画像処理装置
【課題】 ライン乗換処理と画素挿抜処理の両方を実施する画像処理装置において、補正係数の切換え位置が重なった場合には大きな段差が発生してしまう。
【解決手段】 第1の走査ラインに少なくとも1つの第1の係数変化ポイントを持ち、第2の画像補正方法を実施する為に、前記第1の走査ラインに少なくとも1つの第2の係数変化ポイントを持ち、前記第1の係数変化ポイントと前記第2の係数変化ポイントが、既知の値よりも小さい場合は、前記第2のポイントを移動させる。
【解決手段】 第1の走査ラインに少なくとも1つの第1の係数変化ポイントを持ち、第2の画像補正方法を実施する為に、前記第1の走査ラインに少なくとも1つの第2の係数変化ポイントを持ち、前記第1の係数変化ポイントと前記第2の係数変化ポイントが、既知の値よりも小さい場合は、前記第2のポイントを移動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、その制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カラープリンタやカラー複写機などの電子写真による画像形成装置においては、露光や現像部で発生する各色版の位置ズレと、転写部で発生する線画の歪みを補正する技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、位置ズレを補正する技術が提案されている。これは、ポリゴンミラーやfθレンズ等の光学系を含む偏向走査ユニットのレンズの不均一性や取り付け位置ずれを補正する為、副走査方向に位相のずれた状態の画像プロファイルを取得する。取得したプロファイルに応じて、乗換ポイントを算出する。そして、ハーフトーン処理後のデジタル画像に対して、乗換ポイントによって走査方向に分割されたブロック毎に、副走査ライン乗換処理で補正を実施する。
【0004】
一方、特許文献2では、歪みを補正する技術が提案されている。一次転写においては、複数のロールに架けられた中間転写ベルトの安定回転位置によっては、感光体の回転方向と中間転写ベルトの進行方向が一致しない。結果、中間転写ベルトが感光体ドラムに対して斜行し、ベルト上に転写された画像が平行四辺形に歪むことがある。
【0005】
また、二次転写においては、用紙の突入によりベルトの安定位置が変化して同様に転写中にベルトの斜行が起きることもある。また、用紙自身が回転しながら転写されることにより、画像が扇形に歪むこともある。
【0006】
これらの歪みに対して、ハーフトーン処理後のデジタル画像データに対して、副走査方向の変倍率を、主走査方向の位置毎に変化される事で、歪みの補正を実施している。変倍を実施する方法は、副走査の画素挿抜処理が利用される。例えば、1%の拡大処理ならば100画素に1画素を補間演算によって作り出す。また、1%の縮小処理ならば100画素に1画素を間引きして実現する。
【0007】
上述の2つの技術は、それぞれのデジタル補正を実施するにあたり、ハーフトーン処理されたデジタル画像に、記録装置のプロファイルに応じた補正を実施している。位置ズレの補正では、主走査方向の乗換ポイントで分割されたブロックに於いて、隣り合うブロックは1ライン以内のライン乗換処理になるようにブロックを分割している。
【0008】
一方、歪みの補正では、画素挿抜数の変化するポイントを算出する。そして、そのポイントによって主走査方向に分割されたブロックに於いて、隣り合うブロックは1画素以内の画素挿抜になるように分割される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009-034865号公報
【特許文献2】特開2007-174060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、ライン乗換処理において、乗換ポイントでの段差が目立つ事がある。これは、正確な乗換ポイントの測定が難しい事に起因している。この時、更に同じ位置で歪みを補正する為の画素挿抜処理を実施した場合、ブロックの位置によっては大きな画素のズレが発生する事になる。原因は、乗換処理での画素のズレと画素挿抜による画素のズレがそのまま加算されるためである。大きな画素ズレが発生したまま記録処理を実施した場合、副走査方向の位置によっては段差のつなぎ目が視認できるにようになってしまう。
【0011】
本発明では、以上のような場合でも副走査画素の端部のズレを抑える事によって、段差の繋ぎ目を目立たなくする事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の走査ラインに対して垂直な第2の走査ラインの方向に曲がった印刷画像をデジタル処理で補正する第1の画像補正方法(106)と、
前記第2の走査ラインの方向に縮小・拡大された印刷画像をデジタル処理で補正する第2の画像補正方法(108)を持った画像処理装置において、
前記第1の画像補正方法を実施する為に、
前記第1の走査ラインに少なくとも1つの第1の係数変化ポイント(S1001)を持ち、
前記第2の画像補正方法を実施する為に、
前記第1の走査ラインに少なくとも1つの第2の係数変化ポイント(S1002)を持ち、
前記第1の係数変化ポイントと前記第2の係数変化ポイントが、
既知の値(S1004)よりも距離が小さい場合は、
前記第2のポイントを既知の値よりも外側へ移動させる事(S1005)を特徴とする画像処理装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、ライン乗換処理と画素挿抜処理の両方を実施しても、局所で発生する大きな副走査の画素ズレを無くす事ができる。よって、補正後の印刷画像に発生する段差を改善する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1、実施例2を説明する為のブロック図である。
【図2】実施例1の画像処理係数の設定手順を説明するフローチャートである。
【図3】(a)は上へのライン乗換処理を説明する為の図である。 (b)は下へのライン乗換処理を説明する為の図である。
【図4】歪みを補正する変倍処理を説明する為の図である。
【図5】実施例1、実施例2の印刷手順を説明するフローチャートである。
【図6】(a)乃至 (c)はライン乗換処理を説明する為の図である。
【図7】(a)乃至(d)は補間処理を説明する為の図である。
【図8】(a)及び (b)は画素挿抜処理による歪みを補正する変倍処理を説明する為の図である。
【図9】実施例2の画像処理係数の設定手順を説明するフローチャートである。
【図10】(a)乃至(g)は実施例2において歪みを補正するプロファイルを説明する為の図である。
【図11】実施例2において縮小時のS3008を説明する図である。
【図12】実施例2において拡大時のS3008を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0016】
(実施例1)
実施例1では、図1のブロック図を用いて、本発明による電子写真MFPを説明する。また、実施例1では、本発明による画像処理係数の設定手順と、画像の印刷手順について説明する。
【0017】
(画像処理係数の設定手順)
図2のフローチャートを用いて、実施例1の画像処理係数の設定手順を説明する。
【0018】
CPU(101)が、画像処理係数の設定手順動作を開始する事を決定する事で処理は開始される。尚、本ステップの開始をする為には、操作部(102)が利用者によって受けた命令に基づいてCPU(101)に通知する方法やCPU(101)の時間カウンタからの命令によって実施する方法などがある。
【0019】
S1001において、CPU(101)は乗換ポイントをRAM(103)から取得する。乗換ポイントとは、主走査方向に水平な直線を描いて記録装置109に出力した時に、副走査方向に1画素ずれているポイントのことを示す。
【0020】
図3を用いて、詳細に乗り換えポイントに関して説明する。
【0021】
図3(a)においては、上方への曲がり特性で副走査方向に1画素ずれているポイントであるP1、P2、P3が乗り換えポイントに相当する。なお、図3(a)においてはP0を基準としたものとして記載している。同図からもわかるように、乗り換えポイント間の距離(L1、L2)は、曲がり特性が急激に変化している領域においては短くなり、緩やかに変化している領域においては長くなる。
【0022】
次に図3(b)を用いて、下方にずれている領域の乗り換えポイントに関して説明する。下方にずれている特性を示す領域においても、乗り換えポイントの定義は、副走査方向に1画素ずれているポイントのことを示す。つまり、図3(b)においては、下方への湾曲特性上で副走査方向に1画素ずれているポイントであるPn、Pn+1が乗り換えポイントに相当する。図3(b)においても、図3(a)同様、乗り換えポイント間の距離(Ln、Ln+1)は、曲がり特性が急激に変化している領域においては短くなり、緩やかに変化している領域においては長くなる。
【0023】
このように、乗り換えポイントは、画像形成装置がもつ曲がり特性の変化度合い密接に関係する。よって、急激な曲がり特性をもつ画像形成装置においては、乗り換えポイント数は多くなり、逆に緩やかな曲がり特性をもつ画像形成装置においては、乗り換えポイント数が少なくなる。
【0024】
乗換ポイントは、出荷時に予めプリンタ固有の値としてROM(104)に記憶される事が一般的である。
【0025】
尚、乗換ポイントについては、特許文献1に更に詳細な説明が記述されているので、参照されたい。
【0026】
次にS1002において、CPUは画素挿抜数変化ポイントの算出を実施する。図4では、画素挿抜数変化ポイント(Q0~Q5)の概要を表している。
【0027】
画素挿抜数変化ポイントとは、副走査方向の画素挿抜数が主走査方向に変わる主走査位置を指している。この算出の為には、主走査の開始位置の変倍率(mag_start)と、主走査の終了位置の変倍率(mag_end)、出力する為の画像の主走査サイズ(width)、副走査サイズ(height)が必要である。
【0028】
また、mag_startとmag_endの決定方法については、様々な方法が考えられる。例えば、特許文献2では、歪み検出部を持っており、補正量を検知する事ができる。また、原稿読取装置(105)を利用する方法もある。原稿読取装置(105)からMFPが出力した印刷物を読みとる事ができる。また、操作部(102)から利用者が設定した値から、CPU(101)が演算する方法もある。
【0029】
以下の式を利用して、画素挿抜数(pnum(x))を小数点以下四捨五入で決定する。そして、主走査方向(x)で画素挿抜数が変化したxの値が画素挿抜数変化ポイント(Qn)となる。
【0030】
(式1)
delta = (mag_end - mag_start) ÷ width
pnum(x) = delta × x × height
但し、widthとheightは印刷する時の最大サイズの主走査サイズと副走査サイズである。
【0031】
次に、S1003〜S1005でCPUは、乗換ポイント(Pn)と画素挿抜数変化ポイント(Qn)の位置を比較する。P0~PNとQ0~QMの値(主走査位置)を全て比較し、閾値(T)よりも近い場所があった場合、S1004において、Qnを+か−のどちらかの方向(より移動距離が少ない方向)に修正を実施することで、乗換ポイントと画素挿抜量変化ポイントをT以上に隔離する。
【0032】
ここで、Thについて説明する。Thは、既知の値として決定されている値である。例えば、特許文献1では、乗換ポイントで副走査1ラインの乗換を実施した後、乗換ポイントの主走査方向に周囲の画素について補間処理を実施している。補間処理とは、急激な乗換段差を防ぐ為、乗換ポイントの距離に応じて決定される副走査方向のサブピクセル単位での位相移動を行う手法である。本実施例で利用するThは、この補間処理の影響が少なくなる場所に決定すると良い。例えば、副走査方向の位相の移動が10%程度の位相移動を終了していた場合、画素挿抜による段差との相乗効果は無くなると言える。この時の主走査方向の位置と乗換ポイントの位置を距離Thとして決定する。但し、本発明はこれに限定するものではなく、ThはMFPの印刷を見ながら決定する事も可能である。
【0033】
以上の処理によって、QnとPnが決定される。尚、pnum(x)、Pn、QnはRAM(103)に記憶しておく。
【0034】
(印刷手順)
次に、印刷を実施する手順について、図5のフローチャートを用いて解説を行う。実施例1では、コピー機能とプリント機能を両方もっている。但し、本発明においては、コピー機能であっても、プリント機能であっても利用が可能であるので、限定はしていない。
【0035】
例えば、コピー機能であれば、操作部(102)のボタン(不図示)の押下によってコピーが動作する。原稿読取装置(105)から原稿のデジタル画像が生成され、画像処理装置(112)によって色変換や空間フィルタ処理、ハーフトーン処理が実施されて、ハーフトーン画像が生成される。
【0036】
また、プリント機能である場合には、外部のパーソナルコンピュータ(不図示)からのPDL(PrintDisplayLanguage)の転送によって、Network(113)から画像データが転送される。後に必要な画像処理とハーフトーン処理が画像処理装置(112)で実施されて、ハーフトーン画像が生成される。
【0037】
さらに、プリント機能である場合には、外部のパーソナルコンピュータでハーフトーン画像が生成されている場合もある。
【0038】
何れにしても、ハーフトーン画像が生成された状態で開始し、S2001ではRAM(103)にハーフトーン画像が読み込まれるものとする。
【0039】
次に、S2002では、ハーフトーン画像がRAM(103)からバス(114)を経由して乗換処理(106)に転送される。
【0040】
乗換処理では、Pnの位置に応じて乗換処理を実施していく。乗換処理では、各Pn毎にライン遅延の値が違う為、Pnの数に応じたライン遅延バッファの本数が必要である。また、各ライン遅延バッファは、それぞれの乗換量に応じたライン遅延量が必要である。
【0041】
乗換処理のイメージを図6に示す。図6(a)は、乗換処理前の乗換ポイント周辺のハーフトーン画像を示している。次に(b)は乗換ポイント前に対して上側に乗り換えた時のハーフトーン画像である。一方、(c)は乗換ポイント前に対して下側に乗り換えた時のハーフトーン画像である。
【0042】
次にS2003において、ハーフトーン画像は補間処理(110)に転送される。補間処理では、各Pn毎の周囲画素に対して上下ラインの補間演算を行う。例えば、図7では、(a)の乗換ポイントを含む3ライン分のハーフトーン画像とする。(b)は、S2002の結果、乗換ポイントPnで上側に乗換えた後である。(c)は、補間演算を実施する為のRAM(103)に記憶されているテーブルである。テーブルには、上下ラインの位相移動をする時の各位置の重みづけが格納されている。そして、このテーブルを利用して、(d)で重みづけの位相移動の結果、補間演算後のハーフトーン画像が生成されている状態である。
【0043】
以上に説明した動作によって、S2003の補間処理が実施される。
【0044】
次にS2004で、記憶領域2(109)を用いて、画素挿抜処理(108)が実施される。図8に挿抜処理について図示する。(a)は挿抜処理前の画像である。QnとQn+1の間のブロックについて、挿入若しくは間引きのライン数は、pnum(x)によって決定されている。
【0045】
この挿入間引き処理を実施することで、(b)の画像が生成される。尚、挿入間引き方法については、本実施例は特定されるものではない。乱数によって位置を分散させる方法(例えば、特開昭和61-206365)や、ハーフトーンパターンに応じて挿抜パターンを変える方法(例えば、特許文献2)などが提案されている。
【0046】
次に、S2005において、画素挿抜処理後のハーフトーン画像は記録装置(111)に転送されてメディア(不図示)に印刷される。
【0047】
以上、実施例1によりライン乗換処理による位置ズレの補正、画素挿抜処理による歪みの補正を同時に実施しても、段差の繋ぎ目が目立たない高画質印刷が可能となる。
【0048】
(実施例2)
実施例1においては、処理の簡易化の為に乗換ポイントと画素挿抜数変化ポイントが一致した場所の全てについて、画素挿抜数変化ポイントの修正処理を実施していた。
【0049】
実施例2では、歪みの補正方向に応じて、挿抜数変化ポイントの修正を最小限にする為の実施方法について記述する。但し、実施例2については、図9のフローチャートを用いて、実施例1との差分だけを説明する。また、印刷手順は実施例1と実施例2は同じである。よって、実施例2は画像処理係数の設定手順についてのみ説明する。
【0050】
(画像処理係数の設定手順)
S3001は、S1001と同じ処理を実施する。
【0051】
S3002において、CPUは歪みを補正する為のプロファイルを生成する。歪みを補正するプロファイルとは、歪みを補正する時に、副走査方向のどこが基準となるのかという条件を意味している。
【0052】
歪みを補正する為のプロファイルについて、図10の概念図を利用して解説する。(a)は補正実施前の画像である。(b)と(c)は副走査方向の中間位置を中心に、上下に均等に画素挿入と画素間引きをした場合の補正である。(d)と(e)は、上端部を基準として下側に画素挿入、間引きをした場合の補正である。(f)、(g)は下端を基準として上側に画素挿入、間引きをした場合の補正である。
【0053】
尚、実施例1で説明した図4では、図10の(b)のプロファイルで補正を実施しており、実施例2でも図4を使って説明する。
【0054】
S3003〜S3005は、図2(実施例1)のS1002〜S1004と同じ処理である為、説明は割愛する。
【0055】
S3006では、CPUは各乗換ポイントの乗換方向を取得する。乗換方向とは、例えば図3の(a)では、レーザースキャン方向に対して1画素ずつ副走査方向の上側に乗り換えているイメージ図である。また、(b)ではレーザースキャン方向1画素ずつ下側に乗り換えているイメージ図である。詳細は実施例1で説明した為、割愛する。
【0056】
S3007 ではCPUが挿抜結果の変動方向の算出を実施する。挿抜結果の変動方向について、図4を使って説明する。図4のQ1は、左側に1ラインの挿入(第1ブロック)と右側に挿抜なし(第2ブロック)に挟まれたポイントである。第2ブロックは第1ブロックに対して、1ライン少ない事になる。
【0057】
この場合、 第2ブロックの第1ブロックに対する基準位置を決定している。例えば、図4の第1ブロックと第2ブロックの基準位置は下端部になっている。ここでいう基準位置とは、副走査方向で同じ位置になっている端部を指す。よって、下端部を基準としているので、第2ブロックは第1ブロックにたいして、下端部を基準に縮小されていると言える。
【0058】
一方、Q2は第2ブロックと第3ブロックに挟まれたポイントであり、第3ブロックは第2ブロックに対して上端部を基準としている。そして、第3ブロックは第2ブロックに対して縮小されている。
【0059】
このように、基準が上端、下端で入れ替わるのは、図10の(b)(c)の歪みを補正するプロファイルの特性である。一方、歪みを補正するプロファイルが図10の(d)や(e)であった場合には、上端が基準位置となって縮小、拡大される。一方、(f)や(g)の場合には、下端が基準位置となって、縮小、拡大される。
【0060】
以上のように、歪みを補正する場合には、Qnの位置の左右のブロックの基準位置を歪みの補正に応じて決定する事ができる。
【0061】
S3008では、S3006とS3007で算出されたPとQにおいて、処理の結果で2ラインの差が発生する場合にS3009に進み、発生しない場合には、処理を終了する。
【0062】
これについて、図11と図12を利用して詳細に説明する。図11の(a)は処理前の隣接ブロックの概念図である。(b)では、上側に乗換処理を実施している。次に(c)では、(b)に対して上基準で右側のブロックを縮小している。この時、(c)の下端部は2ライン分の差が発生してしまっている。よって、実施例1と同じ様にS3009で挿抜数変化ポイントの位置を修正しなければならない。一方、(e)は(b)に対して下基準で縮小している。よって、上下端の最大差は1ライン分であるため、挿抜数変化ポイントは修正しなくても良い。
【0063】
図12の(a)は処理前の隣接ブロックの概念図である。(b)では、上側に乗換処理を実施している。次に(c)では、(b)に対して上基準で右側のブロックを拡大している。この時、上下端の最大差は1ライン部である為、挿抜数変化ポイントは修正しなくても良い。一方、(e)は(b)に対して下基準で右側のブロックを拡大している。この時、((e)は上端部に2ライン分の差が発生してしまう。よって、実施例1と同じ様にS3009で挿抜数変化ポイントの位置を修正しなければならない。
【0064】
S3009は、S1005の処理と同じである為、説明を割愛する。
【0065】
以上、実施例2によりライン乗換処理による位置ズレの補正、画素挿抜処理による歪みの補正を同時に実施しても、段差の繋ぎ目が目立たない高画質印刷が可能となる。
【符号の説明】
【0066】
101 CPU , 106 乗換処理 , 108 画素挿抜処理
S1001 乗換ポイントの算出ステップ,
S1002 挿抜数変化ポイントの算出ステップ、
S1003 乗換ポイントと挿抜数変化ポイントの比較ステップ、
S2002 乗換処理を行うステップ、S2004 画素挿抜処理を行うステップ
S1005 挿抜画素数変化ポイントの修正ステップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、その制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カラープリンタやカラー複写機などの電子写真による画像形成装置においては、露光や現像部で発生する各色版の位置ズレと、転写部で発生する線画の歪みを補正する技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、位置ズレを補正する技術が提案されている。これは、ポリゴンミラーやfθレンズ等の光学系を含む偏向走査ユニットのレンズの不均一性や取り付け位置ずれを補正する為、副走査方向に位相のずれた状態の画像プロファイルを取得する。取得したプロファイルに応じて、乗換ポイントを算出する。そして、ハーフトーン処理後のデジタル画像に対して、乗換ポイントによって走査方向に分割されたブロック毎に、副走査ライン乗換処理で補正を実施する。
【0004】
一方、特許文献2では、歪みを補正する技術が提案されている。一次転写においては、複数のロールに架けられた中間転写ベルトの安定回転位置によっては、感光体の回転方向と中間転写ベルトの進行方向が一致しない。結果、中間転写ベルトが感光体ドラムに対して斜行し、ベルト上に転写された画像が平行四辺形に歪むことがある。
【0005】
また、二次転写においては、用紙の突入によりベルトの安定位置が変化して同様に転写中にベルトの斜行が起きることもある。また、用紙自身が回転しながら転写されることにより、画像が扇形に歪むこともある。
【0006】
これらの歪みに対して、ハーフトーン処理後のデジタル画像データに対して、副走査方向の変倍率を、主走査方向の位置毎に変化される事で、歪みの補正を実施している。変倍を実施する方法は、副走査の画素挿抜処理が利用される。例えば、1%の拡大処理ならば100画素に1画素を補間演算によって作り出す。また、1%の縮小処理ならば100画素に1画素を間引きして実現する。
【0007】
上述の2つの技術は、それぞれのデジタル補正を実施するにあたり、ハーフトーン処理されたデジタル画像に、記録装置のプロファイルに応じた補正を実施している。位置ズレの補正では、主走査方向の乗換ポイントで分割されたブロックに於いて、隣り合うブロックは1ライン以内のライン乗換処理になるようにブロックを分割している。
【0008】
一方、歪みの補正では、画素挿抜数の変化するポイントを算出する。そして、そのポイントによって主走査方向に分割されたブロックに於いて、隣り合うブロックは1画素以内の画素挿抜になるように分割される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009-034865号公報
【特許文献2】特開2007-174060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、ライン乗換処理において、乗換ポイントでの段差が目立つ事がある。これは、正確な乗換ポイントの測定が難しい事に起因している。この時、更に同じ位置で歪みを補正する為の画素挿抜処理を実施した場合、ブロックの位置によっては大きな画素のズレが発生する事になる。原因は、乗換処理での画素のズレと画素挿抜による画素のズレがそのまま加算されるためである。大きな画素ズレが発生したまま記録処理を実施した場合、副走査方向の位置によっては段差のつなぎ目が視認できるにようになってしまう。
【0011】
本発明では、以上のような場合でも副走査画素の端部のズレを抑える事によって、段差の繋ぎ目を目立たなくする事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の走査ラインに対して垂直な第2の走査ラインの方向に曲がった印刷画像をデジタル処理で補正する第1の画像補正方法(106)と、
前記第2の走査ラインの方向に縮小・拡大された印刷画像をデジタル処理で補正する第2の画像補正方法(108)を持った画像処理装置において、
前記第1の画像補正方法を実施する為に、
前記第1の走査ラインに少なくとも1つの第1の係数変化ポイント(S1001)を持ち、
前記第2の画像補正方法を実施する為に、
前記第1の走査ラインに少なくとも1つの第2の係数変化ポイント(S1002)を持ち、
前記第1の係数変化ポイントと前記第2の係数変化ポイントが、
既知の値(S1004)よりも距離が小さい場合は、
前記第2のポイントを既知の値よりも外側へ移動させる事(S1005)を特徴とする画像処理装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、ライン乗換処理と画素挿抜処理の両方を実施しても、局所で発生する大きな副走査の画素ズレを無くす事ができる。よって、補正後の印刷画像に発生する段差を改善する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1、実施例2を説明する為のブロック図である。
【図2】実施例1の画像処理係数の設定手順を説明するフローチャートである。
【図3】(a)は上へのライン乗換処理を説明する為の図である。 (b)は下へのライン乗換処理を説明する為の図である。
【図4】歪みを補正する変倍処理を説明する為の図である。
【図5】実施例1、実施例2の印刷手順を説明するフローチャートである。
【図6】(a)乃至 (c)はライン乗換処理を説明する為の図である。
【図7】(a)乃至(d)は補間処理を説明する為の図である。
【図8】(a)及び (b)は画素挿抜処理による歪みを補正する変倍処理を説明する為の図である。
【図9】実施例2の画像処理係数の設定手順を説明するフローチャートである。
【図10】(a)乃至(g)は実施例2において歪みを補正するプロファイルを説明する為の図である。
【図11】実施例2において縮小時のS3008を説明する図である。
【図12】実施例2において拡大時のS3008を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0016】
(実施例1)
実施例1では、図1のブロック図を用いて、本発明による電子写真MFPを説明する。また、実施例1では、本発明による画像処理係数の設定手順と、画像の印刷手順について説明する。
【0017】
(画像処理係数の設定手順)
図2のフローチャートを用いて、実施例1の画像処理係数の設定手順を説明する。
【0018】
CPU(101)が、画像処理係数の設定手順動作を開始する事を決定する事で処理は開始される。尚、本ステップの開始をする為には、操作部(102)が利用者によって受けた命令に基づいてCPU(101)に通知する方法やCPU(101)の時間カウンタからの命令によって実施する方法などがある。
【0019】
S1001において、CPU(101)は乗換ポイントをRAM(103)から取得する。乗換ポイントとは、主走査方向に水平な直線を描いて記録装置109に出力した時に、副走査方向に1画素ずれているポイントのことを示す。
【0020】
図3を用いて、詳細に乗り換えポイントに関して説明する。
【0021】
図3(a)においては、上方への曲がり特性で副走査方向に1画素ずれているポイントであるP1、P2、P3が乗り換えポイントに相当する。なお、図3(a)においてはP0を基準としたものとして記載している。同図からもわかるように、乗り換えポイント間の距離(L1、L2)は、曲がり特性が急激に変化している領域においては短くなり、緩やかに変化している領域においては長くなる。
【0022】
次に図3(b)を用いて、下方にずれている領域の乗り換えポイントに関して説明する。下方にずれている特性を示す領域においても、乗り換えポイントの定義は、副走査方向に1画素ずれているポイントのことを示す。つまり、図3(b)においては、下方への湾曲特性上で副走査方向に1画素ずれているポイントであるPn、Pn+1が乗り換えポイントに相当する。図3(b)においても、図3(a)同様、乗り換えポイント間の距離(Ln、Ln+1)は、曲がり特性が急激に変化している領域においては短くなり、緩やかに変化している領域においては長くなる。
【0023】
このように、乗り換えポイントは、画像形成装置がもつ曲がり特性の変化度合い密接に関係する。よって、急激な曲がり特性をもつ画像形成装置においては、乗り換えポイント数は多くなり、逆に緩やかな曲がり特性をもつ画像形成装置においては、乗り換えポイント数が少なくなる。
【0024】
乗換ポイントは、出荷時に予めプリンタ固有の値としてROM(104)に記憶される事が一般的である。
【0025】
尚、乗換ポイントについては、特許文献1に更に詳細な説明が記述されているので、参照されたい。
【0026】
次にS1002において、CPUは画素挿抜数変化ポイントの算出を実施する。図4では、画素挿抜数変化ポイント(Q0~Q5)の概要を表している。
【0027】
画素挿抜数変化ポイントとは、副走査方向の画素挿抜数が主走査方向に変わる主走査位置を指している。この算出の為には、主走査の開始位置の変倍率(mag_start)と、主走査の終了位置の変倍率(mag_end)、出力する為の画像の主走査サイズ(width)、副走査サイズ(height)が必要である。
【0028】
また、mag_startとmag_endの決定方法については、様々な方法が考えられる。例えば、特許文献2では、歪み検出部を持っており、補正量を検知する事ができる。また、原稿読取装置(105)を利用する方法もある。原稿読取装置(105)からMFPが出力した印刷物を読みとる事ができる。また、操作部(102)から利用者が設定した値から、CPU(101)が演算する方法もある。
【0029】
以下の式を利用して、画素挿抜数(pnum(x))を小数点以下四捨五入で決定する。そして、主走査方向(x)で画素挿抜数が変化したxの値が画素挿抜数変化ポイント(Qn)となる。
【0030】
(式1)
delta = (mag_end - mag_start) ÷ width
pnum(x) = delta × x × height
但し、widthとheightは印刷する時の最大サイズの主走査サイズと副走査サイズである。
【0031】
次に、S1003〜S1005でCPUは、乗換ポイント(Pn)と画素挿抜数変化ポイント(Qn)の位置を比較する。P0~PNとQ0~QMの値(主走査位置)を全て比較し、閾値(T)よりも近い場所があった場合、S1004において、Qnを+か−のどちらかの方向(より移動距離が少ない方向)に修正を実施することで、乗換ポイントと画素挿抜量変化ポイントをT以上に隔離する。
【0032】
ここで、Thについて説明する。Thは、既知の値として決定されている値である。例えば、特許文献1では、乗換ポイントで副走査1ラインの乗換を実施した後、乗換ポイントの主走査方向に周囲の画素について補間処理を実施している。補間処理とは、急激な乗換段差を防ぐ為、乗換ポイントの距離に応じて決定される副走査方向のサブピクセル単位での位相移動を行う手法である。本実施例で利用するThは、この補間処理の影響が少なくなる場所に決定すると良い。例えば、副走査方向の位相の移動が10%程度の位相移動を終了していた場合、画素挿抜による段差との相乗効果は無くなると言える。この時の主走査方向の位置と乗換ポイントの位置を距離Thとして決定する。但し、本発明はこれに限定するものではなく、ThはMFPの印刷を見ながら決定する事も可能である。
【0033】
以上の処理によって、QnとPnが決定される。尚、pnum(x)、Pn、QnはRAM(103)に記憶しておく。
【0034】
(印刷手順)
次に、印刷を実施する手順について、図5のフローチャートを用いて解説を行う。実施例1では、コピー機能とプリント機能を両方もっている。但し、本発明においては、コピー機能であっても、プリント機能であっても利用が可能であるので、限定はしていない。
【0035】
例えば、コピー機能であれば、操作部(102)のボタン(不図示)の押下によってコピーが動作する。原稿読取装置(105)から原稿のデジタル画像が生成され、画像処理装置(112)によって色変換や空間フィルタ処理、ハーフトーン処理が実施されて、ハーフトーン画像が生成される。
【0036】
また、プリント機能である場合には、外部のパーソナルコンピュータ(不図示)からのPDL(PrintDisplayLanguage)の転送によって、Network(113)から画像データが転送される。後に必要な画像処理とハーフトーン処理が画像処理装置(112)で実施されて、ハーフトーン画像が生成される。
【0037】
さらに、プリント機能である場合には、外部のパーソナルコンピュータでハーフトーン画像が生成されている場合もある。
【0038】
何れにしても、ハーフトーン画像が生成された状態で開始し、S2001ではRAM(103)にハーフトーン画像が読み込まれるものとする。
【0039】
次に、S2002では、ハーフトーン画像がRAM(103)からバス(114)を経由して乗換処理(106)に転送される。
【0040】
乗換処理では、Pnの位置に応じて乗換処理を実施していく。乗換処理では、各Pn毎にライン遅延の値が違う為、Pnの数に応じたライン遅延バッファの本数が必要である。また、各ライン遅延バッファは、それぞれの乗換量に応じたライン遅延量が必要である。
【0041】
乗換処理のイメージを図6に示す。図6(a)は、乗換処理前の乗換ポイント周辺のハーフトーン画像を示している。次に(b)は乗換ポイント前に対して上側に乗り換えた時のハーフトーン画像である。一方、(c)は乗換ポイント前に対して下側に乗り換えた時のハーフトーン画像である。
【0042】
次にS2003において、ハーフトーン画像は補間処理(110)に転送される。補間処理では、各Pn毎の周囲画素に対して上下ラインの補間演算を行う。例えば、図7では、(a)の乗換ポイントを含む3ライン分のハーフトーン画像とする。(b)は、S2002の結果、乗換ポイントPnで上側に乗換えた後である。(c)は、補間演算を実施する為のRAM(103)に記憶されているテーブルである。テーブルには、上下ラインの位相移動をする時の各位置の重みづけが格納されている。そして、このテーブルを利用して、(d)で重みづけの位相移動の結果、補間演算後のハーフトーン画像が生成されている状態である。
【0043】
以上に説明した動作によって、S2003の補間処理が実施される。
【0044】
次にS2004で、記憶領域2(109)を用いて、画素挿抜処理(108)が実施される。図8に挿抜処理について図示する。(a)は挿抜処理前の画像である。QnとQn+1の間のブロックについて、挿入若しくは間引きのライン数は、pnum(x)によって決定されている。
【0045】
この挿入間引き処理を実施することで、(b)の画像が生成される。尚、挿入間引き方法については、本実施例は特定されるものではない。乱数によって位置を分散させる方法(例えば、特開昭和61-206365)や、ハーフトーンパターンに応じて挿抜パターンを変える方法(例えば、特許文献2)などが提案されている。
【0046】
次に、S2005において、画素挿抜処理後のハーフトーン画像は記録装置(111)に転送されてメディア(不図示)に印刷される。
【0047】
以上、実施例1によりライン乗換処理による位置ズレの補正、画素挿抜処理による歪みの補正を同時に実施しても、段差の繋ぎ目が目立たない高画質印刷が可能となる。
【0048】
(実施例2)
実施例1においては、処理の簡易化の為に乗換ポイントと画素挿抜数変化ポイントが一致した場所の全てについて、画素挿抜数変化ポイントの修正処理を実施していた。
【0049】
実施例2では、歪みの補正方向に応じて、挿抜数変化ポイントの修正を最小限にする為の実施方法について記述する。但し、実施例2については、図9のフローチャートを用いて、実施例1との差分だけを説明する。また、印刷手順は実施例1と実施例2は同じである。よって、実施例2は画像処理係数の設定手順についてのみ説明する。
【0050】
(画像処理係数の設定手順)
S3001は、S1001と同じ処理を実施する。
【0051】
S3002において、CPUは歪みを補正する為のプロファイルを生成する。歪みを補正するプロファイルとは、歪みを補正する時に、副走査方向のどこが基準となるのかという条件を意味している。
【0052】
歪みを補正する為のプロファイルについて、図10の概念図を利用して解説する。(a)は補正実施前の画像である。(b)と(c)は副走査方向の中間位置を中心に、上下に均等に画素挿入と画素間引きをした場合の補正である。(d)と(e)は、上端部を基準として下側に画素挿入、間引きをした場合の補正である。(f)、(g)は下端を基準として上側に画素挿入、間引きをした場合の補正である。
【0053】
尚、実施例1で説明した図4では、図10の(b)のプロファイルで補正を実施しており、実施例2でも図4を使って説明する。
【0054】
S3003〜S3005は、図2(実施例1)のS1002〜S1004と同じ処理である為、説明は割愛する。
【0055】
S3006では、CPUは各乗換ポイントの乗換方向を取得する。乗換方向とは、例えば図3の(a)では、レーザースキャン方向に対して1画素ずつ副走査方向の上側に乗り換えているイメージ図である。また、(b)ではレーザースキャン方向1画素ずつ下側に乗り換えているイメージ図である。詳細は実施例1で説明した為、割愛する。
【0056】
S3007 ではCPUが挿抜結果の変動方向の算出を実施する。挿抜結果の変動方向について、図4を使って説明する。図4のQ1は、左側に1ラインの挿入(第1ブロック)と右側に挿抜なし(第2ブロック)に挟まれたポイントである。第2ブロックは第1ブロックに対して、1ライン少ない事になる。
【0057】
この場合、 第2ブロックの第1ブロックに対する基準位置を決定している。例えば、図4の第1ブロックと第2ブロックの基準位置は下端部になっている。ここでいう基準位置とは、副走査方向で同じ位置になっている端部を指す。よって、下端部を基準としているので、第2ブロックは第1ブロックにたいして、下端部を基準に縮小されていると言える。
【0058】
一方、Q2は第2ブロックと第3ブロックに挟まれたポイントであり、第3ブロックは第2ブロックに対して上端部を基準としている。そして、第3ブロックは第2ブロックに対して縮小されている。
【0059】
このように、基準が上端、下端で入れ替わるのは、図10の(b)(c)の歪みを補正するプロファイルの特性である。一方、歪みを補正するプロファイルが図10の(d)や(e)であった場合には、上端が基準位置となって縮小、拡大される。一方、(f)や(g)の場合には、下端が基準位置となって、縮小、拡大される。
【0060】
以上のように、歪みを補正する場合には、Qnの位置の左右のブロックの基準位置を歪みの補正に応じて決定する事ができる。
【0061】
S3008では、S3006とS3007で算出されたPとQにおいて、処理の結果で2ラインの差が発生する場合にS3009に進み、発生しない場合には、処理を終了する。
【0062】
これについて、図11と図12を利用して詳細に説明する。図11の(a)は処理前の隣接ブロックの概念図である。(b)では、上側に乗換処理を実施している。次に(c)では、(b)に対して上基準で右側のブロックを縮小している。この時、(c)の下端部は2ライン分の差が発生してしまっている。よって、実施例1と同じ様にS3009で挿抜数変化ポイントの位置を修正しなければならない。一方、(e)は(b)に対して下基準で縮小している。よって、上下端の最大差は1ライン分であるため、挿抜数変化ポイントは修正しなくても良い。
【0063】
図12の(a)は処理前の隣接ブロックの概念図である。(b)では、上側に乗換処理を実施している。次に(c)では、(b)に対して上基準で右側のブロックを拡大している。この時、上下端の最大差は1ライン部である為、挿抜数変化ポイントは修正しなくても良い。一方、(e)は(b)に対して下基準で右側のブロックを拡大している。この時、((e)は上端部に2ライン分の差が発生してしまう。よって、実施例1と同じ様にS3009で挿抜数変化ポイントの位置を修正しなければならない。
【0064】
S3009は、S1005の処理と同じである為、説明を割愛する。
【0065】
以上、実施例2によりライン乗換処理による位置ズレの補正、画素挿抜処理による歪みの補正を同時に実施しても、段差の繋ぎ目が目立たない高画質印刷が可能となる。
【符号の説明】
【0066】
101 CPU , 106 乗換処理 , 108 画素挿抜処理
S1001 乗換ポイントの算出ステップ,
S1002 挿抜数変化ポイントの算出ステップ、
S1003 乗換ポイントと挿抜数変化ポイントの比較ステップ、
S2002 乗換処理を行うステップ、S2004 画素挿抜処理を行うステップ
S1005 挿抜画素数変化ポイントの修正ステップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の走査ラインに対して垂直な第2の走査ラインの方向に曲がった印刷画像をデジタル処理で補正する第1の画像補正方法(106)と、
前記第2の走査ラインの方向に縮小・拡大された印刷画像をデジタル処理で補正する第2の画像補正方法(108)を持った画像処理装置において、
前記第1の画像補正方法を実施する為に、
前記第1の走査ラインに少なくとも1つの第1の係数変化ポイント(S1001)を持ち、
前記第2の画像補正方法を実施する為に、
前記第1の走査ラインに少なくとも1つの第2の係数変化ポイント(S1002)を持ち、
前記第1の係数変化ポイントと前記第2の係数変化ポイントが、
既知の値(S1004)よりも距離が小さい場合は、
前記第2のポイントを既知の値よりも外側へ移動させる事(S1005)を特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第1の画像補正方法(106)は、
前記第1の係数変化ポイント毎に設定された値に基づいて、
前記第2の方向に位相を変える事によってライン乗換処理を実施する画像補正方法であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第2の画像補正方法(108)は、
前記第2の係数変化ポイント毎に前記第2の方向に対する画素挿入・画素間引を、
前記第2の係数変化ポイント毎に設定された画素数毎に実施する事によって、
倍率変換を行う画像補正方法であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
第1の走査ラインに対して垂直な第2の走査ラインの方向に曲がった印刷画像をデジタル処理で補正する第1の画像補正方法(106)と、
前記第2の走査ラインの方向に縮小・拡大された印刷画像をデジタル処理で補正する第2の画像補正方法(108)を持った画像処理装置において、
前記第1の画像補正方法(106)を実施する為に、
前記第1の走査ラインに少なくとも1つの第1の係数変化ポイント(S3001)と、
前記第1の画像補正方法の第1の画像処理方向を検知する方法(S3006)を持ち、
前記第2の画像補正方法(108)を実施する為に、
前記第1の走査ラインに少なくとも1つの第2の係数変化ポイント(S3003)と、
前記第2の画像補正方法の第2の画像処理方向を検知する方法(S3007)を持ち
前記第1の係数変化ポイントと前記第2の係数変化ポイントが、
既知の値(3005)よりも小さく、
且、前記第1の画像処理方向と前記第2の画像処理方向によって、
画像処理による補正効果が過大になると判断した場合(S3008)に、
前記第2の係数変化ポイントを移動させる事を特徴とする画像処理装置。
【請求項1】
第1の走査ラインに対して垂直な第2の走査ラインの方向に曲がった印刷画像をデジタル処理で補正する第1の画像補正方法(106)と、
前記第2の走査ラインの方向に縮小・拡大された印刷画像をデジタル処理で補正する第2の画像補正方法(108)を持った画像処理装置において、
前記第1の画像補正方法を実施する為に、
前記第1の走査ラインに少なくとも1つの第1の係数変化ポイント(S1001)を持ち、
前記第2の画像補正方法を実施する為に、
前記第1の走査ラインに少なくとも1つの第2の係数変化ポイント(S1002)を持ち、
前記第1の係数変化ポイントと前記第2の係数変化ポイントが、
既知の値(S1004)よりも距離が小さい場合は、
前記第2のポイントを既知の値よりも外側へ移動させる事(S1005)を特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第1の画像補正方法(106)は、
前記第1の係数変化ポイント毎に設定された値に基づいて、
前記第2の方向に位相を変える事によってライン乗換処理を実施する画像補正方法であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第2の画像補正方法(108)は、
前記第2の係数変化ポイント毎に前記第2の方向に対する画素挿入・画素間引を、
前記第2の係数変化ポイント毎に設定された画素数毎に実施する事によって、
倍率変換を行う画像補正方法であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
第1の走査ラインに対して垂直な第2の走査ラインの方向に曲がった印刷画像をデジタル処理で補正する第1の画像補正方法(106)と、
前記第2の走査ラインの方向に縮小・拡大された印刷画像をデジタル処理で補正する第2の画像補正方法(108)を持った画像処理装置において、
前記第1の画像補正方法(106)を実施する為に、
前記第1の走査ラインに少なくとも1つの第1の係数変化ポイント(S3001)と、
前記第1の画像補正方法の第1の画像処理方向を検知する方法(S3006)を持ち、
前記第2の画像補正方法(108)を実施する為に、
前記第1の走査ラインに少なくとも1つの第2の係数変化ポイント(S3003)と、
前記第2の画像補正方法の第2の画像処理方向を検知する方法(S3007)を持ち
前記第1の係数変化ポイントと前記第2の係数変化ポイントが、
既知の値(3005)よりも小さく、
且、前記第1の画像処理方向と前記第2の画像処理方向によって、
画像処理による補正効果が過大になると判断した場合(S3008)に、
前記第2の係数変化ポイントを移動させる事を特徴とする画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−38731(P2013−38731A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175511(P2011−175511)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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