、差が所定の閾値以下である場合にはゲインの調整は行わなくでもよい。
【0073】
以上のように本実施例においても、立体視可能な左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正するγ補正カーブが左眼用画像及び右眼用画像の両画像の特徴を反映して設定されているため、黒つぶれや白とびすることない適正なγ補正処理を行うことができる。左眼用画像のAPL値と右眼画像のAPL値に差がある場合でも、適正なγ補正処理を行うことができる。
【符号の説明】
【0074】
105 左眼用画像注目階調検出部
106 右眼用画像注目階調検出部
107 統合注目階調決定部
108 γカーブ設定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左眼用画像及び右眼用画像を表示部に立体視可能なように表示する画像処理装置において、
入力された前記左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれのヒストグラムを作成するヒストグラム作成手段と、
前記ヒストグラム作成手段で作成された前記左眼用画像のヒストグラムから、低階調側の階調値である第1暗部特徴量及び高階調側の階調値である第1明部特徴量を検出する第1検出手段と、
前記ヒストグラム作成手段で作成された前記右眼用画像のヒストグラムから、低階調側の階調値である第2暗部特徴量及び高階調側の階調値である第2明部特徴量を検出する第2検出手段と、
前記第1暗部特徴量及び前記第2暗部特徴量を用いて統合暗部特徴量を決定し、前記第1明部特徴量及び前記第2明部特徴量を用いて統合明部特徴量を決定する決定手段と、
前記統合暗部特徴量及び前記統合明部特徴量に基づいた階調補正パラメータを設定する設定手段と、
前記設定手段で設定された前記階調補正パラメータを用いて、前記左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正する補正手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第1検出手段は、前記左眼用画像のヒストグラムから、度数が所定の閾値以上かつ極大値である階調値であって、局所的な度数の変動量が所定の基準よりも小さい階調値である注目階調を検出して、低階調側の前記注目階調の中で最も小さい階調値を前記第1暗部特徴量とし、高階調側の前記注目階調の中で最も大きい階調値を前記第1明部特徴量として検出し、
前記第2検出手段は、前記右眼用画像のヒストグラムから、度数が所定の閾値以上かつ極大値である階調値であって、局所的な度数の変動量が所定の基準よりも小さい階調値である注目階調を検出して、低階調側の前記注目階調の中で最も小さい階調値を前記第2暗部特徴量とし、高階調側の前記注目階調の中で最も大きい階調値を前記第2明部特徴量として検出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記第1暗部特徴量及び前記第2暗部特徴量の中の最小値を統合暗部特徴量とし、前記第1明部特徴量及び前記第2明部特徴量の中の最大値を統合暗部特徴量とすることを特徴とする請求項1また2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記第1暗部特徴量及び前記第2暗部特徴量の平均値を統合暗部特徴量とし、前記第1明部特徴量及び前記第2明部特徴量の平均値を統合暗部特徴量とすることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記設定手段は、前記統合暗部特徴量の階調値周辺及び前記統合明部特徴量の階調値周辺の階調性を高める階調補正パラメータを設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
左眼用画像及び右眼用画像を表示部に立体視可能なように表示する画像処理装置において、
入力された前記左眼用画像及び右眼用画像をそれぞれ複数の分割領域に分割し、各分割領域における平均輝度値を検出する平均輝度値検出手段と、
前記左眼用画像の各分割領域における平均輝度値の中の最小値及び最大値をそれぞれ第1暗部特徴量及び第1明部特徴量とし、前記右眼用画像の各分割領域における平均輝度値の中の最小値及び最大値をそれぞれ第2暗部特徴量及び第2明部特徴量として、前記第1暗部特徴量及び前記第2暗部特徴量を用いて統合暗部特徴量を決定し、前記第1明部特徴量及び前記第2明部特徴量を用いて統合明部特徴量を決定する決定手段と、
前記統合暗部特徴量及び前記統合明部特徴量に基づいた階調補正パラメータを設定する設定手段と、
前記設定手段で設定された前記階調補正パラメータを用いて、前記左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正する補正手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
前記決定手段は、前記第1暗部特徴量及び前記第2暗部特徴量のうち小さい値を統合暗部特徴量とし、前記第1明部特徴量及び前記第2明部特徴量のうち大きい値を統合明部特徴量とすることを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記平均輝度値検出手段で検出された前記左眼用画像の各分割領域の平均輝度値と、前記右眼用画像の各分割領域の平均輝度値との差に基づいて、前記左眼用画像の各分割領域の平均輝度値と前記右眼用画像の各分割領域の平均輝度値とを調整する調整手段を有することを特徴とする請求項6または7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記設定手段は、前記統合暗部特徴量の階調値周辺及び前記統合明部特徴量の階調値周辺の階調性を高める階調補正パラメータを設定することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
左眼用画像及び右眼用画像を表示部に立体視可能なように表示する画像処理装置の制御方法において、
入力された前記左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれのヒストグラムを作成するヒストグラム作成工程と、
前記ヒストグラム作成工程で作成された前記左眼用画像のヒストグラムから、低階調側の階調値である第1暗部特徴量及び高階調側の階調値である第1明部特徴量を検出する第1検出工程と、
前記ヒストグラム作成工程で作成された前記右眼用画像のヒストグラムから、低階調側の階調値である第2暗部特徴量及び高階調側の階調値である第2明部特徴量を検出する第2検出工程と、
前記第1暗部特徴量及び前記第2暗部特徴量を用いて統合暗部特徴量を決定し、前記第1明部特徴量及び前記第2明部特徴量を用いて統合明部特徴量を決定する決定工程と、
前記統合暗部特徴量及び前記統合明部特徴量に基づいた階調補正パラメータを設定する設定工程と、
前記設定工程で設定された前記階調補正パラメータを用いて、前記左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正する補正工程と、を有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項11】
左眼用画像及び右眼用画像を表示部に立体視可能なように表示する画像処理装置の制御方法において、
入力された前記左眼用画像及び右眼用画像をそれぞれ複数の分割領域に分割し、各分割領域における平均輝度値を検出する平均輝度値検出工程と、
前記左眼用画像の各分割領域における平均輝度値の中の最小値及び最大値をそれぞれ第1暗部特徴量及び第1明部特徴量とし、前記右眼用画像の各分割領域における平均輝度値の中の最小値及び最大値をそれぞれ第2暗部特徴量及び第2明部特徴量として、前記第1暗部特徴量及び前記第2暗部特徴量を用いて統合暗部特徴量を決定し、前記第1明部特徴量及び前記第2明部特徴量を用いて統合明部特徴量を決定する決定工程と、
前記統合暗部特徴量及び前記統合明部特徴量に基づいた階調補正パラメータを設定する設定工程と、
前記設定工程で設定された前記階調補正パラメータを用いて、前記左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正する補正工程と、を有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項1】
左眼用画像及び右眼用画像を表示部に立体視可能なように表示する画像処理装置において、
入力された前記左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれのヒストグラムを作成するヒストグラム作成手段と、
前記ヒストグラム作成手段で作成された前記左眼用画像のヒストグラムから、低階調側の階調値である第1暗部特徴量及び高階調側の階調値である第1明部特徴量を検出する第1検出手段と、
前記ヒストグラム作成手段で作成された前記右眼用画像のヒストグラムから、低階調側の階調値である第2暗部特徴量及び高階調側の階調値である第2明部特徴量を検出する第2検出手段と、
前記第1暗部特徴量及び前記第2暗部特徴量を用いて統合暗部特徴量を決定し、前記第1明部特徴量及び前記第2明部特徴量を用いて統合明部特徴量を決定する決定手段と、
前記統合暗部特徴量及び前記統合明部特徴量に基づいた階調補正パラメータを設定する設定手段と、
前記設定手段で設定された前記階調補正パラメータを用いて、前記左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正する補正手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第1検出手段は、前記左眼用画像のヒストグラムから、度数が所定の閾値以上かつ極大値である階調値であって、局所的な度数の変動量が所定の基準よりも小さい階調値である注目階調を検出して、低階調側の前記注目階調の中で最も小さい階調値を前記第1暗部特徴量とし、高階調側の前記注目階調の中で最も大きい階調値を前記第1明部特徴量として検出し、
前記第2検出手段は、前記右眼用画像のヒストグラムから、度数が所定の閾値以上かつ極大値である階調値であって、局所的な度数の変動量が所定の基準よりも小さい階調値である注目階調を検出して、低階調側の前記注目階調の中で最も小さい階調値を前記第2暗部特徴量とし、高階調側の前記注目階調の中で最も大きい階調値を前記第2明部特徴量として検出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記第1暗部特徴量及び前記第2暗部特徴量の中の最小値を統合暗部特徴量とし、前記第1明部特徴量及び前記第2明部特徴量の中の最大値を統合暗部特徴量とすることを特徴とする請求項1また2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記第1暗部特徴量及び前記第2暗部特徴量の平均値を統合暗部特徴量とし、前記第1明部特徴量及び前記第2明部特徴量の平均値を統合暗部特徴量とすることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記設定手段は、前記統合暗部特徴量の階調値周辺及び前記統合明部特徴量の階調値周辺の階調性を高める階調補正パラメータを設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
左眼用画像及び右眼用画像を表示部に立体視可能なように表示する画像処理装置において、
入力された前記左眼用画像及び右眼用画像をそれぞれ複数の分割領域に分割し、各分割領域における平均輝度値を検出する平均輝度値検出手段と、
前記左眼用画像の各分割領域における平均輝度値の中の最小値及び最大値をそれぞれ第1暗部特徴量及び第1明部特徴量とし、前記右眼用画像の各分割領域における平均輝度値の中の最小値及び最大値をそれぞれ第2暗部特徴量及び第2明部特徴量として、前記第1暗部特徴量及び前記第2暗部特徴量を用いて統合暗部特徴量を決定し、前記第1明部特徴量及び前記第2明部特徴量を用いて統合明部特徴量を決定する決定手段と、
前記統合暗部特徴量及び前記統合明部特徴量に基づいた階調補正パラメータを設定する設定手段と、
前記設定手段で設定された前記階調補正パラメータを用いて、前記左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正する補正手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
前記決定手段は、前記第1暗部特徴量及び前記第2暗部特徴量のうち小さい値を統合暗部特徴量とし、前記第1明部特徴量及び前記第2明部特徴量のうち大きい値を統合明部特徴量とすることを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記平均輝度値検出手段で検出された前記左眼用画像の各分割領域の平均輝度値と、前記右眼用画像の各分割領域の平均輝度値との差に基づいて、前記左眼用画像の各分割領域の平均輝度値と前記右眼用画像の各分割領域の平均輝度値とを調整する調整手段を有することを特徴とする請求項6または7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記設定手段は、前記統合暗部特徴量の階調値周辺及び前記統合明部特徴量の階調値周辺の階調性を高める階調補正パラメータを設定することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
左眼用画像及び右眼用画像を表示部に立体視可能なように表示する画像処理装置の制御方法において、
入力された前記左眼用画像及び右眼用画像のそれぞれのヒストグラムを作成するヒストグラム作成工程と、
前記ヒストグラム作成工程で作成された前記左眼用画像のヒストグラムから、低階調側の階調値である第1暗部特徴量及び高階調側の階調値である第1明部特徴量を検出する第1検出工程と、
前記ヒストグラム作成工程で作成された前記右眼用画像のヒストグラムから、低階調側の階調値である第2暗部特徴量及び高階調側の階調値である第2明部特徴量を検出する第2検出工程と、
前記第1暗部特徴量及び前記第2暗部特徴量を用いて統合暗部特徴量を決定し、前記第1明部特徴量及び前記第2明部特徴量を用いて統合明部特徴量を決定する決定工程と、
前記統合暗部特徴量及び前記統合明部特徴量に基づいた階調補正パラメータを設定する設定工程と、
前記設定工程で設定された前記階調補正パラメータを用いて、前記左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正する補正工程と、を有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項11】
左眼用画像及び右眼用画像を表示部に立体視可能なように表示する画像処理装置の制御方法において、
入力された前記左眼用画像及び右眼用画像をそれぞれ複数の分割領域に分割し、各分割領域における平均輝度値を検出する平均輝度値検出工程と、
前記左眼用画像の各分割領域における平均輝度値の中の最小値及び最大値をそれぞれ第1暗部特徴量及び第1明部特徴量とし、前記右眼用画像の各分割領域における平均輝度値の中の最小値及び最大値をそれぞれ第2暗部特徴量及び第2明部特徴量として、前記第1暗部特徴量及び前記第2暗部特徴量を用いて統合暗部特徴量を決定し、前記第1明部特徴量及び前記第2明部特徴量を用いて統合明部特徴量を決定する決定工程と、
前記統合暗部特徴量及び前記統合明部特徴量に基づいた階調補正パラメータを設定する設定工程と、
前記設定工程で設定された前記階調補正パラメータを用いて、前記左眼用画像及び右眼用画像の階調を補正する補正工程と、を有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−100031(P2012−100031A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245489(P2010−245489)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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