説明

画像処理装置

【課題】省電力モードにおける消費電力を極力低く抑えることができ、さらに、省電力モードからの復帰処理の制御プログラムを簡素化できるとともに、速やかな前記復帰処理を可能とする画像処理装置を提供すること。
【解決手段】サブCPU61は、省電力モードの下で復帰イベントを検出したときに、メインCPU21を起動し、ローカル制御部14,31,41の復帰条件情報を生成し、その復帰条件情報を初期化工程の不要なデータ伝送部112を用いてメインCPU21に出力する。メインCPU21は、前記復帰条件情報を取得し、その復帰条件情報に基づいてローカル制御部14,31,41を起動してジョブを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関し、特に、制御部に対する電力消費が制限された省電力モードから速やかに復帰できる画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、又はそれらの装置の機能を併せ持つ複合機等の画像処理装置は、省電力化について益々高い要求が課されている。また、昨今の画像処理装置は、機能に応じて区分された複数の制御部を備え、状況に応じてそれら複数の制御部の一部が休止状態となる省電力モードへ移行することにより、消費電力を抑制する。この場合、省電力モードにおいても電力が供給される制御部が、画像処理のジョブに対応した所定の復帰イベントを検出し、消費電力が制限されて休止状態となっている制御部を起動する。これにより、画像処理装置は、省電力モードから通常モードへ復帰する。また、画像処理装置においては、省電力モードから通常モードへ迅速に復帰することが望まれる。
【0003】
例えば、特許文献1には、制御部が、高速なRAM(Random Access Memory)に予め記憶されたデータを用いて、省電力モードから通常モードへの復帰処理を行う画像処理装置について示されている。この場合、前記RAMに記憶されるデータは、省電力モードからの復帰に必要なデータである。このデータは、省電力モードにおいて電力供給が停止される前記制御部が、通常モードでの動作中に、低速なROM(Read Only Memory)からコピーするデータである。
【0004】
また、特許文献2には、省電力モードにおいても電力が供給されるサブCPUが、省電力モードから通常動作モードへの復帰処理を行う画像処理装置について示されている。この場合、前記サブCPUは、省電力モードにおいて電力供給が停止されるメインCPUを起動する前に、プリントエンジンの起動及びモード設定を行う。
【0005】
また、昨今の画像処理装置は、機能に応じて区分された複数のローカル制御部と、それらローカル制御部を制御するメイン制御部とを備え、状況に応じてそれらローカル制御部及びメイン制御部各々に対する電力供給を個別に停止することにより、消費電力を抑制する。
【0006】
また、画像処理装置は、ネットワーク又は電話回線などの通信媒体を通じて外部装置と通信を行うため、ネットワークの制御部又は電話回線の制御部など、外部装置との通信用の制御部を備えることが多い。そのような通信用の制御部は、外部装置からのアクセスに備えて、省電力モードの下でも電力の供給及び消費は制限されない。また、前記通信用の制御部は、画像処理装置内において、通常、前記メイン制御部との間でバスにより接続される。このバスは、例えば、PCIバス(Peripheral Components Interconnect Bus)などのように、それに接続された複数の制御部によって行われる所定の初期化工程を経た上で通信可能となるバスが採用されることが多い。
【0007】
一方、画像処理装置が、前記復帰イベントの検出に応じて省電力モードから復帰する場合、起動すべき制御部及び起動の手順などの復帰条件は、前記復帰イベントの種類に応じて異なる。例えば、前記復帰イベントが、外部装置からプリント要求を受信したことを示すイベントである場合、プリンタ制御部及びこれを制御するメイン制御部の起動は必要であるが、スキャナ制御部の起動は不要である。また、前記復帰イベントが、原稿台又は自動原稿搬送装置に原稿がセットされたことを示すイベントである場合、前記スキャナ制御部、前記プリンタ制御部及びこれらを制御する前記メイン制御部の起動が必要である。即ち、前記復帰条件は、検知された前記復帰イベントに応じて定まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−112718号公報
【特許文献2】特開2009−132050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1又は特許文献2に示されるように、省電力モードにおいて電力が供給されるサブ制御部が、前記メイン制御部及び前記ローカル制御部の初期設定などを含む起動の手順を制御しつつ省電力モードからの復帰処理を行うことは、省電力モードにおける消費電力の増大につながるという問題点があった。この場合、比較的高い処理能力を有するプロセッサが、前記サブ制御部として採用されなければならず、そのようなプロセッサは消費電力が大きいからである。
【0010】
一方、前記サブ制御部が、前記メイン制御部及び前記ローカル制御部に対して起動開始指令の出力などの簡易な処理のみをおこない、処理能力の高い前記メイン制御部が、前記ローカル制御部の初期設定などを含む前記復帰処理を行うことも考えられる。この場合、前記サブ制御部と先記メイン制御部とが、前記ローカル制御部に対する各々の処理を適切なタイミングで行うための通信を行う必要がある。この通信を含む前記復帰処理の制御プログラムは、前記サブ制御部又は前記メイン制御部が単独で前記復帰処理を行う場合に比べて複雑になる。従って、前記メイン制御部及び前記ローカル制御部が共同で前記ローカル制御部の前記復帰処理を行うことは、前記復帰処理の制御プログラムの複雑化を招くという問題点があった。
【0011】
本発明は、省電力モードにおける消費電力を極力低く抑えることができ、さらに、省電力モードからの復帰処理の制御プログラムを簡素化できるとともに、速やかな前記復帰処理を可能とする画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像処理装置は、以下に示される各構成要素を備える。第1の構成要素は、画像処理のジョブに関する処理を実行し、所定の省電力モードの下において通常動作モードの下におけるよりも電力の消費が制限される1つ又は複数の第1制御部である。この第1制御部は、前記ローカル制御部に相当する。また、第2の構成要素は、前記第1制御部を制御し、前記省電力モードの下において前記通常動作モードの下におけるよりも電力の消費が制限される第2制御部である。この第2の制御部は、前記メイン制御部に相当する。また、第3の構成要素は、前記第2制御部よりも消費電力が小さく、前記省電力モードの下において前記通常動作モードの下におけるよりも電力の消費が制限されない第3制御部である。この第3制御部は、前記サブ制御部に相当する。また、第4の構成要素は、前記第2制御部と前記第3制御部との間に介在し、前記第2制御部及び前記第3制御部により行われる所定の初期化工程を経て、前記第2制御部と前記第3制御部との間のデータ伝送を中継する第1データ伝送部である。また、第5の構成要素は、前記第2制御部と前記第3制御部との間に介在し、前記初期化工程を経ることなく前記第3制御部から前記第2制御部へのデータ伝送を中継する第2データ伝送部である。そして、本発明に係る画像処理装置において、前記第3制御部は、前記省電力モードの下で、前記ジョブに対応した所定の復帰イベントの検出処理を行い、前記復帰イベントが検出されたときに、前記第2制御部を起動して電力消費の制限が解除された状態へ移行させる処理と、前記第1制御部の起動の条件に関する復帰条件情報を生成する処理と、前記第2データ伝送部を用いて前記復帰条件情報を出力する処理とを行う。また、前記第3制御部により起動された前記第2制御部は、前記第2データ伝送部を通じて前記復帰条件情報を取得する処理と、該復帰条件情報に基づいて前記第1制御部を起動して電力消費の制限が解除された状態へ移行させる処理と、起動した前記第1制御部を制御することによる前記ジョブの実行とを行う。なお、前記第1データ伝送部は、例えば、PCIバスなどである。
【0013】
また、本発明に係る画像処理装置において、前記第2データ伝送部は、前記第3制御部と前記第2制御部との両方からデータの記録及びデータの参照が可能であり、前記省電力モードの下において前記通常動作モードの下におけるよりも電力の消費が制限されないメモリであることが考えられる。
【0014】
また、本発明に係る画像処理装置が、前記メモリに加え、外部装置とのデータ通信を制御する通信制御部をさらに備え、その通信制御部が、前記第3制御部を兼ねることが考えられる。
【0015】
また、前記第2制御部は、前記ジョブの実行の結果に関する結果情報を前記メモリに記録することが考えられる。この場合、前記通信制御部は、前記省電力モードの下で、前記外部装置からの要求に応じて前記メモリに記録された前記結果情報を送信する。
【0016】
また、本発明に係る画像処理装置において、前記第2データ伝送部は、前記第3制御部から前記第2制御部へデータを伝送する信号伝送ラインであることが考えられる。
【0017】
また、本発明に係る画像処理装置が、前記信号伝送ラインに加え、外部装置とのデータ通信を制御する通信制御部をさらに備え、その通信制御部が、前記第3制御部を兼ねることが考えられる。
【0018】
また、本発明に係る画像処理装置が、前記第2制御部と前記第3制御部との間に介在し、前記初期化工程を経ることなく前記第2制御部から前記第3制御部へのデータ伝送を中継する第3データ伝送部をさらに備えることが考えられる。この場合、前記第3制御部は、前記ジョブの実行の結果に関する結果情報を前記第3データ伝送部を通じて前記結果情報を取得し、前記省電力モードの下で、前記外部装置からの要求に応じて前記結果情報を送信する。
【発明の効果】
【0019】
本発明において、省電力モードの下で電力供給が特に制限されない前記第3制御部は、省電力モードからの復帰処理において、前記復帰イベントの検出と、前記第2制御部の起動と、前記復帰条件情報の生成及び出力とのみを行う。即ち、前記第3制御部は、前記第1制御部の初期設定などを含む比較的煩雑な処理を行う必要がない。そのため、前記第3制御部は、比較的処理能力が低く、消費電力の小さなプロセッサを用いて実現可能である。そのため、本発明は、省電力モードにおける画像処理装置の消費電力を極力低く抑えることができる。
【0020】
また、本発明において、前記第3制御部により起動された前記第2制御部は、前記第3制御部から取得した前記復帰条件情報に基づく前記第1制御部の起動を単独で行う。即ち、前記復帰処理において、前記第3制御部と前記第2制御部とが、前記第1制御部に対する複数の処理を適切なタイミングで行うための通信を行う必要がない。従って、本発明によれば、省電力モードからの復帰処理の制御プログラムを簡素化できる。
【0021】
また、本発明において、前記第3制御部から前記第2制御部への前記復帰条件情報の引き渡しは、初期化工程の不要な前記第2データ伝送部を通じて行われる。これにより、ジョブの実行のために前記第1データ伝送部を用いる必要がない場合、前記第1データ伝送部の前記初期化工程を行うことなく省電力モードからの復帰処理及びジョブの実行が可能となる。従って、本発明によれば、前記復帰イベントが検知された後、省電力モードからの復帰処理及びジョブが速やかに実行される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像処理装置1のブロック図。
【図2】画像処理装置1が省電力モードから復帰し、再び省電力モードへ戻るまでの の手順を表すフローチャート。
【図3】本発明の第2実施形態に係る画像処理装置2のブロック図。
【図4】画像処理装置2が省電力モードから復帰し、再び省電力モードへ戻るまでの の手順を表すフローチャート。
【図5】本発明の第3実施形態に係る画像処理装置3のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0024】
<第1実施形態>
まず、図1に示されるブロック図を参照しつつ、本発明の第1施形態に係る画像処理装置1について説明する。画像処理装置1は、プリンタ、スキャナ、複写機及びファクシミリ装置として機能する複合機である。図1に示されるように、画像処理装置1は、MMI(Man Machine Interface)基板10、メイン基板20、スキャナユニット30、プリンタユニット40、NCU(Network Control Unit)基板50、LAN(Local Area Network)インターフェース基板60、第1電源70、第2電源80及び制御スイッチ71〜73を備えている。なお、前記制御スイッチ71〜73は、例えば、前記メイン基板20に実装される。或いは、前記制御スイッチ71〜73の各々が、前記MMI基板10、前記スキャナユニット30が備えるスキャナ制御部31及び前記スキャナユニット30が備えるプリンタ制御部41の各々に実装されることも考えられる。
【0025】
また、前記メイン基板20、前記NCU基板50及び前記LANインターフェース基板60は、第1のバス101に接続されている。これにより、前記メイン基板20が備えるメインCPU(Central Processing Unit)21、前記NCU基板50が備える不図示の制御部及び前記LANインターフェース基板60が備えるサブCPU61は、前記第1のバス101を通じて、相互にデータの通信が可能である。但し、前記第1のバス101は、それに接続される前記メインCPU21及び前記サブCPU61などにより行われる所定の初期化工程を経て、前記メインCPU21と前記サブCPU61との間のデータ伝送を中継することが可能になるデータバスである。前記第1のバス101の典型例は、汎用のPCIバスである。なお、前記第1のバス101は、前記第1データ伝送部の一例である。
【0026】
前記第1のバス101に接続される基板は、前記メイン基板20の他は、前記画像処理装置1の用途に応じて装着されたり装着されなかったりするオプション基板である。前記第1のバス101に接続される可能性のあるオプション基板は、前記NCU基板50及び前記LANインターフェース基板60の他、USB(Universal Serial Bus)インターフェース基板及びPDL(Page Description Language)制御基板などが考えられる。前記USBインターフェース基板は、前記メインCPU21によってアクセスされる外部記憶装置が着脱される基板である。また、前記PDL制御基板は、外部装置から前記LANインターフェース基板60を通じて受信されるPDLデータを画像データに変換する処理を行う基板である。
【0027】
また、前記MMI基板10、前記メイン基板20、前記スキャナユニット30が備えるスキャナ制御部31及び前記プリンタユニット40が備えるプリンタ制御部41は、第2のバス102に接続されている。これにより、前記MMI基板10が備えるMMI制御部14、前記メインCPU21、前記スキャナユニット30が備えるスキャナ制御部31及び前記プリンタユニット40が備えるプリンタ制御部41は、前記第2のバス102を通じて、相互にデータ通信が可能である。前記第2のバス102は、前記初期化工程を伴わずに、前記メインCPU21及び各制御部14,31,41相互間のデータ伝送を中継することが可能なデータバスである。前記第2のバス102は、内部バスなどと称される。
【0028】
前記MMI基板10は、キーマトリクス11、パネルディスプレイ12、発光ダイオード(LED)13、MMI制御部14及び節電キー18などが実装された電子基板である。前記キーマトリクス11は、人に操作される部品であり、複数の信号出力ライン各々に対し、複数の操作キーが電気的に接続された回路を備えている。前記MMI制御部14は、前記キーマトリクス11に対してキーマトリクススキャンを行う。キーマトリクススキャンは、前記キーマトリクス11における前記信号出力ライン各々に対して信号を周期的に出力しつつ、信号出力ラインごとの操作キーのON/OFF状態を検出する処理である。前記キーマトリクススキャンにより、前記MMI制御部14は、操作キーに対する操作の状況を検知する。
【0029】
また、前記MMI制御部14は、前記キーマトリクス11に対する操作に対応した表示情報の映像信号生成し、その映像信号を前記パネルディスプレイ12に出力する。前記表示情報は、例えば、キー操作により選択された機能の情報、キー操作により入力された文字の情報及びキー操作により要求されたガイダンス情報等である。これにより、前記パネルディスプレイ12は、画像及び文字列を含む情報を表示する。前記パネルディスプレイ12は、例えば、液晶パネル及びバックライトからなる液晶ディスプレイ、又は有機エレクトロルミネッセンスのディスプレイである。
【0030】
また、前記MMI基板10に実装された前記発光ダイオード13は、前記MMI基板10の動作の状態を、その点灯の状態によって通知する発光部品である。また、前記節電キー18は、人の操作によってONとOFFとが切り替わる操作スイッチである。この節電キー18の状態(ON又はOFF)は、前記メイン基板20に実装された前記メインCPU21及び前記LANインターフェース基板60に実装された前記サブCPU61の各々によって検知される。
【0031】
前記スキャナユニット30は、前記スキャナ制御部31、CCD(Charge Coupled Device)ラインセンサ32及びその他の各種のセンサを備えている。そのセンサは、例えば、原稿センサ33及び原稿カバーセンサ34などである。前記CCDラインセンサ32は、原稿に対して走査された光の反射光を受光することにより、その原稿の画像を1ライン分ずつ読み取るイメージセンサである。前記原稿センサ33は、自動原稿搬送装置(ADF)に原稿がセットされたことを検出するセンサである。また、前記原稿カバーセンサ34は、原稿台を開閉可能に設けられた原稿カバーが、原稿台を覆う閉状態であるか、原稿台を解放する開状態であるかを検出するセンサである。
【0032】
前記スキャナユニット30は、さらに、不図示の駆動機構を備えている。この駆動機構は、原稿に対して画像読み取り用の光を所定の副走査方向へ走査する機構である。前記スキャナ制御部31は、前記駆動機構を制御することにより、原稿における画像の読み取り位置を制御する。前記CCDラインセンサ32により得られる画像データは、前記メイン基板20へ伝送される。また、前記スキャナ制御部31は、前記原稿センサ33及び前記原稿カバーセンサ34の検出結果に基づいて、前記CCDラインセンサ32の走査の開始や停止を制御する。
【0033】
また、前記スキャナ制御部31は、前記原稿センサ33及び前記原稿カバーセンサ34の検出結果に基づいて、画像のスキャン処理の中断、エラーメッセージの通知などの制御も行う。なお、エラーメッセージの通知は、前記メイン基板20及び前記MMI基板10を介して行われる。また、前記原稿センサ33の検出信号及び前記原稿カバーセンサ34の検出信号は、前記LANインターフェース基板60における前記サブCPU61にも入力される。
【0034】
前記プリンタユニット40は、不図示の画像転写装置、プリンタ制御部41、及び各種のセンサを備えている。そのセンサは、例えば、搬送路カバーセンサ42,カセットセンサ43及びジャムセンサ44などである。前記画像転写装置は、カセットに収容されたシート材を搬送するローラ、そのシート材にトナー画像を転写する画像転写部、シート材にトナー画像を溶着させる定着装置等を備えている。前記プリンタ制御部41は、前記画像転写装置を制御するプリンタ制御回路が実装された電子基板である。
【0035】
前記搬送路カバーセンサ42は、シート材の搬送路のカバーの開閉状態を検出するセンサである。また、前記カセットセンサ43は、シート材が収容されるカセットが正常にセットされているか否かを検出するセンサである。また、前記ジャムセンサ44は、シート材の詰まりを検出するセンサである。そして、前記プリンタ制御部41は、前記搬送路カバーセンサ42、前記カセットセンサ43及び前記ジャムセンサ44の検出結果に基づいて、プリント処理の中断、エラーメッセージの通知等の制御も行う。なお、エラーメッセージの通知は、前記メイン基板20及び前記MMI基板10を介して行われる。また、前記カセットセンサ43の検出信号は、前記LANインターフェース基板60における前記サブCPU61にも入力される。
【0036】
前記メイン基板20は、前記メインCPU21、ROM22、SRAM(Static Random Access Memory)23、コーデック24及びモデム25などの部品が実装された電子基板である。前記メインCPU21は、前記ROM22に記録された制御プログラムを実行することにより、当該画像処理装置1の動作を制御する。前記SRAM23は、前記メインCPU21により更新及び参照されるデータを記憶する。
【0037】
前記コーデック24は、前記スキャナユニット30、前記モデム25及び前記LANインターフェース基板60の各々により得られる画像データを圧縮して前記SRAM25に記録する処理、及び圧縮された画像データを伸張する処理を行う。
【0038】
前記モデム25は、前記NCU基板50を通じて外部のファクシミリ装置へ送信するデータの送信信号を変調する処理及び前記NCU基板50により得られる受信信号を復調する処理を行う。
【0039】
前記NCU基板50は、電話回線121に接続され、外部のファクシミリ装置との間でやりとりされる発呼信号及びコマンドを送信及び受信することにより、発信及び着信の制御及びダイヤル制御を行う。前記メインCPU21は、外部のファクシミリ装置との間で、前記NCU基板50及び前記モデム25を通じて、画像データの送信及び受信を行う。
【0040】
前記LANインターフェース基板60は、LANなどのネットワーク122に接続され、外部の計算機との間で前記ネットワーク122を介したデータ通信を制御する電子基板である。その制御を行うサブCPU61が、前記LANインターフェース基板60に実装されている。前記LANインターフェース基板60は、一般にNIC(Network Interface Card)と称される。前記メインCPU21は、外部の計算機との間で、前記サブCPU61及び前記ネットワーク122を通じて、画像データの送信及び受信を行う。
【0041】
以上に示したように、前記画像処理装置1は、機能に応じて区分された複数の電子基板10、20、31、41、50、60を備えている。また、前記MMI制御部14、前記スキャナ制御部31及び前記プリンタ制御部41は、画像処理のジョブに関する具体的な処理を実行する。以下、これらをローカル制御部14,31,41と称する。また、前記メイン基板20は、前記ローカル制御部14,31,41を制御する。
【0042】
また、前記サブCPU61が前記メインCPU21の動作モードを制御し、前記メインCPU21が、状況に応じて前記ローカル制御部14,31,41各々に対する電力供給を個別に制御する省電力制御が行われる。前記省電力制御により、前記画像処理装置1の動作モードは、選択的に通常動作モードと省電力モードとに切り替わる。前記通常動作モードは、前記画像処理装置1が、定格電力以下の範囲で標準的な電力を消費する動作モードである。一方、前記省電力モードは、前記画像処理装置1の電力の消費量が、前記通常動作モードの下での電力の消費量よりも小さく制限される動作モードである。前記画像処理装置1は、前記通常動作モードの下では、予め定められた画像処理に関するジョブを制限なく実行可能である。しかしながら、前記画像処理装置1は、前記省電力モードの下では、予め定められた画像処理に関するジョブの一部又は全部について、その実行が制限される。
【0043】
前記省電力制御において、前記メインCPU21は、前記制御スイッチ71の制御によって前記MMI基板10に対する電力供給のON/OFFを切り替える。同様に、前記メインCPU21は、前記制御スイッチ72及び前記制御スイッチ73各々の制御により、前記スキャナ制御部31及び前記プリンタ制御部41各々に対する電力供給のON/OFFを切り替える。前記制御スイッチ71〜73がOFFにされることにより、前記MMI基板10、前記スキャナ制御部31及び前記プリンタ制御部41それぞれの電力の消費が制限される。
【0044】
また、前記省電力制御において、前記サブCPU61は、活動状態の前記メインCPU21に対して休止信号を出力することにより、前記メインCPU21を活動状態から休止状態へ移行させる。また、前記サブCPU61は、休止状態の前記メインCPU21に対して起動信号を出力することにより、前記メインCPU21を休止状態から活動状態へ移行させる。前記活動状態である前記メインCPU21は、前記休止信号が入力されると、自動的に前記活動状態から前記休止状態へ移行する。また、前記休止状態である前記メインCPU21は、前記起動信号が入力されると、自動的に前記休止状態から前記活動状態へ移行する。
【0045】
前記活動状態は、前記メインCPU21がその演算能力の全てを発揮できる状態である。一方、前記休止状態は、前記メインCPU21が、外部からの前記起動信号の入力に応じて前記活動状態へ復帰することができるが、その他の演算はできない状態である。前記メインCPU21の消費電力は、前記休止状態において最も小さく制限され、前記活動状態においては、定格電力の範囲内において特に制限されない。
【0046】
前記通常動作モードは、前記メインCPU21が前記活動状態であり、かつ、前記ローカル制御部14,31,41の全てに対して電力が供給されている状態である。また、前記省電力モードは、少なくとも前記メインCPU21が前記休止状態である状態である。また、外部装置との通信用の制御部である前記NCU基板50及びLANインターフェース基板60は、前記通常動作モードの下、及び前記省電力モードの下のいずれにおいても電力の供給は停止されず、定格電力の範囲内において電力の消費は制限されない。
【0047】
以上に示したように、画像処理のジョブに関する処理を実行する前記ローカル制御部14,31,41は、前記省電力モードの下において、前記通常動作モードの下におけるよりも電力の消費が制限される。また、前記ローカル制御部14,31,41を制御する前記メインCPU21は、前記省電力モードの下において前記通常動作モードの下におけるよりも電力の消費が制限される。また、外部装置との通信を制御する前記サブCPU61は、前記省電力モードの下において前記通常動作モードの下におけるよりも電力の消費が制限されない。また、前記サブCPU61は、前記メインCPU21と比較して、処理能力は低く、消費電力は小さい。なお、前記ローカル制御部14,31,41、前記メインCPU21及び前記サブCPU61は、それぞれ前記第1制御部、前記第2制御部及び第3制御部の一例である。
【0048】
また、前記画像処理装置1は、前記メインCPU21と前記サブCPU61との間に介在する第1信号伝送ライン111、第2信号伝送ライン112及び第3信号伝送ライン113を備えている。前記第1信号伝送ライン111、前記第2信号伝送ライン112及び前記第3信号伝送ライン113は、いずれも特別な初期化工程を経ることなく信号(データ)の伝送が可能なデータ伝送媒体である。
【0049】
前記第1信号伝送ライン111は、前記サブCPU61の信号出力ポートと前記メインCPU21の起動信号入力ポートとに接続され、前記起動信号を前記サブCPU61から前記メインCPU21へ伝送する。
【0050】
前記第2信号伝送ライン112は、前記サブCPU61のデータ出力ポートと前記メインCPU21のデータ入力ポートとに接続され、データを前記サブCPU61から前記メインCPU21へ伝送する。この第2信号伝送ライン112により伝送されるデータは、後述する復帰条件情報を含む。なお、前記第2信号伝送ライン112は、前記第2データ伝送部の一例である。
【0051】
前記第3信号伝送ライン113は、前記メインCPU21のデータ出力ポートと前記サブCPU61のデータ入力ポートとに接続され、データを前記メインCPU21から前記サブCPU61へ伝送する。
【0052】
例えば、前記メインCPU21は、前記キーマトリクス11及び前記節電キー18に対する操作が、第1の待ち時間(t1)以上継続して検知されない場合に、前記省電力モードへ移行する制御を実行する。より具体的には、前記メインCPU21は、前記MMI制御部14、前記スキャナ制御部31及び前記プリンタ制御部41に対して休止指令を出力する。さらに、前記メインCPU21は、前記MMI基板10、前記スキャナ制御部31及び前記プリンタ制御部41に対する電力供給を停止する。その後、前記メインCPU21は、前記活動状態から前記休止状態へ移行する。また、前記メインCPU21は、前記節電キー18が予め定められた時間以上継続して押し続けられた場合にも、前記省電力モードへ移行する制御を実行する。
【0053】
また、前記メインCPU21は、前記スキャナユニット30が動作しない時間が、第2の待ち時間(t2)以上継続した場合に、前記スキャナ制御部31に対する電力供給を停止する。同様に、前記メインCPU21は、前記プリンタユニット40が動作しない時間が、第3の待ち時間(t3)以上継続した場合に、前記プリンタ制御部41に対する電力供給を停止する。前記MMI基板10、前記スキャナ制御部31及び前記プリンタ制御部41の各々に対して予め設定された前記第1の待ち時間(t1)、前記第2の待ち時間(t2)及び前記第3の待ち時間(t3)は、前記SRAM23に予め記憶される。
【0054】
また、画像処理装置1は、商用電源に接続されている状況下で、常に電力の供給を続ける前記第1電源70と、前記サブCPU61の制御により、電力の出力を停止可能な第2電源80と備えている。前記NCU基板50及び前記LANインターフェース基板60は、前記第1電源70から電力が供給される。一方、前記メイン基板20、前記MMI制御部14、前記スキャナ制御部31及び前記プリンタ制御部41は、前記第2電源80から電力が供給される。なお、図1において、矢印付きの波線は、電力供給ラインを表す。
【0055】
また、前記サブCPU61は、前記第2電源80の出力が不要である場合に、前記第2電源80の電力の出力を停止する。これにより、前記第2電源80の待機中の消費電力を抑制できる。前記第2電源80の出力が不要である場合とは、前記制御スイッチ71〜73により、前記MMI基板10、前記スキャナ制御部31及び前記プリンタ制御部41への電力供給が停止されており、前記メインCPU21が前記休止状態である場合である。
【0056】
なお、前記サブCPU61が、前記第2電源80を制御することによって前記メイン基板20への電力供給を行うか否かを切り替えることにより、前記メインCPU21の電力消費が制限される状態とそうでない状態とを切り替えることも考えられる。
【0057】
次に、図2に示されるフローチャートを参照しつつ、前記画像処理装置1が前記省電力モードから復帰し、再び前記省電力モードへ戻るまでの手順について説明する。以下の説明において、S11,S12,…,S27は、処理の手順の識別符号を表す。また、図2に示される処理は、前記画像処理装置1が前記省電力モードであるときに実行される。
【0058】
前記サブCPU61は、前記省電力モードの下で、画像処理のジョブに対応した復帰イベントの検出処理を行う(S11)。前記復帰イベントは、例えば、所定の操作部が操作されたこと、自動原稿搬送装置に原稿がセットされたこと、原稿カバーを開く又は閉じる操作が行われたこと、シート材が収容されるカセットがセットされたこと、などのイベントである。これらのイベントは、前記節電キー18(操作部)、前記原稿センサ33、前記原稿カバーセンサ34及び前記カセットセンサ43の状態変化を監視することにより検出される。また、外部装置から前記ジョブの実行を要求されたことも前記復帰イベントの一つである。このイベントは、例えば、電話回線を通じてファクシミリ受信のジョブが要求されたこと、及び外部装置からプリントジョブが要求されたこと、などである。
【0059】
そして、前記サブCPU61は、前記省電力モードの下で、前記復帰イベントが検出されたときに、以下に示すステップS12,S13の処理を実行する。まず、ステップS12において、前記サブCPU61は、前記復帰イベントの内容に応じて、前記ローカル制御部14,31,41の起動の条件に関する復帰条件情報を生成する。さらに、ステップS12において、前記サブCPU61は、前記第2信号伝送ライン112を用いて、前記復帰条件情報を出力する。
【0060】
前記復帰条件情報は、起動すべき前記ローカル制御部14,31,41及び起動の手順などを表す情報であり、前記復帰イベントの種類に応じて予め定められた情報である。前記復帰イベントと前記復帰条件情報との対応関係に関する情報は、前記LANインターフェース基板60が備える不揮発メモリに予め記憶されている。また、前記サブCPU61が、所定のプログラムを実行することにより、そのプログラムにより規定された所定の規則に従って、前記復帰イベントの種類に応じた前記復帰条件情報を生成することも考えられる。
【0061】
例えば、前記復帰イベントが、外部装置からのプリントジョブの要求である場合、前記復帰条件情報は、前記ローカル制御部14,31,41の中で前記プリンタ制御部41のみを起動すべき旨の情報を含む。また、前記復帰イベントが、原稿台又は自動原稿搬送装置に原稿がセットされたことを示すイベントである場合、前記復帰条件情報は、まず前記プリンタ制御部41、次に前記MMI制御部14、その次に前記スキャナ制御部31を起動すべき旨の情報を含む。また、前記復帰イベントが、前記節電キー18が操作されたことである場合、前記復帰条件情報は、前記ローカル制御部14,31,41の中で前記MMI制御部14のみを起動すべき旨の情報を含む。
【0062】
さらに、前記サブCPU61は、前記第1信号伝送ライン111を通じて前記起動信号を出力することにより、前記メインCPU21を、電力消費の制限が解除された前記活動状態へ移行させる(S13)。前記起動信号の出力に応じて、前記メインCPU21は起動する(S21)。これにより、前記メインCPU21の動作状態は、前記休止状態から前記活動状態へ移行する。なお、前記第2電源80の出力が停止されている場合、前記サブCPU61は、前記第2電源80の出力の停止を解除することによって前記メインCPU21を前記休止状態に移行させた上で、前記起動信号を出力する。
【0063】
一方、前記サブCPU61によって起動された前記メインCPU21は、前記第2信号伝送ライン112を通じて前記復帰条件情報を取得する(S22)。さらに、前記メインCPU21は、前記復帰条件情報に従って、必要な前記ローカル制御部14,31,41を起動し、電力消費の制限が解除された状態へ移行させる(S23)。その際、前記メインCPU21は、前記制御スイッチ71〜73の制御によって前記ローカル制御部14,31,41のうち必要なものへの電力供給を開始させる。さらに、前記メインCPU21は、通電が開始された前記ローカル制御部14,31,41に対して所定の初期化設定を行う。これにより、起動した前記ローカル制御部14,31,41は、制御対象の部品の状態をジョブの実行が可能な状態へ移行させる。
【0064】
続いて、前記メインCPU21は、起動した前記ローカル制御部14,31,41を制御することにより、前記復帰イベントに対応したジョブを実行する(S24)。なお、前記メインCPU21は、前記復帰イベントに対応したジョブが一意に特定できない場合、その後の前記キーマトリクス11に対する操作内容に応じてジョブを特定し、そのジョブを実行する。
【0065】
そして、ジョブの実行が終了すると、前記メインCPU21は、ステップS23で起動した前記ローカル制御部14,31,41を休止させる(S25)。その際、前記メインCPU21は、ステップS23で起動した前記ローカル制御部14,31,41に対して所定の休止処理を行う。さらに、前記メインCPU21は、前記制御スイッチ71〜73の制御によって前記ローカル制御部14,31,41への電力供給を停止する。
【0066】
また、ジョブの実行が終了すると、前記メインCPU21は、ジョブの実行の結果に関する結果情報を前記第3信号伝送ライン113を通じて前記サブCPU61へ出力する(S26)。前記結果情報は、例えば、ジョブが正常終了したか異常終了したかを表す情報及びジョブが異常終了した場合におけるエラー情報が含まれる。前記エラー情報は、例えば、前記ジャムセンサ44によって検出されたシート材の詰まり、前記CCDラインセンサ32における光源の異常などを表す情報である。
【0067】
そして、前記ローカル制御部14,31,41の休止(S25)及び前記結果情報の出力(S26)の終了後、前記メインCPU21は、前記活動状態から前記休止状態へ移行する(S27)。
【0068】
一方、前記復帰条件情報の出力(S12)及び前記メインCPU21の起動(S13)の後、前記サブCPU61は、前記メインCPU21から前記第3信号伝送ライン113を通じて前記結果情報を取得する(S14)。さらに、前記サブCPU61は、その結果情報を前記LANインターフェース基板60が備えるメモリに記録する(S14)。その後、前記メインCPU21は、処理をステップS11へ戻す。
【0069】
ところで、前記サブCPU61は、前記省電力モードの下で、外部装置からの前記ネットワーク122を通じた要求に応じて、前記メインCPU21から取得した前記結果情報を前記外部装置へ送信するステータス応答処理を実行する。前記結果情報を要求する外部装置は、例えば、前記画像処理装置1の運転履歴を管理するサーバ計算機などである。
【0070】
前記画像処理装置1において、前記省電力モードの下で電力供給が特に制限されない前記サブCPU61は、前記省電力モードからの復帰処理において、前記復帰イベントの検出(S11)と、前記復帰条件情報の生成及び出力(S12)と、前記メインCPU21の起動(S13)とのみを行う。即ち、前記サブCPU61は、前記ローカル制御部14,31,41の初期設定などを含む比較的煩雑な処理を行う必要がない。そのため、前記サブCPU61は、前記ネットワーク122による通信の制御以外の処理能力について、小さな余力を有するだけでよい。そのため、前記サブCPU61の機能は、比較的処理能力が低く、消費電力の小さなプロセッサによって実現可能である。そのため、前記画像処理装置1は、前記省電力モードにおける消費電力を極力低く抑えることができる。
【0071】
また、前記画像処理装置1において、前記サブCPU61により起動された前記メインCPU21は、前記復帰条件情報に基づく前記ローカル制御部14,31,41の起動を単独で行う。従って、前記画像処理装置1においては、前記省電力モードからの復帰処理の制御プログラムが簡素化される。
【0072】
また、前記画像処理装置1において、前記サブCPU61から前記メインCPU21への前記復帰条件情報の引き渡しは、初期化工程の不要な前記第2信号伝送ライン112を通じて行われる。これにより、ジョブの実行のために前記第1のバス101を用いる必要がない場合、前記第1のバス101の初期化工程を経ることなく前記省電力モードからの復帰処理及びジョブの実行が可能となる。従って、前記画像処理装置1においては、前記復帰イベントが検知された後、前記省電力モードからの復帰処理及びジョブが速やかに実行される。
【0073】
さらに、前記画像処理装置1において、前記メインCPU21から前記サブCPU61への前記結果情報の引き渡しは、初期化工程の不要な前記第3信号伝送ライン113を通じて行われる。これにより、ジョブの実行のために前記第1のバス101を用いる必要がない場合、前記第1のバス101の初期化工程を経ることなく、前記省電力モードからの復帰処理、ジョブの実行及び前記省電力モードへの再移行までの処理が速やかに実行される。
【0074】
但し、ジョブの実行のために前記第1のバス101を用いる必要がある場合には、前記メインCPU21、前記サブCPU61及び前記NCU基板50の制御部は、ステップS23において前記初期化工程を実行する。これにより、前記メインCPU21、前記サブCPU61及び前記NCU基板50の制御部は、前記第1のバス101を通じてデータ通信を行うことが可能となる。
【0075】
<第2実施形態>
次に、図3に示されるブロック図及び図4に示されるフローチャートを参照しつつ、本発明の第2実施形態に係る画像処理装置2について説明する。この画像処理装置2は、図1に示された画像処理装置1と比較して、一部の構成要素が変更された構成を有している。図3において、図1に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、前記画像処理装置2における前記画像処理装置1と異なる点についてのみ説明する。
【0076】
前記画像処理装置2は、前記第2信号伝送ライン112及び前記第3データ伝送ライン113が、デュアルポートRAM62及びそのデュアルポートRAM62に対するアクセス用の信号線114,115に置き換わっている点において、前記画像処理装置1と異なる。前記サブCPU61と前記デュアルポートRAM62とは、データ伝送用の信号線115によって接続されている。また、前記メインCPU21と前記デュアルポートRAM62とは、データ伝送用の信号線114によって接続されている。
【0077】
前記デュアルポートRAM62は、前記サブCPU61と前記メインCPU21との両方からデータの記録及びデータの参照が可能なメモリである。また、前記デュアルポートRAM62は、前記省電力モードの下において、前記通常動作モードの下におけるよりも電力の消費は制限されない。前記デュアルポートRAM62は、例えば、前記LANインターフェース基板60に実装される。なお、前記デュアルポートRAM62は、前記サブCPU61と前記メインCPU21との両方からデータの記録及びデータの参照が可能なメモリの一例である。前記デュアルポートRAM62の代わりに、一般にI2C(アイ・スクウェア・シー)と称されるInter Integrated Circuitインターフェースに対応したEEPROMなどが採用されてもよい。
【0078】
図4は、前記画像処理装置2が前記省電力モードから復帰し、再び前記省電力モードへ戻るまでの手順を表すフローチャートである。以下、図4及び図2のフローチャートの異なる点についてのみ説明する。
【0079】
前記画像処理装置2においては、前記サブCPU61は、ステップS13において、前記復帰イベントの内容に応じた前記復帰条件情報を生成するとともに、その復帰条件情報を、前記デュアルポートRAM62に記録する。一方、ステップS22において、起動した前記メインCPU21は、前記デュアルポートRAM62から前記復帰条件情報を取得する。
【0080】
また、前記画像処理装置2においては、前記メインCPU21は、ステップS26において、ジョブの前記結果情報を前記デュアルポートRAM62に記録する。従って、前記サブCPU61は、前記メインCPU21による前記結果情報の記録(出力)に同期してその結果情報を取得するステップS14の処理は行わない。
【0081】
そして、前記画像処理装置2において、前記サブCPU61は、前記省電力モードの下で、前記デュアルポートRAM62に記録された前記結果情報を取得して前記ステータス応答処理を実行する。このステータス応答処理において外部装置に送信される前記結果情報は、前記メインCPU21がステップS26において記録した前記結果情報である。
【0082】
前記画像処理装置2においても、前記画像処理装置1によって得られる効果と同様の効果が得られる。
【0083】
<第3実施形態>
次に、図5に示されるブロック図を参照しつつ、本発明の第3実施形態に係る画像処理装置3について説明する。この画像処理装置3は、図1に示された画像処理装置1と比較して、一部の構成要素が変更された構成を有している。図5において、図1に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、前記画像処理装置3における前記画像処理装置1と異なる点についてのみ説明する。
【0084】
前記画像処理装置3は、前記第2のバス102を備えていない。その代わりに、前記画像処理装置3においては、前記メイン基板20、前記NCU基板50、前記LANインターフェース基板60及び前記ローカル制御部14,31,41は、前記第1のバス101に接続されている。前記画像処理装置3においても、図1に示された処理と同様の処理が実行される。
【0085】
但し、前記画像処理装置3は、ステップS23において、必要に応じて前記第1のバス101の前記初期化工程を実行する。例えば、前記復帰イベントが、前記節電キー18の操作である場合、前記メインCPU21と前記MMI制御部14とが、前記第1のバス101の前記初期化工程を実行する。また、前記復帰イベントが、自動原稿搬送装置に原稿がセットされたことであり、その後、前記キーマトリクス11に対して原稿画像読み取りの操作がなされた場合、原稿画像を読み取るジョブを実行する必要がある。この場合、前記メインCPU21と前記MMI制御部と前記スキャナ制御部とが、前記第1のバス101の前記初期化工程を実行する。このように、前記画像処理装置3は、前記画像処理装置1及び前記画像処理装置2と比較して、前記省電力モードからの復帰処理において、前記第1のバス101の前記初期化工程が実行される頻度が高くなる。
【0086】
しかしながら、前記画像処理装置3においても、前記サブCPU61から前記メインCPU21への前記復帰条件情報の引き渡し(S13,S22)のために、前記第1のバス101の初期化工程の実行を要しない。そのため、前記メインCPU21は、前記ローカル制御部14,31,41の起動(S23)を速やかに開始できる。
【0087】
また、前記画像処理装置3においても、前記サブCPU61の機能は、比較的処理能力が低く、消費電力の小さなプロセッサによって実現可能である。そのため、前記画像処理装置3も、前記省電力モードにおける消費電力を極力低く抑えることができる。また、前記画像処理装置3においても、前記画像処理装置1と同様に、前記省電力モードからの復帰処理の制御プログラムが簡素化される。
【0088】
以上に示した実施形態においては、前記ローカル制御部14,31,41は、電力供給が停止されることにより、電力の消費が制限される休止状態となる。しかしながら、前記プリンタ制御部41の休止状態は、前記メインCPU21の休止状態と同様の状態であることも考えられる。即ち、前記ローカル制御部14,31,41の休止状態は、最小限の電力を消費する状態であって、起動信号の入力に応じて自動起動することが可能であるが、他の機器の制御を行うことはできない状態であることも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、画像処理装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0090】
1,2,3 画像処理装置
10 MMI基板
11 キーマトリクス
12 パネルディスプレイ
13 発光ダイオード
14 MMI制御部
18 節電キー
20 メイン基板
21 メインCPU
22 ROM
23 SRAM
24 コーデック
25 モデム
30 スキャナユニット
31 スキャナ制御部
32 CCDラインセンサ
33 原稿センサ
34 原稿カバーセンサ
40 プリンタユニット
41 プリンタ制御部
42 搬送路カバーセンサ
43 カセットセンサ
44 ジャムセンサ
50 NCU基板
60 LANインターフェース基板
61 サブCPU
62 デュアルポートRAM
70 第1電源
71〜73 制御スイッチ
80 第2電源
101 第1のバス
102 第2のバス
111 第1信号伝送ライン
112 第2信号伝送ライン
113 第3信号伝送ライン
114,115 信号線
121 電話回線
122 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理のジョブに関する処理を実行し、所定の省電力モードの下において通常動作モードの下におけるよりも電力の消費が制限される1つ又は複数の第1制御部と、
前記第1制御部を制御し、前記省電力モードの下において前記通常動作モードの下におけるよりも電力の消費が制限される第2制御部と、
前記第2制御部よりも消費電力が小さく、前記省電力モードの下において前記通常動作モードの下におけるよりも電力の消費が制限されない第3制御部と、
前記第2制御部と前記第3制御部との間に介在し、前記第2制御部及び前記第3制御部により行われる所定の初期化工程を経て、前記第2制御部と前記第3制御部との間のデータ伝送を中継する第1データ伝送部と、
前記第2制御部と前記第3制御部との間に介在し、前記初期化工程を経ることなく前記第3制御部から前記第2制御部へのデータ伝送を中継する第2データ伝送部と、を備え、
前記第3制御部は、前記省電力モードの下で、前記ジョブに対応した所定の復帰イベントの検出処理を行い、前記復帰イベントが検出されたときに、前記第2制御部を起動して電力消費の制限が解除された状態へ移行させる処理と、前記第1制御部の起動の条件に関する復帰条件情報を生成する処理と、前記第2データ伝送部を用いて前記復帰条件情報を出力する処理とを行い、
前記第3制御部により起動された前記第2制御部は、前記第2データ伝送部を通じて前記復帰条件情報を取得する処理と、該復帰条件情報に基づいて前記第1制御部を起動して電力消費の制限が解除された状態へ移行させる処理と、起動した前記第1制御部を制御することによる前記ジョブの実行とを行う、ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第2データ伝送部は、前記第3制御部と前記第2制御部との両方からデータの記録及びデータの参照が可能であり、前記省電力モードの下において前記通常動作モードの下におけるよりも電力の消費が制限されないメモリである、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
外部装置とのデータ通信を制御する通信制御部を備え、
前記通信制御部は前記第3制御部を兼ねる、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第2制御部は、前記ジョブの実行の結果に関する結果情報を前記メモリに記録し、
前記通信制御部は、前記省電力モードの下で、前記外部装置からの要求に応じて前記メモリに記録された前記結果情報を送信する、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第2データ伝送部は、前記第3制御部から前記第2制御部へデータを伝送する信号伝送ラインである、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
外部装置とのデータ通信を制御する通信制御部を備え、
前記通信制御部は前記第3制御部を兼ねる、請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第2制御部と前記第3制御部との間に介在し、前記初期化工程を経ることなく前記第2制御部から前記第3制御部へのデータ伝送を中継する第3データ伝送部をさらに備え、
前記第3制御部は、前記ジョブの実行の結果に関する結果情報を前記第3データ伝送部を通じて前記結果情報を取得し、前記省電力モードの下で、前記外部装置からの要求に応じて前記結果情報を送信する、請求項6に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−135271(P2011−135271A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292269(P2009−292269)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】