説明

画像処理装置及びプログラム、並びに電子カメラ

【課題】 本発明は、例えば顔を補正する画像処理を行うときに視認性を向上させる手段を提供する。
【解決手段】 画像処理装置は、特徴領域設定部と、表示制御部とを備える。特徴領域設定部は、第1の画像の顔の位置に特徴領域を設定する。表示制御部は、第1の画像から特徴領域を部分的に切り出した第2の画像を画像と共に表示装置に表示させるときに、第1の画像の特徴領域と第2の画像とが少なくとも重ならないように表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びプログラム、並びに電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人物を撮影した本画像から顔を補正する画像処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。上記の画像処理装置では、顔を補正することにより、見映えの良い画像を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−77592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の画像処理装置では、ユーザの入力により選択された顔の補正領域を示す画像と本画像とを表示モニタに表示させるため、例えば補正領域を示す画像を拡大した場合、本画像中の補正領域が隠れて見えなくなるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、例えば顔を補正する画像処理を行うときに視認性を向上させる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る画像処理装置は、特徴領域設定部と、表示制御部とを備える。特徴領域設定部は、第1の画像の顔の位置に特徴領域を設定する。表示制御部は、第1の画像から特徴領域を部分的に切り出した第2の画像を画像と共に表示装置に表示させるときに、第1の画像の特徴領域と第2の画像とが少なくとも重ならないように表示させる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、表示制御部は、第1の画像を縮小表示させると共に第2の画像を拡大表示させる。
【0008】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、補正受付部と、補正部とをさらに備える。補正受付部は、特徴領域の補正の指示入力を受け付ける。補正部は、指示入力に基づいて、特徴領域を補正する。
【0009】
第4の発明は、第1から第3の何れか1の発明において、第1の画像の情報には、前記第1の画像の補正箇所を示す補正情報が対応付けられている。特徴領域設定部は、補正情報に基づいて、前記特徴領域を設定する。
【0010】
第5の発明は、第4の発明において、補正情報は、第1の画像に施された補正の度合いの情報を含む。表示制御部は、補正の度合いの高さに比例して、第2の画像の拡大率を高くする。
【0011】
第6の発明は、第1から第3の何れか1の発明において、顔検出部をさらに備える。顔検出部は、第1の画像から顔又は顔の特徴部位を検出する。特徴領域設定部は、顔検出部が検出した顔又は特徴部位に基づいて、特徴領域を設定する。
【0012】
第7の発明は、第1から第3の何れか1の発明において、特徴領域受付部をさらに備える。特徴領域受付部は、特徴領域の指定入力を受け付ける。
【0013】
第8の発明に係る電子カメラは、被写体の像を撮像して第1の画像を生成する撮像素子と、請求項1から請求項7の何れか1項に記載の画像処理装置とを備える。
【0014】
第9の発明に係るプログラムは、コンピュータに画像の処理を実行させるプログラムであって、特徴領域設定処理と、表示制御処理とをコンピュータに実行させる。特徴領域設定処理は、第1の画像の顔の位置に特徴領域を設定する。表示制御処理は、第1の画像から前記特徴領域を部分的に切り出した第2の画像を前記画像と共に表示装置に表示させるときに、前記第1の画像の前記特徴領域と前記第2の画像とが少なくとも重ならないように表示させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、例えば顔を補正する画像処理を行うときに視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】画像処理装置1の構成を説明するブロック図
【図2】画像処理装置1の動作の一例を示すフローチャート
【図3】画像の一例を示す図
【図4】表示モニタ4に表示された画像20aを示す図
【図5】特徴領域の一例を説明する図
【図6】表示制御部8cによる表示態様の一例を示す図
【図7】表示制御部8cによる表示態様の一例を示す図
【図8】表示制御部8cによる表示態様の一例を示す図
【図9】電子カメラ50の構成を説明するブロック図
【図10】画像ファイルの一例を模式的に表した図
【図11】補正レベル値と部分画像の拡大率との対応関係の一例を示すテーブル
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、画像処理装置1の構成を説明するブロック図である。ここで、画像処理装置1は、画像内の顔の特徴部位を美しく補正するパーツメイクモード(以下「特徴部位補正モード」という)を有する。ここで、顔の特徴部位は、例えば、目、眉、鼻、唇等の何れか1つに限られず、頬や額の部分であっても良い。特徴部位補正モードの具体的な内容については、後述する。なお、第1実施形態では、電子カメラで人物を撮影した第1の画像(以下、単に「画像」という)を後述する記録媒体10から読み出して特徴部位補正モードの補正を行う。
【0018】
画像処理装置1は、図1に示す通り、記録インターフェース部(以下「記録I/F部」という)2と、メモリ3と、表示モニタ4と、タッチパネル5と、キーボード6と、マウス7と、CPU(Central Processing Unit)8と、データバス9とを備える。
【0019】
このうち、記録I/F部2、メモリ3、表示モニタ4及びCPU8は、データバス9を介して互いに接続されている。また、タッチパネル5、キーボード6及びマウス7は、CPU8に接続されている。
【0020】
記録I/F部2は、データの書き込みや読み出しのインターフェースを提供する。記録I/F部2には、着脱自在の記録媒体10を接続するためのコネクタ(不図示)が形成されている。そして、記録I/F部2は、そのコネクタに接続された記録媒体10にアクセスして画像の記録処理等を行う。この記録媒体10は、例えば、不揮発性のメモリカードである。図1では、コネクタに接続された後の記録媒体10を示している。
【0021】
メモリ3は、記録I/F部2が記録媒体10から読み出した画像データを、一時的に記録する。また、表示モニタ4は、CPU8の指示に応じて画像や画像処理装置1の操作メニュー等を表示する。なお、表示モニタ4には、液晶のモニタ等を適宜選択して用いることができる。
【0022】
タッチパネル5は、検出面に接触した指先等の位置を検出することでユーザからの操作を受け付けるポインティングデバイスである。なお、タッチパネル5の検出面は、透明であって、表示モニタ4の表示画面上に配置されているものとする。キーボード6やマウス7は、ユーザからの入力の操作を受け付ける入力デバイスである。
【0023】
CPU8は、各種演算及び画像処理装置1の制御を行うプロセッサである。CPU8は、メモリ3に予め格納されたシーケンスプログラムを実行することにより、画像処理装置1の各部の制御等を行う。
【0024】
また、CPU8は、特徴部位補正モードのプログラムが実行されることにより、顔検出部8aと、特徴領域設定部8bと、表示制御部8cと、補正受付部8dと、補正部8eと、特徴領域受付部8fとしても機能する。
【0025】
顔検出部8aは、画像を解析して画像から特徴点(特徴量)を抽出して顔領域の位置、顔領域の大きさ(顔面積)等を検出する。例えば、顔検出部8aは、特開2001−16573号公報等に記載された特徴点抽出処理によって顔領域を抽出する。また、顔検出部8aは、特徴点に基づいて、例えば、眉、目、鼻、唇等の顔の特徴部位を画像から検出する。これらの処理により、顔検出部8aは、画像内の顔領域の位置、顔の特徴部位の位置を特定する。例えば、顔検出部8aは、画像の横方向をX軸、縦方向をY軸としたときに、顔領域に含まれる画素のX座標及びY座標を算出する。
【0026】
特徴領域設定部8bは、一例として、顔検出部8aが検出した顔又は顔の特徴部位に基づいて、特徴領域を画像内に設定する。そして、特徴領域設定部8bは、特徴領域を画像から部分的に切り出して新たに第2の画像(以下「部分画像」という)を生成する。なお、部分画像は、例えば唇の輪郭部分を切り出した画像であっても良く、或いは、唇を含む周辺領域を切り出した画像であっても良い。
【0027】
なお、特徴領域設定部8bは、特徴領域受付部8fを介して、特徴領域を設定しても良い。ここで、特徴領域受付部8fは、タッチパネル5又はマウス7を介して特徴領域の指定入力を受け付ける。特徴領域設定部8bは、この指定入力に基づいて、特徴領域を設定する。
【0028】
表示制御部8cは、画像や部分画像の解像度を変換すると共に、表示モニタ4上で表示される画像や部分画像の位置と大きさを調整する。例えば、表示制御部8cは、画像と部分画像とを表示モニタ4に表示させるときに、画像の特徴領域と部分画像とが少なくとも重ならないように表示させる。この場合、表示制御部8cは、画像を縮小表示させると共に部分画像を拡大表示させても良い。
【0029】
補正受付部8dは、特徴領域の補正の指示入力を受け付ける。具体的には、補正受付部8dは、例えば、タッチパネル5やマウス7を介して特徴領域の補正の指示入力を受け付ける。
【0030】
補正部8eは、特徴部位補正モードの実行時において、ユーザからの指示入力或いはCPU8の指示に基づいて画像の特徴領域の部分を補正する。この特徴領域の補正は、例えば、被写体の顔の目や唇等の特徴部位を美しく見せるための画像処理である。なお、補正部8eは、例えば以下に示す少なくとも1つの画像処理を行う。
(1)色補正
補正部8eは、例えば、ユーザからの指示入力により、色相、彩度、明度のうち少なくとも1つのパラメータを変更する色補正を行う。具体的には、補正部8eは、例えば、上瞼の色に青味を増す色補正や、頬の色に赤味を増す色補正を行う。或いは、補正部8eは、例えば、唇の色に赤味を増す色補正を行う。或いは、補正部8eは、例えば、唇の色をユーザの好みの色に補正する。
(2)形状補正
補正部8eは、特徴領域内の特徴部位の形状補正を行う。例えば、補正部8eは、目の領域を拡大する補正を行う。具体的には、補正部8eは、目の領域の画像の画素を補間する補間処理を行う。この補間処理は、例えば、バイキュービック法といった公知の補間処理により実現される。補正部8eは、バイキュービック法を用いた場合、拡大によって生じる新たな画素の色を隣接する画素の色の平均値から作成する。
(3)平滑化補正
補正部8eは、頬の肌色領域に存在するノイズ成分を低減化する。例えば、補正部8eは、頬の肌色領域のノイズ成分を低減化するローパスフィルタ等を用いてノイズの低減化処理を行う。補正部8eは、このノイズの低減化処理により、被写体のニキビ等の凹凸感、肌荒れ等が目立ちにくい好ましい画像を生成することができる。
【0031】
なお、上記(1)〜(3)の画像処理は一例であって、補正部8eは、被写体の顔の特徴部位を美しく見せるための画像処理であれば、他の画像処理をさらに採用しても良い。
【0032】
次に、特徴部位補正モードにおける画像処理装置1の動作の一例を説明する。図2は、画像処理装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0033】
ここで、CPU8は、例えば図1に示すタッチパネル5又はマウス7を介して特徴部位補正モードの指示入力を受け付けることにより、特徴部位補正モードのプログラムを起動する。そして、CPU8は、図2に示すフローの処理を開始させる。
【0034】
ステップS101:CPU8は、記録媒体10から画像を読み出して、メモリ3に一時的に記録する。図3は、画像の一例を示す図である。ここで、CPU8の顔検出部8aは、メモリ3又は記録媒体10に記録されている画像20から顔領域を検出する。そして、CPU8の表示制御部8cは、顔領域(周辺も含む)を拡大した画像20aを第1の画像として表示モニタ4にさせる。なお、表示制御部8cは、画像20をそのまま第1の画像として表示モニタ4にさせても良い。
【0035】
図4は、表示モニタ4に表示された画像20aを示す図である。図4では、特徴部位補正モードのプログラム起動後の画面を表している。ここで、CPU8は、タッチパネル5を介して、ユーザからの種々の操作を受け付ける。例えば、図4に示す「Yes」の領域への接触をタッチパネル5が検出した場合、CPU8は、特徴領域の補正の指示入力を受け付ける。そして、CPU8は、ステップS102の処理に移行する。なお、フローには示していないが、図4に示す「No」の領域への接触をタッチパネル5が検出した場合、CPU8は、図2に示すフローの処理を終了させる。
【0036】
ステップS102:特徴領域設定部8bは、画像内において顔検出部8aが検出した特徴部位の位置に特徴領域を設定する。図5は、特徴領域の一例を説明する図である。ここで、説明の便宜上、特徴領域設定部8bは、唇21を囲む領域を特徴領域23、左目22を囲む領域を特徴領域24として設定する。そして、特徴領域設定部8bは、特徴領域23及び24を画像20aから部分的に切り出して新たに部分画像を各々生成する。なお、補正部8eは、一例として、ユーザからの入力にしたがって片方の目(左目22)を補正した場合、他方の目(右目25)も同様に補正することとする。
【0037】
ステップS103:表示制御部8cは、画像20aを縮小した画像20bの特徴領域と部分画像とが重ならないように表示モニタ4に表示させる。図6は、表示制御部8cによる表示態様の一例を示す図である。表示制御部8cは、画像20bの特徴領域23、24と、部分画像26、27とが重ならないように表示させる。なお、表示制御部8cは、一例として、画像20bのサイズを表示モニタ4の表示画面に対して約60%程度のサイズに縮小させても良い。図6において、表示制御部8cは、特徴領域23、24を点線の矩形枠で表示モニタ4に表示させる。この矩形枠の表示は、部分画像26、27の各領域と顔の位置との対応関係をユーザに示す。
【0038】
また、表示制御部8cは、マーク28、29を所定時間、表示モニタ4に表示させる。ここで、マーク28、29は、特徴領域設定部8bが設定した特徴領域をユーザに報知するためのアイコンである。
【0039】
なお、例えば、部分画像26の拡大操作に応じて、表示制御部8cは、部分画像26と画像20bの顔領域とが重ならないようにするため、部分画像26をさらに拡大させる共に画像20bのサイズをさらに縮小させる。また、例えば、部分画像26の移動操作に応じて、表示制御部8cは、画像20bのサイズを縮小させることにより、部分画像26と画像20bの顔領域とが重ならないように表示させても良い。或いは、表示制御部8cは、部分画像26の移動に連動させて画像20bを移動させることにより、部分画像26と画像20bの顔領域とが重ならないように表示させても良い。また、表示制御部8cは、部分画像の拡大率の変更を、例えば、タッチパネル5を介して受け付けても良い。
【0040】
ステップS104:CPU8は、特徴領域の補正の指示入力を受け付ける。具体例として、CPU8は、タッチパネル5上で部分画像26の位置への接触を検出した場合、左目22の補正の指示入力を受け付ける。そして、表示制御部8cは、図6から図7に示す画面に切り替える。
【0041】
図7は、表示制御部8cによる表示態様の一例を示す図である。図7では、表示制御部8cは、部分画像26と、画像20bをさらに縮小させた画像20cとが重ならないように表示モニタ4に表示させる。さらに、表示制御部8cは、瞳(左目22)の補正用のパレット41〜45を部分画像26及び画像20cに重ならないように表示モニタ4に表示させる。パレット41は、アイシャドーの色を指定するためのユーザインターフェースを提供する。パレット42は、瞳の形を指定するためのユーザインターフェースを提供する。パレット43は、瞳の角度を指定するためのユーザインターフェースを提供する。パレット44は、目尻の長さを指定するためのユーザインターフェースを提供する。パレット45は、いわゆるキャッチライト(瞳の領域中の輝きの形状)を指定するためのユーザインターフェースを提供する。ユーザは、パレット41〜45を利用して補正の選択入力をタッチパネル5を介して行う。CPU8は、タッチパネル5を介して補正の選択入力を受け付けた場合、ステップS105の処理に移行する。
【0042】
ステップS105:CPU8の補正部8eは、指定された特徴領域の部分を補正する。例えば、補正部8eは、左目22の補正として瞳の中にキャッチライトを入れる画像処理を行う。また、例えば、補正部8eは、左目22の補正としてアイシャドー(黒色)を付加する画像処理を行う。そして、補正部8eは、図5に示す右目25についても左目22と同様の画像処理を行う。また、例えば、補正部8eは、図6に示す唇21の色に赤味を増す色補正を行う。ここで、補正部8eは、例えば、部分画像27の特徴部位(唇21)を補正すると、図6に示す画像20bにも補正を行い、部分画像27での補正内容を画像20に反映させる。
【0043】
ステップS106:表示制御部8cは、補正後の画像20から顔領域を拡大した画像20dと補正の処理結果の内容を表示モニタ4に表示させる。図8は、表示制御部8cによる表示態様の一例を示す図である。CPU8は、補正後の画像20を記録媒体10に記録する。なお、画像処理装置1は、通信インターフェースをさらに設けて、補正の処理結果(一覧表示の内容)を例えば、外部のプリンタ機器に出力するようにしても良い。CPU8は、補正後の画像20を記録媒体10に記録した後、図2に示すフローの処理を終了させる。
【0044】
以上より、第1実施形態の画像処理装置1では、画像の特徴領域と部分画像とが重ならないように表示モニタ4に表示させる。そのため、ユーザは画像の特徴領域を見ながら部分画像の特徴部位を補正することができる。したがって、第1実施形態の画像処理装置1は、例えば顔を補正する画像処理を行うときに視認性を向上させることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、本発明の画像処理装置を搭載した電子カメラについて説明する。なお、第2実施形態では、電子カメラで人物を撮影した画像に対して特徴部位補正モードの補正を行った場合、補正した処理内容を画像のデータに付加する(詳細は後述する)。
【0045】
図9は、電子カメラ50の構成を説明するブロック図である。電子カメラ1は、図9に示す通り撮影光学系51と、撮像素子52と、信号処理部53と、RAM(Random Access Memory)54と、画像処理部55と、ROM(Read Only Memory)56と、記録I/F部57と、表示モニタ58と、タッチパネル59と、操作部60と、レリーズ釦61と、CPU62と、データバス63とを備える。
【0046】
このうち、信号処理部53、RAM54、画像処理部55、ROM56、記録I/F部57、表示モニタ58及びCPU62は、データバス63を介して互いに接続されている。また、タッチパネル59、操作部60及びレリーズ釦61は、CPU62に接続されている。
【0047】
撮像光学系51は、ズームレンズとフォーカスレンズとを含む複数のレンズ群で構成されている。なお、簡単のため、図9では、撮像光学系51を1枚のレンズとして図示する。
【0048】
撮像素子52は、撮像光学系51を通過した光束による被写体の像を撮像し、アナログの画像信号(画像)を出力する。そして、撮像素子52が出力するアナログの画像信号は、信号処理部53に入力される。
【0049】
ここで、撮像素子52は、電子カメラの撮影モードにおいて、後述のレリーズ釦61の全押し操作に応答して記録用の画像を撮像する。また、撮像素子52は、撮影待機時にも所定間隔毎に構図確認用のスルー画像を連続的に撮像する。
【0050】
信号処理部53は、撮像素子52が出力する画像信号に対してアナログ信号処理(A/D変換等)やデジタル信号処理を施す回路である。この信号処理部53が出力する画像信号は、RGB信号の画像データとしてRAM54に一時的に記録される。RAM54は、画像データを一時的に記録するバッファメモリである。
【0051】
画像処理部55は、RAM54に記録されている画像データを読み出し、必要に応じて各種の画像処理(例えば、色補間処理、ホワイトバランス等)を施す。なお、記録I/F部57、表示モニタ58、タッチパネル59等は、第1実施形態の構成(記録I/F部2、表示モニタ4、タッチパネル5)と同様であるので説明を省略する。
【0052】
操作部60は、電源釦、広角ズーム釦と、望遠ズーム釦等のユーザからの操作を受け付ける複数の釦(不図示)を有している。レリーズ釦61は、例えば、全押し操作(撮像動作開始)の指示入力を受け付ける。
【0053】
CPU62は、各種演算及び電子カメラ1の制御を行うプロセッサである。CPU62は、ROM56に予め格納されたシーケンスプログラムを実行することにより、電子カメラ1の各部の制御等を行う。
【0054】
また、CPU62は、特徴部位補正モードのプログラムが実行されることにより、顔検出62aと、特徴領域設定部62bと、表示制御部62cと、補正受付部62dと、補正部62eと、特徴領域受付部62fとしても機能する。ここで、顔検出部62a、特徴領域設定部62b、表示制御部62c、補正受付部62d、補正部62e及び特徴領域受付部62fについては、第1実施形態の構成(顔検出部8a、特徴領域設定部8b、表示制御部8c、補正受付部8d、補正部8e、特徴領域受付部8f)とそれぞれ同様であるので説明を省略する。
【0055】
なお、第2実施形態では、画像に対して特徴部位補正モードが施されたときに、CPU62の制御によって、画像の補正箇所を示す補正情報が画像のデータに付加される。具体的には、第2実施形態で採用する画像のデータは、例えば、Exif(Exchangeable Image File Format)形式のファイルフォーマットに準拠して生成される。
【0056】
図10は、画像ファイルの一例を模式的に表した図である。図10に示す通り、画像ファイルのデータ構造は、ヘッダ領域と画像データ領域とを有する。ヘッダ領域には、例えば、撮影日時、画素数、撮影条件等の撮影情報が書き込まれる。さらに、ヘッダ領域には、メーカ側で定義できる情報として、メーカノートのタグが備えられている。第2実施形態では、メーカノートのタグに補正情報を追加する。補正情報には、例えば、特徴領域の補正の内容、特徴領域の座標データ、補正の度合いを示す補正レベル値等が含まれる。
【0057】
次に、特徴部位補正モードにおける電子カメラ50の動作の一例を説明する。ここで、CPU62は、操作部60を介して特徴部位補正モードの指示入力を受け付ける。その後、CPU62は、レリーズ釦61の全押し操作に応答して画像を撮像する。これにより、CPU62は、画像処理部55により各種の画像処理を施された画像を記録媒体70に記録する。続いて、CPU62は、特徴部位補正モードのプログラムを起動して、図2に示すフローの処理を開始させる。なお、第2実施形態では、図2に示すフローの処理(ステップS101〜ステップS106)を実行するので同様の処理については重複説明を省略する。ここで、図2に示すフローの処理と異なる点は、ステップS105において、CPU62が上記のメーカノートのタグを用いて画像のデータに補正情報を追記する点である。
【0058】
以上より、第2実施形態の電子カメラ50は、第1実施形態の画像処理装置1と同様にして、画像の特徴領域と部分画像とが重ならないように表示モニタ58に表示させる。そのため、ユーザは画像の特徴領域を見ながら部分画像の特徴部位を補正することができる。したがって、第2実施形態の電子カメラ50は、例えば顔を補正する画像処理を行うときに視認性を向上させることができる。
<上記実施形態の補足事項>
(1)第1実施形態の画像処理装置1では、第2実施形態の電子カメラ50で撮影された画像を用いても良い。この場合、特徴領域設定部8bは、Exifファイルにおけるメーカノートのタグの画像データに追記された画像の補正情報(特徴領域の座標データ)に基づいて、特徴領域を画像内に設定しても良い。また、図1に示す表示制御部8cは、補正レベル値を読み出して、部分画像の拡大率を設定しても良い。
【0059】
図11は、補正レベル値と部分画像の拡大率との対応関係の一例を示すテーブルである。このテーブルの内容は、予めメモリ3に記録されていることとする。図11では、特徴領域の補正の対象となる特徴部位への補正レベル値が設定されている。また、図11では、各補正レベル値(0〜10)に対応して部分画像の拡大率を示し、各補正レベル値が高くなるにつれて、特徴部位の領域が大きく補正される。表示制御部8cは、テーブルメモリを参照して補正レベル値が高くなる(補正の度合いが高くなる)につれて、部分画像の拡大率を高くする。なお、表示制御部8cは、部分画像の拡大率を特徴部位の拡大率として、表示モニタ4に表示させるようにしても良い。
【0060】
また、特徴領域設定部8bが補正情報に基づいて特徴領域を画像内に設定した場合、表示制御部8cは、例えば、図6に示すマーク28、29と同様のマークをその特徴領域に表示させることで、特徴部位の補正が既に施されていることを示しても良い。
【0061】
したがって、これらの処理により、画像処理装置1では、既に顔の特徴部位が補正された画像を再度補正する際にも視認性を向上させることができる。
【0062】
(2)第1実施形態の画像処理装置1において、表示制御部8cは、補正用のパレット41〜45を表示モニタ4に表示させたが、表示制御部8cは、例えば、部分画像の色情報として、輝度(Y)、R(赤)、G(緑)、B(青)のヒストグラム(度数分布)を表示させても良い。
【0063】
また、表示制御部8cは、画像20aのうちで、輝度値が所定値以上の領域をハイライト表示(点滅表示)させても良い。ユーザがハイライト表示されている領域を指定した場合、特徴領域設定部8bは、その領域を特徴領域に設定しても良い。
【0064】
(3)第1実施形態の画像処理装置1において、補正部8eは、一例として、ユーザからの入力にしたがって片方の目(左目22)を補正した場合(図5参照)、もう一方の目(右目25)も同様に補正した。ここで、補正部8eは、一例として、ユーザからの入力にしたがって左目22と右目25とを個別に補正しても良い。この場合、表示制御部8cは、ユーザのタッチパネル5上での操作に応じて、図6に示す部分画像26の左目22を、右目の部分画像に切り替えて表示させるようにしても良い。或いは、表示制御部8cは、ユーザが画像20の左目22から右目25に向けてマウス7のボタンを押したままポインタを移動させた後、右目25の位置でマウス7のボタンを離す操作を行った場合、部分画像26の左目22を、右目25の部分画像に切り替えて表示させても良い。
【0065】
また、表示制御部8cは、例えば、ユーザが部分画像上で何れかの方向に向けてマウス7のボタンを押したままポインタを移動させる操作を行った場合、この操作に応じて表示させる領域をポインタの移動方向に移動させても良い。或いは、表示制御部8cは、例えば、ユーザのタッチパネル5上での指の移動軌跡に応じて、部分画像の表示させる領域を上記の移動軌跡に追従させても良い
(4)第1実施形態の画像処理装置1において、表示制御部8cは、補正用のパレット41〜45を表示モニタ4に表示させた(図7参照)。第2実施形態の電子カメラ1において、表示制御部8cは、表示モニタ58のサイズに応じて、補正用のパレットの数を例えば1つに制限しても良い。この場合、表示制御部8cは、補正用のパレット41〜45を順番に表示モニタ58に表示させるようにしても良い。
【0066】
(5)第1実施形態の画像処理装置1において、画像内の特徴領域に対応する表示領域として破線の矩形枠を用いたが、これは一例であって、例えば実線の矩形枠であっても良い。
【0067】
(6)第2実施形態の電子カメラ1において、特徴領域設定部8bは、スルー画像に対して特徴領域に設定しても良い。この場合、補正部8は、スルー画像に対して補正を行う。これにより、ユーザは撮影前に特徴部位補正モードの結果を確認した上で撮影を行うことができる。
【符号の説明】
【0068】
1・・・画像処理装置、50・・・電子カメラ、8a、62a・・・顔検出部、8b、62b・・・特徴領域設定部、8c、62c・・・表示制御部、8d、62d・・・補正受付部、8e、62e・・・補正部、8f、62f・・・特徴領域受付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像の顔の位置に特徴領域を設定する特徴領域設定部と、
前記第1の画像から前記特徴領域を部分的に切り出した第2の画像を前記第1の画像と共に表示装置に表示させるときに、前記第1の画像の前記特徴領域と前記第2の画像とが少なくとも重ならないように表示させる表示制御部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記表示制御部は、前記第1の画像を縮小表示させると共に前記第2の画像を拡大表示させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置において、
前記特徴領域の補正の指示入力を受け付ける補正受付部と、
前記指示入力に基づいて、前記特徴領域を補正する補正部と、
をさらに備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の画像処理装置において、
前記第1の画像の情報には、前記第1の画像の補正箇所を示す補正情報が対応付けられており、
前記特徴領域設定部は、前記補正情報に基づいて、前記特徴領域を設定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像処理装置において、
前記補正情報は、前記第1の画像に施された前記補正の度合いの情報を含み、
前記表示制御部は、前記補正の度合いの高さに比例して、前記第2の画像の拡大率を高くすることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の画像処理装置において、
前記第1の画像から前記顔又は顔の特徴部位を検出する顔検出部をさらに備え、
前記特徴領域設定部は、前記顔検出部が検出した前記顔又は前記特徴部位に基づいて、前記特徴領域を設定することを特徴とする画像再生装置。
【請求項7】
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の画像処理装置において、
前記特徴領域の指定入力を受け付ける特徴領域受付部をさらに備え、
前記特徴領域設定部は、前記指定入力に基づいて、前記特徴領域を設定することを特徴とする画像再生装置。
【請求項8】
被写体の像を撮像して第1の画像を生成する撮像素子と、
請求項1から請求項7の何れか1項に記載の画像処理装置と、
を備えることを特徴とする電子カメラ。
【請求項9】
コンピュータに画像の処理を実行させるプログラムであって、
第1の画像の顔の位置に特徴領域を設定する特徴領域設定処理と、
前記第1の画像から前記特徴領域を部分的に切り出した第2の画像を前記第1の画像と共に表示装置に表示させるときに、前記第1の画像の前記特徴領域と前記第2の画像とが少なくとも重ならないように表示させる表示制御処理とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−4719(P2012−4719A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136089(P2010−136089)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】