説明

画像出力装置及びプログラム

【課題】画像を加工して出力する場合に、人物などが画像内のどこに位置しているかに拘らず、人物などの注目部分を確実に強調できるようにする。
【解決手段】CPU1は、カメラ撮影画像あるいはテレビ放送受信画像などの画像(出力対象の画像)をメイン表示部9に表示出力させる際に、出力対象画像の一部分をターゲット領域として特定すると共に、このターゲット領域に対して当該領域を強調するための画像加工処理を施して表示出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カメラ撮影画像、テレビ放送受信画像などに画像加工処理を施して出力する画像出力装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カメラ撮影画像などの出力対象画像に任意の画像加工処理を施して出力するパーソナルコンピュータにおいては、画像の一部分を強調表示するためにその彩度、明度などを変更したり、当該部分を拡大あるいは縮小するようにしている。その際、ユーザ操作によってその加工範囲及び加工種を任意に指定するようにしているが、画像の一部を加工する毎にユーザ操作が必要となり、ユーザに大きな負担をかけるほか、正確に範囲指定することは困難であった。この場合、従来では、ユーザ操作によって加工範囲を指定しなくても、画像の一部分に加工を施すことが可能な技術として、画像の中央部分を除いてその周辺部分を拡大するようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−80472号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、一般に、人物などの被写体を撮影する際には、ファインダー画面の中央位置に被写体が来るようにカメラ向きを合わせて撮影するようにしているため、上述した従来技術では、被写体像の周辺部分が拡大されるだけであって画像の中央部分にある被写体部分は拡大対象外となる。
【0004】
この発明の課題は、画像を加工して出力する場合に、人物などが画像内のどこに位置しているかに拘らず、人物などの注目部分を確実に強調できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、出力対象の画像に対して画像加工処理を施して出力する画像出力装置であって、出力対象画像の一部分を注目部分として特定する特定手段と、この特定手段によって特定された注目部分に対して当該部分を強調するための画像加工処理を施す加工手段と、この加工手段によって加工された画像を出力する出力手段とを具備したことを特徴とする。
更に、コンピュータに対して、上述した請求項1記載の発明に示した主要機能を実現させるためのプログラムを提供する(請求項9記載の発明)。
なお、出力対象画像は、カメラ撮影画像に限らず、例えば、テレビ放送受信画像などであってもよく、画像の種類は問わない。
【0006】
なお、上述した請求項1記載の発明は次ぎのようなものであってもよい。
前記特定手段は、出力対象画像を解析することによってその中に含まれている特定物を注目部分として認識する(請求項2記載の発明)。
【0007】
前記特定手段は、出力対象画像を解析することによってその変化状態に基づいて注目部分を認識する(請求項3記載の発明)。
【0008】
前記特定手段は、撮影画像としての出力対象画像の中からカメラ撮影時に焦点を合わせた被写体部分を注目部分として特定する(請求項4記載の発明)。
【0009】
前記特定手段は、出力対象画像に付加されている付加情報に基づいて当該画像内の注目部分を特定する(請求項5記載の発明)。
【0010】
前記画像加工処理は、画像拡大処理あるいは画像縮小処理であり、前記加工手段は、時間経過あるいはユーザ操作に応じて注目部分を段階的に順次拡大あるいは縮小する(請求項6記載の発明)。
【0011】
前記画像加工処理は、画像拡大処理あるいは画像縮小処理であり、前記加工手段は、注目部分とその周辺部分を拡大処理あるいは縮小処理する際に、注目部分とその周辺部分とではその拡大率あるいは縮小率を変えて拡大処理あるいは縮小処理を実行する(請求項7記載の発明)。
【0012】
前記加工手段は、前記注目部分に対して画像拡大処理、縮小処理、色変更処理、ハイライト加工処理のうち、少なくともその何れの加工処理によって注目部分を加工する(請求項8記載の発明)。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、出力対象画像の一部分を注目部分として特定すると共に、この注目部分に対して当該部分を強調するための画像加工処理を施して出力するようにしたから、人物などが画像内のどこに位置しているかに拘らず、人物などの注目部分を確実に強調することができ、注目部分の視認性を高めることが可能となる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有するほか、出力対象画像を解析することによってその中に含まれている特定物を注目部分として認識するようにしたから、画像解析によって特定物、例えば、人物、建物、自動車を注目部分として画像認識することができる。この場合、全体形状をパターン認識したり、各構成要素の位置関係及び形状などの特徴を分析して認識するなど、その認識の仕方は任意である。また、特定物の一部あるいは全体、例えば、人物の顔部分あるいは人物の全体を注目部分としてもよい。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有するほか、出力対象画像を解析することによってその変化状態に基づいて注目部分を認識するようにしたから、例えば、コントラスト、彩度、明るさなどの変化の大きさに基づいて注目部分を画像認識することができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有するほか、撮影画像としての出力対象画像の中からカメラ撮影時に焦点を合わせた被写体部分を注目部分として特定するようにしたから、ピントが一番合っている部分を被写体部分(注目部分)として特定することができる。この場合、画像解析によってピントが一番合っている部分を被写体部分として画像認識するようにしてもよい。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有するほか、出力対象画像に付加されている付加情報に基づいて注目部分を特定するようにしたから、撮影画像に付加されている属性情報から「焦点位置」を示す情報を取得して被写体部分を注目部分として特定するようにしてもよい。また、デジタルテレビ放送受信画像に付加されている各種の情報を参照することによって注目部分を特定するようにしてもよい。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有するほか、時間経過あるいはユーザ操作に応じて注目部分を段階的に順次拡大あるいは縮小するようにしたから、注目部分を徐々にズームアップあるいはズームダウンしながら当該画像部分に注目を向けさせることができる。したがって、注目部分が徐々に飛び出して来るような感覚あるいは吸い込まれるような感覚を得ることができ、動的変化に富んだ注意喚起力の高い強調出力が可能となる。
【0019】
請求項7記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有するほか、注目部分とその周辺部分を拡大処理あるいは縮小処理する際に、注目部分とその周辺部分とではその拡大率あるいは縮小率を変えて拡大処理あるいは縮小処理を実行するようにしたから、相対的な変化に富んだ注意喚起力の高い強調出力が可能となる。
【0020】
請求項8記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有するほか、注目部分に対して画像拡大処理、縮小処理、色変更処理、ハイライト加工処理のうち、少なくともその何れの加工処理によって注目部分を加工するようにしたから、注目部分の拡大/縮小のほか、色変更処理(色相変更処理、彩度変更処理、明度変更処理)、ハイライト加工処理(コントラスト強調など、様々な加工処理)を施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図1〜図6を参照して本発明の実施例を説明する。
この実施例は、画像出力装置として携帯電話装置に適用した場合を例示したもので、図1は、この携帯電話装置の基本的な構成要素を示したブロック図である。
この携帯電話装置は、2つの筐体(上部筐体、下部筐体)が開閉可能に取り付けられた折り畳み自在なもので、二次電池を主電源として駆動され、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能などのほか、テレビ放送電波を受信して出力するテレビ機能と、このテレビ機能によって受信したテレビ放送を逐次録画する録画機能と、この録画機能によって録画された内容を再生出力したり、外部供給された各種の画像を読み出して再生出力する再生機能などを備えている。
【0022】
CPU1は、記憶部2内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話装置の全体動作を制御する中央演算処理装置である。記憶部2は、不揮発性メモリ(内部メモリ)であり、例えば、フラッシュメモリなどによって構成され、プログラム領域とデータ領域とを有し、このプログラム領域には、後述する図3〜図6に示す動作手順に応じて本実施例を実現するためのプログラムが格納されている。記録メディア3は、着脱自在な可搬型メモリで、撮影画像データ、各種のデータ、プログラムを外部供給するもので、例えば、スマートメディア、ICカードなどによって構成されている。メモリ4は、ワーク領域を有する内部メモリで、例えば、DRAM(Direct Random Access Memory)、SDRAM(Synchronous DRAM)などによって構成されている。
【0023】
電話通信部5は、アンテナ6に接続された送受信デュプレクサの受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調したのちに、音声データを音声スピーカ7から出力させる。また、電話通信部5は、音声マイク8から入力された音声データを送信ベースバンド信号に符号化したのちに、送受信デュプレクサの送信側に与えられ、アンテナ6から発信出力させる。一方、電子メール機能、インターネット接続によって電話通信部5を介して受信した画像などの表示データは、LCD(液晶表示器)によって構成されたメイン表示部9に与えられて表示出力される。メイン表示部9は、例えば、400+240ドット構成の表示画面を有し、文字情報、テレビ放送受信画像、カメラ撮影画像、各種メッセージなどを高品位に表示する。このメイン表示部9のほか、装置本体の背面部にはサブ表示部10が設けられており、現在日時、簡易なメッセージ、アイコンなどが表示される。
【0024】
テレビ受信部11は、TVアンテナ12を備え、携帯電話などの携帯受信機向けの地上波デジタルテレビ放送を受信するもので、テレビ映像及び音声情報以外にも電子番組表(EPG)なども含めて受信可能である。テレビ受信部11は、専用CPU、TVアンテナ12に接続されている受信部と、受信したテレビ放送を映像信号、音声信号に分離分離する増幅分離部と、圧縮データを解凍するデコード部などを有する構成となっており、このテレビ受信部11から出力されたテレビ映像信号は、メイン表示部9から表示出力され、また、テレビ音声信号は、内蔵スピーカ13あるいはイヤホン14から出力される。
【0025】
キー操作部15は、押しボタン式の各種のキーを備え、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを行うもので、テレビ機能用としてテレビON/OFFキー、チャンネル切り替えキーのほか、テレビ放送の録画(録音を含む)を指示する録画開始キー、録画内容の再生を指示する再生キー、再生の一時停止を指示する一時停止キー、早送り再生を指示する早送りキー、画像表示時に画像に加工を施して表示する特殊出力機能を選択する機能選択キーなどを有している。CPU1は、キー操作部15からのキー入力信号に応じた処理を実行する。報知部16は、上述した内蔵スピーカ13を含めて、LED(発光ダイオード)、振動モータを有する構成で、電話・メール着信時には着信報知を行うほか、警告アラームなどの報知時にも駆動される。
【0026】
カメラ撮像部17は、静止画撮影のほかに動画撮影も可能なもので、撮影レンズ、ミラー等のレンズ・ミラーブロック、CCDイメージセンサ等の撮像素子、その駆動系のほか、測距センサ、光量センサ、アナログ処理回路、信号処理回路、圧縮伸張回路等を備え、光学ズームを調整制御したり、オートフォーカス時の駆動制御、シャッター駆動制御、露出、ホワイトバランス等を制御する。このカメラ撮像部17によって撮影された撮影画像は、記憶部2、記録メディア3に記憶保存される。この場合、メイン表示部9は、モニタ画像を表示する撮影モニタ画面(ファインダ画面)、記憶部2、記録メディア3に記憶保存されている撮影画像を再生出力する再生画面として機能する。
【0027】
図2は、カメラ撮影画像あるいはテレビ放送受信画像などの画像(出力対象の画像)をメイン表示部9に表示出力させる際に、この画像に所定の加工を施して表示する特殊出力機能がユーザ操作によって選択された場合において、この画像加工処理の実行前及び実行後の画像を例示した図である。なお、図中、左側が加工処理の実行前の画像、右側が加工処理の実行後の画像を示している。
ここで、CPU1は、画像加工を行う前に、出力対象の画像内に注目対象となる特定物、例えば、人物、建物、自動車、オブジェクト(文字、図形など)が含まれているか否かを判別し、特定物が含まれているときには、この特定物が写っている部分(注目部分)の中心位置をターゲット位置として特定するようにしている。
【0028】
この場合、出力対象画像が撮影画像である場合には、この撮影画像に付加されているフォーカス情報(焦点位置情報)に基づいてピントが合っている部分(例えば、人物の顔部分)をターゲット位置として特定するようにしているが、撮影画像にフォーカス情報が付加されていなかったり、テレビ放送受信画像などであれば、この画像を解析しながら画像認識を行い、画像内に特定物が含まれているか否か判別するようにしている。なお、特定物の認識アルゴリズムは、周知の技術を使用して行うが、全体形状をパターン認識したり、各構成要素の位置関係及び形状などの特徴を分析して認識してもよく、更には画像解析によってコントラスト、彩度、明るさなどの変化を検出し、この変化の大きさに基づいて特定物を認識するようにしてもよく、その認識の仕方は任意である(以下、同様)。このようにして特定したターゲット位置を基準にしてCPU1は、特定物が含まれている領域をターゲット領域として特定するようにしている。
【0029】
図2(A)は、画像加工処理として時間経過あるいはユーザ操作に応じて注目部分を段階的に順次拡大して表示出力する順次拡大処理を例示したもので、図中、「+」は、人物の顔部分の中心位置(ターゲット位置)を示し、また、図中、点線で囲んだ枠は、出力対象画像からその一部分を切り出すための切り出し枠を示し、この切り出し枠内の画像が拡大対象となり、この枠内画像を元の画像サイズに拡大するようにしている。この場合、予め決められている時間(例えば、2秒)が経過する毎に自動的に拡大処理が実行されるほか、ユーザ操作に応答して拡大処理が実行される。
【0030】
図2(B)は、ターゲット領域を拡大するほかに、このターゲット領域以外の周辺部分をも含めて拡大するが、その際、ターゲット領域から離れるほどその拡大率を指数関数的に順次変更するようにした周辺部比率変更拡大処理を示した図である。この場合、CPU1は、出力対象の画像をN×Mのマトリックス状(桝目状)に分割すると共に、各枡目領域のうち、ターゲット位置を基準にして特定物(人物)を含む領域全体をターゲット領域として特定したのち、このターゲット領域を除く他の全ての領域を周辺領域として特定するようにしている。なお、出力対象画像の略全体がターゲット領域に相当する場合、例えば、上半身の人物が画像全体に大写しされているような場合には、この人物画像の一部分(人物の顔部分)をターゲット領域とし、その他の部分を周辺領域としてもよい。
【0031】
そして、人物部分(ターゲット領域)と共に、ターゲット領域以外の周辺部分を拡大する場合に、ターゲット領域の拡大率よりも周辺領域の拡大率の方が小さくなるように当該周辺部分を拡大するようにしている。その際、ターゲット領域から離れるほど拡大率が指数関数的に順次小さくなるよう変更される。なお、図中、矢印マークは、上方向の矢印で拡大を示し、また、矢印の太さで拡大率の大きさを示している。この場合にも、上述と同様に、時間経過あるいはユーザ操作に応じてターゲット領域を段階的に順次拡大して表示出力する順次拡大処理が行われる。
【0032】
図2(C)は、画像加工処理として色変更処理(明度変更処理)を例示した場合であり、画像内に含まれている人物部分の明度をその周辺部分に比べて明るくなるような強調加工を施す場合である。なお、画像加工処理としては、色変更処理(色相変更処理、彩度変更処理、明度変更処理)のほかに、ハイライト加工処理(コントラスト強調処理などの様々な加工処理)を任意に指定可能となっている。
【0033】
次ぎに、この実施例における携帯電話装置の動作概念を図3〜図6に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用してこの実施例特有の動作を実行することもできる。
【0034】
図3〜図5は、カメラ撮影画像あるいはテレビ放送受信画像などの画像に所定の加工を施して表示する特殊出力機能がユーザ操作によって選択された場合に実行開始される動作を示したフローチャートである。
先ず、CPU1は、カメラ撮影画像あるいはテレビ放送受信画像などの1画像を出力対象画像(ソース画像)として取得したのち(ステップA1)、ユーザ操作によって選択指定されている画像加工種の判別を行う(ステップA2)。
【0035】
この画像加工種は、上述の特殊出力機能が起動される前に、ユーザ操作によって選択指定されたもので、この実施例では、「画像拡大/縮小」、「色変更」、「ハイライト加工」の中かに任意の加工種を選択指定するようにしている。この場合、「画像拡大/縮小」には、図2(A)で示した「順次拡大」、図2(B)で示した「周辺部の比率変更拡大」と、これと同様な「順次縮小」と「比率変更縮小」とがある。また、「色変更」には、「色相変更」、「彩度変更」、「明度変更」とがあり、「ハイライト加工」には、「コントラスト強調」などがある。いま、画像加工種として、「画像拡大/縮小」が選択されている場合には(ステップA3でYES)、ソース画像内に含まれている人物の顔部分などの中心位置をターゲット位置として特定するターゲット位置特定処理に移る(ステップA4)。
【0036】
図6は、ターゲット位置特定処理を詳述するためのフローチャートである。
先ず、CPU1は、出力対象画像が撮影画像である場合に、この撮影画像にフォーカス情報(焦点位置情報)が付加されているか否かを調べ(ステップB1)、フォーカス情報が付加されていれば、この画像内の焦点位置に基づいてピントが合っている部分(被写体部分)をターゲット位置として特定する(ステップB2)。また、フォーカス情報が付加されていなければ(ステップB1でNO)、出力対象画像を解析することによって人物の顔部分が含まれているか否かを画像認識し(ステップB3)、顔部分が含まれていれば(ステップB4でYES)、その中から最も大きい顔部分を上位2つまで特定し、これらの中心位置をターゲット位置として特定する(ステップB5)。なお、人物が一人の場合には、1つの顔部分がターゲット位置として特定される。
【0037】
また、人物の顔部分が含まれていなければ(ステップB4でNO)、画像解析によって当該画像内に文字部分が含まれているか否かを画像認識し(ステップB6)、文字部分が含まれていれば、この文字部分をターゲット位置として特定する(ステップB7)。この場合、文字列であれば、その全体領域がターゲット位置として特定される。なお、人物の顔部分、文字部分を画像認識する以外にも、その他の画像認識処理(ステップB8)では、予め決められている自動車、建物などの特定物が含まれているか否かを画像認識し、この特定物の位置(中心点)をターゲット位置として特定する。なお、出力対象画像が字幕付きのテレビ放送受信画像の場合には、この受信画像に付加されている文字部分の上書き位置をターゲット位置として特定するようにしてもよい。
【0038】
このようなターゲット位置特定処理が終わると、CPU1は、この処理結果を参照してターゲット位置を特定できたか否かをチェックする(図4のステップA5)。ここで、ソース画像内に特定物が含まれていない場合、つまり、ターゲット位置を特定できなかった場合には(ステップA5でNO)、ソース画像全体を一様のサイズに変更する(ステップA6)。すなわち、画像全体を指定されたサイズに変更する通常処理が行われる。また、ソース画像内に特定物が含まれている場合(ターゲット位置を特定することができた場合)には(ステップA5でYES)、「画像拡大/縮小」として「順次拡大」が選択された場合かをチェックする(ステップA7)。
【0039】
いま、画像加工種として「画像拡大/縮小」の「順次拡大」が選択されている場合には(ステップA7でYES)、出力対象画像からその一部分を切り出すための切り出し枠を生成する(ステップA8)。この切り出し枠は、図2(A)に示すように、出力対象画像を一回り小さくした大きさ、例えば、3/4の大きさであり、CPU1は、この切り出し枠をソース画像上のターゲット位置を基準として配置したのち、この枠内の画像を切り出す(ステップA9)。そして、CPU1は、この切り出し画像が元の画像サイズ(ソース画像サイズ)となるように当該切り出し画像を拡大すると共に(ステップA10)、この拡大画像をソース画像に代えて切り替え表示させる(ステップA11)。
【0040】
そして、2秒タイマの計時動作をクリアスタートさせたのち(ステップA12)、タイムアップになったかをチェックし(ステップA13)、2秒経過前であれば、ユーザ操作による拡大指示を受けたかをチェックする(ステップA14)。ここで、拡大指示が無ければ、ユーザから終了指示を受けたかをチェックし(ステップA15)、終了指示もなければステップA13に戻る。ここで、拡大画像を表示してから2秒が経過した場合(ステップA13でYES)あるいはユーザから拡大指示を受けた場合には(ステップA14でYES)、上述のステップA8に戻り、現在表示されている画像からその一部分を切り出すための切り出し枠を生成し、この生成枠内から画像を切り出して(ステップA9)、ソース画像サイズに拡大表示させる(ステップA10、A11)。以下、タイムアップあるいは拡大指示を受ける毎に上述の動作が繰り返される。この結果、図2(A)に示すように人物の顔部分がそのターゲット位置を基準として徐々にズームアップ表示される。
【0041】
一方、画像加工種として「画像拡大/縮小」の「比率変更拡大」が選択されている場合には(図4のステップA16でYES)、出力対象の画像を縦横方向にN×Mのマトリックス状(桝目状)に分割すると共に(ステップA17)、各枡目領域のうち、ターゲット位置を基準にして特定物を含む桝目領域(矩形領域)をターゲット領域として特定する(ステップA18)。なお、図2(B)の例では人物の上半身が写っている全ての領域がターゲット領域として特定される。そして、このターゲット領域内の画像を1段階拡大(例えば、1.2倍に拡大)したのち(ステップA19)、ターゲット領域以外の周辺領域の横方向を順次拡大率を変更しながら拡大する(ステップA20)。すなわち、ターゲット領域から離れている領域ほどその拡大率が指数関数的に順次小さくなるような拡大処理を行う。
【0042】
次ぎに、ターゲット領域以外の周辺領域の縦方向を順次拡大率を変更しながら拡大するが、この場合においてもターゲット領域から離れるほどその拡大率が指数関数的に順次小さくなるような拡大処理を行う(ステップA21)。このようにしてターゲット領域及びその周辺領域を拡大した画像は、ソース画像サイズに変換されて表示出力される(ステップA22)。そして、上述の場合と同様に、2秒タイマの計時動作をスタートさせたのち(ステップA23)、タイムアップになったかをチェックし(ステップA24)、2秒経過前であれば、ユーザ操作による拡大指示を受けたかをチェックする(ステップA25)。ここで、拡大指示が無ければ、ユーザから終了指示を受けたかをチェックし(ステップA26)、終了指示を受けるまでステップA24に戻る。
【0043】
ここで、拡大画像を表示してから2秒が経過した場合(ステップA24でYES)あるいはユーザから拡大指示を受けた場合には(ステップA25でYES)、上述のステップA19に戻り、ターゲット領域内の画像を1段階拡大したのち、ターゲット領域以外の周辺領域の横方向及び縦方向を順次拡大率を変更しながら拡大表示する(ステップA20〜A22)。以下、タイムアップあるいは拡大指示を受ける毎に上述の動作が繰り返される。この結果、図2(B)に示すように人物の顔部分がそのターゲット位置を基準として徐々にズームアップ表示される。
【0044】
また、上述した「順次拡大」、「比率変更拡大」以外の「拡大/縮小」が選択された場合には(ステップA16でNO)、その他の拡大縮小処理に移る(ステップA27)。いま、「順次縮小」が選択された場合には、画像全体を1段階縮小すると共に、時間経過あるいはユーザ操作に応じて画像全体を段階的に順次縮小する処理が行われる。また、「比率変更縮小」が選択された場合には、ターゲット領域を1段階縮小したのち、このターゲット領域以外の周辺領域の縦方向を順次縮小率を変更しながら縮小する処理を時間経過あるいはユーザ操作が行われる毎に繰り返す。その他、画像全体を指定サイズに拡大したり、縮小する処理が行われる。
【0045】
他方、画像加工種として「拡大/縮小」以外の色変更処理あるいはハイライト加工処理が選択された場合には(図3のステップA3でNO)、図5のフローに移り、選択された画像加工種は、「明度変更」かをチェックし(ステップA28)、「明度変更」であれば、上述と同様のターゲット位置を特定する処理の実行に移る(ステップA29)。そして、CPU1は、この処理結果を参照してターゲット位置を特定することができたかをチェックし(ステップA30)、ターゲット位置を特定できなかった場合には、ソース画像全体に対して明度変更処理を施す(ステップA33)。
【0046】
また、ターゲット位置を特定することができた場合には(ステップA30でYES)、出力対象画像をマトリックス状(桝目状)に分割すると共に、各枡目領域のうち、ターゲット位置を基準にして特定物(例えば、人物の顔部分)を含む桝目領域(矩形領域)をターゲット領域として特定する(ステップA31)。そして、このターゲット領域に対して明度変更処理を施す(ステップA32)。この場合、例えば、ターゲット領域の明度をその周辺部分に比べて明るくなるような強調加工が施される。なお、その他、「彩度変更」、「色相変更」、「コントラスト変更」などが選択された場合には、上述と同様に、ターゲット位置からターゲット領域を特定したのち、このターゲット領域に対して彩度変更処理、色相変更処理、コントラスト変更処理などを実行する。
【0047】
以上のように、この実施例においてCPU1は、カメラ撮影画像あるいはテレビ放送受信画像などの画像(出力対象の画像)をメイン表示部9に表示出力させる際に、出力対象画像の一部分をターゲット領域として特定すると共に、このターゲット領域に対して当該領域を強調するための画像加工処理を施して出力するようにしたから、人物などが画像内のどこに位置しているかに拘らず、人物などのターゲットを確実に強調することができ、ターゲットの視認性を高めることが可能となる。
【0048】
この場合、CPU1は、出力対象画像を解析することによってその中に含まれている特定物を認識するようにしたから、画像解析によって特定物、例えば、人物、建物、自動車、オブジェクト(文字、図形など)をターゲットとして画像認識することができる。また、出力対象画像を解析することによってその変化状態に基づいて特定物を認識するようにしたから、例えば、コントラスト、彩度、明るさなどの変化の大きさに基づいて特定物を画像認識することができる。
【0049】
CPU1は、撮影画像に付加されている属性情報から「焦点位置」を示す情報を取得して被写体部分を特定するようにしたから、カメラ撮影時に焦点を合わせた被写体部分(ピントが一番合っている部分)をターゲットとして特定することができる。
また、出力対象画像の中に含まれている文字部分をターゲットとして特定するようにしたから、例えば、バスの時刻表などをメモ代わりに撮影した場合、この撮影画像の中から文字が含まれている部分をターゲットとして特定することができる。
【0050】
また、CPU1は、時間経過あるいはユーザ操作に応じてターゲットを段階的に順次拡大あるいは縮小するようにしたから、ターゲットを徐々にズームアップあるいはズームダウンしながら当該画像部分に注目を向けさせることができる。したがって、ターゲットが徐々に飛び出して来るような感覚あるいは吸い込まれるような感覚を得ることができ、動的変化に富んだ注意喚起力の高い強調出力が可能となる。
【0051】
CPU1は、ターゲットとその周辺部分を拡大処理あるいは縮小処理する際に、ターゲットとその周辺部分とではその拡大率あるいは縮小率を変えて拡大処理あるいは縮小処理を実行するようにしたから、相対的な変化に富んだ注意喚起力の高い強調出力が可能となる。この場合、周辺部分を拡大あるいは縮小する際に、ターゲットから離れるほど徐々に拡大率を変更する拡大処理あるいはターゲットから離れるほど徐々に縮小率を変更する縮小処理を実行するようにしたから、例えば、ターゲットから離れるほど徐々に大きくなるようにしたり、ターゲットから離れるほど徐々に小さくなるようにすることができ、ターゲットを中心とした遠近感効果の付与が可能となるほか、ターゲットが浮き出てくるような感覚のハイライト効果を付与することも可能となる。
【0052】
CPU1は、ターゲットに対して画像拡大処理、縮小処理、色変更処理、ハイライト加工処理のうち、少なくともその何れの加工処理によってターゲットを加工するようにしたから、ターゲットの拡大/縮小のほか、色変更処理(色相変更処理、彩度変更処理、明度変更処理)、ハイライト加工処理(コントラスト強調など、様々な加工処理)を施すことができる。
【0053】
なお、上述した実施例においては、出力対象画像の中に含まれている文字部分をターゲットとして特定する場合に、画像認識によって特定するようにしたが、デジタルテレビ放送受信画像の場合には、この受信画像に付加されている各種の情報を参照することによってターゲット特定を行うようにしてもよい。
【0054】
また、1つの画像内に複数のターゲット領域が特定された場合には、この複数のターゲット領域の大きさを比較して、その中から最も大きいターゲット領域のみに絞り込んでもよい。つまり、複数のターゲットの中から一つのターゲットを特定し、その他のターゲットを無効としてもよい。また、複数のターゲットを有効としてもよい。
上述した実施例においては、撮影画像に付加されている属性情報から「焦点位置」を示す情報を取得してターゲットを特定するようにしたが、画像解析によってピントが一番合っている部分をターゲットとして特定するようにしてもよい。
【0055】
上述した実施例においては、出力対象画像をその縦横方向にN×Mのマトリックス状(桝目状)に分割する場合を例示したが、出力対象画像をその縦方向にN等分してN個の横枠領域に分割したり、画像をその横方向にN等分してN個の縦枠領域に分割するようにしてもよい。この場合、ターゲット位置を基準として特定物が含まれている1または2以上の横枠領域領域あるいは縦枠領域をターゲット領域として特定すればよい。
【0056】
また、上述した実施例ではターゲット領域以外の周辺領域を拡大/縮小処理する場合に、ターゲット領域から離れるほど徐々に拡大率が小さくなるように拡大処理を実行したり、ターゲット領域から離れるほど徐々に縮小率が小さくなるように縮小処理を実行するようにしたが、これとは逆にターゲット領域から離れるほど徐々に拡大率が大きくなるように拡大処理を実行したり、ターゲット領域から離れるほど徐々に縮小率が大きくなるようらに縮小処理を実行するようにしてもよい。
【0057】
その他、上述した実施例では、画像を表示する場合を示したが、画像表示に限らず、画像を印刷出力したり、ネットワークを介して送信出力する場合であっても同様に適用可能である。
また、携帯電話装置に限らず、例えば、PDA、電子カメラ、電子腕時計、携帯音楽再生機、携帯ビデオレコーダなどの携帯端末装置であっても同様に適用可能であり、更に、携帯端末装置に限らず、定置型の画像出力装置(パーソナルコンピュータ、テレビ受信機、ビデオレコーダなど)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】画像出力装置として適用した携帯電話装置の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図2】(A)は、画像加工処理として時間経過あるいはユーザ操作に応じてターゲットを段階的に順次拡大して表示出力する順次拡大処理を示した図、(B)は、ターゲット領域を拡大するほかに、このターゲット領域以外の周辺部分をも含めて拡大する場合にターゲットから離れるほどその拡大率を指数関数的に順次変更する比率変更拡大処理を示した図、(C)は、画像加工処理として色変更処理(明度変更処理)が選択された場合を示した図。
【図3】カメラ撮影画像あるいはテレビ放送受信画像などの画像に所定の加工を施して表示する特殊出力機能がユーザ操作によって選択された場合に実行開始される動作を示したフローチャート。
【図4】図3に続く、フローチャート。
【図5】図3に続く、フローチャート。
【図6】図3、図5のターゲット位置特定処理を詳述するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0059】
1 CPU
2 記憶部
3 記録メディア
5 電話通信部
9 メイン表示部
11 テレビ受信部
15 キー操作部
17 カメラ撮像部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力対象の画像に対して画像加工処理を施して出力する画像出力装置であって、
出力対象画像の一部分を注目部分として特定する特定手段と、
この特定手段によって特定された注目部分に対して当該部分を強調するための画像加工処理を施す加工手段と、
この加工手段によって加工された画像を出力する出力手段と、
を具備したことを特徴とする画像出力装置。
【請求項2】
前記特定手段は、出力対象画像を解析することによってその中に含まれている特定物を注目部分として認識する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の画像出力装置。
【請求項3】
前記特定手段は、出力対象画像を解析することによってその変化状態に基づいて注目部分を認識する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の画像出力装置。
【請求項4】
前記特定手段は、撮影画像としての出力対象画像の中からカメラ撮影時に焦点を合わせた被写体部分を注目部分として特定する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の画像出力装置。
【請求項5】
前記特定手段は、出力対象画像に付加されている付加情報に基づいて当該画像内の注目部分を特定する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の画像出力装置。
【請求項6】
前記画像加工処理は、画像拡大処理あるいは画像縮小処理であり、前記加工手段は、時間経過あるいはユーザ操作に応じて注目部分を段階的に順次拡大あるいは縮小する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の画像出力装置。
【請求項7】
前記画像加工処理は、画像拡大処理あるいは画像縮小処理であり、前記加工手段は、注目部分とその周辺部分を拡大処理あるいは縮小処理する際に、注目部分とその周辺部分とではその拡大率あるいは縮小率を変えて拡大処理あるいは縮小処理を実行する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の画像出力装置。
【請求項8】
前記加工手段は、前記注目部分に対して画像拡大処理、縮小処理、色変更処理、ハイライト加工処理のうち、少なくともその何れの加工処理によって注目部分を加工する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の画像出力装置。
【請求項9】
コンピュータに対して、
出力対象画像の一部分を注目部分として特定する機能と、
この特定手段によって特定された注目部分に対して当該部分を強調するための画像加工処理を施す機能と、
加工された画像を出力する機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−88959(P2007−88959A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−277045(P2005−277045)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】