説明

画像処理装置及び画像処理プログラム

【課題】合成画像に対して、画素毎に合成回数が異なることに適応してノイズ低減処理を施す。
【解決手段】複数枚の画像を位置合わせし、前記複数枚の画像データを加算して新たな画像データを生成する画像処理装置は、前記新たな画像データの1つ又は複数の画素毎に、画像の加算回数を算出する加算回数算出手段(201b、202)と、前記新たな画像データの1つ又は複数の画素毎に、ノイズの低減の度合を示すノイズ低減パラメータに応じてノイズを低減するノイズ低減手段(203)と、を備え、前記ノイズ低減手段(203)は、ノイズを低減する対象となる注目画素における加算回数に基づき、前記注目画素に対するノイズ低減パラメータを設定するノイズ低減パラメータ制御手段(203b)を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の画像間の位置合わせをした上で複数枚の画像を加算して新たな画像を生成する画像処理装置及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数枚の画像を使って画像間の動きベクトル(動き量)をジャイロセンサや画像処理により求め、この動きベクトルに基づいて複数枚の画像を位置合わせし画像合成することにより、手ブレ補正する技術や高解像度化する技術がある。このような合成された画像に対してコアリングによりノイズを低減する技術が、例えば、特許文献1に記載されている。この技術は、複数枚画像から1枚の高解像度画像を生成する超解像撮影モード時と通常撮影モード時でコアリング設定値を変えてノイズ低減する技術であり、通常時の画像より高解像度な超解像画像に対して通常時のコアリング設定値より小さくすることで、ノイズ以外の小さい画像信号を削除されないようにしている。
【特許文献1】特開2002−84446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、複数枚の画像間の動きベクトルをキャンセルするように画像合成する際、画像の周辺箇所などで合成に使用する画像の枚数分と同じ回数だけ画素が合成されない場合がある。また、画像合成時に被写体ブレやオクルージョンが発生している領域を判定し、該当する領域や画素は合成しないようにする領域選択又は画素選択処理を行うことにより画素毎に合成回数が異なることがある。上記のように画素毎に合成回数が異なると、合成回数が多い箇所はノイズが少なく、合成回数少ない箇所はノイズが多く残り、全体としてばらつきがある合成画像が生成される。この画像に対して特許文献1のようなノイズ低減処理技術を使用し撮影モードによるコアリング設定値を変えても、ノイズのばらつきの影響は改善されない。
【0004】
また、合成回数の異なる画像周辺箇所をトリミング処理によって切り出して除去する場合は、画像間の動きベクトルが大きいと切り出す領域が増え、最終出力画像のサイズが小さくなってしまう。さらに、最終出力画像のサイズを固定する場合は、画像間の動きベクトルの検出量を最終出力画像サイズに合わせなければならないため、検出量の限度が小さくなってしまい、ブレ補正の効果を低下させてしまう。
【0005】
本発明は、このような課題を鑑み、画像間の位置合わせを行い画像合成した合成画像に対して、画素毎に合成回数が異なることに適応してノイズ低減処理を施すことで高精細画像の生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
複数枚の画像を位置合わせし、前記複数枚の画像データを加算して新たな画像データを生成する画像処理装置は、前記新たな画像データの1つ又は複数の画素毎に、画像データの加算回数を算出する加算回数算出手段と、前記新たな画像データの1つ又は複数の画素毎に、ノイズの低減の度合を示すノイズ低減パラメータに応じてノイズを低減するノイズ低減手段と、を備え、前記ノイズ低減手段は、ノイズを低減する対象となる注目画素における加算回数に基づき、前記注目画素に対するノイズ低減パラメータを設定するノイズ低減パラメータ制御手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、ノイズ低減パラメータを、ノイズを低減する対象となる注目画素における加算回数に基づき設定して、加算回数によって生じるノイズのばらつきのある画像に対しても加算回数に適応したノイズ低減処理ができ、高精細画像生成をすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1を参照して、本発明に係る第一実施形態を説明する。図1は、第一実施形態に係る電子スチルカメラ(撮像システム)の構成を示すブロック構成図である。
【0009】
第一実施形態に係る電子スチルカメラは、絞り101を内包するレンズ系100、分光ハーフミラー系102、シャッター103、ローパスフィルタ104、CCD撮像素子(電荷結合素子)105、A/D(アナログ−デジタル)変換回路106、切替部200、AE(自動露出)用フォトセンサ107、AF(自動焦点調節)用モータ108、撮像制御部110、信号処理部111、バッファメモリ201a、バッファメモリ201b、圧縮部124、メモリカードI/F(インターフェース)部117、メモリカード118、シャッター釦113、シャッター釦判定部112、操作表示部119、ブレ補正処理部202、ノイズ低減処理部203を備える。信号処理部111、ブレ補正処理部202、ノイズ低減処理部203、バッファメモリ201a、バッファメモリ201b等は、画像処理装置を構成する。
【0010】
絞り101を内包するレンズ系100、分光ハーフミラー系102、シャッター103、ローパスフィルタ104、CCD撮像素子105は光軸に沿って配置されている。分光ハーフミラー系102から分岐した光束はAE用フォトセンサ107に導かれる。レンズ系100には、合焦作業時にレンズ系の一部を移動するためのAF用モータ108が接続されている。CCD撮像素子105からの画像信号は、アナログ−デジタル変換を行うA/D変換回路106、信号の経路の切換を行う切換部200を介して、バッファメモリ201aへ入力される。切換部200は、切換部200からの信号の経路を切換え、信号が信号処理部111を介してバッファメモリ201aへ入力されるか、又は、直接的にバッファメモリ201aへ入力されるかを切換える。
【0011】
バッファメモリ201aは、各種の画像信号処理(後述の信号処理1、2を含む)を行う信号処理部111、ブレ補正処理を行うブレ補正処理部202、ノイズ低減処理を行うノイズ低減処理部(ノイズ低減手段)203、画像圧縮処理を行う圧縮部124から入出力のアクセスが可能であり、各処理のワークバッファとしても使用される。バッファメモリ201aに保存された画像信号は、メモリカードI/F部117を介して、脱着可能なメモリカード118へ入力され記録される。
【0012】
AE用フォトセンサ107からの画像信号は撮像制御部110へ入力されている。撮影制御部110は、絞り101、シャッター103、AF用モータ108、CCD撮像素子105、切替部200の制御が可能である。また、シャッター釦113の状態をシャッター釦判定部112が判定し撮像制御部110へ入力する。さらに、操作表示部119からの信号も撮像制御部110へ入力され、撮像制御部110は、操作表示部119を制御可能である。
【0013】
ブレ補正処理部202は、動き検出部202a、画素加算部202b、画素選択部202cを備え、バッファメモリ201aに対して読み書きが可能である。画素加算部202bは、バッファメモリ201bに対して読み書きが可能である。ブレ補正処理部202は、信号処理部111及びノイズ低減処理部203に、画像信号を出力できる。
【0014】
ノイズ低減処理部203は、ノイズ量推定部203a、コアリング幅算出部203b、コアリング処理部(コアリング処理手段)203cを備え、バッファメモリ201aに対して読み書きが可能である。ノイズ量推定部203aとコアリング幅算出部203bは、バッファメモリ201bに対して読み書きが可能である。ノイズ量推定部203aとコアリング幅算出部203bは、コアリング幅制御手段を構成する。
【0015】
図2は、第一実施形態の電子スチルカメラの外観構成図である。第一実施形態の電子スチルカメラは、カメラ本体11と、カメラ本体11に備えられた電源スイッチ12と、前述の操作表示部119が表示される液晶表示パネル13と、操作ボタン14と、前述のシャッター釦113とを有している。
【0016】
図3は、本発明に係る第一実施形態の電子スチルカメラで行われる画像処理のフローチャートを示す。
【0017】
電子スチルカメラは、高速連写撮影(ステップS1)により複数枚の画像を撮影する。さらに、撮影された複数枚の画像間のブレ量(つまり、画像全体を代表するような動きベクトル)を検出し、ブレ量を打ち消すように各画素をブレ量に対応する分だけシフトして画像データを加算することで電子ブレ補正を行い、ブレ補正した加算画像に対してノイズ低減を行う。この際、電子ブレ補正処理とノイズ低減処理の組み合わせタイプがいくつかあるのでそのタイプを判別する(ステップS2)。なお、このようなタイプは、操作表示部119等でユーザが設定可能である。タイプ判別後、RAWデータ(未加工データ)で電子ブレ補正する場合(タイプ1又はタイプ2)は、電子ブレ補正処理を行う(ステップS3、S7)。補間処理(フルカラー化)後に電子ブレ補正を行う場合(タイプ3)は、信号処理1(ステップS11)を行う。
【0018】
なお、信号処理1(ステップS5、S8、S11)は主にデモザイキングのようなフルカラー化処理(補間処理)、デモザイキング後の色変換等を指し、信号処理2(ステップS6、S9、S14)は主にエッジ強調処理等を指す。
【0019】
タイプ1の場合は、電子ブレ補正処理(ステップS3)後のRAWデータの加算画像に対してノイズ低減処理(ステップS4)を行い、ノイズ低減処理を施したRAWデータの加算画像に対して信号処理1(ステップS5)、信号処理2(ステップS6)を行う。
【0020】
タイプ2の場合は、電子ブレ補正処理(ステップS7)後のRAWデータ加算画像に対して信号処理1(ステップS8)、信号処理2(ステップS9)を行い、その後ノイズ低減処理(ステップS10)を施す。
【0021】
タイプ3の場合は、使用する複数枚の画像に対して全て信号処理1(ステップS11)を行い、フルカラー化された複数枚の画像データに対して電子ブレ補正処理(ステップS12)を行い、ノイズ低減処理(ステップS13)し、信号処理2(ステップS14)を行う。
【0022】
その後いずれかのタイプで出力された画像データに対して、圧縮処理(ステップS15)を行いデータ圧縮し、圧縮された画像データをメモリカード118等に記録(ステップS16)する。
【0023】
なお、ステップS3からS14までの処理は、ハードウェアではなく、ソフトウェア(画像処理プログラム)によっても実行可能である。
【0024】
次に、電子ブレ補正処理(ステップS3、S7、S12)の詳細を説明する。図4に電子ブレ補正処理(ステップS3、S7、S12)の処理フローチャートを示す。
【0025】
図4に示すように、まず加算・合成画像を保存するメモリ(バッファメモリ201aでよい)又はメモリ領域を初期化する(ステップS21)。その後、高速連写撮影された複数枚の画像のうち1枚を基準画像として選択し読み取り(ステップS22)、基準画像以外の参照画像のうち1枚を読み取る(ステップS23)。読み取った基準画像と参照画像との間における動きベクトルを検出するため、動きベクトル算出処理を行う(ステップS24)。この動きベクトル算出処理(ステップS24)では、MPEGなどで使用されているブロックマッチング処理を画像中の分割されたブロックで行う。それぞれのブロックで動きベクトルを算出し、各ブロックの動きベクトルの信頼性判定や頻度を解析し、電子ブレ補正で補正しようとするブレ量(つまり、画像全体を代表するような動きベクトル)に換算する。例えば、撮影時の手ブレ量であれば各ブロックの動きベクトルから頻度の高い動きベクトルを手ブレ量だと判断してその動きベクトルをブレ量として使用する。
【0026】
図5にブロックマッチングの結果から手ブレ量を推定する例を示す。図に示すように、基準画像と参照画像間で分割した領域毎にブロックマッチングを行い、領域毎の動きベクトルが求められる。その動きベクトルから頻度の少ない動きベクトルは被写体のブレ領域であると推定し、頻度が一番高い動きベクトルが存在する領域がフレーム間の手ブレによる動き領域であると推定し、その頻度が一番高い動きベクトルをブレ量として使用する。
【0027】
なお、撮像装置にジャイロセンサがあり、手ブレ量を検出している場合であれば、センサからの出力データをブレ量として使用しても良い。
【0028】
基準画像に対する参照画像のブレ量が求められたら、そのブレ量を打ち消すように参照画像の各画素をブレ量と逆方向に同じ大きさでシフトしながら基準画像の各画素に位置合わせする(ステップS25)。その際、画素選択の有無判定を行い(ステップS26)、画素選択が無しであれば、画素加算・合成処理で画素同士を加算し加算・合成画像を更新する。画素選択有りであれば、加算しようとしている画素同士の相関性を解析する画素選択処理を行い(ステップS27)、相関性が高ければ加算し、相関性が低ければ加算しないようにして加算・合成画像を更新する(ステップS28)。画素選択処理は例えば、位置合わせされた画素同士の差分をとってその差分がある閾値より小さければ相関性が高いと判断し、その差が閾値以上であれば相関性が低いと判断することができる。そして、加算・合成画像を更新する際に、各画素の加算回数をカウントし記録しておく(ステップS29)。これらの処理を電子ブレ補正処理に使用する枚数分処理したかを判定し(ステップS30)、使用枚数分処理していたらルーチンを終了し、処理していなかったら参照画像読み取り処理(ステップS23)へ戻り、未使用の参照画像を読み取り処理を繰り返す。
【0029】
図6Aと図6Bに、基準画像と参照画像の加算・合成処理と加算回数のカウントの例を示す。図6Aに示すように、基準画像と参照画像の間におけるブレ量が例えば縦X方向に2ピクセル、横Y方向に2ピクセルだとした場合、参照画像を縦横方向にブレ量と逆方向に2ピクセルずつシフトしながら基準画像の各画素と加算する。図6B中の上図の加算・合成画像の場合は、基準画像の画素Gb123と参照画像の画素Gb245、基準画像の画素B133と参照画像の画素B255は画素選択処理で相関性が低いと判定された場合で、その画素は加算しない。それらを考慮して加算回数のカウントし図6B中の下図のような加算回数データを更新していく。
【0030】
なお、図6は単板式CCDのRAWデータの例であるが、前述のタイプ3のようにフルカラー化してから電子ブレ補正処理を行う場合や三板式CCDを使用する場合には、全画素分、RGB又は色変換後のYCrCbに対して、図中と同様に加算することができる。
【0031】
図7A−7Cに、サブピクセル単位での対応付けを行って複数枚の低解像度画像(基準画像と複数枚の参照画像)から高解像度画像を生成する場合の加算・合成処理と加算回数のカウントの例を示す。
【0032】
図7A−7Cで例示するように、サブピクセル精度で動き量を検出し、その動き量と低解像度画像(元画像)から高解像度画像を生成するような場合でも、基準画像と参照画像1、2の加算・合成処理と加算回数のカウントを行うことができる。図7Aに示すように、基準画像と参照画像1の間におけるブレ量が例えば縦X方向に1ピクセル、横Y方向に1ピクセルで、基準画像と参照画像2の間におけるブレ量が縦X方向に−0.5ピクセル、横Y方向に−0.5ピクセルだとした場合を一例として説明する。まず、基準画像を高解像度のグリッドにし(図の例の場合は縦2倍、横2倍の高解像度化)、参照画像1を縦横方向にブレ量と逆方向に1ピクセルずつシフト(高解像度グリッド上では2ピクセルシフト)しながら基準画像の色(RGB)毎の各画素と加算し、参照画像2においても同様に、縦横方向にブレ量と逆方向に0.5ピクセルずつシフト(高解像度グリッド上では1ピクセルシフト)しながら基準画像の色毎の各画素と加算する。図7Bは、色(RGB)毎の加算・合成画像を示す。そして各色の画素毎で加算回数をカウントし図7Cのような加算回数データを更新していく。
【0033】
なお、図7C中の下図の空白は“0”を示しており、参照画像の枚数がもっと増えると加算回数“0”が減ってくる。
【0034】
また、使用する複数枚の参照画像を全て位置合わせしても加算回数“0”の場合は、その画素については周囲の画素から補間、又は、周囲の基準画像の画素から補間などして埋めて処理を行う。補間した際の補間画素の加算回数は、補間時の周囲画素の係数の合計、“1”とする。
【0035】
次に、ノイズ低減処理(S4、S10、S13)の詳細を説明する。
【0036】
図8と図9にノイズ低減処理(S4、S10、S13)の処理フローチャートを示す。本実施形態のノイズ低減処理は、電子ブレ補正処理(S3、S7、S12)後に、ノイズモデルデータを参照して、加算回数に応じてコアリング幅(ノイズの低減の度合を示すノイズ低減パラメータ)を設定する。コアリング幅の設定方法には、複数のノイズモデルデータからどのノイズモデルデータを使用するかを加算回数に応じて選択して、コアリング幅を参照するもの(第一のコアリング幅設定方法)と、あるひとつのノイズモデルデータを参照して計算によって加算回数に応じてコアリング幅を算出するもの(第二のコアリング幅設定方法)の2通りの方法がある。第一のコアリング幅設定方法は図8に、第二のコアリング幅設定方法は図9に示される。いずれの方法の場合でも、ノイズ量と輝度値との関係を規定するノイズモデルから簡便に加算回数に応じたノイズ量を求めて、ノイズ量に基づいてコアリング幅を設定することができる。
【0037】
図8の第一のコアリング幅設定方法を使用するノイズ低減処理について示す。加算・合成画像の全画素分のループ処理(ステップS41からS47)で、まず、ある画素を注目画素に設定する(ステップS41)。次に、ノイズ量推定用領域として注目画素の所定の周辺領域を設定し(ステップS42)、その周辺領域内で画素の平均値を算出する(ステップS43)。複数存在するノイズモデルから注目画素の加算回数に応じて適切なノイズモデルを選択し(ステップS44)、選択されたノイズモデルを参照して、既に求めた画素の平均値でのノイズ量を抽出し(ステップS45)、抽出したノイズ量をコアリング幅(ノイズ低減パラメータ)に設定して、コアリング処理を行ってノイズ低減する(ステップS46)。注目画素の位置を全画素隈なく移動し終え、全画素についてステップS42からステップS46の処理を為されたか否か判断する(ステップS47)。全画素についてステップS42からステップS46の処理が為された場合に、ノイズ低減処理を終了する。ステップS42からステップS46の処理が全画素については為されていない場合には、ステップS41に戻り、次の注目画素を設定し、ステップS42からステップS46の処理を繰り返す。こうして全画素分に対するループ処理(ステップS41からS47)を施す。
【0038】
なお、ステップS42からステップS46の処理は、ノイズ低減手段を構成し、ステップS43からステップS46の処理は、ノイズ低減パラメータ制御手段又はコアリング幅制御手段を構成する。
【0039】
なお、上記では、注目画素は複数であってもよく、設定した複数の注目画素毎に加算回数を算出して、複数の注目画素毎にノイズ低減パラメータに応じてノイズを低減することも可能である。この場合、例えば、複数の注目画素の所定の周辺領域を設定し、その周辺領域内で画素の平均値を算出し、複数の注目画素の平均的な加算回数に応じて適切なノイズモデルを選択すればよい。
【0040】
図9の第二のコアリング幅設定方法を使用するノイズ低減処理について示す。本処理は、加算・合成画像の全画素分のループ処理(ステップS51からS57)で、まず、注目画素を設定する(ステップS51)。次に、ノイズ量推定用領域として注目画素の所定の周辺領域を設定し(ステップS52)、その領域内で画素の平均値を算出する(ステップS53)。予め与えられているノイズモデルと画素の平均値からノイズ量を抽出し(ステップS54)、注目画素の加算回数に応じてコアリング幅を算出する(ステップS55)。算出されたコアリング幅(ノイズ低減パラメータ)でコアリング処理を行ってノイズ低減する(ステップS56)。注目画素を全画素に対して設定し終え、全画素についてステップS52からステップS56の処理が為されたか否か判断する(ステップS57)。全画素についてステップS52からステップS56の処理が為された場合に、ノイズ低減処理を終了する。ステップS52からステップS56の処理が全画素については為されていない場合には、ステップS51に戻り、次の注目画素を設定し、ステップS52からステップS56の処理を繰り返す。
【0041】
なお、ステップS52からステップS56の処理は、ノイズ低減手段を構成し、ステップS53からステップS56の処理は、ノイズ低減パラメータ制御手段又はコアリング幅制御手段を構成する。
【0042】
なお、上記では、注目画素は複数であってもよく、設定した複数の注目画素毎に加算回数を算出して、複数の注目画素毎にノイズ低減パラメータに応じてノイズを低減することも可能である。この場合、例えば、複数の注目画素の所定の周辺領域を設定し、その周辺領域内で画素の平均値を算出し、予め与えられているノイズモデルと画素の平均値からノイズ量を抽出し、複数の注目画素の平均的な加算回数に応じてコアリング幅を算出すればよい。
【0043】
図10A−図10Dにおいて、コアリング幅設定の例を示す。図10A中の例では、加算・合成画像のY33がコアリング処理の注目画素で、ノイズ量推定用領域が注目画素の近傍である5×5の領域である(図10A上図)。まず、ノイズ量推定用領域内で画素の平均値を算出する。その際、加算・合成画像の画素値を加算値で保存している場合には、平均値算出時の除数に加算回数を考慮して、加算回数で規格化する。例えば、各画素について加算値(Y11, Y21,・・・, Y45, Y55)をそれぞれの加算回数(n11(=2), n21(=2),・・・, n45(=2), n55(=2))で除算して加算平均(Y11/n11, Y21/n21,・・・, Y45/n45, Y55/n55)を求めてから、さらにノイズ量推定用領域内での加算平均の平均値(ノイズ量推定用領域平均値)を算出する。他の例として、ノイズ量推定用領域内で各画素についての加算値の合計(Y11+Y21+・・・+Y45+Y55)を、この領域内での加算回数の合計(図10A下図の例では68回)で除算して平均値(ノイズ量推定用領域平均値)を算出してもよい。また、領域内の加算・合成画像の画素値を加算回数で加算平均したものを各画素の画素値として保存している場合は、領域内での加算平均の合計(Y11/n11+Y21/n21+・・・+Y45/n45+Y55/n55)を領域内の画素分(図10A下図の例では25)で除算して画素の平均値(ノイズ量推定用領域平均値)を算出する。
【0044】
また、ノイズ量推定用領域内での画素の平均値を算出する際に、上記では加算画像を使用しているが、電子ブレ補正による加算前の基準画像のみを使用してノイズ量推定用領域内での画素の平均値を算出しても良い。
【0045】
なお、ノイズ量推定用領域は、大きいほどノイズ低減の効果があるが、大き過ぎると計算量が増加するため適度な大きさに設定される。
【0046】
加算回数からノイズモデルを選択する第一のコアリング幅設定方法の場合には(図10B)、複数のノイズモデルデータを予め設定しておく。そして、注目画素における加算回数に応じて、撮影時のISO感度から、(加算回数−1)段数分低いISO感度のノイズモデルを選択する。図10Bの例では、撮影時のISO感度はISO3200であり、注目画素における加算回数(4回)に応じて、3段数分低いISO400のノイズモデルを選択する。そして、選択されたノイズモデルを参照して、算出したノイズ量推定用領域平均値βから注目画素のノイズ量を抽出する(図10Bの例ではα/2)。
【0047】
なお、複数の注目画素の平均的な加算回数に応じて適切なノイズモデルを選択する場合において、平均的な加算回数が整数でない時には、平均的な加算回数を四捨五入等して整数化するようにしてよい。
【0048】
ノイズモデルからコアリング幅を計算する第二のコアリング幅設定方法の場合(図10C)には、参照できるノイズモデルと算出した平均値からノイズ量を抽出する(図中の例ではα)。参照できるノイズモデルは、撮影時のISO感度(例えばISO3200)に対応するノイズモデルが存在すれば、そのノイズモデルとなる。(なお、撮影時のISO感度に対応するノイズモデルが存在しない場合は、後述の第二実施形態のコアリング幅設定方法を使用できる。)図10Cのようにノイズモデルから抽出したノイズ量αを変換して、注目画素の加算回数に応じて注目画素のノイズ量を算出する。この時、注目画素のノイズ量は、注目画素の加算回数をnとするとノイズ量αをn-1/2倍した値として算出できる。図10Cの例では、注目画素の加算回数が4回なので注目画素のノイズ量はα/2となる。
【0049】
第一と第二のコアリング幅設定方法の両方とも、注目画素のノイズ量を決定した後、コアリング幅をノイズ量と同じ値に設定する。
【0050】
そして、下記のように条件に応じてコアリング処理を行う。まず、数式(1)で注目画素とノイズ量推定用領域平均値との差(=S)を算出する。
【0051】
【数1】

【0052】
そして、Sの絶対値とコアリング幅の大小関係と、Sの正負で条件分岐し、以下の数式(2)−(4)のように、コアリング後の画素値が算出される。
【0053】
【数2】

【0054】
即ち、(|S| ≧ コアリング幅)かつ(S>0)の場合、数式(2)のように、注目画素の画素値からコアリング幅分だけ減算することによりコアリングを行う。(|S| ≧ コアリング幅)かつ(S<0)の場合、数式(3)のように、注目画素の画素値にコアリング幅分だけ合算することによりコアリングを行う。それ以外の場合、即ち、(|S| < コアリング幅)の場合には、数式(4)のようにコアリング後の画素値をノイズ量推定用領域平均値に設定する。
【0055】
図10Dのように、コアリング後の出力信号は、ノイズ低減処理部203に入力するコアリング前の入力信号に対して、コアリング幅の分だけ平均化されてノイズ低減処理部203から出力される。
【0056】
次に、図2の電子スチルカメラで行われる上述の処理について、信号の流れに基づいてさらに説明する。
【0057】
まず、使用者がシャッター釦113を押したり電源スイッチ12をON状態にすることにより、撮影制御部110は、絞り101、シャッター103、AF用モータ108の制御をして撮影を行う。撮影ではCCD撮像素子105からの信号がA/D変換回路106にてデジタル信号化され、切替部200の制御により、そのままバッファメモリ201aに出力するか、信号処理部111へ出力するか制御される。信号処理部111では公知のホワイトバランス、補間処理(デモザイキング)などがなされフルカラーの画像信号として、バッファメモリ201aに出力される。
【0058】
シャッター釦113が半押し時のプリ撮像でのAF(自動焦点調節)制御時において、CCD撮像素子105からの出力信号をA/D変換回路106にてデジタル信号化して輝度信号を算出し、合焦位置は、その輝度信号中のエッジ強度から求められる。すなわち、AF用モータ108にてレンズ系100の合焦位置を段階的に変えることで、エッジ強度が最大となる合焦位置を推定する。AFロック後、撮像制御部110が操作表示部119へAF完了通知用の信号を出力し、液晶表示パネル13にAF完了を通知する表示が為される。この通知後、使用者がシャッター釦113を完全に押すと撮像制御部110が高速連写撮影を行う。
【0059】
高速連写撮影された複数枚の画像信号は、信号処理部111を介す場合も介さない場合もバッファメモリ201aに保存される。バッファメモリ201aに保存された複数枚の画像信号はブレ補正処理部202へ入力され、動き検出部202aで画像間のブレ量を算出し、画素加算部202bで画像を加算し、バッファメモリ201aに加算・合成画像が保存される。ブレ補正に使用される枚数分だけ処理を施してバッファメモリ201aの加算画像は上書き更新される。その際、画素加算部202bは、バッファメモリ201bに、加算画像の各画素における加算回数をカウント(算出)し記録しておく。画素加算部202bとバッファメモリ201bは、加算回数算出手段を構成する。
【0060】
ノイズ低減処理部203は、バッファメモリ201aを介して加算画像を入力し、バッファメモリ201bに記録されている各画素の加算回数データを用いながらノイズモデル選択、コアリング幅算出する。コアリング処理部203cは、コアリング幅に応じてコアリングする。コアリング後、画像信号はバッファメモリ201aに上書き更新される。バッファメモリ201aからの画像信号は、圧縮部124に入力されて、JPEGなどの画像圧縮を施され、圧縮後の画像データは、メモリカードI/F部117を介してメモリカード118に記録される。
【0061】
なお、信号処理部111内の処理は、大別すると信号処理1(補間/色変換処理等)と信号処理2(エッジ強調処理等)の2つに分けられ、これらの処理はバッファメモリ201aを介して別々に処理できる。また、信号処理部111とブレ補正処理部202とノイズ低減処理部203の処理は、バッファメモリ201aを介して、順不同で実施することが可能である。ただし、図3に示したように、ブレ補正処理部202とノイズ低減処理部203の処理の順番に関して、ブレ補正処理がノイズ低減処理よりも先に実施される。
【0062】
次に、図11を参照して、第二実施形態を説明する。第二実施形態は、撮影時のISO感度に対応するノイズモデルが存在しない場合の実施形態であり、撮影時のISO感度と参照できるノイズモデルのISO感度との感度差(段数差)が考慮されコアリング幅が計算される。この感度差も、1段分感度が下がればノイズ量が2-1/2倍になることから、加算回数1回分と同等に取り扱うことができる。
【0063】
第二実施形態において、ノイズモデルの選択とコアリング幅の変換演算とが組み合わされている。例として、複数枚の画像撮影時におけるカメラのISO感度の設定値がISO800でこれに対応するノイズモデルが存在しない場合を説明する。
【0064】
図11A上図のような電子ブレ補正処理によって加算・合成された画像がバッファメモリ201aに存在し、図11A下図のような加算回数を保存したデータがバッファメモリ201bに存在する。これらの図では、加算・合成画像のY33がコアリング処理の注目画素で、ノイズ量推定用領域が注目画素の近傍である5×5の領域である。まず、第一実施形態と同様にノイズ量推定用領域内で画素の平均値を算出する。その際、加算・合成画像の画素値を加算値で保存している場合は、平均値算出時の除数に加算回数を考慮して正規化する。加算・合成画像の画素値を加算平均して保存している場合は、平均値算出時の除数を領域内の画素分(図11A下図の例では25)として、ノイズ量推定用領域内でこの加算平均の平均値を算出する。
【0065】
ノイズモデルを選択・参照する時、撮影時のISO感度に最も近いISO感度のノイズモデルデータを選択する。図11Bの例では、存在するノイズモデルがISO感度1600と3200で、撮影時のISO感度が800であるため、撮影時のISO感度に最も近いISO1600のノイズモデルデータを選択する。選択されたノイズモデルとノイズモデル量推定用領域の平均値(図11Bではβ)からノイズ量を抽出する(図11Bではα)。ここで、選択されたノイズモデルからのノイズ量N=α、注目画素の加算回数n=3、複数枚の画像撮影時のISO感度から選択されたノイズモデルのISO感度までの感度差d=1、変換後のノイズ量N'とすると、
【0066】
【数3】

【0067】
より、N'=α/2となる。変換演算によって求めたN'=α/2をコアリング幅として、第一実施形態と同様にコアリングを行う。
【0068】
なお、ISO感度の感度差dは、撮影時のISO感度からみて、選択されたノイズモデルのISO感度への感度差であるので、上記の例の場合+1段となる。もし、選択されたノイズモデルのISO感度1600、撮影時のISO感度400であれば感度差は+2段になり、選択されたノイズモデルのISO感度1600、撮影時のISO感度6400であれば感度差は−2段となる。又、撮影時のISO感度に対応するノイズモデルが存在する場合には、感度差d=0となり、図10Cと同様に、ISO感度に対応するノイズモデルが選択され、変換後のノイズ量は、選択されたノイズモデルからのノイズ量(N=α)のn-1/2倍となる。
【0069】
第二実施形態において、撮影時のISO感度に対応するノイズモデルが存在しない場合でも、加算回数に応じたノイズ量を求めて、ノイズ量に基づいてコアリング幅を設定することができる。
【0070】
次に、図12を参照して、第三実施形態について説明する。第三実施形態において、画像信号の伝送時のノイズにノイズ低減処理が適用される。図12は、例示として、カプセル内視鏡システムの構成図を示す。
【0071】
カプセル内視鏡システムは、撮像素子により取得した複数枚画像の画像信号を無線により伝送するカプセル内視鏡300(画像取得手段)、カプセル内視鏡300からの画像信号を受信し画像処理する画像処理装置301、画像処理装置301からの画像信号を画像として表示する表示装置305を備える。画像処理装置301は、カプセル内視鏡からの画像信号を受信し又カプセル内視鏡への制御信号を送信する無線部302、受信した画像信号をアナログーデジタル変換するA/D(アナログーデジタル)変換回路303、A/D変換回路303からの画像信号を処理する画像処理部304から構成される。
【0072】
カプセル内視鏡システムのような無線システムでは、撮像したアナログデータを無線伝送するときに、伝送ノイズが発生する。この場合、第一実施形態及び第二実施形態のような輝度値に応じたノイズでなく、輝度値に無関係な伝送ノイズが発生する。この時の第一実施形態及び第二実施形態と同様の考え方で、注目画素の加算回数nを考慮した画像信号の伝送ノイズ量N’を、そのままの(加算回数を考慮しない)伝送ノイズ量Nに基づいて計算する。ここでは、ISO感度の感度差分は考慮しないため、第二実施形態の数式(5)が、以下の数式(6)に置き換えられる。
【0073】
【数4】

【0074】
画像処理装置301内の画像処理部304で、伝送されてきた複数枚の画像を位置合わせし画像加算・合成後にノイズ低減処理を施す場合に、数式(6)を用い各画素の加算回数に応じてコアリング幅を変えてノイズ低減する。複数枚の画像の位置合わせ処理、画像加算・合成処理、加算回数のデータ保存、コアリングによるノイズ低減処理の方法は、第一実施形態及び第二実施形態と同様に行う。
【0075】
以上の第一から第三実施形態によれば、複数枚の画像を使って位置合わせしブレ補正による画像加算・合成した加算画像に対して、コアリング処理によるノイズ低減を行う。この際に、加算回数に応じて参照するノイズモデルを選択あるいはノイズモデルのノイズ量から変換演算することによって加算回数に適したコアリング幅を設定することができる。このため、まばらなノイズのある加算画像に対しても均一な仕上がりになるノイズ低減をすることが可能となる。
【0076】
なお、本発明は上記の第一実施形態から第三実施形態に限定されるものではない。例えば、上記の第一実施形態から第三実施形態において、ノイズ低減処理はコアリング処理を用いて行われたが、ノイズ低減処理は、ノイズ除去フィルタを用いたフィルタリング処理によっても簡便に行うことができる。ノイズ除去フィルタとして、ある画素についての周辺画素の平均値を基にその画素の補正を行うローパスフィルタや、周辺画素の中央値で補正を行うメディアンフィルタが挙げられる。
【0077】
この場合には、フィルタ行列のサイズ、フィルタリング回数、又はフィルタ行列の行列要素等のノイズ低減パラメータ(ノイズ低減の度合を示すパラメータ)を、ノイズ低減の対象となる注目画素における加算回数と基準輝度値とに基づき計算して、フィルタリングを行ってよい。
【0078】
例えば、注目画素における加算回数が小さいほどノイズ量は大きくなるため、加算回数が小さいほど、フィルタ行列のサイズ又はフィルタリング回数を増加させてノイズをより強く低減してよい。又、注目画素における平均輝度値(基準輝度値)が大きいほどノイズ量は大きくなるため、平均輝度値が大きいほど、フィルタ行列のサイズ又はフィルタリング回数を増加させてノイズをより強く低減してよい。このようにノイズ低減パラメータを、ノイズを低減する対象となる注目画素における加算回数と基準輝度値とに基づき制御して、画素毎に合成回数が異なることに適応してノイズ低減処理を施すことができる。
【0079】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】第一実施形態に係る電子スチルカメラの構成を示すブロック構成図である。
【図2】第一実施形態に係る電子スチルカメラの外観構成図である。
【図3】第一実施形態に係る画像処理を示すフローチャートである。
【図4】第一実施形態に係る電子ブレ補正処理を示すフローチャートである。
【図5】第一実施形態に係るブレ補正値推定の一例を示す図である。
【図6A】画像加算前の基準画像(上図)と参照画像(下図)を示す図である。
【図6B】第一実施形態に係る画像加算(上図)と各画素の加算回数(下図)の一例を示す図である。
【図7A】高解像度して画像を加算する前の基準画像(上図)、参照画像1(中図)、参照画像2(下図)を示す図である。
【図7B】高解像度の加算・合成画像の一例を示す図である。
【図7C】図7Bの加算・合成画像の加算回数を示す図である。
【図8】第一実施形態のノイズ低減処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】第一実施形態のノイズ低減処理の一例を示すフローチャートである。
【図10A】加算合成後の画像(上図)と各画素の加算回数(下図)を示す図である。
【図10B】ノイズ量と輝度値との関係を示すノイズモデル(ISO感度に応じて複数設定されている)と画像加算回数に応じたコアリング幅の設定を示す図である。
【図10C】撮影時のISO感度に対応する、参照可能なノイズモデルと、画像加算回数に応じたコアリング幅の設定を示す図である。
【図10D】第一実施形態に係るコアリング処理について説明する図であり、コアリング前の入力信号とコアリング後の出力信号の関係を示す。
【図11A】第二実施形態に係る加算合成後の画像(上図)と各画素の加算回数(下図)を示す図である。
【図11B】第二実施形態に係るノイズモデル選択とコアリング幅変換演算の例を示す図である。存在するノイズモデルからのノイズモデル選択、及び、コアリング幅変換演算を説明する。
【図12】第三実施形態に係るカプセル内視鏡システムを示す図である。
【符号の説明】
【0081】
100 レンズ系
105 CCD撮像素子
110 撮像制御部
111 信号処理部
113 シャッター釦
201a バッファメモリ
201b バッファメモリ
202 ブレ補正処理部
202a 動き検出部
202b 画素加算部
202c 画素選択部
203 ノイズ低減処理部
203a ノイズ量推定部
203b コアリング幅算出部
203c コアリング処理部
300 カプセル内視鏡
301 画像処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の画像を位置合わせし、前記複数枚の画像データを加算して新たな画像データを生成する画像処理装置であって、
前記新たな画像データの1つ又は複数の画素毎に、画像データの加算回数を算出する加算回数算出手段と、
前記新たな画像データの1つ又は複数の画素毎に、ノイズの低減の度合を示すノイズ低減パラメータに応じてノイズを低減するノイズ低減手段と、を備え、
前記ノイズ低減手段は、ノイズを低減する対象となる注目画素における加算回数に基づき、前記注目画素に対するノイズ低減パラメータを設定するノイズ低減パラメータ制御手段を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記ノイズ低減パラメータが、コアリング幅であり、前記ノイズ低減手段が、基準輝度値及び前記加算回数とに基づき前記コアリング幅を設定するコアリング幅制御手段、及び、コアリングによりノイズを低減するコアリング処理手段からなることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記コアリング幅制御手段は、ノイズ量と輝度値との関係を規定する複数のノイズモデルから、前記注目画素における前記加算回数に応じて一つのノイズモデルを選択かつ参照して、前記基準輝度値に応じてノイズ量を演算し、演算した前記ノイズ量に基づいてコアリング幅を設定することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記コアリング幅制御手段は、ノイズ量と輝度値との関係を規定するノイズモデルを参照して前記基準輝度値からノイズ量を演算し、演算した前記ノイズ量を前記注目画素における前記加算回数に応じて変換した値をコアリング幅として設定することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
演算した前記ノイズ量を、前記注目画素における前記加算回数と、前記複数枚の画像を撮影した時のISO感度と前記参照したノイズモデルのISO感度との感度差とに応じて変換し、変換した値をコアリング幅として設定することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記複数枚の画像を撮影した時のISO感度に対応するノイズモデルが存在しない場合に、前記複数枚の画像を撮影した時のISO感度に最も近いISO感度のノイズモデルが選択かつ参照されることを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記コアリング幅制御手段は、前記ノイズモデルからの前記注目画素のノイズ量をN、前記注目画素における前記加算回数をn、前記複数枚の画像を撮影した時のISO感度から前記ノイズモデルのISO感度までの感度差をd、変換後のノイズ量N’とした場合に、
【数1】

によって変換して求めたN’をコアリング幅に設定することを特徴とする請求項5又は6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記ノイズ低減手段が、ノイズを低減するノイズ除去フィルタからなり、
前記ノイズ低減手段の前記ノイズ低減パラメータ制御手段が、前記ノイズ低減パラメータとして、前記ノイズ除去フィルタのフィルタ行列のサイズ、行列要素、又は、フィルタリング回数を、基準輝度値及び前記加算回数とに基づき制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記ノイズ低減手段が、前記注目画素における前記加算回数が小さいほど、フィルタ行列のサイズ又はフィルタリング回数を増加させることを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記ノイズ低減手段が、前記注目画素における前記基準輝度値が大きいほど、フィルタ行列のサイズ又はフィルタリング回数を増加させることを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記注目画素の基準輝度値は、前記注目画素の周りの所定範囲における画素の輝度値の平均値であることを特徴とする請求項2又は請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記注目画素の周りの前記所定範囲における画素の輝度値は、その画素の加算回数に対する平均輝度値であることを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記ノイズ低減手段が、前記複数枚の画像を取得する画像取得手段から前記複数枚の画像を伝送する際に生じる伝送ノイズを、前記複数枚の画像の画素の輝度値に無関係に低減することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項14】
複数枚の画像を位置合わせし、前記複数枚の画像データを加算して新たな画像データを生成する画像処理プログラムにおいて、
前記新たな画像データの1つ又は複数の画素毎に、画像データの加算回数を算出する加算回数算出手順と、
前記新たな画像データの1つ又は複数の画素毎に、ノイズの低減の度合を示すノイズ低減パラメータに応じてノイズを低減するノイズ低減手順と、を備え、
前記ノイズ低減手順は、ノイズを低減する対象となる注目画素における加算回数に基づき、前記注目画素に対するノイズ低減パラメータを制御するノイズ低減パラメータ制御手順を有することを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−194700(P2009−194700A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34458(P2008−34458)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】