説明

画像処理装置及び画像処理方法

【課題】 超解像処理を行う上で必要となる微小な位相ずれ画像データを複数フレーム分得るために、エリアセンサを傾けた画像処理装置は、複数フレーム分の斜め画像データが入力されるため、これらに斜行補正すると回路規模、メモリ容量、システム負荷がかかる。
【解決手段】 画素センサを2次元に配列することによって形成されたエリアセンサが基準となる設置位置に対して傾斜して取り付けられている画像処理装置であり、
エリアセンサの基準となる設置位置からの傾きを示す傾斜角度に基づき決まるエリアセンサ内に配置された画素センサから傾斜を補正した画像データを読み取るセンサによって原稿画像を1回走査し、1画素未満のずれを有する複数のフレーム分の画像データを取得する。この画像データを用いて補間処理を行い、画素センサの解像度より高い解像度の画像データを得る高解像度変換することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを読み取る画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスのネットワーク化及び取り扱われる文書のデジタル化、カラー化が進んでいる。
デジタル化により文書の加工、転送が容易となり業務の効率化が図られている。
また、カラー化によって見栄えとして美しく、効果的な文書が作成されている。
このような、文書のデジタル化、カラー化が進む中、画像処理装置である複合機には作成された画像データの効果的な取り込み及び出力性能が求められている。
【0003】
画像データを入力するような複合機における読み取り装置の構成は、原稿画像データの取り込み、あるいは複写動作時の出力画像の画質に最も関係する要素である。
【0004】
複合機における読み取り装置の構成として縮小光学系及び、密着光学系がある。
【0005】
これらの光学系の読み取り解像度は、主走査方向に配置された画素センサに依存している。
この主走査方向に配置された画素センサ数によらず、解像度を向上させる処理として、「超解像度処理」という技術がある。
【0006】
この技術については後述するが、超解像度処理は、読み取り装置が有するセンサの解像度で読み取った複数のフレーム分の画像データを用いて出力する画像の解像度を格段に向上させるものである。
超解像度処理技術を用いれば、例えば解像度300dpiで読み取った複数枚の画像データを用いて解像度1200dpiの画像データに成することが可能となる。
【0007】
複数の画像データからその読み取り装置では得られない高解像度画像データを生成する超解像度処理の処理内容の詳細は、特許文献1に記載されている。
また、特許文献2には、画像サイズに応じて合成画像の基となる画像枚数を制御することで高解像度処理を実現することが記載されている。
これは画像サイズが小さい程、合成枚数を多くして制御するものである。
【特許文献1】WO2004/068862
【特許文献2】特開2006−092450
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した超解像度処理を行うためには、まず読み取り装置が有するセンサの解像度で読み取った1枚分のフレーム画像を基準に、原稿画像の読み取り位置が微小にずれている複数フレーム分の画像データが必要となる。
【0009】
つまり、基準となる画像データから主走査方向及び/又は副走査方向にセンサが読み取る原稿の位置が少しずつ、ずれている画像データが連続して複数フレーム分必要となる。
【0010】
また、この複数の画像データを読み取る際に、隣り合ったセンサが得る画像データの間に存在する、原稿画像の読み取り位置のずれが主走査方向及び/又は副走査方向に1画素未満(サブピクセル)である必要がある。
【0011】
超解像度処理によって生成する画像データの解像度が高いほど、この装置が有するセンサの解像度で読み取った画像データの必要フレーム数は多くなる。
【0012】
複合機において超解像度処理を行うことが可能になれば、低解像度の読み取りデバイスを採用しながら読み取りデバイスを採用したのと同等の高解像度画像を得ることが可能となるが、このためには前記条件を満たす必要がある。
【0013】
しかし、複合機、スキャナ等の複合機における読み取り装置は、一般的にはラインセンサが用いられている。
【0014】
つまり、1回の読み取り動作により得られる読み取りフレーム数は1フレームである。
【0015】
また、上述の読み取り装置は、主走査方向に画素の整数倍の距離を隔てて水平に配置されている画素センサ群を用いて原稿画像の読み取りを行っている。
このため、読み取られる画素の位置を主走査方向に微小(サブピクセル)にずらして原稿画像を読み取ることが出来ないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決すべく、本発明の画像処理装置は、
画素センサを2次元に配列することによって形成されたエリアセンサが基準となる設置位置に対して傾斜して取り付けられている画像処理装置であり、
前記エリアセンサの基準となる設置位置からの傾きを示す傾斜角度に基づき決まる前記エリアセンサの内に配置された画素センサから前記傾斜を補正した画像データを読み取るセンサ手段、
前記センサ手段によって原稿画像を1回走査することで1画素未満のずれを有する複数のフレーム分の画像データを取得する画像データ取得手段、
該画像データ取得手段にて取得した複数の画像データを用いて補間処理を行うことで、前記画素センサの解像度より高い解像度の画像データを得る高解像度変換手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、撮像素子としてエリアセンサを用いて、1回の読み取り動作により低解像度画像データを同時に複数読み取る画像処理装置及びその方法を提供することが可能になる。
これによって、画像処理装置において超解像度処理を行うことが可能になり、また、超解像度処理前に傾きのない画像データを提供することも可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(一般的な読み取り装置の説明)
まず、一般的な画像読み取り装置の構成として縮小光学系の一例について説明する。
一般的に高性能な複合機においては、読み取り速度、読み取り解像度、及び読み取り画像データの画質などの性能を維持するため縮小光学系の構成が用いられる場合が多い。
【0019】
また、縮小光学系の読み取り装置に用いられるデバイスはCCD(Charge Coupled Device)である場合が多い。
【0020】
図10(a)に、縮小光学系の読み取り装置構成を示す。
同図において1001は読み取り装置本体である。1002は原稿画像を抑え、流し読みを行う時には原稿画像を原稿読み取り位置まで送るADF(Auto Document Feeder)として機能する。
【0021】
1003は原稿画像、1004は原稿台読み取り時に原稿画像1003を載せるガラス板である。1005は原稿画像1003を読み取る読み取りデバイスを含むユニットであり、原稿画像を撮像するデバイスを含んでいる。
1006は光源であり、通常キセノン管などの白色光源が用いられる。
1007〜1011はミラーであり、光源1006から原稿画像に照射される光の反射光を撮像素子まで伝達する役割を持つ。
1012はミラー1011により反射された原稿画像からの反射光を撮像素子幅に集光するためのレンズである。
1013は撮像素子であり、縮小光学系においてはCCDにより構成される。
【0022】
次に、縮小光学系における原稿画像の読み取りプロセスを説明する。
光源1006により原稿画像データ1003に照射された光は、ガラス板1004に載せられた原稿画像で反射され、ミラー1007で受けられる。
ミラー1007で反射される光の強度は、原稿画像に依存し原稿画像の輝度が高いほど光強度が強くなる。
【0023】
つまり、原稿画像が反射率の高い白色である場合、一番光強度が高くなる。
ミラー1007で受けられた光はミラー1008、ミラー1009、ミラー1010、ミラー1011にて順次反射されレンズ1012に出力される。
【0024】
レンズ1012は、ミラー1011で反射される光を撮像素子1013の幅に合わせるために集光して出力する。
このように、原稿画像の反射光を複数のミラーで反射させ最終的にレンズで集光して撮像素子に入力する構成が、縮小光学系の特徴である。
【0025】
縮小光学系の読み取り装置において、複数のミラーで光を反射する理由はCCDの幅に合わせるために光路が必要となるからである。
例えば、50mm幅のCCDに原稿画像の光データを結像させるために必要な光路は少なくとも200mm程度必要であることが知られている。
このように撮像素子のサイズに合わせて光路長が必要となる縮小光学系であるが、読み取り特性は非常に高い。
【0026】
具体的には、原稿画像1003がガラス板1004に完全に密着していなくても、ピントの合った原稿画像を読み取ることが出来る。
このピントが合うために必要な距離は、被写界深度と呼ばれる。
この数値が大きいほど原稿画像1003がガラス板1004に対して完全に密着していない時にも、原稿画像の読み取りに対してある程度は支障を来たさない。
【0027】
次に、撮像素子1013、すなわちCCDデバイスの構成例を図10(b)、図10(c)に示す。
図10(b)は3ラインセンサの例であり、水平方向を主走査方向、垂直方向を副走査方向として図示している。
同図において、1013a、1013b、1013cは、カラー画像を構成する3つの色信号を読み取るラインセンサであり、主走査方向にH画素で構成されるラインデータを読み取ることが出来る。
【0028】
1013d、1013e、1013fは各色信号を読み取るラインセンサに含まれる画素センサを示している。
これは、読み取る色信号毎に水平方向に連続して並んで構成されている。
【0029】
CCDデバイスの読み取り解像度は、各色信号毎に並んだ画素センサ数に依存する。
すなわち、Hの画素数が多いほど高解像度で画像データを読み取ることが可能となる。
【0030】
例えば600dpiの読み取り解像度を持つCCDである場合、画素センサ間の距離は600dpiの解像度に基づく距離となる。
【0031】
読み取り解像度、すなわち画素センサ数はCCDの単価に直接的な影響を及ぼす。
つまり、高解像度の画像データの読み取りを実現させるためには、単価が高くなったとしても画素センサ数が多いCCDを使用して読み取り装置を構成しなければならない。
【0032】
CCDデバイスの次の特徴は、各色信号を読み取るのラインセンサ間に距離が存在することである。
【0033】
例えば、1013aのラインセンサは、赤(以下Rと称する)の画像データを読み取るフィルタが構成されているセンサとする。
1013bのラインセンサは緑(以下Gと称する)の画像データを読み取るフィルタにより構成されているセンサであるとする。
【0034】
この場合、ラインセンサ1013aとラインセンサ1013b間には、撮像素子として、センサ実装上の物理的な距離が存在する。
【0035】
この距離をL(画素分)とすると、同じタイミングで読み取られたRの画像データとGの画像データには、副走査方向にL画素分のずれが生じることとなる。
【0036】
同様に、1013cのラインセンサが青(以下Bと称する)の画像データを読み取るフィルタにより構成されている場合、同じタイミングで読み取られたGの画像データとBの画像データにはL(画素分)のずれが生じる。
【0037】
Rの画像データとBの画像データには2L(画素分)のずれが生じる。
各色信号を読み取るラインセンサ間の距離Lの影響は、読み取り装置で読み取られた画像データに対する画像処理部の構成に影響を及ぼす。
一般的な画像処理における処理単位はR、G、Bといった各色信号を読み取るラインセンサ単位ではなく、画素単位である。
【0038】
また、読み取りデバイスユニット1005が動作した際に機械的なズレが生じてしまい、各ラインセンサ間の距離Lを一定にすることが出来ないという問題がある。このズレは読み取り画像データの画像形成において色ズレとなって現れ、出力画像劣化に直結する。
【0039】
したがって、高性能な複合機において適用されているCCDのライン間Lは、2ライン(画素分)程度と非常に小さくなる。
【0040】
次に、4ラインセンサの構成を持つCCDに関して説明する。
図10(c)は4ラインセンサの構成を示す図であり、同図においても水平方向を主走査方向、垂直方向を副走査方向として図示している。
【0041】
同図において、1013g、1013h、1013iはカラー画像を構成する3つの色信号を読み取るラインセンサであり、主走査方向にH画素で構成されるラインデータを読み取ることが出来る。
1013k、1013l、1013mは、各色信号を読み取るラインセンサに含まれる画素センサを示しており、読み取る色信号毎に水平方向に連続して並んで構成されている。
1013jは、モノクロ画像データを読み取るラインセンサであり、カラー画像を読み取るラインセンサと同様に主走査方向にH画素で構成されるラインデータを読み取ることが出来るものである。1013nは、モノクロ画像読み取り用の画素センサを示しており水平方向に連続して並んで構成されている。
【0042】
4ラインセンサは3ラインセンサと比較して、カラー画像の読み取り時あるいはモノクロ画像の読み取り時に読み取りに使用されるセンサが異なるという差があるが、基本的な動作は3ラインセンサと比べて変わらない。
【0043】
例えば、1013gのラインセンサをRの画像データを読み取るフィルタが構成されているセンサとする。
同様に、1013hのラインセンサをGの画像データを読み取るフィルタにより構成されているセンサ、1013iのラインセンサをBの画像データを読み取るフィルタにより構成されているセンサとする。
この場合、カラー画像読み取り時において、ラインセンサ1013g、ラインセンサ1013h、ラインセンサ1013iを使用して原稿画像を読み取る。
各ラインセンサ間にはライン間Lが存在しているため、画像読み取り後の画像処理部にはライン間を補正して、画素単位の画像データにするためのメモリが必要となる。
【0044】
モノクロ原稿読み取り時においては、前記カラー画像データの読み取りで使用されないラインセンサ1013jを使用して原稿画像を読み取る。
この場合、他のラインセンサとの依存関係はないため、読み取った画像データはライン間の補正は行われないまま、画像読み取り後の画像処理部で扱われることとなる。
【0045】
なお4ラインセンサにおいても3ラインセンサと同様、CCDデバイスの読み取り解像度は色信号毎に並んだ画素センサ数に依存する。
すなわち、Hの画素数が多いほど高解像度で画像データを読み取ることが可能となる。
【0046】
また、読み取り解像度、すなわち画素センサ数がCCDの単価に直接的な影響を及ぼすことも同様である。高解像度の画像データの読み取りを実現させるためには単価が高くなったとしても画素センサ数が多いCCDを使用して読み取り装置を構成しなければならない。
【0047】
このように一般的な複合機の読み取り装置の構成は、上述した縮小光学系又は密着光学系のいずれかの構成を採用している。
そこで、これらに共通することは主走査方向に配置された画素センサ数に依存して読み取り解像度が決定することである。
【0048】
一方、超解像度処理という技術がある。
超解像度技術とは、読み取り装置のセンサが有する解像度で読み取った複数の画像データを用いて元々持っていた画像データの解像度を格段に向上させるものである。
【0049】
(超解像度処理について)
次に、超解像度処理技術について説明する。
図11(a)が、読み取り装置で読み取られる画像データとする。
この画像データに対して、例えば解像度1200dpiで読み取った場合の、画素構成を図11(b)に示す。
図11(b)において、1201で示した格子は読み取った解像度で構成する画素データを示すものとする。
つまり画素間の距離nは、解像度1200dpiで読み取った場合の隣接する画素センサ間の距離に相当する 図11(c)において、読み取り装置が同一画像サイズの画像を解像度300dpiで読み取った場合の画素構成を示す。
図11(b)と同様、1202で示した格子は読み取った解像度で構成する画素データを示すものとする。
したがって、解像度1200dpiでの画素間の距離nを基準とすると、解像度300dpiでの読み取りが行われた場合の画素間の距離は粗くなり、4nとなる。
【0050】
読み取られた画像の再現力は解像度に比例するため、解像度1200dpiで読み取られた画像データ(図11(b))と、解像度300dpiで読み取られた画像データ(図11(c))をそのまま比較すると、画質の差は歴然となる。
【0051】
超解像度処理は、この図11(c)相当の複数の画像データから図11(b)の画像データを生成する技術である。
この技術を用いれば、元々の読み取りデバイスが持つ解像度がそれほど高くなくても、高解像度デバイスと同等の読み取り画像を構成することが出来るようになる。
【0052】
しかし、低解像度画像データから高解像度画像データ、又は更なる高解像度画像データを得るための「超解像度変換」処理を行うためにはある条件を満たす必要がある。
【0053】
それは、まず読み取り装置のセンサ解像度で読み取られた原稿画像の画像データを基準に、読み取られる位置が主走査方向及び/又は副走査方向に微小にずれている原稿画像の画像データが複数画面(フレーム)分必要になる。
【0054】
つまり、基準となる画像データから主走査方向及び/又は副走査方向にセンサが読み取る原稿画像の位置が少しずつ、ずれている画像データが連続して複数フレーム分必要となる。
【0055】
また、この複数画面(フレーム)分の画像データを読み取る際に、隣り合ったセンサが得るフレーム画像データの間に存在する、原稿画像の読み取り位置のずれが主走査方向及び/又は副走査方向に1画素未満(サブピクセル)である必要がある。
この読み取り位置のずれは、整数倍の位置ずれをオフセット補正した結果残る、1画素未満のずれであってもよい。
【0056】
以下、1画面(フレーム)で構成される原稿画像を走査した際に読み取られたデータであり、この1画面(フレーム)分の原稿画像を構成するデータを「フレーム画像データ」という。
【0057】
また、原稿画像にて読み取られる位置を「位相」と言う。
また、この位相がずれることを「位相がずれる」と言い、読み取り位置のずれを「位相ずれ」と言う。
【0058】
また、ここで使用する低解像度とは、300dpiに限られてはおらず、装置が通常の印刷で出力する画像の解像度のことを表す。
また、ここでいう主走査方向とは、原稿台上に設置された原稿画像をスキャナで読み取る際、原稿画像に対してユニット105が移動する方向に対して垂直な方向である。
そして、図11(a)の矢印(A)示すように、この読み取られた原稿画像の横方向を「主走査方向」という。
またここでいう副走査方向とは、原稿台上に設置された原稿画像をスキャナで読み取る際、原稿画像に対してユニット105が移動する方向に対して平行な方向である。
そして、図11(a)の矢印(B)に示すように、この読み取られた原稿画像の横方向を「副走査方向」という。
【0059】
もちろん、主走査方向のみ位相ずれを持ったもの、あるいは副走査方向のみ位相ずれを持ったものでも高解像度化は可能である。
しかしこの場合は、位相ずれを持つ方向のみ高解像度化が図られることになる。
【0060】
図12(a)以降の図を用いて超解像度処理に必要となる条件を説明する。
図12(a)は、図11(a)の原稿画像データを解像度300dpiで原稿画像データを読み取った時の画素構成を示す図である。
この図は原稿画像図11(a)と同一である。
この読み取り画像データ図12(b)が、超解像度処理を行う1フレーム目の対象画像データとなり、これが基準画像データとなる。
【0061】
次に、図12(c)に示すように、図12(a)の原稿画像データを解像度300dpiにて、基準画像データを主走査方向にΔx(Δx<4n)、副走査方向にΔy(Δy<4n)位相をずらして読み取る。
この場合、読み取られた画像データである図12(d)の位相が原稿画像データとは異なり、図中に示す主走査左方向にΔx、副走査上方向にΔyずれたものとなる。
この読み取り画像データである図12(d)が、超解像度処理を行う2フレーム目の対象画像データとなる。
【0062】
更に、図12(e)に示すように、図12(a)の原稿画像データを300dpiの解像度にて、基準画像データを主走査方向にΔx’(Δx’<4n、Δx<Δx’)、副走査方向にΔy’(Δy’<4n、Δy<Δy’)位相をずらして読み取る。
【0063】
この場合、読み取られた画像データである図12(f)の位相が原稿画像データとは異なり、図中に示す主走査左方向にΔx´、副走査上方向にΔy’ずれたものとなる。
この読み取り画像データである図12(f)が、超解像度処理を行う3フレーム目の対象画像となる。
【0064】
このような、基準画像データに対してそれぞれ異なる位相ずれを有する複数フレーム分低解像度画像データの読み取りデータが得られると、超解像度処理により高解像度化が可能となる。
【0065】
図13に3枚の低解像度画像データから高解像度画像データを構成する概念を示す。
これは基準画像データである図13(a)と図13(b)、図13(c)・・・と、それぞれ異なる位相ずれを有する複数フレーム分の低解像度画像データに対して、超解像度処理を用いると図13(d)の画像データが得られることを示している。
この際行われる超解像度処理に関して図26,27を用いてさらに詳細に説明する。
【0066】
図26は超解像度処理に用いる低解像度画像データと超解像度処理後の画像データを示す図である。図26では原稿画像と原稿をエリアセンサで読み取られて得られた基準低解像度画像データF0と対象低解像度画像データF1〜F3を示している。原稿画像を囲む点線矩形は基準低解像度画像データF0をエリアセンサで読み取った際の領域を示す。実線矩形は対象低解像度画像データF1〜F3のそれぞれをエリアセンサで読み取った際の領域を示す。
【0067】
本実施形態では、主走査方向のずれ量を「um」、副走査方向のずれ量を「vm」とそれぞれ表す。また、対象低解像度画像データFn(n=1〜3)についてのこれらのずれ量を「umn」、「vmn」と表す。例えば、図26に示すように、対象低解像度画像データF1は、基準低解像度画像データF0に対して、副走査方向のずれが生じており、そのずれ量は、um1、vm1と表される。
同様に、対象低解像度画像F2、F3についてもずれ量um2、vm2及びum3、vm3と表される。
【0068】
各対象低解像度画像データFn(n=1〜3)についてのずれ量umn、vmnは基準低解像度画像データF0の画像データと対象低解像度画像データF1〜F3の画像データとに基づき算定される。算定には予めROM203に記憶されたエリアセンサの傾き情報による所定の算出が用いられる。
【0069】
本図26では、模式的に各対象低解像度画像データのずれは1画素単位であるものとして示している。
しかし、本実施例のエリアセンサによる読み取りにおいては主走査方向と副走査方向に対して1画素未満の位相ずれが生じている。この微小なずれを利用することで前述したように画像の高解像度化が可能となる。
したがって、生成する超解像度処理画像データを構成する各画素(以下「生成画素」という)のうち基準低解像度画像データ及び対象低解像度画像データのいずれにも存在しない画素が存在する。
【0070】
このような画素については、その生成画素の周辺に存在する画素の画素値を表す画素データを用いて、所定の補間処理を行うことにより、合成を行いつつ高解像度化を行う。補間処理としては、バイ・リニア法、バイ・キュービック法、ニアレストネイバ法等の補間処理を用いることができる。
【0071】
例えば、バイ・リニア法による補間処理を用いる場合について図27を用いて説明する。まず、基準低解像度画像データ及び対象低解像度画像データから、生成画素1801の位置(x,y)に最も近い距離にある最近傍画素1802を抽出する。
【0072】
そして、図27の対象低解像度画像データから生成画素位置を囲む4つの画素を周辺画素1802〜1805として決定する。
そして、周辺画素のデータ値に所定の重み付けを加えた値を平均化して、以下の式により生成画素のデータ値を得る。
f(x,y)=[|x1―x|{|y1−y|f(x0,y0)+|y−y0|f(x0,y1)}+|x−x0|{|y1−y|f(x,y0)+|y−y0|f(x1,y1)}]/|x1−x0||y1−y0|
【0073】
以上の処理を各生成画素位置について繰り返すことにより、例えば、図26に示す解像度が2倍の超解像度画像を得ることができる。なお、解像度は2倍に限らず、種々の倍率とすることができる。また、補間処理に複数の低解像度画像データのデータ値を用いるほど、高精細な超解像度画像を得ることができる。
【0074】
(第1実施例)
以下、図面を参照して第1実施例を詳細に説明する。
【0075】
図1は、本実施例を適用した複合機の読み取り装置の一例を示す図である。
同図において、101は読み取り装置本体、102は原稿画像を抑え、流し読みを行う時には原稿画像画像を原稿読み取り位置まで送るADF機能を有する。
103は原稿画像、104は原稿台読み取り時に原稿画像103を載せるガラス板である。
105は原稿画像103を読み取る読み取りデバイスを含むユニットであり、原稿画像を撮像するデバイスを含んでいる。
106は光源であり、キセノン管などの白色光源が用いられる。
107〜111はミラーであり、光源106から原稿画像に照射される光の反射光を、撮像素子まで伝達する役割を持つ。
112はミラー111により反射された原稿画像から反射光を撮像素子幅に集光するためのレンズである。
113は撮像素子であり、本実施例においてはエリアセンサで構成される。
【0076】
エリアセンサとはデジタルカメラなどに適用されている撮像素子であり、上述したライン単位のセンサとは異なり、原稿画像データを読み取る画素センサが2次元的に配列されている。
【0077】
図14は、エリアセンサの構成を示す図である。同図において1401はエリアセンサデバイスを示している。
【0078】
この1つ画素は、この1画素の画素センサを4等分してRGBで構成されるカラー対応の画素センサであってもよい。
1402はエリアセンサ1401における画素センサを示しており、長辺方向にH画素、短辺方向にL画素の画素センサにより構成されている。
また、H画素=L画素(長辺=短辺)としてもよい。
このエリアセンサの解像度は画素センサ間の距離Nにより決定される。
【0079】
高解像度のデジタルカメラに使用されているエリアセンサは、長辺方向画素センサ数、及び短辺方向画素センサ数として非常に多くの画素により構成されている。例えば、1,000万画素クラスのデジタルカメラにおいては、長辺方向の画素センサとして3,800画素、短辺方向の画素センサとして2,800画素を有しているものがある。
【0080】
一般的にエリアセンサをカメラ等に用いる際、エリアセンサは入力される画像データを2次元領域として捉え撮像する。
つまり、1回の撮像において2次元に配列した画素センサを用いて撮像する。エリアセンサデバイスを読み取り装置へ装着する際には、撮像した画像データを横方向、縦方向に歪みのない画像とするため、画素センサは傾斜なく配置される。
【0081】
したがって撮像された画像を再現した場合、斜め方向には一切のずれがないように配置する。
例えば一般的なカメラ内にエリアセンサが取り付けられた場合、1403の黒枠で示すラインの画素センサで読み取る画像データは、撮像物の最上端部を構成する画像データとなる。
この際、読み取られた画像データはラインを構成する方向に傾きがないものとなる。
【0082】
同様に、1404の黒枠で示すラインの画素センサで読み取る画像データは、1403で読み取った撮像物位置と異なる位置、すなわち垂直方向に下の位置の画像データである。よって、1405は1403で読み取った撮像位置よりも垂直方向に4つ下の位置の画像データとなる。
【0083】
このように、デジタルカメラのエリアセンサを用いる際、画像データを2次元領域として撮像するため、エリアセンサを構成する画素センサは全て撮像物の異なる位置を撮像していることとなる。
【0084】
しかしながら、本実施例にて用いる装置におけるエリアセンサの使用方法は、前記デジタルカメラでの使用方法とは異なる。
【0085】
まず、図14に示したエリアセンサを読み取り装置の基準となる設置位置に取り付ける。
【0086】
一般的な印刷を行う画像処理装置では、
図1における原稿台104上にて、指定された位置に原稿画像を置いた時、原稿画像の下を原稿画像の縦方向と同じ方向に平行走行する光源から原稿画像に照射される光の反射光がセンサに集光される。この反射光がセンサに対して傾くことがないように取り込まれる。
光源が平行走査されることで得る1ライン分の画像データとしての反射光は、図14に示すセンサの横方向(長辺方向)に平行に集光される。
【0087】
このため、センサはほぼ傾斜なく原稿画像を取り込むことができる位置に設置される。
このように原稿画像の出力を実現するためのセンサの設置位置をセンサの「基準となる設置位置」とする。
【0088】
本説明においては説明を簡略化するために、長辺方向に20画素、短辺方向に10画素の画素センサにより構成されているものとする。
もつろん、長辺方向=短辺方向となる構造であってもよい。
なお、前記画素センサ数は本実施例におけるエリアセンサの用途及び構成の説明を行うためのものであり、図示した画素センサ数に制限されるものではない。
実際には、デジタルカメラで使用されている画素センサ数で構成しても良いことは言うまでもない。
【0089】
読み取り装置に実装したエリアセンサ113を含む読み取りユニット105を、図1に記載した矢印方向に駆動させることにより、原稿台104に載せられた原稿画像103を読み取る。
【0090】
つまり、画素センサの集まりである読み取りラインセンサ1404及び1405を、上述したラインセンサのように扱うことにより読み取り動作を行う。
【0091】
次に、読み取りラインセンサ1404及び1405によって読み取られるライン画像データがどのようになるか説明する。
本説明において読み取りを行う原稿画像を図15とする。
つまり、この原稿画像は図1における原稿画像103に相当する。
また、同図において格子で示したものは、読み取りラインセンサ1404、あるいは1405を構成する画素センサの解像度に対応した画素構成である。
原稿画像の横方向の矢印で示す方向を主走査方向、縦方向で示す方向を副走査方向とする。
【0092】
読み取りユニット105が駆動して、原稿台下を副走査方向に移動するとともに、読み取りラインセンサ1404及び1405に入力されるフレーム画像データが、順次読み取られる。
【0093】
つまり、原稿画像のうち、読み取りユニット105の位置にあり、ライン幅に対応する部分が時々刻々と、読み取られる。
この原稿画像を読み取るプロセスを説明する。
【0094】
読み取りユニット105が原稿台下を副走査方向へ移動すると、図16(a)、17(a)、18(a)、19(a)で示す原稿画像の斜線部に、光源からの光が当たる。
【0095】
まず、ある瞬間において、図16(a)の斜線部に光源からの光が当たる。
すると、エリアセンサは光を検知して、光の当たった部分であるライン幅部分の原稿の画像データを検知する。
【0096】
例えばこの時、ラインセンサ1404は図16(b)で示されるような画像データを検知する。
【0097】
同時にラインセンサ1405では図16(c)で示されるような画像データを検知する。
【0098】
2つのライン画像データ間において読み取り位置のずれがあるのは、2つのラインセンサが物理的に距離をもって設置されているためである。
【0099】
そして、読み取られるライン画像データは、読み取りラインセンサごと異なるライン画像データとして扱われ、図16(d)、(e)に示すようなメモリ等の記憶媒体へ別々に記憶される。
【0100】
次に、センサユニット105が移動し、光源が動き、図17(a)に示すように各ラインセンサが検知する原稿画像の位置が変わる。そして、ラインセンサ1404は図17(b)、ラインセンサ1405は(c)に示すような画像データを検知する。
すると、読み取られる原稿画像データは、読み取りラインセンサごと異なる画像データとして扱われ、図17(d)、(e)に示すようなメモリ等の記憶媒体に別々に記憶される。
【0101】
同様に、図18(a)に示した位置を読み取られると、図18(b)、(c)に示すようなライン画像データが、図18(d)、(e)のようにメモリ等の記憶媒体に記憶される。
【0102】
また、図19(a)に示した位置を読み取られると、図19(b)、(c)に示すようなライン画像データが、図19(d)、(e)のようにメモリ等の記憶媒体に記憶される。
【0103】
最終的には、原稿画像の全てに光源からの光が照射され、各ラインセンサがそれぞれの位置にて画像データを読み取る。
すると、読み取られた画像データは、順にメモリに格納され、図20(a)、(b)に示すような画像が得られる。
この時、図20(a)の矢印(A)に示す方向を主走査方向、矢印(B)に示す方向を副走査方向という。
図20に示すように、副走査方向への1画素分のずれが生じた複数フレーム分のフレーム画像データが取得できる。
この副走査方向へのずれをもったフレーム画像データは画素センサの集合で構成されたラインセンサの本数分得られることとなる。
このように、原稿画像の読み取りに画素センサを2次元的に配置してエリアセンサとして用いると、一回の読み取り動作で副走査方向に連続して位相がずれたフレーム画像データが複数フレーム得られる。
【0104】
次に、本実施例にて用いる装置におけるエリアセンサの使用方法について述べる。
まず、図14で示したようなエリアセンサを、読み取り装置へ傾斜させて実装する。
【0105】
図21に、本実施例におけるエリアセンサの実装形態の一例を示す。
1501はエリアセンサデバイスを示している。
1502は画素センサを示しており、本説明においては長辺方向に20画素、短辺方向に10画素の画素センサにより構成されているものとする。
【0106】
そして、エリアセンサを基準となる設置位置から基準となる設置位置に対して傾斜させて実装する。
つまり、図21に示すように、基準となる設置位置に設置されていた時のエリアセンサ内にて一番下に設置されていたラインセンサとの間に角度θをつけて設置する。
【0107】
構成する画素センサの位置は、エリアセンサ左端上部を原点に、長辺方向をx方向、短辺査方向をy方向として表すこととする。
つまり、左端上部の座標は(x,y)=(0,0)であり、右端上部の座標は(x,y)=(19,0)となる。
同様に、左端下部の座標は(x,y)=(0,9)、右端下部の座標は(x,y)=(19,9)となる。
【0108】
1503は、エリアセンサ1501を構成する1ライン分の画素センサの集まりを示している。具体的には、長辺方向を構成する20個の画素センサにより構成されている。
つまり、座標位置(0,4)、(1,4)、(2,4)、・・・・(19,4)の画素センサで構成される。
なお、以下の説明において、前記1503で囲まれる複数の画素センサを読み取りラインセンサ1503と称する。
【0109】
同様に1504は、座標位置(0,5)、(1,5)、(2,5)、・・・・(19,5)の画素センサで構成され、以下の説明において読み取りラインセンサ1504と称する。
【0110】
本実施例においては、読み取り装置に実装したエリアセンサ113を含む読み取りユニット105を、図1に記載した矢印方向に駆動させることにより、原稿台104に載せられた原稿画像を読み取る。
つまり、画素センサの集まりである読み取りラインセンサ1503及び1504を、上述したように、ラインセンサのように扱うことにより読み取り動作を行う。
【0111】
次に、読み取りラインセンサ1503及び読み取りラインセンサ1504によって読み取られるライン画像データがどのようになるかを説明する。
【0112】
本説明において読み取りを行う画像を図15とする。
つまり、この原稿画像は図1における原稿画像103に相当する。
【0113】
また、同図において格子で示したものは、読み取りラインセンサ1503、あるいは1504を構成する画素センサの解像度に対応したものである。
原稿画像は前述した図16〜20において示されたように読み取られるが、θ傾斜していることで、角度θ傾斜したフレーム画像データが得られる。
【0114】
例えば、本来エリアセンサに傾きがなければ、図22(a)の斜線部で示す位置が読み取られるはずである。しかし、エリアセンサが傾いていることで、ラインセンサ1503、1504は、図22(b)、(c)に示すように画像データを検知する。
【0115】
そして、これらのライン画像データは傾いたままそれぞれ図22(d)、(e)に示すようなメモリ等の記憶媒体に記憶される。
同様に、センサユニット105が移動し光源が動くとともに図23(a)の斜線部に示す位置を読み取る。この場合、ラインセンサ1503、1504は、図23(b)、(c)に示すように画像データを検知する。
【0116】
そしてこれらのライン画像データはそれぞれ、図23(d)、(e)に示すようなメモリ等の記憶媒体に記憶される。
さらに、読み取りユニットの副走査方向への移動とともに光源が移動して図24(a)の斜線部に示す位置を読み取る場合は、ラインセンサ1503、1504では図24(b)、(c)に示す画像データが得られる。
そして、これらのライン画像データはそれぞれ図24(d)、(e)に示すようなメモリ等の記憶媒体に記憶される。
【0117】
最終的には、ラインセンサ1503、1504にて検知され、読み取られたライン画像データは、図25(a)、(b)に示すようなデータである。これらは、いずれも角度θ傾斜した画像データとして読み取られる。
この時、図25(a)の矢印(A)に示す方向を主走査方向、矢印(B)に示す方向を副走査方向という。
これに対して、矢印(C)に示した方向を読み取り画像データの横方向という。また、矢印(D)に示した方向を読み取り画像データの縦方向という。
【0118】
図21に示すように、読み取りラインセンサ1503と読み取りラインセンサ1504は、物理的に短辺方向に1画素センサ分ずれている。
したがって、読み取りラインセンサ1503を構成する画素センサと、読み取りラインセンサ1504を構成する画素センサには、短辺方向に対して位相ずれがある。
【0119】
例えば、読み取りラインセンサ1503の座標(x,y)=(15,4)に位置する画素センサと、読み取りラインセンサ1504の座標(x,y)=(15,5)に位置する画素センサは、短辺方向における位置はy=1分ずれている。
そのずれは、基準となる設置位置における垂直方向に対してΔβ分のずれをもたらす。
【0120】
一方、x軸方向における位置は全く同じx=15である。
しかし、傾斜角度θにより、基準となる設置位置における水平方向に対して、サブピクセル以内の微小量Δαだけ位相がずれたものとなる。
【0121】
つまり、読み取りラインセンサ内においてx軸方向に同じ位置の画素センサであっても、エリアセンサを傾けることにより、傾斜角度に依存した微小単位の位相ずれが発生する。このずれは傾斜角度に依存する。
したがって、エリアセンサ113内に定義した読み取りラインセンサで読み取ったライン画像データは、ラインセンサ毎に、異なる位相ずれを持ったフレーム画像データとなる。
【0122】
具体的には、図25(a)の読み取り画像データと図25(b)の読み取り画像データとは、縦方向に1画素分つまり副走査方向にΔβ分ずれるだけでなく、主走査方向にもΔα分だけ、位相がずれたものとなっている。
【0123】
前記説明においては、読み取りラインセンサが2つ(読み取りラインセンサ1503、1504)であることを前提にしたがこれに限られるものではない。エリアセンサ113を構成する画素センサを、y軸方向に増やすことで読み取りラインセンサを多数構成して良い。
つまり、読み取りラインセンサは、エリアセンサ113を構成するy軸方向に並ぶ画素数分設けることが可能である。
【0124】
読み取りラインセンサとして構成した数は、1回の読み取り動作によって得られる読み取り画像データ数と等しい。
つまり、エリアセンサ113内に、読み取りラインセンサを30ライン分構成すれば、1回走査することで、それぞれ固有の位相ずれを有する30フレームの画像データを得ることが出来る。
【0125】
エリアセンサを傾けることにより得られるフレーム画像データは、主走査方向に異なった微小の位相ずれを有するものとなる。
したがって、このように読み取り制御によって得られるフレーム画像データを用いれば、超解像度処理によって、読み取りデバイスが有する解像度よりも高い画像データを構成することが可能となる。
【0126】
しかしながら、これまで説明した方法を複合機の読み取り装置にそのまま適用すると、好ましくない状況が発生する。
【0127】
図4は、複合機における画像を扱う処理ブロックを模式的に示した図である。401は、画像処理部であり、読み取り装置101により読み取られたフレーム画像データに対して様々な画像処理が施される。
なお、超解像度処理を行う処理ブロックも、画像処理部401の構成の一部として含まれる。
402は、画像処理部401が画像処理を行う際に使用するメモリである。
403は記録装置であり、例えばインクジェット方式あるいは電子写真方式における記録エンジンによって構成される。
404は、複合機全体を制御するプロセッサ(以下CPUと称する)である。
【0128】
図4の構成からもわかるように、複合機の読み取り装置101で読み取られた画像データは、画像処理部401に入力される。
通常、複合機における画像処理部の処理は水平方向に傾斜のない画像データを対象とする。
このため、従来の複合機においては、読み取り装置101内部に、斜行補正を行う処理部が存在する。斜行補正の方式には、いくつか存在するが、大きくは機械的な補正と電気的な補正に分類される。
【0129】
機械的な補正は、原稿画像をADF102で読み取り位置に送る際、読み取りユニットに対して水平になるように、読み取り開始前に、原稿画像を1度、突き当てに当てることで実現するものである。
【0130】
図5は、機械的な補正を行う場合の構成の概要を示すものであり、装置上部から見た場合を示すものである。501は機械的に設けた突き当て、502はADFから送られる原稿画像を示している。
また、水平方向に主走査方向、垂直方向に副走査方向を示している。原稿の紙送り方向は、副走査方向であり、同図においては上から下となる。
【0131】
送られる原稿画像502は、図示しないローラ等により、原稿読み取り位置に送られるが、読み取り開始前に突き当て501に当てられる。例えば、図5(a)に示すように、原稿画像が斜めに送られると、突き当て501に当たることにより、原稿画像は読み取り開始位置に対して水平に補正される(図5(b))。
【0132】
電気的な補正は、読み取り画像データを、一度、全てメモリ402に記憶させ、記憶させた読み取り画像データを解析することにより、傾斜角度を求める。
そして、求められた傾斜角度に応じて、読み取り画像データ全てに対して2次元座標変換を施すものである。2次元座標変換の方式として、多く使用される変換方式としては、アフィン変換が挙げられる(式1)。
【0133】
【数1】

・・・(式1)
X´、Y´:変換後座標位置
X、Y :変換前座標位置
【0134】
斜行補正の方式の選択は、複合機の性能により異なる。
つまり、高性能な複合機においては、読み取り速度が高速となるため、1度突き当てに当てるという機械的な補正は、性能達成に対して大きな障害となる。したがって、電気的な補正が選択されることとなる。
【0135】
一方、メモリ容量を小さくすることが求められる場合には機械的な補正方式が選択されることが多い。
【0136】
本実施例においては、エリアセンサ113を傾斜させて実装することにより、主走査方向に微小な位相ずれを持った複数のフレーム画像データを取得することが特徴となる。
これにより、超解像度処理を行うための前提条件を達成することが出来る。
【0137】
また、エリアセンサ113を意図的に傾斜させ、微小な位相ずれを発生させて原稿画像の読み取りを行っているため、機械的な補正を選択することはない。
つまり、電気的な補正が選択される。
【0138】
超解像度処理を前提に電気的な補正を行うためには、2つの方法がある。
1つは、エリアセンサ113内に構成した、複数の読み取りラインセンサで読み取った複数の画像データを1度記憶させ、記憶した複数の傾斜画像データを用いて超解像度処理を行うものである。
【0139】
この場合、超解像度処理によって構成された画像データは、エリアセンサ113の傾斜をもった高解像度画像データとなる。
したがって、画像処理部401に出力する前に、構成された高解像度画像データに対して斜行補正を行わなければならない。
電気的な補正においては、メモリ402に記憶した状態から、傾斜角度を算出し、算出した角度を補正する変換を行う。
超解像度処理によって、高解像度に構成してから斜行補正を行う場合、補正を行う手段がハードウェアであっても、ソフトウェアであっても、使用するメモリ容量は対応する上限解像度に依存して多くなる。
つまり、複合機として2,400dpiや4,800dpiなどの高解像度画像を扱う場合、使用するメモリ容量は非常に大きなものとなってしまう。
【0140】
もう1つの方法は、超解像度処理の前の段階で斜行補正を行う方法である。
この場合、エリアセンサ113が有する主走査方向解像度の傾いた画像データに対して補正を行えば良いため、前述した方法よりも使用するメモリ容量は少なくすることが出来る。
【0141】
しかし、超解像度処理するためには傾いたフレーム画像データが多数必要となる。
したがって、超解像度処理を行うための前段処理として取得したフレーム分の斜行補正を行わなければならない。
斜行補正をソフトウェアで実現した場合、プロセッサが単一である場合はシーケンシャルに処理を行わなければならず、性能面での課題が発生する。
また、ハードウェアで実現する場合、性能向上のため並列処理を行う構成をとると回路規模及び付随するメモリ容量が多くなり、システムとしての負荷が増大する。
【0142】
そこで、本件では、傾斜して設置されたエリアセンサから、傾きのない画像を得るために、傾斜したエリアセンサ内の画素センサから、傾きのない画像を形成できる画素センサのみを選択して実際の画像の読み取りに使用する。
【0143】
図2は、本実施例における読み取り装置に実装するエリアセンサの構成を示している。
図2(a)は、使用されるエリアセンサ113に傾斜をもたせずに、水平方向に配置した場合の構成である。これは、基準となる設置位置にエリアセンサ113を配置した場合を示す図である。
図2(b)は、エリアセンサ113を、傾斜角度θをもたせて読み取りユニット105に実装した場合の構成を示す図である。
図2において、円で示したものはエリアセンサ113の四隅の画素センサを示しており、エリアセンサ113の左上部の画素センサをPa、右上部の画素センサをPb、左下部の画素センサをPc、右下部の画素センサをPdとする。
【0144】
201は、エリアセンサ113の上部の距離を示しており、撮像素子のデバイスとしての横幅としても定義される。また、この横幅が、エリアセンサ113の長辺方向の解像度としても定義出来る。
つまり、201は長辺方向の画素センサ数として表すことが出来る。
【0145】
同様に、202はエリアセンサ113の下部、すなわち、画素センサPcと画素センサPd間の画素センサ数を示す。
203はエリアセンサ113の画素センサPbと画素センサPdの距離、すなわち画素センサPbと画素センサPd間の画素センサ数を示す。
同様に、204はエリアセンサ113の画素センサPaと画素センサPc間の画素センサ数を示す。
つまり、エリアセンサ113の周囲の距離は、エリアセンサ113が持つ解像度、画素センサ数により定義することが出来る。
したがって以降の説明においては、エリアセンサ113の各距離を該当する画素センサ数として説明する。
【0146】
傾斜角度θは、このエリアセンサ含んだ複合機を組み立てる工程において、エリアセンサ113を読み取りユニット105に実装した時点で取得出来る値である。
この傾斜角度θは、実装された機器固有の値として複合機内部の記憶領域に保持されるものである。
【0147】
以下、別図を用いて制御フローを交えて詳細に説明する。
図6は、本実施例における処理フローを表すものであり、複合機全体を制御するCPU404の制御を示すものである。
【0148】
図2(b)は、傾斜角度θで実装したエリアセンサ113に内接する、傾斜角度0の矩形領域を網掛領域で示すものである。なお、網掛領域の頂点をPe、Pf、Pg、Phとし、以下の説明においては、この網掛領域で示した矩形領域を内接矩形と称する。
【0149】
内接矩形の頂点は、左上部の隣接点がPe、右上部の隣接点がPf、左下部の隣接点がPg、右下部の隣接点がPhとなる。
また、エリアセンサ113が外接し、内接矩形と平行であり傾斜角度0の矩形領域(以下外接矩形と称する)と、エリアセンサ113の4隅の画素センサであるPa、Pb、Pc、Pdの位置を接点とした各距離を符号205〜符号212として示す。
【0150】
なお、外接矩形の頂点は、左上部の隣接点をPi、右上部の隣接点をPj、左下部の隣接点をPk、右下部の隣接点をPlとする。
【0151】
したがって、205はPaとPk間の距離である。
206はPcとPk間の距離である。
207はPcとPl間の距離である。
208はPdとPlの距離である。
また、209はPdとPj間の距離である。
210はPbとPj間の距離である。
211はPbとPi間の距離である。
212はPaとPi間の距離である。
【0152】
本実施例を適用した複合機のCPU404は、まず、エリアセンサ113の読み取りユニット105への実装における傾斜角度θの取得を行う(ステップS101)。
具体的には、複合機組み立て工程において、複合機内部の記憶領域に保持した傾斜角度θの読み取りを行う。
【0153】
次に、CPU404は、傾斜角度θにより決定される内接矩形における座標の位置を決定する(ステップS102)。
【0154】
以下、内接矩形における座標の位置を決定する工程に関して説明する。
エリアセンサ113の傾斜角度がθであることにより、∠PiPbPa、∠PcPaPk、及び∠PbPdPjの角度もθとなる。
符号201、符号202、符号203、符号204で示される距離、すなわち画素センサ数は、エリアセンサ113の解像度に依存するため、予め決まっている値である。
【0155】
したがって、例えば、符号205で示す距離(該当する画素センサ数)は、符号204で示す画素センサ数のcosθ倍で表すことが出来る。
また、符号206で示す距離(該当する画素センサ数)は、符号204で示す画素センサ数のsinθ倍で表すことが出来る。
例えば、符号204の距離に相当する画素センサ数(エリアセンサ113の副走査方向の画素センサ数)が2,800、傾斜角度θ=10度である場合、符号205の距離に相当する画素センサ数は、2,800×0.9848=2,757となる。
【0156】
また、同じ条件での、符号206の距離に相当する画素センサ数は、2,800×0.1736=486となる。
【0157】
同様に考えると、符号207で示す距離(該当する画素センサ数)は、符号202で示す画素センサ数のcosθ倍で表すことが出来る。
また、符号208で示す距離(該当する画素センサ数)は符号202で示す画素センサ数のsinθ倍で表すことが出来る。
符号202の距離に相当する画素センサ数(エリアセンサ113の主走査方向画素センサ数)が3,800、傾斜角度θ=10度である場合、符号207の距離に相当する画素センサ数は、3,800×0.9848=2,742となる。
【0158】
また、同じ条件での、符号208の距離に相当する画素センサ数は、3,800×0.1736=659となる。
【0159】
∠PdPbPi、∠PbPaPk、∠PaPcPl、∠PcPdPjは同一角θ+90度であるので、∠PiPaPb=∠PaPcPk=∠PjPbPd=∠PlPdPcということがわかる。
したがって、傾斜角度0での外接矩形による条件により、205=209、206=210、207=211、208=212の関係が成り立つ。
【0160】
前記記載した演算方法により、205の画素センサ数、206の画素センサ数、207の画素センサ数、及び208の画素センサ数を求めることで、209〜212の画素センサ数も決まることになる。
【0161】
205〜212が示す画素センサ数が求まることにより、内接矩形の頂点座標、すなわちエリアセンサ113内のPe、Pf、Pg、Phの座標位置が定まる。Pa(0、0)とし、PaからPbへ向かう長辺方向をX軸方向とし、PaからPcへ向かう短辺方向をY軸方向とする。
【0162】
図2(c)に、Pa、Pe位置の拡大図を示す。この図からもわかるように、Peのエリアセンサ113内のX座標位置は、206の画素センサ数のcosθ倍で求められる。
【0163】
同様に、Peのエリアセンサ113内のY座標位置は、206の画素センサ数のsinθ倍で求めることが出来る。
【0164】
したがって、PeのX座標をXpe、Y座標をYpeとすると、Xpe及びYpeは、以下の演算式(式2、式3)によって求まる。
Xpe:(206の画素センサ数)×cosθ・・・(式2)
Ype:(206の画素センサ数)×sinθ・・・(式3)
【0165】
以下、同様に考えると、Pfのエリアセンサ113内の座標位置(Xpf、Ypf)、Pgのエリアセンサ113内の座標位置(Xpg、Ypg)、及び、Phのエリアセンサ113内の座標位置(Xph、Yph)は、以下の演算式(式4〜式9)により求まる。
Xpf:(212の画素センサ数)×sinθ・・・(式4)
Ypf:(212の画素センサ数)×cosθ・・・(式5)
Xpg:(208の画素センサ数)×sinθ・・・(式6)
Ypg:(204の画素センサ数)−(208の画素センサ数)×cosθ・・・(式7)
Xph:(201の画素センサ数)−(210の画素センサ数)×cosθ・・・(式8)
Yph:(203の画素センサ数)−(210の画素センサ数)×sinθ・・・(式9)
【0166】
以上の工程により、エリアセンサ113の内接矩形の頂点座標位置が求まる。内接矩形は、エリアセンサ113を傾けた場合においても、長辺方向に傾きが補正され、傾斜がないライン画像データを取り込むことが出来る領域(以下、有効な読み取り領域と称する)を示すこととなる。
【0167】
次にCPU404は、サブピクセルの位相ずれを有した傾きのないライン画像データを複数読み取るため、有効な読み取り領域内の画素センサにてライン画像データの読み取りに用いる画素センサの間隔を決定する(ステップS103)。
【0168】
以下、図3を用いて詳細に説明する。
【0169】
図3(a)は、読み取りユニット105内部に実装したエリアセンサ113の構成の一例を示している。
なお、本説明においては一例として、長辺方向の画素センサ数を20、短辺方向の画素センサ数を10として説明する。
エリアセンサ113を構成する画素センサの四隅の座標位置を図3(b)に示す。長辺=X軸、短辺=Y軸とする。
左上画素センサの座標は(x,y)=(0,0)、右上画素センサの座標は(x,y)=(19,0)、左下画素センサの座標は(x,y)=(0,9)、右下画素センサの座標は(x,y)=(19,9)となる。
【0170】
また、θはエリアセンサ113の傾斜角度であり、太線で示した矩形領域はステップS102において内接矩形(有効な読み取り領域)として決定された領域を示している。
【0171】
次にCPU404は、エリアセンサ113内部の有効な読み取り領域内の画素センサをどの程度の間隔で選定すれば、傾斜のないフレーム画像データを取得出来るか算出する。
エリアセンサ113の傾斜角度がθであることから、エリアセンサ113内に構成された画素センサも、長辺方向に隣接する画素センサ間で角度θの傾きが存在する。
【0172】
有効な読み取り領域内で傾きのないフレーム画像データを取得するために使用する画素センサは、前記傾きから逆算することが可能である。
例えば図3(b)において、グレーの網掛けで示した画素センサA(座標位置(2、2))を基準とする。
隣接する画素センサBは、傾斜角度θで傾斜しているため有効な読み取り領域内の画素センサであっても、画素センサAで読み取った画素データと画素センサBで読み取った画素データでは水平なフレーム画像データを構成することが出来ない。
【0173】
つまり、異なる画素センサで読み取った画素データで傾きのない画像データを構成するには、離散的に読み取り画素センサを決定する必要がある。
【0174】
具体的には、傾斜角度θで長辺方向に画素センサが配列された場合において、短辺方向に1だけシフトする長辺方向画素センサの位置を算出すれば良い(図3(c))。
したがって、傾斜角度がθである場合、θに依存しない、基準となる設置位置における水平方向と平行なラインセンサを構成するために、長辺方向の画素センサ間隔は、式10により求まる。
(傾斜角度θである場合の長辺方向の画素センサ間隔)=1/sinθ・・・(式10)
式10の演算結果は、整数となることが理想である。
【0175】
しかし、三角関数による演算であるため、傾斜角度θを複合機毎に任意とすると、傾斜のないフレーム画像データを読み取ることの出来る画素センサの選定は困難となる。
【0176】
したがって、本実施例の適用においては、エリアセンサ113を、読み取りユニットに傾斜して実装する傾斜角度θには、ある程度の範囲(制限)を設ける。
具体的には、傾斜角度θである場合の長辺方向画素間隔が整数となる傾斜角度θを実装制限として行う。
【0177】
図3(b)の例においては、長辺方向の画素センサ間隔が5である場合を示している。
つまり、画素センサAで読み取った画素データと、傾きのないフレーム画素データを読み取ることが可能な画素センサは、長辺方向に5、短辺方向に1進んだ座標位置が該当する。
具体的には、座標位置(7,3)の画素センサが該当する。
以降、同様に、画素センサAを基準として傾きのないフレーム画素データを得ることが可能な画素センサを選定していく。
【0178】
CPU404は、画素センサAを基準とした画素センサ(以下、基準画素センサと称する)の選定が終了すると、次の基準画素センサB(座標位置(2,3))を決定し、同様の画素センサ選定を行う。
【0179】
なお、傾斜角度θは同一であるため、長辺方向の画素センサ間隔は画素センサAを基準とした場合と同じである。
以降、画素センサC、画素センサDに対しても、傾斜のないフレーム画素セータを得るための画素センサの選定を繰り返す。
【0180】
前記画素センサの選定により、傾きのないフレーム画像データを得るための読み取りラインセンサが定義される。
つまり、画素センサAを基準とした画素センサで構成される読み取りラインセンサ、画素センサBを基準とした画素センサで構成される読み取りラインセンサ、・・・画素センサDを基準とした画素センサで構成される読み取りラインセンサを定義することが出来る。
【0181】
次に、CPU404は、1回の読み取り動作、すなわち、読み取りユニット105が駆動することによって、同時に読み取ることが可能な読み取りフレーム数を決定する(ステップS105)。
【0182】
例えば、図3(b)に示した例において、画素センサA、画素センサB、画素センサC、画素センサD、を基準とした読み取りラインセンサを定義した場合、1回の読み取り動作で読み取ることが可能なフレーム数は4フレームとなる。
【0183】
本実施例における読み取りラインセンサ数は、CPU404により選定する基準画素センサ数により決定される。
このため、画素センサA〜画素センサD以外の基準画素センサを選定すれば、同時に読み取ることが可能なフレーム数は増えることとなる。
【0184】
つまり、エリアセンサ113内の座標位置(3,3)の画素センサEなど、有効な読み取り領域に属する画素センサを、基準画素センサとして選定すれば、ラインセンサを1つ増やすことができる。
すると、1回の読み取り動作によって読み取ることが可能なフレーム数を増やすことが可能である。
また、定義した読み取りラインセンサ数は、図示しない複合機の記憶領域に、機器固有の情報として保持する(ステップS106)。
【0185】
図3(d)に、画素センサA〜Eを基準とした、読み取りラインセンサにより読み取ったフレーム画像データを示す。
同図において、302は画素センサAを基準とした読み取りラインセンサで読み取ったフレーム画像データである。303は画素センサBを基準とした読み取りラインセンサで読み取ったフレーム画像データである。
また、304は、画素センサCを基準とした読み取りラインセンサで読み取ったフレーム画像データである。
305は画素センサDを基準とした読み取りラインセンサで読み取ったフレーム画像データである。
306は画素センサEを基準とした読み取りラインセンサで読み取ったフレーム画像データである。
【0186】
読み取られる画像データ302〜306は、エリアセンサ113内の有効な読み取り領域に属する離散的な画素センサにより構成された読み取りラインセンサにより読み取られたフレーム画像データである。
【0187】
よって、エリアセンサ113の傾斜角度θに依存せず、傾斜のないフレーム画像データとなる。
また、原稿画像を1回走査して読み取られた夫々のフレーム画像データには、微小な位相ずれをもったフレーム画像データとなる。
【0188】
つまり、本実施例における第1実施例において、超解像度処理の条件を満たした複数のフレーム画像データを読み取ることができる。
その上、エリアセンサ113を傾斜させたことによる弊害を解消し、傾斜を補正してなくした画像データ取得を行うことができる。
【0189】
この複数の傾斜のないフレーム画像データを用いて、前述したプロセスにて高解像度変換を行う超解像度処理を行い、装置の有するセンサの解像度よりも高解像の画像を出力する。
【0190】
(第2実施例)
次に、第2の実施例について説明する。
超解像度処理による読み取り画像の高解像度化は、原稿画像から得られた微小な位相ずれを持つ複数のフレーム画像を得ることが前提となる。
また、原稿画像から得られた微小な位相ずれを持つフレーム画像フレーム数が多いほど、超解像度処理によって生成される高解像度画像データの解像度を向上させることが可能となる。
【0191】
第1実施例においては、エリアセンサ113を、読み取りユニット105に斜めに実装することにより、微小な位相ずれをもった複数フレーム分のフレーム画像データを得ることの説明を行った。
また、エリアセンサ113内に有効な読み取り領域を設け、この有効な読み取り領域内の画素センサを選定することにより、傾きのないフレーム画像データを複数フレーム分得ることを記載した。
ここで、有効な読み取り領域を定義せずエリアセンサ113が元々持つ解像度で画像の読み取りを行った場合に使用できる読み取りラインセンサの数と読み取りラインセンサとして定義できる数の比較をしてみる。
すると、本実施例にて決められる読み取りラインセンサの方が少なくなる。
これは、有効な読み取り領域外に属する画素センサを基準画素センサの対象としていないからである。
【0192】
有効な読み取り領域外に属する画素センサを基準画素としない理由は、有効な読み取り領域内で読み取りを行ったフレーム画像データの長辺方向の画素数にバラツキを持たせないためである。
【0193】
図7に、本実施例におけるエリアセンサ113の構成を示す。
なお、第1実施例の説明において対象とした基準画素センサは、黒で示している。同図において黒で示した画素センサは、全て長辺方向に4画素分の画素データを読み取れるものである。
【0194】
例えば、画素センサF(座標(3,5))で示した画素センサは、傾きのない画像データを読み取るために、CPU404で演算した画素センサ間隔で画素センサを定義していく。
するとこの場合、有効な読み取り領域内では長辺方向に3画素分のフレーム画像データしか得られなくなる。
このように、有効画像領域外の画素センサを読み取りラインセンサに用いないと、CPU404で定義可能な読み取りラインセンサ数は限られてしまう。
【0195】
以下、CPU404の動作制御フローも用いて、本実施例における高解像度対応に関して記載する。
【0196】
図9は、本実施例を適用した複合機の動作制御フローを示すものである。
複合機を使用するユーザが図示されていないオペレーションパネル等により、超解像度処理によって生成される画像の出力解像度指定をする。すると、CPU404は指定解像度を得るための低解像度フレーム画像データが、必要示レーム分だけ読み取れるか又は読み取れないか、取得可能なフレーム画像データのフレーム数の確認を行う(ステップS201)。
【0197】
第1実施例についての説明でも記載したように、複合機として有効な読み取り領域内で同時に読み取ることが出来る低解像度フレーム画像データのフレーム数は、複合機内部の記憶部に記憶されている。
【0198】
したがって、CPU404は記憶されている一回の読み取り動作で得られるフレーム画像データのフレーム数の制限値と、指定された解像度画像を得るために必要なフレーム画像データのフレーム数とを比較する。
【0199】
指定された高解像度を構成するために必要な低解像度フレーム画像データのフレーム数が、有効な読み取り領域内で定義した読み取りラインセンサ数で補える場合、ステップS203へ進む。
そして、CPU404は、有効な読み取り領域内に定義した読み取りラインセンサを用いて、原稿画像の読み取り動作を指示する。
定義された複数の読み取りラインセンサにより、同時に読み取られた複数の読み取りフレーム画像データは、画像処理部401に出力される。
画像処理部401は、読み取り装置101から出力される複数のフレーム分のフレーム画像データを用いて超解像度処理を実施し、ユーザにより指定された高解像度画像データを構成する。
【0200】
ステップS201において、指定された解像度の構成に必要なフレーム画像データのフレーム数が、複合機内部の記憶部に記憶されている同時読み取り可能フレーム数を越えている場合、CPU404は新たな読み取りラインセンサの定義を行う。
【0201】
以下、図7を用いて、新たな読み取りラインセンサの定義方法について説明する。
ユーザにより指定された解像度を有する高解像度画像を構成するには、有効な読み取り領域内で定義した読み取りラインセンサ数では足りない。そのため、有効な読み取り領域外の画素センサを加えて、新たな読み取りラインセンサを定義する。
例えば、画素センサFを基準画素センサとした場合に関して説明する。
【0202】
有効な読み取り領域内でθに依存しない、基準となる設置位置における水平方向と平行なラインセンサを構成するためには、画素センサFと同一の網掛で表記した3画素分の傾きのない画素データしか取得することが出来ない。
しかし、有効な読み取り領域外の画素センサ、具体的には座標(18,8)の画素センサによる読み取り画素データを追加すれば、長辺方向の必要画素を得ることが出来る。
【0203】
この場合の読み取りフレーム画像データの概念を図7(b)に示す。
同図において、有効な読み取り領域内の画素センサで読み取られるフレーム画像データは、長辺方向に3画素幅のフレーム画像データとなる。
【0204】
また、有効な読み取り領域外の画素センサ(座標(18,8))で読み取られるフレーム画像データは、長辺方向に1画素幅のフレーム画像データとなる。
この2つのフレーム画像データは、有効な読み取り領域の内外という差は存在するものの、長辺方向の微小な位相ずれという観点においては、全く同一の位相ずれをもつものと考えることが出来る。
【0205】
したがって、2つのフレーム画像データを合成することで、必要となるフレーム画像データを得るようにする。
つまり、有効な読み取り領域内の3画素分の画素センサに、有効な読み取り領域外の1画素分の画素センサを追加して、読み取りラインセンサとして定義する。
【0206】
また、追加読み取りラインセンサの定義は、左右の有効な読み取り領域外に対してのみに制限されるものではない。
つまり、有効な読み取り領域外の上下の画素センサを結合することにより新たな読み取りラインセンサを構成しても良い。
【0207】
例えば、画素センサG(座標(2,9))を基準画素センサとすると、傾きのない画像データを得るためには、長辺方向に5、短辺方向に1進んだ画素センサが対象となる。
しかし、長辺方向に5進んだ座標(7,9)は存在するが、短辺方向に1進んだ画素センサ(座標(7,10))は物理的に存在しない。
【0208】
そして、エリアセンサ113を構成する画素センサ全てが、傾斜角度θの影響を受けている。
つまり、長辺方向の微小な位相ずれとして同一の画像を得るためには、短辺方向の座標を一周期巡回させれば良い。
具体的には、短辺方向の座標位置10から、物理的に存在する座標位置の最大10を減算した座標である(7,0)の画素センサを、微小な同一の位相ずれを持つ画素センサとして定義する。
【0209】
以降は、これまで説明した方法と同じく、長辺方向に5、短辺方向に1進んだ画素センサを微小な同一位相ずれを持つ画素センサとして定義する。この定義において、読み取られたライン画像データの概念図を図7(c)に示す。
同図において、有効な読み取り領域の下に位置する画素センサにより読み取ったライン画像データは、長辺方向に1画素幅の画像データとなる。
【0210】
また、有効な読み取り領域の上に位置する画素センサにより読み取られたフレーム画像データは、長辺方向に3画素幅のライン画像データとなる。
既に説明している有効な読み取り領域の左右の画素センサで読み取ったライン画像データの結合と同じく、この2つのライン画像データは、長辺方向の微小な位相ずれという観点においては、全く同一の位相ずれをもつものと考えることが出来る。
【0211】
したがって、2つのフレーム画像データを合成することで、長辺方向の読み取り画素として必要となるフレーム画像データを得るようにする。
つまり、有効な読み取り領域外下側の1画素分の画素センサと、有効な読み取り領域外上側の3画素分の画素センサを結合して、読み取りラインセンサとして定義する(ステップS202)。
【0212】
このように、画素センサ追加を行って新たな読み取りラインセンサを定義することにより、本実施例を適用した場合においても、読み取りライン数を増やすことが出来る。
これは、図7(d)に示すように、有効な読み取り領域内の画素センサと、有効な読み取り領域外の画素センサを結合して一組のラインセンサとして取り扱う。
これにより、有効な読み取り領域内外それぞれで選出された画素センサで得られるライン画像データを結合し超解像度処理に必要とされる低解像度のフレーム画像データとして扱うことが出来る。
【0213】
また、低解像度フレーム画像データ追加を行う事が可能であるので、有効な読み取り領域内の読み取りラインセンサのみで読み取った画像データで構成可能な高解像度画像データを更に向上させることが出来るようになる(ステップS203、ステップS204)。
【0214】
次に、ユーザにより指定された解像度が、それほど高解像度でない場合の処理に関して説明する。
ステップS201において、ユーザにより指定された解像度が、複合機内部の記憶部に記憶されたフレーム画像データのフレーム数で実現可能である場合、CPU404は指定された解像度が所定の解像度以下であるかどうかについて確認を行う(ステップS205)。
【0215】
ステップS205において、CPU404は指定された解像度が所定の解像度以下ではないと判断した場合、ステップS203及びステップS204の処理を行う。
すなわち、CPU404が定義した読み取りラインセンサ全てを使用して、複数のフレーム分のフレーム画像データを同時に取得し(ステップS203)、超解像度処理を実行する(ステップS204)。
【0216】
ステップS205において、CPU404は指定された解像度が所定の解像度以下であると判断した場合、つまり、CPU404が定義した読み取りラインセンサがもつ解像度まで必要ではない場合、ステップS206へ進む。
そこで、CPU404は、傾きのないフレーム画像データを得ることが出来る画素センサを再定義して、読み取りラインセンサを構成するようにする。
【0217】
図8は、傾きのないフレーム画像データを得る画素センサ、及び読み取りラインセンサの再定義の構成を説明するものである。
図8(a)は、CPU404がもともと定義した読み取りラインセンサの構成を示すものであり、画素センサHは基準画素センサのうちの1つを示している。エリアセンサ113の傾斜角度θにより、長辺方向に5画素、短辺方向に1画素進んだ画素センサを傾きのないフレーム画像データを得るための画素センサとする。
すると、画素センサHと同じ微小な位相ずれをもつ画素センサは、画素センサI、画素センサJ、画素センサKが該当する。
【0218】
ユーザにより指定された解像度を構成する上で、前記画素センサH、画素センサI、画素センサJ、及び画素センサKの解像度が必要ではない場合、CPU404は傾きのないフレーム画像データを得るための画素センサの間引きを行う。例えば、図8(b)のように、画素センサH、画素センサJの2つを読み取りラインセンサとして定義する(ステップS206)。
また、画素センサI、画素センサKの2つを別の読み取りラインセンサとして定義しても良い。
【0219】
ユーザにより指定された解像度がそれほど高くない場合、画素センサ間引きを行う。つまり、超解像度処理のもととなる低解像度フレーム画像データのフレーム数を更に削減することで、同時に読み取るフレーム数を少なくし、読み取りラインセンサの解像度を下げることを行う。
このようにして、画像データ削減を行い、超解像度処理に必要となるメモリ容量を削減し、複合機のシステムにおける負荷を低減することが可能である。
【0220】
なお、以上で説明した第2実施例においては、ユーザが解像度を指定した段階で、画素センサ、あるいは読み取りラインセンサの再定義を行うこととしたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0221】
例えば、複合機の記憶部に記憶する段階で、高解像度用の読み取りラインセンサ、通常使用における読み取りラインセンサ、及び低解像度用の読み取りラインセンサを予め別に定義する。
そして、ユーザから指定された時点で対応する読み取りラインセンサの定義を使用するようにしても良い。
【0222】
(その他の実施形態)
前述した実施形態の機能を実現するように前述した実施形態の構成を動作させるプログラムを記憶媒体に記憶させ、該記憶媒体に記憶されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も上述の実施形態の範疇に含まれる。また、前述のプログラムが記憶された記憶媒体はもちろんそのプログラム自体も上述の実施形態に含まれる。
【0223】
かかる記憶媒体としてはたとえばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD―ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。
【0224】
また前述の記憶媒体に記憶されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS上で動作し前述の実施形態の動作を実行するものも前述した実施形態の範疇に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0225】
【図1】本発明における読み取り装置の構成を示す図
【図2】本発明におけるエリアセンサ内の有効な読み取り領域を示す図
【図3】本発明の第1実施例における画素センサ選定および読み取りラインセンサ定義を説明する図
【図4】本発明を適用した複合機の構成を示す図
【図5】機械的な斜行補正の説明図
【図6】本発明の第1実施例における動作フローを示す図
【図7】本発明の第2実施例における画素センサ結合説明図
【図8】本発明の第2実施例における画素センサ間引き説明図
【図9】本発明の第2実施例における動作フローを示す図
【図10】従来の複合機における縮小光学系構成図
【図11】超解像度処理を静止画像に適用した場合の概念図
【図12】超解像度処理を静止画像に適用した場合の概念図
【図13】超解像度処理を静止画像に適用した場合の概念図
【図14】エリアセンサの構成を示す図
【図15】エリアセンサが読み取る原稿画像
【図16】ライン画像データの取得方法を示す図
【図17】ライン画像データの取得方法を示す図
【図18】ライン画像データの取得方法を示す図
【図19】ライン画像データの取得方法を示す図
【図20】エリアセンサ中のラインセンサが読み取る画像データ
【図21】エリアセンサを斜めに実装した場合の構成図
【図22】傾斜したエリアセンサのライン画像データの取得方法を示す図
【図23】傾斜したエリアセンサのライン画像データの取得方法を示す図
【図24】傾斜したエリアセンサのライン画像データの取得方法を示す図
【図25】傾斜したエリアセンサ中のラインセンサが読み取る画像データ
【図26】超解像度処理の詳細についての説明図
【図27】超解像度処理の詳細についての説明図
【符号の説明】
【0226】
101 読取装置
102 ADF
103 原稿画像データ
104 ガラス板
105 読取ユニット
106 光源
107〜111 ミラー
112 レンズ
113 エリアセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素センサを2次元に配列することによって形成されたエリアセンサが基準となる設置位置に対して傾斜して取り付けられている画像処理装置であり、
前記エリアセンサの基準となる設置位置からの傾きを示す傾斜角度に基づき決まる前記エリアセンサの内に配置された画素センサから前記傾斜を補正した画像データを読み取るセンサ手段、
前記センサ手段によって原稿画像を1回走査することで1画素未満のずれを有する複数のフレーム分の画像データを取得する画像データ取得手段、
該画像データ取得手段にて取得した複数の画像データを用いて補間処理を行うことで、前記画素センサの解像度より高い解像度の画像データを得る高解像度変換手段、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記エリアセンサには、該エリアセンサの基準となる設置位置からの傾きを示す傾斜角度と、該エリアセンサの長辺と短辺を構成する画素センサ数に基づき決まる有効な読み取り領域が存在し、
該有効な読み取り領域とは、前記基準となる設置位置に対して傾斜して設置されたエリアセンサ内に存在する矩形領域であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
ユーザから前記原稿画像を出力する際の出力画像の解像度の指定を受ける出力解像度指定手段、
該出力解像度指定手段にて指定された解像度の出力画像を取得するのに必要となる画像データのフレーム数と、前記画像データ取得手段で取得することができる画像データのフレーム数とを比較する比較手段、
該比較手段によって必要となる画像データのフレーム数の方が多いと判断された場合、
前記有効な読み取り領域内に配置されている画素センサ及び前記有効な読み取り領域外に配置されている画素センサから、傾斜が補正された画像データを取得する画像データ追加手段、
を有することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
ユーザから前記原稿画像を出力する際の出力画像の解像度の指定を受ける出力解像度指定手段、
該出力解像度指定手段にて指定された解像度の画像を取得するのに必要となる画像データのフレーム数と、前記画像データ取得手段で取得することができる画像データのフレーム数とを比較する比較手段、
前記比較手段によって必要となる画像データのフレーム数の方が少ないと判断された場合、
前記センサ手段に用いた画素センサからセンサ数を減らして傾斜が補正された画像データを取得する画像データ削減手段、
を有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
画素センサを2次元に配列することによって形成されたエリアセンサが基準となる設置位置に対して傾斜して取り付けられており、前記エリアセンサの基準となる設置位置からの傾きを示す傾斜角度に基づき決まる前記エリアセンサの内に配置された画素センサから前記傾斜を補正した画像データを読み取るセンサ手段、
を有する画像処理装置における画像処理方法であり、
前記センサ手段によって原稿画像を1回走査することで1画素未満のずれを有する複数のフレーム分の画像データを取得する画像データ取得ステップ、
該画像データ取得ステップにて取得した複数の画像データを用いて補間処理を行うことで、前記画素センサの解像度より高い解像度の画像データを得る高解像度変換ステップ、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
前記エリアセンサには、該エリアセンサの基準となる設置位置からの傾きを示す傾斜角度と、該エリアセンサの長辺と短辺を構成する画素センサ数に基づき決まる有効な読み取り領域が存在し、
該有効な読み取り領域とは、前記基準となる設置位置に対して傾斜して設置されたエリアセンサ内に存在する矩形領域であることを特徴とする請求項5に記載の画像処理方法。
【請求項7】
ユーザから前記原稿画像を出力する際の出力画像の解像度の指定を受ける出力解像度指定ステップ、
該出力解像度指定ステップにて指定された解像度の出力画像を取得するのに必要となる画像データのフレーム数と、前記画像データ取得ステップで取得することができる画像データのフレーム数とを比較する比較ステップ、
該比較ステップによって必要となる画像データのフレーム数の方が多いと判断された場合、
前記有効な読み取り領域内に配置されている画素センサ及び前記有効な読み取り領域外に配置されている画素センサから、傾斜が補正された画像データを取得する画像データ追加ステップ
を有することを特徴とする請求項6に記載の画像処理方法。
【請求項8】
ユーザから前記原稿画像を出力する際の出力画像の解像度の指定を受ける出力解像度指定ステップ、
該出力解像度指定ステップにて指定された解像度の画像を取得するのに必要となる画像データのフレーム数と、前記画像データ取得ステップで取得することができる画像データのフレーム数とを比較する比較ステップ、
前記比較ステップによって必要となる画像データのフレーム数の方が少ないと判断された場合、
前記センサ手段に用いた画素センサからセンサ数を減らして傾斜が補正された画像データを取得する画像データ削減ステップ、
を有することを特徴とする請求項5に記載の画像処理方法。
【請求項9】
画素センサを2次元に配列することによって形成されたエリアセンサが基準となる設置位置に対して傾斜して取り付けられており、前記エリアセンサの基準となる設置位置からの傾きを示す傾斜角度に基づき決まる前記エリアセンサの内に配置された画素センサから前記傾斜を補正した画像データを読み取るセンサ手段、
を有する画像処理装置における画像処理方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記プログラムは、以下のステップをコンピュータに実行させる、

前記センサ手段によって原稿画像を1回走査することで1画素未満のずれを有する複数のフレーム分の画像データを取得する画像データ取得ステップ、
該画像データ取得ステップにて取得した複数の画像データを用いて補間処理を行うことで、前記画素センサの解像度より高い解像度の画像データを得る高解像度変換ステップ、
を実行させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを格納したことを特徴とするコンピュータが読み取ることが可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2009−171559(P2009−171559A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317280(P2008−317280)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】