説明

画像処理装置及び画像処理プログラム

【課題】簡易に異常な原稿を除外することのできる画像処理装置及び画像処理プログラムを得る。
【解決手段】画像処理装置20により、画像読取装置30により取得された追記前画像データ及び追記後画像データに基づいて、各原稿の画像の予め定められた特徴を有する特徴領域を抽出した後、当該特徴領域から予め定められた特徴量を導出し、各原稿の画像の間で前記特徴量の類似度が所定度合以上である前記特徴領域を特定し、追記前画像データ及び追記後画像データの少なくとも一方に対して各原稿の画像全体における位置合わせ処理を実行するに当たり、抽出した追記前原稿及び追記後原稿の各画像における特徴領域の数、特定した特徴領域の数、及び位置合わせ処理の対象とされる追記前原稿の画像と追記後原稿の画像との間の位置ずれを示す物理量の少なくとも1つに基づいて、追記前原稿及び追記後原稿の少なくとも一方の異常の有無を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帳票等の予め定められた原稿に対する追記箇所を特定するための技術として、特許文献1及び特許文献2には、追記前画像と追記後画像の位置合わせを行った後、追記前画像データと追記後画像データの単色化・二値化を行い、これによって得られた追記後画像データと追記前画像データとの間で所定演算を行うことにより追記箇所を抽出する技術が開示されている。
【0003】
また、特許文献3には、分割位置情報をバーコードに格納して印刷文書に付加し、それを元に領域分割及び位置合わせを実施して、差分を抽出することにより追記箇所を抽出する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献4には、追記前後の画像を所定個数に分割し、各分割領域毎に画像の位置合わせを行った後、追記前画像を膨張させて、追記前画像データと追記後画像データの各画素単位で排他的論理和を算出することにより追記箇所を抽出する技術が開示されている。
【0005】
更に、特許文献5には、追記前文書の画像と追記後文書の画像とを取得し、両画像の位置合わせを行い、両画像を格子状の小領域に分割して各分割領域毎に黒字率、画像濃度の総和、及び色毎の濃度の総和を比較し、これによって追記がある分割領域を特定して、当該追記がある分割領域毎に両画像の再位置合わせ(微調整)を行い、当該微調整後の分割領域において、追記後画像から追記前画像を差し引くことにより追記画像を抽出する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−080601号公報
【特許文献2】特開2004−240598号公報
【特許文献3】特開2003−018393号公報
【特許文献4】特開2004−341914号公報
【特許文献5】特開2004−213230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような技術背景においてなされたものであり、簡易に異常な原稿を除外することのできる画像処理装置及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の画像処理装置は、修正が行われる前の原稿である第1原稿の画像を示す第1画像情報、及び修正が行われた後の前記原稿である第2原稿の画像を示す第2画像情報を取得する取得手段と、前記第1画像情報及び前記第2画像情報に基づいて、前記第1原稿の画像及び前記第2原稿の画像における予め定められた特徴を有する特徴領域を抽出する抽出手段と、前記第1画像情報及び前記第2画像情報に基づいて、前記第1原稿の画像及び前記第2原稿の画像における前記特徴領域から予め定められた特徴量を導出する導出手段と、前記第1原稿の画像及び前記第2原稿の画像の間で前記特徴量の類似度が所定度合以上である前記特徴領域を特定する特定手段と、前記特定手段による特定結果に基づいて、前記第1画像情報及び前記第2画像情報の少なくとも一方に対して前記第1原稿の画像と前記第2原稿の画像の画像全体における位置合わせ処理を実行する位置合わせ手段と、前記抽出手段によって抽出された前記第1原稿の画像における特徴領域の数、前記抽出手段によって抽出された前記第2原稿の画像における特徴領域の数、前記特定手段によって特定された特徴領域の数、及び前記位置合わせ手段による位置合わせ処理の対象とされる前記第1原稿の画像と前記第2原稿の画像との間の位置ずれを示す物理量の少なくとも1つに基づいて、前記第1原稿及び前記第2原稿の少なくとも一方の異常の有無を判定する判定手段と、前記判定手段により異常があると判定された場合に当該異常によって生じる不具合の発生を防止するものとして予め定められた処理を実行する実行手段と、を備えている。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記判定手段が、前記第1原稿の画像における特徴領域の数、前記第2原稿の画像における特徴領域の数、前記特定手段によって特定された特徴領域の数、及び前記物理量の少なくとも1つが、各々に対応するものとして予め定められた範囲内であるか否かを判定することにより前記異常の有無を判定し、前記実行手段が、前記判定手段により異常があると判定された場合に、当該異常があることを提示する処理を前記予め定められた処理として実行するものである。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記導出手段により導出された前記第1原稿の画像と前記第2原稿の画像の何れか一方の画像の特徴量を、当該画像を90度、180度、及び270度の3種類の角度で回転させた場合の各々の特徴量に変換する変換手段を更に備え、前記特定手段が、前記導出手段によって導出された前記一方の画像の特徴量及び前記変換手段によって得られた3種類の特徴量の各特徴量と、他方の画像の特徴量との間の類似度が所定度合以上である前記特徴領域を特定し、前記判定手段が、前記特定手段によって特定された前記一方の画像及び前記他方の画像の組み合わせ毎の特徴領域の数の最大値が所定数以上であるか否かを判定することにより前記異常の有無を判定し、前記実行手段が、前記判定手段により異常があると判定された場合に、当該異常があることを提示する処理を前記予め定められた処理として実行し、前記判定手段により異常がないと判定された場合に、前記位置合わせ手段による位置合わせ処理を実行させる処理を前記予め定められた処理として実行するものである。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記判定手段が、前記特定手段によって特定された特徴領域の数が所定数以上であるか否かを判定することにより前記異常の有無を判定し、前記実行手段が、前記判定手段により異常があると判定された場合に、前記第1原稿の画像及び前記第2原稿の画像の少なくとも一方を所定角度だけ回転させた状態として、再度前記特定手段及び前記判定手段による処理を実行させる処理を前記予め定められた処理として実行し、前記判定手段により異常がないと判定された場合に、前記位置合わせ手段による位置合わせ処理を実行させる処理を前記予め定められた処理として実行するものである。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1原稿及び前記第2原稿の少なくとも一方が、候補となる複数の原稿が存在するものであり、前記判定手段が、前記第1原稿の画像における特徴領域の数、前記第2原稿の画像における特徴領域の数、前記特定手段によって特定された特徴領域の数、及び前記物理量の少なくとも1つが、各々に対応するものとして予め定められた範囲内であるか否かを判定することにより前記異常の有無を判定し、前記実行手段が、前記判定手段により異常があると判定された場合に、前記複数の原稿の残りの原稿の何れかを適用して、前記取得手段、前記抽出手段、前記導出手段、前記特定手段、及び前記判定手段による処理を再度実行させる処理を前記予め定められた処理として実行し、前記判定手段により異常がないと判定された場合に、前記位置合わせ手段による位置合わせ処理を実行させる処理を前記予め定められた処理として実行するものである。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の発明において、前記位置合わせ手段が、前記第1原稿の画像と前記第2原稿の画像のずれ量に基づいて補正係数を算出し、前記位置合わせ処理として前記補正係数を用いた前記第1画像情報及び前記第2画像情報の少なくとも一方に対する補正処理を実行するものであり、前記物理量が、前記補正係数であるものである。
【0013】
更に、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項6の何れか1項記載の発明において、前記特定手段によって特定された特徴領域の数に代えて、当該特定領域の数と、前記抽出手段によって抽出された前記第1原稿の画像又は前記第2原稿の画像における特徴領域の数との比を用いるものである。
【0014】
一方、上記目的を達成するために、請求項8に記載の画像処理プログラムは、修正が行われる前の原稿である第1原稿の画像を示す第1画像情報、及び修正が行われた後の前記原稿である第2原稿の画像を示す第2画像情報を取得する取得ステップと、前記第1画像情報及び前記第2画像情報に基づいて、前記第1原稿の画像及び前記第2原稿の画像における予め定められた特徴を有する特徴領域を抽出する抽出ステップと、前記第1画像情報及び前記第2画像情報に基づいて、前記第1原稿の画像及び前記第2原稿の画像における前記特徴領域から予め定められた特徴量を導出する導出ステップと、前記第1原稿の画像及び前記第2原稿の画像の間で前記特徴量の類似度が所定度合以上である前記特徴領域を特定する特定ステップと、前記特定ステップによる特定結果に基づいて、前記第1画像情報及び前記第2画像情報の少なくとも一方に対して前記第1原稿の画像と前記第2原稿の画像の画像全体における位置合わせ処理を実行する位置合わせステップと、前記抽出ステップによって抽出された前記第1原稿の画像における特徴領域の数、前記抽出ステップによって抽出された前記第2原稿の画像における特徴領域の数、前記特定ステップによって特定された特徴領域の数、及び前記位置合わせステップによる位置合わせ処理の対象とされる前記第1原稿の画像と前記第2原稿の画像との間の位置ずれを示す物理量の少なくとも1つに基づいて、前記第1原稿及び前記第2原稿の少なくとも一方の異常の有無を判定する判定ステップと、前記判定ステップにより異常があると判定された場合に当該異常によって生じる不具合の発生を防止するものとして予め定められた処理を実行する実行ステップと、をコンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1及び請求項8記載の発明によれば、本発明を適用しない場合に比較して、簡易に異常な原稿を除外することができる、という効果が得られる。
【0016】
また、請求項2記載の発明によれば、本発明を適用しない場合に比較して、より簡易に異常な原稿を除外することができる、という効果が得られる。
【0017】
また、請求項3記載の発明によれば、第1画像情報及び第2画像情報を取得する際に第1原稿と第2原稿との間の上下方向が90度、180度、及び270度の何れかの角度だけずれている場合でも、自動的に上記上下方向を修正した上で画像処理を実行することができる、という効果が得られる。
【0018】
また、請求項4記載の発明によれば、第1画像情報及び第2画像情報を取得する際に第1原稿と第2原稿との間の上下方向がずれている場合でも、自動的に上記上下方向を修正した上で画像処理を実行することができる、という効果が得られる。
【0019】
また、請求項5記載の発明によれば、第1原稿及び第2原稿の少なくとも一方に、候補となる複数の原稿が存在する場合でも、自動的に正しい原稿を選択的に適用して画像処理を実行することができる、という効果が得られる。
【0020】
また、請求項6記載の発明によれば、本発明の物理量として本発明の位置合わせ処理において用いられる補正係数を兼用して適用することができる結果、より簡易に異常な原稿を除外することができる、という効果が得られる。
【0021】
更に、請求項7記載の発明によれば、本発明を適用しない場合に比較して、より高精度に異常な原稿を除外することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
[第1の実施の形態]
図1には、本発明が適用された画像処理システム10の構成例が示されている。同図に示されるように、本実施の形態に係る画像処理システム10は、パーソナル・コンピュータ等の画像処理装置20と、スキャナ等の画像読取装置30とを備えている。画像処理装置20と画像読取装置30は電気的に接続されており、画像処理装置20は画像読取装置30による読み取りによって得られた画像データを画像読取装置30から取得することができる。
【0024】
本実施の形態に係る画像処理システム10は、手書きによる追記や押印等による追記が行われる前の原稿(以下、「追記前原稿」という。)と、当該追記が行われた後の原稿(以下、「追記後原稿」という。)を画像読取装置30によって読み取り、これによって得られた2つの画像データに基づき、画像処理装置20により、追記が行われた箇所を特定し、特定した箇所から追記された画像部分を検出する処理を行うものである。なお、以下では、追記前原稿の読み取りによって得られた画像データを「追記前画像データ」といい、追記後原稿の読み取りによって得られた画像データを「追記後画像データ」という。
【0025】
本実施の形態に係る画像読取装置30は、読み取りによって得る画像データを、各画素値(画素情報)が複数ビット(本実施の形態では、8ビット)で構成されるものとして取得するものとされている。また、本実施の形態に係る画像処理システム10では、画像読取装置30として、読み取り対象とする原稿の画像をR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色に分解して読み取るカラー・スキャナを適用している。なお、画像読取装置30としては、このような複数ビット構成のカラー・スキャナに限らず、複数ビット構成のモノクロ・スキャナ(所謂グレイスケール・モノクロ・スキャナ)、1ビット(2値)構成のカラー・スキャナ、1ビット構成のモノクロ・スキャナ等を適用することもできる。
【0026】
次に、図2を参照して、画像処理システム10において特に重要な役割を有する画像処理装置20の電気系の要部構成を説明する。
【0027】
同図に示すように、本実施の形態に係る画像処理装置20は、画像処理装置20全体の動作を司るCPU(中央処理装置)20Aと、CPU20Aによる各種処理プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)20Bと、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)20Cと、各種情報を記憶するために用いられる記憶手段であるハードディスク20Dと、各種情報を入力するために用いられるキーボード20Eと、各種情報を表示するために用いられるディスプレイ20Fと、外部装置との各種情報の授受を司る入出力インタフェース(I/F)20Gと、が備えられており、これら各部はシステムバスBUSにより電気的に相互に接続されている。ここで、入出力インタフェース20Gには、前述した画像読取装置30が接続されている。
【0028】
従って、CPU20Aは、RAM20B、ROM20C、及びハードディスク20Dに対するアクセス、キーボード20Eを介した各種入力情報の取得、ディスプレイ20Fに対する各種情報の表示、及び入出力インタフェース20Gを介した画像読取装置30との各種情報の授受を、各々行うことができる。
【0029】
図3は、本実施の形態に係る画像処理装置20の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
【0030】
同図に示されるように、本実施の形態に係る画像処理装置20は、第1位置合わせ部21と、第2位置合わせ部22と、追記検出部23と、記憶部24と、追記領域選択部25と、異常検出部26と、異常通知部27とを備えている。
【0031】
なお、上記第1位置合わせ部21は、追記前画像データ及び追記後画像データの少なくとも一方に対して、追記前画像データにより示される追記前画像と、追記後画像データにより示される追記後画像との間で、画像読取装置30において読み取る際の追記前原稿と追記後原稿の傾斜角の違いや、読み取り環境の違い等に起因して画像全体に対して発生する、対応する画素の位置のずれを補正する位置合わせ処理を実行する。なお、本実施の形態に係る第1位置合わせ部21では、追記前画像データ及び追記後画像データに基づいて、追記前画像及び追記後画像における予め定められた特徴(本実施の形態では、2値化画像データにおける黒画素の連結画像及び白画素の連結画像)を有する特徴領域を抽出し、追記前画像及び追記後画像の対応する特徴領域同士が重なり合うように、追記前画像データ及び追記後画像データの少なくとも一方を変換する。
【0032】
ここで、本実施の形態に係る第1位置合わせ部21では、当該変換として、追記前画像データ及び追記後画像データの何れか一方に対してアフィン変換を行うことによる変換を適用しているが、これに限らず、追記前画像データ及び追記後画像データの何れか一方に対する共一次変換、一次等角変換、二次等角変換、射影変換、拡大・縮小、回転、平行移動等の他の従来既知の変換手法を適用する形態とすることもできる。
【0033】
ところで、第1位置合わせ部21による画像の位置合わせでは、画像読取装置30による画像読み取り時においてスキャン速度のむらや、光学系のひずみ等に起因して発生する追記前画像及び追記後画像の局所的なひずみまで補正(位置合わせ)することは困難である。
【0034】
そこで、上記第2位置合わせ部22は、後述する追記領域選択部25により、第1位置合わせ部21によって抽出された特徴領域から選択された追記領域のみを対象として、追記前画像データ及び追記後画像データの少なくとも一方に対し、追記前画像及び追記後画像との間で対応する画素の位置のずれを補正する位置合わせ処理を実行する。
【0035】
なお、本実施の形態に係る第2位置合わせ部22では、パターン・マッチング処理により、対応する画素の位置ずれを極力なくすように、追記前画像データ及び追記後画像データの少なくとも一方を変換する。
【0036】
ここで、本実施の形態に係る第2位置合わせ部22では、当該変換として、追記前画像データ及び追記後画像データの対応する追記領域間の相関係数を算出し、当該相関係数が最も高くなるように追記前画像及び追記後画像の少なくとも一方を平行移動する変換を適用しているが、これに限らず、追記前画像データ及び追記後画像データの何れか一方に対するアフィン変換、共一次変換、一次等角変換、二次等角変換、射影変換、拡大・縮小、回転、平行移動等の他の従来既知の変換手法を適用する形態とすることもできる。
【0037】
一方、上記追記検出部23は、第2位置合わせ部22によって追記領域に対する位置合わせ処理が実行された、当該追記領域に対応する追記前画像データ及び追記後画像データに基づいて、追記の画像を検出し、検出結果を示す情報を記憶部24に記憶する。
【0038】
なお、本実施の形態に係る追記検出部23では、上記追記の画像の検出を、追記領域に対応する追記前画像データに対して、当該追記前画像データにより示される画像に対する予め定められたドット数(一例として、1ドット)の画像膨張処理を施した後、当該追記前画像データを、追記後画像データから、対応する画素毎で、かつR,G,Bの各々別に減算することにより行っているが、これに限らず、例えば、上記画像膨張処理を行わずに当該減算を行うことにより行う形態や、当該減算として、追記領域に対応する追記前画像データから追記後画像データを、対応する画素毎で、かつR,G,Bの各々別に減算する処理を適用する形態、二値化された追記前画像データ及び追記後画像データの対応する画素毎の差分を算出することにより行う形態等の、他の従来既知の追記検出処理を適用する形態とすることもできる。
【0039】
また、上記追記領域選択部25は、第1位置合わせ部21によって抽出された特徴領域のうち、追記が行われた特徴領域である追記領域を選択し、選択した追記領域を示す追記領域情報を第2位置合わせ部22及び追記検出部23に出力する。
【0040】
更に、上記異常検出部26は、第1位置合わせ部21によって導出された各種情報に基づいて追記前原稿及び追記後原稿の少なくとも一方に異常があるか否かを判定し、判定結果を示す情報(以下、「異常判定情報」という。)を上記異常通知部27に出力する。
【0041】
そして、当該異常通知部27は、異常検出部26から上記異常判定情報が入力されると、当該異常判定情報が、異常があることを示す場合に、当該異常があることを提示する処理を実行するものである。なお、本実施の形態に係る異常通知部27では、上記異常があることを提示する処理として、ディスプレイ20Fにより異常がある旨を示すメッセージを表示する処理を適用しているが、これに限らず、例えば、他の装置やプログラムに異常がある旨を通知する処理、音声再生装置によって異常がある旨を示す音声を発する処理等の、異常がある旨を提示する他の処理を適用することもできる。
【0042】
次に、図4を参照して、本実施の形態に係る第1位置合わせ部21の構成について説明する。
【0043】
同図に示されるように、本実施の形態に係る第1位置合わせ部21は、一対の特徴領域抽出部21A,21Bと、対応付部21Cと、補正パラメータ算出部21Dと、画像変換部21Eとを備えている。
【0044】
なお、上記特徴領域抽出部21Aは追記前画像データが、上記特徴領域抽出部21Bは追記後画像データが、各々入力されるものであり、特徴領域抽出部21A,21Bは、入力された画像データに基づいて、追記前画像及び追記後画像における前述した予め定められた特徴(本実施の形態では、2値化画像データにおける黒画素の連結画像及び白画素の連結画像)を有する特徴領域を抽出した後、当該特徴領域から予め定められた特徴量(本実施の形態では、後述する重心位置、大きさ、画素数、筆跡長(図8も参照。))を、入力された画像データに基づいて導出し、特徴領域情報として出力する。
【0045】
また、上記対応付部21Cは、追記前画像及び追記後画像の間で、特徴領域抽出部21A,21Bから出力された特徴領域情報により示される特徴量の類似度が所定度合以上である特徴領域の対を特定し、特定した特徴領域の対を対応付ける特定特徴領域情報を作成して出力する。
【0046】
また、上記補正パラメータ算出部21Dは、対応付部21Cから出力された特定特徴領域情報により示される、対応する特徴領域のずれ量に基づいて、追記前画像及び追記後画像の全体的なずれをなくするための補正係数を算出する。そして、上記画像変換部21Eは、補正パラメータ算出部21Dによって算出された補正係数を用いて、追記前画像データ又は追記後画像データ(ここでは、追記後画像データ)に対し、追記前画像及び追記後画像の全体的な位置合わせを行うための画像変換(ここでは、アフィン変換)を実行する。
【0047】
なお、アフィン変換に適用する補正係数は、幅方向移動量、縦方向移動量、回転角、及び倍率である。補正係数は、一方の画像(ここでは、追記後画像)に対して補正係数に基づく変換を実行した場合に、追記前画像及び追記後画像の対応する特徴領域の重心位置の誤差が最も小さくなる値として算出される。具体的には、例えば、最小二乗法を適用して、追記前画像及び追記後画像の対応する特徴領域の重心位置の誤差の総和が最も小さくなる補正係数として幅方向移動量、縦方向移動量、回転角、及び倍率の各値を求める。なお、最小二乗法を適用した補正係数の算出手法については、一例として特開平9−93431号公報に記載されている。
【0048】
そして、本実施の形態に係る追記領域選択部25では、特徴領域抽出部21Aから出力された追記前画像に対応する特徴領域情報、特徴領域抽出部21Bから出力された追記後画像に対応する特徴領域情報、及び対応付部21Cから出力された特定特徴領域情報に基づいて、特徴領域抽出部21A,21Bによって抽出された特徴領域のうち、特定特徴領域情報により示される特徴領域に含まれない特徴領域を追記が行われた領域である追記領域として選択し、選択した追記領域を示す追記領域情報を作成して第2位置合わせ部22及び追記検出部23に出力する。
【0049】
なお、本実施の形態に係る追記領域選択部25では、上記追記領域の選択を、特徴領域抽出部21Bによって抽出された追記後画像における特徴領域のうち、特定特徴領域情報により示される特徴領域に含まれない特徴領域を追記領域として選択することにより行っているが、これに限らず、特徴領域抽出部21Aによって抽出された追記前画像における特徴領域のうち、特定特徴領域情報により示される特徴領域に含まれない特徴領域を追記領域として選択することにより行う形態とすることもできる。
【0050】
また、本実施の形態に係る異常検出部26では、特徴領域抽出部21Aから出力された特徴領域情報、特徴領域抽出部21Bから出力された特徴領域情報、対応付部21Cから出力された特定特徴領域情報、及び補正パラメータ算出部21Dから出力された補正係数に基づいて、追記前原稿及び追記後原稿の少なくとも一方に異常があるか否かを判定し、この結果を示す異常判定情報を異常通知部27に出力する。
【0051】
なお、本実施の形態に係る異常検出部26では、特徴領域抽出部21Aから出力された特徴領域情報により示される追記前画像における特徴領域の数、特徴領域抽出部21Bから出力された追記後画像における特徴領域情報により示される特徴領域の数、対応付部21Cから出力された特定特徴領域情報により示される、特徴領域抽出部21A,21Bから出力された特徴領域情報により示される特徴量の類似度が所定度合以上である特徴領域の対の数、及び補正パラメータ算出部21Dから出力された補正係数の少なくとも1つが、各々に対応するものとして予め定められた範囲内であるか否かを判定することにより、上記異常の有無を判定するものとされている。
【0052】
次に、図5を参照して、本実施の形態に係る特徴領域抽出部21A,21Bの構成について説明する。なお、特徴領域抽出部21A及び特徴領域抽出部21Bは入力される画像データが異なるのみで同一の構成とされているため、ここでは、特徴領域抽出部21Aの構成について説明する。
【0053】
同図に示されるように、本実施の形態に係る特徴領域抽出部21Aは、前処理部40と、連結領域抽出部42と、重心算出部44と、特徴量算出部46とを備えている。
【0054】
なお、上記前処理部40は、入力された追記前画像データに対して、単色化処理及び二値化処理を実行する。ここで、上記単色化処理は、追記前画像データを輝度情報のみの画素データとする処理である。また、上記二値化処理は、単色化処理によって得られた単色画像を所定の閾値レベルで1(黒)又は0(白)の何れかの値に変換する処理である。なお、入力画像がモノクロ画像である場合は、上記単色化処理を省略することができる。
【0055】
また、上記連結領域抽出部42は、前処理部40によって二値化処理が施された追記前画像データに対して、前記特徴領域として連結領域を抽出する連結領域抽出処理を実行する。なお、上記連結領域抽出処理は、一例として特開平12−295438号公報に記載されている手法等を適用して実行することができる。ここで、連結領域(特徴領域)は二値化画像における黒画素の連続領域(黒ラン)、或いは黒画素ではない白画素の連続領域(白ラン)として抽出される。上記連結領域抽出処理は、例えば、予め抽出条件として、所定の大きさ(面積又は画素数)の範囲(最小、最大)を設定し、その範囲にある連続する同一画素値の領域等、予め定められた設定条件に基づいて実行される。
【0056】
ここで、図6を参照して、上記連結領域抽出処理によって抽出される連結領域の具体例について説明する。
【0057】
同図には、二値化処理が施された追記前画像80と追記後画像90とが示されている。これらの画像から、一定条件の下に黒画素の連続領域(黒ラン)を有する画像データや白画素の連続領域(白ラン)を有する画像データを連結領域として抽出する。同図に示す例では、追記前画像80から黒文字画像である‘A’、‘B’と白抜き文字画像である‘A’が、連結領域81〜83として抽出され、追記後画像90から黒文字画像である‘A’、‘B’と白抜き文字画像である‘A’が、連結領域91〜93として抽出された例が示されている。なお、実際の処理において抽出される連結領域のデータ数は、設計条件にもよるが、数百〜数千個単位のデータの抽出が行われる。
【0058】
更に、上記重心算出部44は、連結領域抽出部42によって抽出された連結領域(特徴領域)の重心を算出し、上記特徴量算出部46は、各連結領域の特徴量(ここでは、大きさ、画素数、筆跡長)を算出する。なお、本実施の形態では、重心算出部44と特徴量算出部46とを区別しているが、重心も連結領域の1つの特徴量として、特徴量算出部46において算出する構成としてもよいことは言うまでもない。
【0059】
次に、図7及び図8を参照して、連結領域から求められる重心及び特徴量について説明する。図7に示す文字‘A’が、例えば追記前画像80から抽出された1つの連結領域70である。図8は、追記前画像80と追記後画像90とから抽出された連結領域についての重心と特徴量の各情報からなるテーブルを示している。
【0060】
まず、図7を参照して、連結領域70の重心及び特徴量の詳細について説明する。
【0061】
重心72は、連結領域としての文字A70の重心位置を示す情報であり、例えば、追記前画像80をXY座標面とした場合の座標データ(x,y)として算出する(図8も参照。)。
【0062】
また、大きさは、図7に示される連結領域70を外接するように囲む外接矩形74の幅L及び高さHにより‘L,H’として求める。また、画素数は、連結領域70自体の構成全画素数として算出する。更に、筆跡長は、図7に示すように、連結領域70を細線化して、幅が1画素の線として変換した連結領域細線化データ76における構成画素数として算出する。
【0063】
重心算出部44及び特徴量算出部46は、比較対象となる追記前画像80と追記後画像90から、連結領域抽出部42によって抽出された連結領域(特徴領域)の各々について、重心位置と、上記大きさ、画素数、筆跡長等が含まれた特徴量情報とを算出し、一例として図8に示されるように、追記前画像80に対応する特徴領域情報50Aと、追記後画像90に対応する特徴領域情報50Bとして整理する。同図に示されるように、追記前画像80と追記後画像90の各々から抽出された各連結領域について唯一無二のID(Identification)が付与され、当該IDによって対応付けられるように、各連結領域の重心位置と、特徴量、すなわち、大きさ、画素数、筆跡長の各情報が特徴領域情報としてハードディスク20D等の記憶手段により記録される。
【0064】
ところで、本実施の形態に係る対応付部21C(図4参照。)は、前述したように、追記前画像及び追記後画像の間で、特徴領域抽出部21A,21Bから出力された特徴領域情報により示される特徴量の類似度が所定度合以上である特徴領域の対を特定し、特定した特徴領域の対を対応付ける特定特徴領域情報を作成する。
【0065】
ここで、対応付部21Cでは、一例として、特徴領域抽出部21Aによって記録された特徴領域情報50Aと特徴領域抽出部21Bによって記録された特徴領域情報50Bを入力し、両特徴領域情報に記録された情報に基づくパターン・マッチング処理を行い、この結果に基づいて特定特徴領域情報を作成する。
【0066】
なお、本実施の形態に係る対応付部21Cでは、追記前画像及び追記後画像の何れか一方の画像から抽出した特徴領域の重心位置から予め定められた距離内に重心位置が位置する他方の画像の特徴領域を、各特徴領域情報における重心位置に基づいて特定することにより、類似度が所定度合以上である特徴領域の候補となる特徴領域を絞り込み、絞り込んだ特徴領域のみを対象として、各特徴領域情報における特徴量(大きさ、画素数、筆跡長)の少なくとも1つの情報の類似度を算出し、当該類似度が所定度合以上となる特徴領域の対を示す情報を特定特徴領域情報として作成する。なお、本実施の形態では、上記類似度として、適用した特徴量間の距離(一例として、ユークリッド距離)の逆数を適用しているが、これに限らず、追記前画像及び追記後画像の各特徴領域情報により示される特徴量の類似の度合を示すものであれば如何なるものも適用できることは言うまでもない。
【0067】
図9には、本実施の形態に係る特定特徴領域情報のデータ構造の一例が模式的に示されている。同図に示されるように、本実施の形態に係る対応付部21Cでは、類似度が所定度合以上となった追記前画像及び追記後画像の各特徴領域に付与されたIDが対応付けられたものとして特定特徴領域情報を作成する。
【0068】
なお、以上のように構成された画像処理装置20の各構成要素(第1位置合わせ部21、第2位置合わせ部22、追記検出部23、追記領域選択部25、異常検出部26、異常通知部27)による処理は、プログラムを実行することにより、コンピュータを利用してソフトウェア構成により実現することができる。この場合、当該プログラムに本発明の画像処理プログラムが含まれることになる。但し、ソフトウェア構成による実現に限られるものではなく、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成の組み合わせによって実現することもできることは言うまでもない。
【0069】
以下では、本実施の形態に係る画像処理システム10が、上記プログラム(以下、「画像処理プログラム」という。)を実行することにより上記各構成要素による処理を実現するものとされている場合について説明する。この場合、当該画像処理プログラムを画像処理装置20に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等を適用することができる。
【0070】
次に、図10を参照して、本実施の形態に係る画像処理システム10の作用を説明する。なお、図10は、画像処理装置20のCPU20Aにより実行される画像処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。また、ここでは、錯綜を回避するために、処理対象とする追記前画像データ及び追記後画像データが同一サイズの原稿画像を示すものとして画像読取装置30から入力され、ハードディスク20Dの所定領域に予め記憶されている場合について説明する。
【0071】
同図のステップ100では、図11に示される前処理ルーチン・プログラムを実行する。以下、図11を参照して、当該前処理ルーチン・プログラムについて説明する。
【0072】
同図のステップ200では、処理対象とする追記前画像データをハードディスク20Dから読み出すことにより取得し、次のステップ202では、前述した特徴領域抽出部21Aによる処理と同様の処理によって追記前画像に対応する特徴領域情報(図8(A)も参照。)を導出する。例えば、追記前画像80が図12(A)に示されるものである場合、本ステップ202の処理では、図12(B)に示される特徴領域(本実施の形態では、連結領域)に関する特徴領域情報が導出されることになる。
【0073】
次のステップ204では、上記ステップ202の処理によって導出された特徴領域情報により示される特徴領域の数が所定数(一例として、4)以上であるか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ206に移行して、予め定められたエラー通知処理E1を実行した後、上記画像処理プログラムを終了する。なお、本実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムでは、上記エラー通知処理E1として、「特徴領域が少なすぎて位置合わせを行うことができません。」というメッセージをディスプレイ20Fにより表示する処理を適用しているが、これに限るものでないことは言うまでもない。
【0074】
一方、上記ステップ204において肯定判定となった場合はステップ208に移行し、処理対象とする追記後画像データをハードディスク20Dから読み出すことにより取得し、次のステップ210では、前述した特徴領域抽出部21Bによる処理と同様の処理によって追記後画像に対応する特徴領域情報(図8(B)も参照。)を導出する。例えば、追記後画像90が図12(A)に示されるものである場合、本ステップ210の処理では、図12(B)に示される特徴領域(本実施の形態では、連結領域)に関する特徴領域情報が導出されることになる。
【0075】
次のステップ212では、上記ステップ210の処理によって導出された特徴領域情報により示される特徴領域の数が所定数(一例として、4)以上であるか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ214に移行して、予め定められたエラー通知処理E2を実行した後、上記画像処理プログラムを終了する。なお、本実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムでは、上記エラー通知処理E2として、上記エラー通知処理E1と同様に、「特徴領域が少なすぎて位置合わせを行うことができません。」というメッセージをディスプレイ20Fにより表示する処理を適用しているが、これに限るものでないことは言うまでもない。
【0076】
一方、上記ステップ212において肯定判定となった場合はステップ216に移行し、以上の処理によって導出した特徴領域情報に基づいて、前述した対応付部21Cによる処理と同様の処理により特定特徴領域情報を作成する。本ステップ216の処理により、一例として図12(C)に示される特徴領域が対応付けられた特定特徴領域情報(図9も参照。)が作成されることになる。
【0077】
次のステップ218では、上記ステップ216の処理によって作成された特定特徴領域情報により示される、当該ステップ216の処理によって対応付けられた特徴領域の数が所定数(一例として、30)以上であるか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ220に移行して、予め定められたエラー通知処理E3を実行した後、上記画像処理プログラムを終了する。なお、本実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムでは、上記エラー通知処理E3として、「異なる原稿を位置合わせしようとしております。」というメッセージをディスプレイ20Fにより表示する処理を適用しているが、これに限るものでないことは言うまでもない。
【0078】
一方、上記ステップ218において肯定判定となった場合はステップ222に移行し、作成した特定特徴領域情報に基づいて、前述した補正パラメータ算出部21Dによる処理と同様の処理により、追記前画像及び追記後画像の全体的なずれをなくすための補正係数を算出し、次のステップ224では、上記ステップ222の処理によって算出された補正係数(ここでは、幅方向移動量、縦方向移動量、回転角、及び倍率の4種類の補正係数)が各々所定範囲内であるか否かを判定し、否定判定となった場合(ここでは、上記4種類の少なくとも1つの補正係数が対応する範囲内とならなかった場合)はステップ226に移行して、予め定められたエラー通知処理E4を実行した後、上記画像処理プログラムを終了する。なお、本実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムでは、上記所定範囲として、幅方向移動量及び縦方向移動量の2種類の補正係数については±20mm以内である範囲を適用し、回転角については±3度以内である範囲を適用し、更に、倍率については±5%以内である範囲を適用しているが、これらに限らないことも言うまでもない。また、本実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムでは、上記エラー通知処理E4として、上記エラー通知処理E3と同様に、「異なる原稿を位置合わせしようとしております。」というメッセージをディスプレイ20Fにより表示する処理を適用しているが、これに限るものでないことは言うまでもない。
【0079】
一方、上記ステップ224において肯定判定となった場合は本前処理ルーチン・プログラムを終了して、画像処理プログラムのステップ102(図10参照。)に移行する。
【0080】
ステップ102では、上記前処理ルーチン・プログラムにおいて算出した補正係数を用いて、前述した画像変換部21Eによる処理と同様の処理により追記前画像及び追記後画像の全体的な位置合わせを行うための画像変換処理(本実施の形態では、アフィン変換処理)を実行し、更に、次のステップ104では、前述した追記領域選択部25による処理と同様の処理により、上記前処理ルーチン・プログラムにおいて導出された特徴領域のうち、追記が行われた特徴領域である追記領域を選択し、選択した特徴領域(追記領域)を示す追記領域情報を作成する。
【0081】
本ステップ104の処理において、当該追記領域の選択を、特徴領域抽出部21Bによって抽出された追記後画像の特徴領域のうち、特定特徴領域情報により示される特徴領域に含まれない領域を追記領域として選択することにより行う場合には、一例として図12(D)に示される特徴領域を示す追記領域情報が作成され、上記追記領域の選択を、特徴領域抽出部21Aによって抽出された追記前画像の特徴領域のうち、特定特徴領域情報により示される特徴領域に含まれない領域を追記領域として選択することにより行う場合には、一例として図12(E)に示される特徴領域を示す追記領域情報が作成されることになる。
【0082】
次のステップ106では、追記前画像の幅(ここでは、当該画像の水平方向の画素数)で、かつ追記前画像の高さ(ここでは、当該画像の垂直方向の画素数)の白色画像を示す画像データ(以下、「白色画像データ」という。)を作成し、次のステップ108では、変数iに0を代入する。
【0083】
次のステップ110では、一例として次に示すように、上記ステップ104の処理によって作成した追記領域情報により示される追記領域のうちの何れか1つの追記領域(以下、「処理対象追記領域」という。)の範囲を示す座標(以下、「追記領域座標」という。)を導出する。
【0084】
まず、処理対象追記領域に対応する重心位置及び大きさの各情報を、上記ステップ202の処理によって導出した、上記ステップ102の処理によって画像変換処理の対象とされなかった画像(ここでは、追記前画像)の特徴領域情報から取得する。
【0085】
次に、取得した重心位置情報により示される重心位置を中心とする、取得した大きさ情報により示される幅L及び高さHを有する矩形領域の角点(本実施の形態では、左上角点及び右下角点)の位置座標を上記追記領域座標として算出する。
【0086】
次のステップ112では、追記前画像データ及び追記後画像データ(上記ステップ102の処理によって画像変換処理が実行されたもの)における、上記ステップ110の処理により導出した追記領域座標により示される追記領域を対象として、追記前画像と追記後画像の位置合わせを行う画像変換処理を、前述した第2位置合わせ部22による処理と同様に実行する。
【0087】
次のステップ114では、上記ステップ112の処理によって画像変換処理が実行された後の追記領域に対応する追記前画像及び追記後画像の各画像データに基づいて、前述した追記検出部23による処理と同様の処理により追記の画像を検出し、次のステップ116にて、上記ステップ114の処理によって得られた画像データ(ここでは、画像膨張処理後の追記前画像データを、対応する追記後画像データから、対応する画素毎に減算することにより得られる画像データ)を、上記ステップ106の処理によって作成した白色画像データに対して重畳(上書き)する。
【0088】
次のステップ118では、変数iの値を1だけインクリメントし、次のステップ120にて、変数iの値が、上記ステップ104の処理によって選択された追記領域の数N以下であるか否かを判定し、肯定判定となった場合は上記ステップ110に戻り、当該ステップ110以降の処理を再び実行する一方、否定判定となった場合にはステップ122に移行する。なお、上記ステップ110〜ステップ120の処理を繰り返し実行する際には、それまでに処理対象としなかった追記領域を処理対象追記領域として適用するようにする。
【0089】
ステップ122では、以上の処理によって追記画像が重畳された白色画像データを用いて追記画像を出力し、その後に本画像処理プログラムを終了する。なお、本実施の形態に係る画像処理プログラムでは、上記ステップ122による追記画像を出力する処理として、ディスプレイ20Fによる表示による出力、及び図示しないプリンタ(所謂画像形成装置)による印刷による出力の双方を適用しているが、これに限定されるものではなく、これらの何れか一方の出力を行う形態や、音声合成装置により音声によって出力する形態等、他の出力形態を適用することができることは言うまでもない。また、本実施の形態に係る画像処理プログラムでは、白色画像データに対して追記画像を重畳することにより、検出した追記画像を記録する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、検出した追記画像の位置を示す座標を記録する形態等、追記画像を特定することのできる情報を記録する他の形態とすることができることも言うまでもない。
【0090】
[第2の実施の形態]
本第2の実施の形態に係る画像処理システムの構成は、第1位置合わせ部21の構成のみ上記第1の実施の形態に係る画像処理システムと異なるので、まず、本第2の実施の形態に係る第1位置合わせ部21’の構成について、図13を参照しつつ詳細に説明する。なお、図13における図4と同一の構成要素については図4と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0091】
同図に示すように、本第2の実施の形態に係る第1位置合わせ部21’は、90度回転部21Fと選択部21Gが新たに設けられている点と、対応付部21Cに代えて対応付部21C’が用いられている点のみが上記第1の実施の形態に係る第1位置合わせ部21と異なっている。
【0092】
なお、上記90度回転部21Fは、特徴領域抽出部21Bにより導出された追記後画像の特徴領域情報により示される特徴量を、当該追記後画像を90度、180度、及び270度の3種類の角度で回転させた場合の各々の特徴量となるように変換するものであり、これによって得られた特徴領域情報を各々出力する。
【0093】
本実施の形態に係る特徴領域情報は、一例として図8に示されるように、特徴領域の位置を、その重心位置のXY座標系における座標値により表現しており、90度回転部21Fでは、当該座標値を、追記後画像を90度、180度、及び270度の3種類の角度で回転させた場合の座標値に座標変換することにより、上記変換を行っている。
【0094】
このように、本実施の形態に係る第1位置合わせ部21’では、90度回転部21Fが特徴領域抽出部21Bに接続されて追記後画像に対応する特徴領域情報を作成するものとされているが、これに限らず、特徴領域抽出部21Aに接続されて追記前画像に対応する特徴領域情報を作成するものとしてもよい。
【0095】
一方、上記対応付部21C’は、特徴領域抽出部21Aから出力された特徴領域情報により示される特徴量と、特徴領域抽出部21B及び90度回転部21Fから出力された特徴領域情報により示される特徴量(追記後画像が90度、180度、270度の3種類の角度で回転された場合の特徴量と回転されない場合の特徴量)との間の類似度が所定度合以上である特徴領域の対を特定し、特定した特徴領域の対を対応付ける特定特徴領域情報を作成して出力する。これにより、一例として図9に示されるような特定特徴領域情報が4組分(追記前画像と回転されていない追記後画像の組み合わせ、追記前画像と90度回転された追記後画像の組み合わせ、追記前画像と180度回転された追記後画像の組み合わせ、追記前画像と270度回転された追記後画像の組み合わせの4組分)作成されて出力されることになる。
【0096】
更に、上記選択部21Gは、対応付部21C’から出力された4組の特定特徴領域情報から、対応付けされた特徴領域の数が最大のものを選択して補正パラメータ算出部21D、追記領域選択部25、及び異常検出部26に出力すると共に、当該特徴領域の数が最大である特定特徴領域情報において対応付けされた追記後画像の特徴領域情報を選択して追記領域選択部25及び異常検出部26に出力する。
【0097】
次に、本第2の実施の形態に係る画像処理システム10の作用を、上記各構成要素による処理を、画像処理プログラムを実行することによってソフトウェア構成により実現する場合について説明する。なお、本第2の実施の形態に係る画像処理プログラムは、前処理ルーチン・プログラムを除いて上記第1の実施の形態に係るものと同様であるので、以下では、図14を参照して、本第2の実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムのみについて説明する。
【0098】
同図のステップ300では、処理対象とする追記前画像データをハードディスク20Dから読み出すことにより取得し、次のステップ302では、前述した特徴領域抽出部21Aによる処理と同様の処理によって追記前画像に対応する特徴領域情報(図8(A)も参照。)を導出する。例えば、追記前画像80が図12(A)に示されるものである場合、本ステップ302の処理では、図12(B)に示される特徴領域(本実施の形態では、連結領域)に関する特徴領域情報が導出されることになる。
【0099】
次のステップ304では、上記ステップ302の処理によって導出された特徴領域情報により示される特徴領域の数が所定数(一例として、4)以上であるか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ306に移行して、予め定められたエラー通知処理E1を実行した後、上記画像処理プログラムを終了する。なお、本実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムでは、上記エラー通知処理E1として、「特徴領域が少なすぎて位置合わせを行うことができません。」というメッセージをディスプレイ20Fにより表示する処理を適用しているが、これに限るものでないことは言うまでもない。
【0100】
一方、上記ステップ304において肯定判定となった場合はステップ308に移行し、処理対象とする追記後画像データをハードディスク20Dから読み出すことにより取得し、次のステップ310では、前述した特徴領域抽出部21Bによる処理と同様の処理によって追記後画像に対応する特徴領域情報(図8(B)も参照。)を導出する。例えば、追記後画像90が図12(A)に示されるものである場合、本ステップ310の処理では、図12(B)に示される特徴領域(本実施の形態では、連結領域)に関する特徴領域情報が導出されることになる。
【0101】
次のステップ312では、上記ステップ310の処理によって導出された特徴領域情報により示される特徴領域の数が所定数(一例として、4)以上であるか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ314に移行して、予め定められたエラー通知処理E2を実行した後、上記画像処理プログラムを終了する。なお、本実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムでは、上記エラー通知処理E2として、上記エラー通知処理E1と同様に、「特徴領域が少なすぎて位置合わせを行うことができません。」というメッセージをディスプレイ20Fにより表示する処理を適用しているが、これに限るものでないことは言うまでもない。
【0102】
一方、上記ステップ312において肯定判定となった場合はステップ316に移行し、以上の処理によって導出した特徴領域情報に基づいて、前述した対応付部21C’による処理と同様の処理により特定特徴領域情報J1を作成し、RAM20Bに記憶する。本ステップ316の処理により、一例として図12(C)に示される特徴領域が対応付けられた特定特徴領域情報(図9も参照。)が作成され、記憶されることになる。
【0103】
次のステップ318では、前述した90度回転部21Fによる処理と同様の処理により、特徴領域抽出部21Bにより導出された追記後画像の特徴領域情報により示される特徴量を、当該追記後画像を90度の角度で回転させた場合の特徴量となるように変換し、次のステップ320にて、上記ステップ302の処理によって得られた特徴領域情報と、上記ステップ318の処理によって得られた特徴領域情報に基づいて、前述した対応付部21C’による処理と同様の処理により特定特徴領域情報J2を作成し、RAM20Bに記憶する。
【0104】
次のステップ322では、前述した90度回転部21Fによる処理と同様の処理により、上記ステップ318の処理により導出された90度回転された状態の追記後画像の特徴領域情報により示される特徴量を、当該追記後画像を更に90度回転させた場合の特徴量(元の追記後画像を180度回転させた場合の特徴量)となるように変換し、次のステップ324にて、上記ステップ302の処理によって得られた特徴領域情報と、上記ステップ322の処理によって得られた特徴領域情報に基づいて、前述した対応付部21C’による処理と同様の処理により特定特徴領域情報J3を作成し、RAM20Bに記憶する。
【0105】
次のステップ326では、前述した90度回転部21Fによる処理と同様の処理により、上記ステップ322の処理により導出された180度回転された状態の追記後画像の特徴領域情報により示される特徴量を、当該追記後画像を更に90度回転させた場合の特徴量(元の追記後画像を270度回転させた場合の特徴量)となるように変換し、次のステップ328にて、上記ステップ302の処理によって得られた特徴領域情報と、上記ステップ326の処理によって得られた特徴領域情報に基づいて、前述した対応付部21C’による処理と同様の処理により特定特徴領域情報J4を作成し、RAM20Bに記憶する。
【0106】
次のステップ330では、以上の処理によりRAM20Bに記憶された特定特徴領域情報J1〜J4を読み出し、各特定特徴領域情報において対応付けされている特徴領域の数の最大値のものを選択しその数の、特徴領域抽出部21Aにより抽出された特徴領域の数に対する比率が、所定率(一例として、60%)以上であるか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ332に移行して、予め定められたエラー通知処理E3を実行した後、上記画像処理プログラムを終了する。なお、本実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムでは、上記エラー通知処理E3として、「異なる原稿を位置合わせしようとしております。」というメッセージをディスプレイ20Fにより表示する処理を適用しているが、これに限るものでないことは言うまでもない。
【0107】
一方、上記ステップ330において肯定判定となった場合はステップ334に移行し、上記ステップ330の処理において対応付けされている特徴領域の数が最大とされた特定特徴領域情報に基づいて、前述した補正パラメータ算出部21Dによる処理と同様の処理により、追記前画像及び追記後画像の全体的なずれをなくすための補正係数を算出し、次のステップ336では、上記ステップ334の処理によって算出された補正係数(ここでは、幅方向移動量、縦方向移動量、回転角、及び倍率の4種類の補正係数)が各々所定範囲内であるか否かを判定し、否定判定となった場合(ここでは、上記4種類の少なくとも1つの補正係数が対応する範囲内とならなかった場合)はステップ338に移行して、予め定められたエラー通知処理E4を実行した後、上記画像処理プログラムを終了する。なお、本実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムでは、上記所定範囲として、幅方向移動量及び縦方向移動量の2種類の補正係数については±20mm以内である範囲を適用し、回転角については±3度以内である範囲を適用し、更に、倍率については±5%以内である範囲を適用しているが、これらに限らないことも言うまでもない。また、本実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムでは、上記エラー通知処理E4として、上記エラー通知処理E3と同様に、「異なる原稿を位置合わせしようとしております。」というメッセージをディスプレイ20Fにより表示する処理を適用しているが、これに限るものでないことは言うまでもない。
【0108】
一方、上記ステップ336において肯定判定となった場合は本前処理ルーチン・プログラムを終了して、画像処理プログラムのステップ102(図10参照。)に移行する。
【0109】
[第3の実施の形態]
本第3の実施の形態では、上記第2の実施の形態の変形例について説明する。なお、本第3の実施の形態に係る画像処理システム10の構成は、上記第2の実施の形態に係るものと略同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0110】
以下、本第3の実施の形態に係る画像処理システム10の作用を、各構成要素による処理を、画像処理プログラムを実行することによってソフトウェア構成により実現する場合について説明する。なお、本第3の実施の形態に係る画像処理プログラムは、前処理ルーチン・プログラムを除いて上記第1,第2の実施の形態に係るものと同様であるので、以下では、図15を参照して、本第3の実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムのみについて説明する。
【0111】
同図のステップ400では、処理対象とする追記前画像データをハードディスク20Dから読み出すことにより取得し、次のステップ402では、前述した特徴領域抽出部21Aによる処理と同様の処理によって追記前画像に対応する特徴領域情報(図8(A)も参照。)を導出する。例えば、追記前画像80が図12(A)に示されるものである場合、本ステップ402の処理では、図12(B)に示される特徴領域(本実施の形態では、連結領域)に関する特徴領域情報が導出されることになる。
【0112】
次のステップ404では、上記ステップ402の処理によって導出された特徴領域情報により示される特徴領域の数が所定数(一例として、4)以上であるか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ406に移行して、予め定められたエラー通知処理E1を実行した後、上記画像処理プログラムを終了する。なお、本実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムでは、上記エラー通知処理E1として、「特徴領域が少なすぎて位置合わせを行うことができません。」というメッセージをディスプレイ20Fにより表示する処理を適用しているが、これに限るものでないことは言うまでもない。
【0113】
一方、上記ステップ404において肯定判定となった場合はステップ408に移行し、処理対象とする追記後画像データをハードディスク20Dから読み出すことにより取得し、次のステップ410では、前述した特徴領域抽出部21Bによる処理と同様の処理によって追記後画像に対応する特徴領域情報(図8(B)も参照。)を導出する。例えば、追記後画像90が図12(A)に示されるものである場合、本ステップ410の処理では、図12(B)に示される特徴領域(本実施の形態では、連結領域)に関する特徴領域情報が導出されることになる。
【0114】
次のステップ412では、上記ステップ410の処理によって導出された特徴領域情報により示される特徴領域の数が所定数(一例として、4)以上であるか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ414に移行して、予め定められたエラー通知処理E2を実行した後、上記画像処理プログラムを終了する。なお、本実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムでは、上記エラー通知処理E2として、上記エラー通知処理E1と同様に、「特徴領域が少なすぎて位置合わせを行うことができません。」というメッセージをディスプレイ20Fにより表示する処理を適用しているが、これに限るものでないことは言うまでもない。
【0115】
一方、上記ステップ412において肯定判定となった場合はステップ416に移行し、以上の処理によって導出した特徴領域情報に基づいて、前述した対応付部21C’による処理と同様の処理により特定特徴領域情報を作成し、RAM20Bに記憶する。本ステップ416の処理により、一例として図12(C)に示される特徴領域が対応付けられた特定特徴領域情報(図9も参照。)が作成され、記憶されることになる。
【0116】
次のステップ418では、上記ステップ416の処理によって作成された特定特徴領域情報において対応付けされている特徴領域の数の、特徴領域抽出部21Aにより抽出された特徴領域の数に対する比率が、所定率(一例として、60%)以上であるか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ420に移行する。
【0117】
ステップ420では、前述した90度回転部21Fによる処理と同様の処理により、特徴領域抽出部21Bにより導出された追記後画像の特徴領域情報により示される特徴量を、当該追記後画像を90度の角度で回転させた場合の特徴量となるように変換し、次のステップ422にて、上記ステップ420の処理による追記後画像の回転角度が360度に達したか否かを判定し、否定判定となった場合は上記ステップ416に戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ424に移行する。
【0118】
なお、上記ステップ416〜ステップ422の処理を繰り返し実行する際に、上記ステップ416では、直前の上記ステップ420の処理によって得られた特徴領域情報を適用して特定特徴領域情報を作成する。
【0119】
ステップ424では、予め定められたエラー通知処理E3を実行した後、上記画像処理プログラムを終了する。なお、本実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムでは、上記エラー通知処理E3として、「異なる原稿を位置合わせしようとしております。」というメッセージをディスプレイ20Fにより表示する処理を適用しているが、これに限るものでないことは言うまでもない。
【0120】
一方、上記ステップ418において肯定判定となった場合はステップ426に移行し、直前の上記ステップ416の処理において作成された特定特徴領域情報に基づいて、前述した補正パラメータ算出部21Dによる処理と同様の処理により、追記前画像及び追記後画像の全体的なずれをなくすための補正係数を算出し、次のステップ428では、上記ステップ426の処理によって算出された補正係数(ここでは、幅方向移動量、縦方向移動量、回転角、及び倍率の4種類の補正係数)が各々所定範囲内であるか否かを判定し、否定判定となった場合(ここでは、上記4種類の少なくとも1つの補正係数が対応する範囲内とならなかった場合)はステップ430に移行して、予め定められたエラー通知処理E4を実行した後、上記画像処理プログラムを終了する。なお、本実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムでは、上記所定範囲として、幅方向移動量及び縦方向移動量の2種類の補正係数については±20mm以内である範囲を適用し、回転角については±3度以内である範囲を適用し、更に、倍率については±5%以内である範囲を適用しているが、これらに限らないことも言うまでもない。また、本実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムでは、上記エラー通知処理E4として、上記エラー通知処理E3と同様に、「異なる原稿を位置合わせしようとしております。」というメッセージをディスプレイ20Fにより表示する処理を適用しているが、これに限るものでないことは言うまでもない。
【0121】
一方、上記ステップ428において肯定判定となった場合は本前処理ルーチン・プログラムを終了して、画像処理プログラムのステップ102(図10参照。)に移行する。
【0122】
[第4の実施の形態]
本第4の実施の形態では、追記前原稿及び追記後原稿の少なくとも一方が、候補となる複数の原稿が存在するものである場合に、当該候補となる原稿から正しいものを選択して追記画像を抽出するための画像処理を行う場合の形態例について説明する。なお、ここでは、錯綜を回避するために、追記前原稿のみに候補となる複数の原稿が存在する場合の形態例について説明する。また、本第4の実施の形態に係る画像処理システム10の構成は、上記第1の実施の形態に係るものと略同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0123】
以下、本第4の実施の形態に係る画像処理システム10の作用を、各構成要素による処理を、画像処理プログラムを実行することによってソフトウェア構成により実現する場合について説明する。なお、本第4の実施の形態に係る画像処理プログラムは、前処理ルーチン・プログラムを除いて上記第1〜第3の実施の形態に係るものと同様であるので、以下では、図16を参照して、本第4の実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムのみについて説明する。また、ここでは、錯綜を回避するために、処理対象とする各々異なる追記前原稿(処理候補原稿)を示す複数の追記前画像データと、処理対象とする単一の追記後原稿を示す追記後画像データが同一サイズの原稿画像を示すものとして画像読取装置30から入力され、ハードディスク20Dの所定領域に予め記憶されている場合について説明する。
【0124】
同図のステップ500では、処理対象とする追記後画像データをハードディスク20Dから読み出すことにより取得し、次のステップ502では、前述した特徴領域抽出部21Bによる処理と同様の処理によって追記後画像に対応する特徴領域情報(図8(B)も参照。)を導出する。例えば、追記後画像90が図12(A)に示されるものである場合、本ステップ502の処理では、図12(B)に示される特徴領域(本実施の形態では、連結領域)に関する特徴領域情報が導出されることになる。
【0125】
次のステップ504では、上記ステップ502の処理によって導出された特徴領域情報により示される特徴領域の数が所定数(一例として、4)以上であるか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ506に移行して、予め定められたエラー通知処理E2を実行した後、上記画像処理プログラムを終了する。なお、本実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムでは、上記エラー通知処理E2として、「特徴領域が少なすぎて位置合わせを行うことができません。」というメッセージをディスプレイ20Fにより表示する処理を適用しているが、これに限るものでないことは言うまでもない。
【0126】
一方、上記ステップ504において肯定判定となった場合はステップ508に移行し、処理対象とする複数の追記前画像データから何れか1つの画像データ(以下、「処理対象追記前画像データ」という。)をハードディスク20Dから読み出すことにより取得し、次のステップ510では、処理対象追記前画像データに対する前述した特徴領域抽出部21Aによる処理と同様の処理によって追記前画像に対応する特徴領域情報(図8(A)も参照。)を導出する。例えば、追記前画像80が図12(A)に示されるものである場合、本ステップ510の処理では、図12(B)に示される特徴領域(本実施の形態では、連結領域)に関する特徴領域情報が導出されることになる。
【0127】
次のステップ512では、上記ステップ510の処理によって導出された特徴領域情報により示される特徴領域の数が所定数(一例として、4)以上であるか否かを判定し、否定判定となった場合は後述するステップ522に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップ514に移行する。
【0128】
ステップ514では、以上の処理によって導出した特徴領域情報に基づいて、前述した対応付部21Cによる処理と同様の処理により特定特徴領域情報を作成し、RAM20Bに記憶する。本ステップ514の処理により、一例として図12(C)に示される特徴領域が対応付けられた特定特徴領域情報(図9も参照。)が作成され、記憶されることになる。
【0129】
次のステップ516では、上記ステップ514の処理によって作成された特定特徴領域情報において対応付けされている特徴領域の数の、特徴領域抽出部21Aにより抽出された特徴領域の数に対する比率が、所定率(一例として、60%)以上であるか否かを判定し、否定判定となった場合は後述するステップ522に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップ518に移行する。
【0130】
ステップ518では、上記ステップ514の処理において作成された特定特徴領域情報に基づいて、前述した補正パラメータ算出部21Dによる処理と同様の処理により、追記前画像及び追記後画像の全体的なずれをなくすための補正係数を算出し、次のステップ520では、上記ステップ518の処理によって算出された補正係数(ここでは、幅方向移動量、縦方向移動量、回転角、及び倍率の4種類の補正係数)が各々所定範囲内であるか否かを判定し、否定判定となった場合(ここでは、上記4種類の少なくとも1つの補正係数が対応する範囲内とならなかった場合)はステップ522に移行する。なお、本実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムでは、上記所定範囲として、幅方向移動量及び縦方向移動量の2種類の補正係数については±20mm以内である範囲を適用し、回転角については±3度以内である範囲を適用し、更に、倍率については±5%以内である範囲を適用しているが、これらに限らないことも言うまでもない。
【0131】
ステップ522では、本前処理ルーチン・プログラムが実行されてから未だ処理対象としていない追記前画像データがハードディスク20Dの所定領域に記憶されているか否かを判定し、肯定判定となった場合は上記ステップ508に戻る一方、否定判定となった場合にはステップ524に移行する。なお、上記ステップ508〜ステップ522の処理を繰り返し実行する際に、ステップ508では、それまでに読み出していない追記前画像データをハードディスク20Dから読み出すようにする。
【0132】
ステップ524では、予め定められたエラー通知処理E5を実行した後、上記画像処理プログラムを終了する。なお、本実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムでは、上記エラー通知処理E5として、「候補の中に対応する追記前画像がありません。」というメッセージをディスプレイ20Fにより表示する処理を適用しているが、これに限るものでないことは言うまでもない。
【0133】
一方、上記ステップ520において肯定判定となった場合は本前処理ルーチン・プログラムを終了して、画像処理プログラムのステップ102(図10参照。)に移行する。
【0134】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0135】
また、上記の実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合せにより種々の発明を抽出できる。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0136】
例えば、上記各実施の形態では、画像処理をソフトウェア構成によって実現した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、当該画像処理をハードウェア構成により実現する形態とすることもできる。この場合の形態例としては、例えば、図3に示した画像処理装置20の各構成要素(第1位置合わせ部21(21’)、第2位置合わせ部22、追記検出部23、追記領域選択部25、異常検出部26)と同一の処理を実行する機能デバイスを作成して用いる形態が例示できる。この場合は、上記各実施の形態に比較して、画像処理の高速化が期待できる。
【0137】
また、上記各実施の形態では、本発明を所定原稿に対する追記画像を抽出する画像処理を行う画像処理システムに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、所定原稿に対する追記画像に加えて消去画像も抽出する画像処理を行う画像処理システム等、複数の原稿画像を用いた他の画像処理を行う画像処理システムに適用する形態とすることもできる。この場合も、上記各実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0138】
また、上記第1の実施の形態の前処理ルーチン・プログラムでは、特定特徴領域情報により対応付けられた特徴領域の数が所定数以上であるか否かを判定しているのに対し、上記第2〜第4の実施の形態の前処理ルーチン・プログラムでは、特定特徴領域情報により対応付けられた特徴領域の数の、特徴領域抽出部により抽出された特徴領域の数に対する比率が所定率以上であるか否かを判定する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記第1の実施の形態の前処理ルーチン・プログラムでは上記第2〜第4の実施の形態の前処理ルーチン・プログラムの比率を用いる形態としてもよく、逆に、上記第2〜第4の実施の形態の前処理ルーチン・プログラムでは上記第1の実施の形態の前処理ルーチン・プログラムの特徴領域の数を用いる形態としてもよい。
【0139】
また、上記各実施の形態では、本発明の位置ずれを示す物理量として、追記前画像及び追記後画像の全体的な位置合わせを行うための画像変換(上記各実施の形態では、アフィン変換)の際に用いる補正係数を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、追記前画像及び追記後画像の位置ずれ量そのものを適用する形態等、追記前画像と追記後画像との間の位置ずれを示す他の物理量を適用する形態とすることもできる。この場合も、上記各実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0140】
また、上記各実施の形態では、異常通知部による異常状態の通知法として、異常の内容を示すメッセージをディスプレイ20Fにより表示することによる通知を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、当該メッセージを画像形成装置により印刷することによる通知、当該メッセージを音声再生装置により発音することによる通知、上位プログラムへの通知等、他の通知法を適用する形態とすることもできる。この場合も、上記各実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0141】
その他、上記各実施の形態で説明した画像処理システム10や画像処理装置20の構成(図1〜図5,図13参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりすることができることは言うまでもない。
【0142】
また、上記各実施の形態で説明した各種情報のデータ構造(図8,図9参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において変更を加えることができることは言うまでもない。
【0143】
更に、上記各実施の形態で説明した画像処理プログラム及び前処理ルーチン・プログラムの処理の流れ(図10,図11,図14〜図16参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりすることができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】実施の形態に係る画像処理システムの構成を示す模式図である。
【図2】実施の形態に係る画像処理装置の電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係る画像処理装置の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
【図4】実施の形態に係る画像処理装置の機能的な構成のうち、第1,第4の実施の形態に係る第1位置合わせ部の構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態に係る画像処理装置の機能的な構成のうち、特徴領域抽出部の構成を示すブロック図である。
【図6】実施の形態に係る連結領域(特徴領域)の説明に供する図である。
【図7】実施の形態に係る連結領域から求められる重心及び特徴量の各情報の説明に供する図である。
【図8】実施の形態に係る特徴領域情報のデータ構造を示す模式図である。
【図9】実施の形態に係る特定特徴領域情報のデータ構造を示す模式図である。
【図10】実施の形態に係る画像処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】第1の実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】実施の形態に係る画像処理プログラムの処理内容の説明に供する図である。
【図13】実施の形態に係る画像処理装置の機能的な構成のうち、第2,第3の実施の形態に係る第1位置合わせ部の構成を示すブロック図である。
【図14】第2の実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】第3の実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】第4の実施の形態に係る前処理ルーチン・プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0145】
10 画像処理システム
20 画像処理装置
20A CPU
20D ハードディスク
20F ディスプレイ
21,21’ 第1位置合わせ部
21A 特徴領域抽出部
21B 特徴領域抽出部
21C,21C’ 対応付部(特定手段)
21D 補正パラメータ算出部
21E 画像変換部(位置合わせ手段)
21F 90度回転部(変換手段)
21G 選択部
22 第2位置合わせ部
23 追記検出部
24 記憶部
25 追記領域選択部
26 異常検出部(判定手段)
27 異常通知部(実行手段)
30 画像読取装置(取得手段)
40 前処理部
42 連結領域抽出部(抽出手段)
44 重心算出部(導出手段)
46 特徴量算出部(導出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
修正が行われる前の原稿である第1原稿の画像を示す第1画像情報、及び修正が行われた後の前記原稿である第2原稿の画像を示す第2画像情報を取得する取得手段と、
前記第1画像情報及び前記第2画像情報に基づいて、前記第1原稿の画像及び前記第2原稿の画像における予め定められた特徴を有する特徴領域を抽出する抽出手段と、
前記第1画像情報及び前記第2画像情報に基づいて、前記第1原稿の画像及び前記第2原稿の画像における前記特徴領域から予め定められた特徴量を導出する導出手段と、
前記第1原稿の画像及び前記第2原稿の画像の間で前記特徴量の類似度が所定度合以上である前記特徴領域を特定する特定手段と、
前記特定手段による特定結果に基づいて、前記第1画像情報及び前記第2画像情報の少なくとも一方に対して前記第1原稿の画像と前記第2原稿の画像の画像全体における位置合わせ処理を実行する位置合わせ手段と、
前記抽出手段によって抽出された前記第1原稿の画像における特徴領域の数、前記抽出手段によって抽出された前記第2原稿の画像における特徴領域の数、前記特定手段によって特定された特徴領域の数、及び前記位置合わせ手段による位置合わせ処理の対象とされる前記第1原稿の画像と前記第2原稿の画像との間の位置ずれを示す物理量の少なくとも1つに基づいて、前記第1原稿及び前記第2原稿の少なくとも一方の異常の有無を判定する判定手段と、
前記判定手段により異常があると判定された場合に当該異常によって生じる不具合の発生を防止するものとして予め定められた処理を実行する実行手段と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記第1原稿の画像における特徴領域の数、前記第2原稿の画像における特徴領域の数、前記特定手段によって特定された特徴領域の数、及び前記物理量の少なくとも1つが、各々に対応するものとして予め定められた範囲内であるか否かを判定することにより前記異常の有無を判定し、
前記実行手段は、前記判定手段により異常があると判定された場合に、当該異常があることを提示する処理を前記予め定められた処理として実行する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記導出手段により導出された前記第1原稿の画像と前記第2原稿の画像の何れか一方の画像の特徴量を、当該画像を90度、180度、及び270度の3種類の角度で回転させた場合の各々の特徴量に変換する変換手段を更に備え、
前記特定手段は、前記導出手段によって導出された前記一方の画像の特徴量及び前記変換手段によって得られた3種類の特徴量の各特徴量と、他方の画像の特徴量との間の類似度が所定度合以上である前記特徴領域を特定し、
前記判定手段は、前記特定手段によって特定された前記一方の画像及び前記他方の画像の組み合わせ毎の特徴領域の数の最大値が所定数以上であるか否かを判定することにより前記異常の有無を判定し、
前記実行手段は、前記判定手段により異常があると判定された場合に、当該異常があることを提示する処理を前記予め定められた処理として実行し、前記判定手段により異常がないと判定された場合に、前記位置合わせ手段による位置合わせ処理を実行させる処理を前記予め定められた処理として実行する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記特定手段によって特定された特徴領域の数が所定数以上であるか否かを判定することにより前記異常の有無を判定し、
前記実行手段は、前記判定手段により異常があると判定された場合に、前記第1原稿の画像及び前記第2原稿の画像の少なくとも一方を所定角度だけ回転させた状態として、再度前記特定手段及び前記判定手段による処理を実行させる処理を前記予め定められた処理として実行し、前記判定手段により異常がないと判定された場合に、前記位置合わせ手段による位置合わせ処理を実行させる処理を前記予め定められた処理として実行する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1原稿及び前記第2原稿の少なくとも一方は、候補となる複数の原稿が存在するものであり、
前記判定手段は、前記第1原稿の画像における特徴領域の数、前記第2原稿の画像における特徴領域の数、前記特定手段によって特定された特徴領域の数、及び前記物理量の少なくとも1つが、各々に対応するものとして予め定められた範囲内であるか否かを判定することにより前記異常の有無を判定し、
前記実行手段は、前記判定手段により異常があると判定された場合に、前記複数の原稿の残りの原稿の何れかを適用して、前記取得手段、前記抽出手段、前記導出手段、前記特定手段、及び前記判定手段による処理を再度実行させる処理を前記予め定められた処理として実行し、前記判定手段により異常がないと判定された場合に、前記位置合わせ手段による位置合わせ処理を実行させる処理を前記予め定められた処理として実行する
請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記位置合わせ手段は、前記第1原稿の画像と前記第2原稿の画像のずれ量に基づいて補正係数を算出し、前記位置合わせ処理として前記補正係数を用いた前記第1画像情報及び前記第2画像情報の少なくとも一方に対する補正処理を実行するものであり、
前記物理量は、前記補正係数である
請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記特定手段によって特定された特徴領域の数に代えて、当該特定領域の数と、前記抽出手段によって抽出された前記第1原稿の画像又は前記第2原稿の画像における特徴領域の数との比を用いる
請求項1乃至請求項6の何れか1項記載の画像処理装置。
【請求項8】
修正が行われる前の原稿である第1原稿の画像を示す第1画像情報、及び修正が行われた後の前記原稿である第2原稿の画像を示す第2画像情報を取得する取得ステップと、
前記第1画像情報及び前記第2画像情報に基づいて、前記第1原稿の画像及び前記第2原稿の画像における予め定められた特徴を有する特徴領域を抽出する抽出ステップと、
前記第1画像情報及び前記第2画像情報に基づいて、前記第1原稿の画像及び前記第2原稿の画像における前記特徴領域から予め定められた特徴量を導出する導出ステップと、
前記第1原稿の画像及び前記第2原稿の画像の間で前記特徴量の類似度が所定度合以上である前記特徴領域を特定する特定ステップと、
前記特定ステップによる特定結果に基づいて、前記第1画像情報及び前記第2画像情報の少なくとも一方に対して前記第1原稿の画像と前記第2原稿の画像の画像全体における位置合わせ処理を実行する位置合わせステップと、
前記抽出ステップによって抽出された前記第1原稿の画像における特徴領域の数、前記抽出ステップによって抽出された前記第2原稿の画像における特徴領域の数、前記特定ステップによって特定された特徴領域の数、及び前記位置合わせステップによる位置合わせ処理の対象とされる前記第1原稿の画像と前記第2原稿の画像との間の位置ずれを示す物理量の少なくとも1つに基づいて、前記第1原稿及び前記第2原稿の少なくとも一方の異常の有無を判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより異常があると判定された場合に当該異常によって生じる不具合の発生を防止するものとして予め定められた処理を実行する実行ステップと、
をコンピュータに実行させる画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−206037(P2008−206037A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−42249(P2007−42249)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】