説明

画像処理装置

【課題】原稿データの特定領域に記録されている情報コードを数少ない検索回数で検出することができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】QRモードが有効である場合、CPU1は、読取部により原稿の画像データを読み取り、蓄積した後、ビットマップデータの中から過去の検出頻度が一番高い場所の特定範囲のデータを抽出し、QRコードの検索を実行する(ステップ103〜105)。QRコードが検出された場合、QRコードの検出場所の検出頻度に1を加算した後、QRコード部分の抽出及びデコード処理を実行し、QRコードの復元情報に基づいて必要な処理を実行する(ステップ106〜109)。一方、QRコードを検出できなかった場合、ビットマップデータの中から次に検出頻度が高い場所の特定範囲のデータを抽出し、同様に、QRコードの検索を実行する(ステップ112〜116)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、特に情報コード、例えば、QRコードの検索/解析機能を備えた画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、QR(クイック・レスポンス)コード等の二次元バーコードがチラシなどの印刷物に記載され、携帯電話などで読み取ることによりその中に含まれているURLなどの情報にアクセスできるようになってきており、複写機能、ファクシミリ機能、プリント機能、スキャナ機能等を有するデジタル複合機においても、原稿スキャンや印字時にQRコードを検索してデコード処理を行い、その結果を基に種々の機能を実行したり、新たな情報に変換して再度エンコードすることが考えられている。
【0003】
例えば、商品の広告チラシにその商品を注文する注文書を送信するための送信先のアドレスを表した二次元コード情報が含まれている場合、広告チラシの画像データをスキャンして検索された二次元コード情報をデコードすることにより文字情報に変換し、この文字情報に含まれている送信先アドレスに注文書のデータを送信することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−115021号公報
【0004】
また、ファクシミリ送信時に入力された送信先、ポーリング、同報、原稿枚数等の情報を原稿のヘッダー部に二次元バーコードとして記録し、同一原稿をスキャナで読み取ることにより、簡単にヘッダー部に記録されたデータを基にしてファクシミリの再送信、ファクシミリ装置への宛先の登録を行うことができるようにすることも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献2】特開2004−343564号公報
【0005】
さらに、スキャナから読み取った画像データをハードディスク等のメモリに一旦記憶し、そのメモリから任意の原稿の画像データを繰り返し読み出して印刷する機能を備えたデジタル複合機において、オリジナル原稿の画像データをメモリから読み出して印刷する際に、画像データにメモリ内の格納先及びデータ属性を示した情報コードを埋め込んで複製原稿を作成し、この複製原稿をスキャナで読取る際に、画像データの情報コードからメモリ内のオリジナル原稿の格納先を認識し、オリジナル原稿をメモリから読み出して印刷することも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献3】特開2004−336288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、従来、ファクシミリ送信時や原稿コピー時等に情報コードを検索/解析してデコード処理し、必要な処理を実行することが提案されているが、デジタル複合機でスキャンした画像に含まれている情報コードを解析するには、情報コードが配置されている位置の検出が必要であり、スキャン原稿の場合、画素数が多く、検出に時間がかかるという問題が生じる。
【0007】
一方、情報コードは、通常、用紙の中央付近に存在する可能性が低く、原稿の隅に記録されていることが多いため、原稿の一つの隅の特定範囲を検索し、情報コードが見つからない場合、他の3隅の特定範囲を順に検索することにより情報コードの位置を検出することができ、情報コードの検出時間を短縮することができる。
また、デジタル複合機で種々の情報をコード化して原稿に記録する場合に、特定の位置、例えば、原稿の右上隅の位置に記録するようにした場合には、情報コードの配置位置、すなわち、原稿の右上隅を優先的に検索し、情報コードが見つからない場合、原稿の左下隅の特定範囲を検索することにより情報コードの位置を検出することができる。
【0008】
しかしながら、原稿の4隅の特定範囲を順に検索する場合、ユーザが原稿を原稿読取部にセットする際、縦、横の向きに対して迷うことや間違える可能性が高く、原稿の特定の隅を優先的に検索しても、結果的に複数の隅の特定範囲を検索することが必要となり、手間がかかるという問題が生じる。
【0009】
また、デジタル複合機で情報コードを原稿に記録する場合、図6に示すように、仮に「1」の位置に情報コードを記録するようにしていても、ユーザが原稿の上下方向を間違えて原稿をセットすると、情報コードは「2」の位置に存在することになるので、一度の情報コード検索で情報コードを検出できない場合が多くなる。また、原稿スキャン時にユーザが縦横関係を間違えると、図6の「1」の場所は、図7の「c」または「d」の位置にくることになり、同様に一度の情報コード検索で情報コードを検出できない場合が生じる。
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、原稿データの特定領域に記録されている情報コードを数少ない検索回数で検出することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、請求項1に係る発明の画像処理装置は、画像データ中に存在する情報コードを検索し、解析する情報コード検索手段と、上記情報コード検索手段を制御する制御手段とを備えた画像処理装置であって、上記制御手段が、上記情報コード検索手段に画像データの複数の特定領域について優先順位毎に情報コードの検索を実行させるとともに、情報コードが検出された領域を履歴情報として記憶し、上記履歴情報に基づいて複数の特定領域の優先順位を決定することを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に係る発明の画像処理装置は、請求項1に記載された画像処理装置において、複数頁の画像データについて情報コードの検索を実行する場合、上記制御手段が直前の頁で情報コードが検索された場所を第一優先順位とすることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に係る発明の画像処理装置は、画像データ中に存在する情報コードを検索し、解析する情報コード検索手段と、上記情報コード検索手段を制御する制御手段とを備えた画像処理装置であって、上記制御手段が、上記情報コード検索手段に画像データの特定領域について情報コードの検索を実行させるとともに、情報コードが検出されなかった場合、原稿を所定の方向にセットするよう報知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
原稿読取部への原稿のセット方向はユーザの癖によってほぼ決まっていると思われ、請求項1に係る発明の画像処理装置によれば、情報コードが検出された領域の履歴情報、例えば、各領域で情報コードが検出された回数に基づいて複数の特定領域の優先順位が決定されるので、原稿に記録されている情報コードを検索する際、最初に情報コードが記載されている位置の特定領域を検索する確率が高くなるので、検索回数を少なくすることができる。
【0015】
また、請求項2に係る発明の画像処理装置によれば、複数頁の画像データについて情報コードの検索を実行する場合、直前の頁で情報コードが検索された場所が第一優先順位とされるので、複数枚に亘る原稿の場合、同じ位置に情報コードが記録されている可能性が大きく、1回の情報コード検索で情報コードの位置を検出することができる。
【0016】
また、請求項3に係る発明の画像処理装置によれば、画像データの特定領域について情報コードの検索を実行しても、情報コードが検出されなかった場合、原稿を所定の方向にセットするよう報知されるので、ユーザが情報コードの存在する箇所を上記の特定領域にくるように原稿をセットし直すことができ、確実に情報コードの位置を検出することができる。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明の画像処理装置をデジタル複合機に適用した実施例について説明する。図1はデジタル複合機のハードウェア構成を示すブロック図であり、このデジタル複合機は、CPU1、ROM(Read Only Memory)2、SRAM(Static Random Access Memory)3、表示・操作部4、読取部5、画像メモリ6、記録部7、コーデック8、モデム9、ネットワーク制御ユニット(NCU)10、文書保存部11、QRコード処理部12及びネットワークインターフェース(Network I/F)13から構成され、各部がバス14を介して接続されている。
【0018】
CPU1はバス14を介してデジタル複合機のハードウェア各部を制御するとともに、ROM2に記憶されたプログラムに基づいて各種のプログラムを実行する。ROM2はデジタル複合機の動作に必要な種々のプログラムや操作メッセージ等を予め記憶しており、SRAM3は、QRコードの位置情報、QRコードの復元情報等のプログラムの実行時に発生する一時的なデータを記憶するとともに、原稿の4つの各隅でのQRコード検出回数を記録する検出頻度記憶領域を備えている。
【0019】
表示・操作部4は、デジタル複合機の動作状態を表示したり、種々の機能の操作画面の表示を行う表示部と、デジタル複合機を操作するための複数のキーよりなり、図2に示すように、表示部を構成するLCD表示部21と多数の操作キーから構成されている。LCD表示部21には、タッチパネルスイッチが配設され、LCD表示部21に表示された項目部分を押下することで、対応する項目の選択や機能の実行を行うことができる。
【0020】
また、操作キーとして、テンキー22、スタートキー23、リセットキー24、ストップキー25、複数のワンタッチダイヤルキー26、十字キー27、リターンキー28、セットキー29、FAX切替キー30、コピー切替キー31、スキャナ切替キー32等の各種キーが設けられている。なお、LCD表示部21によりこれらの操作キーの一部又は全部を代用することも可能である。
【0021】
読取部5はオートドキュメントフィーダー(ADF)やフラットベッドスキャナ(FBS)等の読取り用原稿載置台を備え、CCD等を利用したスキャナで原稿を読み取り、ドットイメージデータを出力する。
また、画像メモリ6は、DRAM等を用いて構成され、送信すべき画像データまたは受信した画像データあるいは読取部5で読み取った画像データを記憶し、記録部7は電子写真方式等のプリンタ装置を備え、受信したデータ、コピー原稿データあるいは外部のパソコン等から送信されたプリントデータをプリントアウトする。
【0022】
コーデック8は所定のプロトコルに対応して符号化・復号するものであり、読み取った原稿の画像データを送信するためにMH、MRまたはMMR方式により符号化し、外部から受信した画像データを復号するとともに、電子メールに添付可能なファイルとして一般的に利用される画像フォーマットであるTIFF方式等にも対応して符号化、復号する。
【0023】
モデム9はバス14に接続されており、ファクシミリ通信が可能なファクスモデムとしての機能を有し、このモデム9は同様にバス14に接続されたNCU10と接続されている。NCU10はアナログ回線の閉結及び開放の動作を行うハードウェアであり、必要に応じてモデム9を公衆交換電話網(PSTN)に接続する。
【0024】
文書保存部11はハードディスク等のメモリで構成され、読取部5でスキャンされた画像データあるいは外部のパソコン等から受け取った画像データを保存する記憶部である。この文書保存部11には、文書名を識別できるファイル名が付与された各ファイルに画像データが保存されるとともに、この文書保存部11の管理ファイルに各文書のファイル名と、作成日時、作成者のID等の情報が記憶される。
【0025】
一方、QRコード処理部12は、入力された画像データの中からQRコードの添付位置を検索してQRコード位置を検出するとともに、当該検出位置から抽出されたQRコードをデコードすることによりQRコードに格納されている情報を取得する。なお、このQRコード処理部12は入力された情報をエンコードすることによりQRコードを生成することもできる。
【0026】
また、ネットワークインターフェース13はLAN等のネットワークに接続され、ネットワークに接続されたパソコンからのプリントデータ等の信号を受信する一方、ネットワークに対して信号やデータを送信するものであり、信号変換やプロトコル変換などのインターフェース処理を実行する。
【0027】
デジタル複合機は上記のような構成を備えており、ファクシミリ送信時には、原稿の画像データが読取部5で読み取られ、コーデック8で圧縮されて画像メモリ6に蓄積される。この圧縮された画像データが画像メモリ6から読み出されてモデム9で変調され、NCU10からPSTNを通して通信相手先に送信される。また、ファクシミリ受信時には、受信した画像データがモデム9で復調され、画像メモリ6に蓄積された後、コーデック8で復号されて記録部7によりプリントされる。
【0028】
さらに、ユーザがコピーを行う場合には、読取部5のADFまたはFBSに原稿をセットし、コピー設定画面で記録用紙サイズの選択、コピー部数の設定等を行った後、表示・操作部4のスタートキー23を押下することにより、原稿の画像データが読取部5で読み取られ、コーデック8で圧縮されて画像メモリ6に蓄積された後、コーデック8で復号されて記録部7によりプリントされる。
【0029】
また、文書保存部11への文書データの保存時には、ユーザが読取部5のADFまたはFBSに原稿をセットし、文書保存設定画面で文書名、ユーザID等を入力した後、表示・操作部4のスタートキー23を押下することにより、原稿の画像データが読取部5で読み取られ、コーデック8で圧縮されて文書保存部11に保存される。なお、この場合、メモリ内の格納先及びデータ属性、例えば、文書保存日時、ユーザID、公開範囲、データ転送禁止等の情報をQRコード処理部12によりQRコード化し、このQRコードを画像データに埋め込んだ保存データを文書保存部11に記憶することも可能である。
【0030】
一方、上記のファクシミリ送信、コピーあるいは文書データの保存時にユーザがそれぞれの設定画面でQRモードを指定すると、スキャンされた原稿にQRコードが含まれている場合、QRコードに含まれている情報に基づいて各種機能を実行することができる。
なお、コピーやファクシミリ送信、文書データの保存時等、個々の作業時に設定画面でQRモードを設定できるようにする代わりに、デジタル複合機の初期設定として各種の機能実行時にすべてQRモードとして実行するように設定することも可能である。
【0031】
以下、文書データの保存時にQRモードを実行する場合の作用について、図3のフローチャートにより説明する。
読取部5のADFまたはFBSに原稿がセットされた後、スタートキー23が押下されると、CPU1は、図3のフローチャートに示すQRモード判別プログラムを開始し、ユーザがQRモードを選択したか否か、あるいは機器設定がQRモードに設定されているか否かを判断することにより、QRモードが有効か否かを判定し(ステップ101)、QRモードが有効でないと判定した場合、通常の処理、すなわち、上記のように、原稿の画像データを読取部5で読み取り、コーデック8で圧縮して文書保存部11に保存した(ステップ102)後、プログラムを終了する。
【0032】
一方、ステップ101でQRモードが有効であると判定した場合、CPU1は、読取部5により原稿のスキャンを実行し、得られた画像データをコーデック8で圧縮して画像メモリ6に蓄積する(ステップ103)。
【0033】
次に、CPU1は、最初の頁の圧縮された画像データを画像メモリ6から読み出し、コーデック8で復号することによりビットマップデータとし、このデータの中から優先度の一番高い場所の特定範囲のデータを抽出する(ステップ104)。
なお、優先度は、SRAM3の検出頻度記憶領域に記憶されている4つの各隅でのQRコード検出回数の多い順に優先度を高くし、QRコード検出回数が同じ場合には、図6に示すように、右上隅(1)、左下隅(2)、右下隅(3)、左上隅(4)の順に優先度を高く設定する。
【0034】
次に、CPU1は抽出したデータをQRコード処理部12に入力してQRコードの検索実行を指示する(ステップ105)。
これにより、QRコード処理部12が入力された特定範囲のデータ内にQRコードが含まれているか否かを検索し、QRコードが見つかった場合には、QRコード検出信号を出力し、QRコードが見つからなかった場合には、QRコード非検出信号を出力する。
【0035】
QRコード処理部12にQRコードの検索を指示した後、CPU1は、QRコード処理部12から出力されるQRコード検出信号またはQRコード非検出信号に基づいて、QRコードが検出されたか否かを判定し(ステップ106)、QRコードが検出されたと判定した場合、SRAM3の検出頻度記憶領域の対応する隅の検出頻度に1を加算する(ステップ107)。
【0036】
次に、CPU1は、QRコード処理部12に検出されたQRコード位置にあるQRコード部分の抽出及びQRコードのデコード処理を実行させた(ステップ108)後、QRコード処理部12から出力されたQRコードの復元情報に基づいて必要な処理を実行する(ステップ109)。
すなわち、圧縮された画像データを画像メモリ6から読み出して文書保存部11に保存するとともに、QRコードの復元情報に含まれている文書のファイル名や作成日時、作成者のID等の情報を文書保存部11の管理ファイルに記憶する。
【0037】
QRコードの復元情報に基づいた処理を実行した後、CPU1は、読み取った画像データに次頁があるか否かを判定し(ステップ110)、次ページがないと判定した場合には、プログラムを終了する。
また、ステップ110で次頁があると判定した場合、CPU1は、前頁でQRコードが検出された場所の優先度を第一優先順位にした(ステップ111)後、ステップ104に戻り、次頁の圧縮された画像データを画像メモリ6から読み出し、コーデック8で復号することによりビットマップデータとし、このデータの中から優先度の一番高い場所、すなわち、前回QRコードを検出した場所の特定範囲のデータを抽出し、QRコードの検索を実行する。
【0038】
一方、ステップ106でQRコードを検出できなかったと判定した場合、CPU1は、ビットマップデータの中から優先度を一つ下げた場所の特定範囲のデータを抽出した(ステップ112)後、上記と同様に、抽出したデータをQRコード処理部12に入力してQRコードの検索実行を指示する(ステップ113)。
【0039】
そして、QRコード処理部12にQRコードの検索を指示した後、CPU1は、QRコードが検出されたか否かを判定し(ステップ114)、QRコードが検出されたと判定した場合、ステップ107に移ってQRコードのデコード処理等を実行する。
また、ステップ114でQRコードを検出できなかったと判定した場合、CPU1は、ビットマップデータの4隅の各特定領域についてQRコードの検索を完了したか否かを判定する(ステップ115)。
【0040】
ステップ115でビットマップデータの4隅の各特定領域についてQRコードの検索を完了していないと判定した場合、CPU1は、ステップ112に戻って、優先度をさらに一つ下げた場所の特定範囲のデータを抽出し、QRコードの検索を実行する。
【0041】
また、ステップ115でビットマップデータの4隅の各特定領域についてQRコードの検索を完了したと判定した場合、CPU1は、エラー処理、例えば、LCD表示部21に「QRコードが見つかりませんでした」との表示を行った(ステップ116)後、プログラムを終了する。
なお、エラー時に、「QRコードの作成を行いますか?」との表示を行い、ユーザがQRコードを作成するとした場合、ユーザが入力した情報をQRコード処理部12に入力してQRコードを生成させ、生成されたQRコードの画像とビットマップデータとを合成した後、文書保存部11に保存するようにすることも可能である。
【0042】
以上のように、原稿読取部への原稿のセット方向はユーザの癖によってほぼ決まっているので、原稿に記録されているQRコードを検索する際、QRコードが検出された領域の履歴情報、すなわち、各隅毎のQRコードが検出された回数に基づいて各隅の優先順位を決定することにより、最初にQRコードが記載されている位置の特定領域を検索する確率が高くなり、検索回数を少なくすることができる。
【0043】
また、複数枚に亘る原稿の場合、同じ位置に情報コードが記録されている可能性が大きいので、複数頁の画像データについてQRコードの検索を実行する場合、直前の頁でQRコードが検索された場所を第一優先順位とすることにより、1回の情報コード検索で情報コードの位置を検出できる確率を高くすることができる。
【0044】
なお、上記の実施例では、文書データの保存時にQRコードを検索する場合について説明したが、ファクシミリ送信時、あるいはコピー時のQRコード検索時にも同様に実施することができる。
QRコードの復元情報に基づく処理としては、コピーの場合、QRコードの復元情報からコピー原稿のコピー回数を読み出し、このコピー回数に1を加えた回数を新たなコピー回数とし、ユーザID等の他の情報とともにQRコード処理部12に送ってQRコードを新たに生成させ、生成された新たなQRコードの画像と、ビットマップデータとを合成した後、記録部7によってプリントする。
【0045】
また、ファクシミリ送信の場合は、圧縮された画像データを画像メモリ6から読み出してモデム9で変調し、NCU10からPSTNを通してQRコードの復元情報に含まれている通信相手先に送信するような処理を実行する。
【0046】
また、上記の実施例では、画像データの4隅の特定領域についてQRコードを検索する例について説明したが、4隅に限らず、上下の辺の領域、あるいは、左右の辺の領域についてもQRコードを検索するようにすることも可能である。
【実施例2】
【0047】
上記の実施例では、QRコードが検出された領域の履歴情報に基づいて各隅の優先順位を決定したが、一つの隅の特定領域についてQRコードを検索し、QRコードが見つからなかった場合、ユーザに原稿を所定方向にセットさせるようにすることもできる。
【0048】
以下、コピーのQRモード時にコードが見つからなかった場合、ユーザに原稿を再セットさせる場合の作用について、図4のフローチャートにより説明する。
なお、デジタル複合機の構成は図1、図2と同様であるので、説明は省略する。
【0049】
コピー時に、読取部5のFBSに原稿がセットされた後、スタートキー23が押下されると、CPU1は、図4のフローチャートに示すQRモード判別プログラムを開始し、QRモードが有効か否かを判定し(ステップ201)、QRモードが有効でないと判定した場合、通常の処理、すなわち、原稿の画像データを読取部5で読み取ってコーデック8で圧縮して画像メモリ6に蓄積し、コーデック8で復号して記録部7によってプリントした(ステップ202)後、プログラムを終了する。
【0050】
一方、ステップ201でQRモードが有効であると判定した場合、CPU1は、読取部5により原稿のスキャンを実行し、得られた画像データをコーデック8で圧縮して画像メモリ6に蓄積した(ステップ203)後、圧縮された画像データを画像メモリ6から読み出し、コーデック8で復号することによりビットマップデータとし、このデータの中から所定位置、例えば、画像データの左上隅の特定範囲のデータを抽出する(ステップ204)。
【0051】
次に、CPU1は抽出したデータをQRコード処理部12に入力してQRコードの検索実行を指示した(ステップ205)後、QRコード処理部12から出力されるQRコード検出信号またはQRコード非検出信号に基づいて、QRコードが検出されたか否かを判定する(ステップ206)。
【0052】
QRコードが検出されたと判定した場合、CPU1は、QRコード処理部12に検出されたQRコード位置にあるQRコード部分の抽出及びQRコードのデコード処理を実行させた(ステップ207)後、QRコード処理部12から出力されたQRコードの復元情報に基づいて必要な処理を実行する(ステップ208)。
すなわち、CPU1は、QRコードの復元情報からコピー原稿のコピー回数を読み出し、このコピー回数に1を加えた回数を新たなコピー回数とし、ユーザID等の他の情報とともにQRコード処理部12に送ってQRコードを新たに生成させ、生成された新たなQRコードの画像と、ビットマップデータとを合成した後、記録部7によってプリントする。
【0053】
一方、ステップ206でQRコードを検出できなかったと判定した場合、CPU1は、原稿を所定の向きに再セットするよう指示する原稿再セット要請画面を表示・操作部4のLCD表示部21に表示する(ステップ209)。
図5は原稿再セット要請画面の一例であり、図に示すように、原稿台の左奥にQRコードの画像が来るように、原稿をセットするよう要請する画面が表示されるので、ユーザはそのように原稿をセットした後、「OK」ボタンを押下することにより再度QRコードの検索を実行させることができる。
【0054】
原稿再セット要請画面を表示した後、CPU1は、図5の原稿再セット要請画面の「OK」ボタンが押下されたか否かを判定し(ステップ210)、「OK」ボタンが押下されていないと判定した場合、図5の原稿再セット要請画面の「キャンセル」ボタンが押下されたか否かを判定する(ステップ211)。
【0055】
ステップ211で「キャンセル」ボタンが押下されていないと判定した場合、CPU1は、ステップ210に戻って、「OK」ボタンが押下されたか否かを判定し、「キャンセル」ボタンが押下されたと判定した場合、QRモードの中止と判断し、プログラムを終了する。
【0056】
そして、ステップ210で「OK」ボタンが押下されたと判定した場合、CPU1は、上記と同様に、ビットマップデータの左上隅の特定範囲のデータを抽出した(ステップ212)後、抽出したデータをQRコード処理部12に入力してQRコードの検索実行を指示する(ステップ213)。
次に、CPU1は、QRコードが検出されたか否かを判定し(ステップ214)、QRコードが検出されたと判定した場合、ステップ207に移り、QRコードの抽出、デコード処理等を実行する。
また、ステップ214でQRコードを検出できなかったと判定した場合、CPU1は、エラー処理、例えば、LCD表示部21に「QRコードが見つかりませんでした」との表示を行った(ステップ215)後、プログラムを終了する。
【0057】
以上のように、ビットマップデータの特定領域、例えば、左上隅の特定領域についてQRコードの検索を実行しても情報コードが検出されなかった場合、原稿を所定の方向にセットするようLCD表示部に表示されるので、ユーザがQRコードの存在する箇所が上記の特定領域にくるように原稿をセットし直すことにより、確実に情報コードの位置を検出することができる。
【0058】
なお、この実施例では、コピー時にQRコードを検索する場合について説明したが、ファクシミリ送信時、あるいは文書データ保存時のQRコード検索時にも同様に実施することができる。
また、この実施例では、原稿の再セット要請をLCD表示部への表示で行ったが、例えば、「原稿台の左奥にQR画像がくるように再セットしてください」等と音声により報知することも可能である。
【0059】
さらに、以上の実施例では、QRコードの解析情報に基づく処理として、QRコードの復元情報に含まれているデータの文書保存部11の管理ファイルへの記憶、QRコードの復元情報に含まれている通信相手先へのファクシミリ送信、QRコードの復元情報に含まれるコピー回数を書き換えた新たなQRコードの生成を例として説明したが、その他のQRコードの復元情報に基づく処理や、ファクシミリ受信時に受信した画像データあるいは外部のパソコンから受信した画像データに含まれるQRコードの検索/解析にも本発明を実施することができる。
【0060】
また、上記の実施例では、情報コードとしてQRコードを例として説明したが、その他の情報コードであっても本発明の画像処理装置を適用することが可能であり、さらに、上記の実施例では、本発明の画像処理装置をデジタル複合機に適用した例について説明したが、本発明の画像処理装置はコピー機等の他の画像処理装置にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】デジタル複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】表示・操作部の詳細な構成を示す図である。
【図3】QRモードを実行する場合の作用を示すフローチャートである。
【図4】QRモードを実行する場合の他の実施例の作用を示すフローチャートである。
【図5】原稿再セット要請画面の一例である。
【図6】原稿へのQRコードの配置位置を説明するための図である。
【図7】原稿へのQRコードの配置位置を説明するための図である。
【符号の説明】
【0062】
1 CPU
2 ROM
3 SRAM
4 表示・操作部
5 読取部
6 画像メモリ
7 記録部
8 コーデック
9 モデム
10 NCU
11 文書保存部
12 QRコード処理部
13 Network I/F
14 バス
21 LCD表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データ中に存在する情報コードを検索し、解析する情報コード検索手段と、上記情報コード検索手段を制御する制御手段とを備えた画像処理装置であって、
上記制御手段が、上記情報コード検索手段に画像データの複数の特定領域について優先順位毎に情報コードの検索を実行させるとともに、情報コードが検出された領域を履歴情報として記憶し、上記履歴情報に基づいて複数の特定領域の優先順位を決定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像処理装置において、
複数頁の画像データについて情報コードの検索を実行する場合、上記制御手段が直前の頁で情報コードが検索された場所を第一優先順位とすることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
画像データ中に存在する情報コードを検索し、解析する情報コード検索手段と、上記情報コード検索手段を制御する制御手段とを備えた画像処理装置であって、
上記制御手段が、上記情報コード検索手段に画像データの特定領域について情報コードの検索を実行させるとともに、情報コードが検出されなかった場合、原稿を所定の方向にセットするよう報知することを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−263283(P2008−263283A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−102785(P2007−102785)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】