説明

画像処理装置

【課題】省電力状態における電力消費量を極力抑え、また、通信手段に過大な処理負荷をかけることなく、早期に自装置の異常検知及び異常情報の外部出力を行うことができる画像処理装置を提供すること。
【解決手段】第1画像処理装置Xにおいて、NIC5は、メイン制御部9の起動異常をチェックし(S3)、それが異常である場合に、異常情報を第2画像処理装置Xに対して送信することにより、その異常情報を所定の管理者のあて先に電子メール送信することを要求する(S6)。第2画像処理装置Xは、要求に応じて異常情報を電子メール送信する(S25)。また、第1画像処理装置Xのメイン制御部9は、被制御ブロック6〜8の起動異常をチェックし(S9)、それが異常である場合に、異常情報をNIC5を通じて管理者のあて先に電子メール送信する(S10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部装置と通信を行う通信手段を備えた画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリンタ、スキャナ、ファクシミリ装置、複写機或いはそれらの機能を兼ね備えた複合機等の画像処理装置は、ネットワークや電話回線等の通信媒体を介して外部装置(計算機や他の画像処理装置等)と通信を行う通信手段(NIC(Network Interface Card)やモデム(Modulator-Demodulator)など)や、画像処理に関する処理を実行するプリントエンジンやスキャナなどの機器(以下、被制御機器という)、さらに、その被制御機器を制御する制御部を備えている。また、その制御部が、通信手段を通じて電子メールを送受信する機能を備えるものもある。
また、このような画像処理装置は、当該画像処理装置が備える操作入力部に対する操作、及び前記通信手段を通じた外部装置からのデータ受信がない状態が一定時間以上継続した場合、通常の動作状態よりも消費電力が低い省電力状態(一般に、スリープモードという)へ移行する機能(以下、スリープ機能という)を備えるものがある。前記省電力状態では、前記被制御機器に対する通電(電力供給)が遮断された状態となる一方、前記通信手段や制御部については、通電された状態が維持されることが多い。その理由は、省電力状態である場合に、外部装置からの要求に応じて非通電状態にある機器に対する通電を自動的に再開させ、通常の動作状態に自動的に復帰できるようにするためである。
例えば、特許文献1には、省電力状態である場合にプリント要求が受信されると、装置全体に通電を行い、受信したプリント要求に応じた画像形成を行う画像形成装置が示されている。
ここで、状況に応じて機器の通電状態を自動的に切り替える画像処理装置では、機器が正常に起動しない場合に、その異常の発生に利用者が気付かず、対応が遅れるという問題が生じやすい。
これに対し、特許文献2には、制御部が自装置の電源異常の発生を監視し、電源異常を検出した場合に、通信手段を通じてその異常情報を遠隔診断装置に送信する画像形成装置が示されている。
【特許文献1】特開平8−101606号公報
【特許文献2】特開2000−203134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、画像処理装置の電力消費をより低減するには、省電力状態において通電される機器を極力少なくすることが効果的である。特に、昨今の多機能な画像処理装置において、多くの被制御機器を制御する制御部は、その消費電力が比較的大きいため、省電力状態において制御部を停止状態(通電無しの状態)にすれば省電力効果が高い。
一方、昨今の多機能な画像処理装置において、多くの被制御機器を制御する制御部が、それら多くの被制御機器の異常を監視し、通信手段を通じて異常情報を外部送信する機能を担うことが、装置構成(特に、ソフトウェアの構成)をシンプル化する上で効果的である。
また、電子メールの送受信環境が整備された現状では、画像処理装置が、自装置の異常情報を電子メールにより所定の管理者に送信する機能を備えれば、管理者が画像処理装置の異常発生を早期に把握して迅速に対応することが可能となり、非常に利便性が高い。
しかしながら、特許文献2に示されるように、制御部が機器の異常監視の全てを担う構成は、省電力状態において制御部に対する通電を遮断できないことから、省電力化の阻害要因となるという問題点があった。
これに対し、多機能の画像処理装置において、通信手段が、その制御対象ではない多くの被制御機器について異常監視を行うことは、装置構成(特に、ソフトウェアの構成)が複雑化するとともに、通信手段に過大な処理負荷がかかるという問題点があった。
従って、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、省電力状態における電力消費量を極力抑え、また、通信手段に過大な処理負荷をかけることなく、早期に自装置の異常検知及び異常情報の外部出力を行うことができる画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明は、外部装置との間で通信処理を行う通信手段と、画像処理に関する処理を実行する被制御機器と、その被制御機器を制御する制御手段とを具備する画像処理装置であって、次の(1)〜(5)に示す各構成要素を備えるものである。
(1)前記通信手段が通電有りに維持された状態で前記制御手段及び前記被制御機器に対する通電有無を切り替える通電切替手段。
(2)前記被制御機器の起動に関する異常を検出する第1異常検出手段。
(3)前記制御手段の起動に関する異常を検出する第2異常検出手段。
(4)前記通信手段が兼ね備え、前記第1異常検出手段により異常が検出された場合に、当該通信手段による通信により異常情報の外部送信を行う第1異常情報送信手段。
(5)前記制御手段が兼ね備え、前記第2異常検出手段により異常が検出された場合に、前記通信手段を通じた通信により異常情報の外部送信を行う第2異常情報送信手段。
本発明に係る画像処理装置は、前記制御部手段が、その制御対象である前記被制御機器について異常検出の状態を監視し、前記通信手段を通じて異常情報を外部送信する機能を担う。一方、前記通信手段は、前記制御手段のみについて、異常検出の状態監視と、異常情報の外部送信とを行う。
また、前記通信手段に通電がなされた状態で、前記制御手段及び前記被制御機器に対する通電有無を切り替え可能であるため、前記制御手段及び前記被制御機器に対する通電を遮断した省電力状態とすることができる。
また、その省電力状態から前記制御手段を起動させる際に、前記制御手段の起動異常が発生したときには、前記通信手段によりその異常情報が外部送信される。
【0005】
ここで、前記第1異常情報送信手段が、異常情報を他の画像処理装置(電子メール送信機能を備える画像処理装置)に対して送信することにより、該異常情報を所定のあて先に電子メール送信することを要求するものであれば好適である。
これにより、通常、前記制御手段が備える電子メールの送信機能を、前記通信手段が兼ねる前記第1異常情報送信手段に重複して設ける必要がない。
この場合、電子メール送信を要求するあて先(他の画像処理装置の通信アドレス)を記憶手段に予め記憶しておくことが考えられる。しかしながら、他の画像処理装置が、電子メール送信を行えない状態(前記制御手段が停止している状態)であることも考えられる。
そこで、前記通信手段が、外部装置に所定の問合せを行うことにより、電子メール送信処理を実行可能な他の画像処理装置の通信アドレスを取得する通信アドレス取得手段を兼ね備えれば好適である。この場合、前記第1異常通知手段が、前記通信アドレス取得手段により取得された通信アドレスをあて先として、異常情報の電子メール送信を要求する。
また、前記制御手段が兼ね備える前記第2異常通知手段が、電子メール送信により異常情報の外部送信を行うものであれば好適である。
一方、本発明は、前述した電子メール送信を要求する画像処理装置からその要求を受ける画像処理装置として捉えることもできる。
即ち、外部装置との間で通信処理を行う通信手段と、画像処理に関する処理を実行する被制御機器を制御する制御手段とを具備する画像処理装置であって、前記制御手段が、他の画像処理装置から前記通信手段を通じて所定の異常情報を電子メール送信することの要求を受信した場合に、その異常情報を所定のあて先に前記通信手段を通じて電子メール送信する第3異常情報送信手段を兼ね備えるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る画像処理装置は、制御部手段が、その制御対象である前記被制御機器について異常検出の状態を監視し、前記通信手段を通じて異常情報を外部送信する機能を担う。このため、装置構成(特に、ソフトウェアの構成)がシンプルとなる。一方、前記通信手段は、前記制御手段のみについて、異常検出の状態監視と、異常情報の外部送信とを行えばよいので、通信手段に過大な処理負荷がかからない。このため、通信手段について、プロセッサ等を従来よりも高機能なものに置き換えたり、新たなハードウェアを追加したりする必要もない。
また、本発明に係る画像処理装置は、前記通信手段に通電がなされた状態で、前記制御手段及び前記被制御機器に対する通電有無を切り替え可能であるため、前記制御手段及び前記被制御機器に対する通電を遮断した省電力状態とすることができる。その結果、省電力状態における電力消費量を一層抑えることができる。また、そのような省電力状態から前記制御手段を起動させる場合に、起動異常が発生したときには、前記通信手段によりその異常情報が外部送信されるので、早期の異常検知及び異常情報の外部出力に影響を与えない。
また、前記通信手段が兼ね備える前記第1異常情報送信手段が、異常情報を所定のあて先に電子メール送信することを他の画像処理装置に要求することにより、通常、前記制御手段が備える電子メールの送信機能を、前記通信手段に重複して設ける必要がない。しかも、前記制御手段の異常情報についても、他の画像処理装置(の制御手段)を通じて所定のあて先に電子メール送信することができる。このため、電子メール送信のあて先となる管理者が、画像処理装置の異常発生を早期に把握して迅速に対応することが可能となり、非常に利便性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに、図1は本発明の実施形態に係る画像処理装置X及びそれを構成要素とする画像処理システムZの概略構成を表すブロック図、図2は画像処理装置Xが備えるNICの概略構成を表すブロック図、図3は画像処理装置Xが備えるメイン制御部の概略構成を表すブロック図、図4は画像処理装置Xにおける電源の接続関係を表す電源系統図、図5は画像処理装置Xによる異常通知処理の手順を表すフローチャート、図6は画像処理装置Xにおけるウィークリータイマ制御の週間スケジュールを模式的に表した図である。
【0008】
まず、図1に示すブロック図を参照しつつ、本発明の実施形態に係る画像処理装置X及びそれを構成要素とする画像処理システムZについて説明する。
画像処理システムZは、ネットワークを通じて相互に通信可能な複数の画像処理装置Xと、それらと通信可能な電子メールサーバ31とを備えて構成されている。
画像処理装置Xは、例えばLANやWAN等からなるネットワーク30を介して、外部装置(端末32や電子メールサーバ31など)と通信可能に構成され、その通信を行う通信手段の一例としてNIC5を備えている。
さらに、画像処理装置Xは、図1に示すように、NIC5に加え、操作・表示部2、ハードディスクドライブ3(以下、HDDと称する)、画像処理演算部4、スキャナ部6、プリント部7、ファクシミリ部8、メイン制御部9、通電切替回路10、メイン電源21、サブ電源22等を備えている。
また、図1に示す例では、メイン制御部9、画像処理演算部4、NIC5、スキャナ部6、プリント部7、ファクシミリ部8及び通電切替回路10は、バス11により相互に接続されている。
ここで、スキャナ部6、プリント部7及びファクシミリ部8は、それぞれ画像処理に関するジョブ(画像読取ジョブや印刷ジョブ、ファクシミリ送信ジョブなど)を処理する機器(部品若しくは部品の集合)であり、いずれもメイン制御部9(制御手段の一例)により制御されるものである。以下、スキャナ部6、プリント部7及びファクシミリ部8を被制御ブロックと称する。
そして、画像処理装置Xは、被制御ブロック6〜8及びメイン制御部9の起動異常を検出した際に、異常情報をNIC5を通じて外部送信する異常通知処理を行う機能を備えている。
【0009】
操作・表示部2は、情報を入力するための操作入力手段と、情報の表示手段とを備えるものである。その操作入力手段は、例えば、シートキーや液晶表示装置の表面に設けられたタッチパネル等から構成されるものである。また、その表示手段は、例えば、液晶表示装置やLEDランプ等から構成されるものである。この操作・表示部2により、利用者に対するマンマシンインターフェースが構成されている。
HDD3は、原稿から読み取った読取り画像データの処理や、画像データのプリント処理等の際に、必要に応じてその処理データを記憶する大容量の不揮発メモリである。さらに、このHDD3は、電子メールサーバ31から取得した電子メールデータの保存先としても用いられる。
画像処理演算部4は、専用の信号処理回路或いはDSP(Digital Signal Processor)等により構成され、画像データについて各種画像処理を行い、所定の印刷ジョブ記述言語で記述された印刷ジョブを画像形成に用いるビットマップ画像データに変換する処理や、端末32へ送信する画像データ(例えば、JPEG形式等の所定の符号化がなされた画像データ等)の生成処理、画像データに暗号化を施す処理や、暗号化された画像データを復号化する処理、或いは画像データを圧縮符号化する処理や、圧縮符号化された画像データを伸張(復元)する処理等を行うものである。この画像処理演算部4が、ビットマップ画像データ生成手段の一例である。
なお、メイン制御部9が、画像処理演算部4の機能を兼ね備えた構成も考えられる。
【0010】
スキャナ部6は、不図示のガラス製の原稿台上に載置された原稿や、不図示のADFにより搬送される原稿から、その原稿に形成された画像を読み取る機器、及びその機器を制御するMPU等の部品の集合である。
プリント部7は、メイン制御部9によって制御されるいわゆるプリントエンジンであり、不図示の給紙カセットに収容された記録紙を、1枚ずつ順次送り出し、所定の画像形成位置を経て排紙トレイまで搬送するものとともに、その画像形成位置において、スキャナ部6により原稿から読み取られた原稿の画像データや、画像処理演算部4により生成された印刷用の画像データ等に基づいて、記録紙に画像を形成(出力)する機器及びその機器を制御するMPU等の部品の集合である。
ファクシミリ部8は、NCU(Network Control Unit)やモデム等により構成され、ダイヤルアップや通信相手(相手局)との間で通信方法を決定するネゴシエーション処理等を行い、電話回線を通じて他のファクシミリ装置とファクシミリデータの送受信を行うものである。
【0011】
NIC5は、例えば標準規格IEEE802.3に準拠したLAN及びインターネット等からなるネットワーク30を通じて、電子メールサーバ31や端末32などの外部装置との間でデータの送受信を行う通信インターフェースである(通信手段の一例)。
メイン電源21及びサブ電源22は、当該画像処理装置Xの各構成要素に対して電力を供給する電源回路である。
通電切替回路10は、NIC5又はメイン制御部9から受ける制御信号に従って、サブ電源22を商用電源に接続するか否かを切り替えることにより、メイン制御部9、スキャナ部6、プリント部7及びファクシミリ部8などの被制御ブロック各々に対して個別に通電を行うか否かを切り替えるスイッチ回路である。
この通電切替回路10は、NIC5に対する通電とは独立してメイン制御部9、スキャナ部6、プリント部7及びファクシミリ部8の各々に対して個別に通電するか否かを切り替え可能に構成されている。なお、この通電切替回路10は、NIC5が通電有りに維持された状態でメイン制御部9及び被制御ブロック6〜8に対する通電有無を切り替える通電切替手段の一例である。
【0012】
メイン制御部9は、スキャナ部6、プリント部7、ファクシミリ部8、操作・表示部2、HDD3及び画像処理演算部4の各々を制御するものである。
例えば、メイン制御部9は、プリント部7に、NIC5を通じて受信される印刷ジョブに基づく印刷処理(画像形成処理)を実行させる。また、メイン制御部9は、ファクシミリ部8に、指定された送信先の電話番号を発呼して送信対象となる画像データを送信するファクシミリ送信処理を実行させる。さらに、メイン制御部9は、スキャナ部6に、原稿からその原稿に形成された画像を読み取るスキャン処理を実行させる。
また、メイン制御部9は、紙詰まりセンサ(ジャムセンサ)や用紙切れセンサ、トナー残量センサなどの各種センサの検知信号を入力し、その検知信号に基づいて、制御対象となる被制御ブロック(スキャナ部6、プリント部7及びファクシミリ部8)に異常が発生しているか否かを検出する機能を備えている。
その他、メイン制御部9は、NIC5を通じて、ネットワーク30を通じて通信可能な電子メールサーバ31に対し、その記憶部に記憶されている自装置宛の電子メールデータの送信を要求して取得する処理や、その電子メールサーバに対し、送信先の電子メールアドレスを設定した電子メールデータを送信する処理を実行する電子メール送受信機能も備えている。
【0013】
次に、図2に示すブロック図を参照しつつ、画像処理装置Xが備えるNIC5の構成について説明する。
NIC5は、バスコネクタ61、バス制御部62、MPU63、メモリ制御部64、ROM65、フラッシュメモリ66、ネットワーク制御部67及びネットワークコネクタ68等を備えている。
バスコネクタ61は、バス11に接続されるコネクタであり、バス制御部62は、バス11を通じて他の機器との間で信号伝送を行うものである。
ネットワークコネクタ68は、ネットワーク30に物理的に接続するコネクタであり、ネットワーク制御部67は、例えば標準規格IEEE802.3及びTCP/IP等の所定のネットワークプロトコルに準拠した通信制御を行うものである。
MPU63は、ROM65に予め記憶されたプログラムを実行することにより、バス11とネットワーク30との間の信号伝送を中継する処理や、ネットワーク30を介して端末32から所定の処理が要求された場合に、これに応答する処理等、各種の処理を行う演算手段である。実行するプログラムは、MPU63が内蔵する不図示のRAMに展開されて実行される。このMPU63は、メモリ制御部64を介して、ROM65やフラッシュメモリ66に対するアクセスを行う。
また、NIC5のROM65には、MPU63によって実行されるプログラム及びMPU63によって参照されるデータが記憶されている。
一方、NIC5のフラッシュメモリ66には、MPU63が処理を実行する過程で格納及び参照するデータなどが記憶されている。
【0014】
また、NIC5のMPU63は、一定周期で発振信号を発生させるクロック発振器63aを備える。さらに、NIC5のMPU63は、所定のタイミングでメイン制御部9から現在時刻を取得する。こうして取得した時刻を、以下、計時開始時刻という。そして、NIC5のMPU63は、クロック発振器63aの発振信号を積算することにより、メイン制御部9から前記計時開始時刻を取得した時点からの経過時間を計時し、その経過時間と前記計時開始時刻とに基づいて、現在の日時(現在時刻)を計時する。
ここで、NIC5のMPU63により計時される現在時刻は、NIC5が通電無し状態になればリセットされる。従って、NIC5のMPU63は、メイン制御部9が"通電有り状態"であるときに、後述するメイン制御部9のカレンダー管理部78からその時点の時刻(年月日、曜日、時刻を含む)を取得し、その時刻に基づく時刻校正処理を行う。
時刻校正処理は、例えば、メイン制御部9が"通電有り状態"であるときに、NIC5のMPU63が、定期的にメイン制御部9のカレンダー管理部78からその時点の時刻を取得し、これを前記計時開始時刻とすることにより、クロック発振器63aのクロック信号に基づく時刻の計時を再開する処理である。これにより、NIC5が計時する時刻が、カレンダー管理部78の計時時刻に基づいて校正される。これ以後、NIC5のMPU63は、校正後の時刻を継続的に計時する。
【0015】
次に、図3に示すブロック図を参照しつつ、画像処理装置Xが備えるメイン制御部9の構成について説明する。
メイン制御部9は、バスコネクタ71、バス制御部72、MPU73、メモリ制御部74、ROM75、フラッシュメモリ76、I/Oポート77及びカレンダー管理部78等を備えている。
ここで、バスコネクタ71、バス制御部72、メモリ制御部74、ROM75及びフラッシュメモリ76の各々は、NIC5が備えるバスコネクタ61、バス制御部62、メモリ制御部64、ROM65及びフラッシュメモリ66と同様の機能を備えたものである。もちろん、ROM75及びフラッシュメモリ76に記憶されるプログラムやデータの内容は、NIC5のROM64及びフラッシュメモリ66に記憶されているものと異なることはいうまでもない。
メイン制御部9は、MPU73によってROM75やフラッシュメモリ76に記憶されたプログラムを実行することにより、各種画像処理に関する機器を制御する。
メイン制御部9のI/Oポート77は、その制御対象となる機器に対して出力する制御信号を伝送する信号線や、メイン制御部9が各種センサから入力する各種検出信号を伝送する信号線が接続され、それら信号線とMPU73との間を中継するインターフェースである。
例えば、メイン制御部9のI/Oポート77には、操作・表示部2及びHDD3を構成する機器や、各種センサに通じる信号線が接続される。
【0016】
また、メイン制御部9は、さらにカレンダー管理部78を備えている。カレンダー管理部78は、時刻を計時する時刻計時回路を備え、その時刻計時回路による計時時刻に基づいて、現在の年月日、曜日、時刻を検知するものである。このカレンダー管理部78は、第1サブ電源221からの供給電力によって充電されるバッテリーを電源とし、その第1サブ電源221からの電力供給が遮断されても、そのバッテリーからの供給電力によって動作を継続する。
なお、図2及び図3には、MPU63、73によってデータの書き込み及び読み出しが可能な不揮発性の記憶手段として、フラッシュメモリ66、76が設けられているが、このフラッシュメモリ66、76の代わりに、EEPROM等の他の不揮発性記憶手段を採用することも考えられる。
【0017】
次に、図4に示す電源系統図を参照しつつ、画像処理装置Xにおける各被制御ブロックに対する電源の接続関係の一例について説明する。
なお、図4では、電源供給ラインを実線で表し、その他の信号伝送ラインを破線で表している。
図4に示す例では、画像処理装置Xは、5つのサブ電源22を備えている。以下、それぞれ第1サブ電源221〜第5サブ電源225と称する。
前記メイン電源21は、NIC5及び通電切替回路10に対して電力を供給する電源である。
このメイン電源21は、当該画像処理装置X全体に対する根元の電力供給源となる商用電源50に対し、手動操作に応じて電源供給ラインを導通させるか遮断するかを手動で切り替える手動切替スイッチ40を介して接続されている。利用者がこの手動切替スイッチ40の切り替え操作をすることにより、NIC5及び通電切替回路10に対して通電されるか否かが切り替えられる。従って、NIC5及び通電切替回路10は、当該画像処理装置Xが商用電源50に接続されている状態では、利用者の操作によって手動切替スイッチ40が導通状態から遮断状態に切り替えられない限り、常に通電された状態となる。また、手動切替スイッチ40が遮断状態に切り替えられると、当該画像処理装置X全体が非通電状態(停止状態)となる。
【0018】
一方、第1サブ電源221は、制御部9、HDD3及び画像処理演算部4に対して電力を供給する電源回路である。
また、第2サブ電源222、第3サブ電源223、第4サブ電源224及び第5サブ電源225は、それぞれスキャナ部6、プリント部7、ファクシミリ部8及び操作・表示部2の各々に対して電力を供給する電源回路である。
また、第1サブ電源221〜第5サブ電源225各々は、商用電源50に対し、前記手動切替スイッチ40と、所定の制御信号に基づいて電源供給ラインを導通させるか遮断するかを切り替える自動切替スイッチ41〜45とを介して接続されている。なお、図4から明らかなように、自動切替スイッチ41と第1サブ電源221、自動切替スイッチ42と第2サブ電源222、自動切替スイッチ43と第3サブ電源223、自動切替スイッチ44と第4サブ電源224、自動切替スイッチ45と第4サブ電源225が各々対応関係にある。
これにより、手動切替スイッチ40が導通状態にされた上で、さらに自動切替スイッチ41〜45の各々が導通状態となって初めて、サブ電源221〜225各々が通電状態となる。
以下、電源供給ラインを導通させること及び遮断することを、各々ONする及びOFFするという。同様に、電源供給ラインが導通した状態のこと及び遮断した状態のことを、各々ON状態及びOFF状態という。
これ以降、画像処理装置Xにおいて、NIC5が通電有りの状態(手動切替スイッチ40が導通状態)であり、メイン制御部9及び被制御ブロック6〜8のうちの1つ以上が通電無しである状態(自動切替スイッチ41〜44のうちの1つ以上がOFF状態)をスリープモードという。一方、NIC5、メイン制御部9及び被制御ブロック6〜8が通電有りである状態を稼働モードという。
【0019】
ここで、各サブ電源221〜225は、その電力供給ラインに所定の電圧が生じるか否かによって出力する接点信号のON/OFFが切り替わる電圧検出素子を備えている。通電切替回路10は、その電圧検出素子が出力する接点信号を入力する。
そして、NIC5のMPU63は、通電切替回路10及びバス11を通じて、前記第1サブ電源221の電圧検出素子の出力に対応する通電中信号(ON又はOFF)を検知する。
同様に、メイン制御部9は、通電切替回路10及びバス11を通じて、前記第2サブ電源222〜第5サブ電源225それぞれの電圧検出素子の出力に対応する通電中信号(ON又はOFF)を検知する。
これにより、NIC5のMPU63及びメイン制御部9は、自動切替スイッチ41〜45のうち、ON状態に切り替えたものに対応するサブ電源からの前記通電中信号がONとならない場合、そのサブ電源の系統の異常に起因する起動異常が生じていることを検出できる。
即ち、第1サブ電源221が備える電圧検出素子は、メイン制御部9の起動異常を検出するセンサとして機能する(第1異常検出手段の一例)。同様に、第2サブ電源221〜第4サブ電源225が備える電圧検出素子は、各被制御ブロック6〜8及び操作・表示部2の起動異常を検出するセンサ(第2異常検出手段の一例)として機能する。
【0020】
通電切替回路10は、NIC5及びメイン制御部9からの制御指令に応じて、自動切換スイッチ41〜45のON/OFFを切り替える。
即ち、通電切替回路10は、NIC5からの制御指令に従って、自動切替スイッチ41のON/OFFを切り替え、これにより、メイン制御部9、HDD3及び画像処理装置4に対する通電のON/OFFを切り替える。即ち、NIC5は、メイン制御部9に対する通電制御を実行する手段を兼ねている。
また、通電切替回路10は、メイン制御部9からの制御指令に従って、自動切替スイッチ42〜45のON/OFFを切り替え、これにより、各被制御ブロック6〜8及び操作・表示部2に対する通電を個別に切り替える。即ち、メイン制御部9は、被制御ブロック6〜8それぞれに対する通電制御を実行する手段を兼ねている。
また、画像処理装置Xは、ユーザによる操作に応じてON/OFF状態が切り替わる操作検知スイッチ1を備えている。この操作検知スイッチ1は、画像処理装置Xを、稼働モードにするかスリープモードにするかを切り替える通電スイッチとして機能するものであり、その出力信号は通電切替回路10が備える入力ポートに伝送される。
NIC5のMPU63は、この操作検知スイッチ1のON/OFF状態を、通電切替回路10及びバス11を通じて検知し、その検知結果によっても、自動切換スイッチ41のON/OFFを切り替える。
即ち、NIC5のMPU63は、スリープモードであるときに操作検知スイッチ1がON状態に切り替えられたことを検知すると、通電切替回路10を制御することにより、自動切換スイッチ41をONにし、起動したメイン制御部9に、残りの自動切換えスイッチ41をONするよう通知する。これに応じてメイン制御部9は、残りの自動切替スイッチ42〜45をONにする。これにより、画像処理装置Xは稼動モードへ移行する。
一方、NIC5のMPU63は、稼働モードであるときに操作検知スイッチ1がOFF状態に切り替えられたことを検知すると、その旨をメイン制御部9に通知する。これに応じてメイン制御部9は、何らかのジョブを処理中でない限り、自動切替スイッチ42〜45をOFFにし、OFFにした旨をNIC5のMPU63に通知する。これに応じてNIC5のMPU63は、残りの自動切替スイッチ41をOFFにし、メイン制御部9を停止させる。これにより、画像処理装置Xはスリープモードへ移行する。
このように、メイン制御部9が、制御対象となる被制御ブロック6〜8についてその通電制御も行うため、他の機器(例えば、NIC5)が被制御ブロック6〜8の通電制御を行う場合に比べ、装置構成(特に、制御ソフトウェアの構成)がシンプルとなり、制御上の安全性も高くなる。
【0021】
本画像処理装置Xでは、各被制御ブロックに対する通電がなされている場合に、NIC5のMPU63が、以下に示す2つの条件(以下、それぞれ第1のスリープ条件及び第2のスリープ条件という)の成否を判別する。そして、それらスリープ条件のいずれかが成立した場合に、メイン制御部9及びNIC5が通電切替回路10を制御することにより、当該画像処理装置Xは、1以上の被制御ブロックに対する通電が遮断された状態であるスリープモードに移行する。このスリープモードでは、5つの自動切替スイッチ41〜45の1つ以上が"OFF状態"に切り替えられ、1つ以上の被制御ブロックが"通電無し状態"となる。
また、全ての被制御ブロック6〜8及びメイン制御部9に対する通電が遮断されると、当該画像処理装置Xは、NIC5を含むごく一部の機器(NIC5及び通電切替回路10)のみが"通電有り状態"となる。
【0022】
[第1のスリープ条件]
第1のスリープ条件は、現在の日時が、予め定められた1週間分の時刻スケジュール(以下、週間スケジュールという)において、通電停止に設定されている時間帯に属しているという条件である。以下、予め定められた週間スケジュール(時刻スケジュールの一例)に従って自動切替スイッチ41〜45を制御することにより、メイン制御部9及び被制御ブロック6〜8各々の通電状態を制御することを、ウィークリータイマ制御という。
図6は、ウィークリタイマ制御の週間スケジュールWSの内容を模式的に表したものである。この週間スケジュールWSは、第1サブ電源221〜第5サブ電源225それぞれについて(即ち、メイン制御部9及び被制御ブロック6〜8のそれぞれについて)予め設定されるスケジュールである。
図6中の各升目は、曜日(月曜日〜日曜日)及び時刻(00時台〜23時台)によって規定される時間帯である。また、空欄の升目は、"通電無し状態"に設定されている時間帯を表し、"*"印が記されている升目は、"通電有り状態"に設定されている時間帯を表す。
NIC5のMPU63は、第1サブ電源221〜第5サブ電源225ごとの週間スケジュールWSの情報を、予めメイン制御部9から取得してフラッシュメモリ66に予め記憶させておく。
さらに、NIC5のMPU63は、前述したクロック発振器63aを用いて計時した現在の時刻が、フラッシュメモリ66に記憶された週間スケジュールWSにおいて、スリープモードと稼働モードのいずれに設定されている時間帯であるのかを判別する。
そして、NIC5のMPU63は、週間スケジュールWSに基づく判別結果に応じて、通電切替回路10を通じて自動切替スイッチ41を制御することにより、メイン制御部9の通電状態を制御する。さらに、NIC5のMPU63は、起動したメイン制御部9に対し、週間スケジュールWSに基づく判別結果を引き渡す。そして、起動した状態にあるメイン制御部9が、週間スケジュールWSに基づく判別結果に応じて、通電切替回路10を通じて自動切替スイッチ42〜45を制御することにより、被制御ブロック6〜8及び操作・表示部2の通電状態を切り替える。
なお、メイン制御部9は、操作・表示部2を制御することにより、利用者が週間スケジュールWSの内容を設定可能とする週間スケジュール設定機能を備えている。この週間スケジュール設定機能により設定された週間スケジュールWSは、メイン制御部9からNIC5に伝送され、NIC5のMPU63がフラッシュメモリ66に格納する。
また、NIC5のMPU63が、ネットワーク30を通じた外部の端末32からの要求に応じて、フラッシュメモリ66に記憶された週間スケジュールWSを端末32に送信する機能や、その週間スケジュールWSの内容を更新する機能を備えて構成されたものも考えられる。
【0023】
[第2のスリープ条件]
第2のスリープ条件は、操作・表示部2を通じた操作入力がなく、かつ、ネットワーク30を通じた外部装置からのデータ処理要求(印刷ジョブ等)の受信がない状態が、予め定められた時間以上継続するという条件である。
例えば、NIC5が第2のスリープ条件の成否判別を行う場合、NIC5のMPU63は、メイン制御部9及びバス11を介して、操作・表示部2に対する操作入力の有無を検知するとともに、ネットワーク制御部67を介して、端末32からのデータ受信の有無を検知する。
さらに、NIC5のMPU63は、クロック発振器63aの発振信号に基づいて時間を計時することにより、操作・表示部2を通じた操作入力がなく、かつ、ネットワーク30を通じた端末32からのデータ受信がない状態が、所定時間以上継続したことを検知する。そして、NIC5のMPU63は、その検知結果に応じて、通電切替回路10を通じて自動切替スイッチ41〜45を制御することにより、各メイン制御部9及び操作・表示部2、並びに被制御ブロック6〜8を"通電無し状態"へ切り替える。
【0024】
次に、図5に示すフローチャートを参照しつつ、画像処理装置Xが実行する異常通知処理の手順について説明する。
本実施形態における異常通知処理は、2台の画像処理装置Xにより実現される。このため、図5には、2台の画像処理装置X(第1画像処理装置Xと第2画像処理装置)それぞれに区分して処理の内容を示している。但し、これは、便宜上、異常通知処理において果たす役割に応じて2台に区分したものであり、画像処理装置Xは、それぞれ前記第1画像処理装置及び前記第2画像処理装置Xのいずれの処理も実行可能に構成されている。なお、以下に示すS1、S2、…は、処理手順(ステップ)の識別記号を表す。
【0025】
まず、異常検知を行う側の第1画像処理装置Xの処理について説明する。図5に示す異常通知処理において、第1画像処理装置Xは、メイン制御部9及び操作・表示部2、並びに各被制御ブロック6〜8それぞれに対する通電が停止されたスリープモードの状態であるものとする。
[ステップS1、S2]
第1画像処理装置Xにおいては、まず、NIC5のMPU63が、メイン制御部9及び各被制御ブロック6〜8について所定の起動トリガが検知されたか否かを判別する。ここで、起動トリガとは、前記ウィークリータイマ制御によりメイン制御部9や各被制御ブロック6〜8を起動する時刻になったことや、操作検知スイッチ1がON状態に切り替えられたこと、外部装置(端末)から、メイン制御部9及び1又は複数の被制御ブロックの起動を必要とするジョブが受信されたことなどである。
そして、NIC5のMPU63は、メイン制御部9の起動トリガを検知すると、通電切替回路10を制御することにより、通電停止中のメイン制御部9を"通電有り状態"(第1サブ電源221を通電ON状態)に切り替える(S2)。
【0026】
[ステップS3]
次に、NIC5のMPU63は、メイン制御部9の起動異常が発生しているか否かの判別処理を実行する(S3)。
具体的には、NIC5のMPU63は、ステップS2の処理の実行後の所定時間内に、通電切替回路10からバス11を通じて、第1サブ電源221が"通電有り状態"であることを表す前記通電中信号(第1サブ電源221の電圧検出素子の出力に対応する信号)を出力したことを検知できない場合、又は、メイン制御部9からバス11を通じてメイン制御部9が正常に起動していることを表す正常起動信号を受信できない場合に、メイン制御部9の起動異常が発生していると判別する。
【0027】
[ステップS4、S5]
そして、NIC5のMPU63は、ステップS3においてメイン制御部9の起動異常が発生していると判別すると、当該NIC5(のネットワーク制御部67)により外部装置に所定の問合せを行う(S4)ことにより、電子メール送信処理を実行可能な他の画像処理装置Xの通信アドレスを取得(S5)する通信アドレス取得処理を実行する(S4、S5、通信アドレス取得手段の一例)。
例えば、NIC5は、まず、当該NIC5によりネットワーク30のローカルエリアに接続された全ての外部装置に対し、電子メール送信を実行可能か否かの問合せをブロードキャスト送信する(S4)。
さらに、NIC5は、前記問合せの実行後、所定時間内に所定の応答であるOK通知が受信されるか否かを判別する(S5)。後述するように、このOK通知は、メール送信を実行可能な第2画像処理装置X(他の画像処理装置X)によって送信されるものであり、このOK通知には、通知元(応答元)の他の第2画像処理装置Xの通信アドレスが含まれる。
【0028】
[ステップS6、S7]
次に、ステップS5でOK通知の受信が確認された場合、NIC5のMPU63は、当該第1画像処理装置Xのメイン制御部9が異常である旨を表す異常情報を、ステップS5で取得したOK通知の送信元の通信アドレス(第2画像処理装置Xの通信アドレス)に対して送信(外部送信)することにより、その異常情報を所定の管理者のメールアドレス宛に電子メール送信することを要求する通知を行う(S6、第1異常情報送信手段の一例)。このように、NIC5のMPU63は、サブ電源221が備える電圧検出素子(第1異常検出手段の一例)等を通じてメイン制御部9の起動異常が検出された場合(S3のY)に、当該NIC5による通信により異常情報の外部送信を行う。
これにより、後述するように、第2画像処理装置Xによって、第1画像処理装置Xのメイン制御部9が異常であることを表す異常情報(第1画像処理装置Xの識別情報を含む)が、所定の管理者の電子メールアドレスをあて先として、電子メール送信される(後述するステップS25)。管理者の電子メールアドレスは、メイン制御部9のフラッシュメモリ76或いはHDD3に予め記憶されている。
一方、ステップS5でOK通知を受信できなかった場合、NIC5のMPU63は、所定のビープ音を出力し(S7)、当該異常通知処理を終了させる。
【0029】
[ステップS8]
一方、ステップS3においてメイン制御部9の起動異常が発生していないと判別された場合(メイン制御部9が正常起動した場合)、メイン制御部9のMPU73が、通電切替回路10を制御することにより、ステップS1で起動トリガが検知された被制御ブロック6〜8(起動が必要な被制御ブロック)を"通電有り状態"(サブ電源222〜224のうちの1又は複数を通電ON状態)に切り替える(S8)。
なお、ステップS8では、メイン制御部9のMPU73は、操作・表示部2も起動する。
また、ステップS1での起動トリガの検知状態は、ステップS8の処理の前に、NIC5のMPU63から起動したメイン制御部9のMPU73に伝送される。
【0030】
[ステップS9]
次に、メイン制御部9のMPU73は、"通電有り状態"に切り替えた被制御ブロック6〜8の起動異常が発生しているか判別処理を実行する(S9)。
具体的には、メイン制御部9のMPU73、ステップS2の処理の実行後の所定時間内に、通電切替回路10からバス11を通じて、起動対象のサブ電源222〜224が"通電有り状態"であることを表す前記通電中信号(電圧検出素子の出力に対応する信号)を出力したことを検知できない場合、又は、起動対象の被制御ブロック6〜8からI/O77を通じて正常に起動していることを表す正常起動信号を入力できない場合に、起動対象の被制御ブロック6〜8の起動異常が発生していると判別する。
なお、ステップS9では、メイン制御部9のMPU73は、各被制御ブロック6〜8と同様に、操作・表示部2についても、起動異常の発生有無を判別する。
【0031】
[ステップS10、S11]
次に、メイン制御部9のMPU73は、ステップS9で被制御ブロック6〜8の起動異常が発生していると判別すると、当該第1画像処理装置Xの起動異常が発生している被制御ブロック6〜8について、それが異常である旨を表す異常情報を、NIC5を通じて所定の管理者のメールアドレス宛に電子メール送信する(S10)。
例えば、メイン制御部9のMPU73は、所定のメールプログラムを実行し、例えばSMTPプロトコルに従って電子メールサーバ31と通信を行うことにより、異常情報の電子メール送信を行う。このように、メイン制御部9のMPU73は、サブ電源222〜224が備える電圧検出素子(第2異常検出手段の一例)等を通じて被制御ブロック6〜8の起動異常が検出された場合に、NIC5を通じた通信により異常情報の外部送信を行う(S10、第2異常情報送信手段の一例)。
その後、当該第1画像処理装置Xは、処理を前述したステップS1へ戻す。
一方、メイン制御部9のMPU73は、ステップS9で被制御ブロック6〜8の起動異常が発生していないと判別すると、ステップS1で検知された起動トリガに対応する通常の処理(外部の端末から受信した印刷ジョブの処理や、操作・表示部2に所定のメニュー画面を出力する処理など)を実行する(S11)。その後、当該第1画像処理装置Xは、処理を前述したステップS1へ戻す。
【0032】
続いて、第1画像処理装置Xから異常情報のメール送信を要求される側の第2画像処理装置Xの処理について説明する。
[ステップS21〜S23]
第2画像処理装置Xにおいては、随時、NIC5のMPU63が、他の画像処理装置X(ここでは、第1画像処理装置X)から、電子メール送信を実行可能か否かの問合せが受信されたか否かを監視する(S21)。この問合せは、第1画像処理装置Xが前述したステップS4で送信する問合せである。
そして、NIC5のMPU63は、前記問合せを受信したと判別すると、自装置のメイン制御部9が正常に起動している状態であるか否かを判別する(S22)。ここで、NIC5のMPU63は、前述した第1画像処理装置XのステップS3の処理と同様に、通電切替回路10からバス11を通じて、第1サブ電源221が"通電有り状態"であることを表す前記通電中信号(第1サブ電源221の電圧検出素子の出力に対応する信号)を出力していることを検知でき、かつ、メイン制御部9からバス11を通じてメイン制御部9が正常に起動していることを表す正常起動信号を受信できる場合に、メイン制御部9が正常起動中であると判別する。このように、メイン制御部9が正常起動中であれば、当該第2画像処理装置Xは、電子メール送信可能な状態である。
そして、NIC5のMPU63は、メイン制御部9が正常起動中であると判別すると、所定のOK通知を前記問合せの送信元である第1画像処理装置Xに対して送信(応答)し(S23)、そうでなければ何ら応答を行わない。なお、そのOK通知には、当該第2画像処理装置Xの通信アドレスが含められる。
【0033】
[ステップS24、S25]
また、第2画像処理装置Xにおいては、随時、メイン制御部9のMPU73が、他の画像処理装置X(ここでは、第1画像処理装置X)から、そのメイン制御部9に関する異常情報を所定の管理者のメールアドレス宛に電子メール送信することを要求する通知が、NIC5を通じて受信されたか否かを監視する(S24)。この要求(通知)は、第1画像処理装置Xが前述したステップS6で送信する要求(通知)である。
そして、メイン制御部9のMPU73は、他の画像処理装置X(第1画像処理装置X)からNIC5を通じて、異常情報の電子メール送信の要求を受信したと判別すると、その要求に含まれる異常情報を、NIC5を通じて所定の管理者のメールアドレス宛に電子メール送信し(第3異常情報送信手段の一例)、そうでなければそのまま待機する。
このように、第2画像処理装置Xは、電子メール送信機能を有さない第1画像処理装置XのNIC5の代わりに、異常情報の電子メール送信処理を代行する。
そして、当該第2画像処理装置Xは、電子メール送信可否の問合せ又は異常情報の電子メール送信要求がNIC5を通じて受信されるまで、ステップS21及びS24の判別処理を繰り返す。
【0034】
以上に示したように、画像処理装置Xは、メイン制御部9が、その制御対象である複数の被制御ブロック6〜8について異常検出の状態を監視(S9)し、NIC5を通じて異常情報を外部送信する(S10)。このため、NIC5が、その制御対象ではない被制御ブロック6〜8の状態を監視する場合に比べ、装置構成(特に、ソフトウェアの構成)がシンプルとなる。
一方、NIC5は、メイン制御部9のみについて、異常検出の状態監視(S3)と、異常情報の外部送信(S6)とを行えばよいので、NIC5に過大な処理負荷がかからない。
また、NIC5に通電がなされた状態で、メイン制御部9及び被制御ブロック6〜8に対する通電有無を切り替え可能であるため、メイン制御部9及び被制御ブロック6〜8に対する通電を遮断したスリープモード(省電力状態)とすることができる。その結果、スリープモード時の電力消費量を一層抑えることができる。
また、そのようなスリープモードからメイン制御部9を起動(S2)させる場合に、起動異常が発生したときには、NIC5によりその異常情報が外部送信される(S6)ので、早期の異常検知及び異常情報の外部出力に影響を与えない。
また、NIC5は、メイン制御部9の異常情報を電子メール送信することを第2画像処理装置Xに要求する(S6)ことにより、メイン制御部9が備える電子メールの送信機能を、NIC5に重複して設けることなく、メイン制御部9の異常情報についても電子メール送信することができる。このため、電子メール送信のあて先となる管理者が、画像処理装置Xの異常発生を早期に把握して迅速に対応することが可能となり、非常に利便性が高い。
【0035】
以上に示した実施形態では、画像処理装置XのNIC5が、メイン制御部9の異常情報の電子メール送信を要求するあて先(通信アドレス)を、外部装置に対する問合せにより取得する(S4、S5)例を示した。
その他、画像処理装置Xは、例えば、NIC5のフラッシュメモリ66に、電子メール送信を要求するあて先(他の画像処理装置Xの通信アドレス)の候補を予め記憶させておき、NIC5のMPU63が、そのあて先に対してステップS6の処理を実行する構成等も考えられる。
また、電子メール送信を要求するあて先を、電子メール送信機能を有する予め定められたサーバ装置(NIC5を通じて通信可能な外部装置)とすることも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、通信手段を備えた画像処理装置への利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置X及びそれを構成要素とする画像処理システムZの概略構成を表すブロック図。
【図2】画像処理装置Xが備えるNICの概略構成を表すブロック図。
【図3】画像処理装置Xが備えるメイン制御部の概略構成を表すブロック図。
【図4】画像処理装置Xにおける電源の接続関係を表す電源系統図。
【図5】画像処理装置Xによる異常通知処理の手順を表すフローチャート。
【図6】画像処理装置Xにおけるウィークリータイマ制御の週間スケジュールを模式的に表した図。
【符号の説明】
【0038】
X…画像処理装置
1…操作検知スイッチ
2…操作・表示部
3…ハードディスクドライブ
4…画像処理演算部
5…ネットワークインターフェースカード
6…スキャナ部
7…プリント部
8…ファクシミリ部
9…メイン制御部
10…通電切替回路
11…バス
21…メイン電源
22(221〜225)…サブ電源
30…ネットワーク
31…電子メールサーバ
40…手動切替スイッチ
41〜45…自動切替スイッチ
61、71…バスコネクタ
62、72…バス制御部
63、73…MPU(マイクロプロセッサユニット)
63a…クロック発振器
64、74…メモリ制御部
65、75…ROM
66、76…フラッシュメモリ
67…ネットワーク制御部
68…ネットワークコネクタ
77…I/Oポート
78…カレンダー管理部
S1、S2、〜…処理手順の識別記号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置との間で通信処理を行う通信手段と、画像処理に関する処理を実行する被制御機器を制御する制御手段とを具備する画像処理装置であって、
前記通信手段が通電有りに維持された状態で前記制御手段及び前記被制御機器に対する通電有無を切り替える通電切替手段と、
前記被制御機器の起動に関する異常を検出する第1異常検出手段と、
前記制御手段の起動に関する異常を検出する第2異常検出手段と、
前記通信手段が兼ね備え、前記第1異常検出手段により異常が検出された場合に、当該通信手段による通信により異常情報の外部送信を行う第1異常情報送信手段と、
前記制御手段が兼ね備え、前記第2異常検出手段により異常が検出された場合に、前記通信手段を通じた通信により異常情報の外部送信を行う第2異常情報送信手段と、
を具備してなることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第1異常情報送信手段が、異常情報を他の画像処理装置に対して送信することにより、該異常情報を所定のあて先に電子メール送信することを要求するものである請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記通信手段が兼ね備え、外部装置に所定の問合せを行うことにより、電子メール送信処理を実行可能な他の画像処理装置の通信アドレスを取得する通信アドレス取得手段を具備し、
前記第1異常通知手段が、前記通信アドレス取得手段により取得された通信アドレスをあて先として、異常情報の電子メール送信を要求してなる請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第2異常通知手段が、電子メール送信により異常情報の外部送信を行うものである請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
外部装置との間で通信処理を行う通信手段と、画像処理に関する処理を実行する被制御機器を制御する制御手段とを具備する画像処理装置であって、
前記制御手段が、他の画像処理装置から前記通信手段を通じて所定の異常情報を電子メール送信することの要求を受信した場合に、その異常情報を所定のあて先に前記通信手段を通じて電子メール送信する第3異常情報送信手段を兼ね備えてなることを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−336290(P2007−336290A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−166324(P2006−166324)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】