説明

画像出力装置及び画像出力方法

【課題】ユーザの所望する仕上がりに近い現像処理条件を容易に作り出す。
【解決手段】生の画像データに対して複数の処理条件で現像処理を行った後、パラメータインデックスプリントをプリント出力する。顧客がパラメータインデックスプリントから所望の仕上がりの参照画像を選択すると、上述した画像処理項目と同一の処理項目について、1回目の処理条件よりも細かい複数の処理条件で現像処理を施した後、再度パラメータインデックスプリントをプリント出力する。顧客が再度パラメータインデックスプリントから所望する仕上がりの参照画像を選択すると、異なる画像処理項目についての複数の処理条件で現像処理を行ったパラメータインデックスプリントをプリント出力する。このパラメータインデックスプリントから好みの仕上がりの参照画像を選択すると現像処理条件が確定され、確定された現像処理条件を用いた本プリントが顧客に提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データの画像出力を行う画像出力装置及び画像出力方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラなどの撮像装置で撮影した画像データは、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどの撮像素子から出力されたアナログの撮像信号をデジタルデータに変換して記憶メディアに保存される。この画像データの記憶メディアへの保存形式としては、撮像信号に対して画像処理を施すとともにJPEG形式でデータ圧縮処理を施して保存する形式(例えば、EXIF形式)が標準的であるが、撮像信号に対して画像処理を施さずに生の画像データとして保存する形式(以下、RAW形式という)が知られており、撮影した画像データをこのRAW形式で保存することができるデジタルスチルカメラも普及してきている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
撮像素子は明度しか感知できないため、撮像素子にR,G,Bのフィルタをかけることにより、撮像信号が、R,G,Bの3色の色情報として取り出される。これらR,G,Bの各色の色情報は、生の画像データ(以下、RAWデータという)と呼ばれる。デジタルスチルカメラには、このRAWデータに対して、色変換処理、ホワイトバランス処理、露出処理など各種の画像処理を施して現像する、いわゆるデジタル現像処理を実行する画像処理プロセッサが内蔵されている。EXIF形式では、RAWデータに対してこうしたデジタル現像処理が実行されてデジタル現像済みの画像データが保存され、他方、RAW形式では、RAWデータのまま画像データが保存される。
【0004】
デジタルスチルカメラに内蔵される画像処理プロセッサには、上記各種の画像処理項目の処理条件を決めるパラメータが予め設定されている。こうしたパラメータは、画像の仕上がりを左右するものであり、画像処理プロセッサによるデジタル現像処理を施すと、現像した画像の仕上がりがある程度方向付けられてしまい、いったんデジタル現像処理を施した画像データに対して画像補正処理を行ってもその仕上がりを大きく変更することが難しい。カメラユーザの中には、デジタルスチルカメラ固有のデジタル現像処理によらず、自分好みに画像を仕上げたいというユーザも多く、こうしたユーザによってRAW形式が支持されている。
【0005】
特許文献1には、RAWデータに基づいてプリントを行うプリントシステムが記載されている。このプリントシステムでは、1コマのRAWデータに対して、画像処理項目毎に、それらの処理条件を決める複数のパラメータでデジタル現像処理を実行して、パラメータが異なる複数の参照画像を縮小画像でディスプレイに表示し、表示された複数の参照画像からコマを選択させることにより、所望のパラメータをユーザが指定できるようにしている。こうしたパラメータ指定を、各画像処理項目毎に行って、ユーザ好みの仕上がりの画像が簡単に得られるようにしている。
【特許文献1】特開2002−330388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、露出とホワイトバランスなど、各画像処理項目のパラメータは、相互に影響を及ぼし合うため、現像した画像の実際の仕上がり具合は、複数の画像処理項目のパラメータの組み合わせによって決まる。例えば上記プリントシステムの場合には画像処理項目におけるパラメータの調整レベルが少ないため、画像処理項目毎に1項目ずつパラメータの調整レベルを変化させたときに得られる画像の色合いの変化が大きく、画像処理によって得られる画像が、なかなかユーザの望む仕上がりに近い画像とはならないという欠点がある。仮に、画像処理項目におけるパラメータの調整レベルを細かく変化させることも考えられるが、調整レベルを細かく設定できるようにした場合には、どの画像処理項目のパラメータを変化させると所望する仕上がりに近い色合いの画像が得られるかわからないユーザもいるため、単に画像処理項目におけるパラメータの調整レベルを細かくしただけでは、ユーザの望む仕上がりを簡単に得ることができないという問題もある。
【0007】
本発明は、RAWデータをプリントする際に、画像処理項目のパラメータを段階的に指定していくことで、ユーザの所望する仕上がりに近い現像処理条件を作り出すことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像出力装置は、画像データの画像出力を行う画像出力装置において、撮像装置によって撮影されデジタル現像処理を施さずに保存された生の画像データを取り込む画像取り込み手段と、取り込んだ生の画像データに対して、前記デジタル現像処理に含まれる複数の画像処理項目のうち、少なくとも1つの画像処理項目について異なる複数の処理条件からなる基準処理条件を用いて画像処理を施した後、これら画像処理済みの画像データに基づいた複数の参照画像を1画面内に配列したインデックス画像を作成する第1の画像処理手段と、前記第1の画像処理手段によって作成されたインデックス画像の中から選択された参照画像に対する処理条件の指定を行う条件指定手段と、前記少なくとも1つの画像処理項目において、前記条件指定手段によって指定された処理条件を含み、前記基準処理条件よりも絞り込まれた複数の処理条件に基づいて、前記生の画像データに対して画像処理を施した後、これら画像処理済みの画像データに基づいた複数の参照画像を1画面内に配列したインデックス画像を作成する第2の画像処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、前記画像処理項目には、露出調整、ホワイトバランス調整及び色味調整のうちの少なくとも2つが含まれることを特徴とする。
【0010】
また、前記条件指定手段は、前記第2の画像処理手段によって作成されたインデックス画像の中から選択された参照画像の処理条件の指定を行うことが可能であり、前記第2の画像処理手段によって作成されたインデックス画像から選択された参照画像の処理条件が指定された場合に、指定された処理条件を基にして、且つ前記少なくとも1つの画像処理項目を除く、他の画像処理項目について異なる複数の処理条件を用いた画像処理を、前記生の画像データに施した後、これら画像処理済みの画像データに基づいた複数の参照画像を1画面内に配列したインデックス画像を作成する第3の画像処理手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
また、前記条件指定手段は、前記第3の画像処理手段によって作成されたインデックス画像の中から選択された参照画像の処理条件の指定をさらに行うことが可能であり、前記第3の画像処理手段によって作成されたインデックス画像から、前記条件指定手段によって指定された処理条件を、前記生の画像データにおけるデジタル現像処理時の処理条件として確定する条件確定手段を備えていることを特徴とする。
【0012】
また、前記インデックス画像をプリント出力するプリント出力手段を備えていることを特徴とする。
【0013】
また、前記インデックス画像を表示する表示手段を備えていることを特徴とする。
【0014】
また、前記条件指定手段による処理条件の指定回数によって、インデックス画像を構成する複数の参照画像の大きさが変更されることを特徴とする。
【0015】
また、前記第2画像処理手段、第3画像処理手段によって作成されるインデックス画像は、前記設定された処理条件によって画像処理された複数の参照画像が配列される他に、前記選択された前回の処理条件の参照画像が配置されることを特徴とする。
【0016】
また、前記選択された前回の処理条件の参照画像の画像サイズは、前記設定された処理条件によって画像処理された複数の参照画像の画像サイズよりも大きいことを特徴とする。
【0017】
また、前記条件指定手段によって指定された処理条件を現像処理条件として確定するか否かを選択する選択手段を備えていることを特徴とする。
【0018】
また、前記条件指定手段によって処理条件が指定された場合に、指定された処理条件を調整する処理条件調整手段を備えていることを特徴とする。
【0019】
また、前記インデックス画像を作成する際に、複数の参照画像と、該参照画像のそれぞれの処理条件とを対応付けるための識別情報を、前記処理条件とともに参照画像における付帯情報として記憶する記憶手段を備え、前記プリント出力手段は、複数の参照画像と、該参照画像における識別情報とを対応付けてプリント出力するとともに、前記条件指定手段は、前記参照画像に付された識別情報を指定することで処理条件を指定し、前記条件指定手段によって識別情報による指定が行われたときに、指定された識別情報に基づいた処理条件を、前記記憶手段から読み出す条件読み出し手段を、さらに備えていることを特徴とする。
【0020】
本発明の画像出力方法は、画像データのプリント注文を受け付けるプリント注文受付方法において、撮像装置によって撮影されデジタル現像処理を施さずに保存された生の画像データを取り込むステップと、取り込んだ生の画像データに対して、前記デジタル現像処理に含まれる複数の画像処理項目のうち、少なくとも1つの画像処理項目について異なる複数の処理条件からなる基準処理条件を用いて画像処理を施すステップと、これら画像処理済みの画像データに基づいた複数の参照画像を1画面内に配列したインデックス画像を作成するステップと、作成されたインデックス画像の中から選択された参照画像に対する処理条件の指定を行うステップと、前記少なくとも1つの画像処理項目において、前記選択された参照画像に対する処理条件を含み、前記基準処理条件よりも絞り込まれた複数の処理条件に基づいて、前記生の画像データに対して画像処理を施すステップと、これら画像処理済みの画像データに基づいた複数の参照画像を1画面内に配列したインデックス画像を作成するステップとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の画像出力装置によれば、画像データの画像出力を行う画像出力装置において、撮像装置によって撮影されデジタル現像処理を施さずに保存された生の画像データを取り込む画像取り込み手段と、取り込んだ生の画像データに対して、前記デジタル現像処理に含まれる複数の画像処理項目のうち、少なくとも1つの画像処理項目について異なる複数の処理条件からなる基準処理条件を用いて画像処理を施した後、これら画像処理済みの画像データに基づいた複数の参照画像を1画面内に配列したインデックス画像を作成する第1の画像処理手段と、前記第1の画像処理手段によって作成されたインデックス画像の中から選択された参照画像に対する処理条件の指定を行う条件指定手段と、前記少なくとも1つの画像処理項目において、前記条件指定手段によって指定された処理条件を含み、前記基準処理条件よりも絞り込まれた複数の処理条件に基づいて、前記生の画像データに対して画像処理を施した後、これら画像処理済みの画像データに基づいた複数の参照画像を1画面内に配列したインデックス画像を作成する第2の画像処理手段とを備えたから、例えば画像処理における処理条件を複数段階で選択することができるので、ユーザの所望する仕上がりに近い処理条件を容易に選択することができる。
【0022】
また、前記条件指定手段は、前記第2の画像処理手段によって作成されたインデックス画像の中から選択された参照画像の処理条件の指定を行うことが可能であり、前記第2の画像処理手段によって作成されたインデックス画像から選択された参照画像の処理条件が指定された場合に、指定された処理条件を基にして、且つ前記少なくとも1つの画像処理項目を除く、他の画像処理項目について異なる複数の処理条件を用いた画像処理を、前記生の画像データに施した後、これら画像処理済みの画像データに基づいた複数の参照画像を1画面内に配列したインデックス画像を作成する第3の画像処理手段を備えているから、段階的にユーザの所望する仕上がりに近い処理条件を見つけ出すことができる。
【0023】
また、前記条件指定手段は、前記第3の画像処理手段によって作成されたインデックス画像の中から選択された参照画像の処理条件の指定をさらに行うことが可能であり、前記第3の画像作成手段によって作成されたインデックス画像から、前記条件指定手段によって指定された処理条件を、前記生の画像データにおけるデジタル現像処理時の処理条件として確定する条件確定手段を備えているので、ユーザの所望する仕上がりに近い処理条件で本プリントを行うことができる。
【0024】
また、前記インデックス画像のプリント出力するプリント出力手段を備えているから、実際にプリント出力された現像状態を確認できるので、インデックス画像からユーザの所望するパラメータを選択しやすくなるという効果がある。
【0025】
また、前記条件指定手段による処理条件の指定回数によって、インデックス画像を構成する複数の参照画像の大きさが変更されるから、例えばパラメータの値を細かく調整する場合に参照画像の大きさが小さい場合には、パラメータの差異の見分けを行うことが難しいが、参照画像の大きさを例えば大きくした場合には、パラメータの差異を認識させやすくなるので、結果的にユーザの所望するパラメータが選択しやすくなる。
【0026】
また、前記第2画像処理手段、第3画像処理手段によって作成されるインデックス画像は、前記設定された処理条件によって画像処理された複数の参照画像が配列される他に、前記選択された前回の処理条件の参照画像が配置されるから、過去に選択された参照画像と、処理条件の異なる参照画像とを比較することができるので、ユーザ自身が所望するパラメータに近づいているか否かを確認することができる。
【0027】
また、前記選択された前回の処理条件の参照画像の画像サイズは、前記設定された処理条件によって画像処理された複数の参照画像の画像サイズよりも大きいから、例えば、インデックス画像から選択する際に、参照画像の着目点を決めやすい。
【0028】
また、前記条件入力手段によって処理条件が入力されたときに設定される複数の処理条件を調整する処置条件調整手段を備えているから、さらに細かいパラメータの変更を行うことができる。
【0029】
また、前記インデックス画像を作成する際に、複数の参照画像と、該参照画像のそれぞれの処理条件とを対応付けるための識別情報を、前記処理条件とともに参照画像における付帯情報として記憶する記憶手段を備え、前記プリント出力手段は、複数の参照画像と、該参照画像における識別情報とを対応付けてプリント出力するとともに、前記条件指定手段は、前記参照画像に付された識別情報を指定することで処理条件を指定し、前記条件指定手段によって識別情報による指定が行われたときに、指定された識別情報に基づいた処理条件を、前記記憶手段から読み出す条件読み出し手段を、さらに備えているから、過去の履歴を残すことで、処理条件の絞り込みを時間をかけて行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は、画像出力装置として機能するプリント注文受付装置10の概略を示す機能ブロック図である。プリント注文受付装置10は、デジタルスチルカメラで撮影されデジタルな画像データとして記録されたコマ画像のプリント注文を受け付ける。このプリント注文受付装置10は、例えば、写真プリントサービスを提供するプリントサービス店11に設置され、オペレータによって操作される。画像データは、例えば、メモリーカード13などの記憶媒体に格納されて、顧客12によってプリントサービス店11に持ち込まれる。プリント注文受付装置10は、EXIF形式で保存された画像データに加えて、RAW形式で保存されたRAWデータのプリント注文にも対応している。
【0031】
RAWデータのプリント注文を受け付けた場合には、プリント注文受付装置10によってパラメータインデックスプリント16が作成され、これが顧客12に提供される。パラメータインデックスプリント16は、RAWデータに対して施すデジタル現像処理のパラメータを顧客12が指定しやすいように、異なる複数のパラメータによって現像処理された複数の参照画像を1画面に配列したインデックス画像を作成し、これを記録紙にプリントしたものであり、ラウンドプリントなどとも呼ばれる。各参照画像は、それぞれパラメータを変化させて現像されており、顧客12は、これらの参照画像を通じて好みの仕上がり具合を探し出すことができる。なお、詳細は後述するが、本実施形態の場合、パラメータインデックスプリント16が最大3回作成され、顧客が最終的に所望する参照画像が選択された場合に、参照画像に基づいたパラメータを用いた現像処理を行った1コマが印画紙に焼き付けられて、本プリント17として顧客に提供される。
【0032】
プリント注文受付装置10は、システムコントローラ21,カードリーダ22,画像処理部23,データストレージデバイス24,ネットワークインタフェース26,コンソール27,記録型メディアドライブ35、写真プリンタ38からなる。コンソール27は、ディスプレイ28と、操作部29とからなる。システムコントローラ21は、CPU,ROM,RAMなどから構成されており、操作部29からの指示に基づいて、プリント注文受付装置10の各部を統括的に制御する。
【0033】
操作部29は、マウスやキーボードなどからなり、システムコントローラ21に対して操作コマンドを入力する入力デバイスである。この操作部29は、顧客12がパラメータインデックスプリント16としてプリントされた複数の参照画像から顧客12の所望する参照画像を選択した場合に、選択された参照画像に基づいたパラメータの入力が可能となる。また、この操作部29は、パラメータインデックスプリント16を複数回作成する途中で、次のパラメータインデックスを作成するか、又は顧客よって選択された参照画像に基づいたパラメータを用いて本プリント17を作成するかを選択する際の入力を可能としている。ディスプレイ28は、操作画面や取り込まれた画像を表示する。なお、操作部とディスプレイとを兼用するタッチパネル式のディスプレイを使用してもよい。カードリーダ22は、メモリーカード13にアクセスしてEXIF形式やRAW形式で保存された画像データの読み取りを行う。
【0034】
画像処理部23は、読み取ったRAWデータに基づいてパラメータインデックス画像を作成する。画像処理部23は、フォーマット変換部30、現像条件設定部31、デジタル現像処理部32、インデックス画像作成部33を備えている。例えばRAW形式は、EXIF形式のようにファイルフォーマットがカメラメーカー間で統一されていないため、異なる各種のファイルフォーマットが存在する。フォーマット変換部30は、こうした各種のファイルフォーマットを、所定のファイルフォーマットに変換して、変換後のRAWデータをデジタル現像処理部32に引き渡す。
【0035】
現像条件設定部31は、パラメータインデックス画像を作成する際のデジタル現像処理における処理条件を設定するために設けられている。デジタル現像処理には、ホワイトバランス(以下、WB)調整、露出調整、色味調整等の処理があり、現像条件設定部においては、例えば、ホワイトバランス(以下、WB)調整、露出調整、色味調整などの画像処理項目におけるパラメータが設定される。なお、これらパラメータは、データストレージデバイス24のパラメータ記憶領域36に記憶されており、システムコントローラ21により、これらパラメータが適宜読み出される。
【0036】
例えば、1回目のパラメータインデックスプリント(以下、第1パラメータインデックスプリント)16a(図2参照)を作成する場合には、例えばWB処理のパラメータ、及び露出処理のパラメータを、それぞれ段階的に変化させた複数のパラメータが設定される。なお、以下では、1回目のパラメータインデックスプリントの作成時に使用される複数のパラメータを基準パラメータと称する。
【0037】
また、第1パラメータインデックスプリント16aから選択された参照画像のパラメータの値が操作部29を用いて指定された場合には、指定された参照画像のWB処理のパラメータ、及び露出処理のパラメータを中心にして、再度WB処理と露出処理とのパラメータを段階的に変化させた、複数のパラメータを現像処理条件として設定する。なお、この場合に設定される複数のパラメータは、上述した基準パラメータよりも絞り込んだ、つまり基準パラメータとして設定される複数のパラメータに対する変化量よりも小さい変化量で段階的に変化させた複数のパラメータとなる。
【0038】
さらに、2回目のパラメータインデックスプリント(以下、第2パラメータインデックスプリント)16bから選択された参照画像のパラメータが操作部29を用いて指定された場合には、指定された参照画像のパラメータを基準とし、さらに画像処理項目のうち上述したWB処理及び露出処理とは異なる画像処理項目(例えば色味調整)において段階的に変化させた複数のパラメータを現像処理条件として設定する。
【0039】
デジタル現像処理部32は、現像条件設定部33によって設定された複数の現像処理条件に基づいて、1コマのRAWデータに対するデジタル現像処理を実行する。デジタル現像処理には、WB処理、露出処理、分光感度補正処理、色味調整処理、階調処理、彩度調整処理、シャープネス処理等から構成されるが、本実施形態では、現像条件設定部31において、WB処理、露出処理、色味調整処理のパラメータが設定されるので、以下では、これら処理についてのみ説明する。なお、このデジタル現像処理部32でデジタル現像処理された現像処理済みデータは、例えばJPEG形式やTIFF形式等の画像データとして、データストレージデバイス24の画像データ保存領域37に記憶される。
【0040】
WB処理は、詳細は周知であるので、ここではその詳細は省略するが、WB処理としては、選択された光源の種類、或いは色温度調整にあわせた処理が行われる。選択された光源の種類に合わせた処理としては、以下の処理が行われる。選択された光源がXYZ表色系で表される光源色(X、Y、Z)の場合、この光源色(X、Y、Z)をXYZ表色系からRGB表色系に、つまり光源色(R、G、B)に変換する。また、現像処理後の目標とする白色がXYZ表色系で示される白色(X、Y、Z)の場合、この白色(X、Y、Z)をRGB表色系に、つまり白色(R、B、G)に変換する。このとき、選択された光源、又は目標となる白色がRGB表色系で示されている場合には、上述する変換処理は実行しない。そして、目標となる白色の階調値(R、B、G)に対する光源色の階調値(R、G、B)の比から、gainR(=R/R)、gainB(=B/B)、gainG(=G/G)をそれぞれ算出した後、これら値をRAWデータの各画素のR色、G色、B色のそれぞれの階調値に掛け合わせることで、ゲイン処理が行われる。なお、この現処理後の目標とする白色(X、Y、Z)は、例えばRec709の白色点等を挙げることができる。なお、選択された光源が撮影時設定の場合には、RAWデータが作成されたときのデジタルスチルカメラ側の光源設定の種類(或いは光源の色温度)が選択される。
【0041】
一方、色温度調整に合わせた処理として、以下の処理が行われる。光源の色温度が予めわかっているから、まず光源の色温度をミレッドに変換する。色温度パラメータは、ミレッドで示される調整値であるので、算出されたミレッドに対して調整値を加算し、再度色温度に変換する。変換された色温度に対する色の階調値を求めた上で、上述したゲイン処理を行う。
【0042】
露出処理は、WB処理済みデータに対して行われる。この露出処理は、露出補正値ExBiasを算出し、この露出補正値ExBiasを各画素のR色、B色、G色の階調値に露出補正値ExBiasを乗算する処理である。なお、露出補正値ExBiasは、増減感がxEVとした場合、2で算出される。なお、この露光処理が行われた後、分光感度補正処理が行われる。
【0043】
色味調整処理は、分光感度補正処理済みデータに対して行われる。この色味調整処理は、色味調整値から算出される補正値を各画素のR色、G色、B色の階調値にそれぞれ掛け合わせる処理である。なお、この補正値CCは、例えば、CC=10−0.01c、CC=10−0.01m、CC=10−0.01yで算出される。
【0044】
インデックス画像作成部33は、現像処理済みの画像データに基づいた参照画像に対してリサイズ処理を施して、参照画像の画像サイズを縮小し、縮小した複数の参照画像を1画面に配列してパラメータインデックス画像を作成する。作成されたパラメータインデックス画像は、データストレージデバイス24の画像データ保存領域37にインデックス画像データとして記憶される。
【0045】
データストレージデバイス24は、例えば、ハードディスクドライブであり、オペレーティングシステムや各種のプログラムが記憶されるとともに、カードリーダ22によって取り込まれた画像データを蓄積するために使用される。また、データストレージデバイス24には、画像処理部23が参照するパラメータデータを記憶するパラメータ記憶領域36や、現像処理済みの画像データや、インデックス画像データを保存する画像データ保存領域37が設定されている。
【0046】
ネットワークインタフェース26は、本プリント17を作成する写真プリンタ38とデータ通信可能に接続するための通信インタフェースであり、このネットワークインタフェース26を経由して、プリント指定されたインデックス画像データ、或いは本プリント用の画像データが写真プリンタ38へ転送される。
【0047】
写真プリンタ38は、プリント指定された画像データに基づいて、印画紙にレーザー光を照射して潜像を形成した後、現像処理を施すことにより高精細な写真プリントを出力する。この写真プリンタ38には、画像処理部23によって生成されたインデックス画像データや、最終的に選択されたパラメータを用いてデジタル現像処理された画像データが転送され、これら転送された画像データを用いたパラメータインデックスプリント16や本プリント17が作成される。なお、この写真プリンタ38によってパラメータインデックスプリント16と、本プリント17とが作成されることでパラメータインデックスプリント17の画像と、本プリント17の画像との色濃度の違いを無くすことができる。なお、本実施形態では、写真プリンタにおいて、パラメータインデックスプリント、本プリントを作成する実施形態とするが、例えばインデックス用プリントを写真プリンタとは別に設け、インデックス用プリンタにおいて、写真プリンタと同一の色濃度がプリントされるようにカラーマッチング処理やカラーマッピング処理を施して、パラメータインデックスプリントを作成するようにしても良い。
【0048】
また、写真プリンタ38に転送される画像データとしては、パラメータインデックス画像を作成する際に生成され、画像データ保存領域37に保存されたデジタル現像処理済みの画像データが使用されるので、新たにデジタル現像処理をせずに済み、本プリント17の作成に要する処理時間が短縮される。また、このデジタル現像処理済みの画像データを所定の期間保存しておき、再プリント注文の際にはこれを利用するようにすれば、再プリント処理を迅速に行うことができる。
【0049】
記録型メディアドライブ35は、例えば、CD(コンパクトディスク)などのデータ記録メディアにアクセスして画像データの書き込みを行う。プリントサービス店11は、プリントサービスの他に、画像データの記録メディアへの書き込みサービスを提供する。記録型メディアドライブ35は、こうしたサービスを行うために使用され、この記録型メディアドライブ35によって、指定された画像データが記録メディアに書き込まれて、いわゆるフォトCDが作成される。
【0050】
図2は、第1パラメータインデックスプリント16aの1例を示す。この第1パラメータインデックスプリント16は、デジタル現像処理を行う際の画像処理項目のうち、露出処理と、ホワイトバランス(以下、WB)処理の2つの項目に対するパラメータを、それぞれ段階的に変化させ、これら処理に対するパラメータを組み合わせた複数の現像処理条件に基づいて現像処理された画像データに基づく複数の参照画像41を配列したものである。各参照画像41は、例えば、6行7列のマトリックスで配列されており、縦軸に露出処理におけるパラメータが、横軸にWB処理におけるパラメータがそれぞれ設定される。そして、これら参照画像の近傍には、各パラメータが表示される。
【0051】
露出処理のパラメータは、例えば撮影時に設定された増減感の値を基準として、プラス方向とマイナス方向に、それぞれ1/2EVずつ変化させた複数のパラメータからなる。WB処理のパラメータは、光源の種類からなり、光源の種類としては、撮影時に設定された光源(図2に示す撮影時設定)の他に、白熱電球、蛍光灯、太陽光、ストロボ光、曇天、日陰が設定されている。各参照画像41の近傍には、それらに対応するパラメータの値(「+1/2EV」,「−1EV」など)や、種類(「白熱電球」、「蛍光灯」など)が表示される。なお、露出処理のパラメータと、WB処理のパラメータとが、上述した基本パラメータとして構成される。なお、露出パラメータの変化量を1/2EVとしているが、これに限定する必要はなく、適宜設定されるものとする。
【0052】
図3は、第1パラメータインデックスプリント16aから、顧客が選択した参照画像のパラメータが入力された後に作成されるパラメータインデックスプリント(以下、第2パラメータインデックスプリント)16bの1例を示す。この第2パラメータインデックスプリント16bは、第1パラメータインデックスプリント16aと同様に、デジタル現像処理を行う際の画像処理項目のうち、露出処理とWB調整との2つの項目のそれぞれのパラメータを変化させた複数の参照画像42を配列したものである。この第2パラメータインデックスプリント16bの場合、WB処理におけるパラメータの変化量が、第1パラメータインデックスプリント16aよりも小さい設定されるということである。これによれば、第1パラメータインデックスプリント16aにおいては大まかな画像処理の選択を行い、第2パラメータインデックスプリント16bにおいては、より細かな画像処理の選択を行うことになる。なお、第2パラメータインデックスプリント16bでは、各参照画像42は、例えば、5行7列のマトリックスで配列されており、縦軸に露出処理のパラメータが、横軸に上述したWB処理のパラメータが設定される。
【0053】
WB処理のパラメータとしては、ミレッド値が用いられ、第1パラメータインデックスプリント16aで選択された参照画像の光源の色温度をミレッド値に変換したものを基準(図3に示す0)にして、プラス方向とマイナス方向に10ミレッドずつ変化させた、例えば+30ミレッド、+20ミレッド、+10ミレッド、0、−10ミレッド、−20ミレッド、−30ミレッドの7段階のミレッド値からなる。このミレッド値の変化量を10ミレッドとしたが、これに限定する必要はなく、適宜設定してよいものとする。一方、露出処理のパラメータは、第1パラメータインデックスプリント16aで選択された参照画像41における増減感を基準にして、プラス方向とマイナス方向とに、それぞれ1/6EVずつ変化させた複数の増減感からなる。つまり、第1パラメータインデックスプリント16aから選択された参照画像の露出パラメータが+1/2EVとなる場合には、+1/6EV、+1/3EV、+1/2EV、+2/3EV、+5/6EVの5段階となる。なお、この第2パラメータインデックスプリント16bにおいても、各参照画像42の近傍には、それらに対応するパラメータの値が表示される。また、この場合、露出処理のパラメータの変化量を1/6EVとしているが、基準パラメータにおける露出処理のパラメータの変化量よりも小さい変化量であればよいものとする。なお、これら複数の参照画像42の上部には、第1パラメータインデックスプリント16aにおいて選択された参照画像41の現像条件がプリントアウトされている。
【0054】
図4は、第2パラメータインデックスプリント16bから、顧客が選択した参照画像のパラメータが入力された後に作成されるパラメータインデックスプリント(以下、第3パラメータインデックスプリント)16cの1例を示す。この第3パラメータインデックスプリント16cは、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)のいずれかの色味調整値を−2〜+2の間で段階的に変化させた複数の参照画像43を配置したパラメータインデックスプリントである。この第3パラメータインデックスプリント16cの場合、第2パラメータインデックスプリント16bから選択された参照画像を中心にし、例えば上方向にY色、下方向にY色の補色となるB色を対置させ、中心から離れるにつれて、Y色又はB色の色味が強くなるように色味調整値を変化させている。そして、中心を通る2つの対角上に、互いに補色関係にある、G色及びM色、R色及びC色の各色を配置し、中心から離れるにつれて、補色関係にある2色のいずれかの色味が強くなるようにパラメータを変化させている。なお、これら複数の参照画像43の上部には、第2パラメータインデックスプリント16bにおいて選択された参照画像42の現像処理条件がプリントアウトされている。
【0055】
以下、上記構成による作用について、図5のフローチャートを参照しながら説明する。RAWデータのプリント注文を受け付けると、オペレータは、顧客12が持ち込んだメモリーカード13をカードリーダ22にセットする。カードリーダ22にメモリーカード13がセットされると、カードリーダ13によってRAWデータが読み出され、該RAWデータが画像データ保存領域37に保存される。プリント注文受付装置10は、メモリーカード13から読み取ったRAWデータに基づいて、1回目のパラメータインデックス画像を作成する。
【0056】
例えば1回目のパラメータインデックスプリント16aの作成時には、基準パラメータが現像処理条件として設定される。上述したように、基準パラメータは、撮影時設定、白熱電球、蛍光灯、太陽光、ストロボ光、曇天、日陰の7通りからなるWB処理のパラメータと、−1EV、−1/2EV、0EV、+1/2EV、+1EV、+3/2EVの6通りからなる露出処理のパラメータとをそれぞれ組み合わせた42通りの現像処理条件から構成される。これら42通りの現像処理条件を用いて、RAWデータに対するデジタル現像処理が施され、現像処理済みの画像データがデータストレージデバイス24に記憶される。その後、現像処理済みの画像データを用いてインデックス画像データが作成され、データストレージデバイス24に記憶される。なお、作成されたインデックス画像データは、ディスプレイ28に第1パラメータインデックス画像として表示される他、写真プリンタ38に転送され、第1パラメータインデックスプリント16aとしてプリント出力される。この第1パラメータインデックスプリント16aは、露出処理のパラメータを縦軸に、WB処理のパラメータを横軸にした、つまり、6行7列の計42個の参照画像41が配列される。この第1パラメータインデックスプリント16aは顧客12に提供され、顧客12は第1パラメータインデックスプリント16aを見ながら、好みの仕上がりの参照画像41を選択する。
【0057】
顧客12によって参照画像41の選択が行われると、オペレータは、操作部29を操作することによって選択された参照画像41に基づくパラメータの指定を行う。つまり、選択された参照画像のパラメータが「白熱電球」、「+1/2EV」の場合には、これらパラメータを指定する。このパラメータが顧客12が所望する仕上がりに近いものである場合には、操作部29を操作して、本プリント17の作成処理を指定する。この指定により、写真プリンタ38によって本プリント17がプリント出力され、顧客12に提供される。一方、本プリント17の作成処理を行わない場合には、第2パラメータインデックスプリント16bが作成される。
【0058】
2回目のパラメータインデックスプリント16bを作成する場合には、第1インデックス画像データの作成時と同様にして、現像処理条件の画像処理項目として、WB処理、露出処理が選択される。この2回目の現像処理条件は、上述した1回目の現像処理条件として設定された基準パラメータよりも、変化量を小さくした複数のパラメータが現像処理条件として設定される。つまり、第1パラメータインデックスプリント16aから選択された参照画像のパラメータが「白熱電球」、「+1/2EV」となる場合、WB処理のパラメータとして、段階的に変化させたミレッド値、つまり、+30ミレッド、+20ミレッド、+10ミレッド、0、−10ミレッド、−20ミレッド、−30ミレッドの7通りが設定される。なお、ここで示す「0」は、ミレッド値を変化させない場合を示すものである。
【0059】
一方、露出処理においては、選択された参照画像の露出処理のパラメータ「+1/2EV」を中心にして、プラス方向とマイナス方向とのそれぞれに対して1/6EVずつ変化させた、つまり、+1/6EV、+1/3EV、+1/2EV、+2/3EV、+5/6EVの5通りが設定される。これにより、2回目の現像処理条件として、露出処理のパラメータと、WB処理のパラメータとを組み合わせた計35通りの現像処理条件が設定され、これら35通りの現像処理条件を用いたデジタル現像処理が、RAWデータに対して行われる。この現像処理済みの画像データは、データストレージデバイス24に記憶される。また、現像処理済みの画像データを用いてインデックス画像データが作成される。このインデックス画像データは、データストレージデバイス24に記憶される。
【0060】
インデックス画像データが作成されると、この画像データに基づくインデックス画像、つまり第2パラメータインデックス画像がディスプレイ28に表示される。また、インデックス画像データは写真プリンタ38に転送され、第2パラメータインデックスプリント16bとしてプリント出力される。なお、第2パラメータインデックスプリント16bは、露出処理のパラメータを縦軸にし、WB処理のパラメータを横軸にし、複数の参照画像42がマトリックス状に配列される。この第2パラメータインデックスプリント16bは、第1パラメータインデックスプリント16aと同様に、顧客12に提供され、顧客12は第2パラメータインデックスプリント16bを見ながら、好みの仕上がりの参照画像42を選択する。
【0061】
顧客12によって参照画像42の選択が行われると、オペレータは、操作部29を操作することによって選択された参照画像42に基づくパラメータの指定を行う。つまり、選択された参照画像42のパラメータが「白熱電球、−10ミレッド」、「+1/3EV」の場合には、これらパラメータを指定する。選択された参照画像42が顧客12が所望する仕上がりに近いものである場合には、操作部29を操作して本プリント17の作成処理を実行する。これにより、選択された参照画像42のパラメータを使用した現像処理済みの画像データが写真プリンタ38に転送され、本プリント17がプリント出力される。一方、本プリント17の作成処理を行わない場合には、第3パラメータインデックスプリント16cが作成される。
【0062】
3回目のパラメータインデックスプリント16cを作成する場合には、画像処理項目のうち、例えば色味調整処理が選択され、この色味調整処理における複数のパラメータが現像処理条件として設定される。この色味調整処理におけるパラメータとは、例えば第2パラメータインデックスプリント16bにおいて選択された参照画像42の露出処理のパラメータと、WB処理のパラメータとを基準にして、R、G、B、Y、M、Cの6通りの色方向に2段階ずつ色味を変化させた計13通りのパラメータが現像処理条件として設定される。つまり、色味調整処理のパラメータは、その変化量を(C、M、Y)で示した場合、(0,0,0)、(+2,0,0)、(+1,0,0)、(−1,0,0)、(−2,0,0)、(0,+2,0)、(0,+1,0)、(0,−1,0)、(0,−2,0)、(0,0,+2)、(0,0,+1)、(0,0,−1)、(0,0,−2)の13通りとなる。ここで、(0,0,0)とは、色味調整値を変化させない場合である。
【0063】
これら現像処理条件を用いて、RAWデータのデジタル現像処理が行われ、現像処理済みの画像データがデータストレージデバイス24に記憶される。そして、これら現像処理済みの画像データを用いて、インデックス画像データが作成され、データストレージデバイス24に記憶される。この場合も同様に、インデックス画像データを用いてディスプレイ28にインデックス画像、つまり第3パラメータインデックス画像の表示を行う。また、このインデックス画像データは写真プリンタ38に転送され、第3パラメータインデックスプリント16cとしてプリント出力される。この第3パラメータインデックスプリント16cも顧客12に提供され、顧客が第3パラメータインデックスプリント16cを見ながら、好みの仕上がりの参照画像43を選択する。
【0064】
顧客12によって参照画像43の選択が行われると、オペレータは、操作部29を操作することによって選択された参照画像43に基づくパラメータの指定を行う。この場合、選択された参照画像が、Y方向に1段階色味を変化させた参照画像となる場合には、現像処理条件のパラメータは、「白熱電球、−10ミレッド」、「+1/3EV」、「(0,0,1)」となり、オペレータは、操作部29を用いて、これらパラメータを指定する。この場合、WB処理、露出処理、色味調整処理のパラメータが設定さているので、これらパラメータの指定が行われると、本プリント17における現像処理条件が確定され、これらパラメータを現像処理条件としてデジタル現像処理された画像データが写真プリンタ38に転送される。これにより、写真プリンタ38によって本プリント17がプリント出力され、本プリント17が顧客12に提供される。
【0065】
本実施形態では、パラメータインデックスプリントを作成して、顧客に提供するようにしたが、これに限定する必要はなく、例えばディスプレイ28にパラメータインデックス画像を表示し、ディスプレイ28に表示されるパラメータインデックス画像から、顧客の所望する参照画像を選択できるようにすることも可能である。この場合、例えば、1回目のパラメータの選択時には、パラメータインデックス画像をディスプレイ285に表示させ、2回目以降のパラメータの選択時には、パラメータインデックスプリントを作成する。これによれば、細かな調整の場合にはパラメータインデックスプリントを参照することで、より好みの仕上がりに近い参照画像を選択することができる。この他に、基本的に、参照画像の選択をディスプレイに表示されたインデックス画像から選択させ、必要に応じてパラメータインデックスを作成することも可能である。
【0066】
また、現像条件の指定回数に応じて、参照画像の画像サイズを変化させるようにしてもよい。この場合、パラメータの変化量が大きいとき、つまり第1パラメータインデックスプリントを作成する場合には、参照画像の画像サイズを小さくし、パラメータの変化量が小さいとき、つまり第2或いは第3パラメータインデックスプリントを作成する場合には、参照画像の画像サイズを大きくする。これによれば、パラメータの変化量が小さい場合には、参照画像を比較したときに、パラメータの変化量による参照画像の色合いの差異を判別しやすくなるので、顧客が好む条件を見つけやすい。
【0067】
本実施形態では、第2パラメータインデックスプリント、第3パラメータインデックスプリントにおいて、選択された参照画像は、他の参照画像と同一の大きさで配置しているが、これに限定する必要はなく、例えばパラメータインデックスプリントから選択された参照画像を、他の参照画像よりも大きいサイズで配置することも可能である。図6に示すように、第2パラメータインデックスプリント50の上部に、前回選択された参照画像51を、その下方に、今回の現像処理条件でデジタル現像処理された複数の参照画像52を配置する。これによれば、例えば新しく作成されたパラメータインデックスプリントから顧客の好みとなる現像処理条件を決めやすいという利点がある他に、例えば前回のパラメータインデックスプリントから選択した参照画像が、顧客の好む仕上がりに近づいているかを確認することができる。また、前回選択された参照画像の画像サイズを大きくすることで、選択する現像処理条件を決定する際の着眼点を決めやすくなる。
【0068】
また、本実施形態では、選択された参照画像のパラメータに合わせて、次の現像処理条件となる画像処理項目のパラメータの変化量を自動的に設定する構成となっているが、これに限定する必要はなく、例えばこれらパラメータの変化量を自動的に設定した後に、設定されたパラメータの変化量を操作部によって調整できるようにしてもよい。
【0069】
また、この他に、過去に選択した現像処理条件に対応する参照画像を、最新のインデックス画像とともにプリントすることも可能である。例えば、図7に示すように、第2パラメータインデックスプリント55には、今回の現像処理条件を用いて現像処理された複数の参照画像56の他に、前回選択した参照画像57が配置される。なお、前回選択した参照画像57は、マトリックス状に配列された参照画像56の右上部に配置される。また、図8に示すように、第3パラメータインデックスプリント58の場合には、現像処理条件を用いて現像処理された参照画像59を配置した上で、これら参照画像59の右上部に1回目に選択された参照画像57、2回目に選択された参照画像56を配置する。これにより、最新の現像処理条件での参照画像と、過去に選択された参照画像とを比較することができるので、現像条件を顧客の好む方向に絞り込めているかを確認することができる。また、過去に選択された参照画像の方が、顧客の好む現像処理条件に近い場合には、途中から現像処理条件の絞り込みをやり直すことも可能となるので、確実に顧客の好む仕上がりに近い現像処理条件を見つけることができる。
【0070】
本実施形態では、最新のパラメータインデックスプリントから選択された参照画像のパラメータを指定するようにしたが、この参照画像のパラメータの指定の際に、過去に選択したパラメータを同時に指定することも可能である。つまり、例えば第2パラメータインデックスに第1パラメータインデックスプリントから選択された画像における処理条件のパラメータを印刷しておき、第2パラメータインデックスプリントから顧客が好む処理条件の画像を選択したときに、第1パラメータインデックスから選択された画像における処理条件のパラメータと、第2パラメータインデックスプリントから選択された画像に対する処理条件のパラメータとを同時に入力する。このように、第2パラメータインデックスプリントから顧客の好む画像を選択したときに、過去のパラメータも同時に入力することで、過去に選択されたパラメータが保存されていない画像データの場合には、最初からパラメータの選択を行う手間が省けることになり、容易に過去の選択履歴を引き継ぐことができる。
【0071】
本実施形態では、選択された参照画像のパラメータを指定するようにしたが、これに限定する必要はなく、例えば、複数の参照画像と、これら参照画像に対応して数字等の識別情報とを配置したパラメータインデックスプリントを作成し、選択された参照画像に対応する数字を指定するようにしてもよい。この場合、現像処理条件を設定する際に、各現像処理条件に対して数字の割り振りを行い、これら現像処理条件と数字とをデータストレージデバイスに記憶させておく。そして、各参照画像の下部に、現像処理条件に対応する数字を配置したインデックス画像を作成する。図9に示すように、例えば第1パラメータインデックスプリント65から参照画像66を選択するときには、選択する参照画像66の下部に配置された数字をオペレータに告げる。オペレータは、操作部を用いて顧客によって選択された参照画像に対応する数字を指定する。
【0072】
これを受けて、データストレージデバイスから、数字に対応する現像処理条件を読み出し、読み出された現像処理条件に応じて、次回の現像処理条件のパラメータの設定を行う。これにより、過去の選択履歴がすぐにわかることになるので、入力操作の時間を短縮することができる。なお、パラメータインデックスプリントに、前回選択された参照画像に対応する数字をプリントすることも可能である。また、数字の他に、過去の選択履歴を示すバーコードをパラメータインデックスプリントにプリントすることも可能である。さらに、過去の履歴と顧客情報とを関連づけて記憶させておき、顧客情報を入力するだけで、過去の選択履歴を読み出す、或いは表示させることも可能である。
【0073】
また、上記例では、プリントサービス店などに設置されるプリント注文受付装置を例に説明したが、図10に示すプリント注文受付サーバ71のように、プリント注文受付装置を、インターネット72などの通信ネットワークに接続可能な形態で構成し、顧客のPC(パーソナルコンピュータ)73からのプリント注文を受付けるようにしてもよい。この場合には、インターネット72のウエブ上にプリント注文受付サイトが開設され、顧客のPC73がこのプリント注文受付サイトにアクセスすることによりプリント注文が行われる。なお、指定されたパラメータで画像処理が施されることで作成された本プリント17は、後日顧客へ提供される。
【0074】
また、上記例では、パラメータインデックス画像を作成するインデックス画像作成機能を持つプリント注文受付装置を例に説明したが、プリント注文受付機能を持たないインデックス画像作成専用の装置に本発明を適用してもよい。また、本発明の範囲には、パラメータインデックス画像を作成するインデックス画像作成機能やこれを用いたプリント注文受付機能をコンピュータに実行させるプログラムの形態で実現する場合も含まれることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】プリント注文受付装置の構成図である。
【図2】第1パラメータインデックスプリントを示す説明図である。
【図3】第2パラメータインデックスプリントを示す説明図である。
【図4】第3パラメータインデックスプリントを示す説明図である。
【図5】プリント注文受付手順を示すフローチャートである。
【図6】マトリクス状に配置された参照画像の上部に、前回選択された参照画像を配置し、その画像サイズを、マトリクス状に配置された参照画像の画像サイズよりも大きくした場合の第2パラメータインデックスプリントを示す説明図である。
【図7】前回選択された参照画像を、マトリクス状に配置された複数の参照画像の上部に配置した場合の第2パラメータインデックスプリントを示す説明図である。
【図8】1回目に選択された参照画像、及び2回目に選択された参照画像を、マトリクス状に配置された複数の参照画像の上部に配置した場合の第3パラメータインデックスプリントを示す説明図である。
【図9】参照画像のそれぞれに対応付けて数字を配置した場合の第1パラメータインデックスプリントを示す説明図である。
【図10】ネットワークを通じたプリント注文受付の説明図である。
【符号の説明】
【0076】
10 プリント注文受付装置
11 プリントサービス店
12 顧客
13 メモリーカード
16 パラメータインデックスプリント
16a 第1パラメータインデックスプリント
16b、50、55 第2パラメータインデックスプリント
16c、58 第3パラメータインデックスプリント
17 本プリント
23 画像処理部
24 データストレージデバイス
27 コンソール
28 ディスプレイ
29 操作部
30 フォーマット変換部
31 現像条件設定部
32 デジタル現像処理部
33 インデックス画像作成部
38 写真プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データの画像出力を行う画像出力装置において、
撮像装置によって撮影されデジタル現像処理を施さずに保存された生の画像データを取り込む画像取り込み手段と、
取り込んだ生の画像データに対して、前記デジタル現像処理に含まれる複数の画像処理項目のうち、少なくとも1つの画像処理項目について異なる複数の処理条件からなる基準処理条件を用いて画像処理を施した後、これら画像処理済みの画像データに基づいた複数の参照画像を1画面内に配列したインデックス画像を作成する第1の画像処理手段と、
前記第1の画像処理手段によって作成されたインデックス画像の中から選択された参照画像に対する処理条件の指定を行う条件指定手段と、
前記少なくとも1つの画像処理項目において、前記条件指定手段によって指定された処理条件を含み、前記基準処理条件よりも絞り込まれた複数の処理条件に基づいて、前記生の画像データに対して画像処理を施した後、これら画像処理済みの画像データに基づいた複数の参照画像を1画面内に配列したインデックス画像を作成する第2の画像処理手段とを備えたことを特徴とする画像出力装置。
【請求項2】
前記画像処理項目には、露出調整、ホワイトバランス調整及び色味調整のうちの少なくとも2つが含まれることを特徴とする請求項1記載の画像出力装置。
【請求項3】
前記条件指定手段は、前記第2の画像処理手段によって作成されたインデックス画像の中から選択された参照画像の処理条件の指定を行うことが可能であり、
前記第2の画像処理手段によって作成されたインデックス画像から選択された参照画像の処理条件が指定された場合に、指定された処理条件を基にして、且つ前記少なくとも1つの画像処理項目を除く、他の画像処理項目について異なる複数の処理条件を用いた画像処理を、前記生の画像データに施した後、これら画像処理済みの画像データに基づいた複数の参照画像を1画面内に配列したインデックス画像を作成する第3の画像処理手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の画像出力装置。
【請求項4】
前記条件指定手段は、前記第3の画像処理手段によって作成されたインデックス画像の中から選択された参照画像の処理条件の指定をさらに行うことが可能であり、
前記第3の画像処理手段によって作成されたインデックス画像から、前記条件指定手段によって指定された処理条件を、前記生の画像データにおけるデジタル現像処理時の処理条件として確定する条件確定手段を備えていることを特徴とする請求項3記載の画像出力装置。
【請求項5】
前記インデックス画像をプリント出力するプリント出力手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の画像出力装置。
【請求項6】
前記インデックス画像を表示する表示手段を備えていることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の画像出力装置。
【請求項7】
前記条件指定手段による処理条件の指定回数によって、インデックス画像を構成する複数の参照画像の大きさが変更されることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の画像出力装置。
【請求項8】
前記第2画像処理手段、第3画像処理手段によって作成されるインデックス画像は、前記設定された処理条件によって画像処理された複数の参照画像が配列される他に、前記選択された前回の処理条件の参照画像が配置されることを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の画像出力装置。
【請求項9】
前記選択された前回の処理条件の参照画像の画像サイズは、前記設定された処理条件によって画像処理された複数の参照画像の画像サイズよりも大きいことを特徴とする請求項8記載の画像出力装置。
【請求項10】
前記条件指定手段によって指定された処理条件を現像処理条件として確定するか否かを選択する選択手段を備えていることを特徴とする請求項1〜9いずれか記載の画像出力装置。
【請求項11】
前記条件指定手段によって処理条件が指定された場合に、指定された処理条件を調整する処理条件調整手段を備えていることを特徴とする請求項1〜10いずれか記載の画像出力装置。
【請求項12】
前記インデックス画像を作成する際に、複数の参照画像と、該参照画像のそれぞれの処理条件とを対応付けるための識別情報を、前記処理条件とともに参照画像における付帯情報として記憶する記憶手段を備え、
前記プリント出力手段は、複数の参照画像と、該参照画像における識別情報とを対応付けてプリント出力するとともに、前記条件指定手段は、前記参照画像に付された識別情報を指定することで処理条件を指定し、
前記条件指定手段によって識別情報による指定が行われたときに、指定された識別情報に基づいた処理条件を、前記記憶手段から読み出す条件読み出し手段を、さらに備えていることを特徴とする請求項1〜11記載の画像出力装置。
【請求項13】
画像データの画像出力を行う画像出力方法において、
撮像装置によって撮影されデジタル現像処理を施さずに保存された生の画像データを取り込むステップと、
取り込んだ生の画像データに対して、前記デジタル現像処理に含まれる複数の画像処理項目のうち、少なくとも1つの画像処理項目について異なる複数の処理条件からなる基準処理条件を用いて画像処理を施すステップと、
これら画像処理済みの画像データに基づいた複数の参照画像を1画面内に配列したインデックス画像を作成するステップと、
作成されたインデックス画像の中から選択された参照画像に対する処理条件の指定を行うステップと、
前記少なくとも1つの画像処理項目において、前記選択された参照画像に対する処理条件を含み、前記基準処理条件よりも絞り込まれた複数の処理条件に基づいて、前記生の画像データに対して画像処理を施すステップと、
これら画像処理済みの画像データに基づいた複数の参照画像を1画面内に配列したインデックス画像を作成するステップとを備えたことを特徴とする画像出力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−180721(P2007−180721A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−374705(P2005−374705)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】