説明

画像処理装置及び情報処理装置

【課題】設定変更に伴う意図しない印刷実行を解消することが可能な画像処理装置を提供する。
【解決手段】本発明の画像処理装置は、ユーザーによる操作を受け付ける操作パネル部150と、前記操作パネル部150からの操作に基づいて設定情報の変更を行う設定記憶部111と、ユーザーが前回印刷したときの前記設定記憶部における設定情報をユーザー毎に管理するユーザー情報管理部170と、前記設定記憶部111における設定情報と、前記ユーザー情報管理部170が管理する前回の設定情報との間に差分が存在するかを特定する差分特定部と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作パネルやネットワーク接続されたパーソナルコンピュータからのコマンドに基づいて、画像形成する用紙サイズなどの設定を変更することができる画像処理装置及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタやファクシミリ或いはコピー機などの画像処理装置においては、プリントするときの用紙サイズや給紙するための用紙カセットなどの設定を、ユーザーが選択し設定することができるように構成される。このような設定は、画像処理装置に設けられる操作パネルから行い得るように構成されるが、さらに近年では、画像処理装置とネットワークなどを介して接続されるホスト装置からも行い得るように構成されることが一般的となってきた。例えば、特許文献1(特開2001−5625号公報)には、画像形成装置の所定の設定値の変更許可を要求する変更許可要求コマンドを所定の入力元から入力する第1入力手段と、前記入力手段で入力した変更許可要求コマンドに対応して、変更許可データを前記所定の入力元へ返信する返信手段と、が設けられた画像形成装置が開示されている。
【特許文献1】特開2001−5625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載されているような画像処理装置においては、最後に変更を行った設定が随時更新される方式であるために、あるユーザーが印刷する際に、前回印刷時の設定と同じ設定であるものとして印刷ジョブを投入した場合、当該ユーザーが知らない間に他のユーザーによって設定が変更されていると、設定変更に伴い意図しない印刷が実行されてしまう、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記のような問題を解決するために、本発明に係る画像処理装置は、ユーザーによる操作を受け付ける操作パネル部と、前記操作パネル部からの操作に基づいて設定情報の変更を行う設定記憶部と、ユーザーが前回印刷したときの前記設定記憶部における設定情報をユーザー毎に管理するユーザー情報管理部と、前記設定記憶部における設定情報と、前記ユーザー情報管理部が管理する前回の設定情報との間に差分が存在するかを特定する差分特定部と、を有することを特徴とする。
【0005】
また、本発明に係る画像処理装置は、前記差分特定部で差分の存在が特定されたときにユーザーに通知を行う通知部を有することを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る画像処理装置は、前記通知部が現在の前記設定記憶部における設定情報を通知することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る画像処理装置は、前記通知部が現在の前記設定記憶部における設定情報と前記ユーザー情報管理部が管理する前回の設定情報を通知することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る画像処理装置は、前記通知部が現在の前記設定記憶部における設定情報と前記ユーザー情報管理部が管理する前回の設定情報との差分情報を通知することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る情報処理装置は、画像処理装置から現在の設定情報を取得する現在
設定情報取得部と、前回印刷したときの前記画像処理装置における設定情報を記憶する前回設定情報記憶部と、前記現在設定情報取得部によって取得した設定情報と、前記前回設定情報記憶部が記憶する前回の設定情報との間に差分が存在するかを特定する差分特定部と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る情報処理装置は、前記差分特定部で差分の存在が特定されたときにユーザーに通知を行う通知部と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る情報処理装置は、前記通知部が、前記現在設定情報取得部が取得した現在の設定情報と前記前回設定情報記憶部が記憶する前回の設定情報との差分情報を通知することを特徴とする。
【0012】
以上、本発明の画像処理装置及び情報処理装置によれば、差分特定部が現在の設定情報と、前回の設定情報との間に差分が存在するかを特定するので、ユーザーが知らない間に他のユーザーによって設定が変更されていても、設定変更に伴う意図しない印刷実行を解消することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置(複合機)及びその周辺のシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像処理装置の操作パネル部のハードウエア構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像処理装置における設定項目の概略を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像処理装置のユーザー情報管理部170に登録するデータの構造の一例を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像処理装置のユーザー情報管理部170に登録するデータの構造の一例を説明する図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像処理装置の差分特定処理のフローチャートを示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像処理装置の通知処理における種々の態様を説明する図である。
【図8】本発明の実施形態に係る情報処理装置の通知受信時動作を模式的に示す図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る画像処理装置(複合機)及びその周辺のシステム構成を示す図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る情報処理装置で動作する設定管理部220の機能ブロック図である。
【図11】本発明の他の実施形態における画像処理装置と情報処理装置との間の処理の概要を説明する図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る画像処理装置(複合機)及びその周辺のシステム構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態においては画像処理装置として複合機を例にとり説明するが、本発明はこのような複合機に限らず、プリンタ、スキャナなどの画像処理装置にも適用可能なものである。
【0015】
図1は本発明の実施形態に係る画像処理装置(複合機)及びその周辺のシステム構成を示す図である。図1において、10はLAN、WANなどのネットワーク、20は電話回
線、100は複合機、110は複合機の主制御を行う制御部、111は装置の所定状態を記憶する設定記憶部、120はファクシミリ文書の送受信を行うファクシミリ部、130は記録媒体への印刷を行うプリンタ部、140は原稿の読み取りを行うスキャナ部、150はユーザーとのインターフェイスとなる操作パネル部、160は通信部、170はユーザー情報管理部、200、200'、200''、200'''、・・・はパーソナルコンピュータ(情報処理装置)をそれぞれ示している。なお、本明細書においては、ファクシミリ部120、プリンタ部130、スキャナ部140、操作パネル部150それぞれをデバイスなどと称することもある。
【0016】
図1に示されるファクシミリ装置(複合機)周辺のシステムでは、クライアントなどのパーソナルコンピュータ200、200'、200''、200'''、・・・と複合機100とがネットワーク10を介して接続される構成となっている。また、複合機100のファクシミリ部120が電話回線20と接続されるような構成とされている。
【0017】
複合機100は、情報処理装置からなる複合機本体の主制御を行う制御部110と、ユーザーの入力操作を受け付ける入出力装置である操作パネル部150と、原稿・画像をスキャンしてカラーで読み込むスキャナ部140と、印刷用紙等に印刷を行うプリンタ部130と、ファクシミリ送受信を行うファクシミリ部120とを備える。つまり、複合機100は、スキャナ機能、印刷機能、スキャナ機能と印刷機能を組み合わせたコピー機能及びファクシミリ送受信機能を備えるものである。
【0018】
複合機100の情報処理機構は、いずれも例えば汎用的なコンピュータシステムにより構成され、個々の構成要素または機能は、例えば、記憶手段に書き込まれたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0019】
スキャナ部140は、原稿を載置可能な不図示の原稿台とこれを読み取る光学系からなる。スキャナ部140の原稿台には、原稿台に載置した原稿のサイズを検知することができる原稿サイズ検知センサが設けられている。また、複合機100には、スキャナ部140に自動的に連続的に原稿を送致する構成であるADF(Automatic Document Feeder)を設けるようにしておいてもよい。
【0020】
スキャナ部140によって読み取られた制御部110の不図示の記憶手段に一度取り込まれる。操作パネル部150などからの指定によって制御部110は、スキャナ部140で読み取られた原稿画像データを、そのまま、或いは設定された倍率でプリンタ部130から紙出力したり(複合機100のコピー機能)、ファクシミリ部120から電話回線を通じて送信したり(複合機100のファクシミリ機能)、通信部160、ネットワーク10を介して、パーソナルコンピュータ200、200'、200''、200'''、・・・に向けて送信したり(複合機100のスキャナ機能)する。
【0021】
コピー機能を利用するときの複合機100のモードを「コピーモード」と定義し、ファクシミリ機能のうちファクシミリ送信機能を利用するときの複合機100のモードを「ファクシミリ送信モード」と定義し、スキャナ機能を利用するときの複合機100のモードを「スキャンモード」と定義する。
【0022】
プリンタ部130は、記録用紙上に画像を形成するものであり、レーザーやLEDラインヘッドによって感光体上に潜像を形成する方式を採用した電子写真方式や、記録用紙上に直接インクを射出する方式を採用したインクジェット方式などの周知のハードウエア構成を用いることができる。制御部110は、操作パネル部150やパーソナルコンピュータ200、200'、200''、200'''、・・・からの指示に基づいて、プリンタ部130に所定の紙出力を行わせるものである。すなわち、プリンタ部130は、スキャナ部
140によって読み取られた画像データやファクシミリ部210で受信されたファクシミリデータや、パーソナルコンピュータ200、200'、200''、200'''、・・・上で動作するアプリケーションソフトウエアからのデータなどを紙出力するものである。
【0023】
ファクシミリ部120は、電話回線20と接続されていて、ファクシミリの送受信を行うファクシミリ送受信部(不図示)と、ファクシミリ送受信部が送信するための送信データを一時記憶する送信バッファ及びファクシミリ送受信部が受信した受信データを一時記憶する受信バッファを構成するためのファクシミリ部用のメモリを備えている。
【0024】
また、ファクシミリ部120は、電話回線20からファクシミリ送信されてきたデータを受信すると、その受信データを一旦格納する。そして、格納された受信データは、制御部110へ送られて、プリンタ部130で印刷される。ファクシミリ部120は、複合機100内の他の構成とは独立にファクシミリ送受信を行う。つまり、ファクシミリ部120は、複合機100から送信データを受け付けると、複合機100とは独立にファクシミリ送信を行うし、電話回線20からファクシミリデータが送信されてくれば、それを受信する。
【0025】
複合機100のコピー機能は、ユーザーの操作パネル部150の操作によって制御部110に設定される。操作パネル部150からは、コピー機能に係るコピー倍率の設定、原稿画像サイズの設定、出力用紙のサイズの設定を行うことができ、制御部110はこれらの設定に基づいて、複合機100のコピー機能を実行する。複合機100のコピー機能は、スキャナ部140にて読み取った原稿の原稿画像データに、コピー倍率処理を施し、これをプリンタ部130で指定されたサイズの用紙に紙出力する。
【0026】
操作パネル部150のハードウエアは、操作に係わる表示を行うLCDからなる表示部151と、指などによる押圧で入力が行えるボタンスイッチ152、十字キー153とから概略構成され、ユーザーは表示部151の表示を参照してこれらのボタンスイッチ152、十字キー153を操作することで複合機100の各種設定を行うことができるようになっている。図2は本発明の実施形態に係る画像処理装置の操作パネル部のハードウエア構成を示す図である。ボタンスイッチ152は、表示部151の最下段の表示事項に対する入力を行うものである。例えば、図2ではF1のボタンスイッチ152を押下することで、「用紙」に関する入力を行うことができる。また、十字キー153は、表示部151中のカーソルの移動などを行うための4方向の入力キーと、入力事項の確定のために用いるOKキーとから構成されている。
【0027】
この操作パネル部150で行うことができるのは、複合機100のファクシミリ機能、プリンタ機能、コピー機能といった各種機能の選択や、装置の設定などである。ここで、装置の設定変更についてより具体的に説明する。一般的には複合機100には、給紙部として複数の用紙カセット(不図示)などが設けられており、この用紙カセットに異なるサイズの用紙をセットすることができたりする。また、同じサイズの用紙でも給紙する方向を変えたりすることができる。装置の設定を行う、とは、例えば、プリント部130で用いる用紙カセットや用紙サイズなどといった事項を設定することである。なお、本発明の画像処理装置においては、装置の設定事項にはこれらに限らず種々のものが含まれる。例えば、紙の種類に合わせた読み取りの設定や、紙の種類に合わせた印刷の設定、或いは、それぞれの装置固有のバラツキを補正する微調整設定などといった設定事項も含まれる。図3は本発明の実施形態に係る画像処理装置における設定項目の概略を示す図である。また、このような設定事項は、制御部110の設定記憶部111に設定情報として記憶されるようになっている。
【0028】
以上のような画像処理装置の設定の変更については、操作パネル部150からのユーザ
ー入力に伴い、制御部110に対してコマンドが発効され、設定記憶部111の設定情報が変更されるようになっている。また、このような操作パネル部150からのユーザー入力とは別に、通信部160を介して、パーソナルコンピュータ200、200'、200''、200'''、・・・から発効されるコマンドが制御部110に入力され、設定記憶部111の設定情報が変更されるようにもなっている。すなわち、設定記憶部111の設定情報が変更は、操作パネル部150から、又は、パーソナルコンピュータ200、200'
、200''から行い得るようになっている。複合機100では、最後に行われた設定記憶部111の変更による設定が反映される方式が採られている。
【0029】
ユーザー情報管理部170は、登録されているユーザーの複合機100の利用履歴データの一部を管理するものである。図4は本発明の実施形態に係る画像処理装置のユーザー情報管理部170に登録するデータの構造の一例を説明する図である。図4はネットワーク10を介して複合機100に接続された各パーソナルコンピュータ200、200'、
200''、200'''、・・・を利用する各ユーザーに関する情報が記憶されるユーザー
別使用履歴データテーブルである。このようなユーザー別使用履歴データテーブルには、例えば「ID」、「ユーザー名」、「最終使用日時」(「前回使用日時」)、「設定記憶部の設定情報」、「アドレス情報」などの項目のデータを記憶する。「ID」はユーザー別使用履歴データテーブルで管理する際の通し番号に係るデータであり、「ユーザー名」は登録されたユーザーネームに関するデータであり、「最新使用日時」(「前回使用日時」)は当該ユーザーが複合機100を最後に利用したときの日時に係るデータであり、「設定記憶部の設定情報」は最新使用日時(前回使用日時)における設定記憶部100の設定情報であり、「アドレス情報」はユーザーが利用しているパーソナルコンピュータのアドレス情報(IPアドレス、MACアドレスなど)である。本実施形態では、このようなユーザー別使用履歴データテーブルによって、各ユーザーが複合機100を最後に利用したときの設定情報を記憶するようにしている。
【0030】
なお、ユーザー情報管理部170による利用履歴の記憶形式は図4に示すような形態の他に図5に示すような形態でも構わない。図5(A)はユーザー別使用履歴データテーブルを示す図であり、この例ではこのテーブルによって「ID」、「ユーザー名」、「最終使用日時」(「前回使用日時」)、「アドレス情報」を管理する。一方、図5(B)は設定記憶部111における設定の変遷を記憶しておくテーブル(設定情報変遷データテーブル)である。このテーブルによって設定記憶部111の設定が更新された履歴を記憶保持しておく。そして、図5(A)及び図5(B)の両テーブルを用いて、各ユーザーが複合機100を最後に利用したときの設定情報を求めるようにする。ユーザー情報管理部170による利用履歴の記憶形式としてはこのような形式の態様を用いても構わない。
【0031】
次に、以上のように構成される画像処理装置における制御処理についてより詳しく説明する。図6は本発明の実施形態に係る画像処理装置の差分特定処理のフローチャートを示す図である。このようなフローチャートによる処理は、パーソナルコンピュータから複合機100に印刷要求がだされたとき、或いは、パーソナルコンピュータから複合機100に設定情報に係るクエリーがだされたときなどに起動されるものである。
【0032】
図6において、ステップS100で、処理が開始されると、続いてステップS101に進み、通信部160から送信元のパーソナルコンピュータのアドレス情報が取得される。次のステップS102では、ユーザー情報管理部170から最新使用日時(前回使用時)における設定記憶部111の設定情報が取得される。そして、ステップS103では、現在の設定記憶部111の設定情報が取得される。
【0033】
続くステップS104では、ユーザー情報管理部170から取得された最新使用日時(前回使用時)の設定情報と、設定記憶部111から取得された現在の設定情報との間に差
分が存在するか否かが判定される。ステップS104における判定がNOであれば、ステップS106に進み処理を終了し、YESであれば、ステップS105に進み、送信元のパーソナルコンピュータに通知を行う。
【0034】
ここでステップS105における通知処理の方式のバリエーションについて図7を参照して説明する。図7は本発明の実施形態に係る画像処理装置の通知処理における種々の態様を説明する図である。図7(A)乃至図7(C)のいずれも送信されるデータの形式を簡略的に示したものであり、図7(A)は現在の設定情報のみを送信する方式を示しており、図7(B)は前回の設定情報と現在の設定情報の双方を送信する方式を示しており、図7(C)は前回の設定情報と現在の設定情報と差分情報を送信する方式を示している。このように複合機100から、パーソナルコンピュータ(情報処理装置)側に通知する方式については種々の態様が存在する。
【0035】
次に、複合機100からの通知を、各パーソナルコンピュータ(情報処理装置)が受信したときの処理動作について説明する。図8は本発明の実施形態に係る情報処理装置の通知受信時動作を模式的に示す図である。図8において、210はドライバソフトウエアを示している。ドライバソフトウエア210はパーソナルコンピュータ上で動作する、パーソナルコンピュータから複合機100を利用する際に用いるソフトウエアである。パーソナルコンピュータ(情報処理装置)では、複合機100からの通知を受信すると、このドライバソフトウエア210がパーソナルコンピュータの表示部(不図示)にメッセージ表示を行い、ユーザーへの報知を行うようになっている。このときのメッセージの例が図8に示されるものである。図8に示すように、本発明では、表示部にウインドウ表示で「現在の複合機の設定は、前回印刷したときの設定と異なります。印刷を継続しますか。」のメッセージを表示すると共に、「詳細」、「はい」、「いいえ」、「キャンセル」などのポインティングデバイスで選択可能なボタンを配するようにしている。
【0036】
以上のように、本発明の画像処理装置によれば、図6のフローチャートに示す処理により、現在の設定情報と、前回の設定情報との間に差分が存在するかを特定するので、ユーザーが知らない間に他のユーザーによって画像処理装置の設定が変更されていても、設定変更に伴う意図しない印刷実行を解消することが可能となる。
【0037】
次に本発明の他の実施形態について説明する。図9は本発明の他の実施形態に係る画像処理装置(複合機)及びその周辺のシステム構成を示す図である。先の実施形態においては、現在設定情報と前回設定情報とを複合機100側で管理するようにしていたが、本実施形態においては、現在設定情報と前回設定情報とをパーソナルコンピュータ(情報処理装置)側で管理するようにしたものである。パーソナルコンピュータ(情報処理装置)で現在設定情報と前回設定情報とを管理するために、各パーソナルコンピュータにはドライバソフトウエア210上で動作する設定管理部220が設けられている。図10は本発明の他の実施形態に係る情報処理装置で動作する設定管理部220の機能ブロック図である。図10において、220は設定管理部、221は現在設定情報取得部、222は前回設定情報記憶部、223は差分特定部、224は通知部をそれぞれ示している。設定管理部220は、現在設定情報取得部221、前回設定情報記憶部222、差分特定部223、通知部224の各機能ブロックを有しており、現在設定情報取得部221によって複合機100の設定記憶部111の現在の設定情報を取得し、前回設定情報記憶部222によって当該パーソナルコンピュータが複合機100を最後に利用したとき(前回利用時)の設定記憶部111の設定情報を記憶し、差分特定部223によって、現在の設定情報と前回の設定情報との差分を特定し、通知部224によって特定された差分を、図8などに示すような形式でユーザーに通知する。
【0038】
次に、以上のような構成にパーソナルコンピュータ(情報処理装置)の処理動作につい
てより詳細に説明する。図11は本発明の他の実施形態における画像処理装置と情報処理装置との間の処理の概要を説明する図である。
図11において、ステップS200で、パーソナルコンピュータ200で現在設定情報取得部221が動作し、パーソナルコンピュータ200側から複合機100側に設定情報通知要求が発せられると、次のステップS201では、複合機100側からパーソナルコンピュータ200側に対して、現在の設定記憶部111に設定さている設定情報が通知される。
【0039】
パーソナルコンピュータ200では、このようにして現在設定情報取得部221が現在の設定情報を取得すると、ステップS202において、前回設定情報記憶部222に記憶されている前回印刷時の設定情報と比較が実行される。そして、続くステップS203では、現在の設定情報と前回の設定情報との間に差分が存在するか否かが差分特定部223によって判定される。ステップS203の判定結果がYESであるときには、ステップS204で印刷実行の要求が複合機100側に発せられ、これを受けた複合機100はステップS209で印刷処理を実行する。一方、ステップS203の判定結果がNOであるときにはステップS205では、現在の設定情報と前回の設定情報との間に差分が存在する旨を通知部224によってユーザーに通知する。このような通知は、例えば図8などに示すようなインターフェイスを用いることができる。
【0040】
ステップS206では、ユーザーからの指示が印刷実行(「はい」のボタンの押下)であるか否かが判定される。ステップS206における判定がYESであるときには、ステップS207で印刷実行の要求が複合機100側に発せられ、これを受けた複合機100はステップS209で印刷処理を実行する。一方、ステップS206における判定がYESであるときには、ステップS208で処理を終了する。
【0041】
複合機100側では、ステップS209で印刷処理が実行されると、続いてステップS210において、設定記憶部111で記憶している設定情報をパーソナルコンピュータ200側に通知する。これを受けたパーソナルコンピュータ200側では、ステップS211において、設定管理部220の前回設定情報記憶部222に記憶(更新記憶)する。
【0042】
以上のように、本発明のパーソナルコンピュータ(情報処理装置)によれば、図11のフローチャートに示す処理により、現在の設定情報と、前回の設定情報との間に差分が存在するかを特定するので、ユーザーが知らない間に他のユーザーによって画像処理装置の設定が変更されていても、設定変更に伴う意図しない印刷実行を解消することが可能となるのである。
【0043】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図12は本発明の他の実施形態に係る画像処理装置(複合機)及びその周辺のシステム構成を示す図である。本実施形態は管理用サーバー300(情報処理装置)が導入され、この管理用サーバー300によって複合機100が管理される態様である。図12において、300は管理用サーバー、310は管理用ソフトウエア、320はユーザー別設定管理部、321は現在設定情報取得部、322は前回設定情報記憶部、323は差分特定部、324は通知部をそれぞれ示している。
【0044】
上記のような管理用サーバー300がネットワーク10上に導入される構成では、各パーソナルコンピュータ200、200'、200''、200'''、・・・からの印刷ジョブデータはいったん管理用サーバー300に蓄積された上で複合機100に送信されるようになっている。そこで、本実施形態では、複合機の設定記憶部111の設定情報をこの管理用サーバー300で行うようにする。このために管理用ソフトウエア310には、各パーソナルコンピュータ200、200'、200''、200'''、・・・のユーザー毎の使
用履歴情報を管理するユーザー別設定管理部320が設けられている。このユーザー別設定管理部320は、先の設定管理部220と類似の動作をするものである。ただ、この実施形態におけるユーザー別設定管理部320はユーザー毎の管理を行う点、ネットワーク10を介してパーソナルコンピュータに通知を行う点が相違しているが、概念としては先の実施形態と同様のものである。
【0045】
このような管理用サーバー300(情報処理装置)が導入された実施形態によっても先の実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0046】
なお、本明細書においては、種々の実施の形態について説明したが、それぞれの実施の形態の構成を適宜組み合わせて構成された実施形態も本発明の範疇となるものである。
【符号の説明】
【0047】
10・・・ネットワーク、20・・・電話回線、100・・・複合機、110・・・制御部、111・・・設定記憶部、120・・・ファクシミリ部、130・・・プリンタ部、140・・・スキャナ部、150・・・操作パネル部、151・・・表示部、152・・・ボタンスイッチ、153・・・十字キー、160・・・通信部、170・・・ユーザー情報管理部、200、200'、200''、200'''、・・・・パーソナルコンピュータ(情報処理装置)、210・・・ドライバソフトウエア、220・・・設定管理部、221・・・現在設定情報取得部、222・・・前回設定情報記憶部、223・・・差分特定部、224・・・通知部、300・・・管理用サーバー、310・・・管理用ソフトウエア、320・・・ユーザー別設定管理部、321・・・現在設定情報取得部、322・・・前回設定情報記憶部、323・・・差分特定部、324・・・通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーによる操作を受け付ける操作パネル部と、
前記操作パネル部からの操作に基づいて設定情報の変更を行う設定記憶部と、
ユーザーが前回印刷したときの前記設定記憶部における設定情報をユーザー毎に管理するユーザー情報管理部と、
前記設定記憶部における設定情報と、前記ユーザー情報管理部が管理する前回の設定情報との間に差分が存在するかを特定する差分特定部と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記差分特定部で差分の存在が特定されたときにユーザーに通知を行う通知部を有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記通知部が現在の前記設定記憶部における設定情報を通知することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記通知部が現在の前記設定記憶部における設定情報と前記ユーザー情報管理部が管理する前回の設定情報を通知することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記通知部が現在の前記設定記憶部における設定情報と前記ユーザー情報管理部が管理する前回の設定情報との差分情報を通知することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像処理装置から現在の設定情報を取得する現在設定情報取得部と、
前回印刷したときの前記画像処理装置における設定情報を記憶する前回設定情報記憶部と、
前記現在設定情報取得部によって取得した設定情報と、前記前回設定情報記憶部が記憶する前回の設定情報との間に差分が存在するかを特定する差分特定部と、を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
前記差分特定部で差分の存在が特定されたときにユーザーに通知を行う通知部を有することを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記通知部が、前記現在設定情報取得部が取得した現在の設定情報と前記前回設定情報記憶部が記憶する前回の設定情報との差分情報を通知することを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−211585(P2010−211585A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57789(P2009−57789)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】