説明

画像処理装置及びX線診断装置

【課題】本発明が解決しようとする課題は、三次元画像データを容易に認識することがで
きる画像表示装置及び画像診断装置を提供することである。
【解決手段】上記問題を解決するために、請求項1に記載の本発明の画像処理装置は、画
像診断装置から得られたボリュームデータを往復回転可能に表示させる制御を行い、前記
ボリュームデータを自動回転させているとき、操作者による入力手段の操作に基づいて前
記ボリュームデータの回転を反転させる制御を行う表示制御手段と、前記ボリュームデー
タが往復回転する回転範囲を予め設定する往復回転条件設定手段と、を有し、前記表示制
御手段は、前記往復回転条件設定手段によって設定された回転範囲内において前記ボリュ
ームデータを往復回転表示させる制御を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置及び画像診断装置に係り、特にX線、MRI、超音波等の撮影
によって得られた画像データを表示する画像表示装置及び画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線画像診断装置、X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置などの画像診断装置に
おいては、これらの画像診断装置の撮影部から得られ、画像診断装置の画像表示部又は画
像表示装置に表示された画像データを読影して診断や治療が行われる。
【0003】
X線画像診断装置では、近年ではカテーテルを用いた血管造影検査やIVR(Inte
rventional Radiology)の発展に伴い循環器分野を中心に進歩を遂
げている。この循環器領域における画像診断は、心血管系をはじめ、全身の動静脈を対象
としている。そして、血管内に造影剤を注入した状態で複数の角度から撮影を行い、画像
表示部や画像表示装置に血管の三次元画像データを表示させる方法が知られている(例え
ば、特許文献1参照。)。
【0004】
血管の検査や治療を行う場合、予め撮影によって得られた血管の三次元画像データであ
る参照画像データを、例えば画像表示装置の1つのモニタに表示し、この参照画像データ
を参照して別のモニタに表示した血管の画像データを見ながら行う。そして、モニタに表
示した参照画像データの例えば血管の分岐や重なり等の立体構造を前もって把握するため
に、参照画像データを一方向及び他方向に回転する操作を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−79628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、モニタに表示された参照画像データを一方向に回転した後、他方向に回
転しようとすると、他方向である回転方向を指定してから回転操作を行う必要があり、操
作に手間がかかるため参照画像データの構造の認識を困難なものにしている。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、三次元画像データを容易に認
識することができる画像表示装置及び画像診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決するために、請求項1に記載の本発明の画像処理装置は、画像診断装置
から得られたボリュームデータを往復回転可能に表示させる制御を行い、前記ボリューム
データを自動回転させているとき、操作者による入力手段の操作に基づいて前記ボリュー
ムデータの回転を反転させる制御を行う表示制御手段と、前記ボリュームデータが往復回
転する回転範囲を予め設定する往復回転条件設定手段と、を有し、前記表示制御手段は、
前記往復回転条件設定手段によって設定された回転範囲内において前記ボリュームデータ
を往復回転表示させる制御を行うことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例に係るX線画像診断装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例に係る往復回転する三次元画像データを上から見た図。
【図3】本発明の実施例に係る往復回転する三次元画像データの生成の一例を説明するための図。
【図4】本発明の実施例に係る第2モニタに表示される往復回転条件設定画面の一例を示す図。
【図5】本発明の実施例に係るX線画像診断装置の動作を示すフローチャート。
【図6】本発明の実施例に係る第2モニタの画面に表示された往復回転する三次元画像データの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0011】
以下、本発明によるX線画像診断装置の実施例を、図1乃至図6を参照して説明する。
なお、本発明は、X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置等の画像診断装置にも適用
可能である。
【0012】
図1は、本発明の実施例に係るX線画像診断装置の構成を示したブロック図である。こ
のX線画像診断装置100は、被検体Pに透視用や撮影用のX線を照射して透視画像デー
タや撮影画像データなどの二次元画像データを生成する撮影部6と、撮影部6で生成され
た二次元画像データの表示や、撮影部6で生成された二次元画像データに基づいて三次元
画像データの生成及び生成した三次元画像データの表示を行う画像表示部7と、被検体P
のIDや氏名等の被検体情報の設定、撮影時刻、画像の拡大率、撮影角度、天板位置、X
線照射時間等の透視条件や撮影条件の設定、画像表示部7に表示する二次元画像データや
三次元画像データを生成するための表示モード(透視画像モード、撮影画像モード、三次
元画像モード)の設定、種々のコマンドの入力等を行う操作部8と、撮影部6及び画像表
示部7を統括して制御するシステム制御部9とを備えている。
【0013】
撮影部6は、被検体PにX線を照射するX線発生部1と、被検体Pを透過したX線を二
次元的に検出してX線投影データを生成するX線検出部2と、X線発生部1及びX線検出
部2を支持するCアーム32aと、被検体Pが載置される天板31aと、X線発生部1に
おけるX線照射に必要な高電圧を発生する高電圧発生部4と、Cアーム32aの角度及び
天板31aの位置を設定する機構部3と、X線検出部2で生成されたX線投影データから
二次元画像データの生成を行なう画像データ生成部5と、画像データ生成部5で生成され
た二次元画像データを保存する画像データ記憶部51とを備えている。
【0014】
X線発生部1は、陰極(フィラメント)から放出された電子を高電圧により加速し、陽
極に衝突させてX線を発生するX線管11と、X線管11と被検体Pの間に位置し、X線
管11から発して被検体Pに照射するX線の照射範囲を設定するX線絞り器12とを備え
ている。そして、透視条件及び撮影条件に基づいて高電圧発生部4から供給される高電圧
により、X線を発生する。
【0015】
X線検出部2は、被検体Pを透過したX線を検出して光に変換するイメージインテンフ
ァイア21と、イメージインテンシファイア21からの光を撮影して電気信号に変換する
テレビカメラ22と、テレビカメラ22からの電気信号をデジタル信号に変換する図示し
ないA/D変換器とを備え、デジタル信号に変換された信号をX線投影データとして画像
データ生成部5へ出力する。なお、被検体Pを透過したX線を検出して電荷に変換する半
導体等の光検出素子を備えた平面検出器を用いるようにしてもよい。
【0016】
そして、イメージインテンシファイア21は、X線発生部1のX線管11に対して位置
を前後に移動可能な移動機構を備え、X線管11とイメージインテンシファイア21間の
距離(SID)を調整できるようになっている。また、イメージインテンシファイア21
は、被検体Pを透過したX線を入射する図示しないX線受像面を有し、X線受像面におけ
るX線の入力視野サイズ(FOV)を調整できるようになっている。
【0017】
機構部3は、被検体Pが載置された天板31aを長手方向、幅方向、及び上下方向への
移動を行う天板移動機構31と、X線発生部1及びX線検出部2を支持するCアーム32
aを被検体Pの周囲に回動するCアーム回動機構32と、システム制御部9から供給され
る制御信号に基づいて天板移動機構31及びCアーム回動機構32を制御するCアーム・
天板機構制御部33とを備えている。
【0018】
Cアーム・天板機構制御部33は、天板移動機構31に配置した天板31aの移動距離
を検出する例えばエンコーダなどのセンサを有し、このセンサから出力される信号に基づ
いて天板移動機構31を制御する。この制御により、天板移動機構31は、天板31aを
移動して所望の位置に設定する。
【0019】
また、Cアーム回動機構32に配置したCアーム32aの回動角度を検出するエンコー
ダなどのセンサを有し、このセンサから出力される信号に基づいてCアーム回動機構32
を制御する。この制御により、Cアーム回動機構32は、Cアーム32aを回動して、X
線発生部1及びX線検出部2を所望の撮影角度に設定する。そして、その撮影角度に設定
した角度設定信号をシステム制御部9に出力する。更に、システム制御部9からの制御信
号に基づいて被検体Pの検査対象部位に対して最適なSIDを設定する。
【0020】
高電圧発生部4は、X線発生部1のX線管11の陰極から発生する熱電子を加速するた
めに陽極と陰極の間に印加する高電圧を供給する高電圧発生器41と、システム制御部9
から供給される制御信号に基づいて高電圧発生器41を制御するX線制御器42とを備え
ている。
【0021】
高電圧発生器41は、X線制御器42からの制御信号に基づいて、X線発生部1のX線
管11に透視用のX線や、この透視用よりも高エネルギーの撮影用のX線を発生させるた
めの高電圧や加熱電圧を供給する。
【0022】
X線制御器42は、システム制御部9から供給される透視及び撮影条件の管電圧、管電
流、及びX線照射時間を含むX線照射条件の情報に基づいて、高電圧発生器41を制御す
る。そして、高電圧発生器41の供給電圧及び加熱電圧を制御することにより、X線管1
1を透視及び撮影条件の前記管電圧及び管電流に設定すると共に、X線管11に前記X線
照射時間に対応する時間照射させる。
【0023】
画像データ生成部5は、X線発生部1から透視用のX線が照射され、X線検出部2より
ライン単位で出力されるX線投影データから透視画像データを生成する。また、X線発生
部1から撮影用のX線が照射され、X線検出部2よりライン単位で出力されるX線投影デ
ータから撮影画像データを生成する。そして、生成した透視画像データや撮影画像データ
などの二次元画像データにシステム制御部9から供給される撮影条件を付帯して画像表示
部7に出力する。また、画像データ記憶部51に出力する。
【0024】
画像データ記憶部51は、磁気ディスク、光ディスク等の記憶媒体を備え、画像データ
生成部5から出力された透視画像データ、撮影画像データ、複数の角度から撮影された撮
影画像データ等を保存する。
【0025】
画像表示部7は、撮影部6の画像データ生成部5から出力された二次元画像データを表
示する第1モニタ71と、撮影部6で生成された複数の二次元画像データに基づいて静止
した三次元画像データの生成や、予め設定された2つの角度の間を往復回転する三次元画
像データの生成を行う画像データ処理部72と、画像データ処理部72で生成された三次
元画像データを表示する第2モニタ73とを備えている。
【0026】
第1モニタ71は、液晶パネル或いはCRTを備え、画像データ生成部5から出力され
た二次元画像データを表示する。
【0027】
画像データ処理部72は、操作部8から表示モードが三次元画像モードに設定されると
、撮影部6の画像データ記憶部51から複数の撮影角度から撮影された二次元画像データ
を読み出してボリュームデータを生成する。そして、生成したボリュームデータを、例え
ばボリュームレンダリング法による処理を行うことにより、静止した三次元画像データを
生成する。また、操作部8から往復回転操作が行われると、予め設定された2つの角度の
間を往復回転する三次元画像データを生成する。そして、生成した三次元画像データを第
2モニタ73に出力する。
【0028】
第2モニタ73は、液晶パネル又はCRTを備え、三次元画像データを往復回転させる
2つの角度、往復回転させる往復回数、及び往復回転を停止するトリガとなる操作などの
往復回転条件を設定するための往復回転条件設定画面を表示する。また、画像データ処理
部72から出力された三次元画像データを表示する。
【0029】
図2は、第2モニタ73に表示される往復回転する三次元画像データを上から見た図で
ある。この三次元画像データ73aは、例えば被検体Pの体軸に相当する軸を回転軸とし
て往復回転可能に初期角度θ0に設定される。そして、初期角度θ0に設定された三次元
画像データ73aの正面側に位置する視点73bに対して、初期角度θ0を例えば0°と
して初期角度θ0から予め設定された左反転角度θL(例えば、−180°≦θL<0°
)まで時計回り(矢印R1方向)に回転する。この回転により三次元画像データ73aの
正面から右側面、又は右側面及び背面に亘る部分が第2モニタ73に表示される。
【0030】
次いで、左反転角度θLで反転した後、予め設定された右反転角度θR(例えば、0°
<θL≦180°)まで反時計周り(矢印R2方向)に回転する。この回転により三次元
画像データ73aの背面又は右側面から正面を経由して左側面、又は左側面及び背面に亘
る部分が第2モニタ73に表示される。
【0031】
更に、右反転角度θRで反転した後、初期角度θ0までR1方向に回転する。この回転
により三次元画像データ73aの背面又は左側面から、正面に亘る部分が第2モニタ73
に表示される。
【0032】
このようにして、初期角度θ0、左反転角度θL、右反転角度θR、初期角度θ0の順
に各間を回転する工程を1往復として、予め設定された往復回数だけ前記工程を繰り返し
て往復回転する。
【0033】
なお、初期角度θ0に設定された三次元画像データ73aを第2モニタ73に表示した
後、その三次元画像データ73aの回転軸を任意の方向に設定することができる。これに
より、様々な方向への往復回転ができるようになっている。
【0034】
図1の操作部8は、キーボード、トラックボール、ジョイスティック、マウス、三次元
画像データの往復回転を行うための往復回転スイッチ8a、往復回転している三次元画像
データを停止するための往復回転停止スイッチ8b等の入力デバイスを備えている。この
入力デバイスを用いて入力される表示モード(透視画像モード、撮影画像モード、三次元
画像モード)の設定操作、撮影条件の設定操作、往復回転条件の設定操作、往復回転スイ
ッチ8aの操作、往復回転停止スイッチ8bの操作等に対応する操作情報をシステム制御
部9に出力する。
【0035】
ここで、往復回転スイッチ8aを例えば2秒未満の短時間押す単押し操作の入力情報に
基づいて、画像データ処理部72では、往復回転する三次元画像データを生成する。そし
て往復回転中に往復回転スイッチ8aの単押し操作を連続して2回繰り返すダブルクリッ
ク操作の入力情報に基づいて、ダブルクリックを行ったときの回転角度で停止した三次元
画像データを生成する。
【0036】
また、往復回転スイッチ8aの1回目の単押し操作の後、往復回転中に2回目の単押し
操作を行うと、単押し操作したときの回転角度θxで反転した後、この回転角度θxから
左又は右反転角度θL,θRの近い反転角度まで回転する。次いで、近い反転角度で反転
した後、回転して回転角度θxで反転する。そして、近い反転角度と回転角度θxの間を
往復回転する三次元画像データを生成する。
【0037】
更に、往復回転中に3回目の単押し操作を行うと、単押し操作したときの回転角度θy
で反転した後、回転して近い反転角度又は回転角度θxの近い角度で反転する。そして、
近い角度と回転角度θyの間を往復回転する三次元画像データを生成する。
【0038】
なお、2回目の単押し操作したときの回転角度θxで反転した後、回転角度θxから左
又は右反転角度θL,θRの近い反転角度まで回転する。そして、左反転角度θLと右反
転角度θRの間を往復回転させるようにしてもよい。
【0039】
更に、往復回転スイッチ8aを例えば2秒以上の長時間押し続ける長押し操作が行われ
ると、その操作の押したときの入力情報に基づいて往復回転し、押した後の開放したとき
の回転角度で反転した後、左又は右反転角度θR,θLの近い反転角度まで回転する。そ
して、左反転角度θLと右反転角度θRの間を往復回転する三次元画像データを生成する

【0040】
なお、往復回転スイッチ8aの長押し操作の押したときの入力情報に基づいて往復回転
を開始し、押した後の開放したときの回転角度で反転した後、この回転角度から左又は右
反転角度θR,θLの近い反転角度まで回転する。そして、その回転角度と近い反転角度
の間を往復回転するようにしてもよい。
【0041】
更にまた、往復回転スイッチ8aの単押し又は長押し操作の後の往復回転中に、往復回
転停止スイッチ8bを押すと、三次元画像データは初期角度θ0で停止した三次元画像デ
ータを生成する。
【0042】
システム制御部9は、図示しないCPU及び記憶回路9aを備え、操作部8から供給さ
れる様々な設定操作や入力操作による入力情報を一旦記憶回路9aに保存した後、これら
の入力情報に基づいてシステム全体の制御を行なう。
【0043】
次に、図1乃至図3を参照して、三次元画像データの往復回転の動作の一例を説明する

図3は、往復回転する三次元画像データの生成の一例を説明するための図である。画像
データ処理部72は、生成したボリュームデータ72aを初期角度θ0に設定し、そのボ
リュームータの正面に位置する仮想の第0の視点及びこの視点からの矢印で示した視線方
向を設定する。そして、この視線方向に垂直な第0の投影面に投影されるボリュームデー
タ72aの投影データを、図2の三次元画像データ73aを初期角度θ0における視点7
3bから見た三次元画像データとして生成する。即ち、第0の視線方向に沿ったボリュー
ムデータ72aのボクセル値に基づいて例えば不透明度と色を割り当てたピクセル値への
マッピングを行うことで三次元画像データを生成する。
【0044】
また、ボリュームデータ72aに対して初期角度θ0から反時計回りに所定の角度だけ
回転した第1の角度に、仮想の第1の視点及びこの視点からの矢印で示した視線方向を設
定する。そして、その視線方向に垂直な第1の投影面に投影されるボリュームデータ72
aの投影データを、三次元画像データ73aを角度θ1回転したときに視点73bから見
た三次元画像データとして生成する。
【0045】
更に、反時計回りの初期角度θ0と第1の角度の間と同じ角度の間隔毎に仮想の視点及
びこの視点からの矢印で示した視線方向を設定する。そして、その視線方向に垂直な投影
面に投影されるボリュームデータの投影データを、図2の三次元画像データ73bを各角
度回転したときに視点73bから見た三次元画像データとして生成する。
【0046】
第Lの角度では、仮想の第Lの視点及びこの視点からの矢印で示した視線方向を設定す
る。そして、その視線方向に垂直な第Lの投影面に投影されるボリュームデータの投影デ
ータを、左反転角度θL回転したときに視点73bから見た三次元画像データとして生成
する。
【0047】
そして、第0乃至第Lの投影面への投影により三次元画像データを順次生成することに
より、初期角度θ0から左反転角度θLまで時計回りに回転する三次元画像データを生成
する。
【0048】
なお、左反転角度θLから右反転角度θRへの回転においても初期角度θ0から左反転
角度θLへの回転の場合と同様にして、ボリュームデータ72aに対して第Lの角度から
時計回りの初期角度θ0と第1の角度の間と同じ角度の間隔毎に、仮想の視点及びこの視
点からの矢印で示した視線方向を設定する。そして、その視線方向に垂直な投影面に投影
されるボリュームデータ72aの投影データを、各角度回転したときに視点73bから見
える三次元画像データとして生成する。そして、各投影面への投影により三次元画像デー
タを順次生成することにより、左反転角度θLから右反転角度θRまで反時計回りに回転
する三次元画像データを生成する。
【0049】
また、右反転角度θRから初期角度θ0への回転において、ボリュームデータ72aに
対して第Rの角度から反時計回りの初期角度θ0と第1の角度の間と同じ角度の間隔毎に
仮想の視点及びこの視点からの矢印で示した視線方向を設定する。そして、その視線方向
に垂直な投影面に投影されるボリュームデータ72aの投影データを、各角度に回転した
ときに視点73bから見た三次元画像データとして生成する。そして、各投影面への投影
により三次元画像データを順次生成することにより、右反転角度θRから初期角度θ0ま
で時計回りに回転する三次元画像データを生成する。
【0050】
次に、図4を参照して、第2モニタ73に表示される往復回転条件設定画面の一例を説
明する。図4に示した往復回転条件設定画面90は、左及び反転角度θL,θRを設定す
るための「回転範囲」の欄、往復回転の往復回数を設定するための「往復回数」の欄、及
び往復回転を停止するトリガとなる操作を設定するための「トリガ操作」の欄により構成
される。
【0051】
「回転範囲」の欄は、左反転角度θLを入力するダイアログボックス901及び右反転
角度θRを入力するダイアログボックス902を備えている。そして、操作部8から左反
転角度θLである例えば「−90°」、及び右反転角度θRである例えば「90°」を入
力する操作が行われると、「−90°」及び「90°」がダイアログボックス901,9
02内に表示され、システム制御部9の記憶回路9aに保存される。
【0052】
「往復回数」の欄は、往復回数を入力するダイアログボックス903を備えている。そ
して、往復回数である1乃至K(K>3)、及び無限の中から例えば「3」を選択する入
力が操作部8から行われると、「3」がダイアログボックス903内に表示され、システ
ム制御部9の記憶回路9aに保存される。なお、「無限」を選択すると、往復回転停止操
作又は往復回転を停止するトリガとなる操作が行われるまで往復回転が行われる。
【0053】
「トリガ操作」の欄は、往復回転を停止するトリガとなる操作を入力するダイアログボ
ックス904を備えている。そして、操作部8からの可能な操作の中から例えば透視を開
始する「透視操作」を選択する入力が操作部8から行われると、「透視操作」がダイアロ
グボックス904内に表示され、システム制御部9の記憶回路9aに保存される。
【0054】
以下、図1乃至図6を参照して、X線画像診断装置100の動作の一例を説明する。図
5は、X線画像診断装置100の動作を示すフローチャートである。図6は、第2モニタ
73に表示された往復回転している三次元画像データの画面を示す図である。
【0055】
図5において、システム制御部9の記憶回路9aには、操作部8からの操作により、図
2の往復回転条件設定画面90で設定された左及び右反転角度θL,θRである「−90
°」、「90°」、往復回数である「3」、及びトリガ操作である「透視操作」の入力情
報が保存されている。また、被検体Pの撮影条件の入力情報が保存されている。
【0056】
まず、被検体Pの検査を行うために、撮影部6の画像データ記憶部51に保存されてい
る複数の撮影角度からの撮影により生成された撮影画像データを、参照画像データとして
画像表示部7の第2モニタ73に表示させる操作が行われる。被検体Pの複数の撮影角度
からの撮影画像データを選択し、表示モードを三次元画像モードに設定する操作が操作部
8から行われると、X線画像診断装置100は検査を開始する(ステップS1)。
【0057】
システム制御部9は、撮影部6及び画像表示部7に三次元画像データの生成及び表示を
指示する。画像表示部7の画像データ処理部72は、選択された複数の撮影角度からの撮
影画像データを画像データ記憶部51から読み出してボリュームデータを生成する。そし
て、生成したボリュームデータから初期角度θ0に設定した三次元画像データを生成して
第2モニタ73に出力する。第2モニタ73は、画像データ処理部72からの初期角度θ
0に設定された静止した三次元画像データを表示する(ステップS2)。
【0058】
次に、第2モニタ73に表示された三次元画像データの構造を把握するために、操作部
8の往復回転スイッチ8aの単押し操作が行われると、画像データ処理部72は、左反転
角度θLである「-90°」と右反転角度θRである「90°」の間を往復回転する三次
元画像データを生成し、生成した各角度における三次元画像データを順次第2モニタ73
に出力する。第2モニタ73は、画像データ処理部72から出力された往復回転している
三次元画像データを表示する(ステップS3)。
【0059】
図6は、第2モニタ73の画面に表示された往復回転している三次元画像データの一例
を示した図である。図6(a)の画面91には、初期角度θ0における三次元画像データ
911が表示されている。この後、三次元画像データ911は、R1方向に回転する。
【0060】
図6(b)の画面92には、初期角度θ0からR1方向に回転した後の「−90°」に
おける三次元画像データ912が表示されている。この後、三次元画像データ912は、
R2方向に回転する。
【0061】
図6(c)の画面93には、R2方向に回転した後の「90°」における三次元画像デ
ータ912が表示されている。この後、三次元画像データ913は、R1方向に回転する

【0062】
このように、往復回転スイッチ8aの単押し操作を行うだけの簡単な操作により、第2
モニタ73上で三次元画像データを往復回転させることができる。これにより、三次元画
像データの立体構造を容易に認識することができる。
【0063】
次に、第2モニタ73に表示された三次元画像データの立体構造を把握でき、この画像
データが往復回転しているときに操作部8から往復回転している三次元画像データを停止
する操作が行われた場合(図5のステップS4のはい)、ステップS5に移行する。また
、停止操作が行われない場合(図5のステップS4のいいえ)、ステップS7に移行する

【0064】
そして、停止操作が操作部8の往復回転スイッチ8aのダブルクリック操作である場合
(図5のステップS5のはい)、画像データ処理部72は、ダブルクリック操作が行われ
たときの回転角度に停止した三次元画像データを第2モニタ73に出力する。第2モニタ
73は、操作に応じた回転角度で停止した三次元画像データを表示する(図5のステップ
S6)。
【0065】
また、停止操作が操作部8の往復回転停止スイッチ8bを押す操作、又は操作部8から
の透視操作である場合(図5のステップS5のいいえ)、ステップS8へ移行する。
【0066】
ステップS4の「いいえ」の後に、三次元画像データの往復回数が3往復回数未満であ
る場合(ステップS7のいいえ)、ステップS3に戻る。また、3往復回数である場合(
ステップS7のはい)、ステップS8に移行する。
【0067】
ステップS5の「いいえ」又はステップS7の「はい」の後に、画像データ処理部72
は、初期角度θ0に設定した三次元画像データを第2モニタ73に出力する。第2モニタ
73は、初期角度θ0に設定された三次元画像データを表示する(ステップS8)。
【0068】
次に、被検体Pの三次元画像データの立体構造を認識した操作者により、操作部8から
透視操作が行われると、システム制御部9は、撮影部6及び画像表示部7に被検体Pの透
視を指示する。そして、透視条件に含まれる天板位置や撮影角度の情報を機構部3のCア
ーム・天板機構制御部33に供給する。Cアーム回動機構32は、Cアーム・天板制御部
33の制御信号により、天板31aを移動して天板位置に設定すると共に、Cアーム32
aを回動して撮影角度に設定する。
【0069】
システム制御部9は、被検体Pに透視用のX線を照射させるための制御信号を撮影部6
における高電圧発生部4のX線制御器42に出力する。高電圧発生部4の高電圧発生器4
1は、X線制御器42からX線照射の情報に基づいて、X線照射用の高電圧をX線発生部
1に供給する。X線発生部1は、高電圧発生器41から供給される高電圧に応じたX線を
被検体Pに照射する。
【0070】
X線検出部2は、被検体Pを透過したX線を検出してX線投影データを生成し、生成し
たX線投影データを画像データ生成部5へ出力する。画像データ生成部5は、X線検出部
2から出力されたX線投影データから透視画像データを生成する。次いで、システム制御
部9から供給されるその画像データに対応する透視条件を付帯して画像表示部7の第1モ
ニタ71に出力する。第1モニタ71は、画像データ生成部5から出力された透視画像デ
ータを表示する。
【0071】
このように、第2モニタ73に初期角度θ0又は所望の角度に設定された三次元画像デ
ータである参照画像データを表示すると共に、第1モニタ71にリアルタイムに被検体P
の透視画像データを表示することができる。
【0072】
そして、被検体Pの検査が終了したときに操作部8から撮影終了の操作が行われると、
システム制御部9は、撮影部6及び画像表示部7に撮影及び表示の停止を指示する。そし
て、X線画像診断装置100は、検査を終了する(図5のステップS9)。
【0073】
以上述べた本発明の実施例によれば、操作部8からの往復回転スイッチ8aを単押しす
る操作により、予め設定された左及び右反転角度θL,θRの間を、予め設定された往復
回数だけ往復回転する三次元画像データを第2モニタ73に表示することができる。
【0074】
そして、往復回転スイッチ8aを単押し操作の後にダブルクリック操作を行うことによ
り、ダブルクリックしたときの回転角度で停止した三次元画像データを第2モニタ73に
表示することができる。また、往復回転スイッチ8aを単押し操作の後に、往復回転停止
スイッチ8bを押す操作、又は画面90に設定したトリガ操作に対応する操作を行うこと
により、初期角度θ0に停止した三次元画像データを第2モニタ73に表示することがで
きる。
【0075】
また、往復回転スイッチ8aの1回目の単押し操作の後の往復回転中に2回目の単押し
操作を行うことにより、そのときの回転角度θxで三次元画像データを反転した後、回転
角度θxから左又は右反転角度θL,θRの近い反転角度まで回転する。そして、近い反
転角度と回転角度θxの間を往復回転する三次元画像データを第2モニタ73に表示する
ことができる。
【0076】
更に、往復回転スイッチ8aの3回目の単押し操作を行うことにより、そのときの回転
角度θyで反転した後、回転して前記近い反転角度又は回転角度θxの近い角度で反転す
る。そして、近い角度と回転角度θyの間を往復回転する三次元画像データを第2モニタ
73に表示することができる。
【0077】
更にまた、往復回転スイッチ8aを長押し操作を行うことにより、その長押し操作の押
したときの入力情報に基づいて往復回転する三次元画像データを第2モニタ73に表示し
、押した後の開放したときの回転角度で反転した後、左又は右反転角度θL,θRの近い
反転角度まで回転する。そして、左及び右反転角度θL,θRの間を往復回転する三次元
画像データを第2モニタ73に表示することができる。
【0078】
これにより、三次元画像データの構造を容易に認識することができ、検査や治療の迅速
化及び正確化を図ることができる。
【符号の説明】
【0079】
P 被検体
1 X線発生部
2 X線検出部
3 機構部
4 高電圧発生部
5 画像データ生成部
6 撮影部
7 画像表示部
8 操作部
8a 往復回転スイッチ
8b 往復回転停止スイッチ
9 システム制御部
9a 記憶回路
11 X線管
12 X線絞り器
21 イメージインテンシファイア
22 テレビカメラ
31 天板移動機構
31a 天板
32 Cアーム回動機構
32a Cアーム
33 Cアーム・天板機構制御部
41 高電圧発生器
42 X線制御器
51 画像データ記憶部
71 第1モニタ
72 画像データ処理部
73 第2モニタ
100 X線画像診断装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像診断装置から得られたボリュームデータを往復回転可能に表示させる制御を行い、
前記ボリュームデータを自動回転させているとき、操作者による入力手段の操作に基づい
て前記ボリュームデータの回転を反転させる制御を行う表示制御手段と、
前記ボリュームデータが往復回転する回転範囲を予め設定する往復回転条件設定手段と
、を有し、
前記表示制御手段は、前記往復回転条件設定手段によって設定された回転範囲内におい
て前記ボリュームデータを往復回転表示させる制御を行う画像処理装置。
【請求項2】
前記回転範囲は、第1の反転角度及び第2の反転角度によって示される第1の範囲であ
り、
前記表示制御手段は、前記操作が行われた位置にて設定された第3の反転角度を用いた
第2の範囲において、前記ボリュームデータを往復回転表示させる制御を行い、
前記第2の範囲は、前記第3の反転角度と、前記第1の反転角度又は前記第2の反転角
度とによって示される、前記第1の範囲より狭い範囲である請求項1記載の画像処理装置

【請求項3】
前記表示制御手段は、前記第2の範囲において前記ボリュームデータを往復回転表示さ
せる制御を行っているときに操作が行われた場合、その操作が行われた位置にて設定され
た第4の反転角度を用いた第3の範囲において前記ボリュームデータを往復回転表示させ
る制御を行い、
前記第3の範囲は、前記第4の反転角度と、前記第2の範囲を構成するいずれかの反転
角度とによって示される、前記第2の範囲より狭い範囲である請求項2記載の画像処理装
置。
【請求項4】
前記第2の範囲は、前記第3の反転角度と、前記第3の反転角度の1つ前に前記ボリュ
ームデータが反転制御された角度である前記第1の反転角度又は前記第2の反転角度とに
よって示される請求項2又は3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1の範囲は、略180度以下である請求項2乃至4いずれか一項に記載の画像処
理装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記ボリュームデータに対し、操作者による前記入力手段の操作
時間又は操作回数に応じて異なる表示制御を行う請求項1乃至5いずれか一項に記載の画
像処理装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記ボリュームデータに対し、操作者による前記入力手段の押下
開始に基づいて回転表示制御を行い、操作者による前記入力手段の押下終了に基づいて反
転制御を行う請求項6記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、X線診断装置によるX線照射開始、前記往復回転条件設定手段に
て予め設定された往復回転数、操作者によって操作された前記入力手段における往復回転
を停止させる操作のうち少なくともいずれか1つの条件において、往復回転制御中の前記
ボリュームデータを停止させる制御を行う請求項1乃至7いずれか一項に記載の画像処理
装置。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれか一項に記載の画像処理装置を有するX線診断装置。
【請求項10】
被検体にX線を照射するX線発生手段と、
前記X線を検出するX線検出手段と、
前記X線発生手段及び前記X線検出手段を保持し、移動可能に設けられる保持手段と、
回転表示可能なボリュームデータの停止角度に基づいて前記保持手段を移動制御する移
動制御手段と、
を更に備える請求項9記載のX線診断装置。
【請求項11】
停止表示された前記ボリュームデータと、前記停止角度に対応する位置にて生成された
前記被検体のX線画像と、を表示する表示手段を更に備える請求項10記載のX線診断装
置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−78616(P2013−78616A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−281717(P2012−281717)
【出願日】平成24年12月25日(2012.12.25)
【分割の表示】特願2008−239022(P2008−239022)の分割
【原出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】