画像処理装置及びプログラム
【課題】電子文書にマクロやスクリプトとして埋め込まれているオブジェクト情報を媒体の識別情報と位置情報とに関連付けることが可能となり、印刷後であってもマクロやスクリプトによる複雑な処理を行うことができる画像処理装置等を提供する。
【解決手段】媒体に印刷すべき電子文書を取得する文書取得手段と、媒体の識別情報を取得する識別情報取得手段と、媒体内の位置情報を取得する位置情報取得手段としての印刷指示受付部11と、電子文書の画像と識別情報の画像および位置情報の画像との重畳画像の印刷を印刷機構に指示する指示手段としての出力用PDL生成部16と、媒体に印刷すべき電子文書から所定のマクロまたはスクリプトに関するオブジェクト情報を取得するオブジェクト情報取得手段としてのオブジェクト情報取得部14と、オブジェクト情報を識別情報と位置情報とを用いて特定するための管理情報を登録する登録手段としての登録部15と、を備えたことを特徴とする画像処理装置100。
【解決手段】媒体に印刷すべき電子文書を取得する文書取得手段と、媒体の識別情報を取得する識別情報取得手段と、媒体内の位置情報を取得する位置情報取得手段としての印刷指示受付部11と、電子文書の画像と識別情報の画像および位置情報の画像との重畳画像の印刷を印刷機構に指示する指示手段としての出力用PDL生成部16と、媒体に印刷すべき電子文書から所定のマクロまたはスクリプトに関するオブジェクト情報を取得するオブジェクト情報取得手段としてのオブジェクト情報取得部14と、オブジェクト情報を識別情報と位置情報とを用いて特定するための管理情報を登録する登録手段としての登録部15と、を備えたことを特徴とする画像処理装置100。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、細かなドットが印刷された特殊な用紙に文字や絵を描き、ユーザがこの用紙上に書いた文字等のデータをパソコンや携帯電話等に転送し、この内容の保存や、メール送信を可能とする技術が注目されている。
【0003】
ここで、公報記載の従来技術として、紙文書を識別するための紙IDと、予めフォームが定まっている電子文書に対して割り当てられる文書IDと紙IDとを関連付ける文書紙ID関連手段と、紙IDを取得し、エンコード手段により作成された符号化紙IDを紙文書に印刷する印刷手段と、紙IDを管理する紙ID管理手段と、符号化紙IDが印刷され、手書きされた筆記情報を有する紙文書から、筆記情報とデコード手段によりデコードされた紙IDを取得する情報取得手段と、情報取得手段により取得された筆記情報に対して行われる処理を示す処理IDと紙IDとを関連付ける処理紙ID関連手段と、処理IDを管理する処理ID管理手段とを有する文書処理システムが開示されている。(例えば、特許文献1参照)。
また、公知の技術として、ディスプレイ上にタッチパネル等の直接指示可能なデバイスを装着することで、電子的に直接指示可能とするシステムが存在する。
【0004】
【特許文献1】特開2005−122682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、紙文書をインタフェースとして用いるシステムにおいて、単純な処理のみでなく複雑な処理を行うことが求められる。特に、印刷した後には、通常、電子文書に埋め込まれているマクロやスクリプトを実行できず、電子文書を印刷した後であっても複雑な処理を実行することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、媒体に印刷すべき電子文書から所定のマクロまたはスクリプトに関するオブジェクト情報を取得するオブジェクト情報取得手段と、前記媒体の識別情報を取得する識別情報取得手段と、前記媒体内の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記オブジェクト情報を前記識別情報と前記位置情報とを用いて特定するための管理情報を登録する登録手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記電子文書を取得する文書取得手段と、前記電子文書の画像と、前記識別情報の画像および前記位置情報の画像との重畳画像の印刷を印刷機構に指示する指示手段とを更に有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記登録手段は、前記媒体の識別情報と前記媒体内の位置情報と前記オブジェクト情報との対応情報を、前記管理情報として登録することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
請求項4に記載の発明は、前記登録手段は、前記電子文書の識別情報を更に前記管理情報として登録することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置である。
請求項5に記載の発明は、前記オブジェクト情報は、前記所定のマクロまたはスクリプトに関する識別情報であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
【0008】
請求項6に記載の発明は、媒体の識別情報および媒体上の位置を示す座標情報を表す画像が印刷された当該媒体から読み取られた当該画像を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記画像から前記媒体の識別情報および前記媒体上の位置を示す座標情報を検出する情報検出手段と、前記情報検出手段により検出された前記媒体の識別情報および前記媒体上の位置を示す座標情報から、所定のマクロまたはスクリプトに関するオブジェクト情報を検出するオブジェクト情報検出手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置である。
【0009】
請求項7に記載の発明は、前記オブジェクト情報検出手段は、前記媒体の識別情報と前記媒体上の位置を示す座標情報と前記オブジェクト情報とが含まれる管理情報により当該オブジェクト情報を検出することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置である。
請求項8に記載の発明は、前記オブジェクト情報に対応するアプリケーションプログラムに、当該オブジェクト情報を送信する送信手段を更に有することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置である。
【0010】
請求項9に記載の発明は、コンピュータに、媒体に印刷すべき電子文書から所定のマクロまたはスクリプトに関するオブジェクト情報を取得する機能と、前記媒体の識別情報を取得する機能と、前記媒体内の位置情報を取得する機能と、前記オブジェクト情報を前記識別情報と前記位置情報とを用いて特定するための管理情報を登録する機能と、を実現させるためのプログラムである。
【0011】
請求項10に記載の発明は、コンピュータに、媒体の識別情報および媒体上の位置を示す座標情報を表す画像が印刷された当該媒体から読み取られた当該画像を取得する機能と、前記画像から前記媒体の識別情報および前記媒体上の位置を示す座標情報を検出する機能と、前記媒体の識別情報および前記媒体上の位置を示す座標情報から、所定のマクロまたはスクリプトに関するオブジェクト情報を検出する機能と、を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、電子文書にマクロやスクリプトとして埋め込まれているオブジェクト情報を媒体の識別情報と位置情報とに関連付けることが可能となり、例えば印刷後であってもマクロやスクリプトによる複雑な処理を行うことができる。
請求項2の発明によれば、媒体に電子文書を印刷する際に、電子文書にマクロやスクリプトとして埋め込まれているオブジェクト情報を媒体の識別情報と位置情報とに関連付けることが可能となる。
請求項3の発明によれば、管理情報の登録を、より簡便化することができる。
請求項4の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、マクロやスクリプトを実行するアプリケーションプログラムが作成したオリジナル文書の中でのオブジェクト情報の位置をより確実に辿ることができる。
請求項5の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、オブジェクト情報を管理情報としてより容易に登録することができる。
請求項6の発明によれば、電子文書にマクロやスクリプトとして埋め込まれている複雑な処理を、電子文書を印刷した後であっても実行することが可能になる。
請求項7の発明によれば、より容易にオブジェクト情報を検出することができる。
請求項8の発明によれば、オブジェクト情報に対応するアプリケーションプログラムに、オブジェクト情報を送信する送信手段を更に有することで、アプリケーションプログラムが有する機能が使用できる。
請求項9の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、電子文書にマクロやスクリプトとして埋め込まれているオブジェクト情報を、媒体の識別情報と位置情報とに関連付けることが可能となり、例えば印刷後であってもマクロやスクリプトによる複雑な処理を行うことができる。
請求項10の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、電子文書にマクロやスクリプトとして埋め込まれている複雑な処理を、電子文書を印刷した後であっても実行することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態が適用されるシステムの構成の一例を示したものである。このシステムは、少なくとも、電子文書の印刷を指示する画像処理装置100と、電子文書を蓄積する文書リポジトリ200と、電子文書の画像とコード画像との重畳画像を印刷する画像形成装置400とがネットワーク900に接続されることにより構成されている。また、このシステムは、画像形成装置400にて出力される印刷物500と、印刷物500に文字又は図形を記録し、その文字又は図形の軌跡を読み取る画像処理装置の一例としてのペンデバイス600とを含む。更に、ネットワーク900には、ペンデバイス600から受信した軌跡と、文書リポジトリ200から取得した電子文書とを重ね合わせて表示する端末装置700も接続されている。
【0014】
以下、本システムの動作の概略を説明する。
まず、画像処理装置100は、文書リポジトリ200から印刷対象の電子文書を取得する(A)。そして、画像形成装置400に対し、この電子文書の印刷を指示する(B)。このとき、画像処理装置100は、印刷に関するパラメータである印刷属性を指定する。この印刷属性には、通常の印刷と同様、用紙サイズ、向き、両面印刷等が含まれる。また、コード画像に関し、コード画像を印刷すべき領域の指定等が含まれてもよい。
この電子文書の印刷指示を受けると、画像形成装置400は、電子文書の画像にコード画像を重畳した画像を紙等の媒体に印刷し、印刷物500を出力する(C)。この場合、コード画像は、識別情報に対応する識別コードと、位置情報に対応する位置コードとを画像化したものである。或いは、その他の情報である付加情報を含めて画像化したものであってもよい。尚、電子文書の画像とコード画像とを重畳する処理は、画像処理装置100で行ってもよいし、画像形成装置400で行ってもよい。
【0015】
ここで、識別情報としては、個々の媒体を一意に識別する情報を採用することができる。例えば、画像形成装置400の識別番号と画像形成装置400における媒体の印刷の一連番号又は印刷の日時とを組み合わせて得られる情報であってもよいし、所定のサーバにて重複がないように一元管理されている情報であってもよい。或いは、個々の媒体を一意に識別する情報ではなく、媒体に印刷された電子文書を一意に識別する情報を、識別情報として採用してもよい。
また、位置情報とは、個々の媒体上の座標位置(X座標、Y座標)を特定するための情報である。例えば、媒体の左上点を原点とし、媒体の右方向にX軸をとり、下方向にY軸をとることにより設定した座標系で、座標を表すことが考えられる。
更に、付加情報としては、印刷指示を行ったユーザの識別情報や、コピー禁止であるかどうかの情報等がある。
【0016】
また、画像形成装置400は、コード画像を、赤外光の吸収率が一定の基準以上である不可視のトナーを用いて不可視画像として形成する。一方、電子文書の文書画像は、赤外光の吸収率が一定の基準以下である可視のトナーを用いて可視画像として形成することが好ましい。尚、コード画像の形成に用いるトナーと文書画像の形成に用いるトナーとで、赤外光の吸収率に差を設けたのは、赤外光を照射してコード画像を読み取る際の読取り精度を確保するためである。尚、本明細書では、赤外光照射によるコード画像の読取りを前提として説明するが、紫外光によりコード画像を読み取るものであってもよい。
【0017】
その後、ユーザが、ペンデバイス600を用いて印刷物500に文字又は図形を筆記したとする(D)。これにより、ペンデバイス600は、印刷物500に対し赤外光を照射し、その反射光を検出することでコード画像を入力する。そして、コード画像から情報を取得又は生成し、有線通信又は無線通信を介して、その情報を端末装置700に送信する(E)。尚、ここで送信される情報には、例えば、印刷物500の識別情報や、印刷物500に対して筆記された文字又は図形の位置情報がある。或いは、位置情報は、一定の時間における文字又は図形の位置情報を連結させた軌跡情報として送信するようにしてもよい。
その後、端末装置700は、ペンデバイス600から受信した識別情報に基づいて、印刷物500に印刷された文書画像の元となる電子文書を文書リポジトリ200から取得する(F)。そして、文書リポジトリ200から取得した電子文書と、ペンデバイス600から取得した情報とを重ね合わせて表示する。
【0018】
ところで、ペンデバイス600から受信した識別情報が、個々の媒体を一意に識別する情報である場合、この識別情報に基づいて電子文書を取得できるようにするためには、識別情報と電子文書との対応関係を管理しておく必要がある。図1では、この対応関係をどこで管理するかについては明示しなかったが、端末装置700からアクセス可能であれば、どこで管理するようにしてもよい。例えば、文書リポジトリ200であってもよいし、画像形成装置400であってもよい。
また、ペンデバイス600から軌跡情報を受信した場合、この軌跡情報は、印刷物500上での筆記位置に対応する電子文書上の位置に重ね合わせて表示される。これは、ペンデバイス600で読み取ったコード画像に筆記位置の情報が含まれるので、その情報から電子文書の表示イメージにおける対応する位置が特定できるからである。
【0019】
以上、本実施の形態が適用されるシステムについて述べてきたが、このような構成はあくまで一例に過ぎない。例えば、電子文書の画像とコード画像とを重畳する処理を、画像処理装置100から画像形成装置400への印刷指示を中継するサーバコンピュータ等で行うようにしてもよい。また、文書リポジトリ200は、画像処理装置100内にあってもよい。更に、画像処理装置100と端末装置700とは、同一の装置であってもよい。
尚、本明細書では、「電子文書」の文言を用いるが、これは、テキストを含む「文書」を電子化したデータのみを意味するものではない。例えば、絵、写真、図形等の画像データ(ラスタデータかベクターデータかによらない)、その他の印刷可能な電子データも含めて「電子文書」としている。
【0020】
しかしながら、従来のシステムでは事前に専用のフォームエディタにより作成され、物理的な媒体上の場所と関連付けられた単純な定型的な処理や、その場所に埋め込まれたリンクをたどる等の単純な処理しか実現できない。
一方、タッチパネル等を利用するシステムは、表示すべき情報量が多くなった場合、一覧性が悪いため所望の処理が埋め込まれている箇所を表示させるのに時間がかかるという問題がある。
【0021】
そこで、本実施の形態では、電子文書におけるオブジェクト情報と、そのオブジェクト情報が印刷される媒体の識別情報及び位置情報との対応を保持するようにしている。ここで、ここで、オブジェクト情報としては、所定の処理を行うためのマクロやスクリプトに関するものを意味する。
そして、このように、媒体の識別情報、位置情報、及びオブジェクト情報の対応を保持しておくことにより、ペンデバイス600で媒体上の特定の位置を指定し、その位置に対応するオブジェクト情報を辿って所望のマクロやスクリプトを実行することが可能となる。即ち、図1では、端末装置700のディスプレイに電子文書とペンデバイス600による軌跡が重ね合わせて表示されているが、本実施の形態のようにオブジェクト情報を管理しておけば、オブジェクト情報を辿ってマクロやスクリプトを実行し、処理結果等を端末装置700のディスプレイに表示することも可能となる。
【0022】
ここで、以下に具体例を挙げ、説明を行う。
部品番号の一覧のようなカタログ情報が記述された文書があり、アプリケーションプログラムが動作する画面上で部品番号をクリックすると、その部分に埋め込まれたマクロやスクリプトが起動し、その部品番号に対応する部品の詳細情報をデータベースから取得し、別ウインドウに表示するアプリケーションプログラムがあるとする。
この場合に、それに関する詳細情報をデータベースから呼び出すマクロやスクリプトに関するオブジェクト情報と文書の識別情報及び位置情報との対応を保持しておく。そして、印刷した文書をペンデバイス600により文書の識別情報及び位置情報を印刷した部分を読み取ると、その文書の識別情報及び位置情報により所定のアプリケーションプログラムがマクロやスクリプトを実行し、部品番号に対応する部品の詳細情報をデータベースから取得し、別ウインドウに表示することができる。
【0023】
タッチパネルで同様のことを行いたい場合は、いちいち求める部品番号を表示しないと詳細情報を得ることができない。一方、紙の場合は、すべての情報をパラパラとめくりながら、必要な部品情報のページを見つけたらその部品番号をペンデバイス600により取得すればよいので、検索効率が非常に高くなる。カタログのように大量の情報を扱いたいような場合に紙の一覧性の良さと、電子情報の検索性の良さの両方を享受できる。
また、専用のフォームエディタにより、電子文書上での動作と、媒体上の位置情報を関連付ける必要性がなくなる。
【0024】
上述の機能を実現するために、本実施の形態では、画像処理装置100が、電子文書の文書画像と媒体の識別情報及び媒体内の位置情報を示すコード画像との重畳画像の印刷を指示する際に、オブジェクト情報と媒体の識別情報及び位置情報との対応関係を作成する。
以下、この画像処理装置100の構成及び動作について説明する。
図2は、画像処理装置100の機能構成を示した図である。
図示するように、画像処理装置100は、印刷指示受付部11と、文書PDL生成部12と、コード画像生成部13と、オブジェクト情報取得部14と、登録部15と、出力用PDL生成部16とを備えている。
【0025】
印刷指示受付部11は、ユーザからの印刷指示を受け付け、文書リポジトリ200(図1参照)から画像処理装置100のメモリ内に読み込んである電子文書を取得し、文書PDL生成部12に受け渡すと共に、媒体の識別情報(以下、「媒体ID」という)を取得し、媒体内の位置情報を取得する。また同時に、コード画像生成部13に対しコード画像の生成を指示するコード画像生成指示を出力し、オブジェクト情報取得部14に対しオブジェクト情報の取得を指示するオブジェクト情報取得指示を出力する。尚、この印刷指示受付部11は、電子文書を取得する文書取得手段と、識別情報を取得する識別情報取得手段と、位置情報を取得する位置情報取得手段とを含むものとして把握することができる。
文書PDL生成部12は、印刷指示受付部11から渡された電子文書を、画像形成装置400が画像形成を行うためのコマンド列からなるPDL(Page Description Language)ファイルである文書PDLファイルに変換する。
コード画像生成部13は、印刷指示受付部11からコード画像生成指示があると、後で詳述するフォーマットのコード画像を生成し、色を指定して出力用PDL生成部16に出力する。
【0026】
オブジェクト情報取得部14は、印刷指示受付部11からオブジェクト情報取得指示があると、同時に渡された電子文書又はその付加情報を解析し、オブジェクト情報を取得する。また、その際、オブジェクト情報取得部14は、電子文書においてオブジェクト情報が存在する領域又はオブジェクト情報が付加された領域の位置情報も取得する。ここでは、かかる領域が通常矩形であることから、その矩形領域の左上点の座標と右下点の座標で表し、これを矩形情報と呼ぶことにする。ここで、オブジェクト情報取得部14は、オブジェクト情報取得手段として把握することができる。
登録部15は、オブジェクト情報取得部14が取得したオブジェクト情報を、媒体ID及び矩形情報と対応付けた管理情報としてのオブジェクト情報テーブルを図示しない記憶装置に登録する。ここで、記憶装置は、どこに設けられていてもよいが、例えば、文書リポジトリ200等、ネットワークに接続された各装置等から共通にアクセス可能なコンピュータに設けるのが望ましい。ここで、登録部15は、識別情報と位置情報に基づいてオブジェクト情報を得ることを可能にするための管理情報を登録する登録手段として把握することができる。
【0027】
出力用PDL生成部16は、文書PDL生成部12から渡された文書PDLファイル内に、コード画像生成部13から渡されたコード画像及び色指定の情報をPDLコマンドとして設定した出力用PDL(電子文書にコード画像を重畳するコマンドを付加したもの)を生成し、画像形成装置400に出力する。尚、出力用PDL生成部16は、電子文書の画像とコード画像とを重畳した画像の印刷を画像形成装置400に指示するという観点から、指示手段として把握することもできる。
【0028】
尚、これらの機能は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。即ち、画像処理装置100の図示しないCPUが、印刷指示受付部11、文書PDL生成部12、コード画像生成部13、オブジェクト情報取得部14、登録部15、出力用PDL生成部16の各機能を実現するプログラムを、例えばハードディスク等の外部記憶装置からメインメモリに読み込んで、画像処理装置100内にこれらの各機能を実現する。
【0029】
次に、画像処理装置100の動作について説明する。
まず、図3に、電子文書の作成、編集、印刷等を行うアプリケーションプログラムの表示画面190を示す。
この表示画面190において、メニューバー191から「ファイル」を選択すると、図示するようなプルダウンメニュー192が表示される。このプルダウンメニュー192に表示された項目のうち、「印刷(P)」は、オブジェクト情報を埋め込まずに通常の印刷を行うための選択項目である。一方、「オブジェクト情報付き印刷(R)」は、オブジェクト情報を埋め込んで印刷を行うための選択項目である。
従って、本実施の形態では、「オブジェクト情報付き印刷(R)」が選択された場合の動作を説明する。即ち、以下で、「印刷指示」というときは、「オブジェクト情報付き印刷(R)」を選択することによる印刷指示を指す。尚、ここでは、電子文書はそのままの大きさで媒体の全面に印刷され、電子文書の特定の位置情報で表される部分の画像は、媒体内の同じ位置情報で表される位置に印刷されるものとする。
【0030】
次に、印刷指示受付部11の動作について説明する。
図4は、印刷指示受付部11の動作の流れを示したフローチャートである。
まず、印刷指示受付部11は、印刷指示があるかどうかを監視する(ステップ111)。即ち、印刷指示がなければ、ステップ111を繰り返し、印刷指示があれば、印刷属性を取得する(ステップ112)。印刷属性には、用紙サイズ、向き、両面印刷等が含まれる。また、印刷指示には、印刷対象の電子文書を特定するための情報も含まれている。
次に、印刷指示受付部11は、電子文書が印刷される媒体を一意に識別する媒体IDを取得する(ステップ113)。尚、媒体IDは、所定のサーバコンピュータから発行してもらうことにより取得することができる。
【0031】
また、用紙サイズや向きの情報に基づいて、媒体内の位置情報を生成し、媒体IDとこの位置情報と色指定とをコード画像生成部13に伝えてコード画像の生成を指示する(ステップ114)。ここで、色指定とは、コード画像をどの色で印刷するかを指定する情報である。画像形成装置400がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、不可視(I)の5つの現像器を有していれば、不可視(I)でコード画像を印刷すべき旨の情報である。一方、画像形成装置400がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの現像器しか有しておらず、これらのいずれかの色が不可視(I)に置き換えられていれば、その置き換えられた色の指定である。これにより、コード画像は、不可視(I)で印刷されることになる。
【0032】
その後、印刷指示受付部11は、電子文書をメモリから取り出し(ステップ115)、オブジェクト情報取得部14に電子文書を渡してオブジェクト情報の取得を指示する(ステップ116)。
そして、最後に、文書PDL生成部12に対し電子文書を渡して文書PDLへの変換を指示する(ステップ117)。
【0033】
次いで、コード画像生成部13の動作について説明する。
図5は、コード画像生成部13の動作の流れを示したフローチャートである。
まず、コード画像生成部13は、印刷指示受付部11からコード画像生成指示があるかどうかを監視する(ステップ131)。即ち、コード画像生成指示がなければ、ステップ131を繰り返し、コード画像生成指示があれば、識別コードを生成する(ステップ132)。
具体的には、電子文書が印刷される紙等の媒体の識別情報を所定の符号化方式により符号化する。この符号化には、例えば、既知の誤り訂正符号であるRS(リードソロモン)符号やBCH符号を用いることができる。また、誤り検出符号として、位置情報のCRC(Cyclic Redundancy Check)やチェックサム値を計算し、それを冗長ビットとして付加することもできる。
そして、この符号化された識別情報を、コード情報として埋め込む形式に変換する。例えば、第三者による解読が困難になるように、符号化された識別情報における各ビットの配置を、疑似乱数等により入れ替えたり暗号化したりすることができる。また、識別コードが2次元配置される場合は、ビット値をコードの配置と同様に2次元配置しておく。
【0034】
次に、コード画像生成部13は、位置コードを生成する(ステップ133)。
具体的には、電子文書が印刷される媒体のサイズに応じた位置情報を所定の符号化方式により符号化する。この符号化には、識別情報の符号化に使用したのと同様の方式を使用することができる。また、位置情報は、疑似雑音系列の一種であるM系列を利用して表すこともできる。ここで、M系列は、k段の線形シフトレジスタで生成できる最大周期の系列であり、その周期は2k−1である。また、M系列中の任意の位置から取り出した連続するkビットの部分系列がM系列中に1度しか現われないという性質を持っている。この性質により、連続したkビットの部分系列ごとに位置情報を対応させておけば、部分系列を検出することで位置情報を特定することができる。
そして、この符号化された位置情報を、コード情報として埋め込む形式に変換する。例えば、第三者による解読が困難になるように、符号化された位置情報における各ビットの配置を、疑似乱数等により入れ替えたり暗号化したりすることができる。また、位置コードが2次元配置される場合は、ビット値をコードの配置と同様に2次元配置しておく。
【0035】
その後、コード画像生成部13は、ステップ132で生成された識別コード及びステップ133で生成された位置コードを2次元に配置する(ステップ134)。このとき、識別コードは、位置によらず同じコードが配置されるが、位置コードは、位置により異なるコードが配置される。
また、識別コード及び位置コードの各ビットに後述のパターン画像を割り当てることにより、コード画像を生成する(ステップ135)。
【0036】
ところで、コード画像は、この時点では2値の画像であるが、コード画像生成部13は、このコード画像に対し色指定を行う(ステップ136)。即ち、コード画像生成指示には色指定の情報も含まれているので、これを用いて色指定を行う。
そして、最後に、コード画像生成部13は、色指定がなされたコード画像を出力用PDL生成部16に出力する(ステップ137)。
【0037】
次に、コード画像生成部13で生成され、印刷されるコード画像について説明する。
図6(a)〜(c)は、上述したコード画像を説明するための図である。図6(a)は、コード画像を形成する符号パターン配列を模式的に示している。また、図6(b)は、図6(a)における符号パターン配列の基本単位である符号ブロックを拡大して示した図である。更に、図6(c)は、符号ブロックを構成する単位符号パターンの具体的なパターンについて説明するための図である。
【0038】
本実施の形態において、図6(a)〜(c)に示すコード画像は、可視光領域(400nm〜700nm)における最大吸収率が例えば7%以下であり、近赤外領域(800nm〜1000nm)における吸収率が例えば30%以上の不可視トナーによって形成される。また、この不可視トナーは、画像の機械読取りのために必要な近赤外光吸収能力を高めるために、平均分散径は100nm〜600nmの範囲のものが採用される。ここで、「可視」及び「不可視」は、目視により認識できるかどうかとは関係しない。印刷された媒体に形成された画像が可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性の有無により認識できるかどうかで「可視」と「不可視」とを区別している。また、可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性が若干あるが、人間の目で認識し難いものも「不可視」に含める。
【0039】
また、このコード画像は、赤外光照射による機械読取りと復号化処理とが長期に亘って安定して可能で、且つ、情報が高密度に記録できる不可視画像で形成される。更に、画像を出力する媒体表面の可視画像が設けられた領域とは関係なく、任意の領域に設けることが可能な不可視画像であることが好ましい。更に、例えば、目視した際に光沢差によって認識できる不可視画像であることが更に好ましい。また、例えば、印刷される媒体の大きさに合わせて媒体面(紙面)の全面に不可視画像が形成される。但し、「全面」とは、用紙の四隅を全て含む意味ではない。電子写真方式等の装置では、通常、紙面の周囲は印刷できない範囲である場合が多いことから、かかる範囲には不可視画像を印刷する必要はない。
【0040】
図6(b)において、符号ブロックは、5ブロック×5ブロックの合計25ブロックの単位符号パターンで構成されている。各単位符号パターンは、図6(c)に示される縦3ドット、横3ドットの合計9ドットを配置可能な領域により形成され、ドット配置可能な領域に2ドットを配置するいわゆる9C2方式における符号パターンである。ここで、黒色の領域と斜線の領域をドット配置可能な領域とし、その間にある白色の領域をドット配置不可能な領域としている。そして、ドット配置可能な領域のうち、黒色の領域にドットが配置され、斜線の領域にはドットが配置されていないことを示している。
より具体的には、配置可能な9ドットのうち2ドットを使用し、各単位符号パターンが1つの情報を表現する。この場合は、36(=9C2)通りの情報を表現することができる。このような方式を用いることで、可視画像に与えるノイズが極めて小さく、且つ、大量の情報を高密度にデジタル化して埋め込むことが可能な符号パターンを提供することが可能となる。
【0041】
本実施の形態では、これらの単位符号パターンのうち、特定の単位符号パターンを情報パターンとして利用し、残りを同期パターンとして利用する。ここで、情報パターンとは、媒体に埋め込む情報を表現するパターンである。また、同期パターンとは、媒体に印刷された情報パターンを取り出すために用いられるパターンである。例えば、情報パターンの位置を特定したり、画像の回転を検出したりするために用いられる。
図6(b)に示した例では、図6(b)において黒色の領域で表した左上の1ブロックの単位符号パターンを使用し、同期パターンとしている。そして、画像の回転の検出のために4種類の単位符号パターンを同期パターンとして用意する必要がある。即ち、正立した同期パターン、右に90度回転した同期パターン、右に180度回転した同期パターン、右に270度回転した同期パターンを用意する。
そして残りの24ブロックを情報パターンとして利用する。そして、同期パターンの右の4ブロックに紙面上のX方向の座標を特定するX座標情報を表す情報パターンを配置し、同期パターンの下の4ブロックに紙面上のY方向の座標を特定するY座標情報を表す情報パターンを配置している。更に、これらの座標情報を表す情報パターンで囲まれた16ブロックに、紙面又は紙面に印刷される文書の識別情報を表す情報パターンを配置している。そして、X座標情報を表す情報パターン領域とY座標情報を表す情報パターンには、それぞれ配置される場所により異なる位置情報が格納されている。一方、識別パターンを表す領域には、配置される場所によらず同じ識別情報が格納されている。
【0042】
次いで、オブジェクト情報取得部14の動作について説明する。
図7は、オブジェクト情報取得部14の動作の流れを示したフローチャートである。
まず、オブジェクト情報取得部14は、印刷指示受付部11からオブジェクト情報取得指示があるかどうかを監視する(ステップ141)。即ち、オブジェクト情報取得指示がなければ、ステップ141を繰り返し、オブジェクト情報取得指示があれば、印刷指示受付部11から渡された電子文書の各ページに対し、以下の処理を行う。尚、オブジェクト情報取得指示には、印刷指示受付部11にて取得された媒体IDも含まれるものとする。
【0043】
即ち、オブジェクト情報取得部14は、着目するページを読み込み(ステップ142)、そのページについてオブジェクト情報を検索し(ステップ143)、オブジェクト情報があったかどうかを判定する(ステップ144)。その結果、オブジェクト情報があれば、オブジェクト情報が存在する領域又は付加された領域について矩形情報を生成し(ステップ145)、媒体IDと矩形情報とオブジェクト情報との対応をメモリに蓄積する(ステップ146)。このとき、オブジェクト情報取得部14は、印刷指示受付部11が位置情報を取得する際に用いた座標系を用いて、矩形情報を生成する。
このように、オブジェクト情報を検索して、オブジェクト情報があったなら、媒体IDと矩形情報とオブジェクト情報とを対応付けて蓄積する処理を、そのページにオブジェクト情報がなくなるまで続け、オブジェクト情報がなくなれば、他のページがあるかどうかを判定する(ステップ147)。
ここで、他のページがあれば、ステップ142〜146の処理を繰り返すが、他のページがなければ、登録部15に対し、メモリに蓄積された媒体IDと矩形情報とオブジェクト情報との対応を出力する(ステップ148)。
【0044】
これに応じて、登録部15は、この媒体IDと矩形情報とオブジェクト情報とを対応付けたオブジェクト情報テーブルを図示しない記憶装置に登録する。
その後、登録部15は、出力用PDL生成部16に対し、オブジェクト情報の登録を完了した旨を伝える。
【0045】
これにより、出力用PDL生成部16は、文書PDL生成部12から送られた文書PDLに対し、コード画像生成部13から送られたコード画像及び色指定の情報を用いてコード画像重畳のためのPDLコマンドを挿入することにより、出力用PDLを生成する。
そして、この出力用PDLを画像形成装置400に送信することで、画像形成装置400では、不可視トナーでコード画像が印刷されることとなる。
【0046】
図8は、ここで登録されるオブジェクト情報テーブルの内容の一例を示す図である。
図8に挙げた例では、オブジェクト情報テーブルのうちの1行を抽出し、その内容を図示した。図8における左側から媒体ID、中間文書ID、矩形情報、オブジェクトID、オリジナル文書の内容、オリジナル文書でのオブジェクトIDの対応情報が管理情報として登録される。なお、オリジナル文書とは、マクロやスクリプトを実行するアプリケーションプログラムが作成する文書である。
ここで、中間文書IDとは、印刷対象の電子文書を識別するための識別情報である。中間文書は、オリジナル文書と印刷される媒体の仲立ちを行い、これを設けることにより、オリジナル文書に辿るのが容易になる。即ち、オリジナル文書から中間文書が作成されるので、オリジナル文書と中間文書との関係は明らかである。また中間文書から媒体IDが付与される媒体が印刷されるのでこの関係も明らかである。よって、中間文書IDを設けることでオブジェクト情報に対応するオリジナル文書での位置を一意に定めることが容易となる。オリジナル文書にページの概念がない文書である場合などは、媒体IDと、座標情報からオリジナル文書のどの位置が対応するか求めるのが困難な場合があり、このような場合に特に有効であるが、オリジナル文書にページ等の概念が存在し、媒体IDからオリジナル文書に容易に辿ることができる場合は、中間文書IDの情報は必ずしも必要とは限らない。
【0047】
図9は、印刷される媒体と中間文書とオリジナル文書との関係を説明した図である。
まず、媒体の所定の位置である”×”で図示した部分に媒体の識別情報と座標情報がコード画像として印刷されており、ペンデバイス600(図1参照)で、この情報を取得する。この場合、中間文書は媒体に印刷される電子文書であるので、中間文書におけるオブジェクト情報が存在する座標について一意に定まる。ここでは、中間文書における”×”で図示した部分が該当する。そして中間文書は、オリジナル文書から作成されたものなので、中間文書における”×”で図示した部分がオリジナル文書のどの部分に該当するのかもわかる。ここでは、オリジナル文書における”×”で図示した部分が該当する。
そうすると、その情報を得たアプリケーションプログラムは、このアプリケーションプログラムを操作する画面上でOS(Operating System)等の機能を利用してマウスイベントを発生させ、この部分に存在するマクロやスクリプトが実行させることができる。ここでは、アプリケーションプログラムの画面上での表示で”×”で図示した部分にマウスイベントが発生したものとされる。なお、この画面はディスプレイ等に表示される実画面でもよいが、ディスプレイ等に表示されずアプリケーションプログラム内部で処理が行われるフレームバッファのような仮想的な画面でもよく、必ずしもユーザに見せるものである必要はない。
【0048】
そして、矩形情報は、上述したように、矩形領域の左上点の座標と右下点の座標で表わすのが好ましい。例えば、オブジェクト情報の存在位置が、左上点の座標が(x11,y11)で、右下点の座標が(x12,y12)の矩形領域であれば、この座標の情報を記載すればよい。
媒体でのオブジェクトIDは、印刷される媒体中のオブジェクト情報に付けられるIDであり、またオリジナル文書でのオブジェクトIDはオリジナル文書のオブジェクト情報に付けられるIDであり、オブジェクト情報を識別情報として記録する。媒体でのオブジェクトIDは、管理情報として記録するのが好ましい。
またオリジナル文書の内容は、その電子情報をそのまま記載してもよいが、参照情報であってもかまわない。電子情報をそのまま記載する場合は、例えば、この内容を表示するような場合に確実に表示することができるが、オブジェクト情報テーブルに使用される記憶容量が多く必要になりやすい。参照情報である場合は、参照元が変更になった場合に情報の取得ができないなど信頼性が低下するが、オブジェクト情報テーブルに使用される記憶容量が少なくてすむ。
【0049】
なお、上述した例では、電子文書の文書画像と媒体の識別情報及び媒体内の位置情報を示すコード画像との重畳画像の印刷を指示する際に、オブジェクト情報と媒体の識別情報及び位置情報との対応関係を作成する形態について説明を行ったが、これに限られるものではなく、例えば、予めオブジェクト情報と媒体の識別情報及び位置情報を取得しておき、これらの対応関係を作成し、管理情報として登録しておいてもよい。この場合、印刷の指示があった際に、この管理情報を参照すればよい。
【0050】
次に、紙面に形成されたコード画像を読み取って処理するペンデバイス600に例示される画像処理装置について説明する。
図10は、画像処理装置の構成例を示したブロック図である。
図示するように、画像処理装置は、画像読取部21と、ドット配列生成部22と、ブロック検出部23と、同期符号検出部24と、回転判定部25と、符号配列回転部26とを備える。また、識別符号検出部30と、識別符号復号部32と、識別符号誤り検出部33と、識別符号誤り訂正部34とを備える。更に、X座標符号検出部40と、X座標符号復号部42と、X座標符号誤り検出部43と、X座標符号誤り訂正部44と、Y座標符号検出部45と、Y座標符号復号部47と、Y座標符号誤り検出部48と、Y座標符号誤り訂正部49と、オブジェクト情報検出部50と、送信部52とを備える。
【0051】
画像読取部21は、CCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を用いて、紙面に印刷されたコード画像を読み取る。
ドット配列生成部22は、読み取ったコード画像からドットを検出し、ドットの位置を参照して、ドット配列を生成する。尚、コード画像からのドット検出の前処理として、読み取った画像に含まれるノイズを除去するための処理も行う。ここで、ノイズには、例えば、撮像素子感度のばらつきや電子回路により発生するノイズがある。ノイズ除去の処理の種類は、撮像系の特性に合わせるべきだが、ぼかし処理やアンシャープマスキング等の先鋭化処理を適用するとよい。また、ドットの検出は、次のように行う。即ち、まず、2値化処理によりドット画像の部分と、その他の背景画像の部分とを切り分け、2値化された個々の画像位置からドットの位置を検出する。その際、2値化された画像にノイズ成分が多数含まれる場合があるため、2値化された画像の面積や形状によりドットの判定を行うフィルタ処理を組み合わせる必要がある。その後、ドット配列の生成は、2次元の配列上で、例えば、ドットがある位置を「1」、ドットがない位置を「0」というように、画像として検出したドットをデジタルデータに置き換えることにより行う。本実施の形態では、読み取られた画像を取得する取得手段の一例として、ドット配列生成部22を備えている。
【0052】
ブロック検出部23は、ドット配列上で、符号ブロック内の単位符号パターンに対応するブロックを検出する。即ち、単位符号パターンと同じ大きさをもつ矩形のブロック区切りをドット配列上で適宜動かし、ブロック内のドット数が均等になる位置を正しいブロック区切り位置とし、各ブロック内のパターン値を格納した符号配列を生成する。
【0053】
同期符号検出部24は、ドット配列から検出された各単位符号パターンの種類を参照して、同期符号を検出する。なお、同期符号とは、同期パターンに対応する符号である。
回転判定部25は、検出した同期符号に基づいて、画像の回転を判定する。例えば、正方形の単位符号パターンを用いた場合、90度単位で回転している可能性がある。そこで、検出した同期符号が4種類の同期パターンのいずれに対応しているかによって、その向きを検出する。また、長方形の単位符号パターンを用いた場合、180度単位で回転している可能性がある。そこで、検出された同期符号が2種類の同期パターンのいずれに対応しているかによって、その向きを検出する。
符号配列回転部26は、回転判定部25で検出された回転角度だけ符号配列を回転させて、符号配列を正しい向きに設定する。
【0054】
識別符号検出部30は、角度が補正された符号配列から、同期符号の位置を基準にして識別符号を検出する。また、このとき、識別符号を正しい符号順に並べ替える処理も行う。
識別符号復号部32は、図10を参照して説明したRS符号の符号化処理で用いたパラメータ(ブロック数等)と同じパラメータを用いて識別符号を復号し、識別情報を出力する。なお、識別符号とは、識別情報を表す情報パターンに対応する符号である。
識別符号誤り検出部33は、復号された識別符号の誤りを検出し、識別符号誤り訂正部34は、検出した誤りが訂正可能な誤りである場合に、その誤りを訂正する。
【0055】
X座標符号検出部40は、角度が補正された符号配列から、同期符号の位置を基準にしてX座標符号を検出する。また、このとき、X座標符号から同期符号を取り除く処理も行う。なお、X座標符号とは、X座標情報を表す情報パターンに対応する符号である。
X座標符号復号部42は、検出されたX座標符号からM系列の部分系列を取り出し、画像生成に使用したM系列におけるこの部分系列の位置を参照し、この位置を符号ブロックのシフト量で補正した値をX座標情報として出力する。
X座標符号誤り検出部43は、復号されたX座標符号の誤りを検出し、X座標符号誤り訂正部44は、検出した誤りが訂正可能な誤りである場合に、その誤りを訂正する。
【0056】
Y座標符号検出部45は、角度が補正された符号配列から、同期符号の位置を基準にしてY座標符号を検出する。また、このとき、Y座標符号から同期符号を取り除く処理も行う。なお、Y座標符号とは、Y座標情報を表す情報パターンに対応する符号である。
Y座標符号復号部47は、検出されたY座標符号からM系列の部分系列を取り出し、画像生成に使用したM系列におけるこの部分系列の位置を参照し、この位置を符号ブロックのシフト量で補正した値をY座標情報として出力する。
Y座標符号誤り検出部48は、復号されたY座標符号の誤りを検出し、Y座標符号誤り訂正部49は、検出した誤りが訂正可能な誤りである場合に、その誤りを訂正する。
【0057】
オブジェクト情報検出部50は、オブジェクト情報テーブルを参照し、識別情報、X座標情報、Y座標情報からオブジェクト情報を検出する。
そして、送信部52は、オブジェクト情報に対応するアプリケーションプログラムに、オブジェクト情報を送信する。
尚、本実施の形態では、座標情報および識別情報を検出する情報検出手段の一例として、識別符号検出部30、X座標符号検出部40、及びY座標符号検出部45を設けている。また、オブジェクト情報検出手段の一例として、オブジェクト情報検出部50を、そして、送信手段の一例として送信部52を設けている。
尚、アプリケーションプログラムにオブジェクト情報を送信する送信部52は、必ずしも上述した画像処理装置に設ける必要はなく、例えば、図1で説明した端末装置700が行ってもよい。
【0058】
尚、これらの機能は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。具体的には、画像処理装置のCPU91(図13参照)が、ドット配列生成部22、ブロック検出部23、同期符号検出部24、回転判定部25、符号配列回転部26、識別符号検出部30、識別符号復号部32、識別符号誤り検出部33、識別符号誤り訂正部34、X座標符号検出部40、X座標符号復号部42、X座標符号誤り検出部43、X座標符号誤り訂正部44、Y座標符号検出部45、Y座標符号復号部47、Y座標符号誤り検出部48、Y座標符号誤り訂正部49、オブジェクト情報検出部50、送信部52を実現するプログラムを、例えば、磁気ディスク装置93(図13参照)からメインメモリ92(図13参照)に読み込んで実行することにより、実現される。また、磁気ディスク装置93(図13参照)に記憶されるプログラムやデータは、CD等の記録媒体からロードしてもよいし、インターネット等の通信手段を介してダウンロードしてもよい。
【0059】
次いで、この画像処理装置の動作の概略を説明する。
まず、画像読取部21が、コード画像が印刷された媒体から、所定の大きさの領域のコード画像を読み取る。
次に、ドット配列生成部22が、ドットを検出した位置に「1」を、ドットを検出しなかった位置に「0」を設定したドット配列を生成する。
その後、ブロック検出部23が、このドット配列にブロック区切りを重ねて、ブロックの境界を検出する。ここで、ブロックとは、図6を参照して説明したように、埋め込まれた情報を復号する際に必要となる最小の単位である。本実施の形態では、符号ブロックとして5ブロック×5ブロックのものを想定しているので、従って、ブロック区切りとしても、5ブロック×5ブロックの大きさのものを用いる。
【0060】
図11は、ブロック区切りを移動させてブロックを検出する際の処理を具体的に示した図である。ここでは、9C2方式で符号化が行われたことが分かっており、9C2方式で復号する場合について示している。
まず、ブロック検出部23は、ドット配列生成部22からドット配列を取得する。ここで取得するドット配列のサイズは予め設定されており、(復号に必要なブロック数×ブロックの一辺のドット数+ブロックの一辺のドット数−1)2である。ところが、このドット配列は、画像の任意に選択された領域に対応しているので、ブロック区切りの位置は分からない。そこで、初めに、ドット配列の端を基準にブロック分割を行う。この例では、m=9なので、3ドット×3ドットの大きさのブロックからなるブロック区切りを重ねる。次に、各ブロック内のドットを数える。この例では、n=2なので、各ブロック内に2ドットずつ存在する場合のブロック区切りの位置が正しい区切り位置であるが、この位置ではドット数がばらついており、正しくないことが分かる。そこで、ブロック区切りをずらしてブロック内のドット数を数える。即ち、右方向への開始位置、1ドット分移動した位置、2ドット分移動した位置について同様の動作を行う。また、これらの位置のそれぞれに対し、下方向への開始位置、1ドット移動した位置、2ドット移動した位置についても同様の動作を行う。その結果、右方向に1ドット移動し、下方向に2ドット移動した位置において、全てのブロック内のドット数が「2」となる。従って、この位置を正しい区切り位置とする。
【0061】
その後、同期符号検出部24、識別符号検出部30、X座標符号検出部40、Y座標符号検出部45等が、各ブロック内のドット配置を参照することにより、同期符号、識別符号、X座標符号、Y座標符号を検出することになる。
【0062】
次に、本実施の形態における印刷を指示する画像処理装置100及びコード画像を読み取る画像処理装置を実現するペンデバイス600の具体的なハードウェア構成について説明する。
まず、ペンデバイス600について説明する。
図12は、ペンデバイス600の機構を示した図である。
図示するように、ペンデバイス600は、ペン全体の動作を制御する制御回路601を備える。また、制御回路601は、入力画像から検出したコード画像を処理する画像処理部601aと、そこでの処理結果から識別情報及び座標情報を抽出するデータ処理部601bとを含む。
そして、制御回路601には、ペンデバイス600による筆記動作をペンチップ609に加わる圧力によって検出する圧力センサ602が接続されている。また、媒体上に赤外光を照射する赤外LED603と、画像を入力する赤外CMOS604も接続されている。更に、識別情報及び座標情報を記憶するための情報メモリ605と、外部装置と通信するための通信回路606と、ペンを駆動するためのバッテリ607と、ペンの識別情報(ペンID)を記憶するペンIDメモリ608も接続されている。
【0063】
尚、図10に示した画像読取部21は、例えば、図12の赤外CMOS604にて実現される。また、ドット配列生成部22は、例えば、図12の画像処理部601aにて実現される。更に、図10に示したブロック検出部23、同期符号検出部24、回転判定部25、符号配列回転部26、識別符号検出部30、識別符号復号部32、識別符号誤り検出部33、識別符号誤り訂正部34、X座標符号検出部40、X座標符号復号部42、X座標符号誤り検出部43、X座標符号誤り訂正部44、Y座標符号検出部45、Y座標符号復号部47、Y座標符号誤り検出部48、Y座標符号誤り訂正部49、オブジェクト情報検出部50、送信部52は、例えば、図12のデータ処理部601bにて実現される。
【0064】
また、画像処理装置100にて実現される処理、及び、図12の画像処理部601a又はデータ処理部601bにて実現される処理は、例えば、汎用のコンピュータで実現してもよい。そこで、かかる処理をコンピュータ90で実現するものとし、コンピュータ90のハードウェア構成について説明する。
図13は、コンピュータ90のハードウェア構成を示した図である。
図示するように、コンピュータ90は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)91と、記憶手段であるメインメモリ92及び磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)93とを備える。ここで、CPU91は、OS(Operating System)やアプリケーションプログラム等の各種ソフトウェアを実行し、上述した各機能を実現する。また、メインメモリ92は、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、磁気ディスク装置93は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域である。
更に、コンピュータ90は、外部との通信を行うための通信I/F94と、ビデオメモリやディスプレイ等からなる表示機構95と、キーボードやマウス等の入力デバイス96とを備える。
【0065】
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施の形態が適用されるシステムの構成の一例を示したものである。
【図2】画像処理装置の機能構成を示した図である。
【図3】本実施の形態における電子文書の表示画面の例を示した図である。
【図4】印刷指示受付部の動作の流れを示したフローチャートである。
【図5】コード画像生成部の動作の流れを示したフローチャートである。
【図6】コード画像を説明するための図である。
【図7】オブジェクト情報取得部の動作の流れを示したフローチャートである。
【図8】オブジェクト情報テーブルの内容の一例を示す図である。
【図9】印刷される媒体と中間文書とオリジナル文書との関係を説明した図である。
【図10】画像処理装置の構成例を示したブロック図である。
【図11】ブロック区切りを移動させてブロックを検出する際の処理を具体的に示した図である。
【図12】ペンデバイスの機構を示した図である。
【図13】コンピュータのハードウェア構成を示した図である。
【符号の説明】
【0067】
11…印刷指示受付部、12…文書PDL生成部、13…コード画像生成部、14…オブジェクト情報取得部、15…登録部、16…出力用PDL生成部、21…画像読取部、22…ドット配列生成部、23…ブロック検出部、24…同期符号検出部、25…回転判定部、26…符号配列回転部、30…識別符号検出部、32…識別符号復号部、33…識別符号誤り検出部、34…識別符号誤り訂正部、40…X座標符号検出部、42…X座標符号復号部、43…X座標符号誤り検出部、44…X座標符号誤り訂正部、45…Y座標符号検出部、47…Y座標符号復号部、48…Y座標符号誤り検出部、49…Y座標符号誤り訂正部、50…オブジェクト情報検出部、52…送信部、100…画像処理装置、200…文書リポジトリ、400…画像形成装置、500…印刷物、600…ペンデバイス、700…端末装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、細かなドットが印刷された特殊な用紙に文字や絵を描き、ユーザがこの用紙上に書いた文字等のデータをパソコンや携帯電話等に転送し、この内容の保存や、メール送信を可能とする技術が注目されている。
【0003】
ここで、公報記載の従来技術として、紙文書を識別するための紙IDと、予めフォームが定まっている電子文書に対して割り当てられる文書IDと紙IDとを関連付ける文書紙ID関連手段と、紙IDを取得し、エンコード手段により作成された符号化紙IDを紙文書に印刷する印刷手段と、紙IDを管理する紙ID管理手段と、符号化紙IDが印刷され、手書きされた筆記情報を有する紙文書から、筆記情報とデコード手段によりデコードされた紙IDを取得する情報取得手段と、情報取得手段により取得された筆記情報に対して行われる処理を示す処理IDと紙IDとを関連付ける処理紙ID関連手段と、処理IDを管理する処理ID管理手段とを有する文書処理システムが開示されている。(例えば、特許文献1参照)。
また、公知の技術として、ディスプレイ上にタッチパネル等の直接指示可能なデバイスを装着することで、電子的に直接指示可能とするシステムが存在する。
【0004】
【特許文献1】特開2005−122682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、紙文書をインタフェースとして用いるシステムにおいて、単純な処理のみでなく複雑な処理を行うことが求められる。特に、印刷した後には、通常、電子文書に埋め込まれているマクロやスクリプトを実行できず、電子文書を印刷した後であっても複雑な処理を実行することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、媒体に印刷すべき電子文書から所定のマクロまたはスクリプトに関するオブジェクト情報を取得するオブジェクト情報取得手段と、前記媒体の識別情報を取得する識別情報取得手段と、前記媒体内の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記オブジェクト情報を前記識別情報と前記位置情報とを用いて特定するための管理情報を登録する登録手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記電子文書を取得する文書取得手段と、前記電子文書の画像と、前記識別情報の画像および前記位置情報の画像との重畳画像の印刷を印刷機構に指示する指示手段とを更に有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記登録手段は、前記媒体の識別情報と前記媒体内の位置情報と前記オブジェクト情報との対応情報を、前記管理情報として登録することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
請求項4に記載の発明は、前記登録手段は、前記電子文書の識別情報を更に前記管理情報として登録することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置である。
請求項5に記載の発明は、前記オブジェクト情報は、前記所定のマクロまたはスクリプトに関する識別情報であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
【0008】
請求項6に記載の発明は、媒体の識別情報および媒体上の位置を示す座標情報を表す画像が印刷された当該媒体から読み取られた当該画像を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記画像から前記媒体の識別情報および前記媒体上の位置を示す座標情報を検出する情報検出手段と、前記情報検出手段により検出された前記媒体の識別情報および前記媒体上の位置を示す座標情報から、所定のマクロまたはスクリプトに関するオブジェクト情報を検出するオブジェクト情報検出手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置である。
【0009】
請求項7に記載の発明は、前記オブジェクト情報検出手段は、前記媒体の識別情報と前記媒体上の位置を示す座標情報と前記オブジェクト情報とが含まれる管理情報により当該オブジェクト情報を検出することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置である。
請求項8に記載の発明は、前記オブジェクト情報に対応するアプリケーションプログラムに、当該オブジェクト情報を送信する送信手段を更に有することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置である。
【0010】
請求項9に記載の発明は、コンピュータに、媒体に印刷すべき電子文書から所定のマクロまたはスクリプトに関するオブジェクト情報を取得する機能と、前記媒体の識別情報を取得する機能と、前記媒体内の位置情報を取得する機能と、前記オブジェクト情報を前記識別情報と前記位置情報とを用いて特定するための管理情報を登録する機能と、を実現させるためのプログラムである。
【0011】
請求項10に記載の発明は、コンピュータに、媒体の識別情報および媒体上の位置を示す座標情報を表す画像が印刷された当該媒体から読み取られた当該画像を取得する機能と、前記画像から前記媒体の識別情報および前記媒体上の位置を示す座標情報を検出する機能と、前記媒体の識別情報および前記媒体上の位置を示す座標情報から、所定のマクロまたはスクリプトに関するオブジェクト情報を検出する機能と、を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、電子文書にマクロやスクリプトとして埋め込まれているオブジェクト情報を媒体の識別情報と位置情報とに関連付けることが可能となり、例えば印刷後であってもマクロやスクリプトによる複雑な処理を行うことができる。
請求項2の発明によれば、媒体に電子文書を印刷する際に、電子文書にマクロやスクリプトとして埋め込まれているオブジェクト情報を媒体の識別情報と位置情報とに関連付けることが可能となる。
請求項3の発明によれば、管理情報の登録を、より簡便化することができる。
請求項4の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、マクロやスクリプトを実行するアプリケーションプログラムが作成したオリジナル文書の中でのオブジェクト情報の位置をより確実に辿ることができる。
請求項5の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、オブジェクト情報を管理情報としてより容易に登録することができる。
請求項6の発明によれば、電子文書にマクロやスクリプトとして埋め込まれている複雑な処理を、電子文書を印刷した後であっても実行することが可能になる。
請求項7の発明によれば、より容易にオブジェクト情報を検出することができる。
請求項8の発明によれば、オブジェクト情報に対応するアプリケーションプログラムに、オブジェクト情報を送信する送信手段を更に有することで、アプリケーションプログラムが有する機能が使用できる。
請求項9の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、電子文書にマクロやスクリプトとして埋め込まれているオブジェクト情報を、媒体の識別情報と位置情報とに関連付けることが可能となり、例えば印刷後であってもマクロやスクリプトによる複雑な処理を行うことができる。
請求項10の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、電子文書にマクロやスクリプトとして埋め込まれている複雑な処理を、電子文書を印刷した後であっても実行することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態が適用されるシステムの構成の一例を示したものである。このシステムは、少なくとも、電子文書の印刷を指示する画像処理装置100と、電子文書を蓄積する文書リポジトリ200と、電子文書の画像とコード画像との重畳画像を印刷する画像形成装置400とがネットワーク900に接続されることにより構成されている。また、このシステムは、画像形成装置400にて出力される印刷物500と、印刷物500に文字又は図形を記録し、その文字又は図形の軌跡を読み取る画像処理装置の一例としてのペンデバイス600とを含む。更に、ネットワーク900には、ペンデバイス600から受信した軌跡と、文書リポジトリ200から取得した電子文書とを重ね合わせて表示する端末装置700も接続されている。
【0014】
以下、本システムの動作の概略を説明する。
まず、画像処理装置100は、文書リポジトリ200から印刷対象の電子文書を取得する(A)。そして、画像形成装置400に対し、この電子文書の印刷を指示する(B)。このとき、画像処理装置100は、印刷に関するパラメータである印刷属性を指定する。この印刷属性には、通常の印刷と同様、用紙サイズ、向き、両面印刷等が含まれる。また、コード画像に関し、コード画像を印刷すべき領域の指定等が含まれてもよい。
この電子文書の印刷指示を受けると、画像形成装置400は、電子文書の画像にコード画像を重畳した画像を紙等の媒体に印刷し、印刷物500を出力する(C)。この場合、コード画像は、識別情報に対応する識別コードと、位置情報に対応する位置コードとを画像化したものである。或いは、その他の情報である付加情報を含めて画像化したものであってもよい。尚、電子文書の画像とコード画像とを重畳する処理は、画像処理装置100で行ってもよいし、画像形成装置400で行ってもよい。
【0015】
ここで、識別情報としては、個々の媒体を一意に識別する情報を採用することができる。例えば、画像形成装置400の識別番号と画像形成装置400における媒体の印刷の一連番号又は印刷の日時とを組み合わせて得られる情報であってもよいし、所定のサーバにて重複がないように一元管理されている情報であってもよい。或いは、個々の媒体を一意に識別する情報ではなく、媒体に印刷された電子文書を一意に識別する情報を、識別情報として採用してもよい。
また、位置情報とは、個々の媒体上の座標位置(X座標、Y座標)を特定するための情報である。例えば、媒体の左上点を原点とし、媒体の右方向にX軸をとり、下方向にY軸をとることにより設定した座標系で、座標を表すことが考えられる。
更に、付加情報としては、印刷指示を行ったユーザの識別情報や、コピー禁止であるかどうかの情報等がある。
【0016】
また、画像形成装置400は、コード画像を、赤外光の吸収率が一定の基準以上である不可視のトナーを用いて不可視画像として形成する。一方、電子文書の文書画像は、赤外光の吸収率が一定の基準以下である可視のトナーを用いて可視画像として形成することが好ましい。尚、コード画像の形成に用いるトナーと文書画像の形成に用いるトナーとで、赤外光の吸収率に差を設けたのは、赤外光を照射してコード画像を読み取る際の読取り精度を確保するためである。尚、本明細書では、赤外光照射によるコード画像の読取りを前提として説明するが、紫外光によりコード画像を読み取るものであってもよい。
【0017】
その後、ユーザが、ペンデバイス600を用いて印刷物500に文字又は図形を筆記したとする(D)。これにより、ペンデバイス600は、印刷物500に対し赤外光を照射し、その反射光を検出することでコード画像を入力する。そして、コード画像から情報を取得又は生成し、有線通信又は無線通信を介して、その情報を端末装置700に送信する(E)。尚、ここで送信される情報には、例えば、印刷物500の識別情報や、印刷物500に対して筆記された文字又は図形の位置情報がある。或いは、位置情報は、一定の時間における文字又は図形の位置情報を連結させた軌跡情報として送信するようにしてもよい。
その後、端末装置700は、ペンデバイス600から受信した識別情報に基づいて、印刷物500に印刷された文書画像の元となる電子文書を文書リポジトリ200から取得する(F)。そして、文書リポジトリ200から取得した電子文書と、ペンデバイス600から取得した情報とを重ね合わせて表示する。
【0018】
ところで、ペンデバイス600から受信した識別情報が、個々の媒体を一意に識別する情報である場合、この識別情報に基づいて電子文書を取得できるようにするためには、識別情報と電子文書との対応関係を管理しておく必要がある。図1では、この対応関係をどこで管理するかについては明示しなかったが、端末装置700からアクセス可能であれば、どこで管理するようにしてもよい。例えば、文書リポジトリ200であってもよいし、画像形成装置400であってもよい。
また、ペンデバイス600から軌跡情報を受信した場合、この軌跡情報は、印刷物500上での筆記位置に対応する電子文書上の位置に重ね合わせて表示される。これは、ペンデバイス600で読み取ったコード画像に筆記位置の情報が含まれるので、その情報から電子文書の表示イメージにおける対応する位置が特定できるからである。
【0019】
以上、本実施の形態が適用されるシステムについて述べてきたが、このような構成はあくまで一例に過ぎない。例えば、電子文書の画像とコード画像とを重畳する処理を、画像処理装置100から画像形成装置400への印刷指示を中継するサーバコンピュータ等で行うようにしてもよい。また、文書リポジトリ200は、画像処理装置100内にあってもよい。更に、画像処理装置100と端末装置700とは、同一の装置であってもよい。
尚、本明細書では、「電子文書」の文言を用いるが、これは、テキストを含む「文書」を電子化したデータのみを意味するものではない。例えば、絵、写真、図形等の画像データ(ラスタデータかベクターデータかによらない)、その他の印刷可能な電子データも含めて「電子文書」としている。
【0020】
しかしながら、従来のシステムでは事前に専用のフォームエディタにより作成され、物理的な媒体上の場所と関連付けられた単純な定型的な処理や、その場所に埋め込まれたリンクをたどる等の単純な処理しか実現できない。
一方、タッチパネル等を利用するシステムは、表示すべき情報量が多くなった場合、一覧性が悪いため所望の処理が埋め込まれている箇所を表示させるのに時間がかかるという問題がある。
【0021】
そこで、本実施の形態では、電子文書におけるオブジェクト情報と、そのオブジェクト情報が印刷される媒体の識別情報及び位置情報との対応を保持するようにしている。ここで、ここで、オブジェクト情報としては、所定の処理を行うためのマクロやスクリプトに関するものを意味する。
そして、このように、媒体の識別情報、位置情報、及びオブジェクト情報の対応を保持しておくことにより、ペンデバイス600で媒体上の特定の位置を指定し、その位置に対応するオブジェクト情報を辿って所望のマクロやスクリプトを実行することが可能となる。即ち、図1では、端末装置700のディスプレイに電子文書とペンデバイス600による軌跡が重ね合わせて表示されているが、本実施の形態のようにオブジェクト情報を管理しておけば、オブジェクト情報を辿ってマクロやスクリプトを実行し、処理結果等を端末装置700のディスプレイに表示することも可能となる。
【0022】
ここで、以下に具体例を挙げ、説明を行う。
部品番号の一覧のようなカタログ情報が記述された文書があり、アプリケーションプログラムが動作する画面上で部品番号をクリックすると、その部分に埋め込まれたマクロやスクリプトが起動し、その部品番号に対応する部品の詳細情報をデータベースから取得し、別ウインドウに表示するアプリケーションプログラムがあるとする。
この場合に、それに関する詳細情報をデータベースから呼び出すマクロやスクリプトに関するオブジェクト情報と文書の識別情報及び位置情報との対応を保持しておく。そして、印刷した文書をペンデバイス600により文書の識別情報及び位置情報を印刷した部分を読み取ると、その文書の識別情報及び位置情報により所定のアプリケーションプログラムがマクロやスクリプトを実行し、部品番号に対応する部品の詳細情報をデータベースから取得し、別ウインドウに表示することができる。
【0023】
タッチパネルで同様のことを行いたい場合は、いちいち求める部品番号を表示しないと詳細情報を得ることができない。一方、紙の場合は、すべての情報をパラパラとめくりながら、必要な部品情報のページを見つけたらその部品番号をペンデバイス600により取得すればよいので、検索効率が非常に高くなる。カタログのように大量の情報を扱いたいような場合に紙の一覧性の良さと、電子情報の検索性の良さの両方を享受できる。
また、専用のフォームエディタにより、電子文書上での動作と、媒体上の位置情報を関連付ける必要性がなくなる。
【0024】
上述の機能を実現するために、本実施の形態では、画像処理装置100が、電子文書の文書画像と媒体の識別情報及び媒体内の位置情報を示すコード画像との重畳画像の印刷を指示する際に、オブジェクト情報と媒体の識別情報及び位置情報との対応関係を作成する。
以下、この画像処理装置100の構成及び動作について説明する。
図2は、画像処理装置100の機能構成を示した図である。
図示するように、画像処理装置100は、印刷指示受付部11と、文書PDL生成部12と、コード画像生成部13と、オブジェクト情報取得部14と、登録部15と、出力用PDL生成部16とを備えている。
【0025】
印刷指示受付部11は、ユーザからの印刷指示を受け付け、文書リポジトリ200(図1参照)から画像処理装置100のメモリ内に読み込んである電子文書を取得し、文書PDL生成部12に受け渡すと共に、媒体の識別情報(以下、「媒体ID」という)を取得し、媒体内の位置情報を取得する。また同時に、コード画像生成部13に対しコード画像の生成を指示するコード画像生成指示を出力し、オブジェクト情報取得部14に対しオブジェクト情報の取得を指示するオブジェクト情報取得指示を出力する。尚、この印刷指示受付部11は、電子文書を取得する文書取得手段と、識別情報を取得する識別情報取得手段と、位置情報を取得する位置情報取得手段とを含むものとして把握することができる。
文書PDL生成部12は、印刷指示受付部11から渡された電子文書を、画像形成装置400が画像形成を行うためのコマンド列からなるPDL(Page Description Language)ファイルである文書PDLファイルに変換する。
コード画像生成部13は、印刷指示受付部11からコード画像生成指示があると、後で詳述するフォーマットのコード画像を生成し、色を指定して出力用PDL生成部16に出力する。
【0026】
オブジェクト情報取得部14は、印刷指示受付部11からオブジェクト情報取得指示があると、同時に渡された電子文書又はその付加情報を解析し、オブジェクト情報を取得する。また、その際、オブジェクト情報取得部14は、電子文書においてオブジェクト情報が存在する領域又はオブジェクト情報が付加された領域の位置情報も取得する。ここでは、かかる領域が通常矩形であることから、その矩形領域の左上点の座標と右下点の座標で表し、これを矩形情報と呼ぶことにする。ここで、オブジェクト情報取得部14は、オブジェクト情報取得手段として把握することができる。
登録部15は、オブジェクト情報取得部14が取得したオブジェクト情報を、媒体ID及び矩形情報と対応付けた管理情報としてのオブジェクト情報テーブルを図示しない記憶装置に登録する。ここで、記憶装置は、どこに設けられていてもよいが、例えば、文書リポジトリ200等、ネットワークに接続された各装置等から共通にアクセス可能なコンピュータに設けるのが望ましい。ここで、登録部15は、識別情報と位置情報に基づいてオブジェクト情報を得ることを可能にするための管理情報を登録する登録手段として把握することができる。
【0027】
出力用PDL生成部16は、文書PDL生成部12から渡された文書PDLファイル内に、コード画像生成部13から渡されたコード画像及び色指定の情報をPDLコマンドとして設定した出力用PDL(電子文書にコード画像を重畳するコマンドを付加したもの)を生成し、画像形成装置400に出力する。尚、出力用PDL生成部16は、電子文書の画像とコード画像とを重畳した画像の印刷を画像形成装置400に指示するという観点から、指示手段として把握することもできる。
【0028】
尚、これらの機能は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。即ち、画像処理装置100の図示しないCPUが、印刷指示受付部11、文書PDL生成部12、コード画像生成部13、オブジェクト情報取得部14、登録部15、出力用PDL生成部16の各機能を実現するプログラムを、例えばハードディスク等の外部記憶装置からメインメモリに読み込んで、画像処理装置100内にこれらの各機能を実現する。
【0029】
次に、画像処理装置100の動作について説明する。
まず、図3に、電子文書の作成、編集、印刷等を行うアプリケーションプログラムの表示画面190を示す。
この表示画面190において、メニューバー191から「ファイル」を選択すると、図示するようなプルダウンメニュー192が表示される。このプルダウンメニュー192に表示された項目のうち、「印刷(P)」は、オブジェクト情報を埋め込まずに通常の印刷を行うための選択項目である。一方、「オブジェクト情報付き印刷(R)」は、オブジェクト情報を埋め込んで印刷を行うための選択項目である。
従って、本実施の形態では、「オブジェクト情報付き印刷(R)」が選択された場合の動作を説明する。即ち、以下で、「印刷指示」というときは、「オブジェクト情報付き印刷(R)」を選択することによる印刷指示を指す。尚、ここでは、電子文書はそのままの大きさで媒体の全面に印刷され、電子文書の特定の位置情報で表される部分の画像は、媒体内の同じ位置情報で表される位置に印刷されるものとする。
【0030】
次に、印刷指示受付部11の動作について説明する。
図4は、印刷指示受付部11の動作の流れを示したフローチャートである。
まず、印刷指示受付部11は、印刷指示があるかどうかを監視する(ステップ111)。即ち、印刷指示がなければ、ステップ111を繰り返し、印刷指示があれば、印刷属性を取得する(ステップ112)。印刷属性には、用紙サイズ、向き、両面印刷等が含まれる。また、印刷指示には、印刷対象の電子文書を特定するための情報も含まれている。
次に、印刷指示受付部11は、電子文書が印刷される媒体を一意に識別する媒体IDを取得する(ステップ113)。尚、媒体IDは、所定のサーバコンピュータから発行してもらうことにより取得することができる。
【0031】
また、用紙サイズや向きの情報に基づいて、媒体内の位置情報を生成し、媒体IDとこの位置情報と色指定とをコード画像生成部13に伝えてコード画像の生成を指示する(ステップ114)。ここで、色指定とは、コード画像をどの色で印刷するかを指定する情報である。画像形成装置400がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)、不可視(I)の5つの現像器を有していれば、不可視(I)でコード画像を印刷すべき旨の情報である。一方、画像形成装置400がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの現像器しか有しておらず、これらのいずれかの色が不可視(I)に置き換えられていれば、その置き換えられた色の指定である。これにより、コード画像は、不可視(I)で印刷されることになる。
【0032】
その後、印刷指示受付部11は、電子文書をメモリから取り出し(ステップ115)、オブジェクト情報取得部14に電子文書を渡してオブジェクト情報の取得を指示する(ステップ116)。
そして、最後に、文書PDL生成部12に対し電子文書を渡して文書PDLへの変換を指示する(ステップ117)。
【0033】
次いで、コード画像生成部13の動作について説明する。
図5は、コード画像生成部13の動作の流れを示したフローチャートである。
まず、コード画像生成部13は、印刷指示受付部11からコード画像生成指示があるかどうかを監視する(ステップ131)。即ち、コード画像生成指示がなければ、ステップ131を繰り返し、コード画像生成指示があれば、識別コードを生成する(ステップ132)。
具体的には、電子文書が印刷される紙等の媒体の識別情報を所定の符号化方式により符号化する。この符号化には、例えば、既知の誤り訂正符号であるRS(リードソロモン)符号やBCH符号を用いることができる。また、誤り検出符号として、位置情報のCRC(Cyclic Redundancy Check)やチェックサム値を計算し、それを冗長ビットとして付加することもできる。
そして、この符号化された識別情報を、コード情報として埋め込む形式に変換する。例えば、第三者による解読が困難になるように、符号化された識別情報における各ビットの配置を、疑似乱数等により入れ替えたり暗号化したりすることができる。また、識別コードが2次元配置される場合は、ビット値をコードの配置と同様に2次元配置しておく。
【0034】
次に、コード画像生成部13は、位置コードを生成する(ステップ133)。
具体的には、電子文書が印刷される媒体のサイズに応じた位置情報を所定の符号化方式により符号化する。この符号化には、識別情報の符号化に使用したのと同様の方式を使用することができる。また、位置情報は、疑似雑音系列の一種であるM系列を利用して表すこともできる。ここで、M系列は、k段の線形シフトレジスタで生成できる最大周期の系列であり、その周期は2k−1である。また、M系列中の任意の位置から取り出した連続するkビットの部分系列がM系列中に1度しか現われないという性質を持っている。この性質により、連続したkビットの部分系列ごとに位置情報を対応させておけば、部分系列を検出することで位置情報を特定することができる。
そして、この符号化された位置情報を、コード情報として埋め込む形式に変換する。例えば、第三者による解読が困難になるように、符号化された位置情報における各ビットの配置を、疑似乱数等により入れ替えたり暗号化したりすることができる。また、位置コードが2次元配置される場合は、ビット値をコードの配置と同様に2次元配置しておく。
【0035】
その後、コード画像生成部13は、ステップ132で生成された識別コード及びステップ133で生成された位置コードを2次元に配置する(ステップ134)。このとき、識別コードは、位置によらず同じコードが配置されるが、位置コードは、位置により異なるコードが配置される。
また、識別コード及び位置コードの各ビットに後述のパターン画像を割り当てることにより、コード画像を生成する(ステップ135)。
【0036】
ところで、コード画像は、この時点では2値の画像であるが、コード画像生成部13は、このコード画像に対し色指定を行う(ステップ136)。即ち、コード画像生成指示には色指定の情報も含まれているので、これを用いて色指定を行う。
そして、最後に、コード画像生成部13は、色指定がなされたコード画像を出力用PDL生成部16に出力する(ステップ137)。
【0037】
次に、コード画像生成部13で生成され、印刷されるコード画像について説明する。
図6(a)〜(c)は、上述したコード画像を説明するための図である。図6(a)は、コード画像を形成する符号パターン配列を模式的に示している。また、図6(b)は、図6(a)における符号パターン配列の基本単位である符号ブロックを拡大して示した図である。更に、図6(c)は、符号ブロックを構成する単位符号パターンの具体的なパターンについて説明するための図である。
【0038】
本実施の形態において、図6(a)〜(c)に示すコード画像は、可視光領域(400nm〜700nm)における最大吸収率が例えば7%以下であり、近赤外領域(800nm〜1000nm)における吸収率が例えば30%以上の不可視トナーによって形成される。また、この不可視トナーは、画像の機械読取りのために必要な近赤外光吸収能力を高めるために、平均分散径は100nm〜600nmの範囲のものが採用される。ここで、「可視」及び「不可視」は、目視により認識できるかどうかとは関係しない。印刷された媒体に形成された画像が可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性の有無により認識できるかどうかで「可視」と「不可視」とを区別している。また、可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性が若干あるが、人間の目で認識し難いものも「不可視」に含める。
【0039】
また、このコード画像は、赤外光照射による機械読取りと復号化処理とが長期に亘って安定して可能で、且つ、情報が高密度に記録できる不可視画像で形成される。更に、画像を出力する媒体表面の可視画像が設けられた領域とは関係なく、任意の領域に設けることが可能な不可視画像であることが好ましい。更に、例えば、目視した際に光沢差によって認識できる不可視画像であることが更に好ましい。また、例えば、印刷される媒体の大きさに合わせて媒体面(紙面)の全面に不可視画像が形成される。但し、「全面」とは、用紙の四隅を全て含む意味ではない。電子写真方式等の装置では、通常、紙面の周囲は印刷できない範囲である場合が多いことから、かかる範囲には不可視画像を印刷する必要はない。
【0040】
図6(b)において、符号ブロックは、5ブロック×5ブロックの合計25ブロックの単位符号パターンで構成されている。各単位符号パターンは、図6(c)に示される縦3ドット、横3ドットの合計9ドットを配置可能な領域により形成され、ドット配置可能な領域に2ドットを配置するいわゆる9C2方式における符号パターンである。ここで、黒色の領域と斜線の領域をドット配置可能な領域とし、その間にある白色の領域をドット配置不可能な領域としている。そして、ドット配置可能な領域のうち、黒色の領域にドットが配置され、斜線の領域にはドットが配置されていないことを示している。
より具体的には、配置可能な9ドットのうち2ドットを使用し、各単位符号パターンが1つの情報を表現する。この場合は、36(=9C2)通りの情報を表現することができる。このような方式を用いることで、可視画像に与えるノイズが極めて小さく、且つ、大量の情報を高密度にデジタル化して埋め込むことが可能な符号パターンを提供することが可能となる。
【0041】
本実施の形態では、これらの単位符号パターンのうち、特定の単位符号パターンを情報パターンとして利用し、残りを同期パターンとして利用する。ここで、情報パターンとは、媒体に埋め込む情報を表現するパターンである。また、同期パターンとは、媒体に印刷された情報パターンを取り出すために用いられるパターンである。例えば、情報パターンの位置を特定したり、画像の回転を検出したりするために用いられる。
図6(b)に示した例では、図6(b)において黒色の領域で表した左上の1ブロックの単位符号パターンを使用し、同期パターンとしている。そして、画像の回転の検出のために4種類の単位符号パターンを同期パターンとして用意する必要がある。即ち、正立した同期パターン、右に90度回転した同期パターン、右に180度回転した同期パターン、右に270度回転した同期パターンを用意する。
そして残りの24ブロックを情報パターンとして利用する。そして、同期パターンの右の4ブロックに紙面上のX方向の座標を特定するX座標情報を表す情報パターンを配置し、同期パターンの下の4ブロックに紙面上のY方向の座標を特定するY座標情報を表す情報パターンを配置している。更に、これらの座標情報を表す情報パターンで囲まれた16ブロックに、紙面又は紙面に印刷される文書の識別情報を表す情報パターンを配置している。そして、X座標情報を表す情報パターン領域とY座標情報を表す情報パターンには、それぞれ配置される場所により異なる位置情報が格納されている。一方、識別パターンを表す領域には、配置される場所によらず同じ識別情報が格納されている。
【0042】
次いで、オブジェクト情報取得部14の動作について説明する。
図7は、オブジェクト情報取得部14の動作の流れを示したフローチャートである。
まず、オブジェクト情報取得部14は、印刷指示受付部11からオブジェクト情報取得指示があるかどうかを監視する(ステップ141)。即ち、オブジェクト情報取得指示がなければ、ステップ141を繰り返し、オブジェクト情報取得指示があれば、印刷指示受付部11から渡された電子文書の各ページに対し、以下の処理を行う。尚、オブジェクト情報取得指示には、印刷指示受付部11にて取得された媒体IDも含まれるものとする。
【0043】
即ち、オブジェクト情報取得部14は、着目するページを読み込み(ステップ142)、そのページについてオブジェクト情報を検索し(ステップ143)、オブジェクト情報があったかどうかを判定する(ステップ144)。その結果、オブジェクト情報があれば、オブジェクト情報が存在する領域又は付加された領域について矩形情報を生成し(ステップ145)、媒体IDと矩形情報とオブジェクト情報との対応をメモリに蓄積する(ステップ146)。このとき、オブジェクト情報取得部14は、印刷指示受付部11が位置情報を取得する際に用いた座標系を用いて、矩形情報を生成する。
このように、オブジェクト情報を検索して、オブジェクト情報があったなら、媒体IDと矩形情報とオブジェクト情報とを対応付けて蓄積する処理を、そのページにオブジェクト情報がなくなるまで続け、オブジェクト情報がなくなれば、他のページがあるかどうかを判定する(ステップ147)。
ここで、他のページがあれば、ステップ142〜146の処理を繰り返すが、他のページがなければ、登録部15に対し、メモリに蓄積された媒体IDと矩形情報とオブジェクト情報との対応を出力する(ステップ148)。
【0044】
これに応じて、登録部15は、この媒体IDと矩形情報とオブジェクト情報とを対応付けたオブジェクト情報テーブルを図示しない記憶装置に登録する。
その後、登録部15は、出力用PDL生成部16に対し、オブジェクト情報の登録を完了した旨を伝える。
【0045】
これにより、出力用PDL生成部16は、文書PDL生成部12から送られた文書PDLに対し、コード画像生成部13から送られたコード画像及び色指定の情報を用いてコード画像重畳のためのPDLコマンドを挿入することにより、出力用PDLを生成する。
そして、この出力用PDLを画像形成装置400に送信することで、画像形成装置400では、不可視トナーでコード画像が印刷されることとなる。
【0046】
図8は、ここで登録されるオブジェクト情報テーブルの内容の一例を示す図である。
図8に挙げた例では、オブジェクト情報テーブルのうちの1行を抽出し、その内容を図示した。図8における左側から媒体ID、中間文書ID、矩形情報、オブジェクトID、オリジナル文書の内容、オリジナル文書でのオブジェクトIDの対応情報が管理情報として登録される。なお、オリジナル文書とは、マクロやスクリプトを実行するアプリケーションプログラムが作成する文書である。
ここで、中間文書IDとは、印刷対象の電子文書を識別するための識別情報である。中間文書は、オリジナル文書と印刷される媒体の仲立ちを行い、これを設けることにより、オリジナル文書に辿るのが容易になる。即ち、オリジナル文書から中間文書が作成されるので、オリジナル文書と中間文書との関係は明らかである。また中間文書から媒体IDが付与される媒体が印刷されるのでこの関係も明らかである。よって、中間文書IDを設けることでオブジェクト情報に対応するオリジナル文書での位置を一意に定めることが容易となる。オリジナル文書にページの概念がない文書である場合などは、媒体IDと、座標情報からオリジナル文書のどの位置が対応するか求めるのが困難な場合があり、このような場合に特に有効であるが、オリジナル文書にページ等の概念が存在し、媒体IDからオリジナル文書に容易に辿ることができる場合は、中間文書IDの情報は必ずしも必要とは限らない。
【0047】
図9は、印刷される媒体と中間文書とオリジナル文書との関係を説明した図である。
まず、媒体の所定の位置である”×”で図示した部分に媒体の識別情報と座標情報がコード画像として印刷されており、ペンデバイス600(図1参照)で、この情報を取得する。この場合、中間文書は媒体に印刷される電子文書であるので、中間文書におけるオブジェクト情報が存在する座標について一意に定まる。ここでは、中間文書における”×”で図示した部分が該当する。そして中間文書は、オリジナル文書から作成されたものなので、中間文書における”×”で図示した部分がオリジナル文書のどの部分に該当するのかもわかる。ここでは、オリジナル文書における”×”で図示した部分が該当する。
そうすると、その情報を得たアプリケーションプログラムは、このアプリケーションプログラムを操作する画面上でOS(Operating System)等の機能を利用してマウスイベントを発生させ、この部分に存在するマクロやスクリプトが実行させることができる。ここでは、アプリケーションプログラムの画面上での表示で”×”で図示した部分にマウスイベントが発生したものとされる。なお、この画面はディスプレイ等に表示される実画面でもよいが、ディスプレイ等に表示されずアプリケーションプログラム内部で処理が行われるフレームバッファのような仮想的な画面でもよく、必ずしもユーザに見せるものである必要はない。
【0048】
そして、矩形情報は、上述したように、矩形領域の左上点の座標と右下点の座標で表わすのが好ましい。例えば、オブジェクト情報の存在位置が、左上点の座標が(x11,y11)で、右下点の座標が(x12,y12)の矩形領域であれば、この座標の情報を記載すればよい。
媒体でのオブジェクトIDは、印刷される媒体中のオブジェクト情報に付けられるIDであり、またオリジナル文書でのオブジェクトIDはオリジナル文書のオブジェクト情報に付けられるIDであり、オブジェクト情報を識別情報として記録する。媒体でのオブジェクトIDは、管理情報として記録するのが好ましい。
またオリジナル文書の内容は、その電子情報をそのまま記載してもよいが、参照情報であってもかまわない。電子情報をそのまま記載する場合は、例えば、この内容を表示するような場合に確実に表示することができるが、オブジェクト情報テーブルに使用される記憶容量が多く必要になりやすい。参照情報である場合は、参照元が変更になった場合に情報の取得ができないなど信頼性が低下するが、オブジェクト情報テーブルに使用される記憶容量が少なくてすむ。
【0049】
なお、上述した例では、電子文書の文書画像と媒体の識別情報及び媒体内の位置情報を示すコード画像との重畳画像の印刷を指示する際に、オブジェクト情報と媒体の識別情報及び位置情報との対応関係を作成する形態について説明を行ったが、これに限られるものではなく、例えば、予めオブジェクト情報と媒体の識別情報及び位置情報を取得しておき、これらの対応関係を作成し、管理情報として登録しておいてもよい。この場合、印刷の指示があった際に、この管理情報を参照すればよい。
【0050】
次に、紙面に形成されたコード画像を読み取って処理するペンデバイス600に例示される画像処理装置について説明する。
図10は、画像処理装置の構成例を示したブロック図である。
図示するように、画像処理装置は、画像読取部21と、ドット配列生成部22と、ブロック検出部23と、同期符号検出部24と、回転判定部25と、符号配列回転部26とを備える。また、識別符号検出部30と、識別符号復号部32と、識別符号誤り検出部33と、識別符号誤り訂正部34とを備える。更に、X座標符号検出部40と、X座標符号復号部42と、X座標符号誤り検出部43と、X座標符号誤り訂正部44と、Y座標符号検出部45と、Y座標符号復号部47と、Y座標符号誤り検出部48と、Y座標符号誤り訂正部49と、オブジェクト情報検出部50と、送信部52とを備える。
【0051】
画像読取部21は、CCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を用いて、紙面に印刷されたコード画像を読み取る。
ドット配列生成部22は、読み取ったコード画像からドットを検出し、ドットの位置を参照して、ドット配列を生成する。尚、コード画像からのドット検出の前処理として、読み取った画像に含まれるノイズを除去するための処理も行う。ここで、ノイズには、例えば、撮像素子感度のばらつきや電子回路により発生するノイズがある。ノイズ除去の処理の種類は、撮像系の特性に合わせるべきだが、ぼかし処理やアンシャープマスキング等の先鋭化処理を適用するとよい。また、ドットの検出は、次のように行う。即ち、まず、2値化処理によりドット画像の部分と、その他の背景画像の部分とを切り分け、2値化された個々の画像位置からドットの位置を検出する。その際、2値化された画像にノイズ成分が多数含まれる場合があるため、2値化された画像の面積や形状によりドットの判定を行うフィルタ処理を組み合わせる必要がある。その後、ドット配列の生成は、2次元の配列上で、例えば、ドットがある位置を「1」、ドットがない位置を「0」というように、画像として検出したドットをデジタルデータに置き換えることにより行う。本実施の形態では、読み取られた画像を取得する取得手段の一例として、ドット配列生成部22を備えている。
【0052】
ブロック検出部23は、ドット配列上で、符号ブロック内の単位符号パターンに対応するブロックを検出する。即ち、単位符号パターンと同じ大きさをもつ矩形のブロック区切りをドット配列上で適宜動かし、ブロック内のドット数が均等になる位置を正しいブロック区切り位置とし、各ブロック内のパターン値を格納した符号配列を生成する。
【0053】
同期符号検出部24は、ドット配列から検出された各単位符号パターンの種類を参照して、同期符号を検出する。なお、同期符号とは、同期パターンに対応する符号である。
回転判定部25は、検出した同期符号に基づいて、画像の回転を判定する。例えば、正方形の単位符号パターンを用いた場合、90度単位で回転している可能性がある。そこで、検出した同期符号が4種類の同期パターンのいずれに対応しているかによって、その向きを検出する。また、長方形の単位符号パターンを用いた場合、180度単位で回転している可能性がある。そこで、検出された同期符号が2種類の同期パターンのいずれに対応しているかによって、その向きを検出する。
符号配列回転部26は、回転判定部25で検出された回転角度だけ符号配列を回転させて、符号配列を正しい向きに設定する。
【0054】
識別符号検出部30は、角度が補正された符号配列から、同期符号の位置を基準にして識別符号を検出する。また、このとき、識別符号を正しい符号順に並べ替える処理も行う。
識別符号復号部32は、図10を参照して説明したRS符号の符号化処理で用いたパラメータ(ブロック数等)と同じパラメータを用いて識別符号を復号し、識別情報を出力する。なお、識別符号とは、識別情報を表す情報パターンに対応する符号である。
識別符号誤り検出部33は、復号された識別符号の誤りを検出し、識別符号誤り訂正部34は、検出した誤りが訂正可能な誤りである場合に、その誤りを訂正する。
【0055】
X座標符号検出部40は、角度が補正された符号配列から、同期符号の位置を基準にしてX座標符号を検出する。また、このとき、X座標符号から同期符号を取り除く処理も行う。なお、X座標符号とは、X座標情報を表す情報パターンに対応する符号である。
X座標符号復号部42は、検出されたX座標符号からM系列の部分系列を取り出し、画像生成に使用したM系列におけるこの部分系列の位置を参照し、この位置を符号ブロックのシフト量で補正した値をX座標情報として出力する。
X座標符号誤り検出部43は、復号されたX座標符号の誤りを検出し、X座標符号誤り訂正部44は、検出した誤りが訂正可能な誤りである場合に、その誤りを訂正する。
【0056】
Y座標符号検出部45は、角度が補正された符号配列から、同期符号の位置を基準にしてY座標符号を検出する。また、このとき、Y座標符号から同期符号を取り除く処理も行う。なお、Y座標符号とは、Y座標情報を表す情報パターンに対応する符号である。
Y座標符号復号部47は、検出されたY座標符号からM系列の部分系列を取り出し、画像生成に使用したM系列におけるこの部分系列の位置を参照し、この位置を符号ブロックのシフト量で補正した値をY座標情報として出力する。
Y座標符号誤り検出部48は、復号されたY座標符号の誤りを検出し、Y座標符号誤り訂正部49は、検出した誤りが訂正可能な誤りである場合に、その誤りを訂正する。
【0057】
オブジェクト情報検出部50は、オブジェクト情報テーブルを参照し、識別情報、X座標情報、Y座標情報からオブジェクト情報を検出する。
そして、送信部52は、オブジェクト情報に対応するアプリケーションプログラムに、オブジェクト情報を送信する。
尚、本実施の形態では、座標情報および識別情報を検出する情報検出手段の一例として、識別符号検出部30、X座標符号検出部40、及びY座標符号検出部45を設けている。また、オブジェクト情報検出手段の一例として、オブジェクト情報検出部50を、そして、送信手段の一例として送信部52を設けている。
尚、アプリケーションプログラムにオブジェクト情報を送信する送信部52は、必ずしも上述した画像処理装置に設ける必要はなく、例えば、図1で説明した端末装置700が行ってもよい。
【0058】
尚、これらの機能は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。具体的には、画像処理装置のCPU91(図13参照)が、ドット配列生成部22、ブロック検出部23、同期符号検出部24、回転判定部25、符号配列回転部26、識別符号検出部30、識別符号復号部32、識別符号誤り検出部33、識別符号誤り訂正部34、X座標符号検出部40、X座標符号復号部42、X座標符号誤り検出部43、X座標符号誤り訂正部44、Y座標符号検出部45、Y座標符号復号部47、Y座標符号誤り検出部48、Y座標符号誤り訂正部49、オブジェクト情報検出部50、送信部52を実現するプログラムを、例えば、磁気ディスク装置93(図13参照)からメインメモリ92(図13参照)に読み込んで実行することにより、実現される。また、磁気ディスク装置93(図13参照)に記憶されるプログラムやデータは、CD等の記録媒体からロードしてもよいし、インターネット等の通信手段を介してダウンロードしてもよい。
【0059】
次いで、この画像処理装置の動作の概略を説明する。
まず、画像読取部21が、コード画像が印刷された媒体から、所定の大きさの領域のコード画像を読み取る。
次に、ドット配列生成部22が、ドットを検出した位置に「1」を、ドットを検出しなかった位置に「0」を設定したドット配列を生成する。
その後、ブロック検出部23が、このドット配列にブロック区切りを重ねて、ブロックの境界を検出する。ここで、ブロックとは、図6を参照して説明したように、埋め込まれた情報を復号する際に必要となる最小の単位である。本実施の形態では、符号ブロックとして5ブロック×5ブロックのものを想定しているので、従って、ブロック区切りとしても、5ブロック×5ブロックの大きさのものを用いる。
【0060】
図11は、ブロック区切りを移動させてブロックを検出する際の処理を具体的に示した図である。ここでは、9C2方式で符号化が行われたことが分かっており、9C2方式で復号する場合について示している。
まず、ブロック検出部23は、ドット配列生成部22からドット配列を取得する。ここで取得するドット配列のサイズは予め設定されており、(復号に必要なブロック数×ブロックの一辺のドット数+ブロックの一辺のドット数−1)2である。ところが、このドット配列は、画像の任意に選択された領域に対応しているので、ブロック区切りの位置は分からない。そこで、初めに、ドット配列の端を基準にブロック分割を行う。この例では、m=9なので、3ドット×3ドットの大きさのブロックからなるブロック区切りを重ねる。次に、各ブロック内のドットを数える。この例では、n=2なので、各ブロック内に2ドットずつ存在する場合のブロック区切りの位置が正しい区切り位置であるが、この位置ではドット数がばらついており、正しくないことが分かる。そこで、ブロック区切りをずらしてブロック内のドット数を数える。即ち、右方向への開始位置、1ドット分移動した位置、2ドット分移動した位置について同様の動作を行う。また、これらの位置のそれぞれに対し、下方向への開始位置、1ドット移動した位置、2ドット移動した位置についても同様の動作を行う。その結果、右方向に1ドット移動し、下方向に2ドット移動した位置において、全てのブロック内のドット数が「2」となる。従って、この位置を正しい区切り位置とする。
【0061】
その後、同期符号検出部24、識別符号検出部30、X座標符号検出部40、Y座標符号検出部45等が、各ブロック内のドット配置を参照することにより、同期符号、識別符号、X座標符号、Y座標符号を検出することになる。
【0062】
次に、本実施の形態における印刷を指示する画像処理装置100及びコード画像を読み取る画像処理装置を実現するペンデバイス600の具体的なハードウェア構成について説明する。
まず、ペンデバイス600について説明する。
図12は、ペンデバイス600の機構を示した図である。
図示するように、ペンデバイス600は、ペン全体の動作を制御する制御回路601を備える。また、制御回路601は、入力画像から検出したコード画像を処理する画像処理部601aと、そこでの処理結果から識別情報及び座標情報を抽出するデータ処理部601bとを含む。
そして、制御回路601には、ペンデバイス600による筆記動作をペンチップ609に加わる圧力によって検出する圧力センサ602が接続されている。また、媒体上に赤外光を照射する赤外LED603と、画像を入力する赤外CMOS604も接続されている。更に、識別情報及び座標情報を記憶するための情報メモリ605と、外部装置と通信するための通信回路606と、ペンを駆動するためのバッテリ607と、ペンの識別情報(ペンID)を記憶するペンIDメモリ608も接続されている。
【0063】
尚、図10に示した画像読取部21は、例えば、図12の赤外CMOS604にて実現される。また、ドット配列生成部22は、例えば、図12の画像処理部601aにて実現される。更に、図10に示したブロック検出部23、同期符号検出部24、回転判定部25、符号配列回転部26、識別符号検出部30、識別符号復号部32、識別符号誤り検出部33、識別符号誤り訂正部34、X座標符号検出部40、X座標符号復号部42、X座標符号誤り検出部43、X座標符号誤り訂正部44、Y座標符号検出部45、Y座標符号復号部47、Y座標符号誤り検出部48、Y座標符号誤り訂正部49、オブジェクト情報検出部50、送信部52は、例えば、図12のデータ処理部601bにて実現される。
【0064】
また、画像処理装置100にて実現される処理、及び、図12の画像処理部601a又はデータ処理部601bにて実現される処理は、例えば、汎用のコンピュータで実現してもよい。そこで、かかる処理をコンピュータ90で実現するものとし、コンピュータ90のハードウェア構成について説明する。
図13は、コンピュータ90のハードウェア構成を示した図である。
図示するように、コンピュータ90は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)91と、記憶手段であるメインメモリ92及び磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)93とを備える。ここで、CPU91は、OS(Operating System)やアプリケーションプログラム等の各種ソフトウェアを実行し、上述した各機能を実現する。また、メインメモリ92は、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、磁気ディスク装置93は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域である。
更に、コンピュータ90は、外部との通信を行うための通信I/F94と、ビデオメモリやディスプレイ等からなる表示機構95と、キーボードやマウス等の入力デバイス96とを備える。
【0065】
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施の形態が適用されるシステムの構成の一例を示したものである。
【図2】画像処理装置の機能構成を示した図である。
【図3】本実施の形態における電子文書の表示画面の例を示した図である。
【図4】印刷指示受付部の動作の流れを示したフローチャートである。
【図5】コード画像生成部の動作の流れを示したフローチャートである。
【図6】コード画像を説明するための図である。
【図7】オブジェクト情報取得部の動作の流れを示したフローチャートである。
【図8】オブジェクト情報テーブルの内容の一例を示す図である。
【図9】印刷される媒体と中間文書とオリジナル文書との関係を説明した図である。
【図10】画像処理装置の構成例を示したブロック図である。
【図11】ブロック区切りを移動させてブロックを検出する際の処理を具体的に示した図である。
【図12】ペンデバイスの機構を示した図である。
【図13】コンピュータのハードウェア構成を示した図である。
【符号の説明】
【0067】
11…印刷指示受付部、12…文書PDL生成部、13…コード画像生成部、14…オブジェクト情報取得部、15…登録部、16…出力用PDL生成部、21…画像読取部、22…ドット配列生成部、23…ブロック検出部、24…同期符号検出部、25…回転判定部、26…符号配列回転部、30…識別符号検出部、32…識別符号復号部、33…識別符号誤り検出部、34…識別符号誤り訂正部、40…X座標符号検出部、42…X座標符号復号部、43…X座標符号誤り検出部、44…X座標符号誤り訂正部、45…Y座標符号検出部、47…Y座標符号復号部、48…Y座標符号誤り検出部、49…Y座標符号誤り訂正部、50…オブジェクト情報検出部、52…送信部、100…画像処理装置、200…文書リポジトリ、400…画像形成装置、500…印刷物、600…ペンデバイス、700…端末装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に印刷すべき電子文書から所定のマクロまたはスクリプトに関するオブジェクト情報を取得するオブジェクト情報取得手段と、
前記媒体の識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記媒体内の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記オブジェクト情報を前記識別情報と前記位置情報とを用いて特定するための管理情報を登録する登録手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記電子文書を取得する文書取得手段と、
前記電子文書の画像と、前記識別情報の画像および前記位置情報の画像との重畳画像の印刷を印刷機構に指示する指示手段とを更に有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記登録手段は、前記媒体の識別情報と前記媒体内の位置情報と前記オブジェクト情報との対応情報を、前記管理情報として登録することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記登録手段は、前記電子文書の識別情報を更に前記管理情報として登録することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記オブジェクト情報は、前記所定のマクロまたはスクリプトに関する識別情報であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
媒体の識別情報および媒体上の位置を示す座標情報を表す画像が印刷された当該媒体から読み取られた当該画像を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記画像から前記媒体の識別情報および前記媒体上の位置を示す座標情報を検出する情報検出手段と、
前記情報検出手段により検出された前記媒体の識別情報および前記媒体上の位置を示す座標情報から、所定のマクロまたはスクリプトに関するオブジェクト情報を検出するオブジェクト情報検出手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
前記オブジェクト情報検出手段は、前記媒体の識別情報と前記媒体上の位置を示す座標情報と前記オブジェクト情報とが含まれる管理情報により当該オブジェクト情報を検出することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記オブジェクト情報に対応するアプリケーションプログラムに、当該オブジェクト情報を送信する送信手段を更に有することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項9】
コンピュータに、
媒体に印刷すべき電子文書から所定のマクロまたはスクリプトに関するオブジェクト情報を取得する機能と、
前記媒体の識別情報を取得する機能と、
前記媒体内の位置情報を取得する機能と、
前記オブジェクト情報を前記識別情報と前記位置情報とを用いて特定するための管理情報を登録する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
媒体の識別情報および媒体上の位置を示す座標情報を表す画像が印刷された当該媒体から読み取られた当該画像を取得する機能と、
前記画像から前記媒体の識別情報および前記媒体上の位置を示す座標情報を検出する機能と、
前記媒体の識別情報および前記媒体上の位置を示す座標情報から、所定のマクロまたはスクリプトに関するオブジェクト情報を検出する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項1】
媒体に印刷すべき電子文書から所定のマクロまたはスクリプトに関するオブジェクト情報を取得するオブジェクト情報取得手段と、
前記媒体の識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記媒体内の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記オブジェクト情報を前記識別情報と前記位置情報とを用いて特定するための管理情報を登録する登録手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記電子文書を取得する文書取得手段と、
前記電子文書の画像と、前記識別情報の画像および前記位置情報の画像との重畳画像の印刷を印刷機構に指示する指示手段とを更に有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記登録手段は、前記媒体の識別情報と前記媒体内の位置情報と前記オブジェクト情報との対応情報を、前記管理情報として登録することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記登録手段は、前記電子文書の識別情報を更に前記管理情報として登録することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記オブジェクト情報は、前記所定のマクロまたはスクリプトに関する識別情報であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
媒体の識別情報および媒体上の位置を示す座標情報を表す画像が印刷された当該媒体から読み取られた当該画像を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記画像から前記媒体の識別情報および前記媒体上の位置を示す座標情報を検出する情報検出手段と、
前記情報検出手段により検出された前記媒体の識別情報および前記媒体上の位置を示す座標情報から、所定のマクロまたはスクリプトに関するオブジェクト情報を検出するオブジェクト情報検出手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
前記オブジェクト情報検出手段は、前記媒体の識別情報と前記媒体上の位置を示す座標情報と前記オブジェクト情報とが含まれる管理情報により当該オブジェクト情報を検出することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記オブジェクト情報に対応するアプリケーションプログラムに、当該オブジェクト情報を送信する送信手段を更に有することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項9】
コンピュータに、
媒体に印刷すべき電子文書から所定のマクロまたはスクリプトに関するオブジェクト情報を取得する機能と、
前記媒体の識別情報を取得する機能と、
前記媒体内の位置情報を取得する機能と、
前記オブジェクト情報を前記識別情報と前記位置情報とを用いて特定するための管理情報を登録する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
媒体の識別情報および媒体上の位置を示す座標情報を表す画像が印刷された当該媒体から読み取られた当該画像を取得する機能と、
前記画像から前記媒体の識別情報および前記媒体上の位置を示す座標情報を検出する機能と、
前記媒体の識別情報および前記媒体上の位置を示す座標情報から、所定のマクロまたはスクリプトに関するオブジェクト情報を検出する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−182823(P2009−182823A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21186(P2008−21186)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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