説明

画像処理装置及び画像処理プログラム

【課題】画像データのラスタライズ処理中に、後に処理する予定の画像データの先行処理を外部の処理装置で行わない場合に比べて、処理能力を向上させた画像処理システム、ラスタライズ処理装置、及び画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】現行ジョブのRip処理中に未使用の外部Rip処理装置19が有る場合は、ジョブ管理部42が事前処理部44に後続ジョブの先行処理を依頼し、事前処理部44がRip処理装置16に後続ジョブの先行処理情報を配信する。Rip処理装置16は、受け付けた先行処理情報を、自装置に割り当てられている外部Rip処理装置19に連絡する。外部Rip処理装置19は、後続ジョブの先行処理を行い、ラスタライズデータを保存する。現行ジョブの後に、後続ジョブをRip処理する際は、Rip処理装置16の先行処理ページ取得部64が先行処理実行情報に基づいて先行処理されているラスタライズデータを取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、印刷ジョブを記述したページ記述言語から印刷のための画素情報を得るラスタライズ処理をネットワーク上の複数の演算処理装置で行い、ネットワーク上の1つ以上の印刷処理装置を用いて出力する印刷処理システムにおいて、前記演算処理装置の処理応力と現在の処理状況、およびネットワークの転送能力と現在の処理状況、およびネットワークの転送能力と現在の転送状態を管理する能力情報管理手段と、前記能力情報管理手段に基づいて効率の良い印刷ジョブの分割を行う印刷ジョブ分割手段と、前記印刷ジョブ分割手段で分割された印刷ジョブを前記複数の演算処理装置に転送する印刷ジョブ転送手段と、転送された演算処理装置にてラスタライズ処理を行うラスタライズ処理手段と、ラスタライズ処理された分割画素情報をページ単位の画素情報に合成する画素合成手段と、前記画素合成手段で合成されたページ単位の画素情報を出力するように制御する出力制御手段と、を備えていることを特徴とする印刷処理システムが記載されている。
【0003】
特許文献2には、外部装置との相互通信手段と、印刷を要求する印刷要求手段とを有することを特徴とするクライアント装置と、分散オブジェクト技術を実装し、外部装置との相互通信手段と前記クライアント装置から要求されたプリンタ言語または画像データの画像データ処理手段と、前記画像データ処理手段を外部装置に分散処理させる第1の分散手段と、外部機器との相互通信手段と、前記プリンタ言語または画像データとそのデータ処理を含むオブジェクトの全てまたは一部を1つ以上の外部装置と共有する共有手段と、前記第1の分散手段により外部装置が画像データ処理を行った結果を受信する受信手段と、前記受信手段の結果に基づいて印刷を実行する印刷実行手段とを有することを特徴とする画像処理装置と、分散オブジェクト技術を実装し、外部装置との相互通信手段と、外部装置からの分散処理要求を受信する受信手段と、前記受信手段による要求を該具装置の代わりに実行する分散処理実行手段と、前記分散処理実行手段の処理結果を前記分散処理要求を行った外部装置に返す処理結果返信手段とを有することを特徴とするサーバ装置とを、前記相互通信手段によって接続した印刷ネットワークシステムが記載されている。
【0004】
特許文献3には、ユーザパソコンからの印刷要求による印刷データを受信してスプールするプリントマネージャと、該プリントマネージャの下にジョブ管理される複数のRIPと、前記プリントマネージャに接続されたプリンタとからなり、前記プリントマネージャはジョブ内容に応じて前記複数のRIPにジョブを分配して並列処理を行わせることにより、高速プリンタが有する処理速度で高速印刷できるようにすることを特徴とする分散RIP処理による高速ラスタライズシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−282494号公報
【特許文献2】特開2005−092444号公報
【特許文献3】特開2007−310450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、画像データのラスタライズ処理中に、後に処理する予定の画像データの先行処理を外部の処理装置で行わない場合に比べて、処理能力を向上させた画像処理システム、ラスタライズ処理装置、及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の画像処理システムは、複数のページのデータを含む画像データを複数受け付ける受付手段と、前記受付手段で受け付けた画像データをページ毎にラスタライズ処理するための処理情報を、画像データをラスタライズ処理する処理手段に配信すると共に、前記処理手段のラスタライズ処理の処理負荷に応じて、画像データをラスタライズ処理する外部の処理装置に、前記処理手段に配信した画像データのページと異なるページをラスタライズ処理するための処理情報を配信する第1の配信手段と、前記外部の処理装置が前記第1の配信手段により配信された処理情報に基づいてラスタライズ処理を行っていない場合に、前記処理手段でラスタライズ処理中の画像データの後に処理する予定の画像データを前記外部の処理装置で先行してラスタライズ処理するよう先行処理を依頼する依頼手段と、前記依頼手段により先行処理を依頼された画像データを前記先行処理するための先行処理情報を配信する第2の配信手段と、前記第2の配信手段により配信された先行処理情報に基づいて前記外部の処理装置で先行処理された先行処理済の画像データに関する先行処理済情報を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した先行処理済情報を前記処理手段に通知する通知手段と、を備えた。
【0008】
請求項2に記載の画像処理システムは、請求項1に記載の画像処理システムにおいて、前記外部の処理装置が割り当てられた前記処理手段と、前記第2の配信手段により配信された先行処理情報を受け付ける先行処理情報受付手段と、前記先行処理情報受付手段で受け付けた先行処理情報を、前記処理手段に割り当てられた前記外部の処理装置に連絡する連絡手段と、前記処理手段に前記通知手段から通知された前記先行処理済情報に基づいて前記処理手段に割り当てられた前記外部の処理装置から前記先行処理済の画像データを取得する先行処理済画像データ取得手段と、を備えたラスタライズ処理装置を備えた。
【0009】
請求項3に記載の画像処理システムは、請求項1に記載の画像処理システムにおいて、前記外部の処理装置が割り当てられた前記処理手段と、前記処理手段に前記通知手段から通知された前記先行処理済情報に基づいて前記処理手段に割り当てられた前記外部の処理装置から前記先行処理済の画像データを取得する先行処理済画像データ取得手段と、を備えたラスタライズ処理装置を備え、前記第2の配信手段は、前記処理手段に割り当てられた前記外部の処理装置に、前記処理手段に応じた前記画像データを先行処理するための前記先行処理情報を配信する。
【0010】
請求項4に記載の画像処理システムは、請求項1に記載の画像処理システムにおいて、前記第2の配信手段は、複数の前記外部の処理装置の何れかに前記先行処理情報を配信し、前記取得手段が取得する前記先行処理済情報には、前記外部の処理装置の何れで前記先行処理を行ったかを示す外部処理装置情報が含まれ、前記処理手段と、前記処理手段に前記通知手段から通知された前記先行処理済情報に含まれる前記外部処理装置情報に対応する前記外部の処理装置から前記先行処理済の画像データを取得する先行処理済画像データ取得手段と、を備えたラスタライズ処理装置を備えた。
【0011】
請求項5に記載の画像処理システムは、請求項1に記載の画像処理システムにおいて、前記第1の配信手段により配信された処理情報に基づいてラスタライズ処理を行っていない前記外部の処理装置からの求めに応じて、前記第2の配信手段が、前記外部の処理装置に前記先行処理情報を配信し、前記取得手段が取得する前記先行処理済情報には、前記先行処理を行った前記外部の処理装置を示す外部処理装置情報が含まれ、前記処理手段と、前記処理手段に前記通知手段から通知された前記先行処理済情報に含まれる前記外部処理装置情報に対応する前記外部の処理装置から前記先行処理済の画像データを取得する先行処理済画像データ取得手段と、を備えたラスタライズ処理装置を備えた。
【0012】
請求項6に記載のラスタライズ処理装置は、請求項2から請求項5の何れか1項に記載されている。
【0013】
請求項7に記載の画像処理プログラムは、受付手段により、複数のページのデータを含む画像データを複数受け付けるステップと、第1の配信手段により、前記受付手段で受け付けた画像データをページ毎にラスタライズ処理するための処理情報を、画像データをラスタライズ処理する処理手段に配信すると共に、前記処理手段のラスタライズ処理の処理負荷に応じて、画像データをラスタライズ処理する外部の処理装置に、前記処理手段に配信した画像データのページと異なるページをラスタライズ処理するための処理情報を配信するステップと、依頼手段により、前記外部の処理装置が前記第1の配信手段により配信された処理情報に基づいてラスタライズ処理を行っていない場合に、前記処理手段でラスタライズ処理中の画像データの後に処理する予定の画像データを前記外部の処理装置で先行してラスタライズ処理するよう先行処理を依頼するステップと、第2の配信手段により、前記依頼手段により先行処理を依頼された画像データを前記先行処理するための先行処理情報を配信するステップと、取得手段により、前記第2の配信手段により配信された先行処理情報に基づいて前記外部の処理装置で先行処理された先行処理済の画像データに関する先行処理済情報を取得するステップと、通知手段により、前記取得手段が取得した先行処理済情報を前記処理手段に通知するステップと、を備えた処理をコンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1、請求項6、及び請求項7に記載の発明によれば、画像データのラスタライズ処理中に、後に処理する予定の画像データの先行処理を外部の処理装置で行わない場合に比べて、処理能力が向上する。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、処理手段に割り当てられている外部の処理装置に先行処理情報を配信しない場合に比べて、処理装置が先行処理を行った外部の処理装置を認識されるようになる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、処理装置に先行処理情報を配信する場合に比べて、処理装置の負荷が軽減する。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、先行処理済情報に外部処理装置情報が含まれない場合に比べて、処理装置に特定の外部の処理装置が割り当てられていない場合または、割り当てと異なる外部の処理装置で先行処理が行われた場合であっても、処理装置で先行処理済の画像データが取得されるようになる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、外部の処理装置からの求めに応じて先行処理情報を配信しない場合に比べて、処理負荷が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施の形態に係る画像処理システムを用いた印刷システムの概略構成の一例を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係る画像処理システムの接続関係の一例を示す概略構成図である。
【図3】第1の実施の形態に係る画像処理システムのコントローラの制御系のハードウェアの概略構成の一例を示す概略構成図である。
【図4】第1の実施の形態に係る画像処理システム全体の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図5】第1の実施の形態に係る後続ジョブの先行処理を行うための機能を備えたRip処理装置の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図6】第1の実施の形態に係る画像処理システムのコントローラの制御系のCPUで実行される先行処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態に係る画像処理システムのRip処理装置の制御部で実行される先行処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施の形態に係る後続ジョブの先行処理を行うための機能を備えたRip処理装置の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図9】第2の実施の形態に係る画像処理システムのコントローラの制御系のCPUで実行される先行処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態に係る画像処理システムのRip処理装置の制御部で実行される先行処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】第3の実施の形態に係る後続ジョブの先行処理を行うための機能を備えたRip処理装置の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図12】第3の実施の形態に係る画像処理システムのコントローラの制御系のCPUで実行される先行処理の一例を示すフローチャートである。
【図13】第3の実施の形態に係る画像処理システムのRip処理装置の制御部で実行される先行処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】第4の実施の形態に係る後続ジョブの先行処理を行うための機能を備えたRip処理装置の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図15】第4の実施の形態に係る画像処理システムのコントローラの制御系のCPUで実行される先行処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施の形態]
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0021】
まず、本実施の形態の画像処理システムを用いた印刷システムについて説明する。図1は、本実施の形態の画像処理システムを用いた印刷システムの概略構成の一例を示す概略構成図である。本実施の形態の印刷システム1は、印刷装置4で記録媒体としての連続紙7にカラー画像を形成する印刷を行うものである。
【0022】
本実施の形態の画像処理システム10を用いた印刷システム1は、前処理装置2、バッファ装置3、印刷装置4、バッファ装置5、後処理装置6、及び画像処理システム10を備えて構成されている。
【0023】
前処理装置2は、連続紙7に画像形成を行う前の種々の前処理(例えば、パンチや切り取り線等の生成)を行うものである。バッファ装置3は、前処理装置2の処理速度と印刷装置4の処理速度との差を吸収するものである。
【0024】
印刷装置4は、画像処理システム10及び各色毎に画像形成部8(8Y、8M、8C、8K)を備えており、連続紙7に画像を形成する。本実施の形態の画像形成部8は、電子写真方式によって連続紙7に画像を形成する構成になっている。具体的には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)に対応する感光体の周囲に、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置、及び除電装置等が順番に配置され、定着装置9が用紙搬送方向下流側に配置されている。
【0025】
具体的には、感光体が回転され、帯電装置によって感光体の表面が均一に帯電され、これにより感光体の表面に露光装置によって潜像が形成される。感光体の表面に形成された潜像が現像装置により現像されてトナー像が形成され、当該トナー像が転写装置により連続紙7に転写される。また、連続紙7に転写されたトナー像は定着装置9によって定着が行われる。また、転写装置によって連続紙7に転写されずに残存した感光体の表面のトナーは、クリーニング装置によって除去され、除電装置によって除電された後に、再び、帯電装置による帯電から上述した処理が繰り返されることにより画像形成が行われる。
【0026】
印刷装置4により画像が形成された連続紙7は、バッファ装置5を介して後処理装置6に搬送される。バッファ装置5は、印刷装置4の処理速度と後処理装置6の処理速度との差を吸収するものである。後処理装置6は、連続紙7を巻き取ると共に、印刷装置4により画像が形成された連続紙7に対して、種々の後処理(例えば、予め定めたサイズにカット、製本等)を行うものである。
【0027】
次に、本実施の形態の画像処理システム10の接続関係について説明する。図2は、本実施の形態の画像処理システム10の接続関係の一例を示す概略構成図である。
【0028】
本実施の形態の画像処理システム10は、コントローラ14及びRip処理装置16C、16M、16Y、16Kを備えて構成されている。画像処理システム10のコントローラ14と、画像処理システム10に画像データを送信するホスト装置12とは、ネットワークやLAN回線等の通信回線14により各種データが授受されるように接続されている。また、コントローラ14と、Rip処理装置16C、16M、16Y、16Kと、外部Rip処理装置群18の外部Rip処理装置19〜19とは、ネットワークやLAN回線等の通信回線15により各種データが授受されるように接続されている。なお、本実施の形態においてRip(Raster Image Processor)処理とは、ベクトルデータである画像データをページデータ毎にラスタイメージデータに展開するラスタライズ処理のことをいう。
【0029】
また、Rip処理装置16C、16M、16Y、16Kはそれぞれ印刷装置4の画像形成部8C、8M、8Y、8Kに含まれるITO処理部17C、17M、17Y、17Kに接続されており、各色に応じた画像形成のための情報やRip処理された画像データ等が送信される。
【0030】
なお、以下の説明では、Rip処理装置16C、16M、16Y、16KやITO処理部17C、17M、17Y、17K等、各色毎に設けられているもの等について総称する場合は、その符号に各色を示すCMYKを付さずに記す。また、本実施の形態では、外部Rip処理装置群18として、n個の外部Rip処理装置19〜19を備えた構成を示しているが総称する場合は、その符号に1〜nの符号を付さずに記す。
【0031】
次に、本実施の形態の画像処理システム10の概略構成の一例について説明する。本実施の形態のコントローラ14の制御系のハードウェアの概略構成の一例を図3に示す。
【0032】
本実施の形態の画像処理システム10のコントローラ14は、CPU20、ROM22、RAM24、記憶装置26、UI装置28、通信IF30、及び印刷IF32を備えて構成されている。
【0033】
CPU20は、コントローラ14全体の制御等を行うものであり、具体的には、ROM22に格納されているプログラム23を実行することにより制御を行っている。なお、本実施の形態では、プログラム23は、予め格納されている構成としているがこれに限らず、プログラム23をCD−ROMやリムーバブルディスク等の記録媒体等に記憶しておき記録媒体からROM22等にインストールするようにしてもよいし、インターネット等の通信回線を介して外部装置からROM22等にインストールするようにしてもよい。RAM24は、CPU20でプログラム23を実行する際の作業用の領域を確保するものである。
【0034】
記憶装置26は、コントローラ14における後述の処理等の際に要するデータ等を記憶するものである。具体的例としては、メモリやハードディスク等が挙げられる。
【0035】
UI(ユーザインターフェイス)装置28はユーザが各種の指示等を行った、ユーザに対して情報を提示したりするものである。具体的例としては、タッチディスプレイやキーボード、マウス、スピーカ等が挙げられる。
【0036】
通信IF(インターフェイス)30は、コントローラ14外部の装置(ホスト装置12、Rip処理装置16、及び外部Rip処理装置群18等)と通信を行い、各種データ等の授受を行うインターフェイスである。印刷IF32は、印刷装置4と通信を行い、印刷指示やRip処理された画像データ等の各種データの授受を行うインターフェイスである。
【0037】
CPU20、ROM22、RAM24、記憶装置26、UI装置28、通信IF30、及び印刷IF32は、ネットワークやLAN回線等の通信回線33により各種データが授受されるように接続されている。
【0038】
次に、本実施の形態の画像処理システム10における画像処理の流れについて図を参照して説明する。図4は、本実施の形態の画像処理システム10の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0039】
画像処理システム10のコントローラ14は、データ受信部40、ジョブ管理部42、事前処理部44、及びデータ配信処理部46を備えて構成されている。
【0040】
データ受信部40は、ホスト装置12から画像データ及び当該画像データの印刷指示に関する情報を含むジョブを受信する機能を有するものである。データ受信部40では、複数のジョブが受信される。ジョブ管理部42は、データ受信部40で受信したジョブの管理を行う機能を有するものである。ジョブ管理部42は、Rip処理を行うジョブ(以下、現行ジョブという)に含まれる画像データをページ毎に各Rip処理装置16に配信するようにデータ配信処理部46に指示すると共に、Rip処理装置16で行われるRip処理の処理速度やRip処理装置16のCPU(詳細後述)の稼働状況等により処理負荷が高いと判断した場合は、外部Rip処理装置群18にも画像データのページを)配信するようにデータ配信処理部46に指示する。また、ジョブ管理部42は、Rip処理装置16で現行ジョブのRip処理中に、データ受信部40が別のジョブ(現行ジョブの後にRip処理を行う予定のジョブ、以下、後続ジョブという)を受信しており、外部Rip処理装置群18の外部Rip処理装置19の少なくとも1つが現行ジョブのRip処理を行っていない場合は、当該Rip処理を行っていない外部Rip処理装置19に後続ジョブを先行してRip処理するよう先行処理を事前処理部44に依頼する。
【0041】
事前処理部44は、ジョブ管理部42から後続ジョブの先行処理依頼を受けると、外部Rip処理装置19に事前に後続ジョブを先行してRip処理させるために、後続ジョブの画像データ(画像データのページデータ)等を含む先行処理情報を外部Rip処理装置19に配信する機能を有するものである。なお、本実施の形態で先行処理とは、現行ジョブに対して行うRip処理と同様のものであり、先行処理情報とは、現行ジョブのRip処理時にデータ配信処理部46から配信される情報と同様のものである。
【0042】
また、事前処理部44は、先行処理情報の配信先の外部Rip処理装置19に関する情報(外部Rip処理装置19〜19の何れにどのページを配信したか等を示す情報、以下、先行処理実行情報という)をジョブ管理部42に通知する機能を有している。
【0043】
データ配信処理部46は、ジョブ管理部42の指示に従い、画像データのページデータをRip処理するための情報をRip処理装置16、及び外部Rip処理装置群18に配信する機能を有するものである。なお、本実施の形態では、データ配信処理部46はRip処理装置16毎に異なるページのページデータを配信する。
【0044】
画像処理システム10のRip処理装置16は、Rip処理部50、データ保存部52、及び画像形成制御部54を含んで構成されている。
【0045】
Rip処理部50はデータ配信処理部46により配信された現行ジョブのページデータをRip処理部50でRip処理し、自装置で担当する色のラスタライズデータをデータ保存部52に保存し、他の色のラスタライズデータをそれぞれ担当するRip処理装置16に送信する。送信された他の色のラスタライズデータは、それぞれの色に対応したRip処理装置16のデータ保存部52に保存される。なお、外部Rip処理装置19で現行ジョブのRip処理を行ったラスタライズデータは、それぞれの色に対応したRip処理装置16に配信され、各Rip処理装置16のデータ保存部52に保存される。
【0046】
また、Rip処理装置16の画像形成制御部54が印刷装置4の画像形成処理部17を制御し、画像形成処理部17の処理状況に応じてデータ保存部52に保存されているラスタライズデータをそれぞれの色に対応した画像形成処理部17に出力する。
【0047】
次に本実施の形態の画像処理システム10における後続ジョブの先行処理について詳細に説明する。まず、後続ジョブの先行処理を行うための機能を備えた本実施の形態のRip処理装置16の概略構成の一例の機能ブロック図を図5に示す。なお、本実施の形態のRip処理装置16は、各Rip処理装置16毎に外部Rip処理装置19のいずれかが割り当てられており、コントローラ14から先行処理情報を受付けると、割り当てられている外部Rip処理装置19に先行処理を行わせる機能を有している。
【0048】
そのため、本実施の形態のRip処理装置16は、制御部60、Rip処理部50、データ保存部52、画像形成制御部54、受付部62、先行処理情報連絡部63、先行処理ページ取得部64、及び送信部65を備えて構成されている。
【0049】
制御部60は、Rip処理装置16全体を制御する機能を有しており、具体的には、CPU66、ROM67、及びプログラム68を含んで構成されている。本実施の形態では、プログラム68は、ROM67に予め格納されている構成としているがこれに限らず、プログラム68をCD−ROMやリムーバブルディスク等の記録媒体等に記憶しておき記録媒体からROM67等にインストールするようにしてもよいし、インターネット等の通信回線を介して外部装置からROM67等にインストールするようにしてもよい。RAM69は、CPU66でプログラム68を実行する際の作業用の領域を確保するものである。
【0050】
受付部62は、コントローラ14から現行ジョブのRip処理の依頼や、後続ジョブの先行処理情報を受け付ける機能を有している。先行処理情報連絡部63は、自装置に割り当てられており、現行ジョブのRip処理を行っていない外部Rip処理装置19に、受付部62で受け付けた先行処理情報を連絡する機能を有している。なお、本実施の形態では、外部Rip処理装置19は、先行処理情報連絡部63から先行処理情報が連絡されると、後続ジョブのページデータをRip処理部70でRip処理し、Rip処理したラスタライズデータをデータ保存部72に保存する。
【0051】
先行処理ページ取得部64は、現行ジョブのRip処理の終了後に、後続ジョブをRip処理する際に、コントローラ14から後続ジョブのRip処理の依頼に伴う先行処理実行情報を受け取り、すでに先行処理されているページデータ(ラスタライズデータ)を自装置に割り当てられている外部Rip処理装置19のデータ保存部72から取得する機能を有している。
【0052】
また、送信部65は、Rip処理済みのラスタライズデータのうち、自装置の担当色ではないラスタライズデータを、それぞれ担当するRip処理装置16に送信する機能を有している。
【0053】
次に、本実施の形態の画像処理システム10における後続ジョブの先行処理動作の流れについて説明する。図6は、本実施の形態のコントローラ14の制御系のCPU20で実行される先行処理(プログラム23)の一例を示すフローチャートである。また、図7は、本実施の形態のRip処理装置16の制御部60のCPU66で実行される先行処理(プログラム68)の一例を示すフローチャートである。
【0054】
コントローラ14では、データ受信部40がホスト装置12からジョブを受信すると、図6に示した本処理が実行される。
【0055】
ステップ100では、Rip処理装置16にRip処理を依頼するジョブに先行処理実行情報が対応付けられているか否かを判断する。例えば、現行ジョブをRip処理する場合や、現行ジョブのRip処理の際に、外部Rip処理装置19が全て現行ジョブのRip処理に使用されており、先行処理を行わなかった場合の後続ジョブをRip処理する場合等は、否定されてステップ102へ進む。
【0056】
ステップ102では、ジョブ管理部42及びデータ配信処理部46がRip処理装置16へRip処理を依頼した後、ステップ106へ進む。当該依頼により、Rip処理装置16、及びRip処理装置16の処理負荷が高い場合は外部Rip処理装置19を使用して現行ジョブのRip処理を行う通常のRip処理が実行される。
【0057】
一方、すでに先行処理が行われている場合(現行ジョブのRip処理終了後に、後続ジョブをRip処理する場合等)は、肯定されてステップ104へ進む。ステップ104では、ジョブ管理部42及び事前処理部44がジョブ管理部42に保存されていた先行処理実行情報と共に、Rip処理装置16にRip処理を依頼した後、ステップ106へ進む。
【0058】
ステップ106では、ジョブ管理部42が後続ジョブが有るか否か判断する。データ受信部40で後続ジョブを受信している場合は、肯定されてステップ108へ進む。ステップ108では、現行ジョブで全部の外部Rip処理装置19を使用しているか否か判断する。現行ジョブの処理負荷が高い場合等、全部の外部Rip処理装置19が使用されている場合は、肯定されてステップ118へ進む。一方、現行ジョブの処理負荷が低い等、使用していない外部Rip処理装置19が有る場合は、否定されてステップ110へ進む。
【0059】
ステップ110では、ジョブ管理部42から事前処理部44へ後続ジョブの先行処理を依頼し、次のステップ112では、事前処理部44が、使用していない外部Rip処理装置19が割り当てられているRip処理装置16へ後続ジョブの先行処理情報を配信する。これにより、先行処理情報が配信されたRip処理装置16は、先行処理情報を割り当てられている外部Rip処理装置19に連絡する(詳細後述)。
【0060】
次のステップ114では、事前処理部44からジョブ管理部42へ、事前処理部44が配信した先行処理情報に応じた先行処理実行情報を通知し、次のステップ116では、通知を受けたジョブ管理部42が先行処理実行情報を記憶装置26等に保存する。これにより、いずれの外部Rip処理装置19で後続ジョブのどのページが先行処理されたかが保存された状態になる。
【0061】
次のステップ118では、現行ジョブのRip処理を終了し、後続ジョブのRip処理装置16によるRip処理を開始するか否か判断する。現行ジョブのRip処理中等は、否定されて待機状態になり、後続ジョブのRip処理を開始する際は、肯定されてステップ100に戻り、本処理を繰り返す。
【0062】
ステップ118から戻って繰り返されるステップ100、ステップ102、及びステップ104の後のステップ106では、先行処理を行った後続ジョブの他に、さらにRip処理を待機している後続ジョブがある場合は、肯定されてステップ108に進み本処理を繰り返す。一方、他の後続ジョブが無い場合は、本処理を終了する。
【0063】
一方、Rip処理装置16では、上述の図7のステップ102またはステップ104の処理により依頼されたRip処理を受付部62が受け付けると、図7に示した本処理が実行される。
【0064】
ステップ200では、受付部62で受け付けたRip処理依頼に伴って先行処理実行情報が有るか否かを判断する。例えば、上述のように現行ジョブのRip処理依頼の場合等は、先行処理が行われていないジョブのRip処理依頼であるため、否定されてステップ206へ進む。
【0065】
ステップ206では、Rip処理部50によるRip処理を開始する。さらに、次のステップ208では、事前処理部44から受付部62が先行処理情報を受け付けたか否かを判断する。受け付けていない場合は、否定されてステップ212へ進み、一方、図6に示したステップ112の処理により配信された先行処理情報を受け付けた場合は、肯定されてステップ210へ進む。ステップ210では、自装置に割り当てられている外部Rip処理装置19であり、現行ジョブのRip処理を行っていない外部Rip処理装置19にステップ208で受け付けた先行処理情報を連絡する。
【0066】
次のステップ212では、現行ジョブのRip処理を終了するか否か判断する。データ配信処理部46により配信された全ページのRip処理が未だ終了していない場合は、否定されてステップ208に戻り、本処理を繰り返す。一方、前ページのRip処理が終了した場合は、肯定されて本処理を終了する。
【0067】
一方、ステップ200において、上述のように先行処理済の後続ジョブのRip処理の依頼を受け付けた場合等は、肯定されてステップ202へ進む。ステップ202では、先行処理実行情報に基づいて、自装置に割り当てられている外部Rip処理装置19のデータ保存部72から先行処理されている後続ジョブのラスタライズデータを取得する。次のステップ204では、Rip処理を依頼された全ページが先行処理されているか判断する(全ページのラスタライズデータを取得したか否か判断する)。全ページで無い場合は、ステップ206へ進み、先行処理が行われていない未処理のページデータのRip処理を開始し、本処理を繰り返す。一方、全ページで有る場合は、肯定されて本処理を終了する。
【0068】
以上説明したように本実施の形態では、データ受信部40で複数のジョブ(現行ジョブ及び後続ジョブ)を受信した場合であって、現行ジョブのRip処理を開始した後、Rip処理装置16の処理負荷が低い等により、使用されない外部Rip処理装置19が有る場合は、ジョブ管理部42が事前処理部44に後続ジョブの先行処理を依頼する。事前処理部44は、Rip処理装置16に後続ジョブの先行処理情報を配信すると共に、何れの外部Rip処理装置19でどのページデータを先行処理したかを示す先行処理実行情報をジョブ管理部42に通知し、ジョブ管理部42は通知された先行処理実行情報を保存する。Rip処理装置16の受付部62は、先行処理情報を受け付けると、自装置に割り当てられている外部Rip処理装置19に先行処理情報連絡部63により、先行処理情報を連絡する。当該連絡を受けた外部Rip処理装置19は、後続ジョブの先行処理(ページデータのRip処理)をRip処理部70で行い、ラスタライズデータをデータ保存部72に保存する。現行ジョブのRip処理後に、後続ジョブをRip処理する際は、Rip処理装置16に、保存されている先行処理実行情報と共に後続ジョブのRip処理を依頼する。Rip処理装置16の先行処理ページ取得部64は、先行処理実行情報に基づいて自装置に割り当てられている外部Rip処理装置19のデータ保存部72から先行処理されているラスタライズデータを取得する。Rip処理部50は、Rip処理を依頼されたページデータのうち、先行処理されていないページデータのRip処理を行う。
【0069】
このように、外部Rip処理装置19を効率的に使用して、後続ジョブの先行処理を行うため、Rip処理装置16が後続ジョブをRip処理する際は、先行処理されているページデータのRip処理が不要になる。従って、後続ジョブの処理負荷が低減され、処理時間が短縮される。また、Rip処理装置16でのページデータの受け付けも先行して行えるため、ジョブ間性能を向上させられる。
【0070】
従って、現行ジョブのRip処理中に、後に処理する予定の後続ジョブの先行処理を外部Rip処理装置19で行わない場合に比べて、画像処理システム10トータルの処理能力が向上する。
【0071】
なお、本実施の形態では、先行処理実行情報にいずれの外部Rip処理装置19で処理したかを示す情報を含む場合を記載したが、本実施の形態のRip処理装置16は自装置に割り当てられている外部Rip処理装置19に先行処理情報を連絡する構成としているため、外部Rip処理装置19自身により何れの外部Rip処理装置19で先行処理が行われたかを認識されるため、先行処理先の外部Rip処理装置19を示す情報は先行処理実行情報に含まれなくてもよい。
【0072】
また、現行ジョブのRip処理中に外部Rip処理装置19を使用しないと判断した場合に、外部Rip処理装置19で後続ジョブの先行処理を行うが、先行処理の開始後、現行ジョブの処理負荷が高くなり、外部Rip処理装置19を使用すると判断する場合は、外部Rip処理装置19での後続ジョブの先行処理を中止し、現行ジョブのRip処理を行うように切り替えてもよい。
【0073】
また、本実施の形態の印刷システム1の印刷装置4(図1参照)では、YMCK4色のカラー画像を連続紙7に形成する印刷装置として示したが、これに限らず、その他の色数のカラー画像を形成する印刷装置であってもよいし、画像形成部8を1つ備えた白黒等の単色の画像を形成する印刷装置であってもよい。
【0074】
[第2の実施の形態]
以下、図面を参照して本実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態の画像処理システムの構成は第1の実施の形態の画像処理システム10と略同様であり、主にコントローラ及びRip処理装置の先行処理における動作と、Rip処理装置の構成とが異なるため、異なる点について詳細に説明し、略同様の部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0075】
本実施の形態の画像処理システム80は、コントローラ81及びRip処理装置82を備えて構成されている。なお、本実施の形態の画像処理システム80は、事前処理部44がRip処理装置16を介さずに、Rip処理装置16に割り当てられている外部Rip処理装置19に先行処理情報を配信するものである。
【0076】
図8に、本実施の形態のRip処理装置82の概略構成の一例の機能ブロック図を示す。本実施の形態のRip処理装置82は、先行処理情報を受け付けず、また外部Rip処理装置19に連絡しないため、第1の実施の形態における先行処理情報連絡部63を備えない構成となっている。また、本実施の形態の受付部83は第1の実施の形態の受付部62に対応し、プログラム85はプログラム68に対応している。本実施の形態の受付部83は、Rip処理部50によるRip処理の依頼を受け付ける機能を有している。本実施の形態では、第1の実施の形態と異なり、先行処理情報は受け付けない。
【0077】
次に、本実施の形態の画像処理システム80における後続ジョブの先行処理動作の流れについて説明する。図9は、本実施の形態のコントローラ81の制御系のCPU20で実行される先行処理の一例を示すフローチャートである。また、図10は、本実施の形態のRip処理装置82の制御部60のCPU66で実行される先行処理(プログラム84)の一例を示すフローチャートである。
【0078】
図9に示したコントローラ81の処理フローは第1の実施の形態(図6参照)と略同様であるため同一部分は詳細な説明を省略する。本実施の形態の先行処理のステップ300〜318はそれぞれ、第1の実施の形態のステップ100〜118に対応し、本実施の形態のステップ312の処理が主に異なっている。
【0079】
ステップ300で、ジョブに対応する先行処理実行情報が有るか否か判断し、否定された場合はステップ302へ進みRip処理をRip処理装置82に依頼して、Rip処理装置82で通常のRip処理が行われる。一方、肯定された場合はステップ304へ進み、先行処理実行情報と共にRip処理をRip処理装置82に依頼する。
【0080】
次のステップ306では、後続ジョブが有るか否か判断し、否定された場合は本処理を終了し、一方、肯定された場合はステップ308へ進み、現行ジョブで外部Rip処理装置19を全て使用しているか判断し、肯定された場合はステップ318へ進み、一方、否定された場合はステップ310へ進み、ジョブ管理部42から事前処理部44へ後続ジョブの先行処理を依頼する。
【0081】
次のステップ312では、事前処理部44が、Rip処理装置82に割り当てられている使用していない外部Rip処理装置19へ後続ジョブの先行処理情報を配信する。これにより外部Rip処理装置19では、配信された先行処理情報に基づいて後続ジョブの先行処理をRip処理部70で行い、ラスタライズデータをデータ保存部72に保存する。
【0082】
次のステップ314では、事前処理部44からジョブ管理部42に先行処理実行情報を通知し、次のステップ316では、ジョブ管理部42が先行処理実行情報を保存し、次のステップ318では、現行ジョブのRip処理を終了し、後続ジョブのRip処理を開始するか否か判断する。否定された場合は、待機状態になり、肯定された場合は、ステップ300に戻り本処理を繰り返す。
【0083】
一方、本実施の形態のRip処理装置82では、図10に示した本処理が実行される。本実施の形態のステップ400は第1の実施の形態のステップ200に対応し、ステップ402はステップ202に対応し、ステップ404はステップ204に対応し、ステップ406はステップ206に対応し、ステップ412はステップ212に対応する。すなわち、本実施の形態のRip処理装置82では、第1の実施の形態の先行処理情報をコントローラ14から受け付けて外部Rip処理装置19に連絡する処理(ステップ208及びステップ210の処理)を含まない処理を行う。
【0084】
ステップ400では先行処理実行情報が無い場合は、ステップ406へ進み、有る場合は、肯定されてステップ402へ進み、先行処理ページ取得部64が自装置に割り当てられている外部Rip処理装置19から先行処理済みのラスタライズデータを先行処理ページ取得部64が取得する。次のステップ404では、全ページのラスタライズデータが有るか否か判断し、肯定された場合は本処理を終了する。一方、全ページではない場合は、否定されてステップ406へ進み、Rip処理部50でRip処理を開始する。次のステップ412では、Rip処理を終了するか否か判断し、未処理のページデータが有る場合は、否定されて待機状態になり、終了する場合は、肯定されて本処理を終了する。
【0085】
以上説明したように本実施の形態では、現行ジョブのRip処理中に、使用されない外部Rip処理装置19が有る場合は、ジョブ管理部42が事前処理部44に後続ジョブの先行処理を依頼する。事前処理部44は、外部Rip処理装置19に後続ジョブの先行処理情報を配信すると共に、何れの外部Rip処理装置19でどのページデータを先行処理したかを示す先行処理実行情報をジョブ管理部42に通知し、ジョブ管理部42は通知された先行処理実行情報を保存する。外部Rip処理装置19は、後続ジョブの先行処理をRip処理部70で行い、ラスタライズデータをデータ保存部72に保存する。現行ジョブのRip処理後に、後続ジョブをRip処理する際は、Rip処理装置82に、保存されている先行処理実行情報と共に後続ジョブのRip処理を依頼する。Rip処理装置82の先行処理ページ取得部64は、先行処理実行情報に基づいて自装置に割り当てられている外部Rip処理装置19のデータ保存部72から先行処理されているラスタライズデータを取得する。Rip処理部50は、Rip処理を依頼されたページデータのうち、先行処理されていないページデータのRip処理を行う。
【0086】
このように、本実施の形態においても、外部Rip処理装置19を効率的に使用して、後続ジョブの先行処理を行うため、Rip処理装置16が後続ジョブをRip処理する際は、先行処理されているページデータのRip処理が不要になる。従って、現行ジョブのRip処理中に、後に処理する予定の後続ジョブの先行処理を外部Rip処理装置82で行わない場合に比べて、画像処理システム80トータルの処理能力が向上する。
【0087】
また、本実施の形態では、事前処理部44がRip処理装置82を介さずに外部Rip処理装置19に先行処理情報を配信するため、ジョブの管理上好ましく、また、Rip処理装置82の処理負荷が第1の実施の形態に比べて低減される。
【0088】
なお、本実施の形態においても第1の実施の形態と同様に、Rip処理装置82は自装置に割り当てられている外部Rip処理装置19を認識しているため、先行処理先の外部Rip処理装置19を示す情報は先行処理実行情報に含まれなくてもよい。
【0089】
[第3の実施の形態]
以下、図面を参照して本実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態の画像処理システムの構成は第1の実施の形態及び第2の実施の形態と略同様であるため、異なる点について詳細に説明し、略同様の部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0090】
本実施の形態の画像処理システム87は、コントローラ88及びRip処理装置89を備えて構成されている。なお、本実施の形態の画像処理システム87では、外部Rip処理装置19の割り当てに係わらずに、事前処理部44がRip処理装置16を介さずに、使用されていない任意の外部Rip処理装置19に先行処理情報を配信するものである。
【0091】
図11に、本実施の形態のRip処理装置89の概略構成の一例の機能ブロック図を示す。本実施の形態のRip処理装置89は、第2の実施の形態と同様に、第1の実施の形態の先行処理情報連絡部63に対応する構成を備えない構成となっている。また、本実施の形態の受付部90は第1の実施の形態の受付部62に対応し、プログラム92はプログラム68に対応している。本実施の形態の受付部90は、第2の実施の形態の受付部83と同様の機能を有している。また、本実施の形態の先行処理ページ取得部91は、コントローラ88から外部Rip処理装置情報を含む先行処理実行情報を受信し、外部Rip処理装置情報に基づいて先行処理が行われた外部Rip処理装置19を特定し、特定した外部Rip処理装置19からラスタライズデータを取得する機能を有している。
【0092】
次に、本実施の形態の画像処理システム87における後続ジョブの先行処理動作の流れについて説明する。図12は、本実施の形態のコントローラ88の制御系のCPU20で実行される先行処理の一例を示すフローチャートである。また、図13は、本実施の形態のRip処理装置89の制御部60のCPU66で実行される先行処理(プログラム92)の一例を示すフローチャートである。
【0093】
図12に示したコントローラ88の処理フローは第1の実施の形態、及び第2の実施の形態と略同様であるため同一部分は詳細な説明を省略する。本実施の形態の先行処理のステップ500〜518はそれぞれ、第1の実施の形態のステップ100〜118に対応し、本実施の形態のステップ512の処理が主に異なっている。ここでは、ステップ512の処理について説明する。
【0094】
後続ジョブの先行処理が依頼された後のステップ512では、事前処理部44が使用されていない外部Rip処理装置19から任意の(予め定められた規則に従って)外部Rip処理装置19を選択し、選択した外部Rip処理装置19に対して後続ジョブの先行処理情報を配信する。
【0095】
これにより、選択されて先行処理情報が配信された任意の外部Rip処理装置19では、配信された先行処理情報に基づいて後続ジョブの先行処理をRip処理部70で行い、ラスタライズデータをデータ保存部72に保存する。
【0096】
このように本実施の形態では、事前処理部44が選択した任意の外部Rip処理装置19で後続ジョブの先行処理を行い、ラスタライズデータが外部Rip処理装置19のデータ保存部72に保存された状態になる。
【0097】
一方、本実施の形態のRip処理装置89では、図13に示した本処理が実行される。本実施の形態のステップ600は第1の実施の形態のステップ200に対応し、ステップ602はステップ202に対応し、ステップ604はステップ204に対応し、ステップ606はステップ206に対応し、ステップ612はステップ212に対応する。本実施の形態ではステップ601の処理が付加されているため、ここでは、ステップ601及びステップ601の次のステップ602の処理について説明する。
【0098】
現行ジョブの終了後の、後続ジョブのRip処理の場合等、先行処理実行情報が有る場合(ステップ600で肯定判断)のステップ601では、先行処理実行情報に含まれる外部Rip処理装置情報から先行処理を行った外部Rip処理装置19を特定する。次のステップ602では、特定した外部Rip処理装置19から先行処理されているラスタライズデータを取得する。
【0099】
このように本実施の形態では、先行処理実行情報に先行処理を行った外部Rip処理装置を示す外部Rip処理装置情報が含まれているため、Rip処理装置89に特定の外部Rip処理装置19が割り当てられていない場合または、割り当てと異なる外部Rip処理装置19に先行処理情報が配信された場合であっても、外部Rip処理装置情報から先行処理を行った外部Rip処理装置19が特定され、特定された外部Rip処理装置19から先行処理されたラスタライズデータが取得される。
【0100】
従って、本実施の形態においても、Rip処理装置89が後続ジョブをRip処理する際は、先行処理されているページデータのRip処理が不要になる。従って、現行ジョブのRip処理中に、後に処理する予定の後続ジョブの先行処理を外部Rip処理装置19で行わない場合に比べて、画像処理システム87トータルの処理能力が向上する。
【0101】
[第4の実施の形態]
以下、図面を参照して本実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態の画像処理システムの構成は第1の実施の形態〜第3の実施の形態と略同様であるため、異なる点について詳細に説明し、略同様の部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0102】
本実施の形態の画像処理システム94は、コントローラ95及びRip処理装置96を備えて構成されている。なお、本実施の形態の画像処理システム94では、使用されていない外部Rip処理装置19からの求めに応じて、事前処理部44がRip処理装置16を介さずに、外部Rip処理装置19に先行処理情報を配信するものである。
【0103】
図14に示したように、本実施の形態のRip処理装置89は、第3の実施の形態のRip処理装置89と同様の機能を有する構成をしている。従って、第3の実施の形態のRip処理装置89と同様の処理(図13に示した処理)が実行されるため、ここでは、コントローラ95について説明する。
【0104】
本実施の形態の画像処理システム94における後続ジョブの先行処理動作の流れについて説明する。図15は、本実施の形態のコントローラ95の制御系のCPU20で実行される先行処理の一例を示すフローチャートである。
【0105】
図15に示したコントローラ95の処理フローは第1の実施の形態〜第3の実施の形態と略同様であるため同一部分は詳細な説明を省略する。本実施の形態の先行処理のステップ700〜718はそれぞれ、第1の実施の形態のステップ100〜118に対応し、本実施の形態では、ステップ711の処理が付加され、ステップ711の後のステップ712の処理が主に異なっている。ここでは、ステップ711及びステップ712の処理について説明する。
【0106】
後続ジョブの先行処理が依頼された後のステップ711では、外部Rip処理装置19から先行処理情報取得依頼を受け付ける。本実施の形態では、現行ジョブのRip処理中に使用されていない外部Rip処理装置19が後続ジョブの先行処理を行うために、自らコントローラ95に対して、先行処理情報を取得するための依頼を行う。コントローラ95では、これを受け付けると、次のステップ712では、依頼を受け付けた外部Rip処理装置19に対して後続ジョブの先行処理情報を配信する。
【0107】
これにより、先行処理情報の取得を依頼した外部Rip処理装置19では、配信された先行処理情報に基づいて後続ジョブの先行処理をRip処理部70で行い、ラスタライズデータをデータ保存部72に保存する。
【0108】
このように本実施の形態では、先行処理情報の取得を依頼した外部Rip処理装置19で後続ジョブの先行処理を行い、ラスタライズデータが外部Rip処理装置19のデータ保存部72に保存された状態になる。
【0109】
本実施の形態においても、第3の実施の形態と同様に、先行処理実行情報に先行処理を行った外部Rip処理装置を示す外部Rip処理装置情報が含まれているため、Rip処理装置89に特定の外部Rip処理装置19が割り当てられていない場合または、割り当てと異なる外部Rip処理装置19で先行処理が行われた場合であっても、外部Rip処理装置情報から先行処理を行った外部Rip処理装置19が特定され、特定された外部Rip処理装置19から先行処理されたラスタライズデータが取得される。
【0110】
従って、本実施の形態においても、Rip処理装置89が後続ジョブをRip処理する際は、先行処理されているページデータのRip処理が不要になる。従って、現行ジョブのRip処理中に、後に処理する予定の後続ジョブの先行処理を外部Rip処理装置19で行わない場合に比べて、画像処理システム87トータルの処理能力が向上する。
【0111】
また、本実施の形態では、外部Rip処理装置19からの求めに応じてコントローラ95が先行処理情報を配信するため、コントローラ95では、後続ジョブの有無をあまり意識せずに動作されるため、処理負荷が他の実施の形態に比べて低減される。
【符号の説明】
【0112】
1 印刷システム
4 印刷装置
10、80、87、94 画像処理システム
14、81、88、95 コントローラ
16、82、89 Rip処理装置
18 外部Rip処理装置群
19 外部Rip処理装置
20 CPU
23 プログラム
40 データ受信部
42 ジョブ管理部
44 事前処理部
46 データ配信処理部
50 Rip処理部
60 制御部
62、83、90 受付部
63 先行処理情報連絡部
64、91 先行処理ページ取得部
68、84、92 プログラム
70 Rip処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のページのデータを含む画像データを複数受け付ける受付手段と、
前記受付手段で受け付けた画像データをページ毎にラスタライズ処理するための処理情報を、画像データをラスタライズ処理する処理手段に配信すると共に、前記処理手段のラスタライズ処理の処理負荷に応じて、画像データをラスタライズ処理する外部の処理装置に、前記処理手段に配信した画像データのページと異なるページをラスタライズ処理するための処理情報を配信する第1の配信手段と、
前記外部の処理装置が前記第1の配信手段により配信された処理情報に基づいてラスタライズ処理を行っていない場合に、前記処理手段でラスタライズ処理中の画像データの後に処理する予定の画像データを前記外部の処理装置で先行してラスタライズ処理するよう先行処理を依頼する依頼手段と、
前記依頼手段により先行処理を依頼された画像データを前記先行処理するための先行処理情報を配信する第2の配信手段と、
前記第2の配信手段により配信された先行処理情報に基づいて前記外部の処理装置で先行処理された先行処理済の画像データに関する先行処理済情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した先行処理済情報を前記処理手段に通知する通知手段と、
を備えた画像処理システム。
【請求項2】
前記外部の処理装置が割り当てられた前記処理手段と、
前記第2の配信手段により配信された先行処理情報を受け付ける先行処理情報受付手段と、
前記先行処理情報受付手段で受け付けた先行処理情報を、前記処理手段に割り当てられた前記外部の処理装置に連絡する連絡手段と、
前記処理手段に前記通知手段から通知された前記先行処理済情報に基づいて前記処理手段に割り当てられた前記外部の処理装置から前記先行処理済の画像データを取得する先行処理済画像データ取得手段と、
を備えたラスタライズ処理装置を備えた、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記外部の処理装置が割り当てられた前記処理手段と、
前記処理手段に前記通知手段から通知された前記先行処理済情報に基づいて前記処理手段に割り当てられた前記外部の処理装置から前記先行処理済の画像データを取得する先行処理済画像データ取得手段と、
を備えたラスタライズ処理装置を備え、
前記第2の配信手段は、前記処理手段に割り当てられた前記外部の処理装置に、前記処理手段に応じた前記画像データを先行処理するための前記先行処理情報を配信する、
請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記第2の配信手段は、複数の前記外部の処理装置の何れかに前記先行処理情報を配信し、前記取得手段が取得する前記先行処理済情報には、前記外部の処理装置の何れで前記先行処理を行ったかを示す外部処理装置情報が含まれ、
前記処理手段と、
前記処理手段に前記通知手段から通知された前記先行処理済情報に含まれる前記外部処理装置情報に対応する前記外部の処理装置から前記先行処理済の画像データを取得する先行処理済画像データ取得手段と、
を備えたラスタライズ処理装置を備えた、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記第1の配信手段により配信された処理情報に基づいてラスタライズ処理を行っていない前記外部の処理装置からの求めに応じて、前記第2の配信手段が、前記外部の処理装置に前記先行処理情報を配信し、前記取得手段が取得する前記先行処理済情報には、前記先行処理を行った前記外部の処理装置を示す外部処理装置情報が含まれ、
前記処理手段と、
前記処理手段に前記通知手段から通知された前記先行処理済情報に含まれる前記外部処理装置情報に対応する前記外部の処理装置から前記先行処理済の画像データを取得する先行処理済画像データ取得手段と、
を備えたラスタライズ処理装置を備えた、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項6】
請求項2から請求項5の何れか1項に記載のラスタライズ処理装置。
【請求項7】
受付手段により、複数のページのデータを含む画像データを複数受け付けるステップと、
第1の配信手段により、前記受付手段で受け付けた画像データをページ毎にラスタライズ処理するための処理情報を、画像データをラスタライズ処理する処理手段に配信すると共に、前記処理手段のラスタライズ処理の処理負荷に応じて、画像データをラスタライズ処理する外部の処理装置に、前記処理手段に配信した画像データのページと異なるページをラスタライズ処理するための処理情報を配信するステップと、
依頼手段により、前記外部の処理装置が前記第1の配信手段により配信された処理情報に基づいてラスタライズ処理を行っていない場合に、前記処理手段でラスタライズ処理中の画像データの後に処理する予定の画像データを前記外部の処理装置で先行してラスタライズ処理するよう先行処理を依頼するステップと、
第2の配信手段により、前記依頼手段により先行処理を依頼された画像データを前記先行処理するための先行処理情報を配信するステップと、
取得手段により、前記第2の配信手段により配信された先行処理情報に基づいて前記外部の処理装置で先行処理された先行処理済の画像データに関する先行処理済情報を取得するステップと、
通知手段により、前記取得手段が取得した先行処理済情報を前記処理手段に通知するステップと、
を備えた処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−201146(P2011−201146A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70975(P2010−70975)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】