説明

画像処理装置

【課題】本発明は、電力供給停止を安全に行う画像処理装置に関する。
【解決手段】複合装置1は、主電源キーによって電力供給遮断が指示操作されると、所定の電力遮断条件が整うまで電力供給の遮断を待ち、まず、エンジン、操作部4、ハードディスク5、FAXコントローラ6等の複合装置1における各部のうち所定の規定部分を、電力供給が遮断されても安全なシャットダウン準備完了状態へ移行させる規定シャットダウン準備処理を実行して、該規定シャットダウン準備処理実行中に、シャットダウン処理変更条件が発生すると、処理対象のシャットダウン準備処理を、該複合装置1の各部のうち所定の優先部分をシャットダウン準備完了状態へ移行させる優先シャットダウン準備処理に切り換えて実行し、該優先シャットダウン準備処理が完了すると、電力遮断条件が整ったとして、電源制御部26によって電力供給を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関し、詳細には、電力供給停止を安全に行う画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ装置、複写装置、複合装置等の画像処理装置においては、各種処理を実行しているときに、電源スイッチによって主電源がオフされると、故障を引き起こしたり、データの破損を招く結果となる。そこで、従来から、ジョブ実行中に電源スイッチをオフにできないように制御することが行われている。
【0003】
また、従来、無停電電源装置のバックアップ電源を監視して、バックアップ電源が喪失する前に、動作中のアプリケーションを終了させた後にOS(Operating System)を停止させ、無停電電源装置の電源が回復すると、通常運転に移行する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術にあっては、電源が消失する前にアプリケーションを終了させてOSを停止させるのみであるため、電源をオフするために必要な処理順序については考慮されておらず、電源をオフさせるのに必要な準備処理(以下、シャットダウン準備処理という。)が、スキャナエンジン、プリンタエンジン、その他のデバイスの保護、記憶部のデータ保護、処理途中のユーザ要求のキャンセル、ログの記録等のように複数の処理にわたる場合、これらの処理が全て完了するまでには時間がかかり、主電源スイッチがオフされた後の限られた時間内に、これらの処理全てをシャットダウン準備処理として完了させることができず、故障の原因、データの破壊等に結びつくおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、処理の重要度を考慮した処理順序で電力供給が遮断されても安全な安全状態に移行させ、安全で適切な電力供給の遮断を行う画像処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、電源スイッチ手段によって電力供給遮断が指示操作されると、所定の電力遮断条件が整うまで電力供給の遮断を待ち、まず、装置の各部のうち所定の規定部分を、電力供給が遮断されても安全な所定の安全状態へ移行させる規定安全状態移行処理を実行して、該規定安全状態移行処理の実行中に、所定の移行変更条件が発生すると、該各部のうち所定の優先部分を該安全状態へ移行させる優先安全状態移行処理に切り替えて実行して、該優先安全状態移行処理が完了すると、電力遮断条件が整ったとして、待っていた電力供給の遮断を行うことを特徴としている。
【0007】
また、本発明は、前記各部から適宜の部分を前記規定部分として設定可能であることを特徴としてもよい。
【0008】
さらに、本発明は、前記電源スイッチ手段によって電力供給遮断が指示操作されてから予め設定された移行時間が経過したこと、または、前記規定安全状態移行処理において、予め設定された特定の規定部分の前記安全状態への移行が完了したこと、を前記移行変更条件として、該規定安全状態移行処理から前記優先安全状態移行処理に切り替えることを特徴としてもよい。
【0009】
また、本発明は、前記各部から適宜の部分を前記特定規定部分として設定可能であることを特徴としてもよい。
【0010】
さらに、本発明は、前記移行変更条件が設定可能であることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、処理の優先度を考慮した処理順序で、電力供給が遮断されても安全な安全状態に移行させることができ、安全で適切かつ利用性良好な電力供給の遮断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例を適用した複合装置のブロック構成図。
【図2】複合装置のソフトウェア構成図。
【図3】複合装置におけるシャットダウン制御シーケンスを示す図。
【図4】シャットダウン中表示画面の一例を示す図。
【図5】シャットダウン処理を示すフローチャート。
【図6】特定シャットダウン処理設定画面の一例を示す図。
【図7】シャットダウン処理変更条件判断処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0014】
図1〜図7は、本発明の画像処理装置の一実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像処理装置の一実施例を適用した複合装置1のブロック構成図である。
【0015】
図1において、複合装置1は、コントローラ2及びエンジン3、操作部4、ハードディスク(HDD)5、FAXコントローラ6等を備えており、コントローラ2とエンジン3とは、PCIeバス(PCIe Bus)7によって、コントローラ2と操作部4及びFAXコントローラ6とは、USB(Universal Serial Bus)8、9によって、また、コントローラ2とハードディスク5とは、SATA(Serial Advanced Technology Attachment)10によってそれぞれ接続されている。複合装置1は、コントローラ2をプラットフォームとして、このプラットフォームに対して、接続、切り離し可能に、エンジン3、操作部4、ハードディスク5及びFAXコントローラ6をプラグインとして接続されている。
【0016】
コントローラ(規定安全状態移行手段、優先安全状態移行手段、移行処理制御手段)2は、CPU(Central Processing Unit )21、RAM(Random Access Memory)22、ROM(Read Only Memory)23、IOコントローラ24、画像処理・メモリコントローラ25及び電源制御部26等を備えている。
【0017】
ROM23は、基本プログラムと本発明の電源制御プログラム及び必要なシステムデータを搭載し、CPU21は、ROM23内のプログラムに基づいて、RAM22をワークメモリとして利用しつつ、複合装置1のコントローラ2及び各部を制御して、複合装置1としての機能を実行するとともに、後述する本発明の電源制御処理を実行する。
【0018】
すなわち、複合装置1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Versatile Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本発明の電源制御方法を実行する電源制御プログラムを読み込んでROM23等に導入することで、後述する安全かつ適切なシャットダウン処理を行う電源制御方法を実行する画像処理装置として構築されている。この電源制御プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
【0019】
IOコントローラ24には、PCIeバス7に接続する標準インターフェイスを提供し、CPU21の電源オフ、ネットワーク、USB8、9及びSATA10等の起動要因からのCPU21の電源オン状態へのシームレスに移行するシステムを実現するASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。コントローラ2は、コントローラ2に接続されているハードウェアへのシャットダウンの指示を、IOコントローラ24を介して行う。
【0020】
複合装置1内の各種モータ、クラッチ、各種センサ等の各種I/O部品が接続されており、各種I/O部品との間の信号の授受を行う。
【0021】
画像処理・メモリコントローラ25は、入力される画像データに対して必要な画像処理を施し、また、画像データやその他のデータをハードディスク5に書き込み、また、読み出す。
【0022】
電源制御部(電力制御手段)26は、リレー制御回路26a及びリレースイッチ(リレーSW)26b等を備えており、リレースイッチ26bは、商用電源からの電源を取り込む電源ケーブルと複合装置1の図示しない電源部との間に挿入されて商用電源から電源部への電力の供給/遮断を行う。この電源部は、商用電源から複合装置1で必要な電圧及び電流に調整して、複合装置1の各部に供給する。電源制御部26は、複合装置1の主電源スイッチがオフにされても、リレー制御回路26aが、リレースイッチ26bのオン/オフを制御して、コントローラ2及びプラグインであるエンジン3、操作部4、ハードディスク5及びFAXコントローラ6への電源の供給/遮断を後述する電源制御処理に基づいて行う。
【0023】
エンジン3は、所定の印刷方式、例えば、電子写真方式、インク噴射方式等でコントローラ21から受け取った印刷データに基づいて画像を用紙に印刷出力する。すなわち、エンジン3は、例えば、電子写真方式で画像形成する場合、電子写真方式で用紙に印刷データを記録出力するのに必要な部品、例えば、感光体、光書き込み部、現像部、帯電部及びクリーニング部等を備えており、PCIeバス7を介してコントローラ2から送られてくる印刷データに基づいて光書き込み部を動作させて感光体上に静電潜像を形成して、現像部によりトナーを感光体上に供給して現像してトナー画像を形成する。そして、エンジン3は、給紙部から用紙を感光体と転写部との間に給紙して、感光体上のトナー画像を用紙に転写し、トナー画像の転写された用紙を定着部に搬送して、定着部で加熱・加圧して用紙上のトナー画像を定着することで、画像を形成して、複合装置1外の排紙トレイ上に排出する。
【0024】
操作部4は、複合装置1を操作するのに必要な各種操作キー4aやディスプレイ(例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等)4b及び複合装置1の動作状態を表示するLED等のランプ等を備え、操作キー4aからは、複合装置1を利用した各種操作の命令が入力される。操作部4は、操作キー4aから入力された命令内容や複合装置1からオペレータに通知する各種情報をディスプレイ4bに表示する。なお、ディスプレイ4bは、タッチパネルを備えていて、機能ボタンを表示することで、タッチ操作による操作を可能としてもよい。
【0025】
ハードディスク5は、所定容量を有し、主に、コントローラ2の画像処理・メモリコントローラ25によって画像データやその他のデータの書き込み及び読み出しが行われる。
【0026】
FAXコントローラ6には、公衆電話回線等が接続され、FAXコントローラ6は、回線の捕捉、発信先電話番号である選択信号の送出、着信の検出等を行って、回線からの発呼に対する自動着呼、回線への自動発呼処理を行うとともに、相手ファクシミリ装置との間でファクシミリ制御信号を交換して、G3及びG4のファクシミリ通信手順を実行する。
【0027】
そして、複合装置1は、図2に示すように、コントローラ2のソフトウェア構成が、プレゼンテーション層31、ファンクション層32、サービス層33及びオペレーション層34に大きく分けられる。プレゼンテーション層31は、ユーザ・インターフェースを提供し、例えば、複合装置1としての各種動作における操作画面や電源制御処理における電源オフ移行画面の表示等を制御する。ファンクション層32は、コンポーネント(CMP:component)を提供する機能を組み立て実行し、リクエスト管理CMP32a及びプラグイン用のコピーアクティビティCMP32b、プリンタアクティビティCMP32c、読み取りCMP32d、印刷CMP32e等を有していて、コピーアクティビティCMP32b、プリンタアクティビティCMP32c、読み取りCMP32d及び印刷CMP32eは、それぞれ、シャットダウン関連CMP32bs、32cs、32ds、32esを有している。リクエスト管理CMP32aは、複合装置1に入力される要求を管理するモジュールであり、シャットダウン時には、実行中のジョブキャンセルをシャットダウン関連CMP32bs、32cs、32ds、32esに指示する。上記コピーアクティビティCMP32b、プリンタアクティビティCMP32c、読み取りCMP32d及び印刷CMP32eは、複合装置1にインストール/アンインストール可能なプラグインを管理するモジュールである。コピーアクティビティCMP32bは、コピー機能を提供するコンポーネントであり、プリンタアクティビティCMP32cは、プリンタ機能を提供するコンポーネントである。読み取りCMP32dは、スキャナからの読み取り機能を提供するコンポーネントであり、印刷CMP32eは、プリンタでの印刷機能を提供するコンポーネントである。そして、各シャットダウン関連CMP32bs、32cs、32ds、32esは、シャットダウン時に、リクエスト管理CMP32aからの要求によりジョブをキャンセルして、安全状態であるシャットダウン準備完了状態に移行させる規定安全状態移行手段、優先安全状態移行手段として機能する。
【0028】
リクエスト管理CMP(移行処理制御手段)32aは、複合装置1に入力される要求を管理するモジュールであり、シャットダウン時は、実行中のジョブキャンセルをシャットダウン関連CMP32bs、32cs、32ds、32esに指示する。
【0029】
サービス層33は、ファンクション層32から利用される共通のサービスを提供する層であり、エンジンデバイス33a、パネルデバイス33b、メモリデバイス33c、FCUデバイス33d、ネットワークデバイス33e等を提供する。エンジンデバイス33a、パネルデバイス33b、メモリデバイス33c、FCUデバイス33d、ネットワークデバイス33e等は、それぞれハードウェアのドライバである。
【0030】
オペレーション層34は、局所化が難しいシステム全体に渡る関連事項が配置され、機内監視CMP34a、履歴CMP34b等が配置されている。機内監視CMP(電力制御手段)34aは、電力状態に関するデバイスやコンポーネントを調停して複合装置1の電力状態を管理する。特に、機内監視CMP34aは、シャットダウンの実行可否判断や実施を行い、複合装置1を正常に維持するために最低限必要な処理で、必ずシャットダウン準備するべき処理(以下、規定シャットダウン準備処理という。)と、必ず行う必要はないがデータ消失等につながる優先的にシャットダウン準備するべき処理(以下、優先シャットダウン準備処理という。)を把握して、指定されたシャットダウン処理変更条件(移行変更条件)が発生したときに、規定シャットダウン準備処理から優先シャットダウン準備処理に変更する。履歴CMP34bは、ログを記録する。
【0031】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の複合装置1は、シャットダウン処理を、優先順位を決めて実行する。
【0032】
複合装置1は、ユーザが、主電源キー(電源スイッチ手段)を押下してオフを指示操作すると、図3に示すように電源制御シーケンスを実行する。なお、図3において、各処理の前に付与されている「1.0〜1.18」は、処理順序のステップナンバを示しており、以下の説明では、S1.0等と表記する。
【0033】
すなわち、複合装置1は、図3に示すように、主電源キーが押下されると(S1.0)、OSが該主電源キーの押下を認識して、機内監視CMP34aに主電力供給遮断(なお、以下の説明では、主電力供給遮断を、適宜、シャットダウンという。)を指示し(S1.1)、機内監視CMP34aは、事前に規定部分(規定コンポーネント)として登録されているシャットダウン通知対象コンポーネント(CMP)に対して、予め設定されている処理順序に従ってシャットダウン移行通知を発行してシャットダウン準備を行わせる規定シャットダウン準備処理を行う(S1.2〜S1.14)。この規定シャットダウン準備処理では、ユーザにシャットダウン処理を行っていることを表示する表示処理、実行中のジョブをキャンセルするジョブキャンセル処理、エンジンシャットダウン準備処理及びシャットダウンログを記録するログ記録処理を行う。
【0034】
そして、機内監視CMP34aは、まず、パネルデバイス33bにシャットダウン移行通知を行う(S1.2)。パネルデバイス33bは、シャットダウン移行通知を受け取ると、例えば、図4に示すようなシャットダウン中である旨とその進行状況を示すシャットダウン中表示画面G1を操作部4のディスプレイ4bに表示する表示処理を行い(S1.3)、操作部4のシャットダウン処理(シャットダウン準備処理)を行う(S1.4)。パネルデバイス33bは、シャットダウン準備が完了すると、シャットダウン準備完了通知(シャットダウン準備完了情報の通知)を機内監視CMP34aに行い(S1.5)、機内監視CMP34aは、次に、リクエスト管理CMP32aにシャットダウン移行通知を行う(S1.6)。
【0035】
リクエスト管理CMP32aは、シャットダウン移行通知を受け取ると、実行中のジョブを持つコンポーネント32b〜32eのシャットダウン関連コンポーネント32bs〜32esに強制ジョブキャンセルを指示する(S1.7)。各シャットダウン関連コンポーネントCMP32bs〜32esは、それぞれジョブのキャンセルが可能であるかのキャンセル可否チェックを行い(S1.8)、キャンセルが可能なジョブを順次キャンセルするジョブキャンセル処理を行うという処理を順次行って(S1.9)、キャンセルが可能な全てのジョブのジョブキャンセル処理を行うと、リクエスト管理CMP32aに準備完了通知を行う(S1.10)。
【0036】
リクエスト管理CMP32aは、全てのシャットダウン関連コンポーネントCMP32bs〜32esからシャットダウン準備完了通知があると、機内監視CMP34aにシャットダウン準備完了通知を行い(S1.11)、機内監視CMP34aは、リクエスト管理CMP32aからシャットダウン準備完了通知があると、エンジンデバイス33aにシャットダウン移行通知を行う(S1.12)。
【0037】
エンジンデバイス33aは、機内監視CMP34aからシャットダウン移行通知があると、エンジン3のシャットダウン準備処理を行って(S1.13)、シャットダウン準備が完了すると、シャットダウン準備完了通知を機内監視CMP34aに行う(S1.14)。
【0038】
機内監視CMP34aは、エンジンデバイス33aからシャットダウン準備完了通知を受け取ると、シャットダウンログの記録を履歴CMP34bに行い(S1.15)、シャットダウン応答をチェックして、事前登録されている全てのシャットダウン通知対象コンポーネント(CMP)からシャットダウン応答があるか、予め設定されているシャットダウン処理変更条件を満たすかチェックする(S1.16)。
【0039】
機内監視CMP34aは、事前登録されている全ての規定シャットダウンコンポーネント(CMP)からシャットダウン準備完了を受け取るか、予め設定されているシャットダウン処理変更条件を満たすと、OSにシャットダウン要求を行い(S1.17)、OSは、機内監視CMP34aからシャットダウン要求があると、優先シャットダウン準備処理を行う(S1.18)。優先シャットダウン準備処理は、複合装置1を正常な状態に保つために必ず必要な処理であるが、電力供給を停止する直前に行う必要がある処理であるため、規定シャットダウン準備処理よりも先に行うことはできない処理であるが、主電力の供給を遮断する前に、複合装置1を正常に維持するために、その他の処理よりも優先して最低限度行う必要のある処理であり、例えば、データ保護処理等である。
【0040】
そこで、OSは、CMP32b〜32eのうちデータ保護に関するCMP32b〜32eのシャットダウン関連CMP32bs〜32esに所定の順序でシャットダウン移行通知を行って、データ保護等の優先シャットダウン準備処理(優先安全状態移行処理)を行わせた後、シャットダウンする。
【0041】
そして、シャットダウン処理変更条件としては、「一定時間経過(移行時間)」、「特定の処理完了」、「ユーザ要求」があり、これらいずれかの条件を満たすと、機内監視CMP34aは、シャットダウン準備処理の変更(規定シャットダウン準備処理から優先シャットダウン準備処理への変更)を行う。この「一定時間経過」とは、主電源キーで電力供給停止の指示操作が行われてから予め設定されている一定時間が経過したことを示しており、この一定時間は、操作部4の操作によって適宜設定することができる。そして、「ユーザ要求」とは、ユーザが操作部4の操作によってシャットダウン処理変更要求を行ったことを示している。また、「特定の処理完了」とは、ユーザが予め設定した特定の処理が完了することを示している。複合装置1は、操作部4のキー操作で、特定シャットダウン処理設定モードが選択されると、例えば、図6に示すような特定シャットダウン処理設定画面G2を操作部4のディスプレイ4bに表示し、該特定シャットダウン処理設定画面G2で、タッチ操作またはキー操作によってユーザが規定シャットダウン中に処理を要求したい特定処理が指定されると、該特定規定処理をシャットダウン処理変更条件の特定規定シャットダウン準備処理として不揮発性メモリに記憶する。
【0042】
複合装置1は、上記シャットダウン処理を、図5に示すように行う。すなわち、複合装置1は、ユーザによる主電源キーの押下によって主電力供給遮断が指示されると(ステップS101)、規定シャットダウン準備処理を開始し(ステップS102)、規定シャットダウンを開始すると、シャットダウン処理変更条件に一致しているかチェックして(ステップS103)、シャットダウン処理変更条件と一致していないときには、規定シャットダウン準備処理を継続する。このシャットダウン処理変更条件に一致しているかのチェックは、例えば、規定シャットダウン準備処理中の所定のタイミング毎に行う。
【0043】
そして、複合装置1は、規定シャットダウン準備処理としては、まず、操作部4であるディスプレイのシャットダウン処理を行って、操作部4のディスプレイ4bに、図4に示したようなシャットダウン中表示画面G1の表示を行わせ(ステップS111)、実行中のジョブがあるかチェックして(ステップS112)、実行中のジョブがあるときには、そのジョブをキャンセルする(ステップS113)。複合装置1は、ステップS113で、実行中のジョブのキャンセルを完了するか、ステップS112で、実行中のジョブがないときには、エンジンデバイス33aを停止させ(ステップS114)、シャットダウン処理のログ(シャットダウンログ)を記録して(ステップS115)、規定シャットダウン準備処理を終了する。
【0044】
複合装置1は、規定シャットダウン準備処理を終了するか、規定シャットダウン準備処理の途中において、ステップS103で、シャットダウン処理変更条件に一致すると、優先シャットダウン準備処理に移行して、優先シャットダウン準備処理を実行する(ステップS104)。複合装置1は、優先シャットダウン準備処理では、データの保護を行い(ステップS121)、優先シャットダウン準備処理を行うと、電力の供給を遮断して処理を終了する(ステップS122)。
【0045】
そして、複合装置1は、上記シャットダウン処理変更条件判断処理を、図7に示すように行う。すなわち、複合装置1は、シャットダウン処理を開始した後、一定時間が経過しているかチェックし(ステップS201)、一定時間が経過していないときには、予め指定した特定規定処理が完了したかチェックする(ステップS202)。ステップS202で、特定規定処理が完了していないときには、複合装置1は、ユーザから操作部4のキー操作等によってシャットダウン処理変更要求があったかチェックし(ステップS203)、シャットダウン処理変更要求がないときには、ステップS201に戻って上記同様に処理する(ステップS201〜S203)。
【0046】
ステップS201で、一定時間が経過するか、ステップS202で、指定の特定規定処理が完了するか、ステップS203で、ユーザからシャットダウン処理変更要求があると、複合装置1は、シャットダウン処理を規定シャットダウン準備処理から優先シャットダウン準備処理に変更する(ステップS204)。
【0047】
このように、本実施例の複合装置1は、主電源キーによって電力供給遮断が指示操作されると、所定の電力遮断条件が整うまで電力供給の遮断を待って、まず、エンジン、操作部4、ハードディスク5、FAXコントローラ6等の複合装置1における各部のうち所定の規定部分を、電力供給が遮断されても安全な所定のシャットダウン準備完了状態(安全状態)へ移行させる規定シャットダウン準備処理(規定安全状態移行処理)を実行し、該規定シャットダウン準備処理実行中に、所定のシャットダウン処理変更条件(移行変更条件)が発生すると、シャットダウン準備処理を、該複合装置1における各部のうち所定の優先部分をシャットダウン準備完了状態へ移行させる優先シャットダウン準備処理(優先安全状態移行処理)に切り換えて実行し、該優先シャットダウン準備処理が完了すると、電力遮断条件が整ったとして、電源制御部26によって電力供給を遮断している。
【0048】
したがって、処理の重要度を考慮した処理順序で、電力供給が遮断されても安全な安全状態に移行させることができ、安全で適切な電力供給の遮断を行うことができる。
【0049】
また、本実施例の複合装置1は、操作部4の操作によって、複合装置1の各部のうち適宜の部分を規定シャットダウン準備処理でシャットダウン準備処理すべき規定部分として設定可能としている。
【0050】
したがって、特に重要な部分をシャットダウン準備完了状態に移行させた後に、優先シャットダウン準備処理を行って、電力遮断することができ、短いシャットダウン時間によって確実に安全を確保することができる。
【0051】
さらに、本実施例の複合装置1は、主電源キーによって電力供給遮断が指示操作されてから予め設定された一定時間(移行時間)が経過したことを、シャットダウン処理変更条件(移行変更条件)として、規定シャットダウン準備処理から優先シャットダウン準備処理に切り替えて実行している。
【0052】
したがって、ユーザが意識することなく、確実にシャットダウン時のシステム状態の安全性を確保することができるとともに、シャットダウン時のシャットダウン準備時間を有効に活用して優先部分のシャットダウン準備処理を適切に行うことができる。
【0053】
また、本実施例の複合装置1は、規定シャットダウン準備処理において、予め設定された特定の規定部分のシャットダウン準備完了状態への移行が完了したことを、シャットダウン処理変更条件として、規定シャットダウン準備処理から優先シャットダウン準備処理に切り替えて実行している。
【0054】
したがって、シャットダウン準備処理のうち、最低限実行する必要のある優先して処理することができ、複合装置1の状態を正常に保つことができる。
【0055】
さらに、本実施例の複合装置1は、操作部4で、複合装置1の各部から適宜の部分を特定規定部分として設定可能となっている。
【0056】
したがって、通常の規定シャットダウン準備処理のうち、ユーザ毎にシャットダウン前に行わせておきたいシャットダウン準備処理が異なる際に、ユーザによってシャットダウン前に実行させたいシャットダウン準備処理を設定することができ、利用性を向上させることができる。
【0057】
また、本実施例の複合装置1は、操作部4で、シャットダウン処理変更条件を設定可能としている。
【0058】
したがって、ユーザの利用状況に応じてシャットダウン処理変更条件を設定することができ、複合装置1の安全性を向上させつつ、利用性を向上させることができる。
【0059】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、主電力のオフ操作が行われたときに安全にかつユーザの意図する処理を適切に実行した後にシャットダウンする複写装置、プリンタ装置、複合装置等の画像処理装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 複合装置
2 コントローラ
3 エンジン
4 操作部
4a 操作キー
4b ディスプレイ
5 ハードディスク(HDD)
6 FAXコントローラ
7 PCIeバス
8、9 USB
10 SATA
21 CPU
22 RAM
23 ROM
24 IOコントローラ
25 画像処理・メモリコントローラ
26 電源制御部
26a リレー制御回路
26b リレースイッチ(リレーSW)
31 プレゼンテーション層
32 ファンクション層
32a リクエスト管理CMP
32b コピーアクティビティCMP
32c プリンタアクティビティCMP
32d 読み取りCMP
32e 印刷CMP
32bs、32cs、32ds、32es シャットダウン関連CMP
33 サービス層
33a エンジンデバイス
33b パネルデバイス
33c メモリデバイス
33d FCUデバイス
33e ネットワークデバイス
34 オペレーション層
34a 機内監視CMP
34b 履歴CMP
G1 シャットダウン中表示画面
G2 特定シャットダウン処理設定画面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特開平6−161610号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の供給/供給遮断を指示操作する電源スイッチ手段と、
前記電源スイッチ手段によって電力供給遮断が指示操作されると、所定の電力遮断条件が整うのを待って電力供給を遮断する電力制御手段と、
装置の各部のうち予め設定された所定数の規定部分を、電力供給が遮断されても安全な所定の安全状態へ所定の移行順序に従って移行させる規定安全状態移行処理を行う規定安全状態移行手段と、
前記各部のうち予め設定された所定数の優先部分を、前記安全状態へ所定の移行順序に従って移行させる優先安全状態移行処理を行う優先安全状態移行手段と、
前記規定安全状態移行処理を前記優先安全状態移行処理よりも先に実行させるとともに、該規定安全状態移行処理において所定の移行変更条件が発生すると、該優先安全状態移行処理に切り替えて実行させる移行処理制御手段と、
を備え、前記電力制御手段は、前記規定安全状態移行処理が完了すると、前記電力遮断条件が整ったとして電力供給を遮断することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理装置は、前記各部から適宜の部分を前記規定部分として設定する規定部分設定手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記移行処理制御手段は、前記電源スイッチ手段によって電力供給遮断が指示操作されてから予め設定された移行時間が経過したことを、前記移行変更条件として、前記規定安全状態移行処理から前記優先安全状態移行処理に切り替えて実行させることを特徴とする請求項1または請求項2記載の電源制御装置。
【請求項4】
前記安全状態移行手段は、前記規定安全状態移行順序において、予め設定された特定の規定部分の前記安全状態への移行が完了したことを、前記移行変更条件として、前記規定安全状態移行処理から前記優先安全状態移行処理に切り替えて実行させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像処理装置は、前記各部から適宜の部分を前記特定規定部分として設定する特定規定部分設定手段を備えていることを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理装置は、前記移行変更条件を設定する条件設定手段を備えていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−170763(P2011−170763A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36120(P2010−36120)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】