画像処理装置
【課題】乳房画像の画像状態に応じた位置合わせを行うことができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置2では、位置合わせを行う一組の乳房画像について、乳房画像の画像状態として乳房領域の形状が一般か例外かを判別し、その判別結果により乳房画像の組合せに応じた位置合わせ処理のアルゴリズムを選択する。
【解決手段】画像処理装置2では、位置合わせを行う一組の乳房画像について、乳房画像の画像状態として乳房領域の形状が一般か例外かを判別し、その判別結果により乳房画像の組合せに応じた位置合わせ処理のアルゴリズムを選択する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳房の医用画像に画像処理を施す画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CR(Computed Radiography)、FPD(Flat Panel Detector)、CT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)等の各種モダリティによりデジタル画像として生成された医用画像は、各種画像処理が施された後、フィルムやモニタ上に出力されて診断や診察に利用されている。
【0003】
特に、乳房を撮影した医用画像(以下、乳房画像という)を読影する際には、左右の乳房画像を並べて比較する比較読影が行われるが、左右の画像における乳房位置がずれていると、比較読影がしづらい。そこで、従来から、1対の乳房画像における乳房の位置合わせ処理を自動的に行う画像処理装置が開発されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
上記画像処理装置における位置合わせ処理のアルゴリズムとしては様々なものが開発されている。例えば、乳房画像における乳房は一般的に乳頭を頂点とした略三角形状になりやすいのでこの特徴を利用し、左右の乳房画像における乳頭位置を検出してこの乳頭位置が左右で対応するように乳房画像を上下方向に移動する方法や、乳房領域の輪郭線(スキンライン)や胸筋領域、乳腺領域等を抽出し、スキンラインから胸壁までの距離が左右で近似する位置に、或いは乳腺領域又は胸筋領域の形状が左右で対称となるように、乳房画像を移動する方法等が挙げられる。
【特許文献1】特開2000−287957号公報
【特許文献2】特開平9−215684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、もともと左右の乳房の形状や大きさが対称的でない、或いは手術により一部又は全部を摘出し、もとの乳房形状が大きく変化している場合がある。或いは、もとの乳房形状は一般的であるが、技師の撮影時のポジショニング(乳房位置の設定)によって乳房画像における乳房形状が略三角形とならない場合や乳房の位置が不自然である場合がある。このように乳房画像が例外的なパターンである場合には、通常と同じアルゴリズムで自動的に位置合わせを行った場合、うまく位置合わせがなされないことがある。
【0006】
図12(a)に示す一対の乳房画像n1、n2の例で説明する。左乳房画像n2は、正常に撮影が行われ、略三角形状を呈しているが、右乳房画像n1は、技師のポジショニングミスにより正常な位置設定ができなかったため、その乳房のスキンラインに凹凸が生じている。それにも拘わらず、通常と同様に、例えば乳頭位置(図中、矢印で示す位置)により位置合わせ処理を自動的に行うと、図12(b)に示すように、左右で乳房領域の配置位置が大きくずれることとなる。これでは、フィルムの出力範囲外に各画像n1、n2が配置されてしまうため、乳房領域が大きく欠けてしまう。
【0007】
また、左右乳房のうち、一方を摘出している場合、或いは施設での方針や診察目的等によっては、左右何れか一方の乳房しか撮影されない場合がある。検査時には一の乳房について複数方向撮影されるのが一般的であるため、上記のように一方の乳房のみ撮影した場合でも複数画像が得られることとなる。通常位置合わせは左右の乳房を比較読影するために行われるが、上記のように同一乳房であって異なる撮影方向の乳房画像であっても、作業効率及びフィルムの節約のため、一のフィルムに出力する場合が考えられる。
【0008】
このとき、位置合わせは医師や技師自身がマニュアル操作で行った方が良い場合があり、画像処理装置において自動位置合わせ処理を行うか否か、どのアルゴリズムで位置合わせを行うのかは、医師や施設の方針によって異なることが想定される。
しかし、従来の画像処理装置では、一様に同じアルゴリズムで位置合わせが行われているため、上記のような例外的な場合には対応することができない。
【0009】
本発明の課題は、乳房画像の画像状態に応じた位置合わせを行うことができる画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、
一対の乳房画像の位置合わせを行う位置合わせ処理のアルゴリズムを複数有する画像処理装置において、
前記一対の乳房画像の画像状態を判断する画像判断手段と、
前記判断された画像状態に応じた位置合わせ処理のアルゴリズムを選択する選択手段と、
前記選択されたアルゴリズムで前記一対の乳房画像に対して位置合わせ処理を実行する位置合わせ手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、
前記画像判断手段は、前記画像状態として乳房の形状を判断するものであって、前記一対の乳房画像の画像特徴量を求め、当該画像特徴量に基づいて各乳房画像上の乳房領域が一般的な形状であるか、例外的な形状であるかを判断し、
前記選択手段は、前記画像判断手段における判断結果により、一般的な形状に対応するアルゴリズム又は例外的な形状に対応するアルゴリズムを選択することを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理装置において、
前記画像判断手段は、前記画像特徴量として、一対の乳房画像における乳房領域の面積比、面積差分値、スキンラインの座標情報、凹凸形状の個数、最高座標値、左右端座標値又は例外的形状のパターン画像との一致度のうち、少なくとも2以上を求めて画像状態の判断に使用することを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、
前記画像判断手段は、前記画像状態として前記一対の乳房画像の撮影方向の組合せを判断するものであって、前記一対の乳房画像が異なる撮影方向であれば当該一対の乳房画像は例外的な組合せであると判断し、同一の撮影方向であれば当該一対の乳房画像は一般的な組合せであると判断し、
前記選択手段は、前記画像判断手段における判断結果により、例外的な組合せに対応するアルゴリズム又は一般的な組合せに対応するアルゴリズムを選択することを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、
前記画像判断手段は、前記画像状態として前記一対の乳房画像の乳房が左右何れであるかその組合せを判断するものであって、一対の乳房画像が左右異なる乳房であれば当該一対の乳房画像は一般的な組合せであると判断し、左右同一の乳房であれば当該一対の乳房画像は例外的な組合せであると判断し、
前記選択手段は、前記画像判断手段における判断結果により、一般的な組合せに対応するアルゴリズム又は例外的な組合せに対応するアルゴリズムを選択することを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の画像処理装置において、
例外的な組合せの乳房画像に対して前記位置合わせ手段による位置合わせ処理を実行するか否かを予め設定可能であり、
前記選択手段は、前記一対の乳房画像が例外的な組合せの場合には前記位置合わせ手段による位置合わせ処理は実行しないと設定された場合、前記画像判断手段により例外的な組合せと判断された各乳房画像には位置合わせ処理を実行しないことを選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、画像状態に応じたアルゴリズムで位置合わせ処理を行うことができる。乳房の元々の形状や撮影時のポジショニングにより、乳房画像の画像状態は常に同じとは限らない。そのため、一律に同じアルゴリズムに処理を行うと、適切な位置合わせを行うことができない場合もある。しかし、本発明のように画像状態に応じたアルゴリズムを選択することにより、適切な位置合わせ画像を得ることが可能となる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、乳房画像における乳房領域が一般的な形状か例外的な形状かによって、適切なアルゴリズムを選択することができる。例えば、例外的な形状であれば形状に依拠しないアルゴリズムを選択し、一般的な形状であれば形状に依拠したアルゴリズムを選択する等、形状に応じた位置合わせ処理を行うことにより、適切な位置合わせ画像を得ることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、画像特徴量として乳房領域の面積やスキンラインに関する情報を用いて画像状態を判断する。乳房画像の画像状態が例外的な場合、その乳房領域の面積やスキンラインに変化が生じる。よって、これらの画像特徴量を用いることにより、画像状態の判断精度を向上させることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、撮影方向が異なる例外的な組合せ又は撮影方向が同一である一般的な組合せに応じたアルゴリズムで位置合わせ処理を行うことができる。通常、比較読影は同一撮影方向の画像を用いて行われるが、異なる撮影方向の画像を並べて出力したい場合も想定される。このような場合には、一対の乳房画像においてその乳房形状が異なるため、左右対称とならない。よって、異なる撮影方向の組合せに応じたアルゴリズムで位置合わせを行うことにより、適切な位置合わせ画像を得ることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、左右同じ乳房である例外的な組合せ又は左右異なる一般的な組合せに応じたアルゴリズムで位置合わせ処理を行うことができる。通常、比較読影は左右異なる乳房の画像を用いて行われるが、左右同一の乳房画像を並べて出力したい場合も想定される。このような場合には、単に並列に配置しただけでは左右対称とならず、位置合わせを行うことができない。よって、左右同一の乳房の組合せに応じたアルゴリズムで位置合わせを行うことにより、適切な位置合わせ画像を得ることができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、例外的な組合せの場合には、位置合わせ処理を施さないように設定することができる。例外的な組合せの場合、技師自身が乳房画像の移動操作を行って位置合わせを行った方が好ましい場合もある。よって、画像処理装置側で位置合わせ処理を自動的に施さないように設定することにより、技師が移動操作しやすい状態で一対の乳房画像を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
〈第1実施形態〉
第1実施形態では、位置合わせを行う一組の乳房画像について、乳房画像の画像状態として乳房領域の形状が一般か例外かを判別し、その判別結果により乳房画像の組合せに応じた位置合わせ処理のアルゴリズムを選択する例を説明する。
【0023】
まず、構成を説明する。
図1に、画像出力システム100を示す。
画像出力システム100は、医用画像を撮影し、当該医用画像の保存・管理を行うとともに、フィルム或いはモニタ等に出力するためのシステムである。
図1に示すように、画像出力システム100は、画像生成装置1、第1実施形態における画像処理装置2、プリンタ3、画像サーバ4、ビューア5を備えて構成されている。これら各装置1〜5は、LAN(Local Area Network)等の医療機関内で構築された通信ネットワークNを介して相互にデータを送受信可能に接続されている。通信ネットワークNの通信方式には、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格が適用されている。
【0024】
以下、各構成装置1〜5について説明する。
画像生成装置1は、人体を撮影し、その撮影画像(医用画像)のデジタルデータを生成するものであり、例えばCR、FPD、CT、MRI等のモダリティを適用可能である。本実施形態では、画像生成装置1として、左右乳房のX線撮影を行う乳房専用のCRを適用し、左乳房又は右乳房の乳房画像のデータが生成されるものとする。乳房の撮影は、複数方向から行われるのが一般的である。撮影方向としては、上下方向(以下、CCという)、斜位方向(以下、MLOという)等があり、画像生成装置1は、これら複数方向からの乳房画像を生成して画像処理装置2に送信する。
【0025】
なお、画像生成装置1は、上述したDICOM規格に準拠した装置であり、生成した医用画像に付帯させる各種情報(例えば、医用画像が撮影された患者に関する患者情報や撮影又は検査に関する撮影情報、検査情報等。以下、付帯情報という)を外部から入力可能であるとともに、自動生成することもできる。画像生成装置1は、生成された医用画像に上記付帯情報をヘッダ情報として付加して通信ネットワークNを介して画像処理装置2へ送信する。なお、DICOM規格に準拠していない場合には、図示しないDICOM変換装置を用いて付帯情報を画像生成装置1に入力させることも可能である。
【0026】
画像処理装置2は、画像生成装置1から供給される医用画像に対して各種画像処理を施すものである。画像処理された医用画像は、通信ネットワークNを介してプリンタ3、画像サーバ4、ビューア5等に送信される。
【0027】
プリンタ3は、画像処理装置2又は画像サーバ4から受信された医用画像のデータに基づいて、フィルム等に医用画像を出力する。
【0028】
画像サーバ4は、画像DB4aを備え、この画像DB4aに、画像生成装置1により生成された医用画像(原画像)、画像処理装置2から受信された画像処理済みの医用画像(処理画像)を保存し、その入出力を管理する。
【0029】
ビューア5は、診断用に医師により使用される表示手段であり、LCD(Liquid Crystal Display)等を備えて構成されている。ビューア5は、医師の操作指示に応じて、指定された医用画像を画像サーバ4から取得して表示する。なお、診断に使用されることから、表示性能は高解像度であることが好ましい。
【0030】
次に、本発明に係る画像処理装置2について詳細に説明する。
図2に、画像処理装置2の内部構成を示す。
図2に示すように、画像処理装置2は、制御部21、操作部22、表示部23、通信部24、記憶部25、画像処理部26を備えて構成されている。
【0031】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、CPUにより記憶部25から本発明に係る画像判断処理プログラム等の各種制御プログラムを読み出してRAMに展開する。そして、当該プログラムに従って画像判断処理(後述する)の実行を統括的に制御し、各部の動作を集中制御する。
【0032】
操作部22は、キーボードやマウス等を備えて構成され、キー操作やマウス操作に対応する操作信号を生成して制御部21に出力する。
【0033】
表示部23は、LCD等を備えて構成され、制御部21の指示に従って、画像処理時の操作画面や処理後の医用画像等、各種表示を行う。
【0034】
通信部24は、ルータやモデム等の通信用インターフェイスを備え、制御部21の指示に従って、通信ネットワークN上の外部装置と通信を行う。例えば、画像生成装置1から処理対象の医用画像を受信したり、処理済みの医用画像を画像サーバ4やプリンタ3に送信する。
【0035】
記憶部25は、各種制御プログラムやプログラムの実行に必要なパラメータ、或いは処理結果のデータを記憶している。
【0036】
画像処理部26は、医用画像に対して階調変換処理、鮮鋭度調整処理等の他、乳房画像の場合には位置合わせ処理等の各種画像処理を施す。なお、画像処理部26は、位置合わせ処理のアルゴリズムを複数有しており、位置合わせ処理時には制御部21により選択されたアルゴリズムで位置合わせ処理を実行する。
【0037】
以下、図3を参照して、位置合わせ処理について説明する。なお、ここでは一例として、胸筋領域を元に位置合わせを行うアルゴリズムについて説明する。
図3は、MLOの撮影方向で撮影された乳房画像Sを示す図である。
(1)まず、画像処理部26は、乳房画像Sにおける画素値の分散ヒストグラムを求め、判別分析法(分散ヒストグラムを2つのクラスに分割したとき2つのクラスでクラス内分散とクラス間分散の判別比(分散比)が最大となるように閾値を決定する方法)を用いて閾値を決定し、決定された閾値を用いて乳房画像を2値化する。
【0038】
このとき、乳房画像Sにおいて素抜け領域(被写体部分に該当しない領域であり、X線が直接照射された領域)は、高濃度を呈しているため2値化により「1」となり、その他の被写体領域は「0」となることが予想される。よって、この2値化により乳房画像Sを被写体領域Saとそれ以外の素抜け領域Sbに分割することができる。なお、撮影方向がCCである場合には、被写体部分に胸筋は写りこまないため、被写体領域Saが乳房領域Sa1となる。
【0039】
(2)一方、撮影方向がMLOである場合、被写体部分に胸筋が写りこむため、次に被写体領域Saから胸筋領域Sa2を抽出する。胸筋領域Sa2は、例えば被写体領域Saにおける濃度勾配を算出し、当該濃度勾配から被写体領域Saを胸筋領域Sa2と乳房領域Sa1とに分割する。なお、特開2001−238868号公報に記載されているように局所領域を設定し、局所領域内の画素値に基づき閾値を設定して被写体領域Sa内を2値化することにより、胸筋領域Sa2及び乳房領域Sa1を抽出することとしてもよい。
【0040】
(3)上記の方法により左右の乳房画像Sについて、それぞれ胸筋領域Sa2を抽出する。そして、図4に示すように、左乳房又は右乳房の乳房画像L、Rをその胸壁側が隣接するように配置し、各乳房画像から抽出された胸筋領域Sa2の形状、面積が左右で対称となるように位置合わせを行い、その移動量Qを算出する。
【0041】
以上が胸筋領域による位置合わせ処理のアルゴリズムの内容であるが、画像処理部26は、スキンラインによるアルゴリズム、乳頭位置をもとに位置合わせを行うアルゴリズム等、その他のアルゴリズムも有している。
例えば、スキンラインを用いたアルゴリズムは、2値化による2領域(被写体領域と素抜け領域)の境界をスキンラインとして検出し、このスキンラインを元に左右に配置された乳房画像の位置合わせを行うものである。具体的には、スキンラインから胸壁までの距離について左右の画像間で差分を求める。この差分を一方の画像をずらしながらそのずらした位置で順次求め、それらの差分の和が最小となる位置に各乳房画像を合わせる。
また、乳頭位置を用いたアルゴリズムは、予め準備されたテンプレートを用いて左右の乳房画像から乳頭領域を検出し、上下方向における乳頭領域の位置が左右の乳房画像で一致するように位置合わせを行うものである。
【0042】
また、画像処理部26は、画像解析を行い、乳房領域についての各種画像特徴量(以下、特徴量と略す。)を算出する。算出された特徴量から、制御部21により乳房画像が一般画像であるか例外画像であるかが判断される。一般画像とは、乳房領域が一般的な略三角形状や組織構造を有しており、かつ左右の乳房で対称的な形状及び大きさの乳房画像をいい、例外画像とは、例えば手術により乳房の一部を切除している、或いは撮影時のポジショニング(技師の設定ミス、病変があり圧迫できない等の理由により圧迫率が異なる場合等を含む)等に起因し、乳房領域が一般的な略三角形状を為さない、或いは略三角形の形状となるがもともと左右の乳房の大きさが異なる等、一般画像に該当しない乳房画像をいう。
【0043】
一般画像か例外画像かは、乳房領域の面積やスキンラインから判断することができる。
乳房画像に座標を設定し、乳房画像から抽出されたスキンラインの座標値をプロットすると、一般画像は、図5(a)、(b)に示すような形状となり、例外画像は、図5(c)、(d)に示すような形状となる。図5(a)、(c)は撮影方向MLOの乳房画像であり、図5(b)、(d)は撮影方向CCの乳房画像である。
【0044】
図5から分かるように、撮影方向MLOの場合、一般画像では最高座標値をとるのは、乳頭又は胸筋の先端部分であり、撮影方向CCの場合は乳頭である。また、凹部(座標値が落ち込んでいる部分。図中、二重丸で示す。)については撮影方向MLOでは、乳頭と胸筋の先端との間に1つ存在し、撮影方向CCでは存在しない。
これに対して、例外画像では、撮影方向MLO、CCともに凹部の個数が増加している。また、最高座標値の位置もずれ、スキンラインにより囲まれる乳房領域の面積が減少している。
【0045】
よって、特徴量として、例えば左右の乳房画像における乳房領域の面積比、面積差分値、乳房のスキンラインにおける座標情報(座標値)、凹凸形状の個数、最高座標値、左右端座標及び例外的な乳房形状を想定したテンプレートパターンとの一致度を求めることにより、一般画像か例外画像かを判断することができる。
【0046】
次に、上記画像処理装置2の動作について説明する。
図6は、画像処理装置2により実行される画像判断処理を説明するためのフローチャートである。説明の前提として、画像生成装置1により左右の乳房について撮影され、それぞれの乳房画像が生成されているものとする。
【0047】
図6に示す画像判断処理では、まず通信部24を介して画像生成装置1から処理対象の乳房画像が入力されると(ステップP1)、技師は操作部22を介して位置合わせ処理を行いたい乳房画像を2枚一組で選択する。ここでは、左右の乳房についての乳房画像が選択されたものとする。
画像処理装置2では、乳房画像が2枚選択されたか否かが制御部21により判別され(ステップP2)、2枚選択されたと判別されると(ステップP2;Y)、画像解析を行うステップP3に移行する。
【0048】
ステップP3では、画像処理部26により左右の乳房画像の画像解析が行われ、各種特徴量が算出される。そして、算出された特徴量に基づき、各乳房画像について一般画像であるか例外画像であるかが制御部21により判断される(ステップP3)。この判断は、例えば各特徴量について予め定められている閾値と算出された特徴量とを比較することにより、行うこととしてもよい。また、予めサンプルデータにより一般画像か例外画像かを判別するように構築された多変量解析のロジック等を用いて、総合的に判断することとしてもよい。
【0049】
左右の各乳房画像について一般画像か例外画像か、その画像状態が判断されると、その判断結果に基づいて、2枚の乳房画像の組合せは、一般タイプか例外タイプかが制御部21により判断される(ステップP4)。つまり、左右の乳房画像が何れも一般画像と判断されればその組合せは一般タイプとであると判断され、何れか一方でも例外画像と判断されればその組合せは例外タイプであると判断される。
【0050】
なお、ステップP3、S4の処理においては、左乳房の乳房画像(以下、L画像という)、右乳房の乳房画像(以下、R画像という)に対する画像状態の判断を、図7に示すように直列的に行うこととしてもよいし、図8に示すように並列的に行うこととしてもよい。
【0051】
図7に示す直列的な処理では、まずL画像について特徴量が算出され、当該特徴量に基づいてL画像は一般画像か例外画像かが判断される(ステップP31)。例外画像であれば、2枚の乳房画像の組合せは例外タイプであると判別される(ステップP42)。一方、L画像が一般画像であれば、次にR画像の特徴量が算出されて、一般画像か例外画像かが判断される(ステップP32)。R画像が一般画像であればL、R画像ともに一般であるので、一般タイプと判断される(ステップP42)。一方R画像が例外画像であれば、例外タイプと判断される(ステップP43)。
このような直列的な処理を行った場合、最初に判断を行った方の画像が例外画像であると判断された時点で、すぐに乳房画像の組合せは例外タイプと判断することができるので、その後の処理が必要なく、処理効率が良い。
【0052】
一方、図8に示す並列的な処理を行った場合、L画像についての判断処理(ステップP31)とR画像についての判断処理(ステップP32)が同時に行われ、これらL、R画像の判断結果を受けて、L、R画像ともに一般画像であると判断されたか否かにより(ステップP41)、総合的に画像の組合せのタイプが判断される(ステップP42、P43)。各画像の組合せが一般タイプであると判断するためには、各画像について一般画像であることを確認しなければならないため、並列処理を行った場合、L、R画像について同時に必要な特徴量演算を行うことができ、各画像の組合せが一般タイプである場合には、その演算時間が短縮化される。
【0053】
次いで、乳房画像の組合せが一般タイプであると判断された場合(ステップP4;一般)、制御部21により、位置合わせ処理のアルゴリズムとして一般タイプに対応するアルゴリズムが選択される(ステップP5)。一般タイプの場合、特にどのアルゴリズムを用いても位置合わせは適切に行うことができるので、何れのアルゴリズムをも選択することができるが、ここでは例えば乳頭位置やスキンライン等、乳房の形状を元に位置合わせを行うアルゴリズムが適用されることとする。
【0054】
逆に、例外タイプであると判断された場合(ステップP4;例外)、例外タイプに対応するアルゴリズムが選択される(ステップP6)。例外タイプの場合、乳房の形状に基づいて位置合わせを行うと、大きく位置がずれることがあるため、胸筋領域を用いたアルゴリズム等、乳房の形状や内部構造の欠損に依拠しない位置合わせを行うことができるアルゴリズムを選択する。
【0055】
このように、乳房画像の組合せに応じたアルゴリズムが選択されると、画像処理部26において、当該選択されたアルゴリズムにより位置合わせ処理が実行され、乳房画像の移動量が算出される(ステップP7)。そして、算出された移動量に応じて乳房画像が移動されて1対の乳房画像の合成が行われ、当該合成された位置合わせ画像が生成される。この位置合わせ画像が表示部23に表示されると(ステップP8)、本処理を終了する。
【0056】
図9に、位置合わせ画像例を示す。
図9(a)は、L画像L1が一般画像、R画像R1が例外画像であるため、その組合せが例外タイプと判断され、胸筋領域を用いたアルゴリズムにより位置合わせが行われた画像を示すものである。各画像L1、R1は、それぞれの乳房領域の位置が適切に対応していることが分かる。
また、図9(b)は、L画像L1、R画像R1が何れも一般画像であり、その組合せが一般タイプと判断されて、乳頭位置を用いたアルゴリズムにより位置合わせが行われた画像である。やはり、各画像L1、R1とも、それぞれの乳房領域の位置が適切に対応している。
【0057】
以上のように、第1実施形態によれば、乳房画像の画像状態として乳房領域の形状を判断し、その判断結果に応じたアルゴリズムを選択して位置合わせ処理を行う。よって、乳房領域の形状が一般的な形状ではない場合には、形状に依拠しないアルゴリズムで位置合わせ処理を行うことができ、適切な位置合わせ画像を得ることができる。
【0058】
〈第2実施形態〉
第2実施形態では、同一乳房についての1対の乳房画像を合成する場合を想定し、一組の乳房画像について、乳房画像の画像状態として乳房の同一性、撮影方向を判別し、その判別結果により一対の乳房画像の組合せに応じた位置合わせ処理のアルゴリズムを選択する例を説明する。
【0059】
まず、構成を説明する。
第2実施形態における画像出力システム、画像処理装置は、第1実施形態の画像出力システム100、画像処理装置2とその基本構成は同一であって動作が異なるのみである。よって、第2実施形態の画像出力システム、画像処理装置については第1実施形態と同一の符号を付してその図示を省略し、異なる動作についてのみ説明する。すなわち、画像出力システム100は、画像生成装置1、画像処理装置2、プリンタ3、画像サーバ4、ビューア5を備えて構成されている。また、画像処理装置2は、制御部21、操作部22、表示部23、通信部24、記憶部25、画像処理部26を備えて構成されている。
【0060】
次に、第2実施形態における画像処理装置2の画像判断処理について、図10を参照して説明する。
一般に、乳房画像の場合、比較読影のため、左右の乳房に係る乳房画像を一対として位置合わせが行われるが、手術により一方の乳房を切除している等の事情により、何れか一方の乳房しか撮影されない場合がある。このような場合、フィルム削減のため、同一乳房に対して複数の撮影方向から撮影された乳房画像を合成する場合も考えられる。第2実施形態では、同一乳房について異なる撮影方向の乳房画像であっても位置合わせを行う場合を想定し、画像状態として撮影乳房及び撮影方向を判断して適切なアルゴリズムで位置合わせ処理を行う例を説明する。
【0061】
なお、説明の前提として、同一乳房で異なる撮影方向の乳房画像を並べて同一フィルム上に出力する(或いは同一画面上に表示する)場合には、技師(又は医師)のマニュアル操作で位置合わせを行った方が好ましい場合もあるため、画像処理装置2による各乳房画像の位置合わせの自動処理を行うか否かは設定可能であり、画像判断処理前に予め設定されているものとする。
【0062】
図10に示すように、まず画像処理装置2では、通信部24を介して画像生成装置1から処理対象の乳房画像が入力されると(ステップT1)、技師は操作部22を介して位置合わせ処理を行いたい乳房画像を2枚一組で選択する。
画像処理装置2では、制御部21により乳房画像が2枚選択されると(ステップT2)、画像状態を判別するステップT3の処理に移行する。
【0063】
ステップT3では、選択された一対の乳房画像の付帯情報が制御部21により読み出され、当該付帯情報に基づいて、各乳房画像の撮影方向は同一であるか否かが判別される(ステップT3)。撮影方向が同一ではない場合(ステップT3;N)、比較読影ではないが位置合わせ処理を実行するように設定されているか否かが判別される(ステップT4)。位置合わせ処理を行うように設定されている場合(ステップT4;Y)、ステップT5の処理に移行し、位置合わせ処理を行わないように設定されている場合(ステップT4;N)、ステップT10の処理に移行する。
【0064】
まず、位置合わせ処理を行うように設定されている場合について説明する。
ステップT5では、撮影方向の際と同様に、乳房画像の付帯情報に基づいて、一対の乳房画像の撮影乳房が左右何れであるかが参照され、各乳房画像の撮影乳房は同一であるか否かが判別される。撮影乳房が同一ではない場合(ステップT5;N)、ステップT6の処理に移行し、撮影乳房が同一である場合(ステップT5;Y)、ステップT10の処理に移行する。
【0065】
ステップT6では、一組の乳房画像は一般タイプである、つまり異なる乳房について同一の撮影方向で撮影された乳房画像の組合せであると判断され、位置合わせ処理のアルゴリズムとして、一般タイプに対応するアルゴリズムが制御部21により選択される(ステップT7)。なお、一般タイプの場合、何れのアルゴリズムであっても位置合わせ処理は適切に行われるため、予め準備されているアルゴリズムの中から任意に選択できることとする。
【0066】
次いで、画像処理部26において選択されたアルゴリズムにより位置合わせ処理が実行され、乳房画像の移動量が算出される(ステップT8)。そして、算出された移動量に応じて乳房画像が移動されて各乳房画像の合成が行われ、当該合成された位置合わせ画像が生成される。この位置合わせ画像が表示部23に表示されると(ステップT9)、本処理を終了する。乳房画像の組合せが一般タイプの場合は、図9(b)に示すような位置合わせ画像が得られる。
【0067】
次に、位置合わせ処理を行わないように設定されている場合について、ステップT10の処理から説明する。
ステップT10では、撮影乳房が同一であり、撮影方向が異なるため、乳房画像の組合せは例外タイプであると判断される。次いで、画像処理部26により、一対の乳房画像のうち一方が180度回転され、他方の乳房画像と画像中の胸壁が互いに隣接するように配置される(ステップT11)。
【0068】
次いで、制御部21により、撮影方向が異なり、撮影乳房が同一である場合でも位置合わせ処理を実行するよう設定されているか否かが再度判別される(ステップT12)。位置合わせ処理を実行するよう設定されている場合(ステップT12;Y)、例外タイプに対応するアルゴリズムが選択される(ステップT13)。各乳房画像は撮影乳房が同一で撮影方向が異なる、つまり位置合わせを行う対象は、形状が異なるとともにその内部の組織構造自体も異なるので、例外タイプに対応するアルゴリズムとして、乳房領域の胸壁の中央が一致するように位置合わせを行うアルゴリズム等が選択される。
【0069】
そして、ステップT11において隣接して配置された各乳房画像に対し、選択されたアルゴリズムにより画像処理部26において位置合わせ処理が行われ、乳房画像の移動量が算出される(ステップT14)。そして、算出された移動量に応じて乳房画像が移動されて各乳房画像の合成が行われ、当該合成された位置合わせ画像が生成される。この位置合わせ画像が表示部23に表示されると(ステップT9)、本処理を終了する。
【0070】
図11(a)に、位置合わせ画像例を示す。
図11(a)に示す位置合わせ画像では、左側に撮影方向MLOのR画像R2が正立像で、右側に撮影方向CCのR画像R3が180度回転された逆転像で配置され合成されている。また、2つのR画像R2、R3は、その乳房領域の胸壁の中央がそれぞれ一致するように位置合わせ処理が行われている。
【0071】
次に、ステップT12において、位置合わせ処理を実行するよう設定されていなかった場合(ステップT12;N)、ステップT11において隣接して配置された各乳房画像に対し、乳房画像の移動量を0とする位置合わせ処理が画像処理部26により行われ、各乳房画像が合成される(ステップT15)。つまり、乳房画像の移動を行わずに合成が行われる。合成された位置合わせ画像は、技師のマニュアル操作による位置合わせが可能な状態で表示部23に表示される(ステップT16)。
【0072】
図11(b)に、位置合わせ画像例を示す。
図11(b)に示す位置合わせ画像では、図11(a)の場合と同様に、左側に撮影方向MLOのR画像R2が正立像で、右側に撮影方向CCのR画像R3が180度回転された逆転像で配置され合成されている。表示部23上では、技師のマニュアル操作によりR画像R3が上下に移動操作可能に表示されるので、技師は操作部22の操作により、R画像R3を比較読影しやすい位置等、所望の位置に移動させることができる。
【0073】
以上のように、第2実施形態によれば、同一乳房について異なる撮影方向の乳房画像の位置合わせを行う例外的な場合であっても、適切な位置合わせ処理を行うことができる。また、このような例外的な場合には、画像処理装置2における位置合わせの自動処理を行うか否かを予め設定することができ、行わない設定の場合は技師がマニュアル操作で位置合わせを行うことができる。例外的なパターンでは、どの位置で位置合わせを行うかは、読影を行う医師によって異なることが多い。よって、上記のようにマニュアル操作可能とすることにより好ましい位置合わせ画像を提供することができる。
【0074】
また、同一乳房について異なる撮影方向の乳房画像を1対として合成する場合には、一方の乳房画像を180度回転して配置する。同一乳房の乳房画像を何れも正立像で配置すると、各乳房画像の乳房領域の間に高濃度の素抜け領域が存在することとなり、読影しづらい画像配置となる。よって、上記のように一方を180度回転することにより、各乳房画像の胸壁が隣接するように配置することができ、同一乳房の乳房画像を並べて出力する場合であっても読影しやすい画像配置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】第1及び第2実施形態における画像処理装置を含む画像出力システムを示す図である。
【図2】画像処理装置の内部構成を示す図である。
【図3】乳房画像における被写体領域を示す図である。
【図4】胸筋領域を元に位置合わせを行った位置合わせ画像例を示す図である。
【図5】被写体領域の位置座標を示す図であり、(a)、(b)は一般的な乳房形状の場合の位置座標、(c)、(d)は例外的な乳房形状の場合の位置座標である。
【図6】第1実施形態における画像判断処理を説明するフローチャートである。
【図7】一対の乳房画像について直列的に画像判断を行う場合のフローチャートである。
【図8】一対の乳房画像について並列的に画像判断を行う場合のフローチャートである。
【図9】(a)は組合せが例外的と判断された一対の乳房画像の位置合わせ画像例であり、(b)は組合せが一般的と判断された一対の乳房画像の位置合わせ画像例である。
【図10】第2実施形態における画像判断処理を説明するフローチャートである。
【図11】(a)は一対の乳房画像は例外的な組合わせと判断されたが、位置合わせ処理を行った場合の位置合わせ画像例を示す図であり、(b)は一対の乳房画像は例外的な組合せと判断され、位置合わせ処理を行わなかった場合の合成画像例を示す図である。
【図12】従来の位置合わせ処理による処理結果を説明する図である。
【符号の説明】
【0076】
100 画像出力システム
1 画像生成装置
2 画像処理装置
3 プリンタ
4 画像サーバ
5 ビューア
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳房の医用画像に画像処理を施す画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CR(Computed Radiography)、FPD(Flat Panel Detector)、CT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)等の各種モダリティによりデジタル画像として生成された医用画像は、各種画像処理が施された後、フィルムやモニタ上に出力されて診断や診察に利用されている。
【0003】
特に、乳房を撮影した医用画像(以下、乳房画像という)を読影する際には、左右の乳房画像を並べて比較する比較読影が行われるが、左右の画像における乳房位置がずれていると、比較読影がしづらい。そこで、従来から、1対の乳房画像における乳房の位置合わせ処理を自動的に行う画像処理装置が開発されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
上記画像処理装置における位置合わせ処理のアルゴリズムとしては様々なものが開発されている。例えば、乳房画像における乳房は一般的に乳頭を頂点とした略三角形状になりやすいのでこの特徴を利用し、左右の乳房画像における乳頭位置を検出してこの乳頭位置が左右で対応するように乳房画像を上下方向に移動する方法や、乳房領域の輪郭線(スキンライン)や胸筋領域、乳腺領域等を抽出し、スキンラインから胸壁までの距離が左右で近似する位置に、或いは乳腺領域又は胸筋領域の形状が左右で対称となるように、乳房画像を移動する方法等が挙げられる。
【特許文献1】特開2000−287957号公報
【特許文献2】特開平9−215684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、もともと左右の乳房の形状や大きさが対称的でない、或いは手術により一部又は全部を摘出し、もとの乳房形状が大きく変化している場合がある。或いは、もとの乳房形状は一般的であるが、技師の撮影時のポジショニング(乳房位置の設定)によって乳房画像における乳房形状が略三角形とならない場合や乳房の位置が不自然である場合がある。このように乳房画像が例外的なパターンである場合には、通常と同じアルゴリズムで自動的に位置合わせを行った場合、うまく位置合わせがなされないことがある。
【0006】
図12(a)に示す一対の乳房画像n1、n2の例で説明する。左乳房画像n2は、正常に撮影が行われ、略三角形状を呈しているが、右乳房画像n1は、技師のポジショニングミスにより正常な位置設定ができなかったため、その乳房のスキンラインに凹凸が生じている。それにも拘わらず、通常と同様に、例えば乳頭位置(図中、矢印で示す位置)により位置合わせ処理を自動的に行うと、図12(b)に示すように、左右で乳房領域の配置位置が大きくずれることとなる。これでは、フィルムの出力範囲外に各画像n1、n2が配置されてしまうため、乳房領域が大きく欠けてしまう。
【0007】
また、左右乳房のうち、一方を摘出している場合、或いは施設での方針や診察目的等によっては、左右何れか一方の乳房しか撮影されない場合がある。検査時には一の乳房について複数方向撮影されるのが一般的であるため、上記のように一方の乳房のみ撮影した場合でも複数画像が得られることとなる。通常位置合わせは左右の乳房を比較読影するために行われるが、上記のように同一乳房であって異なる撮影方向の乳房画像であっても、作業効率及びフィルムの節約のため、一のフィルムに出力する場合が考えられる。
【0008】
このとき、位置合わせは医師や技師自身がマニュアル操作で行った方が良い場合があり、画像処理装置において自動位置合わせ処理を行うか否か、どのアルゴリズムで位置合わせを行うのかは、医師や施設の方針によって異なることが想定される。
しかし、従来の画像処理装置では、一様に同じアルゴリズムで位置合わせが行われているため、上記のような例外的な場合には対応することができない。
【0009】
本発明の課題は、乳房画像の画像状態に応じた位置合わせを行うことができる画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、
一対の乳房画像の位置合わせを行う位置合わせ処理のアルゴリズムを複数有する画像処理装置において、
前記一対の乳房画像の画像状態を判断する画像判断手段と、
前記判断された画像状態に応じた位置合わせ処理のアルゴリズムを選択する選択手段と、
前記選択されたアルゴリズムで前記一対の乳房画像に対して位置合わせ処理を実行する位置合わせ手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、
前記画像判断手段は、前記画像状態として乳房の形状を判断するものであって、前記一対の乳房画像の画像特徴量を求め、当該画像特徴量に基づいて各乳房画像上の乳房領域が一般的な形状であるか、例外的な形状であるかを判断し、
前記選択手段は、前記画像判断手段における判断結果により、一般的な形状に対応するアルゴリズム又は例外的な形状に対応するアルゴリズムを選択することを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理装置において、
前記画像判断手段は、前記画像特徴量として、一対の乳房画像における乳房領域の面積比、面積差分値、スキンラインの座標情報、凹凸形状の個数、最高座標値、左右端座標値又は例外的形状のパターン画像との一致度のうち、少なくとも2以上を求めて画像状態の判断に使用することを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、
前記画像判断手段は、前記画像状態として前記一対の乳房画像の撮影方向の組合せを判断するものであって、前記一対の乳房画像が異なる撮影方向であれば当該一対の乳房画像は例外的な組合せであると判断し、同一の撮影方向であれば当該一対の乳房画像は一般的な組合せであると判断し、
前記選択手段は、前記画像判断手段における判断結果により、例外的な組合せに対応するアルゴリズム又は一般的な組合せに対応するアルゴリズムを選択することを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、
前記画像判断手段は、前記画像状態として前記一対の乳房画像の乳房が左右何れであるかその組合せを判断するものであって、一対の乳房画像が左右異なる乳房であれば当該一対の乳房画像は一般的な組合せであると判断し、左右同一の乳房であれば当該一対の乳房画像は例外的な組合せであると判断し、
前記選択手段は、前記画像判断手段における判断結果により、一般的な組合せに対応するアルゴリズム又は例外的な組合せに対応するアルゴリズムを選択することを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の画像処理装置において、
例外的な組合せの乳房画像に対して前記位置合わせ手段による位置合わせ処理を実行するか否かを予め設定可能であり、
前記選択手段は、前記一対の乳房画像が例外的な組合せの場合には前記位置合わせ手段による位置合わせ処理は実行しないと設定された場合、前記画像判断手段により例外的な組合せと判断された各乳房画像には位置合わせ処理を実行しないことを選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、画像状態に応じたアルゴリズムで位置合わせ処理を行うことができる。乳房の元々の形状や撮影時のポジショニングにより、乳房画像の画像状態は常に同じとは限らない。そのため、一律に同じアルゴリズムに処理を行うと、適切な位置合わせを行うことができない場合もある。しかし、本発明のように画像状態に応じたアルゴリズムを選択することにより、適切な位置合わせ画像を得ることが可能となる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、乳房画像における乳房領域が一般的な形状か例外的な形状かによって、適切なアルゴリズムを選択することができる。例えば、例外的な形状であれば形状に依拠しないアルゴリズムを選択し、一般的な形状であれば形状に依拠したアルゴリズムを選択する等、形状に応じた位置合わせ処理を行うことにより、適切な位置合わせ画像を得ることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、画像特徴量として乳房領域の面積やスキンラインに関する情報を用いて画像状態を判断する。乳房画像の画像状態が例外的な場合、その乳房領域の面積やスキンラインに変化が生じる。よって、これらの画像特徴量を用いることにより、画像状態の判断精度を向上させることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、撮影方向が異なる例外的な組合せ又は撮影方向が同一である一般的な組合せに応じたアルゴリズムで位置合わせ処理を行うことができる。通常、比較読影は同一撮影方向の画像を用いて行われるが、異なる撮影方向の画像を並べて出力したい場合も想定される。このような場合には、一対の乳房画像においてその乳房形状が異なるため、左右対称とならない。よって、異なる撮影方向の組合せに応じたアルゴリズムで位置合わせを行うことにより、適切な位置合わせ画像を得ることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、左右同じ乳房である例外的な組合せ又は左右異なる一般的な組合せに応じたアルゴリズムで位置合わせ処理を行うことができる。通常、比較読影は左右異なる乳房の画像を用いて行われるが、左右同一の乳房画像を並べて出力したい場合も想定される。このような場合には、単に並列に配置しただけでは左右対称とならず、位置合わせを行うことができない。よって、左右同一の乳房の組合せに応じたアルゴリズムで位置合わせを行うことにより、適切な位置合わせ画像を得ることができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、例外的な組合せの場合には、位置合わせ処理を施さないように設定することができる。例外的な組合せの場合、技師自身が乳房画像の移動操作を行って位置合わせを行った方が好ましい場合もある。よって、画像処理装置側で位置合わせ処理を自動的に施さないように設定することにより、技師が移動操作しやすい状態で一対の乳房画像を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
〈第1実施形態〉
第1実施形態では、位置合わせを行う一組の乳房画像について、乳房画像の画像状態として乳房領域の形状が一般か例外かを判別し、その判別結果により乳房画像の組合せに応じた位置合わせ処理のアルゴリズムを選択する例を説明する。
【0023】
まず、構成を説明する。
図1に、画像出力システム100を示す。
画像出力システム100は、医用画像を撮影し、当該医用画像の保存・管理を行うとともに、フィルム或いはモニタ等に出力するためのシステムである。
図1に示すように、画像出力システム100は、画像生成装置1、第1実施形態における画像処理装置2、プリンタ3、画像サーバ4、ビューア5を備えて構成されている。これら各装置1〜5は、LAN(Local Area Network)等の医療機関内で構築された通信ネットワークNを介して相互にデータを送受信可能に接続されている。通信ネットワークNの通信方式には、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格が適用されている。
【0024】
以下、各構成装置1〜5について説明する。
画像生成装置1は、人体を撮影し、その撮影画像(医用画像)のデジタルデータを生成するものであり、例えばCR、FPD、CT、MRI等のモダリティを適用可能である。本実施形態では、画像生成装置1として、左右乳房のX線撮影を行う乳房専用のCRを適用し、左乳房又は右乳房の乳房画像のデータが生成されるものとする。乳房の撮影は、複数方向から行われるのが一般的である。撮影方向としては、上下方向(以下、CCという)、斜位方向(以下、MLOという)等があり、画像生成装置1は、これら複数方向からの乳房画像を生成して画像処理装置2に送信する。
【0025】
なお、画像生成装置1は、上述したDICOM規格に準拠した装置であり、生成した医用画像に付帯させる各種情報(例えば、医用画像が撮影された患者に関する患者情報や撮影又は検査に関する撮影情報、検査情報等。以下、付帯情報という)を外部から入力可能であるとともに、自動生成することもできる。画像生成装置1は、生成された医用画像に上記付帯情報をヘッダ情報として付加して通信ネットワークNを介して画像処理装置2へ送信する。なお、DICOM規格に準拠していない場合には、図示しないDICOM変換装置を用いて付帯情報を画像生成装置1に入力させることも可能である。
【0026】
画像処理装置2は、画像生成装置1から供給される医用画像に対して各種画像処理を施すものである。画像処理された医用画像は、通信ネットワークNを介してプリンタ3、画像サーバ4、ビューア5等に送信される。
【0027】
プリンタ3は、画像処理装置2又は画像サーバ4から受信された医用画像のデータに基づいて、フィルム等に医用画像を出力する。
【0028】
画像サーバ4は、画像DB4aを備え、この画像DB4aに、画像生成装置1により生成された医用画像(原画像)、画像処理装置2から受信された画像処理済みの医用画像(処理画像)を保存し、その入出力を管理する。
【0029】
ビューア5は、診断用に医師により使用される表示手段であり、LCD(Liquid Crystal Display)等を備えて構成されている。ビューア5は、医師の操作指示に応じて、指定された医用画像を画像サーバ4から取得して表示する。なお、診断に使用されることから、表示性能は高解像度であることが好ましい。
【0030】
次に、本発明に係る画像処理装置2について詳細に説明する。
図2に、画像処理装置2の内部構成を示す。
図2に示すように、画像処理装置2は、制御部21、操作部22、表示部23、通信部24、記憶部25、画像処理部26を備えて構成されている。
【0031】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、CPUにより記憶部25から本発明に係る画像判断処理プログラム等の各種制御プログラムを読み出してRAMに展開する。そして、当該プログラムに従って画像判断処理(後述する)の実行を統括的に制御し、各部の動作を集中制御する。
【0032】
操作部22は、キーボードやマウス等を備えて構成され、キー操作やマウス操作に対応する操作信号を生成して制御部21に出力する。
【0033】
表示部23は、LCD等を備えて構成され、制御部21の指示に従って、画像処理時の操作画面や処理後の医用画像等、各種表示を行う。
【0034】
通信部24は、ルータやモデム等の通信用インターフェイスを備え、制御部21の指示に従って、通信ネットワークN上の外部装置と通信を行う。例えば、画像生成装置1から処理対象の医用画像を受信したり、処理済みの医用画像を画像サーバ4やプリンタ3に送信する。
【0035】
記憶部25は、各種制御プログラムやプログラムの実行に必要なパラメータ、或いは処理結果のデータを記憶している。
【0036】
画像処理部26は、医用画像に対して階調変換処理、鮮鋭度調整処理等の他、乳房画像の場合には位置合わせ処理等の各種画像処理を施す。なお、画像処理部26は、位置合わせ処理のアルゴリズムを複数有しており、位置合わせ処理時には制御部21により選択されたアルゴリズムで位置合わせ処理を実行する。
【0037】
以下、図3を参照して、位置合わせ処理について説明する。なお、ここでは一例として、胸筋領域を元に位置合わせを行うアルゴリズムについて説明する。
図3は、MLOの撮影方向で撮影された乳房画像Sを示す図である。
(1)まず、画像処理部26は、乳房画像Sにおける画素値の分散ヒストグラムを求め、判別分析法(分散ヒストグラムを2つのクラスに分割したとき2つのクラスでクラス内分散とクラス間分散の判別比(分散比)が最大となるように閾値を決定する方法)を用いて閾値を決定し、決定された閾値を用いて乳房画像を2値化する。
【0038】
このとき、乳房画像Sにおいて素抜け領域(被写体部分に該当しない領域であり、X線が直接照射された領域)は、高濃度を呈しているため2値化により「1」となり、その他の被写体領域は「0」となることが予想される。よって、この2値化により乳房画像Sを被写体領域Saとそれ以外の素抜け領域Sbに分割することができる。なお、撮影方向がCCである場合には、被写体部分に胸筋は写りこまないため、被写体領域Saが乳房領域Sa1となる。
【0039】
(2)一方、撮影方向がMLOである場合、被写体部分に胸筋が写りこむため、次に被写体領域Saから胸筋領域Sa2を抽出する。胸筋領域Sa2は、例えば被写体領域Saにおける濃度勾配を算出し、当該濃度勾配から被写体領域Saを胸筋領域Sa2と乳房領域Sa1とに分割する。なお、特開2001−238868号公報に記載されているように局所領域を設定し、局所領域内の画素値に基づき閾値を設定して被写体領域Sa内を2値化することにより、胸筋領域Sa2及び乳房領域Sa1を抽出することとしてもよい。
【0040】
(3)上記の方法により左右の乳房画像Sについて、それぞれ胸筋領域Sa2を抽出する。そして、図4に示すように、左乳房又は右乳房の乳房画像L、Rをその胸壁側が隣接するように配置し、各乳房画像から抽出された胸筋領域Sa2の形状、面積が左右で対称となるように位置合わせを行い、その移動量Qを算出する。
【0041】
以上が胸筋領域による位置合わせ処理のアルゴリズムの内容であるが、画像処理部26は、スキンラインによるアルゴリズム、乳頭位置をもとに位置合わせを行うアルゴリズム等、その他のアルゴリズムも有している。
例えば、スキンラインを用いたアルゴリズムは、2値化による2領域(被写体領域と素抜け領域)の境界をスキンラインとして検出し、このスキンラインを元に左右に配置された乳房画像の位置合わせを行うものである。具体的には、スキンラインから胸壁までの距離について左右の画像間で差分を求める。この差分を一方の画像をずらしながらそのずらした位置で順次求め、それらの差分の和が最小となる位置に各乳房画像を合わせる。
また、乳頭位置を用いたアルゴリズムは、予め準備されたテンプレートを用いて左右の乳房画像から乳頭領域を検出し、上下方向における乳頭領域の位置が左右の乳房画像で一致するように位置合わせを行うものである。
【0042】
また、画像処理部26は、画像解析を行い、乳房領域についての各種画像特徴量(以下、特徴量と略す。)を算出する。算出された特徴量から、制御部21により乳房画像が一般画像であるか例外画像であるかが判断される。一般画像とは、乳房領域が一般的な略三角形状や組織構造を有しており、かつ左右の乳房で対称的な形状及び大きさの乳房画像をいい、例外画像とは、例えば手術により乳房の一部を切除している、或いは撮影時のポジショニング(技師の設定ミス、病変があり圧迫できない等の理由により圧迫率が異なる場合等を含む)等に起因し、乳房領域が一般的な略三角形状を為さない、或いは略三角形の形状となるがもともと左右の乳房の大きさが異なる等、一般画像に該当しない乳房画像をいう。
【0043】
一般画像か例外画像かは、乳房領域の面積やスキンラインから判断することができる。
乳房画像に座標を設定し、乳房画像から抽出されたスキンラインの座標値をプロットすると、一般画像は、図5(a)、(b)に示すような形状となり、例外画像は、図5(c)、(d)に示すような形状となる。図5(a)、(c)は撮影方向MLOの乳房画像であり、図5(b)、(d)は撮影方向CCの乳房画像である。
【0044】
図5から分かるように、撮影方向MLOの場合、一般画像では最高座標値をとるのは、乳頭又は胸筋の先端部分であり、撮影方向CCの場合は乳頭である。また、凹部(座標値が落ち込んでいる部分。図中、二重丸で示す。)については撮影方向MLOでは、乳頭と胸筋の先端との間に1つ存在し、撮影方向CCでは存在しない。
これに対して、例外画像では、撮影方向MLO、CCともに凹部の個数が増加している。また、最高座標値の位置もずれ、スキンラインにより囲まれる乳房領域の面積が減少している。
【0045】
よって、特徴量として、例えば左右の乳房画像における乳房領域の面積比、面積差分値、乳房のスキンラインにおける座標情報(座標値)、凹凸形状の個数、最高座標値、左右端座標及び例外的な乳房形状を想定したテンプレートパターンとの一致度を求めることにより、一般画像か例外画像かを判断することができる。
【0046】
次に、上記画像処理装置2の動作について説明する。
図6は、画像処理装置2により実行される画像判断処理を説明するためのフローチャートである。説明の前提として、画像生成装置1により左右の乳房について撮影され、それぞれの乳房画像が生成されているものとする。
【0047】
図6に示す画像判断処理では、まず通信部24を介して画像生成装置1から処理対象の乳房画像が入力されると(ステップP1)、技師は操作部22を介して位置合わせ処理を行いたい乳房画像を2枚一組で選択する。ここでは、左右の乳房についての乳房画像が選択されたものとする。
画像処理装置2では、乳房画像が2枚選択されたか否かが制御部21により判別され(ステップP2)、2枚選択されたと判別されると(ステップP2;Y)、画像解析を行うステップP3に移行する。
【0048】
ステップP3では、画像処理部26により左右の乳房画像の画像解析が行われ、各種特徴量が算出される。そして、算出された特徴量に基づき、各乳房画像について一般画像であるか例外画像であるかが制御部21により判断される(ステップP3)。この判断は、例えば各特徴量について予め定められている閾値と算出された特徴量とを比較することにより、行うこととしてもよい。また、予めサンプルデータにより一般画像か例外画像かを判別するように構築された多変量解析のロジック等を用いて、総合的に判断することとしてもよい。
【0049】
左右の各乳房画像について一般画像か例外画像か、その画像状態が判断されると、その判断結果に基づいて、2枚の乳房画像の組合せは、一般タイプか例外タイプかが制御部21により判断される(ステップP4)。つまり、左右の乳房画像が何れも一般画像と判断されればその組合せは一般タイプとであると判断され、何れか一方でも例外画像と判断されればその組合せは例外タイプであると判断される。
【0050】
なお、ステップP3、S4の処理においては、左乳房の乳房画像(以下、L画像という)、右乳房の乳房画像(以下、R画像という)に対する画像状態の判断を、図7に示すように直列的に行うこととしてもよいし、図8に示すように並列的に行うこととしてもよい。
【0051】
図7に示す直列的な処理では、まずL画像について特徴量が算出され、当該特徴量に基づいてL画像は一般画像か例外画像かが判断される(ステップP31)。例外画像であれば、2枚の乳房画像の組合せは例外タイプであると判別される(ステップP42)。一方、L画像が一般画像であれば、次にR画像の特徴量が算出されて、一般画像か例外画像かが判断される(ステップP32)。R画像が一般画像であればL、R画像ともに一般であるので、一般タイプと判断される(ステップP42)。一方R画像が例外画像であれば、例外タイプと判断される(ステップP43)。
このような直列的な処理を行った場合、最初に判断を行った方の画像が例外画像であると判断された時点で、すぐに乳房画像の組合せは例外タイプと判断することができるので、その後の処理が必要なく、処理効率が良い。
【0052】
一方、図8に示す並列的な処理を行った場合、L画像についての判断処理(ステップP31)とR画像についての判断処理(ステップP32)が同時に行われ、これらL、R画像の判断結果を受けて、L、R画像ともに一般画像であると判断されたか否かにより(ステップP41)、総合的に画像の組合せのタイプが判断される(ステップP42、P43)。各画像の組合せが一般タイプであると判断するためには、各画像について一般画像であることを確認しなければならないため、並列処理を行った場合、L、R画像について同時に必要な特徴量演算を行うことができ、各画像の組合せが一般タイプである場合には、その演算時間が短縮化される。
【0053】
次いで、乳房画像の組合せが一般タイプであると判断された場合(ステップP4;一般)、制御部21により、位置合わせ処理のアルゴリズムとして一般タイプに対応するアルゴリズムが選択される(ステップP5)。一般タイプの場合、特にどのアルゴリズムを用いても位置合わせは適切に行うことができるので、何れのアルゴリズムをも選択することができるが、ここでは例えば乳頭位置やスキンライン等、乳房の形状を元に位置合わせを行うアルゴリズムが適用されることとする。
【0054】
逆に、例外タイプであると判断された場合(ステップP4;例外)、例外タイプに対応するアルゴリズムが選択される(ステップP6)。例外タイプの場合、乳房の形状に基づいて位置合わせを行うと、大きく位置がずれることがあるため、胸筋領域を用いたアルゴリズム等、乳房の形状や内部構造の欠損に依拠しない位置合わせを行うことができるアルゴリズムを選択する。
【0055】
このように、乳房画像の組合せに応じたアルゴリズムが選択されると、画像処理部26において、当該選択されたアルゴリズムにより位置合わせ処理が実行され、乳房画像の移動量が算出される(ステップP7)。そして、算出された移動量に応じて乳房画像が移動されて1対の乳房画像の合成が行われ、当該合成された位置合わせ画像が生成される。この位置合わせ画像が表示部23に表示されると(ステップP8)、本処理を終了する。
【0056】
図9に、位置合わせ画像例を示す。
図9(a)は、L画像L1が一般画像、R画像R1が例外画像であるため、その組合せが例外タイプと判断され、胸筋領域を用いたアルゴリズムにより位置合わせが行われた画像を示すものである。各画像L1、R1は、それぞれの乳房領域の位置が適切に対応していることが分かる。
また、図9(b)は、L画像L1、R画像R1が何れも一般画像であり、その組合せが一般タイプと判断されて、乳頭位置を用いたアルゴリズムにより位置合わせが行われた画像である。やはり、各画像L1、R1とも、それぞれの乳房領域の位置が適切に対応している。
【0057】
以上のように、第1実施形態によれば、乳房画像の画像状態として乳房領域の形状を判断し、その判断結果に応じたアルゴリズムを選択して位置合わせ処理を行う。よって、乳房領域の形状が一般的な形状ではない場合には、形状に依拠しないアルゴリズムで位置合わせ処理を行うことができ、適切な位置合わせ画像を得ることができる。
【0058】
〈第2実施形態〉
第2実施形態では、同一乳房についての1対の乳房画像を合成する場合を想定し、一組の乳房画像について、乳房画像の画像状態として乳房の同一性、撮影方向を判別し、その判別結果により一対の乳房画像の組合せに応じた位置合わせ処理のアルゴリズムを選択する例を説明する。
【0059】
まず、構成を説明する。
第2実施形態における画像出力システム、画像処理装置は、第1実施形態の画像出力システム100、画像処理装置2とその基本構成は同一であって動作が異なるのみである。よって、第2実施形態の画像出力システム、画像処理装置については第1実施形態と同一の符号を付してその図示を省略し、異なる動作についてのみ説明する。すなわち、画像出力システム100は、画像生成装置1、画像処理装置2、プリンタ3、画像サーバ4、ビューア5を備えて構成されている。また、画像処理装置2は、制御部21、操作部22、表示部23、通信部24、記憶部25、画像処理部26を備えて構成されている。
【0060】
次に、第2実施形態における画像処理装置2の画像判断処理について、図10を参照して説明する。
一般に、乳房画像の場合、比較読影のため、左右の乳房に係る乳房画像を一対として位置合わせが行われるが、手術により一方の乳房を切除している等の事情により、何れか一方の乳房しか撮影されない場合がある。このような場合、フィルム削減のため、同一乳房に対して複数の撮影方向から撮影された乳房画像を合成する場合も考えられる。第2実施形態では、同一乳房について異なる撮影方向の乳房画像であっても位置合わせを行う場合を想定し、画像状態として撮影乳房及び撮影方向を判断して適切なアルゴリズムで位置合わせ処理を行う例を説明する。
【0061】
なお、説明の前提として、同一乳房で異なる撮影方向の乳房画像を並べて同一フィルム上に出力する(或いは同一画面上に表示する)場合には、技師(又は医師)のマニュアル操作で位置合わせを行った方が好ましい場合もあるため、画像処理装置2による各乳房画像の位置合わせの自動処理を行うか否かは設定可能であり、画像判断処理前に予め設定されているものとする。
【0062】
図10に示すように、まず画像処理装置2では、通信部24を介して画像生成装置1から処理対象の乳房画像が入力されると(ステップT1)、技師は操作部22を介して位置合わせ処理を行いたい乳房画像を2枚一組で選択する。
画像処理装置2では、制御部21により乳房画像が2枚選択されると(ステップT2)、画像状態を判別するステップT3の処理に移行する。
【0063】
ステップT3では、選択された一対の乳房画像の付帯情報が制御部21により読み出され、当該付帯情報に基づいて、各乳房画像の撮影方向は同一であるか否かが判別される(ステップT3)。撮影方向が同一ではない場合(ステップT3;N)、比較読影ではないが位置合わせ処理を実行するように設定されているか否かが判別される(ステップT4)。位置合わせ処理を行うように設定されている場合(ステップT4;Y)、ステップT5の処理に移行し、位置合わせ処理を行わないように設定されている場合(ステップT4;N)、ステップT10の処理に移行する。
【0064】
まず、位置合わせ処理を行うように設定されている場合について説明する。
ステップT5では、撮影方向の際と同様に、乳房画像の付帯情報に基づいて、一対の乳房画像の撮影乳房が左右何れであるかが参照され、各乳房画像の撮影乳房は同一であるか否かが判別される。撮影乳房が同一ではない場合(ステップT5;N)、ステップT6の処理に移行し、撮影乳房が同一である場合(ステップT5;Y)、ステップT10の処理に移行する。
【0065】
ステップT6では、一組の乳房画像は一般タイプである、つまり異なる乳房について同一の撮影方向で撮影された乳房画像の組合せであると判断され、位置合わせ処理のアルゴリズムとして、一般タイプに対応するアルゴリズムが制御部21により選択される(ステップT7)。なお、一般タイプの場合、何れのアルゴリズムであっても位置合わせ処理は適切に行われるため、予め準備されているアルゴリズムの中から任意に選択できることとする。
【0066】
次いで、画像処理部26において選択されたアルゴリズムにより位置合わせ処理が実行され、乳房画像の移動量が算出される(ステップT8)。そして、算出された移動量に応じて乳房画像が移動されて各乳房画像の合成が行われ、当該合成された位置合わせ画像が生成される。この位置合わせ画像が表示部23に表示されると(ステップT9)、本処理を終了する。乳房画像の組合せが一般タイプの場合は、図9(b)に示すような位置合わせ画像が得られる。
【0067】
次に、位置合わせ処理を行わないように設定されている場合について、ステップT10の処理から説明する。
ステップT10では、撮影乳房が同一であり、撮影方向が異なるため、乳房画像の組合せは例外タイプであると判断される。次いで、画像処理部26により、一対の乳房画像のうち一方が180度回転され、他方の乳房画像と画像中の胸壁が互いに隣接するように配置される(ステップT11)。
【0068】
次いで、制御部21により、撮影方向が異なり、撮影乳房が同一である場合でも位置合わせ処理を実行するよう設定されているか否かが再度判別される(ステップT12)。位置合わせ処理を実行するよう設定されている場合(ステップT12;Y)、例外タイプに対応するアルゴリズムが選択される(ステップT13)。各乳房画像は撮影乳房が同一で撮影方向が異なる、つまり位置合わせを行う対象は、形状が異なるとともにその内部の組織構造自体も異なるので、例外タイプに対応するアルゴリズムとして、乳房領域の胸壁の中央が一致するように位置合わせを行うアルゴリズム等が選択される。
【0069】
そして、ステップT11において隣接して配置された各乳房画像に対し、選択されたアルゴリズムにより画像処理部26において位置合わせ処理が行われ、乳房画像の移動量が算出される(ステップT14)。そして、算出された移動量に応じて乳房画像が移動されて各乳房画像の合成が行われ、当該合成された位置合わせ画像が生成される。この位置合わせ画像が表示部23に表示されると(ステップT9)、本処理を終了する。
【0070】
図11(a)に、位置合わせ画像例を示す。
図11(a)に示す位置合わせ画像では、左側に撮影方向MLOのR画像R2が正立像で、右側に撮影方向CCのR画像R3が180度回転された逆転像で配置され合成されている。また、2つのR画像R2、R3は、その乳房領域の胸壁の中央がそれぞれ一致するように位置合わせ処理が行われている。
【0071】
次に、ステップT12において、位置合わせ処理を実行するよう設定されていなかった場合(ステップT12;N)、ステップT11において隣接して配置された各乳房画像に対し、乳房画像の移動量を0とする位置合わせ処理が画像処理部26により行われ、各乳房画像が合成される(ステップT15)。つまり、乳房画像の移動を行わずに合成が行われる。合成された位置合わせ画像は、技師のマニュアル操作による位置合わせが可能な状態で表示部23に表示される(ステップT16)。
【0072】
図11(b)に、位置合わせ画像例を示す。
図11(b)に示す位置合わせ画像では、図11(a)の場合と同様に、左側に撮影方向MLOのR画像R2が正立像で、右側に撮影方向CCのR画像R3が180度回転された逆転像で配置され合成されている。表示部23上では、技師のマニュアル操作によりR画像R3が上下に移動操作可能に表示されるので、技師は操作部22の操作により、R画像R3を比較読影しやすい位置等、所望の位置に移動させることができる。
【0073】
以上のように、第2実施形態によれば、同一乳房について異なる撮影方向の乳房画像の位置合わせを行う例外的な場合であっても、適切な位置合わせ処理を行うことができる。また、このような例外的な場合には、画像処理装置2における位置合わせの自動処理を行うか否かを予め設定することができ、行わない設定の場合は技師がマニュアル操作で位置合わせを行うことができる。例外的なパターンでは、どの位置で位置合わせを行うかは、読影を行う医師によって異なることが多い。よって、上記のようにマニュアル操作可能とすることにより好ましい位置合わせ画像を提供することができる。
【0074】
また、同一乳房について異なる撮影方向の乳房画像を1対として合成する場合には、一方の乳房画像を180度回転して配置する。同一乳房の乳房画像を何れも正立像で配置すると、各乳房画像の乳房領域の間に高濃度の素抜け領域が存在することとなり、読影しづらい画像配置となる。よって、上記のように一方を180度回転することにより、各乳房画像の胸壁が隣接するように配置することができ、同一乳房の乳房画像を並べて出力する場合であっても読影しやすい画像配置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】第1及び第2実施形態における画像処理装置を含む画像出力システムを示す図である。
【図2】画像処理装置の内部構成を示す図である。
【図3】乳房画像における被写体領域を示す図である。
【図4】胸筋領域を元に位置合わせを行った位置合わせ画像例を示す図である。
【図5】被写体領域の位置座標を示す図であり、(a)、(b)は一般的な乳房形状の場合の位置座標、(c)、(d)は例外的な乳房形状の場合の位置座標である。
【図6】第1実施形態における画像判断処理を説明するフローチャートである。
【図7】一対の乳房画像について直列的に画像判断を行う場合のフローチャートである。
【図8】一対の乳房画像について並列的に画像判断を行う場合のフローチャートである。
【図9】(a)は組合せが例外的と判断された一対の乳房画像の位置合わせ画像例であり、(b)は組合せが一般的と判断された一対の乳房画像の位置合わせ画像例である。
【図10】第2実施形態における画像判断処理を説明するフローチャートである。
【図11】(a)は一対の乳房画像は例外的な組合わせと判断されたが、位置合わせ処理を行った場合の位置合わせ画像例を示す図であり、(b)は一対の乳房画像は例外的な組合せと判断され、位置合わせ処理を行わなかった場合の合成画像例を示す図である。
【図12】従来の位置合わせ処理による処理結果を説明する図である。
【符号の説明】
【0076】
100 画像出力システム
1 画像生成装置
2 画像処理装置
3 プリンタ
4 画像サーバ
5 ビューア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の乳房画像の位置合わせを行う位置合わせ処理のアルゴリズムを複数有する画像処理装置において、
前記一対の乳房画像の画像状態を判断する画像判断手段と、
前記判断された画像状態に応じた位置合わせ処理のアルゴリズムを選択する選択手段と、
前記選択されたアルゴリズムで前記一対の乳房画像に対して位置合わせ処理を実行する位置合わせ手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像判断手段は、前記画像状態として乳房の形状を判断するものであって、前記一対の乳房画像の画像特徴量を求め、当該画像特徴量に基づいて各乳房画像上の乳房領域が一般的な形状であるか、例外的な形状であるかを判断し、
前記選択手段は、前記画像判断手段における判断結果により、一般的な形状に対応するアルゴリズム又は例外的な形状に対応するアルゴリズムを選択することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像判断手段は、前記画像特徴量として、一対の乳房画像における乳房領域の面積比、面積差分値、スキンラインの座標情報、凹凸形状の個数、最高座標値、左右端座標値又は例外的形状のパターン画像との一致度のうち、少なくとも2以上を求めて画像状態の判断に使用することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像判断手段は、前記画像状態として前記一対の乳房画像の撮影方向の組合せを判断するものであって、前記一対の乳房画像が異なる撮影方向であれば当該一対の乳房画像は例外的な組合せであると判断し、同一の撮影方向であれば当該一対の乳房画像は一般的な組合せであると判断し、
前記選択手段は、前記画像判断手段における判断結果により、例外的な組合せに対応するアルゴリズム又は一般的な組合せに対応するアルゴリズムを選択することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像判断手段は、前記画像状態として前記一対の乳房画像の乳房が左右何れであるかその組合せを判断するものであって、一対の乳房画像が左右異なる乳房であれば当該一対の乳房画像は一般的な組合せであると判断し、左右同一の乳房であれば当該一対の乳房画像は例外的な組合せであると判断し、
前記選択手段は、前記画像判断手段における判断結果により、一般的な組合せに対応するアルゴリズム又は例外的な組合せに対応するアルゴリズムを選択することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
例外的な組合せの乳房画像に対して前記位置合わせ手段による位置合わせ処理を実行するか否かを予め設定可能であり、
前記選択手段は、前記一対の乳房画像が例外的な組合せの場合には前記位置合わせ手段による位置合わせ処理は実行しないと設定された場合、前記画像判断手段により例外的な組合せと判断された各乳房画像には位置合わせ処理を実行しないことを選択することを特徴とする請求項4又は5に記載の画像処理装置。
【請求項1】
一対の乳房画像の位置合わせを行う位置合わせ処理のアルゴリズムを複数有する画像処理装置において、
前記一対の乳房画像の画像状態を判断する画像判断手段と、
前記判断された画像状態に応じた位置合わせ処理のアルゴリズムを選択する選択手段と、
前記選択されたアルゴリズムで前記一対の乳房画像に対して位置合わせ処理を実行する位置合わせ手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像判断手段は、前記画像状態として乳房の形状を判断するものであって、前記一対の乳房画像の画像特徴量を求め、当該画像特徴量に基づいて各乳房画像上の乳房領域が一般的な形状であるか、例外的な形状であるかを判断し、
前記選択手段は、前記画像判断手段における判断結果により、一般的な形状に対応するアルゴリズム又は例外的な形状に対応するアルゴリズムを選択することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像判断手段は、前記画像特徴量として、一対の乳房画像における乳房領域の面積比、面積差分値、スキンラインの座標情報、凹凸形状の個数、最高座標値、左右端座標値又は例外的形状のパターン画像との一致度のうち、少なくとも2以上を求めて画像状態の判断に使用することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像判断手段は、前記画像状態として前記一対の乳房画像の撮影方向の組合せを判断するものであって、前記一対の乳房画像が異なる撮影方向であれば当該一対の乳房画像は例外的な組合せであると判断し、同一の撮影方向であれば当該一対の乳房画像は一般的な組合せであると判断し、
前記選択手段は、前記画像判断手段における判断結果により、例外的な組合せに対応するアルゴリズム又は一般的な組合せに対応するアルゴリズムを選択することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像判断手段は、前記画像状態として前記一対の乳房画像の乳房が左右何れであるかその組合せを判断するものであって、一対の乳房画像が左右異なる乳房であれば当該一対の乳房画像は一般的な組合せであると判断し、左右同一の乳房であれば当該一対の乳房画像は例外的な組合せであると判断し、
前記選択手段は、前記画像判断手段における判断結果により、一般的な組合せに対応するアルゴリズム又は例外的な組合せに対応するアルゴリズムを選択することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
例外的な組合せの乳房画像に対して前記位置合わせ手段による位置合わせ処理を実行するか否かを予め設定可能であり、
前記選択手段は、前記一対の乳房画像が例外的な組合せの場合には前記位置合わせ手段による位置合わせ処理は実行しないと設定された場合、前記画像判断手段により例外的な組合せと判断された各乳房画像には位置合わせ処理を実行しないことを選択することを特徴とする請求項4又は5に記載の画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−246951(P2006−246951A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−64103(P2005−64103)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】
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